IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 沖電気工業株式会社の特許一覧

特許7563160機械学習装置、画像形成装置、機械学習方法、および画像形成方法
<>
  • 特許-機械学習装置、画像形成装置、機械学習方法、および画像形成方法 図1
  • 特許-機械学習装置、画像形成装置、機械学習方法、および画像形成方法 図2
  • 特許-機械学習装置、画像形成装置、機械学習方法、および画像形成方法 図3
  • 特許-機械学習装置、画像形成装置、機械学習方法、および画像形成方法 図4
  • 特許-機械学習装置、画像形成装置、機械学習方法、および画像形成方法 図5
  • 特許-機械学習装置、画像形成装置、機械学習方法、および画像形成方法 図6
  • 特許-機械学習装置、画像形成装置、機械学習方法、および画像形成方法 図7
  • 特許-機械学習装置、画像形成装置、機械学習方法、および画像形成方法 図8
  • 特許-機械学習装置、画像形成装置、機械学習方法、および画像形成方法 図9
  • 特許-機械学習装置、画像形成装置、機械学習方法、および画像形成方法 図10
  • 特許-機械学習装置、画像形成装置、機械学習方法、および画像形成方法 図11
  • 特許-機械学習装置、画像形成装置、機械学習方法、および画像形成方法 図12
  • 特許-機械学習装置、画像形成装置、機械学習方法、および画像形成方法 図13
  • 特許-機械学習装置、画像形成装置、機械学習方法、および画像形成方法 図14
  • 特許-機械学習装置、画像形成装置、機械学習方法、および画像形成方法 図15
  • 特許-機械学習装置、画像形成装置、機械学習方法、および画像形成方法 図16
  • 特許-機械学習装置、画像形成装置、機械学習方法、および画像形成方法 図17
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】機械学習装置、画像形成装置、機械学習方法、および画像形成方法
(51)【国際特許分類】
   G06N 20/00 20190101AFI20241001BHJP
   G06N 3/08 20230101ALI20241001BHJP
   B41J 3/36 20060101ALI20241001BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20241001BHJP
   B41J 11/42 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
G06N20/00 130
G06N3/08
B41J3/36 Z
G03G21/00 370
B41J11/42
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020211604
(22)【出願日】2020-12-21
(65)【公開番号】P2022098198
(43)【公開日】2022-07-01
【審査請求日】2023-08-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】弁理士法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼▲旨▼ 敏章
【審査官】新井 則和
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-053840(JP,A)
【文献】特開2017-213775(JP,A)
【文献】特開2016-007710(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06N 20/00
G06N 3/08
B41J 3/36
G03G 21/00
B41J 11/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のラベルが仮着された媒体の搬送路に設けられ前記媒体を所定の搬送方向に搬送するとともに画像を前記媒体に転写する転写部と、前記搬送路に設けられ前記媒体を前記搬送方向に搬送する搬送部とを有する画像形成装置における、前記転写部および前記搬送部の間における前記媒体のたるみ量に応じたたるみ値履歴データを含む第1のデータと、前記媒体における前記たるみ値履歴データが得られた位置よりも前記搬送方向の上流に設けられた第1のラベルにおける第1のラベルピッチを示すラベルピッチデータとを記憶する記憶部と、
前記第1のデータ、および前記第1のラベルピッチに関連する第2のデータを用いて機械学習処理を行うことにより、前記第1のデータが入力され前記第2のデータが出力される学習モデルを生成する学習モデル生成部と
を備えた機械学習装置。
【請求項2】
前記第1のデータは、前記複数のラベルのうちの、前記第1のラベルより前記搬送方向の下流に設けられた複数の第2のラベルにおける複数の第2のラベルピッチを示すラベルピッチ履歴データを含む
請求項1に記載の機械学習装置。
【請求項3】
前記第1のデータは、前記第1のラベルピッチの推定値である推定ラベルピッチを示すラベルピッチ推定データを含む
請求項2に記載の機械学習装置。
【請求項4】
前記第2のデータを生成する生成部をさらに備え、
前記第2のデータは、前記第1のラベルピッチと前記推定ラベルピッチとの差分である
請求項3に記載の機械学習装置。
【請求項5】
前記第2のデータは、前記第1のラベルピッチである
請求項2または請求項3に記載の機械学習装置。
【請求項6】
前記搬送部は、前記搬送路において前記転写部よりも前記搬送方向の下流に設けられ、ヒータを有し、画像を前記媒体に定着させる定着部である
請求項2から請求項5のいずれか一項に記載の機械学習装置。
【請求項7】
複数のラベルが仮着された媒体の搬送路に設けられ、前記媒体を所定の搬送方向に搬送するとともに画像を前記媒体に転写する転写部と、
前記搬送路に設けられ、前記媒体を前記搬送方向に搬送する搬送部と、
前記搬送路における前記転写部および前記搬送部の間に設けられ、前記媒体のたるみを検出するたるみセンサと、
前記転写部および前記搬送部の間における前記媒体のたるみ量に応じたたるみ値履歴データを含む第1のデータが入力され、前記媒体における前記たるみ値履歴データが得られた位置よりも前記搬送方向の上流に設けられた第1のラベルにおける第1のラベルピッチに関連する第2のデータが出力される学習モデルを記憶する記憶部と、
前記学習モデルを用いて、前記たるみセンサの検出結果に応じた前記たるみ値履歴データを含む前記第1のデータに基づいて前記第2のデータを生成する演算部と、
前記演算部により生成された前記第2のデータに基づいて、前記第1のラベルにおける前記転写部による転写位置を調節する調節部と
を備えた画像形成装置。
【請求項8】
前記転写部より前記搬送方向の上流に設けられ、前記複数のラベルを検出するラベルセンサをさらに備え、
前記第1のデータは、前記複数のラベルのうちの、前記第1のラベルより前記搬送方向の下流に設けられた複数の第2のラベルにおける複数の第2のラベルピッチを示すラベルピッチ履歴データを含み、
前記演算部は、前記学習モデルを用いて、前記ラベルセンサの検出結果に応じた前記ラベルピッチ履歴データを含む前記第1のデータに基づいて前記第2のデータを生成する
請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記演算部は、
前記ラベルピッチ履歴データに基づいて、前記第1のラベルピッチの推定値である推定ラベルピッチを示すラベルピッチ推定データを生成するラベルピッチ推定部と、
前記学習モデルを用いて、前記第1のデータに基づいて前記第2のデータを生成することにより、前記推定ラベルピッチを補正するラベルピッチ補正部と
を有し、
前記調節部は、前記ラベルピッチ補正部により補正された前記推定ラベルピッチに基づいて前記転写位置を調節する
請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記第1のデータは、前記ラベルピッチ推定データを含む
請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記第2のデータは、前記第1のラベルピッチと前記推定ラベルピッチとの差分であり、
前記ラベルピッチ補正部は、前記第2のデータに基づいて前記推定ラベルピッチを補正する
請求項9または請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記第2のデータは、前記第2のラベルピッチである
請求項8から請求項10のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記搬送部は、前記搬送路において前記転写部よりも前記搬送方向の下流に設けられ、ヒータを有し、画像を前記媒体に定着させる定着部である
請求項8から請求項12のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記第1のデータは、
前記複数の第2のラベルピッチのそれぞれと所定のラベルピッチとの差分であるラベルピッチ変位の平均値を示す変位平均データと、
前記複数の第2のラベルピッチのうちの1つと所定のラベルピッチとの差分である第1のラベルピッチ変位と、前記複数の第2のラベルより前記搬送方向の下流に設けられた第3のラベルにおける第3のラベルピッチと前記所定のラベルピッチとの差分である第2のラベルピッチ変位との差分を示す変位変動データと
を含む
請求項8から請求項13のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項15】
複数のラベルが仮着された媒体の搬送路に設けられ前記媒体を所定の搬送方向に搬送するとともに画像を前記媒体に転写する転写部と、前記搬送路に設けられ前記媒体を前記搬送方向に搬送する搬送部とを有する画像形成装置における、前記転写部および前記搬送部の間における前記媒体のたるみ量に応じたたるみ値履歴データを含む第1のデータと、前記媒体における前記たるみ値履歴データが得られた位置よりも前記搬送方向の上流に設けられた第1のラベルにおける第1のラベルピッチを示すラベルピッチデータとを記憶することと、
前記第1のデータ、および前記第1のラベルピッチに関連する第2のデータを用いて機械学習処理を行うことにより、前記第1のデータが入力され前記第2のデータが出力される学習モデルを生成することと
を含む機械学習方法。
【請求項16】
複数のラベルが仮着された媒体の搬送路に設けられ前記媒体を所定の搬送方向に搬送するとともに画像を前記媒体に転写する転写部と、前記搬送路に設けられ前記媒体を前記搬送方向に搬送する搬送部との間における前記媒体のたるみを検出することと、
前記転写部および前記搬送部の間における前記媒体のたるみ量に応じたたるみ値履歴データを含む第1のデータが入力され、前記媒体における前記たるみ値履歴データが得られた位置よりも前記搬送方向の上流に設けられた第1のラベルにおける第1のラベルピッチに関連する第2のデータが出力される学習モデルを記憶することと、
前記学習モデルを用いて、検出された前記媒体のたるみに応じた前記たるみ値履歴データを含む前記第1のデータに基づいて前記第2のデータを生成することと、
生成された前記第2のデータに基づいて、前記第1のラベルにおける前記転写部による転写位置を調節することと
を含む画像形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のラベルが仮着された媒体におけるラベルの位置を学習する機械学習装置および機械学習方法と、このような機械学習装置および機械学習方法により得られた学習モデルを利用してラベルに画像を形成する画像形成装置および画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置には、ロール台紙に複数のラベルが配置されたいわゆるラベルロール紙に画像を形成可能なものがある。例えば、特許文献1には、各ラベルにおける画像形成位置を調節する画像形成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-103426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、ラベルロール紙に画像を形成する画像形成装置では、ラベルの位置に合わせて画像を形成することが望まれており、画像を適切な位置に形成することが期待されている。
【0005】
画像を適切な位置に形成することができる機械学習装置、画像形成装置、機械学習方法、および画像形成方法を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施の形態における機械学習装置は、記憶部と、学習モデル生成部とを備えている。記憶部は、複数のラベルが仮着された媒体の搬送路に設けられ媒体を所定の搬送方向に搬送するとともに画像を媒体に転写する転写部と、搬送路に設けられ媒体を搬送方向に搬送する搬送部とを有する画像形成装置における、転写部および搬送部の間における媒体のたるみ量に応じたたるみ値履歴データを含む第1のデータと、媒体におけるたるみ値履歴データが得られた位置よりも搬送方向の上流に設けられた第1のラベルにおける第1のラベルピッチを示すラベルピッチデータとを記憶するように構成される。学習モデル生成部は、第1のデータ、および第1のラベルピッチに関連する第2のデータを用いて機械学習処理を行うことにより、第1のデータが入力され第2のデータが出力される学習モデルを生成するように構成される。
【0007】
本発明の一実施の形態における画像形成装置は、転写部と、搬送部と、たるみセンサと、記憶部と、演算部と、調節部とを備えている。転写部は、複数のラベルが仮着された媒体の搬送路に設けられ、媒体を所定の搬送方向に搬送するとともに画像を媒体に転写するように構成される。搬送部は、搬送路に設けられ、媒体を搬送方向に搬送するように構成される。たるみセンサは、搬送路における転写部および搬送部の間に設けられ、媒体のたるみを検出するように構成される。記憶部は、転写部および搬送部の間における媒体のたるみ量に応じたたるみ値履歴データを含む第1のデータが入力され、媒体におけるたるみ値履歴データが得られた位置よりも搬送方向の上流に設けられた第1のラベルにおける第1のラベルピッチに関連する第2のデータが出力される学習モデルを記憶するように構成される。演算部は、学習モデルを用いて、たるみセンサの検出結果に応じたたるみ値履歴データを含む第1のデータに基づいて第2のデータを生成するように構成される。調節部は、演算部により生成された第2のデータに基づいて、第1のラベルにおける転写部による転写位置を調節するように構成される。
【0008】
本発明の一実施の形態における機械学習方法は、複数のラベルが仮着された媒体の搬送路に設けられ媒体を所定の搬送方向に搬送するとともに画像を媒体に転写する転写部と、搬送路に設けられ媒体を搬送方向に搬送する搬送部とを有する画像形成装置における、転写部および搬送部の間における媒体のたるみ量に応じたたるみ値履歴データを含む第1のデータと、媒体におけるたるみ値履歴データが得られた位置よりも搬送方向の上流に設けられた第1のラベルにおける第1のラベルピッチを示すラベルピッチデータとを記憶することと、第1のデータ、および第1のラベルピッチに関連する第2のデータを用いて機械学習処理を行うことにより、第1のデータが入力され第2のデータが出力される学習モデルを生成することとを含んでいる。
【0009】
本発明の一実施の形態における画像形成方法は、複数のラベルが仮着された媒体の搬送路に設けられ媒体を所定の搬送方向に搬送するとともに画像を媒体に転写する転写部と、搬送路に設けられ媒体を搬送方向に搬送する搬送部との間における媒体のたるみを検出することと、転写部および搬送部の間における媒体のたるみ量に応じたたるみ値履歴データを含む第1のデータが入力され、媒体におけるたるみ値履歴データが得られた位置よりも搬送方向の上流に設けられた第1のラベルにおける第1のラベルピッチに関連する第2のデータが出力される学習モデルを記憶することと、学習モデルを用いて、検出された媒体のたるみに応じたたるみ値履歴データを含む第1のデータに基づいて第2のデータを生成することと、生成された第2のデータに基づいて、第1のラベルにおける転写部による転写位置を調節することとを含んでいる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一実施の形態における機械学習装置および機械学習方法によれば、転写部および搬送部の間における媒体のたるみ量に応じたたるみ値履歴データを含む第1のデータと、媒体におけるたるみ値履歴データが得られた位置よりも搬送方向の上流に設けられた第1のラベルにおける第1のラベルピッチを示すラベルピッチデータとを記憶し、第1のデータ、および第1のラベルピッチに関連する第2のデータを用いて機械学習処理を行うことにより、第1のデータが入力され第2のデータが出力される学習モデルを生成するようにしたので、画像を適切な位置に形成することができる。
【0011】
本発明の一実施の形態における画像形成装置および画像形成方法によれば、転写部および搬送部の間における媒体のたるみ量に応じたたるみ値履歴データを含む第1のデータが入力され、媒体におけるたるみ値履歴データが得られた位置よりも搬送方向の上流に設けられた第1のラベルにおける第1のラベルピッチに関連する第2のデータが出力される学習モデルを用いて、検出された媒体のたるみに応じたたるみ値履歴データを含む第1のデータに基づいて第2のデータを生成することにより、第1のラベルにおける転写部による転写位置を調節するようにしたので、画像を適切な位置に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施の形態に係る画像形成装置の一構成例を表す説明図である。
図2図1に示した記録媒体の一構成例を表す説明図である。
図3図1に示した画像形成ユニットの一構成例を表す説明図である。
図4図1に示した定着部の一構成例を表す説明図である。
図5図1に示した画像形成装置の制御系の一例を表すブロック図である。
図6図5に示した画像形成装置におけるラベルピッチの推定処理に係るブロックの一例を表すブロック図である。
図7】ラベルピッチの推定処理の一例を表す説明図である。
図8図5に示した補正値生成モデルを生成する機械学習装置の一構成例を表すブロック図である。
図9図8に示した機械学習装置における機械学習処理に係るブロックの一例を表すブロック図である。
図10図8に示した学習モデル生成部におけるニューラルネットワークの一構成例を表す説明図である。
図11図5に示した画像形成装置の一動作例を表すフローチャートである。
図12】画像形成位置のずれおよびたるみ値の相関関係を表す説明図である。
図13図8に示した機械学習装置の一動作例を表すフローチャートである。
図14】変形例に係る画像形成装置の制御系の一例を表すブロック図である。
図15図14に示した画像形成装置におけるラベルピッチの推定処理に係るブロック
図16図14に示したラベルピッチ生成モデルを生成する機械学習装置の一構成例を表すブロック図である。
図17図16に示した機械学習装置における機械学習処理に係るブロックの一例を表すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
<実施の形態>
[構成例]
図1は、本発明の一実施の形態に係る画像形成装置(画像形成装置1)の一構成例を表すものである。画像形成装置1は、例えば、ラベルロール紙などの記録媒体9に対して、電子写真方式を用いて画像を形成するプリンタとして機能するように構成される。
【0015】
図2は、記録媒体9の一構成例を表すものである。記録媒体9は、複数のラベルLと、台紙9Bとを有している。ラベルLは、台紙9Bに仮着されており、台紙9Bからはがして、様々なものに貼り付けることができるものである。複数のラベルLは、記録媒体9のラベル面9Cにおいて、記録媒体9の長手方向(図2における横方向)にラベルピッチLPで並設されている。具体的には、記録媒体9では、ラベル長LLの長さを有するラベルLが、ラベル間隔LSの間隔で並設されている。この例では、画像形成装置1が記録媒体9をロールから引き出して搬送方向F1(図2における右方向)に搬送する場合のラベルLの先端(図2におけるラベルLの右端)を基準にラベルピッチLPを定義している。
【0016】
画像形成装置1は、これらのラベルLのそれぞれに画像を形成する。その際、画像形成装置1は、後述するように、検出されたラベルLのラベルピッチLP、および検出された記録媒体9のたるみ量に応じたたるみ値VRに基づいて、検出された最新のラベルL(基準ラベルLA)よりもK個(例えば7個)だけ搬送方向F1の上流に配置されたラベルL(印刷対象ラベルLB)の位置を推定し、その印刷対象ラベルLBの位置に合わせて画像を形成するようになっている。
【0017】
すなわち、例えば、記録媒体9では、ラベルLが等間隔で配置されることが望ましいが、例えば製造方法により、ラベルLの位置がずれる可能性がある。製造方法には、例えば、いわゆる平圧方式がある。この平圧方式では、複数のラベルLの輪郭形状に対応した形状を有する刃を表面に配置した平板状の型を、ラベルLがまだ形成されていない記録媒体に順次押し当てることにより、ラベルLを形成する。この場合には、複数のラベルLをワンセットとして形成するため、例えば、このセット内ではラベルピッチLPのばらつきが小さく、セット間のラベルピッチLPのばらつきは、セット内のラベルピッチLPのばらつきよりも大きくなる。このように、ラベルピッチLPにばらつきがある場合には、印刷対象ラベルLBにおける画像形成位置がずれる可能性がある。
【0018】
また、例えば、画像形成装置1において、記録媒体9の搬送速度が、時間の経過に応じて揺らぐ場合には、印刷対象ラベルLBにおける画像形成位置がずれる可能性がある。また、例えば、後述するように、二次転写部28と定着部40との間における記録媒体9のたるみに応じて、印刷対象ラベルLBにおける画像形成位置がずれる可能性がある。
【0019】
画像形成装置1では、検出されたラベルLのラベルピッチLP、および検出された記録媒体9のたるみ値VRに基づいて、検出された最新のラベルL(基準ラベルLA)よりもK個(例えば7個)だけ搬送方向F1の上流に配置された印刷対象ラベルLBの位置を推定する。これにより、画像形成装置1では、記録媒体9の製造方法、記録媒体9の搬送速度の揺らぎ、記録媒体9のたるみによる、印刷対象ラベルLBにおける画像形成位置への影響を抑えることができ、印刷対象ラベルLBの適切な位置に画像を形成することができるようになっている。
【0020】
画像形成装置1(図1)は、4つの画像形成ユニット10(10Y,10M,10C,10K)と、4つの一次転写ローラ21(21Y,21M,21C,21K)と、中間転写ベルト22と、駆動ローラ23と、アイドルローラ24と、テンションローラ25と、バックアップローラ26と、二次転写ローラ27とを備えている。これらは、画像形成装置1において、記録媒体9に画像を形成する画像形成部を構成している。
【0021】
4つの画像形成ユニット10は、トナー像をそれぞれ形成するように構成される。具体的には、画像形成ユニット10Yは黄色(Y)のトナー像を形成し、画像形成ユニット10Mはマゼンタ色(M)のトナー像を形成し、画像形成ユニット10Cはシアン色(C)のトナー像を形成し、画像形成ユニット10Kはキープレート(K)である黒色のトナー像を形成するようになっている。画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kは、中間転写ベルト22の搬送方向F2にこの順で配置される。
【0022】
図3は、画像形成ユニット10の一構成例を表すものである。画像形成ユニット10は、感光体11と、クリーニングブレード12と、帯電ローラ13と、LED(Light Emitting Diode)ヘッド14と、現像ローラ15と、現像ブレード16と、供給ローラ17と、トナー収容部18とを有している。
【0023】
感光体11は、表面(表層部分)に静電潜像を担持するように構成される。感光体11は、感光体モータ(図示せず)から伝達された動力により、この例では時計回りで回転する。感光体11は、帯電ローラ13により帯電し、LEDヘッド14により露光される。これにより、感光体11の表面には、静電潜像が形成される。そして、現像ローラ15によりトナーが供給されることにより、感光体11には、静電潜像に応じたトナー像が形成(現像)されるようになっている。
【0024】
クリーニングブレード12は、感光体11の表面(表層部分)に残留するトナーを掻き取ってクリーニングするように構成される。クリーニングブレード12は、先端が感光体11の表面に当接するように配置される。クリーニングブレード12は、例えば、感光体11の表面において転写されずに残留したトナーを掻き取る。掻き取られたトナーは、廃トナーボックス(図示せず)に収容されるようになっている。
【0025】
帯電ローラ13は、感光体11の表面(表層部分)を略均一に帯電させるように構成される。帯電ローラ13は、感光体11の表面(周面)に接するように配置され、所定の押し付け量で感光体11に押し付けられように配置される。帯電ローラ13は、感光体11の回転に応じて、この例では反時計回りで回転する。帯電ローラ13には、画像形成制御部53(後述)により帯電電圧VCHが印加されるようになっている。
【0026】
LEDヘッド14は、感光体11に対して光をそれぞれ照射するように構成される。LEDヘッド14は、例えば、主走査線方向(図3における奥行方向)に並設された複数の発光ダイオードを有し、これらの発光ダイオードを用いて、ドット単位で感光体11に対して光を照射する。これにより、これらの感光体11の表面には、静電潜像が形成されるようになっている。
【0027】
現像ローラ15は、トナーを表面に担持するように構成される。現像ローラ15は、感光体11の表面(周面)に接するように配置され、所定の押し付け量で感光体11に押し付けられように配置される。現像ローラ15は、感光体モータ(図示せず)から伝達された動力により、この例では反時計回りで回転する。現像ローラ15には、画像形成制御部53(後述)により現像電圧VDBが印加されるようになっている。
【0028】
現像ブレード16は、現像ローラ15の表面に当接することにより、この現像ローラ15の表面にトナーからなる層(トナー層)を形成させるとともに、そのトナー層の厚さを規制(制御,調整)するように構成される。現像ブレード16は、例えば、ステンレス等からなる板状弾性部材をL字形状に折り曲げたものを用いることができる。現像ブレード16は、その折れ曲がった部分が現像ローラ15の表面に当接するように配置され、所定の押し付け量で現像ローラ15に押し付けられように配置される。
【0029】
供給ローラ17は、トナー収容部18内に収容されたトナーを、現像ローラ15に対して供給するように構成される。供給ローラ17は、現像ローラ15の表面(周面)に接するように配置され、所定の押し付け量で現像ローラ15に押し付けられように配置される。供給ローラ17は、感光体モータ(図示せず)から伝達された動力により、この例では反時計回りで回転する。これにより、画像形成ユニット10では、供給ローラ17の表面と現像ローラ15の表面との間には摩擦が生じる。その結果、画像形成ユニット10では、トナーが、いわゆる摩擦帯電により帯電するようになっている。供給ローラ17には、画像形成制御部53(後述)により供給電圧VSBが印加されるようになっている。
【0030】
トナー収容部18は、トナーを収容するように構成される。具体的には、画像形成ユニット10Yのトナー収容部18は黄色のトナーを収容し、画像形成ユニット10Mのトナー収容部18はマゼンタ色のトナーを収容し、画像形成ユニット10Cのトナー収容部18はシアン色のトナーを収容し、画像形成ユニット10Kのトナー収容部18は黒色のトナーを収容するようになっている。
【0031】
この構成により、画像形成ユニット10では、感光体11は、帯電ローラ13により帯電し、LEDヘッド14により露光される。これにより、感光体11の表面には、静電潜像が形成される。また、トナー収容部18内に収容されたトナーは、供給ローラ17および現像ローラ15により帯電し、感光体11に供給される。これにより、感光体11には、静電潜像に応じたトナー像が形成(現像)されるようになっている。
【0032】
4つの一次転写ローラ21(図1)は、4つの画像形成ユニット10により形成されたトナー像を、中間転写ベルト22の被転写面上に静電的にそれぞれ転写するように構成される。一次転写ローラ21Yは、中間転写ベルト22を介して画像形成ユニット10Yの感光体11に対向配置され、一次転写ローラ21Mは、中間転写ベルト22を介して画像形成ユニット10Mの感光体11に対向配置され、一次転写ローラ21Cは、中間転写ベルト22を介して画像形成ユニット10Cの感光体11に対向配置され、一次転写ローラ21Kは、中間転写ベルト22を介して画像形成ユニット10Kの感光体11に対向配置される。4つの一次転写ローラ21は、対応する感光体11に所定の押し付け量で押しつけられるように配置される。一次転写ローラ21のそれぞれには、画像形成制御部53(後述)により一次転写電圧VTR1が印加される。これにより、画像形成装置1では、各画像形成ユニット10により形成されたトナー像が、中間転写ベルト22の被転写面上に転写(一次転写)されるようになっている。
【0033】
中間転写ベルト22は、無端の弾性ベルトであり、駆動ローラ23、アイドルローラ24、テンションローラ25、およびバックアップローラ26によって張設(張架)されるように構成される。そして、中間転写ベルト22は、駆動ローラ23の回転に応じて、搬送方向F2に向かって循環搬送されるようになっている。その際、中間転写ベルト22は、画像形成ユニット10Yの感光体11と一次転写ローラ21Yとの間、画像形成ユニット10Mの感光体11と一次転写ローラ21Mとの間、画像形成ユニット10Cの感光体11と一次転写ローラ21Cとの間、および画像形成ユニット10Kの感光体11と一次転写ローラ21Kとの間、バックアップローラ26と二次転写ローラ27との間を通過するようになっている。この構成により、中間転写ベルト22は、一次転写により被転写面上に転写されたトナー像を、バックアップローラ26および二次転写ローラ27により構成される二次転写部28に供給するようになっている。
【0034】
駆動ローラ23は、中間転写ベルト22を循環搬送するように構成される。この例では、駆動ローラ23は、搬送方向F2において、4つの画像形成ユニット10の上流に配置され、ベルトモータ(図示せず)から伝達された動力により、この例では反時計回りで回転する。これにより、駆動ローラ23は、中間転写ベルト22を搬送方向F2の方向へ循環搬送するようになっている。
【0035】
アイドルローラ24は、中間転写ベルト22の循環搬送に応じて、この例では反時計回りで従動回転するように構成される。アイドルローラ24は、搬送方向F2において、4つの画像形成ユニット10の下流に配置される。
【0036】
テンションローラ25は、中間転写ベルト22の循環搬送に応じて、この例では時計回りで従動回転するように構成される。テンションローラ25は、駆動ローラ23とバックアップローラ26との間に配置される。
【0037】
バックアップローラ26は、中間転写ベルト22の循環搬送に応じて、この例では反時計回りで従動回転するように構成される。バックアップローラ26は、記録媒体9を搬送する搬送路8および中間転写ベルト22を挟んで、二次転写ローラ27と対向配置される。バックアップローラ26は、この二次転写ローラ27とともに、二次転写部28を構成する。
【0038】
二次転写ローラ27は、中間転写ベルト22の被転写面上のトナー像を、記録媒体9の被転写面(ラベル面9C)上に転写するように構成される。二次転写ローラ27は、搬送路8および中間転写ベルト22を挟んで、バックアップローラ26と対向配置される。二次転写ローラ27は、バックアップローラ26とともに、二次転写部28を構成する。二次転写ローラ27には、画像形成制御部53(後述)により二次転写電圧VTR2が印加される。これにより、画像形成装置1では、中間転写ベルト22の被転写面上のトナー像が、記録媒体9の被転写面上に転写(二次転写)されるようになっている。
【0039】
また、画像形成装置1(図1)は、媒体供給ローラ31と、ラベルセンサ32と、カッター33と、搬送ローラ34,35と、ラベルセンサ36と、たるみセンサ38と、定着部40とを有している。これらは、記録媒体9の搬送路8に沿ってこの順で配置されている。記録媒体9は、媒体ガイド39により導かれることにより、搬送路8に沿って搬送されるようになっている。
【0040】
媒体供給ローラ31は、搬送路8を挟んで配置された一対のローラを有し、記録媒体9が巻かれたロールから記録媒体9を引き出して、搬送路8に沿って記録媒体9を搬送するように構成される。
【0041】
ラベルセンサ32は、媒体供給ローラ31から供給された記録媒体9のラベルLを検出するように構成される。ラベルセンサ32は、この例では、透過型の光学センサを用いて構成される。具体的には、ラベルセンサ32は、搬送路8を挟んで配置された発光部および受光部を有する。発光部から受光部への光路は、記録媒体9の搬送路8を横切る。ラベルセンサ32では、発光部から射出した所定の強度の光のうち、記録媒体9により透過した光が、受光部において受光される。よって、光路上のラベルLの有無に応じて、受光部が受光する光の強度が異なる。ラベルセンサ32は、受光部が受光した光の強度に応じた検出信号を出力するようになっている。なお、これに限定されるものではなく、例えば、記録媒体9の台紙9Bのラベル面9Cとは反対の面に、ラベルLの位置に応じていわゆるブラックマークが設けられている場合には、ラベルセンサ32は、反射型のセンサであってもよい。画像形成装置1は、このようなラベルセンサ32の検出信号に基づいて、ラベルLの先端を検出し、この検出結果に基づいて、カッター33による記録媒体9の切断位置を決定するようになっている。
【0042】
カッター33(図1)は、記録媒体9を切断するように構成される。カッター33は、画像形成装置1が、ラベルセンサ32の検出信号に基づいて決定した切断位置で、記録媒体9を切断するようになっている。
【0043】
搬送ローラ34は、搬送路8を挟んで配置された1対のローラを有し、記録媒体9を搬送路8に沿って搬送方向F1に搬送するように構成される。
【0044】
搬送ローラ35は、搬送ローラ34と同様に、搬送路8を挟んで配置された1対のローラを有し、記録媒体9を搬送路8に沿って搬送方向F1に搬送するように構成される。そして、搬送ローラ35は、記録媒体9をラベルセンサ36に供給するようになっている。
【0045】
ラベルセンサ36は、搬送ローラ35から供給された記録媒体9のラベルLを検出するように構成される。ラベルセンサ36は、例えば、ラベルセンサ32と同様に、この例では、透過型の光学センサを用いて構成される。なお、これに限定されるものではなく、例えば、記録媒体9の台紙9Bのラベル面9Cとは反対の面に、ラベルLの位置に応じていわゆるブラックマークが設けられている場合には、ラベルセンサ36は、反射型のセンサであってもよい。ラベルセンサ36は、二次転写部28の搬送方向F1の上流において、二次転写部28の近傍に配置される。画像形成装置1は、ラベルセンサ36の検出信号に基づいて、ラベルLの先端を検出する。そして、画像形成装置1は、各ラベルLの先端の検出結果に基づいてラベルピッチLPを検出し、複数のラベルLのラベルピッチLPに基づいて、印刷対象ラベルLBにおけるラベルピッチLPを推定する。そして、画像形成装置1は、推定したラベルピッチLPに基づいて、その印刷対象ラベルLBに対して画像を形成するための、LEDヘッド14(図3)が動作を開始するタイミング(書出タイミング)を決定するようになっている。
【0046】
これにより、画像形成装置1では、印刷対象ラベルLBが二次転写部28に到達するタイミングと、中間転写ベルト22におけるトナー像が二次転写部28に到達するタイミングとを一致させることができる。その結果、二次転写部28は、印刷対象ラベルLBにおける適切な位置にトナー像を転写することできるようになっている。
【0047】
記録媒体9は、二次転写部28においてトナー像が転写された後、定着部40に供給される。
【0048】
たるみセンサ38は、二次転写部28および定着部40の間に設けられ、二次転写部28および定着部40の間における記録媒体9のたるみを検出するように構成される。
【0049】
図4は、二次転写部28および定着部40の間における記録媒体9のたるみの一例を表すものである。たるみセンサ38は、例えば、ばねなどの付勢部材を用いて記録媒体9を搬送路8に押さえつけるとともに、記録媒体9の位置が搬送路8から所定距離より離れているかどうかに応じた検出信号を出力するように構成される。画像形成装置1は、このようなたるみセンサ38の検出信号に基づいて、二次転写部28および定着部40の間における記録媒体9のたるみ量に応じたたるみ値VRを検出し、この検出結果に基づいて、二次転写部28および定着部40の間に記録媒体9のたるみが生じるように、定着部40における記録媒体9の搬送速度を制御する。すなわち、例えば二次転写部28および定着部40の間において記録媒体9のたるみが無い場合には、例えば、定着部40が記録媒体9を引っ張ることにより、二次転写部28における記録媒体9の位置がずれ、ラベルLにおける画像形成位置がずれる可能性がある。よって、画像形成装置1では、二次転写部28および定着部40の間において記録媒体9のたるみが生じるように、定着部40における記録媒体9の搬送速度を制御するようになっている。
【0050】
定着部40(図1)は、記録媒体9に対し熱および圧力を付与することにより、記録媒体9上に転写されたトナー像を記録媒体9に定着させるように構成される。図4に示したように、定着部40は、ローラ41Aと、駆動ローラ41Bと、ローラ41Cと、定着ベルト42と、ヒータ43A,43Bと、熱反射板44と、温度センサ45と、ローラ46Aと、駆動ローラ46Bと、ローラ46Cと、定着ベルト47と、ヒータ48と、熱反射板49とを有している。
【0051】
ローラ41Aは、搬送路8を挟んでローラ46Aと対向配置され、記録媒体9に圧力を付与するように構成される。駆動ローラ41Bは、搬送路8を挟んで駆動ローラ46Bと対向配置され、記録媒体9に圧力を付与するように構成される。この駆動ローラ41Bは、定着モータ(図示せず)から伝達された動力により、この例では反時計回りに回転することにより、定着ベルト42を循環搬送するようになっている。ローラ41Cは、搬送路8から離れた位置に配置される。定着ベルト42は、無端の弾性ベルトであり、ローラ41A、駆動ローラ41B、ローラ41C、および図示しないガイドにより張設(張架)されるように構成される。そして、定着ベルト42は、駆動ローラ41Bの回転に応じて循環搬送されるようになっている。ヒータ43A,43Bは、例えばハロゲンヒータであり、定着ベルト42に対して熱を付与するように構成される。熱反射板44は、ヒータ43A,43Bからの熱を反射するように構成される。これにより、定着部40では、ヒータ43A,43Bからの熱が、定着ベルト42に付与され、定着ベルト42が、記録媒体9上のトナーに対して熱を付与するようになっている。温度センサ45は、定着ベルト42の温度を検出するように構成される。
【0052】
ローラ46Aは、搬送路8を挟んでローラ41Aと対向配置され、記録媒体9に圧力を付与するように構成される。駆動ローラ46Bは、搬送路8を挟んで駆動ローラ41Bと対向配置され、記録媒体9に圧力を付与するように構成される。この駆動ローラ46Bは、定着モータ(図示せず)から伝達された動力により、この例では時計回りに回転することにより、定着ベルト47を循環搬送するようになっている。ローラ46Cは、搬送路8から離れた位置に配置される。定着ベルト47は、無端の弾性ベルトであり、ローラ46A、駆動ローラ46B、ローラ46C、および図示しないガイドにより張設(張架)されるように構成される。そして、定着ベルト47は、駆動ローラ46Bの回転に応じて循環搬送されるようになっている。ヒータ48は、例えばハロゲンヒータであり、定着ベルト47に対して熱を付与するように構成される。熱反射板49は、ヒータ48からの熱を反射するように構成される。これにより、定着部40では、ヒータ48からの熱が、定着ベルト47に付与され、定着ベルト47が、記録媒体9上のトナーに対して熱を付与するようになっている。
【0053】
この構成により、定着部40では、ローラ41A,46A、駆動ローラ41B,46Bにより圧接部が形成され、記録媒体9上のトナーに対して圧力が付与されるとともに、定着ベルト42,47により、記録媒体9上のトナーに対して熱が付与される。これにより、定着部40では、記録媒体9上のトナーが、加熱され、融解し、加圧される。その結果、トナー像が記録媒体9上に定着するようになっている。
【0054】
そして、定着部40によりトナー像が定着された記録媒体9は、画像形成装置1から排出され、リワインダ90において、図示しないモータから供給された動力を用いて巻き取られる。
【0055】
この構成により、画像形成装置1は、記録媒体9の各ラベルLに対して、連続的に画像形成を行うことができるようになっている。
【0056】
図5は、画像形成装置1における制御系の一例を表すものである。画像形成装置1は、通信部51と、表示操作部52と、画像形成制御部53と、処理部60と、記憶部70とを備えている。
【0057】
通信部51は、例えばUSB(Universal Serial Bus)やLAN(Local Area Network)を用いて通信を行うように構成され、例えば、ホストコンピュータから送信された、各種印刷設定データや画像データを含む印刷データDPを受信するように構成される。印刷設定データは、例えば、ラベルピッチLPの設定値や、印刷すべきラベルLの数などについての情報を含む。
【0058】
表示操作部52は、ユーザの操作を受け付けるとともに、画像形成装置1の動作状態などを表示するように構成され、例えばタッチパネル、各種ボタン、液晶ディスプレイや各種インジケータを用いて構成される。
【0059】
画像形成制御部53は、処理部60からの指示に基づいて、画像形成装置1における画像形成動作を制御するように構成される。具体的には、画像形成制御部53は、例えば、4つのLEDヘッド14(図3)における露光動作を制御する。また、画像形成制御部53は、各種電源の動作を制御することにより、帯電電圧VCH、現像電圧VDB、供給電圧VSB、一次転写電圧VTR1、および二次転写電圧VTR2の生成動作を制御する。また、画像形成制御部53は、各種モータの動作を制御することにより、記録媒体9の搬送動作、画像形成ユニット10におけるトナー像の形成動作、中間転写ベルト22の搬送動作、および定着部40による記録媒体9の搬送動作を制御する。また、画像形成制御部53は、温度センサ45の検出結果に基づいてヒータ43A,43B,48に流れる電流を制御することにより、定着温度を制御するようになっている。
【0060】
処理部60は、画像形成装置1の各ブロックの動作を制御することにより、画像形成装置1の動作を制御するように構成される。処理部60は、例えば、プログラムを実行可能なプロセッサや、データを一時的に記憶可能なRAM(Random Access Memory)などを用いて構成される。処理部60は、センサ値取得部61と、ラベルピッチ検出部62と、ラベルピッチ変位検出部63と、ラベルピッチ推定部64と、ラベルピッチ補正部65と、書出タイミング算出部66と、センサ値取得部67と、たるみ値検出部68とを有している。
【0061】
図6は、ラベルピッチ検出部62、ラベルピッチ変位検出部63、ラベルピッチ推定部64、たるみ値検出部68、およびラベルピッチ補正部65の一例を表すものである。図7は、ラベルピッチ検出部62、ラベルピッチ変位検出部63、ラベルピッチ推定部64、およびラベルピッチ補正部65により処理されるラベルピッチLPに係るラベルLの一例を表すものである。図7において、例えば、Lは、i番目のラベルLを示し、Li-N+1は(i-N+1)番目のラベルLを示し、Li-Mは(i-M)番目のラベルLを示し、Li+Kは(i+K)番目のラベルLを示す。これらの番目の数は、画像形成装置1において画像が形成される順番を示す。i番目のラベルLは、検出された最新のラベルLである基準ラベルLAであり、(i+K)番目のラベルLi+Kは、印刷対象ラベルLBである。
【0062】
センサ値取得部61(図5)は、ラベルセンサ36の検出信号が示すセンサ値を取得するように構成される。
【0063】
ラベルピッチ検出部62(図5,6)は、センサ値取得部61が取得したセンサ値に基づいて、各ラベルLのラベルピッチLPを検出するように構成される。そして、ラベルピッチ検出部62は、検出したラベルピッチLPに基づいて、記憶部70に記憶されたラベルピッチ履歴データ71を更新するようになっている。ラベルピッチ履歴データ71は、図7に示したように、検出された最新のラベルL(基準ラベルLA)を含むN個(この例では7個)のラベルLのラベルピッチLPを示すデータである。
【0064】
ラベルピッチ変位検出部63は、ラベルピッチ検出部62が検出したラベルピッチLPに基づいて、このラベルピッチLPの検出値と、印刷データDPに含まれるラベルピッチLPの設定値との差分であるラベルピッチ変位LPDを検出するように構成される。そして、ラベルピッチ変位検出部63は、検出されたラベルピッチ変位LPDに基づいて、記憶部70に記憶された変位履歴データ73を更新するようになっている。変位履歴データ73は、図7に示したように、検出された最新のラベルL(基準ラベルLA)からM個(この例では50個)前のラベルLから、この基準ラベルLAまでの、複数のラベルLの複数のラベルピッチ変位LPDを示すデータである。
【0065】
また、ラベルピッチ変位検出部63は、この変位履歴データ73に基づいて、検出された最新のラベルL(基準ラベルLA)を含むN個(この例では7個)のラベルLのラベルピッチ変位LPDの平均値を算出し、この算出結果を変位平均データ74として記憶部70に記憶させる。また、ラベルピッチ変位検出部63は、変位履歴データ73に基づいて、検出された最新のラベルL(基準ラベルLA)のラベルピッチ変位LPDと、この基準ラベルLAからM個(この例では50個)前のラベルLのラベルピッチ変位LPDとの差分を算出し、この算出結果を変位変動データ75として記憶部70に記憶させるようになっている。
【0066】
ラベルピッチ推定部64は、記憶部70に記憶されたラベルピッチ履歴データ71に基づいて、印刷対象ラベルLBのラベルピッチLPを推定することにより推定ラベルピッチLP0を算出し、この推定ラベルピッチLP0をラベルピッチ推定データ72として記憶部70に記憶させるように構成される。例えば、記録媒体9が平圧方式で製造された場合には、ラベルピッチLPには周期性が生じ得る。ラベルピッチ推定部64は、このようなラベルピッチLPの周期性を解析することにより、印刷対象ラベルLBのラベルピッチLPを推定するようになっている。
【0067】
センサ値取得部67(図5)は、たるみセンサ38の検出信号が示すセンサ値を取得するように構成される。
【0068】
たるみ値検出部68(図5,6)は、センサ値取得部67が取得したセンサ値に基づいて、記録媒体9のたるみ量に応じたたるみ値VRを検出するように構成される。具体的には、たるみ値検出部68は、例えば、ラベルセンサ36があるラベルLの先端を検出してから次のラベルLの先端を検出するまでの期間(ラベル期間P1)における、たるみセンサ38の検出信号に基づいてたるみ値VRを検出する。上述したように、たるみセンサ38は、記録媒体9の位置が搬送路8から所定距離より離れたかどうかに応じた検出信号を出力する。たるみ値検出部68は、例えば、ラベル期間P1における、記録媒体9の位置が搬送路8から所定距離より離れている期間(たるみ期間P2)の時間長に応じて、たるみ値VRを算出する。この例では、たるみ値検出部68は、たるみ期間P2の時間長が長い場合には、たるみ量が多いと判定し、たるみ値VRを低い値にする。また、たるみ値検出部68は、たるみ期間P2の時間長が短い場合には、たるみ量が少ないと判定し、たるみ値VRを高い値にするようになっている。すなわち、たるみ値VRは、たるみ量が少ない場合に高い値になり、たるみ量が多い場合に低い値になる。そして、たるみ値検出部68は、検出したたるみ値VRに基づいて、記憶部70に記憶されたたるみ値履歴データ76を更新するようになっている。たるみ値履歴データ76は、ラベルピッチ履歴データ71と同様に、N個(この例では7個)のたるみ値VRを示すデータである。
【0069】
ラベルピッチ補正部65は、ラベルピッチ推定部64により算出された推定ラベルピッチLP0を補正するように構成される。ラベルピッチ補正部65は、図6に示したように、補正値生成部65Aと、補正処理部65Bとを有する。補正値生成部65Aは、機械学習処理により得られた補正値生成モデルMを用いて、記憶部70に記憶されたラベルピッチ履歴データ71、ラベルピッチ推定データ72、変位平均データ74、変位変動データ75、およびたるみ値履歴データ76に基づいて、ラベルピッチ推定データ72が示す推定ラベルピッチLP0に対する補正値ΔLPを示すデータを生成するように構成される。補正処理部65Bは、推定ラベルピッチLP0を、この補正値ΔLPに基づいて補正することにより推定ラベルピッチLP1を生成するように構成される。具体的には、補正処理部65Bは、図6に示したように、推定ラベルピッチLP0と補正値ΔLPとを加算することにより、推定ラベルピッチLP1を生成するようになっている。
【0070】
このようにして、画像形成装置1では、ラベルピッチ推定部64が印刷対象ラベルLBのラベルピッチLPを推定することにより推定ラベルピッチLP0を生成し、ラベルピッチ補正部65が、この推定ラベルピッチLP0を補正することにより、推定ラベルピッチLP1を生成するようになっている。
【0071】
書出タイミング算出部66(図5)は、ラベルピッチ補正部65により生成された推定ラベルピッチLP1に基づいて、その印刷対象ラベルLBに対して画像を形成するための、LEDヘッド14(図3)が動作を開始するタイミング(書出タイミング)を算出するように構成される。
【0072】
記憶部70(図5,6)は、例えば揮発性のメモリ、不揮発性のメモリ、ハードディスクドライブなどを用いて構成され、各種プログラムや、各種設定データを記憶するように構成される。記憶部70は、ラベルピッチ履歴データ71と、ラベルピッチ推定データ72と、変位履歴データ73と、変位平均データ74と、変位変動データ75と、たるみ値履歴データ76と、補正値生成モデルMとを記憶する。
【0073】
ラベルピッチ履歴データ71は、検出された最新のラベルL(基準ラベルLA)を含むN個(この例では7個)のラベルLのラベルピッチLPを示すデータである。
【0074】
ラベルピッチ推定データ72は、ラベルピッチ履歴データ71に含まれるN個(この例では7個)のラベルLのラベルピッチLPに基づいてラベルピッチ推定部64により推定された、印刷対象ラベルLBのラベルピッチLP(推定ラベルピッチLP0)を示すデータである。
【0075】
変位履歴データ73は、検出された最新のラベルL(基準ラベルLA)からM個(この例では50個)前のラベルLから、この基準ラベルLAまでの、複数のラベルLの複数のラベルピッチ変位LPDを示すデータである。
【0076】
変位平均データ74は、検出された最新のラベルL(基準ラベルLA)を含むN個(この例では7個)のラベルLのラベルピッチ変位LPDの平均値を示すデータである。
【0077】
変位変動データ75は、検出された最新のラベルL(基準ラベルLA)のラベルピッチ変位LPDと、この基準ラベルLAからM個(この例では50個)前のラベルLのラベルピッチ変位LPDとの差分を示すデータである。
【0078】
たるみ値履歴データ76は、検出されたN個(この例では7個)のラベルLのラベル期間P1のそれぞれにおけるたるみ値VRを示すデータである。
【0079】
補正値生成モデルMは、予め機械学習処理を行うことにより生成された学習モデルであり、画像形成装置1の記憶部70に記憶される。補正値生成モデルMでは、ラベルピッチ履歴データ71、ラベルピッチ推定データ72、変位平均データ74、変位変動データ75、およびたるみ値履歴データ76が入力され、ラベルピッチ推定データ72が示すラベルピッチLPの推定値に対する補正値ΔLPを示すデータが出力されるようになっている。
【0080】
(機械学習装置200)
図8は、補正値生成モデルMを生成する機械学習装置200の一構成例を表すものである。機械学習装置200は、この例では、パーソナルコンピュータである。なお、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、画像形成装置1における処理部60が機械学習処理を行うようにしてもよい。機械学習装置200には、ディスプレイ201と、キーボード202と、マウス203とが接続される。ディスプレイ201は、機械学習装置200から供給された画像信号に基づいて画像を表示するように構成される。キーボード202およびマウス203は、ユーザが情報を入力する際に用いるものである。
【0081】
機械学習装置200は、処理部210と、記憶部220と、メモリ230と、インタフェース240と、ディスプレイインタフェース250と、通信部260とを有している。処理部210、記憶部220、メモリ230、インタフェース240、ディスプレイインタフェース250、および通信部260は、バス290に接続されている。
【0082】
処理部210は、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いて構成される。処理部210は、データセット取得部211と、教師データ生成部212と、学習モデル生成部213とを有している。
【0083】
図8は、データセット取得部211、教師データ生成部212、および学習モデル生成部213の一例を表すものである。
【0084】
データセット取得部211は、機械学習処理に必要なデータのセットであるデータセットDSを取得するように構成される。そして、データセット取得部211は、取得したデータセットDSを記憶部220に記憶させるようになっている。データセットDSは、ラベルピッチ履歴データ221と、ラベルピッチ推定データ222と、変位平均データ224と、変位変動データ225と、たるみ値履歴データ226と、ラベルピッチデータ227とを含んでいる。
【0085】
ラベルピッチ履歴データ221は、ラベルピッチ履歴データ71(図5,6)と同様に、あるラベルL(基準ラベルLA)を含むN個(この例では7個)のラベルLのラベルピッチLPを示すデータである。
【0086】
ラベルピッチ推定データ222は、ラベルピッチ推定データ72(図5,6)と同様に、ラベルピッチ履歴データ221に含まれるN個(この例では7個)のラベルLのラベルピッチLPに基づいてラベルピッチ推定部64により推定された、基準ラベルLAよりもK個(例えば7個)だけ搬送方向F1の上流に配置されたラベルLのラベルピッチLP(推定ラベルピッチLP0)を示すデータである。
【0087】
変位平均データ224は、変位平均データ74(図5,6)と同様に、あるラベルL(基準ラベルLA)を含むN個(この例では7個)のラベルLのラベルピッチ変位LPDの平均値を示すデータである。
【0088】
変位変動データ225は、変位変動データ75(図5,6)と同様には、あるラベルL(基準ラベルLA)のラベルピッチ変位LPDと、この基準ラベルLAからM個(この例では50個)前のラベルLのラベルピッチ変位LPDとの差分を示すデータである。
【0089】
たるみ値履歴データ226は、たるみ値履歴データ76(図5,6)と同様に、あるラベルL(基準ラベルLA)を含むN個(この例では7個)のラベルLのラベル期間P1のそれぞれにおけるたるみ値VRを示すデータである。
【0090】
ラベルピッチデータ227は、基準ラベルLAよりもK個(例えば7個)だけ搬送方向F1の上流に配置されたラベルLのラベルピッチLPを示すデータである。
【0091】
データセット取得部211は、このようなラベルピッチ履歴データ221、ラベルピッチ推定データ222、変位平均データ224、変位変動データ225、たるみ値履歴データ226、およびラベルピッチデータ227を含むデータセットDSを、例えば画像形成装置1から取得することができる。すなわち、画像形成装置1は、例えば、記録媒体9に対して画像を形成せずに、記録媒体9を搬送させつつラベルLを順次検出することにより、複数のデータセットDSを得ることができる。言い換えれば、画像形成装置1は、ラベルLを順次検出する度に、検出された最新のラベルLを基準ラベルLAとして設定し、その基準ラベルLAに対応するデータセットDSを得ることができる。データセット取得部211は、このようにして画像形成装置1により得られた複数のデータセットDSを取得する。そして、データセット取得部211は、取得した複数のデータセットDSを記憶部220に記憶させるようになっている。
【0092】
教師データ生成部212は、記憶部220に記憶されたデータセットDSに含まれる、ラベルピッチデータ227が示すラベルピッチLPと、ラベルピッチ推定データ222が示す推定ラベルピッチLP0との差分に基づいて、補正値ΔLPを教師データDTとして生成するように構成される。具体的には、教師データ生成部212は、ラベルピッチデータ227が示すラベルピッチLPから、ラベルピッチ推定データ222が示す推定ラベルピッチLP0を減算することにより、補正値ΔLPを生成するようになっている。
【0093】
学習モデル生成部213は、記憶部220に記憶されたラベルピッチ履歴データ221、ラベルピッチ推定データ222、変位平均データ224、変位変動データ225、たるみ値履歴データ226、および教師データ生成部212により生成された教師データDT(補正値ΔLP)に基づいて、機械学習処理を行うことにより、補正値生成モデルMを生成するように構成される。学習モデル生成部213は、この例では、ニューラルネットワークモデルを用いた、いわゆる教師あり学習を行うことにより、補正値生成モデルMを生成する。そして、学習モデル生成部213は、生成した補正値生成モデルMを記憶部220に記憶させるようになっている。
【0094】
図10は、学習モデル生成部213において行われる教師あり学習のためのニューラルネットワークモデルの一例を表すものである。ニューラルネットワークモデルにおけるニューラルネットワークNNは、入力層LXにおけるk個のニューロンx(ニューロンx~x)と、第1中間層LY1おけるm個のニューロンy1(ニューロンy1~y1)と、第2中間層LY2におけるn個のニューロンy2(ニューロンy2~y2)と、出力層LZにおける1個のニューロンz(ニューロンz)とを有している。この例では、2つの中間層を設けたが、これに限定されるものではなく、3つ以上の中間層を設けてもよいし、1つの中間層を設けてもよい。
【0095】
入力層LXと第1中間層LY1との間、第1中間層LY1と第2中間層LY2との間、第2中間層LY2と出力層LZとの間には、ニューロンを接続するノードが設けられており、それぞれのノードには、重みwj(jは自然数)が対応づけられている。
【0096】
以下に、記憶部220に記憶されたラベルピッチ履歴データ221、ラベルピッチ推定データ222、変位平均データ224、変位変動データ225、たるみ値履歴データ226、および教師データ生成部212により供給された補正値ΔLPに基づいて、機械学習処理を実行することにより補正値生成モデルMを生成する処理を説明する。
【0097】
学習モデル生成部213は、記憶部220に記憶されたラベルピッチ履歴データ221、ラベルピッチ推定データ222、変位平均データ224、変位変動データ225、たるみ値履歴データ226と、教師データ生成部212により供給された補正値ΔLPとの相関関係を学習する。具体的には、学習モデル生成部213は、ラベルピッチ履歴データ221、ラベルピッチ推定データ222、変位平均データ224、変位変動データ225、およびたるみ値履歴データ226を入力層LXの複数のニューロンxに対応づけることにより、出力層LZのニューロンzの値を算出する。まず、学習モデル生成部213は、入力層LXのk個のニューロンxの値に基づいて、第1中間層LY1のm個のニューロンy1の値を算出する。具体的には、学習モデル生成部213は、第1中間層LY1の各ニューロンy1の値を、このニューロンy1に接続された、入力層LXのk個のニューロンxの値に基づいて、各ノードに対応づけられた重みWiを用いて重みづけ加算を行うことにより算出する。同様に、学習モデル生成部213は、第1中間層LY1のm個のニューロンy1の値に基づいて、第2中間層LY2のn個のニューロンy2の値を算出し、第2中間層LY2のn個のニューロンy2の値に基づいて、出力層LZのニューロンzの値を算出する。
【0098】
そして、学習モデル生成部213は、算出された出力層LZのニューロンzの値と、教師データDTに含まれるデータtの値とを比較して誤差を求める。ここで、ニューロンzの値は、ラベルピッチ履歴データ221、ラベルピッチ推定データ222、変位平均データ224、変位変動データ225、およびたるみ値履歴データ226に基づいて算出された補正値ΔLPであり、データtの値は、教師データDTにおける補正値ΔLPである。そして、学習モデル生成部213は、求められた誤差が小さくなるように、各ノードに対応づけられた重みwiを調整する(バックプロバケーション)ことを反復する。
【0099】
そして、上述した一連の工程を所定回数反復して実施し、あるいは上述した誤差が許容値より小さくなること等の所定の条件が満たされるまで反復して実施した場合には、学習モデル生成部213は、学習を終了して、そのニューラルネットワークモデルを補正値生成モデルMとして記憶部220に記憶させる。このようにして、学習モデル生成部213は、ニューラルネットワークモデルのノードのそれぞれに対応づけられた全ての重みwjについての情報を含む補正値生成モデルMを生成するようになっている。
【0100】
記憶部220(図8,9)は、例えばHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)を用いて構成され、機械学習装置200において使用される様々なデータを記憶するように構成される。記憶部220は、データセットDS、および補正値生成モデルMを記憶している。データセットDSは、ラベルピッチ履歴データ221と、ラベルピッチ推定データ222と、変位平均データ224と、変位変動データ225と、たるみ値履歴データ226と、ラベルピッチデータ227とを含み、データセット取得部211により取得され、記憶部220に記憶される。補正値生成モデルMは、学習モデル生成部213により生成され、記憶部220に記憶される。
【0101】
メモリ230は、処理部210が処理を行う際に一時的にデータを記憶するように構成される。インタフェース240は、機械学習装置200に外部機器を接続するためのインタフェースであり、この例では、キーボード202およびマウス203が接続される。ディスプレイインタフェース250は、機械学習装置200にディスプレイ201を接続するためのインタフェースであり、ディスプレイ201に対して画像信号を供給するように構成される。通信部260は、例えばLAN(Local Area Network)を用いて通信を行うように構成される。
【0102】
ここで、機械学習装置200は、本発明における「機械学習装置」の一具体例に対応する。この機械学習装置200において、記憶部220は、本発明における「記憶部」の一具体例に対応する。二次転写部28は、本発明における「転写部」の一具体例に対応する。定着部40は、本発明における「搬送部」の一具体例に対応する。たるみ値履歴データ226は、本発明における「たるみ値履歴データ」の一具体例に対応する。印刷対象ラベルLBは、本発明における「第1のラベル」の一具体例に対応する。ラベルピッチデータ227は、本発明における「ラベルピッチデータ」の一具体例に対応する。学習モデル生成部213は、本発明における「学習モデル生成部」の一具体例に対応する。補正値生成モデルMは、本発明における「学習モデル」の一具体例に対応する。ラベルピッチ履歴データ221は、本発明における「ラベルピッチ履歴データ」の一具体例に対応する。ラベルピッチ推定データ222は、本発明における「ラベルピッチ推定データ」の一具体例に対応する。推定ラベルピッチLP0は、本発明における「推定ラベルピッチ」の一具体例に対応する。教師データ生成部212は、本発明における「生成部」の一具体例に対応する。変位平均データ224は、本発明における「変位平均データ」の一具体例に対応する。変位変動データ225は、本発明における「変位変動データ」の一具体例に対応する。
【0103】
画像形成装置1は、本発明における「画像形成装置」の一具体例に対応する。この画像形成装置1において、二次転写部28は、本発明における「転写部」の一具体例に対応する。定着部40は、本発明における「搬送部」の一具体例に対応する。たるみセンサ38は、本発明における「たるみセンサ」の一具体例に対応する。記憶部70は、本発明における「記憶部」の一具体例に対応する。たるみ値履歴データ76は、本発明における「たるみ値履歴データ」の一具体例に対応する。ラベルピッチ推定部64およびラベルピッチ補正部65は、本発明における「演算部」の一具体例に対応する。書出タイミング算出部66は、本発明における「調節部」の一具体例に対応する。ラベルセンサ36は、本発明における「ラベルセンサ」の一具体例に対応する。ラベルピッチ履歴データ71は、本発明における「ラベルピッチ履歴データ」の一具体例に対応する。ラベルピッチ推定部64は、本発明における「ラベルピッチ推定部」の一具体例に対応する。ラベルピッチ推定データ72は、本発明における「ラベルピッチ推定データ」の一具体例に対応する。ラベルピッチ補正部65は、本発明における「ラベルピッチ補正部」の一具体例に対応する。変位平均データ74は、本発明における「変位平均データ」の一具体例に対応する。変位変動データ75は、本発明における「変位変動データ」の一具体例に対応する。
【0104】
[動作および作用]
続いて、本実施の形態の画像形成装置1および機械学習装置200の動作および作用について説明する。
【0105】
(全体動作概要)
図1,3,5を参照して、画像形成装置1の全体動作概要を説明する。画像形成装置1(図1)では、媒体供給ローラ31は、記録媒体9が巻かれたロールから記録媒体9を引き出して、搬送路8に沿って記録媒体9を搬送する。搬送ローラ34,35は、記録媒体9を搬送路8に沿って搬送する。ラベルセンサ36は、搬送ローラ35から供給された記録媒体9のラベルLを検出する。
【0106】
処理部60のセンサ値取得部61は、ラベルセンサ36の検出信号が示すセンサ値を取得する。ラベルピッチ検出部62は、センサ値取得部61が取得したセンサ値に基づいて、各ラベルLのラベルピッチLPを検出する。そして、ラベルピッチ検出部62は、検出したラベルピッチLPに基づいて、記憶部70に記憶されたラベルピッチ履歴データ71を更新する。ラベルピッチ変位検出部63は、ラベルピッチ検出部62が検出したラベルピッチLPに基づいて、このラベルピッチLPの検出値と、印刷データDPに含まれるラベルピッチLPの設定値との差分であるラベルピッチ変位LPDを検出する。そして、ラベルピッチ変位検出部63は、検出されたラベルピッチ変位LPDに基づいて、記憶部70に記憶された変位履歴データ73を更新する。また、ラベルピッチ変位検出部63は、この変位履歴データ73に基づいて、検出された最新のラベルL(基準ラベルLA)を含むN個(この例では7個)のラベルLのラベルピッチ変位LPDの平均値を算出し、この算出結果を変位平均データ74として記憶部70に記憶させる。また、ラベルピッチ変位検出部63は、変位履歴データ73に基づいて、検出された最新のラベルL(基準ラベルLA)のラベルピッチ変位LPDと、この基準ラベルLAからM個(この例では50個)前のラベルLのラベルピッチ変位LPDとの差分を算出し、この算出結果を変位変動データ75として記憶部70に記憶させる。ラベルピッチ推定部64は、記憶部70に記憶されたラベルピッチ履歴データ71に基づいて、印刷対象ラベルLBのラベルピッチLPを推定することにより推定ラベルピッチLP0を算出し、この推定ラベルピッチLP0をラベルピッチ推定データ72として記憶部70に記憶させる。
【0107】
センサ値取得部67は、たるみセンサ38の検出信号が示すセンサ値を取得する。たるみ値検出部68は、センサ値取得部67が取得したセンサ値に基づいて、記録媒体9のたるみ量に応じたたるみ値VRを検出する。そして、たるみ値検出部68は、検出したたるみ値VRに基づいて、記憶部70に記憶されたたるみ値履歴データ76を更新する。
【0108】
ラベルピッチ補正部65は、ラベルピッチ推定部64により算出された推定ラベルピッチLP0を補正する。ラベルピッチ補正部65の補正値生成部65Aは、機械学習処理により得られた補正値生成モデルMを用いて、記憶部70に記憶されたラベルピッチ履歴データ71、ラベルピッチ推定データ72、変位平均データ74、変位変動データ75、およびたるみ値履歴データ76に基づいて、ラベルピッチ推定データ72が示す推定ラベルピッチLP0に対する補正値ΔLPを生成する。ラベルピッチ補正部65の補正処理部65Bは、推定ラベルピッチLP0を、この補正値ΔLPに基づいて補正することにより推定ラベルピッチLP1を生成する。書出タイミング算出部66は、ラベルピッチ補正部65により生成された推定ラベルピッチLP1に基づいて、その印刷対象ラベルLBに対して画像を形成するための、LEDヘッド14が動作を開始するタイミング(書出タイミング)を算出する。
【0109】
画像形成制御部53は、書出タイミング算出部66が算出した書出タイミングに応じたタイミングで、4つの画像形成ユニット10のLEDヘッド14の動作をそれぞれ開始させる。これにより、4つの画像形成ユニット10がトナー像を形成する。そして、4つの一次転写ローラ21は、対応する画像形成ユニット10の感光体11のトナー像を中間転写ベルト22の被転写面上にそれぞれ転写(一次転写)する。中間転写ベルト22のトナー像は、中間転写ベルト22が循環搬送されることにより二次転写部28に到達する。二次転写部28は、中間転写ベルト22の被転写面上のトナー像を、記録媒体9の被転写面(ラベル面9C)上に転写(二次転写)する。定着部40は、トナー像を記録媒体9上に定着させる。そして、定着部40によりトナー像が定着された記録媒体9は、画像形成装置1から排出され、リワインダ90により巻き取られる。
【0110】
次に、図8,9を参照して、機械学習装置200の全体動作概要を説明する。データセット取得部211は、機械学習処理に必要なデータのセットであるデータセットDS(ラベルピッチ履歴データ221、ラベルピッチ推定データ222、変位平均データ224、変位変動データ225、たるみ値履歴データ226、およびラベルピッチデータ227)を取得する。教師データ生成部212は、データセットDSに含まれる、ラベルピッチデータ227が示すラベルピッチLPと、ラベルピッチ推定データ222が示す推定ラベルピッチLP0との差分に基づいて、補正値ΔLPを教師データDTとして生成する。学習モデル生成部213は、記憶部220に記憶されたラベルピッチ履歴データ221、ラベルピッチ推定データ222、変位平均データ224、変位変動データ225、たるみ値履歴データ226、および教師データ生成部212により生成された教師データDT(補正値ΔLP)に基づいて、機械学習処理を行うことにより、補正値生成モデルMを生成する。
【0111】
(画像形成装置1の詳細動作)
画像形成装置1は、検出されたラベルLのラベルピッチLP、および検出された記録媒体9のたるみ量に応じたたるみ値VRに基づいて、検出された最新のラベルL(基準ラベルLA)よりもK個(例えば7個)だけ搬送方向F1の上流に配置されたラベルL(印刷対象ラベルLB)の位置を推定し、その印刷対象ラベルLBの位置に合わせて画像を形成する。以下に、画像形成装置1の詳細動作について説明する。
【0112】
図11は、画像形成装置1の一動作例を表すものである。処理部60は、センサ値取得部61がラベルセンサ36の検出信号が示すセンサ値を取得し、センサ値取得部67がたるみセンサ38の検出信号が示すセンサ値を取得する度に、以下の処理を行う。
【0113】
まず、ラベルピッチ検出部62がラベルピッチLPを検出し、たるみ値検出部68がたるみ値VRを検出したかどうかを確認する(ステップS101)。ラベルピッチ検出部62およびたるみ値検出部68がラベルピッチLPおよびたるみ値VRを検出していない場合(ステップS101において“N”)には、ラベルピッチLPおよびたるみ値VRを検出するまでこのステップS101を繰り返す。
【0114】
ステップS101において、ラベルピッチ検出部62がラベルピッチLPを検出し、たるみ値検出部68がたるみ値VRを検出した場合(ステップS101において“Y”)には、ラベルピッチ検出部62は、検出されたラベルピッチLPに基づいて、記憶部70に記憶されたラベルピッチ履歴データ71を更新する(ステップS102)。
【0115】
次に、ラベルピッチ変位検出部63は、検出されたラベルピッチLPに基づいて、このラベルピッチLPの検出値と、印刷データDPに含まれるラベルピッチLPの設定値との差分であるラベルピッチ変位LPDを検出する(ステップS103)。
【0116】
次に、ラベルピッチ変位検出部63は、検出されたラベルピッチ変位LPDに基づいて、記憶部70に記憶された変位履歴データ73を更新する(ステップS104)。
【0117】
次に、ラベルピッチ変位検出部63は、変位履歴データ73に基づいて、検出された最新のラベルL(基準ラベルLA)を含むN個(この例では7個)のラベルLのラベルピッチ変位LPDの平均値を算出することにより、変位平均データ74を生成する(ステップS105)。そして、ラベルピッチ変位検出部63は、生成した変位平均データ74を記憶部70に記憶させる。
【0118】
次に、ラベルピッチ変位検出部63は、変位履歴データ73に基づいて、検出された最新のラベルL(基準ラベルLA)のラベルピッチ変位LPDと、この基準ラベルLAからM個(この例では50個)前のラベルLのラベルピッチ変位LPDとの差分を算出することにより、変位変動データ75を生成する(ステップS106)。そして、ラベルピッチ変位検出部63は、生成した変位変動データ75を記憶部70に記憶させる。
【0119】
次に、ラベルピッチ推定部64は、ラベルピッチ履歴データ71に基づいて、印刷対象ラベルLBのラベルピッチLP(推定ラベルピッチLP0)を推定することにより、ラベルピッチ推定データ72を生成する(ステップS107)。そして、ラベルピッチ推定部64は、生成したラベルピッチ推定データ72を記憶部70に記憶させる。
【0120】
次に、たるみ値検出部68は、検出されたたるみ値VRに基づいて、記憶部70に記憶されたたるみ値履歴データ76を更新する(ステップS108)。
【0121】
次に、ラベルピッチ補正部65の補正値生成部65Aは、記憶部70に記憶された補正値生成モデルMを用いて、記憶部70に記憶されたラベルピッチ履歴データ71、ラベルピッチ推定データ72、変位平均データ74、変位変動データ75、およびたるみ値履歴データ76に基づいて、ラベルピッチ推定データ72が示す推定ラベルピッチLP0に対する補正値ΔLPを生成する(ステップS109)。
【0122】
次に、ラベルピッチ補正部65の補正処理部65Bは、推定ラベルピッチLP0を、補正値ΔLPに基づいて補正することにより推定ラベルピッチLP1を生成する(ステップS110)。
【0123】
そして、書出タイミング算出部66は、推定ラベルピッチLP1に基づいて、印刷対象ラベルLBに対して画像を形成するための書出タイミングを算出する(ステップS111)。
【0124】
以上で、このフローは終了する。
【0125】
このように、画像形成装置1では、二次転写部28および定着部40の間における記録媒体9のたるみ量に応じたたるみ値履歴データ76を含む第1のデータが入力され、記録媒体9におけるたるみ値履歴データ76が得られた位置よりも搬送方向F1の上流に設けられたラベルL(印刷対象ラベルLB)におけるラベルピッチLPに関連する補正値ΔLPを示す第2のデータが出力される補正値生成モデルMを設けるようにした。そして、ラベルピッチ補正部65は、この補正値生成モデルMを用いて、たるみセンサ38の検出結果に応じたたるみ値履歴データ76を含む第1のデータに基づいて、補正値ΔLPを示す第2のデータを生成するようにした。これにより、画像形成装置1では、この補正値ΔLPに基づいて推定ラベルピッチLP1を生成することができるので、印刷対象ラベルLBにおける適切な位置に、画像を形成することができる。
【0126】
すなわち、画像形成装置1は、二次転写部28および定着部40の間に記録媒体9のたるみが生じるように、定着部40における記録媒体9の搬送速度を制御する。例えば、二次転写部28および定着部40の間の記録媒体9のたるみ量が少ない(たるみ値VRが大きい)場合には、画像形成装置1は、定着部40における記録媒体9の搬送速度を遅くすることにより、たるみ量を増やそうとする。また、二次転写部28および定着部40の間の記録媒体9のたるみ量が多い(たるみ値VRが小さい)場合には、画像形成装置1は、定着部40における記録媒体9の搬送速度を速くすることにより、たるみ量を減らそうとする。印刷対象ラベルLBにおける画像形成位置は、以下に説明するように、二次転写部28および定着部40の間のたるみ量に応じて変化し得る。
【0127】
図12は、印刷対象ラベルLBにおける画像形成位置と、二次転写部28および定着部40の間のたるみ量に応じたたるみ値VRとの相関関係を表すものである。横軸はたるみ値VRを示し、縦軸は、印刷対象ラベルLBにおける画像形成位置のずれ量を示す。このずれ量は、値が大きいほど、画像形成位置が印刷対象ラベルLBの先端に近いことを示し、値が小さいほど、画像形成位置が印刷対象ラベルLBの先端から離れていることを示す。
【0128】
図12に示したように、印刷対象ラベルLBにおける画像形成位置は、たるみ値VRが大きい場合には、印刷対象ラベルLBの先端から離れ、たるみ値VRが小さい場合には、印刷対象ラベルLBの先端に近づくたるみ値VRが大きいほど低い値になる。
【0129】
例えば、二次転写部28および定着部40の間の記録媒体9のたるみ量が少ない(たるみ値VRが大きい)場合には、定着部40は、二次転写部28から記録媒体9を引っ張りやすくなる。定着部40が、二次転写部28から記録媒体9を引っ張ると、二次転写部28では、印刷対象ラベルLが進むので、画像形成位置が印刷対象ラベルLBの先端から離れる。一方、二次転写部28および定着部40の間の記録媒体9のたるみ量が多い(たるみ値VRが小さい)場合には、定着部40は、二次転写部28から記録媒体9を引っ張りにくくなる。よって、二次転写部28では、たるみ量が少ない場合に比べて、印刷対象ラベルLが遅れるので、画像形成位置が印刷対象ラベルLBの先端に近づく。
【0130】
このように、画像形成位置およびたるみ値VRに相関関係があることに着目し、画像形成装置1では、記録媒体9のたるみ量に応じたたるみ値履歴データ76を含む第1のデータが入力され、印刷対象ラベルLBにおけるラベルピッチLPに関連する補正値ΔLPを示す第2のデータが出力される補正値生成モデルMを設けるようにした。これにより、画像形成装置1では、たるみ値履歴データ76に応じて、画像形成位置が調節されるので、印刷対象ラベルLBにおける適切な位置に、画像を形成することができる。
【0131】
また、画像形成装置1では、補正値生成モデルMに入力される第1のデータが、N個(この例では7個)のラベルLにおける複数のラベルピッチLPを示すラベルピッチ履歴データ71を含むようにした。これにより、画像形成装置1では、印刷対象ラベルLBにおける適切な位置に、画像を形成することができる。
【0132】
すなわち、記録媒体9における複数のラベルLに画像を形成する際、記録媒体9の製造方法に起因するラベルピッチLPのばらつきや、画像形成装置1における記録媒体9の搬送速度の揺らぎにより、適切な位置に画像を形成することは難しい。特に、この2つの要因は不可分であり、いわゆるルールベースの方法により、印刷対象ラベルLBの位置を推定することは難しい。画像形成装置1では、複数のラベルピッチLPを示すラベルピッチ履歴データ71を補正値生成モデルMに入力するようにしたので、1つのラベルピッチLPだけでなく、複数のラベルピッチLPの傾向を考慮して、印刷対象ラベルLBの位置を推定することができる。その結果、画像形成装置1では、記録媒体9の製造方法に起因するラベルピッチLPのばらつきや、画像形成装置1における記録媒体9の搬送速度の揺らぎがある場合でも、精度よく印刷対象ラベルLBの位置を推定することができる。
【0133】
また、画像形成装置1では、補正値生成モデルMに入力される第1のデータが、ラベルピッチ推定データ72を含むようにした。また、画像形成装置1では、補正値生成モデルMに入力される第1のデータが、N個(この例では7個)のラベルLにおける複数のラベルピッチLPのそれぞれと、印刷データDPに含まれるラベルピッチLPの設定値との差分であるラベルピッチ変位LPDの平均値を示す変位平均データ74を含むようにした。また、画像形成装置1では、補正値生成モデルMに入力される第1のデータが、N個(この例では7個)のラベルLのうちの例えば基準ラベルLAのラベルピッチLPと、ラベルピッチLPの設定値との差分であるラベルピッチ変位LPDと、例えば基準ラベルLAのM個(この例では50個)前のラベルLにおけるラベルピッチLPとラベルピッチLPの設定値との差分であるラベルピッチ変位LPDとの差分を示す変位変動データ75を含むようにした。これにより、画像形成装置1では、印刷対象ラベルLBの位置の推定精度を高めることができるので、印刷対象ラベルLBにおける適切な位置に、画像を形成することができる。
【0134】
すなわち、記録媒体9における複数のラベルLに画像を形成する際、記録媒体9の製造方法に起因するラベルピッチLPのばらつきや、画像形成装置1における記録媒体9の搬送速度の揺らぎにより、適切な位置に画像を形成することは難しい。特に、搬送速度の揺らぎは、印刷処理ごとに異なり、いわゆるルールベースの方法により、印刷対象ラベルLBの位置を推定することは難しい。また、搬送速度の揺らぎは、比較的長い時間にわたる揺らぎであるので、例えば2、3個のラベルピッチLPに基づいて印刷対象ラベルLBの位置を推定することは難しい。画像形成装置1では、補正値生成モデルMに上述したような様々なデータが入力されるようにしたので、印刷対象ラベルLBの位置の推定精度を高めることができるので、印刷対象ラベルLBにおける適切な位置に、画像を形成することができる。
【0135】
(機械学習装置200の詳細動作)
図13は、機械学習装置200の一動作例を表すものである。
【0136】
まず、処理部210は、機械学習処理において使用される補正値生成モデルMの初期モデル(補正値生成モデルM0)を準備する(ステップS201)。この補正値生成モデルM0におけるニューラルネットワークNNでは、重みWjが所定の初期値に設定されている。
【0137】
次に、データセット取得部211は、ラベルピッチ履歴データ221、ラベルピッチ推定データ222、変位平均データ224、変位変動データ225、たるみ値履歴データ226、およびラベルピッチデータ227を含むデータセットDSを取得する(ステップS202)。そして、データセット取得部211は、取得したデータセットDSを記憶部220に記憶させる。
【0138】
次に、教師データ生成部212は、データセットDSに含まれる、ラベルピッチデータ227が示すラベルピッチLPと、ラベルピッチ推定データ222が示す推定ラベルピッチLP0との差分に基づいて、補正値ΔLPを教師データDTとして生成する(ステップS203)。
【0139】
次に、学習モデル生成部213は、データセットDSに含まれるラベルピッチ履歴データ221、ラベルピッチ推定データ222、変位平均データ224、変位変動データ225、およびたるみ値履歴データ226を、補正値生成モデルM0の入力層LXに入力する(ステップS204)。これにより、補正値生成モデルM0の出力層LZから、補正値ΔLPを示すデータが出力される。
【0140】
そして、学習モデル生成部213は、補正値生成モデルM0の出力層LZから出力されたデータと、ステップS203において生成した補正値ΔLP(教師データDT)とに基づいて、機械学習処理を行う(ステップS205)。具体的には、学習モデル生成部213は、出力層LZから出力されたデータと、教師データDTに含まれる補正値ΔLPとを比較し、両者の誤差を検出し、この誤差が小さくなるようなデータが出力層LZから出力されるよう、補正値生成モデルM0における重みWjを調整する。
【0141】
次に、学習モデル生成部213は、機械学習処理が終了したかどうかを確認する(ステップS206)。具体的には、学習モデル生成部213は、さらに機械学習処理を行う必要がないと判断する場合に、機械学習が終了したと判断する。機械学習処理が終了していない場合(ステップS206において“N”)には、ステップS202の処理に戻り、機械学習処理が終了するまで、ステップS202~S206の処理を繰り返す。このように繰り返すことにより、補正値生成モデルM0の精度は向上していく。
【0142】
そして、ステップS206において、機械学習処理が終了した場合(ステップS206において“Y”)には、学習モデル生成部213は、この機械学習処理において使用した補正値生成モデルM0を、学習済みの補正値生成モデルMとして、記憶部220に記憶させる。
【0143】
以上で、このフローは終了する。
【0144】
このように、機械学習装置では、機械学習処理を行うことにより、二次転写部28および定着部40の間における記録媒体9のたるみ量に応じたたるみ値履歴データ226を含む第1のデータが入力され、記録媒体9におけるたるみ値履歴データ226が得られた位置よりも搬送方向F1の上流に設けられたラベルL(印刷対象ラベルLB)におけるラベルピッチLPに関連する補正値ΔLPを示す第2のデータが出力される補正値生成モデルMを生成するようにした。これにより、画像形成装置1では、この補正値生成モデルMを用いて、精度よく印刷対象ラベルLBの位置を推定することができるので、印刷対象ラベルLBにおける適切な位置に、画像を形成することができる。
【0145】
[効果]
以上のように本実施の形態では、二次転写部および定着部の間における記録媒体のたるみ量に応じたたるみ値履歴データを含む第1のデータが入力され、記録媒体におけるたるみ値履歴データが得られた位置より搬送方向の上流に設けられたラベル(印刷対象ラベル)におけるラベルピッチに関連する補正値を示す第2のデータが出力される補正値生成モデルを設けるようにした。そして、ラベルピッチ補正部は、この補正値生成モデルを用いて、たるみセンサの検出結果に応じたたるみ値履歴データを含む第1のデータに基づいて、補正値を示す第2のデータを生成するようにした。これにより、画像を適切な位置に形成することができる。
【0146】
本実施の形態では、機械学習処理を行うことにより、二次転写部および定着部の間における記録媒体のたるみ量に応じたたるみ値履歴データを含む第1のデータが入力され、記録媒体におけるたるみ値履歴データが得られた位置より搬送方向の上流に設けられたラベル(印刷対象ラベル)におけるラベルピッチに関連する補正値を示す第2のデータが出力される補正値生成モデルを生成するようにした。これにより、画像を適切な位置に形成することができる。
【0147】
[変形例1]
上記実施の形態では、画像形成装置1(図6)において、ラベルピッチ推定部64が推定ラベルピッチLP0を生成し、ラベルピッチ補正部65が、学習モデル(補正値生成モデルM)を用いて推定ラベルピッチLP0に対する補正値ΔLPを生成し、この補正値ΔLPに基づいて推定ラベルピッチLP0を補正することにより推定ラベルピッチLP1を生成したが、これに限定されるものではない。これに代えて、例えば、ラベルピッチ補正部が、学習モデルを用いて推定ラベルピッチLP1を生成してもよい。以下に、本変形例に係る画像形成装置1Aおよび機械学習装置200Aについて詳細に説明する。
【0148】
図14は、画像形成装置1Aにおける制御系の一例を表すものである。画像形成装置1Aは、処理部60Aと、記憶部70Aとを備えている。処理部60Aは、ラベルピッチ補正部85Aを有している。図15は、ラベルピッチ検出部62、ラベルピッチ変位検出部63、ラベルピッチ推定部64、およびラベルピッチ補正部85Aの一例を表すものである。
【0149】
ラベルピッチ補正部85Aは、ラベルピッチ推定部64により算出された推定ラベルピッチLP0を補正するように構成される。具体的には、ラベルピッチ補正部85Aは、機械学習処理により得られたラベルピッチ生成モデルMAを用いて、記憶部70Aに記憶されたラベルピッチ履歴データ71、ラベルピッチ推定データ72、変位平均データ74、変位変動データ75、およびたるみ値履歴データ76に基づいて、ラベルピッチ推定データ72が示す推定ラベルピッチLP0を補正することにより、推定ラベルピッチLP1を生成するようになっている。
【0150】
記憶部70Aは、ラベルピッチ生成モデルMAを記憶する。ラベルピッチ生成モデルMAでは、ラベルピッチ履歴データ71、ラベルピッチ推定データ72、変位平均データ74、変位変動データ75、およびたるみ値履歴データ76が入力され、推定ラベルピッチLP1を示すデータが出力されるようになっている。
【0151】
図16は、ラベルピッチ生成モデルMAを生成する機械学習装置200Aの一構成例を表すものである。機械学習装置200Aは、処理部210Aと、記憶部220Aとを有している。処理部210Aは、データセット取得部211と、学習モデル生成部213Aとを有している。図17は、データセット取得部211および学習モデル生成部213Aの一例を表すものである。
【0152】
学習モデル生成部213Aは、記憶部220Aに記憶されたラベルピッチ履歴データ221、ラベルピッチ推定データ222、変位平均データ224、変位変動データ225、たるみ値履歴データ226、およびラベルピッチデータ227に基づいて、機械学習処理を行うことにより、ラベルピッチ生成モデルMAを生成するように構成される。学習モデル生成部213Aは、この例では、ニューラルネットワークモデルを用いた、いわゆる教師あり学習を行うことにより、ラベルピッチ生成モデルMAを生成する。そして、学習モデル生成部213Aは、生成したラベルピッチ生成モデルMAを記憶部220Aに記憶させるようになっている。
【0153】
記憶部220Aは、データセットDS、およびラベルピッチ生成モデルMAを記憶している。ラベルピッチ生成モデルMAは、学習モデル生成部213Aにより生成され、記憶部220Aに記憶される。
【0154】
ここで、機械学習装置200Aは、本発明における「機械学習装置」の一具体例に対応する。この機械学習装置200Aにおいて、記憶部220Aは、本発明における「記憶部」の一具体例に対応する。学習モデル生成部213Aは、本発明における「学習モデル生成部」の一具体例に対応する。ラベルピッチ生成モデルMAは、本発明における「学習モデル」の一具体例に対応する。画像形成装置1Aは、本発明における「画像形成装置」の一具体例に対応する。この画像形成装置1Aにおいて、記憶部70Aは、本発明における「記憶部」の一具体例に対応する。ラベルピッチ推定部64およびラベルピッチ補正部85Aは、本発明における「演算部」の一具体例に対応する。ラベルピッチ補正部85Aは、本発明における「ラベルピッチ補正部」の一具体例に対応する。
【0155】
以上、実施の形態および変形例を挙げて本技術を説明したが、本技術はこれらの実施の形態等には限定されず、種々の変形が可能である。
【0156】
例えば、上記の実施の形態等では、画像形成ユニット10が形成したトナー像を、中間転写ベルト22に一旦転写し、中間転写ベルト22に転写されたトナー像を記録媒体9に転写したが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、画像形成ユニット10が形成したトナー像を、記録媒体9に直接転写してもよい。
【0157】
また、上記の実施の形態等では、記録媒体9にカラー画像を形成したが、これに限定されるものではなく、モノクロ画像を形成してもよい。
【符号の説明】
【0158】
1,1A…画像形成装置、8…搬送路、9…記録媒体、9B…台紙、9C…ラベル面、10,10Y,10M,10C,10K…画像形成ユニット、11…感光体、12…クリーニングブレード、13…帯電ローラ、14…LEDヘッド、15…現像ローラ、16…現像ブレード、17…供給ローラ、18…トナー収容部、21…一次転写ローラ、22…中間転写ベルト、23…駆動ローラ、24…アイドルローラ、25…テンションローラ、26…バックアップローラ、27…二次転写ローラ、28…二次転写部、31…媒体供給ローラ、32…ラベルセンサ、33…カッター、34,35…搬送ローラ、36…ラベルセンサ、38…たるみセンサ、39…媒体ガイド、40…定着部、41A…ローラ、41B…駆動ローラ、41C…ローラ、42…定着ベルト、43A,43B…ヒータ、44…熱反射板、45…温度センサ、46A…ローラ、46B…駆動ローラ、46C…ローラ、47…定着ベルト、48…ヒータ、49…熱反射板、51…通信部、52…表示操作部、53…画像形成制御部、60,60A…処理部、61…センサ値取得部、62…ラベルピッチ検出部、63…ラベルピッチ変位検出部、64…ラベルピッチ推定部、65,85A…ラベルピッチ補正部、66…書出タイミング算出部、67…センサ値取得部、68…たるみ値検出部、70,70A…記憶部、71…ラベルピッチ履歴データ、72…ラベルピッチ推定データ、73…変位履歴データ、74…変位平均データ、75…変位変動データ、76…たるみ値履歴データ、90…リワインダ、DP…印刷データ、200,200A…機械学習装置、201…ディスプレイ、202…キーボード、203…マウス、210,210A…処理部、211…データセット取得部、212…教師データ生成部、213,213A…学習モデル生成部、220,220A…記憶部、221…ラベルピッチ履歴データ、222…ラベルピッチ推定データ、223…変位平均データ、225…変位変動データ、226…たるみ値履歴データ、227…ラベルピッチデータ、230…メモリ、240…インタフェース、250…ディスプレイインタフェース、260…通信部、DS…データセット、DT…教師データ、F1,F2…搬送方向、L…ラベル、LA…基準ラベル、LB…印刷対象ラベル、LL…ラベル長、LP…ラベルピッチ、LP0,LP1…推定ラベルピッチ、LPD…ラベルピッチ変位、LS…ラベル間隔、LX…入力層、LY1…第1中間層、LY2…第2中間層、LZ…出力層、M,M0…補正値生成モデル、MA…ラベルピッチ生成モデル、NN…ニューラルネットワーク、VR…たるみ値、ΔLP…補正値。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17