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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】排気装置
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/28 20060101AFI20241001BHJP
   F01N 13/08 20100101ALI20241001BHJP
   B62M 7/02 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
F01N3/28 311T
F01N13/08 Z
F01N13/08 G
B62M7/02 J
B62M7/02 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021002010
(22)【出願日】2021-01-08
(65)【公開番号】P2022107210
(43)【公開日】2022-07-21
【審査請求日】2023-11-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100139365
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 武雄
(74)【代理人】
【識別番号】100150304
【弁理士】
【氏名又は名称】溝口 勉
(72)【発明者】
【氏名】村岡 哲郎
【審査官】櫻田 正紀
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/098907(WO,A1)
【文献】特開2017-218903(JP,A)
【文献】特開2020-041520(JP,A)
【文献】特開2007-046463(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02031200(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/28
F01N 13/08
B62M 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの前方の排気管から当該エンジンの後方のマフラに排気ガスを導く排気装置であって、
前記排気管の下流で排気ガスを浄化する一次触媒が収容された一次触媒ケースと、
前記一次触媒の下流で排気ガスを浄化する二次触媒が収容された二次触媒ケースと、
前記二次触媒の下流で排気音を低減する消音室が形成されたチャンバと、を備え、
前記一次触媒ケースが前記エンジンの前方空間に配置され、
前記二次触媒ケースが前記エンジンの下方空間の前側に配置され、
前記チャンバが少なくとも前記エンジンの下方空間の後側を占有可能に配置され
前記二次触媒ケースが前記エンジンの左右方向の一方側から他方側に向かって斜め後方に延びており、前後方向に延びる前記エンジンの中心線に前記二次触媒ケースが交差していることを特徴とする排気装置。
【請求項2】
前記エンジンの下方空間の前側が前記エンジンの下方にてクランクシャフトの中心よりも前側であり、
前記エンジンの下方空間の後側が前記エンジンの下方にて前記クランクシャフトの中心よりも後側であることを特徴とする請求項1に記載の排気装置。
【請求項3】
前記チャンバの上流端がクランクシャフトの中心よりも前側に位置することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の排気装置。
【請求項4】
前記エンジンが車体フレームに組み付けられており、
前記車体フレームのヘッドパイプから上側ダウンチューブが前記エンジンの左右方向の中央を下方に延び、前記上側ダウンチューブの下端から左右に分岐して一対の下側ダウンチューブが下方に延びており、
前面視にて前記一次触媒ケースが一方の下側ダウンチューブに重なり、前記二次触媒ケースが前記一対の下側ダウンチューブの間に位置することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の排気装置。
【請求項5】
前記チャンバの内側には、前記二次触媒ケースの下流端に連なるテーパパイプと、前記テーパパイプの下流端に連なるパンチングパイプと、が設けられ、
前記チャンバの上流端が前記二次触媒ケースの外壁面に接合されて、前記テーパパイプの周囲の空間が前記消音室として使用されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の排気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鞍乗型車両の排気装置として、エンジンの前方に一次触媒ケースが配置され、エンジンの下方に二次触媒ケースが配置されたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。一次触媒ケースにはスタータ触媒が収容され、二次触媒ケースにはメイン触媒が収容されている。一対の排気ポートから上流側の排気管を通じて一次触媒ケースに排気ガスが送られ、一次触媒ケースから下流側の排気管を通じて二次触媒ケースに排気ガスが送られる。一次触媒ケースが排気ポートに近づけられて早期に活性化され、触媒反応によって加熱された排気ガスによって二次触媒ケースが早期に活性される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-041520号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の排気装置では、エンジンの下方が二次触媒ケースに占有されており、マフラよりも上流側に十分な容積の消音室を確保することが難しい。このため、マフラ内の消音室の容積が大きくなってマフラが大型化していた。
【0005】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、エンジンの下方に消音室を確保して、マフラの小型化を図ることができる排気装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の排気装置は、エンジンの前方の排気管から当該エンジンの後方のマフラに排気ガスを導く排気装置であって、前記排気管の下流で排気ガスを浄化する一次触媒が収容された一次触媒ケースと、前記一次触媒の下流で排気ガスを浄化する二次触媒が収容された二次触媒ケースと、前記二次触媒の下流で排気音を低減する消音室が形成されたチャンバと、を備え、前記一次触媒ケースが前記エンジンの前方空間に配置され、前記二次触媒ケースが前記エンジンの下方空間の前側に配置され、前記チャンバが少なくとも前記エンジンの下方空間の後側を占有可能に配置され、前記二次触媒ケースが前記エンジンの左右方向の一方側から他方側に向かって斜め後方に延びており、前後方向に延びる前記エンジンの中心線に前記二次触媒ケースが交差していることで上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様の排気装置によれば、一次触媒ケースがエンジンの前方空間に配置され、二次触媒ケースがエンジンの下方空間の前側に配置される。一次触媒ケース及び二次触媒ケースがエンジンの前方に詰めて配置されるため、二次触媒ケースによってエンジンの下方空間が占有されることがない。エンジンの下方空間の広い範囲にチャンバが配置されて、チャンバの消音室によって排気音が低減される。マフラの上流側に消音室が確保されることでマフラを小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施例の鞍乗型車両の右側面図である。
図2】本実施例のエンジンの正面図である。
図3】本実施例のエンジンの側面図である。
図4】本実施例のエンジンの下面図である。
図5】本実施例の屈曲管の断面図である。
図6】本実施例の二次触媒ケースの断面図である。
図7】本実施例のチャンバの断面図である。
図8】変形例のエンジンの下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一態様の排気装置は、エンジンの前方の排気管から当該エンジンの後方のマフラに排気ガスを導いている。排気管の下流には一次触媒ケースが設けられており、一次触媒ケースには排気管の下流で排気ガスを浄化する一次触媒が収容されている。一次触媒ケースの下流には二次触媒ケースが設けられており、二次触媒ケースには一次触媒の下流で排気ガスを浄化する二次触媒が収容されている。二次触媒ケースの下流にはチャンバが設けられており、チャンバには排気音を低減する消音室が形成されている。一次触媒ケースがエンジンの前方空間に配置され、二次触媒ケースがエンジンの下方空間の前側に配置され、チャンバが少なくともエンジンの下方空間の後側を占有可能に配置されている。一次触媒ケース及び二次触媒ケースがエンジンの前方に詰めて配置されるため、二次触媒ケースによってエンジンの下方空間が占有されることがない。エンジンの下方空間の広い範囲にチャンバが配置されて、チャンバの消音室によって排気音が低減される。マフラの上流側に消音室が確保されることでマフラを小型化することができる。
【実施例
【0010】
以下、添付図面を参照して、本実施例について詳細に説明する。図1は本実施例の鞍乗型車両の右側面図である。また、以下の図では、矢印FRは車両前方、矢印REは車両後方、矢印Lは車両左方、矢印Rは車両右方をそれぞれ示している。
【0011】
図1に示すように、鞍乗型車両1は、クレードル型の車体フレーム10にエンジン30や電装系等の各種部品を搭載して構成されている。車体フレーム10は、ヘッドパイプ11から後方に延びた後に下方に屈曲したメインチューブ12と、ヘッドパイプ11から下方に延びた後に後方に屈曲したダウンチューブ13とを有している。メインチューブ12によってエンジン30の後方側が支持され、ダウンチューブ13によってエンジン30の前方側及び下方側が支持される。メインチューブ12には燃料タンク17が支持されており、燃料タンク17の後方にはライダーシート18及びピリオンシート19が設けられている。
【0012】
ヘッドパイプ11には、ステアリングシャフト(不図示)を介して一対のフロントフォーク21が操舵可能に支持されており、フロントフォーク21の下部には前輪22が回転可能に支持されている。メインチューブ12の後半部分にはスイングアーム(不図示)が揺動可能に支持されており、スイングアームの後端には後輪23が回転可能に支持されている。後輪23には変速機構を介してエンジン30が連結されており、変速機構を介してエンジン30からの動力が後輪23に伝達されている。エンジン30には排気装置50が接続されており、エンジン30からの排気ガスが排気装置50を通じて外部に排出される。
【0013】
ところで、近年の排気ガス規制に対応するために、エンジンの下方に配置した触媒ケースの触媒容量を拡大する手法、エンジンの前方に一次触媒ケースを配置してエンジンの下方に二次触媒ケースを配置する手法等が用いられている。これらの手法では、エンジンの下方が触媒容量の拡大に利用され、車体フレームやエンジンの基本構造に変更を加えなければ、マフラよりも上流に十分な容積の消音室を確保することが難しい。このため、マフラが大型化して、マフラ外観のデザイン性の自由度が低下すると共に、ライダーや他部品に対する熱害の影響が大きくなる。
【0014】
そこで、本実施例の排気装置50では、エンジン30の前方空間及びエンジン30の下方空間の前側が有効的に活用されて、一般的な排気装置よりも触媒ケースがエンジン30の前方に詰めて配置されている。エンジン30の下方空間には、触媒が配置されずに消音機能のみを持ったチャンバ71(図3参照)が配置されて、チャンバ71によってマフラ82の上流に十分な容積の消音室が確保されている。これにより、車体フレーム10やエンジン30の基本構造に対する変更を最小限に抑えつつ、マフラ82内の消音室を小さくして、マフラ82の小型化を実現することができる。
【0015】
以下、図2から図4を参照して、エンジン及び排気装置について説明する。図2は本実施例のエンジンの正面図である。図3は本実施例のエンジンの側面図である。図4は本実施例のエンジンの下面図である。図5は本実施例の屈曲管の断面図である。図5(A)は図3の屈曲管をA-A線に沿って切断した状態を示し、図5(B)は図4の屈曲管をB-B線に沿って切断した状態を示している。
【0016】
図2及び図3に示すように、エンジン30は、並列2気筒エンジンであり、クランクケース31上にシリンダブロック32、シリンダヘッド33、ヘッドカバー34を組み付けて構成されている。クランクケース31にはクランクシャフト35等の駆動部品が収容され、クランクケース31の上部にはシリンダブロック32が取り付けられている。シリンダブロック32には左右方向に並んだ一対のシリンダボア(不図示)が形成され、各シリンダボアにはクランクシャフト35に連結したピストン(不図示)が配置されている。シリンダブロック32の上部にはシリンダヘッド33が取り付けられている。
【0017】
シリンダヘッド33の背面側には一対のシリンダボアに連なる一対の吸気ポート(不図示)が形成され、シリンダヘッド33の前面側には一対のシリンダボアに連なる一対の排気ポート36L、36Rが形成されている。シリンダヘッド33の上部にはヘッドカバー34が取り付けられており、シリンダヘッド33及びヘッドカバー34には動弁装置等が収容されている。クランクケース31の下部には、潤滑及び冷却用のオイルが貯留されるオイルパン37が取り付けられている。クランクケース31の前面下部には、オイルから異物を除去するオイルフィルタ38が取り付けられている。
【0018】
また、エンジン30は、車体フレーム10の内側に組み付けられている。車体フレーム10のダウンチューブ13は、ヘッドパイプ11(図1参照)からエンジン30の左右方向中央を下方に延びる上側ダウンチューブ14と、上側ダウンチューブ14の下端から左右に分岐して斜め下方に延びる一対の下側ダウンチューブ15L、15Rとを有している。下側ダウンチューブ15L、15Rはエンジン30の下方で後方に屈曲して、下側ダウンチューブ15L、15Rの後端部でメインチューブ12に接合されている。下側ダウンチューブ15L、15Rの間に、上記したオイルフィルタ38が位置付けられている。
【0019】
シリンダヘッド33の前面から上側ダウンチューブ14及び下側ダウンチューブ15L、15Rを避けるように一対の排気管51L、51Rが延出し、排気管51L、51Rから当該エンジン30の後方のマフラ82に排気ガスを導く排気装置50が設けられている。排気装置50にはスタータ触媒として機能する小型の一次触媒54とメイン触媒として機能する大型の二次触媒62が設けられている。排気ポート36L、36Rから排気装置50に排気ガスが入り込み、一次触媒54及び二次触媒62によって排気ガス中の一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)、窒素化合物(NOx)等の大気汚染物質が浄化される。
【0020】
排気装置50は、排気管51L、51R、集合管52、一次触媒ケース53、屈曲管55、二次触媒ケース61、チャンバ71、排気管81、マフラ82によって、エンジン30の前方から下方に回り込んで後方に延びる排気通路が形成されている。排気管51Lは排気ポート36Lから前方に延出して集合管52に接続され、排気管51Rは排気ポート36Rから前方に延出した後に左方向に延びて集合管52に接続されている。このように、排気管51Lが排気管51Rよりも短く形成されており、排気管51L、51Rの管長に差分が付けられている。また、排気管51L、51Rは円形断面を有している。
【0021】
集合管52の上流側は二股に分かれており、集合管52の下流側は円筒状に形成されている。集合管52の上流側には排気管51L、51Rが接続され、集合管52の下流端には一次触媒ケース53が接続されている。排気管51L、51Rを通過した排気ガスが集合管52で集合されて一次触媒ケース53に送られる。集合管52の壁面には、排気管51L、51Rの間に第1の酸素センサ83が配置され、第1の酸素センサ83によって排気管51L、51Rから流入した排気ガスの平均的な酸素濃度が検出される。第1の酸素センサ83の検出結果は燃料噴射量のフィードバック制御に使用される。
【0022】
一次触媒ケース53は円筒状に形成されており、略縦向き姿勢で集合管52に接続されている。排気管51Lが排気管51Rよりも短いため、上下方向に延びるエンジン30の中心線C1よりも左側(左右方向の一方側)に一次触媒ケース53及び集合管52が配置されている。一次触媒ケース53には、排気管51L、51Rを通過した排気ガスを浄化するための一次触媒54が収容されている。一次触媒54はハニカム状又は格子状の仕切板の表面に触媒物質を付着させたものであり、集合管52から流入した排気ガスが一次触媒54を通過する際に大気汚染物質が酸素と反応して浄化される。
【0023】
排気管51Lの管長が短いため、排気ポート36Lから一次触媒ケース53に高温の排気ガスが流入して、一次触媒ケース53内の一次触媒54が短時間で暖機されて排気ポート36Lからの排気ガスの浄化性能が向上される。この場合、排気管51Rの管長が長く排気ガスの温度が下がり易くなるが、排気管51Lからの高温の排気ガスによって一次触媒54が短時間で暖機して、排気ポート36Rからの排気ガスに対する浄化性能も向上されている。このように、排気管51L、51Rに対して、あえて管長に差分を付けることによって、一次触媒54の早期活性化を実現している。
【0024】
屈曲管55は、上流側の縦筒部56と下流側の横筒部57を連ねたL字管状に形成されている。屈曲管55の断面形状は上流端から下流端に向かって円形から長円形に徐々に変化している(図5(A)、(B)参照)。この場合、屈曲管55の下流側の長円形断面の長径が屈曲管55の上流端の円形断面の直径よりも大きく、屈曲管55の下流側の長円形断面の短径が屈曲管55の上流端の円形断面の直径よりも小さく形成されている。また、縦筒部56と横筒部57の境界の屈曲部分では、屈曲管55の長径が略水平を向き、屈曲管55の短径が屈曲管55の曲げ半径方向を向いている。
【0025】
円形断面の縦筒部56の上流端には一次触媒ケース53が接続され、長円形断面の横筒部57の下流端には二次触媒ケース61が接続されている。一次触媒54を通過した排気ガスが屈曲管55によってエンジン30の下方の二次触媒62に導かれている。一次触媒ケース53と二次触媒ケース61を複数の排気管によって接続する構成と比べて、排気管同士の隙間が不要になって左右空間を圧迫することがない。横筒部57の壁面には第2の酸素センサ84が配置され、第2の酸素センサ84によって一次触媒ケース53を通過した排気ガスの酸素濃度が検出される。第2の酸素センサ84の検出結果は、燃料噴射量のフィードバック制御及び触媒劣化の診断に使用される。
【0026】
図3及び図4に示すように、二次触媒ケース61は長円筒状に形成されており、略横向き姿勢で屈曲管55に接続されている。このとき、二次触媒ケース61は左側から右側(左右方向の一方側から他方側)に向かって斜め後方に延びている。二次触媒ケース61には、屈曲管55を通過した排気ガスを浄化するための二次触媒62が収容されている。二次触媒62はハニカム状又は格子状の仕切板の表面に触媒物質を付着させたものであり、屈曲管55から流入した排気ガスが二次触媒62を通過する際に大気汚染物質が酸素と反応して浄化される。
【0027】
チャンバ71は長円筒状に形成されており、略横向き姿勢で二次触媒ケース61に接続されている。チャンバ71内には排気音を低減するための消音室72(図7参照)が形成されている。チャンバ71は前後方向に延びており、チャンバ71の上流端が二次触媒ケース61の外壁面を覆うように接合されている。チャンバ71は、前後方向に延びるエンジン30の中心線C2よりも右側(左右方向の他方側)に配置されている。チャンバ71の内側には、二次触媒ケース61の下流端に連なるテーパパイプ73と、テーパパイプ73の下流端に連なるパンチングパイプ74とが設けられている。
【0028】
テーパパイプ73の断面形状は上流端から下流端に向かって長円形から円形に徐々に変化している。パンチングパイプ74の周面には多数の小孔が形成されており、多数の小孔を通じてパンチングパイプ74の内側と消音室72が連なっている。パンチングパイプ74から消音室72に排気ガスが入り込むと、消音室72で排気ガスが膨張されることで排気音が低減される。また、チャンバ71の外壁は二重筒構造になっており、内筒と外筒の隙間に吸音用のグラスウールが詰められている。チャンバ71はブラケット75を介して車体フレーム10に支持されている。
【0029】
排気管81は円筒状に形成されており、チャンバ71の下流端から後方に延びている。マフラ82(図1参照)は後輪23の右側方に位置しており、排気管81の下流端に接続されている。マフラ82内には排気音を低減するための消音室(不図示)が形成されており、消音室の後端が排気口を通じて外部に連なっている。マフラ82の構造は特に限定されないが、マフラ82の内側には1つの消音室が形成されてもよいし、複数の消音室が形成されてもよい。このように、排気装置50にはチャンバ71とマフラ82によって二段階に分けて排気音が低減されている。
【0030】
図2から図7を参照して、触媒ケース及びチャンバの配置構成について説明する。図6は本実施例の二次触媒ケースの断面図であり、図4の二次触媒ケースをC-C線に沿って切断した状態を示している。図7は本実施例のチャンバの断面図であり、図4のチャンバをD-D線に沿って切断した状態を示している。なお、図6では一次触媒を省略して記載している。
【0031】
図2に示すように、上側ダウンチューブ14の下端から分岐して下側ダウンチューブ15L、15Rが斜め下方に延びている。この下側ダウンチューブ15L、15Rの分岐箇所は排気ポート36L、36Rよりも下方でクランクシャフト35の中心の高さ位置O1よりも上方に位置している。これにより、エンジン30の上部には上側ダウンチューブ14を避けた左右側方に空間が形成され、排気ポート36L、36Rから前方に排気管51L、51Rを延ばし易くしている。また、エンジン30の下部には下側ダウンチューブ15L、15Rの間に空間が形成され、屈曲管55、二次触媒ケース61、チャンバ71が配置し易くなっている。
【0032】
クランクケース31の前面には、下側ダウンチューブ15L、15Rの間にV字状の空間が形成されている。V字状の空間にはオイルフィルタ38が設けられており、上下方向に延びるエンジン30の中心線C1上にオイルフィルタ38が位置している。オイルフィルタ38が車体中央に位置することで、エンジン30の内部のオイル通路がシンプルに形成されている。また、オイルフィルタ38の前方を避けて、オイルフィルタ38の左方及び下方を通るように排気装置50が設けられているため、オイルフィルタ38に対する工具の侵入経路が確保されている。
【0033】
クランクケース31の下面にはオイルパン37が取り付けられている。オイルパン37の底面は左側(左右方向の一方側)が深底に形成されており、この深底部分41から右側(左右方向の他方側)に向かってオイルパン37の底面が浅くなるように傾斜している(図7参照)。オイルパン37の底面の右側がアーチ状に凹んでおり、オイルパン37の凹みを通るように排気装置50が設けられている。このように、エンジン30の下方には、オイルパン37の深底部分41よりも右側に排気装置50の配置空間が形成されている。なお、排気装置50とオイルパン37の位置関係の詳細については後述する。
【0034】
図2及び図3に示すように、前面視にて一次触媒ケース53は下側ダウンチューブ15Lに重なるように配置されている。一次触媒ケース53の上流端がクランクシャフト35の中心の高さ位置O1に略一致している。一次触媒ケース53の下流端から右側に向かうように屈曲管55がL字状に屈曲しており、屈曲管55の下流端がオイルフィルタ38の下方に位置付けられている。屈曲管55が斜めに延びて前後の占有領域が少なくなることで、屈曲管55の下流端に連なる二次触媒ケース61が前方に詰めて配置されている。二次触媒ケース61の下流端のうち最も後側部分がクランクシャフト35の中心の前後位置O2に略一致している。
【0035】
図4に示すように、下側ダウンチューブ15L、15Rの間にはオイルパン37に重なるように二次触媒ケース61が配置されている。二次触媒ケース61が左側から右側に向かって斜め後方に延びており、前後方向に延びるエンジン30の中心線C2に二次触媒ケース61が交差している。二次触媒ケース61が斜めに配置されることで、二次触媒ケース61の前後方向の占有領域を減らして、二次触媒ケース61の後方にチャンバ71の占有領域を広く確保することができる。二次触媒ケース61の内側に収容された二次触媒62も二次触媒ケース61と同様に斜めに配置されている。
【0036】
チャンバ71は前後方向に延びており、前後方向に延びるエンジン30の中心線C2よりも右側に配置されている。チャンバ71の上流端はクランクシャフト35の中心の前後位置O2よりも前方に位置し、チャンバ71の下流端は下側ダウンチューブ15L、15Rを繋ぐブリッジ16まで延びている。このチャンバ71の全長はセンタースタンド(不図示)に干渉しない大きさに設定されている。チャンバ71内の消音室72には触媒が収容されておらず、消音室72が排気ガスの膨張空間になっている。チャンバ71は、マフラ82の消音機能を補助する一次消音器として機能している。
【0037】
チャンバ71の上流端は二次触媒ケース61の外壁面に接合され、チャンバ71内の消音室72が広く確保されて消音性能が向上されている。より詳細には、チャンバ71が二次触媒ケース61に連続的に接続され、チャンバ71の内側に配置されたテーパパイプ73の周囲(径方向外側)の空間も消音室72として使用される。二次触媒ケース61とチャンバ71の間に連結管等の他部材が介在されず、二次触媒ケース61とチャンバ71がダイレクトに連なることで、二次触媒ケース61からチャンバ71に向かって排気ガスがスムーズに流される。
【0038】
このように、一次触媒ケース53がエンジン30の前方空間に配置され、二次触媒ケース61がエンジン30の下方空間の前側に配置され、チャンバ71がエンジン30の下方空間の後側に配置されている。より詳細には、一次触媒ケース53の大部分がエンジン30の前方にてクランクシャフト35の中心よりも下側に配置され、二次触媒ケース61の大部分がクランクシャフト35の中心よりも前側に配置されている(図3参照)。そして、チャンバ71の大部分がエンジン30の下方にてクランクシャフト35の中心よりも後側に配置され、排気通路におけるエンジン30の下方空間の後側に十分な容積の消音室72(図7参照)が確保されている。
【0039】
排気装置50にはチャンバ71とマフラ82によって必要な消音室の容積が確保されている。チャンバ71が一次消音器としての役割を果たすことで、チャンバ71の下流のマフラ82の容積を小さくすることができる。排気装置50の消音性能を維持した状態で、マフラ82の表面積の縮小による熱害リスクが低減され、マフラ82のデザイン性の自由度が向上される。また、高温の触媒がエンジン30近傍に集中的に配置されていることで熱害リスクが低減されている。さらに、二次触媒62の重心がクランクシャフト35の中心よりも前側に位置することで重量バランスが最適化されている。
【0040】
図6に示すように、二次触媒ケース61はオイルパン37のアーチ状の凹みの内側に位置付けられている。二次触媒ケース61は高さよりも幅が大きな長円形状の断面形状を有している。二次触媒ケース61の長径が略水平方向を向き、二次触媒ケース61の短径が略鉛直方向を向いている。二次触媒ケース61の上面63がオイルパン37の底面42に広い範囲で対向しており、二次触媒ケース61の上面63からの放熱がオイルパン37の底面42に伝搬される。また、二次触媒ケース61の側面64がオイルパン37の傾斜部分43に対向しており、二次触媒ケース61の側面64からの放熱がオイルパン37の傾斜部分43に伝搬される。
【0041】
図7に示すように、チャンバ71はオイルパン37のアーチ状の凹みの内側に位置付けられている。チャンバ71は高さ寸法よりも幅寸法が大きな長円形状の断面形状を有している。チャンバ71の長径が略水平方向を向き、チャンバ71の短径が略鉛直方向を向いている。チャンバ71の上面76がオイルパン37の底面42に広い範囲で対向しており、チャンバ71の上面76からの放熱がオイルパン37の底面42に伝搬される。また、チャンバ71の側面77がオイルパン37の傾斜部分43に対向しており、チャンバ71の側面77からの放熱がオイルパン37の傾斜部分43に伝搬される。
【0042】
前面視にて、二次触媒ケース61がオイルパン37の深底部分41に重なっている(図2参照)。より詳細には、二次触媒ケース61がオイルパン37の深底部分41の前方を横切り(図4参照)、走行風によって二次触媒ケース61の放熱がオイルパン37に伝搬される。二次触媒ケース61及びチャンバ71からの放熱がオイルパン37に伝搬されることで、オイルパン37内のオイルが短時間で好適な温度まで高められる。二次触媒ケース61及びチャンバ71の短径(高さ)が小さく形成されているため、エンジン30を低く配置して走行時の車体安定性を向上すると共に燃料タンクやエアクリーナの容量確保が容易になる。
【0043】
続いて、図2及び図3を参照して、第1、第2の酸素センサの配置構成について説明する。
【0044】
図2及び図3に示すように、第1の酸素センサ83はエンジン30の前方の集合管52に配置されている。第1の酸素センサ83は、排気管51L、51Rの間で後方(エンジン30側)を向いた状態で集合管52に立設している。第1の酸素センサ83が排気管51L、51Rに挟まれ、第1の酸素センサ83がエンジン30に近づけられることで、排気管51L、51R及びエンジン30からの放熱によって第1の酸素センサ83の早期活性化が図られている。排気管51L、51Rからの排気ガスが第1の酸素センサ83の検出端に略均一に当たって、第1の酸素センサ83による酸素濃度の検出精度が向上される。
【0045】
第1の酸素センサ83が集合管52の裏側に配置されているため、集合管52によって前方からの飛来物から第1の酸素センサ83が保護されている。第1の酸素センサ83の下方には屈曲管55が存在しているため、屈曲管55によって下方からの飛来物から第1の酸素センサ83が保護されている。第1の酸素センサ83の右側には上側ダウンチューブ14が位置しており、側面視にて上側ダウンチューブ14に第1の酸素センサ83が重なっている。これにより、上側ダウンチューブ14に沿って配線が敷設されることで、第1の酸素センサ83に配線が接続し易くなっている。
【0046】
第2の酸素センサ84は屈曲管55の屈曲箇所よりも下流の横筒部57に配置されている。第2の酸素センサ84は、上方(エンジン30側)を向いた状態で横筒部57に立設している。第2の酸素センサ84がエンジン30に近づけられることで、エンジン30からの放熱によって第2の酸素センサ84の早期活性化が図られている。また前面視にて、第2の酸素センサ84が屈曲管55の屈曲箇所よりも上流の縦筒部56に重なっている。横筒部57によって下方からの飛来物から第2の酸素センサ84が保護され、縦筒部56によって下方からの飛来物から第2の酸素センサ84が保護されている。
【0047】
下側ダウンチューブ15L、15Rの間に第2の酸素センサ84が位置しており、側面視にて下側ダウンチューブ15L、15Rに第2の酸素センサ84が重なっている。下側ダウンチューブ15L、15Rによって左右側方からの飛来物から第2の酸素センサ84が保護されている。第2の酸素センサ84が左側に寄っており、下側ダウンチューブ15Lに沿って配線が敷設されることで、第2の酸素センサ84に配線が接続し易くなっている。第1、第2の酸素センサ83、84がエンジン30の左側に配置されているため、第1、第2の酸素センサ83、83の左右方向のズレを小さくして配線がまとめ易くなっている。
【0048】
第2の酸素センサ84の左側にオイルフィルタ38が位置しており、側面視にてオイルフィルタ38に第2の酸素センサ84が重なっている。オイルフィルタ38によって左方向からの飛来物から第2の酸素センサ84が保護されている。また、オイルフィルタ38はクランクケース31の前面から前方に突き出しており、オイルフィルタ38の前端よりも第2の酸素センサ84が後方に位置している。これにより、横筒部57から真上に突き出した第2の酸素センサ84がオイルフィルタ38の前方空間を横切ることがなく、オイルフィルタ38に対する工具の侵入経路が確保されている。
【0049】
以上、本実施例によれば、一次触媒ケース53がエンジン30の前方空間に配置され、二次触媒ケース61がエンジン30の下方空間の前側に配置される。一次触媒ケース53及び二次触媒ケース61がエンジン30の前方に詰めて配置されるため、二次触媒ケース61によってエンジン30の下方空間が占有されることがない。エンジン30の下方空間の広い範囲にチャンバ71が配置されて、チャンバ71の消音室72によって排気音が低減される。マフラ82の上流側に消音室72が確保されることでマフラ82を小型化することができる。
【0050】
なお、本実施例では、チャンバがオイルパンの深底部分の右側に位置しているが、チャンバの形状は特に限定されない。例えば、センタースタンドの取り付け部分を移設可能であれば、図8の変形例に示すように、チャンバ90の後部がオイルパン37の後方において左側に突き出して、チャンバ90内の消音室が更に広く確保されてもよい。この場合、後輪の側方のマフラを無くして、マスの集中化、マフラ表面による熱害リスクの低減、マフラ外観のデザイン性の自由度の向上を図ることができる。
【0051】
また、本実施例では、二次触媒ケースの大部分がクランクシャフトの中心よりも前側に配置されたが、二次触媒ケースがエンジンの下方空間の前側に配置されていればよい。これにより、エンジンの下方空間の広い範囲にチャンバを配置することで、消音性能を更に向上させることができる。なお、エンジンの下方空間の前側とは、エンジンの下方空間のうち前後方向の中間位置よりも前側の空間を示している。
【0052】
また、本実施例では、チャンバの大部分がクランクシャフトの中心よりも後側に配置されたが、チャンバが少なくともエンジンの下方空間の後側を占有可能に配置されていればよい。例えば、チャンバがエンジンの下方空間の前側及び後側に配置されてもよい。なお、エンジンの下方空間の後側とは、エンジンの下方空間のうち前後方向の中間位置よりも後側の空間を示している。
【0053】
また、本実施例では、排気装置のパイプにプレス部品が使用されてもよい。部品点数及び溶接個所を低減することができる。
【0054】
また、本実施例では、オイルパンの底面の左側が深底に形成されたが、オイルパンの底面の一部が深底に形成されていればよい。例えば、オイルパンに排気装置が干渉しないのであれば、オイルパンの底面の右側が深底に形成されてもよい。
【0055】
また、本実施例では、チャンバの上流端が二次触媒ケースの外壁面に接合されたが、チャンバと二次触媒ケースが離間されて、チャンバと二次触媒ケースが連結管を介して接続されてもよい。
【0056】
また、本実施例では、エンジンが並列2気筒エンジンである構成を例示したが、エンジンの種類は特に限定されず、例えばエンジンが単気筒エンジンでもよい。
【0057】
また、本実施例では、二次触媒ケース及びチャンバの断面形状が長円形状に形成されたが、二次触媒ケース及びチャンバの断面形状は高さよりも幅が大きな断面形状に形成されていればよい。また、フレーム形状とエンジン底面形状と最低地上高によっては二次触媒ケース及びチャンバの断面形状が円形状に形成されてもよい。
【0058】
また、本実施例では、二次触媒ケースがオイルパンの深底部分の前方を横切っているが、二次触媒ケースとオイルパンの深底部分の位置関係は特に限定されない。また、走行風によって二次触媒ケースからの放熱をオイルパンに伝搬させる場合には、前面視にて二次触媒ケースがオイルパンの深底部分に重なるように配置されていればよい。
【0059】
また、本実施例では、二次触媒ケースが左側から右側に向かって斜め後方に延びているが、二次触媒ケースが前後方向に延びていてもよい。
【0060】
また、本実施例では、ガスセンサとして酸素センサを例示したが、ガスセンサは排気ガスの平均的な特性を検出可能なものであればよく、例えば、排気ガスの排気音を検出する排気音センサでもよい。
【0061】
また、本実施例の排気装置は上記の鞍乗型車両のエンジンに限らず、他のタイプの鞍乗型車両のエンジンに採用されてもよい。また、鞍乗型車両は自動二輪車に限定されず、エンジンが搭載された乗り物であればよい。なお、鞍乗型車両とは、運転者がシートに跨った姿勢で乗車する車両全般に限定されず、運転者がシートに跨らずに乗車するスクータタイプの車両も含んでいる。
【0062】
以上の通り、本実施例の排気装置(50)は、エンジン(30)の前方の排気管(51L、52R)から当該エンジンの後方のマフラ(82)に排気ガスを導く排気装置であって、排気管の下流で排気ガスを浄化する一次触媒(54)が収容された一次触媒ケース(53)と、一次触媒の下流で排気ガスを浄化する二次触媒(62)が収容された二次触媒ケース(61)と、二次触媒の下流で排気音を低減する消音室(72)が形成されたチャンバ(71)と、を備え、一次触媒ケースがエンジンの前方空間に配置され、二次触媒ケースがエンジンの下方空間の前側に配置され、チャンバが少なくともエンジンの下方空間の後側を占有可能に配置されている。この構成によれば、一次触媒ケースがエンジンの前方空間に配置され、二次触媒ケースがエンジンの下方空間の前側に配置される。一次触媒ケース及び二次触媒ケースがエンジンの前方に詰めて配置されるため、二次触媒ケースによってエンジンの下方空間が占有されることがない。エンジンの下方空間の広い範囲にチャンバが配置されて、チャンバの消音室によって排気音が低減される。マフラの上流側に消音室が確保されることでマフラを小型化することができる。
【0063】
本実施例の排気装置において、エンジンの下方空間の前側がエンジンの下方にてクランクシャフト(35)の中心よりも前側であり、エンジンの下方空間の後側がエンジンの下方にてクランクシャフトの中心よりも後側である。この構成によれば、クランクシャフトの中心よりも前側に二次触媒ケースを配置した分だけ、エンジンの下方空間の広い範囲にチャンバを配置することができる。
【0064】
本実施例の排気装置において、二次触媒ケースがエンジンの左右方向の一方側から他方側に向かって斜め後方に延びている。この構成によれば、二次触媒ケースが斜めに配置されることで、二次触媒ケースの前後方向の占有領域を減らして、二次触媒ケースの後方にチャンバの占有領域を広く確保することができる。また、二次触媒ケースをエンジンの左右方向に向ける場合と比較して、二次触媒ケースに連なる配管がエンジンの左右方向にはみ出すことを抑えることができる。
【0065】
本実施例の排気装置において、エンジンが車体フレーム(10)に組み付けられており、車体フレームのヘッドパイプ(11)から上側ダウンチューブ(14)がエンジンの左右方向の中央を下方に延び、上側ダウンチューブの下端から左右に分岐して一対の下側ダウンチューブ(15L、15R)が下方に延びており、前面視にて一次触媒ケースが一方の下側ダウンチューブに重なり、二次触媒ケースが一対の下側ダウンチューブの間に位置する。この構成によれば、エンジン上部には上側ダウンチューブを避けた左右側方に空間が形成され、エンジン下部には一対の下側ダウンチューブの間に空間が形成されている。よって、一対の下側ダウンチューブの間のスペースに二次触媒ケース及びチャンバが配置し易くなる。
【0066】
なお、本実施例を説明したが、他の実施例として、上記実施例及び変形例を全体的又は部分的に組み合わせたものでもよい。
【0067】
また、本発明の技術は上記の実施例に限定されるものではなく、技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよい。さらには、技術の進歩又は派生する別技術によって、技術的思想を別の仕方で実現することができれば、その方法を用いて実施されてもよい。したがって、特許請求の範囲は、技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様をカバーしている。
【符号の説明】
【0068】
10 :車体フレーム
11 :ヘッドパイプ
14 :上側ダウンチューブ
15L、15R:下側ダウンチューブ
30 :エンジン
35 :クランクシャフト
50 :排気装置
51L、51R:排気管
53 :一次触媒ケース
54 :一次触媒
61 :二次触媒ケース
62 :二次触媒
71 :チャンバ
72 :消音室
81 :排気管
82 :マフラ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8