(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】電気光学装置および電子機器
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1343 20060101AFI20241001BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20241001BHJP
G02F 1/1368 20060101ALI20241001BHJP
H01L 29/786 20060101ALI20241001BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20241001BHJP
H01L 21/8234 20060101ALI20241001BHJP
H01L 27/06 20060101ALI20241001BHJP
H01L 27/088 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
G02F1/1343
G09F9/30 338
G09F9/30 349C
G02F1/1368
H01L29/78 613Z
H01L29/78 619B
H01L27/06 102A
H01L27/088 E
H01L27/088 331E
(21)【出願番号】P 2021008865
(22)【出願日】2021-01-22
【審査請求日】2023-12-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003177
【氏名又は名称】弁理士法人旺知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森田 喜久哉
【審査官】山本 貴一
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-038248(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0064683(US,A1)
【文献】特開2020-118917(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0196049(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0256192(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1343-1/1345,1/135
G02F 1/136-1/1368
G09F 9/30-9/46
H01L 29/786
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性を有する基板と、
それぞれ透光性を有し、第1電極、誘電体層および第2電極を含む容量素子と、
透光性を有する第1絶縁膜と、
遮光性を有する遮光膜と、
透光性を有する第2絶縁膜と、
トランジスターと、
を備え、
前記第1電極、前記誘電体層、前記第2電極、前記第1絶縁膜、前記遮光膜、前記第2絶縁膜および前記トランジスターは、前記基板側から順に配置され、
前記基板側から入射する光に対し、前記遮光膜と前記第1絶縁膜との界面において反射される光の光量は、前記第1電極と前記誘電体層との界面において反射される光の光量より大きいことを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
前記基板側から入射する
赤色、緑色または青色の波長域の光に対し、前記第1絶縁膜は、前記第2電極との界面において反射される光と、前記遮光膜との界面において反射される光とが強め合うよう構成される請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記第1絶縁膜の膜厚d1は、下記式(1)を満足する請求項2に記載の電気光学装置。
d1={(1/2+m)×λ}/2×n1 ・・・(1)
式(1)中のmは0または自然数であり、λは前記基板から入射する光の波長であり、n1は前記第1絶縁膜の屈折率である。
【請求項4】
前記基板
側から入射する
赤色、緑色または青色の波長域の光に対し、前記第1電極および前記第2電極は、前記第1電極と前記基板との界面において反射される光と、前記第2電極と前記第1絶縁膜との界面において反射される光とが強め合うよう構成される請求項
1に記載の電気光学装置。
【請求項5】
前記第1電極と前記第2電極との合計膜厚d2は、下記式(2)を満足する請求項4に記載の電気光学装置。
d2={(1/2+m)×λ-2×n3×d3}/2×n2 ・・・(2)
式(1)中のmは0または自然数であり、λは前記基板から入射する光の波長であり、n2は前記第1電極または前記第2電極の屈折率であり、n3は前記誘電体層の屈折率であり、d3は前記誘電体層の膜厚である。
【請求項6】
前記第1電極および前記第2電極は、ポリシリコンを含む
請求項1から5のいずれか1項に記載の電気光学装置。
【請求項7】
前記第1絶縁膜は、ケイ素を含む無機材料を含む
請求項1から6のいずれか1項に記載の電気光学装置。
【請求項8】
前記遮光膜は、タングステンシリサイドを含む
請求項1から7のいずれか1項に記載の電気光学装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の電気光学装置と、
前記電気光学装置に赤色成分、緑色成分、または青色成分の波長の出射光を供給する照明装置と、
前記電気光学装置の動作を制御する制御部と、を有することを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気光学装置および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
プロジェクター等の電子機器には、例えば、画素ごとに光学的特性を変更可能な液晶表示装置等の電気光学装置が用いられる。
【0003】
特許文献1に記載の電気光学装置は、素子基板と、対向基板と、これら基板によって挟持された液晶層とを、有する。素子基板は、基板上に順に設けられた、走査線、トランジスター、画素容量、データ線、および画素電極を有する。走査線は、遮光性の導電材料で形成される。当該走査線がトランジスターと基板との間に配置されることにより、基板からトランジスターに向かって入射する光が遮光される。トランジスターへの光の入射を遮ることで、トランジスターの動作が不安定になることを抑制し、よって、画素の輝度ムラ等の表示不具合が生じるおそれを抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
トランジスターへの遮光性をさらに高めるためには、例えば、走査線の膜厚を厚くする手段が考えられる。しかし、走査線の膜厚を厚くすると、走査線と基板との製造時の熱応力の違いにより基板にクラックが生じるおそれがある。したがって、基板から入射する光に対するトランジスターの遮光性の更なる向上を図ることができる他の手段が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電気光学装置の一態様は、透光性を有する基板と、それぞれ透光性を有し、第1電極、誘電体層および第2電極を含む容量素子と、透光性を有する第1絶縁膜と、遮光性を有する遮光膜と、透光性を有する第2絶縁膜と、トランジスターと、を備え、前記第1電極、前記誘電体層、前記第2電極、前記第1絶縁膜、前記遮光膜、前記第2絶縁膜および前記トランジスターは、前記基板側から順に配置され、前記基板側から入射する光に対し、前記遮光膜と前記第1絶縁膜との界面において反射される光の光量は、前記第1電極と前記誘電体層との界面において反射される光の光量より大きい。
【0007】
また、本発明の電気光学装置の一態様は、透光性を有する基板と、それぞれ透光性を有し、第1電極、誘電体層および第2電極を含む容量素子と、透光性を有する第1絶縁膜と、遮光性を有する遮光膜と、透光性を有する第2絶縁膜と、トランジスターと、を備え、前記第1電極、前記誘電体層、前記第2電極、前記第1絶縁膜、前記遮光膜、前記第2絶縁膜および前記トランジスターは、前記基板側から順に配置され、前記第1絶縁膜の膜厚は、前記第1電極、前記誘電体層、前記第2電極、または前記遮光膜の膜厚より厚く、前記第1絶縁膜の屈折率は、前記第2電極の屈折率より小さい。
【0008】
本発明の電子機器の一態様は、前述の電気光学装置と、前記電気光学装置の動作を制御する制御部と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態に係る電気光学装置の平面図である。
【
図2】
図1に示す電気光学装置のA-A線における断面図である。
【
図3】
図1の素子基板の電気的な構成を示す等価回路図である。
【
図5】
図4に示す素子基板の一部を模式的に示す図である。
【
図6】
図5に示す絶縁膜の膜厚の例を示す表である。
【
図7】
図5に示す第1電極および第2電極の合計膜厚の例を示す表である。
【
図10】電子機器の一例であるパーソナルコンピューターを示す斜視図である。
【
図11】電子機器の一例であるスマートフォンを示す平面図である。
【
図12】電子機器の一例であるプロジェクターを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態を説明する。なお、図面において各部の寸法または縮尺は実際と適宜に異なり、理解を容易にするために模式的に示す部分もある。また、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られない。
【0011】
1.電気光学装置
1A.基本構成
図1は、実施形態に係る電気光学装置100の平面図である。
図2は、
図1に示す電気光学装置100のA-A線における断面図である。なお、
図1では、対向基板3の図示を省略する。また、以下では、説明の便宜上、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を適宜用いて説明する。また、X軸に沿う一方向をX1方向と表記し、X1方向とは反対の方向をX2方向と表記する。同様に、Y軸に沿う一方向をY1方向と表記し、Y1方向とは反対の方向をY2方向と表記する。Z軸に沿う一方向をZ1方向と表記し、Z1方向とは反対の方向をZ2方向と表記する。また、以下では、Z1方向またはZ2方向に見ることを「平面視」とし、Z軸を含む断面に対して垂直方向からを見ることを「断面視」とする。
【0012】
図1および
図2に示す電気光学装置100は、アクティブマトリクス駆動方式の透過型の電気光学装置である。
図2に示すように、電気光学装置100は、素子基板2と、対向基板3と、枠状のシール部材4と、液晶層5とを有する。素子基板2、液晶層5および対向基板3は、この順にZ1方向に並ぶ。また、
図1に示す電気光学装置100の平面視での形状は四角形であるが、例えば円形であってもよい。
【0013】
図2に示す素子基板2は、後述の複数のTFT(Thin Film Transistor)を有する基板である。素子基板2は、透光性を有する第1基板21と、透光性を有する積層体22と、透光性を有する複数の画素電極25と、透光性を有する第1配向膜29とを有する。また、図示はしないが、素子基板2は、複数の画素電極25を平面視で囲む複数のダミー画素電極を有する。なお、本明細で「透光性」とは、可視光に対する透過性を意味し、好ましくは可視光の透過率が50%以上であることをいう。
【0014】
第1基板21、積層体22、複数の画素電極25および第1配向膜29は、この順にZ1方向に積層される。第1基板21は、「基板」の例示である。第1基板21は、透光性および絶縁性を有する平板である。第1基板21は、例えば、ガラス基板または石英基板である。積層体22は、透光性を有する複数の絶縁膜と、当該複数の絶縁膜同士の間に配置される各種配線と、を有する。積層体22については後で説明する。また、画素電極25は、透光性および導電性を有する。画素電極25は、液晶層5に電界を印加するために用いられる。画素電極25は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)およびFTO(Fluorine-doped tin oxide)等の透明導電材料を含む。第1配向膜29は、透光性および絶縁性を有する。第1配向膜29は、液晶層5が有する液晶分子を配向させる。第1配向膜29は、複数の画素電極25を覆うように配置される。第1配向膜29の材料は、例えばポリイミドおよび酸化ケイ素等である。
【0015】
対向基板3は、素子基板2に対向して配置される基板である。対向基板3は、透光性を有する第2基板31と、透光性を有する絶縁層32と、透光性を有する共通電極33と、透光性を有する第2配向膜34とを有する。また、図示はしないが、対向基板3は、平面視で複数の画素電極25を囲む遮光性の見切りを有する。なお、本明細で「遮光性」とは、可視光に対する遮光性を意味し、好ましくは可視光の透過率が50%未満であることをいい、より好ましくは10%以下であることをいう。
【0016】
第2基板31、絶縁層32、共通電極33および第2配向膜34は、この順にZ2方向に積層される。第2基板31は、透光性および絶縁性を有する平板である。第2基板31は、例えば、ガラス基板または石英基板である。絶縁層32は、透光性および絶縁性を有しており、例えば酸化ケイ素等のケイ素を含む無機材料で形成される。共通電極33は、複数の画素電極25に対して液晶層5を介して配置される対向電極である。共通電極33は、液晶層5に電界を印加するために用いられる。共通電極33は、透光性および導電性を有する。共通電極33は、例えば、ITO、IZOおよびFTO等の透明導電材料を含む。第2配向膜34は、透光性および絶縁性を有する。第2配向膜34は、液晶層5が有する液晶分子を配向させる。第2配向膜34の材料は、例えばポリイミドおよび酸化ケイ素等である。
【0017】
シール部材4は、素子基板2と対向基板3との間に配置される。シール部材4は、例えばエポキシ樹脂等の各種硬化性樹脂を含む接着剤等を用いて形成される。シール部材4は、ガラス等の無機材料で構成されるギャップ材を含んでもよい。
【0018】
液晶層5は、素子基板2、対向基板3およびシール部材4によって囲まれる領域内に配置される。液晶層5は、電界に応じて光学的特性が変化する。液晶層5は、正または負の誘電異方性を有する液晶分子を含む。液晶分子の配向は、液晶層5に印加される電圧に応じて変化する。
【0019】
図1に示すように、素子基板2には、複数の走査線駆動回路11とデータ線駆動回路12と複数の外部端子13とが配置される。複数の外部端子13の一部は、図示しないが、走査線駆動回路11またはデータ線駆動回路12から引き回される配線に接続される。また、複数の外部端子13は、共通電位が印加させる端子を含む。当該端子は、図示しない配線および導通材を介して、対向基板3の共通電極33に電極的に接続される。
【0020】
かかる電気光学装置100は、画像を表示する表示領域A10と、平面視で表示領域A10の外側に位置する周辺領域A20とを有する。表示領域A10には、行列状に配列される複数の画素Pが設けられる。複数の画素Pに対して複数の画素電極25が1対1で配置される。前述の共通電極33は、複数の画素Pで共通に設けられる。また、周辺領域A20は、平面視で表示領域A10を囲む。周辺領域A20には、走査線駆動回路11およびデータ線駆動回路12が配置される。
【0021】
本実施形態では、電気光学装置100は透過型である。例えば、対向基板3に入射した光が素子基板2から出射される間に変調することにより、画像が表示される。なお、素子基板2に入射した光が対向基板3から出射される間に変調することにより、画像が表示されてもよい。
【0022】
また、電気光学装置100は、例えば、後述するパーソナルコンピューターおよびスマートフォン等のカラー表示を行う表示装置に適用される。当該表示装置に適用される場合、電気光学装置100に対してカラーフィルターが適宜用いられる。また、電気光学装置100は、例えば、後述する投射型のプロジェクターに適用される。この場合、電気光学装置100は、ライトバルブとして機能する。なお、この場合、電気光学装置100に対してカラーフィルターが省略される。
【0023】
1B.素子基板2の電気的な構成
図3は、
図1の素子基板2の電気的な構成を示す等価回路図である。素子基板2の積層体22には、
図3に示す複数のトランジスター23とn本の走査線241とm本のデータ線242とn本の定電位線243とが設けられる。nおよびmはそれぞれ2以上の整数である。n本の走査線241とm本のデータ線242との各交差に対応してトランジスター23が配置される。各トランジスター23は、例えばスイッチング素子として機能するTFTである。各トランジスター23は、ゲート、ソースおよびドレインを含む。
【0024】
n本の走査線241のそれぞれはX1方向に延在し、n本の走査線241はY1方向に等間隔で並ぶ。n本の走査線241のそれぞれは、対応する複数のトランジスター23のゲートに電気的に接続される。n本の走査線241は、
図1に示す走査線駆動回路11に電気的に接続される。1~n本の走査線241には、走査線駆動回路11から走査信号G1、G2、…、およびGnが線順次で供給される。
【0025】
図3に示すm本のデータ線242のそれぞれはY1方向に延在し、m本のデータ線242はX1方向に等間隔で並ぶ。m本のデータ線242のそれぞれは、対応する複数のトランジスター23のソースに電気的に接続される。m本のデータ線242は、
図1に示すデータ線駆動回路12に電気的に接続される。1~m本のデータ線242には、データ線駆動回路12から画像信号S1、S2、…、およびSmが並行に供給される。
【0026】
図3に示すn本の走査線241とm本のデータ線242とは、互いに電気的に絶縁されており、平面視で格子状に配置される。隣り合う2つの走査線241と隣り合う2つのデータ線242とで囲まれる領域が画素Pに対応する。各画素電極25は、対応するトランジスター23のドレインに電気的に接続される。
【0027】
n本の定電位線243のそれぞれはY1方向に延在し、n本の定電位線243はX1方向に等間隔で並ぶ。また、n本の定電位線243は、m本のデータ線242およびn本の走査線241に対して電気的に絶縁されており、これらに対して間隔をもって配置される。各定電位線243には、グランド電位等の固定電位が印加される。n本の定電位線243のそれぞれは、対応する容量素子26に電気的に接続される容量線である。各容量素子26は、画素電極25の電位を保持するための保持容量である。なお、複数の容量素子26は、複数の画素電極25に1対1で電気的に接続される。複数の容量素子26は、複数のトランジスター23のドレインに1対1で電気的に接続される。
【0028】
走査信号G1、G2、…、およびGnが順次アクティブとなり、n本の走査線241が順次選択されると、選択される走査線241に接続されるトランジスター23がオン状態となる。すると、m本のデータ線242を介して表示すべき階調に応じた大きさの画像信号S1、S2、…、およびSmが、選択される走査線241に対応する画素Pに取り込まれ、画素電極25に印加される。これにより、画素電極25と
図2に共通電極33との間に形成される液晶容量に、表示すべき階調に応じた電圧が印加され、印加される電圧に応じて液晶分子の配向が変化する。また、容量素子26によって、印加される電圧が保持される。このような液晶分子の配向の変化によって光が変調され階調表示が可能となる。
【0029】
1C.素子基板2の具体的な構成
図4は、
図2の素子基板2の一部を示す断面図である。
図4に示すように、素子基板2は、第1基板21、積層体22、複数の画素電極25および第1配向膜29を有する。
【0030】
積層体22は、Z1方向に並ぶ複数の絶縁膜221、222、223、224、225、226、227、228および229を有する。絶縁膜221~229は、透光性および絶縁性を有する。絶縁膜221~229の各材料は、例えば、酸窒化ケイ素および酸化ケイ素等の無機材料である。絶縁膜222は「第1絶縁膜」の例示であり、絶縁膜223は「第2絶縁膜」の例示である。
【0031】
積層体22には、複数の配線等が配置される。具体的には、積層体22には、トランジスター23、走査線241、データ線242、定電位線243および容量素子26が配置される。さらに、積層体22には、遮光膜244、ソース中継電極246、第1ドレイン中継電極245および第2ドレイン中継電極247が配置される。また、積層体22には、コンタクト271、272、273、274および275が配置される。コンタクト271~275のそれぞれは、積層体22に形成された貫通孔であるコンタクトホール内に配置される。コンタクト271~275は、柱状のプラグ、またはコンタクトホールの内壁面に形成されるトレンチ配線である。
【0032】
第1基板21上には、容量素子26が配置される。容量素子26は、第1電極261と、第2電極262と、誘電体層263とを有する。第1電極261、誘電体層263および第2電極262は、Z1方向にこの順に配置される。
【0033】
絶縁膜222上には、遮光膜244が配置される。遮光膜244は、遮光性および導電性を有する。遮光膜244は、走査線241を第1走査線とする場合、遮光膜244は第2走査線として機能する。なお、遮光膜244は、第2走査線として機能してもよいし、走査線241とは絶縁されていてもよい。
【0034】
絶縁膜223上には、トランジスター23が配置される。トランジスター23は、半導体層231と、ゲート電極232と、ゲート絶縁膜233とを有する。半導体層231は、絶縁膜223上に配置される。半導体層231は、LDD(Lightly Doped Drain)構造を有する。具体的には、半導体層231は、チャネル領域231a、ドレイン領域231b、ソース領域231c、低濃度ドレイン領域231dおよび低濃度ソース領域231eを有する。チャネル領域231aは、ドレイン領域231bとソース領域231cとの間に位置する。低濃度ドレイン領域231dは、チャネル領域231aとドレイン領域231bとの間に位置する。低濃度ソース領域231eは、チャネル領域231aとソース領域231cとの間に位置する。半導体層231は、例えば、ポリシリコンを成膜して形成される。チャネル領域231aを除く領域には、導電性を高める不純物がドープされる。低濃度ドレイン領域231d中の不純物濃度は、ドレイン領域231b中の不純物濃度よりも低い。低濃度ソース領域231e中の不純物濃度は、ソース領域231c中の不純物濃度よりも低い。なお、例えば、低濃度ソース領域231eは、省略してもよい。
【0035】
平面図は省略するが、ゲート電極232は、平面視で半導体層231のチャネル領域231aに重なる。ゲート電極232は、例えば、ポリシリコンに導電性を高める不純物がドープされることにより形成される。なお、ゲート電極232は、金属、金属酸化物および金属化合物の導電性を有する材料を用いて形成されてもよい。また、ゲート絶縁膜233は、ゲート電極232とチャネル領域231aとの間に介在する。ゲート絶縁膜233は、例えば、熱酸化またはCVD(chemical vapor deposition)法等で成膜される酸化ケイ素で構成される。
【0036】
絶縁膜225上には、走査線241および第1ドレイン中継電極245が配置される。走査線241は、例えば、ゲート電極232と一体的に形成される。第1ドレイン中継電極245は、コンタクト271を介して前述の容量素子26が有する第1電極261に接続される。
【0037】
絶縁膜226上には、ソース中継電極246および第2ドレイン中継電極247が配置される。ソース中継電極246は、コンタクト272を介して半導体層231のソース領域231cに接続される。第2ドレイン中継電極247は、コンタクト273を介して半導体層231のドレイン領域231bおよび第1ドレイン中継電極245に接続される。
【0038】
絶縁膜227上には、データ線242が配置される。データ線242は、コンタクト274を介してソース中継電極246に接続される。絶縁膜228上には、定電位線243が配置される。定電位線243は、図示しないコンタクト等を介して容量素子26の第2電極262に電気的に接続される。絶縁膜229上には、画素電極25が配置される。画素電極25は、コンタクト275を介して、前述の第2ドレイン中継電極247に接続される。
【0039】
前述の走査線241、データ線242、定電位線243、遮光膜244、ソース中継電極246、第1ドレイン中継電極245および第2ドレイン中継電極247の各材料としては、例えば、タングステン(W)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、鉄(Fe)およびアルミニウム(Al)等の金属、チタンナイトライド等の金属窒化物ならびにタングステンシリサイド等の金属酸化物等の金属材料が挙げられる。また、各種配線等は、これら金属材料の単層または積層で構成される。また、コンタクト271~280の各材料としては、例えば、タングステン、コバルト(Co)および銅(Cu)等の金属、金属窒化物、ならびに金属酸化物等の金属材料が挙げられる。
【0040】
また、平面図は省略するが、前述の各種配線等は、平面図で画素電極25を囲むように配置される。複数の画素電極25は平面視で行列状に配置され、各種配線等は平面視で画素電極25を囲む枠状に配置される。画素電極25が平面視で配置される領域は、光が透過する領域である。
【0041】
なお、
図4に示す素子基板2が有する各種配線等の配置は一例であり、
図4に示す配置に限定されない。
【0042】
1D.トランジスター23よりも下層の構成
図5は、
図4に示す素子基板2の一部を模式的に示す図である。前述のように、素子基板2は、基板としての第1基板21と、容量素子26と、第1絶縁膜としての絶縁膜222と、遮光膜244と、第2絶縁膜としての絶縁膜223と、トランジスター23と、を有する。したがって、
図5に示すように、トランジスター23よりも下層には、第1基板21、容量素子26、絶縁膜222、遮光膜244および絶縁膜223が存在する。また、前述のように、容量素子26は、第1電極261、誘電体層263および第2電極262を有する。第1電極261、誘電体層263、第2電極262、絶縁膜222、遮光膜244、絶縁膜223およびトランジスター23は、第1基板21から順に積層される。
【0043】
容量素子26および絶縁膜222は、第1基板21から入射した光LLの一部を透過させるとともに、光LLの他の一部を反射させる。具体的には、第1基板21と第1電極261との界面F1、第1電極261と誘電体層263との界面F2、誘電体層263と第2電極262との界面F3、第2電極262と絶縁膜222との界面F4、および絶縁膜222と遮光膜244との界面F5で、光LLの一部は透過するとともに、光LLの他の一部は反射する。なお、遮光膜244も、光LLの一部を透過させるとともに、光LLの他の一部を反射させてもよい。
【0044】
第1電極261、第2電極262および遮光膜244の各屈折率は、誘電体層263、絶縁膜222および絶縁膜223の各屈折率よりも高い。遮光膜244の屈折率は最も高い。そして、高屈折率の第1電極261、低屈折率の誘電体層263、高屈折率の第2電極262、低屈折率の絶縁膜222、および高屈折率の遮光膜244が、この順に積層される。このため、界面F1~F5のそれぞれで光LLの一部を反射させることができる。よって、第1基板21から入射した光LLの一部は、界面F1での反射光L1、界面F2での反射光L2、界面F3での反射光L3、界面F4での反射光L4、および界面F5での反射光L5になる。
【0045】
また、絶縁膜222の膜厚は、第1電極261、誘電体層263、第2電極262、または遮光膜244の膜厚より厚くすることにより、光路長を長くすることができ遮光膜244に到達する光を弱めることができる。さらに、絶縁膜222の屈折率を第2電極262の屈折率より小さくすることにより、界面F4で、遮光膜244に到達する光を弱めることができる。なお、絶縁膜222は厚くしても、遮光膜244よりはクラック等の発生を抑制できる。
【0046】
界面F5の反射光L5の光量は、界面F2の反射光L2の光量よりも大きい。すなわち、第1基板21からの入射する光LLに対し、遮光膜244の絶縁膜222側の界面反射は、第1電極261の誘電体層263側の界面反射より大きい。界面F5での反射に加え、界面F2で光が反射することで、界面F2が存在しない場合に比べ、トランジスター23よりも下層での光LLの反射率およびOD(Optical Density)値を高めることができる。したがって、遮光膜244のみがトランジスター23の下層に設けられている場合に比べ、遮光膜244および容量素子26がトランジスター23の下層に設けられていることで、遮光膜244を過度に厚くせずにトランジスター23に対する遮光性を向上させることができる。
【0047】
また、容量素子26および絶縁膜222は、増反射膜の一部として機能する。具体的には、容量素子26と絶縁膜222との界面F4と、絶縁膜222と遮光膜244との界面F5とは、増反射性を有する。より具体的には、界面F4での反射と界面F5での反射とが強め合うように設定される。別の言い方をすると、第1基板21からの入射する光LLに対し、絶縁膜222は、第2電極262側の界面反射と遮光膜244側の界面反射とが強め合うよう構成される。
【0048】
界面F4での反射光L4と界面F5での反射光L5とが強め合うように設定されることで、反射光L4および反射光L5の光量が合算される。このため、トランジスター23よりも下層での光LLの反射率およびOD値を高めることができる。それゆえ、遮光膜244のみがトランジスター23の下層に設けられている場合に比べ、遮光膜244、容量素子26および絶縁膜222がトランジスター23の下層に設けられていることで、遮光膜244を過度に厚くせずにトランジスター23に対する遮光性を向上させることができる。このため、絶縁膜222等にクラックが発生するおそれを抑制できるとともに、トランジスター23に対する遮光性を向上させることができる。したがって、電気光学装置100によれば、クラックの発生を抑制しつつ、第1基板21から入射する光LLに対するトランジスター23への遮光性の向上を従来よりも図ることができる新たな手段を提供することができる。それゆえ、画素の輝度ムラ等の表示不具合を抑制できるので、電気光学装置100の表示品位の低下を抑制することができる。
【0049】
第1基板21に入射する光LLの波長λに応じて絶縁膜222の膜厚d1を調整することで、界面F4での反射と界面F5での反射とが強め合うように設定される。具体的には、絶縁膜222の膜厚d1は、好ましくは下記式(1)を満足する。
d1={(1/2+m)×λ}/2×n1 ・・・(1)
式(1)中のmは0または自然数であり、λは第1基板21から入射する光LLの波長であり、n1は絶縁膜222の屈折率である。
【0050】
図6は、
図5に示す絶縁膜222の膜厚d1の例を示す表である。例えば、波長λが550nmであり、絶縁膜222の屈折率n1が1.46である場合、式(1)を用いると、
図6の表1に示す膜厚d1[nm]が算出される。
【0051】
膜厚d1が式(1)を満足することで、界面F4での反射と界面F5での反射とが強め合うように設定されるので、トランジスター23よりも下層で反射する光の量を増やすことができる。よって、トランジスター23に対する遮光性を効果的に向上させることができる。
【0052】
また、界面F1での反射光L1と界面F4での反射光L4とが強め合うように設定される。別の言い方をすると、第1基板21からの入射する光LLに対し、第1電極261および第2電極262は、第1電極261の第1基板21側の界面反射と、第2電極262の絶縁膜222側の界面反射が強め合うよう構成される。このように構成されることで、反射光L1および反射光L4の光量が合算され、この結果、トランジスター23よりも下層での光LLの反射率およびOD値を高めることができる。
【0053】
第1基板21に入射する光LLの波長λに応じて第1電極261および第2電極262の合計膜厚d2調整することで、界面F1での反射と界面F4での反射とが強め合うように設定される。具体的には、合計膜厚d2は、好ましくは下記式(2)を満足する。
d2={(1/2+m)×λ-2×n3×d3}/2×n2 ・・・(2)
式(2)中のmは0または自然数であり、λは第1基板21から入射する光LLの波長であり、n2は第1電極261または第2電極262の屈折率であり、n3は誘電体層263の屈折率であり、d3は誘電体層263の膜厚である。
【0054】
図7は、
図5に示す第1電極261および第2電極262の合計膜厚d2の例を示す表である。例えば、波長λが550nmであり、第1電極261および第2電極262の各屈折率n2が4.11であり、誘電体層263の屈折率n3が1.9であり、誘電体層263の膜厚d3が19nmである場合、式(2)を用いると、
図7の表2に示す合計膜厚d2が算出される。
【0055】
合計膜厚d2が式(2)を満足することで、界面F1での反射と界面F5での反射とが強め合うように設定されるので、トランジスター23よりも下層で反射する光の量を増やすことができる。よって、トランジスター23に対する遮光性を効果的に向上させることができる。
【0056】
また、トランジスター23に対する遮光性をより向上させるためには、反射光L1、L4およびL5が強め合うよう、第1電極261および第2電極262の合計膜厚d2および絶縁膜222の膜厚d1が設定されることがより好ましい。
【0057】
さらには、反射光L1~L5が強め合うように設定されることが最も好ましい。したがって、反射光L1~L5が強め合うよう、第1電極261の膜厚d21、誘電体層263の膜厚d3、第2電極262の膜厚d21、絶縁膜222の膜厚d1および遮光膜244の膜厚d4が設定されることが最も好ましい。これにより、トランジスター23に対する遮光性を最も効果的に向上させることができる。ただし、誘電体層263は容量素子26の静電容量の耐電圧に依存するため、実質的には、第1電極261および第2電極262の合計膜厚d2、絶縁膜222の膜厚d1および遮光膜244の膜厚d4を調整することで、トランジスター23に対する遮光性を最も効果的に向上させることができる。
【0058】
また、平面図は省略するが、トランジスター23と遮光膜244と容量素子26とは、平面視で互に重なる。このため、遮光膜244および容量素子26によりトランジスター23への光の入射を効果的に抑制することができる。
【0059】
また、容量素子26および絶縁膜222の材料を設定することにより、容量素子26および絶縁膜222の増反射性を高めることができる。
【0060】
具体的には、第1電極261および第2電極262の各材料として、チタン等の薄膜材料、またはポリシリコン等が挙げられる。中でも、第1電極261および第2電極262は、好ましくはポリシリコンを含む。なお、当該ポリシリコンには、リン(P)等の不純物を含むものが含まれる。また、誘電体層263としては、窒化シリコン、酸化シリコン等が用いられる。また、例えば、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、あるいはこれらの金属酸化膜および金属窒化膜が積層された多層膜が用いられる。
【0061】
第1電極261および第2電極262がポリシリコンを含むことで、金属材料を含む場合に比べて耐熱性を向上させ易い。したがって、製造時に、絶縁膜222等にクラック等の不具合の発生を抑制することができる。さらに、第1電極261および第2電極262の膜剥がれの発生を低減することができる。
【0062】
絶縁膜222は、好ましくは、酸化ケイ素および酸窒化ケイ素等のケイ素を含む無機材料を含み、より好ましくは酸化ケイ素を含む。絶縁膜222がケイ素を含む無機材料を含むことで、第2電極262がポリシリコンである場合、製造時に、絶縁膜222等にクラック等の不具合の発生を抑制することができる。
【0063】
遮光膜244の材料は、前述のように金属材料が挙げられる。中でも、遮光膜244は、好ましくはタングステンシリサイドを含む。遮光膜244がタングステンシリサイドを含むことで、絶縁膜222がケイ素を含む材料である場合、遮光膜244の膜厚d4を過度に厚くしなくても、遮光膜244と絶縁膜222との屈折率差を所望の値に設定し易い。また、膜厚d4を過度に厚くしなくて済むので、製造時の熱によっても絶縁膜222等にクラックが発生し難い。
【0064】
前述したように、各層の膜厚は、第1基板21から入射する光LLの波長λに応じて設定される。例えば、緑色の波長域の光に応じて各層の膜厚を設定した場合の例を以下に示す。この場合の第1の例では、第1電極261の膜厚d21は113nm程度であり、第2電極262の膜厚d22は45nm程度であり、誘電体層263の膜厚d3は19nm程度であり、絶縁膜222の膜厚d1は465nm程度であり、遮光膜244の膜厚d4は200nm程度である。また、第2の例では、例えば、膜厚d21は45nm程度であり、膜厚d22は45nm程度であり、膜厚d3は19nm程度であり、膜厚d1は278nm程度であり、膜厚d4は200nm程度である。かかる膜厚であることで、トランジスター23よりも下層での光LLの反射率およびOD値を高めることができる。
【0065】
なお、第1の例および第2の例は、少なくとも反射光L1、L4およびL5が強め合うように設定された場合の例である。また、第1の例および第2の例は、式(1)および(2)を満足する。また、第1の例および第2の例では、第1電極261および第2電極262の各材料はポリシリコンであり、誘電体層263の材料は窒化シリコンであり、絶縁膜222の材料は酸化シリコンであり、遮光膜244の材料はタングステンシリサイドである。
【0066】
図8は、緑色の波長域での反射率を示す図である。
図8には、第1基板21からトランジスター23よりも下層における反射率のシミュレーション結果が示される。
図9は、緑色の波長域でのOD値を示す図である。
図9には、第1基板21からトランジスター23よりも下層におけるOD値のシミュレーション結果が示される。
図8および
図9に示す二点鎖線は、第1基板21と遮光膜244との間に、容量素子26および絶縁膜222が存在しない場合の反射率またはOD値である。実線は、第1の例の反射率またはOD値を示す。破線は、第2の例の反射率またはOD値を示す。いずれの結果も、材料は同じで、膜厚のみが変更されている。また、緑色の波長域は、具体的には500nm以上580nm以下の範囲内の波長域である。
【0067】
図8および
図9に示すように、所定の容量素子26、絶縁膜222および遮光膜244が存在することで、走査線241のみが存在している場合に比べ、緑色の波長域での反射率およびOD値を大幅に高めることができる。
【0068】
なお、上記の例は一例であり、各膜厚は他の例も考えらえる。また、図示はしないが、赤色の波長域すなわち580nmを超え700nm以下の範囲内の波長域でも、赤色の波長域の波長λに応じて膜厚を設定することで、反射率およびOD値を高めることができる。同様に、青色の波長域すなわち400nm以上500nm未満以下の範囲内の波長域でも、青色の波長域の波長λに応じて膜厚を設定することで、反射率およびOD値を高めることができる。
2.変形例
以上に例示した実施形態は多様に変形され得る。前述の実施形態に適用され得る具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は、相互に矛盾しない範囲で適宜に併合され得る。
【0069】
前述の各実施形態では、アクティブマトリクス方式の電気光学装置100が例示されるが、これに限定されず、電気光学装置100の駆動方式は、例えば、パッシブマトリクス方式等でもよい。
【0070】
「電気光学装置」の駆動方式は、縦電界方式に限定されず、横電界方式でもよい。なお、横電界方式としては、例えばIPS(In Plane Switching)モードが挙げられる。また、縦電界方式としては、TN(Twisted Nematic)モード、VA(Virtical Alignment)、PVAモードおよびOCB(Optically Compensated Bend)モードが挙げられる。
【0071】
3.電子機器
電気光学装置100は、各種電子機器に用いることができる。
【0072】
図10は、電子機器の一例であるパーソナルコンピューター2000を示す斜視図である。パーソナルコンピューター2000は、各種の画像を表示する電気光学装置100と、電源スイッチ2001およびキーボード2002が設置される本体部2010と、制御部2003と、を有する。制御部2003は、例えばプロセッサーおよびメモリーを含み、電気光学装置100の動作を制御する。
【0073】
図11は、電子機器の一例であるスマートフォン3000を示す平面図である。スマートフォン3000は、操作ボタン3001と、各種の画像を表示する電気光学装置100と、制御部3002と、を有する。操作ボタン3001の操作に応じて電気光学装置100に表示される画面内容が変更される。制御部3002は、例えばプロセッサーおよびメモリーを含み、電気光学装置100の動作を制御する。
【0074】
図12は、電子機器の一例であるプロジェクターを示す模式図である。投射型表示装置4000は、例えば、3板式のプロジェクターである。電気光学装置1rは、赤色の表示色に対応する電気光学装置100であり、電気光学装置1gは、緑の表示色に対応する電気光学装置100であり、電気光学装置1bは、青色の表示色に対応する電気光学装置100である。すなわち、投射型表示装置4000は、赤、緑および青の表示色に各々対応する3個の電気光学装置1r、1g、1bを有する。制御部4005は、例えばプロセッサーおよびメモリーを含み、電気光学装置100の動作を制御する。
【0075】
照明光学系4001は、光源である照明装置4002からの出射光のうち赤色成分rを電気光学装置1rに供給し、緑色成分gを電気光学装置1gに供給し、青色成分bを電気光学装置1bに供給する。各電気光学装置1r、1g、1bは、照明光学系4001から供給される各単色光を表示画像に応じて変調するライトバルブ等の光変調器として機能する。投射光学系4003は、各電気光学装置1r、1g、1bからの出射光を合成して投射面4004に投射する。
【0076】
以上の電子機器は、前述の電気光学装置100と、制御部2003、3002または4005と、を備える。前述のように、電気光学装置100はトランジスター23に対する遮光性に優れることにより画素の輝度ムラ等の表示不具合を抑制されている。したがって、電気光学装置100を備えることで、パーソナルコンピューター2000、スマートフォン3000または投射型表示装置4000の表示品位を高めることができる。
【0077】
なお、本発明の電気光学装置が適用される電子機器としては、例示した機器に限定されず、例えば、PDA(Personal Digital Assistants)、デジタルスチルカメラ、テレビ、ビデオカメラ、カーナビゲーション装置、車載用の表示器、電子手帳、電子ペーパー、電卓、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、およびPOS(Point of sale)端末等が挙げられる。さらに、本発明が適用される電子機器としては、プリンター、スキャナー、複写機、ビデオプレーヤー、またはタッチパネルを備えた機器等が挙げられる。
【0078】
以上、好適な実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は前述の実施形態に限定されない。また、本発明の各部の構成は、前述の実施形態の同様の機能を発揮する任意の構成に置換でき、また、任意の構成を付加できる。
【0079】
また、前述した説明では、本発明の電気光学装置の一例として液晶表示装置について説明したが、本発明の電気光学装置はこれに限定されない。例えば、本発明の電気光学装置は、イメージセンサー等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0080】
2…素子基板、3…対向基板、4…シール部材、5…液晶層、6…スペーサー、11…走査線駆動回路、12…データ線駆動回路、13…外部端子、21…第1基板、22…積層体、23…トランジスター、25…画素電極、26…容量素子、29…第1配向膜、31…第2基板、32…絶縁層、33…共通電極、34…第2配向膜、100…電気光学装置、221…絶縁膜、222…絶縁膜、223…絶縁膜、224…絶縁膜、225…絶縁膜、226…絶縁膜、227…絶縁膜、228…絶縁膜、229…絶縁膜、231…半導体層、231a…チャネル領域、231b…ドレイン領域、231c…ソース領域、231d…低濃度ドレイン領域、231e…低濃度ソース領域、232…ゲート電極、233…ゲート絶縁膜、241…走査線、242…データ線、243…定電位線、244…遮光膜、245…第1ドレイン中継電極、246…ソース中継電極、247…第2ドレイン中継電極、261…第1電極、262…第2電極、263…誘電体層、271…コンタクト、272…コンタクト、273…コンタクト、274…コンタクト、275…コンタクト、276…コンタクト、277…コンタクト、278…コンタクト、279…コンタクト、280…コンタクト、A10…表示領域、A20…周辺領域、F1…界面、F2…界面、F3…界面、F4…界面、F5…界面、L1…反射光、L2…反射光、L3…反射光、L4…反射光、L5…反射光、LL…光、P…画素、d1…膜厚、d2…合計膜厚、d21…膜厚、d22…膜厚、d3…膜厚、d4…膜厚。