(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】自動運転車両、自動運転車両の制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
B60W 30/10 20060101AFI20241001BHJP
B60W 60/00 20200101ALI20241001BHJP
B60W 50/14 20200101ALI20241001BHJP
B60W 40/08 20120101ALI20241001BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
B60W30/10
B60W60/00
B60W50/14
B60W40/08
G08G1/16 C
(21)【出願番号】P 2021009092
(22)【出願日】2021-01-22
【審査請求日】2023-08-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100187311
【氏名又は名称】小飛山 悟史
(74)【代理人】
【識別番号】100161425
【氏名又は名称】大森 鉄平
(72)【発明者】
【氏名】丸山 俊
(72)【発明者】
【氏名】谷本 充隆
(72)【発明者】
【氏名】青木 裕
【審査官】平井 功
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-83236(JP,A)
【文献】特開2018-52495(JP,A)
【文献】特開2019-175097(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-60/00
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動運転を実行可能な自動運転車両であって、
横加速度センサから検出された前記自動運転車両の横加速度、ヨーレートセンサから検出された前記自動運転車両のヨーレート、車速センサから検出された前記自動運転車両の車速、及びステアリングセンサから検出された前記自動運転車両の操舵角に基づいて、直進状態の前記自動運転車両の操舵角である第一基準直進舵角を取得する第一基準直進舵角取得部と、
前記自動運転車両の操舵角から推定された推定ヨーレートと前記ヨーレートセンサから検出された前記自動運転車両のヨーレートの差分の大きさがヨーレート閾値未満である場合の前記操舵角である第二基準直進舵角を取得する第二基準直進舵角取得部と、
前記第一基準直進舵角及び前記第二基準直進舵角の両方が取得されている場合に前記自動運転車両の前記自動運転を許可し、前記第一基準直進舵角又は前記第二基準直進舵角が取得されていない場合には前記自動運転車両の前記自動運転を許可しない自動運転許可部と、
を備え、
前記自動運転許可部は、前記第一基準直進舵角が取得されているが前記第二基準直進舵角が取得されていない場合に、前記自動運転車両の運転者にステアリング保持要求を行い、前記自動運転車両の前記自動運転を許可する、自動運転車両。
【請求項2】
前記運転者がステアリング保持を行っているか否かを判定するステアリング保持判定部を更に備え、
前記自動運転許可部は、前記ステアリング保持要求により前記自動運転が許可された後、前記第二基準直進舵角が取得されないまま前記運転者がステアリング保持を行っていないと判定されている間、前記運転者にステアリング保持要求を繰り返す、請求項1に記載の自動運転車両。
【請求項3】
前記運転者がステアリング保持を行っているか否かを判定するステアリング保持判定部を更に備え、
前記自動運転許可部は、前記ステアリング保持要求により前記自動運転が許可された後、前記第二基準直進舵角が取得されないまま前記運転者がステアリング保持を行っていないと判定されている時間が一定時間以上継続した場合、前記自動運転の許可を取り消す、請求項1に記載の自動運転車両。
【請求項4】
自動運転を実行可能な自動運転車両の制御方法であって、
前記自動運転車両の自動運転ECUによって、横加速度センサから検出された前記自動運転車両の横加速度、ヨーレートセンサから検出された前記自動運転車両のヨーレート、車速センサから検出された前記自動運転車両の車速、及びステアリングセンサから検出された前記自動運転車両の操舵角に基づいて、直進状態の前記自動運転車両の操舵角である第一基準直進舵角を取得する第一基準直進舵角取得ステップと、
前記自動運転車両の前記自動運転ECUによって、前記自動運転車両の操舵角から推定された推定ヨーレートと前記ヨーレートセンサから検出された前記自動運転車両のヨーレートの差分の大きさがヨーレート閾値未満である場合の前記操舵角である第二基準直進舵角を取得する第二基準直進舵角取得ステップと、
前記自動運転車両の前記自動運転ECUによって、前記第一基準直進舵角及び前記第二基準直進舵角の両方が取得されている場合に前記自動運転車両の前記自動運転を許可し、前記第一基準直進舵角又は前記第二基準直進舵角が取得されていない場合には前記自動運転車両の前記自動運転を許可しない自動運転許可ステップと、
を含み、
前記自動運転許可ステップにおいて、
前記自動運転ECUは、前記第一基準直進舵角が取得されているが前記第二基準直進舵角が取得されていない場合に、前記自動運転車両の運転者にステアリング保持要求を行うことで、前記自動運転車両の前記自動運転を許可する、自動運転車両の制御方法。
【請求項5】
自動運転車両の自動運転ECUを動作させるプログラムであって、
横加速度センサから検出された前記自動運転車両の横加速度、ヨーレートセンサから検出された前記自動運転車両のヨーレート、車速センサから検出された前記自動運転車両の車速、及びステアリングセンサから検出された前記自動運転車両の操舵角に基づいて、直進状態の前記自動運転車両の操舵角である第一基準直進舵角を取得する第一基準直進舵角取得部、
前記自動運転車両の操舵角から推定された推定ヨーレートと前記ヨーレートセンサから検出された前記自動運転車両のヨーレートの差分の大きさがヨーレート閾値未満である場合の前記操舵角である第二基準直進舵角を取得する第二基準直進舵角取得部、
及び、
前記第一基準直進舵角及び前記第二基準直進舵角の両方が取得されている場合に前記自動運転車両の自動運転を許可し、前記第一基準直進舵角又は前記第二基準直進舵角が取得されていない場合には前記自動運転車両の前記自動運転を許可しない自動運転許可部、
として前記自動運転ECUを動作させ、
前記自動運転許可部において、前記第一基準直進舵角が取得されているが前記第二基準直進舵角が取得されていない場合に、前記自動運転車両の運転者にステアリング保持要求を行い、前記自動運転車両の前記自動運転を許可させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動運転車両、自動運転車両の制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両挙動に関する技術文献として、特開2019-093765号公報が知られている。この公報には、操舵角から演算した規範ヨーレートと実ヨーレートとの差から車両の挙動が不安定であると判定する装置が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、自動運転を行うためには、直進舵角などの車両制御に用いる基準を全て取得することが望ましい。しかしながら、厳密に基準の取得を自動運転の必須条件とすると、基準の取得が完了するまでは自動運転を開始できずに自動運転の稼働率の低下を招いてしまう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、自動運転を実行可能な自動運転車両であって、横加速度センサから検出された自動運転車両の横加速度、ヨーレートセンサから検出された自動運転車両のヨーレート、車速センサから検出された自動運転車両の車速、及びステアリングセンサから検出された自動運転車両の操舵角に基づいて、直進状態の自動運転車両の操舵角である第一基準直進舵角を取得する第一基準直進舵角取得部と、自動運転車両の操舵角から推定された推定ヨーレートとヨーレートセンサから検出された自動運転車両のヨーレートの差分の大きさがヨーレート閾値未満である場合の操舵角である第二基準直進舵角を取得する第二基準直進舵角取得部と、第一基準直進舵角及び第二基準直進舵角の両方が取得されている場合に自動運転車両の自動運転を許可し、第一基準直進舵角又は第二基準直進舵角が取得されていない場合には自動運転車両の自動運転を許可しない自動運転許可部と、を備え、自動運転許可部は、第一基準直進舵角が取得されているが第二基準直進舵角が取得されていない場合に、自動運転車両の運転者にステアリング保持要求を行い、自動運転車両の自動運転を許可する。
【0006】
本発明の一態様に係る自動運転車両によれば、第一基準直進舵角が取得されているが第二基準直進舵角が取得されていないため自動運転を許可できない場合において、運転者にステアリング保持要求を行って自動運転車両の操舵安定性を担保することで自動運転を許可することにより、第一基準直進舵角及び第二基準直進舵角の両方が取得されるまで自動運転を許可しないときと比べて、自動運転の稼働率を高めることができる。
【0007】
上述した本発明の一態様に係る自動運転車両において、運転者がステアリング保持を行っているか否かを判定するステアリング保持判定部を更に備え、自動運転許可部は、ステアリング保持要求により自動運転が許可された後、第二基準直進舵角が取得されないまま運転者がステアリング保持を行っていないと判定されている間、運転者にステアリング保持要求を繰り返してもよい。
この自動運転車両によれば、運転者がステアリング保持要求に応じてステアリング保持を行わない場合にはステアリング保持要求が繰り返されるので、自動運転が許可された状態でステアリング保持を行っていない運転者のステアリング保持を促すことができる。
【0008】
上述した本発明の一態様に係る自動運転車両において、運転者がステアリング保持を行っているか否かを判定するステアリング保持判定部を更に備え、自動運転許可部は、ステアリング保持要求により自動運転が許可された後、第二基準直進舵角が取得されないまま運転者がステアリング保持を行っていないと判定されている時間が一定時間以上継続した場合、自動運転の許可を取り消してもよい。
この自動運転車両によれば、ステアリング保持要求により自動運転が許可された後、第二基準直進舵角が取得されないまま運転者がステアリング保持を行っていないと判定されている時間が一定時間以上継続した場合に自動運転の許可を取り消すので、第二基準直進舵角の取得運転者のステアリング保持が行われないまま自動運転が継続されることを避けることができる。
【0009】
本発明の他の態様は、自動運転を実行可能な自動運転車両の制御方法であって、自動運転車両の自動運転ECUによって、横加速度センサから検出された自動運転車両の横加速度、ヨーレートセンサから検出された自動運転車両のヨーレート、車速センサから検出された自動運転車両の車速、及びステアリングセンサから検出された自動運転車両の操舵角に基づいて、直進状態の自動運転車両の操舵角である第一基準直進舵角を取得する第一基準直進舵角取得ステップと、自動運転車両の自動運転ECUによって、自動運転車両の操舵角から推定された推定ヨーレートとヨーレートセンサから検出された自動運転車両のヨーレートの差分の大きさがヨーレート閾値未満である場合の操舵角である第二基準直進舵角を取得する第二基準直進舵角取得ステップと、自動運転車両の自動運転ECUによって、第一基準直進舵角及び第二基準直進舵角の両方が取得されている場合に自動運転車両の自動運転を許可し、第一基準直進舵角又は第二基準直進舵角が取得されていない場合には自動運転車両の自動運転を許可しない自動運転許可ステップと、を含み、自動運転許可ステップにおいて、自動運転ECUは、第一基準直進舵角が取得されているが第二基準直進舵角が取得されていない場合に、自動運転車両の運転者にステアリング保持要求を行うことで、自動運転車両の自動運転を許可する。
【0010】
本発明の他の態様に係る自動運転車両の制御方法によれば、第一基準直進舵角が取得されているが第二基準直進舵角が取得されていないため自動運転を許可できない場合において、運転者にステアリング保持要求を行って自動運転車両の操舵安定性を担保することで自動運転を許可することにより、第一基準直進舵角及び第二基準直進舵角の両方が取得されるまで自動運転を許可しないときと比べて、自動運転の稼働率を高めることができる。
【0011】
本発明の更に他の態様は、自動運転車両の自動運転ECUを動作させるプログラムであって、横加速度センサから検出された自動運転車両の横加速度、ヨーレートセンサから検出された自動運転車両のヨーレート、車速センサから検出された自動運転車両の車速、及びステアリングセンサから検出された自動運転車両の操舵角に基づいて、直進状態の自動運転車両の操舵角である第一基準直進舵角を取得する第一基準直進舵角取得部、自動運転車両の操舵角から推定された推定ヨーレートとヨーレートセンサから検出された自動運転車両のヨーレートの差分の大きさがヨーレート閾値未満である場合の操舵角である第二基準直進舵角を取得する第二基準直進舵角取得部、及び、第一基準直進舵角及び第二基準直進舵角の両方が取得されている場合に自動運転車両の自動運転を許可し、第一基準直進舵角又は第二基準直進舵角が取得されていない場合には自動運転車両の自動運転を許可しない自動運転許可部、として自動運転ECUを動作させ、自動運転許可部において、第一基準直進舵角が取得されているが第二基準直進舵角が取得されていない場合に、自動運転車両の運転者にステアリング保持要求を行い、自動運転車両の自動運転を許可させる。
【0012】
本発明の更に他の態様に係るプログラムによれば、第一基準直進舵角が取得されているが第二基準直進舵角が取得されていないため自動運転を許可できない場合において、運転者にステアリング保持要求を行って自動運転車両の操舵安定性を担保することで自動運転を許可することにより、第一基準直進舵角及び第二基準直進舵角の両方が取得されるまで自動運転を許可しないときと比べて、自動運転の稼働率を高めることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の各態様によれば、自動運転の稼働率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】一実施形態に係る自動運転車両を示すブロック図である。
【
図2】自動運転許可のタイミングチャートの一例を示す図である。
【
図3】ステアリング保持判定によりステアリング保持要求が終了した場合のタイミングチャートの一例を示す図である。
【
図4】ステアリング保持が行われないことにより自動運転の許可が取り消された場合のタイミングチャートの一例を示す図である。
【
図5】自動運転許可処理の一例を示すフローチャートである。
【
図6】自動運転取り消し処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0016】
図1は、一実施形態に係る自動運転車両を示すブロック図である。
図1に示す自動運転車両1は、自動運転を実行可能な自動運転機能を有する車両である。自動運転車両1は例えば四輪車である。自動運転車両1は、四輪以上の車輪数を有する車両であってもよく、二輪車又は三輪車であってもよい。自動運転とは、自動運転車両1の走行する道路又は予め設定された経路[path]に沿って自動で車両を走行させる車両制御である。
【0017】
[自動運転車両の構成]
自動運転車両1は、自動運転を実現するための自動運転ECU10を備えている。自動運転ECU10は、CPU[Central Processing Unit]とROM[Read OnlyMemory]又はRAM[Random Access Memory]などの記憶部を有する電子制御ユニットである。自動運転ECU10では、例えば、記憶部に記憶されているプログラムをCPUで動作させることにより各種の機能を実現する。自動運転ECU10は、複数の電子ユニットから構成されていてもよい。
【0018】
自動運転ECU10には、車速センサ2、横加速度センサ3、ヨーレートセンサ4、ステアリングセンサ5、ステアリング保持センサ6、及びHMI7が接続されている。
【0019】
車速センサ2は、自動運転車両1の速度を検出する検出器である。車速センサとしては、例えば、自動運転車両1の車輪又は車輪と一体に回転するドライブシャフト等に対して設けられ、車輪の回転速度を検出する車輪速センサが用いられる。車速センサは、検出した車速情報(車輪速情報)を自動運転ECU10に送信する。
【0020】
横加速度センサ3は、自動運転車両1の横加速度を検出する検出器である。横加速度センサ3は、例えば静電容量式加速度センサを用いることができる。なお、横加速度センサ3は、前後加速度センサと一体のセンサとして構成されていてもよい。横加速度センサ3は、自動運転車両1の横加速度情報を自動運転ECU10に送信する。
【0021】
ヨーレートセンサ4は、自動運転車両1の重心の鉛直軸周りのヨーレート(回転角速度)を検出する検出器である。ヨーレートセンサ4としては、例えばジャイロセンサを用いることができる。ヨーレートセンサ4は、検出した自動運転車両1のヨーレート情報を自動運転ECU10へ送信する。
【0022】
ステアリングセンサ5は、自動運転車両1の操舵角を検出する検出器である。ステアリングセンサ5は、例えばステアリングシャフトに設けられて自動運転車両1の操舵角を検出する。ステアリングセンサ5は、検出した自動運転車両1の操舵角情報を自動運転ECU10へ送信する。
【0023】
ステアリング保持センサ6は、運転者のステアリングホイールの保持を検出する検出器である。ステアリング保持センサ6は、例えばステアリングホイールに設けられ、ステアリングホイールの把持力を検出する圧力センサとすることができる。ステアリング保持センサ6は、運転者によるステアリングホイールの保持情報を自動運転ECU10へ送信する。なお、ステアリング保持センサ6は必ずしも設ける必要はない。ステアリングセンサ5による操舵角の挙動変化から運転者のステアリングホイールの保持を検出してもよい。
【0024】
HMI[Human Machine Interface]7は、自動運転車両1と運転者を含む乗員との間で情報の入出力を行うためのインターフェイスである。HMI7は、ディスプレイ及びスピーカを備えている。HMI7は、自動運転ECU10からの制御信号に応じてディスプレイの画像出力及びスピーカからの音声出力を行う。ディスプレイにはメータ表示部が含まれてもよい。
【0025】
次に、自動運転ECU10の機能的構成について説明する。
図1に示すように、自動運転ECU10は、自動運転要求認識部11、走行状態認識部12、第一基準直進舵角取得部13、推定ヨーレート演算部14、第二基準直進舵角取得部15、自動運転許可部16、及びステアリング保持判定部17を有している。
【0026】
自動運転要求認識部11は、運転者を含む自動運転車両1のユーザによる自動運転開始の要求が行われていることを認識する。自動運転要求認識部11は、例えば運転者による自動運転開始ボタンの操作によって自動運転開始の要求を認識する。自動運転要求認識部11は、運転者の音声認識やユーザ携帯端末の指示から自動運転開始の要求を認識してもよい。自動運転要求認識部11は、ユーザによる事前設定によってエンジン起動と共に自動運転開始の要求が行われていることを認識してもよい。自動運転開始の要求の認識方法は特に限定されず、周知の様々な手法を採用できる。
【0027】
走行状態認識部12は、自動運転車両の走行状態を認識する。走行状態には、自動運転車両の車速、自動運転車両の横加速度、自動運転車両のヨーレート、及び自動運転車両の操舵角情報が含まれる。具体的に、走行状態認識部12は、車速センサ2の車速情報に基づいて、自動運転車両の車速を認識する。走行状態認識部12は、横加速度センサ3の加速度情報に基づいて、自動運転車両の横加速度を認識する。走行状態認識部12は、ヨーレートセンサ4のヨーレート情報に基づいて、自動運転車両のヨーレートを認識する。走行状態認識部12は、ステアリングセンサ5の操舵角情報に基づいて、自動運転車両の操舵角を認識する。
【0028】
第一基準直進舵角取得部13は、自動運転要求認識部11により自動運転開始の要求が認識されている場合、自動運転制御用の第一基準直進舵角を取得する。自動運転制御用の第一基準直進舵角とは、自動運転における車両制御のために用いられる直進舵角の基準である。
【0029】
第一基準直進舵角取得部13は、車速センサ2から検出された車速、横加速度センサ3から検出された横加速度、ヨーレートセンサ4から検出されたヨーレート、及びステアリングセンサ5から検出された操舵角に基づいて、直進状態の自動運転車両1の操舵角である自動運転制御用の第一基準直進舵角を取得する。
【0030】
具体的に、第一基準直進舵角取得部13は、車速センサ2の検出した車速、横加速度センサ3の検出した横加速度、及びヨーレートセンサ4の検出したヨーレートに基づいて、自動運転車両1が直進状態であるか否かを判定する。第一基準直進舵角取得部13は、例えば車速が直進判定用の車速判定閾値以上であり、横加速度が直進判定用の横加速度判定閾値未満であり、ヨーレートが直進判定用のヨーレート判定閾値未満である場合、自動運転車両1が直進状態であると判定する。車速判定閾値、横加速度判定閾値、及びヨーレート判定閾値は予め設定された値の閾値である。
【0031】
第一基準直進舵角取得部13は、直進状態の自動運転車両1の操舵角の所定時間における平均値を第一基準直進舵角として取得する。所定時間は特に限定されないが、例えば20秒としてもよい。なお、第一基準直進舵角取得部13は、必ずしも第一基準直進舵角の取得に平均値を用いる必要はなく、中央値であってもよく、直進状態における操舵角の検出結果から所定の演算式で第一基準直進舵角を求めてもよい。
【0032】
推定ヨーレート演算部14は、ステアリングセンサ5の検出した操舵角に基づいて、自動運転車両1に生じる推定ヨーレートを演算する。推定ヨーレートは、操舵角の変化から推定されるヨーレートである。推定ヨーレートの演算方法としては周知の様々な手法を採用できる。
【0033】
第二基準直進舵角取得部15は、自動運転要求認識部11により自動運転開始の要求が認識されている場合に、車両挙動判定用の第二基準直進舵角を取得する。車両挙動判定用の第二基準直進舵角とは、自動運転中の自動運転車両1の車両挙動の異常を判定するための直進舵角の基準である。車両挙動判定では、例えば横風などにより自動運転車両1の姿勢が不安定となっているか否かを判定する。車両挙動判定は、例えばS-VSC[Steering-assisted Vehicle Stability Control]などの周知の車両安定制御の実行に利用される。
【0034】
第二基準直進舵角取得部15は、推定ヨーレート演算部14の演算した推定ヨーレートとヨーレートセンサ4の検出したヨーレート(実ヨーレート)の差分であるヨーレート偏差がヨーレート閾値未満であるときの操舵角(ステアリングセンサ5の検出した操舵角)から、第二基準直進舵角を取得する。ヨーレート閾値は、第二基準直進舵角を取得するために予め設定された値の閾値である。ヨーレート閾値は、ゼロであってもよい。
【0035】
第二基準直進舵角取得部15は、例えば、ヨーレート偏差がヨーレート閾値未満であるときの操舵角の所定時間における平均値を第二基準直進舵角として取得する。所定時間は特に限定されず、例えば20秒である。第二基準直進舵角取得部15は、必ずしも第二基準直進舵角の取得に平均値を用いる必要はなく、中央値であってもよい。第二基準直進舵角取得部15は、ヨーレート偏差がヨーレート閾値未満となった瞬間の操舵角の検出値を第二基準直進舵角として取得してもよく、ヨーレート偏差がヨーレート閾値未満のときの操舵角の検出値から所定の演算式で第二基準直進舵角を求めてもよい。
【0036】
自動運転許可部16は、第一基準直進舵角取得部13により第一基準直進舵角が取得され、且つ、第二基準直進舵角取得部15により第二基準直進舵角が取得された場合、自動運転車両1の自動運転を許可する。一方、自動運転許可部16は、第一基準直進舵角又は第二基準直進舵角が取得されていない場合、基本的に自動運転を許可しない。
【0037】
自動運転許可部16は、自動運転要求認識部11により自動運転開始の要求が認識され、第一基準直進舵角取得部13により第一基準直進舵角が取得されたが、第二基準直進舵角取得部15により第二基準直進舵角が取得されていない場合に、自動運転車両1の運転者にステアリング保持要求を行い、自動運転車両1の自動運転を許可する。
【0038】
ステアリング保持要求とは、運転者に自動運転車両1のステアリングホイールを保持させる要求である。ステアリング保持要求は、例えば自動運転車両1のディスプレイの画像表示によって行われる。自動運転許可部16は、HMI7に制御信号を送信してステアリング保持要求を実行する。
【0039】
ディスプレイの画像表示には、メータ表示部におけるアイコン表示やテキスト表示が含まれていてもよく、MID[Multi Information Display]におけるアイコン表示が含まれていてもよく、HUD[Head Up Display]による自動運転車両1のフロントウインドウへの画像又はテキストの投影表示が含まれてもよい。ステアリング保持要求は、ステアリングホイールに設けられた点灯部の点滅によって行われてもよく、自動運転車両1のスピーカからの音出力(又は音声出力)によって行われてもよい。
【0040】
ここで、
図2は、自動運転許可のタイミングチャートの一例を示す図である。ここでは、自動運転要求認識部11により自動運転開始の要求が認識されているとする。
図2の(a)は、第一基準直進舵角の取得タイミングを示すチャートである。
図2の(b)は、第二基準直進舵角の取得タイミングを示すチャートである。
図2の(c)は、ステアリング保持要求のタイミングを示すチャートである。
図2の(d)は、自動運転許可のタイミングを示すチャートである。
図2に第一基準直進舵角が取得された時刻T1と第二基準直進舵角が取得された時刻T2を示す。時刻T2は、時刻T1より後の時刻である。
【0041】
図2に示す時刻T1において、自動運転許可部16は、第一基準直進舵角が取得されたが第二基準直進舵角が未だ取得されていないため、運転者に対するステアリング保持要求を実行する。時刻T2において、自動運転許可部16は、第二基準直進舵角が取得されたため、運転者に対するステアリング保持要求を終了する。
【0042】
また、
図2に示すように、自動運転許可部16は、時刻T1において第一基準直進舵角が取得された一方で第二基準直進舵角が取得されていないが、運転者に対するステアリング保持要求が行われたため自動運転を許可する。これにより、自動運転車両1では、第二基準直進舵角が取得されるまで自動運転を許可しない場合と比べて、時刻T1から自動運転を許可することが可能となるので自動運転の稼働率を向上させることができる。
【0043】
なお、自動運転許可部16は、必ずしも運転者に対するステアリング保持要求と同時に自動運転を許可する必要はない。自動運転許可部16は、運転者に対するステアリング保持要求が行われてから所定の余裕時間が経過した後に、自動運転の許可を行ってもよい。
【0044】
なお、自動運転許可部16により自動運転が許可されても必ずしも自動運転車両1の自動運転が実行されるわけではない。自動運転車両1は、車両の外部環境を検出する全てのセンサの故障などにより予め決められた自動運転条件が満たされない場合には自動運転を実行しない。
【0045】
ステアリング保持判定部17は、自動運転許可部16により運転者に対するステアリング保持要求が行われた場合、運転者がステアリング保持を行っているか否かを判定する。ステアリング保持とは、運転者がステアリングホイールを保持することである。ステアリング保持は、直進状態に保持することに限ってもよい。
【0046】
ステアリング保持判定部17は、例えばステアリング保持センサ6の検出結果に基づいて、運転者がステアリングホイールを保持した状態を一定時間以上継続した場合に、運転者がステアリング保持を行っていると判定する。なお、ステアリング保持判定部17は、ステアリングセンサ5から検出された操舵角の変化に基づいて、運転者がステアリングホイールを保持したか否かを判定してもよい。ステアリング保持判定部17は、運転者を撮像するドライバモニタカメラの撮像画像などを用いてステアリング保持の判定を行ってもよい。ステアリング保持の判定方法は特に限定されず、周知の様々な手法を採用できる。
【0047】
自動運転許可部16は、ステアリング保持判定部17により運転者のステアリング保持が判定されない場合、第二基準直進舵角取得部15により第二基準直進舵角が取得されるまでステアリング保持要求を繰り返す。言い換えれば、自動運転許可部16は、ステアリング保持判定部17により運転者のステアリング保持が判定された場合、第二基準直進舵角が取得されていなくてもステアリング保持要求を終了する。
【0048】
ここで、
図3は、ステアリング保持判定によりステアリング保持要求が終了した場合のタイミングチャートの一例を示す図である。
図3の(a)、(b)、及び(d)は
図2と同様であるため説明を省略する。
【0049】
図3の(c)は、ステアリング保持要求の開始タイミング及び終了タイミングを示すチャートである。
図3の(e)は、ステアリング保持の判定タイミングを示すチャートである。
図3に運転者のステアリング保持が判定された時刻T3を示す。時刻T3は、時刻T1と時刻T2の間の時刻である。
【0050】
図3の時刻T1において、自動運転許可部16は、運転者に対するステアリング保持要求を行う。その後、自動運転許可部16は、時刻T3に運転者のステアリング保持が判定されるまでの間、運転者に対するステアリング保持要求を繰り返す。自動運転許可部16は、時刻T3における運転者のステアリング保持の判定によりステアリング保持要求を終了する。
【0051】
なお、自動運転許可部16は、最初のステアリング保持要求と比べて繰り返しのステアリング保持要求を運転者が気づきやすい態様(刺激度の強い態様)に変更してもよい。自動運転許可部16は、繰り返しのステアリング保持要求において、最初と比べて画像表示の輝度を高くしてもよい。自動運転許可部16は、最初のステアリング保持要求ではディスプレイからの画像表示しか行っていない場合に、繰り返しのステアリング保持要求ではスピーカからの音出力(又は音声出力)を追加してもよい。自動運転許可部16は、繰り返しの度に画像表示の輝度又は音出力の音量を高くしてもよい。自動運転許可部16は、繰り返しのステアリング保持要求においてステアリングホイール又は運転席の振動を追加してもよい。
【0052】
また、自動運転許可部16は、ステアリング保持判定部17により運転者のステアリング保持が判定されず、第二基準直進舵角取得部15により第二基準直進舵角が取得されないまま一定時間が経過した場合、自動運転の許可を取り消す。一定時間は特に限定されない。一定時間は3分間であってもよく、5分間であってもよく、1分間であってもよい。
【0053】
図4は、ステアリング保持が行われないことにより自動運転の許可が取り消された場合のタイミングチャートの一例を示す図である。
図4の(a)は、
図2と同様であるため説明を省略する。
図4の(b)は、第二基準直進舵角が長い時間取得できていない状態を示すチャートである。
図4の(c)は、ステアリング保持要求を行っている時間を示すチャートである。
図4の(d)は、自動運転許可が取り消されるまでの時間を示すチャートである。
図4の(e)は、運転者のステアリング保持が判定されない状況を示すチャートである。
図4に自動運転の許可が取り消された時刻T4と自動運転の許可が取り消されるまでの一定時間Tmを示す。時刻T4は、時刻T1より後の時刻である。
【0054】
図4に示すように、時刻T1において自動運転許可部16が運転者に対するステアリング保持要求を行うと共に自動運転を許可する。しかしながら、
図4では、第二基準直進舵角取得部により第二基準直進舵角が取得されず、ステアリング保持判定部17により運転者のステアリング保持が判定されないまま時間が経過する。この間、自動運転許可部16は、運転者に対するステアリング保持要求を繰り返す。
【0055】
図4の時刻T4において、自動運転許可部16は、第二基準直進舵角が取得されず運転者のステアリング保持が判定されないまま一定時間Tmが経過したため、自動運転の許可を取り消す。自動運転車両1は既に自動運転を行っていた場合には、運転者に自動運転の終了を通知して手動運転(運転支援状態)に移行する。
【0056】
[プログラム]
プログラムは、自動運転車両1の自動運転ECU10を上述した自動運転要求認識部11、走行状態認識部12、第一基準直進舵角取得部13、推定ヨーレート演算部14、第二基準直進舵角取得部15、自動運転許可部16、及びステアリング保持判定部17として機能(動作)させる。プログラムは、例えば、ROM又は半導体メモリなどの非一時的な記録媒体によって提供される。また、プログラムは、ネットワークなどの通信を介して提供されてもよい。
【0057】
[自動運転車両の制御方法]
次に、本実施形態に係る自動運転車両1の制御方法について図面を参照して説明する。
図5は、自動運転許可処理の一例を示すフローチャートである。自動運転許可処理は、例えば自動運転要求認識部11により自動運転開始の要求が認識された場合に実行される。
【0058】
図5に示すように、自動運転車両1の自動運転ECU10は、S10として、第一基準直進舵角取得部13により自動運転制御用の第一基準直進舵角を取得したか否かを判定する(第一基準直進舵角取得ステップ)。第一基準直進舵角取得部13は、車速センサ2から検出された車速、横加速度センサ3から検出された横加速度、ヨーレートセンサ4から検出されたヨーレート、及びステアリングセンサ5から検出された操舵角に基づいて、直進状態の自動運転車両1の操舵角である自動運転制御用の第一基準直進舵角を取得する。
【0059】
自動運転ECU10は、自動運転制御用の第一基準直進舵角を取得したと判定した場合(S10:YES)、S11に移行する。自動運転ECU10は、自動運転制御用の第一基準直進舵角を取得したと判定しなかった場合(S10:NO)、今回の処理を終了する。この場合、自動運転は許可されない。その後、自動運転ECU10は、再びS10の判定を繰り返す。
【0060】
S11において、自動運転ECU10は、第二基準直進舵角取得部15により車両挙動判定用の第二基準直進舵角を取得する(第二基準直進舵角取得ステップ)。第二基準直進舵角取得部15は、推定ヨーレート演算部14の演算した推定ヨーレートとヨーレートセンサ4の検出したヨーレートの差分であるヨーレート偏差がヨーレート閾値未満であるときの操舵角から、第二基準直進舵角を取得する。
【0061】
自動運転ECU10は、車両挙動判定用の第二基準直進舵角を取得したと判定した場合(S11:YES)、S13に移行する。自動運転ECU10は、車両挙動判定用の第二基準直進舵角を取得したと判定しなかった場合(S11:NO)、S12に移行する。
【0062】
S12において、自動運転ECU10は、自動運転許可部16により運転者に対するステアリング保持要求を行う(ステアリング保持要求ステップ)。ステアリング保持要求は、例えば自動運転車両1のメータ表示部に対する画像表示によって行われる。その後、自動運転ECU10はS13に移行する。
【0063】
S13において、自動運転ECU10は、自動運転許可部16による自動運転の許可を行う(自動運転許可ステップ)。その後、自動運転ECU10は、今回の自動運転許可処理を終了する。
【0064】
図6は、自動運転取り消し処理の一例を示すフローチャートである。自動運転取り消し処理は、
図5に示す自動運転許可処理において自動運転が許可され、且つ、第二基準直進舵角が取得されていない場合に実行される。なお、第二基準直進舵角が取得された場合には、自動運転取り消し処理の途中であっても処理を終了する。
【0065】
図6に示すように、自動運転ECU10は、S20として、ステアリング保持判定部17により運転者がステアリング保持を行っているか否かの判定を行う(ステアリング保持判定ステップ)。ステアリング保持判定部17は、例えばステアリング保持センサ6の検出結果に基づいて、運転者がステアリングホイールを保持した状態を一定時間以上継続した場合に、運転者がステアリング保持を行っていると判定する。
【0066】
自動運転ECU10は、運転者がステアリング保持を行っていると判定された場合(S20:YES)、S21に移行する。自動運転ECU10は、運転者がステアリング保持を行っていると判定されなかった場合(S20:NO)、S22に移行する。
【0067】
S21において、自動運転ECU10は、自動運転許可部16によるステアリング保持要求を終了させる(ステアリング保持要求終了ステップ)。その後、自動運転ECU10は、今回の自動運転取り消し処理を終了する。
【0068】
S22において、自動運転ECU10は、自動運転許可部16によるステアリング保持要求の繰り返しを行う(繰り返しステアリング保持要求ステップ)。自動運転許可部16は、HMI7に制御信号を送信して運転者に対するステアリング保持要求を繰り返す。なお、自動運転許可部16は、最初のステアリング保持要求と比べて繰り返しのステアリング保持要求を運転者が気づきやすい態様に変更してもよい。その後、自動運転ECU10はS23に移行する。
【0069】
S23において、自動運転ECU10は、ステアリング保持判定部17によりステアリング保持要求から運転者のステアリング保持が判定されない状態で一定時間が経過したか否かを判定する(一定時間判定ステップ)。自動運転ECU10は、運転者のステアリング保持が判定されない状態で一定時間が経過したと判定された場合(S23:YES)、S24に移行する。自動運転ECU10は、運転者のステアリング保持が判定されない状態で一定時間が経過したと判定されなかった場合(S23:NO)、今回の処理を終了する。その後、自動運転ECU10は、第二基準直進舵角が未だ取得されていない場合、S20から処理を繰り返す。
【0070】
S24において、自動運転ECU10は、自動運転許可部16により自動運転の許可の取り消しを行う(自動運転許可取り消しステップ)。自動運転ECU10は自動運転取り消し処理を終了する。
【0071】
以上説明した自動運転車両1(自動運転車両1の制御方法、及びプログラム)によれば、第一基準直進舵角が取得されているが第二基準直進舵角が取得されていないため、自動運転を許可できない場合において、運転者にステアリング保持要求を行って自動運転車両1の操舵安定性を担保することで自動運転を許可することにより、第一基準直進舵角及び第二基準直進舵角の両方が取得されるまで自動運転を許可しないときと比べて、自動運転の稼働率を高めることができる。
【0072】
また、自動運転車両1によれば、運転者がステアリング保持要求に応じてステアリング保持を行わない場合にはステアリング保持要求が繰り返されるので、自動運転が許可された状態でステアリング保持を行っていない運転者のステアリング保持を促すことができる。
【0073】
更に、自動運転車両1によれば、ステアリング保持要求により自動運転が許可された後、第二基準直進舵角が取得されないまま運転者がステアリング保持を行っていないと判定されている時間が一定時間以上継続した場合に自動運転の許可を取り消すので、第二基準直進舵角の取得運転者のステアリング保持が行われないまま自動運転が継続されることを避けることができる。
【0074】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。本発明は、上述した実施形態を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した様々な形態で実施することができる。
【0075】
自動運転車両1(自動運転車両1の制御方法、及びプログラム、以下同じ)は、必ずしもステアリング保持要求を繰り返す必要はない。ステアリング保持要求は一度だけ行われる態様であってもよい。
【0076】
自動運転車両1は、必ずしも運転者がステアリング保持を行っていない状態で一定時間が経過した場合に、自動運転の許可を取り消す必要はない。また、自動運転車両1は、運転者のステアリング保持を判定する必要はない。自動運転車両1は、ステアリング保持センサ6及びステアリング保持判定部17を有することは必須ではない。
【0077】
自動運転車両1は、第二基準直進舵角に加えて加速度センサの中点学習の取得を行った場合に、自動運転を許可する態様であってもよい。加速度センサは自動運転車両1の前後加速度及び横加速度を取得するセンサである。加速度センサの中点学習は周知の様々な手法を採用することができる。自動運転車両1の自動運転ECU10は、自動運転車両1の車速及びヨーレートが一定条件を満たす場合に、加速度センサの検出した加速度(前後加速度及び横加速度)に基づいて、加速度センサの中点学習を行う中点学習部を有していてもよい。この場合、自動運転許可部16は、第一基準直進舵角及び第二基準直進舵角が取得されたとしても、加速度センサの中点学習が完了するまでは自動運転を許可しないところ、運転者に対してステアリング保持要求を行ったときには、自動運転を許可してもよい。
【0078】
その他、自動運転車両1は、ステアリングセンサ5の異常により車両安定制御システムが未準備状態の場合、望遠カメラやライダーが不調の場合(遠方は検出できないがレーンキープは可能な場合)において、通常であれば自動運転を許可できないときであっても、運転者に対してステアリング保持要求を行うことで自動運転を許可してもよい。
【0079】
自動運転車両1は、自動運転ECU10、電動パワーステアリングシステム、ブレーキシステムなどの冗長性を確保するための冗長システム部分の故障(メインのシステムではなく冗長システムのみの故障)が生じた場合に、運転者に対してステアリング保持要求を行うことで自動運転を許可してもよい。
【符号の説明】
【0080】
1…自動運転車両(自動運転車両1の制御方法、及びプログラム)、1…自動運転車両(自動運転車両1の制御方法、及びプログラム、以下同じ)、2…車速センサ、3…横加速度センサ、4…ヨーレートセンサ、5…ステアリングセンサ、6…ステアリング保持センサ、7…HMI、10…自動運転ECU、11…自動運転要求認識部、12…走行状態認識部、13…第一基準直進舵角取得部、14…推定ヨーレート演算部、15…第二基準直進舵角取得部、16…自動運転許可部、17…ステアリング保持判定部。