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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】液体吐出ヘッドおよび液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/14 20060101AFI20241001BHJP
【FI】
B41J2/14 605
B41J2/14 305
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021011737
(22)【出願日】2021-01-28
(65)【公開番号】P2022115225
(43)【公開日】2022-08-09
【審査請求日】2024-01-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003177
【氏名又は名称】弁理士法人旺知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】玉井 捷太郎
(72)【発明者】
【氏名】片倉 孝浩
(72)【発明者】
【氏名】四十物 孝憲
(72)【発明者】
【氏名】大川 裕太
(72)【発明者】
【氏名】鷹合 仁司
【審査官】小宮山 文男
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-196238(JP,A)
【文献】特開2019-155768(JP,A)
【文献】特開2020-138372(JP,A)
【文献】特開2014-061695(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1圧力室と、前記第1圧力室に対して第1方向に隣り合う第2圧力室と、が設けられた圧力室基板と、
前記第1圧力室および前記第2圧力室に連通する第1連通路と、前記第1連通路とは異なる位置で前記第1圧力室および前記第2圧力室に連通する第1共通液室と、が設けられた連通板と、
前記第1連通路を介して前記第1圧力室および前記第2圧力室に共通に連通する第1ノズルが設けられたノズル基板と、を有し、
前記圧力室基板または前記連通板には、前記第1共通液室に連通し、かつ、前記第1圧力室および前記第2圧力室に共通に連通する第2連通路が設けられている、
ことを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項2】
前記第1圧力室および前記第2圧力室のそれぞれは、前記第1方向と交差する第2方向に沿って延びており、
前記第1連通路は、前記第1方向および前記第2方向に交差する第3方向に沿って延びている、
ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項3】
前記第1連通路は、
前記第1圧力室と前記第1ノズルとの間に介在する第1部分と、
前記第1部分に対して離れた位置で前記第2圧力室と前記第1ノズルとの間に介在する第2部分と、を含む、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項4】
前記連通板には、前記第1部分および前記第2部分のそれぞれと前記第1ノズルとの間に介在する部分を有する第1ノズル流路がさらに設けられる、
ことを特徴とする請求項3に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項5】
前記第1ノズル流路は、前記第1方向と交差する方向に沿って延びている、
ことを特徴とする請求項4に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項6】
前記第1圧力室および前記第2圧力室に対する前記第2連通路の開口での断面積の合計をAとし、
前記第1圧力室に対する前記第1部分の開口での断面積をBとし、
前記第2圧力室に対する前記第2部分の開口での断面積をCとしたとき、
A<B+Cの関係を満たす、
ことを特徴とする請求項3から5のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項7】
A>B、および、A>Cの関係を満たす、
ことを特徴とする請求項6に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項8】
A<B、および、A<Cの関係を満たす、
ことを特徴とする請求項6に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項9】
前記圧力室基板には、前記第2圧力室に対して前記第1方向に隣り合う第5圧力室がさらに設けられ、
前記ノズル基板には、前記第1ノズルに対して前記第1方向に隣り合い、かつ、前記第5圧力室に連通する第2ノズルがさらに設けられる、
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項10】
前記圧力室基板には、前記第5圧力室に対して前記第1方向に隣り合う第6圧力室がさらに設けられ、
前記第2ノズルは、前記第5圧力室および前記第6圧力室に共通に連通する、
ことを特徴とする請求項9に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項11】
前記圧力室基板は、前記第2圧力室に対して前記第1方向に隣り合う第5圧力室がさらに設けられ、
前記第1ノズルは、前記第1圧力室および前記第2圧力室に加えて前記第5圧力室に共通に連通する、
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項12】
前記第1共通液室は、前記第1圧力室および前記第2圧力室に供給される液体を収容する液室である、
ことを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項13】
前記第1共通液室は、前記第1圧力室および前記第2圧力室から排出される液体を収容する液室である、
ことを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項14】
前記圧力室基板には、
前記第1圧力室に対して前記第1方向と交差する第2方向で異なる位置に配置された第3圧力室と、
前記第2圧力室に対して前記第2方向で異なる位置に配置され、かつ、前記第3圧力室に対して前記第1方向に隣り合う第4圧力室と、がさらに設けられ、
前記連通板には、前記第1共通液室に対して前記第2方向で異なる位置に配置され、かつ、前記第3圧力室および前記第4圧力室に連通する第2共通液室がさらに設けられ、
前記第1ノズルは、前記第1圧力室および前記第2圧力室に加えて前記第3圧力室および前記第4圧力室に共通に連通する、
ことを特徴とする請求項1から13のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項15】
前記圧力室基板または前記連通板には、前記第2共通液室に連通し、かつ、前記第3圧力室および前記第4圧力室に共通に連通する第3連通路がさらに設けられる、
ことを特徴とする請求項14に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項16】
前記第1共通液室は、前記第1圧力室および前記第2圧力室に供給する液体を収容する液室であり、
前記第2共通液室は、前記第3圧力室および前記第4圧力室に供給する液体を収容する液室である、
ことを特徴とする請求項14または15に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項17】
前記第1共通液室は、前記第1圧力室および前記第2圧力室に供給する液体を収容する液室であり、
前記第2共通液室は、前記第3圧力室および前記第4圧力室から排出される液体を収容する液室である、
ことを特徴とする請求項14または15に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項18】
前記圧力室基板には、前記第2連通路が設けられておらず、
前記連通板には、前記第2連通路が設けられる、
ことを特徴とする請求項1から17のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項19】
前記圧力室基板には、前記第2連通路が設けられる、
ことを特徴とする請求項1から17のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項20】
請求項1から19のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドと、
前記液体吐出ヘッドでの液体の吐出動作を制御する制御部と、を有する、
ことを特徴とする液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出ヘッドおよび液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
圧電方式のインクジェットプリンター等の液体吐出装置に設けられる液体吐出ヘッドは、一般に、ノズルと、ノズルに連通する圧力室と、圧力室の圧力を変化させる圧電素子と、を有する。
【0003】
インクの高粘度化または大粒径の液体の吐出等に対応するべく、例えば、特許文献1に記載されるように、複数の圧力室からの液体を1つのノズルから吐出させる装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-103418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の記載の装置では、ノズルの配列方向に交差する方向に並ぶ2つの圧力室が1つのノズルに連通する。これに対し、ノズルの配列方向に並ぶ2つの圧力室を1つのノズルに連通させた構成も考えられる。当該構成では、当該2の圧力室に対する液体の供給のための共通液室の数が1つで済む等の利点がある。しかし、当該構成を単に採用すると、各圧力室の圧力が共通液室に逃げやすくなるので、吐出性能の改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するために、本発明に係る液体吐出ヘッドの一態様は、第1圧力室と、前記第1圧力室に対して第1方向に隣り合う第2圧力室と、が設けられた圧力室基板と、前記第1圧力室および前記第2圧力室に連通する第1連通路と、前記第1連通路とは異なる位置で前記第1圧力室および前記第2圧力室に連通する第1共通液室と、が設けられた連通板と、前記第1連通路を介して前記第1圧力室および前記第2圧力室に共通に連通する第1ノズルが設けられたノズル基板と、を有し、前記圧力室基板または前記連通板には、前記第1共通液室に連通し、かつ、前記第1圧力室および前記第2圧力室に共通に連通する第2連通路が設けられている。
【0007】
本発明に係る液体吐出装置の一態様は、前述の態様の液体吐出ヘッドと、前記液体吐出ヘッドでの液体の吐出動作を制御する制御部と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係る液体吐出装置を模式的に示す構成図である。
図2】第1実施形態に係る液体吐出装置における液体の流路の説明図である。
図3】第1実施形態に係る液体吐出ヘッドの断面図である。
図4図3に示す液体吐出ヘッドの流路を概略的に示す平面図である。
図5図4中のB-B線断面図である。
図6】第2実施形態に係る液体吐出ヘッドの断面図である。
図7】第3実施形態に係る液体吐出ヘッドの断面図である。
図8図7に示す液体吐出ヘッドの流路を概略的に示す平面図である。
図9】第4実施形態に係る液体吐出ヘッドの断面図である。
図10図9に示す液体吐出ヘッドの流路を概略的に示す平面図である。
図11】第5実施形態に係る液体吐出ヘッドの流路を概略的に示す平面図である。
図12】第6実施形態に係る液体吐出装置における液体の流路の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態を説明する。なお、図面において各部の寸法および縮尺は実際と適宜に異なり、理解を容易にするために模式的に示している部分もある。また、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られない。
【0010】
なお、以下の説明は、便宜上、互いに交差するX軸、Y軸およびZ軸を適宜に用いて行う。また、以下の説明では、X軸に沿う一方向がX1方向であり、X1方向と反対の方向がX2方向である。同様に、Y軸に沿って互いに反対の方向がY1方向およびY2方向である。また、Z軸に沿って互いに反対の方向がZ1方向およびZ2方向である。Y1方向またはY2方向は、「第1方向」の一例である。X1方向またはX2方向は、「第2方向」の一例である。Z1方向またはZ2方向は、「第3方向」の一例である。また、Z軸に沿う方向でみることを「平面視」という場合がある。
【0011】
ここで、典型的には、Z軸が鉛直な軸であり、Z2方向が鉛直方向での下方向に相当する。ただし、Z軸は、鉛直な軸でなくともよい。また、X軸、Y軸およびZ軸は、典型的には互いに直交するが、これに限定されず、例えば、80°以上100°以下の範囲内の角度で交差すればよい。
【0012】
1.実施形態
1-1.液体吐出装置の全体構成
図1は、第1実施形態に係る液体吐出装置100を模式的に示す構成図である。液体吐出装置100は、液体の一例であるインクを液滴として媒体Mに吐出するインクジェット方式の印刷装置である。媒体Mは、典型的には印刷用紙である。なお、媒体Mは、印刷用紙に限定されず、例えば、樹脂フィルムまたは布帛等の任意の材質の印刷対象でもよい。
【0013】
図1に示すように、液体吐出装置100には、インクを貯留する液体容器10が装着される。液体容器10の具体的な態様としては、例えば、液体吐出装置100に着脱可能なカートリッジ、可撓性のフィルムで形成された袋状のインクパック、および、インクを補充可能なインクタンクが挙げられる。なお、液体容器10に貯留されるインクの種類は任意である。
【0014】
液体吐出装置100は、制御ユニット20と搬送機構30と移動機構40と液体吐出ヘッド50と循環機構60とを有する。
【0015】
制御ユニット20は、例えば、CPU(Central Processing Unit)またはFPGA(Field Programmable Gate Array)等の処理回路と半導体メモリー等の記憶回路とを含み、液体吐出装置100の各要素の動作を制御する。ここで、制御ユニット20は、「制御部」の一例であり、液体吐出ヘッド50でのインクの吐出動作を制御する。制御ユニット20は、1つのみ設けられていても良いし、複数設けられていても良い。
【0016】
搬送機構30は、制御ユニット20による制御のもとで、媒体MをY2方向に搬送する。移動機構40は、制御ユニット20による制御のもとで、液体吐出ヘッド50をX1方向とX2方向とに往復させる。図1に示す例では、移動機構40は、液体吐出ヘッド50を収容するキャリッジと称される略箱型の搬送体41と、搬送体41が固定される搬送ベルト42と、を有する。なお、搬送体41に搭載される液体吐出ヘッド50の数は、1個に限定されず、複数個でもよい。また、搬送体41には、液体吐出ヘッド50のほかに、前述の液体容器10が搭載されてもよい。
【0017】
液体吐出ヘッド50は、制御ユニット20による制御のもとで、液体容器10から循環機構60を介して供給されるインクを複数のノズルNのそれぞれから媒体Mに向けてZ2方向に吐出する。この吐出が搬送機構30による媒体Mの搬送と移動機構40による液体吐出ヘッド50の往復移動とに並行して行われることにより、媒体Mの表面にインクによる画像が形成される。
【0018】
循環機構60は、液体吐出ヘッド50にインクを供給するとともに、液体吐出ヘッド50から排出されるインクを液体吐出ヘッド50への再供給のために回収する機構である。このような循環機構60の動作により、インクの粘度上昇を抑えたり、インク内の気泡の滞留を低減したりすることができる。なお、循環機構60の構成については、後述の図2に基づいて説明する。
【0019】
1-2.液体吐出装置の流路
図2は、第1実施形態に係る液体吐出装置100における液体の流路の説明図である。
図2に示すように、液体吐出ヘッド50には、複数のノズルNと複数の個別流路Pと第1共通液室R1と第2共通液室R2とが設けられるとともに、循環機構60が接続される。
【0020】
複数のノズルNは、Y軸に沿って配列されており、複数のノズルNの集合は、ノズル列Lを構成する。複数のノズルNのそれぞれには、個別流路Pが連通する。
【0021】
複数の個別流路Pのそれぞれは、ノズルNごとに設けられる。各個別流路Pは、4つの圧力室Cと、ノズル流路Nfと、「第1連通路」の一例である連通路Na1と、「第4連通路」の一例である連通路Na2と、「第2連通路」の一例である連通路Ra1と、「第3連通路」の一例である連通路Ra2と、を含む。
【0022】
複数の個別流路Pにおける複数の圧力室Cは、Y軸に沿って配列される列L1に属する複数の圧力室Cと、列L1とはX1方向またはX2方向での異なる位置でY軸に沿って配列される列L2に属する複数の圧力室Cと、に区分される。
【0023】
ここで、各個別流路Pに含まれる4つの圧力室Cは、列L1に属する複数の圧力室Cのうち互いに隣り合う2つの圧力室Cと、列L2に属する複数の圧力室Cのうち互いに隣り合う2つの圧力室Cと、で構成される。
【0024】
なお、各個別流路Pの列L1に属する2つの圧力室Cのうち、一方の圧力室Cが後述の第1圧力室C_1に相当し、他方の圧力室Cが後述の第2圧力室C_2に相当する。各個別流路Pの列L2に属する2つの圧力室Cのうち、一方の圧力室Cが後述の第3圧力室C_3に相当し、他方の圧力室Cが後述の第4圧力室C_4に相当する。
【0025】
ただし、各個別流路Pの列L1に属する2つの圧力室Cのうち、他の個別流路Pの第2圧力室に隣り合う一方の圧力室Cは、後述の第5圧力室C_5に相当し、他方の圧力室Cは、後述の第6圧力室C_6に相当するともいえる。また、各個別流路Pの列L2に属する2つの圧力室Cのうち、他の個別流路Pの第2圧力室に隣り合う一方の圧力室Cは、後述の第7圧力室C_7に相当し、他方の圧力室Cは、後述の第8圧力室C_8に相当するともいえる。
【0026】
各個別流路Pにおける列L1の2つの圧力室Cと列L2の2つの圧力室Cとは、ノズル流路Nf、連通路Na1および連通路Na2を介して連通する。連通路Na1は、列L1の2つの圧力室Cとノズル流路Nfとの間に介在する。一方、連通路Na2は、列L2の2つの圧力室Cとノズル流路Nfとの間に介在する。各ノズル流路Nfには、ノズルNが設けられる。各ノズル流路Nfでは、前述の列L1の2つの圧力室Cと列L2の2つの圧力室Cとの圧力が変化することで、ノズルNからインクが吐出される。
【0027】
複数の個別流路Pのそれぞれには、第1共通液室R1および第2共通液室R2が連通する。第1共通液室R1は、各個別流路PのX1方向での端に接続されており、各個別流路Pにおいて連通路Ra1を介して列L1の2つの圧力室Cに連通する。第1共通液室R1には、各個別流路Pに供給するためのインクが貯留される。一方、第2共通液室R2は、各個別流路PのX2方向での端に接続されており、各個別流路Pにおいて連通路Ra2を介して列L2の2つの圧力室Cに連通する。第2共通液室R2には、吐出に供されずに各個別流路Pから排出されるインクが貯留される。
【0028】
第1共通液室R1および第2共通液室R2には、循環機構60が接続される。循環機構60は、第1共通液室R1にインクを供給するとともに、第2共通液室R2から排出されるインクを第1共通液室R1への再供給のために回収する。循環機構60は、第1供給ポンプ61と第2供給ポンプ62と貯留容器63と回収流路64と供給流路65とを有する。
【0029】
第1供給ポンプ61は、液体容器10に貯留されるインクを貯留容器63に供給するポンプである。貯留容器63は、液体容器10から供給されるインクを一時的に貯留するサブタンクである。回収流路64は、第2共通液室R2と貯留容器63との間に介在しており、第2共通液室R2からのインクを貯留容器63に回収するための流路である。貯留容器63には、液体容器10に貯留されるインクが第1供給ポンプ61から供給されるほか、各個別流路Pから第2共通液室R2に排出されるインクが回収流路64を介して供給される。第2供給ポンプ62は、貯留容器63に貯留されるインクを送出するポンプである。供給流路65は、第1共通液室R1と貯留容器63との間に介在しており、貯留容器63からのインクを第1共通液室R1に供給するための流路である。
【0030】
1-3.液体吐出ヘッドの全体構成
図3は、第1実施形態に係る液体吐出ヘッド50の断面図である。図3では、図2のA-A線断面図が示される。図3に示すように、液体吐出ヘッド50は、ノズル基板51と連通板52と圧力室基板53と振動板54と吸振体551および552と複数の圧電素子56と筐体部57と封止体58と配線基板59と駆動回路70とを有する。
【0031】
ここで、連通板52よりもZ1方向に位置する領域には、圧力室基板53と振動板54と複数の圧電素子56と筐体部57と封止体58とが設置される。他方、連通板52よりもZ2方向に位置する領域には、ノズル基板51と吸振体551と吸振体552とが設置される。このような液体吐出ヘッド50の構成要素のうち、ノズル基板51、連通板52、圧力室基板53および振動板54がこの順にZ1方向に向かって積層されており、この積層による構造体には、前述の第1共通液室R1、第2共通液室R2、複数の個別流路Pおよび複数のノズルNが設けられる。また、これらの各構成要素は、概略的にはY方向に長尺な板状部材であり、例えば接着剤により互いに接合される。
【0032】
ノズル基板51には、複数のノズルNが設けられる。複数のノズルNのそれぞれは、ノズル基板51を貫通する貫通孔であり、インクを通過させる。ノズル基板51は、例えば、半導体加工技術を用いてシリコン単結晶基板を加工することにより製造される。当該シリコン単結晶基板としては、例えば、(100)シリコン単結晶基板が好適に用いられる。
【0033】
連通板52には、第1共通液室R1および第2共通液室R2のそれぞれの一部と複数の個別流路Pにおける圧力室Cを除く部分とが設けられる。すなわち、個別流路Pを構成する要素のうち、ノズル流路Nf、連通路Na1、連通路Na2、連通路Ra1および連通路Ra2が連通板52に設けられる。
【0034】
第1共通液室R1および第2共通液室R2のそれぞれの当該一部は、連通板52を貫通する空間である。連通板52のZ2方向を向く面には、当該空間による開口を閉塞する吸振体551および吸振体552が設置される。
【0035】
吸振体551および吸振体552のそれぞれは、弾性材料で構成される層状部材である。吸振体551は、第1共通液室R1の壁面の一部を構成しており、第1共通液室R1における圧力変動を吸収する。同様に、吸振体552は、第2共通液室R2の壁面の一部を構成しており、第2共通液室R2における圧力変動を吸収する。
【0036】
ノズル流路Nfは、連通板52のZ2方向を向く面に設けられる溝内の空間である。ここで、ノズル基板51は、ノズル流路Nfの壁面の一部を構成する。連通路Na1、連通路Na2、連通路Ra1および連通路Ra2のそれぞれは、連通板52を貫通する空間であり、Z1方向およびZ2方向のそれぞれに向けて開口する。以上の連通板52は、例えば、半導体加工技術を用いてシリコン単結晶基板を加工することにより製造される。当該シリコン単結晶基板としては、例えば、(110)シリコン単結晶基板が好適に用いられる。なお、ノズル流路Nf、連通路Na1、連通路Na2、連通路Ra1および連通路Ra2の詳細については、後述の図4および図5に基づいて説明する。
【0037】
圧力室基板53には、複数の個別流路Pの圧力室Cが設けられる。各圧力室Cは、圧力室基板53を貫通しており、連通板52と振動板54との間における間隙である。圧力室基板53は、例えば、半導体加工技術を用いてシリコン単結晶基板を加工することにより製造される。当該シリコン単結晶基板としては、例えば、(110)シリコン単結晶基板が好適に用いられる。
【0038】
振動板54は、弾性的に振動可能な板状部材である。振動板54は、例えば、酸化シリコン(SiO)で構成される第1層と、酸化ジルコニウム(ZrO)で構成される第2層と、を含む積層体である。ここで、第1層と第2層との間には、金属酸化物等の他の層が介在してもよい。なお、振動板54の一部または全部は、圧力室基板53と同一材料で一体に構成されてもよい。例えば、所定厚の板状部材における圧力室Cに対応する領域について厚さ方向の一部を選択的に除去することで、振動板54および圧力室基板53を一体に形成することができる。また、振動板54は、単一材料の層で構成されてもよい。
【0039】
振動板54のZ1方向を向く面には、圧力室Cごとに対応して複数の圧電素子56が設置される。各圧電素子56は、例えば、互いに対向する第1電極および第2電極と、両電極間に配置される圧電体層との積層により構成される。各圧電素子56は、圧力室C内のインクの圧力を変動させることにより圧力室C内のインクをノズルNから吐出させる。圧電素子56は、駆動回路70から駆動信号が供給されることにより、自身の変形に伴い、振動板54を振動させる。この振動に伴う圧力室Cの膨張または収縮により、圧力室C内のインクの圧力が変動する。なお、圧電素子56は、各個別流路Pにおいて、列L1または列L2の2つの圧力室Cに共通に設けられてもよい。
【0040】
筐体部57は、インクを貯留するためのケースである。筐体部57には、第1共通液室R1および第2共通液室R2のそれぞれについて連通板52に設けられる一部以外の残部を構成する空間が設けられる。また、筐体部57には、孔571および孔572が設けられる。孔571は、第1共通液室R1に連通する管路であり、循環機構60の供給流路65に接続される。このため、第2供給ポンプ62から供給流路65に送出されるインクは、孔571を経由して第1共通液室R1に供給される。他方、孔572は、第2共通液室R2に連通する管路であり、循環機構60の回収流路64に接続される。このため、第2共通液室R2内のインクは孔572を経由して回収流路64に排出される。
【0041】
封止体58は、複数の圧電素子56を保護するとともに圧力室基板53および振動板54の機械的な強度を補強する構造体である。封止体58は、例えば、接着剤により振動板54の表面に接合される。封止体58には、複数の圧電素子56を収容する凹部が設けられる。
【0042】
振動板54のZ1方向を向く面には、配線基板59が接合される。配線基板59は、制御ユニット20と液体吐出ヘッド50とを電気的に接続するための複数の配線が形成される実装部品である。配線基板59は、例えば、FPC(Flexible Printed Circuit)またはFFC(Flexible Flat Cable)等の可撓性の配線基板である。配線基板59には、圧電素子56を駆動するための駆動回路70が実装される。駆動回路70は、駆動信号を各圧電素子56に供給する。
【0043】
以上の構成の液体吐出ヘッド50では、前述の循環機構60の動作により、インクが第1共通液室R1、連通路Ra1、列L1の圧力室C、連通路Na1、ノズル流路Nf、連通路Na2、列L2の圧力室C、連通路Ra2および第2共通液室R2にこの順に流通する。なお、循環機構60の動作期間または動作タイミングは、任意であり、ノズルNからインクを吐出する期間またはタイミングと重複するか否かも任意である。
【0044】
また、各個別流路Pにおいて、列L1の2つの圧力室Cと列L2の2つの圧力室Cとの両方に対応する圧電素子56が同時に駆動することにより、これらの圧力室Cの圧力を変動させ、その圧力変動に伴ってノズルNからインクが吐出される。図3では、このときのインクの流れの経路および方向が破線および矢印で示される。
【0045】
1-4.液体吐出ヘッドの流路
図4は、図3に示す液体吐出ヘッド50の流路を概略的に示す平面図である。図5は、図4中のB-B線断面図である。図4では、圧力室基板53をZ2方向にみたときの圧力室C、ノズル流路Nf、連通路Na1、連通路Na2、連通路Ra1、連通路Ra2、第1共通液室R1および第2共通液室R2の配置が示される。なお、図4では、説明の便宜上、当該流路の各部の形状が模式的に示されるが、実際には、例えば、単結晶シリコン基板を異方性エッチングにより加工することにより当該流路が形成される場合、単結晶シリコン基板の結晶面に沿う壁面が当該流路に適宜に設けられる。
【0046】
図4には、Y1方向またはY2方向に互いに隣り合う2つのノズルNとして、第1ノズルN_1および第2ノズルN_2が示される。そして、図4には、第1ノズルN_1に対応するノズル流路Nfとして、第1ノズル流路Nf_1が示されるとともに、第1ノズルN_1に対応する4つの圧力室Cとして、第1圧力室C_1、第2圧力室C_2、第3圧力室C_3および第4圧力室C_4が示される。また、図4には、第2ノズルN_2に対応するノズル流路Nfとして、第2ノズル流路Nf_2が示されるとともに、第2ノズルN_2に対応する4つの圧力室Cとして、第5圧力室C_5、第6圧力室C_6、第7圧力室C_7および第8圧力室C_8が示される。
【0047】
図4に示すように、第1圧力室C_1、第2圧力室C_2、第5圧力室C_5および第6圧力室C_6は、この順でY2方向に並ぶ。ここで、第1圧力室C_1および第2圧力室C_2は、Y1方向またはY2方向に互いに隣り合う。第2圧力室C_2および第5圧力室C_5は、Y1方向またはY2方向に互いに隣り合う。第5圧力室C_5および第6圧力室C_6は、Y1方向またはY2方向に互いに隣り合う。
【0048】
同様に、第3圧力室C_3、第4圧力室C_4、第7圧力室C_7および第8圧力室C_8は、この順でY2方向に並ぶ。ただし、第3圧力室C_3は、第1圧力室C_1に対してX2方向に位置しており、第1圧力室C_1および第3圧力室C_3は、X1方向またはX2方向に沿って並ぶ。同様に、第2圧力室C_2および第4圧力室C_4は、X1方向またはX2方向に沿って並ぶ。第5圧力室C_5および第7圧力室C_7は、X1方向またはX2方向に沿って並ぶ。第6圧力室C_6および第8圧力室C_8は、X1方向またはX2方向に沿って並ぶ。
【0049】
連通路Na1は、第1部分Na11と第2部分Na12とを有する。これらの部分のそれぞれは、連通板52を個別に貫通する孔で構成される。このように、連通路Na1は、ノズルNごとに、2つの流路で構成される。
【0050】
ここで、第1ノズルN_1に対応する連通路Na1では、第1部分Na11が第1圧力室C_1と第1ノズル流路Nf_1との間に介在するとともに、第2部分Na12が第2圧力室C_2と第1ノズル流路Nf_1との間に介在する。同様に、第2ノズルN_2に対応する連通路Na1では、第1部分Na11が第5圧力室C_5と第2ノズル流路Nf_2との間に介在するとともに、第2部分Na12が第6圧力室C_6と第2ノズル流路Nf_2との間に介在する。
【0051】
一方、連通路Na2は、第1部分Na21と第2部分Na22とを有する。これらの部分のそれぞれは、連通板52を個別に貫通する孔で構成される。このように、連通路Na2は、ノズルNごとに、連通板52を貫通する2つの孔で構成される。
【0052】
ここで、第1ノズルN_1に対応する連通路Na2では、第1部分Na21が第3圧力室C_3と第1ノズル流路Nf_1との間に介在するとともに、第2部分Na22が第4圧力室C_4と第1ノズル流路Nf_1との間に介在する。同様に、第2ノズルN_2に対応する連通路Na2では、第1部分Na21が第7圧力室C_7と第2ノズル流路Nf_2との間に介在するとともに、第2部分Na22が第8圧力室C_8と第2ノズル流路Nf_2との間に介在する。
【0053】
これに対し、連通路Ra1および連通路Ra2のそれぞれは、連通路Na1および連通路Na2のそれぞれと異なり、ノズルNごとに、連通板52を貫通する1つの孔で構成される。
【0054】
ここで、第1ノズルN_1に対応する連通路Ra1は、第1圧力室C_1および第2圧力室C_2に共通に設けられており、第1圧力室C_1および第2圧力室C_2と第1共通液室R1との間に介在する。したがって、第1ノズルN_1に対応する連通路Ra1は、第1圧力室C_1および第2圧力室C_2のそれぞれに向けて開口するとともに、第1共通液室R1に向けて開口する。
【0055】
同様に、第2ノズルN_2に対応する連通路Ra1は、第5圧力室C_5および第6圧力室C_6に共通に設けられており、第5圧力室C_5および第6圧力室C_6と第1共通液室R1との間に介在する。したがって、第2ノズルN_2に対応する連通路Ra1は、第5圧力室C_5および第6圧力室C_6のそれぞれに向けて開口するとともに、第1共通液室R1に向けて開口する。
【0056】
以上のような連通路Ra1は、列L1の圧力室Cからの圧力をノズルNに効率的に伝えるべく、当該圧力が連通路Na1に比べて逃げにくいように構成される。具体的には、例えば、連通路Ra1の流路抵抗が連通路Na1の流路抵抗に比べて高い。このような観点から、第1圧力室C_1および第2圧力室C_2に対する連通路Ra1の開口での断面積の合計をAとし、第1圧力室C_1に対する第1部分Na11の開口での断面積をBとし、第2圧力室C_2に対する第2部分Na12の開口での断面積をCとしたとき、
A<B+Cの関係を満たすことが好ましい。なお、図4に示す例では、Aは、(W2X×W2Y×2)であり、BおよびCのそれぞれは、(W1X×W1Y)である。
【0057】
なお、実際には、圧力室Cからの圧力の効率性は、連通路Ra1の開口と連通路Na1の開口での比較だけではなく、連通路Ra1のZ方向に延びる全域と連通路Na1のZ方向に延びる全域での比較を考慮することが好ましい。ここで、一般に流路の長さが長いほど、また、断面積が小さいほど、流路抵抗は高くなる。一方で、連通路Ra1と連通路Na1は、いずれも連通板52を貫通するように設けられているため、それらの長さを大きく異ならせることはできない。よって、連通路Ra1の平均断面積をD、連通路Na1の第1部分Na11の平均断面積をE、連通路Na1の第2部分Na12の平均断面積をFとしたとき、
D<E+Fの関係を満たすことがより好ましい。
【0058】
一方、第1ノズルN_1に対応する連通路Ra2は、第3圧力室C_3および第4圧力室C_4に共通に設けられており、第3圧力室C_3および第4圧力室C_4と第2共通液室R2との間に介在する。したがって、第1ノズルN_1に対応する連通路Ra2は、第3圧力室C_3および第4圧力室C_4のそれぞれに向けて開口するとともに、第2共通液室R2に向けて開口する。
【0059】
同様に、第2ノズルN_2に対応する連通路Ra2は、第7圧力室C_7および第8圧力室C_8に共通に設けられており、第7圧力室C_7および第8圧力室C_8と第2共通液室R2との間に介在する。したがって、第2ノズルN_2に対応する連通路Ra2は、第7圧力室C_7および第8圧力室C_8のそれぞれに向けて開口するとともに、第2共通液室R2に向けて開口する。
【0060】
以上のような連通路Ra2は、列L2の圧力室Cからの圧力をノズルNに効率的に伝えるべく、前述の連通路Ra1と同様、当該圧力が連通路Na2に比べて逃げにくいように構成される。
【0061】
以上のように、液体吐出ヘッド50は、圧力室基板53と連通板52とノズル基板51とを有する。前述のように、圧力室基板53には、第1圧力室C_1と、第1圧力室C_1に対して「第1方向」の一例であるY2方向に隣り合う第2圧力室C_2と、が設けられる。連通板52には、第1圧力室C_1および第2圧力室C_2に連通する「第1連通路」の一例である連通路Na1と、連通路Na1とは異なる位置で第1圧力室C_1および第2圧力室C_2に連通する第1共通液室R1と、が設けられる。ノズル基板51には、連通路Na1を介して第1圧力室C_1および第2圧力室C_2に共通に連通する第1ノズルN_1が設けられる。
【0062】
そのうえで、連通板52には、第1共通液室R1に連通し、かつ、第1圧力室C_1および第2圧力室C_2に共通に連通する「第2連通路」の一例である連通路Ra1が設けられている。
【0063】
以上の液体吐出ヘッド50では、第1圧力室C_1および第2圧力室C_2が共通する連通路Ra1を介して第1共通液室R1に連通するので、第1圧力室C_1および第2圧力室C_2のそれぞれが個別の連通路を介して第1共通液室R1に連通する構成に比べて、連通路Ra1の流路抵抗を連通路Na1の流路抵抗よりも高めやすい。このため、第1圧力室C_1および第2圧力室C_2のそれぞれの圧力が第1共通液室R1に逃げることによる吐出性能の低下を低減することができる。すなわち、第1圧力室C_1および第2圧力室C_2のそれぞれの圧力を第1ノズルN_1からのインクの吐出に効率的に用いることができ、この結果、従来に比べて吐出性能の向上を図ることができる。
【0064】
これに対し、第1圧力室C_1および第2圧力室C_2のそれぞれが個別の連通路を介して第1共通液室R1に連通する構成では、当該個別の連通路の流路抵抗を高めるには、極めて微細な加工により連通板を形成する必要がある。特に、近年のノズルの狭ピッチ化に伴って、当該個別の連通路がさらに微細化するため、当該個別の連通路の形成が難しい。
【0065】
本実施形態では、前述のように、連通路Ra1が、圧力室基板53には設けられておらず、連通板52に設けられる。このため、圧力室基板53に連通路Ra1の少なくとも一部を設ける構成に比べて、圧力室基板53の構成を簡単化することができる。この結果、圧力室基板53の設計の自由度を高めることができる。
【0066】
また、前述のように、第1圧力室C_1および第2圧力室C_2のそれぞれは、「第1方向と交差する第2方向」の一例であるX1方向またはX2方向に沿って延びている。連通路Na1は、「第1方向および第2方向に交差する第3方向」の一例であるZ1方向またはZ2方向に沿って延びている。このため、連通路Na1が第1圧力室C_1および第2圧力室C_2と同一平面に沿って延びる構成に比べて、第1圧力室C_1および第2圧力室C_2のそれぞれから連通路Na1を介して第1ノズルN_1に向けて圧力を効率的に伝達させることができる。
【0067】
さらに、前述のように、連通路Na1は、第1部分Na11と第2部分Na12とを含む。第1部分Na11は、第1圧力室C_1と第1ノズルN_1との間に介在する。第2部分Na12は、第1部分Na11に対して離れた位置で第2圧力室C_2と第1ノズルとN_1の間に介在する。このような連通路Na1では、第1圧力室C_1および第2圧力室C_2に共通した1つの流路に比べて、第1圧力室C_1および第2圧力室C_2のそれぞれから連通路Na1を介して第1ノズルN_1に圧力を効率的に伝達させることができる。
【0068】
また、前述のように、連通板52には、第1部分Na11および第2部分Na12のそれぞれと第1ノズルN_1との間に介在する部分を有する第1ノズル流路Nf_1がさらに設けられる。このため、第1ノズル流路Nf_1をノズル基板51のみに設ける構成に比べて、液体吐出ヘッド50の小型化を図りつつ、第1ノズル流路Nf_1の断面積を大きくすることができる。
【0069】
さらに、前述のように、第1ノズル流路Nf_1は、Y2方向と交差する方向に沿って延びている。このため、ノズル基板51に沿って第1ノズル流路Nf_1を設けることができる。
【0070】
また、前述のように、第1圧力室C_1および第2圧力室C_2に対する連通路Ra1の開口での断面積の合計をAとし、第1圧力室C_1に対する第1部分Na11の開口での断面積をBとし、第2圧力室C_2に対する第2部分Na12の開口での断面積をCとしたとき、A<B+Cの関係を満たすことが好ましい。この関係を満たす場合、連通路Ra1および連通路Na1の長さが互いに同じであっても、連通路Ra1の流路抵抗を連通路Na1の流路抵抗よりも高めることができる。なお、D<E+Fの関係を満たすことがより好ましい。
【0071】
ここで、A>B、および、A>Cの関係を満たす場合、A<B、および、A<Cの関係を満たす場合に比べて、連通路Ra1の形成時に高い加工精度が要求されないので、連通路Ra1の形成が容易である。なお、この目的のためには、D>E、および、D>Fの関係を満たすことがより好ましい。
【0072】
一方、A<B、および、A<Cの関係を満たす場合、A>B、および、A>Cの関係を満たす場合に比べて、連通路Ra1の流路抵抗を高めることができる。なお、この目的のためには、D<E、および、D<Fの関係を満たすことがより好ましい。
【0073】
また、前述のように、圧力室基板53には、第2圧力室C_2に対してY2方向に隣り合う第5圧力室C_5がさらに設けられる。ノズル基板51には、第1ノズルN_1に対してY2方向に隣り合い、かつ、第5圧力室C_5に連通する第2ノズルN_2がさらに設けられる。このため、第1ノズルN_1からのインクの吐出とは独立して、第5圧力室C_5からのインクを第2ノズルN_2から吐出させることができる。
【0074】
ここで、圧力室基板53には、第5圧力室C_5に対してY2方向に隣り合う第6圧力室C_6がさらに設けられる。第2ノズルN_2は、第5圧力室C_5および第6圧力室C_6に共通に連通する。このため、第5圧力室C_5および第6圧力室C_6の圧力を用いて第2ノズルN_2からインクを効率的に吐出させることができる。
【0075】
また、前述のように、圧力室基板53には、第3圧力室C_3と第4圧力室C_4とがさらに設けられる。第3圧力室C_3は、第1圧力室C_1に対してX1方向またはX2方向で異なる位置に配置される。第4圧力室C_4は、第2圧力室C_2に対してX1方向またはX2方向で異なる位置に配置され、かつ、第3圧力室C_3に対してY2方向に隣り合う。そのうえ、連通板52には、第1共通液室R1に対してX1方向またはX2方向で異なる位置に配置され、かつ、第3圧力室C_3および第4圧力室C_4に連通する第2共通液室R2がさらに設けられる。そして、第1ノズルN_1は、第1圧力室C_1および第2圧力室C_2に加えて第3圧力室C_3および第4圧力室C_4に共通に連通する。このため、第1圧力室C_1および第2圧力室C_2の圧力だけでなく第3圧力室C_3および第4圧力室C_4の圧力を用いて第1ノズルN_1からインクを効率的に吐出させることができる。
【0076】
ここで、前述のように、連通板52には、第2共通液室R2に連通し、かつ、第3圧力室C_3および第4圧力室C_4に共通に連通する「第3連通路」の一例である連通路Ra2がさらに設けられる。このため、第3圧力室C_3および第4圧力室C_4のそれぞれが個別の連通路を介して第2共通液室R2に連通する構成に比べて、連通路Ra2の流路抵抗を高めやすい。この結果、第3圧力室C_3および第4圧力室C_4のそれぞれの圧力が第2共通液室R2に逃げることによる吐出性能の低下を低減することができる。
【0077】
本実施形態では、前述のように、第1共通液室R1は、第1圧力室C_1および第2圧力室C_2に供給するインクを収容する液室である。このため、第1共通液室R1には、液体の供給のための供給口として孔571が設けられる。一方、第2共通液室R2は、第3圧力室C_3および第4圧力室C_4に供給するインクを収容する液室である。このため、第2共通液室R2には、インクの供給のための供給口として孔572が設けられる。このような孔571および孔571には、前述のように循環機構60が接続される。このため、液体吐出ヘッド50内のインクの粘度上昇を抑えたり、液体吐出ヘッド50のインク流路内の気泡の滞留を低減したりすることができる。
【0078】
2.第2実施形態
以下、本発明の第2実施形態について説明する。以下に例示する形態において作用や機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0079】
図6は、第2実施形態に係る液体吐出ヘッド50Aの断面図である。液体吐出ヘッド50Aは、連通路Ra1の形状が異なる以外は、前述の第1実施形態の液体吐出ヘッド50と同様である。なお、図示しないが、連通路Ra2は、連通路Ra1と同様に構成される。
【0080】
本実施形態では、連通路Ra1は、図6に示すように、X軸に垂直な断面でみたとき、Z2方向に向けて幅の段階的に小さくなる形状をなす。すなわち、連通路Ra1は、第1圧力室C_1および第2圧力室C_2に連通する部分Ra11と、部分Ra11と第1共通液室R1との間に介在する部分Ra12と、を有しており、Y軸に沿う部分Ra12の幅がY軸に沿う部分Ra11の幅よりも小さい。図6では、Y軸に沿う部分Ra12の幅が「w2y」で示される。
【0081】
なお、連通路Ra1の形状は、図6に示す例に限定されず、例えば、Y軸に沿う幅の異なる3つ以上の部分を有してもよいし、Y軸に沿う連通路Ra1の幅がZ2方向に向けて連続的に小さくなっていてもよい。
【0082】
以上の第2実施形態によっても、前述の第1実施形態と同様、従来に比べて吐出性能の向上を図ることができる。本実施形態では、Y軸に沿う連通路Ra1の幅が第1共通液室R1に向けて小さくなるので、当該幅が一定である構成に比べて、連通路Ra1の流路抵抗を大きくしやすいという利点がある。
【0083】
3.第3実施形態
以下、本発明の第3実施形態について説明する。以下に例示する形態において作用や機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0084】
図7は、第3実施形態に係る液体吐出ヘッド50Bの断面図である。図8は、図7に示す液体吐出ヘッド50Bの流路を概略的に示す平面図である。液体吐出ヘッド50Bは、連通板52に代えて連通板52Bを有する以外は、前述の第1実施形態の液体吐出ヘッド50と同様である。連通板52Bは、連通路Ra1の形状が異なる以外は、連通板52と同様である。
【0085】
本実施形態の連通路Ra1は、図7に示すように、Y軸に垂直な断面でみたとき、X軸に沿って延びる部分Ra13と、Z軸に沿って延びる部分Ra14と、を有する。ここで、部分Ra14は、部分Ra13と第1共通液室R1との間に介在する。同様に、本実施形態の連通路Ra2は、Y軸に垂直な断面でみたとき、X軸に沿って延びる部分Ra23と、Z軸に沿って延びる部分Ra24と、を有する。ここで、部分Ra24は、部分Ra23と第2共通液室R2との間に介在する。
【0086】
図8に示すように、本実施形態の連通路Ra1では、部分Ra13が第1圧力室C_1および第2圧力室C_2に連通しており、Y軸に沿う部分Ra14の幅がY軸に沿う部分Ra13の幅よりも小さい。このため、部分Ra13により第1圧力室C_1および第2圧力室C_2に対する連通路Ra1の連通を実現しつつ、部分Ra14により連通路Ra1の流路抵抗を低減することができる。なお、図8では、Y軸に沿う部分Ra14の幅が「w2y」で示され、X軸に沿う部分Ra14の幅が「w2x」で示される。
【0087】
同様に、本実施形態の連通路Ra2では、部分Ra23が第3圧力室C_3および第4圧力室C_4に連通しており、Y軸に沿う部分Ra24の幅がY軸に沿う部分Ra23の幅よりも小さい。このため、部分Ra23により第3圧力室C_3および第4圧力室C_4に対する連通路Ra2の連通を実現しつつ、部分Ra24により連通路Ra2の流路抵抗を低減することができる。
【0088】
以上の第3実施形態によっても、前述の第1実施形態と同様、従来に比べて吐出性能の向上を図ることができる。
【0089】
4.第4実施形態
以下、本発明の第4実施形態について説明する。以下に例示する形態において作用や機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0090】
図9は、第4実施形態に係る液体吐出ヘッド50Cの断面図である。図10は、図9に示す液体吐出ヘッド50Cの流路を概略的に示す平面図である。液体吐出ヘッド50Cは、圧力室基板53に代えて圧力室基板53Cを有する以外は、前述の第1実施形態の液体吐出ヘッド50と同様である。圧力室基板53Cは、連通路Ra1および連通路Ra2の一部を有する以外は、圧力室基板53と同様である。
【0091】
本実施形態の連通路Ra1は、図9に示すように、圧力室基板53Cに設けられる部分Ra15と、連通板52に設けられる部分Ra16と、を有する。同様に、本実施形態の連通路Ra2は、圧力室基板53Cに設けられる部分Ra25と、連通板52に設けられる部分Ra26と、を有する。
【0092】
図10に示すように、本実施形態の連通路Ra1では、Y軸に沿う部分Ra15の最小幅がY軸に沿う部分Ra16の最小幅よりも小さい。このため、部分Ra15により連通路Ra1の流路抵抗を低減することができる。ここで、部分Ra15が圧力室基板53Cに設けられるので、部分Ra15を圧力室Cと同一の加工工程により一括して形成することができる。このため、部分Ra15と圧力室Cとの位置合わせを簡単に行うことができる。なお、本実施形態では、前述の断面積の合計Aは、図10に示す(W2X)と図9に示す(W2Z)との積の2倍である。
【0093】
同様に、本実施形態の連通路Ra2では、Y軸に沿う部分Ra25の最小幅がY軸に沿う部分Ra26の最小幅よりも小さい。このため、部分Ra25により連通路Ra2の流路抵抗を低減することができる。ここで、部分Ra25が圧力室基板53Cに設けられるので、部分Ra25を圧力室Cと同一の加工工程により一括して形成することができる。このため、部分Ra25と圧力室Cとの位置合わせを簡単に行うことができる。
【0094】
以上の第4実施形態によっても、前述の第1実施形態と同様、従来に比べて吐出性能の向上を図ることができる。本実施形態では、連通路Ra1および連通路Ra2が圧力室基板53Cに設けられる。このため、圧力室基板53Cに連通路Ra1および連通路Ra2を設けない構成に比べて、製造時における連通路Ra1および連通路Ra2と圧力室Cとの位置合わせの簡単化を図ることができる。なお、図10に示す例では、部分Ra16が第1圧力室C_1および第2圧力室C_2に共通して設けられるが、部分Ra16が第1圧力室C_1および第2圧力室C_2に共通せずに圧力室Cごとに個別に設けられてもよい。
【0095】
5.第5実施形態
以下、本発明の第5実施形態について説明する。以下に例示する形態において作用や機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0096】
図11は、第5実施形態に係る液体吐出ヘッド50Dの流路を概略的に示す平面図である。液体吐出ヘッド50Dは、連通板52に代えて連通板52Dを有する以外は、前述の第1実施形態の液体吐出ヘッド50と同様である。連通板52Dは、連通路Ra1およびノズル流路Nfの形状が異なる以外は、連通板52と同様である。
【0097】
本実施形態の連通路Ra1は、3つの圧力室Cに共通して設けられる。図11では、当該3つの圧力室Cとして、第1圧力室C_1、第2圧力室C_2および第5圧力室C_5が示される。同様に、本実施形態の連通路Ra2は、3つの圧力室Cに共通して設けられる。図11では、当該3つの圧力室Cとして、第3圧力室C_3、第4圧力室C_4および第7圧力室C_7が示される。
【0098】
本実施形態の連通路Ra1は、第1圧力室C_1、第2圧力室C_2および第5圧力室C_5に連通する部分Ra17と、部分Ra17と第1共通液室R1との間に介在する部分Ra18と、を有する。部分Ra17は、第1圧力室C_1、第2圧力室C_2および第5圧力室C_5にわたるように、Y軸に沿って延びる形状をなす。ここで、Y軸に沿う部分Ra18の長さは、Y軸に沿う部分Ra17の長さよりも短い。このため、部分Ra17により第1圧力室C_1、第2圧力室C_2および第5圧力室C_5に対する連通路Ra1の連通を実現しつつ、部分Ra18により連通路Ra1の流路抵抗を低減することができる。
【0099】
同様に、本実施形態の連通路Ra2は、第3圧力室C_3、第4圧力室C_4および第7圧力室C_7に連通する部分Ra27と、部分Ra27と第2共通液室R2との間に介在する部分Ra28と、を有する。部分Ra27は、第3圧力室C_3、第4圧力室C_4および第7圧力室C_7にわたるように、Y軸に沿って延びる形状をなす。ここで、Y軸に沿う部分Ra28の長さは、Y軸に沿う部分Ra27の長さよりも短い。このため、部分Ra27により第3圧力室C_3、第4圧力室C_4および第7圧力室C_7に対する連通路Ra2の連通を実現しつつ、部分Ra28により連通路Ra2の流路抵抗を低減することができる。
【0100】
本実施形態のノズル流路Nfである第1ノズル流路Nf_1は、連通路Na1を介して、第1圧力室C_1、第2圧力室C_2および第5圧力室C_5に連通する。本実施形態の連通路Na1は、第1部分Na11と第2部分Na12と第3部分Na13とを有する。これらの部分のそれぞれは、連通板52を個別に貫通する孔で構成される。このように、連通路Na1は、ノズルNごとに、3つの流路で構成される。ここで、第3部分Na13が第5圧力室C_5と第1ノズル流路Nf_1との間に介在する。
【0101】
以上の第5実施形態によっても、前述の第1実施形態と同様、従来に比べて吐出性能の向上を図ることができる。本実施形態では、圧力室基板53は、第2圧力室C_2に対してY2方向に隣り合う第5圧力室C_5がさらに設けられる。第1ノズルN_1は、第1圧力室C_1および第2圧力室C_2に加えて第5圧力室C_5に共通に連通する。このため、第1圧力室C_1および第2圧力室C_2の圧力だけでなく第5圧力室C_5の圧力を用いて第1ノズルN_1からインクを効率的に吐出させることができる。
【0102】
6.第6実施形態
以下、本発明の第6実施形態について説明する。以下に例示する形態において作用や機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0103】
図12は、第6実施形態に係る液体吐出装置100Eにおける液体の流路の説明図である。液体吐出装置100Eは、循環機構60を省略した以外は、前述の第1実施形態の液体吐出装置100と同様である。
【0104】
本実施形態では、図12に示すように、液体容器10からのインクが第1共通液室R1および第2共通液室R2のそれぞれに供給される。なお、図示しないが、液体容器10と液体吐出ヘッド50との間には、インクを液体吐出ヘッド50に圧送するためのポンプが設けられてもよい。
【0105】
以上の第6実施形態によっても、前述の第1実施形態と同様、従来に比べて吐出性能の向上を図ることができる。ただし、本実施形態では、第1共通液室R1は、第1圧力室C_1および第2圧力室C_2に供給するインクを収容する液室である。第2共通液室R2は、第3圧力室C_3および第4圧力室C_4から排出されるインクを収容する液室である。
【0106】
7.変形例
以上の例示における各形態は多様に変形され得る。前述の各形態に適用され得る具体的な変形の態様を以下に例示する。なお、以下の例示から任意に選択される2以上の態様は、互いに矛盾しない範囲で適宜に併合され得る。
【0107】
5-1.変形例1
前述の各形態では、各個別流路Pにおける構成がY1方向またはY2方向に対称に構成されるが、これに限定されず、各個別流路Pにおける構成がY1方向またはY2方向に非対称に構成されてもよい。
【0108】
5-2.変形例2
前述の各形態では、列L1の圧力室Cと列L2の圧力室Cとを有する構成が例示されるが、当該構成に限定されず、列L1または列L2のいずれかの圧力室Cおよびそれに関連する構成要素が省略されてもよい。
【0109】
5-3.変形例3
前述の各形態では、各個別流路Pが有する圧力室Cの数が4個または6個である構成が例示されるが、当該構成に限定されず、第1圧力室C_1および第2圧力室C_2を含む構成であればよく、当該数は、任意である。
【0110】
5-4.変形例4
前述の各形態では、液体吐出ヘッド50を搭載する搬送体41を往復させるシリアル方式の液体吐出装置100を例示するが、複数のノズルNが媒体Mの全幅にわたり分布するライン方式の液体吐出装置にも本発明を適用することが可能である。
【0111】
5-5.変形例5
前述の各形態で例示する液体吐出装置100は、印刷に専用される機器のほか、ファクシミリ装置やコピー機等の各種の機器に採用され得る。もっとも、本発明の液体吐出装置の用途は印刷に限定されない。例えば、色材の溶液を吐出する液体吐出装置は、液晶表示装置のカラーフィルターを形成する製造装置として利用される。また、導電材料の溶液を吐出する液体吐出装置は、配線基板の配線や電極を形成する製造装置として利用される。
【符号の説明】
【0112】
10…液体容器、20…制御ユニット(制御部)、30…搬送機構、40…移動機構、41…搬送体、42…搬送ベルト、50…液体吐出ヘッド、50A…液体吐出ヘッド、50B…液体吐出ヘッド、50C…液体吐出ヘッド、50D…液体吐出ヘッド、51…ノズル基板、52…連通板、52B…連通板、52D…連通板、53…圧力室基板、53C…圧力室基板、54…振動板、56…圧電素子、57…筐体部、58…封止体、59…配線基板、60…循環機構、61…第1供給ポンプ、62…第2供給ポンプ、63…貯留容器、64…回収流路、65…供給流路、70…駆動回路、100…液体吐出装置、100E…液体吐出装置、551…吸振体、552…吸振体、571…孔、572…孔、C…圧力室、C_1…第1圧力室、C_2…第2圧力室、C_3…第3圧力室、C_4…第4圧力室、C_5…第5圧力室、C_6…第6圧力室、C_7…第7圧力室、C_8…第8圧力室、L…ノズル列、L1…列、L2…列、M…媒体、N…ノズル、N_1…第1ノズル、N_2…第2ノズル、Na1…連通路(第1連通路)、Na11…第1部分、Na12…第2部分、Na13…第3部分、Na2…連通路、Na21…第1部分、Na22…第2部分、Nf…ノズル流路、Nf_1…第1ノズル流路、Nf_2…第2ノズル流路、P…個別流路、R1…第1共通液室、R2…第2共通液室、Ra1…連通路(第2連通路)、Ra11…部分、Ra12…部分、Ra13…部分、Ra14…部分、Ra15…部分、Ra16…部分、Ra17…部分、Ra18…部分、Ra2…連通路(第3連通路)、Ra23…部分、Ra24…部分、Ra25…部分、Ra26…部分、Ra27…部分、Ra28…部分。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12