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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】建物の排水部構造
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/04 20060101AFI20241001BHJP
   E04F 15/00 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
E04D13/04 J
E04F15/00 G
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021012318
(22)【出願日】2021-01-28
(65)【公開番号】P2022115646
(43)【公開日】2022-08-09
【審査請求日】2023-08-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】小野 貴英
【審査官】油原 博
(56)【参考文献】
【文献】実開昭57-161653(JP,U)
【文献】特開2001-241170(JP,A)
【文献】特開昭64-017936(JP,A)
【文献】独国実用新案第000029623882(DE,U1)
【文献】特開平01-017936(JP,A)
【文献】特開2003-160367(JP,A)
【文献】特開平10-317351(JP,A)
【文献】特開2012-092612(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 13/04
E04F 15/00-15/22
E03C 1/12-1/298
E03F 5/00-5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物と、前記建物の屋外方向に張り出して設置された外部床との間に排水部を有する建物の排水部構造であって、
前記外部床はその下方の設置面に立設された床支持部材に支持されており、
前記排水部は、上面が開口した筐体と、前記筐体内に収容された被収容物とを備えて透水および通気可能に設けられ、
前記筐体は前記建物および前記床支持部材の少なくともいずれか一方に固定された取り付け具を介して前記設置面から高さ方向に離間させた状態で支持され、前記筐体と前記設置面との間に空間が設けられていることを特徴とする建物の排水部構造。
【請求項2】
請求項1に記載の建物の排水部構造において、
前記排水部には前記筐体が複数の前記取り付け具を介して配設されており、
前記取り付け具は、前記筐体を保持する保持部と、前記保持部から延設された固定部とを有し、前記固定部は、前記建物および前記床支持部材の少なくともいずれか一方に取り付けられることを特徴とする建物の排水部構造。
【請求項3】
請求項1または2に記載の建物の排水部構造において、
前記外部床の上面高さは、前記建物内において前記外部床に隣接して設けられた居室の床面高さと同等の高さとされていることを特徴とする建物の排水部構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の排水部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅等の建物において、リビングルーム、客間、和室などといった、くつろぎ感を重視する居室では、その屋外側にテラス等の外部床を設け、居室と外部床との間に出入り可能な掃き出し窓を設けることで、居室から外部床へと連続するように構成されることがある。このような居室は、屋内に居ながらにして、明るく開放的な雰囲気や屋外の自然の変化などを体感しやすいことから、広く好まれている。また、屋内外の空間の連続性を高めるために、掃き出し窓には床面に段差を生じさせない窓サッシが用いられることもある。
【0003】
居室の床面と外部床とで段差を設けない場合、特に透水性の乏しいタイルや石版で外部床を仕上げる納まりでは、外部床から居室側に雨水等が流入しないようにするために、外部床と掃き出し窓との間に排水用の隙間を設けてグレーチングを被せることが多い。例えば、特許文献1には、出入口サッシを構成する下枠の屋外側に受金具を設けてグレーチングを支持させることが開示されている。また特許文献2には、出入口サッシから屋外側に続く床面において、化粧用表面材の一部を除去するとともに、その除去部分にグレーチングを嵌め込むことで、雨水等を排水可能とすることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平10-102928号公報
【文献】特開2001-241170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記のようなグレーチングは外部床に対して段差なく設置できるものの、外部床への出入りの際にはグレーチングが踏まれるので、グレーチングの受金具に十分な強度が必要とされるうえ、グレーチング自体も一般的にはステンレス鋼製であることからコストが嵩み、一般住宅では採用しにくい場合があった。そのため、グレーチングに代えて、砕石や砂利などの石材を外部床の上面とほぼ面一となるように前記隙間に充填することで排水部を設けて、雨水等を石材同士の間の隙間から排水することが考えられた。
【0006】
しかしながら、地面から外部床の上面レベルまで石材を充填するとなると、相当な量の石材が必要となってコストや施工手間が嵩む。外部床がタイルや石版で仕上げられる場合は、前記のような排水部が特に必要となるが、排水部の端部を塞ぐためにタイルや石版を現場で切断加工して配設しなければならず、手間がかかるうえに、切り物の加工精度によっては美観が損なわれるおそれもある。また、例えば玄関に向かってスロープ状の勾配を設けた外部床であると、その側縁部に勾配方向に沿って排水部を設けることになるので、排水部に充填した上層の石材が勾配に沿ってずれることにより片寄りを生じてしまうことも懸念された。
【0007】
本発明は、前記のような事情にかんがみてなされたものであり、その目的とするところは、建物と外部床との境界部での円滑な排水を可能にするとともに、美観を損なうことなく簡便な施工でコストを抑えることのできる建物の排水部構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するため、本発明では、建物と前記建物の屋外方向に張り出して設置された外部床との間に排水部を有する建物の排水部構造として、前記外部床はその下方の設置面に立設された床支持部材に支持されており、前記排水部は、上面が開口した筐体と、前記筐体内に収容された被収容物とを備えて透水および通気可能に設けられ、前記筐体は前記設置面から高さ方向に離間させた状態で支持され、前記筐体と前記設置面との間に空間が設けられていることを特徴としている。
【0009】
前記建物の排水部構造における、より具体的な構成として次のものが挙げられる。すなわち、前記排水部には前記筐体が複数の取り付け具を介して配設され、前記取り付け具は、前記筐体を保持する保持部と、前記保持部から延設された固定部とを有することが好ましい。
【0010】
また、前記取り付け具は、前記固定部が、前記建物および前記床支持部材の少なくともいずれか一方に取り付けられて固定されることが好ましい。
【0011】
さらに、前記外部床の上面高さは、前記建物内において前記外部床に隣接して設けられた居室の床面高さと同等の高さとされていると、より好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、建物と外部床との間に、美観を損なうことなく簡便な手段で排水部を設けることができ、施工性を高めてコストを抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態1に係る建物の排水部構造の概要を模式的に示す断面説明図である。
図2】前記建物の排水部構造において排水部に設けられる筐体の一例を示す斜視図である。
図3】前記排水部の詳細な構造を断面とともに示す要部斜視図である。
図4】本発明の実施形態2に係る建物の排水部構造の概要を模式的に示す断面説明図である。
図5】本発明の実施形態3に係る建物の排水部構造の概要を模式的に示す断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態に係る建物の排水部構造について、図面を参照しつつ説明する。
【0015】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る建物の排水部構造の概要を模式的に示す断面説明図である。
【0016】
建物1は、例えば戸建て住宅であって、図示する1階部分に外部床としてのテラス2が設置されている。テラス2は、設置面31に立ち上げて設けられた床支持部材32に支持されており、建物1から屋外方向に張り出して設置されている。
【0017】
設置面31は、例えば地面であり、床支持部材32を設置する基盤となる面をいう。テラス2は、屋根が設けられていない屋外空間の外部床であっても、また上部に軒天井やバルコニー等が配設された半屋外空間の外部床であってもよい。建物1の屋内側には、テラス2の上面と同じ高さレベルで居室の床面(1FL)が設けられる。なお、図1において、建物1の外壁ライン11は、例えば建物1の外装仕上材、掃き出し窓、出入口ドア、または基礎の立上り部等の建物1の外観を構成する種々の建築部材の外面ラインを示している。
【0018】
テラス2と建物1との間には、略等幅の排水部5が設けられている。排水部5には筐体としての金網籠51が備えられている。金網籠51は、内側に石材56等の被収容物が多数、充填されており、透水および通気可能に設けられている。金網籠51内に収容される被収容物としては、例えば、砕石、ごろた石、玉砂利等の石材56であることが好ましく、その他にも粒径が大きめのセラミックサンド(リサイクル瓦の破砕体)やリサイクルガラスカレット等、種々の無機系粒状物を利用することができる。図示するように、排水部5において、金網籠51は設置面31から浮かせた状態で、設置面31と十分に離間させて設けられている。これにより、金網籠51と設置面31との間には通気空間40が設けられている。
【0019】
図2は、排水部5に設けられる金網籠51の一例を示す斜視図である。例示の形態に係る金網籠51は、いわゆる蛇籠と呼ばれる籠体であり、上面が開口している。また、金網籠51は、網目状の底面と、この底面に連続する4つの網目状の側面とを備えて、略直方体状に組まれて形成されている。
【0020】
金網籠51は、ステンレス線材等の金属製の線材により形成されている。金網籠51を構成する線材としては、外径が3.0mm~5.0mm程度のものであることが好ましい。金網籠51内には、重量を有する多数の石材56等が充填されることから、径が細すぎると石材56等の重量で変形しやすくなり、径が太すぎると高価になってしまうためである。また、金網籠51の網目は、充填される石材56等の大きさに合わせて10mm~30mm角程度の大きさとされることが好ましい。
【0021】
金網籠51の大きさは、建物1とテラス2との配置形態等によって適宜設定することができる。金網籠51の一例としては、高さ(深さ)Hを200mm程度、幅Wを100mm程度とすることが好ましく、金網籠51の長手方向Xの長さは、500mm~1500mm程度とすることが好ましい。
【0022】
金網籠51は、取り付け具52を介して床支持部材32に支持される。図2に示すように、取り付け具52は、例えば帯板状の金属材により形成されており、金網籠51を保持する保持部53と、保持部53から片持ち状に延設された固定部54とを有している。
【0023】
取り付け具52の保持部53は、金網籠51の外形状に対応する溝形状に折曲形成されている。例示の形態では、保持部53は、金網籠51の底面に沿う下板部531、および、下板部531に連続して設けられて金網籠51の側面に沿う2つの側板部532を有している。
【0024】
取り付け具52の固定部54は、保持部53の一方の側板部532から外方へ延びる上板部541を備えている。この上板部541は、金網籠51の側面に交差する方向に配設されている。また、固定部54は、上板部541における保持部53とは反対側の端部に、ビス孔543を有する取り付け片542を有している。取り付け片542は上板部541が下方に屈曲されて形成されている。
【0025】
1つの金網籠51に対して、複数の取り付け具52が長手方向Xに間隔を設けて配置される。取り付け具52の固定部54は床支持部材32に係止される。ビス孔543にはビス55がねじ込まれて、取り付け片542が床支持部材32に固定される。金網籠51と取り付け具52とは、あらかじめ一体に結合されていてもよく、またそれぞれ別体とされて、床支持部材32に固定された取り付け具52に対して後から金網籠51を設置するように構成されてもよい。排水部5を広範囲にわたって設ける場合には、図2に示すように、複数の金網籠51を長手方向Xに沿って並設し、それぞれ複数の取り付け具52で支持するように構成されることが好ましい。
【0026】
図1に示すように、排水部5において、取り付け具52に保持された金網籠51は、設置面31から高さ方向に十分に離間させた状態で支持されている。金網籠51には、多数の石材56が収容されて、テラス2の上面と排水部5とが、ほぼフラットな平面となるように構成される。
【0027】
テラス2を流れる雨水や灌水などの水は、排水部5から、下方の設置面31に落下して、円滑に排水される。また、金網籠51と設置面31との間には通気空間40が設けられるので、建物1の基礎に設けられた通気口などを通して壁体内の通気経路を確保することができる。
【0028】
図3は、排水部5の詳細な構造を断面とともに示す要部斜視図である。図示するように、排水部5には金網籠51が取り付け具52を介して配設されている。取り付け具52の上板部541は床支持部材32の天端321に設置される。床支持部材32としては、例えばコンクリートブロックを例示できる。床支持部材32の屋外側の側面には取り付け片542が係止されて、ビス55により床支持部材32に接合されることで、取り付け具52は固定される。取り付け具52の保持部53には金網籠51が嵌め込まれて保持される。取り付け具52が設置された床支持部材32の上には、テラス2を構成するタイル材21が配設される。
【0029】
建物1の基礎13は、地面から鉛直方向に立ち上がるように設けられており、建物1の各構成部材を支持する。基礎13は、例えば鉄筋コンクリートからなる。基礎13上には、窓枠下地材等を介して掃き出し窓14が設けられている。掃き出し窓14の枠部材141には、内障子142および外障子143を引き違いでスライド可能に案内するレールが設けられている。枠部材141は、床面にほとんど段差を生じさせない、いわゆるフルフラットサッシとされている。外障子143の屋外側には、網戸144がスライド可能に設けられている。
【0030】
掃き出し窓14の屋内側には、居室の床を構成する床材12が敷設されている。床材12の上面と、テラス2のタイル材21の上面とは、ほぼ面一となるように設けられている。つまり、テラス2の上面の高さは、建物1内においてテラス2に隣接して設けられた居室の床面(床材12)の高さと同等の高さレベルに設けられている。掃き出し窓14とテラス2との間の排水部5も、金網籠51に石材56が充填されることで、タイル材21の上面とほぼ面一となるように構成されている。これにより、排水部5を挟んで屋内側の床材12と屋外側とテラス2とを、ほぼ段差なくフラットに連続させることができる。
【0031】
排水部5において、石材56は金網籠51に収容されて通気空間40の上方にだけ配置されるので、設置面31までの空間全体に石材56を充填する必要がない。排水部5を構成する石材56は、金網籠51の容積相当の量があれば足りるので、設置に要するコストを抑えることができる。排水部5は、金網籠51で石材56が保持されているので、長手方向Xの端部でもすっきりとした外観を形成することができる。また、排水部5において、金網籠51は上面側が開放された網目状の籠体であるので、収容されている石材56等の被収容物を適宜入れ替えたり補充したりしてメンテナンスを容易に行うことができる。
【0032】
テラス2と建物1との間の排水部5は、前記のとおり幅Wが100mm程度であって、テラス2に出入りする際の歩行等によっても、それほど大きな荷重が作用する部分とはなりにくい。ただし、取り付け具52は、テラス2へ頻繁に行き来する場所など、特に荷重が作用すると考えられる位置には重点的に配置されて、耐荷重を強化した構成とすることもできる。
【0033】
なお、排水部5は、掃き出し窓14の屋外側に設けられるに限らず、建物1の外壁に沿って設けられてもよい。取り付け具52は、建物1側に配置される側板部532が基礎13等に当接されて、支持されるよう構成されてもよい。また、金網籠51には緩衝材が設けられもよい。例えば、金網籠51の内側に緩衝材を配設して、充填された石材56のずれや片寄りを防止するように構成されてもよい。
【0034】
(実施形態2)
図4は、実施形態2に係る建物の排水部構造の概要を模式的に示す断面説明図である。建物1とテラス2との間に設ける排水部5は、実施形態1に示すように構成されるほか、他の様々な形態により実施することができる。例えば、金網籠51を支持する取り付け具52は、実施形態1に示す構成であるには限定されない。
【0035】
なお、以下に説明する実施形態2および3に係る排水部構造は、基本構成において実施形態1と共通していることから、相違する構成について詳細に説明し、その他の構成については実施形態1と共通の符号により示して重複する説明を省略する。
【0036】
図4に示すように、排水部5の金網籠51を支持する取り付け具52は、保持部53に対して上板部541が延設されて、この上板部541が床支持部材32にビス55で固定される。すなわち、固定部54としての上板部541は、床支持部材32の天端(321)に設置されるとともに、図示しない取り付け孔を備えて構成されている。
【0037】
この場合にも、排水部5において、石材56は金網籠51に収容されて通気空間40の上方にだけ配置されるので、設置面31までの空間全体に石材56を充填する必要がなく、美観を損なうことなく、コストを抑えて設置することができる。
【0038】
また、金網籠51を支持する取り付け具52をより簡便な形状で構成することができる。そのため、上板部541へのビス55のねじ込み作業を容易に行うことが可能になるとともに、コンクリートブロックに限らず、多様な構成の床支持部材32との固定に対応することも可能となる。
【0039】
(実施形態3)
図5は、実施形態3に係る建物の排水部構造の概要を模式的に示す断面説明図である。実施形態1および2では、金網籠51は取り付け具52の上に配置される構成であったが、金網籠51の内側に取り付け具52が配置される構成であってもよい。
【0040】
図示するように、取り付け具52は、金網籠51の内側に納められている。この場合、金網籠51に対して取り付け具52が溶接等によってあらかじめ一体に結合されていることが好ましい。金網籠51と取り付け具52とが一体であるので、取り付け具52の固定部54(取り付け片542)を床支持部材32に対してビス55で固定することで、金網籠51の設置も同時に行うことが可能になる。また、取り付け具52の下板部531と、固定部54側の側板部532との間に補強リブ533を設けて、金網籠51の強度を高めるとともに石材56のずれや片寄りを防止するように構成されてもよい。
【0041】
この場合にも、建物1とテラス2との間に、美観を損なうことなく排水部5を設けることができ、施工性を高めてコストを抑えることが可能となる。
【0042】
(その他の実施形態)
本発明に係る建物の排水部構造は、前記実施形態以外にも他の様々な形で実施することができる。前記実施形態では、建物1の居室の床面とテラス2とが排水部5を介してフラットに連続するように設けられる例を示した。本発明はこれに限定されず、排水部5は建物1の屋外方向に張り出して設置された外部床であれば、テラス2に限らずどのような外部床にも設けることができる。外部床としては、例えば玄関に繋がる外部スロープであってもよく、外部スロープと外壁との間で勾配方向に沿って排水部5を設けることができる。この場合、排水部5では金網籠51の長手方向Xに沿って勾配を有することになるが、石材56等の被収容物は金網籠51で保持されているので、ずれや片寄り等の発生を抑えることができ、安定的に設置することが可能となる。
【0043】
外部床としてのテラス2は、タイル材21により形成されるに限らず、例えば石版、樹脂性ブロック、金属板、木質系面材等によって仕上げられてもよい。外部床を支持する床支持部材32は、例示したコンクリートブロックであるに限らず、鉄筋コンクリート基礎、木材または鉄骨材による床組等どのような支持部材であってもよい。
【0044】
また、取り付け具52は、床支持部材32側に係止されて固定されるに限らず、建物1を構成する種々の建築部材、例えば基礎13や外壁等の建物1側に係止されて固定される構成であってもよい。取り付け具52としては、保持部53から片持ち状に固定部54が延設されるに限らず、保持部53の両側に固定部54が延設されて、床支持部材32と建物1側の両方で支持される構成であってもよい。排水部5に設けられる筐体としては、例示したような金網籠51であるに限らず、透水性および通気性を有するものであれば、多数の孔を備えるケーシング等、どのような筐体であってもよい。筐体の形状も、略直方体状であるに限らず、例えば断面略U字状の底面を有する形状等、上面に開口を有するどのような形状とされてもよい。また、排水部5として複数の金網籠51が配置される場合には、一部の金網籠51にプランターを納めて、植栽に利用することも可能である。
【0045】
なお、本発明の技術的範囲は、例示した実施形態によって限定的に解釈されるべきものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて解釈される。本発明の実施に際しては、例示形態と実質的に同様の作用効果が得られる範囲において、金網籠51および取り付け具52の形状や寸法等を変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、住宅をはじめとする各種建物に好適に利用可能である。
【符号の説明】
【0047】
1 建物
11 外壁ライン
12 床材
13 基礎
14 掃き出し窓
141 枠部材
142 内障子
143 外障子
144 網戸
2 テラス(外部床)
21 タイル材
31 設置面
32 床支持部材
321 天端
40 通気空間
5 排水部
51 金網籠
52 取り付け具
53 保持部
531 下板部
532 側板部
533 補強リブ
54 固定部
541 上板部
542 取り付け片
55 ビス
56 石材(被収容物)
図1
図2
図3
図4
図5