(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】ユニット、及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/16 20060101AFI20241001BHJP
G03G 9/08 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
G03G15/16
G03G9/08
(21)【出願番号】P 2021015150
(22)【出願日】2021-02-02
【審査請求日】2024-01-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小野 雅人
(72)【発明者】
【氏名】瀬古 真路
(72)【発明者】
【氏名】田中 知明
(72)【発明者】
【氏名】中村 幸晃
(72)【発明者】
【氏名】兼房 龍太郎
【審査官】鳥居 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-184364(JP,A)
【文献】特開2019-061090(JP,A)
【文献】特開2015-055841(JP,A)
【文献】特開2012-159838(JP,A)
【文献】特開2010-231023(JP,A)
【文献】特開2018-194725(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/16
G03G 9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
扁平顔料を含む扁平トナーを有する現像剤を収容し、前記現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー像として現像する現像装置と、
前記像保持体の表面に形成されたトナー像が一次転写される中間転写ベルトと、前記像保持体の表面に形成されたトナー像を前記中間転写ベルトの表面に一次転写する一次転写装置と、前記中間転写ベルトの表面のトナー像を記録媒体の表面に二次転写する二次転写装置と、を有し、前記中間転写ベルトが、樹脂及び導電性カーボン粒子を含み、前記中間転写ベルトの外周面に前記扁平トナーを付着させた後、前記外周面上方側から、吹き付け圧力を上昇させながら、前記外周面に空気を吹き付けたとき、前記吹き付け圧力が25kPa以内で、前記外周面に付着した全ての前記扁平トナーが外周面から離間する転写装置と、
を備えるユニット。
【請求項2】
前記中間転写ベルトの前記外周面に前記扁平トナーを付着させた後、前記外周面上方側から、吹き付け圧力を上昇させながら、前記外周面に空気を吹き付けたとき、前記吹き付け圧力が2kPa以上で、外周面に付着した全ての前記扁平トナーが外周面から離間する請求項1に記載のユニット。
【請求項3】
前記中間転写ベルトが、さらに界面活性剤を含む請求項1又は請求項2に記載のユニット。
【請求項4】
前記界面活性剤が、炭素数6以下でフッ素原子を持つ置換基を有するオリゴマー、及びメチル基を持つシリコーン構造を有するオリゴマーの少なくとも1種である請求項3に記載のユニット。
【請求項5】
前記炭素数6以下でフッ素原子を持つ置換基を有するオリゴマーが、炭素数6以下のパーフルオロアルキル構造を有するオリゴマーである請求項4に記載のユニット。
【請求項6】
前記オリゴマーにおけるモノマーの繰り返し単位数が4以上である請求項4又は請求項5に記載のユニット。
【請求項7】
前記中間転写ベルトの外周面の表面自由エネルギーが、47mN/m以下である請求項1~請求項6のいずれか1項に記載のユニット。
【請求項8】
前記中間転写ベルトの外周面の水接触角が、85°以上である請求項7に記載のユニット。
【請求項9】
像保持体と、請求項1~~請求項8のいずれか1項に記載のユニットのうち前記現像装置と、を有し、前記像保持体の表面にトナー像を形成するトナー像形成装置と、
前記像保持体の表面に形成された前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写装置であって、請求項1~~請求項8のいずれか1項に記載のユニットのうち前記転写装置と、
を備える画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユニット、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を用いた画像形成装置(複写機、ファクシミリ、プリンタ等)では、像保持体の表面に形成されたトナー像を記録媒体の表面に転写し、記録媒体上に定着して画像が形成される。
【0003】
近年、金属光沢のごとき輝きを有する画像を形成する目的から、光輝性顔料を含む光輝性トナーの使用が検討されてきている。
【0004】
例えば、特許文献1には、「光輝性顔料、有機顔料、結着樹脂、離型剤及び外添剤を含有し、前記光輝性顔料及び前記外添剤以外のトルエン不溶分が、8質量%以上40質量%以下である光輝性トナー。」が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
光輝性顔料は扁平形状の顔料であるため、トナーも扁平形状となる。そして、中間転写ベルトを用いた転写装置において、扁平顔料を含む扁平トナーによるトナー像を前記中間転写ベルトにより記録媒体に転写すると、転写不良が生じることがある。
【0007】
そこで、本発明の課題は、樹脂及び導電性カーボン粒子を含み、外周面に扁平トナーを付着させた後、外周面上方側から、吹き付け圧力を上昇させながら、外周面に空気を吹き付けたとき、吹き付け圧力が25kPa超えても、外周面に付着した全ての扁平トナーが外周面から残留する中間転写ベルトを備える場合に比べ、扁平トナーによるトナー像の転写不良が抑制されるユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する手段は、次の態様を含む。
<1> 扁平顔料を含む扁平トナーを有する現像剤を収容し、前記現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー像として現像する現像装置と、
前記像保持体の表面に形成されたトナー像が一次転写される中間転写ベルトと、前記像保持体の表面に形成されたトナー像を前記中間転写ベルトの表面に一次転写する一次転写装置と、前記中間転写ベルトの表面のトナー像を記録媒体の表面に二次転写する二次転写装置と、を有し、前記中間転写ベルトが、樹脂及び導電性カーボン粒子を含み、前記中間転写ベルトの外周面に前記扁平トナーを付着させた後、前記外周面上方側から、吹き付け圧力を上昇させながら、前記外周面に空気を吹き付けたとき、前記吹き付け圧力が25kPa以内で、前記外周面に付着した全ての前記扁平トナーが外周面から離間する転写装置と、
を備えるユニット。
<2> 前記中間転写ベルトの前記外周面に前記扁平トナーを付着させた後、前記外周面上方側から、吹き付け圧力を上昇させながら、前記外周面に空気を吹き付けたとき、前記吹き付け圧力が2kPa以上で、外周面に付着した全ての前記扁平トナーが外周面から離間する<1>に記載のユニット。
<3> 前記中間転写ベルトが、さらに界面活性剤を含む<1>又は<2>に記載のユニット。
<4> 前記界面活性剤が、炭素数6以下でフッ素原子を持つ置換基を有するオリゴマー、及びメチル基を持つシリコーン構造を有するオリゴマーの少なくとも1種である<3>に記載のユニット。
<5> 前記炭素数6以下でフッ素原子を持つ置換基を有するオリゴマーが、炭素数6以下のパーフルオロアルキル構造を有するオリゴマーである<4>に記載のユニット。
<6> 前記オリゴマーにおけるモノマーの繰り返し単位数が4以上である<4>又は<5>に記載のユニット。
<7> 前記中間転写ベルトの外周面の表面自由エネルギーが、47mN/m以下である<1>~<6>のいずれか1項に記載のユニット。
<8> 前記中間転写ベルトの外周面の水接触角が、85°以上である<7>に記載のユニット。
<9> 像保持体と、<1>~~<8>のいずれか1項に記載のユニットのうち前記現像装置と、を有し、前記像保持体の表面にトナー像を形成するトナー像形成装置と、
前記像保持体の表面に形成された前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写装置であって、<1>~~<8>のいずれか1項に記載のユニットのうち前記転写装置と、
を備える画像形成装置。
【発明の効果】
【0009】
<1>に係る発明によれば、樹脂及び導電性カーボン粒子を含み、外周面に扁平トナーを付着させた後、外周面上方側から、吹き付け圧力を上昇させながら、外周面に空気を吹き付けたとき、吹き付け圧力が25kPa超えても、外周面に付着した全ての扁平トナーが外周面から残留する中間転写ベルトを備える場合に比べ、扁平トナーによるトナー像の転写不良が抑制されるユニットが提供される。
<2>に係る発明によれば、中間転写ベルトの外周面に扁平トナーを付着させた後、外周面上方側から、吹き付け圧力を上昇させながら、外周面に空気を吹き付けたとき、吹き付け圧力が2kPa未満で、外周面に付着した全ての前記扁平トナーが外周面から離間する場合に比べ、扁平トナーによるトナー像の転写不良が抑制されるユニットが提供される。
【0010】
<3>に係る発明によれば、中間転写ベルトが界面活性剤を含まない場合に比べ、扁平トナーによるトナー像の転写不良が抑制されるユニットが提供される。
【0011】
<4>、<5>、又は<6>に係る発明によれば、界面活性剤が、モノマー構造の界面活性剤である場合に比べ、凹凸紙への転写性に優れる無端ベルトが提供される。
【0012】
<7>に係る発明によれば、中間転写ベルトの外周面の表面自由エネルギーが47mN/m超えである場合に比べ、凹凸紙への転写性に優れる無端ベルトが提供される。
<8>に係る発明によれば、中間転写ベルトの外周面の水接触角が85°超えである場合に比べ、凹凸紙への転写性に優れる無端ベルトが提供される。
【0013】
<9>に係る発明によれば、樹脂及び導電性カーボン粒子を含み、外周面に扁平トナーを付着させた後、外周面上方側から、吹き付け圧力を上昇させながら、外周面に空気を吹き付けたとき、吹き付け圧力が25kPa超えても、外周面に付着した全ての扁平トナーが外周面から残留する中間転写ベルトを備えるユニットを適用した場合に比べ、扁平トナーによるトナー像の転写不良が抑制される画像形成装置を提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本実施形態の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【
図2】扁平トナーの一例を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の一例である本実施形態について説明する。これらの説明及び実施例は実施形態を例示するものであり、本発明の範囲を制限するものではない。
【0016】
本実施形態中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本実施形態中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本実施形態において「工程」との語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本実施形態において実施形態を図面を参照して説明する場合、当該実施形態の構成は図面に示された構成に限定されない。また、各図における部材の大きさは概念的なものであり、部材間の大きさの相対的な関係はこれに限定されない。
本実施形態において各成分は該当する物質を複数種含んでいてもよい。本実施形態において組成物中の各成分の量について言及する場合、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計量を意味する。
【0017】
[ユニット]
本実施形態に係るユニットは、扁平顔料を含む扁平トナーを有する現像剤を収容し、像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー像として現像する現像装置と、像保持体の表面に形成されたトナー像が一次転写される中間転写ベルト、像保持体の表面に形成されたトナー像を前記中間転写ベルトの表面に一次転写する一次転写装置、及び中間転写ベルトの表面のトナー像を記録媒体の表面に二次転写する二次転写装置を有する転写装置と、を備える。
そして、中間転写ベルトとして、樹脂及び導電性カーボン粒子を含み、外周面に扁平トナーを付着させた後、前記外周面上方側から、吹き付け圧力を上昇させながら、外周面に空気を吹き付けたとき、前記吹き付け圧力が25kPa以内で、外周面に付着した全ての前記扁平トナーが外周面から離間する中間転写ベルトが適用される。
【0018】
以下、「吹き付け圧力が25kPa以内で、無端ベルトの外周面に付着した扁平トナーが外周面から離間する特性」を「付着力特性」とも称する。
【0019】
本実施形態に係るユニットは、上記構成により、扁平トナーによるトナー像の転写不良が抑制される。その理由は定かではないが、以下のように推測される。
【0020】
中間転写ベルトを用いた画像形成装置では、トナーとして扁平トナーを用いると、トナー像を中間転写ベルトから記録媒体に転写する際に、トナー像の転写不良が生じることがある。それは、扁平トナーは、通常の球状トナーに比べ、中間転写ベルトの外周面との接触面積が高く、接着力が増すためと考えられるためである。
【0021】
それに対して、本実施形態に係るユニットでは、中間転写ベルトとして、付着力特性を満足させた無端ベルトを適用する。つまり、中間転写ベルトとして、外周面自体の非静電的付着力を低下させた無端ベルトを適用する。それにより、中間転写ベルトの外周面と扁平トナーとの間に発生する非静電的付着力を低下させる。そのため、扁平トナーによるトナー像でも、転写性が向上する。
【0022】
以上から、本実施形態に係るユニットでは、扁平トナーによるトナー像の転写不良が抑制される。
【0023】
[画像形成装置]
以下、本実施形態に係るユニットを備える画像形成装置について説明する。
【0024】
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体、及び上記本実施形態に係るユニットのうち現像装置を有し、像保持体の表面にトナー像を形成するトナー像形成装置と、像保持体の表面に形成されたトナー像を記録媒体の表面に転写する転写装置であって、上記本実施形態に係るユニットのうち転写装置と、を備える。
【0025】
トナー像形成装置は、例えば、像保持体と、像保持体の表面を帯電する帯電装置と、帯電した像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成装置と、扁平トナーを含む現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像を現像してトナー像を形成する現像装置と、を備える装置が例示される。
【0026】
本実施形態に係る画像形成装置は、記録媒体の表面に転写されたトナー像を定着する定着装置を備える装置;トナー像の転写後、帯電前の像保持体の表面をクリーニングするクリーニング装置を備えた装置;トナー像の転写後、帯電前に像保持体の表面に除電光を照射して除電する除電装置を備える装置;像保持体の温度を上昇させ、相対温度を低減させるための像保持体加熱部材を備える装置等の周知の画像形成装置が適用される。
【0027】
以下、本実施形態に係る画像形成装置の一例を説明するが、これに限定されるわけではない。以下の説明においては、図に示す主要部を説明し、その他はその説明を省略する。
なお、以下の説明においては、扁平トナーを「銀色トナー」と称して説明する。そして、
【0028】
以下、本実施形態に係る画像形成装置の一例を説明するが、これに限定されるわけではない。以下の説明においては、図に示す主要部を説明し、その他はその説明を省略する。
なお、以下の説明においては、光輝性トナーを「銀色トナー」と称して説明する。そして、
【0029】
図1は、本実施形態の画像形成装置の一例を示す概略構成図であり、5連タンデム方式且つ中間転写方式の画像形成装置を示す図である。
図1
に示す画像形成装置は、色分解された画像データに基づく、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)、銀色(B)の各色の画像を出力する電子写真方式の第1乃至第5の画像形成ユニット150Y、150M、150C、150K、150B(トナー像形成装置の一例)を備えている。これらの画像形成ユニット150Y、150M、150C、150K、150Bは、水平方向に互いに予め定められた距離離間して並設されている。これら画像形成ユニット150Y、150M、150C、150K、150Bは、画像形成装置に対して着脱されるプロセスカートリッジであってもよい。
【0030】
各画像形成ユニット150Y、150M、150C、150K、150Bの下方には、各ユニットを通して中間転写ベルト133が延設されている。中間転写ベルト133は、中間転写ベルト133の内面に接する、駆動ロール113、支持ロール112、及び対向ロール114に巻きつけて設けられ、第1の画像形成ユニット150Yから第5の画像形成ユニット150Bに向う方向(
図1中、矢印B方向)に走行するようになっている。中間転写ベルト133の像保持面側には、駆動ロール113と対向して中間転写ベルトクリーニング装置116が備えられている。また、中間転写ベルトクリーニング装置116に対して中間転写ベルト133の回転方向上流側には、支持ロール113との間で電位差を生じさせることで中間転写ベルト133との間に電界を生じさせる電圧印加装置160が設けられている。
各画像形成ユニット150Y、150M、150C、150K、150Bの現像装置(現像装置の一例)120Y、120M、120C、120K、120Bのそれぞれには、トナーカートリッジ140Y、140M、140C、140K、140Bに収められたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラック、銀色の各トナーの供給がなされる。
【0031】
第1乃至第5の画像形成ユニット150Y、150M、150C、150K、150Bは、同等の構成、動作、及び作用を有しているため、ここでは中間転写ベルト走行方向の上流側に配設されたイエローの画像を形成する第1の画像形成ユニット150Yについて代表して説明する。
【0032】
第1の画像形成ユニット150Yは、像保持体として作用する感光体111Yを有している。感光体111Yの周囲には、感光体111Yの表面を予め定められた電位に帯電させる帯電ロール(帯電装置の一例)118Y、帯電された表面を色分解された画像信号に基づくレーザ光線によって露光して静電荷像を形成する露光装置(静電荷像形成装置の一例)119Y、静電荷像にトナーを供給して静電荷像を現像する現像装置(現像装置の一例)120Y、現像したトナー像を中間転写ベルト133上に転写する一次転写ロール(一次転写装置の一例)117Y、及び一次転写後に感光体111Yの表面に残存するトナーを除去する感光体クリーニング装置(クリーニング装置の一例)115Yが順に配置されている。
一次転写ロール117Yは、中間転写ベルト133の内側に配置され、感光体111Yに対向した位置に設けられている。各画像形成ユニットの一次転写ロール117Y、117M、117C、117K、117Bには、一次転写バイアスを印加するバイアス電源(図示せず)がそれぞれ接続されている。各バイアス電源は、図示しない制御部による制御によって、各一次転写ロールに印加する転写バイアスの値を変える。
【0033】
以下、第1の画像形成ユニット150Yにおいてイエローの画像を形成する動作について説明する。
まず、動作に先立って、帯電ロール118Yによって感光体111Yの表面が-600V乃至-800Vの電位に帯電される。
感光体111Yは、導電性(例えば20℃における体積抵抗率1×10-6Ωcm以下)の基体上に感光層を積層して形成されている。この感光層は、通常は高抵抗(一般の樹脂の抵抗)であるが、レーザ光線が照射されると、レーザ光線が照射された部分の比抵抗が変化する性質を持っている。そこで、帯電した感光体111Yの表面に、図示しない制御部から送られてくるイエロー用の画像データに従って、露光装置119Yからレーザ光線を照射する。それにより、イエローの画像パターンの静電荷像が感光体111Yの表面に形成される。
【0034】
静電荷像とは、帯電によって感光体111Yの表面に形成される像であり、露光装置119Yからのレーザ光線によって、感光層の被照射部分の比抵抗が低下し、感光体111Yの表面の帯電した電荷が流れ、一方、レーザ光線が照射されなかった部分の電荷が残留することによって形成される、いわゆるネガ潜像である。
感光体111Y上に形成された静電荷像は、感光体111Yの走行に従って予め定められた現像位置まで回転する。そして、この現像位置で、感光体111Y上の静電荷像が、現像装置120Yによってトナー像として現像され可視化される。
【0035】
現像装置120Y内には、例えば、少なくともイエロートナーとキャリアとを含む現像剤が収容されている。イエロートナーは、現像装置120Yの内部で攪拌されることで摩擦帯電し、感光体111Y上に帯電した帯電荷と同極性(負極性)の電荷を有して現像剤ロール(現像剤保持体の一例)上に保持されている。そして感光体111Yの表面が現像装置120Yを通過していくことにより、感光体111Y表面上の除電された潜像部にイエロートナーが静電的に付着し、潜像がイエロートナーによって現像される。イエローのトナー像が形成された感光体111Yは、引続き予め定められた速度で走行され、感光体111Y上に現像されたトナー像が予め定められた一次転写位置へ搬送される。
【0036】
感光体111Y上のイエロートナー像が一次転写位置へ搬送されると、一次転写ロール117Yに一次転写バイアスが印加され、感光体111Yから一次転写ロール117Yに向う静電気力がトナー像に作用し、感光体111Y上のトナー像が中間転写ベルト133上に転写される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(-)と逆極性の(+)極性であり、第1の画像形成ユニット150Yでは制御部(図示せず)によって例えば+10μAに制御されている。
一方、感光体111Y上に残留したトナーは感光体クリーニング装置115Yで除去されて回収される。
【0037】
第2の画像形成ユニット150M以降の一次転写ロール117M、117C、117K、117Bに印加される一次転写バイアスも、第1の画像形成ユニット150Yに準じて制御されている。
こうして、第1の画像形成ユニット150Yにてイエローのトナー像が転写された中間転写ベルト133は、第2乃至第5の画像形成ユニット150M、150C、150K、150Bを通して順次搬送され、各色のトナー像が重ねられて多重転写される。
【0038】
第1乃至第5の画像形成ユニットを通して5色のトナー像が多重転写された中間転写ベルト133は、中間転写ベルト133と、中間転写ベルトの内面に接する対向ロール114と、中間転写ベルト133の像保持面側に配置された二次転写ロール(二次転写装置の一例)134とから構成された二次転写部へと至る。一方、記録紙(記録媒体の一例)Pが供給機構を介して二次転写ロール134と中間転写ベルト133とが接触した隙間に予め定められたタイミングで給紙され、二次転写バイアスが対向ロール114に印加される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(-)と同極性の(-)極性であり、中間転写ベルト133から記録紙Pに向う静電気力がトナー像に作用し、中間転写ベルト133上のトナー像が記録紙P上に転写される。この際の二次転写バイアスは二次転写部の抵抗を検出する抵抗検出装置(図示せず)により検出された抵抗に応じて決定されるものであり、電圧制御されている。
【0039】
この後、記録紙Pは定着装置(定着装置の一例)135における一対の定着ロールの圧接部(ニップ部)へと送り込まれ、トナー像が記録紙P上へ定着され、定着画像が形成される。
【0040】
トナー像を転写する記録紙Pとしては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンター等に使用される普通紙が挙げられる。記録媒体としては、記録紙P以外にも、OHPシート等も挙げられる。
定着後における画像表面の平滑性をさらに向上させるには、記録紙Pの表面も平滑であることが好ましく、例えば、普通紙の表面を樹脂等でコーティングしたコート紙、印刷用のアート紙等が好適に使用される。
【0041】
カラー画像の定着が完了した記録紙Pは、排出部へ向けて搬出され、一連のカラー画像形成動作が終了される。
【0042】
ここで、画像形成ユニット150Bの現像装置120Bが、上記本実施形態に係るユニットにおける現像装置の一例に相当する。
中間転写ベルト133と一次転写ロール一次転写ロール117Bと二次転写ロール134とを備える装置が、上記本実施形態に係るユニットにおける転写装置の一例に相当する。
そして、現像装置120Bと、中間転写ベルト133、一次転写ロール117B及び二次転写ロール134を有する転写装置と、を備える装置が、上記本実施形態に係るユニットの一例に相当する。
【0043】
なお、
図1に示す画像形成装置は、トナーカートリッジ140Y、140M、140C、140K、140Bが着脱される構成を有する画像形成装置であり、現像装置120Y、120M、120C、120K、120Bは、各々の現像装置(色)に対応したトナーカートリッジと、図示しないトナー供給管で接続されている。また、トナーカートリッジ内に収容されているトナーが少なくなった場合には、このトナーカートリッジが交換される。
【0044】
以下、本実施形態に係るユニット及び画像形成装置の要部(現像装置、及び転写装置)について、さらに詳細に説明する。なお、以下、符号を省略して説明する。
【0045】
[現像装置]
以下、現像装置について説明する。
現像装置は、例えば、静電荷像形成装置による光の照射位置より像保持体の回転方向下流側に設けられる。現像装置内には、現像剤を収容する収容部が設けられている。この収容部には、扁平顔料を含む扁平トナーを有する現像剤が収容されている。扁平トナーは、例えば、現像装置内で帯電された状態で収容される。なお、扁平トナーの詳細について後述する。
【0046】
現像装置18は、例えば、扁平トナーを含む現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像を現像する現像部材と、現像部材に現像電圧を印加する電源と、を備える。この現像部材は、例えば、電源に電気的に接続される。
【0047】
現像装置の現像部材としては、現像剤の種類に応じて選択されるが、例えば、磁石が内蔵された現像スリーブを有する現像ロールが挙げられる。
【0048】
現像装置(電源を含む)では、例えば、現像部材に現像電圧を印加される。現像電圧を印加された現像部材は、現像電圧に応じた現像電位に帯電される。そして、現像電位に帯電された現像部材は、例えば、現像装置内に収容された現像剤を表面に保持して、現像剤に含まれる扁平トナーを現像装置内から像保持体表面へと供給する。
【0049】
像保持体上に供給されたトナーは、例えば、像保持体上の静電荷像に静電力により付着する。詳細には、例えば、像保持体と現像部材との向かい合う領域における電位差、すなわち、該領域における像保持体の表面の電位と現像部材の現像電位との電位差によって、現像剤に含まれる扁平トナーが像保持体の静電荷像の形成された領域に供給される。なお、現像剤にキャリアが含まれている場合には、該キャリアは現像部材に保持されたまま現像装置内に戻る。
【0050】
例えば、像保持体上の静電荷像は、現像部材から供給された扁平トナーによって現像されて、像保持体上には、静電荷像に応じたトナー画像が形成される。
【0051】
[扁平トナー]
以下、扁平トナーについて説明する。
扁平トナーは、扁平顔料を含む。
具体的には、扁平トナーは、扁平顔料を含む扁平トナー粒子を有する。また、扁平トナーは、外添剤を含んでもよい。
【0052】
(扁平トナー粒子)
扁平トナー粒子は、例えば、結着樹脂及び扁平顔料を含む。扁平トナー粒子は、扁平顔料以外の着色剤、離型剤、その他の成分を含んでもよい。
【0053】
-結着樹脂-
結着樹脂としては、例えば、スチレン類(例えばスチレン、パラクロロスチレン、α-メチルスチレン等)、(メタ)アクリル酸エステル類(例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-プロピル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n-プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2-エチルヘキシル等)、エチレン性不飽和ニトリル類(例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル等)、ビニルエーテル類(例えばビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等)、ビニルケトン類(ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等)、オレフィン類(例えばエチレン、プロピレン、ブタジエン等)等の単量体の単独重合体、又はこれら単量体を2種以上組み合せた共重合体からなるビニル系樹脂が挙げられる。
結着樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂、変性ロジン等の非ビニル系樹脂、これらと前記ビニル系樹脂との混合物、又は、これらの共存下でビニル系単量体を重合して得られるグラフト重合体等も挙げられる。
これらの結着樹脂は、1種類単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0054】
特に、結着樹脂は、非晶性樹脂と結晶性樹脂とを適用することが好ましい。
ただし、非晶性樹脂と結晶性樹脂との質量比(結晶性樹脂/非晶性樹脂)は、3/97以上50/50以下が好ましく、7/93以上30/70以下がより好ましい。
【0055】
ここで、非晶性樹脂とは、示差走査熱量測定(DSC)を用いた熱分析測定において、明確な吸熱ピークではなく、階段状の吸熱変化のみを有するものであり、常温固体で、ガラス転移温度以上の温度において熱可塑化するものを指す。
一方、結晶性樹脂とは、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な吸熱ピークを有するものをいう。
具体的には、例えば、結晶性樹脂とは、昇温速度10℃/minで測定した際の吸熱ピークの半値幅が10℃以内であることを意味し、非晶性樹脂とは、半値幅が10℃を超える樹脂、又は明確な吸熱ピークが認められない樹脂を意味する。
【0056】
非晶性樹脂について説明する。
非晶性樹脂としては、例えば、非晶性ポリエステル樹脂、非晶性ビニル樹脂(例えばスチレンアクリル樹脂等)、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂等の公知の非晶性樹脂が挙げられる。これらの中でも、非晶性ポリエステル樹脂、非晶性ビニル樹脂(特にスチレンアクリル樹脂)が好ましく、非晶性ポリエステル樹脂がより好ましい。
なお、非晶性樹脂として、非晶性ポリエステル樹脂と、スチレンアクリル樹脂とを併用することも好ましい態様である。また、非晶性樹脂として、非晶性ポリエステル樹脂セグメント及びスチレンアクリル樹脂セグメントを有する非晶性樹脂を適用することも好ましい態様である。
【0057】
結晶性樹脂としては、結晶性ポリエステル樹脂、結晶性ビニル樹脂(例えば、ポリアルキレン樹脂、長鎖アルキル(メタ)アクリレート樹脂等)等の公知の結晶性樹脂が挙げられる。これらの中でも、扁平トナーの機械的強度および低温定着性の点から、結晶性ポリエステル樹脂が好ましい。
【0058】
結着樹脂の含有量は、扁平トナー粒子全体に対して、40質量%以上95質量%以下が好ましく、50質量%以上90質量%以下がより好ましく、60質量%以上85質量%以下が更に好ましい。
【0059】
-扁平顔料-
扁平顔料は、光輝性顔料が好ましい。
光輝性顔料としては、例えば、金属光沢のごとき光輝感を付与し得る顔料(光輝性顔料)が挙げられる。光輝性顔料として具体的には、例えば、アルミニウム(Al単体の金属)、黄銅、青銅、ニッケル、ステンレス、亜鉛等の金属粉末;酸化チタン、黄色酸化鉄等を被覆した雲母;硫酸バリウム、層状ケイ酸塩、層状アルミニウムのケイ酸塩等の被覆薄片状無機結晶基質;単結晶板状酸化チタン;塩基性炭酸塩;酸オキシ塩化ビスマス;天然グアニン;薄片状ガラス粉;金属蒸着された薄片状ガラス粉などが挙げられ、光輝性を有するものならば特に制限はない。
これらの中でも、光輝性顔料としては、特に鏡面反射強度の観点で、金属粉末が好ましく、その中でもアルミニウムが最も好ましい。
【0060】
扁平顔料の長軸方向の平均長さは、1μm以上30μm以下であることが好ましく、3μm以上20μm以下がより好ましく、5μm以上15μm以下が更に好ましい。
扁平顔料の厚さ方向の平均長さを1としたときの長軸方向の平均長さの比率(アスペクト比)は、5以上200以下であることが好ましく、10以上100以下がより好ましく、30以上70以下が更に好ましい。
【0061】
扁平顔料の各平均長さ及びアスペクト比は、以下の方法により測定される。走査電子顕微鏡(S-4800,(株)日立ハイテクノロジーズ製)を用い、測定し得る倍率(300から100,000倍)で扁平顔料の写真を撮影し、得られた扁平顔料の画像を二次元化した状態で、各粒子の長軸方向の長さ及び厚さ方向の長さを測定し、扁平顔料長軸方向の平均長さ及びアスペクト比を算出する。
ここで、扁平顔料の長軸方向の長さとは、扁平顔料の厚み方向から該扁平顔料を観察したときに、最も長い部分をいう。扁平顔料の厚さ方向の長さは、扁平顔料の厚み方向と直交方向から該扁平顔料を観察したときに、最も長い部分をいう。
【0062】
扁平顔料の体積平均粒径は、1.0μm以上20.0μm以下であることが好ましく、2.0μm以上15.0μm以下であることがより好ましい。
【0063】
扁平顔料の体積平均粒径は、次の通り測定される。
マルチサイザーII(コールター社製)等の測定器で測定される粒度分布を基にして分割された粒度範囲(チャネル)に対して体積をそれぞれ小径側から累積分布を描いて、累積50%となる粒径を体積平均粒径とする。
製造後の扁平トナー粒子中の扁平顔料の体積平均粒径の測定方法としては、扁平顔料は溶解せずに、樹脂のみを溶解可能な溶媒と扁平トナーを混合撹拌し、十分、樹脂が溶媒中に溶解した後に、扁平顔料を固液分離して、上記同様の粒度分布測定装置にて体積平均粒径を測定する。
【0064】
扁平顔料の含有量は、扁平トナー粒子の全質量に対して1質量%以上70質量%以下であることが好ましく、5質量%以上50質量%以下であることがより好ましく、5質量%以上40質量%以下であることが更に好ましい。
【0065】
-扁平顔料以外の着色剤-
扁平顔料以外の着色剤としては、例えば、カーボンブラック、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、ピグメントイエロー、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、ブリリアントカーミン3B、ブリリアントカーミン6B、デュポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ピグメントレッド、ローズベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、ピグメントブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオキサレート等の顔料;アクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、チオインジコ系、ジオキサジン系、チアジン系、アゾメチン系、インジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、ポリメチン系、トリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、チアゾール系等の染料;が挙げられる。
扁平顔料以外の着色剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0066】
扁平顔料以外の着色剤は、必要に応じて表面処理された着色剤を用いてもよく、分散剤と併用してもよい。また、着色剤は、複数種を併用してもよい。
【0067】
扁平顔料以外の着色剤の含有量は、扁平トナーの色味に応じて調整する。
【0068】
-離型剤-
離型剤としては、例えば、炭化水素系ワックス;カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等の天然ワックス;モンタンワックス等の合成又は鉱物・石油系ワックス;脂肪酸エステル、モンタン酸エステル等のエステル系ワックス;などが挙げられる。離型剤は、これに限定されるものではない。
【0069】
離型剤の融解温度は、50℃以上110℃以下が好ましく、60℃以上100℃以下がより好ましい。
離型剤の融解温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線から、JIS K7121:1987「プラスチックの転移温度測定方法」の融解温度の求め方に記載の「融解ピーク温度」により求める。
【0070】
離型剤の含有量は、扁平トナー粒子全体に対して、1質量%以上20質量%以下が好ましく、5質量%以上15質量%以下がより好ましい。
【0071】
-その他の添加剤-
その他の添加剤としては、例えば、磁性体、帯電制御剤、無機粉体等の公知の添加剤が挙げられる。これらの添加剤は、内添剤として扁平トナー粒子に含まれる。
【0072】
-扁平トナー粒子の特性等-
扁平トナー粒子は、扁平状であり、その平均最大厚さCよりも平均円相当径Dが長い。
扁平トナー粒子が厚さよりも円相当径が長い扁平状であると(
図2参照)、画像形成の定着工程において、定着する際の圧力によって、扁平トナー粒子はその扁平な面側が記録媒体表面と相対するよう並ぶと考えられる。なお、
図2中、2は扁平トナー粒子、4は扁平顔料、Lは扁平トナー粒子の厚さを示している。
【0073】
なお、平均最大厚さCと平均円相当径Dの比(C/D)が0.001以上0.700以下の範囲にあることが好ましく、0.001以上0.500以下の範囲にあることがより好ましく、0.100以上0.600以下の範囲がさらに好ましく、0.300以上0.450以下の範囲が特に好ましい。
比(C/D)が0.001以上であることにより、トナー粒子の強度が確保され、画像形成の際における応力による破断が抑制され、扁平顔料が露出することによる帯電の低下、その結果発生するカブリが抑制される。一方、扁平顔料が光輝性顔料の場合、比(C/D)が0.700以下であることにより、優れた光輝性が得られる。
【0074】
上記平均最大厚さC及び平均円相当径Dは、以下の方法により測定される。
扁平トナー粒子を平滑面にのせ、振動を掛けてムラのないように分散する。1,000個のトナー粒子について、カラーレーザ顕微鏡「VK-9700」((株)キーエンス製)により1,000倍に拡大してトナー粒子における最大の厚さCと上から見た面の円相当径Dを測定し、それらの算術平均値を求めることにより算出する。
【0075】
扁平トナー粒子の厚さ方向への断面を観察した場合に、トナー粒子の該断面における長軸方向と扁平顔料の長軸方向との角度が-30°乃至+30°の範囲となる扁平顔料の割合(個数基準)が、観察される全扁平顔料のうち60%以上であることが好ましい。更には、上記割合が70%以上95%以下であることがより好ましく、80%以上90%以下であることが特に好ましい。
扁平顔料が光輝性顔料である場合、上記の割合が60%以上であることにより優れた光輝性が得られる。
【0076】
ここで、扁平トナー粒子の断面の観察方法について説明する。
トナー粒子をビスフェノールA型液状エポキシ樹脂と硬化剤とを用いて包埋したのち、切削用サンプルを作製する。次にダイヤモンドナイフを用いた切削機、例えばウルトラミクロトーム装置(UltracutUCT、Leica社製)を用いて-100℃の下、切削サンプルを切削し、観察用サンプルを作製する。観察サンプルを、例えば、超高分解能電界放出形走査電子顕微鏡(S-4800、(株)日立ハイテクノロジーズ製)により1視野に扁平顔料トナー粒子が1個から10個程度見える倍率で観察する。
具体的には、扁平トナー粒子の断面(扁平トナー粒子の厚み方向に沿った断面)を観察し、観察された100個の扁平トナー粒子について、扁平トナー粒子の断面における長軸方向と扁平顔料の長軸方向との角度が-30°乃至+30°の範囲となる扁平顔料の数を、例えば、三谷商事(株)製の画像解析ソフト(Win ROOF)などの画像解析ソフト、又は、観察画像の出力サンプルと分度器を用いて数えその割合を計算する。
【0077】
扁平トナー粒子の体積平均粒径は、3μm以上30μm以下であることが好ましく、5μm以上20μm以下であることがより好ましい。
【0078】
なお、扁平トナー粒子の各種平均粒径、及び各種粒度分布指標は、コールターマルチサイザーII(ベックマン・コールター社製)を用い、電解液はISOTON-II(ベックマン・コールター社製)を使用して測定される。
測定に際しては、分散剤として、界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムが好ましい)の5%水溶液2ml中に測定試料を0.5mg以上50mg以下加える。これを電解液100ml以上150ml以下中に添加する。
試料を懸濁した電解液は超音波分散器で1分間分散処理を行い、コールターマルチサイザーIIにより、アパーチャー径として100μmのアパーチャーを用いて2μm以上60μm以下の範囲の粒径の粒子の粒度分布を測定する。なお、サンプリングする粒子数は50000個である。
測定される粒度分布を基にして分割された粒度範囲(チャンネル)に対して体積、数をそれぞれ小径側から累積分布を描いて、累積16%となる粒径を体積粒径D16v、数粒径D16p、累積50%となる粒径を体積平均粒径D50v、累積数平均粒径D50p、累積84%となる粒径を体積粒径D84v、数粒径D84pと定義する。
これらを用いて、体積粒度分布指標(GSDv)は(D84v/D16v)1/2、数粒度分布指標(GSDp)は(D84p/D16p)1/2として算出される。
【0079】
(外添剤)
外添剤としては、例えば、無機粒子が挙げられる。該無機粒子として、SiO2、TiO2、Al2O3、CuO、ZnO、SnO2、CeO2、Fe2O3、MgO、BaO、CaO、K2O、Na2O、ZrO2、CaO・SiO2、K2O・(TiO2)n、Al2O3・2SiO2、CaCO3、MgCO3、BaSO4、MgSO4等が挙げられる。
【0080】
外添剤としての無機粒子の表面は、疎水化処理が施されていることがよい。疎水化処理は、例えば疎水化処理剤に無機粒子を浸漬する等して行う。疎水化処理剤は特に制限されないが、例えば、シラン系カップリング剤、シリコーンオイル、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
疎水化処理剤の量としては、通常、例えば、無機粒子100質量部に対して、1質量部以上10質量部以下である。
【0081】
外添剤としては、樹脂粒子(ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、メラミン樹脂等の樹脂粒子)、クリーニング活剤(例えば、ステアリン酸亜鉛に代表される高級脂肪酸の金属塩、フッ素系高分子量体の粒子)等も挙げられる。
【0082】
外添剤の外添量としては、例えば、トナー粒子に対して、0.01質量%以上5質量%以下が好ましく、0.01質量%以上2.0質量%以下がより好ましい。
【0083】
(扁平トナーの製造方法)
扁平トナーは、例えば、扁平トナー粒子を製造後、扁平トナー粒子に対して、外添剤を外添することで得られる。
【0084】
扁平トナー粒子は、乾式製法(例えば、混練粉砕法等)、湿式製法(例えば、凝集合一法、懸濁重合法、溶解懸濁法等)のいずれにより製造してもよい。これらの製法に特に制限はなく、公知の製法が採用される。これらの中でも、凝集合一法により、扁平トナー粒子を得ることがよい。
【0085】
[現像剤]
現像剤は、扁平トナーのみを含む一成分現像剤であってもよいし、扁平トナーとキャリアと混合した二成分現像剤であってもよい。
【0086】
キャリアとしては、特に制限はなく、公知のキャリアが挙げられる。キャリアとしては、例えば、磁性粉からなる芯材の表面に被覆樹脂を被覆した被覆キャリア;マトリックス樹脂中に磁性粉が分散・配合された磁性粉分散型キャリア;多孔質の磁性粉に樹脂を含浸させた樹脂含浸型キャリア;等が挙げられる。
なお、磁性粉分散型キャリア、及び樹脂含浸型キャリアは、当該キャリアの構成粒子を芯材とし、これに被覆樹脂により被覆したキャリアであってもよい。
【0087】
二成分現像剤における、トナーとキャリアとの混合比(質量比)は、トナー:キャリア=1:100乃至30:100が好ましく、3:100乃至20:100がより好ましい。
【0088】
[転写装置]
転写装置は、外周面にトナー像が転写される中間転写ベルトと、像保持体の表面に形成されたトナー像を前記中間転写ベルトの外周面に一次転写する一次転写部材を有する一次転写装置と、中間転写ベルトの外周面に接触して配置され、中間転写ベルトの外周面に転写されたトナー像を記録媒体の表面に二次転写する二次転写部材を有する二次転写装置と、を備える。なお、中間転写ベルトの詳細は後述する。
【0089】
一次転写装置において、一次転写部材は、中間転写ベルトを挟んで像保持体に対向して配置される。一次転写装置においては、上記一次転写部材により中間転写ベルトに対しトナーの帯電極性と逆極性の電圧を付与することで、トナー像が中間転写ベルトの外周面に一次転写される。
【0090】
二次転写装置は、二次転写部材は、中間転写ベルトのトナー像保持側に配置される。そして、二次転写装置は、例えば、二次転写部材と共に、中間転写ベルトのトナー像保持側と反対側に配置される背面部材と、を備える。二次転写装置においては、中間転写ベルト及び記録媒体を二次転写部材と背面部材とで挟み込み転写電界を形成することで、中間転写ベルト上のトナー像が記録媒体に二次転写される。
二次転写部材は、二次転写ロールであってもよいし、二次転写ベルトであってもよい。なお、背面部材は、例えば、背面ロールが適用される。
【0091】
なお、本実施形態に係る転写装置は、複数の中間転写体を介して、トナー像を記録媒体の表面に転写する転写装置であってもよい。つまり、転写装置は、例えば、像保持体から第1中間転写ベルトにトナー像を一次転写し、さらに、第1中間転写体から第2中間転写体にトナー像を二次転写した後、第二中間転写体から記録媒体にトナー像を三次転写する転写装置であってもよい。
転写装置が、複数の中間転写体を備える場合、記録媒体にトナー像を転写する中間転写ベルトに、少なくとも、後述する転写ベルトを適用する。
【0092】
[中間転写ベルト]
中間転写ベルトは、次の付着力特性を有する。
【0093】
(付着力特性)
中間転写ベルトは、外周面に扁平トナーを付着させた後、外周面上方側から、吹き付け圧力を上昇させながら、外周面に空気を吹き付けたとき、吹き付け圧力が25kPa以内(扁平トナーによるトナー像の転写不良抑制の観点から、好ましくは20kPa以内、より好ましくは10kPa以内)で、外周面に付着した全ての扁平トナーが外周面から離間する特性を有する。
この付着力特性を満たすことで、中間転写ベルトの外周面とトナーとの間に発生する非静電的付着力を低下し、扁平トナーを用いた場合でも、転写性が向上し、転写不良が抑制される。
【0094】
ただし、扁平トナーによるトナー像の転写不良抑制の観点から、中間転写ベルトは、外周面に扁平トナーを付着させた後、外周面上方側から、吹き付け圧力を上昇させながら、外周面に空気を吹き付けたとき、吹き付け圧力が2kPa以上で、外周面に付着した全ての前記扁平トナーが外周面から離間する特性を有することがよい。
中間転写ベルトと扁平トナーとの付着力が、ある程度有することで、扁平トナーが中間転写ベルトの外周面上で固定化され、転写不良が抑制され易くなる。
【0095】
ここで、付着力特性を満足すか否かの判断は、次の通り行う。
まず、対象となる中間転写ベルトから、3cm×4cm四方の試料片を採取する。
次に、22℃15%の環境下において、試料片における中間転写ベルトの外周面に相当する面に、高さ15cmの上方から、中間転写ベルトの外周面に相当する面と水平に10kVの電圧が印可された状態で、対象となる扁平トナーを散布し、3g/cm2の載り量で付着させる。
【0096】
次に、試料片における扁平トナー付着面の中央部に、高さ3cmの上方に位置する直径0.7mmの空気噴き出し口から、吹き付け圧力0.1kPaで空気の吹き付けを開始し、0.5kPa/秒で吹き付け圧力を上昇させる。
そして、吹き付け圧力が25kPaに到達したとき、試料片から全ての扁平トナーが離間していれば、付着力特性を満足すると判断する。
一方、吹き付け圧力が25kPa超えても、試料片に扁平トナーが残存している場合、付着力特性を満足しないと判断する。
【0097】
(表面自由エネルギー)
中間転写ベルトの外周面の表面自由エネルギーは、扁平トナーによるトナー像の転写不良抑制の観点から、47mN/m以下が好ましく、40mN/m以下がより好ましく、35mN/m以下がさらに好ましい。表面自由エネルギーの下限は、ベルトのクリーニング性の観点から、例えば、10mN/m以上である。
【0098】
表面自由エネルギーの測定は、接触角計CAM-200(KSV社製)を用い、Zisman法を用いた装置内蔵のプログラム計算にて算出する。
【0099】
(水接触角)
中間転写ベルトの外周面の水接触角は、扁平トナーによるトナー像の転写不良抑制の観点から、80°以上が好ましく、85°以上がより好ましく、90°以上がさらに好ましく、95°以上が特に好ましい。水接触角の下限は、ベルトのクリーニング性の観点から、例えば、110°以下である。
【0100】
水接触角は、撥水性を示す指標であり、次の通り測定する。
温度25℃湿度50%の環境下で、接触角計(協和界面科学(株)製、型番:CA-X-FACE)を用いて、測定対象物の表面に、純水を3μl滴下し、滴下してから3秒後の液滴を光学顕微鏡により撮影する。そして、得られた撮像写真から、θ/2法に基づき、水接触角θを求める。
【0101】
(層構成)
中間転写ベルトは、樹脂及び導電性カーボン粒子を含む。中間転写ベルトは、上記付着力特性、上記表面自由エネルギー、及び水接触角を満足する観点から、さらに界面活性剤を含むことが好ましい。
具体的には、中間転写ベルトは、樹脂、導電性カーボン粒子及び界面活性剤を含む層の単層体、又は、樹脂、導電性カーボン粒子及び界面活性剤を含む層を最表面層として有する積層体であることがよい。
積層体としては、樹脂及び導電性カーボン粒子を含む基層と、基層の外周面側に設けられ、樹脂、導電性カーボン粒子及び界面活性剤を含む最表面層と、を有する2層以上の積層体が挙げられる。
そして、各層には、その他成分を含んでもよい。
【0102】
-樹脂-
樹脂としては、例えば、ポリイミド樹脂(PI樹脂)、ポリアミドイミド樹脂(PAI樹脂)、芳香族ポリエーテルケトン樹脂(例えば、芳香族ポリエーテルエーテルケトン樹脂等)、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS樹脂)、ポリエーテルイミド樹脂(PEI樹脂)、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。樹脂は、機械的強度及び導電性カーボン粒子の分散性の観点から、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、芳香族ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、及びポリフェニレンサルファイド樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、ポリイミド樹脂及びポリアミドイミド樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含むことがより好ましい。中でも、機械的強度の観点から、ポリイミド樹脂がさらに好ましい。樹脂は、1種の樹脂からなるものであってもよく、2種以上の樹脂の混合物であってもよい。
【0103】
ポリイミド樹脂としては、例えば、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物との重合体であるポリアミック酸(ポリイミド樹脂の前駆体)のイミド化物が挙げられる。
ポリイミド樹脂としては、例えば、下記一般式(I)で示される構成単位を有する樹脂が挙げられる。
【0104】
【0105】
一般式(I)中、R1は4価の有機基を表し、R2は2価の有機基を表す。
R1で表される4価の有機基としては、芳香族基、脂肪族基、環状脂肪族基、芳香族基と脂肪族基とを組み合わせた基、又はそれらが置換された基が挙げられる。4価の有機基として具体的には、例えば、後述するテトラカルボン酸二無水物の残基が挙げられる。
R2で表される2価の有機基としては、芳香族基、脂肪族基、環状脂肪族基、芳香族基と脂肪族基とを組み合わせた基、又はそれらが置換された基が挙げられる。2価の有機基として具体的には、例えば、後述するジアミン化合物の残基が挙げられる。
【0106】
ポリイミド樹脂の原料として用いるテトラカルボン酸二無水物として具体的には、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)スルホン酸二無水物、ペリレン-3,4,9,10-テトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、エチレンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
【0107】
ポリイミド樹脂の原料として用いるジアミン化合物の具体例としては、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジクロロベンジジン、4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、1,5-ジアミノナフタレン、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、3,3’-ジメチル4,4’-ビフェニルジアミン、ベンジジン、3,3’-ジメチルベンジジン、3,3’-ジメトキシベンジジン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノジフェニルプロパン、2,4-ビス(β-アミノ第三ブチル)トルエン、ビス(p-β-アミノ-第三ブチルフェニル)エーテル、ビス(p-β-メチル-δ-アミノフェニル)ベンゼン、ビス-p-(1,1-ジメチル-5-アミノ-ペンチル)ベンゼン、1-イソプロピル-2,4-m-フェニレンジアミン、m-キシリレンジアミン、p-キシリレンジアミン、ジ(p-アミノシクロヘキシル)メタン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ジアミノプロピルテトラメチレン、3-メチルヘプタメチレンジアミン、4,4-ジメチルヘプタメチレンジアミン、2,11-ジアミノドデカン、1,2-ビス-3-アミノプロボキシエタン、2,2-ジメチルプロピレンジアミン、3-メトキシヘキサメチレンジアミン、2,5-ジメチルヘプタメチレンジアミン、3-メチルヘプタメチレンジアミン、5-メチルノナメチレンジアミン、2,17-ジアミノエイコサデカン、1,4-ジアミノシクロヘキサン、1,10-ジアミノ-1,10-ジメチルデカン、12-ジアミノオクタデカン、2,2-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、ピペラジン、H2N(CH2)3O(CH2)2O(CH2)NH2、H2N(CH2)3S(CH2)3NH2、H2N(CH2)3N(CH3)2(CH2)3NH2等が挙げられる。
【0108】
-ポリアミドイミド樹脂-
ポリアミドイミド樹脂としては、繰り返し単位にイミド結合とアミド結合とを有する樹脂が挙げられる。
より具体的には、ポリアミドイミド樹脂は、酸無水物基を有する3価のカルボン酸化合物(トリカルボン酸ともいう)と、ジイソシアネート化合物又はジアミン化合物と、の重合体が挙げられる。
【0109】
トリカルボン酸としては、トリメリット酸無水物及びその誘導体が好ましい。トリカルボン酸の他に、テトラカルボン酸二無水物、脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸などを併用してもよい。
【0110】
ジイソシアネート化合物としては、3,3’-ジメチルビフェニル-4,4’-ジイソシアネート、2,2’-ジメチルビフェニル-4,4’-ジイソシアネート、ビフェニル-4,4’-ジイソシアネート、ビフェニル-3,3’-ジイソシアネート、ビフェニル-3,4’-ジイソシアネート、3,3’-ジエチルビフェニル-4,4’-ジイソシアネート、2,2’-ジエチルビフェニル-4,4’-ジイソシアネート、3,3’-ジメトキシビフェニル-4,4’-ジイソシアネート、2,2’-ジメトキシビフェニル-4,4’-ジイソシアネート、ナフタレン-1,5-ジイソシアネート、ナフタレン-2,6-ジイソシアネート等が挙げられる。
ジアミン化合物としては、上記のイソシアネートと同様の構造を有し、イソシアナト基の代わりにアミノ基を有する化合物が挙げられる。
【0111】
-芳香族ポリエーテルケトン樹脂-
芳香族ポリエーテルケトン樹脂としては、例えば、ベンゼン環等の芳香環がエーテル結合及びケトン結合により直鎖状に結合した樹脂が挙げられる。
芳香族ポリエーテルケトン樹脂としては、例えば、エーテル結合とケトン結合とが交互に配置されたポリエーテルケトン(PEK)、エーテル結合、エーテル結合、及びケトン結合の順に配置されたポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、エーテル結合、ケトン結合、及びケトン結合の順に配置されたポリエーテルケトンケトン(PEKK)、エーテル結合、エーテル結合、ケトン結合、及びケトン結合の順に配置されたポリエーテルエーテルケトンケトン(PEEKK)、エステル結合を含むポリエーテルケトンエステル等が挙げられる。
【0112】
樹脂の含有量は、機械的強度及び体積抵抗率調整等の観点から、60質量%以上95質量%以下であることが好ましく、70質量%以上95量%以下であることがより好ましく、75質量%以上90質量%以下であることが更に好ましい。
【0113】
(導電性カーボン粒子)
導電性カーボン粒子としては、例えばカーボンブラックが挙げられる。
カーボンブラックとしては、例えば、ケッチェンブラック、オイルファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、等が挙げられる。カーボンブラックとしては、表面が処理されたカーボンブラック(以下、「表面処理カーボンブラック」ともいう)を用いてもよい。
表面処理カーボンブラックは、その表面に、例えば、カルボキシ基、キノン基、ラクトン基、ヒドロキシ基等を付与して得られる。表面処理の方法としては、例えば、高温雰囲気下で空気と接触して反応させる空気酸化法、常温(例えば、22℃)下で窒素酸化物又はオゾンと反応させる方法、高温雰囲気下での空気酸化後、低温でオゾンにより酸化する方法等を挙げられる。
【0114】
これらの中でも、カーボンブラックは、チャンネルブラックが好ましく、表面が処理されたチャンネルブラックがより好ましい。
【0115】
導電性カーボン粒子のpHとしては、例えば1.0以上5.5以下の範囲が挙げられ、1.0以上3.0以下の範囲が好ましい。
【0116】
導電性カーボン粒子の個数平均一次粒径としては、分散性、機械的強度、体積抵抗率、成膜性等の観点から、40nm以下、20nm以下、18nm以下、15nm以下、又は13nm以下が好ましい。
一方、導電性カーボン粒子の個数平均一次粒径としては、2nm以上、5nm以上、又は10nm以上が好ましい。
【0117】
導電性カーボン粒子の個数平均一次粒径は、次の方法により測定される。
まず、得られたベルトから、ミクロトームにより、100nmの厚さの測定サンプルを採取し、本測定サンプルをTEM(透過型電子顕微鏡)により観察する。そして、導電性カーボン粒子50個の各々の投影面積に等しい円の直径(すなわち円相当径)を粒子径として、その平均値を個数平均一次粒径とする。
【0118】
導電性カーボン粒子の含有量は、強度確保の観点から、層全体に対して10質量%以上50質量%以下であることが好ましく、13質量%以上40質量%以下であることがより好ましく、15質量%以上30質量%以下であることが更に好ましい。
【0119】
-界面活性剤-
界面活性剤としては、パーフルオロアルキル構造、アルキレンオキサイド構造、及びシリコーン構造のうち少なくとも一種類以上の構造を有する界面活性剤が好適に挙げられる。 これら構造を有する界面活性剤を適用すると、付着力特性、表面自由エネルギー、水接触角、ジヨードメタン接触角を満足し、凹凸紙への転写性が向上し易くなる。
【0120】
パーフルオロアルキル構造を有する界面活性剤としては、パーフルオロアルキルスルホン酸類(例えば、パーフルオロブタンスルホン酸、パーフルオロオクタンスルホン酸など)、パーフルオロアルキルカルボン酸類(例えば、パーフルオロブタンカルボン酸、パーフルオロオクタンカルボン酸など)、パーフルオロアルキル基含有リン酸エステルが好適に挙げられる。パーフルオロアルキルスルホン酸類、及びパーフルオロアルキルカルボン酸類は、その塩及びそのアミド変性体であってもよい。
【0121】
パーフルオロアルキル構造を有する界面活性剤の市販品としては、例えばメガファックシリーズ(DIC社製)、エフトップシリーズ(JEMCO社製)、フタージェントシリーズ(ネオス社製)、サーフロンシリーズ(AGCセイミケミカル社製)、PFシリーズ(北村化学社製)、FCシリーズ(3M社製)などが挙げられる。
【0122】
アルキレンオキサイド構造を有する界面活性剤としては、ポリエチレングリコール、ポリエーテル消泡剤、ポリエーテル変性シリコーンオイルなどが挙げられる。
ポリエチレングリコールとしては数平均分子量が2000以下のものが好ましく、数平均分子量が2000以下のポリエチレングリコールとしては、ポリエチレングリコール2000(数平均分子量2000)、ポリエチレングリコール600(数平均分子量600)、ポリエチレングリコール400(数平均分子量400)、ポリエチレングリコール200(数平均分子量200)等が挙げられる。
ポリエーテル消泡剤としては、PEシリーズ(和光純薬工業社製)、消泡剤シリーズ(花王社製)等が挙げられる。
ポリエーテル変性シリコーンオイルとしては、ポリシロキサン鎖の側鎖及び末端の少なくとも1つを、ポリアルキレンオキサイドで変性したシリコーンオイルが挙げられる。
【0123】
シリコーン構造を有する界面活性剤としては、ジメチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン、ジフェニルシリコーンやそれらの誘導体のような一般的なシリコーンオイルをあげることができる。
シリコーン構造を有する界面活性剤としてはKFシリーズ351(A)、KF352(A)、KF353(A)、KF354(A)、KF355(A)、KF615(A)、KF618、KF945(A)、KF6004、KP126、KP109(以上、信越化学工業社製)、TSFシリーズ(GE東芝シリコン社製)、BYKシリーズ-UVシリーズ等(ビックケミー・ジャパン株式会社社製)、オグソールシリーズ(大阪ガスケミカル社製)が挙げられる。
【0124】
これらの中でも、界面活性剤としては、炭素数6以下のパーフルオロアルキル構造を有するオリゴマー、及びメチル基を持つシリコーン構造を有するオリゴマーの少なくとも1種であることが好ましい。
これら界面活性剤を適用すると、付着力特性、表面自由エネルギー、水接触角を満足し、扁平トナーによるトナー像の転写不良を抑制し易くなる。
【0125】
ここで、炭素数6以下のパーフルオロアルキル構造を有するオリゴマーは、炭素数6以下(好ましくは炭素数2以上6以下)でフッ素原子を持つ置換基を有するオリゴマーであってもよい。ただし、付着力特性、表面自由エネルギー、水接触角を満足し、扁平トナーによるトナー像の転写不良を抑制する観点から、炭素数6以下(好ましくは炭素数2以上6以下)のパーフルオロアルキル構造を有するオリゴマーが好ましい。
【0126】
また、メチル基を持つシリコーン構造を有するオリゴマーは、付着力特性、表面自由エネルギー、水接触角を満足し、扁平トナーによるトナー像の転写不良を抑制する観点から、シリコーン構造として、「-SiH(CH3)-O-」構造、「-Si(CH3)2-O-」構造、及び「-Si(CH3)(Ph)-O-」構造(構造式中、Phはフェニル基を示す)の少なくとも1種を有するオリゴマーが好適に挙げられる。
なお、界面活性剤は、メチル基を持つシラン構造を有するオリゴマーであってもよい。具体的には、メチル基を持つシラン構造を有するオリゴマーは、-[SiH(CH3)]n-構造、-[Si(CH3)2]n
-構造、及び-[Si(CH3)(Ph)]n-構造(構造式中、Phはフェニル基,nは2以上の整数を示す)の少なくとも1種を有するオリゴマーが好適に挙げられる。
【0127】
付着力特性、表面自由エネルギー、水接触角を満足し、扁平トナーによるトナー像の転写不良を抑制する観点から、これらオリゴマーは、4個以上のモノマーが結合した重合体が好ましい。つまり、オリゴマーにおけるモノマーの繰り返し単位数は、4以上であることが好ましい。
オリゴマーは、好ましくは4個以上1000個以下(又は、4個以上300個以下)のモノマーが結合した重合体が好ましい。つまり、オリゴマーにおけるモノマーの繰り返し単位数は、4以上1000以下(又は、4個以上300個以下)であることが好ましい。
なお、オリゴマーにおける、モノマーとは、炭素数6以下のパーフルオロアルキル構造を有するオリゴマーの場合、パーフルオロアルキル構造を有するモノマー(例えば、(メタ)アクリル酸エステル等)であり、メチル基を持つシリコーン構造を有するオリゴマーの場合、メチル基を有するシロキサンである。
【0128】
界面活性剤の含有量は、付着力特性、表面自由エネルギー、水接触角を満足する範囲に調整される。
界面活性剤の含有量は、界面活性剤が含有する層に対して、0.5質量%以上10質量%以下が好ましく、0.7質量%以上7質量%以下がより好ましく、1.0質量%以上5質量%以下がさらに好ましい。
【0129】
-その他の成分-
その他の成分としては、例えば、導電性カーボン粒子以外の導電剤、ベルトの強度向上のためのフィラー、ベルトの熱劣化を防止するための酸化防止剤、流動性を向上させるための界面活性剤、耐熱老化防止剤等が挙げられる。
【0130】
(中間転写ベルトの体積抵抗率)
中間転写ベルトに500Vの電圧を10秒間印加した際の体積抵抗率の常用対数値は、扁平トナーによるトナー像の転写不良抑制の観点から、9.0(logΩ・cm)以上13.5(logΩ・cm)以下であることが好ましく、9.5(logΩ・cm)以上13.2(logΩ・cm)以下であることがより好ましく、10.0(logΩ・cm)以上12.5(logΩ・cm)以下であることが特に好ましい。
無端ベルトにおける500Vの電圧を10秒間印加した際の体積抵抗率の測定は、以下の方法により行う。
抵抗測定機として、微小電流計(Advantest社製R8430A)を用い、プローブとしてURプローブ(三菱ケミカルアナリテック(株)製)を使用し、体積抵抗率(logΩ・cm)について、無端ベルトを周方向に等間隔で6点、幅方向の中央部及び両端部について3点の計18点、電圧500V、印加時間10秒間、加圧1kgfで測定し、平均値を算出する。また、温度22℃、湿度55%RHの環境下で測定を行うものとする。
【0131】
(中間転写ベルトの表面抵抗率)
中間転写ベルトの外周面に500Vの電圧を10秒間印加した際の表面抵抗率の常用対数値は、扁平トナーによるトナー像の転写不良抑制の観点から、10.0(logΩ/suq.)以上15.0(logΩ/suq.)以下であることが好ましく、10.5(logΩ/suq.)以上14.0(logΩ/suq.)以下であることがより好ましく、11.0(logΩ/suq.)以上13.5(logΩ/suq.)以下であることが特に好ましい。
なお、表面抵抗率の単位logΩ/suq.は、表面抵抗率を単位面積当たりの抵抗値の対数値で表すものあり、log(Ω/suq.)、logΩ/suquare、logΩ/□等とも表記する。
中間転写ベルトの外周面における500Vの電圧を10秒間印加した際の表面抵抗率の測定は、以下の方法により行う。
抵抗測定機として、微小電流計(Advantest社製R8430A)を用い、プローブとしてURプローブ(三菱ケミカルアナリテック(株)製)を使用し、無端ベルトの外周面の表面抵抗率(logΩ/suq.)について、無端ベルトの外周面を周方向に等間隔で6点、幅方向の中央部及び両端部について3点の計18点、電圧500V、印加時間10秒間、加圧1kgfで測定し、平均値を算出する。また、温度22℃、湿度55%RHの環境下で測定を行うものとする。
【0132】
(中間転写ベルトの製造方法)
中間転写ベルトの製造方法は、特に限定されるものではない。
中間転写ベルトの製造方法の一例としては、例えば、樹脂又はその前駆体と導電性カーボン粒子と溶媒とを含有する塗布液を、被塗布材の外周上に塗布して塗布膜を形成し、塗布膜を乾燥させる工程を経る方法が挙げられる。
中間転写ベルトの製造方法において、樹脂の前駆体を用いる場合、乾燥によって乾燥された塗布膜を焼成してもよい。
中間転写ベルトの製造方法の他の一例としては、例えば、樹脂と導電性カーボン粒子とを含むペレットを作製し、このペレットを溶融押出することでベルトを形成する方法であってもよい。
【0133】
以上、本実施形態について説明したが、上記実施の形態に限定的に解釈されるものではなく、種々の変形、変更、改良が可能である。
【実施例】
【0134】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の説明において、特に断りのない限り、「部」及び「%」はすべて質量基準である。
【0135】
<現像剤>
[現像剤(1)]
(結着樹脂の合成)
・アジピン酸ジメチル:74部
・テレフタル酸ジメチル:192部
・ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物:216部
・エチレングリコール:38部
・テトラブトキシチタネート(触媒):0.037部、
【0136】
上記成分を加熱乾燥した二口フラスコに入れ、容器内に窒素ガスを導入して不活性雰囲気に保ち撹拌しながら昇温した後、160℃で7時間共縮重合反応させ、その後、10Torrまで徐々に減圧しながら220℃まで昇温し4時間保持した。一旦常圧に戻し、無水トリメリット酸9部を加え、再度10Torrまで徐々に減圧し220℃で1時間保持することにより結着樹脂を合成した。
【0137】
結着樹脂のガラス転移温度(Tg)は、ASTMD3418-8に準拠して、示差走査熱量計(島津社製:DSC-50)を用い、室温(25℃)から150℃まで昇温速度10℃/分の条件下で測定することにより求めた。なお、ガラス転移温度は吸熱部におけるベースラインと立ち上がりラインとの延長線の交点の温度とした。結着樹脂のガラス転移温度は63.5℃であった。
【0138】
(樹脂粒子分散液の調製)
・結着樹脂:160部
・酢酸エチル:233部
・水酸化ナトリウム水溶液(0.3N):0.1部
【0139】
上記成分を1000mlのセパラブルフラスコに入れ、70℃で加熱し、スリーワンモーター(新東科学(株)製)により撹拌して樹脂混合液を調製した。この樹脂混合液をさらに90rpmで撹拌しながら、徐々にイオン交換水373部を加え、転相乳化させ、脱溶剤することにより樹脂粒子分散液(固形分濃度:30%)を得た。樹脂粒子分散液の体積平均粒子径は、162nmであった。
【0140】
(離型剤分散液の調製)
・カルナバワックス(東亜化成(株)製、RC-160):50部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオゲンRK):1.0部
・イオン交換水:200部
【0141】
以上を混合して95℃に加熱し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて分散した後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザ(ゴーリン社)で360分間の分散処理をして、体積平均粒子径が0.23μmである離型剤粒子を分散させてなる離型剤分散液(固形分濃度:20%)を調製した。
【0142】
(金属顔料粒子分散液の調製)
・アルミニウム顔料(昭和アルミパウダー(株)製、2173EA):100部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬社製、ネオゲンR):1.5部
・イオン交換水:900部
【0143】
アルミニウム顔料のペーストから溶剤を除去した後、以上を混合し、溶解し、乳化分散機キャビトロン(太平洋機工(株)製、CR1010)を用いて1時間ほど分散して、金属顔料粒子(アルミニウム顔料)を分散させてなる金属顔料粒子分散液(固形分濃度:10%)を調製した。アルミニウム顔料(扁平顔料)の長軸方向の平均長さは8μmであり、厚さ方向の平均長さは0.1μmであった。
【0144】
(外添剤(1)の作製)
ゾルゲル法により、ジメチルシリコーンオイルによる表面処理量が5質量%、平均一次粒径が100nmである外添剤(1)を作製した。
【0145】
(扁平トナー(1)の作製)
・樹脂粒子分散液: 380部
・離型剤分散液: 72部
・金属顔料粒子分散液: 140部
【0146】
上述の金属顔料粒子分散液と樹脂粒子分散液と離型剤分散液とを2Lの円筒ステンレス容器に入れ、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)により4000rpmでせん断力を加えながら10分間分散して混合した。次いで、凝集剤としてポリ塩化アルミニウムの10%硝酸水溶液1.75部を徐々に滴下して、ホモジナイザーの回転数を5000rpmにして15分間分散して混合し、原料分散液とした。
【0147】
その後、2枚パドルの撹拌翼を用いた撹拌装置、および温度計を備えた重合釜に原料分散液を移し、撹拌回転数を810rpmにしてマントルヒーターにて加熱し始め、54℃にて凝集粒子を成長させた。またこの際、0.3Nの硝酸や1Nの水酸化ナトリウム水溶液で原料分散液のpHを2.2乃至3.5の範囲に制御した。上記pH範囲で2時間ほど保持し、凝集粒子を形成した。
【0148】
次に、樹脂粒子分散液を追添加し、前記凝集粒子の表面に結着樹脂の樹脂粒子を付着させた。さらに56℃に昇温し、光学顕微鏡及びマルチサイザーIIで粒子の大きさ及び形態を確認しながら凝集粒子を整えた。その後、凝集粒子を融合させるためにpHを8.0に上げた後、67.5℃まで昇温させた。光学顕微鏡で凝集粒子が融合したのを確認した後、67.5℃で保持したままpHを6.0まで下げ、1時間後に加熱を止め、0.1℃/分の降温速度で冷扁平却した。その後20μmメッシュで篩分し、水洗を繰り返した後、真空乾燥機で乾燥して扁平トナー粒子を得た。
【0149】
更に、温風乾燥機で45℃、1時間,扁平トナー粒子を加熱処理した。
加熱処理後の扁平トナー粒子100部に対して外添剤(1)を1.2部、疎水性シリカ(日本アエロジル社製、RY50)を1.5部と疎水性酸化チタン(日本アエロジル社製、T805)を1.0部とを、サンプルミルを用いて10000rpmで30秒間混合した。その後、目開き45μmの振動篩いで篩分して扁平トナー(1)を作製した。
【0150】
なお、扁平トナー粒子の体積平均粒子径は12.2μm、扁平トナー粒子の平均最大厚さCと扁平トナー粒子の平均円相当径Dの比(C/D)は0.31であった。
【0151】
(キャリアの作製)
・フェライト粒子(体積平均粒子径:35μm):100部
・トルエン:14部
・パーフルオロオクチルエチルアクリレート/メチルメタクリレート共重合体:1.6部
・カーボンブラック(商品名:VXC-72、キャボット社製):0.12部
・架橋メラミン樹脂粒子(平均粒子径:0.3μm、トルエン不溶):0.3部
【0152】
まず、パーフルオロオクチルエチルアクリレート/メチルメタクリレート共重合体に、カーボンブラックをトルエンに希釈して加えサンドミルで分散した。次いで、これにフェライト粒子以外の上記各成分を10分間スターラーで分散し、被覆層形成用溶液を調合した。次いでこの被覆層形成用溶液とフェライト粒子とを真空脱気型ニーダーに入れ、温度60℃において30分間撹拌した後、減圧してトルエンを留去して、樹脂被覆層を形成してキャリアを得た。
【0153】
(現像剤の作製)
扁平トナー:36部とキャリア:414部とを、2リットルのVブレンダーに入れ、20分間撹拌し、その後212μmで篩分して現像剤(1)を作製した。
【0154】
[現像剤(2)]
扁平トナー(1)の作製において、外添剤(1)を1.7部にした以外は、扁平トナー(1)と同様にして、扁平トナー(2)を得た。
得られた扁平トナー(2)を用いた以外は、現像剤(1)と同様にして、現像剤(2)を得た。
【0155】
[現像剤(3)]
扁平トナー(1)の作製において、外添剤(1)を添加しないで作製した以外は、扁平トナー(1)と同様にして、扁平トナー(3)を得た。
得られた扁平トナー(3)を用いた以外は、現像剤(1)と同様にして、現像剤(3)を得た。
【0156】
<中間転写ベルト>
[中間転写ベルト(1)]
・ポリアミック酸溶液DA-A1(固形分濃度:45質量%) 70質量部
・ポリアミック酸溶液DC-A1(固形分濃度:15質量%) 30質量部
・酸性カーボンブラック(乾燥状態;導電性カーボン粒子)
〔Color Black FW200、オリオンエンジニアドカーボンズ社製、ガスブラック(すなわちチャンネルブラック)、個数平均一次粒径:13nm、pH:3.0(以下「FW200」と略する)〕 18質量部
・界面活性剤(サーフロンS-651) 表1に示す含有量(界面活性剤を含有する層に対する含有量(以下同様))となる量
上記組成のポリアミック酸溶液DA-A1及びポリアミック酸溶液DC-A1を混合し、FW200と共に界面活性剤を添加してポールミルにて30℃にて12時間分散処理することによりポリアミック酸溶液の混合液に分散した。その後、FW200が分散した混合液を、#800ステンレスメッシュでろ過して、塗布液を得た。
【0157】
被塗布材として、外径366mm、長さ400mmのSUS材料製円筒型金型を用意し、その外周面にシリコーン系離型剤(信越化学工業社製、品名:セパコートSP)を塗布し、乾燥処理(離型剤処理)を行った
【0158】
離型剤処理を施した円筒型金型を周方向に10rpmの速度で回転させながら、円筒型金型端部より、上記塗布液を口径1.0mmディスペンサーより吐出し、金型上に設置した金属ブレードにて一様の圧力で押し付けて塗布を行った。ディスペンサーユニットを円筒型金型の軸方向に100mm/分の速度で移動させることによって塗布液A1を円筒型金型上に螺旋状に塗布し、塗布膜を形成した。
次に、乾燥炉中で塗布膜を140℃空気雰囲気下、10rpmで回転させながら15分乾燥処理を行った。なお、塗布膜の乾燥工程における積分平均昇温速度A/Bは6.00℃/minであった。
【0159】
次に、到達温度320℃としたオーブンに4時間入れ、無端ベルトを得た。無端ベルトの全体膜厚(すなわち、単層の膜厚)は80μmであった。
金型から無端ベルトを取り外し、抜き取った無端ベルトを保持具に張架し、挿入角を調整したカッターにて切断し、φ366mm、幅369mmの中間転写ベルト(1)を得た。
中間転写ベルト(1)について前述の方法で体積抵抗率及び外周面の表面抵抗率を測定したところ、体積抵抗率の常用対数値は11.4(logΩ・cm)、表面抵抗率の常用対数値は11.2(logΩ/suq.)であった。
【0160】
[中間転写ベルト(2)~(14)]
表1に従って、界面活性剤の種類及び含有量を変更した以外は、中間転写ベルト(1)と同様にして、中間転写ベルト(2)~(14)を得た。
【0161】
なお、中間転写ベルト(1)~(14)で使用する界面活性剤種は、次の通りである。
・サーフロンS-431:AGC セイミケミカル株式会社製、炭素数5のパーフルオロアルキル構造を有するオリゴマー(炭素数5のパーフルオロアルキル構造を持つモノマーの繰り返し単位数30のオリゴマー)
・フタージェント601ADH:ネオス株式会社製、炭素数5のパーフルオロアルキル構造を有するオリゴマー(炭素数5のパーフルオロアルキル構造を持つモノマーの繰り返し単位数200のオリゴマー
・KP109:信越化学工業株式会社製、メチル基を持つシリコーン構造を有するオリゴマー(シロキサンの繰り返し数500)
・KP126:信越化学工業株式会社製、メチル基を持つシリコーン構造を有するオリゴマー(シロキサンの繰り返し数500)
・オグソール SI 10-10:大阪ガスケミカル社製、メチル基及びフェニル基を持つシラン構造を有するオリゴマー(シランの繰り返し数10)
・FC4430:3M社製、炭素数4のパーフルオロアルキル構造を有するオリゴマー(炭素数4のパーフルオロアルキル構造を持つモノマーの繰り返し単位数10のオリゴマー
・FC4432:3M社製、炭素数4のパーフルオロアルキル構造を有するオリゴマー(炭素数4のパーフルオロアルキル構造を持つモノマーの繰り返し単位数10のオリゴマー
ここで、表1において、界面活性剤の炭素数の欄は、界面活性剤が有する「パーフルオロアルキル構造」、シロキサンの置換基(メチル基)、シランの置換基(フェニル基)の炭素数を示す。
【0162】
[中間転写ベルトの特性評価]
中間転写ベルトについて、下記特性を既述の方法に従って求めた。その結果を表1に示す。
・付着量特性(中間転写ベルトの外周面に扁平トナーを付着させた後、外周面上方側から、吹き付け圧力を上昇させながら、外周面に空気を吹き付けたとき、前記吹き付け圧力が25kPa以内で、外周面に付着した全ての前記ポリエステル樹脂粒子が外周面から離間する特性)。なお、表中の付着量特性の欄における数値は、中間転写ベルトの外周面に付着した全ての扁平トナーが外周面から離間したときの、空気の吹き付け圧力を示す。
・無端ベルトの外周面の表面自由エネルギー(mN/m)
・無端ベルトの外周面の水接触角(°)
【0163】
<実施例1~13、比較例1>
表1に示す組み合わせで、画像形成装置「富士ゼロックス社製「DocuColor-7171P」の、光輝性画像形成用の現像装置に現像剤を充填し、中間転写ベルトを転写装置に組み込んだ。
そして、この画像形成装置を用いて、次の評価を実施した。
【0164】
(転写不良評価)
温度22℃湿度55%RHの環境下、かつ、二次転写領域における記録媒体の搬送速度が366mm/sである条件下おいて、OSコート紙にBlue色ベタ画像を形成し、画像の濃度ムラを目視評価した。評価基準は以下のとおりであり、結果を表1に示す。
-評価基準-
A :濃度ムラ未発生
B :若干の濃度ムラ発生
C :明確な濃度ムラが発生
【0165】
【0166】
上記結果から、本実施例は、比較例に比べ、扁平トナーによるトナー像の転写不良が抑制されることがわかる。
【符号の説明】
【0167】
2 扁平トナー粒子
4 扁平顔料
L 扁平トナー粒子の厚さ
111Y、111M、111C、111K、111B 感光体
113 駆動ロール
112 支持ロール
114 対向ロール
115Y、115M、115C、115K、115B クリーニング装置
116 中間転写ベルトクリーニング装置
117Y、117M、117C、117K、117B 一次転写ロール
118Y、118M、118C、118K、118B 帯電ロール
119Y、119M、119C、119K、119B 露光装置
120Y、120M、120C、120K、120B 現像装置
133 中間転写ベルト
134 二次転写ロール
135 定着装置
140Y、140M、140C、140K、140B トナーカートリッジ
150Y、150M、150C、150K、150B 画像形成ユニット