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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】避難所管理プログラム、装置、及び方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/26 20240101AFI20241001BHJP
【FI】
G06Q50/26
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021016914
(22)【出願日】2021-02-04
(65)【公開番号】P2022119645
(43)【公開日】2022-08-17
【審査請求日】2023-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】後藤 三佳
【審査官】神田 泰貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-123236(JP,A)
【文献】特開2016-224755(JP,A)
【文献】特開2018-060249(JP,A)
【文献】特開2017-111747(JP,A)
【文献】特開2020-154500(JP,A)
【文献】特開2019-185345(JP,A)
【文献】特開2019-109730(JP,A)
【文献】特開2016-115302(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0190295(US,A1)
【文献】「避難所」関係法令等,日本,内閣府,2022年12月02日,https://www.bousai.go.jp/kaigirep/kentokai/hinanzyokakuho/01/pdf/sankou7.pdf
【文献】指定緊急避難場所の指定に関する手引き,日本,内閣府,2022年12月02日,頁6-13,https://www.bousai.go.jp/oukyu/hinankankoku/pdf/shiteitebiki.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 23/00 - 21/00
G06Q 50/00 - 50/20
G06Q 50/26 - 99/00
G16Z 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の災害種別を取得すると、複数のハザードマップのうち前記第1の災害種別に応じたハザードマップを取得し、
第1の避難所の設定指示を受け付けると、前記設定指示に含まれる前記第1の避難所の位置情報と前記第1の災害種別に応じたハザードマップとに基づいて、前記第1の避難所の設定可否を判定し、
前記判定の処理の結果を出力する、
処理をコンピュータに実行させる避難所管理プログラム。
【請求項2】
発生した災害の規模を示す情報をさらに取得し、
前記複数のハザードマップの各々は、災害種別毎に、災害に基づく被害範囲を災害の規模に応じて複数段階で表したマップであり、
前記第1の避難所の設定可否を判定する処理は、前記設定指示に含まれる前記第1の避難所の位置情報と、前記第1の災害種別に応じたハザードマップに表される、取得した前記情報が示す災害の規模に応じた前記被害範囲とに基づいて、前記第1の避難所の設定可否を判定する処理を含む、
請求項1に記載の避難所管理プログラム。
【請求項3】
災害種別毎に、設定が許可された前記第1の避難所の情報を記憶部に記憶し、
前記第1の避難所の設定指示を受け付ける際、及び、前記第1の避難所の設定を許可しないことを示す前記結果を出力する際の少なくとも一方において、前記記憶部に記憶されている前記第1の避難所の情報のうち、前記第1の災害種別に応じた前記第1の避難所の情報を出力する、
処理をさらに前記コンピュータに実行させる請求項1又は請求項2に記載の避難所管理プログラム。
【請求項4】
前記第1の避難所の情報と共に、前記第1の避難所とは異なる、自治体により管理される第2の避難所の情報を出力する、
処理をさらに前記コンピュータに実行させる請求項3に記載の避難所管理プログラム。
【請求項5】
ユーザの現在位置情報と、前記第1の避難所及び前記第2の避難所のうち、前記ユーザにより選択された避難所の位置情報とを取得し、
前記ユーザの現在位置情報と、前記選択された避難所の位置情報と、前記第1の災害種別に応じたハザードマップが示す被害範囲とに基づいて、前記ユーザの現在位置情報が示す位置から、前記避難所の位置情報が示す位置までの避難経路を探索し、
探索した避難経路を出力する、
処理をさらに前記コンピュータに実行させる請求項4に記載の避難所管理プログラム。
【請求項6】
各地点の状況を示す投稿をさらに取得し、
前記第1の避難所の設定可否を判定する処理は、前記設定指示に含まれる前記第1の避難所の位置情報と、前記第1の災害種別に応じたハザードマップと、前記投稿が示す各地点の状況とに基づいて、前記第1の避難所の設定可否を判定する処理を含む、
請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の避難所管理プログラム。
【請求項7】
各地点の状況を示す投稿をさらに取得し、
前記避難経路を探索する処理は、前記ユーザの現在位置情報と、前記選択された避難所の位置情報と、前記第1の災害種別に応じたハザードマップが示す被害範囲と、前記投稿が示す各地点の状況とに基づいて、前記避難経路を探索する処理を含む、
請求項5に記載の避難所管理プログラム。
【請求項8】
第1の災害種別を取得すると、複数のハザードマップのうち前記第1の災害種別に応じたハザードマップを取得し、
第1の避難所の設定指示を受け付けると、前記設定指示に含まれる前記第1の避難所の位置情報と前記第1の災害種別に応じたハザードマップとに基づいて、前記第1の避難所の設定可否を判定し、
前記判定の処理の結果を出力する、
処理を実行する制御部を含む避難所管理装置。
【請求項9】
第1の災害種別を取得すると、複数のハザードマップのうち前記第1の災害種別に応じたハザードマップを取得し、
第1の避難所の設定指示を受け付けると、前記設定指示に含まれる前記第1の避難所の位置情報と前記第1の災害種別に応じたハザードマップとに基づいて、前記第1の避難所の設定可否を判定し、
前記判定の処理の結果を出力する、
処理をコンピュータが実行する避難所管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の技術は、避難所管理の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
災害発生時に被災者の避難等を支援する技術が存在する。例えば、地下街の出入口の壁に情報表示装置が設置され、出入口の外の水位を検出する子機が設置された避難先警告表示システムが提案されている。このシステムでは、情報表示装置に表示されているマップ上に子機と、出入口とがアイコンで表示されている。このシステムでは、子機のセンサーが閾値を超える水位を検出したときに、情報表示装置に表示された子機のアイコンが警告表示されて出入口の外が冠水していることが示され、出入口のアイコンが警告表示される。
【0003】
また、例えば、時刻や位置、その周辺で発生した犯罪又は災害等に応じて見守り対象者の危険度を測り、その危険度に応じて避難行動を支援する見守りシステムが提案されている。このシステムは、過去に発生した犯罪又は災害の危険度及び危険範囲を算出し、犯罪又は災害の危険度及び危険範囲に基づき見守り対象者の危険度を算出する。そして、このシステムは、見守り対象者が直面している危険を回避する避難行動支援処理によって、見守り対象者の保護を実現する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-081348号公報
【文献】特開2008-269336号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
災害発生時の避難所として、自治体が予め選定した指定避難所がある。また、やむを得ない理由で指定避難所に入れない被災者が、公園や駐車場などを避難所とする場合や、プライバシー確保などの目的で車中泊や自宅を避難所とする場合もある。このような避難所は、指定外避難所と呼ばれ、誰でも自由に避難所として決めることができる。指定避難所は、自治体や公的な機関が、場所、地形等の条件を基に選定しているため、安全性が担保されている等、発生した災害に対して適切な避難所である。一方、指定外避難所は、上記のように、被災者が自由に場所を決めることができるため、その場所がそもそも避難所として不適切な場合がある。
【0006】
一つの側面として、開示の技術は、災害に応じた指定外避難所の設定の可否を判定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一つの態様として、開示の技術は、第1の災害種別を取得すると、複数のハザードマップのうち前記第1の災害種別に応じたハザードマップを取得する。そして、開示の技術は、第1の避難所の設定指示を受け付けると、前記設定指示に含まれる前記第1の避難所の位置情報と前記第1の災害種別に応じたハザードマップとに基づいて、前記第1の避難所の設定可否を判定し、前記判定の処理の結果を出力する。
【発明の効果】
【0008】
一つの側面として、災害に応じた指定外避難所の設定の可否を判定することができる、という効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】避難所管理システムの概略構成を示すブロック図である。
図2】第1実施形態に係る避難所管理装置の機能ブロック図である。
図3】ハザードマップDBの一例を概略的に示す図である。
図4】指定外避難所の設定画面の一例を示す図である。
図5】指定外避難所の設定可否の判定を説明するための図である。
図6】避難所DBの一例を示す図である。
図7】避難所管理装置として機能するコンピュータの概略構成を示すブロック図である。
図8】第1実施形態における避難所管理処理の一例を示すフローチャートである。
図9】災害の規模に応じて被害範囲が段階的に示されるハザードマップを用いた、指定外避難所の設定可否の判定を説明するための図である。
図10】第2実施形態に係る避難所管理装置の機能ブロック図である。
図11】地点情報DBの一例を示す図である。
図12】過去避難所DBの一例を示す図である。
図13】避難所一覧に基づく表示の一例を示す図である。
図14】地点情報の表示の一例を示す図である。
図15】第2実施形態における避難所管理処理の一例を示すフローチャートである。
図16】経路探索処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、開示の技術に係る実施形態の一例を説明する。以下の各実施形態では、避難所管理システムにより提供されるサービスの運営及び管理を、都道府県や市区町村等の自治体が行う場合について説明する。
【0011】
<第1実施形態>
図1に、第1実施形態に係る避難所管理システム100の概略構成を示す。避難所管理システム100は、避難所管理装置10と、ユーザ端末30と、管理者端末35とを含む。避難所管理装置10と、ユーザ端末30及び管理者端末35の各々とは、ネットワークを介して接続される。なお、避難所管理システム100に含まれるユーザ端末30及び管理者端末35の数は、図1に示す例に限定されない。避難所管理システム100が提供するアプリケーションは、災害時において、避難所の情報提供、避難支援等のサービスを提供する。
【0012】
ユーザ端末30は、自治体の住民等のユーザにより使用される情報処理端末であり、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末等により実現される。ユーザ端末30上では、避難所管理システム100により提供されるアプリケーションが動作する。ユーザ端末30は、情報が表示される表示部、及び情報を入力する入力部を含む。表示部及び入力部は、併せてタッチパネルディスプレイで実現されてよい。また、ユーザ端末30は、ネットワークを介して避難所管理装置10と通信を行うための通信部を含む。また、ユーザ端末30は、自端末の位置を測位し、自端末の位置情報を出力する、例えばGPS(Global Positioning System)等の測位部を含む。また、ユーザ端末30は、カメラを含んでもよい。
【0013】
管理者端末35は、避難所管理システム100により提供されるアプリケーションを管理する自治体の管理者により使用される情報処理端末であり、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末等により実現される。管理者端末35は、ユーザ端末30と同様に、表示部、入力部、通信部等を含む。なお、ユーザ端末30と管理者端末35とは、同様の機能を有する情報処理端末で実現されるが、説明の便宜上、使用する者の相違に応じて区別して説明する。
【0014】
避難所管理装置10は、機能的には、図2に示すように、取得部12と、判定部14と、出力部16と、ハザードマップDB(Database)22と、避難所DB24とを含む。
【0015】
取得部12は、災害発生時に、発生した災害の種別を示す災害種別の情報を取得する。例えば、取得部12は、自治体の管理者が管理者端末35を介して入力した災害種別を取得してよい。また、例えば、取得部12は、気象庁等が発表する緊急地震速報、大雨警報等の警報を検知し、検知した警報が示す災害種別を取得してもよい。災害種別としては、津波、地震、河川氾濫等の種別を予め定めておいてよい。
【0016】
取得部12は、災害種別を取得すると、ハザードマップDB22に記憶された複数のハザードマップのうち、取得した災害種別に応じたハザードマップを取得する。図3に、ハザードマップDB22の一例を概略的に示す。ハザードマップDB22には、災害種別毎のハザードマップが記憶されている。ハザードマップとは、自然災害による被害を予測し、その被害範囲を地図化したものである。図3の例では、地図上に被害範囲を色付け(網掛け)して表示した例を示している。なお、ハザードマップDB22は、避難所管理装置10に記憶される場合に限らず、外部装置に記憶されていてもよい。この場合、取得部12は、ハザードマップDB22が記憶されている外部装置から、取得した災害種別に応じたハザードマップを取得すればよい。例えば、取得部12は、国土交通省が運営するハザードマップポータルサイトから、取得した災害種別に応じたハザードマップを取得してよい。
【0017】
判定部14は、指定外避難所の設定指示を受け付ける。指定外避難所は、開示の技術の「第1の避難所」の一例である。例えば、判定部14は、ユーザ端末30において、指定外避難所設定のメニューが選択されるなどした場合に、図4に示すような設定画面40をユーザ端末30に表示させる。図4の例では、設定画面40には、指定外避難所の名称、電話番号、利用可能な設備等を入力するための入力領域42と、設定指示ボタン44とが含まれている。設定指示ボタン44が選択されると、設定予定の指定外避難所の位置を示す位置情報と、設定画面40の入力領域に入力された情報とを含む設定指示が、ユーザ端末30から避難所管理装置10へ送信される。指定外避難所の位置情報は、ユーザ端末30の測位部で測位されるユーザ端末30の現在位置情報、又は、ユーザが地図等を利用して指定した位置の位置情報である。判定部14は、ユーザ端末30から送信された設定指示を受け付ける。
【0018】
判定部14は、指定外避難所の設定指示を受け付けると、受け付けた設定指示に含まれる設定予定の指定外避難所の位置情報と、取得部12により取得された災害種別に応じたハザードマップとに基づいて、設定指示された指定外避難所の設定可否を判定する。具体的には、判定部14は、設定予定の指定外避難所の位置情報が示す位置が、ハザードマップが示す被害範囲に含まれる場合は、指定外避難所の設定を不可と判定する。一方、判定部14は、設定予定の指定外避難所の位置情報が示す位置が、ハザードマップが示す被害範囲外の場合は、指定外避難所の設定を許可すると判定する。
【0019】
例えば、図5に示すように、災害種別に応じて取得されたハザードマップが示す被害範囲(図5中の網掛部分)が地図上に表されるとする。そして、判定部14は、設定予定の指定外避難所の位置として、被害範囲外の位置P1を受け付けた場合、その指定外避難所の設定を許可すると判定する。一方、判定部14は、設定予定の指定外避難所の位置として、被害範囲内の位置P2を受け付けた場合、その指定外避難所の設定を不可と判定する。
【0020】
出力部16は、判定部14による指定外避難所の設定可否の判定結果を、設定指示を送信したユーザ端末30へ出力する。ユーザ端末30では、出力部16から出力された判定結果が表示される。また、出力部16は、設定が許可された指定外避難所の情報を避難所DB24に登録する。図6に、避難所DB24の一例を示す。図6の例では、避難所DB24には、避難所毎に、設定指示に含まれる位置情報を示す「位置」、設定画面40の入力領域42に入力された情報である「避難所名」、「電話番号」、「設備」、「説明」等の情報が記憶されている。また、図6の例では、避難所DB24には、自治体で事前に設定されている指定避難所の情報も記憶されており、各避難所の情報について、その避難所が指定避難所か指定外避難所かを示す「区分」の情報も記憶されている。指定避難所は、開示の技術の「第2の避難所」の一例である。避難所DB24に記憶された情報は、管理者端末35から閲覧可能である。これにより、自治体の管理者は、ユーザが自由に設定した指定外避難所の情報を把握することができる。
【0021】
避難所管理装置10は、例えば図7に示すコンピュータ50で実現してよい。コンピュータ50は、CPU(Central Processing Unit)51と、一時記憶領域としてのメモリ52と、不揮発性の記憶部53とを備える。また、コンピュータ50は、入力部、表示部等の入出力装置54と、記憶媒体59に対するデータの読み込み及び書き込みを制御するR/W(Read/Write)部55とを備える。また、コンピュータ50は、インターネット等のネットワークに接続される通信I/F(Interface)56を備える。CPU51、メモリ52、記憶部53、入出力装置54、R/W部55、及び通信I/F56は、バス57を介して互いに接続される。
【0022】
記憶部53は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等によって実現してよい。記憶媒体としての記憶部53には、コンピュータ50を、避難所管理装置10として機能させるための避難所管理プログラム60が記憶される。避難所管理プログラム60は、取得プロセス62と、判定プロセス64と、出力プロセス66とを有する。また、記憶部53は、ハザードマップDB22及び避難所DB24の各々を構成する情報が記憶される情報記憶領域70を有する。
【0023】
CPU51は、避難所管理プログラム60を記憶部53から読み出してメモリ52に展開し、避難所管理プログラム60が有するプロセスを順次実行する。CPU51は、取得プロセス62を実行することで、図2に示す取得部12として動作する。また、CPU51は、判定プロセス64を実行することで、図2に示す判定部14として動作する。また、CPU51は、出力プロセス66を実行することで、図2に示す出力部16として動作する。また、CPU51は、情報記憶領域70から情報を読み出して、ハザードマップDB22及び避難所DB24の各々をメモリ52に展開する。これにより、避難所管理プログラム60を実行したコンピュータ50が、避難所管理装置10として機能することになる。なお、プログラムを実行するCPU51はハードウェアである。
【0024】
なお、避難所管理プログラム60により実現される機能は、例えば半導体集積回路、より詳しくはASIC(Application Specific Integrated Circuit)等で実現することも可能である。
【0025】
次に、第1実施形態に係る避難所管理システム100の作用について説明する。避難所管理装置10に、発生した災害の災害種別が入力されると、避難所管理装置10において、図8に示す避難所管理処理が実行される。なお、避難所管理処理は、開示の技術の避難所管理方法の一例である。
【0026】
ステップS10で、取得部12が、避難所管理装置10に入力された災害種別を取得する。次に、ステップS12で、取得部12が、ハザードマップDB22に記憶された複数のハザードマップのうち、取得した災害種別に応じたハザードマップを取得する。
【0027】
次に、ステップS14で、判定部14が、ユーザ端末30から、指定外避難所の設定指示を受け付けたか否かを判定する。設定指示を受け付けた場合には、処理はステップS16へ移行し、設定指示を受け付けていない場合には、処理はステップS24へ移行する。
【0028】
ステップS16では、判定部14が、受け付けた設定指示に含まれる、設定予定の指定外避難所の位置情報が示す位置が、取得したハザードマップが示す被害範囲に含まれるか否かを判定する。指定外避難所の位置が被害範囲に含まれる場合には、処理はステップS18へ移行し、指定外避難所の位置が被害範囲外の場合には、処理はステップS20へ移行する。
【0029】
ステップS18では、判定部14が、指定外避難所の設定を不可と判定する。そして、出力部16が、指定外避難所の設定不可の判定結果を、設定指示を送信したユーザ端末30へ出力し、処理はステップS24へ移行する。一方、ステップS20では、判定部14が、指定外避難所の設定を許可すると判定する。そして、出力部16が、指定外避難所の設定許可の判定結果を、設定指示を送信したユーザ端末30へ出力する。次に、ステップS22で、出力部16が、設定が許可された指定外避難所の情報を避難所DB24に登録し、処理はステップS24へ移行する。
【0030】
ステップS24では、判定部14が、アプリケーションを終了するか否かを判定し、終了しない場合には、処理はステップS14に戻り、終了する場合には、避難所管理処理は終了する。
【0031】
以上説明したように、第1実施形態に係る避難所管理システムによれば、避難所管理装置が、災害種別を取得すると、複数のハザードマップのうち災害種別に応じたハザードマップを取得する。そして、避難所管理装置が、指定外避難所の設定指示を受け付けると、設定指示に含まれる指定外避難所の位置情報と災害種別に応じたハザードマップとに基づいて、指定外避難所の設定可否を判定し、判定の処理の結果を出力する。例えば、地震発生時に安全な場所と、河川氾濫時に安全な場所とでは異なる場合もあるなど、被災者が自身で災害種別に応じた適切な指定外避難所の設定を判断することは困難である。第1実施形態に係る避難所管理システムによれば、災害に応じた指定外避難所の設定の可否を判定することができる。
【0032】
なお、第1実施形態において、災害に基づく被害範囲を災害の規模に応じて複数段階で表したハザードマップを用いてもよい。この場合、取得部12は、発生した災害の規模を示す情報をさらに取得してよい。そして、判定部14は、設定指示に含まれる、設定予定の指定外避難所の位置情報と、取得した災害種別に応じたハザードマップに表される、災害の規模に応じた被害範囲とに基づいて、指定外避難所の設定可否を判定してもよい。被害範囲を災害の規模に応じて複数段階で表す例としては、例えば、地震による被害範囲として、発生した地震の震度又はマグニチュードに応じて被害範囲を複数段階に分けてよい。
【0033】
例えば、図9に示す網掛部分が被害範囲としてハザードマップに表されているとする。図9の例では、濃淡の薄い網掛部分(図9中のS)が示す被害範囲の方が、濃淡の濃い網掛部分(図9中のT)が示す被害範囲より、災害の規模が大きい場合を表している。例えば、上記の地震例の場合、Sの部分は、震度6の地震の場合に想定される被害範囲、Tの部分は、震度5の地震の場合に想定される被害範囲であるとする。この場合、判定部14は、設定予定の指定外避難所の位置が図9中のPで示される位置の場合、取得された災害の規模が「震度6」の場合、指定外避難所の設定は不可と判定し、災害の規模が「震度5」の場合、指定外避難所の設定を許可する。
【0034】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。なお、第2実施形態に係る避難所管理システムにおいて、第1実施形態に係る避難所管理システム100と同様の構成については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0035】
図1に示すように、第2実施形態に係る避難所管理システム200は、避難所管理装置210と、ユーザ端末30と、管理者端末35とを含む。避難所管理装置210は、機能的には、図10に示すように、取得部212と、判定部214と、出力部216と、探索部218と、ハザードマップDB22と、避難所DB24と、過去避難所DB226と、地点情報DB228とを含む。
【0036】
取得部212は、第1実施形態における取得部12と同様に、災害発生時に災害種別を取得し、ハザードマップDB22に記憶された複数のハザードマップのうち、取得した災害種別に応じたハザードマップを取得する。また、取得部212は、ユーザ端末30から、地点情報を取得する。地点情報は、ユーザ端末30を保持したユーザが、アプリケーションが提供するSNS(Social Networking Service)の機能を利用して、各地点の状況についての投稿を行うことにより生成される。例えば、ある地点において水害が発生している状況に遭遇したあるユーザが、ユーザ端末30から「水害が発生しています」という投稿を行う。この場合、投稿を行った場所、投稿を行った日時、及び「水害が発生しています」という投稿内容を含む地点情報が生成され、この地点情報を取得部212が取得する。なお、投稿を行った場所は、投稿を行った時点でユーザ端末30の測位部により測位されるユーザ端末30の位置情報、又は、ユーザが地図等を利用して指定した位置情報である。取得部212は、取得した地点情報を、例えば図11に示すような地点情報DB228に記憶する。なお、図11の例では、「位置」が投稿を行った場所である。また、図11の例では、地点情報の投稿内容がテキストデータである場合を示しているが、投稿内容は、音声、静止画、動画等であってもよい。
【0037】
判定部214は、指定外避難所の設定指示を受け付けると、設定予定の指定外避難所の位置情報と、取得部212により取得されたハザードマップと、設定予定の指定外避難所の位置周辺の地点情報とに基づいて、指定外避難所の設定可否を判定する。具体的には、判定部214は、設定予定の指定外避難所の位置情報が示す位置が、ハザードマップが示す被害範囲に含まれる場合、又は、所定距離以内に危険地点が存在する場合は、指定外避難所の設定を不可と判定する。一方、判定部214は、設定予定の指定外避難所の位置情報が示す位置が、ハザードマップが示す被害範囲外で、かつ、所定距離以内に危険地点が存在しない場合は、指定外避難所の設定を許可すると判定する。
【0038】
上記の危険地点について、判定部214は、地点情報を解析して危険地点を特定する。例えば、判定部214は、地点情報が示すテキストデータに予め定めたワードが含まれる場合に、その地点情報に含まれる位置情報が示す位置を危険地点として特定してよい。また、例えば、判定部214は、予め機械学習されたモデルを用いて、地点情報として投稿された画像が危険な状況を示す画像か否かを判定し、危険な状況を示す画像の場合に、その地点情報に含まれる位置情報が示す位置を危険地点として特定してもよい。また、危険地点は、地点情報を解析することにより特定される場合に限定されず、地点情報を投稿するユーザ、又は、地点情報DB228を参照可能な自治体の管理者により、危険地点を示す地点情報にフラグを付すなどしておいてもよい。
【0039】
出力部216は、第1実施形態における出力部16と同様に、判定部214による指定外避難所の設定可否の判定結果を、設定指示を送信したユーザ端末30へ出力する。また、出力部216は、第1実施形態における出力部16と同様に、設定が許可された指定外避難所の情報を避難所DB24に登録する。さらに、出力部216は、設定が許可された指定外避難所の情報を、取得部212により取得された災害種別と対応付けて、例えば図12に示すような、過去避難所DB226に登録する。過去避難所DB226に記憶された情報は、避難所DB24と同様に、管理者端末35から閲覧可能である。
【0040】
また、出力部216は、指定外避難所の設定指示を受け付ける際、及び、指定外避難所の設定を許可しないことを示す判定結果を出力する際の少なくとも一方において、ユーザ端末30に避難所一覧を出力する。避難所一覧は、ユーザが避難する候補となる避難所の情報の一覧である。出力部216は、該当のユーザ端末30の位置情報を取得し、ユーザ端末30の位置から所定距離以内に存在する避難所の情報を避難所DB24から抽出し、避難所一覧に含める。本実施形態では、避難所DB24には、指定避難所及び指定外避難所の情報が含まれるため、ユーザが選択可能な避難所の選択肢が広がる。また、出力部216は、過去避難所DB226に記憶されている、今回の災害種別に応じた過去の指定外避難所の情報を抽出し、避難所一覧に含める。なお、出力部216は、過去に設定された指定外避難所のうち、該当のユーザ端末30の位置から所定距離以内に存在する過去の指定外避難所を抽出する。過去の指定外避難所も避難所一覧に含めることにより、既に設定されている避難所に限らず、過去の同様の災害時に指定外避難所に設定された場所を、今回指定避難所として設定するという選択肢が増える。
【0041】
出力部216から出力された避難所一覧を取得したユーザ端末30は、取得した避難所一覧を、例えばリスト形式で表示してよい。また、ユーザ端末30は、図13に示すように、ユーザ端末30の現在位置P周辺の地図を表示すると共に、避難所一覧に含まれる避難所の位置にマークQを表示するようにしてもよい。図13では、指定避難所については、「指定」と表記された実線の吹き出し形状のマークを表示し、指定外避難所については、「指定外」と表記された二重線の吹き出し形状のマークを表示した例を示している。
【0042】
また、ユーザ端末30は、いずれかのマークQが選択されると、選択された避難所の詳細をポップアップ画面等で表示してもよい。また、ユーザ端末30は、この避難所の詳細の画面に、選択したマークQに対応する避難所のコミュニティに参加するための参加ボタンを含めてもよい。コミュニティに参加することにより、同じ避難所のコミュニティに参加しているユーザ同士で、アプリケーションを介したメッセージのやり取り等のコミュニケーションが可能になる。また、コミュニティを介して、コミュニティに参加しているユーザは自治体の管理者とのコミュニケーションが可能となる。どのユーザがどの避難所についてのコミュニティに参加したかの情報は、図示しないデータベースに記憶してよい。そして、このデータベースに記憶された情報は、管理者端末35から閲覧可能である。これにより、自治体の管理者が、各避難所に避難しているユーザの情報を把握可能になる。
【0043】
また、出力部216は、ユーザ端末30からの要求に応じて、ユーザ端末30の現在位置周辺の地点情報を地点情報DB228から抽出し、抽出した地点情報をユーザ端末30へ出力する。出力部216から出力された地点情報を取得したユーザ端末30は、例えば、図14に示すように、ユーザ端末30の現在位置P周辺の地図を表示すると共に、地点情報が投稿された位置に、投稿内容Rを表示するようにしてもよい。
【0044】
また、出力部216は、後述する探索部218により探索された避難経路を、経路探索指示を送信したユーザ端末30へ出力する。出力部216から出力された避難経路を取得したユーザ端末30は、地図上に避難経路を示す表示を行ってもよいし、避難経路に基づく経路案内を音声又はメッセージにより出力してもよい。
【0045】
探索部218は、ユーザ端末30の現在位置情報と、指定外避難所及び指定避難所のうち、ユーザにより選択された避難所の位置情報とを含む経路探索指示を取得する。ユーザは、出力部216から出力された避難所一覧に基づいて表示されたリスト又は地図上のマークQから、所望の避難所を選択してよい。探索部218は、ユーザ端末30の現在位置情報と、選択された避難所の位置情報と、災害種別に応じたハザードマップが示す被害範囲とに基づいて、ユーザの現在位置から、選択された避難所までの避難経路を探索する。また、探索部218は、さらに地点情報に基づいて避難経路を探索してもよい。また、探索部218は、さらに、アプリケーションを利用するユーザ端末30の各々から位置情報を取得し、各道路の混雑度を算出し、この混雑度に基づいて避難経路を探索してもよい。
【0046】
例えば、探索部218は、上記出力部216の処理と同様に、地点情報を解析して特定した危険地点を、通行禁止地点として設定する。また、探索部218は、ハザードマップが示す被害範囲に含まれる各地点も通行禁止地点として設定する。そして、探索部218は、通行禁止地点を通行しない経路のうち、優先度の高い経路を避難経路として特定する。優先度は、例えば、距離が短い順、高低差が少ない順、道路幅が広い順、混雑度が低い順等としてよい。また、予めどのような優先度とするかを設定しておいてもよいし、ユーザにより選択させてもよい。探索部218は、特定した避難経路の情報を出力部216へ受け渡す。
【0047】
避難所管理装置210は、例えば図7に示すコンピュータ50で実現してよい。コンピュータ50の記憶部53には、コンピュータ50を、避難所管理装置210として機能させるための避難所管理プログラム260が記憶される。避難所管理プログラム260は、取得プロセス262と、判定プロセス264と、出力プロセス266と、探索プロセス268とを有する。また、記憶部53は、ハザードマップDB22、避難所DB24、過去避難所DB226、及び地点情報DB228の各々を構成する情報が記憶される情報記憶領域270を有する。
【0048】
CPU51は、避難所管理プログラム260を記憶部53から読み出してメモリ52に展開し、避難所管理プログラム260が有するプロセスを順次実行する。CPU51は、取得プロセス262を実行することで、図10に示す取得部212として動作する。また、CPU51は、判定プロセス264を実行することで、図10に示す判定部214として動作する。また、CPU51は、出力プロセス266を実行することで、図10に示す出力部216として動作する。また、CPU51は、探索プロセス268を実行することで、図10に示す探索部218として動作する。また、CPU51は、情報記憶領域270から情報を読み出して、ハザードマップDB22、避難所DB24、過去避難所DB226、及び地点情報DB228の各々をメモリ52に展開する。これにより、避難所管理プログラム260を実行したコンピュータ50が、避難所管理装置210として機能することになる。
【0049】
なお、避難所管理プログラム260により実現される機能は、例えば半導体集積回路、より詳しくはASIC等で実現することも可能である。
【0050】
次に、第2実施形態に係る避難所管理システム200の作用について説明する。避難所管理装置210に、発生した災害の災害種別が入力されると、避難所管理装置210において、図15に示す避難所管理処理が実行される。また、避難所管理装置210に、経路探索指示が入力されると、避難所管理装置210において、図16に示す経路探索処理が実行される。なお、避難所管理処理及び経路探索処理は、開示の技術の避難所管理方法の一例である。以下、避難所管理処理及び経路探索処理の各々について説明する。なお、第2実施形態における避難所管理処理において、第1実施形態における避難所管理処理(図8)と同様の処理については、同一のステップ番号を付して詳細な説明を省略する。
【0051】
まず、図15に示す避難所管理処理について説明する。ステップS10~S12で、取得部212が、ハザードマップDB22に記憶された複数のハザードマップのうち、取得した災害種別に応じたハザードマップを取得する。次に、ステップS210で、出力部216が、過去避難所DB226に記憶されている過去の指定外避難所の情報のうち、上記ステップS10で取得された災害種別に応じた過去の指定外避難所の情報を取得する。
【0052】
次に、ステップS212で、判定部214が、ユーザ端末30において、指定外避難所設定のメニューが選択されたか否かを判定する。指定外避難所設定のメニューが選択された場合、処理はステップS214へ移行し、選択されていない場合、処理はステップS24へ移行する。ステップS214では、出力部216が、ユーザ端末30の位置情報を取得し、ユーザ端末30の位置から所定距離以内に存在する避難所の情報を、避難所DB24及び上記ステップS210で取得した過去の指定外避難所の情報から抽出し、避難所一覧に含める。そして、出力部216が、避難所一覧をユーザ端末30へ出力する。
【0053】
次に、ステップS14で、判定部214が、ユーザ端末30から、指定外避難所の設定指示を受け付けたか否かを判定する。設定指示を受け付けた場合には、処理はステップS216へ移行し、設定指示を受け付けていない場合には、処理はステップS24へ移行する。ステップS216では、判定部214が、地点情報を解析して危険地点を特定し、設定予定の指定外避難所の位置情報が示す位置が、ハザードマップが示す被害範囲に含まれるか、又は、所定距離以内に危険地点が存在するか否かを判定する。指定外避難所の位置が被害範囲内又は危険地点と所定距離以内の場合には、処理はステップS18へ移行し、被害範囲外、かつ危険地点と所定距離以上の場合には、処理はステップS20へ移行する。
【0054】
ステップS18で、判定部214が、指定外避難所の設定を不可と判定し、出力部216が、指定外避難所の設定不可の判定結果を、設定指示を送信したユーザ端末30へ出力すると、処理はステップS218へ移行する。ステップS218では、上記ステップS214と同様に、出力部216が、ユーザ端末30へ避難所一覧を出力し、処理はステップS24へ移行する。ステップS24で否定判定となった場合、処理はステップS212に戻る。
【0055】
次に、図16に示す経路探索処理について説明する。ステップS230で、探索部218が、経路探索指示を送信したユーザ端末30の現在位置と選択された避難所の位置とを含む周辺エリアで、アプリケーションを利用するユーザ端末30の各々から位置情報を取得する。探索部218は、取得した各ユーザ端末30の位置情報に基づいて、周辺エリアの各道路の混雑度を算出する。次に、ステップS232で、探索部218が、地点情報を解析して、周辺エリアの危険地点を特定し、特定した危険地点を通行禁止地点として設定する。
【0056】
次に、ステップS234で、探索部218が、ユーザ端末30の現在位置から、選択された避難所の位置までの、通行禁止地点を通行しない経路を探索する。探索部218は、探索した経路のうち、混雑度が最も低い経路を避難経路として特定する。なお、混雑度に替えて、又は混雑度と共に、経路の距離が短い順、高低差が少ない順、道路幅が広い順等の他の優先度に基づいて避難経路を特定してもよい。次に、ステップS236で、出力部216が、特定された避難経路を、経路探索指示を送信したユーザ端末30へ出力し、経路探索処理は終了する。
【0057】
以上説明したように、第2実施形態に係る避難所管理システムによれば、避難所管理装置が、指定外避難所の設定指示を受け付ける際、及び、指定外避難所の設定を許可しないことを示す判定結果を出力する際の少なくとも一方において、避難所一覧を出力する。指定外避難所の設定指示を受け付ける際に避難所一覧を出力することにより、指定外避難所を設定しようとしていたユーザが、既存の避難所への避難に切り替える場合があり、指定外避難所の乱立を抑制することができる。また、指定外避難所の設定を許可しないことを示す判定結果を出力する際に避難所一覧を出力することにより、適切な避難所への避難を誘導することができる。
【0058】
また、第2実施形態に係る避難所管理装置は、過去に設定が許可された指定外避難所の情報を、災害種別と対応付けて記憶しておき、過去の指定外避難所の情報も避難所一覧に含めてユーザに提供する。これにより、ユーザが避難する場所の選択肢が広がる。
【0059】
また、第2実施形態に係る避難所管理装置は、ユーザに選択された避難所までの経路を、ハザードマップが示す被害範囲や、各地点の状況を示す情報としてユーザにより投稿された地点情報に基づいて探索し、避難経路を特定する。これにより、災害種別に応じて、避難所への適切な避難経路をユーザに提供することができる。
【0060】
なお、上記第2実施形態では、指定外避難所の設定指示をする際、又は指定外避難所の設定が拒否された際に避難所一覧を出力する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、ユーザ端末30において、メニューから避難所一覧の閲覧が選択された際に、避難所管理装置210が、ユーザ端末30の位置情報を取得して、ユーザ端末30周辺の避難所一覧を出力するようにしてもよい。
【0061】
また、上記第2実施形態では、ユーザに選択された避難所までの避難経路を探索する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、探索部は、避難所一覧に含まれる避難所のうち、最適な避難経路となる避難所を特定してユーザに提示してもよい。最適な避難経路は、各避難所への避難経路のうち、優先度が最も高い避難経路とすればよい。優先度は、上記第2実施形態と同様に、例えば、距離が短い順、高低差が少ない順、道路幅が広い順、混雑度が低い順等としてよい。
【0062】
また、上記各実施形態において、避難所管理システムが提供するアプリケーションは、災害が発生していない通常時には、一般的なSNSと同様のサービスを提供する通常モードで動作するようにしてもよい。具体的には、アプリケーションは、通常モードにおいて、自治体における各地域でのご近所づきあい等のコミュニケーションを支援するアプリケーションとして動作する。そして、アプリケーションは、災害時には自治体の指定により、災害モードへ切り替わり、上記各実施形態で説明したように、指定外避難所の設定可否の判定、避難所の情報の提供、避難経路の特定等のサービスを提供する。これにより、通常時から本アプリケーションを利用するユーザは、災害時においても、通常時と同様にアプリケーションを操作して、避難に必要な情報等を得ることができる。
【0063】
また、上記各実施形態では、避難所管理プログラムが記憶部に予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、これに限定されない。開示の技術に係るプログラムは、CD-ROM、DVD-ROM、USBメモリ等の記憶媒体に記憶された形態で提供することも可能である。
【0064】
以上の各実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0065】
(付記1)
第1の災害種別を取得すると、複数のハザードマップのうち前記第1の災害種別に応じたハザードマップを取得し、
第1の避難所の設定指示を受け付けると、前記設定指示に含まれる前記第1の避難所の位置情報と前記第1の災害種別に応じたハザードマップとに基づいて、前記第1の避難所の設定可否を判定し、
前記判定の処理の結果を出力する、
処理をコンピュータに実行させる避難所管理プログラム。
【0066】
(付記2)
発生した災害の規模を示す情報をさらに取得し、
前記複数のハザードマップの各々は、災害種別毎に、災害に基づく被害範囲を災害の規模に応じて複数段階で表したマップであり、
前記第1の避難所の設定可否を判定する処理は、前記設定指示に含まれる前記第1の避難所の位置情報と、前記第1の災害種別に応じたハザードマップに表される、取得した前記情報が示す災害の規模に応じた前記被害範囲とに基づいて、前記第1の避難所の設定可否を判定する処理を含む、
付記1に記載の避難所管理プログラム。
【0067】
(付記3)
災害種別毎に、設定が許可された前記第1の避難所の情報を記憶部に記憶し、
前記第1の避難所の設定指示を受け付ける際、及び、前記第1の避難所の設定を許可しないことを示す前記結果を出力する際の少なくとも一方において、前記記憶部に記憶されている前記第1の避難所の情報のうち、前記第1の災害種別に応じた前記第1の避難所の情報を出力する、
処理をさらに前記コンピュータに実行させる付記1又は付記2に記載の避難所管理プログラム。
【0068】
(付記4)
前記第1の避難所の情報と共に、前記第1の避難所とは異なる、自治体により管理される第2の避難所の情報を出力する、
処理をさらに前記コンピュータに実行させる付記3に記載の避難所管理プログラム。
【0069】
(付記5)
ユーザの現在位置情報と、前記第1の避難所及び前記第2の避難所のうち、前記ユーザにより選択された避難所の位置情報とを取得し、
前記ユーザの現在位置情報と、前記選択された避難所の位置情報と、前記第1の災害種別に応じたハザードマップが示す被害範囲とに基づいて、前記ユーザの現在位置情報が示す位置から、前記避難所の位置情報が示す位置までの避難経路を探索し、
探索した避難経路を出力する、
処理をさらに前記コンピュータに実行させる付記4に記載の避難所管理プログラム。
【0070】
(付記6)
各地点の状況を示す投稿をさらに取得し、
前記第1の避難所の設定可否を判定する処理は、前記設定指示に含まれる前記第1の避難所の位置情報と、前記第1の災害種別に応じたハザードマップと、前記投稿が示す各地点の状況とに基づいて、前記第1の避難所の設定可否を判定する処理を含む、
付記1~付記5のいずれか1項に記載の避難所管理プログラム。
【0071】
(付記7)
各地点の状況を示す投稿をさらに取得し、
前記避難経路を探索する処理は、前記ユーザの現在位置情報と、前記選択された避難所の位置情報と、前記第1の災害種別に応じたハザードマップが示す被害範囲と、前記投稿が示す各地点の状況とに基づいて、前記避難経路を探索する処理を含む、
付記5に記載の避難所管理プログラム。
【0072】
(付記8)
第1の災害種別を取得すると、複数のハザードマップのうち前記第1の災害種別に応じたハザードマップを取得し、
第1の避難所の設定指示を受け付けると、前記設定指示に含まれる前記第1の避難所の位置情報と前記第1の災害種別に応じたハザードマップとに基づいて、前記第1の避難所の設定可否を判定し、
前記判定の処理の結果を出力する、
処理を実行する制御部を含む避難所管理装置。
【0073】
(付記9)
前記制御部は、発生した災害の規模を示す情報をさらに取得し、
前記複数のハザードマップの各々は、災害種別毎に、災害に基づく被害範囲を災害の規模に応じて複数段階で表したマップであり、
前記第1の避難所の設定可否を判定する処理は、前記設定指示に含まれる前記第1の避難所の位置情報と、前記第1の災害種別に応じたハザードマップに表される、取得した前記情報が示す災害の規模に応じた前記被害範囲とに基づいて、前記第1の避難所の設定可否を判定する処理を含む、
付記8に記載の避難所管理装置。
【0074】
(付記10)
前記制御部は、
災害種別毎に、設定が許可された前記第1の避難所の情報を記憶部に記憶し、
前記第1の避難所の設定指示を受け付ける際、及び、前記第1の避難所の設定を許可しないことを示す前記結果を出力する際の少なくとも一方において、前記記憶部に記憶されている前記第1の避難所の情報のうち、前記第1の災害種別に応じた前記第1の避難所の情報を出力する、
処理をさらに実行する付記8又は付記9に記載の避難所管理装置。
【0075】
(付記11)
前記制御部は、前記第1の避難所の情報と共に、前記第1の避難所とは異なる、自治体により管理される第2の避難所の情報を出力する、
処理をさらに実行する付記10に記載の避難所管理装置。
【0076】
(付記12)
前記制御部は、
ユーザの現在位置情報と、前記第1の避難所及び前記第2の避難所のうち、前記ユーザにより選択された避難所の位置情報とを取得し、
前記ユーザの現在位置情報と、前記選択された避難所の位置情報と、前記第1の災害種別に応じたハザードマップが示す被害範囲とに基づいて、前記ユーザの現在位置情報が示す位置から、前記避難所の位置情報が示す位置までの避難経路を探索し、
探索した避難経路を出力する、
処理をさらに実行する付記11に記載の避難所管理装置。
【0077】
(付記13)
前記制御部は、各地点の状況を示す投稿をさらに取得し、
前記第1の避難所の設定可否を判定する処理は、前記設定指示に含まれる前記第1の避難所の位置情報と、前記第1の災害種別に応じたハザードマップと、前記投稿が示す各地点の状況とに基づいて、前記第1の避難所の設定可否を判定する処理を含む、
付記8~付記12のいずれか1項に記載の避難所管理装置。
【0078】
(付記14)
前記制御部は、各地点の状況を示す投稿をさらに取得し、
前記避難経路を探索する処理は、前記ユーザの現在位置情報と、前記選択された避難所の位置情報と、前記第1の災害種別に応じたハザードマップが示す被害範囲と、前記投稿が示す各地点の状況とに基づいて、前記避難経路を探索する処理を含む、
付記12に記載の避難所管理装置。
【0079】
(付記15)
第1の災害種別を取得すると、複数のハザードマップのうち前記第1の災害種別に応じたハザードマップを取得し、
第1の避難所の設定指示を受け付けると、前記設定指示に含まれる前記第1の避難所の位置情報と前記第1の災害種別に応じたハザードマップとに基づいて、前記第1の避難所の設定可否を判定し、
前記判定の処理の結果を出力する、
処理をコンピュータが実行する避難所管理方法。
【0080】
(付記16)
発生した災害の規模を示す情報をさらに取得し、
前記複数のハザードマップの各々は、災害種別毎に、災害に基づく被害範囲を災害の規模に応じて複数段階で表したマップであり、
前記第1の避難所の設定可否を判定する処理は、前記設定指示に含まれる前記第1の避難所の位置情報と、前記第1の災害種別に応じたハザードマップに表される、取得した前記情報が示す災害の規模に応じた前記被害範囲とに基づいて、前記第1の避難所の設定可否を判定する処理を含む、
付記15に記載の避難所管理方法。
【0081】
(付記17)
災害種別毎に、設定が許可された前記第1の避難所の情報を記憶部に記憶し、
前記第1の避難所の設定指示を受け付ける際、及び、前記第1の避難所の設定を許可しないことを示す前記結果を出力する際の少なくとも一方において、前記記憶部に記憶されている前記第1の避難所の情報のうち、前記第1の災害種別に応じた前記第1の避難所の情報を出力する、
処理をさらに前記コンピュータが実行する付記15又は付記16に記載の避難所管理方法。
【0082】
(付記18)
前記第1の避難所の情報と共に、前記第1の避難所とは異なる、自治体により管理される第2の避難所の情報を出力する、
処理をさらに前記コンピュータが実行する付記17に記載の避難所管理方法。
【0083】
(付記19)
ユーザの現在位置情報と、前記第1の避難所及び前記第2の避難所のうち、前記ユーザにより選択された避難所の位置情報とを取得し、
前記ユーザの現在位置情報と、前記選択された避難所の位置情報と、前記第1の災害種別に応じたハザードマップが示す被害範囲とに基づいて、前記ユーザの現在位置情報が示す位置から、前記避難所の位置情報が示す位置までの避難経路を探索し、
探索した避難経路を出力する、
処理をさらに前記コンピュータが実行する付記18に記載の避難所管理方法。
【0084】
(付記20)
第1の災害種別を取得すると、複数のハザードマップのうち前記第1の災害種別に応じたハザードマップを取得し、
第1の避難所の設定指示を受け付けると、前記設定指示に含まれる前記第1の避難所の位置情報と前記第1の災害種別に応じたハザードマップとに基づいて、前記第1の避難所の設定可否を判定し、
前記判定の処理の結果を出力する、
処理をコンピュータに実行させる避難所管理プログラムを記憶した記憶媒体。
【符号の説明】
【0085】
10、210 避難所管理装置
12、212 取得部
14、214 判定部
16、216 出力部
218 探索部
22 ハザードマップDB
24 避難所DB
226 過去避難所DB
228 地点情報DB
30 ユーザ端末
35 管理者端末
50 コンピュータ
51 CPU
52 メモリ
53 記憶部
59 記憶媒体
60、260 避難所管理プログラム
100、200 避難所管理システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16