(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】障害物検知装置
(51)【国際特許分類】
B66F 9/24 20060101AFI20241001BHJP
【FI】
B66F9/24 L
(21)【出願番号】P 2021023222
(22)【出願日】2021-02-17
【審査請求日】2023-05-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【氏名又は名称】中山 浩光
(72)【発明者】
【氏名】服部 晋悟
【審査官】須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-076727(JP,A)
【文献】特開平04-213705(JP,A)
【文献】特開2022-086361(JP,A)
【文献】特開2021-143039(JP,A)
【文献】特開平09-255299(JP,A)
【文献】特開2006-188353(JP,A)
【文献】特開2004-001992(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0277691(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 9/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降及び傾動が可能な1対のフォークを具備したフォークリフトの周囲に存在する障害物を検知する障害物検知装置において、
前記フォークの高さを検出する高さ検出部と、
前記フォークのティルト角を検出する角度検出部と、
前記フォークの高さ及び前記フォークのティルト角に基づいて、前記フォークの位置を推定するフォーク位置推定部と、
前記フォーク位置推定部により推定された前記フォークの位置に基づいて、前記障害物として検知することを許可しない障害物検知除去エリアを設定する検知除去エリア設定部と、
前記検知除去エリア設定部により設定された前記障害物検知除去エリアに基づいて、前記障害物として検知することを許可する障害物検知エリアを決定する検知エリア決定部と、
前記検知エリア決定部により決定された前記障害物検知エリアにおいて前記障害物を検知する障害物検知部とを備え、
前記検知除去エリア設定部は、前記1対のフォークを含む領域を前記障害物検知除去エリアとして設定する障害物検知装置。
【請求項2】
前記フォークに荷物が積載されたかどうかを検出する荷物検出部を更に備え、
前記検知除去エリア設定部は、前記荷物検出部により前記フォークに前記荷物が積載されたことが検出されると、前記1対のフォーク及び前記荷物を含む領域を前記障害物検知除去エリアとして設定する請求項1記載の障害物検知装置。
【請求項3】
前記フォーク及び前記フォークに積載された荷物を検知する補助検知部を更に備え、
前記検知除去エリア設定部は、前記フォーク位置推定部により推定された前記フォークの位置と前記補助検知部による検知データとに基づいて、前記障害物検知除去エリアを設定する請求項1または2記載の障害物検知装置。
【請求項4】
前記検知エリア決定部は、前記検知除去エリア設定部により設定された前記障害物検知除去エリアを予め設定された基準障害物検知エリアから除外することで、前記障害物検知エリアを決定する請求項1~3の何れか一項記載の障害物検知装置。
【請求項5】
前記1対のフォークを前記フォークリフトの左右方向に移動させるサイドシフタにおける前記フォークの左右移動量を検出するサイドシフト量検出部を更に備え、
前記フォーク位置推定部は、前記フォークの高さ、前記フォークのティルト角及び前記フォークの左右移動量に基づいて、前記フォークの位置を推定する請求項
1~4の何れか一項記載の障害物検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、障害物検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、環境マップを記憶する環境マップ記憶部と、環境マップに示された走行の妨げとなる障害物の中から時間の経過に伴って位置または有無が変化し得る一時障害物を抽出する一時障害物抽出部と、一時障害物に関するデータに基づいて、環境マップ記憶部に記憶された環境マップを更新する環境マップ更新部とを備えた無人作業システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、フォークリフトでは、1対のフォークにより荷物を取ったり、荷物を置く際に、フォークを上下動させる。このため、フォークが障害物検知エリアに入ってしまい、フォークが障害物として検知されてしまうことがある。
【0005】
本発明の目的は、フォークリフトのフォークを障害物として誤検知することを防止できる障害物検知装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、昇降及び傾動が可能な1対のフォークを具備したフォークリフトの周囲に存在する障害物を検知する障害物検知装置において、フォークの位置を推定するフォーク位置推定部と、フォーク位置推定部により推定されたフォークの位置に基づいて、障害物として検知することを許可しない障害物検知除去エリアを設定する検知除去エリア設定部と、検知除去エリア設定部により設定された障害物検知除去エリアに基づいて、障害物として検知することを許可する障害物検知エリアを決定する検知エリア決定部と、検知エリア決定部により決定された障害物検知エリアにおいて障害物を検知する障害物検知部とを備え、検知除去エリア設定部は、1対のフォークを含む領域を障害物検知除去エリアとして設定する。
【0007】
このような障害物検知装置においては、フォークリフトの1対のフォークの位置が推定され、そのフォークの位置に基づいて、フォークリフトの周囲に存在する障害物として検知することを許可しない障害物検知除去エリアが設定される。そして、障害物検知除去エリアに基づいて、障害物として検知することを許可する障害物検知エリアが決定され、その障害物検知エリアにおいて障害物の検知が行われる。ここで、1対のフォークを含む領域が障害物検知除去エリアとして設定される。これにより、フォークリフトのフォークが障害物として誤検知されることが防止される。
【0008】
障害物検知装置は、フォークに荷物が積載されたかどうかを検出する荷物検出部を更に備え、検知除去エリア設定部は、荷物検出部によりフォークに荷物が積載されたことが検出されると、1対のフォーク及び荷物を含む領域を障害物検知除去エリアとして設定してもよい。このような構成では、フォークに荷物が積載されている状態では、1対のフォーク及び荷物を含む領域が障害物検知除去エリアとして設定される。従って、フォークリフトのフォーク及び荷物が障害物として誤検知されることが防止される。
【0009】
障害物検知装置は、フォーク及びフォークに積載された荷物を検知する補助検知部を更に備え、検知除去エリア設定部は、フォーク位置推定部により推定されたフォークの位置と補助検知部による検知データとに基づいて、障害物検知除去エリアを設定してもよい。このような構成では、フォーク位置推定部により得られたフォークの推定位置に加え、補助検知部により得られたフォーク及び荷物の検知データに基づいて、障害物検知除去エリアが設定される。従って、フォークリフトのフォーク及び荷物が障害物として誤検知されることが一層防止される。
【0010】
検知エリア決定部は、検知除去エリア設定部により設定された障害物検知除去エリアを予め設定された基準障害物検知エリアから除外することで、障害物検知エリアを決定してもよい。このような構成では、予め設定された基準障害物検知エリアから障害物検知除去エリアを除外することにより、フォークリフトのフォーク及び荷物が存在しない適切な障害物検知エリアが容易に得られる。
【0011】
障害物検知装置は、フォークの高さを検出する高さ検出部と、フォークのティルト角を検出する角度検出部とを更に備え、フォーク位置推定部は、フォークの高さ及びフォークのティルト角に基づいて、フォークの位置を推定してもよい。このような構成では、フォークの高さ及びフォークのティルト角が検出されるため、フォークの位置が容易に推定される。
【0012】
障害物検知装置は、1対のフォークをフォークリフトの左右方向に移動させるサイドシフタにおけるフォークの左右移動量を検出するサイドシフト量検出部を更に備え、フォーク位置推定部は、フォークの高さ、フォークのティルト角及びフォークの左右移動量に基づいて、フォークの位置を推定してもよい。このような構成では、フォークの高さ及びフォークのティルト角に加え、フォークの左右移動量も検出される。従って、サイドシフタが装備されたフォークリフトにおいて、フォークの位置が高精度に推定される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、フォークリフトのフォークを障害物として誤検知することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態に係る障害物検知装置を具備したフォークリフトを、フォークに荷物が積載されていない状態の障害物検知除去エリアと共に示す側面図である。
【
図2】
図1に示されたフォークリフトを、フォークに荷物が積載された状態の障害物検知除去エリアと共に示す側面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る障害物検知装置を具備した荷役制御装置を示す概略構成図である。
【
図4】
図1に示されたフォークリフトがトラックのコンテナに対して荷役を行う様子を、フォークに荷物が積載されていない状態の障害物検知除去エリア及び障害物検知エリアと共に示す平面図である。
【
図5】
図3に示された検知除去エリア設定部により実行される検知除去エリア設定処理の手順の詳細を示すフローチャートである。
【
図6】
図1に示されたフォークリフトがトラックのコンテナに対して荷役を行う様子を、フォークに荷物が積載された状態の障害物検知除去エリア及び障害物検知エリアと共に示す平面図である。
【
図7】本発明の他の実施形態に係る障害物検知装置を具備した荷役制御装置を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、図面において、同一または同等の要素には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態に係る障害物検知装置を具備したフォークリフトを示す側面図である。
図1において、本実施形態に係るフォークリフト1は、例えばバッテリー式の自動運転用フォークリフトである。フォークリフト1は、車体2と、この車体2の前側に配置された荷役装置3とを備えている。
【0017】
荷役装置3は、車体2の前部に傾動可能に支持されたアウターマスト4と、このアウターマスト4の車幅方向内側に配置されると共に、アウターマスト4に昇降可能に支持されたインナーマスト5と、このインナーマスト5に昇降可能に支持されたリフトブラケット6と、このリフトブラケット6に車幅方向(左右方向)に移動可能に支持されたサイドシフトブラケット7と、このサイドシフトブラケット7に取り付けられた1対のL字型のフォーク8とを備えている。
【0018】
また、荷役装置3は、フォーク8を昇降させるリフトシリンダ10と、フォーク8を傾動させるティルトシリンダ11と、フォーク8を車幅方向(左右方向)に移動させるサイドシフトシリンダ12とを備えている。サイドシフトブラケット7及びサイドシフトシリンダ12は、サイドシフタを構成している。
【0019】
1対のフォーク8は、フォークリフト1の左右方向に間隔を持って並んで配置されている(
図4参照)。このようなフォーク8には、
図2に示されるように、荷物Mが積載される。荷物Mは、例えば各フォーク8が差し込まれるパレット(図示せず)を含んでいる。フォークリフト1は、荷役を行うときは、各フォーク8により荷物Mを持ち上げた状態で、荷物Mを運搬する。
【0020】
図3は、本発明の一実施形態に係る障害物検知装置を具備した荷役制御装置を示す概略構成図である。荷役制御装置14は、例えば
図4に示されるように、トラック15のコンテナ16に対して荷役を実施するようにフォークリフト1を自動制御する装置である。具体的には、荷役制御装置14は、フォークリフト1の荷役動作を自動制御して、コンテナ16に荷物Mを積み込んだり、コンテナ16から荷物Mを積み降ろす。なお、コンテナ16は、トラック15の荷台に2列で搭載されている。
【0021】
図3において、荷役制御装置14は、揚高センサ21と、ティルト角センサ22と、位置センサ23と、接触センサ24と、レーザセンサ25と、コントローラ26と、走行駆動部27と、荷役駆動部28とを備えている。
【0022】
揚高センサ21は、フォークリフト1のフォーク8の高さを検出する高さ検出部である。ティルト角センサ22は、フォーク8の傾動角(ティルト角)を検出する角度検出部である。位置センサ23は、フォーク8の左右移動量(サイドシフト量)を検出するサイドシフト量検出部である。
【0023】
接触センサ24は、フォーク8に荷物Mが積載されたかどうかを検出する。つまり、接触センサ24は、フォーク8に対する荷物Mの有無を検出する。
【0024】
レーザセンサ25は、フォークリフト1の周囲にレーザを照射し、そのレーザの反射光を受光することで、フォークリフト1の周囲に存在する物体を検出する。フォークリフト1の周囲に存在する物体としては、例えば壁や柱等のように地図として登録される物体と、他車両等の移動体、荷物またはコンテナ等のように地図として登録されない物体とがある。レーザセンサ25としては、例えば2次元のレーザを照射する2Dタイプまたは3次元のレーザを照射する3Dタイプのレーザレンジファインダが用いられる。
【0025】
コントローラ26は、CPU、RAM、ROM及び入出力インターフェース等により構成されている。コントローラ26は、フォーク位置推定部30と、荷物認識部31と、検知除去エリア設定部32と、検知エリア決定部33と、障害物認識部34と、走行制御部35と、荷役制御部36とを有している。
【0026】
ここで、揚高センサ21、ティルト角センサ22、位置センサ23、接触センサ24、レーザセンサ25、コントローラ26のフォーク位置推定部30、荷物認識部31、検知除去エリア設定部32、検知エリア決定部33及び障害物認識部34は、本実施形態の障害物検知装置20を構成している。
【0027】
障害物検知装置20は、フォークリフト1により荷役を実施する際に、フォークリフト1の周囲に存在する障害物を検知する。フォークリフト1の周囲に存在する障害物は、他車両、荷物またはコンテナ等といった地図として登録されない物体(前述)である。そのような障害物は、位置及び有無が変化する。
【0028】
フォーク位置推定部30は、揚高センサ21により検出されたフォーク8の高さと、ティルト角センサ22により検出されたフォーク8のティルト角と、位置センサ23により検出されたフォーク8のサイドシフト量とに基づいて、フォーク8の現在の位置を推定する。
【0029】
荷物認識部31は、接触センサ24の検出信号に基づいて、フォーク8に荷物Mが積載されたかどうかを認識する。荷物認識部31は、接触センサ24と協働して、フォーク8に荷物Mが積載されたかどうかを検出する荷物検出部を構成している。
【0030】
検知除去エリア設定部32は、フォーク位置推定部30により推定されたフォーク8の位置と、荷物認識部31により認識された荷物検出データとに基づいて、障害物として検知することを許可しない障害物検知除去エリアを設定する。
【0031】
図5は、検知除去エリア設定部32により実行される検知除去エリア設定処理の手順の詳細を示すフローチャートである。
【0032】
図5において、検知除去エリア設定部32は、まずフォーク位置推定部30により推定されたフォーク8の位置データを取得する(手順S101)。また、検知除去エリア設定部32は、荷物認識部31により認識された荷物検出データを取得する(手順S102)。
【0033】
続いて、検知除去エリア設定部32は、荷物検出データに基づいて、フォーク8に荷物Mが積載されていないかどうかを判断する(手順S103)。検知除去エリア設定部32は、フォーク8に荷物Mが積載されていないと判断したときは、フォーク8の位置データに基づいて、1対のフォーク8を含む領域を障害物検知除去エリアBとして設定する(手順S104)。
【0034】
このとき、検知除去エリア設定部32は、
図1及び
図4に示されるように、1対のフォーク8を全体的に含むような仮想直方体B1を障害物検知除去エリアBとして設定する。仮想直方体B1の長さ寸法は、フォーク8の長さ寸法よりも大きい。仮想直方体B1の幅寸法は、一方のフォーク8の外側面から他方のフォーク8の外側面までの距離よりも大きい。仮想直方体B1の高さ寸法は、フォーク8の高さ寸法よりも大きい。
【0035】
検知除去エリア設定部32は、手順S103でフォーク8に荷物Mが積載されていると判断したときは、フォーク8の位置データ及び荷物検出データに基づいて、1対のフォーク8及び荷物Mを含む領域を障害物検知除去エリアBとして設定する(手順S105)。
【0036】
このとき、検知除去エリア設定部32は、
図2及び
図6に示されるように、1対のフォーク8に積載された最大サイズ分の荷物Mを各フォーク8と共に含むような仮想直方体B2を障害物検知除去エリアBとして設定する。荷物Mの最大サイズは、フォーク8のサイズ等から予め決まっている。仮想直方体B2は、全体的に仮想直方体B1よりも大きい。つまり、仮想直方体B2の長さ寸法、幅寸法及び高さ寸法は、仮想直方体B1の長さ寸法、幅寸法及び高さ寸法よりも大きい。
【0037】
図3に戻り、検知エリア決定部33は、検知除去エリア設定部32により設定された障害物検知除去エリアBに基づいて、障害物として検知することを許可する障害物検知エリアAを決定する。
【0038】
検知エリア決定部33は、
図4及び
図6に示されるように、基準障害物検知エリアA0を予め設定している。基準障害物検知エリアA0は、フォーク8及び荷物Mを全く考慮しないときの障害物検知エリアである。基準障害物検知エリアA0は、フォークリフト1を全体的に含むような仮想直方体として構成されている。基準障害物検知エリアA0では、フォークリフト1の前後方向の検知距離がフォークリフト1の左右方向の検知距離よりも長くなっている。
【0039】
検知エリア決定部33は、検知除去エリア設定部32により設定された障害物検知除去エリアBを基準障害物検知エリアA0から除外することで、障害物検知エリアAを決定する。具体的には、フォーク8に荷物Mが積載されていない状態では、基準障害物検知エリアA0から仮想直方体B1を除外することで、障害物検知エリアA1が得られる(
図4参照)。フォーク8に荷物Mが積載されている状態では、基準障害物検知エリアA0から仮想直方体B2を除外することで、障害物検知エリアA2が得られる(
図6参照)。
【0040】
従って、フォークリフト1の前側には、1対のフォーク8を含む障害物検知除去エリアBと、フォーク8を含まない障害物検知エリアAとが存在している。このとき、各フォーク8がフォークリフト1の左右方向中央部に配置されている状態では、障害物検知除去エリアBの左右両側に障害物検知エリアAが存在することとなる。
【0041】
障害物認識部34は、レーザセンサ25の検出データに基づいて、検知エリア決定部33により決定された障害物検知エリアAにおいて障害物を認識する。障害物認識部34は、レーザセンサ25と協働して、障害物検知エリアAにおいて障害物を検知する障害物検知部を構成している。
【0042】
走行制御部35は、トラック15と荷物置き場(図示せず)との間でフォークリフト1を走行させるように走行駆動部27を制御する。走行駆動部27は、例えば走行モータ及び操舵モータを有している。走行制御部35は、障害物認識部34によりフォークリフト1が走行する経路上に障害物が存在することが検知されると、例えばフォークリフト1を緊急停止させるように走行駆動部27を制御してもよい。
【0043】
荷役制御部36は、トラック15のコンテナ16及び荷物置き場において荷役装置3により荷役を実施するように荷役駆動部28を制御する。荷役駆動部28は、例えばリフトシリンダ10、ティルトシリンダ11及びサイドシフトシリンダ12を駆動する電磁コントロールバルブユニットである。荷役制御部36は、障害物認識部34によりフォーク8が通過する箇所に障害物が存在することが検知されると、例えばフォーク8を緊急停止させるように荷役駆動部28を制御してもよい。
【0044】
以上のように本実施形態にあっては、フォークリフト1の1対のフォーク8の位置が推定され、そのフォーク8の位置に基づいて、フォークリフト1の周囲に存在する障害物として検知することを許可しない障害物検知除去エリアBが設定される。そして、障害物検知除去エリアBに基づいて、障害物として検知することを許可する障害物検知エリアAが決定され、その障害物検知エリアAにおいて障害物の検知が行われる。ここで、1対のフォーク8を含む領域が障害物検知除去エリアBとして設定される。これにより、フォークリフト1のフォーク8が障害物として誤検知されることが防止される。その結果、フォークリフト1により荷役動作を確実に実施することができる。
【0045】
また、本実施形態では、フォーク8に荷物Mが積載されている状態では、1対のフォーク8及び荷物Mを含む領域が障害物検知除去エリアBとして設定される。従って、フォークリフト1のフォーク8及び荷物Mが障害物として誤検知されることが防止される。
【0046】
また、本実施形態では、予め設定された基準障害物検知エリアA0から障害物検知除去エリアBを除外することにより、フォークリフト1のフォーク8及び荷物Mが存在しない適切な障害物検知エリアAが容易に得られる。
【0047】
また、本実施形態では、フォーク8の高さ及びフォーク8のティルト角が検出されるため、フォーク8の位置が容易に推定される。
【0048】
また、本実施形態では、フォーク8の高さ及びフォーク8のティルト角に加え、フォーク8の左右移動量も検出される。従って、サイドシフトシリンダ12が装備されたフォークリフト1において、フォーク8の位置が高精度に推定される。
【0049】
図7は、本発明の他の実施形態に係る障害物検知装置を具備した荷役制御装置を示す概略構成図である。
図7において、本実施形態の障害物検知装置20は、上記の実施形態における構成に加え、複数(
図7では1つのみ図示)のラインレーザセンサ40を備えている。
【0050】
ラインレーザセンサ40は、1ライン(1次元)のレーザを照射し、そのレーザの反射光を受光することで、フォークリフト1の1対のフォーク8及びそのフォーク8に積載された荷物Mを直接検知する補助検知部である。具体的には、ラインレーザセンサ40は、フォーク8の位置を検知したり、荷物Mの有無及び寸法等を検知する。
【0051】
検知除去エリア設定部32は、フォーク位置推定部30により推定されたフォーク8の位置と、荷物認識部31により認識された荷物検出データと、ラインレーザセンサ40による検知データとに基づいて、障害物として検知することを許可しない障害物検知除去エリアを設定する。
【0052】
このように本実施形態では、フォーク位置推定部30により得られたフォーク8の推定位置と荷物認識部31により得られた荷物Mの検出データとに加え、ラインレーザセンサ40により得られたフォーク8及び荷物Mの検知データに基づいて、障害物検知除去エリアBが設定される。従って、フォークリフト1のフォーク8及び荷物Mが障害物として誤検知されることが一層防止される。
【0053】
なお、本実施形態では、ラインレーザセンサ40を用いてフォーク8及び荷物Mが検知されているが、特にラインレーザセンサ40には限られず、例えばカメラを用いてフォーク8及び荷物Mを検知してもよい。
【0054】
以上、本発明の実施形態について幾つか説明してきたが、本発明は上記実施形態には限定されない。例えば上記実施形態では、フォークリフト1のフォーク8に荷物Mが積載されたことが検出されると、予め決められた最大サイズ分の荷物Mをフォーク8と共に含むような仮想直方体B2が障害物検知除去エリアBとして設定されているが、特にそのような形態には限られない。例えば、上記のラインレーザセンサ40またはカメラ等を用いて荷物Mのサイズを検知し、その荷物Mのサイズに応じて障害物検知除去エリアBを設定してもよい。
【0055】
また、上記実施形態では、1対のフォーク8を含む領域が障害物検知除去エリアBとして設定されているが、そのような障害物検知除去エリアBは、常に設定しなくてもよい。例えば、2次元のレーザを照射するレーザセンサ25が使用される場合は、フォーク8がレーザセンサ25から照射されたレーザが当たる高さ位置にあるときのみ、1対のフォーク8を含む領域を障害物検知除去エリアBとして設定してもよい。
【0056】
また、上記実施形態では、レーザセンサ25の検出データに基づいて、障害物が認識されているが、特にそれには限られず、例えばカメラの撮像画像等に基づいて、障害物を認識してもよい。
【0057】
また、上記実施形態では、フォークリフト1は、フォーク8を車幅方向に移動させるサイドシフタを具備しているが、本発明は、そのようなサイドシフタが搭載されていないフォークリフトにも適用可能である。この場合には、フォーク8の高さ及びフォーク8のティルト角に基づいて、フォーク8の位置を推定してもよい。また、上記のラインレーザセンサ40の検知データまたはカメラの撮像画像等に基づいて、フォーク8の位置を推定してもよい。
【0058】
また、上記実施形態では、フォークリフト1は、バッテリー式のフォークリフトであるが、本発明は、エンジン式のフォークリフト等にも適用可能である。
【符号の説明】
【0059】
1…フォークリフト、7…サイドシフトブラケット(サイドシフタ)、8…フォーク、12…サイドシフトシリンダ(サイドシフタ)、20…障害物検知装置、21…揚高センサ(高さ検出部)、22…ティルト角センサ(角度検出部)、23…位置センサ(サイドシフト量検出部)、24…接触センサ(荷物検出部)、25…レーザセンサ(障害物検知部)、30…フォーク位置推定部、31…荷物認識部(荷物検出部)、32…検知除去エリア設定部、33…検知エリア決定部、34…障害物認識部(障害物検知部)、40…ラインレーザセンサ(補助検知部)、A…障害物検知エリア、A0…基準障害物検知エリア、B…障害物検知除去エリア、M…荷物。