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特許7563226駅務機器、自動改札機、整時方法、および整時プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】駅務機器、自動改札機、整時方法、および整時プログラム
(51)【国際特許分類】
   G07B 15/00 20110101AFI20241001BHJP
   G04G 7/00 20060101ALI20241001BHJP
   G04R 20/08 20130101ALI20241001BHJP
【FI】
G07B15/00 B
G04G7/00
G04R20/08
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021023820
(22)【出願日】2021-02-18
(65)【公開番号】P2022126012
(43)【公開日】2022-08-30
【審査請求日】2023-12-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岸本 一樹
【審査官】木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-114543(JP,A)
【文献】特開2002-203261(JP,A)
【文献】特開2003-296768(JP,A)
【文献】特開2007-024678(JP,A)
【文献】特開2005-157211(JP,A)
【文献】特開2008-206135(JP,A)
【文献】特開2005-094420(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07B 15/00
G04G 7/00
G04R 20/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁界を発生させて媒体に対するデータの読み取り、または書き込みを含む駅務処理を行う駅務機器において、
上位装置と通信する通信部と、
タイマで計時している時刻を、前記通信部における前記上位装置との通信で取得した現在時刻に合わせる整時部と、
標準電波を受信する標準電波受信部と、
前記上位装置と通信が行えない通信不良の発生を検知する検知部と、を備え、
前記整時部は、前記検知部において前記上位装置との通信不良の発生が検知されているとき、前記タイマで計時している時刻を、前記標準電波受信部で受信した前記標準電波に基づいて合わせる、駅務機器。
【請求項2】
前記標準電波受信部は、前記検知部において前記上位装置との通信不良の発生が検知されていないとき、前記標準電波の受信を停止する、請求項1に記載の駅務機器。
【請求項3】
前記標準電波受信部は、前記標準電波の受信に用いるアンテナで発生する磁界の向きを、前記媒体に対するデータの読み取り、または書き込みのために発生させる前記磁界の向きに対して、交差する方向にした、請求項1、または2に記載の駅務機器。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載の駅務機器は、前記駅務処理として、改札通路に進入した利用者に対して改札処理を行う自動改札機である。
【請求項5】
前記標準電波受信部は、前記標準電波の受信に用いるアンテナを、前記改札通路の床面側に配置している、請求項4に記載の自動改札機。
【請求項6】
前記標準電波受信部は、前記標準電波の受信に用いるアンテナを、前記改札通路の出口側に配置している、請求項4、または5に記載の自動改札機。
【請求項7】
磁界を発生させて媒体に対するデータの読み取り、または書き込みを含む駅務処理を行う駅務機器のコンピュータが実行する整時方法であって、
タイマで計時している時刻を、通信部における上位装置との通信で取得した現在時刻に合わせる整時ステップと、
前記上位装置と通信が行えない通信不良の発生を検知する検知ステップと、を備え、
前記整時ステップは、前記検知ステップにおいて前記上位装置との通信不良の発生が検知されているとき、前記タイマで計時している時刻を、標準電波受信部で受信した標準電波に基づいて合わせるステップである、整時方法。
【請求項8】
磁界を発生させて媒体に対するデータの読み取り、または書き込みを含む駅務処理を行う駅務機器のコンピュータに実行させる整時プログラムであって、
タイマで計時している時刻を、通信部における上位装置との通信で取得した現在時刻に合わせる整時ステップと、
前記上位装置と通信が行えない通信不良の発生を検知する検知ステップと、を備え、
前記整時ステップは、前記検知ステップにおいて前記上位装置との通信不良の発生が検知されているとき、前記タイマで計時している時刻を、標準電波受信部で受信した標準電波に基づいて合わせるステップである、整時プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動改札機、券売機等の駅務機器が計時している時刻を整時する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ネットワークを介して複数の自動改札機をサーバに接続し、このサーバで接続されている複数の自動改札機を制御するシンクライアント方式の改札システムが検討されている(例えば、特許文献1参照)。このシンクライアント方式の改札システムは、サーバ(シンクライアントサーバ)が、乗車券媒体であるICカードに対する乗車券情報の読み書き(Read/Write)等を自動改札機に指示する。また、このサーバが、運賃計算、改札通路の通行可否の判定等を行い、その結果を自動改札機に通知する。すなわち、自動改札機は、運賃計算、改札通路の通行可否の判定等を行わず、サーバからの指示にしたがって動作する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019- 46352号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、自動改札機は、自機のタイマで計時している時刻を、接続されている上位装置から取得した現在時刻に合わせている。したがって、自動改札機は、上位装置がダウンしたり、上位装置との通信回線に障害が発生したりして、上位装置と通信できない状態になると、自機のタイマで計時している時刻を整時することができない。自動改札機は、タイマで計時している時刻がズレていると、駅務処理を適正に行えない事態を生じさせることがある。
【0005】
また、自動改札機に限らず、券売機、精算機等の他の種類の駅務機器も、自機のタイマで計時している時刻を、接続されている上位装置から取得した現在時刻に合わせる構成である。このため、券売機、精算機等の駅務機器も、上位装置との通信回線に障害が発生したりして、上位装置と通信できない状態になると、駅務処理を適正に行えない事態を生じさせることがある。
【0006】
この発明の目的は、上位装置から現在時刻を取得できないときでも、タイマで計時している時刻を整時することができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の駅務機器は、上記目的を達成するため以下に示すように構成している。
【0008】
この発明の駅務機器は、磁界を発生させて媒体に対するデータの読み取り、または書き込みを含む駅務処理を行う。駅務機器は、例えば自動改札機、券売機、精算機である。駅務機器は、例えば、媒体に記録されている磁気データの読み取り、または書き込みを行うときや、媒体のメモリに記録されている電子データの読み取り、または書き込みを無線通信で行うときに、磁界を発生させる。
【0009】
通信部は、駅サーバ、シンクライアントサーバ等の上位装置と通信する。整時部は、タイマで計時している時刻を、通信部における上位装置との通信で取得した現在時刻に合わせる。すなわち、整時部は、タイマを上位装置が計時している現在時刻に合わせる。標準電波受信部は、標準電波を受信する。検知部は、上位装置と通信が行えない通信不良の発生を検知する。
【0010】
そして、整時部は、検知部において上位装置との通信不良の発生が検知されているとき、タイマで計時している時刻を、標準電波受信部で受信した標準電波に基づいて合わせる。
【0011】
この構成によれば、駅務機器は、上位装置がダウンしたり、上位装置との通信回線に障害が発生したりして、上位装置と通信できない状態になっても、すなわち、上位装置から現在時刻を取得できない状態になっても、タイマで計時している時刻を整時することができる。したがって、駅務機器が、タイマで計時している時刻のズレによって、駅務処理を適正に行えない事態になるのを抑制できる
また、標準電波受信部は、例えば、検知部において上位装置との通信不良の発生が検知されていないとき、標準電波の受信を停止する構成にしてもよい。このように構成すれば、標準電波の受信が、磁界を発生させて媒体に対するデータの読み取り、または書き込みに対して与える影響を抑えることができる。
【0012】
また、標準電波受信部は、例えば、標準電波の受信に用いるアンテナで発生する磁界の向きを、媒体に対するデータの読み取り、または書き込みのために発生させる前記磁界の向きに対して、交差する方向にしてもよい。このように構成しても、標準電波の受信が、磁界を発生させて媒体に対するデータの読み取り、または書き込みに対して与える影響を抑えることができる。
【0013】
また駅務機器が自動改札機である場合には、例えば、標準電波の受信に用いるアンテナを、改札通路の床面側に配置したり、改札通路の出口側に配置したりしてもよい。標準電波の受信に用いるアンテナを、このように配置することで、磁界を発生させて媒体に対するデータの読み取り、または書き込みを行う構成から離すことができる。これにより、標準電波の受信が、磁界を発生させて媒体に対するデータの読み取り、または書き込みに対して与える影響を抑えることができる。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、上位装置から現在時刻を取得できないときでも、タイマで計時している時刻を整時することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】この例の自動改札機の概略の平面図である。
図2】この例の自動改札機の主要部の構成を示すブロック図である。
図3】この例の自動改札機における整時処理を示すフローチャートである。
図4】変形例1の自動改札機における整時処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明の実施形態について説明する。
【0017】
<1.適用例>
図1は、この例の自動改札機の概略の平面図である。図1に示す平面図は、改札通路から、この改札通路の幅方向に視た図である。
【0018】
この例の自動改札機1は、乗車券情報がメモリに電子データで記録された乗車券媒体(ICカード、携帯端末等の非接触媒体)に対する乗車券情報の読み取り、書き込みを無線通信で行う近接型無線通信部12を有している。また、自動改札機1は、乗車券情報が磁気データで記録された乗車券媒体(例えば、磁気カード)に磁気ヘッドを当接させ、この乗車券媒体に対する乗車券情報の読み取り、書き込みを行う。近接型無線通信部12、および磁気処理部13は、乗車券情報の読み取りや、書き込みを行うときに磁界を発生させる。
【0019】
また、この例の自動改札機1は、上位装置(例えば、駅サーバ、シンクライアントサーバ)との通信で、上位装置が計時している現在時刻を取得し、内蔵しているタイマの時刻を上位装置から取得した現在時刻に合わせる整時処理を行う。自動改札機1は、この整時処理を行うことによって、上位装置が計時している時刻と、自機で計時している時刻とのズレを修正する。
【0020】
また、この例の自動改札機1は、上位装置がダウンしたり、上位装置との通信回線に障害が発生したりして、上位装置と通信できない状態になると、上位装置から現在時刻を取得できない。自動改札機1は、上位装置から現在時刻を取得できない事態になると、アンテナ19aを有する標準電波受信部で標準電波を受信し、受信した標準電波から現在時刻(標準時刻)を取得する。自動改札機1は、内蔵しているタイマの時刻を受信した標準電波から取得した標準時刻に合わせる整時処理を行う。自動改札機1は、この整時処理を行うことによって、自機で計時している時刻のズレを修正する。
【0021】
なお、自動改札機1が計時している時刻と標準時刻とのズレは、上位装置が計時している現在時刻と標準時刻とのズレよりも大きい。
【0022】
したがって、この例の自動改札機1は、上位装置がダウンしたり、上位装置との通信回線に障害が発生したりして、上位装置と通信できない状態になっても、すなわち、上位装置から現在時刻を取得できない状態になっても、タイマで計時している時刻を整時することができる。これにより、自動改札機1が、タイマで計時している時刻のズレによって、駅務処理を適正に行えない事態の発生頻度を抑制できる。
【0023】
<2.構成例>
図2は、この例の自動改札機の主要部の構成を示すブロック図である。自動改札機1は、制御ユニット11と、近接型無線通信部12と、磁気処理部13と、利用者検知部14と、表示部15と、扉開閉部16と、上位通信部17と、タイマ18と、標準電波受信部19とを備えている。
【0024】
制御ユニット11は、自動改札機1本体各部の動作を制御する。また、制御ユニット11は、改札処理部11a、検知部11b、および整時部11cを有している。制御ユニット11が有する、改札処理部11a、検知部11b、および整時部11cの詳細については後述する。
【0025】
近接型無線通信部12は、アンテナから数cmである無線通信エリアに翳された非接触媒体(例えば、ICカード、携帯端末)と無線で通信する。近接型無線通信部12は、非接触媒体との無線通信で、この非接触媒体がメモリに記憶している乗車券情報の読み取り、およびこの非接触媒体のメモリに対する乗車券情報の書き込みを行う。近接型無線通信部12の無線通信エリアは、改札通路における利用者の通行方向の一方の端部側に設けられている。
【0026】
磁気処理部13は、磁気ヘッドを、本体に投入された磁気カードに当接させ、この磁気カードに磁気データで記録されている乗車券情報の読み取り、およびこの磁気カードに対する乗車券情報を書き込み行う。磁気ヘッドは、改札通路における利用者の通行方向の中央よりも、近接型無線通信部12の無線通信エリア側に寄っている。
【0027】
近接型無線通信部12、および磁気処理部13は、乗車券情報の読み取りや、書き込みを行うときに磁界を発生させる。この磁界の向きは、図1において上向きの方向である。
【0028】
利用者検知部14は、改札通路における利用者の通行方向に並べた複数の光電センサを有する。利用者検知部14は、複数の光電センサで改札通路を通行している利用者の位置を検知することにより、改札通路を通行している利用者の移動を追跡する。
【0029】
表示部15は、改札通路に進入した利用者に対するメッセージを表示する表示器を有する。
【0030】
扉開閉部16は、改札通路における利用者の通行可否の判定結果に基づいて、この利用者の出口側に位置する扉16a、16bを開閉する。
【0031】
上位通信部17は、駅サーバ、シンクライアントサーバ等の上位装置とのデータ通信を行う。
【0032】
タイマ18は、時刻を計時する内蔵時計である。
【0033】
標準電波受信部19は、アンテナ19aを有し、標準電波を受信する。標準電波は、標準時を送信している電波である。標準電波受信部19、およびアンテナ19aは、標準電波を受信しているときに発生する磁界の向きが、近接型無線通信部12、および磁気処理部13が、乗車券情報の読み取りや、書き込みを行っているときに発生させる磁界の向きに対して、交差する向きになるように配置されている。
【0034】
また、標準電波受信部19、およびアンテナ19aは、図1に示すように、近接型無線通信部12の無線通信エリアが設けられていない、改札通路における利用者の通行方向の他方の端部に設けられている。また、標準電波受信部19、およびアンテナ19aは、自動改札機1の設置面(改札通路の床面)に近い位置に設けられている。
【0035】
このように、標準電波受信部19、およびアンテナ19aは、近接型無線通信部12、および磁気処理部13が磁界を発生させる位置から離した位置に取り付けている。また、アンテナ19aで発生する磁界の向きを、近接型無線通信部12、および磁気処理部13が発生させる磁界の向きに交差する向きにしている。これにより、標準電波の受信によって発生する磁界が、近接型無線通信部12、および磁気処理部13に与える影響を抑えられる。言い換えれば、近接型無線通信部12、および磁気処理部13が発生させる磁界が、標準電波の受信に与える影響を抑えられる。
【0036】
次に、制御ユニット11が有する、改札処理部11a、検知部11b、および整時部11cについて説明する。
【0037】
改札処理部11aは、改札通路を通行する利用者に対する改札処理を行う。改札処理については、公知であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0038】
検知部11bは、駅サーバ、シンクライアントサーバ等の上位装置とのデータ通信が上位通信部17で行えない通信不良状態であるかどうかを検知する。例えば、検知部11bは、適当なタイミングで上位通信部17を制御して、上位装置に応答を要求し、上位装置からの応答の有無に応じて通信不良状態であるかどうかを検知する。自動改札機1は、上位装置がダウンしたり、上位装置との通信回線に障害が発生したりした場合に、上位装置と通信できない通信不良状態になる。
【0039】
整時部11cは、タイマ18が計時している時刻を、上位装置から取得した現在時刻、または受信した標準電波から取得した標準時刻に合わせる整時処理を行う。
【0040】
なお、この例の自動改札機1は、乗車券情報を光学的読取コード(例えば、QRコード(登録商標)等の二次元バーコード)で記録した媒体から、乗車券情報を読み取る構成を備えていないが、この構成を備えていてもよい。また、自動改札機1は、近接型無線通信部12、または磁気処理部13の一方を備えていない構成であってもよい。
【0041】
自動改札機1の制御ユニット11は、ハードウェアCPU、メモリ、その他の電子回路によって構成されている。ハードウェアCPUが、この発明にかかる整時プログラムを実行したときに、検知部11b、および整時部11cとして動作する。また、メモリは、この発明にかかる整時プログラムを展開する領域や、この整時プログラムの実行時に生じたデータ等を一時記憶する領域を有している。制御ユニット11は、ハードウェアCPU、メモリ等を一体化したLSIであってもよい。また、ハードウェアCPUが、この発明にかかる整時方法を実行するコンピュータである。
【0042】
<3.動作例>
この例の自動改札機1は、利用者に対して改札処理を行う。この改札処理は、公知であるので、簡単に説明しておく。自動改札機1は、近接型無線通信部12、または磁気処理部13で受け付けた媒体(乗車券媒体)から乗車券情報を読み取る。自動改札機1が乗車券情報を読み取った媒体を所持している利用者は、その媒体から読み取られた乗車券情報に基づいて、改札通路の通行可否が判定される。この判定は、自動改札機1本体内部で行われてもよいし、ネットワークを介して接続されているシンクライアントサーバで行われてもよい。自動改札機1は、利用者に対する改札通路の通行可否にかかる判定結果に応じて、扉開閉部16に扉16a(または16b)を開閉させる。また、自動改札機1は、必要に応じて、乗車券情報を読み取った媒体に対して、乗車券情報の書き込みを行う。
【0043】
図3は、この例の自動改札機における整時処理を示すフローチャートである。
【0044】
自動改札機1は、整時部11cが、タイマ18で計時している時刻を合わせる整時タイミングになったと判定すると、検知部11bが上位通信部17において上位装置と通信できる状態であるかどうかを判定する(s1、s2)。整時タイミングは、例えば、予め定めた時間間隔(例えば、10分~30分程度の時間間隔)で設定したタイミングであってもよいし、前回の整時処理の終了から一定時間(例えば、10分~30分程度の時間)経過したタイミングであってもよいし、他の手法で定めたタイミングであってもよい。また、検知部11bは、上位装置に応答を要求し、上位装置からの応答があれば上位装置と通信できる状態であると判定し、上位装置からの応答がなければ上位装置と通信できない状態であると判定する。
【0045】
自動改札機1は、検知部11bが上位装置と通信できる状態であると判定すると、上位通信部17における上位装置との通信で、上位装置から現在時刻(上位装置が計時している時刻)を取得する(s3)。自動改札機1は、整時部11cが、タイマ18で計時している時刻を、s3で取得した現在時刻に合わせ(s4)、s1に戻る。
【0046】
また、自動改札機1は、検知部11bが上位装置と通信できない状態であると判定すると、標準電波受信部19で受信した標準電波から標準時刻を取得する(s5)。自動改札機1は、整時部11cが、タイマ18で計時している時刻を、s5で取得した標準時刻に合わせ(s6)、s1に戻る。
【0047】
したがって、この例の自動改札機1は、上位装置がダウンしたり、上位装置との通信回線に障害が発生したりして、上位装置と通信できない状態になっても、すなわち、上位装置から現在時刻を取得できない状態になっても、タイマ18で計時している時刻を整時することができる。これにより、自動改札機1が、タイマで計時している時刻のズレによって、駅務処理を適正に行えない事態の発生頻度を抑制できる。
【0048】
また、この例の自動改札機1は、上記したように、標準電波を受信する標準電波受信部19、およびアンテナ19aを、近接型無線通信部12、および磁気処理部13が磁界を発生させる位置から離した位置に取り付けている。また、標準電波受信部19、およびアンテナ19aで発生する磁界の向きを、近接型無線通信部12、および磁気処理部13が発生させる磁界の向きに交差する向きにしている。したがって、標準電波の受信によって発生する磁界が、近接型無線通信部12、および磁気処理部13に与える影響を抑え、媒体に対する乗車券情報の読み取り不良や、書き込み不良の発生頻度を抑えられる。また、標準電波受信部19で受信される標準電波のS/N比も抑えられる。
【0049】
<4.変形例>
・変形例1
この変形例1の自動改札機1は、上記の例と同様に、図1図2に示した構成であるが、整時処理として、図4に示す処理を行う点で相違する。図4は、変形例1の自動改札機における整時処理を示すフローチャートである。
【0050】
なお、図4では、図3と同じ処理については、同じステップ番号を付している。
【0051】
この変形例1の自動改札機1は、上記した例と同様に、s1~s4にかかる処理を実行する。
【0052】
この変形例1の自動改札機1は、検知部11bがs2で上位装置と通信できない状態であると判定すると、標準電波受信部19を起動し(s11)、標準電波を受信する(s12)。自動改札機1は、s12で受信した標準電波から標準時刻を取得する(s5)。自動改札機1は、s5で標準時刻を取得すると、標準電波受信部19を停止するとともに(s13)、整時部11cが、タイマ18で計時している時刻を、s5で取得した標準時刻に合わせ(s6)、s1に戻る。
【0053】
s13にかかる処理と、s6にかかる処理を実行する順番は、どちらを先にしてもよいし、これらの処理を並行して実行してもよい。
【0054】
また、自動改札機1は、例えば、s11で、標準電波受信部19に対する駆動電源の供給を開始し、s13で、標準電波受信部19に対する駆動電源の供給を停止する。
【0055】
この変形例1の自動改札機1も、上記の例と同様に、上位装置がダウンしたり、上位装置との通信回線に障害が発生したりして、上位装置と通信できない状態になっても、すなわち、上位装置から現在時刻を取得できない状態になっても、タイマ18で計時している時刻を整時することができる。これにより、自動改札機1が、タイマで計時している時刻のズレによって、駅務処理を適正に行えない事態の発生頻度を抑制できる。
【0056】
また、この変形例1の自動改札機1は、上位装置と通信できない状態あり、且つタイマ18で計時している時刻を整時するときに、標準電波受信部19を動作させるので、標準電波の受信によって発生する磁界が、近接型無線通信部12、および磁気処理部13に与える影響を一層抑えられる。また、自動改札機1の電力消費も抑えられる。
【0057】
なお、自動改札機1は、検知部11bにおいて、上位通信部17において上位装置と通信できる状態であるかどうかを常時監視し、上位装置と通信できないことが検知されている期間についてのみ、標準電波受信部19を動作させる構成にしてもよい。
【0058】
・変形例2
また、標準電波受信部19、およびアンテナ19aは、近接型無線通信部12、および磁気処理部13に与える影響を抑えられるように配置されていればよく、標準電波の受信によって発生する磁界の向きを、近接型無線通信部12、および磁気処理部13が発生させる磁界の向きに交差する向きでなくてもよい。
【0059】
また、標準電波受信部19、およびアンテナ19aは、図1に示した位置に限らず、近接型無線通信部12、および磁気処理部13に与える影響を抑えられるように配置されていればよい。
【0060】
また、標準電波受信部19と、アンテナ19aとは、1枚の基板に設けられた構成であってもよいし、異なる基板に設けられた構成であってもよい。
【0061】
自動改札機1は、標準電波受信部19と、アンテナ19aとを異なる基板に設けた構成である場合、標準電波受信部19と、アンテナ19aとを離して配置した構成であってもよい。この場合、標準電波受信部19と、アンテナ19aとは、ケーブルで接続すればよい。
【0062】
・変形例3
上記の説明では、自動改札機1を例にして本願発明を説明したが、本願発明は、券売機、精算機等の他の駅務機器にも適用できる。
【0063】
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【0064】
さらに、この発明に係る構成と上述した実施形態に係る構成との対応関係は、以下の付記のように記載できる。
<付記>
磁界を発生させて媒体に対するデータの読み取り、または書き込みを含む駅務処理を行う駅務機器(1)において、
上位装置と通信する通信部(17)と、
タイマ(18)で計時している時刻を、前記通信部(17)における前記上位装置との通信で取得した現在時刻に合わせる整時部(11c)と、
標準電波を受信する標準電波受信部(19、19a)と、
前記上位装置と通信が行えない通信不良の発生を検知する検知部(11b)と、を備え、
前記整時部(11c)は、前記検知部(11b)において前記上位装置との通信不良の発生が検知されているとき、前記タイマ(18)で計時している時刻を、前記標準電波受信部(19、19a)で受信した前記標準電波に基づいて合わせる、駅務機器(1)。
【符号の説明】
【0065】
1…自動改札機
11…制御ユニット
11a…改札処理部
11b…検知部
11c…整時部
12…近接型無線通信部
13…磁気処理部
14…利用者検知部
15…表示部
16…扉開閉部
16a…扉
17…上位通信部
18…タイマ
19…標準電波受信部
19a…アンテナ
図1
図2
図3
図4