(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/40 20060101AFI20241001BHJP
【FI】
H01R13/40 Z
(21)【出願番号】P 2021029070
(22)【出願日】2021-02-25
【審査請求日】2023-06-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】福山 喬子
【審査官】▲高▼橋 杏子
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-088349(JP,A)
【文献】特開2015-095357(JP,A)
【文献】国際公開第2020/083886(WO,A1)
【文献】特開2017-152269(JP,A)
【文献】特開2018-200864(JP,A)
【文献】特開2013-137964(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 9/00
H01R 9/15- 9/28
H01R 13/40-13/533
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に向かって開口する開口部を有する支持部材と、
前記支持部材に支持された端子と、
前記端子に接続された電線と、を備え、
前記端子は、前記開口部の内面から前記開口部の内側に延出するとともに、前記開口部を通じて前記支持部材の外部に延出しており、
前記支持部材は、前記電線が引き出される引き出し部を有し、
前記電線は、前記引き出し部から前記第1方向に交差する第2方向に沿って、前記開口部から離れるように引き出されており、
前記端子は、前記第1方向及び前記第2方向の各々に交差する第3方向に複数並んで設けられており、
前記支持部材は、前記第1方向に沿って延びる第1保護壁を、前記端子の先端部と前記引き出し部との間に有しており、
前記支持部材は、複数の前記端子同士の間に配置されるとともに、前記第1方向に沿って延びる絶縁壁部を有しており、
前記第1方向において、前記第1保護壁の先端部は前記端子の先端部よりも突出している
とともに、前記絶縁壁部の先端部よりも突出していない、
コネクタ。
【請求項2】
前記第1保護壁は、前記第1方向から見て、前記第3方向に延びる形状をなしている、
請求項
1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記第1保護壁は、前記第1方向における先端部において、前記第3方向に沿って並ぶ複数の凸部を有している、
請求項
2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記第3方向において、前記第1保護壁が設けられている範囲は、複数の前記端子が設けられている範囲より小さい、
請求項
1から請求項
3のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記支持部材は、それぞれ前記第1方向に沿って延びる一対の第2保護壁を備え、
前記一対の第2保護壁は、前
記第3方向における前記開口部の両側に配置されている、
請求項1から請求項
4のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記第2保護壁は、前記第1方向から見て、前記第2方向に延びる形状をなしている、
請求項
5に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に、車両用のコネクタが開示されている。同コネクタは、開口部を有する支持部材と、支持部材に支持された端子と、端子に接続された電線とを備えている。支持部材は開口部を有している。端子は、支持部材の開口部の内面から延出するとともに、開口部を通じて支持部材の外部に延出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなコネクタでは、例えば組付作業時などにおいてコネクタを台に置く場合に、支持部材から延出する端子が台に当たらないようにするために、端子を保護する何らかの工夫が必要である。
【0005】
そこで、端子を保護可能としたコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のコネクタは、第1方向に向かって開口する開口部を有する支持部材と、前記支持部材に支持された端子と、前記端子に接続された電線と、を備え、前記端子は、前記開口部の内面から前記開口部の内側に延出するとともに、前記開口部を通じて前記支持部材の外部に延出しており、前記支持部材は、前記電線が引き出される引き出し部を有し、前記電線は、前記引き出し部から前記第1方向に交差する第2方向に沿って、前記開口部から離れるように引き出されており、前記支持部材は、前記第1方向に沿って延びる第1保護壁を、前記端子の先端部と前記引き出し部との間に有している。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、端子を保護可能としたコネクタを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態におけるコネクタの斜視図である。
【
図2】
図2は、同形態におけるコネクタの分解斜視図である。
【
図3】
図3は、同形態におけるコネクタの側面図である。
【
図4】
図4は、同形態におけるコネクタの正面図である。
【
図5】
図5は、同形態のコネクタにおける作用を説明するための側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示のコネクタは、
[1]第1方向に向かって開口する開口部を有する支持部材と、前記支持部材に支持された端子と、前記端子に接続された電線と、を備え、前記端子は、前記開口部の内面から前記開口部の内側に延出するとともに、前記開口部を通じて前記支持部材の外部に延出しており、前記支持部材は、前記電線が引き出される引き出し部を有し、前記電線は、前記引き出し部から前記第1方向に交差する第2方向に沿って、前記開口部から離れるように引き出されており、前記支持部材は、前記第1方向に沿って延びる第1保護壁を、前記端子の先端部と前記引き出し部との間に有している。
【0010】
この構成によれば、例えばコネクタを台などに置く際、第1保護壁を支えとしてコネクタを置くことが可能となる。ここで、第1保護壁は、端子の先端部と電線の引き出し部との間に設けられている。また、電線の重さによってコネクタの重心を第1保護壁に対して電線側とすることができる。このため、第1保護壁を支点として端子を台から浮かせることが可能となる。従って、第1保護壁によって端子を保護することが可能となる。
【0011】
[2]前記端子は、前記第1方向及び前記第2方向の各々に交差する第3方向に複数並んで設けられている。
この構成によれば、複数の端子を備えつつも、第2方向、すなわち電線を引き出す方向においてコネクタの寸法を抑えやすい構成となる。そして、第2方向におけるコネクタの寸法を抑えることで、第1保護壁を支えとしてコネクタを台などに置いたとき、コネクタの重心を電線側にしやすい。従って、第1保護壁を支点として端子を浮かせやすくなり、その結果、端子をより好適に保護することが可能となる。
【0012】
[3]前記第1保護壁は、前記第1方向から見て、前記第3方向に延びる形状をなしている。
この構成によれば、第1保護壁が端子の並ぶ方向に延びる形状をなしている。これにより、支持部材における開口部と引き出し部との間のスペースを有効に活用しつつ第1保護壁のサイズを確保することが可能となる。
【0013】
[4]前記第1保護壁は、前記第1方向における先端部において、前記第3方向に沿って並ぶ複数の凸部を有している。
この構成によれば、コネクタを台などに置いたときの、第1保護壁によるコネクタの支持を安定させることが可能となる。
【0014】
[5]前記第3方向において、前記第1保護壁が設けられている範囲は、前記複数の端子が設けられている範囲より小さい。
この構成によれば、第3方向において第1保護壁を小型にしつつも、第1保護壁によって複数の端子を保護することが可能となる。
【0015】
[6]前記支持部材は、それぞれ前記第1方向に沿って延びる一対の第2保護壁を備え、前記一対の第2保護壁は、前記第1方向及び前記第2方向の各々に交差する第3方向における前記開口部の両側に配置されている。この構成によれば、第1保護壁に加えて、一対の第2保護壁によっても端子を保護することが可能となる。その結果、端子をより確実に保護することが可能となる。
【0016】
[7]前記第2保護壁は、前記第1方向から見て、前記第2方向に延びる形状をなしている。
この構成によれば、第2保護壁が第1方向から見て、例えば第3方向に延びる場合と比べて、第3方向におけるコネクタの小型化が可能となる。
【0017】
[8]前記第1方向において、前記第1保護壁の先端部は前記端子の先端部よりも突出している。
この構成によれば、第1保護壁を支えとしてコネクタを台などに置いたとき、第1保護壁を支点として端子を浮かせやすくなり、その結果、端子をより好適に保護することが可能となる。
【0018】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示のコネクタの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張または簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率については各図面で異なる場合がある。また、本明細書における「平行」や「直交」は、厳密に平行や直交の場合のみでなく、本実施形態における作用ならびに効果を奏する範囲内で概ね平行や直交の場合も含まれる。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0019】
なお、本明細書における「平板状」には、角部や稜線部が面取りされた形状、角部や稜線部が丸められた形状、形状を構成する面の一部または全部に凹凸などが形成されている形状も含まれる。また、本明細書の説明で使用される「環状」という用語は、ループを形成する任意の構造、または端部のない連続形状、並びに、C字形のようなギャップを有する、一般的にループ形状の構造を指すことがある。なお、「環状」の形状には、円形、楕円形、及び、尖ったまたは丸い角を有する多角形が含まれるが、これらに限定されない。
【0020】
(コネクタ10の全体構成)
図1に示すように、コネクタ10は、支持部材11と、支持部材11に支持された端子12と、端子12に接続された電線13と、を備えている。なお、図面では、互いに直交するXYZ軸を図示している。
【0021】
支持部材11には、例えば、固定プレート14が取り付けられている。固定プレート14は、コネクタ10を図示しない接続相手に固定するためのものである。端子12は、当該接続相手が有する端子に接続される。なお、当該接続相手は、例えばインバータである。電線13は、一端が端子12に接続され、他端が例えば電気自動車やハイブリッド車などにおける走行駆動用モータに接続される。
【0022】
(支持部材11の構成)
図2及び
図3に示すように、支持部材11は、本体部21と、カバー部22とを備えている。本体部21及びカバー部22は、例えば合成樹脂などの絶縁体で構成されている。なお、本実施形態のコネクタ10は、例えば、支持部材11を覆う金属カバー15を備えている。
【0023】
支持部材11の本体部21は、開口部23と引き出し部24とを有している。開口部23は、X軸に沿った第1方向D1に向かって開口する。開口部23は、例えば、本体部21を第1方向D1に沿って貫通している。カバー部22は、本体部21に組み付けられている。カバー部22は、第1方向D1における開口部23の一端側を覆っている。
【0024】
本体部21は、シール部材25を備えている。シール部材25は、開口部23において前記接続相手に対向する端部側に設けられている。シール部材25は、第1方向D1から見て、開口部23を囲む環状をなしている。シール部材25は、例えば前記接続相手のハウジングに接触することで、開口部23を液密に封止する。
【0025】
電線13は、引き出し部24から本体部21の外部に引き出されている。また、電線13は、第1方向D1に交差する第2方向D2に沿って、開口部23から離れるように引き出し部24から引き出されている。本実施形態の第2方向D2は、例えば、Z軸に沿った方向であって、第1方向D1に直交する方向である。
【0026】
図2及び
図4に示すように、コネクタ10は、例えば、複数の端子12を有している。複数の端子12は、第1方向D1及び第2方向D2の各々に交差する第3方向D3に並んで設けられている。本実施形態の第3方向D3は、例えば、Y軸に沿った方向であって、第1方向D1及び第2方向D2の各々に直交する方向である。また、電線13は、複数の端子12にそれぞれ対応して複数設けられている。
【0027】
端子12は、開口部23の内面から開口部23の内側に延出している。また、端子12は、開口部23の内側に位置する部位から例えば第1方向D1に沿って延びて、本体部21の外部まで延出している。すなわち、端子12は、本体部21の外部に位置する先端部12aを有している。端子12の先端部12aは、例えば、第1方向D1に直交する平面状をなしている。
【0028】
端子12の先端部12aは、前記接続相手の端子に接続される。例えば、先端部12aは、図示しないボルトなどによって前記接続相手の端子に接続される。なお、先端部12aと前記接続相手の端子との接続作業は、開口部23を介して行われる。そして、先端部12aと前記接続相手の端子とを組み付けた後、カバー部22が本体部21に組み付けられて、開口部23がカバー部22によって塞がれる。また、端子12において先端部12aとは反対側の基端部は、例えば、本体部21の内部で電線13に接続されている。
【0029】
支持部材11は、例えば、絶縁壁部26を有している。絶縁壁部26は、例えば、カバー部22から第1方向D1に沿って延びている。絶縁壁部26は、複数の端子12同士の間にそれぞれ配置されている。絶縁壁部26は、端子12同士の間を絶縁する。
【0030】
(第1保護壁31の構成)
図2から
図4に示すように、本体部21は、第1保護壁31を有している。第1保護壁31は、例えば射出成形にて本体部21に一体に形成される。
【0031】
図3は、コネクタ10を第3方向D3から見た側面図である。同図に示すように、第1保護壁31は、例えば、第1方向D1に沿って延びている。また、第1方向D1において、第1保護壁31の先端部32は、端子12の先端部12aよりも突出している。すなわち、第3方向D3から見たとき、第1保護壁31の先端部32は、第1方向D1において端子12の先端部12aよりも開口部23から離れた位置にある。
【0032】
図4は、コネクタ10を第1方向D1から見た正面図である。第1保護壁31は、第1方向D1から見て、端子12の先端部12aと引き出し部24との間に設けられている。また、第1保護壁31は、第1方向D1から見て、開口部23と引き出し部24との間に設けられている。また、第1保護壁31は、第1方向D1から見て、例えばシール部材25のループの内側に位置している。
【0033】
第1保護壁31は、第1方向D1から見て、例えば、第3方向D3に延びる形状をなしている。すなわち、第1保護壁31は、複数の端子12の並ぶ方向に延びる形状をなしている。第1保護壁31は、例えば、第2方向D2に対して直交する平板状をなしている。
【0034】
第3方向D3において、第1保護壁31が設けられている範囲A1は、複数の端子12が設けられている範囲A2より小さい。範囲A1は、第3方向D3における第1保護壁31の一端から他端までの範囲である。範囲A2は、第3方向D3において一方側の端に配置された端子12から他方側の端に配置された端子12までの範囲である。
【0035】
図2に示すように、第1保護壁31は、第1方向D1における先端部32において、第3方向D3に沿って並ぶ複数の凸部33を有している。各凸部33は、例えば、第1保護壁31の延出方向、すなわち第1方向D1に突出している。凸部33は、例えば3つ設けられている。凸部33は、先端部32において、第3方向D3の両端部、及び第3方向D3の中央部にそれぞれ設けられている。各凸部33の先端は、第1方向D1に直交する同一平面上に位置する。
【0036】
第1保護壁31を含む本体部21を例えば合成樹脂で構成する場合、複数の凸部33を第1保護壁31の先端部32に設定することで、第1保護壁31の凸部33を管理部とすることができる。すなわち、第1保護壁31の先端部32を、第3方向D3の全体にわたって一様の位置に設計した場合には、合成樹脂の特性によって第1保護壁31の先端部32の全面が管理部となる。そこで、本実施形態のように、凸部33を第3方向D3に沿って複数設定することで、第1保護壁31における管理部を凸部33だけにすることができる。これにより、先端部32の寸法管理が容易になる。なお、管理部とは、樹脂成形時に寸法管理が必要となる部分である。
【0037】
(第2保護壁41の構成)
図2及び
図4に示すように、本体部21は、例えば、一対の第2保護壁41を有している。各第2保護壁41は、例えば射出成形にて本体部21に一体に形成される。各第2保護壁41は、例えば、第1方向D1に沿って延びている。
【0038】
各第2保護壁41は、例えば、第3方向D3に対して直交する平板状をなしている。第2保護壁41は、第1方向D1から見て、第3方向D3における開口部23の両側にそれぞれ配置されている。一対の第2保護壁41は、例えば、互いに平行をなしている。また、一対の第2保護壁41は、第3方向D3において、開口部23を挟んで互いに対向している。
【0039】
なお、本明細書における「対向」とは、面同士又は部材同士が互いに正面の位置にあることを指し、互いが完全に正面の位置にある場合だけでなく、互いが部分的に正面の位置にある場合を含む。また、本明細書における「対向」とは、2つの部分の間に、2つの部分とは別の部材が介在している場合と、2つの部分の間に何も介在していない場合の両方を含む。
【0040】
図3に示すように、第1方向D1において、第2保護壁41の先端部42は、端子12の先端部12aよりも突出している。すなわち、第3方向D3から見たとき、第2保護壁41の先端部42は、第1方向D1において端子12の先端部12aよりも開口部23から離れた位置にある。
【0041】
図4に示すように、各第2保護壁41は、第1方向D1から見て、第2方向D2に延びる形状をなしている。また、各第2保護壁41は、第1方向D1から見て、例えばシール部材25のループの内側に位置している。
【0042】
図2に示すように、一対の第2保護壁41のうちの一方は、第2方向D2に沿って並ぶ複数の凸部43を有している。ここで、凸部43を有する第2保護壁41を、第2保護壁41aとする。
【0043】
各凸部43は、第2保護壁41aにおける第1方向D1の先端部42に設けられている。各凸部43は、例えば、第2保護壁41aの延出方向、すなわち第1方向D1に突出している。凸部43は、例えば2つ設けられている。凸部43は、第2保護壁41aの先端部42において、第2方向D2の両端部にそれぞれ設けられている。
【0044】
第2保護壁41aを含む本体部21を例えば合成樹脂で構成する場合、複数の凸部43を第2保護壁41aの先端部42に設定することで、第2保護壁41aの管理部を凸部43にすることができる。すなわち、第2保護壁41aの先端部42を、第2方向D2の全体にわたって一様の位置に設計した場合には、合成樹脂の特性によって第2保護壁41aの先端部の全面が管理部となる。そこで、本実施形態のように、凸部43を第2方向D2に沿って複数設定することで、第2保護壁41aの先端部42の寸法管理が容易になる。なお、管理部とは、樹脂成形時に寸法管理が必要となる部分である。
【0045】
本実施形態の作用について説明する。
図5に示すように、例えば、電線13の図示しない他端側を前記走行駆動用モータなどの機器に接続した後などにおいて、支持部材11及び端子12を含むコネクタ10の主要部を、例えば台Sなどに置く場合がある。このとき、第1保護壁31の凸部33が台Sの表面に接触する。これにより、コネクタ10は、第1保護壁31によって支えられる。ここで、第1保護壁31は、端子12の先端部12aと、電線13が引き出された引き出し部24との間にある。そして、電線13の重さや電線13の他端側が前記走行駆動用モータなどの機器に接続されていることにより、台Sに対する第1保護壁31の接触部分を支点として、支持部材11の引き出し部24側が台Sに近づくように傾く。これにより、第1保護壁31に対する開口部23側では、端子12が台Sから離間した状態とすることが可能となる。その結果、端子12が台Sに接触することを抑制できる。
【0046】
また、本実施形態の支持部材11には、第1保護壁31に加えて一対の第2保護壁41が設けられている。これにより、万が一、第1保護壁31を支点として開口部23側が台Sに近づくように傾いた場合でも、第2保護壁41によって端子12を保護することが可能となる。
【0047】
コネクタ10において、固定プレート14及び支持部材11は、前記接続相手に組み付けられる。
図3に示すように、前記接続相手との接続状態において、前記接続相手の所定の部位Pが支持部材11に嵌合する。また、
図4に示すように、第1保護壁31は、第1方向D1から見て、開口部23の引き出し部24側の縁部23aから離間している。そして、前記部位Pの一部は、開口部23の縁部23aと第1保護壁31との間のスペースに入り込む。なお、端子12は、開口部23の当該縁部23aから延出している。
【0048】
ここで、第2方向D2において、第2保護壁41の大きさを端子12の先端部12aの大きさよりも大きくした場合、第1保護壁31が無くても第2保護壁41のみで端子12を保護可能とも考えられる。しかしながら、上記のように接続相手の部位Pが嵌合する構成の場合、第2保護壁41の寸法を第2方向D2に大きくすると部位Pに干渉してしまうことから、第2保護壁41の第2方向D2への大型化には限りがある。そこで、本実施形態のように、第1方向D1から見て端子12の先端部12aと引き出し部24との間に位置する第1保護壁31を設けることで、接続相手の部位Pとの嵌合を可能にしつつも、第1保護壁31によって端子12の保護が可能となる。
【0049】
本実施形態の効果について説明する。
(1)支持部材11は、端子12の先端部12aと電線13の引き出し部24との間に第1保護壁31を有している。これにより、電線13の重さによってコネクタ10の重心を第1保護壁31に対して電線13側とすることができる。このため、第1保護壁31を支点として端子12を台Sから浮かせることが可能となる。従って、第1保護壁31によって端子12を保護することが可能となる。
【0050】
(2)端子12は、第1方向D1及び第2方向D2の各々に交差する第3方向D3に複数並んで設けられている。この構成によれば、複数の端子12を備えつつも、第2方向D2、すなわち電線13を引き出す方向においてコネクタ10の寸法を抑えやすい構成となる。そして、第2方向D2におけるコネクタ10の寸法を抑えることで、第1保護壁31を支えとしてコネクタ10を台Sなどに置いたとき、コネクタ10の重心を電線13側にしやすい。従って、第1保護壁31を支点として端子12を浮かせやすくなり、その結果、端子12をより好適に保護することが可能となる。
【0051】
(3)第1保護壁31は、第1方向D1から見て、第3方向D3に延びる形状をなしている。この構成によれば、第1保護壁31が端子12の並ぶ方向に延びる形状をなしている。これにより、支持部材11における開口部23と引き出し部24との間のスペースを有効に活用しつつ第1保護壁31のサイズを確保することが可能となる。
【0052】
(4)第1保護壁31は、第1方向D1における先端部32において、第3方向D3に沿って並ぶ複数の凸部33を有している。このため、先端部32の寸法管理が容易である。これにより、先端部32の寸法誤差を抑制できるため、コネクタ10を台Sなどに置いたときの、第1保護壁31によるコネクタ10の支持を安定させることが可能となる。
【0053】
(5)第3方向D3において、第1保護壁31が設けられている範囲A1は、複数の端子12が設けられている範囲A2より小さい。この構成によれば、第3方向D3において第1保護壁31を小型にしつつも、第1保護壁31によって複数の端子12を保護することが可能となる。
【0054】
(6)支持部材11は、それぞれ第1方向D1に沿って延びる一対の第2保護壁41を備える。一対の第2保護壁41は、第1方向D1及び第2方向D2の各々に交差する第3方向D3における開口部23の両側に配置されている。この構成によれば、第1保護壁31に加えて、一対の第2保護壁41によっても端子12を保護することが可能となる。その結果、端子12をより確実に保護することが可能となる。
【0055】
(7)第2保護壁41は、第1方向D1から見て、第2方向D2に延びる形状をなしている。この構成によれば、第2保護壁41が第1方向D1から見て例えば第3方向D3に延びる場合と比べて、第3方向D3におけるコネクタ10の小型化が可能となる。
【0056】
(8)第1方向D1において、第1保護壁31の先端部32は端子12の先端部12aよりも突出している。この構成によれば、第1保護壁31を支えとしてコネクタ10を台Sなどに置いたとき、第1保護壁31を支点として端子12を浮かせやすくなり、その結果、端子12をより好適に保護することが可能となる。
【0057】
(9)第1保護壁31は、開口部23の縁部23aから離間する位置に設けられている。これにより、開口部23の縁部23aと第1保護壁31との間に、接続相手の部位Pが入り込むスペースを確保することが可能となる。
【0058】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・第1保護壁31を第3方向D3に並んで複数設けてもよい。この場合、例えば、複数の第1保護壁31は範囲A1内に配置される。
【0059】
・第1保護壁31の先端部32と端子12の先端部12aとが、第1方向D1において同位置であってもよい。また、第1方向D1において、端子12の先端部12aが第1保護壁31の先端部32よりも突出する構成であってもよい。これらの構成であっても、第1保護壁31を支点として端子12を台Sから浮かせることが可能となる。
【0060】
・上記実施形態の第1保護壁31において、複数の凸部33を省略してもよい。
・第3方向D3において、第1保護壁31が設けられている範囲A1を、複数の端子12が設けられている範囲A2よりも大きく設定してもよい。
【0061】
・上記実施形態では、第1保護壁31は、第1方向D1から見て、第3方向D3に延びる形状をなしているが、これに限らず、第1保護壁31が、第1方向D1から見て、第3方向D3に対して傾斜する方向に延びる形状であってもよい。
【0062】
・上記実施形態では、第2保護壁41は、第1方向D1から見て、第2方向D2に延びる形状をなしているが、これに限らず、第2保護壁41が、第1方向D1から見て、第2方向D2に対して傾斜する方向に延びる形状であってもよい。また、上記実施形態の支持部材11において、一対の第2保護壁41を省略してもよい。
【0063】
・上記実施形態の支持部材11は、本体部21とカバー部22とを備えるが、これに限らず、カバー部22を省略してもよい。この場合、開口部23が必ずしも本体部21を貫通する孔状をなしていなくてもよい。すなわち、本体部21が、開口部23における接続相手に対向する側とは反対側の端部を塞ぐ部位を一体に有していてもよい。
【0064】
・端子12の数及び配置は、上記実施形態に限定されるものではなく、コネクタ10の構成に応じて適宜変更可能である。例えば、複数の端子12が第2方向D2に並ぶ構成であってもよい。また、例えば、端子12が単数の設定であってもよい。
【0065】
・上記実施形態では、支持部材11からの電線13の引き出し方向、すなわち第2方向D2が、開口部23の開口する方向、すなわち第1方向D1に直交しているが、これに特に限定されない。つまり、第2方向D2は、第1方向D1に対して交差する方向であれば、第1方向D1に対して直交でなくてもよい。
【0066】
・上記実施形態では、端子12の並ぶ方向、すなわち第3方向D3が、第1方向D1及び第2方向D2にそれぞれ直交しているが、これに特に限定されない。つまり、第3方向D3は、第1方向D1及び第2方向D2の各々に交差する方向であれば、第1方向D1及び第2方向D2の各々に対して直交でなくてもよい。
【0067】
・今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0068】
10 コネクタ
11 支持部材
12 端子
12a 先端部
13 電線
14 固定プレート
15 金属カバー
21 本体部
22 カバー部
23 開口部
23a 縁部
24 引き出し部
25 シール部材
26 絶縁壁部
31 第1保護壁
32 先端部
33 凸部
41(41a) 第2保護壁
42 先端部
43 凸部
A1 範囲
A2 範囲
D1 第1方向
D2 第2方向
D3 第3方向
P 部位
S 台