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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】管理装置
(51)【国際特許分類】
   E03D 11/00 20060101AFI20241001BHJP
   A47K 17/00 20060101ALI20241001BHJP
   E03D 9/00 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
E03D11/00 Z
A47K17/00
E03D9/00 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021033455
(22)【出願日】2021-03-03
(65)【公開番号】P2022134373
(43)【公開日】2022-09-15
【審査請求日】2024-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 裕介
(72)【発明者】
【氏名】祖父江 麻里
【審査官】亀谷 英樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-074234(JP,A)
【文献】特開2019-141306(JP,A)
【文献】特開2017-089206(JP,A)
【文献】特開2017-173057(JP,A)
【文献】特開2000-064387(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-0821934(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 13/00-17/02
E03D 9/00
E03D 11/00
G06Q 10/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサにより所定状態が検知されたことに基づいて所定動作を実行する複数の便器装置を管理する管理装置であって、
前記複数の便器装置からそれぞれ前記センサの検知パターンを受信する通信部と、
前記受信したセンサの検知パターンと予め定められた清掃パターンとに基づいて対応する便器装置の清掃が行なわれたか否かを判定する管理制御部と、
を備え
前記複数の便器装置は、前記センサとして、便座の開閉を検知する開閉センサと、人体が近づいたことを検知するための測距センサと、を有し、
前記管理制御部は、前記便座の開状態が検知され、且つ、前記測距センサの検知エリアにおいて便器先端部より内側の第1範囲内で人体の移動が検知されたことに基づいて対応する便器装置の便器の清掃が行なわれたことを判定する、
管理装置。
【請求項2】
請求項に記載の管理装置であって、
前記管理制御部は、前記便座の開状態が検知され、且つ、前記測距センサの検知エリアにおいて便器先端部より外側の第2範囲内で人体が所定時間以上継続して検知されたことに基づいて対応する便器装置の清掃は行なわれていないと判定する、
管理装置。
【請求項3】
請求項またはに記載の管理装置であって、
前記複数の便器装置は、前記センサとして、便座への着座を検知する着座センサを有し、前記着座センサにより着座が検知されている状態で所定操作がなされると、前記所定動作を実行するものであり、
前記管理制御部は、所定時間内に、前記便器の清掃が行なわれたと判定し、前記着座センサにより着座が検知され、且つ、前記所定操作がなされていないことに基づいて対応する便器装置の便座の拭き掃除が行なわれたことを判定する、
管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の便器装置を管理する管理装置およびトイレ管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のトイレ管理システムとしては、トイレ室に設置された複数の便器装置を統括的に管理する管理装置と、複数の便器装置の使用状況に関連する使用状況情報を管理装置に送信する通信装置と、を備えるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。管理装置は、通信装置から便器装置の使用状況を取得し、取得した使用状況に基づいてトイレ室を清掃するタイミングまたは内容を決定し、決定したタイミングまたは内容をトイレ室の清掃を担当する主体(清掃主体端末)に通知する。清掃担当者は、管理装置から指示されたタイミングでトイレ室の清掃を実施すると、清掃主体端末から清掃状況を示す情報を管理装置へ送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-141306号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したトイレ管理システムでは、清掃担当者が便器装置の清掃を完了する度に清掃主体端末を操作して清掃を完了したことを管理装置に通知するという煩雑な作業が必要となり、清掃を管理する上で余分な工数がかかる。また、清掃完了の通知が管理装置に届いていない場合、清掃完了通知の操作を忘れたのか、清掃業務自体を忘れたのかを判別することができないため、これを確認する作業にも余分な工数がかかる。
【0005】
本発明は、余分な工数をかけることなく、複数の便器装置の清掃状況を適切に管理することができる管理装置またはトイレ管理システムを提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の管理装置は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の管理装置は、
センサにより所定状態が検知されたことに基づいて所定動作を実行する複数の便器装置を管理する管理装置であって、
前記複数の便器装置からそれぞれ前記センサの検知パターンを受信する通信部と、
前記受信したセンサの検知パターンと予め定められた清掃パターンとに基づいて対応する便器装置の清掃が行なわれたか否かを判定する管理制御部と、
を備えることを要旨とする。
【0008】
この本発明の管理装置では、便器装置の清掃中にセンサにより検知される検知パターンを清掃パターンとして予め定めておくことで、センサの検知パターンと清掃パターンとに基づいて便器装置の清掃が行なわれたか否かを判定することができる。この結果、紙への清掃記録の記入や清掃完了を管理装置に通知するための携帯端末の操作などの余分な工数をかけることなく、複数の便器装置の清掃管理を適切に行なうことができる管理装置とすることができる。
【0009】
こうした本発明の管理装置において、前記複数の便器装置は、前記センサとして、便座の開閉を検知する開閉センサと、人体が近づいたことを検知するための測距センサと、を有し、前記管理制御部は、前記便座の開状態が検知され、且つ、前記測距センサの検知エリアにおいて便器先端部より内側の第1範囲内で人体の移動が検知されたことに基づいて対応する便器装置の便器の清掃が行なわれたことを判定してもよい。こうすれば、各便器装置が備える測距センサ(人感センサ)を用いて便器の拭き掃除が行なわれたか否かを適切に判定することができる。この場合、前記管理制御部は、前記便座の開状態が検知され、且つ、前記測距センサの検知エリアにおいて便器先端部より外側の第2範囲内で人体が所定時間以上継続して検知されたことに基づいて対応する便器装置の清掃は行なわれていないと判定してもよい。こうすれば、立ち小便を便器の清掃と誤判定するのを防止することができる。また、これらの場合、前記複数の便器装置は、前記センサとして、便座への着座を検知する着座センサを有し、前記着座センサにより着座が検知されている状態で所定操作がなされると、前記所定動作を実行するものであり、前記管理制御部は、所定時間内に、前記便器の清掃が行なわれたと判定し、前記着座センサにより着座が検知され、且つ、前記所定操作がなされていないことに基づいて対応する便器装置の便座の拭き掃除が行なわれたことを判定してもよい。こうすれば、各便器装置が備える着座センサを用いて便座の拭き掃除が行なわれたか否かを適切に判定することができる。
【0010】
本発明のトイレ管理システムは、
複数の便器装置を管理するトイレ管理システムであって、
前記便器装置の前記センサの検知パターンを送信する通信装置と、
前記通信装置からセンサの検知パターンを受信し、受信した検知パターンと予め定められた清掃パターンとに基づいて対応する便器装置の清掃が行なわれたか否かを判定する管理装置と、
を備えることを要旨とする。
【0011】
この本発明のトイレ管理システムでは、便器装置の清掃中にセンサにより検知される検知パターンを清掃パターンとして予め定めておくことで、センサの検知パターンと清掃パターンとに基づいて便器装置の清掃が行なわれたか否かを判定することができる。この結果、紙への清掃記録の記入や清掃完了を管理装置に通知するための携帯端末の操作などの余分な工数をかけることなく、複数の便器装置の清掃管理を適切に行なうことができるトイレ管理システムとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態のトイレ管理システムの概略構成図である。
図2】便器装置の外観図である。
図3】管理装置により実行される清掃完了判定処理の一例を示すフローチャートである。
図4】第1解析処理の一例を示すフローチャートである。
図5】第1解析エリアを示す説明図である。
図6】第2解析処理の一例を示すフローチャートである。
図7】第2解析エリアを示す説明図である。
図8】第3解析処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。
【0014】
図1は、本実施形態のトイレ管理システムの概略構成図であり、図2は、便器装置の外観図である。本実施形態のトイレ管理システム10は、図1に示すように、商業施設やオフィスビルなどの施設のトイレ室1に設置された複数の便器装置20を管理するものである。トイレ管理システム10は、各便器装置20の運転状況に関するデータ(運転データ)を取得してその使用状況を管理すると共に、トイレ室1内を清掃する清掃担当者による各便器装置20の清掃状況を管理する管理装置50を備える。
【0015】
各便器装置20は、図2に示すように、便器21と便座装置30とを備える。便器21は洋式便器であり、便座装置30は、便器21の上面(土台部)に設置されている。便座装置30は、便器21の上面後方に設置された便座装置本体31と、便座装置本体31に開閉可能に支持される便座32と、便座装置本体31に開閉可能に支持される便蓋33と、操作パネル34と、を有する。
【0016】
操作パネル34は、おしり洗浄ボタンやビデ洗浄ボタン、おしり洗浄やビデ洗浄の洗浄強さを調節するための洗浄強さ調節ボタン、洗浄水の温度を調節するための温水温度調節ボタン、洗浄後に濡れた局部を乾燥させるための乾燥ボタン、便座32の温度を調節するための便座温度調節ボタンと、おしり洗浄やビデ洗浄、乾燥を停止させるための停止ボタンなどを有する。
【0017】
便座装置本体31は、制御部35と駆動部36とセンサ類37と通信部38とを備える。駆動部36には、便座32に内蔵された便座ヒータを駆動する便座ヒータ駆動部や、おしり洗浄用のノズルやビデ洗浄用のノズルを駆動するノズル駆動部、ノズルから噴出させる洗浄水を加温する温水ヒータを駆動する温水ヒータ駆動部、局部乾燥用の温風を吹き付ける温風乾燥機を駆動する温風乾燥駆動部、便座32を開閉駆動する便座駆動部、便蓋33を開閉駆動する便蓋駆動部などが含まれる。センサ類37には、図2に示すように、使用者の便座32への着座を検知する着座センサ37aや、使用者が近づいたことを検知する人感センサ37b、便座32の開閉を検知する便座開閉センサ37c、便蓋33の開閉を検知する便蓋開閉センサ37d、便座32の温度を検知する便座温度センサ(図示せず)などが含まれる。人感センサ37bは、例えば赤外線や電波、超音波などの信号波を送信すると共に検知エリア内の物体からの反射波を受信することにより、当該物体との距離を測定する測距センサとして構成される。通信部38は、インターネットなどのネットワーク11を介して管理装置50の通信部53と双方向通信を行なう。
【0018】
制御部35は、CPUを中心としたマイクロプロセッサとして構成される。制御部35には、センサ類37からの検知信号が入力され、制御部35からは、駆動部36への制御信号が出力される。
【0019】
また、制御部35は、センサ類37からの検知信号や操作パネル34からの操作信号に基づいて駆動部36を駆動制御する。例えば、制御部35は、人感センサ37bにより人体が近づいたことが検知されると、便蓋33が開状態となるよう便蓋駆動部を制御すると共に便座ヒータにより便座32が目標温度まで昇温するよう便座ヒータ駆動部を制御する。人感センサ37bにより人体が検知されなくなってから所定時間が経過すると、便蓋33が閉状態となると共に便座32が待機温度となるよう便蓋駆動部と便座ヒータ駆動部を制御する。また、着座センサ37aにより便座32への人体の着座が検知されている状態でおしり洗浄ボタンやビデ洗浄ボタンが操作されると、おしり洗浄やビデ洗浄が行なわれるよう温水ヒータ駆動部とノズル駆動部とを制御する。さらに、着座センサ37aにより便座32への人体の着座が検知されている状態で乾燥ボタンが操作されると、温風が吹き出されるよう温風乾燥駆動部を制御する。
【0020】
さらに、制御部35は、便座装置30のセンサ類37からの検知信号や操作パネル34からの操作信号を含む運転データを所定時間毎(例えば数msec毎)に通信部38により管理装置50へ送信する。
【0021】
管理装置50は、管理制御部51と記憶部52と通信部53とを備える。さらに、管理装置50は、キーボードやマウスなどの入力部54や液晶ディスプレイなどの表示部55も備える。通信部53は、ネットワーク11に接続され、当該ネットワーク11を介して各便座装置30の通信部38とデータや制御信号のやり取りを行なう。管理制御部51は、システム全体を管理するものであり、ネットワーク11を介して便座装置30から運転データを取得して記憶部52に記憶し、記憶部52に記憶した運転データを解析することで便器装置20の使用状況を判定したり便器装置20の清掃状況を判定したりする。
【0022】
次に、こうして構成されたトイレ管理システム10において、管理装置50により便器装置20の清掃状況を管理するための動作、特に、清掃完了を判定するための動作について説明する。図3は、管理装置50の管理制御部51により実行される清掃完了判定処理の一例を示すフローチャートである。この処理は、便器装置20毎に繰り返し実行される。
【0023】
清掃完了判定処理が実行されると、管理制御部51は、まず、各便器装置20から取得し記憶部52に記憶した運転データを確認する(ステップS100)。ここで、確認する運転データには、着座センサ37aや人感センサ37b、便座開閉センサ37c、便蓋開閉センサ37dからの検知信号、操作パネル34(洗浄ボタンや乾燥ボタン)からの操作信号などが含まれる。次に、管理制御部51は、運転データに基づいて便座32および便蓋33のいずれもが開状態であるか否かを判定する(ステップS110)。ここで、便座32や便蓋33が動作中である場合は、誤判定を防止するために、開状態には含めない。また、便座32が開状態であれば、便蓋33も開状態であるため、便蓋33が開状態であるか否かの判定は省略されてもよい。管理制御部51は、便座32および便蓋33のいずれかが開状態でないと判定すると、清掃完了を判定する状況にないと判断し、清掃完了判定処理を終了する。一方、管理制御部51は、便座32および便蓋33のいずれもが開状態であると判定すると、開状態に遷移した時点から前後所定時間分(例えば前後数分間分)の運転データを記憶部52から取得し(ステップS120)、取得した運転データを解析する第1解析処理を実行する(ステップS130)。第1解析処理は、使用者が立ち小便をしているか否かを判定する処理である。以下、第1解析処理の詳細について説明する。
【0024】
図4は、第1解析処理の一例を示すフローチャートである。第1解析処理では、管理制御部51は、まず、人感センサ37bの検知エリアAのうち便器先端外側の第1解析エリアA1内で人体を検知したか否かを判定する(ステップS300)。図5に、第1解析エリアの一例を示す。管理制御部51は、第1解析エリアA1内で人体を検知したと判定すると、その状態が上述した便座32および便蓋33のいずれもが開状態に遷移した時点から所定時間以上継続したか否かを判定する(ステップS310)。第1解析エリアA1内で人体を検知すると共にその状態が所定時間以上継続していると判定すると、第1解析処理の判定条件が成立、すなわち立ち小便をしていると判定して(ステップS320)、第1解析処理を終了し、第1解析エリアA1内で人体を検知しなかったり、検知してもその状態が所定時間以上継続していないと判定すると、第1解析処理の判定条件が不成立、すなわち立ち小便をしていないと判定して(ステップS330)、第1解析処理を終了する。
【0025】
図3の清掃完了判定処理に戻って、第1解析処理を実行すると、判定条件が不成立か否かを判定する(ステップS140)。判定条件が成立と判定すると、該当する便器装置20は使用中であるため、清掃完了判定処理を終了する。一方、判定条件が不成立と判定すると、次に、第2解析処理を実行する(ステップS150)。第2解析処理は、便器21の上面の拭き掃除が行なわれたか否かを判定する処理である。以下、第2解析処理の詳細について説明する。
【0026】
図6は、第2解析処理の一例を示すフローチャートである。第2解析処理では、管理制御部51は、まず、人感センサ37bの検知エリアAのうち便器先端外側から所定距離L以上内側まで(第2解析エリアA2内の一方向)の人体の移動履歴があるか否かを判定する(ステップS400)。図7に、第2解析エリアの一例を示す。管理制御部51は、第2解析エリアA2内の一方向の人体の移動履歴があると判定すると、次に、便器先端より所定距離L以上内側から便器先端外側まで(第2解析エリアA2内の他方向)の人体の移動履歴があるか否かを判定する(ステップS410)。ステップS400,S410の処理は、便器21の上面の第2解析エリアA2内において人体(手)の往復動作があったか否かを判定する処理である。第2解析エリアA2内の一方向の人体の移動履歴があり且つ第2解析エリアA2内の他方向の人体の移動履歴があると判定すると、第2解析処理の判定条件が成立、すなわち便器21の拭き掃除が完了していると判定して(ステップ420)、第2解析処理を終了し、第2解析エリアA2内の一方向の人体の移動履歴がないと判定したり、第2解析エリアA2内の他方向の人体の移動履歴がないと判定すると、第2解析処理の判定条件が不成立、すなわち便器21の拭き掃除が完了していないと判定して(ステップ430)、第2解析処理を終了する。
【0027】
図3の清掃完了判定処理に戻って、第2解析処理を実行すると、判定条件が成立か否かを判定する(ステップS160)。判定条件が不成立と判定すると、該当する便器装置20の拭き掃除は完了していないと判断し、清掃完了判定処理を終了する。一方、判定条件が成立と判定すると、次に、第3解析処理を実行する(ステップS170)。第3解析処理は、便座32の上面(着座面)の拭き掃除が行なわれたか否かを判定する処理である。以下、第3解析処理の詳細について説明する。
【0028】
図8は、第3解析処理の一例を示すフローチャートである。第3解析処理では、管理制御部51は、まず、着座センサ37aにより着座状態が検知され、且つ、操作パネル34からの洗浄ボタン(おしり洗浄ボタン,ビデ洗浄ボタン)および乾燥ボタンがいずれも操作されていない状態が第1時間以上第2時間以下継続している履歴があるか否かを判定する(ステップS500)。この判定は、着座センサ37aによる着座状態の検知が便座32の拭き掃除によるものであるかを判定するものである。第1時間は、ノイズがセンサ類37に与える影響を除去するために例えば数十msecから数百msecに定められ、第2時間は、便器装置20の想定される通常の使用時間よりも短い時間、例えば数秒に定められる。この判定が肯定的な判定であれば、判定条件が成立と判定、すなわち便座32の拭き掃除が完了したと判定して(ステップS510)、第3解析処理を終了する。一方、この判定が否定的な判定であれば、判定条件が不成立と判定、すなわち便座32の拭き掃除が完了していないと判定して(ステップS520)、第3解析処理を終了する。
【0029】
なお、便器装置20の清掃パターンとしての第1解析処理で用いられる所定時間や第2解析処理で用いられる所定距離、第3解析処理で用いられる第1時間や第2時間は、管理者が入力部54を用いて数値を入力することにより適宜変更することができる。
【0030】
図3の清掃完了判定処理に戻って、第3解析処理を実行すると、判定条件が成立か否かを判定する(ステップS180)。判定条件が成立と判定すると、便座32の拭き掃除と便器21の拭き掃除が共に完了したと判定する(ステップS190)。一方、判定条件が不成立と判定すると、便器21の拭き掃除は完了したが、便座32の拭き掃除が完了していないと判定する(ステップS200)。そして、判定結果を清掃日時および便器装置20が設置された場所と関連付けて記憶部52に登録すると共に(ステップS210)、判定結果を表示部55に表示して(ステップS220)、清掃完了判定処理を終了する。管理制御部51は、便器21の拭き掃除は完了したが、便座32の拭き掃除が完了していない場合、第3解析処理を再実行して便座32の拭き掃除が完了したか否かを判定するようにしてもよい。
【0031】
これにより、清掃が完了していない便器装置20の場所を特定することができ、便器装置20毎に清掃状況を適切に管理することができる。例えば、一日に清掃すべき便器装置20を把握しておき、清掃が完了しないまま一定時間が経過すると、清掃が完了していない旨を清掃担当者の端末や管理者の端末にメールやSMS、プッシュ通知などの手法により通知することができる。これにより、掃除のし忘れなどを防止することができる。また、同じトイレ室1内においてある便器装置20の清掃完了から次の便器装置20の清掃完了までに一定時間以上経過すると、その旨を管理者の端末にメールやSMS、プッシュ通知などの手法により通知するものとしてもよい。こうすれば、例えば、夏場の清掃作業で熱中症による業務中断などを自動検出することが可能となる。
【0032】
以上説明した本実施形態の管理装置50によれば、便器装置20の清掃中に便座装置30が備えるセンサ類37により検知される検知パターンを清掃パターンとして予め定めておくことで、センサ類37の検知パターンと清掃パターンとに基づいて便器装置20の清掃が行なわれたか否かを判定することができる。この結果、紙への清掃記録の記入や清掃完了を管理装置50に通知するための携帯端末の操作などの余分な工数をかけることなく、複数の便器装置20の清掃管理を適切に行なうことができる。
【0033】
また、本実施形態の管理装置50では、第2解析処理において、便座32の開状態が検知され、且つ、人感センサ37b(測距センサ)の検知エリアにおいて便器先端内側の第2解析エリアA2内で人体の移動が検知されたことに基づいて対応する便器装置20の便器21の清掃が行なわれたことを判定する。これにより、各便座装置30が備える人感センサ37bを用いて便器21の拭き掃除が行なわれたか否かを適切に判定することができる。
【0034】
さらに、本実施形態の管理装置50では、第1解析処理において、便座32の開状態が検知され、且つ、人感センサ37bの検知エリアにおいて便器先端外側の第1解析エリアA1内で人体が所定時間以上継続して検知されたことに基づいて対応する便器装置20の清掃は行なわれていないと判定する。これにより、立ち小便を便器21の清掃と誤判定するのを防止することができる。
【0035】
また、本実施形態の管理装置50では、第3解析処理において、所定時間内に、便器21の清掃が行なわれたと判定し、着座センサ37aにより着座が検知され、且つ、洗浄ボタンや乾燥ボタンの操作がなされていないことに基づいて対応する便器装置20の便座32の拭き掃除が行なわれたことを判定する。これにより、各便座装置30が備える着座センサ37aを用いて便座32の拭き掃除が行なわれたか否かを適切に判定することができる。
【0036】
なお、本発明を管理装置の形態として説明したが、トイレ管理システムの形態としてもよい。
【0037】
実施形態の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施形態では、着座センサ37aや人感センサ37b、便座開閉センサ37c、便蓋開閉センサ37dなどのセンサ類37が「センサ」に相当し、便器装置20が「便器装置」に相当し、通信部53が「通信部」に相当し、管理制御部51が「管理制御部」に相当する。また、通信部38が「通信装置」に相当する。
【0038】
なお、実施形態の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施形態が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施形態は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
【0039】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、トイレ管理システムや管理装置の製造産業などに利用可能である。
【符号の説明】
【0041】
1 トイレ室、10 トイレ管理システム、11 ネットワーク、20 便器装置、21 便器、25 制御部、30 便座装置、31 便座装置本体、32 便座、33 便蓋、34 操作パネル、35 制御部、36 駆動部、37 センサ類、37a 着座センサ、37b 人感センサ、37c 便座開閉センサ、37d 便蓋開閉センサ、38 通信部、50 管理装置、51 管理制御部、52 記憶部、53 通信部、54 入力部、55 表示部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8