(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】測寸装置、および、試験機
(51)【国際特許分類】
G01N 3/06 20060101AFI20241001BHJP
【FI】
G01N3/06
(21)【出願番号】P 2021034280
(22)【出願日】2021-03-04
【審査請求日】2023-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 俊介
【審査官】前田 敏行
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-055669(JP,A)
【文献】特開2020-038143(JP,A)
【文献】特開2011-013061(JP,A)
【文献】特表2020-530108(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0166442(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験片を測寸する測寸装置であって、
試験片の測寸方向の第一の面に接触する当接部材と、
試験片の前記測寸方向の第二の面に接触する測定子と、
前記測定子を前記測寸方向に
相対移動自在に保持するブラケットと、
前記測定子の前記測寸方向の位置を検出する非接触式センサと、を備え、
前記ブラケットは、前記測寸方向に沿って移動可能に支持され、試験片を測寸する場合に、試験片に接近する接近位置に
向けて移動することにより前記測定子を試験片に接触させ
ると共に、前記測定子が試験片に接触した後には前記ブラケットが前記測定子に対して相対的に移動することにより前記接近位置に移動し、
前記非接触式センサは、前記当接部材と前記測定子とが前記試験片に接触する場合に前記測定子の前記測寸方向の位置を検出する、
測寸装置。
【請求項2】
前記測定子は、前記測寸方向に延びる軸部を有し、
前記ブラケットには、軸受けが支持され、
前記軸受けには、前記軸部が前記測寸方向に摺動可能に保持される、
請求項1に記載の測寸装置。
【請求項3】
前記ブラケットは、鉛直方向に移動可能に支持されることにより前記測寸方向に沿って移動可能に支持され、
前記測定子は、前記ブラケットに鉛直方向に移動自在に支持されている、
請求項1又は2に記載の測寸装置。
【請求項4】
前記当接部材を前記測寸方向に沿って移動させる第一の移動機構と、
前記ブラケットを前記測寸方向に沿って移動させる第二の移動機構と、
前記第一の移動機構および前記第二の移動機構を制御する制御装置と、を備え、
前記測定子は、前記当接部材に対向する位置で移動可能に保持され、
前記制御装置は、試験片を測寸する場合に、前記第一の移動機構を制御して前記当接部材を試験片の測寸をする測寸位置に移動させると共に、前記第二の移動機構を制御して前記ブラケットを前記接近位置に移動させて前記測定子を試験片に接触させる、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の測寸装置。
【請求項5】
前記制御装置は、試験片を測寸する場合に、前記当接部材と前記測定子との間に試験片が無い状態で、前記当接部材を前記測寸位置に移動させると共に、前記ブラケットを前記接近位置に移動させて前記測定子を前記当接部材に接触させる、
請求項4に記載の測寸装置。
【請求項6】
試験片を測寸する測寸装置と、測寸された試験片に試験荷重を付与する試験装置と、を備えた試験機であって、
前記測寸装置は、
試験片の測寸方向の第一の面に接触する当接部材と、
試験片の前記測寸方向の第二の面に接触する測定子と、
前記測定子を前記測寸方向に
相対移動自在に保持するブラケットと、
前記測定子の前記測寸方向の位置を検出する非接触式センサと、を備え、
前記ブラケットは、前記測寸方向に沿って移動可能に支持され、試験片を測寸する場合に、試験片に接近する接近位置に
向けて移動することにより前記測定子を試験片に接触させ
ると共に、前記測定子が試験片に接触した後には前記ブラケットが前記測定子に対して相対的に移動することにより前記接近位置に移動し、
前記非接触式センサは、前記当接部材と前記測定子とが前記試験片に接触する場合に前記測定子の前記測寸方向の位置を検出する、
試験機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測寸装置、および、試験機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、チャックにより試験片の両端を把持し、この試験片にチャックを介して試験荷重を加え、試験片の破断試験などを行う試験機が知られている。この種の試験では、試験片の個体差の影響を取り除くため、試験力は、試験力を試験片の断面積で除した応力の単位で評価される。そのため、試験機が、試験片の寸法を測定する測寸装置を備えている場合がある(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1の測寸装置は、スピンドルの変位量を検出するセンサとデジタルカウンタから成るリニアゲージを備え、一対の測寸圧子で試験片を挟持して試験片を押しつけ、測寸圧子の変位をリニアゲージにより測定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、リニアゲージで変位を測定する場合には、測定子を押し当てて寸法測定するため、寸法測定時には、材料に荷重を与えることとなる。よって、柔らかい材料の試験片は、押し当て力により変形してしまい、変形前の寸法を適切に測定し難いという課題があった。一方、リニアゲージを用いない非接触式センサでの寸法測定では、押し当て力を気にすることなく測定をできるが、材料の表面の色や光沢、凹凸などの影響を受け易く安定した検出が難しいという課題がある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、様々な材料の試験片を適切に測寸することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様は、試験片を測寸する測寸装置であって、試験片の測寸方向の第一の面に接触する当接部材と、試験片の前記測寸方向の第二の面に接触する測定子と、前記測定子を前記測寸方向に相対移動自在に保持するブラケットと、前記測定子の前記測寸方向の位置を検出する非接触式センサと、を備え、前記ブラケットは、前記測寸方向に沿って移動可能に支持され、試験片を測寸する場合に、試験片に接近する接近位置に向けて移動することにより前記測定子を試験片に接触させると共に、前記測定子が試験片に接触した後には前記ブラケットが前記測定子に対して相対的に移動することにより前記接近位置に移動し、前記非接触式センサは、前記当接部材と前記測定子とが前記試験片に接触する場合に前記測定子の前記測寸方向の位置を検出する、測寸装置に関する。
【0006】
本発明の第2の態様は、試験片を測寸する測寸装置と、測寸された試験片に試験荷重を付与する試験装置と、を備えた試験機であって、前記測寸装置は、試験片の測寸方向の第一の面に接触する当接部材と、試験片の前記測寸方向の第二の面に接触する測定子と、前記測定子を前記測寸方向に相対移動自在に保持するブラケットと、前記測定子の前記測寸方向の位置を検出する非接触式センサと、を備え、前記ブラケットは、前記測寸方向に沿って移動可能に支持され、試験片を測寸する場合に、試験片に接近する接近位置に向けて移動することにより前記測定子を試験片に接触させると共に、前記測定子が試験片に接触した後には前記ブラケットが前記測定子に対して相対的に移動することにより前記接近位置に移動し、前記非接触式センサは、前記当接部材と前記測定子とが前記試験片に接触する場合に前記測定子の前記測寸方向の位置を検出する、試験機に関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の第1の態様および第2の態様によれば、試験片に接触する測定子の測寸方向の位置を検出することで、試験片の測寸方向の長さを測寸できる。このとき、測定子はブラケットに対して測寸方向に移動自在であるため、ブラケットを接近位置に移動させて測定子を試験片に接触させる際に、試験片に不要な負荷がかかることを抑制しながら、測定子を試験片に接触させることができる。よって、柔らかい試験片を精度良く測寸できる。また、測定子を介すので、試験片に光沢等があっても非接触センサの検出結果に基づいて精度良く測寸できる。したがって、様々な材料の試験片を適切に測寸することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係る自動材料試験機の概略正面図である。
【
図2】自動材料試験機で移送されるパレットの平面図である。
【
図5】測寸装置の測寸開始前の状態を示す模式図である。
【
図6】測寸装置の動作を示す模式図であり、ゼロ点検出動作を示す図である。
【
図7】測寸装置の動作を示す模式図であり、試験片の測寸動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0010】
[1.第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る自動材料試験機1の概略正面図である。
本実施形態の試験機の一例としての自動材料試験機1は、試験片Tに対して試験力としての試験荷重を付与することにより、試験片Tの引張力及び伸びを測定する。
【0011】
自動材料試験機1は、試験片供給装置10と、試験装置30と、試験片回収装置50と、制御装置100と、を備える。
【0012】
試験片供給装置10は、試験装置30に試験片Tを供給する。試験片供給装置10は、試験片Tをパレット11に収容した状態で収納する収納供給部12と、収納供給部12からパレット11が搬送される搬送台13と、搬送台13に供給されたパレット11から試験片Tを試験装置30に搬送する搬送装置20と、収納供給部12から搬送台13にパレット11を搬送する際に試験片Tの測寸を行う測寸装置70と、を備える。
【0013】
収納供給部12は、試験片Tが収められた複数のパレット11を、例えば、上下に重ねて収納する。収納供給部12は、いずれか一つのパレット11が図示しない棒状の引き出し用の部材で引き出されて搬送台13に移送可能に構成されている。
【0014】
搬送台13には、収納供給部12からパレット11が供給される。搬送台13は、収納供給部12から供給されたパレット11が載置されるテーブル13Aと、テーブル13A上でパレット11をガイドする複数のローラー13Bと、を備える。搬送台13では、パレット11がローラー13Bによってガイドされて移動されることで、パレット11上の試験片Tが順次、所定の被取出位置に配置される。
【0015】
搬送装置20は、吸着パッド29を備えたアーム26を備える。搬送装置20は、搬送台13にセットされたパレット11から、吸着パッド29により試験片Tを一片ずつ取り出して保持し、試験片Tを試験装置30に搬送、供給する。搬送装置20は、試験片Tを試験装置30の所定位置にセットする。
【0016】
測寸装置70は、収納供給部12から搬送台13にパレット11を搬送する際に試験片Tを測寸する。測寸装置70の計測信号は制御装置100に入力される。
【0017】
試験装置30は、試験片供給装置10から供給された試験片Tに試験荷重を付与して試験片Tを試験する。
試験装置30は、台座31を有する。台座31の上部にはテーブル32が設けられている。テーブル32には、鉛直方向上方に延びる支柱33が立設されている。支柱33は、自動材料試験機1の幅方向に一対設けられている。支柱33の上部には、一対の支柱33の間に延びるクロスヨーク34が架け渡されている。支柱33の内部には、図示しないねじ棒が設けられている。ねじ棒はボールネジで構成されている。ねじ棒には、クロスヘッド35の両端が図示しないナットを介して連結されている。クロスヘッド35は、ねじ棒の回転によりテーブル32に対して昇降する。なお、ねじ棒は、図示しないモータにより回転駆動される。
【0018】
クロスヘッド35には、ロードセル36が設置されている。ロードセル36には、継手37が取り付けられる。継手37は、下方に延びている。継手37の下端には、上チャック(掴み具)38が接続されている。上チャック38には、不図示のシリンダ装置が配置されている。不図示のシリンダ装置が作動することにより、上チャック38は幅方向に開閉される。上チャック38には、起立された状態の試験片Tの上側の端部Taが掴まれる。試験片Tは、上チャック38の掴み中心L上に配置される。
【0019】
上チャック38の下方には、下チャック(掴み具)39が配置される。下チャック39は、接手40を介してテーブル32の上面に固定される。下チャック39は、上下対称な点以外は、上チャック38と同様に構成される。下チャック39には、起立された状態の試験片Tの下側の端部Tbが掴まれる。試験片Tは、下チャック39の掴み中心L上に配置される。
【0020】
上チャック38及び下チャック39により試験片Tが掴まれた状態で、上チャック38がクロスヘッド35と共に昇降する。これにより、上チャック38と下チャック39との間に掴まれた試験片Tには、試験力が付与される。この際に、ロードセル36は、継手37を介して、上チャック38が付与する試験力を計測する。ロードセル36の計測信号は制御装置100に入力される。
【0021】
上チャック38及び下チャック39の右側には、試験片回収装置50が配置されている。試験片回収装置50は、試験装置30から試験片Tを回収する。
試験片回収装置50は、上チャック38に対応して設けられた上部回収装置51と、下チャック39に対応して設けられた下部回収装置61とを備える。
【0022】
上部回収装置51は、試験片Tを回収する回収機構52と、回収機構52を上チャック38が掴んだ試験片Tに対向可能に支持する支持機構53とを備える。
上部回収装置51は、クロスヘッド35に固定されており、クロスヘッド35と共に昇降可能である。上部回収装置51では、回収機構52が上チャック38に対向する回収位置と、上チャック38から退避する退避位置との間を駆動可能に構成されており、回収機構52が回収位置に移動した場合に試験片Tが回収され、回収機構52が退避位置に移動した場合に、回収された試験片Tが破棄される。
【0023】
下部回収装置61は、上部回収装置51に対応して、回収機構52に対応する回収機構62と、支持機構53に対応する支持機構63とを備える。下部回収装置61は、上部回収装置51と上下逆に配置され、支持機構63がテーブル32の上面に固定されている点以外は、上部回収装置51と同様に構成される。下部回収装置61は、下チャック39に対する相対的な高さが一定に保持される。
【0024】
図2は、自動材料試験機1で移送されるパレット11の平面図である。
図2では、パレット11に収められる試験片Tを仮想線で示している。
本実施形態の測寸装置70には、試験片Tはパレット11に収容された状態で搬送される。パレット11は、トレー状の収容容器である。パレット11は、複数の試験片Tが互いに平行に平置きされる平面視略矩形板状のベース板11Aを有する。ベース板11A上には、各試験片Tを位置決めする幅方向一対の試験片位置決めバー11Bがねじ止め固定される。試験片位置決めバー11Bのそれぞれには、試験片Tの端部Ta、Tbに係合する複数の位置決め凹部11B1が等間隔に設けられており、各位置決め凹部11B1に、試験片Tの端部Ta、Tbを係合させて、試験片Tがベース板11Aに並べられる。これにより、各試験片Tが所定の位置に位置決めされる。ベース板11Aには、試験片Tの配置位置毎に上下方向(鉛直方向)に貫通する開口11A1が形成されており、開口11A1を跨ぐように各試験片Tが平置き状態(倒伏した状態)で並べて収められる。
【0025】
一片の試験片Tは、厚みが均一に構成された縦長の板材である。試験片Tは、平面視で見た場合、両側の端部Ta、Tbに比べ、それら端部Ta、Tb同士を繋ぐ中間部Tcが幅狭に形成されており、いわゆるダンベル形状を成している。両側の端部Ta、Tbは、試験装置30において、チャック38、39に装着される箇所である。これら端部Ta、Tbの間に試験力を加えたときの中間部Tcの変化(変形等)が試験装置30によって測定される。
なお、かかる試験片Tには、例えば日本産業規格K6251に規定されたダンベル状試験片を用いることが可能であるが、本実施形態では、日本産業規格K6251で規定された試験片以外の試験片T、例えば、日本産業規格K6251で規定された試験片とは異なる材料の試験片Tを用いることができる。
【0026】
図3は、測寸装置70の正面図である。
図4は、測寸装置70の側面図である。以下、本実施形態の説明においては、
図3の測寸装置70を基準にして、上下、左右、前後を用いる。なお、パレット11の幅方向が左右方向に対応する。また、パレット11の移送方向が前後方向に対応する。
測寸装置70は、収納供給部12と搬送装置20との間に配置される。本実施形態の測寸装置70は、搬送装置20にセットされる前の試験片Tの厚み(平置き状態の試験片Tの上下方向の長さ)Wを測寸する。本実施形態では、測寸方向が上下方向に対応し、試験片Tの厚み方向に対応する。
【0027】
測寸装置70は、パレット11が移送される測厚台71を有する。測厚台71の上面には、幅方向両端部に、ガイドローラ72が設けられている。ガイドローラ72は、引き出し用の部材により移送されるパレット11を、前後方向にガイドする。
測厚台71の幅方向中央部には、下方に開口する開口71Aが形成されている。開口71Aの下方には、規制板73が配置される。規制板73は測厚台71に跨って開口71Aを閉塞するように支持されている。規制板73には、上下方向に貫通する円形状の貫通孔73Aが形成されている。
【0028】
規制板73の下方には、第一の移動機構の一例としての下側昇降シリンダ81が配置されている。本実施形態の下側昇降シリンダ81は、エアシリンダである。下側昇降シリンダ81は、外観箱状のシリンダ本体81Aと、上下方向に延びるシリンダロッド81Bとを備える。シリンダロッド81Bは、シリンダ本体81Aに対して上方に伸縮可能に支持される。シリンダロッド81Bは、図示しないエア供給源からエアが供給されることにより、シリンダ本体81Aに対して上方に伸縮する。シリンダロッド81Bの上端(先端)には、当接部材の一例としての測厚部材82が支持される。測厚部材82は、シリンダロッド81Bが、シリンダ本体81Aに対して上下方向に伸縮することで、
図3の実線で示す待機位置P0と、
図3の破線で示す測寸位置P1との間を昇降する。
【0029】
測厚部材82は、上下方向に延びる円柱状の本体部82Aを有する。本体部82Aは規制板73の貫通孔73Aに沿って上下方向に移動する。本体部82Aの上方には、本体部82Aよりも小径の当接部82Bが形成されている。当接部82Bは、本体部82Aと同心状に配置される。当接部82Bは、パレット11の開口11A1の開口幅よりも小径に形成されており、開口11A1に進入して、上面82B1が試験片Tの下面(測寸方向の第一の面)T1に当接可能に構成される。当接部82Bの上面82B1は平滑に形成されている。
【0030】
本体部82Aの下部には、フランジ状のストッパ部82Cが形成されている。ストッパ部82Cは、規制板73の下方に配置される。ストッパ部82Cは、規制板73の貫通孔73Aよりも径が大きく形成されている。ストッパ部82Cは、規制板73の下面に接触して、測厚部材82が上方に移動することを規制する。測厚部材82が規制板73で上方に移動することが規制された場合に、当接部82Bの上面82B1がパレット11のベース板11Aと略同じ高さに移動するように構成されている。本実施形態では、当接部82Bの上面82B1がパレット11のベース板11Aよりも少しだけ高くなるように構成されている。これにより、パレット11が変形していたり、試験片Tが反っていても、測厚部材82が、パレット11上の試験片Tの下面T1に当接し易くなっている。
【0031】
図3に示すように、測厚台71の上方には、門形のフレーム74が支持される。フレーム74は、測厚台71から上方に延びる幅方向一対の脚部74Aを有する。脚部74Aは、ガイドローラ72よりも幅方向外側で測厚台71に固定される。脚部74Aの上端(先端)には、左側の脚部74Aと右側の脚部74Aとの間を接続する架橋部74Bが支持されている。
【0032】
架橋部74Bには、第二の移動機構の一例としての上側昇降シリンダ91が支持されている。本実施形態の上側昇降シリンダ91は、エアシリンダである。上側昇降シリンダ91は、外観箱状のシリンダ本体91Aと、上下方向に延びるシリンダロッド91Bとを備える。シリンダ本体91Aは、屈曲板状のステー76(
図4参照)を介して架橋部74Bに固定される。ステー76は、固定部材77(
図4参照)で架橋部74Bに固定される。
【0033】
シリンダロッド91Bは、シリンダ本体91Aに対して下方に伸縮可能に支持される。シリンダロッド91Bは、図示しないエア供給源からエアが供給されることにより、シリンダ本体91Aに対して下方に伸縮する。シリンダロッド91Bの下端(先端)には、ブラケット92が支持される。ブラケット92は、シリンダロッド91Bが、シリンダ本体91Aに対して上下方向に伸縮することで、測厚台71から離間した
図3の実線で示す離間位置Q0と、測厚台71に接近した
図3の二点鎖線で示す接近位置Q1との間を昇降する。
【0034】
ブラケット92は、シリンダロッド91Bに固定されたL字状の第一ブラケット92Aを有する。第一ブラケット92Aは、左右方向に延びる基部92A1と、基部92A1の右端から上方に延びる延出部92A2とを備える。基部92A1がシリンダロッド91Bに対して上下方向に延びる固定部材92A3で固定される。延出部92A2には、L字状の第二ブラケット92Bが固定される。第二ブラケット92Bは、下方に延びる基部92B1と、基部92B1の下端から幅方向内側に延出する延出部92B2とを備える。基部92B1は、第一ブラケット92Aの延出部92A2に対して左右方向に延びる固定部材92B3で固定される。第二ブラケット92Bの延出部92B2の先端には、長板状の第三ブラケット92Cが固定される。第三ブラケット92Cは、測厚部材82の上方に延出する。第三ブラケット92Cは、基部が、上下方向に延びる固定部材92C1で延出部92B2に固定される。第三ブラケット92Cの先端には、厚み方向に貫通する貫通孔92C2が形成されている。貫通孔92C2には、軸受けの一例としてのブッシュ93が装着されている。ブッシュ93は滑り軸受けである。軸受けとしては、ブッシュ93に代えて、ボールを備えたリニアブッシュなどでもよい。
【0035】
ブッシュ93には、上下方向に延びる測定子94が支持される。
測定子94は、上下方向に延びる柱状の軸部94Aを有する。軸部94Aは、ブッシュ93の内径に応じた外径を有しており、ブッシュ93に挿入されてブッシュ93に対して摺動可能に保持される。これにより、軸部94Aは、摩擦の低減された状態で上下方向に摺動自在に支持されると共に、軸部94Aが上下方向に対して傾斜することが抑制された状態で保持される。測定子94の上下方向に延びる中心線Laは、測厚部材82の上下方向に延びる中心線Laに一致するように構成される。
【0036】
軸部94Aの下端(測寸方向の第一端)には、円板状の当接部94Bが支持される。当接部94Bは、測厚部材82の当接部82Bと同様の円板状に形成されている。当接部94Bの下面94B1は平滑に形成されており、試験片Tの上面(測寸方向の第二の面)T2に当接する。
【0037】
軸部94Aの上端(測寸方向の第二端)には、円板状の抜け止め部94Cが形成されている。抜け止め部94Cは貫通孔92C2およびブッシュ93よりも大きく形成されている。抜け止め部94Cにより、測定子94が自重でブラケット92から抜け落ちることが規制される。抜け止め部94Cの上方には、円板状の被検出部94Dが形成されている。被検出部94Dの上面94D1は平滑に形成されている。
【0038】
ブラケット92が離間位置Q0(
図3の実線)に保持されている場合、測定子94は、抜け止め部94Cにより、ブラケット92に自重で吊り下がった状態に保持される。そして、ブラケット92が接近位置Q1(
図3の二点鎖線)に移動する際には、測定子94は吊り下がった状態でブラケット92と共に接近位置Q1に向けて移動する。この際に、測定子94の当接部94Bが試験片T等に当接すると、測定子94の下方への移動が規制され、ブラケット92のみが接近位置Q1に移動する。よって、ブラケット92が接近位置Q1に移動することにより、測定子94は試験片Tの厚み(上下方向の長さ)Wに基づいた位置に保持される。測定子94は、試験片Tの厚みWに基づいた位置に留まるため、測定子94の位置に基づいて試験片Tの厚みWを検出することが可能となる。
【0039】
測定子94の上方には、非接触式センサ95が配置される。非接触式センサ95は、屈曲板状のステー78(
図4参照)を介して架橋部74Bに固定される。ステー78は固定部材79(
図4参照)で架橋部74Bに固定される。非接触式センサ95は、例えば、反射型のレーザセンサである。非接触式センサ95は、測定子94の測寸方向の位置の一例として、非接触式センサ95から測定子94までの距離λを検出する。本実施形態の非接触式センサ95は、測定子94の上面94D1までの距離λを検出する。非接触式センサ95の検出信号は、制御装置100に入力される。
【0040】
図1に示すように、自動材料試験機1には、自動材料試験機1の各部を制御する制御装置100が並置されている。制御装置100は、自動材料試験機1を中枢的に制御する装置であり、自動材料試験機1との間で信号を送受信可能に接続される。
制御装置100が自動材料試験機1から受信する信号は、測寸装置70が出力する計測信号や、ロードセル36が出力する計測信号、制御や試験に要する適宜の信号である。
制御装置100が自動材料試験機1へ送信する信号は、試験片供給装置10の制御信号、チャック38、39の図示しないシリンダ装置の制御信号や、図示しないネジ棒のモータの制御信号、回収装置51、61の制御信号、その他の制御や試験に要する適宜の信号である。
【0041】
制御装置100はコンピュータを備え、このコンピュータは、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro-Processing Unit)などのプロセッサと、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などのメモリデバイスと、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などのストレージ装置と、制御装置100や各種の周辺機器などを接続するためのインターフェース回路と、を備える。そして、プロセッサがメモリデバイス又はストレージ装置に記憶されたコンピュータプログラムを実行することで、自動材料試験機1の各種の機能を実現する。
【0042】
図5は、測寸装置70の測寸開始前の状態を示す模式図である。
図5は、測厚部材82が待機位置P0に移動し、ブラケット92が離間位置Q0に移動した状態を示す。
図6は、測寸装置70の動作を示す模式図であり、ゼロ点検出動作を示す図である。
図6は、測厚部材82と測定子94との間に試験片Tが無い状態で、測厚部材82が測寸位置P1に移動し、ブラケット92が接近位置Q1に移動した状態を示す。
図7は、測寸装置70の動作を示す模式図であり、試験片Tの測寸動作を示す図である。
図7は、測厚部材82と測定子94との間に試験片Tが有る状態で、測厚部材82が測寸位置P1に移動し、ブラケット92が接近位置Q1に移動した状態を示す。
【0043】
本実施形態の制御装置100は、自動材料試験機1が試験を開始する場合に、測寸装置70のゼロ点検出動作を実施する。すなわち、制御装置100は、下側昇降シリンダ81を制御して測厚部材82を待機位置P0(
図5参照)から測寸位置P1(
図6参照)に移動させる。また、制御装置100は、上側昇降シリンダ91を制御して、ブラケット92を離間位置Q0(
図5参照)から接近位置Q1(
図6参照)に移動させて、測定子94を測厚部材82に当接させる。この状態で、制御装置100は、非接触式センサ95の検出信号を取得し、基準面としての当接部82Bに測定子94が接触した場合の距離λをゼロ点λ0として検出する。そして、制御装置100は、下側昇降シリンダ81を制御して測厚部材82を測寸位置P1から待機位置P0に移動させる。また、制御装置100は、上側昇降シリンダ91を制御してブラケット92を接近位置Q1から離間位置Q0に移動させる。
【0044】
制御装置100は、ゼロ点検出動作が終了すると、試験の制御を実行する。すなわち、制御装置100は、収納供給部12を制御して収納供給部12からパレット11を搬送台13に供給させる。制御装置100は、図示しないモータで引き出し用の部材を制御して、パレット11を収納供給部12から引き出し、
図4に示すように、試験片Tの幅中心(前後中心)Lt(
図2参照)が測寸装置70の測寸の位置、すなわち、測厚部材82と測定子94の中心線Laに一致するようにパレット11を移動させる。制御装置100は、パレット11上の試験片Tが測寸の位置に移動すると、測寸装置70を制御して、試験片Tの厚みWを測寸する。
【0045】
具体的には、制御装置100は、下側昇降シリンダ81を制御して測厚部材82を待機位置P0(
図5参照)から測寸位置P1(
図7参照)に移動させ、測厚部材82を試験片Tの下面T1に当接させる。また、制御装置100は、上側昇降シリンダ91を制御してブラケット92を離間位置Q0(
図5参照)から接近位置Q1(
図7参照)に移動させて、測定子94を試験片Tの上面T2に当接させる。この状態で、制御装置100は、非接触式センサ95の検出信号を取得し、試験片Tの上面T2に測定子94が接触した場合の距離λを検出値λ1として検出する。制御装置100は、ゼロ点λ0と検出値λ1との大きさの差分を演算することにより、当接部82Bと当接部94Bとの間の上下方向の長さ、すなわち、試験片Tの厚みW(=λ0-λ1)を算出する。そして、制御装置100は、下側昇降シリンダ81を制御して測厚部材82を測寸位置P1から待機位置P0に移動させる。また、制御装置100は、上側昇降シリンダ91を制御してブラケット92を接近位置Q1から離間位置Q0に移動させる。これにより、一片の試験片Tの測寸が終了する。
【0046】
制御装置100は、試験片Tの測寸が終了すると、引き出し用の部材によりパレット11を移動させて、次の試験片Tを測寸する位置に移動させて同様に試験片Tの厚みWを測寸する。また、制御装置100は、測寸された試験片Tを搬送装置20に対向する所定の被取出位置(搬送装置20で吸着する位置)に移動させて、搬送装置20を制御して、試験片Tを、上チャック38と、下チャック39とにセットする。そして、制御装置100は、試験装置30を制御して試験片Tの試験を行い、その後、試験片回収装置50を制御して試験片Tを回収する。試験力は、試験片の厚みWなどに基づいて演算されて処理される。
制御装置100は、各試験片Tに対して、上述の一連の試験の工程を繰り返す。
【0047】
本実施形態の測寸装置70では、非接触式センサ95は、直接、試験片Tを検出するのではなく、測定子94を介して検出する構成である。また、測定子94は、測定子94を上下方向に移動させるブラケット92に対してブッシュ93を介して上下方向に移動自在に支持されている。
よって、測定子94はブッシュ93を介してブラケット92に保持されるため、ブラケット92が相対的に移動してもブラケット92から摩擦力を受け難くなっている。このため、ブラケット92を下方に移動させる上側昇降シリンダ91からの力が、測定子94には作用し難く、測定子94を介して試験片Tに押し当て力が作用し難くなっている。このため、測定子94の自重のみが試験片Tに作用し易くなっており、測定子94を軽くすることで、試験片Tが凹むことを容易に回避し易くなっている。測定子94は、試験片Tの厚みWに基づいた位置に留まるため、例えば、スポンジなどの柔らかい試験片Tであっても、測定子94の位置に基づいて試験片Tの厚みWを精度よく検出することが可能となる。
【0048】
また、ブラケット92と測定子94とが鉛直方向に摺動する構成であるため、ブラケット92を上昇させることで、測定子94は自重でブラケット92に対して相対的に移動し抜け止め部94Cがブラケット92に接触して吊り下がった所定の位置に戻すことができる。よって、ブラケット92に対する測定子94の移動する構成を簡素化することができる。
【0049】
本実施形態によれば、次のような効果を奏する。
【0050】
本実施形態の測寸装置70は、試験片Tを測寸する測寸装置70であって、試験片Tの測寸方向の下面T1に接触する測厚部材82と、試験片Tの測寸方向の上面T2に接触する測定子94と、測定子94を測寸方向に移動自在に保持するブラケット92と、測定子94の測寸方向の位置を検出する非接触式センサ95と、を備え、ブラケット92は、測寸方向に沿って移動可能に支持され、試験片Tを測寸する場合に、試験片Tに接近する接近位置Q1に移動することにより測定子94を試験片Tに接触させ、非接触式センサ95は、測厚部材82と測定子94とが試験片Tに接触する場合に測定子94の測寸方向の位置を検出する。
【0051】
したがって、試験片Tに接触する測定子94の測寸方向の位置を検出することで、試験片Tの測寸方向の厚みWを測寸できる。このとき、測定子94はブラケット92に対して測寸方向に移動自在であるため、ブラケット92を接近位置Q1に移動させて測定子94を試験片Tに接触させる際に、試験片Tに不要な負荷がかかることを抑制しながら、測定子94を試験片Tに接触させることができる。よって、柔らかい試験片Tを精度良く測寸できる。また、測定子94を介すので、試験片Tに光沢等があっても非接触式センサ95の検出結果に基づいて精度良く測寸できる。したがって、様々な材料の試験片Tを適切に測寸することができる。
【0052】
本実施形態では、測定子94は、測寸方向に延びる軸部94Aを有し、ブラケット92には、ブッシュ93が支持され、ブッシュ93には、軸部94Aが測寸方向に摺動可能に保持される。
【0053】
したがって、測定子94を測寸方向に移動自在に支持させる際に、軸線方向に傾斜することを抑制することができる。
【0054】
また、本実施形態では、ブラケット92は、鉛直方向に移動可能に支持されることにより測寸方向に沿って移動可能に支持され、測定子94は、ブラケット92に鉛直方向に移動自在に支持されている。
【0055】
したがって、試験片Tが測寸される方向が鉛直方向であるため、測定子94が試験片Tに接触する場合に、試験片Tには測定子94の重量のみがかかり易い構成である。よって、測定子94の重量を調節することにより、試験片Tに付与される負荷を調節することができる。
【0056】
また、本実施形態では、測厚部材82を測寸方向に沿って移動させる下側昇降シリンダ81と、ブラケット92を測寸方向に沿って移動させる上側昇降シリンダ91と、下側昇降シリンダ81および上側昇降シリンダ91を制御する制御装置100と、を備え、測定子94は、測厚部材82に対向する位置で移動可能に保持され、制御装置100は、試験片Tを測寸する場合に、下側昇降シリンダ81を制御して測厚部材82を試験片Tの測寸をする測寸位置P1に移動させると共に、上側昇降シリンダ91を制御してブラケット92を接近位置Q1に移動させて測定子94を試験片Tに接触させる。
したがって、測厚部材82と測定子94とで試験片Tを挟んで測寸でき、試験片Tに反りがあっても試験片Tを測寸できる。
【0057】
また、本実施形態では、制御装置100は、試験片Tを測寸する場合に、測厚部材82と測定子94との間に試験片Tが無い状態で、測厚部材82を測寸位置P1に移動させると共に、ブラケット92を接近位置Q1に移動させて測定子94を測厚部材82に接触させる。
【0058】
したがって、測定子94が測厚部材82に接触する場合の測定子94の位置を基準にして測定子94の位置を検出することができ、試験片Tを精度良く測寸できる。
【0059】
本実施形態の自動材料試験機1は、試験片Tを測寸する測寸装置70と、測寸された試験片Tに試験荷重を付与する試験装置30と、を備えた自動材料試験機1であって、測寸装置70は、試験片Tの測寸方向の下面T1に接触する測厚部材82と、試験片Tの測寸方向の上面T2に接触する測定子94と、測定子94を測寸方向に移動自在に保持するブラケット92と、測定子94の測寸方向の位置を検出する非接触式センサ95と、を備え、ブラケット92は、測寸方向に沿って移動可能に支持され、試験片Tを測寸する場合に、試験片Tに接近する接近位置Q1に移動することにより測定子94を試験片Tに接触させ、非接触式センサ95は、測厚部材82と測定子94とが試験片Tに接触する場合に測定子94の測寸方向の位置を検出する。
【0060】
したがって、試験片Tに接触する測定子94の測寸方向の位置を検出することで、試験片Tの測寸方向の厚みWを測寸できる。このとき、測定子94はブラケット92に対して測寸方向に移動自在であるため、ブラケット92を接近位置Q1に移動させて測定子94を試験片Tに接触させる際に、試験片Tに不要な負荷がかかることを抑制しながら、測定子94を試験片Tに接触させることができる。よって、柔らかい試験片Tを精度良く測寸できる。また、測定子94を介すので、試験片Tに光沢等があっても非接触式センサ95の検出結果に基づいて精度良く測寸できる。したがって、様々な材料の試験片Tを適切に測寸することができる。
【0061】
[2.変形例]
上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を例示するものであって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に変形、および応用が可能である。
【0062】
上述した実施形態において、非接触式センサ95は、測定子94に対して上方(測寸方向の第二側)に配置されて測定子94までの距離λを検出する反射型のセンサの構成を説明したが、例えば、測定子94の移動方向に直交する幅方向に配置されて測定子94の位置を検出する透過型の非接触式センサでもよい。
【0063】
上述した実施形態において、試験開始起動時に、ゼロ点λ0を検出する構成を説明したが、例えば、パレット11毎にゼロ点λ0を検出する構成でもよい。また、試験片T毎にゼロ点λ0を検出する構成にしてもよい。
【0064】
上述した実施形態では、移動機構の一例としての昇降シリンダ81、91として、エアシリンダによる構成を説明したが、油圧シリンダや、電動アクチュエータによるシリンダでもよい。
【0065】
上述した実施形態では、当接部材として移動可能な測厚部材82があることが望ましい。しかし、測厚部材82が省略された構成でもよい。すなわち、測厚部材82に代えて、パレット11が試験片Tの下面T1に当接する当接部材に対応してもよい。
【0066】
上述した実施形態では、測厚部材82と測定子94とがそれぞれ一つずつ設けられた構成を説明したが、試験片Tの複数の部分の厚みWを測寸する場合には、測寸する部分に応じて、測厚部材82と測定子94とをそれぞれ設けてもよい。また、例えば、スライド駆動機構を設け、一対の測厚部材82と測定子94とを試験片Tの測寸する部分にスライドさせて試験片Tを測寸してもよい。
【0067】
上述した実施形態では、昇降シリンダ81、91により、測厚部材82および測定子94が試験片Tの鉛直方向の厚みWを測定する構成を説明したが、例えば、鉛直方向に移動する移動機構に代えて、水平方向に移動する移動機構にして、水平方向の長さで試験片の厚みWを測定してもよい。すなわち、試験片Tが起立した状態で厚みWが測寸される構成でもよい。
【0068】
上述した例示的な実施形態、及び変形例は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0069】
(第1項)
一態様に係る測寸装置は、試験片を測寸する測寸装置であって、試験片の測寸方向の第一の面に接触する当接部材と、試験片の前記測寸方向の第二の面に接触する測定子と、前記測定子を前記測寸方向に移動自在に保持するブラケットと、前記測定子の前記測寸方向の位置を検出する非接触式センサと、を備え、前記ブラケットは、前記測寸方向に沿って移動可能に支持され、試験片を測寸する場合に、試験片に接近する接近位置に移動することにより前記測定子を試験片に接触させ、前記非接触式センサは、前記当接部材と前記測定子とが前記試験片に接触する場合に前記測定子の前記測寸方向の位置を検出してもよい。
【0070】
第1項に記載の測寸装置によれば、試験片に接触する測定子の測寸方向の位置を検出することで、試験片の測寸方向の長さを測寸できる。このとき、測定子はブラケットに対して測寸方向に移動自在であるため、ブラケットを接近位置に移動させて測定子を試験片に接触させる際に、試験片に不要な負荷がかかることを抑制しながら、測定子を試験片に接触させることができる。よって、柔らかい試験片を精度良く測寸できる。また、測定子を介すので、試験片に光沢等があっても非接触式センサの検出結果に基づいて精度良く測寸できる。したがって、様々な材料の試験片を適切に測寸することができる。
【0071】
(第2項)
第1項に記載の測寸装置において、前記測定子は、前記測寸方向に延びる軸部を有し、前記ブラケットには、軸受けが支持され、前記軸受けには、前記軸部が前記測寸方向に摺動可能に保持されてもよい。
【0072】
第2項に記載の測寸装置によれば、測定子を測寸方向に移動自在に支持させる際に、軸線方向に傾斜することを抑制することができる。
【0073】
(第3項)
第1項又は第2項に記載の測寸装置において、前記ブラケットは、鉛直方向に移動可能に支持されることにより前記測寸方向に沿って移動可能に支持され、前記測定子は、前記ブラケットに鉛直方向に移動自在に支持されていてもよい。
【0074】
第3項に記載の測寸装置によれば、試験片が測寸される方向が鉛直方向であるため、測定子が試験片に接触する場合に、試験片には測定子の重量のみがかかり易い構成である。よって、測定子の重量を調節することにより、試験片に付与される負荷を調節することができる。
【0075】
(第4項)
第1項乃至第3項のいずれか一項に記載の測寸装置において、前記当接部材を前記測寸方向に沿って移動させる第一の移動機構と、前記ブラケットを前記測寸方向に沿って移動させる第二の移動機構と、前記第一の移動機構および前記第二の移動機構を制御する制御装置と、を備え、前記測定子は、前記当接部材に対向する位置で移動可能に保持され、前記制御装置は、試験片を測寸する場合に、前記第一の移動機構を制御して前記当接部材を試験片の測寸をする測寸位置に移動させると共に、前記第二の移動機構を制御して前記ブラケットを前記接近位置に移動させて前記測定子を試験片に接触させてもよい。
【0076】
第4項に記載の測寸装置によれば、当接部材と測定子とで試験片を挟んで測寸でき、試験片に反りがあっても試験片を測寸できる。
【0077】
(第5項)
第4項に記載の測寸装置において、前記制御装置は、試験片を測寸する場合に、前記当接部材と前記測定子との間に試験片が無い状態で、前記当接部材を前記測寸位置に移動させると共に、前記ブラケットを前記接近位置に移動させて前記測定子を前記当接部材に接触させてもよい。
【0078】
第5項に記載の測寸装置によれば、測定子が当接部材に接触する場合の測定子の位置を基準にして測定子の位置を検出することができ、試験片を精度良く測寸できる。
【0079】
(第6項)
一態様に係る試験機は、試験片を測寸する測寸装置と、測寸された試験片に試験荷重を付与する試験装置と、を備えた試験機であって、前記測寸装置は、試験片の測寸方向の第一の面に接触する当接部材と、試験片の前記測寸方向の第二の面に接触する測定子と、前記測定子を前記測寸方向に移動自在に保持するブラケットと、前記測定子の前記測寸方向の位置を検出する非接触式センサと、を備え、前記ブラケットは、前記測寸方向に沿って移動可能に支持され、試験片を測寸する場合に、試験片に接近する接近位置に移動することにより前記測定子を試験片に接触させ、前記非接触式センサは、前記当接部材と前記測定子とが前記試験片に接触する場合に前記測定子の前記測寸方向の位置を検出してもよい。
【0080】
第6項に記載の試験機によれば、試験片に接触する測定子の測寸方向の位置を検出することで、試験片の測寸方向の長さを測寸できる。このとき、測定子はブラケットに対して測寸方向に移動自在であるため、ブラケットを接近位置に移動させて測定子を試験片に接触させる際に、試験片に不要な負荷がかかることを抑制しながら、測定子を試験片に接触させることができる。よって、柔らかい試験片を精度良く測寸できる。また、測定子を介すので、試験片に光沢等があっても非接触式センサの検出結果に基づいて精度良く測寸できる。したがって、様々な材料の試験片を適切に測寸することができる。
【符号の説明】
【0081】
1 自動材料試験機(試験機)
11 パレット(当接部材)
30 試験装置
70 測寸装置
81 下側昇降シリンダ(第一の移動機構)
82 測厚部材(当接部材)
91 上側昇降シリンダ(第二の移動機構)
92 ブラケット
93 ブッシュ(軸受け)
94 測定子
94A 軸部
95 非接触式センサ
100 制御装置
P1 測寸位置
Q1 接近位置
T 試験片
T1 下面(第一の面)
T2 上面(第二の面)
W 厚み(長さ)