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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】光源装置およびプロジェクター
(51)【国際特許分類】
   G03B 21/14 20060101AFI20241001BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20241001BHJP
   H04N 5/74 20060101ALI20241001BHJP
   F21V 9/35 20180101ALI20241001BHJP
   F21V 7/28 20180101ALI20241001BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20241001BHJP
【FI】
G03B21/14 A
G03B21/00 D
H04N5/74 Z
F21V9/35
F21V7/28 240
F21Y115:30
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2021035312
(22)【出願日】2021-03-05
(65)【公開番号】P2022135481
(43)【公開日】2022-09-15
【審査請求日】2023-12-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(74)【代理人】
【識別番号】100196058
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 彰雄
(72)【発明者】
【氏名】秋山 光一
【審査官】小野 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-132594(JP,A)
【文献】特開2015-216383(JP,A)
【文献】特開2008-026853(JP,A)
【文献】特開2020-024318(JP,A)
【文献】特開2019-133080(JP,A)
【文献】特開2013-050655(JP,A)
【文献】国際公開第2018/186233(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 21/00-21/10
21/12-21/30
21/56-21/64
33/00-33/16
H04N 5/66-5/74
F21V 9/35
F21V 7/28
F21Y 115/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1波長帯の第1光を射出する光源と、
前記第1光が入射され、前記第1光の一部を透過し、前記第1光の他の一部を反射する第1光学素子と、
前記第1光の一部および前記第1光の他の一部のいずれか一方が入射され、前記第1波長帯とは異なる第2光を射出する波長変換素子と、
前記第1光の一部および前記第1光の他の一部のいずれか他方が入射され、前記第1光を拡散する拡散素子と、
前記波長変換素子から射出される前記第2光と、前記拡散素子から射出される前記第1光とを合成する第2光学素子と、を備え、
前記波長変換素子は、
光入射面を有し、前記光入射面に入射した前記第1光を波長変換して前記第2光を生成する波長変換層と、
前記波長変換層を支持する支持面を有する基板と、
前記第1光を透過し、前記第2光を反射する第1光学層を有し、前記第1光学層が前記支持面に対向するように配置される第1光学部材と、
記第2光を反射させる第2光学層を有し、前記第2光学層が前記支持面と前記第1光学層とに交差するように配置される第2光学部材と、
記第2光を反射させる第3光学層を有し、前記第3光学層が前記支持面と前記第1光学層とに交差し、前記第2光学層に対向するように配置される第3光学部材と、
前記基板、前記第1光学部材、前記第2光学部材および前記第3光学部材により形成される開口部と、を有し、
前記波長変換層の前記光入射面の第1面積は、前記光入射面において前記第1光が入射される光入射領域の第2面積よりも大きく、
前記光入射領域の前記第2面積は、前記開口部の第3面積より大きく、
前記第2光は、前記開口部から射出される
光源装置。
【請求項2】
前記第1光学素子は、記第1光の透過光量および前記第1光の反射光量の比率を可変可能である
請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記第1光学素子は、前記比率がそれぞれ異なる複数の光学部材を有し、
前記複数の光学部材は、前記光源から射出される前記第1光の光路に対して入れ替え可能である
請求項2に記載の光源装置。
【請求項4】
前記第1光学素子は、前記比率がそれぞれ異なる複数の光入射領域を含む光学基板と、駆動部と、を有し、
前記光学基板は、前記光源から射出される前記第1光が、前記複数の光入射領域の少なくとも1つに入射するように設けられ、
前記駆動部は、前記光学基板を回動させて、前記複数の光入射領域を切り替え可能である
請求項2に記載の光源装置。
【請求項5】
前記第1光学素子は、透光性基板と、前記透光性基板に設けられた誘電体多層膜と、を含む
請求項1から請求項4のうちのいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項6】
前記第2光学素子は、前記第2光を透過し、前記第1光を反射するダイクロイックミラー、または、前記第2光を反射し、前記第1光を透過するダイクロイックミラーを含む
請求項1から請求項5のうちのいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項7】
前記第1光学素子は、前記光源から入射する前記第1光を、前記光源、前記第1光学素子および前記第2光学素子が配置される仮想平面に沿う第1方向と、前記第1方向に直交し、前記仮想平面に沿う第2方向とに分岐し、
前記拡散素子は、前記第1光学素子から前記第2方向に分岐された前記第1光を前記第1方向に反射し、
前記波長変換素子は、前記第1光学素子から前記第1方向に分岐された前記第1光を前記第2光に変換して、前記第2光を前記第2方向に射出する
請求項1から請求項6のうちのいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項8】
前記第2光学素子は、前記拡散素子から前記第1方向に射出されて入射する前記第1光の一部を前記第2方向に反射するとともに、前記波長変換素子から前記第2方向に射出されて入射する前記第2光を前記第2方向に透過して合成する
請求項7に記載の光源装置。
【請求項9】
前記第1光学素子は、前記光源から入射する前記1光を、前記光源、前記第1光学素子および前記第2光学素子が配置される仮想平面に沿う第1方向と、前記第1方向に直交し、前記仮想平面に沿う第2方向とに分岐し、
前記拡散素子は、前記第1光学素子から前記第1方向に分岐された前記第1光を前記第2方向に反射し、
前記波長変換素子は、前記第1光学素子から前記第2方向に分岐された前記第1光を前記第2光に変換して、前記第2光を前記第1方向に射出する
請求項1から請求項6のうちのいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項10】
前記第2光学素子は、前記拡散素子から前記第2方向に射出されて入射する前記第1光の一部を前記第2方向に透過するとともに、前記波長変換素子から前記第1方向に射出されて入射する前記第2光を前記第2方向に反射して合成する
請求項9に記載の光源装置。
【請求項11】
前記第1光を反射するミラーをさらに備え、
前記第1光学素子は、前記光源から入射する前記1光を、前記光源、前記第1光学素子および前記第2光学素子が配置される仮想平面に沿う第1方向と、前記第1方向に直交し、前記仮想平面に沿う第2方向とに分岐し、
前記ミラーは、前記第1光学素子から前記第2方向に分岐された前記第1光を前記第1方向に反射
前記拡散素子は、前記ミラーから前記第1方向に反射されて入射する前記第1光を前記第1方向に透過し、
前記波長変換素子は、前記第1光学素子から前記第1方向に分岐された前記第1光を前記第2光に変換して、前記第2光を前記第2方向に射出する
請求項1から請求項6のうちのいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項12】
前記第2光素子は、前記拡散素子から前記第1方向に射出されて入射する前記第1光の一部を前記第2方向に反射するとともに、前記波長変換素子から前記第2方向に射出されて入射する前記第2光を前記第2方向に透過して合成する
請求項11に記載の光源装置。
【請求項13】
前記第1光を反射するミラーをさらに備え、
前記第1光学素子は、前記光源から入射する前記1光を、前記光源、前記第1光学素子および前記第2光学素子が配置される仮想平面に沿う第1方向と、前記第1方向に直交し、前記仮想平面に沿う第2方向とに分岐し、
前記ミラーは、前記第1光学素子から前記第1方向に分岐された前記第1光を前記第2方向に反射
前記拡散素子は、前記ミラーから前記第2方向に反射された前記第1光を前記第2方向に透過し、
前記波長変換素子は、前記第1光学素子から前記第2方向に分岐された前記第1光を前記第2光に変換して、前記第2光を前記第1方向に射出する
請求項1から請求項6のうちのいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項14】
前記第2光素子は、前記拡散素子から前記第2方向に射出されて入射する前記第1光の一部を前記第2方向に透過するとともに、前記波長変換素子から前記第1方向に射出されて入射する前記第2光を前記第方向に反射して合成する
請求項13に記載の光源装置。
【請求項15】
前記波長変換素子から射出され、前記第2光学素子を経由した前記第1光を反射する反射素子をさらに備える
請求項1から請求項14のうちのいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項16】
前記波長変換層は、光を散乱させる散乱体を含む
請求項1から請求項15のうちのいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項17】
前記第1光学層に沿う平面と前記波長変換層の前記光入射面に沿う平面とのなす角度は、10°以上40°以下である
請求項1から請求項16のうちのいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項18】
前記第2光学層は、前記第1光および前記第2光を反射し、
前記第3光学層は、前記第1光および前記第2光を反射する
請求項1から請求項17のうちのいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項19】
前記基板は、前記支持面と前記波長変換層との間に設けられる第4光学層を有する
請求項1から請求項18のうちのいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項20】
前記第4光学層は、前記支持面における前記波長変換層の周囲の少なくとも一部に設けられている
請求項19に記載の光源装置。
【請求項21】
前記第1光学部材は、前記波長変換層と接触しないように配置される
請求項1から請求項20のうちのいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項22】
前記波長変換層は、前記開口部の内側に設けられた収容空間に収容され、
前記収容空間に空気層が設けられている
請求項1から請求項21のうちのいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項23】
請求項1から請求項22のうちのいずれか一項に記載の光源装置と、
前記光源装置からの光を画像情報に応じて変調する光変調装置と、
前記光変調装置により変調された光を投射する投射光学装置と、を備える
プロジェクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源装置およびプロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
プロジェクターに用いる光源装置として、エテンデューを小さくすることで、液晶パネル等の被照明物を高輝度で照明する光源装置がある(例えば、下記特許文献1、2参照)。近年、プロジェクターに用いる光源装置として、蛍光体を励起することで生成した蛍光を照明光として用いる光源装置もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-026853号公報
【文献】特開2008-112114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に蛍光体上における励起光の入射面積を小さくすることで、蛍光のエテンデューを小さくできる。しかしながら、励起光の入射面積を小さくすると励起光の光密度が高くなることで、蛍光変換効率が低下してしまうという問題があった。
このように従来において、励起光の光密度の増加を抑制しつつ、エテンデューを小さくすることは難しかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明の1つの態様によれば、第1波長帯の光を射出する光源と、前記第1波長帯の光が入射され、前記第1波長帯の光の一部を透過し、前記第1波長帯の光の他の一部を反射する第1光学素子と、前記第1波長帯の光の一部および前記第1波長帯の光の他の一部のいずれか一方が入射され、前記第1波長帯の光を波長変換して、前記第1波長帯とは異なる第2波長帯の光を少なくとも射出する波長変換素子と、前記第1波長帯の光の一部および前記第1波長帯の光の他の一部のいずれか他方が入射され、前記第1波長帯の光を拡散する拡散素子と、前記波長変換素子から射出される前記第2波長帯の光と、前記拡散素子から射出される前記第1波長帯の光とを合成する第2光学素子と、を備え、前記波長変換素子は、光入射面を有し、前記光入射面に入射した前記第1波長帯の光を波長変換して前記第2波長帯の光を生成する波長変換層と、前記波長変換層を支持する支持面を有する基板と、前記第1波長帯の光を透過し、前記第2波長帯の光を反射する第1光学層を有し、前記第1光学層が前記支持面に対向するように配置される第1光学部材と、少なくとも前記第2波長帯の光を反射させる第2光学層を有し、前記第2光学層が前記支持面と前記第1光学層とに交差するように配置される第2光学部材と、少なくとも前記第2波長帯の光を反射させる第3光学層を有し、前記第3光学層が前記支持面と前記第1光学層とに交差し、前記第2光学層に対向するように配置される第3光学部材と、前記基板、前記第1光学部材、前記第2光学部材および前記第3光学部材により形成される開口部と、を有し、前記波長変換層の前記光入射面の面積は、前記光入射面において前記第1波長帯の光が入射される光入射領域の面積よりも大きく、前記光入射面領域の面積は、前記開口部の面積より大きく、前記第2波長帯の光は、前記開口部から射出される光源装置が提供される。
【0006】
本発明の第2態様によれば、本発明の第1態様の光源装置と、前記光源装置からの光を画像情報に応じて変調する光変調装置と、前記光変調装置により変調された光を投射する投射光学装置と、を備えるプロジェクターが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態に係るプロジェクターの概略構成を示す図である。
図2】光源装置の概略構成図である。
図3】波長変換素子の概略構成を示す斜視図である。
図4】波長変換素子を+Y側から視た正面図である。
図5】波長変換素子の断面図である。
図6】第2実施形態の光源装置の概略構成図である。
図7】第3実施形態の光源装置の概略構成図である。
図8】第4実施形態の光源装置の概略構成図である。
図9】第5実施形態の光源装置の概略構成図である。
図10】第1変形例に係る第1光学素子の構成を示す断面図である。
図11A】第2変形例に係る第1光学素子の構成を示す断面図である。
図11B】第2変形例に係る第1光学素子の構成を示す平面図である。
図12】第3変形例に係る第1光学素子の構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0009】
(第1実施形態)
本実施形態に係るプロジェクターの一例について説明する。
図1は、本実施形態に係るプロジェクターの概略構成を示す図である。
図1に示すように、本実施形態のプロジェクター1は、スクリーンSCR上にカラー映像を表示する投射型画像表示装置である。プロジェクター1は、色分離光学系3と、光変調装置4R,光変調装置4G,光変調装置4Bと、合成光学系5と、投射光学装置6と、光源装置2と、を備えている。
【0010】
色分離光学系3は、光源装置2からの白色の照明光WLを赤色光LRと、緑色光LGと、青色光LBとに分離する。色分離光学系3は、第1のダイクロイックミラー7aおよび第2のダイクロイックミラー7bと、第1の全反射ミラー8a、第2の全反射ミラー8bおよび第3の全反射ミラー8cと、第1のリレーレンズ9aおよび第2のリレーレンズ9bとを備えている。
【0011】
第1のダイクロイックミラー7aは、光源装置2からの照明光WLを赤色光LRと、その他の光である緑色光LGおよび青色光LBと、に分離する。第1のダイクロイックミラー7aは、分離された赤色光LRを透過するとともに、その他の光を反射する。第2のダイクロイックミラー7bは、緑色光LGを反射するとともに青色光LBを透過させる。
【0012】
第1の全反射ミラー8aは、赤色光LRを光変調装置4Rに向けて反射する。第2の全反射ミラー8bおよび第3の全反射ミラー8cは、青色光LBを光変調装置4Bに導く。緑色光LGは、第2のダイクロイックミラー7bから光変調装置4Gに向けて反射される。
【0013】
第1のリレーレンズ9aは、青色光LBの光路中における第2のダイクロイックミラー7bの後段に配置されている。第2のリレーレンズ9bは、青色光LBの光路中における第2の全反射ミラー8bの後段に配置されている。
【0014】
光変調装置4Rは、赤色光LRを画像情報に応じて変調し、赤色光LRに対応した画像光を形成する。光変調装置4Gは、緑色光LGを画像情報に応じて変調し、緑色光LGに対応した画像光を形成する。光変調装置4Bは、青色光LBを画像情報に応じて変調し、青色光LBに対応した画像光を形成する。
【0015】
光変調装置4R、光変調装置4G、及び光変調装置4Bには、例えば透過型の液晶パネルが用いられている。また、液晶パネルの入射側及び射出側には、図示しない偏光板がそれぞれ配置され、特定の方向の直線偏光のみを通過させる構成となっている。
【0016】
光変調装置4R、光変調装置4G、及び光変調装置4Bの入射側には、それぞれフィールドレンズ10R、フィールドレンズ10G、フィールドレンズ10Bが配置されている。フィールドレンズ10R、フィールドレンズ10G、及びフィールドレンズ10Bは、それぞれの光変調装置4R、光変調装置4G、光変調装置4Bに入射する赤色光LR、緑色光LG、青色光LBの主光線を平行化する。
【0017】
合成光学系5は、光変調装置4R、光変調装置4G、及び光変調装置4Bから射出された画像光が入射することにより、赤色光LR,緑色光LG,青色光LBに対応した画像光を合成し、合成された画像光を投射光学装置6に向けて射出する。合成光学系5には、例えばクロスダイクロイックプリズムが用いられる。
【0018】
投射光学装置6は、複数のレンズから構成されている。投射光学装置6は、合成光学系5により合成された画像光をスクリーンSCRに向けて拡大投射する。これにより、スクリーンSCR上に画像が表示される。
【0019】
(光源装置)
図2は、光源装置2の概略構成図である。
図2を含む以下の図面内において、必要に応じてXYZ座標系を用いて光源装置2の各構成について説明する。X軸は光源22から射出される光の主光線に沿う光軸ax3と拡散素子31から射出される光の主光線に沿う光軸ax5とに平行な軸である。Y軸は光軸ax3と直交し、第1光学素子29で反射された光の主光線に沿う光軸ax4と照明光軸ax1とに平行な軸である。Z軸はX軸およびY軸にそれぞれ直交する軸である。つまり、光軸ax3と光軸ax4と光軸ax5と照明光軸ax1とは同一面内に位置し、光軸ax3および光軸ax5は照明光軸ax1と直交し、光軸ax4は照明光軸ax1に平行かつ光軸ax3および光軸ax5と直交する。すなわち、光軸ax3と光軸ax4と光軸ax5と照明光軸ax1とはXY平面に沿った仮想平面上に位置している。
【0020】
図2に示すように、光源装置2は、光源22と、第1ホモジナイザー光学系23と、第1集光光学系24と、波長変換素子25と、第1ピックアップ光学系26と、第2ホモジナイザー光学系27と、第2集光光学系28と、第1光学素子29と、第2光学素子30と、拡散素子31と、第2ピックアップ光学系32と、インテグレーター光学系35と、偏光変換素子36と、重畳レンズ37とを備え、これらの各部材はXY平面に沿った仮想平面上に配置されている。本実施形態の光源装置2は白色の照明光WLを射出する。
【0021】
光源22は、発光部201とコリメートレンズ202とを含む。発光部201は半導体レーザーから構成される。発光部201は、例えば445nmのピーク波長を有する光ビームからなる光線Eを射出する。なお、発光部201としては、445nm以外の波長の光線Eを射出する半導体レーザーを用いることもできる。例えば、発光部201は、460nmのピーク波長を有する光ビームからなる光線Eを射出してもよい。
【0022】
コリメートレンズ202は発光部201に対応して配置されている。コリメートレンズ202は発光部201から射出された光線Eを平行光に変換する。なお、発光部201およびコリメートレンズ202の個数は、特に限定されない。
このようにして光源22は青色波長帯(第1波長帯)を有する平行光束として励起光(第1波長帯の光)ELを射出する。
【0023】
本実施形態の光源装置2において、光源22の光軸ax3上に、光源22と、第1光学素子29と、第1ホモジナイザー光学系23と、第1集光光学系24と、波長変換素子25とが配置されている。
本実施形態の光源装置2において、光軸ax4上に、第1光学素子29と、第2ホモジナイザー光学系27と、第2集光光学系28と、拡散素子31とが配置されている。
本実施形態の光源装置2において、光軸ax5上に、拡散素子31と、第2ピックアップ光学系32と、第2光学素子30とが配置されている。
本実施形態の光源装置2において、照明光軸ax1上に、波長変換素子25と、第1ピックアップ光学系26と、第2光学素子30と、インテグレーター光学系35と、偏光変換素子36と、重畳レンズ37とが配置されている。
【0024】
光源22から射出された励起光ELは第1光学素子29に入射する。第1光学素子29は、光軸ax3および光軸ax4に対して45°の角度をなすように配置されている。
第1光学素子29は励起光ELの一部を透過し、励起光ELの他の一部を反射する素子である。本実施形態において、第1光学素子29は透光性基板29aとハーフミラー層29bとを含む。透光性基板29aは励起光ELに対して透光性を有する基板である。ハーフミラー層29bは、例えば、透光性基板29a上に成膜された誘電体多層膜で構成される。本実施形態のハーフミラー層29bとは、励起光ELにおける透過光量および反射光量の割合が等しい場合(50:50)の場合に限られず、励起光ELを完全に反射あるいは透過させず、少なくとも一部を透過あるいは反射し、他の一部を反射あるいは透過させる層であればよい。
【0025】
第1光学素子29で反射された励起光ELは光軸ax4に沿って進み、第2ホモジナイザー光学系27に入射する。第1光学素子29を透過した励起光ELは光軸ax3に沿って進み、第1ホモジナイザー光学系23に入射する。以下、第1光学素子29を透過してX方向(第1方向)に分離された励起光ELの一部を励起光EL1と称し、第1光学素子29で反射されてY方向(第2方向)分離された励起光ELの他の一部を青色光EL2と称す。
【0026】
青色光(第1波長帯の光の一部)EL2が入射する第2ホモジナイザー光学系27は、例えばレンズアレイ27aとレンズアレイ27bとから構成されている。レンズアレイ27aは複数の小レンズ27amを含み、レンズアレイ27bは複数の小レンズ27bmを含む。
レンズアレイ27aは青色光EL2を複数の小光線束に分離する。レンズアレイ27aの小レンズ27amは、小光線束を対応するレンズアレイ27bの小レンズ27bmに結像させる。レンズアレイ27bは、後述する第2集光光学系28とともに、レンズアレイ27aの各小レンズ27amの像を拡散素子31上に重畳させる。第2集光光学系28は第2ホモジナイザー光学系27と協働して、拡散素子31上に入射する青色光EL2の照度分布を均一化し、拡散素子31上における青色光EL2の光密度を抑制する。なお、第2集光光学系28は単数あるいは複数のレンズで構成される。
【0027】
拡散素子31は、青色光EL2を拡散させるとともに第2光学素子30に向けて射出する。拡散素子31は、拡散反射板31aと、拡散反射板31aを回転させるためのモーター31bとを含む。拡散反射板31aは、青色光EL2を第2光学素子30に向けて拡散させつつ反射する。拡散反射板31aは、波長変換素子25から射出される蛍光YLと同程度の拡散角となるように青色光EL2を拡散させるように形成することが望ましい。これにより、拡散後の青色光EL2と蛍光YLとを合成した照明光WLの色ムラを低減できる。
【0028】
モーター31bの回転軸Oは、光軸ax4,ax5と45°の角度をなすように配置されている。これにより、拡散素子31は、拡散反射板31aの光入射面を光軸ax4,ax5と45°の角度をなす面内で回転可能としている。拡散反射板31aは、回転軸Oの方向から見て、例えば円形に形成されているが、拡散反射板31aの形状は円板に限定されない。本実施形態の場合、拡散反射板31aを回転させることで拡散反射板31aの温度上昇が抑えられ、拡散素子31の信頼性を高めることができる。
【0029】
なお、本実施形態の拡散素子31は回転型の拡散素子であるが、この構成に代えて、固定型の拡散素子を用いもよい。この場合、モーター31bが不要となるので、拡散素子のコストを低減できる。
【0030】
本実施形態において、拡散素子31に入射した青色光EL2は、拡散された状態で反射される。以下、拡散素子31において拡散反射された青色光EL2を拡散青色光BLと称す。本実施形態において、拡散青色光BLの主光線は光軸ax5に一致する。
【0031】
このように拡散素子31は、第1光学素子29からY方向に分岐されて入射する青色光EL2をX方向の一方側(+X側)に拡散青色光BLとして反射する。拡散素子31から射出された拡散青色光BLは第2ピックアップ光学系32に入射する。拡散青色光BLは後述の波長変換素子25から射出される蛍光YLと同程度の光束幅まで拡がった状態で第2ピックアップ光学系32に入射する。第2ピックアップ光学系32は拡散素子31から射出される拡散青色光BLをピックアップして平行化する機能を有する。第2ピックアップ光学系32は、単数あるいは複数のレンズで構成される。
【0032】
第2ピックアップ光学系32により平行化された拡散青色光BLは、第2光学素子30に入射する。第2光学素子30は、透光性基板30aとダイクロイックミラー30bとを含む。本実施形態の透光性基板30aは少なくとも第2の波長帯の光である蛍光YLに対して透光性を有する基板である。本実施形態のダイクロイックミラー30bは、波長変換素子25から射出される第2の波長帯の光である蛍光YLを透過し、拡散素子31から射出される第1の波長帯の光である拡散青色光BLを反射する光学特性を有する。そのため、第2光学素子30は、拡散青色光BLをY方向の一方側(+Y側)に向けて反射する。
【0033】
一方、第1光学素子29を透過した励起光(第1波長帯の光の他の一部)EL1は、第1ホモジナイザー光学系23に入射する。第1ホモジナイザー光学系23は、例えばレンズアレイ23aとレンズアレイ23bとから構成されている。レンズアレイ23aは複数の小レンズ23amを含み、レンズアレイ23bは複数の小レンズ23bmを含む。
【0034】
レンズアレイ23aは励起光EL1を複数の小光線束に分離する。レンズアレイ23aの小レンズ23amは、小光線束を対応するレンズアレイ23bの小レンズ23bmに結像させる。レンズアレイ23bは、後述する第1集光光学系24とともに、レンズアレイ23aの各小レンズ23amの像を波長変換素子25の蛍光体層251上に重畳させる。第1集光光学系24は第1ホモジナイザー光学系23と協働して、波長変換素子25の蛍光体層251上に入射する励起光ELの照度分布を均一化する。なお、第1集光光学系24は単数あるいは複数のレンズで構成される。
【0035】
波長変換素子25は、光源22から+X側に向けて入射する励起光EL1で励起されることで蛍光YLを生成する蛍光体層251と、蛍光体層251を支持する基板252と、を有する。波長変換素子25は、生成した蛍光YLをY方向の一方側(+Y側)に向けて開口部260から射出させる。
【0036】
図3は波長変換素子25の概略構成を示す斜視図である。図4は波長変換素子25を+Y側から視た正面図である。図5は波長変換素子25の断面図である。なお、図5はXY平面に沿う面による断面である。
図3図5に示されるように、本実施形態の波長変換素子25は、蛍光体層(波長変換層)251と、基板252と、第4光学層253と、第1光学部材254と、第2光学部材255と、第3光学部材256と、を備える。波長変換素子25は、蛍光体層251で生成した蛍光YLを射出する開口部260を備えている。開口部260は、波長変換素子25の+Y側に設けられている。
本実施形態の開口部260は、基板252、第1光学部材254、第2光学部材255および第3光学部材256の+Y側における各端面で形成された開口である。
【0037】
蛍光体層251は、励起光ELによって励起され、黄色波長帯(第2波長帯)の蛍光(第2波長帯の光)YLを発光する蛍光体粒子を含む。蛍光体層251は、励起光ELを波長変換することによって、蛍光YLを生成する。
蛍光体層251は、表面(光入射面)2511と、側面2512と、裏面2513と、を含む板状の蛍光体である。表面2511は、励起光ELが入射される面である。側面2512は、表面2511に交差する面である。側面2512は、表面2511に直交していてもよい。裏面2513は、表面2511の反対の面である。
【0038】
蛍光体粒子としては、例えばYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)系蛍光体を用いることができる。なお、蛍光体粒子の形成材料は、1種であってもよく、2種以上の材料を用いて形成されている粒子を混合したものを蛍光体粒子として用いてもよい。蛍光体層251としては、例えば、アルミナ等の無機バインダー中に蛍光体粒子を分散させた蛍光体層、バインダーを用いずに蛍光体粒子を焼結した蛍光体層などを用いてもよい。本実施形態の蛍光体層251は複数の気孔(散乱体)Kを含んでいる。
【0039】
蛍光体層251は基板252に支持される。基板252は、蛍光体層251を支持する支持面2521を含む。支持面2521は、YZ面と平行な面である。基板252は、蛍光体層251と熱的に接続されている。基板252は、例えば、アルミや銅といった放熱性に優れた金属板である。基板252は蛍光体層251と熱的に接続されるため、蛍光体層251の熱を放出させることで蛍光体層251を冷却する。
【0040】
波長変換素子25において、蛍光体層251は収容空間Sに収容されている。収容空間Sは、基板252、第1光学部材254、第2光学部材255および第3光学部材256で囲まれた空間である。収容空間Sは、開口部260の内側に設けられている。本実施形態の場合、収容空間Sは大気中に開放されている。すなわち、収容空間Sには空気層ARが設けられている。
【0041】
第4光学層253は、基板252と蛍光体層251との間に設けられる。第4光学層253の面積は、蛍光体層251の裏面2513の面積よりも大きい。本実施形態の場合、第4光学層253は、収容空間S内に位置する支持面2521上に設けられている。すなわち、第4光学層253は、基板252の支持面2521における蛍光体層251の周囲に設けられている。蛍光体層251は第4光学層253を介して基板252の支持面2521に接合されている。第4光学層253は、例えば、金属層や誘電体層で構成される。なお、第4光学層253は、支持面2521の全域、すなわち、収容空間Sよりも外側まで設けられていてもよい。また、第4光学層253の一部が蛍光体層251の裏面2513に直接形成されていてもよい。
【0042】
第1光学部材254は、基板252の支持面2521に対向するように配置されている。すなわち、第1光学部材254は、蛍光体層251の表面2511に対向するように配置されている。第1光学部材254は、蛍光体層251と接触しないように配置される。
【0043】
第1光学部材254は、蛍光体層251の表面2511に対して傾けられた状態で配置される。第1光学部材254における蛍光体層251の表面2511に対してなす角度は鋭角に設定される。
【0044】
第1光学部材254は、透光性基板2541と、第1光学層2542と、を含む。透光性基板2541は、例えば、ガラスで構成されている。第1光学層2542は、透光性基板2541の内面、すなわち、蛍光体層251に対向する面に設けられている。第1光学層2542は、励起光ELを透過し、蛍光YLを反射する特性を有する。第1光学層2542は、基板252の支持面2521に対向している。
これにより、第1光学部材254は、光源22から射出された励起光ELを透過させつつ、蛍光体層251で生成された蛍光YLを反射することができる。
【0045】
第2光学部材255は、基材2551と、第2光学層2552と、を含む。基材2551の形成材料としては、例えばガラスが用いられる。第2光学層2552は、基材2551の内面に形成される。第2光学層2552は、例えば、金属層や誘電体層で構成される。
【0046】
第2光学部材255は、基板252の支持面2521と第1光学部材254とに交差するように配置されている。第2光学部材255は、第2光学層2552が支持面2521と第1光学層2542とに交差するように配置されている。第2光学部材255は、基板252の支持面2521と第1光学部材254とに直交していてもよい。第2光学層2552は、支持面2521と第1光学層2542とに直交していてもよい。第2光学部材255は、その厚さ方向をZ軸方向に一致させるように配置されている。第2光学部材255は、蛍光体層251の+Z側の近傍に配置されている。そのため、蛍光体層251から+Z側に向かって射出された蛍光YLの一部は第2光学部材255により反射される。
なお、例えば、何等かの理由によって励起光ELが第2光学部材255に入射した場合でも、第2光学部材255は励起光ELを反射して蛍光体層251に入射させる。
【0047】
第2光学部材255は台形板状である。
図3に示したように、第2光学部材255は、台形状の上底部をなす第1端面55aと、台形状の下底部をなす第2端面55bと、第1端面55aおよび第2端面55bを+X側で接続する第3端面55cと、第1端面55aおよび第2端面55bを-X側で接続する第4端面55dと、を含む。なお、第1端面55a、第2端面55b、第3端面55cおよび第4端面55dはいずれも平坦面である。第3端面55cは、基板252に対向する面である。第4端面55dは、基材2551において第3端面55cと反対側の面である。第1光学部材254は、第4端面55dに当接している。第1光学部材254は、第4端面55dに載置されている。第1光学層2542は、第4端面55dに当接している。透光性基板2541は、第1光学層2542を介して第4端面55dに載置されている。
【0048】
ここで、基材2551の材料としてガラスを用いる場合、先鋭部分を除去することで欠けを防止する面取り加工が必要となる。本実施形態では、第2光学部材255を台形板状とすることで面取り加工を不要とすることで、基材2551の加工性を向上させている。
【0049】
本実施形態の場合、第2光学部材255の一部が基板252に埋め込まれている。よって、第2光学部材255は基板252に強固に支持される。
第2光学部材255における+X側の端部の一部は基板252の支持面2521に形成された溝2524に嵌め込まれている。なお、第2光学部材255と溝2524との隙間に接着剤を充填してもよい。
【0050】
具体的に第2光学部材255は、第1端面55aおよび第3端面55cの全体と第2端面55bの一部とが溝2524に嵌め込まれている。第4端面55dのうち最も-Y側に位置し、Z方向に沿う端辺55d1は、基板252の支持面2521と面一とされている。これにより、第4端面55dと基板252の支持面2521とが滑らかに接続されている。また、+Y側において、第2端面55bは基板252の端面52と面一となっている。
【0051】
第3光学部材256は、第2光学部材255と同様の構成を有する。
すなわち、第3光学部材256は、基材2561と、第3光学層2562と、を含む。第3光学層2562は、基材2561の内面に形成される。第3光学層2562は、例えば、金属層や誘電体層で構成される。
【0052】
第3光学部材256は、基板252の支持面2521と第1光学部材254とに交差し、第2光学部材255と対向するように配置されている。第3光学部材256は、第3光学層2562が支持面2521と第1光学層2542とに交差し、第2光学層2552に対向するように配置されている。第3光学部材256は、基板252の支持面2521と第1光学部材254とに直交していてもよい。第3光学層2562は、支持面2521と第1光学層2542とに直交していてもよい。第3光学部材256は、その厚さ方向をZ軸方向に一致させるように配置されている。第3光学部材256は、蛍光体層251の-Z側の近傍に配置されている。そのため、蛍光体層251から-Z側に向かって射出され、第3光学部材256に入射した蛍光YLは第3光学部材256により反射される。なお、例えば、何等かの理由によって励起光ELが第3光学部材256に入射した場合でも、第3光学部材256は励起光ELを反射して蛍光体層251に入射させる。
【0053】
第3光学部材256は第2光学部材255と同様の台形板状である。
第3光学部材256は、台形形状の上底部をなす第1端面56aと、台形形状の下底部をなす第2端面56bと、第1端面56aおよび第2端面56bを+X側で接続する第3端面56cと、第1端面56aおよび第2端面56bを-X側で接続する第4端面56dと、を含む。なお、第1端面56a、第2端面56b、第3端面56cおよび第4端面56dはいずれも平坦面である。第3端面56cは、基板252に対向する面である。第4端面56dは、基材2561において第3端面56cと反対側の面である。第1光学部材254は、第4端面56dに当接している。第1光学部材254は、第4端面56dに載置されている。第1光学層2542は、第4端面56dに当接している。透光性基板2541は、第1光学層2542を介して第4端面56dに載置されている。
【0054】
本実施形態の場合、第3光学部材256の一部が基板252に埋め込まれることで、第3光学部材256は基板252に強固に支持される。
第3光学部材256における+X側の端部の一部は基板252の支持面2521に形成された溝2524に嵌め込まれている。第3光学部材256と溝2524との隙間に接着剤を充填してもよい。
【0055】
具体的に第3光学部材256は、第1端面56aおよび第3端面56cの全体と第2端面56bの一部とが溝2524に嵌め込まれている。第4端面56dのうち最も-Y側に位置し、Z方向に沿う端辺56d1は、基板252の支持面2521と面一とされている。これにより、第4端面56dと基板252の支持面2521とが滑らかに接続されている。また、+Y側において、第2端面56bは基板252の端面52と面一となっている。
【0056】
本実施形態において、第1光学部材254は、第2光学部材255および第3光学部材256に支持される。第1光学部材254は、第2光学部材255および第3光学部材256に接着固定されている。
具体的に、第1光学部材254は、第2光学部材255の第4端面55dと第3光学部材256の第4端面56dとの間に掛け渡されるように設けられている。-Y側において、第1光学部材254の内側の端辺54aは基板252の支持面2521に接触している。
【0057】
このような構成に基づいて、本実施形態の波長変換素子25では、開口部260と反対である-Y側を、基板252、第1光学部材254、第2光学部材255および第3光学部材256によって閉塞している。よって、波長変換素子25は、蛍光YLにおける開口部260と反対側からの漏れを防止し、開口部260から蛍光YLを効率良く射出可能となっている。
【0058】
図4および図5に示したように、励起光ELは第1光学部材254を透過して蛍光体層251に入射する。励起光ELは第1集光光学系24によって表面2511上で集光されるように蛍光体層251に入射する。蛍光体層251の表面2511には、励起光入射領域LSが形成される。励起光入射領域LSとは励起光ELが表面2511上に形成する照射スポットに相当する。
【0059】
蛍光体層251は、励起光入射領域LSに入射された励起光ELで励起され、蛍光YLをランバート発光で放射する。なお、蛍光YLが発光される領域の面積は、励起光入射領域LSの面積よりも大きい。
【0060】
蛍光YLは蛍光体層251からランバート発光される。例えば、表面2511からランバート発光された蛍光YLの一部は、表面2511に対向配置された第1光学部材254に入射する。第1光学部材254に入射した蛍光YLは、第1光学層2542によって反射される。第1光学層2542で反射された蛍光YLの一部は、開口部260から直接射出される。
また、第1光学層2542で反射された蛍光YLの一部は基板252の支持面2521に入射し、支持面2521に形成された第4光学層253で反射される。第4光学層253で反射された蛍光YLは開口部260から射出される、あるいは、再び第1光学部材254に入射して反射される。
【0061】
なお、第1光学層2542で反射された蛍光YLの一部は蛍光体層251内に戻される。本実施形態の蛍光体層251は複数の気孔Kを含む。そのため、蛍光体層251内に戻された蛍光YLは気孔Kで散乱されることで、再び蛍光体層251からランバート発光される。
【0062】
また、蛍光体層251の側面2512からランバート発光された蛍光YLの一部は、第4光学層253を経由して第2光学部材255または第3光学部材256に入射、あるいは、第2光学部材255または第3光学部材256に直接入射する。蛍光YLは、第2光学部材255または第3光学部材256で反射されることで、再び第1光学部材254に入射して反射される。
【0063】
なお、蛍光体層251で生成された蛍光YLの一部は開口部260と反対方向(-Y側)に伝播するが、反射を繰り返すことでやがて開口部260から射出される。
このようにして本実施形態の波長変換素子25では、蛍光体層251で生成した蛍光YLを開口部260から+Y側に射出することができる。
【0064】
本実施形態の波長変換素子25において、蛍光体層251では、蛍光YLを射出する開口部260側に比べて、開口部260と反対側である-Y側ほど熱がこもりやすく温度が高くなり易い。これに対して、本実施形態の波長変換素子25では、図3および図5に示すように、蛍光体層251を支持する基板252を開口部260と反対側に長くした形状を採用している。そのため、本実施形態の波長変換素子25によれば、蛍光体層251において熱がこもりやすい開口部260と反対側の側を効率良く冷却することができる。よって、蛍光体層251を効率良く冷却することができる。
【0065】
本実施形態の波長変換素子25では、蛍光体層251の表面2511の面積A1を励起光入射領域LSの面積A2よりも大きくしている。また、本実施形態の波長変換素子25では、第1光学部材254の第1光学層2542に沿う平面と表面2511に沿う平面とのなす角度を10°以上40°以下に設定することで、開口部260の面積A3を励起光入射領域LSの面積A2よりも小さくしている。
【0066】
すなわち、本実施形態の波長変換素子25において、蛍光体層251の表面2511の面積A1は励起光入射領域LSの面積A2よりも大きく、励起光入射領域LSの面積A2は開口部260の面積A3より大きくなっている。本実施形態の波長変換素子25において、開口部260は蛍光YLの見かけ上の発光面とみなせることから、開口部260の面積A3は蛍光YLの見かけ上の発光面積とみなせる。
【0067】
波長変換素子25から射出された蛍光YLは第1ピックアップ光学系26に入射する。第1ピックアップ光学系26は、例えばピックアップレンズ26a,26bから構成されている。第1ピックアップ光学系26は蛍光体層251から射出される蛍光YLをピックアップして平行化する機能を有する。なお、ランバート発光される蛍光YLをピックアップして平行化する第1ピックアップ光学系26の焦点距離は、拡散青色光BLをピックアップして平行化する第2ピックアップ光学系32の焦点距離よりも短い。
【0068】
第1ピックアップ光学系26で平行化された蛍光YLは、第2光学素子30に入射する。蛍光YLは、第2光学素子30を透過してインテグレーター光学系35に向かう。
【0069】
本実施形態の光源装置2では、光軸ax3,ax4,ax5および照明光軸ax1で形成される矩形の角部に相当する位置に第1光学素子29、波長変換素子25、第2光学素子30および拡散素子31を配置した構成を採用している。これにより、本実施形態の光源装置2では、光源22から射出した励起光ELを第1光学素子29においてX方向およびY方向の2方向に分離し、分離した一方の励起光EL1が波長変換素子25に入射し、分離した他方の青色光EL2が拡散素子31に入射させている。さらに、本実施形態の光源装置2では、波長変換素子25からY方向に射出された蛍光YLを第2光学素子30でY方向に透過させつつ、拡散素子31から射出された拡散青色光BLを第2光学素子30でY方向に反射させている。
【0070】
このようにして本実施形態の第2光学素子30は、拡散素子31からX方向の一方側(+X側)に射出されて入射する拡散青色光BLをY方向の一方側(+Y側)に反射するとともに、波長変換素子25からY方向の一方側(+Y側)に射出されて入射するYLをY方向の一方側(+Y側)に透過することで、蛍光YLおよび拡散青色光BLを合成した白色の照明光WLを生成する。このようにして、光源装置2はインテグレーター光学系35に向けて白色の照明光WLを射出することができる。
【0071】
白色の照明光WLは、インテグレーター光学系35に入射する。インテグレーター光学系35は、例えば第1のレンズアレイ35aと第2のレンズアレイ35bとから構成されている。第1のレンズアレイ35aは複数の第1小レンズ35amを含み、第2のレンズアレイ35bは複数の第2小レンズ35bmを含む。
【0072】
第1のレンズアレイ35aは照明光WLを複数の小光線束に分離する。第1小レンズ35amは、小光線束を対応する第2小レンズ35bmに結像させる。インテグレーター光学系35は、後述する重畳レンズ37と協働することで被照明領域である図1に示した光変調装置4R,4G,4Bの画像形成領域の照度分布を均一化させる。
【0073】
インテグレーター光学系35を通過した照明光WLは、偏光変換素子36に入射する。偏光変換素子36は、例えば、偏光分離膜と位相差板(1/2波長板)とから構成される。偏光変換素子36は、照明光WLにおける偏光方向を一方の偏光成分に変換する。
【0074】
偏光変換素子36を通過した照明光WLは、重畳レンズ37に入射する。重畳レンズ37から射出された照明光WLは色分離光学系3へ入射する。重畳レンズ37は、照明光WLを構成している上記複数の小光線束を光変調装置4R,4G,4Bの被照明領域、すなわち画像形成領域で互いに重畳させることで均一に照明する。
【0075】
(第1実施形態の効果)
以上説明した本実施形態に係る光源装置2によれば、以下の効果を奏する。
本実施形態の波長変換素子25は、励起光ELを射出する光源22と、励起光ELが入射され、励起光ELの一部である励起光EL1を透過し、励起光ELの他の一部である青色光EL2を反射する第1光学素子29と、励起光EL1が入射され、励起光EL1を波長変換して、励起光EL1とは異なる波長帯の蛍光YLを射出する波長変換素子25と、青色光EL2が入射され、青色光EL2を拡散する拡散素子31と、波長変換素子25から射出される蛍光YLと、拡散素子31から射出される拡散青色光BLとを合成する第2光学素子30と、を備える。波長変換素子25は、表面2511に入射した励起光EL1を波長変換して蛍光YLを生成する蛍光体層251と、蛍光体層251を支持する支持面2521を有する基板252と、励起光ELを透過し、蛍光YLを反射する第1光学層2542を有し、第1光学層2542が支持面2521に対向するように配置される第1光学部材254と、少なくとも蛍光YLを反射させる第2光学層2552を有し、第2光学層2552が支持面2521と第1光学層2542とに交差するように配置される第2光学部材255と、少なくとも蛍光YLを反射させる第3光学層2562を有し、第3光学層2562が支持面2521と第1光学層2542とに交差し、第2光学層2552に対向するように配置される第3光学部材256と、基板252、第1光学部材254、第2光学部材255および第3光学部材256により形成される開口部260と、を有する。蛍光体層251の表面2511の面積A1は、表面2511において励起光ELが入射される励起光入射領域LSの面積A2よりも大きく、励起光入射領域LSの面積A2は、開口部260の面積A3より大きく、蛍光YLは、開口部260から射出される。
【0076】
本実施形態の光源装置2では、光源22から射出した励起光ELを、ハーフミラー層29bを用いた第1光学素子29で分離し、分離した一方の励起光EL1を波長変換素子25に入射させ、分離した他方の青色光EL2を拡散素子31に入射させている。そして、ダイクロイックミラー30bを用いた第2光学素子30において、波長変換素子25から射出した蛍光YLと拡散素子31から射出した拡散青色光BLとを合成して白色の照明光WLを生成している。このように本実施形態の光源装置2では、偏光を用いることなく照明光WLを合成できるため、高価な位相差板や偏光乱れを抑制するための高価なレンズ部材を用いる必要がない。よって、光源装置2の低コスト化を実現できる。
また、本実施形態の光源装置2では、波長変換素子25において、励起光ELを入射させる励起光入射領域LSよりも面積の小さい開口部260から蛍光YLを射出するため、励起光入射領域LSから蛍光YLをそのまま取り出す構成に比べて、蛍光YLの見かけ上の発光面積が小さくなる。これにより、蛍光YLにおけるエテンデューを小さくできる。また、本実施形態の波長変換素子25では、蛍光体層251上における励起光ELの入射面積を小さくすることなくエテンデューを小さくできるため、蛍光体層251の表面2511において励起光ELの光密度が高くならない。よって、光密度が高くなることによる蛍光変換効率の低下を抑制することができる。
したがって、本実施形態の光源装置2によれば、励起光ELの光密度の増加による蛍光変換効率の低下を抑えつつエテンデューを小さくした波長変換素子25を備えるので、高輝度な蛍光YLを生成することができる。
【0077】
本実施形態の光源装置2において、第1光学素子29は、透光性基板29aと、透光性基板29aに設けられたハーフミラー層29bと、を含む。
【0078】
この構成によれば、透光性基板29aとハーフミラー層29bとで構成された第1光学素子29を用いるため、第1光学素子29による光吸収を抑制できる。よって、第1光学素子29を経由することによる励起光ELの光損失を抑制できる。
【0079】
本実施形態の光源装置2において、第2光学素子30は、蛍光YLを透過し、拡散青色光BLを反射するダイクロイックミラー30bを含む。
【0080】
この構成によれば、偏光を用いることなく、蛍光YLと拡散青色光BLとを合成した照明光WLを生成することができる。
【0081】
本実施形態の光源装置2において、第1光学素子29は、光源22から入射する励起光ELを、光源22、第1光学素子29および第2光学素子30が配置されるXY面に沿うX方向と、X方向に直交し、XY面に沿うY方向とに分岐し、拡散素子31は、第1光学素子29からY方向に分岐されて入射する青色光EL2をX方向に反射し、波長変換素子25は、第1光学素子29からX方向に分岐されて入射する励起光EL1を波長変換して、蛍光YLをY方向に射出する。本実施形態の場合、第2光学素子30は、拡散素子31からX方向に射出されて入射する拡散青色光BLをY方向に反射するとともに、波長変換素子25からY方向に射出されて入射する蛍光YLをY方向に透過することで照明光WLを合成する。
【0082】
この構成によれば、光源22から射出した励起光ELを第1光学素子29でX方向およびY方向に分離し、X方向に分離した励起光EL1から生成した蛍光YLと、Y方向に分離した青色光EL2から生成した拡散青色光BLとを第2光学素子30において合成して照明光WLを生成する光源装置を実現できる。
【0083】
本実施形態の光源装置2において、蛍光体層251は、光を散乱させる気孔Kを含む。
【0084】
この構成によれば、蛍光体層251に再入射した蛍光YLが内部で拡散させるので、再入射した蛍光YLをランバート放射することができる。
【0085】
本実施形態の光源装置2において、第1光学部材254における蛍光体層251の表面2511に対してなす角度は、10°以上40°以下である。
【0086】
この構成によれば、第1光学部材254を蛍光体層251の表面2511に近づけることで、開口部260の面積A3を励起光入射領域LSの面積A2よりも小さくする構成を実現できる。
【0087】
本実施形態の光源装置2において、第2光学部材255は、励起光ELおよび蛍光YLを反射する第2光学層2552を含み、第3光学部材256は、励起光ELおよび蛍光YLを反射する第3光学層2562を含む。
【0088】
この構成によれば、蛍光体層251の側面2512から射出された蛍光YLを反射して蛍光体層251に戻すことができる。また、励起光ELを反射して蛍光体層251に入射させることができる。これにより、励起光ELおよび蛍光YLの利用効率を向上させることができる。
【0089】
本実施形態の光源装置2において、基板252と蛍光体層251との間に設けられる第4光学層253をさらに備える。
【0090】
この構成によれば、蛍光体層251内において基板252側に向かう蛍光YLを反射することで表面2511から射出させることができる。これにより、蛍光YLの光利用効率を向上させることができる。
【0091】
本実施形態の光源装置2において、第4光学層253は、基板252の支持面2521における蛍光体層251の周囲の少なくとも一部に設けられている。
【0092】
この構成によれば、蛍光体層251の側面2512から射出された蛍光YLを反射して蛍光体層251に戻すことができる。また、蛍光体層251の側面2512から射出された蛍光YLを反射して開口部260から射出させる。よって、蛍光YLの光利用効率を向上させることができる。
【0093】
本実施形態の光源装置2において、第1光学部材254は、蛍光体層251と接触しないように配置される。
【0094】
この構成によれば、第1光学部材254が蛍光体層251に接触しないため、蛍光体層251の熱による第1光学部材254の変形や破損を抑制することができる。
【0095】
本実施形態の光源装置2において、第1光学部材254は、励起光ELを透過するとともに蛍光YLを反射させる第1光学層2542を含む。
【0096】
この構成によれば、収容空間S内に収容された蛍光体層251を効率良く励起し、生成した蛍光YLを反射して開口部260から取り出す構成を実現できる。
【0097】
本実施形態の光源装置2において、蛍光体層251は、開口部260の内側に設けられた収容空間Sに収容され、収容空間Sに空気層ARが設けられている。
【0098】
ここで、収容空間Sにガラス等のプリズム部材が充填されている場合、プリズム射出面で全反射されることで光が収容空間S内から開口部260外に効率良く射出されなくなってしまう。これに対して、本実施形態の構成によれば、収容空間S内に空気層ARが充填されるため、開口部260から蛍光YLを良好に射出できる。
【0099】
以上説明した本実施形態に係るプロジェクター1によれば、以下の効果を奏する。
本実施形態のプロジェクター1は、光源装置2と、光源装置2からの青色光LB、緑色光LG、赤色光LRを画像情報に応じて変調することにより画像光を形成する光変調装置4B,4G,4Rと、前述の画像光を投射する投射光学装置6と、を備える。
このことによって、本実施形態のプロジェクター1によれば、高輝度な蛍光YLを生成する光源装置2を備えるので、高輝度な画像を形成して投射することができる。
【0100】
(第2実施形態)
続いて、第2実施形態の光源装置について説明する。本実施形態の光源装置は、第1実施形態の光源装置に対して波長変換素子25および拡散素子31の位置が異なっている。
【0101】
図6は本実施形態の光源装置2Aの概略構成図である。なお、第1実施形態と共通の構成及び部材については同じ符号を付し、詳細については説明を省略する。
図6に示すように、本実施形態の光源装置2Aにおいて、光源22の光軸ax3上に、光源22と、第1光学素子29と、第2ホモジナイザー光学系27と、第2集光光学系28と、拡散素子31とが配置されている。本実施形態の光源装置2Aにおいて、光軸ax4上に、第1光学素子29と、第1ホモジナイザー光学系23と、第1集光光学系24と、波長変換素子25とが配置されている。本実施形態の光源装置2Aにおいて、波長変換素子25から射出される蛍光YLの主光線に沿う光軸ax6上に、波長変換素子25と、第1ピックアップ光学系26と、第2光学素子130とが配置されている。本実施形態の光源装置2Aにおいて、照明光軸ax1上に、拡散素子31と、第2ピックアップ光学系32と、第2光学素子130と、インテグレーター光学系35と、偏光変換素子36と、重畳レンズ37とが配置されている。
【0102】
本実施形態において、第1光学素子29を透過してX方向(第1方向)に分離された励起光ELの一部を青色光(第1波長帯の光の一部)EL2と称し、第1光学素子29で反射されてY方向(第2方向)分離された励起光ELの他の一部を励起光(第1波長帯の光の他の一部)EL1と称す。
【0103】
第1光学素子29を透過した青色光EL2は光軸ax3に沿ってX方向に進み、第2ホモジナイザー光学系27および第2集光光学系28を経由して拡散素子31上に入射する。
【0104】
本実施形態の拡散素子31は、拡散反射板31aの光入射面を光軸ax3および照明光軸ax1と45°の角度をなす面内で回転可能としている。拡散素子31は、第1光学素子29からX方向に分岐されて入射する青色光EL2をY方向(第2方向)の一方側(+Y側)に拡散青色光BLとして反射する。本実施形態において、拡散青色光BLの主光線は照明光軸ax1に一致する。
【0105】
拡散素子31から射出された拡散青色光BLは第2ピックアップ光学系32で平行化されて第2光学素子130に入射する。本実施形態の第2光学素子130は、透光性基板130aとダイクロイックミラー130bとを含む。本実施形態の透光性基板130aは少なくとも第1の波長帯の光である拡散青色光BLに対して透光性を有する基板である。本実施形態のダイクロイックミラー130bは、波長変換素子25から射出される第2の波長帯の光である蛍光YLを反射し、拡散素子31から射出される第1の波長帯の光である拡散青色光BLを透過する光学特性を有する。そのため、第2光学素子130は、拡散青色光BLをY方向の一方側(+Y側)に透過させる。
【0106】
一方、第1光学素子29で反射された励起光(第1波長帯の光の他の一部)EL1は光軸ax4に沿ってY方向に進み、第1ホモジナイザー光学系23および第1集光光学系24を経由して波長変換素子25に入射する。本実施形態の波長変換素子25は、Y方向に沿って入射する励起光EL1で励起されることで生成した蛍光YLをX方向(第1方向)の一方側(+X側)に向けて開口部260から射出する。
【0107】
波長変換素子25から射出された蛍光YLは第1ピックアップ光学系26で平行化されて第2光学素子130に入射する。本実施形態の第2光学素子130は、拡散素子31からY方向の一方側(+Y側)に射出されて入射する拡散青色光BLをY方向の一方側(+Y側)に透過するとともに、波長変換素子25からX方向の一方側(+X側)に射出されて入射するYLをY方向の一方側(+Y側)に反射することで、蛍光YLおよび拡散青色光BLを合成した白色の照明光WLを生成する。このようにして、本実施形態の光源装置2Aはインテグレーター光学系35に向けて白色の照明光WLを射出することができる。
【0108】
(第2実施形態の効果)
本実施形態の光源装置2Aにおいて、第1光学素子29は、光源22から入射する励起光ELをX方向とY方向とに分岐し、拡散素子31は、第1光学素子29からX方向に分岐されて入射する青色光EL2をY方向に拡散反射し、波長変換素子25は、第1光学素子29からY方向に分岐されて入射する励起光EL1を波長変換して、蛍光YLをX方向に射出する。本実施形態の場合、第2光学素子130は、拡散素子31からY方向に射出されて入射する拡散青色光BLをY方向に透過するとともに、波長変換素子25からX方向に射出されて入射する蛍光YLをY方向に反射することで照明光WLを合成する。
【0109】
本実施形態の光源装置2Aによれば、光源22から射出した励起光ELを第1光学素子29でX方向およびY方向に分離し、X方向に分離した青色光EL2から生成した拡散青色光BLと、Y方向に分離した励起光EL1から生成した蛍光YLとを第2光学素子130において合成して照明光WLを生成することができる。よって、本実施形態の光源装置2Aにおいても、第1実施形態の光源装置2と同様、偏光を用いることなく照明光WLを合成するため、高価な位相差板や偏光乱れを抑制するための高価なレンズ部材を用いることがなく、低コスト化を実現できる。また、励起光ELの光密度の増加による蛍光変換効率の低下を抑えつつエテンデューを小さくした波長変換素子25を備えるため、高輝度な蛍光YLを生成することができる。
【0110】
(第3実施形態)
続いて、第3実施形態の光源装置について説明する。本実施形態の光源装置は、第1実施形態の光源装置に対して拡散素子31の構成が異なっている。
【0111】
図7は本実施形態の光源装置2Bの概略構成図である。なお、第1実施形態と共通の構成及び部材については同じ符号を付し、詳細については説明を省略する。
図7に示すように、本実施形態の光源装置2Bにおいて、光軸ax4上には、第1光学素子29と、第2ホモジナイザー光学系27と、第2集光光学系28と、ミラー132とが配置されている。また、光軸ax5上には、ミラー132と、拡散素子131と、第2ピックアップ光学系32と、第2光学素子30とが配置されている。
【0112】
ミラー132は、第1光学素子29からY方向に分岐されて入射する青色光EL2をX方向に反射する。ミラー132は、例えば、金属膜や誘電体膜で構成される。ミラー132は、光軸ax4,ax5と45°の角度をなすように配置されている。本実施形態において、ミラー132で反射された青色光EL2の主光線は光軸ax5に一致する。
【0113】
ミラー132で反射された青色光EL2は拡散素子131に入射する。拡散素子131は、青色光EL2を第2光学素子30に向けて拡散させてX方向の一方側(+X側)に射出する。拡散素子131は、波長変換素子25から射出される蛍光YLと同程度の拡散角となるように青色光EL2を拡散させるように形成することが望ましい。これにより、拡散後の青色光EL2と蛍光YLとを合成した照明光WLの色ムラを低減できる。本実施形態の拡散素子131は、例えば、スリガラスで構成される。
【0114】
なお、本実施形態の拡散素子131およびミラー132はいずれも固定型の素子であるが、この構成に代えて、回転型の素子を用いもよい。この場合、拡散素子131およびミラー132を回転させることで拡散素子131およびミラー132の温度上昇が抑えられ、信頼性を高めることができる。
【0115】
以下、拡散素子131において拡散反射された青色光EL2を拡散青色光BLと称す。本実施形態において、拡散青色光BLの主光線は光軸ax5に一致する。
【0116】
このように本実施形態の拡散素子131は、第1光学素子29からY方向に分岐されてミラー132でX方向に反射されて入射する青色光EL2をX方向の一方側(+X側)に拡散青色光BLとして拡散して射出する。拡散素子131から射出された拡散青色光BLは第2ピックアップ光学系32で平行化されて第2光学素子30に入射し、波長変換素子25から射出された蛍光YLと合成され、照明光WLを生成する。
【0117】
(第3実施形態の効果)
本実施形態の光源装置2Bにおいて、第1光学素子29は、光源22から入射する励起光ELをX方向とY方向とに分岐し、ミラー132は、第1光学素子29からY方向に分岐されて入射する青色光EL2をX方向に反射し、拡散素子131はミラー132からX方向に入射する青色光EL2を拡散した拡散青色光BLをX方向に射出する。波長変換素子25は、第1光学素子29からX方向に分岐されて入射する励起光EL1を波長変換して、蛍光YLをY方向に射出する。本実施形態の場合、第2光学素子30は、拡散素子31からX方向に射出されて入射する拡散青色光BLをY方向に反射するとともに、波長変換素子25からY方向に射出されて入射する蛍光YLをY方向に透過することで照明光WLを合成する。
【0118】
本実施形態の光源装置2Bによれば、光源22から射出した励起光ELを第1光学素子29でX方向およびY方向に分離し、Y方向に分離した青色光EL2から生成した拡散青色光BLと、X方向に分離した励起光EL1を波長変換素子25で波長変換して生成した蛍光YLとを第2光学素子30において合成して照明光WLを生成することができる。よって、本実施形態の光源装置2Bにおいても、第1実施形態の光源装置2と同様、偏光を用いることなく照明光WLを合成するため、高価な位相差板や偏光乱れを抑制するための高価なレンズ部材を用いることがなく、低コスト化を実現できる。また、励起光ELの光密度の増加による蛍光変換効率の低下を抑えつつエテンデューを小さくした波長変換素子25を備えるため、高輝度な蛍光YLを生成することができる。
また、本実施形態の場合、拡散素子131とは別にミラー132を備えるので、拡散素子131について拡散性能のみを考慮して設計すればよく、拡散素子131の設計が容易となる。
【0119】
(第4実施形態)
続いて、第4実施形態の光源装置について説明する。本実施形態の光源装置は、第3実施形態の光源装置に対して波長変換素子25および拡散素子131並びにミラー132の位置が異なっている。すなわち、本実施形態の光源装置は、第2実施形態と第3実施形態とを組わせた構成を有する。
【0120】
図8は本実施形態の光源装置2Cの概略構成図である。なお、第1実施形態と共通の構成及び部材については同じ符号を付し、詳細については説明を省略する。
図8に示すように、本実施形態の光源装置2Cにおいて、光源22の光軸ax3上に、光源22と、第1光学素子29と、第2ホモジナイザー光学系27と、第2集光光学系28と、ミラー132とが配置されている。また、光軸ax4上には、第1光学素子29と、第1ホモジナイザー光学系23と、第1集光光学系24と、波長変換素子25とが配置されている。本実施形態の光源装置2Cにおいて、波長変換素子25から射出される蛍光YLの主光線に沿う光軸ax6上に、波長変換素子25と、第1ピックアップ光学系26と、第2光学素子130とが配置されている。本実施形態の光源装置2Cにおいて、照明光軸ax1上に、ミラー132と、拡散素子131と、第2ピックアップ光学系32と、第2光学素子130と、インテグレーター光学系35と、偏光変換素子36と、重畳レンズ37とが配置されている。
【0121】
本実施形態において、第1光学素子29を透過してX方向(第1方向)に分離された励起光ELの一部を青色光(第1波長帯の光の一部)EL2と称し、第1光学素子29で反射されてY方向(第2方向)分離された励起光ELの他の一部を励起光(第1波長帯の光の他の一部)EL1と称す。
【0122】
第1光学素子29で反射された励起光EL1は光軸ax4に沿ってY方向に進み、第1ホモジナイザー光学系23および第1集光光学系24を経由して波長変換素子25に入射する。波長変換素子25からY方向に射出された蛍光YLは第1ピックアップ光学系26で平行化されて第2光学素子130に入射する。
【0123】
ミラー132は、第1光学素子29からX方向に分岐されて入射する青色光EL2をY方向に反射する。本実施形態のミラー132は、光軸ax3および照明光軸ax1と45°の角度をなすように配置されている。本実施形態において、ミラー132で反射された青色光EL2の主光線は照明光軸ax1に一致する。
【0124】
ミラー132で反射された青色光EL2は拡散素子131に入射する。拡散素子131は、青色光EL2を第2光学素子30に向けて拡散させてY方向の一方側(+Y側)に拡散青色光BLを射出する。本実施形態において、拡散青色光BLの主光線は照明光軸ax1に一致する。
【0125】
このように本実施形態の拡散素子131は、第1光学素子29からX方向に分岐されてミラー132でY方向に反射されて入射する青色光EL2をY方向の一方側(+Y側)に拡散青色光BLとして拡散して射出する。拡散素子131から射出された拡散青色光BLは第2ピックアップ光学系32で平行化されて第2光学素子30に入射する。
【0126】
本実施形態の第2光学素子130は、拡散素子131からY方向の一方側(+Y側)に射出されて入射する拡散青色光BLをY方向の一方側(+Y側)に透過するとともに、波長変換素子25からX方向の一方側(+X側)に射出されて入射するYLをY方向の一方側(+Y側)に反射することで、蛍光YLおよび拡散青色光BLを合成した白色の照明光WLを生成する。
【0127】
(第4実施形態の効果)
本実施形態の光源装置2Cにおいて、第1光学素子29は、光源22から入射する励起光ELをX方向とY方向とに分岐し、ミラー132は、第1光学素子29からX方向に分岐されて入射する青色光EL2をY方向に反射し、拡散素子131はミラー132からY方向に入射する青色光EL2を拡散した拡散青色光BLをY方向に射出する。波長変換素子25は、第1光学素子29からY方向に分岐されて入射する励起光EL1を波長変換して、蛍光YLをX方向に射出する。本実施形態の場合、第2光学素子130は、拡散素子31からY方向に射出されて入射する拡散青色光BLをY方向に透過するとともに、波長変換素子25からX方向に射出されて入射する蛍光YLをY方向に反射することで照明光WLを合成する。
【0128】
本実施形態の光源装置2Cによれば、光源22から射出した励起光ELを第1光学素子29でX方向およびY方向に分離し、X方向に分離した青色光EL2から生成した拡散青色光BLと、Y方向に分離した励起光EL1を波長変換素子25で波長変換して生成した蛍光YLとを第2光学素子130において合成して照明光WLを生成することができる。よって、本実施形態の光源装置2Cにおいても、第1実施形態の光源装置2と同様、偏光を用いることなく照明光WLを合成するため、高価な位相差板や偏光乱れを抑制するための高価なレンズ部材を用いることがなく、低コスト化を実現できる。また、励起光ELの光密度の増加による蛍光変換効率の低下を抑えつつエテンデューを小さくした波長変換素子25を備えるため、高輝度な蛍光YLを生成することができる。また、本実施形態の場合、拡散素子131とは別にミラー132を備えるため、拡散素子131について拡散性能のみを考慮して設計すればよく、拡散素子131の設計が容易となる。
【0129】
(第5実施形態)
続いて、第5実施形態の光源装置について説明する。本実施形態の光源装置は、第1実施形態の光源装置に対して反射素子を設けた構成が異なっている。
上記実施形態では、波長変換素子25に入射した励起光ELが蛍光YLに全て変換され、波長変換素子25から蛍光YLのみが射出される場合を説明した。しかしながら、蛍光体層251で後方散乱された励起光ELの一部が開口部260から外部に射出される場合がある。以下、後方散乱されて開口部260から射出される励起光ELの一部を後方散乱光と称す。
【0130】
図9は本実施形態の光源装置2Dの概略構成図である。なお、第1実施形態と共通の構成及び部材については同じ符号を付し、詳細については説明を省略する。
図9に示すように、本実施形態の光源装置2Dにおいて、光軸ax5上には、拡散素子31と、第2ピックアップ光学系32と、第2光学素子30と、反射素子40とが配置されている。
【0131】
本実施形態において、波長変換素子25の開口部260からは蛍光YLとともに第1波長帯の光である後方散乱光EL3が射出されるものとする。波長変換素子25から射出され後方散乱光EL3は、第1ピックアップ光学系26で平行化され、第2光学素子30に入射する。後方散乱光EL3は励起光ELの一部であるため、第2光学素子30において+X側に反射される。
【0132】
第2光学素子30で反射された後方散乱光EL3は反射素子40に入射する。反射素子40は、波長変換素子25から射出され、第2光学素子30を経由した後方散乱光EL3を反射する。反射素子40は、金属ミラーや誘電体ミラーで構成される。
【0133】
反射素子40は後方散乱光EL3を-X側に反射する。反射素子40で反射された後方散乱光EL3は第2光学素子30で再び反射され、第1ピックアップ光学系26を経由して波長変換素子25に入射する。波長変換素子25に入射した後方散乱光EL3の少なくとも一部は蛍光体層251に入射し、蛍光YLの生成に再利用される。
【0134】
(第5実施形態の効果)
本実施形態の光源装置2Dによれば、波長変換素子25の開口部260から後方散乱光EL3が射出された場合において、反射素子40により後方散乱光EL3を波長変換素子25側に戻すことができる。これにより、後方散乱光EL3が蛍光YLの再励起に利用されるので、光源22から射出する励起光ELの光利用効率を向上させた光源装置を提供できる。
【0135】
なお、本実施形態の反射素子40は第2実施形態から第4実施形態の構成にいずれも適用可能である。
【0136】
以上、本発明の一実施形態を例示して説明したが、本発明は上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0137】
(第1変形例)
図10は第1光学素子の第1変形例に係る構成を示す断面図である。なお、本変形例において、上記実施形態と共通の構成あるいは部材については同じ符号を付し、詳細については説明を省略する。
【0138】
図10に示すように、本変形例の第1光学素子129は、複数の光学部材1290を有する。本変形例の場合、複数の光学部材1290は、光学部材1291、光学部材1292および光学部材1293を含む。なお、光学部材1290の数はこれに限られず、2つあるいは4つ以上でもよい。
【0139】
光学部材1291、光学部材1292および光学部材1293は励起光ELの一部を透過し、励起光ELの他の一部を反射する素子である。光学部材1291は透光性基板1291aとハーフミラー層1291bとを含む。光学部材1292は透光性基板1292aとハーフミラー層1292bとを含む。光学部材1293は透光性基板1293aとハーフミラー層1293bとを含む。各透光性基板1291a、1292a,1293aは励起光ELに対して透光性を有する基板である。各ハーフミラー層1291b,1292b,1293bは各透光性基板1291a、1292a,1293a上に成膜された誘電体多層膜で構成される。本変形例の場合、各ハーフミラー層1291b,1292b,1293bは、励起光ELにおける透過光量および反射光量の割合がそれぞれ異なっている。そのため、各光学部材1291,1292,1293は、励起光ELに対する反射率または透過率がそれぞれ異なっている。本変形例の場合、例えば、光学部材1291,1292,1293の順に励起光ELに対する反射率が高くなる。
【0140】
本変形例の第1光学素子129において、各光学部材1291,1292,1293は図示されない駆動部にそれぞれ保持されている。これにより、第1光学素子129は、励起光ELの光路に対して、各光学部材1291,1292,1293を独立して入れ替え可能である。すなわち、第1光学素子129は、励起光ELの光路上に対して、光学部材1291,1292,1293のいずれかを配置可能である。各光学部材1291,1292,1293は、光軸ax3および光軸ax4に対して45°の角度をなすように励起光ELの光路上に配置される。
これにより、本変形例の第1光学素子129は、励起光ELにおける透過光量および反射光量の比率を可変可能である。
【0141】
なお、各光学部材1291,1292,1293を入れ替えるタイミングとしては、例えば、光源22の温度変化や劣化を検出した場合、光源22の総駆動時間が閾値を超えた場合、或いは、蛍光体層251の劣化を検出した場合が考えられる。
【0142】
以下、本変形例の第1光学素子129を第1実施形態の光源装置2に適用した場合ついて説明する。
第1光学素子129は、励起光ELの反射光量を相対的に減らし、励起光ELの透過光量を相対的に増やす際、励起光ELの光路上に最も反射率が低い光学部材1291を配置する。これにより、光学部材1291に入射した励起光ELは、Y方向に向かう反射光である青色光EL2の光量よりもX方向に向かう透過光である励起光EL1の光量を多く生成することができる。
【0143】
また、第1光学素子129では、励起光ELの反射光量を相対的に増やし、励起光ELの透過光量を相対的に減らす際、励起光ELの光路上に最も反射率が高い光学部材1293を配置する。これにより、光学部材1293に入射した励起光ELは、X方向に向かう透過光である励起光EL1の光量よりもY方向に向かう反射光である青色光EL2の光量を多く生成することができる。
【0144】
なお、第1光学素子129では、励起光EL1と青色光EL2との光量差を小さくする場合、励起光ELの光路上に光学部材1292を配置すればよい。
【0145】
このように本変形例の第1光学素子129によれば、励起光ELの光路に対して、各光学部材1291,1292,1293を入れ替えることで、波長変換素子25に入射する励起光EL1と拡散素子31に入射する青色光EL2との割合を変化させることができる。これにより、拡散青色光BLおよび蛍光YLの比率を変化させることで照明光WLの色バランス(ホワイトバランス)を制御することができる。
【0146】
(第2変形例)
図11Aは第1光学素子の第2変形例に係る構成を示す断面図である。なお、本変形例において、上記実施形態と共通の構成あるいは部材については同じ符号を付し、詳細については説明を省略する。
【0147】
図11Aに示すように、本変形例の第1光学素子229は、光軸ax3および光軸ax4に対して45°の角度をなすように励起光ELの光路上に配置されている。本変形例の第1光学素子229は、光学基板230と、光学基板230を回動させるためのモーター(駆動部)231とを含む。光学基板230は、励起光ELの一部をX方向に透過させ、励起光ELの他の一部をY方向に反射させる。光学基板230は、透光性基板2300とハーフミラー層2310とを含む。
【0148】
モーター231の回転軸O1は、光軸ax3および光軸ax4と45°の角度をなすように配置されている。これにより、第1光学素子229は、光学基板230の光入射面を光軸ax3,ax4と45°の角度をなす面内で回動可能としている。光学基板230は、回転軸O1の方向から見て、例えば円形に形成されているが、光学基板230の形状は円板に限定されない。
【0149】
図11Bは本変形例の第1光学素子の平面図である。図11Bは、第1光学素子229を回転軸O1に沿う方向から平面視した図である。以下、回転軸O1に沿う方向から視て、回転軸O1の周囲に沿う方向を径方向と称す場合がある。
図11Bに示すように、本変形例の第1光学素子229において、光学基板230は、励起光ELが入射する複数の入射領域を含む。本変形例の場合、複数の入射領域は、第1入射領域D1、第2入射領域D2および第3入射領域D3を含む。第1入射領域D1、第2入射領域D2および第3入射領域D3は径方向に互いの位置を異ならせるように光学基板230に設けられている。なお、本変形例では光入射領域が3つの場合を説明するが、光入射領域の数はこれに限られない。
【0150】
第1入射領域D1、第2入射領域D2および第3入射領域D3は励起光ELに対する反射率または透過率がそれぞれ異なっている。本変形例の場合、第1入射領域D1、第2入射領域D2および第3入射領域D3に対応するハーフミラー層2310の構成をそれぞれ異ならせることで、例えば、第1入射領域D1、第2入射領域D2および第3入射領域D3の順に励起光ELに対する反射率を高くした。
【0151】
本変形例の第1光学素子229では、モーター231により光学基板230を回動させて、励起光ELの光路上に位置する、第1入射領域D1、第2入射領域D2および第3入射領域D3を切り替え可能である。すなわち、第1光学素子229は、励起光ELの光路上に対して、第1入射領域D1、第2入射領域D2および第3入射領域D3のいずれかを配置可能である。第1入射領域D1、第2入射領域D2および第3入射領域D3は、光軸ax3および光軸ax4に対して45°の角度をなすように励起光ELの光路上に配置される。
これにより、本変形例の第1光学素子229は、励起光ELにおける透過光量および反射光量の比率を可変可能である。
【0152】
なお、光学基板230を回動するタイミングとしては、例えば、光源22の温度変化や劣化を検出した場合、光源22の総駆動時間が閾値を超えた場合、或いは、蛍光体層251の劣化を検出した場合が考えられる。
【0153】
以下、本変形例の第1光学素子229を第1実施形態の光源装置2に適用した場合ついて説明する。
第1光学素子229は、励起光ELの反射光量を相対的に減らし、励起光ELの透過光量を相対的に増やす際、励起光ELの光路上に最も反射率が低い第1入射領域D1を位置させる。これにより、第1入射領域D1に入射した励起光ELは、Y方向に向かう反射光である青色光EL2の光量よりもX方向に向かう透過光である励起光EL1の光量を多く生成することができる。
【0154】
また、第1光学素子229では、励起光ELの反射光量を相対的に増やし、励起光ELの透過光量を相対的に減らす際、励起光ELの光路上に最も反射率が高い第3入射領域D3を配置する。これにより、第3入射領域D3に入射した励起光ELは、X方向に向かう透過光である励起光EL1の光量よりもY方向に向かう反射光である青色光EL2の光量を多く生成することができる。
【0155】
なお、第1光学素子229では、励起光EL1と青色光EL2との光量差を小さくする場合、励起光ELの光路上に第2入射領域D2を配置すればよい。
【0156】
このように本変形例の第1光学素子229によれば、モーター231により光学基板230を回動させることで、波長変換素子25に入射する励起光EL1と拡散素子31に入射する青色光EL2との割合を変化させることができる。これにより、拡散青色光BLおよび蛍光YLの比率を変化させることで照明光WLの色バランス(ホワイトバランス)を制御することができる。
【0157】
(第3変形例)
第2変形例では、励起光ELの反射率が異なる第1入射領域D1、第2入射領域D2および第3入射領域D3を光学基板230の径方向に順番に配置する場合を例に挙げたが、第1光学素子の構成はこれに限られない。本変形例は、励起光ELに対する反射率を連続的に変化させる点で第2変形例と異なる。なお、本変形例において、上記第2変形例と共通の構成あるいは部材については同じ符号を付し、詳細については説明を省略する。
【0158】
図12は第1光学素子の第3変形例に係る構成を示す平面図である。
図12に示すように、本変形例の第1光学素子329は、光学基板230の光入射面の径方向において、励起光ELに対する反射率を連続的に変化させた構成を有する。この構成によれば、モーター231により光学基板230を回動させて、励起光ELの光路上に位置する光入射面を切り替え可能である。これにより、本変形例の第1光学素子329は、励起光ELにおける透過光量および反射光量の比率を可変可能である。
【0159】
本変形例の第1光学素子329によれば、モーター231により光学基板230を回動させることで、波長変換素子25に入射する励起光EL1と拡散素子31に入射する青色光EL2との割合をより細かく変化させることができる。よって、本変形例によれば、照明光WLの色バランス(ホワイトバランス)をより緻密に制御することができる。よって、本変形例の第1光学素子329を用いることで、色再現性に優れた光源装置を提供できる。
【0160】
また、上記実施形態および変形例では、蛍光体層251の裏面2513のZ方向の幅が収容空間S内に位置する支持面2521のZ方向の幅よりも狭い場合を例に挙げたが、蛍光体層251の裏面2513のZ方向の幅と収容空間S内に位置する支持面2521のZ方向の幅とが同じでもよい。この場合、蛍光体層251の側面2512は第2光学部材255および第3光学部材256に当接した状態となるので、側面2512から射出された蛍光YLは第2光学部材255および第3光学部材256で反射されて蛍光体層251内に戻される。
【0161】
また、上記実施形態および変形例では、3つの光変調装置4R,4G,4Bを備えるプロジェクター1を例示したが、1つの光変調装置でカラー映像を表示するプロジェクターに適用することも可能である。さらに、光変調装置としては、上述した液晶パネルに限らず、例えばデジタルミラーデバイスなどを用いることもできる。
【0162】
また、上記実施形態および変形例では、本発明による光源装置をプロジェクターに応用する例を示したが、これに限られない。本発明による光源装置を自動車用ヘッドライトなどの照明器具にも適用することができる。
【0163】
本発明の態様の光源装置は、以下の構成を有していてもよい。
本発明の一つの態様の光源装置は、第1波長帯の光を射出する光源と、第1波長帯の光が入射され、第1波長帯の光の一部を透過し、第1波長帯の光の他の一部を反射する第1光学素子と、第1波長帯の光の一部および第1波長帯の光の他の一部のいずれか一方が入射され、第1波長帯の光を波長変換して、第1波長帯とは異なる第2波長帯の光を少なくとも射出する波長変換素子と、第1波長帯の光の一部および第1波長帯の光の他の一部のいずれか他方が入射され、第1波長帯の光を拡散する拡散素子と、波長変換素子から射出される第2波長帯の光と、拡散素子から射出される第1波長帯の光とを合成する第2光学素子と、を備え、波長変換素子は、光入射面を有し、光入射面に入射した第1波長帯の光を波長変換して第2波長帯の光を生成する波長変換層と、波長変換層を支持する支持面を有する基板と、第1波長帯の光を透過し、第2波長帯の光を反射する第1光学層を有し、第1光学層が支持面に対向するように配置される第1光学部材と、少なくとも第2波長帯の光を反射させる第2光学層を有し、第2光学層が支持面と第1光学層とに交差するように配置される第2光学部材と、少なくとも第2波長帯の光を反射させる第3光学層を有し、第3光学層が支持面と第1光学層とに交差し、第2光学層に対向するように配置される第3光学部材と、基板、第1光学部材、第2光学部材および第3光学部材により形成される開口部と、を有し、波長変換層の光入射面の面積は、光入射面において第1波長帯の光が入射される光入射領域の面積よりも大きく、光入射領域の面積は、開口部の面積より大きく、第2波長帯の光は、開口部から射出される。
【0164】
本発明の一つの態様の光源装置において、第1光学素子は、第1波長帯の光に対する第1波長帯の光の透過光量および第1波長帯の光の反射光量の比率を可変可能である構成としてもよい。
【0165】
本発明の一つの態様の光源装置において、第1光学素子は、比率がそれぞれ異なる複数の光学部材を有し、複数の光学部材は、光源から射出される第1波長帯の光の光路に対して入れ替え可能である構成としてもよい。
【0166】
本発明の一つの態様の光源装置において、第1光学素子は、比率がそれぞれ異なる複数の光入射領域を含む光学基板と、駆動部と、を有し、光学基板は、光源から射出される第1波長帯の光が、複数の光入射領域の少なくとも1つに入射するように設けられ、駆動部は、光学基板を回動させて、複数の光入射領域を切り替え可能である構成としてもよい。
【0167】
本発明の一つの態様の光源装置において、第1光学素子は、透光性基板と、透光性基板に設けられた誘電体多層膜と、を含む構成としてもよい。
【0168】
本発明の一つの態様の光源装置において、第2光学素子は、第2波長帯の光を透過し、第1波長帯の光を反射するダイクロイックミラー、または、第2波長帯の光を反射し、第1波長帯の光を透過するダイクロイックミラーを含む構成としてもよい。
【0169】
本発明の一つの態様の光源装置において、第1光学素子は、光源から入射する第1波長帯の光を、光源、第1光学素子および第2光学素子が配置される仮想平面に沿う第1方向と、第1方向に直交し、仮想平面に沿う第2方向とに分岐し、拡散素子は、第1光学素子から第2方向に分岐されて入射する光を第1方向に反射し、波長変換素子は、第1光学素子から第1方向に分岐されて入射する光を波長変換して、第2の波長帯の光を第2方向に射出する構成としてもよい。
【0170】
本発明の一つの態様の光源装置において、第2光学素子は、拡散素子から第1方向に射出されて入射する第1波長帯の光の一部を第2方向に反射するとともに、波長変換素子から第2方向に射出されて入射する第2波長帯の光を第2方向に透過して合成する構成としてもよい。
【0171】
本発明の一つの態様の光源装置において、第1光学素子は、光源から入射する第1波長帯の光を、光源、第1光学素子および第2光学素子が配置される仮想平面に沿う第1方向と、第1方向に直交し、仮想平面に沿う第2方向とに分岐し、拡散素子は、第1光学素子から第1方向に分岐されて入射する光を第2方向に反射し、波長変換素子は、第1光学素子から第2方向に分岐されて入射する光を波長変換して、第2の波長帯の光を第1方向に射出する構成としてもよい。
【0172】
本発明の一つの態様の光源装置において、第2学光素子は、拡散素子から第2方向に射出されて入射する第1波長帯の光の一部を第2方向に透過するとともに、波長変換素子から第1方向に射出されて入射する第2波長帯の光を第1方向に反射して合成する構成としてもよい。
【0173】
本発明の一つの態様の光源装置において、第1光学素子は、光源から入射する第1波長帯の光を、光源、第1光学素子および第2光学素子が配置される仮想平面に沿う第1方向と、第1方向に直交し、仮想平面に沿う第2方向とに分岐し、第1光学素子から第2方向に分岐されて入射する光を第1方向に反射するミラーをさらに備え、拡散素子は、ミラーから第1方向に反射されて入射する光を第1方向に透過し、波長変換素子は、第1光学素子から第1方向に分岐されて入射する光を波長変換して、第2の波長帯の光を第2方向に射出する構成としてもよい。
【0174】
本発明の一つの態様の光源装置において、第2光素子は、拡散素子から第1方向に射出されて入射する第1波長帯の光の一部を第2方向に反射するとともに、波長変換素子から第2方向に射出されて入射する第2波長帯の光を第2方向に透過して合成する構成としてもよい。
【0175】
本発明の一つの態様の光源装置において、第1光学素子は、光源から入射する第1波長帯の光を、光源、第1光学素子および第2光学素子が配置される仮想平面に沿う第1方向と、第1方向に直交し、仮想平面に沿う第2方向とに分岐し、第1光学素子から第1方向に分岐されて入射する光を第2方向に反射するミラーをさらに備え、拡散素子は、ミラーから第2方向に反射されて入射する光を第2方向に透過し、波長変換素子は、第1光学素子から第2方向に分岐されて入射する光を波長変換して、第2の波長帯の光を第1方向に射出する構成としてもよい。
【0176】
本発明の一つの態様の光源装置において、第2光素子は、拡散素子から第2方向に射出されて入射する第1波長帯の光の一部を第2方向に透過するとともに、波長変換素子から第1方向に射出されて入射する第2波長帯の光を第1方向に反射して合成する構成としてもよい。
【0177】
本発明の一つの態様の光源装置において、波長変換素子から射出され、第2光学素子を経由した第1波長帯の光を反射する反射素子をさらに備える構成としてもよい。
【0178】
本発明の一つの態様の光源装置において、波長変換層は、光を散乱させる散乱体を含む構成としてもよい。
【0179】
本発明の一つの態様の光源装置において、第1光学層に沿う平面と波長変換層の光入射面に沿う平面とのなす角度は、10°以上40°以下である構成としてもよい。
【0180】
本発明の一つの態様の光源装置において、第2光学層は、第1波長帯の光および第2波長帯の光を反射し、第3光学層は、第1波長帯の光および第2波長帯の光を反射する構成としてもよい。
【0181】
本発明の一つの態様の光源装置において、基板は、支持面と波長変換層との間に設けられる第4光学層を有する構成としてもよい。
【0182】
本発明の一つの態様の光源装置において、第4光学層は、支持面における波長変換層の周囲の少なくとも一部に設けられている構成としてもよい。
【0183】
本発明の一つの態様の光源装置において、第1光学部材は、波長変換層と接触しないように配置される構成としてもよい。
【0184】
本発明の一つの態様の光源装置において、波長変換層は、開口部の内側に設けられた収容空間に収容され、収容空間に空気層が設けられている構成としてもよい。
【0185】
本発明の一つの態様のプロジェクターは、以下の構成を有していてもよい。
本発明の一つの態様のプロジェクターは、本発明の上記態様の光源装置と、光源装置からの光を画像情報に応じて変調する光変調装置と、光変調装置により変調された光を投射する投射光学装置と、を備える。
【符号の説明】
【0186】
1…プロジェクター、2,2A,2B,2C,2D…光源装置、4B,4G,4R…光変調装置、6…投射光学装置、22…光源、25…波長変換素子、29,129,229,329…第1光学素子、29a…透光性基板、29b…ハーフミラー層(誘電体多層膜)、30,130…第2光学素子、30b,130b…ダイクロイックミラー、31,131…拡散素子、40…反射素子、132…ミラー、230…光学基板、231…モーター(駆動部)、251…蛍光体層(波長変換層)、252…基板、253…第4光学層、254…第1光学部材、255…第2光学部材、256…第3光学部材、260…開口部、1290,1291,1292,1293…光学部材、2511…表面(光入射面)、2521…支持面、2542…第1光学層、2552…第2光学層、2562…第3光学層、A1…面積(蛍光体層の表面の面積)、A2…面積(励起光入射領域の面積)、A3…面積(開口部の面積)、AR…空気層、EL…励起光(第1波長帯の光)、EL1…励起光(第1波長帯の光の一部)、EL2…青色光(第1波長帯の光の一部)、K…気孔(散乱体)、S…収容空間、YL…蛍光(第2波長帯の光)。
図1
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図11A
図11B
図12