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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】情報管理システム及び情報管理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/04 20120101AFI20241001BHJP
【FI】
G06Q50/04
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021036141
(22)【出願日】2021-03-08
(65)【公開番号】P2022136502
(43)【公開日】2022-09-21
【審査請求日】2023-09-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】西吉 大樹
(72)【発明者】
【氏名】佐野 洋平
(72)【発明者】
【氏名】大野 暁
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 大耀
【審査官】阿部 潤
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2008/007493(WO,A1)
【文献】特開2007-025850(JP,A)
【文献】特開2004-287943(JP,A)
【文献】特開2002-183218(JP,A)
【文献】特開2014-048862(JP,A)
【文献】特開2007-314772(JP,A)
【文献】特開2003-196521(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のサプライヤから供給される複数の製品に関する製品情報を格納する記憶部と、
前記複数のサプライヤのうちの第1のサプライヤの第1の製品を使用しているメーカから、当該第1の製品が供給不可となったことを示す通知が受信された場合に、前記複数の製品のうちの、前記第1の製品と類似度の高い1つ以上の第2の製品を判定する判定部と、
前記第2の製品を供給する、前記第1のサプライヤとは異なる1つ以上の第2のサプライヤに、前記第1の製品に関する前記製品情報へのアクセス権限を付与するように制御を行う権限制御部と、
を有する情報管理システム。
【請求項2】
前記類似度は、前記製品の原材料の構成比率に基づいて算出される値である、
請求項1に記載の情報管理システム。
【請求項3】
前記類似度は、前記製品の製品情報のうちアクセス権限が付与されても開示されない非開示データに少なくとも関連する特徴情報に基づいて算出される値である、
請求項1又は2に記載の情報管理システム。
【請求項4】
前記特徴情報は、前記非開示データのみに関連する情報である、
請求項3に記載の情報管理システム。
【請求項5】
前記製品は、塗料であり、
前記類似度は、前記塗料の前記非開示データに関する材料を少なくとも含む塗料の色情報に基づいて算出される値である、
請求項3又は4に記載の情報管理システム。
【請求項6】
複数のサプライヤから供給される複数の製品に関する製品情報を、記憶部に格納し、
前記複数のサプライヤのうちの第1のサプライヤの第1の製品を使用しているメーカから、当該第1の製品が供給不可となったことを示す通知が受信された場合に、前記複数の製品のうちの、前記第1の製品と類似度の高い1つ以上の第2の製品を判定し、
前記第2の製品を供給する、前記第1のサプライヤとは異なる1つ以上の第2のサプライヤに、前記第1の製品に関する前記製品情報へのアクセス権限を付与するように制御を行う、
コンピュータによって実行される情報管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報管理システム及び情報管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、複数のユーザが複数のサプライヤからの部品情報をタイムリーに入手できる部品選択支援システムを開示する。特許文献1にかかる部品選択支援システムは、サプライヤからの部品情報をサプライヤとユーザ以外の第三者である仲介者が管理する管理コンピュータに記憶する。特許文献1にかかる部品選択支援システムは、ユーザが、部品表作成時、ユーザの端末から部品形式を入力したとき、インターネット等通信回線で接続された管理コンピュータのサプライヤ別部品情報格納エリアとユーザ別部品情報格納エリア内から所定の部品情報を検索しユーザの端末に表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-252678号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
製品に品質の不具合が発生した等の理由によりサプライヤから製品が供給されなくなった場合に、その製品の内容を示す情報があれば、代替品を調達することが可能であるように思われる。しかしながら、例えばサプライヤによって供給される塗料の原材料などを示すような製品情報は、一般的に、機密性が高いことが多い。したがって、サプライヤの製品情報を広く公開することは難しい。したがって、サプライヤから製品が供給されなくなった場合に、代替品を調達することが困難であるという課題がある。
【0005】
本発明は、メーカが使用している製品が供給不可となった場合に、サプライヤの機密情報をできる限り保護しつつ、効率的に代替品を調達することを可能とする情報管理システム及び情報管理方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかる情報管理システムは、複数のサプライヤから供給される複数の製品に関する製品情報を格納する記憶部と、前記複数のサプライヤのうちの第1のサプライヤの第1の製品を使用しているメーカから、当該第1の製品が供給不可となったことを示す通知が受信された場合に、前記複数の製品のうちの、前記第1の製品と類似度の高い1つ以上の第2の製品を判定する判定部と、前記第2の製品を供給する、前記第1のサプライヤとは異なる1つ以上の第2のサプライヤに、前記第1の製品に関する前記製品情報へのアクセス権限を付与するように制御を行う権限制御部と、を有する。
【0007】
また、本発明にかかる情報管理方法は、複数のサプライヤから供給される複数の製品に関する製品情報を、記憶部に格納し、前記複数のサプライヤのうちの第1のサプライヤの第1の製品を使用しているメーカから、当該第1の製品が供給不可となったことを示す通知が受信された場合に、前記複数の製品のうちの、前記第1の製品と類似度の高い1つ以上の第2の製品を判定し、前記第2の製品を供給する、前記第1のサプライヤとは異なる1つ以上の第2のサプライヤに、前記第1の製品に関する前記製品情報へのアクセス権限を付与するように制御を行う。
【0008】
アクセス権限が必要な最低限のサプライヤである第2のサプライヤに、代替品の準備に最低限必要な機密情報へのアクセス権限を付与することで、機密情報の開示を極力抑制することができる。また、第1の製品と類似度の高い第2の製品を供給する第2のサプライヤに、第1の製品に関する製品情報へのアクセス権限を付与することで、効率的に、代替品を準備することが可能となる。したがって、本発明は、メーカが使用している製品が供給不可となった場合に、サプライヤの機密情報をできる限り保護しつつ、効率的に代替品を調達することを可能とする。
【0009】
また、好ましくは、前記類似度は、前記製品の原材料の構成比率に基づいて算出される値である。
このような構成により、精度よく類似度を算出することができる。そして、精度よく算出された類似度を用いて第2の製品を判定するので、より容易に代替品を準備できる第2のサプライヤを、より確実に判定することができる。したがって、本発明は、より効率的に代替品を調達することが可能となる。
【0010】
また、好ましくは、前記類似度は、前記製品の製品情報のうちアクセス権限が付与されても開示されない非開示データに少なくとも関連する特徴情報に基づいて算出される値である。
このような構成により、製品情報において全く開示されないデータがあっても、第1の製品にある程度類似した製品を判定することができる。したがって、本発明は、全く開示されないデータがあっても、第1の製品にある程度類似した代替品を供給するサプライヤを判定することが可能となる。
【0011】
また、好ましくは、前記特徴情報は、前記非開示データのみに関連する情報である。
非開示データは、その製品にとって支配的なデータである可能性が高い。したがって、特徴情報を非開示データのみに関連するように構成することで、特徴情報が、その製品の特徴をさらに精度よく示す情報となる可能性が高い。したがって、その特徴情報を用いて類似度を算出することにより、第1の製品とさらに類似する製品を、より精度よく判定できる。これにより、本発明は、全く開示されないデータがあっても、第1の製品により類似した代替品を供給するサプライヤを判定することが可能となる。
【0012】
また、好ましくは、前記製品は、塗料であり、前記類似度は、前記塗料の前記非開示データに関する材料を少なくとも含む塗料の色情報に基づいて算出される値である。
このような構成により、塗料の原材料の構成が開示されない場合であっても、色情報から、ある程度精度の良い類似度を算出することができる。したがって、本発明は、塗料が供給不可となった場合に、その塗料とある程度類似する代替品の塗料を供給するサプライヤを判定することが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、メーカが使用している製品が供給不可となった場合に、サプライヤの機密情報をできる限り保護しつつ、効率的に代替品を調達することを可能とする情報管理システム及び情報管理方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施の形態1にかかる情報管理システムを示す図である。
図2】実施の形態1にかかる記憶部に格納される製品情報を例示する図である。
図3】実施の形態1にかかる情報管理システムの構成を示す機能ブロック図である。
図4】実施の形態1にかかる情報管理システムによって実行される情報管理方法を示すフローチャートである。
図5】実施の形態2にかかる記憶部に格納される製品情報を例示する図である。
図6】実施の形態2にかかる情報管理システムの構成を示す機能ブロック図である。
図7】実施の形態2にかかる類似度算出部による類似度を算出する方法を説明するための図である。
図8】実施の形態2にかかる情報管理システムによって実行される情報管理方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(実施の形態1)
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略、及び簡略化がなされている。また、各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0016】
図1は、実施の形態1にかかる情報管理システム1を示す図である。情報管理システム1は、メーカ装置10と、サプライヤ装置20と、情報管理装置100と、記憶部50とを有する。情報管理装置100は、メーカ装置10及びサプライヤ装置20と、有線又は無線のネットワーク2を介して通信可能に接続されている。ネットワーク2は、例えばインターネットであってもよいし、LAN(Local Area Network)であってもよい。
【0017】
記憶部50は、例えばデータベース(DB)である。情報管理装置100は、記憶部50に記憶される情報を管理する。具体的には、情報管理装置100は、記憶部50に情報を格納する。また、情報管理装置100は、必要に応じて、格納されている情報を閲覧可能とする。なお、記憶部50は、情報管理装置100と物理的に一体であってもよい。記憶部50は、情報管理装置100に内蔵されていてもよい。また、記憶部50は、記憶された情報を外部から閲覧可能とするウェブサイト(ウェブサーバ)を実現してもよい。
【0018】
メーカ装置10は、例えばコンピュータ等の情報処理装置として機能する。メーカ装置10は、生産品(完成品等)を生産するメーカによって管理される。メーカ装置10は、サーバであってもよいし、端末であってもよいし、サーバと端末の両方の機能を有してもよい。メーカ装置10は、メーカごとに1つ以上設けられ得る。また、メーカが複数あれば、メーカ装置10も複数存在し得る。
【0019】
サプライヤ装置20は、例えばコンピュータ等の情報処理装置として機能する。サプライヤ装置20は、生産品に使用される製品を生産してメーカに供給するサプライヤによって管理される。つまり、メーカは、サプライヤから製品を調達している。製品は、例えば、部品、塗料、潤滑剤及び鋼板であるが、これらに限定されない。サプライヤ装置20は、サーバであってもよいし、端末であってもよいし、サーバと端末の両方の機能を有してもよい。なお、サプライヤ装置20は、サプライヤごとに1つ以上設けられ得る。サプライヤが複数あれば、サプライヤ装置20も複数存在し得る。
【0020】
サプライヤ装置20は、このサプライヤ装置20を管理するサプライヤが供給する製品に関する情報である製品情報を、情報管理装置100に送信する。情報管理装置100は、受信された製品情報を、記憶部50に格納する。これにより、記憶部50は、製品情報を記憶する。
【0021】
製品情報は、対応する製品の仕様を示してもよい。例えば、製品情報は、対応する製品の原材料を示してもよい。例えば、製品情報は、対応する製品の原材料の構成比率を示してもよい。なお、製品情報は、機密情報を含む。したがって、製品情報は、対応する製品を供給可能な通常時では、対応するサプライヤの外部に開示されない。また、製品情報に含まれる情報は、対応する製品の供給を受けるメーカからの指示によって、適宜定められてもよい。
【0022】
なお、サプライヤ装置20と同様に、メーカ装置10は、このメーカ装置10を管理するメーカに関する情報であるメーカ情報を、情報管理装置100に送信してもよい。この場合、情報管理装置100は、受信されたメーカ情報を、記憶部50に格納する。これにより、記憶部50は、メーカ情報を記憶する。メーカ情報は、例えば、対応するメーカによって生産される生産品に関する情報を含んでもよい。
【0023】
また、メーカ装置10は、ネットワーク2を介して、メーカ装置10を管理するメーカの管理者の操作等に応じて、記憶部50に記憶された情報にアクセスできる。メーカ装置10は、例えばウェブブラウザを用いて、記憶部50に記憶された情報にアクセスしてもよい。その際、メーカ装置10は、情報の閲覧を要求するための信号(閲覧要求)を、情報管理装置100に送信する。閲覧要求は、例えば、メーカ装置10の識別情報(IPアドレス等)及びアクセス先の情報の識別情報を含んでもよい。情報管理装置100は、閲覧要求に応じて、ネットワーク2を介して、メーカ装置10に、アクセスされた情報を送信する。これにより、メーカ装置10の管理者は、他社の情報を閲覧することができる。なお、この場合であっても、メーカ装置10は、アクセス権限がない機密情報にアクセスすることはできない。言い換えると、メーカ装置10の管理者は、アクセス権限がない機密情報を閲覧することはできない。したがって、メーカ装置10は、アクセス権限がなければ、機密情報であるサプライヤの製品情報にアクセスすることはできない。
【0024】
同様にして、サプライヤ装置20は、ネットワーク2を介して、記憶部50に記憶された情報にアクセスできる。これにより、サプライヤ装置20の管理者は、他社の情報を閲覧することができる。なお、この場合であっても、サプライヤ装置20は、アクセス権限がない機密情報にアクセスすることはできない。言い換えると、サプライヤ装置20の管理者は、アクセス権限がない機密情報を閲覧することはできない。したがって、サプライヤ装置20は、アクセス権限がなければ、対応するサプライヤとは異なる他のサプライヤの製品情報にアクセスすることはできない。
【0025】
また、メーカ装置10は、対応するメーカにおいて生産されている生産品に使用されている製品の供給が不可となった場合に、供給不可通知を、ネットワーク2を介して、情報管理装置100に送信する。供給不可通知については後述する。なお、製品が供給不可となる場合とは、例えば、その製品の品質に不具合が発生した場合、その製品の原材料をサプライヤが調達できない場合、又は、製品を生産するサプライヤの工場が罹災した場合等である。
【0026】
情報管理装置100は、供給不可通知を受信すると、供給不可となった製品に類似する製品を供給するサプライヤに、供給不可となった製品の製品情報へのアクセス権限を付与する。詳しくは後述する。これにより、そのサプライヤのサプライヤ装置20は、供給不可となった製品の製品情報にアクセスすることが可能となる。そして、そのサプライヤの管理者は、サプライヤ装置20を用いてその製品情報(機密情報)を閲覧することが可能となる。なお、この場合、供給不可通知を送信したメーカ装置10に関するメーカに対しても、同様に、供給不可となった製品の製品情報へのアクセス権限を付与してもよい。
【0027】
ここで、記憶部50は、サプライヤの機密情報を格納するので、情報管理装置100の管理者は、情報管理装置100を操作しても機密情報の内容を理解できないことが好ましい。そのためには、情報管理装置100の管理者は、機密情報に関する技術分野とは全く異なる分野を専門としていることが好ましい。あるいは、情報管理装置100は、情報管理装置100を操作しても機密情報を閲覧することができないように、記憶部50の情報を管理してもよい。
【0028】
図2は、実施の形態1にかかる記憶部50に格納される製品情報を例示する図である。記憶部50は、複数のサプライヤについての製品情報を格納する。また、記憶部50は、複数のサプライヤそれぞれから供給される製品を示す製品情報を格納する。したがって、記憶部50は、複数のサプライヤから供給される複数の製品に関する製品情報を格納する。
【0029】
図2は、製品が塗料である場合の製品情報を例示している。また、図2には、3つの塗料A、塗料B及び塗料Cに関する製品情報が例示されている。各製品について、製品情報は、対応する製品の識別情報(製品ID)と、その製品を供給するサプライヤの識別情報(サプライヤID)と、その製品の原材料を示す原材料データとを含む。図2の例では、塗料AはサプライヤXによって供給される。また、塗料BはサプライヤYによって供給される。また、塗料CはサプライヤZによって供給される。なお、製品情報において、「塗料A」は、塗料Aの識別情報を示してもよい。このことは他の塗料についても同様である。また、製品情報において、「サプライヤX」は、サプライヤXの識別情報を示してもよい。このことは他のサプライヤについても同様である。
【0030】
また、原材料データは、各製品の原材料と、その原材料の当該製品における構成比率とを示す。図2の例では、原材料データは、材料a、材料b、材料c、材料d及び材料eを示している。製品が塗料である場合、材料は、例えば、顔料、樹脂、添加剤又は溶剤に対応し得る。例えば、「材料a」は、顔料の種類を示してもよい。図2の例では、塗料Aにおいて、材料aの構成比率は10%であり、材料bの構成比率は8%であり、材料cの構成比率は7%であり、材料dの構成比率は6%であり、材料eの構成比率は5%である。また、図2の例では、塗料Bにおいて、材料aの構成比率は10%であり、材料bの構成比率は8%であり、材料cの構成比率は6%であり、材料dの構成比率は6%であり、材料eの構成比率は5%である。また、図2の例では、塗料Cにおいて、材料aの構成比率は10%であり、材料bの構成比率は8%であり、材料cの構成比率は5%であり、材料dの構成比率は6%であり、材料eの構成比率は4%である。
【0031】
また、製品情報は、対応する製品がメーカに採用されているか否かを示すステータスを含む。図2の例では、塗料Aの製品情報のステータスは、「採用中」を示している。つまり、サプライヤXによって供給される塗料Aが、メーカに採用されており、したがって、メーカは、塗料Aを調達している。一方、塗料B及び塗料Cの製品情報のステータスは、「採用候補」を示している。つまり、サプライヤYによって供給される塗料B及びサプライヤZによって供給される塗料Cは、現在、メーカに採用されていない。なお、ステータスが「採用候補」を示している場合、ステータスは、候補順位を示してもよい。候補順位は、後述する類似度に応じて定められてもよい。
【0032】
また、「採用候補」である製品の製品情報は、対応する製品と「採用中」の製品との類似の度合いを示す類似度を含み得る。類似度は、原材料データに基づいて算出される。類似度については後述する。
【0033】
図3は、実施の形態1にかかる情報管理システム1の構成を示す機能ブロック図である。情報管理装置100は、ハードウェア構成として、CPU101(Central Processing Unit)、ROM102(Read Only Memory)、RAM103(Random Access Memory)、I/O104(Input/Output)及びUI105(User Interface)を有する。なお、メーカ装置10及びサプライヤ装置20も、これらのハードウェア構成を有し得る。
【0034】
CPU101は、制御処理及び演算処理等を行う処理デバイス(プロセッサ)としての機能を有する。ROM102は、CPU101によって実行される制御プログラム及び演算プログラム等を記憶するストレージとしての機能を有する。ROM102は、データベースを含み得る。なお、記憶部50は、ROM102によって実現されてもよい。RAM103は、処理データ等を一時的に記憶するメモリとしての機能を有する。I/O104は、通信装置及び入出力装置であり、外部からデータ及び信号を入力し、外部にデータ及び信号を出力する。UI105は、例えばキーボード等の入力デバイスと、例えばディスプレイ等の出力デバイスとから構成される。なお、UI105は、入力デバイスと出力デバイスとが一体となったタッチパネルとして構成されてもよい。また、UI105は、マイク及びスピーカを有してもよい。
【0035】
また、情報管理装置100は、構成要素として、情報取得部110と、情報格納部112と、アクセス処理部120と、類似度算出部130と、供給不可通知受信部140と、判定部150と、権限制御部160とを有する。なお、情報管理装置100の各構成要素の1つ以上は、情報管理装置100とは別の装置(例えばメーカ装置10)によって実現されてもよい。また、情報管理装置100の各構成要素は、物理的に1つの装置によって実現されることに限定されず、例えばクラウドコンピューティング等により複数の装置によって実現されてもよい。つまり、情報管理装置100は、物理的に複数の装置で構成されてもよい。これらのことは、後述する他の実施の形態においても同様である。
【0036】
なお、これらの構成要素は、CPU101がROM102に記憶されたプログラムを実行することによって実現可能である。また、情報管理装置100は、必要なプログラムを任意の不揮発性記録媒体に記録しておき、必要に応じてそのプログラムをインストールするようにしてもよい。なお、情報管理装置100の各構成要素は、上記のようにソフトウェアによって実現されることに限定されず、何らかの回路素子等のハードウェアによって実現されてもよい。また、情報管理装置100の各構成要素は、例えばFPGA(field-programmable gate array)又はマイコン等の、ユーザがプログラミング可能な集積回路を用いて実現してもよい。この場合、この集積回路を用いて、上記の各構成要素から構成されるプログラムを実現してもよい。上記のことは、後述する他の実施の形態においても同様である。
【0037】
情報取得部110は、製品情報を取得する。情報取得部110は、I/O104により、製品情報を受信する。具体的には、情報取得部110は、ネットワーク2を介して、サプライヤ装置20から、製品情報を取得する。なお、情報取得部110は、ネットワーク2を介して、メーカ装置10から、メーカ情報を取得してもよい。
【0038】
情報格納部112は、情報取得部110によって取得された情報を、記憶部50に格納する。具体的には、情報格納部112は、製品情報を、記憶部50に格納する。その際に、情報格納部112は、機密情報である製品情報に対し、アクセスを行った装置にアクセス権限がなければその装置に対して閲覧できないようにするための処理(例えば暗号化等)を行ってもよい。なお、情報格納部112は、機密情報でない閲覧可能情報(例えばメーカ情報)を記憶部50に格納してもよい。その際に、情報格納部112は、外部の装置からアクセスがあった場合に、閲覧可能情報を閲覧可能とするための処理を行ってもよい。
【0039】
アクセス処理部120は、他の装置(サプライヤ装置20等)から記憶部50に記憶された情報にアクセスがあった場合に、その装置に対して情報を閲覧可能とするための処理を行う。以下、サプライヤ装置20からアクセスがあった場合について説明するが、他の装置からアクセスがあった場合についても同様である。
【0040】
具体的には、アクセス処理部120は、ネットワーク2を介して、サプライヤ装置20から閲覧要求を取得する。アクセス処理部120は、I/O104によって閲覧要求を受信する。閲覧要求に対応する情報(閲覧対象の情報)が閲覧可能情報である場合、アクセス処理部120は、閲覧要求に含まれる識別情報(IPアドレス等)のサプライヤ装置20に対して、閲覧対象の情報を、サプライヤ装置20において閲覧可能となるように送信する。アクセス処理部120は、I/O104によって情報を送信する。これにより、サプライヤ装置20は、情報(閲覧可能情報)を受信して、ディスプレイ等に情報を表示する。
【0041】
一方、閲覧要求に対応する情報が機密情報である製品情報である場合、アクセス処理部120は、閲覧要求に含まれる識別情報に対応するサプライヤ装置20(その装置を管理するサプライヤ)に、その製品情報(機密情報)へのアクセス権限があるか否かを判定する。なお、アクセス権限については、後述する権限制御部160によって付与され得る。そして、そのサプライヤ装置20(その装置を管理するサプライヤ)にその製品情報(機密情報)へのアクセス権限がある場合、アクセス処理部120は、閲覧可能情報へのアクセスの場合と同様に、その製品情報を、閲覧要求に含まれる識別情報に対応するサプライヤ装置20に送信する。
【0042】
一方、そのサプライヤ装置20(その装置を管理するサプライヤ)にその製品情報(機密情報)へのアクセス権限がない場合、アクセス処理部120は、その製品情報を、閲覧要求に含まれる識別情報に対応するサプライヤ装置20に送信しない。つまり、アクセス処理部120は、そのサプライヤ装置20のその製品情報(機密情報)へのアクセスを禁止する。そして、アクセス処理部120は、この情報へのアクセス権限がない旨を示す情報を、サプライヤ装置20に送信してもよい。
【0043】
類似度算出部130は、採用候補である製品について、採用中の製品との類似度を算出する。具体的には、類似度算出部130は、各採用候補の製品の原材料データと採用中の製品の原材料データとを用いて、類似度を算出する。したがって、類似度は、各採用候補の製品の原材料データと採用中の製品の原材料データとがどれだけ類似しているかを示している。類似度算出部130は、算出された類似度を、記憶部50に格納された、対応する製品に関する製品情報の、類似度の項目に格納する。
【0044】
なお、類似度算出部130が類似度を算出する方法は、様々なものが考えられる。類似度算出部130は、例えば、ユークリッド距離又はコサイン類似度を用いて、類似度を算出してもよい。あるいは、類似度算出部130は、以下の方法によって、類似度を算出してもよい。
【0045】
例えば、類似度算出部130は、採用候補の製品と採用中の製品とで、原材料データの項目(材料の種類)において、各材料の構成比率が互いに一致している項目の割合を、類似度として算出してもよい。言い換えると、類似度算出部130は、原材料データの全項目に対する、採用候補の製品と採用中の製品とで構成比率が互いに一致している項目の割合を、類似度として算出してもよい。具体的には、類似度算出部130は、原材料データにおける各材料について、採用候補の製品における構成比率が採用中の製品における構成比率と一致しているか否かを判定し、構成比率が一致している材料(項目)の数をカウントする。そして、類似度算出部130は、原材料データにおける材料(項目)の全ての数に対する、構成比率が一致している材料(項目)の数の割合を、類似度として算出する。
【0046】
図2の例を用いて説明する。なお、原材料データの項目数は全部で10個であるとする。まず、採用中の塗料Aと採用候補である塗料Bとの類似度を算出する場合について説明する。塗料Bにおける材料aの構成比率は、塗料Aにおける材料aの構成比率と一致している。同様に、塗料Aと塗料Bとで、材料b、材料d及び材料eの構成比率は、互いに一致している。一方、塗料Bにおける材料cの構成比率は、塗料Aにおける材料cの構成比率と一致していない。なお、他の5個の材料の構成比率については、塗料Aと塗料Bとで、互いに一致しているとする。この場合、塗料Aと塗料Bとで構成比率が一致している材料(項目)の数は、9個である。したがって、類似度算出部130は、塗料Bの類似度を、9/10×100=90[%]と算出する。
【0047】
次に、採用中の塗料Aと採用候補である塗料Cとの類似度を算出する場合について説明する。塗料Cにおける材料aの構成比率は、塗料Aにおける材料aの構成比率と一致している。同様に、塗料Aと塗料Bとで、材料b及び材料dの構成比率は、互いに一致している。一方、塗料Bにおける材料cの構成比率は、塗料Aにおける材料cの構成比率と一致していない。同様に、塗料Bにおける材料eの構成比率は、塗料Aにおける材料eの構成比率と一致していない。また、他の5個の材料の構成比率については、塗料Aと塗料Bとで、互いに一致しているとする。この場合、塗料Aと塗料Bとで構成比率が一致している材料(項目)の数は、8個である。したがって、類似度算出部130は、塗料Cの類似度を、8/10×100=80[%]と算出する。
【0048】
なお、原材料データを用いて類似度を算出する際、塗料が類似しているかを判断するときに重視すべき材料については、重みづけをしてもよい。例えば、材料aが重視すべき材料であって材料aの構成比率が一致していない場合は、構成比率が一致している材料(項目)の数をカウントする際に、「材料a」を「0個」ではなく「-1個」とカウントしてもよい。また、材料bが材料aよりもさらに重視すべき材料であって材料bの構成比率が一致していない場合は、構成比率が一致している材料(項目)の数をカウントする際に、「材料b」を「0個」ではなく「-2個」とカウントしてもよい。これにより、重視すべき材料の構成比率が一致しない場合に、その材料を「0個」とカウントする場合よりも、類似度を下げることができる。
【0049】
あるいは、類似度算出部130は、例えば、各材料の構成比率を成分とするユークリッド距離Dを算出することによって、類似度を算出してもよい。具体的には、類似度算出部130は、各材料について、採用中の製品における構成比率と各採用候補の製品における構成比率との差分を算出する。そして、類似度算出部130は、各材料について算出された差分の2乗の和の平方根を計算することにより、ユークリッド距離Dを算出する。そして、類似度算出部130は、ユークリッド距離Dが小さいほど高くなるような類似度を算出してもよい。例えば、類似度算出部130は、類似度を1/(1+D)としてもよい。この場合、類似度が1に近いほど、類似度が高いといえる。
【0050】
図2の例を用いて説明する。なお、原材料データの項目数は全部で10個であるとする。また、材料a~材料e以外の5個の材料の構成比率については、塗料A、塗料B及び塗料Cそれぞれについて互いに同じであるとする。まず、採用中の塗料Aと採用候補である塗料Bとの類似度を算出する場合について説明する。塗料Bにおける材料aの構成比率と、塗料Aにおける材料aの構成比率との差は、0である。同様に、塗料Aと塗料Bとで、材料b、材料d及び材料eの構成比率の差は、それぞれ0である。一方、塗料Bにおける材料cの構成比率と、塗料Aにおける材料cの構成比率との差は、1%である。なお、他の5個の材料の構成比率については、塗料Aと塗料Bとで、差は0である。したがって、類似度算出部130は、塗料Aと塗料Bとの間のユークリッド距離Dを、√{1}=1と算出する。この場合、類似度算出部130は、塗料Bの類似度を、1/(1+D)=0.5と算出する。
【0051】
次に、採用中の塗料Aと採用候補である塗料Cとの類似度を算出する場合について説明する。塗料Cにおける材料aの構成比率と、塗料Aにおける材料aの構成比率との差は、0である。同様に、塗料Aと塗料Bとで、材料b及び材料dの構成比率の差は、それぞれ0である。一方、塗料Bにおける材料cの構成比率と、塗料Aにおける材料cの構成比率との差は、2%である。また、塗料Bにおける材料eの構成比率と、塗料Aにおける材料eの構成比率との差は、1%である。なお、他の5個の材料の構成比率については、塗料Aと塗料Bとで、差は0である。したがって、類似度算出部130は、塗料Aと塗料Cとの間のユークリッド距離Dを、√{2+1}=2.24と算出する。この場合、類似度算出部130は、塗料Bの類似度を、1/(1+D)=0.31と算出する。
【0052】
なお、原材料データを用いて類似度を算出する際、塗料が類似しているかを判断するときに重視すべき材料については、重みづけをしてもよい。例えば、材料aが重視すべき材料である場合、材料aの構成比率の差の2乗に1以上の重み係数を乗算した上で、ユークリッド距離を計算してもよい。
【0053】
供給不可通知受信部140は、供給不可通知を受信する。具体的には、供給不可通知受信部140は、メーカ装置10から供給不可通知を受信する。供給不可通知受信部140は、I/O104によって供給不可通知を受信する。ここで、供給不可通知は、メーカにおいて生産されている生産品に使用されている製品の供給が不可となったことを示す。なお、供給不可通知は、管理者がメーカ装置10を操作することによってメーカ装置10から送信されてもよい。あるいは、ある生産工程でその製品に不具合が発見された場合等では、メーカ装置10は、供給不可通知を、管理者の操作なしに自動的に送信してもよい。
【0054】
なお、供給不可通知には、供給が不可となった製品を示す情報が含まれている。供給不可通知は、供給が不可となった製品の識別情報を含み得る。また、供給不可通知は、その製品を供給していたサプライヤの識別情報を含んでもよい。なお、供給不可通知は、管理者の操作によって生成されてもよい。あるいは、供給が不可となった製品をメーカ装置10が自動的に特定することによって、供給不可通知が自動的に生成されてもよい。
【0055】
判定部150は、供給不可通知が受信された場合に、供給が不可となった製品に類似する製品を判定する。つまり、判定部150は、サプライヤ(第1のサプライヤ)からの供給が不可となった製品(供給不可製品;第1の製品)と類似度の高い製品(類似製品;第2の製品)を判定する。具体的には、判定部150は、供給不可通知から、供給不可となった製品を判定する。判定部150は、記憶部50に格納された製品情報を用いて、採用候補の製品のうち、採用されている供給不可製品との類似度が最も高い製品を、類似製品であると判定する。さらに、判定部150は、類似製品を供給するサプライヤを判定してもよい。
【0056】
権限制御部160は、供給不可通知が受信された場合に、少なくとも、類似度の高い製品(類似製品)を供給するサプライヤ(第2のサプライヤ)に、供給不可製品に関する製品情報へのアクセス権限を付与するように制御を行う。なお、類似製品を生産するサプライヤ(第2のサプライヤ)は、供給不可製品を生産するサプライヤ(第1のサプライヤ)と異なる。また、権限制御部160は、機密情報を含む、供給不可製品に関する製品情報へのアクセス権限を、判定部150によって判定された類似製品を供給するサプライヤ(代替サプライヤ)に付与する。これにより、後述するように、代替サプライヤにおいて、供給不可製品の代替品を準備することが可能となる。
【0057】
ここで、権限制御部160によって付与されるアクセス権限は、一時的なものであることが好ましい。つまり、代替品の準備が終了した場合等に、権限制御部160は、代替サプライヤに付与されたアクセス権限を破棄してもよい。これにより、サプライヤの機密情報の保護を、可能な限り行うことができる。また、権限制御部160は、代替サプライヤだけでなく、メーカに対しても、アクセス権限を付与してもよい。
【0058】
権限制御部160が、機密情報へのアクセス権限を代替サプライヤに付与するように制御を行うと、アクセス処理部120は、その代替サプライヤのサプライヤ装置20からの、供給不可製品に関する製品情報への閲覧要求に応じて、機密情報を含む製品情報へのアクセスを許可する。そして、アクセス処理部120は、その製品情報を、その代替サプライヤのサプライヤ装置20において閲覧可能となるように、サプライヤ装置20に送信する。代替サプライヤは、その製品情報を用いて、代替品を準備することができる。
【0059】
図2の例を用いて判定部150及び権限制御部160の処理の具体例を説明する。採用中の塗料Aが、サプライヤXから供給できなくなったとする。この場合、供給不可通知受信部140は、塗料Aを示す供給不可通知を受信する。判定部150は、製品情報の類似度を参照して、塗料Aと最も類似度の高い塗料が、塗料Bであると判定する。つまり、判定部150は、塗料Bを類似製品であると判定する。権限制御部160は、塗料Bを供給するサプライヤYに、塗料Aに関する製品情報へのアクセス権限を付与する。
【0060】
これにより、サプライヤYは、採用中であり供給不可製品である、サプライヤXの塗料Aに関する製品情報を参照して、塗料Aの代替品を準備することが可能となる。例えば、サプライヤYは、塗料Aの製品情報を参照して、自己が生産している塗料Bの原材料と、塗料Aの原材料とで、構成比率が異なる材料を把握することができる。つまり、サプライヤYは、自己が生産している塗料Bの原材料と、塗料Aの原材料との差分を把握することができる。そして、サプライヤYは、その差分を補填するようにすることで、塗料Aの代替品を生産することができる。つまり、サプライヤYは、塗料Bの原材料の構成比率を調整することによって、塗料Aの代替品を生産することが可能となる。具体的には、サプライヤYは、自己の塗料Bにおいて塗料Aとは構成比率が異なる材料の構成比率を、塗料Aにおける構成比率に合わせることによって、代替品を生産することができる。
【0061】
ここで、採用中の塗料Aと最も類似する塗料Bよりも類似度の低い塗料Cを供給するサプライヤZに、塗料Aに関する製品情報へのアクセス権限を付与することを考える。塗料Cと塗料Aとで構成比率が異なる材料は、塗料Bと塗料Aとで構成比率が異なる材料よりも多い。したがって、サプライヤZが、自己が生産している塗料Cの原材料と塗料Aの原材料との差分を補填することは、サプライヤYが上述した差分を補填することよりも、容易ではない可能性が高い。したがって、サプライヤZが塗料Aの代替品を生産することは、サプライヤYが塗料Aの代替品を生産することよりも容易でない可能性が高い。したがって、サプライヤZに塗料Aに関する製品情報へのアクセス権限を付与しても、サプライヤYが代替品を供給するよりも効率的に、サプライヤZが代替品を供給する可能性は、極めて低い。
【0062】
したがって、供給不可製品(第1の製品)と類似度の高い類似製品(第2の製品)を供給するサプライヤ(第2のサプライヤ)に、供給不可製品に関する製品情報へのアクセス権限を付与することで、効率的に、代替品を準備することが可能となる。なお、そもそも、採用中の製品の製品情報が代替サプライヤに開示されなければ、代替サプライヤは、どのようにして代替品を生成すればよいか把握できない。したがって、代替サプライヤに採用中の製品の製品情報へのアクセス権限を付与することで、代替サプライヤは、容易に代替品を生産することができる。
【0063】
また、実施の形態1では、メーカが使用している製品が供給不可となった場合に、類似製品(第2の製品)を供給するサプライヤ(第2のサプライヤ)に、供給不可製品に関する製品情報へのアクセス権限を付与する。これにより、アクセス権限が必要な最低限のサプライヤに、代替品の準備に最低限必要な機密情報へのアクセス権限を付与することができる。したがって、機密情報の開示を極力抑制することができる。したがって、実施の形態1にかかる情報管理システム1は、メーカが使用している製品が供給不可となった場合に、サプライヤの機密情報をできる限り保護しつつ、効率的に代替品を調達することを可能とする。つまり、機密情報の保護と、代替品の調達とのバランスを取ることが可能となる。
【0064】
また、実施の形態1において、類似度は、製品の原材料の構成比率に基づいて算出される値である。これにより、精度よく類似度を算出することができる。そして、精度よく算出された類似度を用いて類似製品(第2の製品)を判定するので、より容易に代替品を準備できる代替サプライヤ(第2のサプライヤ)を、より確実に判定(選択)することができる。したがって、より効率的に代替品を調達することが可能となる。
【0065】
図4は、実施の形態1にかかる情報管理システム1によって実行される情報管理方法を示すフローチャートである。図4の処理は、主に、情報管理装置100によって実行される。情報取得部110は、上述したように、製品情報を取得する(ステップS102)。情報格納部112は、上述したように、S102の処理で取得された情報を、記憶部50に格納する(ステップS104)。類似度算出部130は、上述したように、採用候補である製品について、採用中の製品との類似度を算出する(ステップS106)。なお、S102~S106の処理は、サプライヤ装置20から製品情報が送信されるごとに、実行され得る。
【0066】
供給不可通知受信部140は、上述したように、供給不可通知を受信する(ステップS112)。なお、S112以降の処理は、採用中の製品が供給不可とならなければ、実行されない。判定部150は、上述したように、供給不可通知を用いて供給不可製品を判定する(ステップS114)。判定部150は、上述したように、供給不可製品と類似度の高い類似製品を判定する(ステップS116)。権限制御部160は、上述したように、類似製品を供給する代替サプライヤに、供給不可製品に関する製品情報へのアクセス権限を付与する(ステップS118)。
【0067】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。実施の形態2においては、類似度を算出する元となる情報が、実施の形態1と異なる。なお、実施の形態2にかかる情報管理システム1の構成については、図1に示したものと実質的に同様であるので、説明を省略する。
【0068】
図5は、実施の形態2にかかる記憶部50に格納される製品情報を例示する図である。実施の形態1と同様に、記憶部50は、複数のサプライヤから供給される複数の製品に関する製品情報を格納する。また、図2と同様に、図5には、3つの塗料A、塗料B及び塗料Cに関する製品情報が例示されている。また、図2の例と同様に、図5の例では、各製品について、製品情報は、対応する製品の識別情報(製品ID)と、サプライヤの識別情報(サプライヤID)と、対応する製品に関する原材料データと、対応する製品に関するステータスとを含む。
【0069】
ここで、上述した実施の形態1では、製品情報の原材料データの内容は、全て、ブラックボックス化(秘匿化、非開示化、不明化)されていない。つまり、製品情報の原材料データの内容は、全て、アクセス権限がある限り閲覧され得る。したがって、類似度を算出する際に、原材料データの全ての項目を用いることができる。そして、製品情報に対してアクセス権限があるサプライヤのサプライヤ装置20は、その製品情報の全ての内容にアクセスすることができる。つまり、アクセス権限があるサプライヤは、その製品情報の全ての内容を閲覧することができる。
【0070】
これに対し、実施の形態2にかかる製品情報は、非開示化(ブラックボックス化)されたデータを含む。つまり、実施の形態2にかかる製品情報は、その製品情報へのアクセス権限があれば閲覧可能な開示データと、その製品情報へのアクセス権限があっても閲覧できない非開示データとを含む。ここで、本明細書において、「非開示」とは、アクセス権限があっても閲覧することができないことをいう。そして、非開示データそのもの(非開示データが示す値など)は、製品情報にデータとして含まれてはいるが暗号化等によって完全に秘匿化されていてもよい。あるいは、非開示データそのものは、製品情報にデータとして含まれてすらいなくてもよい。この場合、製品情報において、非開示データに対応する値は、ブランクとなっている。例えば、非開示データは、製品情報において、「Null」又は「Blank」を示してもよい。
【0071】
図5の例では、各製品情報について、原材料データの材料a及び材料bの構成比率は、開示データに対応する。一方、各製品情報について、原材料データの材料c、材料d及び材料eの構成比率は、非開示データに対応する。図5の例では、塗料Aにおいて、材料aの構成比率は10%であり、材料bの構成比率は8%である。一方、塗料Aにおいて、材料c、材料d及び材料eの構成比率は、非開示データに対応するので、不明である。なお、塗料Aにおいて、材料a~材料e以外の材料の構成比率は、開示データに対応するとする。
【0072】
また、図5の例では、塗料Bにおいて、材料aの構成比率は10%であり、材料bの構成比率は7%である。一方、塗料Bにおいて、材料c、材料d及び材料eの構成比率は、非開示データに対応するので、不明である。なお、塗料Bにおいて、材料a~材料e以外の材料の構成比率は、開示データに対応するとする。
【0073】
また、図5の例では、塗料Cにおいて、材料aの構成比率は9%であり、材料bの構成比率は7%である。一方、塗料Cにおいて、材料c、材料d及び材料eの構成比率は、非開示データに対応するので、不明である。なお、塗料Cにおいて、材料a~材料e以外の材料の構成比率は、開示データに対応するとする。
【0074】
なお、サプライヤは、製品の重要な項目を秘匿化する傾向がある。したがって、非開示データは、その製品において、重要な項目に関するものである可能性が高い。言い換えると、非開示データは、その製品においてその製品の仕様及び性能を左右する支配的な項目に関する可能性が高い。
【0075】
また、実施の形態1と同様に、実施の形態2において、「採用候補」である製品の製品情報は、対応する製品と「採用中」の製品との類似の度合いを示す類似度を含み得る。ここで、実施の形態2にかかる製品情報は、開示データに基づいて算出された類似度と、非開示データに基づいて算出された類似度とを含み得る。類似度については後述する。
【0076】
図6は、実施の形態2にかかる情報管理システム1の構成を示す機能ブロック図である。実施の形態1と同様に、情報管理装置100は、ハードウェア構成として、CPU101、ROM102、RAM103、I/O104及びUI105を有する。
【0077】
また、情報管理装置100は、構成要素として、情報取得部110と、情報格納部112と、アクセス処理部120と、特徴情報取得部210と、類似度算出部230と、供給不可通知受信部140と、判定部150と、権限制御部160とを有する。なお、特徴情報取得部210及び類似度算出部230以外の構成要素については、実施の形態1にかかるものと実質的に同様の機能を有するので、適宜、説明を省略する。
【0078】
特徴情報取得部210は、各製品に関する特徴を示す特徴情報を取得する。ここで、特徴情報は、非開示データに少なくとも関連する情報である。なお、上述したように、非開示データは対応する製品において重要な項目である可能性が高い。したがって、特徴情報は、非開示データのみに関連する情報であってもよい。以下の説明では、特徴情報が、非開示データのみに関連する情報である場合について説明する。
【0079】
なお、特徴情報は、各製品情報に関する製品を供給するサプライヤによって提供されてもよい。この場合、情報取得部110は、製品情報を取得する際に、その製品情報に対応する特徴情報を取得してもよい。そして、情報格納部112は、その特徴情報を、対応する製品情報と対応付けて記憶部50に格納してもよい。この場合、特徴情報取得部210は、記憶部50から特徴情報を取得してもよい。あるいは、特徴情報は、サプライヤから提供された、特徴情報を生成するために使用される物体を用いて取得されてもよい。この場合、特徴情報取得部210は、その物体を分析することによって、特徴情報を取得してもよい。
【0080】
製品が塗料である場合、特徴情報は、例えば、ある製品情報に対応する塗料の非開示データに関する項目の材料で生産される塗料(特徴塗料)の色情報である。色情報は、例えば、RGB値(R(Red)、G(Green)及びB(Blue)それぞれの値)を示してもよい。ここで、特徴情報は、例えば、非開示データに関する項目の材料の構成比率で生成される塗料の色情報である。例えば、特徴情報(色情報)に関連する塗料は、非開示データに関する項目の材料それぞれが開示されていない構成比率の比で構成されるように、生成されたものである。
【0081】
例えば、図5の例において、塗料Aについて、塗料Aの材料cの構成比率がRAc%、材料dの構成比率がRAd%、材料eの構成比率がRAe%であるとする。なお、RAc、RAd及びRAeの値は、その製品のサプライヤ以外には非開示である。この場合、塗料Aの製品情報に対応する特徴情報に関する塗料A’(特徴塗料)は、材料c、材料d及び材料eの構成比率の比が、RAc:RAd:RAeとなるように生成される。また、塗料A’は、材料cの構成比率をRAc%、材料dの構成比率をRAd%、材料eの構成比率をRAe%とし、残りを溶剤とするように、生成されてもよい。つまり、このときの溶剤の構成比率は、100-(RAc+RAd+RAe)[%]となる。これらのことは、塗料B及び塗料Cについても同様である。
【0082】
また、サプライヤから製品情報が提供される際に、サプライヤから、その製品情報に関する塗料に対応する特徴塗料(上記の例の塗料A’)の色情報(RGB値)が、特徴情報として提供されてもよい。この場合、サプライヤ装置20は、その製品情報と色情報とを対応付けて、情報管理装置100に送信してもよい。これにより、情報格納部112は、記憶部50に、製品情報と色情報とを対応付けて格納する。そして、特徴情報取得部210は、記憶部50から、特徴情報として、色情報を取得(抽出)することができる。
【0083】
また、サプライヤから、特徴塗料の色合いを示す色画像(色見本など)が、提供されてもよい。この場合、特徴情報取得部210は、カメラ等によって色画像を撮影して得られた画像データを分析することによって、色情報を特徴情報として取得してもよい。あるいは、サプライヤから、特徴塗料そのものが提供されてもよい。この場合、この場合、特徴情報取得部210は、カメラ等によって特徴塗料を撮影して得られた画像データを分析することによって、色情報を特徴情報として取得してもよい。あるいは、サプライヤから、特徴塗料のマンセル記号を取得してもよい。この場合、特徴情報取得部210は、マンセル記号をRGB値に変換することによって、色情報を特徴情報として取得してもよい。
【0084】
類似度算出部230は、採用候補である製品について、採用中の製品との類似度を算出する。ここで、実施の形態2にかかる類似度算出部230は、特徴情報を用いて、類似度を算出する。つまり、類似度算出部230は、各採用候補の製品に関する特徴情報と採用中の製品に関する特徴情報とを用いて、類似度を算出する。類似度算出部230は、算出された類似度を、記憶部50に格納された、対応する製品に関する製品情報の類似度の項目に格納する。なお、上述したように、特徴情報は、非開示データに関する情報であり、非開示データは、製品の仕様及び性能を左右する支配的な項目に関する可能性が高い。したがって、類似度は、各採用候補の製品の原材料データと採用中の製品の原材料データとがどれだけ類似しているかを、適切に示している。
【0085】
類似度算出部230が類似度を算出する方法は、様々なものが考えられる。類似度算出部230は、例えば、ユークリッド距離又はコサイン類似度を用いて、類似度を算出してもよい。あるいは、類似度算出部230は、以下の方法によって、類似度を算出してもよい。
【0086】
図7は、実施の形態2にかかる類似度算出部230による類似度を算出する方法を説明するための図である。図7は、図5に例示した塗料A、塗料B及び塗料Cの製品情報について、非開示データの項目の材料で生成された塗料(特徴塗料)の色情報を示す。塗料Aに対応する特徴塗料A’のRGB値は、R:255、G:250、B:251である。塗料Bに対応する特徴塗料B’のRGB値は、R:255、G:250、B:249である。塗料Cに対応する特徴塗料C’のRGB値は、R:251、G:240、B:241である。
【0087】
類似度算出部230は、採用候補の製品に関する特徴塗料のRGB値と採用中の製品に関する特徴塗料のRGB値との差分(絶対値)の合計値を、類似度として算出してもよい。この場合、算出された値が0に近いほど、つまり算出された値が小さいほど、類似度が高くなる。以下、図7の例を用いて説明する。
【0088】
まず、採用中の塗料Aと採用候補である塗料Bとの類似度を算出する場合について説明する。採用中の塗料Aに対応する特徴塗料A’の色情報におけるRの値は255であり、採用候補である塗料Bに対応する特徴塗料B’の色情報におけるRの値は255である。したがって、採用中の塗料Aに対応する特徴塗料A’と採用候補である塗料Bに対応する特徴塗料B’とで、色情報におけるRの値の差分は、0である。
【0089】
また、採用中の塗料Aに対応する特徴塗料A’の色情報におけるGの値は250であり、採用候補である塗料Bに対応する特徴塗料B’の色情報におけるGの値は250である。したがって、採用中の塗料Aに対応する特徴塗料A’と採用候補である塗料Bに対応する特徴塗料B’とで、色情報におけるGの値の差分は、0である。
【0090】
また、採用中の塗料Aに対応する特徴塗料A’の色情報におけるBの値は251であり、採用候補である塗料Bに対応する特徴塗料B’の色情報におけるBの値は249である。したがって、採用中の塗料Aに対応する特徴塗料A’と採用候補である塗料Bに対応する特徴塗料B’とで、色情報におけるBの値の差分は、2である。
したがって、類似度算出部230は、塗料Aに対する塗料Bの類似度を、0+0+2=2と算出する。
【0091】
次に、採用中の塗料Aと採用候補である塗料Cとの類似度を算出する場合について説明する。採用中の塗料Aに対応する特徴塗料A’の色情報におけるRの値は255であり、採用候補である塗料Cに対応する特徴塗料C’の色情報におけるRの値は251である。したがって、採用中の塗料Aに対応する特徴塗料A’と採用候補である塗料Cに対応する特徴塗料C’とで、色情報におけるRの値の差分は、4である。
【0092】
また、採用中の塗料Aに対応する特徴塗料A’の色情報におけるGの値は250であり、採用候補である塗料Cに対応する特徴塗料C’の色情報におけるGの値は240である。したがって、採用中の塗料Aに対応する特徴塗料A’と採用候補である塗料Cに対応する特徴塗料C’とで、色情報におけるGの値の差分は、10である。
【0093】
また、採用中の塗料Aに対応する特徴塗料A’の色情報におけるBの値は251であり、採用候補である塗料Cに対応する特徴塗料C’の色情報におけるBの値は241である。したがって、採用中の塗料Aに対応する特徴塗料A’と採用候補である塗料Cに対応する特徴塗料C’とで、色情報におけるBの値の差分は、10である。
したがって、類似度算出部230は、塗料Aに対する塗料Cの類似度を、4+10+10=24と算出する。
【0094】
なお、類似度算出部230は、RGB値の差分の合計値が小さくなるにつれて大きくなるような値に換算した値を、類似度として算出してもよい。例えば、RGB値の差分の合計値をSとすると、類似度算出部230は、類似度を、1/(1+S)と算出してもよい。この場合、類似度が1に近いほど(つまり大きいほど)、類似度が高いといえる。この場合、類似度算出部230は、塗料Bの類似度を、1/(1+2)=0.33と算出する。また、類似度算出部230は、塗料Cの類似度を、1/(1+24)=0.04と算出する。
【0095】
あるいは、類似度算出部230は、例えば、色情報(RGB値)のR値、G値及びB値を成分とする3次元色空間におけるユークリッド距離Dを算出することによって、類似度を算出してもよい。具体的には、類似度算出部230は、上述したように、採用候補の製品に関する特徴塗料のRGB値と採用中の製品に関する特徴塗料のRGB値との差分を算出する。そして、類似度算出部230は、各材料について算出された差分の2乗の和の平方根を計算することにより、ユークリッド距離Dを算出する。そして、類似度算出部230は、ユークリッド距離Dが小さいほど高くなるような類似度を算出する。例えば、類似度算出部230は、類似度を1/(1+D)としてもよい。この場合、類似度が1に近いほど、類似度が高いといえる。
【0096】
図7の例では、類似度算出部230は、塗料Aに対応する特徴塗料A’と塗料Bに対応する特徴塗料B’との間のユークリッド距離を、√{0+0+2}=2と算出する。この場合、類似度算出部230は、塗料Bの類似度を、1/(1+2)=0.33と算出する。
【0097】
また、類似度算出部230は、塗料Aに対応する特徴塗料A’と塗料Cに対応する特徴塗料C’との間のユークリッド距離を、√{4+10+10}=14.7と算出する。この場合、類似度算出部230は、塗料Cの類似度を、1/(1+14.7)=0.064と算出する。
【0098】
なお、類似度算出部230は、実施の形態1と同じように、原材料データの開示データに関する項目の材料の構成比率を用いて、類似度を算出してもよい。なお、上述したように、非開示データは、その製品においてその製品の仕様及び性能を左右する支配的な項目に関する可能性が高い。逆に言えば、開示データが、その製品においてその製品の仕様及び性能を左右する支配的な項目に関する可能性は、極めて低い。したがって、開示データを用いて算出された類似度は、採用中の製品と採用候補の製品との類似性を判断する上で、正確でない可能性が高い。したがって、実施の形態2では、判定部150が類似製品を判定する上で、開示データを用いて算出された類似度は、使用されなくてもよい。
【0099】
図8は、実施の形態2にかかる情報管理システム1によって実行される情報管理方法を示すフローチャートである。図8の処理は、主に、情報管理装置100によって実行される。情報取得部110は、実施の形態1と同様に、製品情報を取得する(ステップS202)。情報格納部112は、実施の形態1と同様に、S202の処理で取得された情報を、記憶部50に格納する(ステップS204)。
【0100】
特徴情報取得部210は、上述したように、製品情報に対応する特徴情報を取得する(ステップS206)。類似度算出部230は、上述したように、特徴情報を用いて、採用候補である製品について、採用中の製品との類似度を算出する(ステップS208)。なお、S202~S208の処理は、サプライヤ装置20から製品情報が送信されるごとに、実行され得る。
【0101】
供給不可通知受信部140は、実施の形態1と同様に、供給不可通知を受信する(ステップS212)。なお、S212以降の処理は、採用中の製品が供給不可とならなければ、実行されない。判定部150は、実施の形態1と同様に、供給不可通知を用いて供給不可製品を判定する(ステップS214)。判定部150は、実施の形態1と同様に、供給不可製品と類似度の高い類似製品を判定する(ステップS216)。このとき、判定部150は、非開示データに関する特徴情報を用いて算出された類似度を用いて、供給不可製品と類似度の高い類似製品を判定する。権限制御部160は、実施の形態1と同様に、類似製品を供給する代替サプライヤに、供給不可製品に関する製品情報へのアクセス権限を付与する(ステップS218)。
【0102】
ここで、権限制御部160が機密情報へのアクセス権限を代替サプライヤに付与するように制御を行うと、実施の形態1と同様に、アクセス処理部120は、その代替サプライヤのサプライヤ装置20からの、供給不可製品に関する製品情報への閲覧要求に応じて、機密情報を含む製品情報へのアクセスを許可する。そして、実施の形態1と同様に、アクセス処理部120は、その製品情報を、その代替サプライヤのサプライヤ装置20において閲覧可能となるように、サプライヤ装置20に送信する。代替サプライヤは、その製品情報を用いて、代替品を準備することができる。
【0103】
ここで、図5の例を用いて具体例を説明する。採用中の塗料Aが、サプライヤXから供給できなくなったとする。この場合、供給不可通知受信部140は、塗料Aを示す供給不可通知を受信する。判定部150は、製品情報の類似度(非開示データを用いて算出された類似度)を参照して、塗料Aと最も類似度の高い塗料が、塗料Bであると判定する。権限制御部160は、塗料Bを供給するサプライヤYに、塗料Aに関する製品情報へのアクセス権限を付与する。
【0104】
これにより、サプライヤYは、採用中であり供給不可製品である塗料Aに関する製品情報を参照して、塗料Aの代替品を準備することが可能となる。ここで、実施の形態2では、製品情報は非開示データを含むので、代替サプライヤは、塗料Aの全ての原材料の構成比率を把握することができるわけではない。しかしながら、代替サプライヤは、少なくとも、塗料Aの開示データに関する項目の材料の構成比率と、塗料Bにおける対応する項目の材料の構成比率との差分を把握することはできる。したがって、代替サプライヤは、その差分を補填するように、塗料Bの原材料の構成比率を調整することによって、塗料Aの代替品を生産することが可能となる。具体的には、サプライヤYは、製品情報の開示データに関する項目について、塗料Bにおいて塗料Aとは構成比率が異なる材料の構成比率を、塗料Aにおける構成比率に合わせることによって、塗料Bよりも塗料Aに近い代替品を生産することができる。
【0105】
なお、上述したように、代替サプライヤは、塗料Aの非開示データに関する項目の材料の構成比率を把握できないので、塗料Aと塗料Bとの間の、非開示データに関する項目の材料の構成比率の差分を把握することはできない。ここで、上述したように、非開示データは、製品の仕様及び性能を左右する支配的な項目に関する可能性が高いため、特徴情報も、塗料の重要な材料の特徴に関連している可能性が高い。そして、塗料Aと塗料Bとで、非開示データに関する特徴情報は、類似している。したがって、塗料Bは、塗料Aにある程度類似する製品であるといえる。そして、開示データにかかる構成比率を調整することで、代替サプライヤは、塗料Aにさらに類似する代替品を生産することができる。このように、類似度を、非開示データに少なくとも関連する特徴情報に基づいて算出することによって、全く開示されないデータがあっても、供給不可製品にある程度類似した製品を判定することができる。したがって、全く開示されないデータがあっても、供給不可製品にある程度類似した代替品を供給するサプライヤを判定(選択)することが可能となる。
【0106】
さらに、上述したように、非開示データは、その製品にとって支配的なデータである可能性が高い。したがって、特徴情報を非開示データのみに関連するように構成することで、特徴情報が、その製品の特徴をさらに精度よく示す情報となる可能性が高い。したがって、その特徴情報を用いて類似度を算出することにより、採用中の製品(供給不可製品)とさらに類似する製品を、より精度よく判定できる。これにより、全く開示されないデータがあっても、供給不可製品により類似した代替品を供給するサプライヤを判定(選択)することが可能となる。
【0107】
なお、実施の形態1の場合とは異なり、実施の形態2の場合に生産される代替品は、採用中の製品と、材料の構成比率が完全に一致する可能性は低い。しかしながら、採用中の製品とは多少異なっていてもある程度類似した代替品が直ぐに必要である場合等では、実施の形態2にかかる方法は、特に有効である。
【0108】
また、上述したように、類似度は、塗料の非開示データに関する材料を少なくとも含む塗料(特徴塗料)の色情報(特徴情報)に基づいて算出される値である。したがって、塗料の原材料の構成が開示されない場合であっても、色情報から、ある程度精度の良い類似度を算出することができる。したがって、塗料が供給不可となった場合に、その塗料とある程度類似する代替品の塗料を供給するサプライヤを判定(選択)することが可能となる。
【0109】
(変形例)
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、上述したフローチャートの各ステップの順序は、適宜、変更可能である。また、フローチャートの各ステップの1つ以上は、省略されてもよい。
【0110】
また、上述した実施の形態では、判定部150は、採用中の製品(供給不可製品)との類似度が最も高い製品を、類似製品として判定するように構成されているが、このような構成に限られない。判定部150は、供給不可製品との類似度の高いものから順に2~3個の製品を、類似製品と判定してもよい。あるいは、判定部150は、供給不可製品との類似度が予め定められた閾値以上である1つ以上の製品を、類似製品と判定してもよい。つまり、判定部150は、供給不可製品との類似度が高い1つ以上の類似製品を判定するように構成されている。この場合、判定部150は、1つ以上の類似製品を供給する1つ以上のサプライヤを判定するように構成されていてもよい。
【0111】
また、上述した実施の形態では、判定部150は、類似製品と、類似製品を供給する代替サプライヤとを判定するように構成されているが、このような構成に限られない。判定部150は、類似製品を判定するのみでもよい。つまり、判定部150は、類似製品を供給する代替サプライヤを判定しなくてもよい。この場合、判定部150によって判定された類似製品に基づいて、ユーザ等が、代替サプライヤを判定してもよい。この場合、製品情報において、製品の識別情報及びサプライヤの識別情報は、機密情報でなくてもよい。そして、ユーザ等は、記憶部50に格納された製品情報の製品の識別情報及びサプライヤの識別情報を参照して、代替サプライヤを判定してもよい。
【0112】
また、図5の例では、原材料データの一部の構成比率が非開示データとなっているが、このような構成に限られない。非開示データでは、材料そのものを非開示としてもよい。すなわち、図5の例では、各製品情報を閲覧すれば、各塗料の材料c、材料d及び材料eの構成比率は不明であるものの、少なくとも、各塗料には、原材料として材料c、材料d及び材料eが含まれていることが分かる。これに対し、非開示データは、構成比率だけでなく材料の種類そのものも含んでもよい。このようにすることで、材料の種類そのものの機密性を高めることが可能となる。つまり、サプライヤが製品の原材料そのものを開示することを、その製品が供給不可となった場合であっても望まない場合は、その材料の種類を非開示とすることによって、製品情報の機密性を高めることが可能となる。
【0113】
また、上述の例において、プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM)を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【符号の説明】
【0114】
1 情報管理システム
2 ネットワーク
10 メーカ装置
20 サプライヤ装置
50 記憶部
100 情報管理装置
110 情報取得部
112 情報格納部
120 アクセス処理部
130 類似度算出部
140 供給不可通知受信部
150 判定部
160 権限制御部
210 特徴情報取得部
230 類似度算出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8