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特許7563253測定システム、取得装置、取得方法、変換情報取得方法、製造方法及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】測定システム、取得装置、取得方法、変換情報取得方法、製造方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01M 13/04 20190101AFI20241001BHJP
【FI】
G01M13/04
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021039698
(22)【出願日】2021-03-11
(65)【公開番号】P2022139359
(43)【公開日】2022-09-26
【審査請求日】2024-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青木 佑輔
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 肇
【審査官】川野 汐音
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-249594(JP,A)
【文献】特開2010-181154(JP,A)
【文献】特開2018-145998(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 13/00-13/045
G01M 99/00
F16C 19/00-19/56
F16C 33/30-33/66
F16C 41/00-41/04
G01L 5/00- 5/28
B23C 1/00- 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主軸を支持する転がり軸受の軌道輪に設けられたセンサと、
前記主軸の回転軸と異なる位置に重心を有する状態で、前記主軸に固定された治具と、
前記センサから第1の検出信号及び第2の検出信号を取得する制御部と、
を備え、
前記第1の検出信号は、前記主軸を第1の回転速度で回転させ、前記治具の遠心力により前記主軸に第1の荷重が加えられている状態で、前記センサから取得され、
前記第2の検出信号は、前記主軸を前記第1の回転速度とは異なる第2の回転速度で回転させ、前記治具の遠心力により前記主軸に第2の荷重が加えられている状態で、前記センサから取得される、測定システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記センサの検出信号を前記主軸に加えられる荷重の値に変換するための変換情報を、前記センサから取得される前記第1の検出信号及び前記第2の検出信号と、前記第1の荷重及び前記第2の荷重と、に基づいて算出する、
請求項1に記載の測定システム。
【請求項3】
前記制御部は、
前記第1の回転速度と、前記回転軸から前記重心までの距離とに基づいて、前記第1の荷重を算出し、
前記第2の回転速度と、前記距離とに基づいて、前記第2の荷重を算出する、
請求項2に記載の測定システム。
【請求項4】
前記変換情報を記憶する記憶部を備え、
前記制御部は、前記主軸の段取り替えを行った際、又は前記変換情報を算出してから所定時間が経過した際に、新たに前記変換情報を算出し、前記記憶部に記憶されている前記変換情報を更新する、
請求項2又は請求項3に記載の測定システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記主軸に設けられた工具が対象物を加工する際に前記センサから取得される検出信号と、前記変換情報と、に基づいて、前記主軸に加えられる荷重の値を算出する、
請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の測定システム。
【請求項6】
前記主軸は、軸方向の一方側端部に加工用の工具を有し、
前記治具は、前記工具に着脱可能な状態で設けられている、
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の測定システム。
【請求項7】
主軸を支持する転がり軸受の軌道輪に設けられたセンサの検出信号を取得する制御部を備え、
前記制御部は、前記主軸に前記主軸の回転軸と異なる位置に重心を有する治具を固定した状態で、前記センサから第1の検出信号及び第2の検出信号を取得し、
前記第1の検出信号は、前記主軸を第1の回転速度で回転させ、前記治具の遠心力により前記主軸に第1の荷重が加えられている状態で、前記センサから取得され、
前記第2の検出信号は、前記主軸を前記第1の回転速度とは異なる第2の回転速度で回転させ、前記治具の遠心力により前記主軸に第2の荷重が加えられている状態で、前記センサから取得される、取得装置。
【請求項8】
主軸を支持する転がり軸受の軌道輪に設けられたセンサの検出信号を取得する方法であって、
前記主軸に前記主軸の回転軸と異なる位置に重心を有する治具を固定した状態で、前記主軸を第1の回転速度で回転させ、前記治具の遠心力により前記主軸に第1の荷重を加える第1回転工程と、
前記第1回転工程の間に、前記センサから第1の検出信号を取得する第1検出信号取得工程と、
前記主軸に前記治具を固定した状態で、前記主軸を前記第1の回転速度とは異なる第2の回転速度で回転させ、前記治具の遠心力により前記主軸に第2の荷重を加える第2回転工程と、
前記第2回転工程の間に、前記センサから第2の検出信号を取得する第2検出信号取得工程と、
を備える、取得方法。
【請求項9】
請求項8の取得方法により取得された前記第1の検出信号及び前記第2の検出信号と、前記第1の荷重及び前記第2の荷重と、に基づいて、前記センサの検出信号を前記主軸に加えられる荷重の値に変換するための変換情報を算出する、変換情報取得方法。
【請求項10】
前記主軸に設けられた工具が対象物を加工する加工工程を備え、
前記加工工程は、前記工具が前記対象物の加工を行う際に前記センサから取得される検出信号と、請求項9に記載の変換情報取得方法により取得された前記変換情報とに基づいて、前記主軸に加えられる荷重の値を算出する荷重取得工程を含む、
対象物の製造方法。
【請求項11】
主軸を支持する転がり軸受の軌道輪に設けられたセンサの検出信号を取得するためのコンピュータプログラムであって、
前記主軸に前記主軸の回転軸と異なる位置に重心を有する治具を固定した状態で、前記主軸を第1の回転速度で回転させ、前記治具の遠心力により前記主軸に第1の荷重を加える第1回転工程と、
前記第1回転工程の間に、前記センサから第1の検出信号を取得する第1検出信号取得工程と、
前記主軸に前記治具を固定した状態で、前記主軸を前記第1の回転速度とは異なる第2の回転速度で回転させ、前記治具の遠心力により前記主軸に第2の荷重を加える第2回転工程と、
前記第2回転工程の間に、前記センサから第2の検出信号を取得する第2検出信号取得工程と、
をコンピュータに実行させる、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定システム、取得装置、取得方法、変換情報取得方法、製造方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
転がり軸受に加わる荷重を測定する技術が知られている。例えば、特許文献1には、軸受の外輪に設けられた歪みゲージの検出信号に基づいて、軸受に加わる荷重を算出する。特許文献1において、外輪は、測定作業時に転動体から加わるラジアル荷重により弾性変形する。そして、歪みゲージがこの弾性変形量を検出し、演算器が弾性変形量に基づいて荷重を算出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平9-61268号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図13は、本発明の課題を説明する図である。図13(a)は、工作機械90の工具92(例えば、エンドミル)を含むヘッド部分を拡大して示す断面図である。転がり軸受93は、工作機械90の主軸91Aを受けるために、主軸91Aとハウジング91Bの間に設けられる。これにより、主軸91A及び工具92は回転軸C9まわりに回転することができる。工具92を回転させながら、工作機械90のヘッド部分を回転軸C9と直交する方向に移動させることで、工具92は切削等の加工を行うことができる。
【0005】
工作機械90において、加工時に工具92に加えられる荷重を知ることができれば、工具92の摩耗予測による設備保全(故障予知、寿命予測等)や、加工条件のフィードバック等に役立てることができる。このため、荷重の測定精度をより高くすることや、荷重の測定のためのコストを低減させることが求められている。
【0006】
転がり軸受93は、外輪93aと、内輪93bと、外輪93a及び内輪93bの間に設けられている複数の転動体93cとを有する。外輪93aの外周には溝が設けられ、当該溝の内部に歪みゲージ94が設けられている。内輪93bは、主軸91Aとともに回転し、内輪93bが回転する際に、複数の転動体93cは外輪93aと内輪93bとの間を転動する。工具92にラジアル荷重(例えば、矢印AR9方向の荷重)が加えられると、内輪93b及び転動体93cを介して、外輪93aにもラジアル荷重が加わる。当該ラジアル荷重によって外輪93aが弾性変形し、歪みゲージ94が当該弾性変形を歪電圧として検出する。
【0007】
歪みゲージ94が検出した歪電圧に基づいて荷重を算出する場合、当該歪電圧を荷重に変換するための変換情報L9が必要となる。また、転動体93cから外輪93aに加わるラジアル荷重は、転がり軸受93の使用温度等の条件によって変化するため、変換情報L9の精度を向上させるには工作機械90の初期化(例えば、電源投入、段取り替え等)を行う都度、変換情報L9の更新(すなわち、変換情報L9の校正)をする必要がある。
【0008】
図13(b)は、変換情報L9を取得するための測定装置95を説明する図である。測定装置95は、工具92に装着される転がり軸受96と、転がり軸受96の外輪96aの外周面を押圧することで、転がり軸受96を介して工具92にラジアル荷重を加える押圧具97と、押圧具97が外輪96aに加える荷重を測定するプッシュプルゲージ98とを備える。
【0009】
変換情報L9を取得するには、まず、工具92を回転させている状態で、押圧具97が外輪96aに荷重F91を加え、歪みゲージ94により歪電圧P91を取得する。そして、図13(c)に示すように、横軸を荷重とし、縦軸を歪電圧としたグラフに、荷重F91及び歪電圧P91とする点をプロットする。同様に、押圧具97は、種々の荷重F92,F93を加え、歪みゲージ94により歪電圧P92,P93を取得して、図13(c)のグラフに各点をプロットする。これにより、荷重と歪電圧との関係を示すグラフ線L9(すなわち、変換情報L9)が取得される。
【0010】
以上のように、変換情報L9を算出するためには、主軸に種々の荷重を加え、当該種々の荷重に対応するセンサの歪電圧を取得する必要がある。従来、このような歪電圧の取得のためには、転がり軸受93を含む工作機械90に測定装置95を取り付けたうえで、種々の荷重を工作機械90に加える必要がある。回転する工具92にラジアル荷重を加えるために、測定装置95には工具92に装着するための転がり軸受96が必要であったり、種々の荷重を加えるための押圧具97が必要であったりするなど、測定装置95は大掛かりな装置となっていた。また、変換情報L9の取得の際には、このような測定装置95を工具92に取り付けて種々の荷重を加える必要があり、作業工数が掛かっていた。
【0011】
このため、従来は工作機械90の初期化を行う都度、変換情報L9を取得することは現実的ではなく、実際には、工作機械90の導入時等に取得した変換情報L9をほとんど校正することなく延々と使い続けていた。
【0012】
そこで、本発明は、種々の荷重に対応するセンサの検出信号をより容易に取得することができる測定システム、取得装置、取得方法、変換情報取得方法、製造方法及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の測定システムは、主軸を支持する転がり軸受の軌道輪に設けられたセンサと、前記主軸の回転軸と異なる位置に重心を有する状態で、前記主軸に固定された治具と、前記センサから第1の検出信号及び第2の検出信号を取得する制御部と、を備え、前記第1の検出信号は、前記主軸を第1の回転速度で回転させ、前記治具の遠心力により前記主軸に第1の荷重が加えられている状態で、前記センサから取得され、前記第2の検出信号は、前記主軸を前記第1の回転速度とは異なる第2の回転速度で回転させ、前記治具の遠心力により前記主軸に第2の荷重が加えられている状態で、前記センサから取得される、測定システムである。
【0014】
本開示の取得装置は、主軸を支持する転がり軸受の軌道輪に設けられたセンサの検出信号を取得する制御部を備え、前記制御部は、前記主軸に前記主軸の回転軸と異なる位置に重心を有する治具を固定した状態で、前記センサから第1の検出信号及び第2の検出信号を取得し、前記第1の検出信号は、前記主軸を第1の回転速度で回転させ、前記治具の遠心力により前記主軸に第1の荷重が加えられている状態で、前記センサから取得され、前記第2の検出信号は、前記主軸を前記第1の回転速度とは異なる第2の回転速度で回転させ、前記治具の遠心力により前記主軸に第2の荷重が加えられている状態で、前記センサから取得される、取得装置である。
【0015】
本開示の取得方法は、主軸を支持する転がり軸受の軌道輪に設けられたセンサの検出信号を取得する方法であって、前記主軸に前記主軸の回転軸と異なる位置に重心を有する治具を固定した状態で、前記主軸を第1の回転速度で回転させ、前記治具の遠心力により前記主軸に第1の荷重を加える第1回転工程と、前記第1回転工程の間に、前記センサから第1の検出信号を取得する第1検出信号取得工程と、前記主軸に前記治具を固定した状態で、前記主軸を前記第1の回転速度とは異なる第2の回転速度で回転させ、前記治具の遠心力により前記主軸に第2の荷重を加える第2回転工程と、前記第2回転工程の間に、前記センサから第2の検出信号を取得する第2検出信号取得工程と、を備える、取得方法である。
【0016】
本開示のコンピュータプログラムは、主軸を支持する転がり軸受の軌道輪に設けられたセンサの検出信号を取得するためのコンピュータプログラムであって、前記主軸に前記主軸の回転軸と異なる位置に重心を有する治具を固定した状態で、前記主軸を第1の回転速度で回転させ、前記治具の遠心力により前記主軸に第1の荷重を加える第1回転工程と、前記第1回転工程の間に、前記センサから第1の検出信号を取得する第1検出信号取得工程と、前記主軸に前記治具を固定した状態で、前記主軸を前記第1の回転速度とは異なる第2の回転速度で回転させ、前記治具の遠心力により前記主軸に第2の荷重を加える第2回転工程と、前記第2回転工程の間に、前記センサから第2の検出信号を取得する第2検出信号取得工程と、をコンピュータに実行させる、コンピュータプログラムである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、種々の荷重に対応するセンサの検出信号をより容易に取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施形態に係る測定システムを説明する図である。
図2図1の矢印Aにより示す切断線から見た治具を示す図である。
図3】実施形態に係るセンサの位置と検出信号を説明する図である。
図4】実施形態に係る変換情報取得方法の手順を示すフローチャートである。
図5】実施形態に係る主軸の回転速度及びセンサが検出する歪電圧を説明するグラフである。
図6】実施形態に係る変換情報を説明するグラフである。
図7】実施形態に係る工作機械が加工を行う様子を示す図である。
図8】実施形態に係る荷重測定方法の手順を示すフローチャートである。
図9】変換情報に基づいて荷重を取得する様子を示す図である。
図10】実施形態に係る製造方法の手順を示すフローチャートである。
図11】変形例に係るセンサの配置を示す図である。
図12】変形例に係る治具を示す図である。
図13】本発明の課題を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<実施形態の要旨>
(1)本発明の測定システムは、主軸を支持する転がり軸受の軌道輪に設けられたセンサと、前記主軸の回転軸と異なる位置に重心を有する状態で、前記主軸に固定された治具と、前記センサから第1の検出信号及び第2の検出信号を取得する制御部と、を備え、前記第1の検出信号は、前記主軸を第1の回転速度で回転させ、前記治具の遠心力により前記主軸に第1の荷重が加えられている状態で、前記センサから取得され、前記第2の検出信号は、前記主軸を前記第1の回転速度とは異なる第2の回転速度で回転させ、前記治具の遠心力により前記主軸に第2の荷重が加えられている状態で、前記センサから取得される、測定システムである。
【0020】
本発明の測定システムは、主軸の回転軸と異なる位置に重心を有する状態で、主軸に固定された治具を備える。このため、主軸が回転すると、主軸には治具からの遠心力に起因する荷重が加えられる。荷重は、主軸の回転速度に応じて変化するため、主軸の回転速度を調整するだけで、主軸に加えられる荷重を複数の値に振ることができる。この結果、種々の荷重に対応するセンサの検出信号をより容易に取得することができる。
【0021】
(2)好ましくは、前記制御部は、前記センサの検出信号を前記主軸に加えられる荷重の値に変換するための変換情報を、前記センサから取得される第1の検出信号及び第2の検出信号と、前記第1の荷重及び前記第2の荷重と、に基づいて算出する。前記制御部によれば、より容易に種々の荷重に対応するセンサの検出信号を取得した後、これらの値に基づいて変換情報を算出できるため、変換情報をより容易に取得することができる。
【0022】
(3)好ましくは、前記制御部は、前記第1の回転速度と、前記回転軸から前記重心までの距離とに基づいて、前記第1の荷重を算出し、前記第2の回転速度と、前記距離とに基づいて、前記第2の荷重を算出する。このように構成することで、種々の荷重をより容易に算出することができる。
【0023】
(4)好ましくは、前記変換情報を記憶する記憶部を備え、前記制御部は、前記主軸の段取り替えを行った際、又は前記変換情報を算出してから所定時間が経過した際に、新たに前記変換情報を算出し、前記記憶部に記憶されている前記変換情報を更新する。このような構成によれば、より精度の高い変換情報を維持することができる。
【0024】
(5)好ましくは、前記制御部は、前記主軸に設けられた工具が対象物を加工する際に前記センサから取得される検出信号と、前記変換情報と、に基づいて、前記主軸に加えられる荷重の値を算出する。変換情報は制御部によって、従来よりも容易に取得されるため、変換情報の取得を含め、荷重測定に掛かるコストを従来よりも削減することができる。
【0025】
(6)好ましくは、前記主軸は、軸方向の一方側端部に加工用の工具を有し、前記治具は、前記工具に着脱可能な状態で設けられている。このように構成することで、治具を設ける以外は、実際に加工に用いる工具等の条件を揃えた状態で、種々の荷重に対応する検出信号を取得することができる。
【0026】
(7)本開示の取得装置は、主軸を支持する転がり軸受の軌道輪に設けられたセンサの検出信号を取得する制御部を備え、前記制御部は、前記主軸に前記主軸の回転軸と異なる位置に重心を有する治具を固定した状態で、前記センサから第1の検出信号及び第2の検出信号を取得し、前記第1の検出信号は、前記主軸を第1の回転速度で回転させ、前記治具の遠心力により前記主軸に第1の荷重が加えられている状態で、前記センサから取得され、前記第2の検出信号は、前記主軸を前記第1の回転速度とは異なる第2の回転速度で回転させ、前記治具の遠心力により前記主軸に第2の荷重が加えられている状態で、前記センサから取得される、取得装置である。
【0027】
(8)本開示の取得方法は、主軸を支持する転がり軸受の軌道輪に設けられたセンサの検出信号を取得する方法であって、前記主軸に前記主軸の回転軸と異なる位置に重心を有する治具を固定した状態で、前記主軸を第1の回転速度で回転させ、前記治具の遠心力により前記主軸に第1の荷重を加える第1回転工程と、前記第1回転工程の間に、前記センサから第1の検出信号を取得する第1検出信号取得工程と、前記主軸に前記治具を固定した状態で、前記主軸を前記第1の回転速度とは異なる第2の回転速度で回転させ、前記治具の遠心力により前記主軸に第2の荷重を加える第2回転工程と、前記第2回転工程の間に、前記センサから第2の検出信号を取得する第2検出信号取得工程と、を備える、取得方法である。
【0028】
(9)本発明の変換情報取得方法は、上記(8)の取得方法により取得された前記第1の検出信号及び前記第2の検出信号と、前記第1の荷重及び前記第2の荷重と、に基づいて、前記センサの検出信号を前記主軸に加えられる荷重の値に変換するための変換情報を算出する、変換情報取得方法である。
【0029】
(10)本発明の製造方法は、前記主軸に設けられた工具が対象物を加工する加工工程を備え、前記加工工程は、前記工具が前記対象物の加工を行う際に前記センサから取得される検出信号と、上記(9)に記載の変換情報取得方法により取得された前記変換情報とに基づいて、前記主軸に加えられる荷重の値を算出する荷重取得工程を含む、対象物の製造方法である。
【0030】
(11)本開示のコンピュータプログラムは、主軸を支持する転がり軸受の軌道輪に設けられたセンサの検出信号を取得するためのコンピュータプログラムであって、前記主軸に前記主軸の回転軸と異なる位置に重心を有する治具を固定した状態で、前記主軸を第1の回転速度で回転させ、前記治具の遠心力により前記主軸に第1の荷重を加える第1回転工程と、前記第1回転工程の間に、前記センサから第1の検出信号を取得する第1検出信号取得工程と、前記主軸に前記治具を固定した状態で、前記主軸を前記第1の回転速度とは異なる第2の回転速度で回転させ、前記治具の遠心力により前記主軸に第2の荷重を加える第2回転工程と、前記第2回転工程の間に、前記センサから第2の検出信号を取得する第2検出信号取得工程と、をコンピュータに実行させる、コンピュータプログラムである。
【0031】
<実施形態の詳細>
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0032】
<測定システムの全体構成>
図1は、実施形態に係る測定システム10を説明する図である。図1において、断面として示す部分にはハッチングを付している。測定システム10は、工作機械20と、変換情報取得装置30と、を備える。
【0033】
工作機械20は、回転により対象物W1(図7)に加工(例えば、切削、研磨)を行うための機械である。本実施形態では、工作機械20がフライス盤である例を挙げて説明するが、工作機械20はその他の機械であってもよい。工作機械20は、例えば旋盤、歯切り盤、円筒研削盤、内面研削盤であってもよい。
【0034】
<工作機械の構成>
工作機械20は、主軸40と、治具50と、転がり軸受60A,60Bと、センサ65と、ハウジング70と、を有する。主軸40は、主軸本体41と、工具42と、固定具43と、モータ44と、を有する。主軸本体41は、ハウジング70の内部において転がり軸受60A,60Bにより回転軸C1まわりに回転可能な状態で支持されている。以下、回転軸C1が延びる方向を、「軸方向」と称し、軸方向と直交する方向を「径方向」と称する。回転軸C1に近づく側が径方向内側であり、回転軸C1から離れる側が径方向外側である。また、回転軸C1まわりに主軸40が回転する方向を「周方向」と称する。
【0035】
工具42は、主軸本体41の軸方向一方側の端部に、固定具43によりハウジング70の外側に突出した状態で固定されている。工具42は、例えばエンドミルであり、軸方向に棒状に延び、軸方向に対して回転対称となる形状を有する。固定具43は、工具42を固定具43とともに主軸本体41に取り付けるための部材であり、例えばネジを含む。固定具43を主軸本体41から取り外すことで、工具42も主軸本体41から取り外すことができる。モータ44は、例えば主軸本体41の軸方向他方側の端部に設けられ、主軸本体41を回転軸C1まわりに回転させる。工具42及び固定具43は、主軸本体41とともに回転軸C1まわりに回転する。
【0036】
転がり軸受60A,60Bは、主軸本体41の軸方向一方側及び他方側をそれぞれ支持する。転がり軸受60Aは、軸受鋼により形成され、外輪61と、内輪62と、複数の転動体63と、を有する。外輪61及び内輪62の中心軸は、主軸41の回転軸C1と一致している。
【0037】
外輪61は固定輪であり、外輪61の外周面61aはハウジング70に固定されている。外周面61aの軸方向中央部分には、径方向内側に凹む凹溝64が形成されている。凹溝64の底面には、センサ65が設けられている。外輪61の内周面には、外輪軌道面が形成されている。
【0038】
内輪62は回転輪であり、内輪62の内周面は主軸本体41に固定されている。内輪62の外周面には、内輪軌道面が形成されている。転動体63は、外輪軌道面と内輪軌道面との間に設けられている。主軸本体41がモータ44により回転軸C1まわりに回転されると、内輪62は主軸本体41とともに回転し、転動体63は外輪軌道面及び内輪軌道面の間で周方向に転動する。
【0039】
転がり軸受60Bは、転がり軸受60Aと同様に、外輪61と、内輪62と、複数の転動体63と、を有する。転がり軸受60Bは、凹溝64を有さず、センサ65が設けられていない点で、転がり軸受60Aと相違する。
【0040】
図2は、図1の矢印Aにより示す切断線から見た治具50を示す図である。図2において、工具42は断面として示している。治具50は、主軸40の回転軸C1と異なる位置に重心G1を有する状態で、主軸40に固定されている。治具50は、軸部51と、錘部52と、留め具53と、を有する。
【0041】
軸部51は、径方向に延びる金属製の棒材である。軸部51の径方向外側の端部には、錘部52が設けられている。軸部51の径方向内側の端部には、工具42の外周形状と対応する形状の内周面51aと、内周面51aと軸部51の径方向内側の端とを繋げる溝51bとが形成されている。工具42の外周形状が円形状の場合、内周面51aは工具42よりもわずかに大きい円形状となる。
【0042】
錘部52は、例えば金属製の球であり、治具50の重心G1を回転軸C1からより離すために(すなわち、重心G1をより径方向外側へ位置させるために)設けられる。錘部52は、軸部51と同じ種類の金属であってもよいし、軸部51よりも比重の重い金属を含んでいてもよい。本実施形態において、治具50の重心G1は、錘部52のうち、錘部52の中心よりもやや径方向内側に位置する。以下、回転軸C1から重心G1までの径方向の距離を距離r1と称する。なお、重心G1は、軸部51内に位置してもよい。
【0043】
錘部52の形状は球に限られず、例えば直方体であってもよい。また、錘部52を設けず、軸部51のみによって治具50の重心G1を回転軸C1から離してもよい。錘部52は、軸部51にネジ等によって着脱可能な状態で取り付けられてもよいし、軸部51と継ぎ目なく一体的に形成されていてもよい。
【0044】
留め具53は、軸部51を工具42に取り付けるための部材であり、例えばボルトである。留め具53は、軸部51の内周面51a内に工具42を収容した状態で、溝51bの隙間を狭めるように、軸部51の径方向内側の端部に締結される。これにより、内周面51aが狭まり、工具42の外周面と内周面51aが密着することで、軸部51が工具42に取り付けられる。また、留め具53の軸部51への締結を緩めることで、内周面51aが広がり、工具42から軸部51を取り外すことができる。
【0045】
図3は、センサ65の位置と検出信号を説明する図である。図3(a)は、図1の矢印Bにより示す切断線により切断した転がり軸受60A及びセンサ65を示す断面図である。本実施形態において、凹溝64は、外輪61の外周面61aの全周にわたって設けられている。なお、凹溝64は、外周面61aの全周にわたって設けられていなくてもよく、例えばセンサ65が設けられている部分にのみ設けられていてもよい。
【0046】
センサ65は、例えば歪みゲージであり、外輪61の変形を歪電圧として検出する。センサ65は、凹溝64の底面のうち周方向の位置X1に設けられている。位置X1は、例えば工作機械20の送り方向(矢印AR1方向、図7)の反対側の位置である。主軸40に回転軸C1から位置X1に向かう方向の荷重(ラジアル荷重)が加わると、内輪62及び転動体63を介して、外輪61に荷重が加えられる。外輪61は、当該荷重により、弾性変形する。
【0047】
図3(b)は、センサ65の検出信号(歪電圧)を示すグラフである。図3(b)において、横軸は時間であり、縦軸は歪電圧[V]である。転動体63が位置X1を通過する際に、外輪61の変形量が大きくなり、センサ65が検出する歪電圧も大きくなる。このため、図3(b)に示すように、歪電圧のグラフは転動体63が通過する周期T10の波形となる。
【0048】
より具体的には、時刻t11において、転動体63A(図3(a))が位置X1を通過する際、歪電圧は極大ピーク値となる。そして、時刻t12において、転動体63Aに隣接する転動体63Bが位置X1を通過する際にも、歪電圧は極大ピーク値となる。歪電圧の極小ピーク値は、時刻t11と時刻t12の間の時刻に位置する。当該時刻において、位置X1には転動体63は位置していない。
【0049】
歪電圧の絶対値は、例えばセンサ65の温度等の環境によって変化するため、本実施形態では環境によって変化しにくい(すなわち、信頼性の高い)歪電圧のピークツーピーク値(Peak-to-peak値:PP値)を検出信号の代表値P10として用いる。なお、歪電圧の絶対値を検出信号の代表値として用いてもよい。
【0050】
本実施形態のセンサ65は外輪61に設けられているが、本発明の実施に関してはこれに限られず、例えば内輪62に設けられていてもよい。すなわち、センサ65は転がり軸受60Aの軌道輪(外輪61又は内輪62)に設けられていればよい。また、本実施形態のセンサ65は歪みゲージであるが、センサ65は転がり軸受60Aに加えられる荷重を何らかの形で検出するセンサであればよく、歪みゲージに限られない。
【0051】
<変換情報取得装置の構成>
図1を参照する。
変換情報取得装置30は、制御部31と、記憶部32と、入力部33と、表示部34と、を有する。変換情報取得装置30は、コンピュータであり、制御部31は、例えばCPU、GPU等の演算処理部と、RAM等の主記憶部とにより実現される。また、記憶部32は、例えばHDD、SSD等の補助記憶部により実現される。入力部33は、例えばキーボード及びマウスであり、オペレータの入力を受け付ける。表示部34は、例えばディスプレイ及びスピーカーであり、オペレータに各種の情報を表示する。
【0052】
変換情報取得装置30は、記録媒体36に記録されたコンピュータプログラム35を、読込装置(図示省略)によって読み込むことができる。読み込まれたコンピュータプログラム35は、記憶部32に記憶される。また、記憶部32には、歪電圧を荷重に変換するための変換情報L1と、各種のパラメータ情報(例えば、治具50の質量m1、距離r1)が記憶されている。
【0053】
制御部31は、記憶部32に記憶されているコンピュータプログラム35を読み出すことで、各種の演算及び制御を実行する。制御部31は、モータ44及びセンサ65と電気的に接続している。制御部31は、モータ44へ制御信号を出力することで、モータ44を所定の回転速度により回転させる。制御部31は、センサ65から入力される検出信号(歪電圧)とモータ44の回転速度に基づいて、変換情報L1を算出する。また、制御部31は、センサ65から入力される検出信号(歪電圧)と変換情報L1とに基づいて、主軸41に加えられる荷重を算出する。制御部31の演算及び制御については、後述する。
【0054】
<変換情報取得方法>
図4は、測定システム10が実行する変換情報取得方法の手順の一例を示すフローチャートである。測定システム10は、例えばオペレータが入力部33に変換情報L1の取得指示を入力した際に、以下の各工程を実行する。以下の各工程は、コンピュータプログラム35に基づいて制御部31が各部に動作指令を行うことで実現される。
【0055】
はじめに、制御部31は、モータ44に制御信号を出力し、主軸40を第1の回転速度n1で回転させる(第1回転工程ST11)。治具50は回転軸C1から距離r1の位置に重心G1を有するため、主軸40が回転すると、治具50の遠心力CF1により主軸40には第1の荷重F1が加えられる。
【0056】
制御部31は、第1回転工程ST11の間に(すなわち、主軸40に第1の荷重F1が加えられている間に)、センサ65から第1の検出信号SG1を取得する(第1検出信号取得工程ST12)。
【0057】
続いて、制御部31は、モータ44に制御信号を出力し、主軸40を第1の回転速度n1とは異なる第2の回転速度n2で回転させる(第2回転工程ST13)。第2の回転速度n2は、例えば、第1の回転速度n1よりも所定値b1だけ速い速度である(n2=n1+b1)。主軸40が回転すると、治具50の遠心力CF2により主軸40には第2の荷重F2が加えられる。第2の回転速度n2が第1の回転速度n1とは異なるため、遠心力CF2も遠心力CF1とは異なる値となり、第2の荷重F2も第1の荷重F1とは異なる値となる。
【0058】
そして、制御部31は、第2回転工程ST13の間に(すなわち、主軸40に第2の荷重F2が加えられている間に)、センサ65から第2の検出信号SG2を取得する(第2検出信号取得工程ST14)。
【0059】
以降、制御部31は、上記のように、主軸40の回転速度をn3,n4,…,nxと順次変更し(第x回転工程ST15)、各回転速度においてセンサ65から検出信号SG3,SG4,…SGxを取得する(第x検出信号取得工程ST16)。回転速度は、例えば第1の回転速度n1から所定値b1ずつ速度が速くなるように制御される。回転工程を行う回数x(すなわち、回転速度を変更する段階x)は、2回以上であれば特に限定されない。所定値b1及び回数xは、コンピュータプログラム35により予め規定されていてもよいし、オペレータによって入力部33に入力されてもよい。
【0060】
最後に、制御部31は、第1の検出信号SG1及び第2の検出信号SG2を含む複数の検出信号SGxに基づいて、変換情報L1を取得する(変換情報取得工程ST17)。取得された変換情報L1は、記憶部32に記憶される。以下、図5及び図6を参照して、変換情報L1を取得するための各工程の具体的な内容について説明する。
【0061】
変換情報取得工程ST17において、制御部31は、回転速度nxに基づいて、主軸40に加えられる荷重Fxを算出する(荷重算出工程)。例えば、制御部31は、第1の回転速度n1から第1の荷重F1を算出し、第2の回転速度n2から第2の荷重F2を算出する。また、制御部31は、センサ65の検出信号SGxに基づいて、代表値Pxを算出する(代表値算出工程)。例えば、制御部31は、第1の検出信号SG1から第1の代表値P1を算出し、第2の検出信号SG2から第2の代表値P2を算出する。その後、制御部31は、各荷重F1,F2,…Fnと、各代表値P1,P2,…Pnと、に基づいて、変換情報L1を算出する(変換情報算出工程)。
【0062】
荷重算出工程について説明する。主軸40に加えられる荷重Fxは、治具50の遠心力CFxに重力等の影響αを加味した値であり、例えば以下の式(1)により算出される。また、遠心力CFxは、遠心力の公式に基づいて式(2)により算出される。
【0063】
Fx=CFx+α ・・・(1)
【0064】
CFx=(m1・vx^2)/r1
={m1・(2π・r1・nx)^2}/r1
=(2π)^2・m1・r1・nx^2 ・・・(2)
【0065】
vx[m/s]は治具50の重心G1の周速度であり、主軸40の回転速度nx[r/s]及び距離r1[m]によりvx=2π・r1・nxとして表すことができる。また、m1[kg]は治具50の質量である。
【0066】
質量m1及び距離r1は、治具50により決まる値であり、例えばオペレータが入力部33に当該値を入力することで、記憶部32に予め記憶されている。また、主軸40の回転速度nxは、例えばコンピュータプログラム35において予め決められた値であり、記憶部32に予め記憶されている。なお、回転速度nxは、例えばモータ44に設けられているエンコーダ(図示省略)から取得することで、記憶部32に記憶されてもよい。
【0067】
以上のように、式(2)に含まれる質量m1、距離r1及び回転速度nxは、それぞれ既知の値であり、記憶部32に記憶されている。また、影響αは、例えば鉛直方向に対する回転軸C1の角度等によって決まる既知の補正値であり、影響αも記憶部32に記憶されている。このため、制御部31は、式(1)及び式(2)により、荷重Fxを既知の値として算出することができる。式(2)のうち、主軸40の回転速度nxは可変の値であるため、回転速度nxを調整することで、主軸40に加えられる荷重Fxを任意の値に調整することができる。
【0068】
例えば、第1の荷重F1は、第1の回転速度n1に基づいて、F1=CF1+α=(2π)^2・m1・r1・n1^2+αと算出される。また、第2の荷重F2は、第2の回転速度n2に基づいて、F2=CF2+α=(2π)^2・m1・r1・n2^2+αと算出される。
【0069】
次に、代表値算出工程について説明する。
図5は、主軸40の回転速度nxと、センサ65の検出信号(歪電圧)SGxとを説明するグラフである。図5(a)及び(b)の横軸は時間である。図5(a)の縦軸は回転速度[r/s]であり、図5(b)の縦軸は歪電圧[V]である。
【0070】
図5(a)に示すように、第1回転工程ST11は時刻t1に開始され、時刻t2まで主軸40は第1の回転速度n1で回転される。また、第2回転工程ST13は時刻t2に開始され、時刻t3まで主軸40は第2の回転速度n2で回転される。このため、時刻t1から時刻t2までにセンサ65から取得される歪電圧が第1の検出信号SG1であり、時刻t2から時刻t3までにセンサ65から取得される歪電圧が第2の検出信号SG2である。
【0071】
治具50の遠心力CF1,CF2は、振れ回りの荷重として主軸40に加えられるため、図5(b)に示すように、センサ65の歪電圧の振幅は変動し、振幅変調波のような形状となる。図5(b)では、センサ65から取得される各検出信号SG1,SG2を実線により示し、各検出信号SG1,SG2の包絡線E1,E2を破線により示している。
【0072】
本実施形態では、包絡線E1のピークにおける第1の検出信号SG1のPP値(最大PP値)を、第1の代表値P1として用いる。図5(b)に示すように、第1回転工程ST11(時刻t1から時刻t2まで)の間に包絡線E1に複数のピークが存在する場合には、包絡線E1のそれぞれのピークにおける第1の検出信号SG1のPP値P11,P12の平均を、第1の代表値P1とする(P1=(P11+P12)/2)。
【0073】
なお、第1の代表値P1は、複数のPP値P11,P12の平均ではなく、複数のPP値P11,P12のいずれか1つの値であってもよい。この場合、主軸40の回転速度は、速度を変更してから所定時間が経過した後に安定する傾向があるため、2つ目以降のPP値(図5(b)の場合は、PP値P12)を第1の代表値P1とすることがより好適である。
【0074】
第2の代表値P2も、第1の代表値P1と同様に算出される。すなわち、包絡線E2のそれぞれのピークにおける第2の検出信号SG2のPP値P21,P22の平均を、第2の代表値P2とする(P2=(P21+P22)/2)。以上のように、制御部31は、センサ65の検出信号SG1,SG2,…,SGxに基づいて、代表値P1,P2,…,Pxを算出する。
【0075】
次に、変換情報算出工程を説明する。
図6は、実施形態に係る変換情報L1の一例を説明するグラフである。図6の横軸は荷重[N]であり、縦軸は歪電圧[V]である。図6において、複数のプロットPL1,PL2,PL3,…,PLxは、上記の荷重算出工程において算出した各荷重F1,F2,F3,…Fxと、代表値算出工程において算出した各代表値P1,P2,P3,…Pxと、により示されるプロットである。
【0076】
制御部31は、複数のプロットPL1,PL2,…,PLxについての回帰直線Px=A1・Fx+B1を算出する。そして、制御部31は、回帰直線の傾きA1及び切片B1を、変換情報L1として記憶部32に記憶させる。
以上により、変換情報取得工程ST17が終了する。
【0077】
なお、変換情報L1は、センサ65の検出信号SGxを主軸40に加えられる荷重Fxの値に変換するための情報であればよく、その内容としては回帰直線に限られない。例えば、変換情報L1は、複数のプロットPL1,PL2,…,PLxのうち任意の2点間を通る1次関数であってもよいし、複数のプロットPL1,PL2,…,PLxの移動平均線であってもよい。また、変換情報L1は、各荷重F1,F2,F3,…Fxと、各代表値P1,P2,P3,…Pxとの関係を示すテーブルデータであってもよい。
【0078】
本実施形態において、変換情報取得工程ST17は、制御部31が実行する。しかしながら、変換情報取得工程ST17は制御部31以外の装置によって実行されてもよいし、オペレータが手計算によって実行してもよい。変換情報取得工程ST17までの各工程ST11~ST16により、各荷重F1,F2,…,Fxにそれぞれ対応する各検出信号SG1,SG2,…,SGxが取得されている。このため、例えばオペレータは、制御部31により取得されたこれらの情報に基づいて、上記の荷重算出工程、代表値算出工程及び変換情報算出工程を、手計算によって行ってもよい。
【0079】
本実施形態の測定システム10は、主軸40の回転軸C1と異なる位置に重心G1を有する状態で、主軸40に固定された治具50を備える。このため、主軸40が回転すると、主軸40には治具50からの遠心力CFxに起因する荷重Fxが加えられる。荷重Fxは、主軸40の回転速度nxに応じて変化するため、主軸40の回転速度nxを調整するだけで、主軸40に加えられる荷重Fxを複数の値に振ることができる。この結果、押圧具97(図13)により測定用の転がり軸受96を介して主軸91Aに荷重を加え、プッシュプルゲージ98により当該荷重を測定するような従来例と比べ、種々の荷重Fxに対応するセンサ65の検出信号SGxをより容易に取得することができる。
【0080】
また、制御部31は、センサ65の検出信号SGxを主軸40に加えられる荷重Fxの値に変換するための変換情報L1を、センサ65から取得される第1の検出信号SG1及び第2の検出信号SG2と、第1の荷重F1及び第2の荷重F2と、に基づいて算出する。制御部31によれば、より容易に種々の荷重Fxに対応するセンサ65の検出信号SGxを取得した後、これらの値に基づいて変換情報L1を算出できるため、変換情報L1をより容易に取得することができる。
【0081】
また、制御部31は、第1の回転速度n1と、回転軸C1から重心G1までの距離r1とに基づいて、第1の荷重F1を算出し、第2の回転速度n2と、距離r1とに基づいて、第2の荷重F2を算出する。このように構成することで、種々の荷重Fxをより容易に算出することができる。
【0082】
また、主軸40は、軸方向の一方側端部に加工用の工具42を有し、治具50は、工具42に着脱可能な状態で設けられている。治具50を設ける以外は、実際に加工に用いる工具42等の条件を揃えた状態で、種々の荷重に対応する検出信号を取得することができる。このため、より実際の加工時に近い検出信号を取得でき、その後に算出される変換情報L1の精度を高めることができる。
【0083】
<荷重測定方法>
図7は、実施形態に係る工作機械20が加工を行う様子を示す図である。
測定システム10の制御部31は、工作機械20が対象物W1(例えば、金属材料)を加工する際、センサ65から取得される検出信号SGx1と、記憶部32に記憶されている変換情報L1と、に基づいて、主軸40に加えられる荷重Fx1の値を算出する。
【0084】
図8は、実施形態に係る荷重測定方法の手順を示すフローチャートである。測定システム10は、例えばオペレータが入力部33に加工を行う旨を入力した際に、以下の各工程を実行する。以下の各工程は、コンピュータプログラム35に基づいて制御部31が各部に動作指令を行うことで実現される。
【0085】
工作機械20が加工を行う際には、治具50(図1)を工具42から取り外す。
はじめに、制御部31は、モータ44及び送り機構(図示省略)に制御信号を出力し、主軸40を所定の回転速度nx1で回転させながら、工具42を矢印AR1方向(径方向)に移動させる(送り工程ST21)。工具42は、対象物W1に当接した状態で回転しながら矢印AR1方向に移動することで、対象物W1を切削する。これにより、対象物W1には、溝GR1が形成される。
【0086】
工具42が対象物W1を切削する間、主軸40は対象物W1から反力として矢印AR1とは反対方向に荷重Fx1を受ける。この荷重Fx1に起因して、転がり軸受60Aの外輪61が変形し、センサ65が検出信号SGx1(歪電圧)を制御部31へ出力する。そして、制御部31は、この検出信号SGx1を取得する(検出信号取得工程ST22)。
【0087】
最後に、制御部31は、検出信号SGx1から算出した代表値Px1と、記憶部32に記憶されている変換情報L1とに基づいて、荷重Fx1を算出する(荷重取得工程ST23)。算出された荷重Fx1は、記憶部32に記憶される。
【0088】
図9は、代表値Px1及び変換情報L1に基づいて荷重Fx1を取得する様子を示す図である。図6と同様に、図9の横軸は荷重[N]であり、縦軸は歪電圧[V]である。代表値Px1は、上記の代表値算出工程と同様の手法により、検出信号SGx1から算出される。上記の変換情報取得工程ST17により、変換情報L1は荷重と代表値との回帰直線として取得されたため、制御部31は、当該回帰直線に代表値Px1を代入して、荷重Fx1を算出する。
【0089】
上記のように、本実施形態の変換情報取得装置30は、工作機械20が加工を行う際には、工作機械20の主軸40に加えられる荷重を測定する荷重測定装置としても機能する。変換情報L1は変換情報取得装置30によって、より容易に取得されるため、変換情報の取得を含め、荷重測定に掛かるコストを従来よりも削減することができる。
【0090】
なお、変換情報取得装置30と別の装置が荷重を測定するように構成してもよい。この場合、変換情報取得装置30が取得した変換情報L1を当該別の装置に送信するように構成してもよい。
【0091】
<対象物の製造方法>
図10は、実施形態に係る製造方法の手順を示すフローチャートである。変換情報L1は、例えば工作機械20の初期化を行う都度、変換情報取得装置30によって更新される。工作機械20の初期化は、例えば、工作機械20の電源投入の時、主軸40の段取り替え(工具42の付け替え等)の時に、実行される。
【0092】
測定システム10は、例えば電源が投入された際に、以下の各工程を実行する。以下の各工程は、コンピュータプログラム35に基づいて制御部31が各部に動作指令を行うことで実現される。
【0093】
はじめに、測定システム10は、校正工程ST1を行う。校正工程ST1が開始されると、制御部31は、例えば、表示部34において、オペレータが工具42に治具50を装着したか否かを確認する表示を行う。例えば、ディスプレイに「工具42に治具50を装着しましたか?」というテキストと、「はい/いいえ」というボタンとを表示する。オペレータは、当該表示を確認して、工具42に治具50を装着した後、入力部33により「はい」ボタンをクリックする。
【0094】
制御部31は、オペレータから入力を受けた後、上記の変換情報取得方法(図4)の各工程ST11~ST17を実行する。制御部31は、新たに変換情報L1を算出すると、記憶部32に記憶されている古い方の変換情報L1を、新たに算出した変換情報L1に更新する。具体的には、記憶部32において、古い方の変換情報L1を新たに算出した変換情報L1により上書きする。これにより、変換情報L1の校正が行われる。以上により、校正工程ST1が終了する。
【0095】
なお、記憶部32において、変換情報L1を上書きするのではなく、古い方の変換情報L1を記憶したまま、荷重取得工程ST23(図8)において参照する変換情報L1を新たな変換情報L1に変更してもよい。この場合、古い方の変換情報L1を記憶部32に蓄積することができ、主軸40に異常が生じた際に、変換情報L1の履歴を確認することで、異常原因の特定に役立てることができる。
【0096】
次に、測定システム10は、加工工程ST2を行う。加工工程ST2が開始されると、制御部31は、例えば、表示部34において、オペレータが工具42から治具50を取り外したか否かを確認する表示を行う。例えば、ディスプレイに「工具42から治具50を取り外しましたか?」というテキストと、「はい/いいえ」というボタンとを表示する。オペレータは、当該表示を確認して、工具42から治具50を取り外した後、入力部33により「はい」ボタンをクリックする。
【0097】
制御部31は、オペレータから入力を受けた後、上記の荷重測定方法(図8)の各工程ST21~ST23を実行する。これにより、対象物W1が工具42により加工され、加工の際に主軸40に加えられた荷重Fx1が制御部31により算出される。算出された荷重Fx1は、記憶部32に記憶される。以上により、加工工程ST2が終了する。
【0098】
加工工程ST2の後、制御部31は、変換情報L1の校正の要否を判定する(判定工程ST3)。例えば、工作機械20の初期化が行われた場合、変換情報L1が前回に校正した値から変化している可能性が高いため、制御部31は校正が必要と判定し、校正工程ST1を実行する(ST3の「YES」のルート)。また、前回の校正工程ST1の実行後、所定時間(例えば、48時間)が経過している場合、工作機械20の初期化が行われていなくとも変換情報L1が前回に校正した値から変化している可能性が高いため、制御部31は校正が必要と判定し、校正工程ST1を実行する。また、オペレータが入力部33により校正を行う旨の入力をした場合にも、制御部31は校正工程ST1を実行する。制御部31において、校正が必要であるとの判定がなされない場合、測定システム10は、引き続き加工工程ST2を行う(ST3の「NO」のルート)。
【0099】
本実施形態に係る製造方法では、所定条件(例えば、工作機械20の初期化、所定時間の経過、オペレータによる校正指示)が満たされる都度、変換情報L1を更新する。このため、より精度の高い変換情報L1を維持することができる。また、このように精度の高い変換情報L1により加工工程ST2中の荷重Fx1を取得するため、荷重Fx1の精度を高めることができる。
【0100】
例えば、荷重Fx1は、加工中の工具42のフィードバック制御に用いられる。このため、荷重Fx1の精度を高くすることで、対象物W1の加工精度を向上させることができる。また、例えば、荷重Fx1は、工具42の交換時期の管理に用いられる。このため、荷重Fx1の精度を高くすることで、工具42を適切な時期に交換することができる。
【0101】
<変形例>
以上、本発明の実施形態を説明した。しかしながら、本発明の実施に関してはこれに限られず、種々の変形を行うことができる。以下、本発明の実施形態に係る変形例について、説明する。なお、以下の説明において、実施形態から変更のない部分については同じ符号を付し、説明を省略する。
【0102】
<センサの配置の変形例>
図11は、変形例に係るセンサの配置を示す図である。図11は、図3(a)と同様に、変形例に係る転がり軸受60Aの断面を示している。上記の実施形態では、1つの転がり軸受60Aに1つのセンサ65を設けている。しかしながら、1つの転がり軸受60Aに複数のセンサ65を設けてもよい。例えば、転がり軸受60Aの凹溝64の底面に、周方向に90度ずつ離した状態で、4つのセンサ65A,65B,65C,65Dを設けてもよい。
【0103】
上記の実施形態のセンサ65は、工具42が対象物W1に対して矢印AR1方向(図7)に移動する際に、主軸40に加えられる荷重を歪電圧として検出する。例えば、工具42によりポケット加工等を行う場合、工具42の送り方向は、矢印AR1方向に限られず、回転軸C1と直交する平面上の任意の方向となる。図11に示すように、周方向の複数の位置にセンサ65A,65B,65C,65Dを設けることで、複数の方向からそれぞれ主軸40に加えられる荷重を測定することができる。
【0104】
<治具の変形例>
図12は、変形例に係る治具を示す図である。上記の実施形態では、工具42に治具50を取り付ける。しかしながら、図12(a)に示すように、治具50Aそのものを主軸本体41に固定具43により取り付けてもよい。治具50Aは、錘部52と、軸方向に延びる第1腕部54aと、径方向に延びて第1腕部54aと錘部52とを接続する第2腕部54bとを有する。第1腕部54aの第2腕部54bと反対側の端部が、固定具43により主軸本体41に取り付けられる。
【0105】
また、図12(b)に示すように、治具50Bは軸部51を有さず、工具42の外周面に錘部52を直接取り付けてもよい。治具50Bは、錘部52と、錘部52を工具42に取り付けるための接着部55とを有する。接着部55は、例えば接着テープである。錘部52と工具42の外周に接着部55を複数周、巻きつけることで、錘部52が工具42に取り付けられる。
【0106】
<測定システムの変形例>
上記の実施形態の変換情報取得装置30(荷重測定装置)は、工作機械20の主軸40が受ける荷重についての情報を取得する。しかしながら、変換情報取得装置30が荷重についての情報を取得する対象は、工作機械20に限られない。
【0107】
例えば、変換情報取得装置30は、車輪又はタービンの主軸が受ける荷重についての情報を取得してもよい。この場合、測定システム10は、車輪又はタービンと、変換情報取得装置30とを備える。車輪は、工作機械20と同様に、主軸40と、主軸40を支持する転がり軸受60Aと、転がり軸受60Aの軌道輪(外輪61又は内輪62)に設けられたセンサ65と、を有する。また、変換情報L1を取得する際、主軸40には、主軸40の回転軸C1と異なる位置に重心G1を有する状態で、治具50が固定される。
【0108】
<その他>
以上のとおり開示した実施形態及び変形例はすべての点で例示であって制限的なものではない。つまり、本発明は、図示する形態に限られず、本発明の範囲内において他の形態であってもよい。
【符号の説明】
【0109】
10 測定システム
20 工作機械
30 変換情報取得装置
31 制御部
32 記憶部
33 入力部
34 表示部
35 コンピュータプログラム
36 記録媒体
40 主軸
41 主軸本体
42 工具
43 固定具
44 モータ
50 治具
50A 治具
50B 治具
51 軸部
51a 内周面
51b 溝
52 錘部
53 留め具
54a 第1腕部
54b 第2腕部
55 接着部
60A,60B 転がり軸受
61 外輪
61a 外周面
62 内輪
63 転動体
63A 転動体
63B 転動体
64 凹溝
65 センサ
65A,65B,65C,65D センサ
70 ハウジング
90 工作機械
91A 主軸
91B ハウジング
92 工具
93 転がり軸受
93a 外輪
93b 内輪
93c 転動体
94 歪みゲージ
95 測定装置
96 転がり軸受
96a 外輪
97 押圧具
98 プッシュプルゲージ
r1 距離
G1 重心
C1 回転軸
C9 回転軸
m1 質量
L1 変換情報
L9 変換情報
W1 対象物
GR1 溝
nx,nx1 回転速度
n1 第1の回転速度
n2 第2の回転速度
CF1 遠心力
CF2 遠心力
Fx,Fx1 荷重
F1 第1の荷重
F2 第2の荷重
SGx,SGx1 検出信号
SG1 第1の検出信号
SG2 第2の検出信号
E1 包絡線
E2 包絡線
Px,Px1 代表値
P1 第1の代表値
P2 第2の代表値
PL1 プロット
A1 傾き
B1 切片
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13