(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】車両
(51)【国際特許分類】
B60L 3/00 20190101AFI20241001BHJP
B60L 1/00 20060101ALI20241001BHJP
B60L 7/14 20060101ALI20241001BHJP
B60L 9/18 20060101ALI20241001BHJP
B60L 58/10 20190101ALI20241001BHJP
【FI】
B60L3/00 S
B60L1/00 L
B60L7/14
B60L9/18 J
B60L58/10
(21)【出願番号】P 2021040057
(22)【出願日】2021-03-12
【審査請求日】2023-09-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】海田 啓司
(72)【発明者】
【氏名】南浦 啓一
(72)【発明者】
【氏名】平沢 崇彦
【審査官】岩田 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-137171(JP,A)
【文献】特開2011-024303(JP,A)
【文献】特開2013-126348(JP,A)
【文献】特開2019-180209(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 3/00
B60L 1/00
B60L 7/14
B60L 9/18
B60L 58/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両であって、
発電するように構成されたモータと、
前記モータにより発電される電力を蓄電するように構成された蓄電装置と、
前記蓄電装置および前記モータに電気的に接続され、前記モータを駆動する駆動装置と、
前記蓄電装置の内部と前記車両のボディとの間の絶縁抵抗の低下を検出する絶縁抵抗低下検出器と、
前記絶縁抵抗低下検出器により前記絶縁抵抗の低下が検出された場合に、前記駆動装置へ流れることなく前記蓄電装置の内部と前記ボディとの間で循環する循環電流が発生していると判断する制御装置とを備え、
前記制御装置は、前
記循環電流が発生した場合に、前記循環電流が発生していない場合よりも前記モータの発電量を抑制するように前記駆動装置を制御す
る、車両。
【請求項2】
前記絶縁抵抗低下検出器は、
発信回路に接続された抵抗素子と、
前記蓄電装置および前記抵抗素子の間に接続され、前記発信回路および前記抵抗素子と前記蓄電装置とを絶縁するためのコンデンサと、
前記抵抗素子と前記コンデンサとの間のノードにおける電圧の波高値を検出する検出回路とを含み、
前記制御装置は、前記波高値がしきい値未満である場合に、前記循環電流が発生していると判断する、請求項1に記載の車両。
【請求項3】
前記駆動装置は、インバータを含み、
前記制御装置は、前記循環電流が発生した場合に、前記循環電流が発生していない場合よりも前記モータの回生トルクが小さくなるように前記インバータを制御する、請求項1
または請求項2に記載の車両。
【請求項4】
前記蓄電装置と前記駆動装置との間の電力線に接続される負荷をさらに備え、
前記制御装置は、前記循環電流が発生した場合に、前記循環電流が発生していない場合よりも前記負荷における消費電力が大きくなるように前記負荷を制御する、請求項1
~3のいずれか1項に記載の車両。
【請求項5】
前記蓄電装置と前記駆動装置との間の電力線に接続される電力変換器をさらに備え、
前記電力変換器は、前記蓄電装置に蓄電された電力を、前記電力線を介して受けて変換するように構成されており、
前記制御装置は、前記循環電流が発生した場合に、前記循環電流が発生していない場合よりも前記電力変換器による出力電力が大きくなるように前記電力変換器を制御する、請求項1~
4のいずれか1項に記載の車両。
【請求項6】
前記蓄電装置は、直列に接続された複数の単電池のみからなる組電池である、請求項1~5のいずれか1項に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両に関し、より特定的には、蓄電装置を備える車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2019-119397号公報(特許文献1)は、車両において、バッテリから供給される電力を昇圧してモータに供給する電源システムを開示する。この電源システムは、コンバータ、インバータ、およびモータなどにおいて異常が発生している部位を特定する。この電源システムでは、異常発生の部位が昇圧後の部位である場合の昇圧電圧は、異常発生の部位が昇圧前の部位である場合の昇圧電圧よりも低く設定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両において、蓄電装置の故障により、蓄電装置の電流がモータの駆動装置に流れることなく蓄電装置の内部でまたは蓄電装置の内部と外部との間で循環することがある。このような電流(以下、「循環電流」と称する)は、電力の損失を招く。特許文献1においては、このような問題が検討されていない。
【0005】
本開示は、上記問題を解決するためになされたものであり、その目的は、蓄電装置の循環電流に起因する電力損失を低減可能な車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の車両は、モータと、蓄電装置と、駆動装置と、制御装置とを備える。モータは、発電するように構成される。蓄電装置は、モータにより発電される電力を蓄電するように構成される。駆動装置は、蓄電装置およびモータに電気的に接続され、モータを駆動する。制御装置は、駆動装置へ流れることなく蓄電装置の内部でまたは蓄電装置の内部と外部との間で循環する循環電流が発生した場合に、循環電流が発生していない場合よりもモータの発電量を抑制するように駆動装置を制御する。
【0007】
上記の構成とすることにより、蓄電装置への充電電力が減少するため、蓄電装置の蓄電量が減少し、蓄電装置の電圧が低下する。その結果、蓄電装置の循環電流が減少する。したがって、蓄電装置の循環電流に起因する電力損失を低減させることが可能となる。
【0008】
駆動装置は、インバータをさらに含んでいてもよい。そして、制御装置は、循環電流が発生した場合に、循環電流が発生していない場合よりもモータの回生トルクが小さくなるようにインバータを制御してもよい。
【0009】
上記の構成とすることにより、車両の回生制動時にモータにより発電される電力が減少するため、蓄電装置への充電電力が減少する。その結果、蓄電装置の蓄電量が減少するため、蓄電装置の電圧が低下する。よって、蓄電装置の循環電流が減少する。したがって、蓄電装置の循環電流に起因する電力損失を低減させることが可能となる。
【0010】
車両は、蓄電装置と駆動装置との間の電力線に接続される負荷をさらに備えていてもよい。そして、制御装置は、循環電流が発生した場合に、循環電流が発生していない場合よりも負荷における消費電力が大きくなるように負荷を制御してもよい。
【0011】
上記の構成とすることにより、蓄電装置から負荷へ供給される電力が増加するため、当該制御が実行されない場合よりも蓄電装置の蓄電量が早く減少する。これにより、上記の場合よりも蓄電装置の電圧が早く低下する。その結果、上記の場合よりも蓄電装置の循環電流が早く減少する。したがって、蓄電装置の循環電流に起因する電力損失の総量を低減させることが可能となる。
【0012】
車両は、蓄電装置と駆動装置との間の電力線に接続される電力変換器をさらに備えていてもよい。電力変換器は、蓄電装置に蓄電された電力を、電力線を介して受けて変換するように構成される。そして、制御装置は、循環電流が発生した場合に、循環電流が発生していない場合よりも電力変換器による出力電力が大きくなるように電力変換器を制御してもよい。
【0013】
上記の構成とすることにより、蓄電装置またはモータから電力変換器へ供給される電力が増加するため、当該制御が実行されない場合よりも蓄電装置の蓄電量が早く減少する。これにより、上記の場合よりも蓄電装置の電圧が早く低下する。その結果、上記の場合よりも蓄電装置の循環電流が早く減少する。したがって、蓄電装置の循環電流に起因する電力損失の総量を低減させることが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、蓄電装置の循環電流に起因する電力損失を低減可能な車両を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施の形態1に従う車両の全体構成を示す図である。
【
図2】バッテリの内部で循環電流が流れる様子を模式的に示す図である。
【
図3】本実施の形態1に従う制御装置により実行される処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図4】モータジェネレータの発電量が抑制される場合のインバータの制御方法を説明するための図である。
【
図5】モータジェネレータの発電時において、バッテリのあるセルの内部抵抗値と、バッテリの電圧と、循環電流の電流値との時間的な推移の一例を示す図である。
【
図6】循環電流がバッテリの外部に流れる様子を模式的に示す図である。
【
図7】実施の形態2に従う車両の全体構成を示す図である。
【
図8】本実施の形態2に従う制御装置により実行される処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図9】モータジェネレータの発電時において、絶縁抵抗と、バッテリの電圧と、循環電流の電流値と、の時間的な推移の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中の同一または相当部分には同一の符号を付しており、その説明を繰り返さない。
【0017】
[実施の形態1]
図1は、実施の形態1に従う車両の全体構成を示す図である。車両100は、電力を用いて走行する電動車両である。本実施の形態では、車両100が電気自動車である場合を例として説明するが、車両100は、エンジン(図示せず)がさらに搭載されたハイブリッド車もしくはプラグインハイブリッド車両、または燃料電池(図示せず)がさらに搭載された燃料電池車などの他の電動車両であってもよい。
【0018】
図1を参照して、車両100は、バッテリB1と、システムリレーSRと、電圧センサ10と、電流センサ17と、電力線PL,NLと、PCU(Power Control Unit)18と、モータジェネレータMGと、制御装置30とを備える。また、車両100は、DC/DCコンバータ13と、エアコン14と、補機19と、バッテリB2とをさらに備える。
【0019】
バッテリB1は、複数のセルを含む組電池である。各セルは、リチウムイオン電池、鉛蓄電池またはニッケル水素電池などの二次電池である。リチウムイオン電池は、リチウムを電荷担体とする二次電池であり、電解質が液体の一般的なリチウムイオン電池のほか、固体電解質を用いた全固体電池をも含む。バッテリB1は、充放電するように構成された蓄電装置の一例として示されている。バッテリB1に代えて、電気二重層キャパシタなどの蓄電素子により構成される蓄電装置が用いられてもよい。バッテリB1は、システムリレーSRを介してPCU18(後述)に接続される。
【0020】
電圧センサ10は、バッテリB1のセルごとの電圧VCE(k)を検出する。具体的には、電圧VCE(k)は、バッテリB1が備えるn個のセルうちのk番目のセルの電圧である(n,kは自然数であり、1≦k≦n)。電圧センサ10の検出値は、制御装置30へ出力される。
【0021】
電流センサ17は、バッテリB1から出力される電流Ibを検出する。電流センサ17の検出値は、制御装置30へ出力される。
【0022】
電力線PLは、バッテリB1の正極とPCU18とを電気的に接続する。電力線NLは、バッテリB1の負極とPCU18とを電気的に接続する。
【0023】
PCU18は、モータジェネレータMG(後述)を駆動する駆動装置である。PCU18は、コンデンサ12と、電圧センサ16と、インバータ20とを含む。コンデンサ12は、電力線PLと電力線NLとの間に接続されている。電圧センサ16は、コンデンサ12の端子間の電圧VHを検出する。電圧センサ16の検出値は、制御装置30に出力される。
【0024】
インバータ20は、電力線PL,NLから受ける直流電力を交流電力に変換するように構成される。そして、インバータ20は、変換された交流電力を用いてモータジェネレータMGを駆動する。また、インバータ20は、車両100の制動時にモータジェネレータMG(後述)により発電された交流電力を直流電力に変換するようにも構成される。
【0025】
インバータ20は、U相アーム21と、V相アーム22と、W相アーム23とを含む。U相アーム21は、スイッチング素子Q1,Q2と、スイッチング素子Q1,Q2にそれぞれ逆並列に接続されるダイオードD1,D2とを含む。V相アーム22は、スイッチング素子Q3,Q4と、スイッチング素子Q3,Q4にそれぞれ逆並列に接続されるダイオードD3,D4とを含む。W相アーム23は、スイッチング素子Q5,Q6と、スイッチング素子Q5,Q6にそれぞれ逆並列に接続されるダイオードD5,D6とを含む。
【0026】
スイッチング素子Q1~Q6は、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)またはMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)などである。スイッチング素子Q1~Q6は、制御装置30から出力される制御信号PWMSに従うスイッチング周期およびデューティ比率に基づいてPWM(Pulse Width Modulation)制御される。
【0027】
モータジェネレータMGは、交流回転電機であり、例えば三相交流同期電動発電機である。モータジェネレータMGは、インバータ20に電気的に接続される。モータジェネレータMGは、バッテリB1からインバータ20を介して供給される電力を用いて回転することにより車両100の車輪(図示せず)を駆動する。これにより、車両100が走行する。
【0028】
また、モータジェネレータMGは、車両100の制動時に発電可能に構成される。モータジェネレータMGによって発電された交流電力は、インバータ20により直流電力に変換される。変換後の直流電力は、電力線PL,NLを通じてバッテリB1に蓄電される。また、当該直流電力は、DC/DCコンバータ13を経由してバッテリB2もしくは補機19に、またはエアコン14(いずれも後述)にも供給され得る。
【0029】
なお、車両100は、充電装置(図示せず)をも備えている。充電装置は、外部電源(図示せず)に車両100が接続されている場合、外部電源から供給される交流電力をバッテリB1用の充電電力(直流電力)に変換するように構成されている。
【0030】
DC/DCコンバータ13およびエアコン14は、電力線PL,NLに接続される。DC/DCコンバータ13およびエアコン14は、バッテリB1から出力される直流電力、または、車両100の回生制動時(モータジェネレータMGの発電時)にインバータ20から出力される直流電力を、電力線PL,NLを介して受けて作動するように構成されている。
【0031】
エアコン14は、制御装置30からの制御信号CTA1に従って作動する負荷の一例として示されている。
【0032】
DC/DCコンバータ13は、受けた電力を補機電圧レベル(例えば12V)の直流電力に変換するように構成されている。DC/DCコンバータ13は、バッテリB2および補機19に接続され、制御装置30からの制御信号CTA2に従って作動する。DC/DCコンバータ13は、例えば、絶縁型のトランスによって構成される。
【0033】
バッテリB2は、バッテリB1と同様に、充放電するように構成された蓄電装置の一例として示されている。バッテリB2は、DC/DCコンバータ13による変換後の直流電力を蓄電する補機用蓄電装置である。バッテリB2は、複数のセルを含む組電池であり、各セルは、鉛蓄電池またはニッケル水素電池などの二次電池である。補機19は、バッテリB2に蓄えられた電力など、DC/DCコンバータ13による変換後の直流電力を受けて作動する。
【0034】
制御装置30は、CPU(Central Processing Unit)とメモリとを含んで構成される(いずれも図示せず)。CPUは、メモリに記憶された情報などに基づいて車両100の各機器を制御する。メモリは、ROM(Read Only Memory)とRAM(Random Access Memory)とを含む。ROMは、CPUにより実行されるプログラムなどを格納する。RAMは、CPUにより参照されるデータなどを一時的に格納する。制御装置30の制御は、ソフトウェア処理により実現されるが、制御装置30内に作製されたハードウェアにより実現されてもよい。
【0035】
制御装置30は、システムリレーSR、インバータ20、DC/DCコンバータ13、エアコン14および補機19などの車両100の各機器を制御する。制御装置30は、例えば、トルク指令値TRに従うトルクが車両100の走行時または制動時にモータジェネレータMGにより出力されるようにインバータ20をPWM制御する。また、制御装置30は、DC/DCコンバータ13を制御することによりバッテリB2のSOC(State of Charge)を調整することもできる。
【0036】
車両100において、バッテリB1のセルの故障により、バッテリB1の電流がインバータ20に流れることなくバッテリB1の内部で循環することがある。
【0037】
図2は、バッテリB1の内部で循環電流が流れる様子を模式的に示す図である。
図2において、説明の簡略化のため、
図1の車両100の構成要素の一部が抜粋して示されている。
【0038】
図2の例では、循環電流CC1は、バッテリB1が備える複数のセルCELL(1)~CELL(n)のうち一部のセルCELL(1)~CELL(k)により構成される回路(以下、「循環電流回路」とも称する)を循環している。循環電流CC1は、電力の損失を招く。
【0039】
そこで、本実施の形態では、このような電力損失を低減させるための方策が示される。具体的には、制御装置30は、循環電流CC1が発生した場合に、循環電流CC1が発生していない場合よりもモータジェネレータMGの発電量を抑制するようにインバータ20を制御する。より具体的には、制御装置30は、循環電流CC1が発生した場合に、循環電流CC1が発生していない場合よりもモータジェネレータMGの回生トルクが小さくなるようにインバータ20を制御する。
【0040】
以下、循環電流CC1の検出方法について説明する。一般的に、バッテリB1内部で循環電流CC1が発生している場合に、循環電流CC1が流れているセルのCELL(1)~CELL(k)の内部抵抗は、循環電流CC1が発生していない場合のCELL(1)~CELL(k)の内部抵抗よりも大きい。
【0041】
そのため、制御装置30は、バッテリB1のセルCELL(1)~CELL(n)の内部抵抗に従って循環電流CC1の発生を判断できる。具体的には、セルCELL(1)~CELL(n)のいずれかの内部抵抗が過度に上昇しているとき、循環電流CC1の発生を判断できる。
【0042】
なお、制御装置30は、例えば、電圧センサ10により検出されるバッテリB1のセルごとの電圧VCE(k)と、電流センサ17により検出されるバッテリB1の電流Ibとに基づいて、バッテリB1の各セルの内部抵抗を算出できる。具体的には、制御装置30は、バッテリB1のセルごとの電圧値および電流値を電圧-電流座標上にプロットし、プロットされた各点の座標に従って表される直線の傾きを当該内部抵抗として算出できる。
【0043】
そして、制御装置30は、各セルの内部抵抗のうち少なくとも1つが第1のしきい値以上であるか否かを判断し、当該内部抵抗が第1のしきい値以上であるとの判断に基づいて循環電流CC1の発生を判断する。第1のしきい値は、事前の評価試験などにおいて適宜予め定められる。
【0044】
図3は、本実施の形態1に従う制御装置30により実行される処理の手順の一例を示すフローチャートである。このフローチャートは、予め定められた時間間隔ごとに実行される。
【0045】
図3を参照して、制御装置30は、電流センサ17および電圧センサ16から、電流Ibおよび電圧VCE(k)の検出値をそれぞれ取得し(ステップS10)、これらの検出値に従ってバッテリB1の各セルの内部抵抗を算出する(ステップS20)。
【0046】
次いで、制御装置30は、バッテリB1の少なくとも1つのセルの内部抵抗が第1のしきい値以上であるか否かを判断する(ステップS30)。バッテリB1の少なくとも1つのセルの内部抵抗が第1のしきい値未満である場合(ステップS30においてNO)、制御装置30は、処理を一旦終了した後、上記予め定められた時間間隔が経過する度にステップS10へ処理を戻す。他方、バッテリB1の少なくとも1つのセルの内部抵抗が第1のしきい値以上である場合(ステップS30においてYES)、制御装置30は、循環電流CC1が発生したと判断する(ステップS40)。
【0047】
次いで、制御装置30は、循環電流CC1が発生していない場合よりもモータジェネレータMGの発電量を抑制するようにインバータ20を制御する(ステップS50)。具体的には、循環電流CC1が発生した場合、制御装置30は、循環電流CC1が発生していない場合よりもモータジェネレータMGの回生トルクが小さくなるようにインバータ20を制御する。制御装置30は、例えば、当該トルクにより発電される電力が0になるように、またはエアコン14もしくは補機19用の電力のみになるようにインバータ20を制御する。
【0048】
これにより、モータジェネレータMGの発電量が抑制されるため、モータジェネレータMGからバッテリB1に供給される電力が減少する。そのため、バッテリB1のSOCが減少する。バッテリB1のSOCは、バッテリB1の電圧VHに関連しているため、バッテリB1のSOCが減少するにつれて、バッテリB1の電圧VHは低下する。このように、モータジェネレータMGの発電量が抑制されると、バッテリB1の電圧VHは低下する。
【0049】
ここで、循環電流CC1の電流値は、循環電流回路の内部抵抗と、循環電流CC1が流れるセルCELL(1)~CELL(k)の電圧の総和とに基づいている。ここで、セルCELL(1)~CELL(k)の電圧の総和は、バッテリB1の電圧VHに関係している。そのため、モータジェネレータMGの発電量の抑制に起因してバッテリB1の電圧VHが低下すると、セルCELL(1)~CELL(k)の電圧の総和も低下する。そのため、循環電流CC1が減少する。その結果、循環電流CC1に起因する電力損失を低減させることが可能となる。
【0050】
モータジェネレータMGの発電量が抑制された後(ステップS50の後)、制御装置30は、処理を一旦終了した後、上記予め定められた時間間隔が経過する度にステップS10へ処理を戻す。
【0051】
図4は、モータジェネレータMGの発電量が抑制される場合のインバータ20の制御方法を説明するための図である。
【0052】
制御装置30は、電圧VHを制御するために電圧VHの目標電圧VHTを設定するように構成されている。具体的には、以下に示されるように、制御装置30は、電圧VHの検出値と目標電圧VHTとの差に従うフィードバック制御を実行する。本実施の形態において、フィードバック制御の一例として、PI(Proportional-Integral)制御が採用される。
【0053】
図4を参照して、制御装置30は、減算部505と、比例項算出部510と、積分項算出部515と、加算部520,530と、上下限処理部525とを含む。
【0054】
減算部505は、目標電圧VHTから、電圧センサ16により検出された電圧VHを差し引くことにより偏差ΔVH(=VHT-VH)を算出する。
【0055】
比例項算出部510は、偏差ΔVHに比例係数を乗算することにより、PI制御における比例項を算出する。
【0056】
積分項算出部515は、予め定められたゲインを偏差ΔVHに乗算し、乗算により得られた項の積分を演算することによりPI制御における積分項を算出する。
【0057】
加算部520は、比例項算出部510および積分項算出部515によりそれぞれ算出された比例項および積分項の和を制御量U1として算出する。
【0058】
上下限処理部525は、制御量U1に対して上限処理および下限処理を実施する。これにより、制御量U2は、予め定められた上限未満かつ下限以上になるよう出力される。なお、当該上限は、例えば、インバータ20のPWM制御のデューティ比が過剰に高くまたは低くならないように適宜予め定められる。そして、加算部520は、制御量U2に外乱が加えられた制御量U3を出力する。
【0059】
インバータ20は、制御量U3に基づいて制御装置30により制御される。これにより、モータジェネレータMGのトルクが調整され、電圧VHが目標電圧VHTに調整される。
【0060】
このようなフィードバック制御系において、制御装置30は、循環電流CC1(
図2)が発生したと判断すると、目標電圧VHTを引き下げる。以下、引き下げ前の目標電圧VHTをVHT1とし、引き下げ後の目標電圧VHTをVHT2とする(VHT1>VHT2)。
【0061】
目標電圧VHTがVHT1からVHT2へ引き下げられる前、制御装置30は、電圧VHがVHT1になるように上記のフィードバック制御を実行する。そして、目標電圧VHTがVHT1からVHT2へ引き下げられた場合、制御装置30は、電圧VHがVHT2になるように上記のフィードバック制御を実行する。
【0062】
具体的には、この場合に電圧VHが目標電圧VHT(=VH2)よりも高い場合、制御装置30は、モータジェネレータMGの発電量を抑制するようにインバータ20を制御する。これにより、モータジェネレータMGからバッテリB1に供給される電力が減少するため、バッテリB1のSOCが低下する。その結果、バッテリB1の電圧VHは、VHT2に近づくように低下する。
【0063】
このように制御装置30が電圧VHの検出値と目標電圧VHTとに基づいてインバータ20を制御することにより、循環電流CC1が発生した場合に電圧VHはVHT1からVHT2へ最終的に低下する。そして、電圧VHの低下に起因して、セルCELL(1)~CELL(k)(
図2)の電圧の総和が低下することにより循環電流CC1が減少する。したがって、循環電流CC1に起因する電力損失を低減することが可能となる。
【0064】
図5は、モータジェネレータMGの発電時において、バッテリB1のあるセルの内部抵抗値Rbと、電圧VHと、循環電流CC1の電流値IJとの時間的な推移の一例を示す図である。
図5の横軸は時刻tを表す。
図5の上段、中断および下段において、縦軸は、内部抵抗値Rb、電圧VHおよび電流値IJをそれぞれ表す。
【0065】
具体的には、線605は、内部抵抗値Rbの時間的な変化を表す。線610は、電圧VHの時間的な変化を表す。線615は、電流値IJの時間的な変化を表す。
【0066】
時刻t1において、内部抵抗値Rb、電圧VHおよび電流値IJは、それぞれ、Rb1,VH1およびIJ1であるものとする。時刻t1では、内部抵抗値RbがRb1であり、Rb1が第1のしきい値TH1未満であるため(線605)、制御装置30は、バッテリB1内部に循環電流CC1が発生していないと判断する。
【0067】
時刻t2において、内部抵抗値Rbが、第1のしきい値TH1以上のRb2に上昇すると(線605)、制御装置30は、循環電流CC1が発生していると判断する。そこで、制御装置30は、目標電圧VHT(
図5)をVHT1からVHT2に引き下げる。
【0068】
次いで、時刻t2から時刻t3までの間にわたって、制御装置30は、循環電流CC1が発生していない場合(時刻t2の前)よりもモータジェネレータMGの発電量を抑制するようにインバータ20を制御する。
【0069】
具体的には、制御装置30は、
図4を参照して説明されたフィードバック制御を実行する。これにより、モータジェネレータMGからバッテリB1へ供給される電力が減少することによりバッテリB1のSOCが低下するため、バッテリB1の電圧VHが低下する(線610)。そのため、セルCELL(1)~CELL(k)の電圧の総和(
図2)が低下することにより循環電流CC1の電流値IJがIJ2からIJ3に低下する(線615)。その結果、循環電流CC1に起因する電力損失が低減される。
【0070】
以上のように、実施の形態1において、制御装置30は、内部抵抗値Rbが第1のしきい値TH1以上であるか否かに従って、バッテリB1内部の循環電流CC1が発生しているか否かを判断する。そして、制御装置30は、循環電流CC1が発生した場合に、循環電流CC1が発生していない場合よりもモータジェネレータMGの発電量を抑制するようにインバータ20を制御する。
【0071】
その結果、バッテリB1のSOCが低下することにより電圧VHが低下するので、循環電流CC1が減少する。したがって、循環電流CC1に起因する電力損失が低減される。
【0072】
[実施の形態2]
実施の形態1では、バッテリB1の内部で循環電流CC1が発生する場合について説明した。これに対して、実施の形態2では、バッテリB1の内部と外部との間で循環電流が発生する場合(即ち、循環電流がバッテリB1の外部に流れる場合)について説明する。
【0073】
図6は、循環電流がバッテリB1の外部に流れる様子を模式的に示す図である。
図6の例では、循環電流CC2は、バッテリB1の内部と車両100のGND(例えば、ボディ)との間で循環している。絶縁抵抗RISは、バッテリB1と車両100のGNDとの間の絶縁抵抗である。
【0074】
図7は、実施の形態2に従う車両100の全体構成を示す図である。実施の形態2に従う車両100は、絶縁抵抗低下検出器70をさらに備える点で、実施の形態1に係る車両100(
図1)と異なる。また、実施の形態2に従う車両100において、絶縁抵抗RISが考慮される点で、実施の形態1に従う車両100とは異なる。この実施の形態2に従う車両100のその他の構成は、実施の形態1に従う車両100の構成と基本的に同様である。
【0075】
絶縁抵抗低下検出器70は、バッテリB1の負極に電気的に接続される。絶縁抵抗低下検出器70は、カップリングコンデンサ15と、抵抗50と、発振回路40と、波高値検出回路60とを含む。
【0076】
カップリングコンデンサ15は、バッテリB1の負極とノードN1との間に接続される。カップリングコンデンサ15は、抵抗50、発振回路40および波高値検出回路60と、バッテリB1の負極とを絶縁するために設けられる。抵抗50は、ノードN1と発振回路40との間に設けられる。
【0077】
発振回路40は、交流信号を出力する。当該交流信号は、抵抗50を介してノードN1へ出力される。
【0078】
波高値検出回路60は、ノードN1における電圧の波高値を検出する。ノードN1における電圧は、発振回路40から出力された交流信号の電圧が抵抗50と絶縁抵抗RISとで分圧された電圧に相当する。波高値検出回路60は、当該波高値の検出値を示す信号SABNを制御装置30へ出力する。
【0079】
絶縁抵抗RISが低下すると、循環電流CC2(
図6)が発生する。そして、絶縁抵抗RISが低下するにつれて、絶縁抵抗RISの電圧が低下する。そのため、絶縁抵抗RISに接続されるノードN1における電圧は、絶縁抵抗RISの低下とともに低下する。したがって、絶縁抵抗RISが低下すると、波高値検出回路60により検出される波高値も低下する。
【0080】
そこで、実施の形態2に従う制御装置30は、当該波高値の検出値に基づいて、絶縁抵抗RISが過度に低下したか否かを判断し、絶縁抵抗RISが過度に低下したとの判断に基づいて循環電流CC2の発生を判断する。
【0081】
具体的には、制御装置30は、当該波高値が第2のしきい値未満である場合、絶縁抵抗RISが過度に低下していると判断する。この場合、バッテリB1とGNDとの間で電流が過度に流れやすくなっているため、制御装置30は、循環電流CC2が発生していると判断する。第2のしきい値は、事前の評価試験などにおいて適宜予め定められる。
【0082】
図8は、本実施の形態2に従う制御装置30により実行される処理の手順の一例を示すフローチャートである。このフローチャートは、予め定められた時間間隔ごとに実行される。
【0083】
図8を参照して、制御装置30は、波高値検出回路60の検出値を、信号SABNを通じて取得する(ステップS120)。
【0084】
次いで、制御装置30は、当該波高値が第2のしきい値未満であるか否かを判断する(ステップS130)。当該波高値が第2のしきい値以上である場合(ステップS130においてNO)、制御装置30は、処理を一旦終了した後、上記予め定められた時間間隔が経過する度にステップS120へ処理を戻す。他方、当該波高値が第2のしきい値未満である場合(ステップS130においてYES)、制御装置30は、循環電流CC2が発生したと判断する(ステップS140)。
【0085】
次いで、制御装置30は、循環電流CC2が発生していない場合よりもモータジェネレータMGの発電量を抑制するようにインバータ20を制御する(ステップS150)。当該発電量の抑制方法は、実施の形態1におけるステップS50(
図3)の処理において実施される発電量の抑制方法と同様である。
【0086】
図9は、モータジェネレータMGの発電時において、絶縁抵抗RISと、電圧VHと、循環電流CC2(
図6)の電流値IJ’と、の時間的な推移の一例を示す図である。
図9の横軸は時刻tを表す。
図9の上段、中断および下段において、縦軸は、絶縁抵抗RIS、電圧VHおよび電流値IJ’をそれぞれ表す。
【0087】
具体的には、線1015は、絶縁抵抗RISの時間的な変化を表す。線1010は、電圧VHの時間的な変化を表す。線1005は、電流値IJ’の時間的な変化を表す。
【0088】
時刻t10において、絶縁抵抗RIS、電圧VHおよび電流値IJ’は、それぞれ、RIS10、VH10およびIJ10であるものとする。時刻t10では、絶縁抵抗RISがRIS10であり、RIS10が第2のしきい値TH2以上であるため(線1015)、制御装置30は、バッテリB1の外部(
図6の例では、車両100のGND)の循環電流CC2が発生していないと判断する。
【0089】
時刻t11において、絶縁抵抗RISが、しきい値TH2未満のRIS11に低下すると(線1015)、制御装置30は、循環電流CC2が発生していると判断する。時刻t11では、循環電流CC2の電流値IJ’は、IJ10からIJ11へ急激に上昇している(線1005)。そこで、制御装置30は、循環電流CC2が発生しているとの上記判断に基づいて、目標電圧VHT(
図5)をVHT1からVHT2に引き下げる。
【0090】
次いで、時刻t11から時刻t12までの間にわたって、制御装置30は、循環電流CC2が発生していない場合(時刻t11よりも前)よりもモータジェネレータMGの発電量を抑制するようにインバータ20を制御する。具体的には、制御装置30は、
図4を参照して説明されたフィードバック制御を実行する。これにより、モータジェネレータMGからバッテリB1へ供給される電力が減少する。
【0091】
そして、当該電力の減少に伴いバッテリB1のSOCが低下するため、バッテリB1の電圧VHが低下する(線1010)。よって、循環電流回路のセルCELL(1)~CELL(k)(
図6)の電圧の総和が低下するため、循環電流CC2が減少する。具体的には、循環電流CC2の電流値IJ’は、IJ11からIJ12に低下する(線1005)。その結果、循環電流CC2に起因する電力損失が低減される。
【0092】
以上のように、実施の形態2において、制御装置30は、絶縁抵抗RISが第2のしきい値TH2未満であるか否かに従って、バッテリB1の外部に流れる循環電流CC2が発生しているか否かを判断する。そして、制御装置30は、循環電流CC2が発生した場合に、循環電流CC2が発生していない場合よりもモータジェネレータMGの発電量を抑制するようにインバータ20を制御する。その結果、循環電流CC2に起因する電力損失が低減される。
【0093】
[実施の形態3]
実施の形態3に従う車両100は、循環電流(
図2,
図6)が発生した場合に、モータジェネレータMGの発電量を抑制するようにインバータ20を制御することに加えて、エアコン14、補機19およびDC/DCコンバータ13(
図1,
図7)をさらに以下のように制御する。これにより、循環電流は、実施の形態1,2の場合よりもさらに早く減少する。以下の説明において
図1または
図7を参照する。
【0094】
一例として、制御装置30は、循環電流が発生した場合に、循環電流が発生していない場合よりもエアコン14または補機19における消費電力が一時的に(例えば、電圧VHがVHT2(
図4)に低下するまでの間)大きくなるように、エアコン14、または補機19およびDC/DCコンバータ13をさらに制御する。
【0095】
これにより、モータジェネレータMGにより発電された電力のうち実施の形態1,2の場合ではバッテリB1に供給されていた電力の少なくとも一部が、バッテリB1に代えてエアコン14または補機19へ供給される。或いは、バッテリB1に蓄えられていた電力のうちエアコン14または補機19へ供給される電力が、実施の形態1,2の場合よりも一時的に増加する。そのため、バッテリB1のSOCは、実施の形態1,2の場合よりも早く減少する。
【0096】
その結果、循環電流が発生した場合に、インバータ20の制御(具体的には、
図4、
図5および
図8を参照して説明したフィードバック制御)のみが実行される場合よりも早く電圧VHが、引き下げ後の目標電圧VHT(=VHT2)(
図4)に低下する。その結果、電圧VHがVHT2に低下するまでの間の電力損失の総量を低減させることが可能となる。
【0097】
[実施の形態3の変形例]
制御装置30は、循環電流(
図2,
図6)が発生した場合に、モータジェネレータMGの発電量を抑制するようにインバータ20を制御することに加えて、循環電流が発生していない場合よりもバッテリB2のSOCが大きくなるようにDC/DCコンバータ13を制御してもよい。
【0098】
具体的には、制御装置30は、バッテリB1に蓄えられていた電力のうち少なくとも一部がバッテリB2に蓄電されるように、一時的(例えば、電圧VHがVHT2に到達するまでの間)にDC/DCコンバータ13を制御する。
【0099】
これにより、バッテリB1の電力の消費量が一時的に増加するため、バッテリB1のSOCは、当該制御が実行されない場合よりも早く減少する。したがって、バッテリB1のSOCに関連する電圧VHも上記の場合よりも早く低下する。その結果、電圧VHがVHT2に到達するまでの間の電力損失の総量を低減させることが可能となる。
【0100】
さらに、バッテリB1に蓄えられている電力が、他の機器(例えば、補機19)の作動に必要な電力を蓄えるバッテリB2に予め蓄えられ得る。したがって、本変形例は、循環電流が発生している場合に補機19が作動していないときにも適用可能である。
【0101】
或いは、制御装置30は、モータジェネレータMGにより発電された電力のうち少なくとも一部が、バッテリB1に供給されることなくバッテリB2に供給されるように、一時的(例えば、電圧VHがVHT2に到達するまでの間)にDC/DCコンバータ13をさらに制御してもよい。
【0102】
このような制御によっても、バッテリB1のSOCは、当該制御が実行されない場合よりも早く減少する。したがって、バッテリB1のSOCに関連する電圧VHも上記の場合よりも早く低下する。その結果、電圧VHがVHT2に到達するまでの間の電力損失の総量を低減させることが可能となる。
【0103】
以上のように、制御装置30は、循環電流が発生した場合に、循環電流が発生していない場合よりもDC/DCコンバータ13による出力電力(例えば、補機19における消費電力およびバッテリB2に蓄えられる電力に相当)が大きくなるようにDC/DCコンバータ13を制御してもよい。
【0104】
[その他の変形例]
図1または
図7において、PCU20の構成要素として、バッテリB1と、インバータ20との間にコンバータが設けられていてもよい。
【0105】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0106】
10,16 電圧センサ、12 コンデンサ、14 エアコン、17 電流センサ、19 補機、20 インバータ、30 制御装置、70 絶縁抵抗低下検出器、100 車両、B1,B2 バッテリ、CC1,CC2 循環電流、RIS 絶縁抵抗。