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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】車両用制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60J 5/00 20060101AFI20241001BHJP
   B60W 50/08 20200101ALI20241001BHJP
   E05B 77/24 20140101ALI20241001BHJP
   E05B 81/70 20140101ALI20241001BHJP
【FI】
B60J5/00 K
B60W50/08
E05B77/24
E05B81/70
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021065645
(22)【出願日】2021-04-08
(65)【公開番号】P2022161097
(43)【公開日】2022-10-21
【審査請求日】2024-01-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】弁理士法人プロスペック特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石田 正穂
【審査官】高島 壮基
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-78959(JP,A)
【文献】特開2009-84788(JP,A)
【文献】特開2020-37813(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 5/00
B60W 30/00-60/00
E05B 77/00-85/28
E05F 15/40
15/73
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された電源装置と、
前記車両の周辺に存在する物体に関する物体情報を含む車両周辺情報を取得するように構成された車両周辺センサと、
前記車両のドアの開操作に対する警報処理、及び、前記開操作を制限する開操作制限処理の少なくとも一方を含む降車制限処理を実行するように構成された降車制限装置であって、第1状態と第2状態との何れかの状態に設定可能に構成された降車制限装置と、
前記車両周辺情報に基づいて、前記車両内の乗員が降車するときに注意すべき物体が存在すると判定した場合、前記降車制限装置に前記降車制限処理を実行させるように構成された制御ユニットと、
を備え、
前記第1状態は、前記電源装置から電力の供給を受けて前記電力を消費する状態であり、
前記第2状態は、前記第1状態に比べて前記電力の消費が小さい状態であり、
前記制御ユニットは、
前記車両の走行が行われたか否かについての情報である第1情報と、前記ドアに対して開閉操作が行われたか否かについての情報である第2情報とに基づいて、前記乗員が前記車両内に存在するか否かを判定し、
前記乗員が前記車両内に存在すると判定したとき、前記降車制限装置の状態を前記第1状態に設定し、
前記乗員が前記車両内に存在しないと判定したとき、前記降車制限装置の状態を前記第2状態に設定する
ように構成された、
車両用制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用制御装置であって、
前記乗員が前記車両の運転を開始する場合にオフ状態からオン状態へと変更され、前記乗員が前記車両の運転を終了する場合に前記オン状態から前記オフ状態へと変更されるスイッチを更に備え、
前記制御ユニットは、運転者の座席である第1座席に前記乗員が存在するか否かを判定するように構成され、
前記制御ユニットは、前記スイッチが前記オフ状態である状況において、
前記第1情報及び前記第2情報に基づいて、前記車両の走行が行われ且つ前記第1座席に対応する前記ドアに対して前記開閉操作が行われたと判定した場合、前記乗員が前記第1座席に存在しないと判定するように構成された、
車両用制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載の車両用制御装置において、
前記制御ユニットは、運転者の座席である第1座席以外の座席である第2座席に前記乗員が存在するか否かを判定するように構成され、
前記制御ユニットは、
前記第1情報及び前記第2情報に基づいて、前記車両の走行が行われ且つ前記第2座席に対応する前記ドアに対して前記開閉操作が行われたと判定した場合、
前記乗員が前記第2座席に存在しないと判定するように構成された、
車両用制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載の車両用制御装置において、
前記制御ユニットは、
前記第1情報及び前記第2情報に基づいて、前記車両の走行が行われることなく前記第2座席に対応する前記ドアに対して前記開閉操作が行われたと判定した場合、
前記乗員が前記第2座席に存在すると判定するように構成された、
車両用制御装置。
【請求項5】
請求項4に記載の車両用制御装置において、
前記制御ユニットは、
前記車両の走行の回数をカウントし、
前記走行の前記回数が所定の回数に到達しても前記乗員が前記第2座席に存在するとの判定が維持されたままである場合、前記乗員が前記第2座席に存在しないと判定する
ように構成された、
車両用制御装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両から降車しようとしている乗員に対して所定の処理を実行するように構成された制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、乗員が降車しようしている状況において車両に接近してくる移動物が存在する場合、乗員に対して降車制限処理を実行するように構成された制御装置が知られている(例えば、特許文献1を参照。)。例えば、降車制限処理は、ドアの開操作に対する警報処理、及び/又は、ドアの開操作を制限する開操作制限処理等を含む。
【0003】
降車制限処理は、車両に搭載された「音声発生装置(アンプ及びスピーカを含む)及びドアロック装置等」を用いて行われる。例えば、従来の制御装置の一つ(以下、「従来装置」と称呼する。)は、警報処理として、音声発生装置から警告メッセージを出力する処理を実行する。更に、従来装置は、開操作制限処理として、ドアロック装置を制御してドアをアンロック状態からロック状態へと変更する処理を実行する。なお、音声発生装置及びドアロック装置等は、降車制限処理を実行する装置であることから、以降において、まとめて「降車制限装置」と称呼される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-035946号公報
【発明の概要】
【0005】
車両の乗員は、通常、エンジンスタートスイッチ(「イグニッションスイッチ」とも称呼される。)をオフ状態へと変更した後に、車両から降車する。これを考慮して、従来装置において、エンジンスタートスイッチがオフ状態である状況においても、降車制限装置は、車両の電源装置(例えば、バッテリ)から電力の供給を受けて作動できる状態になっている。このような状態は、以降において、「オン状態(或いはスタンバイ状態)」と称呼される。従って、従来装置は、エンジンスタートスイッチがオフ状態である状況においても降車制限処理を実行できる。
【0006】
上述のように、状況に関わらず、降車制限装置はオン状態になっている。乗員の降車が完了した後でも、電源装置は電力を降車制限装置に対して供給し続ける。従って、バッテリの消費電力が増加するという課題がある。
【0007】
そこで、本発明の目的の一つは、乗員が車両内に存在するか否かに応じて、降車制限装置の状態を変更し、もって、消費電力を抑えることが可能な技術を提供することである。
【0008】
1以上の実施形態における車両用制御装置は、
車両(10)に搭載された電源装置(50)と、
前記車両の周辺に存在する物体に関する物体情報を含む車両周辺情報を取得するように構成された車両周辺センサ(11、12)と、
前記車両のドアの開操作に対する警報処理、及び、前記開操作を制限する開操作制限処理の少なくとも一方を含む降車制限処理を実行するように構成された降車制限装置(14、15、16)であって、第1状態と第2状態との何れかの状態に設定可能に構成された降車制限装置と、
前記車両周辺情報に基づいて、前記車両内の乗員が降車するときに注意すべき物体が存在すると判定した場合、前記降車制限装置に前記降車制限処理を実行させるように構成された制御ユニット(30)と、
を備える。
前記第1状態は、前記電源装置から電力の供給を受けて前記電力を消費する状態である。前記第2状態は、前記第1状態に比べて前記電力の消費が小さい状態である。
前記制御ユニットは、
前記車両の走行が行われたか否かについての情報である第1情報(XA)と、前記ドアに対して開閉操作が行われたか否かについての情報である第2情報とに基づいて、前記乗員が前記車両内に存在するか否かを判定し、
前記乗員が前記車両内に存在すると判定したとき、前記降車制限装置の状態を前記第1状態に設定し、
前記乗員が前記車両内に存在しないと判定したとき、前記降車制限装置の状態を前記第2状態に設定する
ように構成されている。
【0009】
上記の構成によれば、乗員が車両内に存在しない場合には、降車制限装置が第2状態になる。降車制限装置における消費電力が第1状態に比べて小さくなるので、電源装置の消費電力を抑えることができる。
【0010】
1以上の実施形態における車両用制御装置は、
前記乗員が前記車両の運転を開始する場合にオフ状態からオン状態へと変更され、前記乗員が前記車両の運転を終了する場合に前記オン状態から前記オフ状態へと変更されるスイッチ(80)を更に備える。
前記制御ユニットは、運転者の座席である第1座席に前記乗員が存在するか否かを判定するように構成されている。
前記制御ユニットは、前記スイッチが前記オフ状態である状況において、
前記第1情報及び前記第2情報に基づいて、前記車両の走行が行われ且つ前記第1座席に対応する前記ドアに対して前記開閉操作が行われたと判定した場合、前記乗員が前記第1座席に存在しないと判定するように構成されている。
【0011】
上記の構成によれば、第1座席に乗員が存在するか否かを精度良く判定することができる。
【0012】
1以上の実施形態において、前記制御ユニットは、運転者の座席である第1座席以外の座席である第2座席に前記乗員が存在するか否かを判定するように構成されている。
前記制御ユニットは、
前記第1情報及び前記第2情報に基づいて、前記車両の走行が行われ且つ前記第2座席に対応する前記ドアに対して前記開閉操作が行われたと判定した場合、
前記乗員が前記第2座席に存在しないと判定するように構成されている。
【0013】
1以上の実施形態において、前記制御ユニットは、
前記第1情報及び前記第2情報に基づいて、前記車両の走行が行われることなく前記第2座席に対応する前記ドアに対して前記開閉操作が行われたと判定した場合、
前記乗員が前記第2座席に存在すると判定するように構成されている。
【0014】
上記の構成によれば、第2座席に乗員が存在するか否かを精度良く判定することができる。
【0015】
1以上の実施形態において、前記制御ユニットは、
前記車両の走行の回数をカウントし、
前記走行の前記回数が所定の回数に到達しても前記乗員が前記第2座席に存在するとの判定が維持されたままである場合、前記乗員が前記第2座席に存在しないと判定する
ように構成されている。
【0016】
上記の構成によれば、乗員が第2座席に存在するとの誤った判定が維持されるのを防ぐことができる。
【0017】
上記説明においては、本発明の理解を助けるために、後述する実施形態に対応する発明の構成に対し、その実施形態で用いた名称及び/又は符号を括弧書きで添えている。しかしながら、本発明の各構成要素は、前記名称及び/又は符号によって規定される実施形態に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施形態に係る車両制御装置が適用される車両を示した図である。
図2】車両制御装置の構成を示した図である。
図3】物体が車両の後方から接近している状況を示した図である。
図4】物体が車両の横を通過した状況を示した図である。
図5】降車支援ECUの不揮発性メモリに記憶される乗員フラグの例である。
図6】降車支援ECUのCPUが実行する「走行フラグ設定ルーチン」を示したフローチャートである。
図7】降車支援ECUのCPUが実行する「第1乗員フラグ設定ルーチン」を示したフローチャートである。
図8】降車支援ECUのCPUが実行する「第2乗員フラグ設定ルーチン」を示したフローチャートである。
図9】降車支援ECUのCPUが実行する「状態設定ルーチン」を示したフローチャートである。
図10】降車支援ECUのCPUが実行する「降車制限処理実行ルーチン」を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(構成)
以下、図面を参照しながら実施形態に係る車両制御装置について説明する。車両制御装置は、図1に示した車両10に適用される。車両10は、複数のレーダセンサ11a~11e、複数のカメラセンサ12a~12d、複数のドアスイッチ13a~13d、複数のドアロック装置14a~14d、表示装置15、及び、音声発生装置16を含む。
【0020】
複数のレーダセンサ11a~11eは「レーダセンサ11」と総称される。複数のカメラセンサ12a~12dは「カメラセンサ12」と総称される。複数のドアスイッチ13a~13dは「ドアスイッチ13」と総称される。複数のドアロック装置14a~14dは「ドアロック装置14」と総称される。
【0021】
レーダセンサ11の各々は、レーダ送受信部と信号処理部(図示略)とを備えている。レーダ送受信部は、ミリ波帯の電波(以下、「ミリ波」と称呼する。)を放射し、放射範囲内に存在する物体によって反射されたミリ波(即ち、反射波)を受信する。信号処理部は、送信したミリ波と受信した反射波との位相差、反射波の減衰レベル及びミリ波を送信してから反射波を受信するまでの時間等に基づいて、物体情報を演算する。物体情報は、車両10の周辺に存在する物体に関する情報である。物体情報は、車両10と物体との距離、車両10と物体との相対速度、及び、車両10に対する物体の相対位置(方向)等を含む。なお、本明細書における物体は、自動車、歩行者及び自転車などの移動物、並びに、ガードレール及びフェンスなどの固定物を含む。
【0022】
レーダセンサ11aは、車体20の前部の右側のコーナー部に設けられ、主に車両10の右前方領域に存在する物体の物体情報を取得する。レーダセンサ11bは、車体20の前部の中央部に設けられ、車両10の前方領域に存在する物体の物体情報を取得する。レーダセンサ11cは、車体20の前部の左側のコーナー部に設けられ、主に車両10の左前方領域に存在する物体の物体情報を取得する。レーダセンサ11dは、車体20の後部の右側のコーナー部に設けられ、主に車両10の右後方領域に存在する物体の物体情報を取得する。レーダセンサ11eは、車体20の後部の左側のコーナー部に設けられ、主に車両10の左後方領域に存在する物体の物体情報を取得する。
【0023】
カメラセンサ12の各々は、例えば、CCD(charge coupled device)或いはCIS(CMOS image sensor)の撮像素子を内蔵するデジタルカメラである。カメラセンサ12の各々は、所定のフレームレートで車両10の周辺状況の画像データを取得する。カメラセンサ12の各々は、画像データに基づいて、物体の有無について判定し、物体情報を演算してもよい。
【0024】
カメラセンサ12aが、フロントバンパー21の車幅方向の略中央部に設けられ、車両10の前方の画像データを取得する。カメラセンサ12bが、右側のドアミラー23に設けられ、車両10の右方及び右後方の画像データを取得する。カメラセンサ12cが、左側のドアミラー24に設けられており、車両10の左方及び左後方の画像データを取得する。カメラセンサ12dが、車体20のリアトランク22の壁部に設けられ、車両10の後方の画像データを取得する。
【0025】
なお、「レーダセンサ11及びカメラセンサ12」は「車両周辺センサ」と総称される場合がある。なお、車両10は、車両周辺センサとして、他のセンサ(例えば、超音波センサ及び/又はLiDAR等)を備えてもよい。
【0026】
ドアスイッチ13a~13dは、それぞれ、ドア25a~25dに設けられている。ドアスイッチ13の各々は、対応するドアが開かれた場合にオン信号(ハイレベル信号)を出力し、当該ドアが閉じられた場合にオフ信号(ローレベル信号)を出力するようになっている。
【0027】
ドアロック装置14a~14dは、それぞれ、ドア25a~25dに設けられている。ドアロック装置14の各々は、対応するドアの状態をロック状態とアンロック状態との間で変更することができる。従って、ドアロック装置14の各々は、対応するドアの開操作を制限したり、対応するドアの開操作を許可することができる。
【0028】
表示装置15は、運転席の正面に設けられたマルチインフォーメーションディスプレイである。表示装置15は、車速及びエンジン回転速度等の計測値に加えて、各種の情報(後述する警告サイン)を表示する。なお、表示装置15として、ヘッドアップディスプレイが採用されてもよい。
【0029】
音声発生装置16は、アンプ及びスピーカ等を含む。アンプは、音声信号を生成し、当該生成した音声信号に基づいてスピーカを駆動する。
【0030】
「ドアロック装置14、表示装置15及び音声発生装置16」は、後述する降車制限処理を実行する装置であることから、「降車制限装置」と総称される場合がある。
【0031】
図2に示したように、車両制御装置は、降車支援ECU30及び駆動ECU40を備えている。これらのECUは、マイクロコンピュータを主要部として備える電気制御装置(Electric Control Unit)であり、CAN(Controller Area Network)90を介して相互に情報を送信可能及び受信可能に接続されている。本明細書において、マイクロコンピュータは、CPU、ROM、RAM、不揮発性メモリ及びインターフェース(I/F)等を含む。CPUはROMに格納されたインストラクション(プログラム、ルーチン)を実行することにより各種機能を実現する。例えば、降車支援ECU30は、CPU30a、ROM30b、RAM30c、インターフェース(I/F)30d及び不揮発性メモリ30e等を含むマイクロコンピュータを備える。
【0032】
駆動ECU40は、図示しないエンジンアクチュエータを駆動することによって、エンジン41が発生するトルクを変更することができる。従って、駆動ECU40は、エンジンアクチュエータを制御することによって、車両10の駆動力を制御することができる。
【0033】
なお、エンジン41の状態は、エンジンスタートスイッチ80に対する操作に応じて変更される。エンジンスタートスイッチ80は、「イグニッションスイッチ」又は「車両起動スイッチ」等と称呼される場合がある。以降において、エンジンスタートスイッチ80は、単に「スタートスイッチ80」と称呼される。
【0034】
スタートスイッチ80は、運転者が車両10の運転を開始又は終了する場合に運転者によって操作されるスイッチである。スタートスイッチ80が押下される度に、スタートスイッチ80の状態がオン状態とオフ状態との間で交互に入れ替わる。スタートスイッチ80の状態に従って、車両10の駆動源(この例では、エンジン41)の状態が変更される。運転者は、車両10の運転を開始する際にスタートスイッチ80を押下して、スタートスイッチ80の状態をオフ状態からオン状態に変更する。これにより、エンジン41が始動する。運転者は、車両10の運転を終了する際にスタートスイッチ80を押下して、スタートスイッチ80の状態をオン状態からオフ状態に変更する。これにより、エンジン41が停止する。
【0035】
なお、車両10が、ハイブリッド車両である場合、駆動ECU40は、駆動源としての「内燃機関及び電動機」の何れか一方又は両方によって発生する駆動力を制御することができる。更に、車両10が電気自動車である場合、駆動ECU40は、駆動源としての電動機によって発生する駆動力を制御することができる。
【0036】
車両10が、ハイブリッド車両又は電気自動車である場合、スタートスイッチ80の状態がオン状態になると、車両に搭載されたバッテリと電動機とを接続する配線が遮断状態から接続状態に変更される。これにより、駆動源としての電動機が始動する。一方、スタートスイッチ80の状態がオフ状態になると、上記配線が接続状態から遮断状態に変更される。これにより、電動機が停止する。
【0037】
車両制御装置は、電源装置50を備えている。電源装置50は、バッテリ、及び、エンジン41の回転により発電するオルタネータ等を含む。電源装置50は、車両10内の電気負荷に電力を供給するようになっている。電源装置50の電力は、2系統の配線(第1配線51及び第2配線52)を介して、車両10内の電気負荷に供給される。
【0038】
第1配線51は、電源装置50と駆動ECU40とを接続する。エンジン41の停止中においてスタートスイッチ80の状態がオフ状態からオン状態に変更されると、第1配線51上のスイッチ51aが遮断状態から接続状態に変更される。従って、電源装置50から駆動ECU40に電力が供給される。駆動ECU40が作動し、これにより、エンジン41が始動する。
【0039】
一方、エンジン41の作動中においてスタートスイッチ80の状態がオン状態からオフ状態に変更されると、第1配線51上のスイッチ51aが接続状態から遮断状態に変更される。電源装置50から駆動ECU40に電力が供給されなくなる。駆動ECU40の作動が停止する。従って、エンジン41の作動が停止する。
【0040】
第2配線52は、電源装置50と、降車支援ECU30及び各種構成要素11~17とを接続する。スタートスイッチ80の状態に関係なく(即ち、スタートスイッチ80がオン状態及びオフ状態の何れの場合でも)、電源装置50から降車支援ECU30及び各種構成要素11~17に電力が供給される。従って、車両制御装置は、スタートスイッチ80がオフ状態である状況においても、降車制限処理を実行することができる。
【0041】
降車支援ECU30は、車両周辺センサ(レーダセンサ11及びカメラセンサ12)に接続されている。降車支援ECU30は、所定時間dTが経過するたびに、車両周辺センサのそれぞれが取得した情報(即ち、物体情報)を表す信号を受信する。降車支援ECU30は、車両周辺センサから得られる物体情報を「車両周辺情報」としてRAM30cに記憶する。
【0042】
降車支援ECU30は、ドアスイッチ13に接続されている。降車支援ECU30は、ドアスイッチ13のそれぞれからの信号に基づいて、ドア25a~25dのそれぞれの開操作及び閉操作を検出することができる。
【0043】
降車支援ECU30は、降車制限装置(ドアロック装置14、表示装置15及び音声発生装置16)に接続されている。降車支援ECU30は、降車制限装置を制御し、降車制限装置に降車制限処理を実行させる。降車制限処理の詳細は後述される。
【0044】
更に、降車支援ECU30は、降車制限装置のそれぞれの状態を第1状態と第2状態との間で変更することができる。第1状態は、電源装置50から電力の供給を受けて電力を消費する状態であり、「オン状態」、「スタンバイ状態」又は「稼働状態」とも称呼される。降車制限装置の状態が第1状態である場合、これは、降車制限装置が降車支援ECU30の指示に応じて作動できることを意味する。第2状態は、第1状態に比べて電力の消費が小さい状態である。第2状態は、電源装置50から電力の供給を受けないオフ状態、又は、消費電力が比較的小さい省電力状態である。「オフ状態」は、「非稼働状態」とも称呼される場合がある。降車制限装置の状態がオフ状態である場合、これは、電源装置50から電力の供給を受けないことから、降車制限装置が降車支援ECU30の指示に応じて作動できないことを意味する。「省電力状態」は、「スリープ状態」とも称呼される場合がある。降車制限装置の状態が省電力状態である場合、これは、降車制限装置が電源装置50から比較的小さい電力の供給を受けているものの、降車支援ECU30の指示に応じて作動できないことを意味する。
【0045】
降車支援ECU30は、車速センサ17に接続されている。降車支援ECU30は、車速センサ17から、車両10の速度(走行速度)SPDを表す信号を受信するようになっている。
【0046】
(降車制限処理の概要)
次に、降車制限処理について説明する。降車制限処理自体は公知であるので(上記特許文献1及び特開2020-078959号公報等を参照。)、その内容について簡単に説明する。
【0047】
降車支援ECU30は、乗員が降車しようとする動作である降車動作を検出する。降車動作の具体例としては、例えば、ドアの開操作、ドアロックを操作するためのスイッチに対する操作、乗員の着座姿勢の所定の変化(例えば、降車時に想定される乗員の姿勢の変化)、並びに乗員の動き(例えば、降車時に想定される乗員の動き)等を挙げることができる。本例において、降車支援ECU30は、ドアスイッチ13のそれぞれからの信号に基づいて、降車動作が行われたか否かを判定する。降車支援ECU30は、ドアスイッチ13の信号がオフ信号からオン信号に変化した時点にて、降車動作が行われたと判定する。
【0048】
降車動作が行われた場合、降車支援ECU30は、車両周辺情報に基づいて、降車制限処理の対象となる物体(以下、「対象物体」と称呼する。)が存在するか否かを判定する。対象物体とは、乗員が降車するときに注意すべき物体であり、本例において、車両10の後方から車両10に接近している移動物である。移動物は、例えば、歩行者、自転車、及び、他車両等である。
【0049】
図3の例において車両10の周囲に移動物MOが存在する。このような場合、降車支援ECU30は、車両周辺情報に基づいて、移動物MOを検出する。そして、降車支援ECU30は、移動物MOが対象物体であるか否かを判定する。
【0050】
具体的には、降車支援ECU30は、移動物MOについて、以下の条件A1及び条件A2の両方が成立するか否かを判定する。条件A1及び条件A2は、まとめて「対象物体条件」と称呼される。移動物MOに対して対象物体条件が成立する場合、降車支援ECU30は、移動物MOが対象物体であると判定する。
(条件A1):移動物MOが車両10の後方から車両10に接近している移動物である。
(条件A2):移動物MOの予測時間Tkが所定の時間閾値Tth以下である。
【0051】
条件A2の予測時間Tkは、移動物MOが所定領域Asに到達するまでの時間である。所定領域Asは、車両10の車体20が占める領域を基準として、車幅Cwを左右両側に距離αだけ広げた領域である。例えば、距離αは、ドアの最大開口幅Wmax(例えば、図3のドア25cを参照。)と所定のマージンMとの和である。なお、所定領域Asは、この例に限定されない。降車支援ECU30は、所定領域Asと移動物MOとの間の距離La1を車両10に対する移動物MOの速度(相対速度)によって除することにより、予測時間Tkを演算する。なお、予測時間Tkは、TTC(Time to collision)と称呼される場合もある。
【0052】
図3の例において、移動物MOに対して対象物体条件が成立すると仮定する。この場合、降車支援ECU30は、降車制限処理を実行する。
【0053】
降車制限処理は、ドア25a~25dの開操作に対する警報処理、及び、ドア25a~25dの開操作を制限する開操作制限処理を含む。具体的には、降車支援ECU30は、警報処理として、表示装置15に警告サインを表示するとともに警告メッセージを音声発生装置16に発話させる処理を実行する。警告メッセージは、移動物MOが車両10の後方から接近している旨を知らせるメッセージである。これにより、移動物MOの存在を乗員に知らせることができる。更に、降車支援ECU30は、開操作制限処理として、ドアロック装置14a~14dを制御してドア25a~25dをアンロック状態からロック状態へと変更する処理を実行する。ドア25a~25dの開操作が制限されるので、乗員が降車できない。これにより、乗員が移動物MOに接近するのを防ぐことができる。
【0054】
なお、降車支援ECU30は、移動物MOの位置に応じて、開操作制限処理を実行してもよい。例えば、移動物MOが車両10の右後方に存在する場合、降車支援ECU30は、ドアロック装置14a及び14cのみを制御して、ドア25a及び25cの開操作のみを制限してもよい。移動物MOが車両10の左後方に存在する場合、降車支援ECU30は、ドアロック装置14b及び14dのみを制御して、ドア25b及び25dの開操作のみを制限してもよい。
【0055】
なお、降車支援ECU30は、降車制限処理を開始した後、車両周辺情報に基づいて、所定の終了条件が成立しているか否かを判定する。例えば、図4に示すように、終了条件は、移動物MOが車両10から離れるように移動しており、且つ、所定領域Asと移動物MOとの間の距離が所定の閾値Dth以上となったときに成立する。終了条件が成立した場合、降車支援ECU30は、降車制限処理を終了させる。
【0056】
(作動の概要)
従来装置においては、乗員の降車が完了した後でも、電源装置は電力を降車制限装置に対して供給し続けている。従って、電源装置の消費電力が増加するという課題がある。
【0057】
そこで、降車支援ECU30は、車両10の走行が行われたか否かについての情報である第1情報と、ドア25a~25dに対して開閉操作が行われたか否かについての情報である第2情報とに基づいて、乗員が車両10内に存在するか否かを判定する。降車支援ECU30は、乗員が車両10内に存在すると判定したとき、降車制限装置の状態を第1状態に設定する。降車支援ECU30は、乗員が車両10内に存在しないと判定したとき、降車制限装置の状態を第2状態に設定する。
【0058】
本例において、降車支援ECU30は、第1情報として、走行フラグXAを用いる。降車支援ECU30は、走行フラグXAを不揮発性メモリ30eに記憶する。走行フラグXAは、車両10の運転操作が行われたか否かを表す情報である。走行フラグXAは、車両10の運転操作を開始する時点(即ち、スタートスイッチ80がオフ状態からオン状態に変更された時点)にて「0」である。走行フラグXAは、車速SPDが所定の速度閾値Vth以上になると、「1」に設定される。従って、降車支援ECU30は、走行フラグXAの値に基づいて、車両10の走行が行われたか否かを判定することができる。
【0059】
なお、降車支援ECU30は、所定の走行フラグリセット条件が成立した場合、走行フラグXAを「0」にリセットする。走行フラグリセット条件は、車両10の走行が終了したか(車両10の運転操作が終了したか)を判定する条件である。走行フラグリセット条件は、以下の条件B1及び条件B2の両方が成立したときに成立する。
(条件B1):スタートスイッチ80がオフ状態である。
(条件B2):全てのドア25a~25dが操作されない状態が所定の期間閾値Tpth以上経過した。
【0060】
降車支援ECU30は、第2情報として、ドアスイッチ13からの信号の変化を用いる。降車支援ECU30は、ドアスイッチ13からの信号に基づいて、開閉操作が行われたか否かを判定する。例えば、ドアスイッチ13aの場合について説明する。運転者がドア25aの開閉操作を行って降車する。この場合、ドアスイッチ13aからの信号がオフ信号からオン信号に変化し、その後、オン信号からオフ信号に変化する。降車支援ECU30は、このような一連の信号の変化を検出した場合、ドア25aに対して開閉操作が行われたと判定する。
【0061】
降車支援ECU30は、第1情報及び第2情報に基づいて、図5に示す乗員フラグXB*の値を設定(更新)する。ここで、「*」は、「a、b、c及びd」の何れかを示す。降車支援ECU30は、乗員フラグXB*を不揮発性メモリ30eに記憶する。
【0062】
図1に示すように、車両10は、4つの座席26a~26dを備える。乗員フラグXB*は、座席26*に乗員が存在するか否かを表すフラグである。乗員フラグXB*の値は、座席26*に乗員がいないと推定されるときに「0」に設定され、座席26*に乗員がいると推定されるときに「1」に設定される。
【0063】
乗員フラグXBaは、運転席(ドア25aに対応する座席26a)に乗員が存在するか否かを表すフラグである。乗員フラグXBbは、助手席(ドア25bに対応する座席26b)に乗員が存在するか否かを表すフラグである。乗員フラグXBcは、右後部座席(ドア25cに対応する座席26c)に乗員が存在するか否かを表すフラグである。乗員フラグXBdは、左後部座席(ドア25dに対応する座席26d)に乗員が存在するか否かを表すフラグである。
【0064】
以降において、運転席を「第1座席」と称呼し、運転席以外の座席を「第2座席」と称呼する。
【0065】
例えば、スタートスイッチ80がオン状態であると仮定する。この場合、第1座席に乗員が存在する可能性が高い。従って、降車支援ECU30は、乗員フラグXBaの値を「1」に設定する。即ち、降車支援ECU30は、第1座席に乗員が存在すると判定する。
【0066】
これに対し、車両10の走行(車両10の運転操作)が終了した後に乗員がスタートスイッチ80をオン状態からオフ状態に変更したと仮定する。この時点にて、走行フラグXAの値が「1」である。この状況において第1座席に対応するドア25aに対して開閉操作が行われたとする。この場合、第1座席の乗員が降車した可能性が高い。従って、降車支援ECU30は、乗員フラグXBaの値を「0」に設定する。このように、車両10の走行が行われ且つ第1座席に対応するドア25aに対して開閉操作が行われた場合、降車支援ECU30は、第1座席に乗員が存在しないと判定する。
【0067】
例えば、乗員が車両10に乗車する前の時点にて、走行フラグXAの値が「0」である。この状況においてドア25iに対して開閉操作が行われたとする。ここで、「i」は、「b、c及びd」の何れかを示す。この場合、ドア25iに対応する第2座席に乗員が乗り込んだ可能性が高い。従って、降車支援ECU30は、乗員フラグXBiの値を「1」に設定する。このように、車両10の走行が行われることなく第2座席に対応するドア25iに対して開閉操作が行われた場合、降車支援ECU30は、第2座席に乗員が存在すると判定する。
【0068】
これに対し、車両10の走行(車両10の運転操作)が終了した後にドア25iに対して開閉操作が行われたとする。この場合、ドア25iに対応する第2座席の乗員が降車した可能性が高い。従って、降車支援ECU30は、乗員フラグXBiの値を「0」に設定する。このように、車両10の走行が行われ且つ第2座席に対応するドア25iに対して開閉操作が行われた場合、降車支援ECU30は、第2座席に乗員が存在しないと判定する。
【0069】
降車支援ECU30は、第1情報及び第2情報に基づいて、上述のように乗員フラグXB*を更新し、これにより、乗員が車両10内に存在するか否かを判定する。乗員フラグXBa~XBdのうちの少なくとも1つが「1」である場合、降車支援ECU30は、乗員が車両10内に存在すると判定する。この場合、降車支援ECU30は、降車制限装置(ドアロック装置14、表示装置15及び音声発生装置16)の状態を第1状態に設定する。
【0070】
一方、乗員フラグXBa~XBdの全てが「0」である場合、降車支援ECU30は、乗員が車両10内に存在しないと判定する。この場合、降車支援ECU30は、降車制限装置(ドアロック装置14、表示装置15及び音声発生装置16)の状態を第2状態に設定する。乗員が車両10内に存在しない場合には、降車制限装置における電力の消費が無くなる又は小さくなる。従って、電源装置50の消費電力を抑えることができる。
【0071】
(作動)
次に、降車支援ECU30のCPU30a(単に「CPU」と称呼する。)の作動について説明する。CPUは、所定時間dTが経過する毎に、図6乃至図10のルーチンをそれぞれ実行するようになっている。
【0072】
所定のタイミングになると、CPUは、ステップ600から図6のルーチンを開始してステップ601に進み、上述した走行フラグリセット条件が成立するか否かを判定する。即ち、CPUは、条件B1及び条件B2の両方が成立するか否かを判定する。
【0073】
いま、走行フラグリセット条件が成立すると仮定すると、CPUは、ステップ601にて「Yes」と判定してステップ602に進み、走行フラグXAの値を「0」に設定する。その後、CPUは、ステップ695に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0074】
これに対し、走行フラグリセット条件が成立しない場合、CPUは、ステップ601にて「No」と判定してステップ603に進み、車速SPDが所定の速度閾値Vth以上であるか否かを判定する。車速SPDが所定の速度閾値Vth以上である場合、CPUは、ステップ603にて「Yes」と判定してステップ604に進み、走行フラグXAの値を「1」に設定する。その後、CPUは、ステップ695に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0075】
なお、車速SPDが所定の速度閾値Vth以上でない場合、CPUは、ステップ603にて「No」と判定してステップ695に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。この場合、走行フラグXAの値は変更されない。
【0076】
更に、所定のタイミングになると、CPUは、ステップ700から図7のルーチンを開始してステップ701に進み、スタートスイッチ80がオン状態であるか否かを判定する。
【0077】
スタートスイッチ80がオン状態である場合、CPUは、ステップ701にて「Yes」と判定してステップ702に進み、乗員フラグXBaの値を「1」に設定する。その後、CPUは、ステップ795に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0078】
これに対し、スタートスイッチ80がオン状態でない(スタートスイッチ80がオフ状態である)場合、CPUは、ステップ701にて「No」と判定してステップ703に進み、ドア25aに対して開閉操作が行われたか否かを判定する。ドア25aに対して開閉操作が行われた場合、CPUは、ステップ703にて「Yes」と判定してステップ705に進み、乗員フラグXBaの値を「0」に設定する。その後、CPUは、ステップ795に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0079】
ドア25aに対して開閉操作が行われていない場合、CPUは、ステップ703にて「No」と判定してステップ704に進み、所定の乗員フラグリセット条件が成立するか否かを判定する。乗員フラグリセット条件は、ドア25aが操作されない状態が所定の期間閾値Tpth以上経過したときに成立する。乗員フラグリセット条件が成立した場合、CPUは、ステップ704にて「Yes」と判定してステップ705に進み、乗員フラグXBaの値を「0」に設定する。その後、CPUは、ステップ795に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0080】
なお、乗員フラグリセット条件が成立しない場合、CPUは、ステップ704にて「No」と判定してステップ795に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0081】
更に、CPUは、ドア25iのそれぞれに関して、図8のルーチンを実行する。上述と同様に、「i」は、「b、c及びd」の何れかを示す。所定のタイミングになると、CPUは、ステップ800から図8のルーチンを開始してステップ801に進み、ドア25iに対して開閉操作が行われたか否かを判定する。ドア25iに対して開閉操作が行われていない場合、CPUは、ステップ801にて「No」と判定してステップ895に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0082】
これに対し、ドア25iに対して開閉操作が行われた場合、CPUは、ステップ801にて「Yes」と判定してステップ802に進み、走行フラグXAの値が「1」であるか否かを判定する。走行フラグXAの値が「1」である場合、CPUは、ステップ802にて「Yes」と判定してステップ803に進み、乗員フラグXBiの値を「0」に設定する。その後、CPUは、ステップ895に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0083】
一方、走行フラグXAの値が「1」でない場合、CPUは、ステップ802にて「No」と判定してステップ804に進み、乗員フラグXBiの値を「1」に設定する。その後、CPUは、ステップ895に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0084】
更に、所定のタイミングになると、CPUは、ステップ900から図9のルーチンを開始してステップ901に進み、乗員フラグXBa~XBdの全てが「0」であるか否かを判定する。乗員フラグXBa~XBdの全てが「0」である場合、CPUは、ステップ901にて「Yes」と判定して、以下に述べる「ステップ902及びステップ903」の処理を順に行う。その後、CPUは、ステップ995に進んで本ルーチンを一旦終了する。
ステップ902:CPUは、降車制限装置の状態を第2状態に設定する。
ステップ903:CPUは、許可フラグXCの値を「0」に設定する。許可フラグXCの値が「0」である場合、これは、降車制限装置の状態が第2状態であることから、降車制限処理の実行が禁止されていることを表す。許可フラグXCの値が「1」である場合、これは、降車制限装置の状態が第1状態であることから、降車制限処理の実行が許可されていることを表す。許可フラグXCは、後述する図10のルーチンにおいて用いられる。
【0085】
これに対し、乗員フラグXBa~XBdの全てが「0」でない(即ち、乗員フラグXBa~XBdのうちの少なくとも1つが「1」である)場合、CPUは、ステップ901にて「No」と判定して、以下に述べる「ステップ904及びステップ905」の処理を順に行う。その後、CPUは、ステップ995に進んで本ルーチンを一旦終了する。
ステップ904:CPUは、降車制限装置の状態を第1状態に設定する。
ステップ905:CPUは、許可フラグXCの値を「1」に設定する。
【0086】
更に、所定のタイミングになると、CPUは、ステップ1000から図10のルーチンを開始してステップ1001に進み、許可フラグXCの値が「1」であるか否かを判定する。許可フラグXCの値が「1」でない場合、CPUは、ステップ1001にて「No」と判定して、ステップ1095に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0087】
これに対し、許可フラグXCの値が「1」である場合、CPUは、ステップ1001にて「Yes」と判定してステップ1002に進み、実行フラグXDの値が「0」であるか否かを判定する。実行フラグXDは、その値が「0」であるとき、降車制限処理が実行されていないことを示し、その値が「1」であるとき、降車制限処理が実行されていることを示す。
【0088】
いま、実行フラグXDが「0」であると仮定すると、CPUは、ステップ1002にて「Yes」と判定してステップ1003に進み、車両10が停止中であるか否か(即ち、車速SPDが「0」であるか否か)を判定する。
【0089】
車両10が停止中でない場合、CPUは、ステップ1003にて「No」と判定してステップ1095に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0090】
これに対し、車両10が停止中である場合、CPUは、ステップ1003にて「Yes」と判定してステップ1004に進み、降車動作が行われたか否かを判定する。
【0091】
降車動作が行われていない場合、CPUは、ステップ1004にて「No」と判定してステップ1095に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0092】
これに対し、降車動作が行われた場合、CPUは、ステップ1004にて「Yes」と判定してステップ1005に進み、車両周辺情報に基づいて、車両10の周辺に移動物が存在するか否かを判定する。
【0093】
移動物が存在しない場合、CPUは、ステップ1005にて「No」と判定してステップ1095に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0094】
これに対し、移動物が存在する場合、CPUは、ステップ1005にて「Yes」と判定してステップ1006に進み、その移動物に対して対象物体条件が成立するか否かを判定する。
【0095】
対象物体条件が成立しない場合、CPUは、ステップ1006にて「No」と判定してステップ1095に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0096】
これに対し、対象物体条件が成立する場合、CPUは、ステップ1006にて「Yes」と判定して、以下に述べる「ステップ1007及びステップ1008」の処理を順に行う。その後、CPUは、ステップ1095に進んで本ルーチンを一旦終了する。
ステップ1007:CPUは、実行フラグXDの値を「1」に設定する。
ステップ1008:CPUは、上述のように降車制限処理を実行する。
【0097】
CPUが、降車制限処理を開始した後に再びステップ1000から図10のルーチンを開始すると、実行フラグXDが「1」であるので、CPUは、ステップ1002にて「No」と判定してステップ1009に進み、上述した終了条件が成立するか否かを判定する。終了条件が成立しない場合、CPUは、ステップ1009にて「No」と判定してステップ1008に進む。従って、降車制限処理が継続される。
【0098】
これに対し、終了条件が成立する場合、CPUは、ステップ1009にて「Yes」と判定してステップ1010に進み、実行フラグXDの値を「0」に設定する。これにより、降車制限処理が終了される。
【0099】
上記構成を備える車両制御装置は、第1情報(走行フラグXA)及び第2情報(開閉操作が行われたか否かについての情報)に基づいて、図5に示す乗員フラグXB*の値を更新して、乗員が車両10内に存在するか否かを判定する。車両制御装置は、乗員が車両10内に存在しないと判定した場合、降車制限装置の状態を第2状態に設定する。乗員の全てが車両10から降車した後には、降車制限装置における電力の消費が第1状態に比べて小さくなる。従って、電源装置50の消費電力を抑えることができる。更に、電源装置50のバッテリの充放電量が小さくなるので、バッテリの故障率を小さくし、即ち、バッテリの寿命を長くすることができる。
【0100】
より具体的には、車両制御装置は、第1座席について以下のように乗員の有無を判定する。スタートスイッチ80がオフ状態である状況において、走行フラグXAの値が「1」であり、且つ、第1座席に対応するドア25aに対して開閉操作が行われたと仮定する。このような場合、第1座席の乗員が降車した可能性が高い。従って、車両制御装置は、第1座席に対応する乗員フラグXBaの値を「0」に設定する。一方、スタートスイッチ80がオン状態である場合、乗員が第1座席に存在する可能性が高い。従って、車両制御装置は、第1座席に対応する乗員フラグXBaの値を「1」に設定する。この構成によれば、第1座席に乗員が存在するか否かを精度良く判定することができる。
【0101】
更に、車両制御装置は、第2座席について以下のように乗員の有無を判定する。走行フラグXAの値が「1」であり、且つ、第2座席に対応するドア25iに対して開閉操作が行われたと仮定する。このような場合、第2座席の乗員が降車した可能性が高い。従って、車両制御装置は、その第2座席に対応する乗員フラグXBiの値を「0」に設定する。一方、走行フラグXAの値が「0」であり、且つ、第2座席に対応するドア25iに対して開閉操作が行われたと仮定する。このような場合、乗員が、車両10に乗り込み、第2座席に存在する可能性が高い。従って、車両制御装置は、その第2座席に対応する乗員フラグXBiの値を「1」に設定する。この構成によれば、第2座席に乗員が存在するか否かを精度良く判定することができる。
【0102】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。
【0103】
(変形例1)
乗員が荷物を車内に載せる場合がある。例えば、運転者が、ドア25cを開けて、右後部座席に荷物を載せたと仮定する。この場合、乗員フラグXBcの値は「1」に設定される。その後、荷物を降ろすことなく複数回の車両の走行が行われるとする。この場合、乗員フラグXBcの値は「1」に維持されたままとなる。降車制限装置が第2状態にならないので、電源装置50の消費電力が大きくなる。
【0104】
上記を考慮して、降車支援ECU30は、乗員フラグXBiが「1」に設定された時点から、トリップの回数をカウントする。ここで、「スタートスイッチ80がオン状態に設定されてからスタートスイッチ80がオフ状態になるまでの期間」を「1回のトリップ」と定義する。従って、トリップの回数は、車両の走行の回数と言うこともできる。乗員フラグXBiが「1」に設定された時点から所定の回数のトリップが行われたにも関わらず、乗員フラグXBiが「1」に維持されたままである場合、降車支援ECU30は、その乗員フラグXBiに対応する座席26iに乗員がいないと推定する。即ち、乗員が乗り込む以外の動作(例えば、上述の荷物を載せる動作)に起因して、乗員フラグXBiが「1」に設定されたとみなす。従って、降車支援ECU30は、その乗員フラグXBiの値を「0」にリセットする。このように、降車支援ECU30は、トリップの回数(車両10の走行の回数)をカウントし、トリップの回数が所定の回数に到達しても乗員フラグXBiが「1」に維持されたままである場合、乗員がその乗員フラグXBiに対応する第2座席に存在しないと判定する。これにより、乗員が第2座席に存在するとの誤った判定が維持されるのを防ぐことができる。降車制限装置が第2状態になるので、電源装置50の消費電力を抑えることができる。
【0105】
(変形例2)
降車制限処理は、上述の例に限定されない。降車制限処理は、警報処理及び開操作制限処理の一方のみを含んでよい。
【0106】
別の例において、降車制限処理の警報処理は、点灯処理を含んでもよい。点灯処理は、以下の光発生装置を点灯させる処理であってもよい。
・ブラインドスポットモニター(BSM:Blind Spot Monitor)システム及び/又はドアインジケータ等が備える警告灯
・車内に搭載された電球及び/又は発光素子
【0107】
更に別の例において、降車制限処理の警報処理は、振動処理を含んでもよい。振動処理は、以下の振動発生装置を駆動する処理であってもよい。
・操舵ハンドル表面及び/又は内部に設置されたモータ及び/又はバイブレータ
・座席の表面及び/又は内部に設置されたモータ及び/又はバイブレータ
【0108】
従って、降車制限装置は、ドアロック装置14、表示装置15、音声発生装置16、光発生装置、及び、振動発生装置からなる群より選ばれる少なくとも1つの装置を含むことができる。
【0109】
(変形例3)
降車支援ECUは、第2情報として、ドアの開閉操作を検出できる限り、他の情報を用いてもよい。例えば、降車支援ECUは、ドアレバーへの接触を検出するセンサを用いて、ドアの開閉操作を検出してもよい。
【0110】
(変形例4)
図6のステップ603の条件は、上記の例に限定されない。ステップ603の条件は、車両10の運転操作が行われたことを判定する条件である限り、他の条件であってもよい。例えば、ステップ603の条件は、アクセルペダル、ブレーキペダル及び操舵ハンドルの少なくとも1つが操作されたときに成立する条件であってもよい。ステップ603の条件は、車両10の走行距離が所定の距離閾値以上になったときに成立する条件であってもよい。
【符号の説明】
【0111】
10…車両、11a~11e…レーダセンサ、12a~12d…カメラセンサ、13a~13d…ドアスイッチ、14a~14d…ドアロック装置、15…表示装置、16…音声発生装置、30…降車支援ECU、40…駆動ECU、80…エンジンスタートスイッチ。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10