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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】軸受構造体
(51)【国際特許分類】
   F16C 25/08 20060101AFI20241001BHJP
   F16H 57/022 20120101ALI20241001BHJP
   F16C 35/07 20060101ALI20241001BHJP
   F16C 19/36 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
F16C25/08 A
F16H57/022
F16C35/07
F16C19/36
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021077152
(22)【出願日】2021-04-30
(65)【公開番号】P2022170880
(43)【公開日】2022-11-11
【審査請求日】2023-09-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】片桐 鷹英
【審査官】松江川 宗
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-253676(JP,A)
【文献】特開2019-183916(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0062505(US,A1)
【文献】特表2008-510106(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 19/00-19/56,21/00-27/08,
33/30-33/66,35/00-39/06,
43/00-43/08
F16H 57/00-57/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部品に設置された回転可能な第2部品を支持する軸受構造体であって、
前記第1部品と前記第2部品との間に設置されたテーパベアリングと、
前記テーパベアリングと前記第1部品にそれぞれ接触した状態で、前記テーパベアリングと前記第1部品との間に設置されたシムと、
を備え、
前記第1部品と前記シムの少なくとも一方は、前記軸受構造体の組み立てにより、前記軸受構造体の中心軸に略平行な方向に沿って変形する変形部を有し、
前記変形部は、前記中心軸に略平行な方向に沿って前記第1部品の本体部分から前記シムに向かって突出する突出部として形成されており、前記突出部の先端で前記シムに接触するように構成されており、
前記突出部は、前記中心軸を含む断面において、前記第1部品の前記本体部分から前記突出部の先端に向けて厚みが減少するテーパ形状を有する、軸受構造体。
【請求項2】
第1部品に設置された回転可能な第2部品を支持する軸受構造体であって、
前記第1部品と前記第2部品との間に設置されたテーパベアリングと、
前記テーパベアリングと前記第1部品にそれぞれ接触した状態で、前記テーパベアリングと前記第1部品との間に設置されたシムと、
を備え、
前記第1部品と前記シムの少なくとも一方は、前記軸受構造体の組み立てにより、前記軸受構造体の中心軸に略平行な方向に沿って変形する変形部を有し、
前記変形部は、前記中心軸に略垂直な方向に沿って前記第1部品の本体部分から前記中心軸に向けて突出する突出部として形成されており、前記突出部の側面が前記シムに接触するように構成されている、軸受構造体。
【請求項3】
第1部品に設置された回転可能な第2部品を支持する軸受構造体であって、
前記第1部品と前記第2部品との間に設置されたテーパベアリングと、
前記テーパベアリングと前記第1部品にそれぞれ接触した状態で、前記テーパベアリングと前記第1部品との間に設置されたシムと、
を備え、
前記第1部品と前記シムの少なくとも一方は、前記軸受構造体の組み立てにより、前記軸受構造体の中心軸に略平行な方向に沿って変形する変形部を有し、
前記変形部は、前記シムの全体によって構成されており、
前記シムは、前記第1部品に接触する第1接触部と、前記テーパベアリングに接触する第2接触部と、前記第1接触部と前記第2接触部との間に設けられて前記第1部品と前記テーパベアリングのいずれからも離間する中間部と、を有し、
前記中間部は、前記中心軸を含む断面において、前記中心軸に略垂直な方向に延びる略矩形状の形状を有し、前記第1接触部は前記中間部から前記第1部品に向けて突出する形状を有し、前記第2接触部は前記中間部から前記テーパベアリングに向けて突出する形状を有する、軸受構造体。
【請求項4】
第1部品に設置された回転可能な第2部品を支持する軸受構造体であって、
前記第1部品と前記第2部品との間に設置されたテーパベアリングと、
前記テーパベアリングと前記第1部品にそれぞれ接触した状態で、前記テーパベアリングと前記第1部品との間に設置されたシムと、
を備え、
前記第1部品と前記シムの少なくとも一方は、前記軸受構造体の組み立てにより、前記軸受構造体の中心軸に略平行な方向に沿って変形する変形部を有し、
前記変形部は、前記シムの全体によって構成されており、前記シムは、前記第1部品と接触する第1接触部分と、前記テーパベアリングと接触する第2接触部分とのうちの少なくとも一方が、複数の局所接触部に分割された構成を有する、軸受構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、テーパベアリングを用いた軸受構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、テーパベアリングを用いてトランスミッションケース内のシャフトを支持する軸受構造体が開示されている。一般に、テーパベアリングを用いた軸受構造体では、シャフトの回転時にテーパベアリングを適切に動作させるために、組み立ての際に中心軸方向に予荷重すなわちプレロードを付与する。しかし、トランスミッションケースとシャフトが異なる材料で形成されている場合には、動作時に軸受構造体が昇温すると両者の熱膨張差によって荷重が低下してしまい、テーパベアリングの軸受機能が十分に発揮できなくなる可能性がある。そこで、特許文献1の軸受構造体では、トランスミッションケースとシャフトの熱膨張差を吸収するために、テーパベアリングとシムとの間にリング状のスペーサを設け、スペーサを熱膨張係数が異なる2種の材料で構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平8-261311号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の軸受構造体では、2種の異なる材料で形成したスペーサが必要となるので、部品点数が増加してしまい、また、その組み立て工数も増大してしまうという問題があった。そこで、従来とは異なる構造で、動作時に中心軸方向の荷重が過度に低下することを防止する技術が望まれる。なお、このような課題は、トランスミッションケース内のシャフトを支持する軸受構造体に限らず、一般に、テーパベアリングを用いた軸受構造体に共通する課題であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
本開示による軸受構造体は、第1部品に設置された回転可能な第2部品を支持する軸受構造体であって、前記第1部品と前記第2部品との間に設置されたテーパベアリングと、前記テーパベアリングと前記第1部品にそれぞれ接触した状態で、前記テーパベアリングと前記第1部品との間に設置されたシムと、を備え、前記第1部品と前記シムの少なくとも一方は、前記軸受構造体の組み立てにより、前記軸受構造体の中心軸に略平行な方向に沿って変形する変形部を有する。
(i)第1の形態において、前記変形部は、前記中心軸に略平行な方向に沿って前記第1部品の本体部分から前記シムに向かって突出する突出部として形成されており、前記突出部の先端で前記シムに接触するように構成されており、前記突出部は、前記中心軸を含む断面において、前記第1部品の前記本体部分から前記突出部の先端に向けて厚みが減少するテーパ形状を有する。
(ii)第2の形態において、前記変形部は、前記中心軸に略垂直な方向に沿って前記第1部品の本体部分から前記中心軸に向けて突出する突出部として形成されており、前記突出部の側面が前記シムに接触するように構成されている。
(iii)第3の形態において、前記変形部は、前記シムの全体によって構成されており、
前記シムは、前記第1部品に接触する第1接触部と、前記テーパベアリングに接触する第2接触部と、前記第1接触部と前記第2接触部との間に設けられて前記第1部品と前記テーパベアリングのいずれからも離間する中間部と、を有し、前記中間部は、前記中心軸を含む断面において、前記中心軸に略垂直な方向に延びる略矩形状の形状を有し、前記第1接触部は前記中間部から前記第1部品に向けて突出する形状を有し、前記第2接触部は前記中間部から前記テーパベアリングに向けて突出する形状を有する。
(iv)第4の形態において、前記変形部は、前記シムの全体によって構成されており、前記シムは、前記第1部品と接触する第1接触部分と、前記テーパベアリングと接触する第2接触部分とのうちの少なくとも一方が、複数の局所接触部に分割された構成を有する。
【0006】
(1)本開示の一形態によれば、第1部品に設置された回転可能な第2部品を支持する軸受構造体が提供される。この軸受構造体は、前記第1部品と前記第2部品との間に設置されたテーパベアリングと、前記テーパベアリングと前記第1部品にそれぞれ接触した状態で、前記テーパベアリングと前記第1部品との間に設置されたシムと、を備え、前記第1部品と前記シムの少なくとも一方は、前記軸受構造体の組み立てにより、前記軸受構造体の中心軸に略平行な方向に沿って変形する変形容易部を有する。
この軸受構造体によれば、第1部品と前記シムとの少なくとも一方に設けられた変形容易部が軸受構造体の組み立てによって変形するので、動作時に中心軸方向の荷重が過度に低下することを防止できる。
(2)上記軸受構造体において、前記変形容易部は、前記中心軸に略平行な方向に沿って前記第1部品の本体部分から前記シムに向かって突出する突出部として形成されており、前記突出部の先端で前記シムに接触するように構成されているものとしてもよい。
(3)上記軸受構造体において、前記突出部は、前記中心軸を含む断面において、前記第1部品の前記本体部分から前記突出部の先端に向けて厚みが減少するテーパ形状を有するものとしてもよい。
(4)上記軸受構造体において、前記変形容易部は、前記中心軸に略垂直な方向に沿って前記第1部品の本体部分から前記中心軸に向けて突出する突出部として形成されており、前記突出部の側面が前記シムに接触するように構成されているものとしてもよい。
(5)上記軸受構造体において、前記変形容易部は、前記シムの全体によって構成されており、前記シムは、前記第1部品に接触する第1接触部と、前記テーパベアリングに接触する第2接触部と、前記第1接触部と前記第2接触部との間に設けられて前記第1部品と前記テーパベアリングのいずれからも離間する中間部と、を有するものとしてもよい。
(6)上記軸受構造体において、前記変形容易部は、皿ばね形状を有するものとしてもよい。
(7)上記軸受構造体において、前記中間部は、前記中心軸を含む断面において、前記中心軸に略垂直な方向に延びる略矩形状の形状を有し、前記第1接触部は前記中間部から前記第1部品に向けて突出する形状を有し、前記第2接触部は前記中間部から前記テーパベアリングに向けて突出する形状を有するものとしてもよい。
(8)上記軸受構造体において、前記変形容易部は、前記シムの全体によって構成されており、前記シムは、前記第1部品と接触する第1接触部分と、前記テーパベアリングと接触する第2接触部分とのうちの少なくとも一方が、複数の局所接触部に分割された構成を有するものとしてもよい。
(9)上記軸受構造体において、前記変形容易部は、前記第1部品と前記シムとの組み合わせによって構成されており、前記シムは、前記中心軸を含む断面において、前記中心軸と略垂直な方向に沿って延びる略矩形状の形状を有するとともに、前記テーパベアリングと接触する接触部と、前記接触部から更に前記中心軸に向かって延びる延伸部とを有するように構成されており、前記第1部品は、前記中心軸に略平行な方向に沿って前記第1部品の本体部分から前記シムに向かって突出する突出部を有し、前記突出部の先端で前記シムの前記延伸部に接触するように構成されているものとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】軸受構造体の断面図。
図2】比較例の軸受構造体を示す説明図。
図3】比較例の常温と高温における軸方向の荷重の変化を示す説明図。
図4】第1実施形態の軸受構造体を示す説明図。
図5】第1実施形態の常温と高温における軸方向の荷重の変化を示す説明図。
図6】第2実施形態の軸受構造体を示す説明図。
図7】第3実施形態の軸受構造体を示す説明図。
図8】第4実施形態の軸受構造体を示す説明図。
図9】第5実施形態の軸受構造体を示す説明図。
図10】第6実施形態の軸受構造体を示す説明図。
図11】第7実施形態の軸受構造体を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、軸受構造体100の中心軸AXを含む平面で軸受構造体100を切断した断面図である。軸受構造体100は、箱体である第1部品10と、第1部品10に設置された回転可能な回転体である第2部品20と、第1部品10と第2部品20との間に設置されたテーパベアリング30と、テーパベアリング30と第1部品10との間に設置されたシム40と、を有する。テーパベアリング30は、軸受構造体100の2つの端部の近傍にそれぞれ設置されており、第2部品20を回転可能に支持するとともに、中心軸方向に沿って第2部品20を位置決めする機能を有する。軸受構造体100は、中心軸AXを中心とした略回転対称の形状を有する。シム40は、軸受構造体100を組み立てる際に、精度調整を行うための部材である。シム40は、更に、中心軸AXに平行な方向に適切な予荷重すなわちプレロードを付与するためにも使用される。第1部品10は、例えばトランスミッションケースであり、第2部品20はシャフトである。第1部品10と第2部品は、異なる材質で形成されており、熱膨張率が互いに異なる。例えば、第1部品10は軽合金製であり、第2部品20は鋼製である。典型例では、第1部品10の方が第2部品20よりも熱膨張率が高い。テーパベアリング30とシム40のそれぞれも金属製である。
【0009】
図2は、比較例の軸受構造体100を示す説明図である。図2は、図1の一部を拡大した図に相当する。但し、第1部品10や第2部品20の形状は図1よりも簡略化されている。これは、後述する各種の実施形態も同様である。シム40は、中心軸AXを含む断面において、軸受構造体100の中心軸AXに略垂直な方向に沿って延びる略矩形状の形状を有する。換言すれば、シム40は、平板リング状の形状を有する。中心軸AXと平行な方向に沿って測ったシム40の厚みを調整することによって、軸受構造体100の組み立て時に付与されるプレロードを調整することができる。
【0010】
図3は、比較例の軸受構造体100における常温と高温での荷重の変化を示す説明図である。図3の横軸は軸受構造体100の中心軸AXに平行な方向の変形量を示し、縦軸は荷重を示す。なお、中心軸AXに平行な方向を、中心軸方向または軸方向とも呼ぶ。比較例では、常温において軸受構造体100を組み立てる際にプレロードP1を与えても、軸受構造体100の動作時に高温になると軸方向の変形量が減少し、軸方向の荷重P2がほぼ消失してしまう可能性がある。そこで、以下に示す各種の実施形態では、第1部品10とシム40の少なくとも一方に、中心軸AXと略平行な方向における剛性が低く、変形し易い変形容易部を形成することによって、軸方向の荷重が過度に低下することを防止する。変形容易部は、テーパベアリング30と、シム40と、シム40に接触する第1部品10の接触部分と、テーパベアリング30に接触する第2部品20の接触部分と、のうちで、プレロードに応じた弾性変形量が最も大きい部分として構成されることが好ましい。また、変形容易部は、軸受構造体100の中で、プレロードに応じた弾性変形量が最も大きい部分として構成されることが更に好ましい。
【0011】
図4は、第1実施形態の軸受構造体100aを示す説明図である。この軸受構造体100aの第1部品10aは、本体部分12aと、軸受構造体100aの中心軸AXに略平行な方向に沿って本体部分12aからシム40に向かって突出する突出部14aと、を有する。突出部14aの先端は、シム40に接触する。この突出部14aは、中心軸AXと略平行な方向における剛性が低い。すなわち、突出部14aは、軸受構造体100aの組み立てにより、軸受構造体100aの中心軸AXに略平行な方向に沿って変形する変形容易部として構成されている。また、第1実施形態において、突出部14aは、中心軸AXを含む断面において、第1部品10aの本体部分12aから突出部14aの先端に向けて厚みが減少するテーパ形状を有している。なお、突出部14aの厚みは、中心軸AXと略垂直な方向に沿った測った寸法である。突出部14aをこのようなテーパ状の形状に形成すれば、中心軸AXに略平行な方向に沿った変形を大きくすることができ、十分なプレロードを付与することができる。なお、図4における各部品の形状や、上述した各部品の形状の説明は、プレロードを付与する前の状態、すなわち、変形する前の状態を表している。これは、後述する他の実施形態の図や説明も同様である。
【0012】
図5は、第1実施形態の軸受構造体100aにおける常温と高温での荷重の変化を示す説明図である。図4に示した第1実施形態の構造では、第1部品10aの突出部14aが変形容易部として形成されているので、常温における組み立て時に付与したプレロードP1が、高温の動作時になっても過度に低下することなく、十分な荷重P2が維持される。
【0013】
このように、第1実施形態では、第1部品10aに、第1部品10aの本体部分12aからシム40に向かって突出する突出部14aを設けており、この突出部14aが、軸受構造体100aの組み立てにより軸受構造体100aの中心軸AXに略平行な方向に沿って変形する変形容易部として機能する。この結果、軸受構造体100aの動作時に軸方向の荷重が過度に低下することを防止できる。また、上述した従来技術に比べて、部品点数が少なく、組み付け工数の増加も防止できる。
【0014】
図6は、第2実施形態の軸受構造体100bを示す説明図である。この軸受構造体100bの第1部品10bも、第1実施形態と同様に、本体部分12bと、軸受構造体100bの中心軸AXに略平行な方向に沿って本体部分12bからシム40に向かって突出する突出部14bと、を有する。突出部14bの先端は、シム40に接触する。この突出部14bも、中心軸AXと略平行な方向における剛性が低く、軸受構造体100bの組み立てにより、軸受構造体100bの中心軸AXに略平行な方向に沿って変形する変形容易部として機能する。また、第2実施形態の突出部14bは、中心軸AXを含む断面において、中心軸AXと略平行な方向に延びる略矩形状の形状を有している。この突出部14bでは、中心軸AXと略垂直な方向に沿って測った厚みを調整することによって、容易に適切なプレロードを付与することができる。
【0015】
図7は、第3実施形態の軸受構造体100cを示す説明図である。この軸受構造体100cの第1部品10cは、本体部分12cと、軸受構造体100aの中心軸AXに略垂直な方向に沿って本体部分12cから中心軸AXに向けて突出する突出部14cと、を有する。突出部14cは、その側面がシム40に接触する。この突出部14cも、中心軸AXと略平行な方向における剛性が低い。すなわち、突出部14cは、軸受構造体100cの組み立てにより、軸受構造体100cの中心軸AXに略平行な方向に沿って変形する変形容易部として構成されている。また、第3実施形態において、突出部14cは、中心軸AXを含む断面において、中心軸AXに略垂直な方向に延びる略矩形状の形状を有している。この突出部14cでは、中心軸AXと略平行な方向に沿って測った厚みを調整することによって、容易に適切なプレロードを付与することができる。
【0016】
図8は、第4実施形態の軸受構造体100dを示す説明図である。この軸受構造体100dは、シム40dの全体が、中心軸AXに略平行な方向に沿った剛性が低く、変形し易い変形容易部として構成されている。具体的には、シム40dは、第1部品10に接触する第1接触部41dと、テーパベアリング30に接触する第2接触部42dと、第1接触部41dと第2接触部42dとの間に設けられた中間部43dとを有する。中間部43dは、第1部品10とテーパベアリング30のいずれからも離間している。また、第1接触部41dはテーパベアリング30には接触しておらず、第2接触部42dは第1部品10には接触していない。このシム40dは、中心軸AXを含む断面において、中心軸AXから傾いた方向に延びる略四方形の形状を有している。換言すれば、シム40dは、皿ばねと同様の形状である皿バネ形状を有している。このシム40dでは、中心軸AXに略平行な方向に沿って測ったシム40dの高さや、中間部43dの厚みを調整することによって、容易に適切なプレロードを付与することができる。
【0017】
図9は、第5実施形態の軸受構造体100eを示す説明図である。この軸受構造体100eも、第4実施形態と同様に、シム40eの全体が、中心軸AXに略平行な方向に沿った剛性が低く、変形し易い変形容易部として構成されている。具体的には、シム40eは、第1部品10に接触する第1接触部41eと、テーパベアリング30に接触する第2接触部42eと、第1接触部41eと第2接触部42eとの間に設けられた中間部43eとを有する。中間部43eは、第1部品10とテーパベアリング30のいずれからも離間している。また、第1接触部41eはテーパベアリング30には接触しておらず、第2接触部42eは第1部品10には接触していない。中間部43eは、中心軸AXを含む断面において、中心軸AXに略垂直な方向に延びる略矩形状の形状を有している。また、第1接触部41eは、中間部43eから第1部品10に向けて突出する形状を有し、第2接触部42eは、中間部43eからテーパベアリング30に向けて突出する形状を有する。このシム40eでは、中心軸AXに略垂直な方向に沿って測った第1接触部41e及び第2接触部42eの幅や、中心軸AXに略平行な方向に沿って測った中間部43eの厚みを調整することによって、容易に適切なプレロードを付与することができる。
【0018】
図10は、第6実施形態の軸受構造体100fを示す説明図である。この軸受構造体100fも、シム40fの全体が、中心軸AXに略平行な方向に沿った剛性が低く、変形し易い変形容易部として構成されている。具体的には、シム40fは、第1部品10に接触する第1接触部分44fと、テーパベアリング30に接触する第2接触部分45fとを有する。第2接触部分45fは、複数に分割されている。分割された個々の接触部分45fを、局所接触部45fと呼ぶ。複数の局所接触部45fの間には、溝が形成されている。このシム40fでは、局所接触部45fの個数や、中心軸AXに略垂直な方向に沿って測った局所接触部45fの幅を調整することによって、容易に適切なプレロードを付与することができる。なお、複数の局所接触部は、第2接触部分45fでなく第1接触部分44fに設けてもよい。すなわち、第1接触部分44fと第2接触部分45fの少なくとも一方が、複数の局所接触部に分割されていることが好ましい。
【0019】
図11は、第7実施形態の軸受構造体100gを示す説明図である。この軸受構造体100gでは、第1部品10gとシム40gとの組み合わせによって変形容易部が構成されている。シム40gは、中心軸AXを含む断面において、中心軸AXと略垂直な方向に沿って延びる略矩形状の形状を有する。また、シム40gは、テーパベアリング30と接触する接触部46gと、接触部46gから更に中心軸AXに向かって延びる延伸部47gとを有するように構成されているものと考えることができる。第1部品10gは、本体部分12gと、中心軸AXに略平行な方向に沿って本体部分12gからシム40gに向かって突出する突出部14gとを有する。突出部24gの先端は、シム40gの延伸部47gに接触する。この構成では、中心軸AXに略平行な方向に沿って測ったシム40gの厚みや、突出部14gの位置を調整することによって、容易に適切なプレロードを付与することができる。
【0020】
以上のように、上述した各種の実施形態では、第1部品とシムとの少なくとも一方に設けられた変形容易部が軸受構造体の組み立てによって変形するので、軸受構造体の動作時に軸方向の荷重が過度に低下することを防止できる。
【0021】
本開示は、上述の実施形態や実施形態、変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、開示の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、実施形態、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部または全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部または全部を達成するために、適宜、差し替えや組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0022】
10,10a,10b,10c,10g…第1部品、12,12a,12b,12c,12g…本体部分、14a,14b,14c,14g…突出部、20…第2部品、24g…突出部、30…テーパベアリング、40,40d,40e,40f,40g…シム、41d,41e…第1接触部、42d,42e…第2接触部、43d,43e…中間部、44f…第1接触部分、45f…第2接触部分(局所接触部)、46g…接触部、47g…延伸部、100,100a~100g…軸受構造体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11