(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】移動体システム
(51)【国際特許分類】
G05D 1/43 20240101AFI20241001BHJP
B62D 53/04 20060101ALI20241001BHJP
G08G 1/123 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
G05D1/43
B62D53/04 Z
G08G1/123 A
(21)【出願番号】P 2021094200
(22)【出願日】2021-06-04
【審査請求日】2024-01-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100109047
【氏名又は名称】村田 雄祐
(74)【代理人】
【識別番号】100109081
【氏名又は名称】三木 友由
(72)【発明者】
【氏名】梅 子洵
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 佳洋
(72)【発明者】
【氏名】小林 弘幸
(72)【発明者】
【氏名】福留 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】浅井 智子
【審査官】田中 友章
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-086894(JP,A)
【文献】特開2020-091142(JP,A)
【文献】特開2019-211971(JP,A)
【文献】特開2021-079744(JP,A)
【文献】国際公開第2020/150916(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0318306(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/43
B62D 53/04
G08G 1/123
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自律走行機能を有する走行ユニットと、前記走行ユニットに連結可能であり且つユーザが乗ることのできる空間を有するトレーラユニットと、サーバ装置とを備える移動体システムであって、
前記トレーラユニットは、
ユーザから、目的地情報を受け付ける受付部と、
前記トレーラユニットの現在位置を示す現在位置情報および前記目的地情報を、前記サーバ装置に送信する第1通信部と、を有し、
前記サーバ装置は、
前記トレーラユニットから、前記現在位置情報および前記目的地情報を受信する第2通信部と、
前記走行ユニットが前記トレーラユニットを目的地に牽引するタスクを決定して、前記現在位置情報および前記目的地情報を含むタスク実行指示を生成する制御部と、を備え、
前記第2通信部は、前記走行ユニットに、前記タスク実行指示を送信し、
前記走行ユニットは、
前記サーバ装置から、前記タスク実行指示を受信する第3通信部と、
前記タスク実行指示にもとづいて、駆動装置を制御して、当該走行ユニットを走行させる処理装置と、を備え、
前記処理装置は、当該走行ユニットを、前記トレーラユニットの位置まで移動させて、前記トレーラユニットに連結させた後、目的地まで走行させる、
ことを特徴とする移動体システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行ユニットとトレーラユニットを備える移動体システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動運転車両を用いて、荷物などの物を搬送するシステムが考案されている。特許文献1は、自律走行を行う車両であって、前輪を有する先頭部と、後輪を有する末尾部と、先頭部と末尾部との間に連結されることで先頭部と末尾部とを一体化させる積載部とを備える車両を開示する。先頭部および末尾部が停止した状態において、積載部は、車両の進行方向と交差する方向に、車両から分離可能に且つ車両と連結可能に構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されたシステムでは、サーバ装置が配車リクエストを外部から受けると、派遣する自律走行車両を決定して、配車リクエストに応じた運行指令を生成する。自律走行機能を有する移動体を備えたシステムは、様々なシーンで有用なサービスを提供できることが期待される。
【0005】
そこで本発明の目的は、新しい移動体システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様の移動体システムは、自律走行機能を有する走行ユニットと、走行ユニットに連結可能であり且つユーザが乗ることのできる空間を有するトレーラユニットと、サーバ装置とを備える移動体システムに関する。トレーラユニットは、ユーザから、目的地情報を受け付ける受付部と、トレーラユニットの現在位置を示す現在位置情報および目的地情報を、サーバ装置に送信する第1通信部と、を有する。サーバ装置は、トレーラユニットから、現在位置情報および目的地情報を受信する第2通信部と、走行ユニットがトレーラユニットを目的地に牽引するタスクを決定して、現在位置情報および目的地情報を含むタスク実行指示を生成する制御部と、を備える。第2通信部は、走行ユニットに、タスク実行指示を送信する。走行ユニットは、サーバ装置から、タスク実行指示を受信する第3通信部と、タスク実行指示にもとづいて、駆動装置を制御して、当該走行ユニットを走行させる処理装置と、を備える。処理装置は、当該走行ユニットを、トレーラユニットの位置まで移動させて、トレーラユニットに連結させた後、目的地まで走行させる。
【0007】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、コンピュータプログラム、コンピュータプログラムを読み取り可能に記録した記録媒体、データ構造などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施例の移動体システムの概要を示す図である。
【
図3】走行ユニットと台車ユニットとが分離した状態を示す図である。
【
図4】本体部に設けられたドアの例を示す図である。
【
図7】移動体システムの機能ブロックを示す図である。
【
図8】サーバ装置における処理のフローチャートを示す図である。
【
図9】レジストレーションカードの入力項目の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、実施例の移動体システム1の概要を示す。移動体システム1は、走行ユニット12と、台車ユニット14と、サーバ装置6とを備える。走行ユニット12は自律走行機能を有し、一方、台車ユニット14は自律走行機能を有しない。走行ユニット12および台車ユニット14のそれぞれは無線通信機能を有し、基地局である無線局4経由で、インターネットなどのネットワーク2を介してサーバ装置6に通信可能に接続する。走行ユニット12と台車ユニット14は、ネットワーク2を介して通信できるが、ネットワーク2を介さずに直接通信できてもよい。
【0010】
移動体システム1において、走行ユニット12と台車ユニット14は連結分離可能に構成され、走行ユニット12と台車ユニット14とが連結されることで、移動体10が構成される。なお、自動走行機能を有する走行ユニット12を、単体で移動体と呼んでもよい。
【0011】
走行ユニット12と台車ユニット14とが連結分離可能に構成されることで、走行ユニット12は、台車ユニット14を目的地まで牽引すると、台車ユニット14を切り離して、別のタスクを実行できる。たとえば別のタスクが、別の台車ユニット14を別の目的地まで牽引するタスクである場合、当該走行ユニット12は、当該別の台車ユニット14が配置されている位置まで移動して、当該別の台車ユニット14と連結し、当該別の目的地まで牽引して、当該別の台車ユニット14を切り離す。このように走行ユニット12と台車ユニット14とが連結分離可能に構成されることで、走行ユニット12は、異なる台車ユニット14に関するタスクを次々に実行することが可能となる。
【0012】
実施例において、台車ユニット14は、人が乗ることのできる車室空間を備える。走行ユニット12から切り離された台車ユニット14は、その場所で、ユーザに寝室を提供するサービスを提供するトレーラユニットとして機能してよい。
【0013】
サーバ装置6は、複数の走行ユニット12および複数の台車ユニット14の位置および状態を管理する。走行ユニット12の状態は、タスクを実行中であるか否かを示す状態を含み、台車ユニット14の状態は、サービスを提供中であるか否かを示す状態を含む。サーバ装置6は、複数の走行ユニット12および複数の台車ユニット14の位置および状態にもとづいて、各走行ユニット12に割り当てるタスクを決定する。走行ユニット12は、サーバ装置6から送信されるタスク実行指示にもとづいて動作する。
【0014】
図2は、実施例の移動体10の斜視図を示す。移動体10は、走行ユニット12が台車ユニット14に連結することで構成される。台車ユニット14は、人が乗るための車室空間8を有する。移動体10の全長は2m(メートル)から3m程度、全幅は0.5mから1.8m程度、全高は1.5mから2.5m程度であってよい。
【0015】
図3は、走行ユニット12と台車ユニット14とが分離した状態を示す。台車ユニット14は、人が乗るための車室空間8を形成する本体部40を備える。車室空間8は、前輪42および後輪44が設けられる基部40aと、基部40aに対向して設けられる天井部40bと、前壁部40cおよび後壁部40dによって画成された空間として構成される。台車ユニット14が走行ユニット12から切り離された状態では、台車ユニット14の脚部46が地面に接地して、移動不能とされ、台車ユニット14の位置が固定される。
【0016】
車室空間8の両側面には、車外と仕切るための開閉ドアが設けられる。
図4は、本体部40に設けられたドア60の例を示す。ドア60は、ヒンジを天井部40bの両側部に設けた跳ね上げ式ドアであってよい。ドア60を閉じることで、車室空間8と外部空間とを仕切ることができる。ドア60は、その全部または一部を透明素材または半透明素材で形成されてよい。
【0017】
図5は、移動体10の構成を説明するための図である。走行ユニット12は、車輪20、本体部22、オブジェクト検出センサ24、連結装置26、処理装置30、通信部32、駆動装置34および電源装置36を有する。台車ユニット14は、本体部40、前輪42、後輪44、脚部46、被連結部48、電源装置50、処理装置52、通信部54および人検出センサ56を有する。
【0018】
走行ユニット12において、車輪20は、左右に一対設けられ、本体部22に回転可能に支持される。一対の車輪20には、駆動装置34がそれぞれ設けられる。駆動装置34はモータを含み、処理装置30が生成する駆動指示に応じて、車輪20を回転させる。一対の車輪20が互いに独立に回転することで、一対の車輪20の回転数の差により、走行ユニット12が左右に曲がることができる。なお本体部22には、一対の車輪20に加えて、1つ以上の補助車輪(不図示)が設けられてよい。
【0019】
本体部22は、車体フレームと内部構造を覆うカバーとにより構成される。オブジェクト検出センサ24は本体部22に設けられ、進行方向の物体を検出する。オブジェクト検出センサ24は、カメラ、ミリ波レーダ、赤外線レーザ、音波センサなどであってよく、またはそれらの組合せであってよい。オブジェクト検出センサ24は、本体部22の前部のみならず、本体部22の様々な位置に設けられて、後方または横方向の物体を検出してよい。オブジェクト検出センサ24は、検出結果を処理装置30に供給する。
【0020】
連結装置26は、本体部22の後部に設けられ、台車ユニット14の被連結部48(
図3参照)に連結される。処理装置30は、走行ユニット12と台車ユニット14とが接近した状態で、車輪20の駆動を制御して連結装置26と被連結部48とを接続し、ロック機構を作動させることで、連結装置26を被連結部48に連結させる。連結装置26は、被連結部48に連結すると、連結完了を示す信号を処理装置30に送出する。連結装置26と被連結部48とを連結するロック機構は、たとえば鉤状の引っ掛け部を備えて機械的に連結する構造を有してよいが、電磁的に連結する構造を有してもよい。処理装置30は、ロック機構を解除することで、連結装置26と被連結部48とを分離する。
【0021】
電源装置36は、充電可能な電池であり、走行ユニット12に搭載した各構成に電力を供給する。電源装置36は、台車ユニット14の電源装置50と電力の送受が可能であってよい。処理装置30は、電源装置36の残存電力量を監視する。
【0022】
処理装置30は、走行ユニット12の自律走行を制御する。処理装置30は、オブジェクト検出センサ24の検出結果および走行ユニット12の位置情報をもとに、駆動装置34を駆動して、走行ユニット12の自律走行を実現する。通信部32はネットワーク2に接続して、サーバ装置6および/または台車ユニット14と通信する。なお走行ユニット12と台車ユニット14との距離が近い場合、走行ユニット12の通信部32と台車ユニット14の通信部54は、ネットワーク2を介さずに直接通信してよい。
【0023】
台車ユニット14において、一対の前輪42および一対の後輪44が本体部40の基部40aに回転可能に支持される。台車ユニット14は、前輪42および後輪44を駆動する駆動装置を有しない。被連結部48は、本体部40の前部に設けられ、走行ユニット12の連結装置26に連結される。連結装置26と被連結部48とが連結すると、被連結部48は、連結完了を示す信号を処理装置52に送出してよい。
【0024】
一対の脚部46は、本体部40の前部に設けられ、地面に対して進退可能に構成される。脚部46は、地面に対して進行して接地すると、台車ユニット14の移動を制限するストッパとして機能する。そのため台車ユニット14が走行ユニット12から切り離された状態では、脚部46は地面に対して進行して接地し、ストッパとなる。一方、台車ユニット14が走行ユニット12に連結されると、脚部46は後退して、接地していない状態となる。たとえば処理装置52が、被連結部48から連結完了を示す信号を取得すると、脚部46を後退させて、地面から離してよい。
【0025】
電源装置50は、水素、ガソリン、電気などの少なくともいずれかを電力源とし、台車ユニット14に搭載した各構成に電力を供給する。
図3には、本体部40前方の3つのスロットに挿入された3つの水素タンクが示されている。処理装置52は、電源装置50の残存電力量を監視する。
【0026】
通信部54はネットワーク2に接続して、サーバ装置6および/または走行ユニット12と通信する。なお走行ユニット12と台車ユニット14との距離が近い場合、台車ユニット14の通信部54と走行ユニット12の通信部32は、ネットワーク2を介さずに直接通信してよい。
【0027】
台車ユニット14は、ユーザが乗ることのできる車室空間8を有する。実施例の移動体システム1において、台車ユニット14は、ユーザを乗せた状態で、走行ユニット12により、ユーザが所望する場所まで牽引されるトレーラユニットとして利用される。
【0028】
図6は、トレーラユニット14aの例を示す。車室空間8には、ベッドや枕などが備えられて、ユーザはトレーラユニット14aを、カプセルホテルのように利用できる。なお
図6に示すトレーラユニット14aにおいて、車室空間8を仕切るドア60の図示は省略している。人検出センサ56は、車室空間8に人が存在しているか否かを検出する。たとえば人検出センサ56は、画像センサであって、車室空間8を撮影した画像を取得してよい。また人検出センサ56は、赤外線、超音波、可視光などを用いた人感センサであってもよい。人検出センサ56は、取得したセンサ情報を、処理装置52に供給する。
【0029】
図7は、移動体システム1の機能ブロックを示す図である。実施例の移動体システム1は、走行ユニット12、トレーラユニット14aおよびサーバ装置6を備える。上記したようにトレーラユニット14aは、台車ユニット14の一つの利用態様であり、
図1~
図5に関して説明した台車ユニット14の機能および構造を備える。
図7において走行ユニット12およびトレーラユニット14aは、それぞれ1台ずつ示されているが、移動体システム1には、複数の走行ユニット12および複数のトレーラユニット14aが存在してよい。
【0030】
走行ユニット12において、位置情報取得部28は、衛星測位システムを用いて走行ユニット12の現在位置を示す現在位置情報を取得し、取得した現在位置情報を処理装置30に供給する。位置情報取得部28は、GPS(Global Positioning System)受信機であってよい。処理装置30は、走行ユニット12の現在位置情報を、走行ユニット12の識別情報(走行ユニットID)とともに、通信部32からサーバ装置6に送信する。現在位置情報の送信は、周期的に行われることが好ましい。
【0031】
マップ保持部38は、道路位置を示すマップ情報を保持する。処理装置30は、サーバ装置6から送信されるタスク実行指示にもとづいて、駆動装置34を制御して、走行ユニット12を走行させる。タスク実行指示には、少なくとも目的地(行き先)を示す情報が含まれており、処理装置30は、マップ保持部38に保持されたマップ情報と、位置情報取得部28から供給される現在位置情報とを用いて、タスク実行指示に含まれる目的地に向かう走行ルートを導出する。処理装置30は、導出した走行ルートに沿って走行するように、駆動装置34を制御する。なお走行ルートは、サーバ装置6により導出されて、タスク実行指示に含まれていてもよい。目的地までの走行中、処理装置30は、オブジェクト検出センサ24による検出データをもとに、走行ユニット12の周囲に存在するオブジェクトに関する情報を取得する。処理装置30は、周囲のオブジェクトとの衝突を回避するように進行方向および走行速度を決定し、駆動装置34を駆動する。
【0032】
トレーラユニット14aにおいて、位置情報取得部58は、衛星測位システムを用いてトレーラユニット14aの現在位置を示す現在位置情報を取得し、取得した現在位置情報を処理装置52に供給する。位置情報取得部58は、GPS受信機であってよい。処理装置52は、トレーラユニット14aの現在位置情報を、トレーラユニット14aの識別情報(台車ユニットID)とともに、通信部54からサーバ装置6に送信する。現在位置情報の送信は、周期的に行われることが好ましい。
【0033】
サーバ装置6は、通信部70および処理装置72を備え、処理装置72は、検出部74および制御部80を有する。制御部80は、判定部82、タスク決定部84、タスク実行指示生成部86およびユニット管理部88を含む。
【0034】
通信部70は、複数の走行ユニット12および複数のトレーラユニット14aから、現在位置情報を受信する。ユニット管理部88は、複数の走行ユニット12および複数のトレーラユニット14aから送信される現在位置情報をもとに、複数の走行ユニット12および複数のトレーラユニット14aの現在位置を管理する。
【0035】
図7において、さまざまな処理を行う機能ブロックとして記載される各要素は、ハードウェア的には、回路ブロック、メモリ、その他のLSIで構成することができ、ソフトウェア的には、メモリにロードされたプログラムなどによって実現される。したがって、これらの機能ブロックがハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは当業者には理解されるところであり、いずれかに限定されるものではない。
【0036】
以下、ユーザが、トレーラユニット14aを利用するときの処理について説明する。ユーザは、たとえば終電を逃したような場合に、トレーラユニット14aを利用してよい。トレーラユニット14aは、たとえばオフィス街の一角に配置されており、ユーザはトレーラユニット14aを、カプセルホテルのように利用できる。このときトレーラユニット14aには、走行ユニット12は連結されていない。
【0037】
ユーザが車室空間8に乗り込むと、人検出センサ56は、人が車室空間8に入ったことを示すセンサ情報を取得する。人検出センサ56は、センサ情報を処理装置52に供給し、処理装置52はセンサ情報を、台車ユニットIDとともに、通信部54からサーバ装置6に送信する。
【0038】
図8は、サーバ装置6における処理のフローチャートを示す。サーバ装置6において、通信部70が、トレーラユニット14aにおいて人検出センサ56が取得したセンサ情報を受信すると、検出部74は、トレーラユニット14aの車室空間8にユーザが入室したことを検出する(S10)。ユーザは車室空間8に入室すると、レジストレーションカードに必要な情報を入力して、チェックインの手続を行う。
【0039】
図9は、レジストレーションカードの入力項目の例を示す。ユーザは、車室空間8に備えられたタブレットを用いて、必要な情報を入力し、受付部62は、入力された情報を受け付ける。この例では、「氏名」、「住所」、「連絡先」、「目的地」および「到着時刻」の入力項目が設定されている。このうち「氏名」、「住所」、「連絡先」は必須入力項目であり、受付部62は、「氏名」、「住所」、「連絡先」の項目に入力された情報を受け付ける。一方、「目的地」、「到着時刻」は任意入力項目であり、受付部62は、ユーザが入力した場合には、目的地情報、到着時刻情報を受け付け、入力しない場合には、目的地情報、到着時刻情報を受け付けない。受付部62が受け付けた入力情報は、処理装置52に供給され、処理装置52は、ユーザがレジストレーションカードに入力した情報を、台車ユニットIDとともに、通信部54からサーバ装置6に送信する。
【0040】
サーバ装置6において、通信部70は、ユーザがレジストレーションカードに入力した情報を受信する(S12)。ユーザの入力情報は、宿泊者管理データベース(図示せず)に登録されて管理される。ユーザの入力情報に目的地情報が含まれていない場合(S12のN)、判定部82は、ユーザがトレーラユニット14aを現在位置で利用することを希望していることを判定する。この場合、トレーラユニット14aは、現在位置から動かされる必要がない。
【0041】
一方、ユーザの入力情報に目的地情報が含まれている場合(S12のY)、判定部82は、ユーザがトレーラユニット14aを目的地まで移動することを希望していることを判定する。この判定結果を受けて、タスク決定部84は、走行ユニット12が実行するタスクを決定する(S14)。ここでタスク決定部84は、走行ユニット12がトレーラユニット14aを、ユーザが入力した目的地に牽引するタスクを決定する。
【0042】
ユニット管理部88は、トレーラユニット14aの周辺に存在する走行ユニット12のうち、タスクを割り当てられていない走行ユニット12を特定する(S16)。ユニット管理部88は、特定した走行ユニット12の走行ユニットIDと、トレーラユニット14aの現在位置情報とをタスク実行指示生成部86に通知する。タスク実行指示生成部86は、トレーラユニット14aの位置まで移動して、当該トレーラユニット14aと連結し、ユーザの目的地まで牽引するタスク実行指示を生成する(S18)。タスク実行指示生成部86は、移動対象であるトレーラユニット14aの現在位置情報およびユーザの目的地情報を含むタスク実行指示を、通知された走行ユニットIDの走行ユニット12に、通信部70から送信する(S20)。
【0043】
当該走行ユニットIDをもつ走行ユニット12において、通信部32がタスク実行指示を受信する。処理装置30は、タスク実行指示にもとづいて、走行ユニット12をトレーラユニット14aの位置まで移動させて、トレーラユニット14aに連結させた後、目的地まで走行させる。以下、具体的な動作を説明する。
【0044】
処理装置30は、タスク実行指示にもとづいて、マップ保持部38に保持されたマップ情報と、位置情報取得部28から供給される走行ユニット12の現在位置情報とを用いて、タスク実行指示に含まれる目的地(トレーラユニット14aの現在位置)に向かう走行ルートを導出する。当該目的地までの走行中、処理装置30は、オブジェクト検出センサ24による検出データにもとづいて、周囲のオブジェクトとの衝突を回避するように走行ルートに沿った進行方向および走行速度を決定して、駆動装置34の駆動を制御する。
【0045】
走行ユニット12がトレーラユニット14aの位置まで移動すると、処理装置30は、走行ユニット12とトレーラユニット14aとが接近した状態で、車輪20の駆動を制御して連結装置26と被連結部48とを接続し、ロック機構を作動させることで、連結装置26を被連結部48に連結させる。連結装置26は、被連結部48に連結すると、連結完了を示す信号を処理装置30に送出する。
【0046】
トレーラユニット14aにおいて、被連結部48が連結装置26に連結されると、被連結部48は、連結完了を示す信号を処理装置52に送出する。処理装置52は、被連結部48から連結完了を示す信号を取得すると、脚部46を後退させて、地面から離す。また処理装置52は、シートベルトの装着など、ユーザの安全が確保されていることを示す情報を、走行ユニット12に通知する。走行ユニット12は、ユーザの安全が確保されていることを条件として台車ユニット14を牽引し、ユーザの安全が確保されていない状態で台車ユニット14を牽引することはない。
【0047】
走行ユニット12の処理装置30は、マップ保持部38に保持されたマップ情報と、位置情報取得部28から供給される走行ユニット12の現在位置情報とを用いて、タスク実行指示に含まれるユーザの目的地に向かう走行ルートを導出する。処理装置30は、走行ルートに沿って走行するように、駆動装置34の駆動を制御する。なお、ユーザがレジストレーションカードに入力した情報に、到着時刻が含まれている場合には、処理装置30は、当該到着時刻に目的地に到着するように、駆動装置34の駆動を制御する。
【0048】
走行ユニット12がユーザの目的地に到着すると、処理装置30は、トレーラユニット14aに、目的地に到着したことを通知する。トレーラユニット14aにおいて処理装置52は、この通知を受けて、脚部46を接地させる。
【0049】
その後、処理装置30は、連結装置26と被連結部48とを連結するロック機構を解除する。処理装置30は、サーバ装置6から送信されたタスク実行指示にしたがったタスクを完了すると、タスク完了をサーバ装置6に通知する。サーバ装置6において、ユニット管理部88は、この通知を受けて、当該走行ユニット12を、タスクを割り当てられていない走行ユニットとして管理する。
【0050】
このように実施例の移動体システム1において、ユーザは、トレーラユニット14aを、移動可能なカプセルホテルとして利用できる。ユーザは、移動する必要がなければ、目的地を入力しなければよく、利便性の高いサービスを実現できる。
【0051】
以上、本発明をいくつかの実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。実施例では、サーバ装置6が、処理装置72を備えているが、変形例では、サーバ装置6における処理装置72の機能を、走行ユニット12が備えてもよい。
【符号の説明】
【0052】
1・・・移動体システム、6・・・サーバ装置、8・・・車室空間、10・・・移動体、12・・・走行ユニット、14・・・台車ユニット、14a・・・トレーラユニット、26・・・連結装置、30・・・処理装置、34・・・駆動装置、46・・・脚部、48・・・被連結部、52・・・処理装置、56・・・人検出センサ、62・・・受付部、72・・・処理装置、74・・・検出部、80・・・制御部、82・・・判定部、84・・・タスク決定部、86・・・タスク実行指示生成部、88・・・ユニット管理部。