(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
G01C 21/34 20060101AFI20241001BHJP
G08G 1/0968 20060101ALI20241001BHJP
G08B 21/10 20060101ALI20241001BHJP
G08B 27/00 20060101ALI20241001BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20241001BHJP
G16Y 40/50 20200101ALI20241001BHJP
G16Y 40/60 20200101ALI20241001BHJP
【FI】
G01C21/34
G08G1/0968
G08B21/10
G08B27/00 A
G16Y10/40
G16Y40/50
G16Y40/60
(21)【出願番号】P 2021110249
(22)【出願日】2021-07-01
【審査請求日】2024-02-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】横山 大樹
(72)【発明者】
【氏名】影浦 義之
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 真典
(72)【発明者】
【氏名】坂柳 佳宏
(72)【発明者】
【氏名】森田 泰毅
【審査官】宮本 礼子
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-173687(JP,A)
【文献】特開2021-026486(JP,A)
【文献】特開2014-167454(JP,A)
【文献】特開2003-161628(JP,A)
【文献】特開2021-012079(JP,A)
【文献】国際公開第2017/159488(WO,A1)
【文献】特開2014-059200(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G01C 21/00-25/00
G08B 21/10
G08B 27/00
G16Y 10/40
G16Y 40/50
G16Y 40/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
災害発生時、避難場所までの複数のルートのうち、道幅及び海抜が、それぞれに対して予め設定されている閾値以上である第1のルートが存在する場合、該第1のルートの車両での避難を指示する避難情報を生成し、前記第1のルートが存在せず、道幅及び海抜のうちの道幅のみが閾値以上である第2のルートが存在する場合、該第2のルートの車両での避難を指示する避難情報を生成し、前記第1及び第2のルートが存在せず、道幅及び海抜のうちの海抜のみが閾値以上である第3のルートが存在する場合、該第3のルートの徒歩での避難を指示する避難情報を生成し、前記第1~第3のルートが存在しない場合、避難場所を示す避難情報を生成するプロセッサ、
を備える情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、津波情報取得手段と、案内手段と、報知手段とを備え、津波の情報と車両の位置とに基づいて、津波を避けることが可能な目的地を案内するナビゲーション装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、避難の際は、効率的に早く避難場所に到達することが求められる。例えば、経路として到着予想時刻までに到着できたとしても、幅の狭い道や混雑等の走行ルートの状況によっては、避難場所への到着が遅れ、被害にあうこともある。
【0005】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、災害発生時、適切な走行ルートで避難することができる情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る情報処理装置は、災害発生時、避難場所までの複数のルートのうち、道幅及び海抜が、それぞれに対して予め設定されている閾値以上である第1のルートが存在する場合、該第1のルートの車両での避難を指示する避難情報を生成し、前記第1のルートが存在せず、道幅及び海抜のうちの道幅のみが閾値以上である第2のルートが存在する場合、該第2のルートの車両での避難を指示する避難情報を生成し、前記第1及び第2のルートが存在せず、道幅及び海抜のうちの海抜のみが閾値以上である第3のルートが存在する場合、該第3のルートの徒歩での避難を指示する避難情報を生成し、前記第1~第3のルートが存在しない場合、避難場所を示す避難情報を生成するプロセッサ、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、災害発生時、適切な走行ルートで避難することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施の形態1に係る制御システムを模式的に示す図である。
【
図2】
図2は、実施の形態1に係る災害情報サーバの構成を説明するためのブロック図である。
【
図3】
図3は、実施の形態1に係る車両の構成を説明するためのブロック図である。
【
図4】
図4は、実施の形態1に係る避難指示制御の処理の一例を示すシーケンス図である。
【
図5】
図5は、実施の形態2に係る制御システムを模式的に示す図である。
【
図6】
図6は、実施の形態2に係る制御システムの構成を説明するためのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の実施形態の全図においては、同一又は対応する部分には同一の符号を付す。また、本開示は以下に説明する実施形態によって限定されるものではない。
【0010】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る制御システムを模式的に示す図である。
図2は、実施の形態1に係る災害情報サーバの構成を説明するためのブロック図である。
図3は、実施の形態1に係る車両の構成を説明するためのブロック図である。
【0011】
実施の形態1に係る制御システム1は、災害情報サーバ2と、車両3とを含んで構成されている。災害情報サーバ2は、災害が発生した際に災害に関する情報を発信する。車両3は、例えばプラグインハイブリッド車両やレンジエクステンダー車両など、モータの動力のみでも走行が可能(EV走行が可能)な車両である。また、この車両3は、外部電源からの電力を充電可能かつ外部に電力を供給可能な車両である。
【0012】
災害情報サーバ2及び車両3は、ネットワークNWを介して情報通信が可能である。ネットワークNWは、例えばインターネット回線網等から構成される。災害情報サーバ2は、複数の車両3との間で情報を送受信できる。
【0013】
災害情報サーバ2は、災害情報受信部21と、被災地情報作成部22と、被災地情報送信部23と、を備える。災害情報サーバ2は、CPU(Central Processing Unit)等のハードウェアを有するプロセッサ、およびRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等の記憶部を備えている。
【0014】
災害情報受信部21は、災害が発生したことを示す災害情報を受信する。災害は、自然現象や人為的な原因によって所定ゾーンで被害が生じた事態をいう。災害情報として、地震情報、津波情報、台風情報、大雨情報、洪水情報、噴火情報、火災情報、山火事情報、停電情報などが挙げられる。地震発生時を例にすると、災害情報受信部21は、各地の観測点に設置された地震計から送信された信号(揺れを検知した信号)や、津波の発生の有無や、その規模に関する情報を受信する。また、災害情報受信部21は、地震計や津波の情報に限らず、ネットワークNWを介して各種の機器やサーバから災害情報を受信することができる。さらに、災害情報受信部21は、災害発生の第一報に関する情報を受信した後、災害の規模など新たに判明した情報を続報として引き続き受信する。
【0015】
被災地情報作成部22は、災害情報に基づいて被災地情報を作成する。被災地情報は、災害が発生した地域を示す災害地域情報と、災害の規模を示す情報とを含む。津波発生時を例にすると、被災地情報作成部22は、津波が到達すると予測される範囲を被災地に設定した被災地情報を作成する。この被災地に設定される範囲は、都道府県単位や市町村単位や地域単位など、所定の地域に設定可能である。また、被災地情報作成部22は、災害の発生後に受信した続報に基づいて、被災地情報を逐次、最新の情報に更新する。
【0016】
被災地情報送信部23は、作成された被災地情報を発信する。被災地情報送信部23はネットワークNWを介して車両3に被災地情報を送信する。また、被災地情報送信部23は、被災地情報が最新の情報に更新されるたびに最新の被災地情報を発信する。
【0017】
ここで、地域によっては、ジオフェンシングと呼ばれる仮想的な柵(仮想的境界)が所定の区域(ジオフェンシングゾーン)が設定される。ジオフェンシングゾーンは、例えば都市部の市街地など、特定の区域を対象にして設定される。ジオフェンシングゾーン内では、当該ジオフェンシングゾーンに位置する車両3を対象にして特定の車両制御を実行させる。この車両制御には、モータのみで走行(EV走行)を行うようにエンジン駆動を禁止する駆動制御が含まれる。
【0018】
車両3は、走行用のモータ11と、エンジン12と、バッテリ13と、充電器14と、車両側コネクタ15と、インバータ16とを備えた電動車両である。
【0019】
モータ11は走行用の動力源である。また、エンジン12はモータ11を回転させることができる。つまり、モータ11はエンジン12の動力により発電を行うことが可能である。エンジン12によりモータ11で発電を行う場合には、モータ11で発電した電力をバッテリ13に充電することができる。このモータ11はインバータ16を介してバッテリ13と電気的に接続されている。
【0020】
この車両3は、バッテリ13に外部からの電力を充電する充電器14と車両側コネクタ15とを備えたプラグインハイブリッド車両である。
【0021】
バッテリ13は、モータ11に供給するための電力を蓄えるとともに、外部電源から供給された電力を蓄える蓄電装置である。このバッテリ13は充電器14を介して車両側コネクタ15と通電可能に接続される。充電器14は外部からの電力をバッテリ13に充電する。例えば充電器14には各種のリレー部が含まれる。充電器14のリレー部を開放することにより、バッテリ13と車両側コネクタ15との間を電気的に切断することができる。外部の電力をバッテリ13に充電する際に、充電器14のリレー部が閉じて、バッテリ13と車両側コネクタ15とが電気的に接続される。車両側コネクタ15は、充電スタンドの充電コネクタなど、外部側コネクタと接続可能である。
【0022】
また、車両3は、GPS(Global Positioning System)受信部31と、通信部32と、制御部33と、HMI(Human Machine Interface)34と、パワートレーン35と、記憶部36とを備える。
【0023】
GPS受信部31は、GPS衛星からの電波(信号)を受信する。
【0024】
通信部32は、災害情報サーバ2との間で情報を送受信する。この通信部32は、例えば災害情報サーバ2から災害情報を受信する。また、通信部32は、車両3の現在位置を示す位置情報を災害情報サーバ2に送信する。
【0025】
制御部33は、CPU等のハードウェアを有するプロセッサ、およびRAMやROM等の記憶部を備えている。制御部33は、位置情報取得部33aと、ルート判定部33bと、エンジン制御部33cと、HMI制御部33dとを有する。
【0026】
位置情報取得部33aは、GPS受信部31により受信した信号に基づいて、現在の位置情報を取得する。
【0027】
ルート判定部33bは、避難場所までのルートとして適切なルートを判定する。避難場所は、災害情報サーバ2から取得した被災地情報に基づいて設定される。
【0028】
エンジン制御部33cは、エンジン12を制御する。例えばエンジン12の駆動禁止指示を受信した場合、エンジン制御部33cはエンジン12の駆動を禁止する禁止制御を実行する。また、エンジン12の駆動許可指示を受信した場合には、エンジン制御部33cはエンジン12の駆動を許可する許可制御を実行する。
【0029】
HMI制御部33dは、HMI34を制御する。
HMI34は、例えばカーナビ装置により構成されている。このHMI34は、運転者に情報を表示する表示部として機能するとともに、運転者からの操作を受け付ける操作部としても機能する車載装置である。HMI34からは、HMI制御部33dの制御のもと、エンジン12の駆動が許可または禁止された制御状態であることや、エンジン12の駆動が禁止された制御状態であることなどの情報が報知される。さらに、HMI34は、ルート判定部33bが設定した走行ルートを表示する。
【0030】
パワートレーン制御部33eは、パワートレーン35を制御する。
パワートレーン35は、モータ11やエンジン12から出力された動力を駆動輪に伝達する動力伝達装置である。このパワートレーン35には自動変速機などが含まれる。そのため、パワートレーン制御部33eは自動変速機の変速段を制御する変速制御を実行する。
【0031】
記憶部36は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体を用いて構成され、各種プログラム及び各種データが書き込み及び読み出し可能に格納されている。この記録媒体としては、ハードディスクや半導体メモリ、光ディスク、フラッシュメモリ、磁気ディスク等の記憶媒体、及びこれらの記憶媒体のドライブ装置を有して構成される。記憶部36には、制御部33が車両3の各部の作動を統括的に制御するために必要なオペレーティングシステム(OS)や各種アプリケーションのプログラムが格納されている。
【0032】
また、制御部33は、インバータ16を制御することによりモータ11を制御する。
インバータ16は制御部33によりスイッチング制御される。さらに、充電器14のリレー部は制御部33により開閉制御される。つまり、制御部33は、外部からの電力をバッテリ13に充電する充電制御を実行するとともに、バッテリ13に蓄えられた電力を外部に供給する放電制御を実行する。また、制御部33は車両3に関する各種の制御を実行する。
【0033】
ここで、
図4を参照して、各車両3の制御部33で実行される制御について説明する。
図4は、実施の形態1に係る避難指示制御の処理の一例を示すシーケンス図である。なお、
図4に示す制御は、例えば、災害情報として津波に関する情報が発信された場合に、制御部33により繰り返し実行される。本制御は、津波発生時のほか、土砂災害や豪雨による洪水、噴火による降灰等、車両3が走行する走行レーンが冠水する水害、又は、走行レーンに土砂等が堆積する障害によって避難が必要な場合においても適用できる。
【0034】
制御部33は、災害情報サーバ2から被災地情報を受信したか否かを判断する(ステップS101)。制御部33は、被災地情報を受信していなければ(ステップS101:No)、処理を終了する。なお、災害情報の確認は、定期的実行される。一方、制御部33は、被災地情報を受信している場合(ステップS101:Yes)、ステップS102に移行する。
【0035】
ステップS102において、HMI制御部33dは、被災地情報において設定される避難場所までのルートを検索する。ここでは、当該車両3から最も近い避難場所が設定されるものとして説明する。この際、HMI制御部33dは、避難場所に到達する複数のルートを検索する。なお、HMI制御部33dは、被災地情報等から、災害によって通行できなくなっている道が予め分かっている場合、通行不可の道を除外してルートの検索を行う。
【0036】
その後、ルート判定部33bは、道幅及び海抜が、それぞれに対して設定されている閾値以上である第1のルートがあるか否かを判定する(ステップS103)。ルート判定部33bは、各ルートの道幅及び海抜の代表値をそれぞれ算出して、道幅の代表値と、その閾値とを比較し、さらに、海抜の代表値と、その閾値とを比較して、第1のルートがあるか否かを判定する。道幅の代表値は、ルートの最小幅、最頻値、平均値等から設定される。海抜の代表値は、ルートの最低値、最頻値、平均値等から設定される。各閾値は、算出される代表値に応じて設定される。道幅の閾値は、車両の幅と、歩行者が通行可能な道幅とに基づいて設定される。また、海抜の閾値は、予想される津波の高さと、車高とに基づいて設定される。なお、閾値は、車種ごとに設定されてもよい。
【0037】
ルート判定部33bは、第1のルートがないと判定した場合(ステップS103:No)、ステップS105に移行する。ルート判定部33bは、第1のルートがあると判定した場合(ステップS103:Yes)、ステップS104に移行する。
【0038】
ステップS104において、制御部33は、第1のルートを車両3で避難するよう指示する。この際、制御部33は、第1のルートを車両3によって避難させることを指示する避難情報を、HMI34に表示させる。
【0039】
また、ステップS105において、ルート判定部33bは、道幅及び海抜のうちの一方が閾値以上を満たすルートがあるか否かを判定する。ルート判定部33bは、道幅及び海抜のうちの一方が閾値以上を満たすルートがないと判定した場合(ステップS105:No)、ステップS109に移行する。ルート判定部33bは、道幅及び海抜のうちの一方が閾値以上を満たすルートがあると判定した場合(ステップS105:Yes)、ステップS106に移行する。
【0040】
また、ステップS106において、ルート判定部33bは、道幅が閾値以上を満たす第2のルートがあるか否かを判定する。ルート判定部33bは、第2のルートがないと判定した場合(ステップS106:No)、ステップS108に移行する。ルート判定部33bは、第2のルートがあると判定した場合(ステップS106:Yes)、ステップS107に移行する。
【0041】
ステップS107において、制御部33は、第2のルートを車両3で避難するよう指示する。この際、制御部33は、第2のルートを車両3によって避難させることを指示する避難情報を、HMI34に表示させる。
【0042】
また、ステップS108において、制御部33は、海抜が閾値以上を満たす第3のルートを徒歩で避難するよう指示する。この際、制御部33は、第3のルートを徒歩で避難させることを指示する避難情報を、HMI34に表示させる。
【0043】
また、ステップS109において、制御部33は、避難場所のみを示す避難情報を出力する。この際、制御部33は、例えば、避難場所のみを示す避難情報を、HMI34に表示させる。なお、本ステップS109において、検索した全ルートをHMI34に表示するなど、各種の情報を表示するようにしてもよい。
【0044】
以上説明した実施の形態1では、車両3による避難において、渋滞等のスムーズな避難を妨げる要因となる道幅や、被災リスクが高くなる海抜に応じてルート及び避難手段を選択して、避難を指示する。本実施の形態1によれば、ルートの状況に応じて適した避難方法が指示されるため、災害発生時、適切な走行ルートで避難することができる。
【0045】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。
図5は、実施の形態2に係る制御システムを模式的に示す図である。
図6は、実施の形態2に係る制御システムの構成を説明するためのブロック図である。実施の形態2に係る制御システム1Aは、実施の形態1に係る制御システム1の構成に対し、車両3に代えて車両3Aを備え、車両管理サーバ4をさらに備える。以下、実施の形態1とは異なる部分(車両3A及び車両管理サーバ4の構成及び処理内容)について説明する。
【0046】
制御システム1Aは、災害情報サーバ2と、車両3Aと、車両管理サーバ4とを含んで構成されている。車両3Aは、車両3の構成に対し、ルート判定部33bを有しない制御部33Aを備えた構成となる。
【0047】
車両管理サーバ4は、車両管理センタに設置されたサーバである。車両管理センタは、複数の車両3Aについて、車両3Aの位置情報をリアルタイムで監視する。
【0048】
災害情報サーバ2と車両管理サーバ4とはネットワークNWを介して情報通信が可能である。ネットワークNWは、例えばインターネット回線網等から構成される。また、車両3Aと車両管理サーバ4とはネットワークNWを介した無線通信が可能である。
【0049】
車両管理サーバ4は、位置情報受信部41と、被災地情報受信部42と、記憶部43と、制御部44と、指示送信部45と、を備える。
【0050】
位置情報受信部41は、車両3Aから送信された現在の位置情報を受信する。車両管理サーバ4は、複数の車両3Aから送信された車両3Aの位置情報を位置情報受信部41により受信可能である。
【0051】
被災地情報受信部42は、災害情報サーバ2から送信された被災地情報を受信する。この被災地情報受信部42はネットワークNWを介して被災地情報送信部23と通信可能である。
【0052】
記憶部43は、車両3Aを管理するための各種情報を格納する。例えば、記憶部43には、ジオフェンシングゾーンが設定された区域に関する情報が格納されている。このジオフェンシング情報は予め格納された情報である。また、記憶部43は、位置情報データベース43aを有する。
【0053】
位置情報データベース43aは、車両3Aの位置情報を格納する。位置情報受信部41により受信された位置情報に基づいて、複数の車両3Aに関する位置情報がリアルタイムで位置情報データベース43aに格納される。つまり、位置情報データベース43aに格納された位置情報は、随時、最新の位置情報に更新される。
【0054】
制御部44は、CPU等のハードウェアを有するプロセッサを備えている。また、制御部44は、指示情報作成部44aを有する。
【0055】
制御部44は、ジオフェンシングゾーン内に位置する車両3Aを特定する。例えば、制御部44は、記憶部36に格納されたジオフェンシング情報と、位置情報データベース43aに格納された位置情報とに基づいて、ジオフェンシングゾーン内に位置する車両3を特定する。制御部44は、特定した車両3Aを対象として特定の車両制御(制御プログラム)を実行させる。
【0056】
指示送信部45は、車両3Aに向けて、特定の車両制御を実行させるための制御指示を送信する。例えば対象車両に向けた制御指示として、ジオフェンシングゾーン内においてエンジン12の駆動を禁止する指示(エンジン駆動禁止指示)や、ジオフェンシングゾーン外においてエンジン12の駆動を許可する指示(エンジン駆動許可指示)、避難場所への避難指示制御等が挙げられる。
【0057】
実施の形態2では、車両管理サーバ4が災害情報サーバ2から被災地情報を取得し、指示情報作成部44aが、被災地情報に基づいて、避難場所への避難を指示する避難情報を作成する。具体的には、指示情報作成部44aが、
図4に示す処理を実行して、避難指示が発令されている地域の車両3A等に避難情報を出力する。各車両3Aでは、受信した指示にしたがって、HMI34において、避難指示の情報を表示する。なお、指示情報作成部44aが、複数のルート検索から避難情報の生成までを実行してもよいし、車両3Aにルート検索のみを実行させる等、処理の一部を車両3Aが実行するようにしてもよい。
【0058】
以上説明した実施の形態2では、実施の形態1と同様に、車両3Aによる避難において、渋滞等のスムーズな避難を妨げる要因となる道幅や、被災リスクが高くなる海抜に応じてルート及び避難手段を選択して、避難を指示する。本実施の形態2によれば、ルートの状況に応じて適した避難方法が指示されるため、災害発生時、適切な走行ルートで避難することができる。
【0059】
また、実施の形態2では、複数の車両3Aに対し、指示情報作成部44aが避難指示を一括して行うため、各車両3Aが避難指示の制御のための処理を実行する必要がない。このため、車両3Aの処理負担を軽減し、車両3Aのバッテリ13の低下を抑制することができる。
【0060】
なお、以上説明した実施の形態において、例えば、災害情報サーバ2は、インターネット上の投稿サイト等に投稿された情報や、自治体など公的機関が発信した情報に基づいて、気象情報を検出することができる。例えば、インターネット上の投稿サイト等に投稿された情報を用いる場合、災害情報サーバ2はネットワークNWを介して情報を検出する。具体的には、インターネット上のSNS(Social Networking Service)に投稿された単語や、ある日に多くツイート(登録商標)された単語に基づいて、地震や津波等を示す情報を検知する構成としてもよい。
【0061】
また、HMI34は、カーナビ装置に限定されず、運転者の視覚や聴覚や知覚によって情報を伝えることが可能な報知部として機能する装置であればよい。例えば、HMI34は、音声による報知が可能なオーディオなどの音声機器や、車両3の運転席に振動を発生させる装置などであってもよい。
【0062】
また、車両3は、モータ11及びエンジン12を備え、少なくとも一方を用いて車両3を走行させる例について説明したが、モータ11のみを備え、常に当該モータ11の駆動によって走行する車両3としてもよい。
【0063】
(記録媒体)
一実施形態において、制御システムによる処理方法を実行可能なプログラムを、コンピュータその他の機械又は装置(以下、コンピュータなど、という)が読み取り可能な記録媒体に記録することができる。コンピュータ等に、この記録媒体のプログラムを読み込ませて実行させることにより、当該コンピュータ等が給電制御システムの各装置の制御部として機能する。ここで、コンピュータ等が読み取り可能な記録媒体とは、データ又はプログラム等の情報を電気的、磁気的、光学的、機械的、又は化学的作用によって蓄積し、コンピュータなどから読み取ることができる非一時的な記録媒体をいう。このような記録媒体のうちのコンピュータなどから取り外し可能なものとしては、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R/W、DVD(Digital Versatile Disk)、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)、DAT(Digital Audio Tape)、磁気テープ、フラッシュメモリ等のメモリカード等がある。また、コンピュータ等に固定された記録媒体としてハードディスク、ROM等がある。さらに、SSDは、コンピュータなどから取り外し可能な記録媒体としても、コンピュータ等に固定された記録媒体としても利用可能である。
【0064】
(その他の実施形態)
また、一実施形態による制御システムにおいては、「部」は、「回路」等に読み替えることができる。例えば、通信部は、通信回路に読み替えることができる。
【0065】
また、一実施形態による制御システムの各装置に実行させるプログラムは、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。
【0066】
さらなる効果、変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。本開示のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細及び代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付のクレーム及びその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神又は範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0067】
1 制御システム
2 災害情報サーバ
3、3A 車両
4 車両管理サーバ
11 モータ
12 エンジン
13 バッテリ
14 充電器
15 車両側コネクタ
16 インバータ
21 災害情報受信部
22 被災地情報作成部
23 被災地情報送信部
31 GPS受信部
32 通信部
33、44 制御部
33a 位置情報取得部
33b ルート判定部
33c エンジン制御部
33d HMI制御部
33e パワートレーン制御部
34 HMI
35 パワートレーン
36、43 記憶部
41 位置情報受信部
42 被災地情報受信部
44a 指示情報作成部
45 指示送信部
NW ネットワーク