(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】燃料電池システム
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04492 20160101AFI20241001BHJP
H01M 8/00 20160101ALI20241001BHJP
H01M 8/04746 20160101ALI20241001BHJP
H01M 8/04 20160101ALI20241001BHJP
H01M 8/04828 20160101ALI20241001BHJP
H01M 8/0444 20160101ALI20241001BHJP
H01M 8/0432 20160101ALI20241001BHJP
H01M 8/04791 20160101ALI20241001BHJP
H01M 8/04701 20160101ALI20241001BHJP
B60L 58/30 20190101ALI20241001BHJP
H01M 8/10 20160101ALN20241001BHJP
【FI】
H01M8/04492
H01M8/00 Z
H01M8/04746
H01M8/04 J
H01M8/04828
H01M8/0444
H01M8/0432
H01M8/04791
H01M8/04701
B60L58/30
H01M8/10 101
(21)【出願番号】P 2021111979
(22)【出願日】2021-07-06
【審査請求日】2023-10-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】浜田 成孝
(72)【発明者】
【氏名】石黒 文久
(72)【発明者】
【氏名】吉永 潔
【審査官】大内 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-123697(JP,A)
【文献】特開2020-80212(JP,A)
【文献】特開2000-238572(JP,A)
【文献】特開2008-108538(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/00- 8/2495
B60L 50/00-58/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される燃料電池システムであって、
燃料電池と、
前記車両の車室内の湿度を検出する湿度センサと、
前記燃料電池から排出されるカソードオフガスを前記車両の外部に排気するカソードオフガス排気路と、
前記カソードオフガス排気路に設けられたカソードオフガスの導入口と、
前記燃料電池から排出されるカソードオフガスを前記導入口から前記車両の車室内に導入するカソードオフガス導入部と、
前記湿度センサにより検出された前記車両の車室内の湿度に応じて、前記車両の車室内に導入される前記カソードオフガスの量を制御するカソードオフガス導入量制御部と、
前記湿度センサにより検出された前記車両の車室内の湿度に応じて、前記車両の車室内に導入される前記カソードオフガスの湿度を制御する湿度制御部と、を備える燃料電池システム。
【請求項2】
前記車両の車室内の酸素濃度を検出する酸素濃度センサと、
前記酸素濃度センサにより検出された前記車両の車室内の酸素濃度に応じて、前記燃料電池に酸化ガスを供給する酸化ガス供給路と前記カソードオフガス排気路とを接続するバイパス路に流す酸化ガス量を調整する酸化ガス量調整部と、をさらに備える請求項
1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
前記導入口は、複数設けられており、
前記湿度制御部は、前記車両の車室内の湿度又は温度の条件に基づいて、前記導入口を変更する請求項
1に記載の燃料電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池から排出されるカソードオフガスを車両の車室内に導入することにより車室内の暖房を実現する燃料電池システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
これに対して、本発明者らは、燃料電池が搭載された車両の車室内の湿度を制御することを検討した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1においては、燃料電池が搭載された車両の車室内の湿度を制御することについては一切検討されていない。
【0006】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、燃料電池が搭載された車両の車室内の湿度を制御することができる燃料電池システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかる燃料電池システムは、車両に搭載される燃料電池システムであって、
燃料電池と、
前記車両の車室内の湿度を検出する湿度センサと、
前記燃料電池から排出されるカソードオフガスを前記車両の外部に排気するカソードオフガス排気路と、
前記カソードオフガス排気路に設けられたカソードオフガスの導入口と、
前記燃料電池から排出されるカソードオフガスを前記導入口から前記車両の車室内に導入するカソードオフガス導入部と、
前記湿度センサにより検出された前記車両の車室内の湿度に応じて、前記車両の車室内に導入される前記カソードオフガスの量を制御するカソードオフガス導入量制御部と、を備える燃料電池システム。
【0008】
このような構成により、燃料電池が搭載された車両の車室内の湿度を制御することができる。
【0009】
これは、湿度センサにより検出された車両の車室内の湿度に応じて、車両の車室内に導入されるカソードオフガスの量を制御するカソードオフガス導入量制御部を備えていることによるものである。
【0010】
ここで、前記湿度センサにより検出された前記車両の車室内の湿度に応じて、前記車両の車室内に導入される前記カソードオフガスの湿度を制御する湿度制御部をさらに備えるのが望ましい。
【0011】
また、前記車両の車室内の酸素濃度を検出する酸素濃度センサと、
前記酸素濃度センサにより検出された前記車両の車室内の酸素濃度に応じて、前記燃料電池に酸化ガスを供給する酸化ガス供給路と前記カソードオフガス排気路とを接続するバイパス路に流す酸化ガス量を調整する酸化ガス量調整部と、をさらに備えるのが望ましい。
【0012】
また、前記導入口は、複数設けられており、
前記湿度制御部は、前記車両の車室内の湿度又は温度の条件に基づいて、前記導入口を変更するのが望ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、燃料電池が搭載された車両の車室内の湿度を制御することができる燃料電池システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】燃料電池システム1のシステム構成図である。
【
図3】燃料電池システム1の動作例1のフローチャートである。
【
図4】燃料電池システム1の動作例2のフローチャートである。
【
図5】燃料電池システム1の動作例3のフローチャートである。
【
図6】燃料電池システム1の動作例4のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態である燃料電池システム1について添付図面を参照しながら説明する。各図において対応する構成要素には同一の符号が付され、重複する説明は省略される。
【0016】
まず、
図1を用いて、実施の形態にかかる燃料電池システム1の構成例について説明する。
【0017】
図1は、燃料電池システム1のシステム構成図である。
【0018】
図1に示すように、燃料電池システム1は、車両Vに搭載されるシステムで、燃料電池10、酸化ガス供給路20、カソードオフガス排気路21、気液分離器30、燃料ガス供給路40、アノードオフガス排気路41、気液分離器50、貯水タンク60、排水路26、バイパス路70、制御部80、湿度センサ90、酸素濃度センサ91、カソードオフガス導入路92(92a~92c)等を備えている。
【0019】
車両Vは、例えば、キッチンカー、オフィスカーである。キッチンカーとは、例えば、キッチンにおいて用いられる用品(例えば、調理器具)が搭載された車両をいう。オフィスカーとは、例えば、オフィスにおいて用いられる用品(例えば、ディスプレイ)が搭載された車両をいう。車両Vの種類は、例えば、ワンボックスカー、キャンピングカーである。
【0020】
燃料電池10は、例えば、固体高分子形の燃料電池である。燃料電池10は、コンプレッサ(図示せず)により酸化ガス供給路20を介して供給される酸化ガス(空気、酸素)と燃料ガス供給路40を介して供給される燃料ガス(水素)とが電気化学反応することにより発電する複数の単セルを積層して一つの構成単位としたスタックを備える。燃料電池10としては、例えば、特開2018-41630号公報、特開2019-121578号公報に記載のものを用いることができる。図示しないが、燃料電池10(スタック)により発電された電力は、車両Vの駆動モータ、車両Vに搭載された各種補機、車室S内に設けられたコンセントに供給される。コンセントは、電力(交流電力)を得るため、電化製品(例えば、冷凍冷蔵庫、ウォーターサーバー、電気炊飯器、電気ポット、テレビ、パーソナルコンピュータ、充電器)のプラグが差し込まれる器具である。コンセントは、アウトレット(Outlet)又はソケット(Socket)とも呼ばれる。
【0021】
酸化ガス供給路20は、コンプレッサ(図示せず)と燃料電池10とを接続(連通)する管路である。コンプレッサ(図示せず)から供給される酸化ガス(空気、酸素)は、酸化ガス供給路20を介して燃料電池10に供給される。
【0022】
カソードオフガス排気路21は、燃料電池10と排気口22とを接続(連通)する管路である。カソードオフガス排気路21の途中には、燃料電池10側に三方弁V1が、排気口22側にV2が、それぞれ設けられている。三方弁V1、V2の開閉状態は、制御部80により制御される。燃料電池10から排出されるカソードオフガスは、三方弁V1、V2の開閉状態に応じて、カソードオフガス排気路21を介して排気口22から車両Vの外部に排気される。また、燃料電池10から排出されるカソードオフガスは、三方弁V1の開閉状態に応じて、カソードオフガス排気路21(三方弁V1)と気液分離器30とを接続(連通)する接続路23aを介して気液分離器30に供給される。
【0023】
気液分離器30は、接続路23aを介して供給されるカソードオフガスに含まれる酸化ガスと生成水とを分離する。分離された酸化ガスは、三方弁V2の開閉状態に応じて、気液分離器30とカソードオフガス排気路21(三方弁V2)とを接続(連通)する接続路23b及びカソードオフガス排気路21を介して、排気口22から車両Vの外部に排気される。一方、分離された生成水は、気液分離器30と貯水タンク60とを接続(連通)する生成水供給路24を介して貯水タンク60に供給され、当該貯水タンク60に貯水される。なお、分離された生成水の一部は、気液分離器30と酸化ガス供給路20とを接続(連通)する循環路25を介して酸化ガス供給路20に供給され、燃料電池10に供給される酸化ガスの加湿に用いられる。
【0024】
燃料ガス供給路40は、水素タンク(図示せず)と燃料電池10とを接続(連通)する管路である。水素タンクから供給される燃料ガス(水素)は、燃料ガス供給路40を介して燃料電池10に供給される。
【0025】
アノードオフガス排気路41は、燃料電池10と気液分離器50とを接続(連通)する管路である。燃料電池10から排出されるアノードオフガスは、アノードオフガス排気路41を介して気液分離器50に供給される。
【0026】
気液分離器50は、アノードオフガス排気路41を介して供給されるアノードオフガスに含まれる燃料ガスと生成水とを分離する。分離された燃料ガスは、気液分離器50と燃料ガス供給路40とを接続(連通)する循環路43を介して燃料ガス供給路40に供給され、再度、燃料電池10に供給される。一方、分離された生成水は、三方弁V1の開閉状態に応じて、気液分離器50とカソードオフガス排気路21とを接続(連通)する生成水供給路44等を介して貯水タンク60に供給され、当該貯水タンク60に貯水される。
【0027】
貯水タンク60は、燃料電池10で生成された上記生成水を貯水する。貯水タンク60には、排水弁V3が設けられている。排水弁V3の開閉状態は、制御部80により制御される。なお、生成水は、主に、車両Vが停車中に多く発生し、貯水タンク60に貯水される。例えば、1、2時間の停車で、1リットル前後の生成水が貯水タンク60に貯水される場合がある(発電量による)。
【0028】
排水路26は、貯水タンク60(排水弁V3)とカソードオフガス排気路21とを接続(連通)する管路である。貯水タンク60に貯水された生成水は、排水弁V3の開閉状態に応じて、排水路26及びカソードオフガス排気路21を介して排気口22から車両Vの外部に排水される。
【0029】
バイパス路70は、酸化ガス供給路20とカソードオフガス排気路21とを接続(連通)する管路である。バイパス路70の途中には、開閉弁V4が設けられている。開閉弁V4の開閉状態は、制御部80により制御される。コンプレッサ(図示せず)から供給される酸化ガス(空気、酸素)は、開閉弁V4の開閉状態に応じて、バイパス路70を介してカソードオフガス排気路21に供給され、さらに、三方弁V1、V2の開閉状態に応じて、カソードオフガス排気路21を介して排気口22から車両Vの外部に排気される。
【0030】
湿度センサ90は、車両Vの車室S内の湿度を検出するセンサで、制御部80に電気的に接続されている。湿度センサ90は、例えば、車両Vの車室S内に設けられている。湿度センサ90により検出された湿度は、制御部80に入力される。
【0031】
酸素濃度センサ91、車両Vの車室S内の酸素濃度を検出するセンサで、制御部80に電気的に接続されている。酸素濃度センサ91は、例えば、車両Vの車室S内に設けられている。酸素濃度センサ91により検出された酸素濃度は、制御部80に入力される。
【0032】
カソードオフガス導入路92(92a~92c)は、カソードオフガス排気路21内を介して排気されるカソードオフガスを、カソードオフガス排気路21に設けられたカソードオフガスの導入口93(93a~93c)から車両Vの車室S内に導入する管路である。カソードオフガス導入路92の途中には、開閉弁V5~V7が設けられている。開閉弁V5~V7の開閉状態は、制御部80により制御される。カソードオフガス排気路21内を介して排気されるカソードオフガスは、開閉弁V5~V7の開閉状態に応じて、導入口93(93a~93c)及びカソードオフガス導入路92(92a~92c)を介して車両Vの車室S内に導入される。
【0033】
その際、開閉弁V5~V7の開閉状態を制御することにより、車両Vの車室S内に導入されるカソードオフガスの量(0~全開まで)を制御(調整)することができる。カソードオフガス導入路92(92a~92c)及び開閉弁V5~V7が本発明のカソードオフガス導入部の一例である。なお、カソードオフガスの導入口93a~93cは、カソードオフガス排気路21において燃料電池10(スタック)からの距離が互いに異なる箇所に設けられている(
図1参照)。
【0034】
なお、
図1中、カソードオフガス導入路92(導入口93)と開閉弁V5~V7との組み合わせを3組設けているが、これに限らず、2組又は4組以上設けてもよい。
【0035】
制御部80は、プロセッサ(図示せず)を備えている。プロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。プロセッサは、1つの場合もあるし、複数の場合もある。プロセッサは、ROM等の不揮発性の記憶部(図示せず)からRAM(図示せず)に読み込まれた所定プログラムを実行することにより、
図2に示すように、カソードオフガス導入量制御部81、湿度制御部82、酸化ガス量調整部83として機能する。
図2は、制御部80の機能ブロック図である。これらの一部又は全部は、ハードウエアにより実現してもよい。
【0036】
カソードオフガス導入量制御部81は、湿度センサ90により検出された車両Vの車室S内の湿度に応じて、車両Vの車室S内に導入されるカソードオフガスの量(0~全開まで)を制御する。例えば、カソードオフガス導入量制御部81は、湿度センサ90により検出された車両Vの車室S内の湿度が予め定められた湿度(例えば、ユーザが設定した目標湿度)となるように、開閉弁V5~V7の開閉状態を制御することにより、車両Vの車室S内に導入されるカソードオフガスの量を制御する。
【0037】
湿度制御部82は、湿度センサ90により検出された車両Vの車室S内の湿度(又は温度)に応じて、車両Vの車室S内に導入されるカソードオフガスの湿度(又は温度)を制御する。例えば、湿度制御部82は、開閉弁V5~V7の開閉状態を制御し、カソードオフガスの導入口93(93a~93c)を変更することにより、車両Vの車室S内に導入されるカソードオフガスの湿度を制御(調整)する。
【0038】
カソードオフガス排気路21内においては、カソードオフガスは、燃料電池10(スタック)に近いほど温度が高く、湿度が高い。そのため、導入口93aから導入されるカソードオフガス、導入口93bから導入されるカソードオフガス、導入口93cから導入されるカソードオフガスの順に、温度が高く、湿度が高い。そのため、開閉弁V5~V7の開閉状態を制御し、カソードオフガスの導入口93(93a~93c)を変更することにより、車両Vの車室S内に導入されるカソードオフガスの湿度(及び温度)を制御(調整)することができる。
【0039】
酸化ガス量調整部83は、酸素濃度センサ91により検出された車両Vの車室S内の酸素濃度に応じて、燃料電池10に酸化ガスを供給する酸化ガス供給路20とカソードオフガス排気路21とを接続するバイパス路70に流す酸化ガス量を調整する。例えば、酸化ガス量調整部83は、開閉弁V4の開閉状態を制御することにより、バイパス路70に流す酸化ガス量を調整する。これにより、バイパス路70、カソードオフガス排気路21及びカソードオフガス導入路92(92a~92c)を介して車両Vの車室S内に導入される酸化ガス量が調整される。
【0040】
次に、上記構成の燃料電池システム1の動作例1について説明する。
【0041】
図3は、燃料電池システム1の動作例1のフローチャートである。
【0042】
以下の説明においては、前提として、酸化ガス及び燃料ガスが酸化ガス供給路20及び燃料ガス供給路40を介して燃料電池10に供給され、当該燃料電池10が発電しているものとする。その際、開閉弁V5、V6が閉じられており、燃料電池10から排出されるカソードオフガスが、カソードオフガス排気路21、導入口93c、カソードオフガス導入路92c、開閉弁V7を介して車両Vの車室S内に導入されているものとする。
【0043】
まず、湿度センサ90により、車両Vの車室S内の湿度を検出する(ステップS10)。
【0044】
次に、車両Vの車室S内に導入されるカソードオフガスの量を制御する(ステップS11)。これは、カソードオフガス導入量制御部81が行う。カソードオフガス導入量制御部81は、ステップS10で検出された車両Vの車室S内の湿度に応じて、車両Vの車室S内に導入されるカソードオフガスの量を制御する。例えば、カソードオフガス導入量制御部81は、ステップS10で検出された車両Vの車室S内の湿度が予め定められた湿度(例えば、ユーザが設定した目標湿度)となるように、開閉弁V7の開閉状態を制御することにより、車両Vの車室S内に導入されるカソードオフガスの量を制御する。
【0045】
これにより、車両Vの車室S内の湿度を適切化できる。なお、動作例1においては、カソードオフガスだけでなく、貯水タンク60に貯水されている生成水を蒸発させたものを車両Vの車室S内に導入してもよい。
【0046】
次に、上記構成の燃料電池システム1の動作例2について説明する。
【0047】
図4は、燃料電池システム1の動作例2のフローチャートである。
【0048】
以下の説明においては、前提として、酸化ガス及び燃料ガスが酸化ガス供給路20及び燃料ガス供給路40を介して燃料電池10に供給され、当該燃料電池10が発電しているものとする。その際、開閉弁V5、V6、V7が閉じられているものとする。
【0049】
まず、湿度センサ90により、車両Vの車室S内の湿度を検出する(ステップS20)。
【0050】
次に、車両Vの車室S内に導入されるカソードオフガスの湿度を制御する(ステップS21)。これは、湿度制御部82が行う。湿度制御部82は、ステップS20で検出された車両Vの車室S内の湿度に応じて、車両Vの車室S内に導入されるカソードオフガスの湿度を制御する。例えば、湿度制御部82は、予め定められた湿度(例えば、ユーザが設定した目標湿度)となるように、開閉弁V5~V7の開閉状態を制御し、カソードオフガスの導入口93(93a~93c)を変更することにより、車両Vの車室S内に導入されるカソードオフガスの湿度を制御(調整)する。
【0051】
これにより、適切な湿度を有するカソードオフガスを車両Vの車室S内に導入することができる。なお、動作例2においても、カソードオフガスだけでなく、貯水タンク60に貯水されている生成水を蒸発させたものを車両Vの車室S内に導入してもよい。
【0052】
次に、上記構成の燃料電池システム1の動作例3について説明する。
【0053】
図5は、燃料電池システム1の動作例3のフローチャートである。
【0054】
以下の説明においては、前提として、
図3の処理又は
図4の処理が実行されているものとする。
【0055】
まず、酸素濃度センサ91により、車両Vの車室S内の酸素濃度を検出する(ステップS30)。
【0056】
次に、バイパス路に流す酸化ガス量を調整する(ステップS31)。これは、酸化ガス量調整部83が行う。酸化ガス量調整部83は、ステップS30で検出された車両Vの車室S内の酸素濃度に応じて、燃料電池10に酸化ガスを供給する酸化ガス供給路20とカソードオフガス排気路21とを接続するバイパス路70に流す酸化ガス量を調整する。例えば、ステップS30で検出された酸素濃度が予め定められた酸素濃度を下回っている場合、酸化ガス量調整部83は、開閉弁V4の開閉状態を制御することにより、バイパス路70に流す酸化ガス量を増やす。これにより、バイパス路70、カソードオフガス排気路21、カソードオフガス導入路92(92a~92c)及び開閉弁V5~V7を介して車両Vの車室S内に導入される酸化ガス量(酸素濃度が高い酸化ガス量)が増加する。
【0057】
これにより、車両Vの車室S内を適切な酸素濃度にすることができる。
【0058】
次に、上記構成の燃料電池システム1の動作例4について説明する。
【0059】
図6は、燃料電池システム1の動作例4のフローチャートである。
【0060】
以下の説明においては、前提として、
図3の処理又は
図4の処理が実行されているものとする。
【0061】
まず、湿度センサ90、温度センサ95により、車両Vの車室S内の湿度、温度を検出する(ステップS40)。
【0062】
次に、カソードオフガスの導入口を変更する(ステップS41)。これは、湿度制御部82が行う。湿度制御部82は、車両Vの車室S内の湿度又は温度の条件に基づいて、カソードオフガスの導入口93(93a~93c)を変更する。例えば、湿度制御部82は、予め定められた車両Vの車室S内の湿度又は温度の条件(例えば、ユーザが設定した車両Vの車室S内の湿度又は温度の条件)を満たすカソードオフガスが車両Vの車室S内に導入されるように、開閉弁V5~V7の開閉状態を制御することにより、カソードオフガスの導入口93(93a~93c)を変更する。
【0063】
これにより、適切な湿度や温度を有するカソードオフガスを車両Vの車室S内に導入することができる。
【0064】
以上説明したように、実施の形態によれば、燃料電池10が搭載された車両Vの車室S内の湿度を制御することができる。
【0065】
これは、湿度センサ90により検出された車両Vの車室S内の湿度に応じて、車両Vの車室S内に導入されるカソードオフガスの量を制御するカソードオフガス導入量制御部81を備えていることによるものである。
【0066】
上記実施形態において、プログラムは、コンピュータに読み込まれた場合に、実施形態で説明された1又はそれ以上の機能をコンピュータに行わせるための命令群(又はソフトウェアコード)を含む。プログラムは、非一時的なコンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体に格納されてもよい。限定ではなく例として、コンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体は、random-access memory(RAM)、read-only memory(ROM)、フラッシュメモリ、solid-state drive(SSD)又はその他のメモリ技術、CD-ROM、digital versatile disc(DVD)、Blu-ray(登録商標)ディスク又はその他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ又はその他の磁気ストレージデバイスを含む。プログラムは、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体上で送信されてもよい。限定ではなく例として、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体は、電気的、光学的、音響的、またはその他の形式の伝搬信号を含む。
【0067】
上記実施形態で示した数値は全て例示であり、これと異なる適宜の数値を用いることができるのは無論である。
【0068】
上記実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎない。上記実施形態の記載によって本発明は限定的に解釈されるものではない。本発明はその精神または主要な特徴から逸脱することなく他の様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0069】
1…燃料電池システム
10…燃料電池
20…酸化ガス供給路
21…カソードオフガス排気路
22…排気口
23a、23b…接続路
24…生成水供給路
25…循環路
26…排水路
30…気液分離器
40…燃料ガス供給路
41…アノードオフガス排気路
43…循環路
44…生成水供給路
50…気液分離器
60…貯水タンク
70…バイパス路
80…制御部
81…カソードオフガス導入量制御部
82…湿度制御部
83…酸化ガス量調整部
90…湿度センサ
91…酸素濃度センサ
92(92a~92c)…カソードオフガス導入路
93(93a~93c)…導入口
S…車室
V…車両
V1、V2…三方弁
V3…排水弁
V4-V7…開閉弁