(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】運行管理方法、運行管理装置および運行管理システム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/127 20060101AFI20241001BHJP
G06Q 50/47 20240101ALI20241001BHJP
【FI】
G08G1/127 A
G06Q50/47
(21)【出願番号】P 2021112981
(22)【出願日】2021-07-07
【審査請求日】2023-04-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100187078
【氏名又は名称】甲原 秀俊
(74)【代理人】
【識別番号】100147692
【氏名又は名称】下地 健一
(72)【発明者】
【氏名】長田 祐
(72)【発明者】
【氏名】東出 宇史
【審査官】上野 博史
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-074169(JP,A)
【文献】特開2019-046294(JP,A)
【文献】特開2003-308597(JP,A)
【文献】特開2015-026311(JP,A)
【文献】特開2020-052888(JP,A)
【文献】特開2004-227262(JP,A)
【文献】特開2018-169985(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/127
G06Q 50/47
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運行管理装置が実行する旅客輸送用の複数の車両の運行管理方法であって、
所定のイベントの発生を検出すると、第1のモードでそれぞれ予め定められた第1のルート上を走行している前記複数の車両のうち1台の車両を選択すること、
前記第1のルートとは異なる第2のルートを決定すること、
及び
選択された前記車両を第2のモードに切り替え、選択された前記車両が走行するルートを前記第1のルートから前記第2のルートに切り替えること
を含み、
前記第1のモードは、予め固定的に定められた前記第1のルートを走行する運行状態であり、
前記第2のモードは、利用者の希望する乗車位置及び降車位置に応じて決定される前記第2のルートを走行する運行状態であ
り、
前記車両を選択した後、選択された前記車両に乗車中のそれぞれの利用者が降車を予定する停車場所の情報を取得し、前記第1のルート上を走行してそれぞれの前記利用者をそれぞれの前記停車場所で降車させた後、運行状態を前記第1のモードから前記第2のモードに切り替え、選択された前記車両が走行するルートを前記第2のルートに切り替える、
運行管理方法。
【請求項2】
前記所定のイベントは、現在の時刻が所定の時刻になることである、請求項1に記載の運行管理方法。
【請求項3】
前記所定のイベントは、前記第1のルートを走行する前記車両に乗車する利用者の予想人数の減少を示す情報の取得である、請求項1に記載の運行管理方法。
【請求項4】
前記予想人数の減少を示す情報は、携帯電話の位置情報、監視カメラ情報、気象情報、および、SNS(Social Network Service)の投稿情報の少なくなくとも一つ以上の情報に基づいて判断された情報である、請求項3に記載の運行管理方法。
【請求項5】
乗車位置と降車位置との間の輸送を希望する配車の要望を取得し、該要望に基づいて前記第2のルートを決定する、請求項1から
4の何れか一項に記載の運行管理方法。
【請求項6】
前記第2のルートは、時間とともに更新される動的なルートである、請求項1から
4の何れか一項に記載の運行管理方法。
【請求項7】
前記選択された前記車両、登録された利用者の携帯情報端末、および、前記第1のルート上のいずれかの場所に配置された情報表示装置の少なくとも何れか1つ以上に対して、選択された前記車両が走行するルートを前記第1のルートから前記第2のルートに切り替えることを通知する、請求項1から
6の何れか一項に記載の運行管理方法。
【請求項8】
旅客輸送用の複数の車両の運行管理装置であって、
所定のイベントの発生を検出すると、第1のモードでそれぞれ予め定められた第1のルート上を走行している前記複数の車両のうち1台の車両を選択し、前記第1のルートとは異なる第2のルートを決定し、選択された前記車両を第2のモードに切り替え、選択された前記車両が走行するルートを前記第1のルートから前記第2のルートに切り替えるように構成された制御部を備え、
前記第1のモードは、予め固定的に定められた前記第1のルートを走行する運行状態であり、
前記第2のモードは、利用者の希望する乗車位置及び降車位置に応じて決定される前記第2のルートを走行する運行状態であ
り、
前記制御部は、前記車両を選択した後、選択された前記車両に乗車中のそれぞれの利用者が降車を予定する停車場所の情報を取得し、前記第1のルート上を走行してそれぞれの前記利用者をそれぞれの前記停車場所で降車させた後、前記車両の前記運行状態を前記第1のモードから前記第2のモードに切り替え、選択された前記車両が走行するルートを前記第2のルートに切り替える、
運行管理装置。
【請求項9】
前記所定のイベントは、現在の時刻が所定の時刻になることである、請求項
8に記載の運行管理装置。
【請求項10】
前記所定のイベントは、前記第1のルートを走行する前記車両に乗車する利用者の予想人数の減少を示す情報の取得である、請求項
8に記載の運行管理装置。
【請求項11】
前記予想人数の減少を示す情報は、携帯電話の位置情報、監視カメラ情報、気象情報、および、SNS(Social Network Service)の投稿情報の少なくなくとも一つ以上の情報に基づいて判断された情報である、請求項
10に記載の運行管理装置。
【請求項12】
旅客輸送用の複数の車両と、
前記複数の車両の運行を管理する運行管理装置であって、所定のイベントの発生を検出すると、第1のモードでそれぞれ予め定められた第1のルート上を走行している前記旅客輸送用の複数の車両のうち1台の車両を選択し、前記第1のルートとは異なる第2のルートを決定し、選択された前記車両を第2のモードに切り替え、選択された前記車両が走行するルートを前記第1のルートから前記第2のルートに切り替えるように構成された制御部を備える運行管理装置と
を備え、
前記第1のモードは、予め固定的に定められた前記第1のルートを走行する運行状態であり、
前記第2のモードは、利用者の希望する乗車位置及び降車位置に応じて決定される前記第2のルートを走行する運行状態であ
り、
前記制御部は、前記車両を選択した後、選択された前記車両に乗車中のそれぞれの利用者が降車を予定する停車場所の情報を取得し、前記第1のルート上を走行してそれぞれの前記利用者をそれぞれの前記停車場所で降車させた後、前記運行状態を前記第1のモードから前記第2のモードに切り替え、選択された前記車両が走行するルートを前記第2のルートに切り替える、
運行管理システム。
【請求項13】
前記所定のイベントは、現在の時刻が所定の時刻になることである、請求項
12に記載の運行管理システム。
【請求項14】
前記所定のイベントは、前記第1のルートを走行する前記車両に乗車する利用者の予想人数の減少を示す情報の取得である、請求項
12に記載の運行管理システム。
【請求項15】
前記予想人数の減少を示す情報は、携帯電話の位置情報、監視カメラ情報、気象情報、および、SNS(Social Network Service)の投稿情報の少なくなくとも一つ以上の情報に基づいて判断された情報である、請求項
14に記載の運行管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運行管理方法、運行管理装置および運行管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
利用者を輸送する複数の車両の運行計画を立案および変更するシステムが提案されている。例えば、不測の事態により自動運転可能な複数台の電動車両の二次電池の最大出力値および走行経路を走行するために必要とされる要求出力値が変動した場合に、運行計画を再構築する車両運行システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術は、車両を運行できることの確実性を向上している。一方、経済的および商業的な観点から、利用者を輸送する車両は、利用者を効率よく輸送できることが望まれる。例えば、利用者が少ないときに、多くの車両を運行させると車両の利用効率が低下する。一方、多くの利用者が、予め決められたルート以外のルートで車両を利用したい場合がある。
【0005】
かかる事情に鑑みてなされた本開示の目的は、車両の利用効率を改善することができる運行管理方法、運行管理装置および運行管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態に係る運行管理方法は、運行管理装置が実行する旅客輸送用の複数の車両の運行管理方法である。前記運行管理方法は、所定のイベントの発生を検出すると、それぞれ予め定められた第1のルート上を走行している前記複数の車両のうち1台の車両を選択すること、前記第1のルートとは異なる第2のルートを決定すること、および、選択された前記車両が走行するルートを前記第1のルートから前記第2のルートに切り替えることを含む。
【0007】
本開示の一実施形態に係る運行管理装置は、旅客輸送用の複数の車両の運行管理装置である。前記運行管理装置は、所定のイベントの発生を検出すると、それぞれ予め定められた第1のルート上を走行している前記旅客輸送用の複数の車両のうち1台の車両を選択し、前記第1のルートとは異なる第2のルートを決定し、選択された前記車両が走行するルートを前記第1のルートから前記第2のルートに切り替えるように構成された制御部を備える。
【0008】
本開示の一実施形態に係る運行管理システムは、旅客輸送用の複数の車両と、運行管理装置とを含む。前記運行管理装置は、前記複数の車両の運行を管理する運行管理装置である。前記運行管理装置は、所定のイベントの発生を検出すると、それぞれ予め定められた第1のルート上を走行している前記複数の車両のうち1台の車両を選択し、前記第1のルートとは異なる第2のルートを決定し、選択された前記車両が走行するルートを前記第1のルートから前記第2のルートに切り替えるように構成された制御部を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、車両の利用効率を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の一実施形態に係る運行管理システムの概略構成を示す図である。
【
図2】
図1の運行管理装置の概略構成を示すブロック図である。
【
図3】
図1の車両の概略構成を示すブロック図である。
【
図4】車両の走行する第1のルートの一例を説明する図である。
【
図5】第1のルートを走行する各車両の走行スケジュールの一例を示す図である。
【
図6】車両が走行するルートの切り替え方法の第1例を説明する図である。
【
図7】車両が走行するルートの切り替え方法の第2例を説明する図である。
【
図8】車両が走行するルートの切り替え方法の第3例を説明する図である。
【
図9】車両の走行するルートの切り替え方法の第4例を説明する図である。
【
図10】イベント発生後に組み替えられた各車両の走行スケジュールの一例を示す図である。
【
図11】運行管理装置による運行管理の手順の一例を示すフロー図である。
【
図12】
図11のイベント発生の検出処理の一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0012】
(運行管理システム1の全体構成)
図1は、本開示の一実施形態に係る運行管理システム1の概略構成を示す図である。運行管理システム1は、運行管理装置10と、複数の車両20とを含む。運行管理装置10と、複数の車両20とは、有線または無線の通信手段によりネットワーク30に接続されており、互いに通信可能に構成される。運行管理装置10は車両20の運行を管理するコンピュータである。車両20は、例えば、5人から50人程度の複数の乗客が乗車可能な車両である。車両20はバスであってよい。
【0013】
運行管理システム1は、複数の車両20の少なくとも一部を用いて、予め固定的に定められた第1のルートを走行させて予め設定された停車場所50で複数の利用者を乗降させる第1のサービスを提供することができる。路線を定めて定期運航する一般的な乗り合いバスのサービスは、第1のサービスに該当する。第1のサービスを提供する車両20の運行状態を第1のモードとよぶ。また、運行管理システム1は、複数の車両20の少なくとも一部を用いて、予め登録された利用者に対して、配車の要望に応じて利用者の希望する乗車位置から降車位置まで利用者を輸送する、第2のサービスを提供することができる。第2のサービスは、オンデマンド旅客輸送サービスと言い換えることができる。第2のサービス中、車両20は同時に複数の利用者を輸送することができる。第2のサービスを提供する車両20の運行状態を第2のモードとよぶ。運行管理装置10および車両20の構成については後述する。
【0014】
運行管理システム1は、外部情報源40、第1のルート上の停車場所50に配置された情報表示装置51および登録された利用者の携帯情報端末60と、一つ以上のネットワーク30を介して通信可能に接続されてよい。外部情報源40、情報表示装置51および携帯情報端末60は、運行管理装置10との間で、共通のまたは個別の、ネットワーク30を介して、情報を送信および受信することができる。外部情報源40および情報表示装置51と運行管理装置10との間は、直接通信回線で1対1に接続されてもよい。
【0015】
ネットワーク30は、インターネット等の公衆ネットワーク、および、VPN(Virtual Private Network)等の専用ネットワークを含む。ネットワーク30は、LAN(Local Area Network)、WAN(wide area network)、および、MAN(metropolitan area network)を含む複数のネットワークが相互に接続されてよい。ネットワーク30は、有線および無線のネットワークを含んでよい。
【0016】
外部情報源40は、一つ以上の外部の情報提供サービスの提供者が運用するコンピュータである。外部の情報提供サービスには、例えば、携帯電話の所在地から人の分布を分析して提供するサービス、街中の映像および映像から分析される混雑度等を提供するサービス、天候情報を提供するサービス、および、SNS(Social Network Service)に投稿される情報から有益な情報をマイニングして提供するサービス等が含まれうる。
【0017】
停車場所50は、車両20がバスの場合バスの停留所である。情報表示装置51は、停車場所50に配置され、第1のルートを走行する車両20の運行状況などの情報を表示する。情報表示装置51は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ、無機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ(PDP:Plasma Display Panel)等の公知の表示装置を使用することができる。
【0018】
携帯情報端末60は、携帯電話機、スマートフォン、または、タブレット端末等の利用者が携帯可能な小型の情報処理装置である。携帯情報端末60は、運行管理装置10と通信し、第1のルートを走行する車両20の運行状況の情報を取得すること、および、オンデマンド旅客輸送サービスの利用の要望を送信することなどができる。携帯情報端末60は、運行管理システム1が提供するサービスに対応したアプリケーションを搭載することができる。
【0019】
(運行管理装置の構成)
運行管理装置10は、パソコン、ワークステーション、および、汎用コンピュータ等のコンピュータである。運行管理装置10は、複数の車両20の現在位置を取得するとともに、走行するルートを制御する。運行管理装置10は、車両20に対して走行するルートを送信することにより、車両20の運行を管理する。運行管理装置10は、車両20を第1のモードと第2のモードとの間で切り替えることができる。運行管理装置10は、
図2に示すように、通信部11、制御部12、および、記憶部13を備える。
【0020】
通信部11は、通信モジュールを含み、ネットワーク30を介して、車両20、外部情報源40、情報表示装置51、および、携帯情報端末60と情報の送受信が可能に構成される。通信部11は、情報の送信、受信に係るプロトコル処理、送信信号の変調および受信信号の復調等の処理を行うことができる。
【0021】
制御部12は、運行管理装置10が備える各構成部を制御する。制御部12は、通信部11を介して車両20と種々の情報を送信および受信することができる。制御部12は、第1のサービスを提供する第1のモードの車両20の運行と、第2のサービスを提供する第2のモードの車両20の運行とを、同時に管理することができる。制御部12は、各車両20の走行するルートおよび運行スケジュールを決定し、決定した走行ルートと運行スケジュールを各車両20に送信することができる。制御部12は、1つ以上のプロセッサを含んでよい。制御部12は、種々のプロセッサを含みうる。プロセッサには、特定のプログラムを読み込ませることにより、プログラムされた機能を実行する汎用プロセッサおよび、特定の処理に特化した専用プロセッサが含まれる。
【0022】
記憶部13は、制御部12が実行するプログラム、制御部12が実行する処理に必要な情報、および、制御部12が実行した結果得られた情報を記憶する。記憶部13は、半導体メモリ、磁気記憶装置、および、光記憶装置の何れか1つ以上を含む。半導体メモリは、ROM(read only memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ、等を含みうる。RAMにはDRAM(Dynamic Random Access Memory)とSRAM(Static Random Access Memory)とが含まれうる。磁気記憶装置は、ハードディスク等が含まれる。
【0023】
(車両の構成)
本実施形態における車両20は、運行管理装置10により設定されたルートを、運行管理装置10により設定された走行スケジュールに従って走行する自動運転可能な車両である。車両20の自動運転は、例えばSAE(Society of Automotive Engineers)において定義されるレベル1からレベル5までのいずれかのレベルで実施されてよい。自動運転は、例示した定義に限られず、他の定義に基づいて実施されてもよい。車両20としては、電力を用いて走行する電気自動車、および、ガソリンを燃料として走行するガソリン自動車を使用することができる。本実施形態の以下の説明では、車両20は電気自動車であるものとして説明する。
【0024】
車両20は、例えば旅客輸送用のバス等の形態の車両である。第1のサービスを提供する第1のモードにおいて、車両20は、予め定められた第1のルートを走行し、第1のルート上に設けられた、停車場所50で利用者を乗車及び降車させる。車両20は、運行スケジュールに従い、それぞれ所定の経路を1回以上走行した後、バッテリの充電等のために順次他の車両20と交代してよい。
【0025】
第2のサービスを提供する第2のモードにおいて、車両20は、第1のルートとは異なる第2のルートを走行してよい。車両20は、第2のサービスの利用者から利用者の希望する乗車位置から降車位置まで移動する配車の要望を受けて、運行管理装置10が設定したルートを第2のルートとして走行することができる。この場合、運行管理装置10は、利用者からの配車の要望を受信し、順次車両20が走行するルートを更新してよい。すなわち、第2のルートは、時間とともに更新される動的なルートであってよい。運行管理装置10は、これとは異なる方法で車両20を走行させてもよい。例えば、車両20は、多くの人が集まる場所の輸送ニーズに対応するために、一時的に特定の2地点間を往復してよい。特定の2地点は、例えば、競技場またはコンサート会場等のイベント会場と鉄道等の駅である。この場合、運行管理装置10は、特定の2地点間を結ぶルートを第2のルートとして設定する。第2のルートは、携帯電話の位置情報、監視カメラ情報、気象情報、および、SNSの投稿情報の少なくなくとも一つ以上の情報を含む情報に基づいて決定された旅客輸送のニーズが高い場所を通るように決定されてよい。
【0026】
図3に例示すように、車両20は、車両通信部21と、車両制御部22と、車両記憶部23と、車両20の各構成部を制御する複数のECU24(Electronic Control Unit)と、位置検出部25と、報知部26と、バッテリ27とを含む。車両20のそれぞれの構成部は、例えばCAN(Controller Area Network)等の車載ネットワーク、または、専用線を介して、互いに通信可能に接続されている。
【0027】
車両通信部21は、ネットワーク30を介して、運行管理装置10と情報を送受信可能に構成される。車両通信部21は、例えば車載通信機であってよい。車両通信部21は、ネットワーク30に接続する通信モジュールを含んでよい。通信モジュールは、例えば4G(4th Generation)及び5G(5th Generation)等の移動体通信規格に対応する通信モジュールを含んでよい。
【0028】
車両制御部22は、車両20が備える各構成部を制御する。車両制御部22は、1つ以上のプロセッサを含んでよい。車両制御部22は、制御部12と同様に種々のプロセッサを含みうる。車両制御部22は、ECU24を制御して、運行管理装置10から取得したルートに従って車両20を走行させる。
【0029】
車両記憶部23は、車両制御部22が実行するプログラム及び車両制御部22が実行する処理に必要な情報を記憶することができる。車両記憶部23は、記憶部13と同様に、半導体メモリ、磁気記憶装置、及び、光記憶装置等の何れか1つ以上を含む。車両記憶部23は、車両20が走行するルートおよび地図情報を記憶することができる。
【0030】
ECU24は、車両20内の各構成部を制御する電子制御装置(ECU:Electronic Control Unit)である。車両20内の構成部には、エンジン、モーター、ブレーキ、トランスミッション、電子キー、パワーウィンドウ、エアコン、ランプ、ミラー、カーオーディオ、ナビゲーションシステム等を含むが、これらに限られない。各ECU24は、CAN(Controller Area Network)などのネットワークを介して相互に接続される。
【0031】
位置検出部25は、車両20の位置情報を取得する。位置検出部25は、全地球測位システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)に対応する受信機を含んでよい。全地球測位システムに対応する受信機は、例えばGPS(Global Positioning System)受信機を含んでよい。本実施形態において、車両20は、位置検出部25を用いて、車両20自身の位置情報を取得できるものとする。車両20は、車両20自身の位置情報を、車両通信部21を介して運行管理装置10に送信してよい。
【0032】
報知部26は、車両20の客室内部に設けられた表示装置およびスピーカの少なくとも何れかを含む。報知部26は、車両20に乗車中の利用者に対して情報を報知するために使用される。例えば、報知部26は、車両20の走行するルートが第1のルートから第2のルートに変更されることを、画像および音声の少なくとも何れかにより報知するために用いられる。表示装置は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、無機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ等の公知の表示装置を利用することができる。スピーカは公知の一般的なスピーカを用いることができる。
【0033】
バッテリ27は、繰り返し充放電可能な二次電池である。バッテリ27は、車両20の各構成部に電力を供給する。バッテリ27は、任意の二次電池を使用する事ができる。バッテリ27は、例えば、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、ナトリウムイオン電池、マグネシウム空気電池、リチウム空気電池、又は、亜鉛空気電池とすることができる。
【0034】
(第1のルートの運行)
図4を用いて、第1モードの複数の車両20の第1のルートの運行の一例について説明する。
図4において、複数の車両20は、車両20A、20B、20C、20D、20Eおよび20Fを含む。複数の車両20は、それぞれ、運行スケジュールに従って第1のルートを走行する。第1のルートは、環状のルートを循環するルート、及び、直線状のルートを往復するルート等を含む。
図4では、第1のルートは環状のルートとする。第1のルート上には、利用者の乗降のため、停車場所50として複数の停車場所50A、50B、50C、50D、50Eおよび50Fが設けられている。車両20は、停車場所50Aから50Fを順次通るように走行する。それぞれの車両20は、運行スケジュールに従って第1のルートを所定回数周回(直線状の経路の場合、所定回数往復)した後、車庫70に移動する。車庫70に入ると、車両20に対して、決められた整備作業が行われるとともに、充電装置71によりバッテリ27の充電が行われる。
【0035】
一例として、
図5に概略を示すように、車両20は、各時点で3台の車両20が第1のルートを走行するように配車される。
図4の例によれば、まず、車両20Aが第1のルートに投入され、第1のルートを1周走行した後、車両20Bが第1のルートに投入される。車両20Bは、車両20Aの後ろを、第1のルート一周分の約3分の1に相当する距離だけ離れて走行するように投入されてよい。車両20Bが第1のルートに投入され、第1のルートを1周走行した後、車両20Cがさらに第1のルートに投入される。車両20Cは、車両20Bの後ろを、第1のルート一周分の約3分の1に相当する距離だけ離れて走行するように投入されてよい。
図5の例では、車両20A、車両20Bおよび車両20Cは、それぞれ、5周ずつ第1のルートを周回する。
【0036】
車両20Aは、第1のルートの5周目の周回のとき、5周目の周回が終了する停車場所50Aを終点とし車両20Aの内部及び外部に表示する。車両20Aは、停車場所50Aに到着すると、利用者を全て降車させ第1のルートを離脱して車庫70に移動する。車両20Aが第1のルートを離脱するのと同じタイミングで、車庫70に待機していた車両20Dが、第1のルートに投入され、停車場所50Aを起点として第1のルートを周回し始める。車両20Bおよび車両20Cも、車両20Aと同様に、第1のルートの5周目の周回の後、第1のルートを離脱して車庫70に移動する。車両20B及び車両20Cが第1のルートを離脱するのと同じタイミングで、それぞれ、車両20E及び車両20Fが第1のルートに投入される。
【0037】
各車両20は、車庫70に待機中に、あらかじめ決められたスケジュールに従って、バッテリ27の充電を行う。充電を終えた車両20は、後のあらかじめ決められたタイミングで再び第1のルートに投入され、利用者を輸送する。例えば、車両20Aは、走行開始から11周目に当たるタイミングで再び第1のルートに投入される。
【0038】
このようにすることによって、
図4および
図5で図示した例では、6台の車両20A-20Fにより、第1のルート上で常時3台の車両20が利用者を輸送することができる。
【0039】
(第2のルート設定時の車両の運行)
第1のルートによる旅客輸送に対する需要は、時刻、天候、交通状況およびその他の条件により変化することがある。運行管理装置10は、第1のルートの旅客輸送の需要の減少を示すイベントを検出すると、第1のルートを走行する第1のモードの車両20の一部を、第2のモードに切り替えて、第1のルートを走行する車両20の数を減らすことができる。
【0040】
旅客輸送の需要の減少を示す情報は、時刻情報を含む。例えば、一日の中で通勤および通学の時間帯には、旅客輸送の需要が高く、それ以外の時間帯では旅客輸送の需要は低くなることがある。したがって、運行管理装置10は、内蔵する時計により、現在の時刻が通勤および通学による利用が減少する所定の時刻、例えば、午前10時および午後8時となったことを、イベントとして検出してよい。
【0041】
また、運行管理装置10は、外部情報源40から第1のルートを走行する車両20に乗車する利用者の予想人数の減少を示す情報を取得したことを、イベントとして検出してよい。予想人数の減少を示す情報は、携帯電話の位置情報、監視カメラ情報、気象情報、および、SNSの投稿情報の少なくなくとも一つ以上の情報に基づいて判断された情報であってよい。
【0042】
携帯電話の位置情報は、携帯電話を所有する人の地域的な分布を示す。第1のルート上に位置する各停車場所50付近の人の密度が少ない場合、旅客輸送サービスの利用者数も少ないと推定される。監視カメラ情報は、街中の人通りを映像で取得することができる。監視カメラ情報からも、各地点の人の混雑度の情報を取得することができる。気象情報は、雨天および晴天などの情報を含む。雨天の場合、屋外施設などの天候により人出が左右されるタイプの施設の周辺では、旅客輸送サービスの利用者数が減少する場合がある。SNS投稿情報は、SNSに投稿された情報から抽出される情報である。SNSに投稿されるテキストの情報および写真に含まれる位置情報等から、特定の地域での混雑度を推定することができる。
【0043】
制御部12は、所定のイベントの発生を検出すると、第1のルート上を第1のモードで走行している複数の車両20のうち1台の車両20を選択する。制御部12は、第1のルートとは異なる第2のルートを決定する。制御部12は、この第2のルートを選択された車両20に対して送信することにより、選択された車両20の走行するルートを第1のルートから第2のルートに切り替えるとともに、選択された車両20を第2のモードに切り替える。
【0044】
以下において、
図6から
図9を参照して、複数の車両20から第2のルートに切り替える車両20として車両20Bが選択されたものとして、ルートの切り替え方法を説明する。前提条件として、運行管理装置10が第2のルートを決定したとき、車両20Bは、停車場所50Bと停車場所50Cとの間を走行していたとする。また、車両20Bには、停車場所50Cおよび停車場所50Fで降車する予定の利用者が乗車しているものとする。さらに、停車場所50Eは多くの人が集まる駅の周辺等の場所に位置するものとする。運行管理装置10が第2のルート決定した後の車両20Bのルートの切り替え方法は、複数のバリエーションがある。
【0045】
(ルート切り替え方法の第1例)
ルートの切り替え方法の第1例を、
図6を参照して説明する。制御部12は、車両20Bを選択した後、選択された車両20Bに乗車中のそれぞれの利用者が降車を予定する停車場所50の情報を取得する。利用者は、車両20Bに乗車するときに、車両20B内の端末に対して停車場所50を登録してよい。あるいは、利用者は、携帯情報端末60から乗車中の車両20Bの停車場所50を登録してよい。運行管理装置10は、車両20Bを、第1のルート上を走行させ、それぞれの利用者をそれぞれの停車場所50で降車させた後、選択された車両20Bが走行するルートを第2のルートに切り替える。例えば、車両20Bには、停車場所50Cと停車場所50Fで降車する利用者がいるので、制御部12は、車両20Bを停車場所50Fまで第1のルート上を走行させ、停車場所50Fで利用者が降車してから、走行するルートを第2のルートに切り替える。
【0046】
(ルート切り替え方法の第2例)
ルートの切り替え方法の第2例を、
図7を参照して説明する。この例では、停車場所50Eが、車両20Bのルートを第1のルートから第2のルートへ切り替える特定の停車場所50となっている。特定の停車場所50は、普段多くの利用者が乗り降りする停車場所50、および、他の交通機関と乗り換え可能な停車場所50等を含む。停車場所50Eの周辺では、オンデマンド方式による第2のサービスへの需要が高いと考えらえれる。
【0047】
運行管理装置10から、第2のルートへの切り替えの指示を受信した車両20Bの車両制御部22は、運行管理装置10からの指示により、車両20Bを停車場所50Eまで走行させる。車両制御部22は、車両20Bを停車場所50Eまで走行させる間、報知部26を用いて乗客に対して停車場所50Eで第1のルートによる運行を終了することを通知する。車両20は、停車場所50Eの先に位置する停車場所50Fで降車予定であった利用者に対して、後続の車両20への乗り換えを案内する。車両20は、停車場所50Fで降車予定であった利用者の携帯情報端末60に対して無料の乗り換え券を送信してよい。
【0048】
(ルート切り替え方法の第3例)
ルートの切り替え方法の第3例を、
図8を参照して説明する。制御部12は、車両20Bを選択した後、選択された車両20Bに乗車中のそれぞれの利用者が降車を予定する停車場所50の情報を取得する。停車場所50の情報の取得方法は、第1例と同様である。制御部12は、第2のルートを、それぞれの利用者をそれぞれの利用者が降車を予定する停車場所50で降車させた後、オンデマンド方式による第2のサービスを提供するルートに決定する。
【0049】
図8の例では、車両20Bは、停車場所50Cおよび停車場所50Fでそれぞれ利用者を降車させた後、オンデマンド方式による第2のサービスのニーズが高いことが見込まれる停車場所50Eに向かうルートを通る。この場合、停車場所50Cおよび停車場所50Fへ向かうルートは、第1のルートを通らず、より距離の短いルートまたは短時間で移動可能なルートを通ってよい。
【0050】
(ルート切り替え方法の第4例)
ルートの切り替え方法の第4例を、
図9を参照して説明する。制御部12は、車両20Bを選択した後、選択された車両20Bに乗車中のそれぞれの利用者が降車を予定する停車場所50の情報を取得する。停車場所50の取得方法は、第1例と同様である。制御部12は、車両20Bを選択した後、すぐに車両20Bに第2のサービスであるオンデマンド旅客輸送サービスを開始させる。制御部12は、第1のルート走行中に車両20Bに乗車していた利用者の降車する停車場所50Cおよび50Fを通るように、第2のルートを決定する。
【0051】
図9の例では、車両20Bは、停車場所50Cで利用者を降車させた後、第2のサービスの利用者がいる停車場所50Eへ移動する。制御部12は、停車場所50Eで車両20Bに乗車する第2のサービスの利用者として、停車場所50F方向に移動を希望する利用者を優先的に割り当てる。これにより、制御部12は、車両20Bが通る第2のルートとして、停車場所50Fを通るルートを設定する。したがって、第1のルート走行中に車両20Bに乗車していた利用者は、停車場所50Eを通過後停車場所50Fで降車することができる。
【0052】
車両20Bが、第1のルートから第2のルートに切り替えられると、第1のルートを走行する車両20は、車両20Aと車両20Cとの2台になる。すなわち、第1のルートを利用する利用者数の低下に応じて、第1のルートを走行する車両20の数が削減される。これにより、車両20Aおよび車両20Bの利用効率が向上し、且つ、車両20Bは第2のサービスで有効に利用される。したがって、車両20全体の利用効率が向上する。
【0053】
運行管理装置10は、第1のルートの利用者数の変化がない限り、車両20Bの第2のモードへの切り替え後、第1のルートを常時2台の車両20で走行させることができる。
図10は、車両20Bのルート切替前後の第1のルートを走行するそれぞれの車両20の運行スケジュールを示す。
図10は
図5と類似するが、車両20Bが第3周の途中で第1のルートから離脱している。
図10中において、車両20Bが第1のルートから離脱して運行スケジュールから抜けた部分が、破線の矢印により示されている。車両20Bの第1のルートからの離脱後、車両20Aの5周目の周回が終了したとき、車両20Aは第1のルートを離脱し、代わりに車両20Dが第1のルートに投入される。車両20Cの5周目の周回が終了したとき、車両20Cは第1のルートを離脱し、代わりに車両20Eが第1のルートに投入される。さらに、車両20Dの5周目の周回が終了したとき、車両20Dは第1のルートを離脱し、代わりに車両20Fが第1のルートに投入される。このようにして、常時2台の車両20が第1のルート上を周回することができる。
【0054】
(制御部による車両の運行管理)
図11および
図12を参照して、運行管理装置10の制御部12が実行する運行管理方法を説明する。
【0055】
制御部12は、第1のモードで走行し第1のサービスを提供する複数の車両20の第1のルートでの運行を管理する(ステップS101)。運行管理装置10は、路線が決まった車両20のみでなく、第2のサービスであるオンデマンド方式での旅客輸送サービスを同時並行して提供していてもよい。したがって、制御部12は、第1のモードで走行する車両20Aから車両20F以外に、1台以上の第2のモードの車両20を管理していてよい。
【0056】
制御部12は、イベントの発生を検出する(ステップS102)。制御部12がイベントを検出する手順の例を、
図12を参照して説明する。
【0057】
制御部12は、過去の車両20の利用者の乗車実績等から、時刻による利用者数の変化の情報を有する。時刻による利用者数の変化の情報は、記憶部13に記憶されてよい。制御部12は、現在の時刻が、利用者数が減少する所定の時刻となったか否かを判定する(ステップS201)。ステップS201で所定の時刻となった場合(ステップS201:Yes)、制御部12はステップS204の処理に進む。ステップS201で所定の時刻になっていない場合(ステップS201:No)、制御部12は、ステップS202に進む。
【0058】
ステップS202において、制御部12は外部情報源40から外部情報を取得したか否かを判定する。外部情報は、携帯電話の位置情報、監視カメラ情報、気象情報、および、SNSの投稿情報の何れか1つ以上を含んでよい。外部情報は、これらの情報を加工して得られる情報を含んでよい。ステップS202において外部情報を取得した場合(ステップS202:Yes)、制御部12はステップS203の処理に進む。ステップS202において外部情報を取得しなかった場合(ステップS202:No)、制御部12は、
図11のフローチャートに戻る。
【0059】
ステップS203において、制御部12は取得した外部情報に基づいて、第1のルートの旅客輸送サービスの利用者の減少が予測されるか判断する。制御部12は、第1のルート上の停車場所50周辺の人出が少ない場合、利用者が減少すると予測することができる。ステップS203において、利用者の減少が予測される場合(ステップS203:Yes)、制御部12はステップS204の処理に進む。ステップS203において、利用者の減少が予測されない場合(ステップS203:No)、制御部12は、
図11のフローチャートに戻る。
【0060】
ステップS204において、制御部12は、イベントの発生を認識する。制御部12は、イベントの発生を認識した後、
図11のフローチャートに戻る。
【0061】
図11のフローチャートに戻り、制御部12は、イベントの発生および発生したイベントの内容に基づいて、何れかの車両20の運行状態を変更するか否か判断する(ステップS103)。制御部12は、第1のルートを走行する第1のモードの車両20の数が所定数より多く、且つ、ステップS102で利用者の減少が予測されるイベントの発生を検知した場合、何れかの車両20の運行状態を変更してよい。ステップS103において、何れかの車両20の運行状態を変更することを決定した場合(ステップS103:Yes)、制御部12はステップS104の処理に進む。ステップS103において、何れの車両20の運行状態も変更しないことを決定した場合(ステップS103:No)、制御部12は、ステップS107の処理に進む。
【0062】
ステップS104において、制御部12は、第1のモードで走行する複数の車両20から、運行状態を第2のモードに切り替え走行するルートを第2のルートに変更する1台の車両を選択する。制御部12は、第1のルートを走行中の複数の車両20の中から、乗車中の利用者数、現在位置、バッテリの残量等を考慮して、第2のモードに切り替える車両20を決定してよい。例えば、制御部12は、乗車中の利用者数の最も少ない車両20を選択してよい。例えば、制御部12は、第2のサービスの利用者が見込まれる場所に近い停車場所50、または、鉄道等の駅に近い停車場所50に向かって走行している車両20を選択してよい。また、例えば、制御部12は、バッテリ残量が最も多い車両20を選択してよい。
【0063】
ステップS105において、制御部12は、ステップS104で選択した車両20を走行させる、第1のルートとは異なる第2のルートを決定する。選択された車両20が第2のサービスを提供する場合、制御部12は、一人以上の第2のサービスの利用者からの配車の要望に基づいて、選択された車両20が走行するルートを決定してよい。
【0064】
ステップS106において、制御部12は通信部11を介してステップS104で選択された車両20に対して、ステップS105で決定した第2のルートを送信し、選択された車両20が走行するルートを第2のルートに切り替える(ステップS106)。走行するルートの切り替えに当たっては、
図6から
図9を用いて説明した何れかの方法を含む、複数のルートの切り替え方法から選択された切替方法が用いられる。これにより、選択された車両20は、第1のルートを離脱して第2のルートに従って走行する。選択された車両20は、以降において制御部12からの指示により、第2のサービスを提供してよい。
【0065】
ステップS106において、選択された車両20の車両制御部22は、車両通信部21を介して第2のルートを受信し、第2のルートを車両記憶部23に記憶する。車両制御部22は、第2のルートに従ってECU24を制御して車両20を走行させる。車両制御部22は、選択された車両20の走行するルートが切り替えられたとき、車両20内の利用者に対して、報知部26を用いてルートが変更になったことを通知してよい。また、運行管理装置10の制御部12は、停車場所50に配置された情報表示装置51、および、登録された利用者の携帯情報端末60を介して、車両20に乗車しようとしている利用者に対してルートが切り替えられたことを通知してよい。
【0066】
ステップS103で運行状態を変更しない場合(ステップS103:No)、および、ステップS107の後、制御部12は、処理が中止されない限り(ステップS107:No)、ステップS101に戻り、以降の処理を繰り返す。運行管理装置10に対して外部から処理の終了の指示または操作があった場合(ステップS107:Yes)、制御部12は処理を終了する。
【0067】
以上のようにすることによって、運行管理装置10は、第1のルートを運行する旅客輸送サービスの利用者の減少が見込まれる場合、一部の車両20を第2のルートを通るオンデマンド旅客輸送サービス等に割り当てることができる。これにより、車両20の輸送効率を改善することが可能になる。
【0068】
なお、上記実施形態において、イベントは第1のルートを走行する車両20の利用者の減少に関連していた。しかし、イベントは、第1のルートを走行する車両20の利用者の減少を示すものに限られない。例えば、イベントは、特定の場所でのオンライン旅客輸送サービスの利用者の増加を示すものであってもよい。制御部12は、第1のルートを走行する車両20の利用者が減少していない場合でも、一部の車両20をオンライン旅客輸送サービスに割り当てて、オンライン旅客輸送サービスの混雑を緩和させてよい。
【0069】
本開示に係る実施形態について、諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形又は修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形又は修正は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部又は各ステップなどに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部又はステップなどを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。本開示に係る実施形態について装置を中心に説明してきたが、本開示に係る実施形態は装置の各構成部が実行するステップを含む方法としても実現し得るものである。本開示に係る実施形態は装置が備えるプロセッサにより実行される方法、プログラム、又はプログラムを記録した記憶媒体としても実現し得るものである。本開示の範囲にはこれらも包含されるものと理解されたい。
【符号の説明】
【0070】
10 運行管理装置
11 通信部
12 制御部
13 記憶部
20,20A-20F 車両
21 車両通信部
22 車両制御部
23 車両記憶部
24 ECU
25 位置検出部
26 報知部
27 バッテリ
30 ネットワーク
40 外部情報源
50,50A-50F 停車場所
60 携帯情報端末
70 車庫
71 充電装置