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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/6581 20110101AFI20241001BHJP
【FI】
H01R13/6581
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021122067
(22)【出願日】2021-07-27
(65)【公開番号】P2023018172
(43)【公開日】2023-02-08
【審査請求日】2023-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松田 英一
(72)【発明者】
【氏名】平松 和樹
(72)【発明者】
【氏名】加登山 太河
(72)【発明者】
【氏名】山下 真直
【審査官】岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-028870(JP,A)
【文献】特開2003-077593(JP,A)
【文献】実開昭62-192569(JP,U)
【文献】特開2013-137975(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第112436342(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/6581
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに嵌合可能な第1コネクタと第2コネクタとを備え、
前記第1コネクタは、第1内導体と、前記第1内導体の外周を覆う第1外導体と、前記第1外導体の外周を覆う第1外導体カバーと、前記第1内導体と前記第1外導体との間に配置される第1誘電体と、を有し、
前記第2コネクタは、第2内導体と、前記第2内導体の外周を覆う第2外導体と、前記第2外導体の外周を覆う第2外導体カバーと、前記第2内導体と前記第2外導体との間に配置される第2誘電体と、を有し、
前記第2外導体は、前記第2誘電体と前記第2外導体カバーとの間に配置される第2外導体本体部と、前記第1外導体と径方向で重なる第2外導体接続部と、を有し、
前記第1外導体は、前記第1誘電体と前記第1外導体カバーとの間に配置される第1外導体本体部と、前記第2外導体接続部の外周を覆って前記第2外導体接続部に接触する第1外導体接続部と、前記第1外導体接続部から前記第1外導体本体部にかけて縮径する絞り部と、を有し、
前記第1外導体カバーと前記第2外導体カバーとは、互いに同一の形状を有し
前記第1誘電体は、互いに合体可能な一側誘電体と他側誘電体とを有し、
前記一側誘電体は、基壁と、前記基壁に交差して互いに対向する対向面と、対向する前記対向面間に形成されて前記第1内導体を収容するキャビティと、を有し、
前記他側誘電体は、前記基壁に対向する開口側を閉塞しており、
前記一側誘電体の前記対向面には、前記第1内導体と接触する圧入突起が形成されており、
前記圧入突起は、前記第1誘電体と前記第2誘電体のうち、前記第1誘電体のみに形成されている、コネクタ。
【請求項2】
前記圧入突起は、前記第1内導体に接触した状態で、断面円弧状の頂点が圧潰されている、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記圧入突起は、前記対向面において、前記開口側から前記基壁に向けて直線状に延びるリブ状をなしている、請求項1または2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記第1内導体は、雄端子であって、前記キャビティに収容される角筒状の端子本体と、前記端子本体から突出し、前記一側誘電体の外部に配置されるタブと、を有している、請求項3に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、互いに嵌合可能な雌コネクタと雄コネクタとを開示している。雌コネクタは、雌型内導体と、雌型内導体を収容する雌側誘電体と、雌側誘電体を覆う雌側外導体と、を有している。雄コネクタは、内導体と、内導体を収容する誘電体と、誘電体を覆う雄側外導体と、を有している。雌コネクタと雄コネクタとが嵌合されると、雌型内導体と内導体とが互いに接続され、雌側外導体と雄側外導体とが径方向に重なり合って互いに接続される。コネクタに関する技術は、特許文献2に開示されたものも知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-28870号公報
【文献】特開2017-126551号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的にシールド用のコネクタは部品点数が多くなるので、コストの上昇を招き易いという事情がある。
【0005】
そこで、本開示は、部品の共用化を図り、コストの上昇を抑えることが可能なコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のコネクタは、互いに嵌合可能な第1コネクタと第2コネクタとを備え、前記第1コネクタは、第1内導体と、前記第1内導体の外周を覆う第1外導体と、前記第1外導体の外周を覆う第1外導体カバーと、前記第1内導体と前記第1外導体との間に配置される第1誘電体と、を有し、前記第2コネクタは、第2内導体と、前記第2内導体の外周を覆う第2外導体と、前記第2外導体の外周を覆う第2外導体カバーと、前記第2内導体と前記第2外導体との間に配置される第2誘電体と、を有し、前記第2外導体は、前記第2誘電体と前記第2外導体カバーとの間に配置される第2外導体本体部と、前記第1外導体と径方向で重なる第2外導体接続部と、を有し、前記第1外導体は、前記第1誘電体と前記第2外導体カバーとの間に配置される第1外導体本体部と、前記第2外導体接続部の外周を覆って前記第2外導体接続部に接触する第1外導体接続部と、前記第1外導体接続部から前記第1外導体本体部にかけて縮径する絞り部と、を有し、前記第1外導体カバーと前記第2外導体カバーとは、互いに同一の形状を有している。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、部品の共用化を図り、コストの上昇を抑えることが可能なコネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本実施形態のコネクタにおいて、第1コネクタと第2コネクタとが互いに嵌合された状態を示す側断面図である。
図2図2は、第1コネクタの分解斜視図である。
図3図3は、第2コネクタの分解斜視図である。
図4図4は、第2外導体の斜視図である。
図5図5は、第1外導体カバーでもある第2外導体カバーの斜視図である。
図6図6は、第1外導体の斜視図である。
図7図7は、一側誘電体の斜視図である。
図8図8は、一側誘電体のキャビティ内に第1内導体を挿入した状態を示す底面図である。
図9図9は、第1誘電体が第1内導体を収容した状態を示す斜視図である。
図10図10は、第1モジュールの斜視図である。
図11図11は、第2モジュールの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示のコネクタは、
(1)互いに嵌合可能な第1コネクタと第2コネクタとを備え、前記第1コネクタは、第1内導体と、前記第1内導体の外周を覆う第1外導体と、前記第1外導体の外周を覆う第1外導体カバーと、前記第1内導体と前記第1外導体との間に配置される第1誘電体と、を有し、前記第2コネクタは、第2内導体と、前記第2内導体の外周を覆う第2外導体と、前記第2外導体の外周を覆う第2外導体カバーと、前記第2内導体と前記第2外導体との間に配置される第2誘電体と、を有し、前記第2外導体は、前記第2誘電体と前記第2外導体カバーとの間に配置される第2外導体本体部と、前記第1外導体と径方向で重なる第2外導体接続部と、を有し、前記第1外導体は、前記第1誘電体と前記第2外導体カバーとの間に配置される第1外導体本体部と、前記第2外導体接続部の外周を覆って前記第2外導体接続部に接触する第1外導体接続部と、前記第1外導体接続部から前記第1外導体本体部にかけて縮径する絞り部と、を有し、前記第1外導体カバーと前記第2外導体カバーとは、互いに同一の形状を有している。
【0010】
このように、第1外導体カバーと第2外導体カバーとが互いに同一の形状を有していれば、第1コネクタと第2コネクタとの間で第1外導体カバーと第2外導体カバーとを共用でき、コストを低減できる。とくに、上記構成の場合、第1外導体接続部と第1外導体本体部との間に絞り部を配置させることにより、第1外導体本体部と第2外導体本体部とを互いに同径または同径に近い径に設定することができる。このため、第1外導体カバーと第2外導体カバーとを同一の形状に容易に設定することができる。
【0011】
(2)前記第1誘電体は、互いに合体可能な一側誘電体と他側誘電体とを有し、前記一側誘電体は、基壁と、前記基壁に交差して互いに対向する対向面と、対向する前記対向面間に形成されて前記第1内導体を収容するキャビティと、を有し、前記他側誘電体は、前記基壁に対向する開口側を閉塞しており、前記一側誘電体の前記対向面には、前記第1内導体と接触する圧入突起が形成されていると良い。
【0012】
第1コネクタと第2コネクタとの間で第1外導体カバーと第2外導体カバーとを共用化すると、嵌合時における第1外導体カバーと第2外導体カバーとの配置の関係で、第1誘電体の長さを十分に確保することが難しくなるという事情がある。その結果、第1内導体が一側誘電体のキャビティ内で安定して収容されない懸念がある。その点、上記構成によれば、対向面に形成された圧入突起が第1内導体に接触するため、第1内導体をキャビティ内に安定して収容させることができる。
【0013】
(3)前記圧入突起は、前記対向面において、前記開口側から前記基壁に向けて直線状に延びるリブ状をなしていると良い。
【0014】
このように圧入突起が形成されていれば、第1内導体を開口側から基壁に向けて降ろすことでキャビティ内に容易に挿入させることができる。
【0015】
(4)前記第1内導体は、雄端子であって、前記キャビティに収容される角筒状の端子本体と、前記端子本体から突出し、前記一側誘電体の外部に配置されるタブと、を有していると良い。
【0016】
第1内導体が雄端子であれば、第1内導体を開口側から基壁に向けて降ろし、端子本体をキャビティ内に挿入させれば良いので、タブが誘電体の樹脂を削り取る懸念を解消することができる。その結果、タブに樹脂が付着するのを回避でき、第2内導体に対するタブの接続信頼性を確保することができる。
【0017】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の実施形態の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0018】
本実施形態のコネクタは、通信用の信号が伝送されるケーブル23の端末に接続されたシールドコネクタを例示する。コネクタは、図1に示すように、互いに嵌合可能な第1コネクタ10と第2コネクタ11とを備える。第1コネクタ10は、雄コネクタであって、雄端子としての第1内導体13を有している。第2コネクタ11は、雌コネクタであって、雌端子としての第2内導体14を有している。
【0019】
第1コネクタ10は、第1内導体13の他、第1誘電体15、第1外導体16、第1外導体カバー17および第1ハウジング18を有している。同じく、第2コネクタ11は、第2内導体14の他、第2誘電体19、第2外導体21、第2外導体カバー17および第2ハウジング22を有している。なお、第1外導体カバー17と第2外導体カバー17とは、後述するように、互いに同一形状であって共用化され得るため、共通の符号17を付している。また、以下の説明において、前後方向については、第1コネクタ10と第2コネクタ11とが嵌合開始時に互いに向き合う面側を前側とする。上下方向は、図8および図9を除く各図の上下方向を基準とする。
【0020】
ケーブル23は、図2および図3に示すように、2本の被覆電線(ツイストペア線)からなる電線24と、電線24の外周を一括して覆う編組線等のシールド体25と、シールド体25の外周を覆う絶縁性のシース26と、を備えている。ケーブル23の前端部では、シース26およびシールド体25が除去され、2本の電線24が露出して配置されている。ケーブル23における露出した電線24の後方には、シース26の端末から露出したシールド体25がシース26の前端部上に折り返されている。シース26の端末から露出した2本の電線24は、クリップ28によって保持されている(図9を参照)。なお、第1コネクタ10と第2コネクタ11には、互いに同径のケーブル23が接続される。
【0021】
<第2内導体>
第2内導体14は、導電性の金属板を曲げ加工等して形成されている。図3に示すように、第2内導体14は、角筒状の端子接続部29と、端子接続部29の後方に連なる第2電線接続部31と有している。端子接続部29は、図1に示すように、第1コネクタ10および第2コネクタ11の嵌合時に、第1内導体13の後述するタブ52に接触して電気的に接続される。第2電線接続部31は、電線24の前端部の芯線に圧着されて電気的に接続され、かつ電線24の被覆に圧着されて機械的に接続されている。第2内導体14は、第2コネクタ11において、2本の被覆電線に対応して2つ設けられている。
【0022】
<第2誘電体>
第2誘電体19は、絶縁性の合成樹脂材によって前後方向に長い直方体状に形成されている。第2誘電体19は、詳細は省略するが、2つの部材を上下方向に互いに組み合わせることによって形成されている。第2誘電体19の内部には、電線24に接続された2つの第2内導体14が幅方向に並んだ状態で収容されている。
【0023】
<第2外導体>
第2外導体21は、導電性の金属板を曲げ加工等して形成されている。図4に示すように、第2外導体21は、前後方向に長い角筒状の嵌合筒部32と、ケーブル23のシールド体25に接続される第2シールド接続部33と、を有している。
【0024】
嵌合筒部32には、後方から第2誘電体19が挿入されて収容される。嵌合筒部32内に第2誘電体19が収容されると、第2内導体14が第2誘電体19によって嵌合筒部32から電気的に絶縁される。嵌合筒部32の前端部には、相手側の第1外導体16と径方向で重なる第2外導体接続部34が形成されている(図1を参照)。第2外導体接続部34には、第1外導体16に接触する弾性変形可能な弾性接触部35が形成されている。弾性接触部35は、嵌合筒部32の4つの壁にそれぞれ切り起こして形成されている。
【0025】
嵌合筒部32は、第2外導体接続部34よりも後方に、第2外導体カバー17によって覆われる第2外導体本体部36を有している。第2外導体本体部36は、第2外導体接続部34の後方に段差なく同径で連なっている。また、第2外導体本体部36は、第2誘電体19を係止する第2誘電体係止部37と、第2外導体カバー17を係止する第2カバー係止部38と、を有している。
【0026】
第2シールド接続部33は、嵌合筒部32の後端下縁から後方に延びる板状をなしている。図1に示すように、第2シールド接続部33は、シールド体25の下方に配置され、第2外導体カバー17の圧着力を受けてシールド体25に接続される。
【0027】
<第2外導体カバー>
第2外導体カバー17は、導電性の金属板を曲げ加工等して形成されている。図5に示すように、第2外導体カバー17は、平板状の天板部39と、天板部39の幅方向両端から下方に突出する一対の側板部41と、天板部39および各側板部41の後方に配置されるシールドバレル部42と、を有している。なお、図2図3および図5に示すシールドバレル部42は、便宜上、ケーブル23のシールド体25に圧着した変形後の形態を示している。正確には、シールドバレル部42は、変形前、オープンバレル状に形成されている。各側板部41には、第2カバー係止部38が嵌まる係止溝43が形成されている。また、第2外導体カバー17は、各側板部41の後部の下端から幅方向内側に突出する一対の対向板部44(図5では1つのみ図示)と、を有している。
【0028】
第2外導体本体部36は、天板部39、各側板部41および各対向板部44の内側に配置され、第2カバー係止部38を係止溝43に係止させることで、第2外導体カバー17に位置決めして保持される(図11を参照)。天板部39には、方形の開口孔45と、開口孔45の前縁に曲げ起こされたハウジング係止突起46と、が形成されている。
【0029】
シールドバレル部42は、図示しないが、シールド体25を内側に配置した状態で端縁同士が凹凸状に噛み合い、ケーブル23のシールド体25に圧着して固定される。第2シールド接続部33は、シールドバレル部42とシールド体25との間に挟まるように配置される(図1を参照)。
【0030】
<第2ハウジング>
第2ハウジング22は合成樹脂製であって、図1に示すように、前後方向に貫通する第2モジュール収容部47を有している。第2モジュール収容部47の後部内壁の上面には、第2ランス48が前方に突出して形成されている。第2ランス48は上下方向に弾性変形可能とされている。
【0031】
第2モジュール収容部47には、第2内導体14、第2誘電体19、第2外導体21および第2外導体カバー17を組み付けてなる第2モジュール49が収容される。第2モジュール49が第2モジュール収容部47に収容されると、第2ランス48が開口孔45に嵌まりつつハウジング係止突起46に係止される。第2ハウジング22の上壁には、第1ハウジング18を係止可能なロックアーム51が形成されている。
【0032】
<第1内導体>
第1内導体13は、導電性の金属板を曲げ加工等して形成されている。図2に示すように、第1内導体13は、ピン状のタブ52と、タブ52の後方に連なる角筒状の端子本体53と、端子本体53の後方に連なる第1電線接続部54と、を有している。タブ52は、篏合状態において、第2内導体14の端子接続部29内に挿入されて接続される。第1電線接続部54は、電線24の前端部の芯線に圧着されて電気的に接続され、かつ電線24の被覆に圧着されて機械的に接続されている。第1内導体13は、第1コネクタ10において、2本の被覆電線に対応して2つ設けられている。
【0033】
<第1誘電体>
第1誘電体15は、絶縁性の合成樹脂材によって前後方向に長い直方体状に形成されている。第1誘電体15の径寸法(高さ、幅寸法)は、第2誘電体19の径寸法と同一となるように設定されている。
【0034】
図2に示すように、第1誘電体15は、上下方向に合体可能な一側誘電体55と他側誘電体56とを有している。一側誘電体55は、他側誘電体56の上方に配置されている。図7に示すように、一側誘電体55は、平板状の基壁57と、基壁57の幅方向両端から下方に突出する一対の側壁58と、一対の側壁58間において基壁57から下方に突出する極間壁59と、を有している。
【0035】
一側誘電体55は、一対の側壁58間に、極間壁59で仕切られる幅方向に一対のキャビティ61を有している。基壁57は、各キャビティ61の上面を閉塞している。各キャビティ61の下面側は、開放され、一側誘電体55に組み付けられる他側誘電体56によって閉塞される。第1内導体13は図示下方(実際は上方)からキャビティ61内に挿入される。各側壁58の下端には、第1内導体13を誘い込むテーパ状の誘い込み面62が形成されている。極間壁59にも誘い込み面62が形成されている。
【0036】
図8に示すように、極間壁59の前部は後部に比べて幅方向に厚く形成されている。一側誘電体55は、極間壁59の前部と側壁58とのそれぞれの対向面63に、複数の圧入突起64を有している。各圧入突起64は、各対向面63において、前後方向の同一位置でキャビティ61内に突出し、かつ前後方向に間隔を置いて一対ずつ配置されている。具体的には、各圧入突起64は、上下方向に延びるリブ状をなし、断面円弧状に形成されている。幅方向で対向する各圧入突起64の頂点間の距離は、第1内導体13の端子本体53の幅寸法よりも少し小さく設定されている。各圧入突起64の上端は基壁57に連結されている。各圧入突起64の下端は、各側壁58において、誘い込み面62と連続してテーパ状に形成されている。なお、第2誘電体19には圧入突起64に相当するものが設けられていない。
【0037】
他側誘電体56は、図2および図9に示すように、一側誘電体55の下面開口を閉塞する覆い壁65と、覆い壁65の幅方向両端から上方に突出する一対のロック壁66と、を有している。各ロック壁66は、弾性変形可能であって、一側誘電体55に係止され、一側誘電体55と他側誘電体56とを合体状態に保持する。
【0038】
<第1外導体>
第1外導体16は、導電性の金属板を曲げ加工等して形成されている。図6に示すように、第1外導体16は、前後方向に長い角筒状の本体筒部67と、ケーブル23のシールド体25に接続される第1シールド接続部68と、を有している。
【0039】
本体筒部67の前部は、第2外導体接続部34を内側に配置させる大径の第1外導体接続部69とされている。第1外導体接続部69の内面には、第2外導体接続部34の弾性接触部35が導通可能に接触する。
【0040】
本体筒部67の後部は、第1外導体接続部69よりも一回り小さい小径の第1外導体本体部71とされている。第1外導体本体部71の径寸法(高さ、幅寸法)は、第2外導体本体部36の径寸法と同一となるように設定されている。第1外導体本体部71内には、後方から第1誘電体15が挿入されて収容される。第1内導体13は、第1誘電体15によって本体筒部67から電気的に絶縁される。また、第1外導体本体部71は、第1誘電体15を係止する第1誘電体係止部72と、第1外導体カバー17を係止する第1カバー係止部73と、を有している。
【0041】
本体筒部67は、第1外導体接続部69と第1外導体本体部71との間に、第1外導体接続部69の後端から第1外導体本体部71の前端にかけてテーパ状に縮径する絞り部74を有している。つまり、絞り部74は、後方へ向けて先細り状に形成されている。第1外導体本体部71の径寸法は、絞り部74の傾斜角度および長さに基づいて設定される。
【0042】
第1シールド接続部68は、本体筒部67の後端下縁から後方に延びる板状をなしている。図1に示すように、第1シールド接続部68は、シールド体25の下方に配置され、第1外導体カバー17の圧着力を受けてシールド体25に接続される。
【0043】
<第1外導体カバー>
第1外導体カバー17は、図5に改めて示すように、第2外導体カバー17と同一の形状および同一のサイズであって、天板部39と、側板部41と、対向板部44と、シールドバレル部42と、を有している。第1外導体カバー17の場合、係止溝43は第1外導体16の第1カバー係止部73に係止され(図10を参照)、ハウジング係止突起46は第1ハウジング18の後述する第1ランス76に係止される。そして、図1に示すように、シールドバレル部42は、第1シールド接続部68を間に挟んでケーブル23のシールド体25に圧着して接続される。
本実施形態の場合、第1外導体カバー17と第2外導体カバー17とは、互いに区別なく使用され、第1コネクタ10と第2コネクタ11との間で1種類の外導体カバーとして共用化される。
【0044】
<第1ハウジング>
第1ハウジング18は合成樹脂製であって、図1に示すように、前後方向に貫通する第1モジュール収容部75を有している。第1モジュール収容部75の後部内壁の上面には、弾性変形可能な第1ランス76が前方に突出して形成されている。第1モジュール収容部75には、第1内導体13、第1誘電体15、第1外導体16および第1外導体カバー17を組み付けてなる第1モジュール77が収容される。第1モジュール77は、第1ランス76に係止される。図1および図2に示すように、第1ハウジング18の前部は、後部よりも一回り大きい大径のフード部78とされている。第2ハウジング22は、フード部78内に嵌合される。
【0045】
<コネクタの組み立て手順および嵌合構造>
第1モジュール77の組み立てに際し、図8に示すように、第1内導体13が一側誘電体55のキャビティ61に収容される。第1内導体13は、誘い込み面62に誘われつつキャビティ61の開口側(図8の紙面手前側)から各圧入突起64に沿って基壁57側に降ろされる。これにより、第1内導体13の端子本体53がキャビティ61内に挿入される。第1内導体13のタブ52は、一側誘電体55と接触することなく、一側誘電体55の前方に突出して配置される。よって、タブ52が一側誘電体55の樹脂を削り取るのを回避でき、タブ52の表面に一側誘電体55の樹脂片が付着するのを阻止できる。端子本体53の両側面には、各圧入突起64が接触する。各圧入突起64は、第1内導体13の端子本体53によって頂点側が圧潰された状態になる。これにより、端子本体53は、各圧入突起64によって幅方向両側から保持され、キャビティ61内における第1内導体13のがた付きが抑えられる。
【0046】
本実施形態の場合、第1外導体カバー17と第2外導体カバー17との共用化を図っていることに起因し、嵌合状態において第1外導体カバー17が第2外導体カバー17側に従来型よりも近づく構造になり、第1誘電体15の前後長さを十分に確保することできないという事情がある。このため、第1内導体13がキャビティ61内で傾いたりして安定して収容されない等の懸念がある。しかし、第1内導体13は、各圧入突起64によってキャビティ61内におけるがた付きが抑えられるので、キャビティ61内に安定して収容される状態を実現することができる。
【0047】
その後、図9に示すように、一側誘電体55には他側誘電体56が被さるように組み付けられる。これにより、第1内導体13は第1誘電体15内により安定して保持される。次いで、第1誘電体15が第1外導体16内に後方から挿入される。第1誘電体15は第1誘電体係止部72に係止されることで第1外導体16内に抜け止めされる。このとき、第1誘電体15は第1外導体本体部71内に配置され、第1内導体13のタブ52は第1外導体接続部69内に突出して配置される。
【0048】
続いて、第1外導体カバー17が第1外導体本体部71に組み付けられ、シールドバレル部42が第1シールド接続部68とともにケーブル23のシールド体25に圧着して接続される。これにより、図10に示す第1モジュール77の組み立てが完了する。第1モジュール77は、第1ハウジング18の第1モジュール収容部75に後方から挿入される。第1モジュール77は、ハウジング係止突起46を第1ランス76に係止させることで、第1ハウジング18の第1モジュール収容部75に抜け止めされる(図1を参照)。フード部78内には第1外導体接続部69が突出して配置される。以上により、第1コネクタ10の組み立てが完了する。第2コネクタ11についても第1コネクタ10と同様の手順で組み立てられる。
【0049】
第1コネクタ10と第2コネクタ11とは、互いに正対した状態から嵌合される。第2ハウジング22のロックアーム51が第1ハウジング18を係止することで、第1コネクタ10と第2コネクタ11とが嵌合状態に保持される。図1に示すように、嵌合状態において、第1外導体接続部69の内側には第2外導体接続部34が嵌まり込み、第1外導体接続部69と第2外導体接続部34とが径方向に重なり合って配置される。第2外導体接続部34の各弾性接触部35が第1外導体接続部69の内面に接触することにより、第1外導体16と第2外導体21とが接続される。本実施形態の場合、第1内導体13および第2内導体14の周囲が第1外導体16、第1外導体カバー17、第2外導体21および第2外導体カバー17によって隙間なく覆われるため、外部からのノイズの侵入を防止でき、かつ外部へのノイズの漏洩を防止できる。よって、シールド性能を向上させることができる。
【0050】
さらに、本実施形態の場合、第1外導体本体部71と第2外導体本体部36とが互いに同径であり、篏合状態において、第1外導体本体部71の外面と第2外導体本体部36の外面とが前後方向に同径で連続する仮想筒を構成するように配置されている。このため、第1コネクタ10と第2コネクタ11との間において、インピーダンスの乱れを抑えることができ、インピーダンスの整合を図ることができる。
【0051】
以上説明したように、本実施形態によれば、第1外導体接続部69と第1外導体本体部71との間に絞り部74を配置させることにより、第1外導体本体部71と第2外導体本体部36とを互いに同径に設定することができる。このため、第1外導体カバー17と第2外導体カバー17とを同一の形状に容易に設定することができる。
【0052】
また、第1誘電体15の前後長さを十分に確保できなくても、一側誘電体55には第1内導体13の端子本体53に接触する複数の圧入突起64が形成されているため、第1内導体13をキャビティ61内に安定して収容させることができる。
【0053】
また、第1内導体13を開口側から基壁57に向けて上方から降ろし、端子本体53をキャビティ61内に挿入させることにより、各圧入突起64が第1内導体13の端子本体53に良好に接触することができる。さらに、第1内導体13のタブ52は、第1誘電体15の外部に配置され、キャビティ61への挿入過程で第1誘電体15と接触することがない。よって、タブ52に第1誘電体15の樹脂が付着するのを回避でき、第2内導体14に対するタブ52の接続信頼性を確保することができる。
【0054】
[本開示の他の実施形態]
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えるべきである。
他の実施形態として、第1外導体本体部と第2外導体本体部とは、正確に同径に設定されている必要はなく、第1外導体カバーと第2導体カバーとの共用化を図れる範囲で相互の径寸法が異なっていても良い。
他の実施形態として、圧入突起は、第1誘電体に加え、第2誘電体に設けられていても良い。
他の実施形態として、第1コネクタは、雌端子を第1内導体とする雌型コネクタであっても良い。
【符号の説明】
【0055】
10…第1コネクタ
11…第2コネクタ
13…第1内導体
14…第2内導体
15…第1誘電体
16…第1外導体
17…外導体カバー
18…第1ハウジング
19…第2誘電体
21…第2外導体
22…第2ハウジング
23…ケーブル
24…電線
25…シールド体
26…シー
8…クリップ
29…端子接続部
31…第2電線接続部
32…嵌合筒部
33…第2シールド接続部
34…第2外導体接続部
35…弾性接触部
36…第2外導体本体部
37…第2誘電体係止部
38…第2カバー係止部
39…天板部
41…側板部
42…シールドバレル部
43…係止溝
44…対向板部
45…開口孔
46…ハウジング係止突起
47…第2モジュール収容部
48…第2ランス
49…第2モジュール
51…ロックアーム
52…タブ
53…端子本体
54…第1電線接続部
55…一側誘電体
56…他側誘電体
57…基壁
58…側壁
59…極間壁
61…キャビティ
62…誘い込み面
63…対向面
64…圧入突起
65…覆い壁
66…ロック壁
67…本体筒部
68…第1シールド接続部
69…第1外導体接続部
71…第1外導体本体部
72…第1誘電体係止部
73…第1カバー係止部
74…絞り部
75…第1モジュール収容部
76…第1ランス
77…第1モジュール
78…フード部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11