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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/502 20060101AFI20241001BHJP
【FI】
H01R13/502 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021122069
(22)【出願日】2021-07-27
(65)【公開番号】P2023018174
(43)【公開日】2023-02-08
【審査請求日】2023-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平松 和樹
(72)【発明者】
【氏名】加登山 太河
(72)【発明者】
【氏名】松田 英一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 利一
(72)【発明者】
【氏名】一尾 敏文
【審査官】石田 佳久
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-109738(JP,A)
【文献】特開2002-280123(JP,A)
【文献】実開平04-023076(JP,U)
【文献】特開2016-149233(JP,A)
【文献】特開2014-232595(JP,A)
【文献】中国実用新案第211670368(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2021/0226366(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/502
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子と、
前記端子の外周を包囲するダイキャスト部材と、
前記端子と前記ダイキャスト部材との間に配置される誘電体と、
前記ダイキャスト部材を装着するハウジングと、を備え、
前記ダイキャスト部材は、係止突部を有し、
前記ハウジングは、前記ダイキャスト部材の装着方向に凹む係止凹部を有し、
前記係止突部は、前記係止凹部に圧入され、
前記ダイキャスト部材が前記ハウジングに装着された状態で、前記係止突部の前記装着方向の先端部と前記係止凹部の前記装着方向の奥端部との間には、外部から遮断されて密閉された閉塞部が形成され
前記ダイキャスト部材は、内側に前記端子を配置させるフード部と、前記フード部の基端側から前記装着方向と交差する方向に張り出す張出部と、を有し、
前記係止突部は、前記張出部の前記装着方向を向く前面と前記フード部の外周面とに連なるように形成されている、コネクタ。
【請求項2】
前記係止突部には、前記装着方向と交差する方向に張り出す圧入突起が形成され、
前記閉塞部は、前記係止凹部の内側において、前記係止凹部の内面における前記圧入突起に係止される部分よりも前記装着方向の奥側に形成されている、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記ハウジングは、前記張出部の前記前面に対向する背面と、前記背面に開口して内側に前記フード部が配置される貫通孔と、を有し、
前記係止凹部は、前記貫通孔と連通し、かつ前記ハウジングの前記背面に開口している、請求項1または請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記フード部の外周面には、前記係止突部を挟んだ両側に、前記ハウジングの前記貫通孔の内周面に接触するリブが形成されている、請求項3に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されたコネクタは、高速通信用のコネクタであって、内導体としての端子と、外導体としてのダイキャスト部材と、ダイキャスト部材と端子との間に配置される誘電体と、ダイキャスト部材を装着するハウジングと、を備えている。ダイキャスト部材は、ハウジングへの装着方向に貫通する係止凹部を有している。ハウジングは、係止凹部に挿入される係止突部を有している。係止突部は、係止凹部に挿入された状態で、先端部が押し潰されて拡径させられる。係止突部の先端部が係止凹部の開口縁部に係止されることにより、ダイキャスト部材がハウジングに保持される。なお、コネクタに関する技術としては、特許文献2~7に開示されたものでも知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-109738号公報
【文献】特開2014-203538号公報
【文献】特開2014-203537号公報
【文献】特開2011-60451号公報
【文献】特開2006-31961号公報
【文献】特開2002-270281号公報
【文献】特開2002-260773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の場合、係止突部の先端部を押し潰す工程が必要とされるため、工数の増加を招くという問題がある。これに対し、係止突部をダイキャスト部材に設け、係止凹部をハウジングに設け、ダイキャスト部材の係止突部をハウジングの係止凹部に圧入することで、ダイキャスト部材をハウジングに保持する構成を採用することも可能である。しかし、ダイキャスト部材は鋳造体であるため、ダイキャスト部材の係止突部は簡易な構造であることが求められる。また、ダイキャスト部材の係止突部が圧入過程でハウジングの樹脂を削り、樹脂片を発生させる懸念がある。このため、樹脂片が脱落しないように、樹脂片をハウジングに保持する構造であることも求められる。
【0005】
そこで、本開示は、ダイキャスト部材をハウジングに保持する構造を信頼性良く、且つ簡易的に実現することが可能なコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のコネクタは、端子と、前記端子の外周を包囲するダイキャスト部材と、前記端子と前記ダイキャスト部材との間に配置される誘電体と、前記ダイキャスト部材を装着するハウジングと、を備え、前記ダイキャスト部材は、係止突部を有し、前記ハウジングは、前記ダイキャスト部材の装着方向に凹む係止凹部を有し、前記係止突部は、前記係止凹部に圧入され、前記ダイキャスト部材が前記ハウジングに装着された状態で、前記係止突部の前記装着方向の先端部と前記係止凹部の前記装着方向の奥端部との間には、外部から遮断された閉塞部が形成されている。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、ダイキャスト部材をハウジングに保持する構造を信頼性良く、且つ簡易的に実現することが可能なコネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本実施形態のコネクタの分解斜視図である。
図2図2は、コネクタが相手コネクタに嵌合された状態を示す側断面図である。
図3図3は、誘電体の背面図である。
図4図4は、ダイキャスト部材を斜め上前方から見た斜視図である。
図5図5は、ダイキャスト部材の正面図である。
図6図6は、ハウジングを斜め上後方から見た斜視図である。
図7図7は、ハウジングの背面図である。
図8図8は、係止突部が係止凹部に圧入された状態を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示のコネクタは、
(1)端子と、前記端子の外周を包囲するダイキャスト部材と、前記端子と前記ダイキャスト部材との間に配置される誘電体と、前記ダイキャスト部材を装着するハウジングと、を備え、前記ダイキャスト部材は、係止突部を有し、前記ハウジングは、前記ダイキャスト部材の装着方向に凹む係止凹部を有し、前記係止突部は、前記係止凹部に圧入され、前記ダイキャスト部材が前記ハウジングに装着された状態で、前記係止突部の前記装着方向の先端部と前記係止凹部の前記装着方向の奥端部との間には、外部から遮断された閉塞部が形成されている。
【0010】
ダイキャスト部材の係止突部が係止凹部に圧入されることにより、ダイキャスト部材がハウジングに保持される。仮に、ダイキャスト部材の装着過程で、係止突部がハウジングの樹脂を削っても、発生した樹脂片を係止突部と係止凹部との間に形成された閉塞部内に留め置くことができる。このため、樹脂片が外部に脱落するのを、構造を複雑化させることなく、簡易的に防止することができる。
【0011】
(2)前記係止突部には、前記装着方向と交差する方向に張り出す圧入突起が形成され、前記閉塞部は、前記係止凹部の内側において、前記係止凹部の内面における前記圧入突起に係止される部分よりも前記装着方向の奥側に形成されているのが好ましい。
【0012】
このように、圧入突起が係止凹部の内面に係止されることにより、ダイキャスト部材がハウジングに安定して保持される。また、閉塞部が係止凹部の内側において圧入突起に係止される部分よりも奥側に形成されていることにより、閉塞部の密閉状態を良好に維持することができる。
【0013】
(3)前記ダイキャスト部材は、内側に前記端子を配置させるフード部と、前記フード部の基端側から前記装着方向と交差する方向に張り出す張出部と、を有し、前記係止突部は、前記張出部の前記装着方向を向く前面と前記フード部の外周面とに連なるように形成されていると良い。
【0014】
このように係止突部が形成されていれば、ダイキャスト部材を成形する金型の構造が特に複雑化することがない。
【0015】
(4)前記ハウジングは、前記張出部の前記前面に対向する背面と、前記背面に開口して内側に前記フード部が配置される貫通孔と、を有し、前記係止凹部は、前記貫通孔と連通し、かつ前記ハウジングの前記背面に開口していると良い。
【0016】
このように係止凹部が形成されていれば、ハウジングを成形する金型の構造も特に複雑化することがない。
【0017】
(5)前記フード部の外周面には、前記係止突部を挟んだ両側に、前記ハウジングの前記貫通孔の内周面に接触するリブが形成されていると良い。
【0018】
このようにリブが形成されていれば、ハウジングに対するダイキャスト部材の保持力を高めることができ、さらにダイキャスト部材とハウジングとの間にがたつきが発生するのを抑えることができる。
【0019】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の実施形態の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0020】
本実施形態のコネクタ10は、回路基板100に実装される基板用コネクタであって、図1に示すように、端子11と、誘電体12と、ダイキャスト部材13と、ハウジング14と、を備える。コネクタ10は、図2に示すように、相手コネクタ80に嵌合される。相手コネクタ80は、通信用の信号が伝送されるケーブル90の端末に接続されたシールドコネクタである。なお、以下の説明において、前後方向については、コネクタ10と相手コネクタ80とが嵌合開始時に互いに向き合う面側を前側とする。上下方向は、図8を除く各図の上下方向を基準とする。
【0021】
<相手コネクタ>
相手コネクタ80は、図2に示すように、雄端子としての相手端子81と、相手端子81を収容する相手誘電体82と、相手誘電体82を包囲する外導体83と、ハウジング14内に篏合される相手ハウジング84と、を備えている。相手端子81は、ケーブル90の電線91に接続される。電線91は一対の被覆電線からなり、相手端子81は各電線91に対応して2つ設けられている。そして、相手端子81は、相手誘電体82によって外導体83から絶縁された状態に配置される。外導体83は、ケーブル90の編組線等のシールド体92に接続される。相手ハウジング84内には、収容部85が前後方向に貫通して形成されている。収容部85には、相手端子81、相手誘電体82および外導体83を組み付けてなるモジュール86が収容される。また、相手ハウジング84の上面には、弾性変形可能なロックアーム87が形成されている。
【0022】
<端子>
端子11は、導電性の金属板材からなり、図1に示すように、全体として細長く延びるように形成されている。端子11は、相手接続部15と、基板接続部16と、相手接続部15と基板接続部16との間に配置されるつなぎ部17と、を有している。相手接続部15は、前後方向に延び、図2に示すように、後部が誘電体12に保持され、前部が相手端子81に接続される。つなぎ部17と基板接続部16とは、誘電体12の後方に露出して配置される。つなぎ部17は、相手接続部15の後端から後方に傾斜しつつ下向きに延びるように形成されている。基板接続部16は、つなぎ部17の下端から後方に延び、回路基板100の導電部分に半田付けして接続される。
【0023】
<誘電体>
誘電体12は、絶縁性の合成樹脂材によって全体としてブロック状に形成されている。誘電体12は、側面視L字形をなし、前後方向に延びる端子装着部18と、端子装着部18の後端に連なって上下方向に延びる端子引出部19と、を有している。端子装着部18は、左右一対の装着孔21を有している。各装着孔21は端子装着部18内を前後方向に貫通している。相手端子81は装着孔21に後方から挿入される。相手接続部15の後部は、装着孔21に圧入された状態で保持される。誘電体12の左右両側面には、図1に示すように、前後方向に延びる嵌合溝22(図1では1つのみ図示)が形成されている。嵌合溝22には、ダイキャスト部材13の後述する嵌合突起33が挿入される(図5を参照)。
【0024】
図3に示すように、端子引出部19の後面には、引出凹部23と左右一対の延出凹部24とが開口して形成されている。引出凹部23は、端子引出部19の上部において左右方向に延び、後方を向く奥面に各装着孔21を開口させている。各延出凹部24は、引出凹部23の左右両側からそれぞれ下方に延び、下端が端子引出部19の下面に開口している。延出凹部24の左右両側面には、複数の保持突部25が前後方向に延びるように形成されている。各保持突部25は、延出凹部24の左右両側面に一対ずつ配置されている。引出凹部23内には、装着孔21から端子11の相手接続部15が引き出される。延出凹部24内には、端子11のつなぎ部17が配置される。つなぎ部17は、各保持突部25に接触することで左右方向に位置決めされる。図2に示すように、延出凹部24の後方を向く奥面は、つなぎ部17の傾斜に沿って斜面状に形成されている。
【0025】
<ダイキャスト部材>
ダイキャスト部材13は、鋳造体であって、本実施形態の場合、亜鉛または亜鉛合金によって成形されている。図2に示すように、ダイキャスト部材13内には、端子11を装着した誘電体12が配置される。ダイキャスト部材13は、外部から端子11に侵入するノイズを抑制し、かつ端子11から外部へのノイズの漏洩を抑制するシールド部材として構成される。このダイキャスト部材13は、孔等の開口部分を有しておらず、良好なシールド性が確保されている。
【0026】
具体的には、ダイキャスト部材13は、図4に示すように、後部に包囲部26を有し、前部にフード部27を有し、フード部27における包囲部26との連結側となる基端側に張出部28を有している。図1に示すように、包囲部26は、背面視門型形状をなし、天壁部29と、天壁部29の左右両端から下方に突出する一対の側壁部31と、を有している。天壁部29および各側壁部31のそれぞれの前端は張出部28の後面に連なっている。
【0027】
天壁部29および側壁部31は、図2に示すように、端子11におけるつなぎ部17および基板接続部16を覆うのに十分なサイズを有し、シールド性の他、基板接続部16に外部から異物が干渉するのを防止する機能をも有する。また、包囲部26は、各側壁部31の下端から下方に突出する複数の取付突部32を有している。各取付突部32は、円柱状をなし、回路基板100の対応する取付孔110に位置決めして挿入される。
【0028】
フード部27は、四隅が丸みを帯びた角筒状をなし、図2に示すように、内側の後部に誘電体12の端子装着部18が嵌合可能とされている。端子11の相手接続部15の前部は、フード部27内の前部に突出して配置される。また、フード部27は、相手コネクタ80との嵌合状態において、内側の前部に外導体83を配置させ、外導体83と導通可能に接触する。フード部27の内周面には、図5に示すように、嵌合突起33が左右で対をなして形成されている。嵌合突起33は、誘電体12の嵌合溝22に圧入して嵌合され、誘電体12をダイキャスト部材13に保持させる。図4に示すように、フード部27の外周面には、後部に径方向の段差部34が形成され、段差部34の後方に前方より大径の嵌合周面35が形成されている。フード部27の嵌合周面35は、図2に示すように、ハウジング14の後述する貫通孔47の内周面に接触可能に配置される。
【0029】
張出部28は、図5に示すように、正面視矩形の板状をなし、フード部27の基端側から径方向外側に張り出して形成されている。図1に示すように、張出部28の後面には、左右方向に間隔を置いて一対の突条部36が形成されている。各突条部36は、上下方向に延び、下端が天壁部29に連なり、上端が張出部28の上縁に達している。各突条部36間には図示しない導電性のアース部材が位置決めされる。ダイキャスト部材13は、図示しないアース部材を介して車体ボディに接続される。
【0030】
ダイキャスト部材13は、張出部28の前面から前方に突出する複数の係止突部37を有している。各係止突部37は、フード部27の嵌合周面35にも前後方向に沿って連結されている。具体的には、各係止突部37は、フード部27の上下の嵌合周面35の左右中央部と、フード部27の左右の嵌合周面35の上下中央部と、に配置されている。つまり、各係止突部37は、正面視において周方向に90度間隔で配置されている。各係止突部37は、ハウジング14の後述する各係止凹部49に挿入されて係止される。
【0031】
図4に示すように、係止突部37は、矩形ブロック状の凸本体部38と、凸本体部38の前端部から前後方向と交差する方向に張り出す圧入突起39と、凸本体部38と圧入突起39のそれぞれの前端に連なる先細り部41と、を有している。
【0032】
フード部27の上下の嵌合周面35に形成された上下の係止突部37は、圧入突起39を左右両側に突出させている。フード部27の左右の嵌合周面35に形成された左右の係止突部37は、圧入突起39を上下両側に突出させている。各係止突部37における径方向外側を向く外端面(上側の係止突部37の上面、下側の係止突部37の下面、右側の係止突部37の右面、左側の係止突部37の左面)は、凸本体部38から圧入突起39にかけて段差なく面一で連なっている。先細り部41の前面を除く外周3面は、前方へ向けてテーパ状に窄まるように傾斜している。先細り部41の前面は、上下方向および左右方向に沿って平坦に形成されている。
【0033】
フード部27の上側の嵌合周面35には、係止突部37を挟んだ左右両側に、リブ42が形成されている。リブ42は、前後方向に延び、後端が張出部28の前面に連結され、前端が係止突部37の前端よりも前方に位置している。
【0034】
<ハウジング>
ハウジング14は、絶縁性の合成樹脂材によって形成されている。図6に示すように、ハウジング14は、背面視矩形の板状をなす基壁43と、基壁43から前方に突出する角筒状の嵌合筒部44と、を有している。図2に示すように、嵌合筒部44内には、相手ハウジング84が嵌合される。嵌合筒部44の上壁の内面には、ロック突起45が形成されている。相手ハウジング84のロックアーム87がロック突起45に係止されることにより、コネクタ10と相手コネクタ80とが嵌合状態に保持されるようになっている。
【0035】
基壁43には、ロック突起45を成形する金型の引き抜きに起因する型抜孔46が形成されている。図6に示すように、基壁43には、型抜孔46より下方に貫通孔47が形成されている。図2に示すように、貫通孔47の内径は、嵌合筒部44の内径よりも小さくされ、貫通孔47は、嵌合筒部44内に連通している。基壁43の貫通孔47内には、ダイキャスト部材13のフード部27が挿入される。貫通孔47の内周面の断面形状は、フード部27の嵌合周面35の断面形状に対応している。図6に示すように、貫通孔47の内周面の後部には、基壁43の後面となる背面54に向けて拡開する主傾斜部48が形成されている。
【0036】
また、基壁43には、複数の係止凹部49が形成されている。各係止凹部49は、断面矩形状をなし、前後方向に延び、後端が基壁43の背面54に開口し、前端が基壁43の内側において閉塞されている。図6および図7に示すように、各係止凹部49は、背面視において周方向に90度間隔で配置されている。各係止凹部49における径方向内側を向く内端は、貫通孔47に開口している。具体的には、各係止凹部49は、貫通孔47の上下内面の左右中央部と、貫通孔47の左右内面の上下中央部と、に配置されている。各係止凹部49の後部は、主傾斜部48に形成されている。各係止凹部49の内面の後端部には、基壁43の背面54に向けて拡開する副傾斜部51が形成されている。副傾斜部51の前後長は、主傾斜部48の前後長よりも十分小さくされている。
【0037】
<ダイキャスト部材とハウジングの組み付け構造>
ダイキャスト部材13のフード部27は、ハウジング14の貫通孔47に後方から挿入される。挿入過程の終盤で、フード部27の嵌合周面35が貫通孔47の内周面に接触可能に配置され、各リブ42が貫通孔47の内周面に緊密に接触する。また、挿入過程の終盤で、先細り部41が副傾斜部51に誘い込まれつつ、係止突部37が係止凹部49に後方から挿入される。ダイキャスト部材13の張出部28の前面が基壁43の背面54に対面して突き当たることで、ダイキャスト部材13の組み付け動作が停止される。基壁43の型抜孔46は張出部28によって塞がれる(図2を参照)。フード部27における嵌合周面35より前側の部分は、ハウジング14の嵌合筒部44内に突出し、相手コネクタ80との嵌合時に外導体83と接触可能に配置される。
【0038】
また、係止突部37が係止凹部49に正規に挿入されると、図8に示すように、圧入突起39が係止凹部49の周方向で対向する対向2面52に圧入状態で接触する。これにより、係止突部37が係止凹部49に係止され、ダイキャスト部材13がハウジング14に対して抜け止めされた状態に保持される。
【0039】
さらに、係止突部37が係止凹部49に正規に挿入された状態で、係止凹部49内において、係止突部37の圧入突起39と、係止凹部49の前端側となる奥端側との間に、閉塞空間となる閉塞部53が形成される。閉塞部53は、異物の出入りを規制可能に外部から遮断されている。具体的には、閉塞部53は、係止凹部49の内面を構成する4面と、係止突部37の先細り部41と、フード部27の嵌合周面35と、によって密閉状態に区画されている。
【0040】
係止突部37が係止凹部49に挿入される過程においては、圧入突起39が係止凹部49の対向2面52の樹脂を削りとり、樹脂片を発生させることがある。しかるに本実施形態の場合、発生した樹脂片は、係止凹部49の奥端側に押し込まれ、閉塞部53内に入って留め置かれる。よって、樹脂片が回路基板100上に脱落するのを、比較的簡単な構造で、信頼性良く防止することができる
【0041】
とくに、本実施形態の場合、圧入突起39が係止凹部49の内面に係止されるため、ダイキャスト部材13がハウジング14に安定して保持される。また、閉塞部53が係止凹部49の内側において圧入突起39に係止される部分よりも奥側に形成されていることにより、閉塞部53の密閉状態をより良好に維持することができる。
【0042】
また、係止突部37が張出部28の前面とフード部27の嵌合周面35とに連なるように形成されているため、ダイキャスト部材13を成形する金型の構造が特に複雑化することがない。さらに、係止凹部49が基壁43の貫通孔47と連通しかつ基壁43の背面54に開口して形成されているため、ハウジング14を成形する金型の構造も特に複雑化することがない。
【0043】
さらに、フード部27の外周面には係止突部37を挟んだ両側にリブ42が形成され、リブ42が貫通孔47の内周面に接触するため、ハウジング14に対するダイキャスト部材13の保持力を高めることができ、さらにダイキャスト部材13とハウジング14との間にがたつきが発生するのを抑えることができる。
【0044】
[本開示の他の実施形態]
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えるべきである。
他の実施形態として、係止突部は、圧入突起を有さず、全体として係止凹部に圧入される形状であっても良い。
他の実施形態として、閉塞部は空間ではなく、係止突部の先端と係止凹部の奥端とが接触する面同士の間に形成されていても良い。
他の実施形態として、フード部の外周面にはリブが形成されていなくても良い。 他の実施形態として、ダイキャスト部材は、アルミ合金等からなるアルミダイキャスト製であっても良い。
【符号の説明】
【0045】
10…コネクタ
11…端子
12…誘電体
13…ダイキャスト部材
14…ハウジング
15…相手接続部
16…基板接続部
17…つなぎ部
18…端子装着部
19…端子引出部
21…装着孔
22…嵌合溝
23…引出凹部
24…延出凹部
25…保持突部
26…包囲部
27…フード部
28…張出部
29…天壁部
31…側壁部
32…取付突部
33…嵌合突起
34…段差部
35…嵌合周面
36…突条部
37…係止突部
38…凸本体部
39…圧入突起
41…先細り部
42…リブ
43…基壁
44…嵌合筒部
45…ロック突起
46…型抜孔
47…貫通孔
48…主傾斜部
49…係止凹部
51…副傾斜部
52…対向2面
53…閉塞部
54…背面
80…相手コネクタ
81…相手端子
82…相手誘電体
83…外導体
84…相手ハウジング
85…収容部
86…モジュール
87…ロックアーム
90…ケーブル
91…電線
92…シールド体
100…回路基板
110…取付孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8