(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/6473 20110101AFI20241001BHJP
【FI】
H01R13/6473
(21)【出願番号】P 2021126542
(22)【出願日】2021-08-02
【審査請求日】2023-12-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 周平
【審査官】濱田 莉菜子
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-086414(JP,A)
【文献】特開2019-071272(JP,A)
【文献】特開2002-252066(JP,A)
【文献】米国特許第07762854(US,B1)
【文献】特開平08-298167(JP,A)
【文献】中国実用新案第213184720(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第110943330(CN,A)
【文献】中国実用新案第208272203(CN,U)
【文献】特開2020-013748(JP,A)
【文献】特開2020-109738(JP,A)
【文献】特開2023-008100(JP,A)
【文献】特許第7008659(JP,B2)
【文献】特開2005ー340162(JP,A)
【文献】米国特許第06948977(US,B1)
【文献】特開2019ー003856(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0153175(US,A1)
【文献】中国実用新案第207853075(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R12/00-12/91
H01R13/40-13/533
H01R24/00-24/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性の内導体と、
前記内導体が装着される絶縁性の誘電体と、
前記誘電体を介して前記内導体を包囲するダイキャスト製の外導体と、
前記外導体が後方から装着される絶縁性のハウジングと、
前記外導体と前記ハウジングを互いに連結する連結部材と、を備え
、
前記外導体の後部は、前記ハウジングよりも後方に配置され、
前記連結部材は、前記前後方向と交差する下方から前記外導体の後部と前記ハウジングとに跨るように装着されている、コネクタ。
【請求項2】
前記ハウジングは、保持凹部を有し、前記連結部材は、前記保持凹部に嵌まる保持突部を有し、前記保持凹部と前記保持突部は、前記ハウジングに対する前記外導体の装着方向と交差する上下方向に延びるように形成されている、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記内導体は、前記外導体の背面側に位置する引出部を有し、前記連結部材は、導電性であって、前記引出部を前記背面側から覆う背面遮蔽部を有している、請求項1または請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記内導体は、回路基板に接続され、
前記連結部材は、前記外導体と前記回路基板との間に挟まるように配置される底部を有している、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記連結部材は、導電性であり、
前記連結部材の前記底部は、前記内導体の外周を全周に亘って包囲する開口部を有している、請求項4に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されたコネクタは、内部導体部と称される内導体と、コンタクトボディと、プラグボディと、コーディングハウジングと称されるハウジングと、を備えている。
【0003】
ハウジングは、合成樹脂製である。内導体、コンタクトボディおよびプラグボディは、金属製である。このうち、プラグボディは、ダイキャスト製である。コンタクトボディおよびプラグボディは、互いに組み付けられ、外導体を構成する。外導体は内導体の外周を包囲する。コンタクトボディは、筒状をなし、ハウジングからプラグボディにかけて挿入される。プラグボディは、ハウジングに対し、コンタクトボディの挿入方向と交差する方向から装着される。コンタクトボディは、プラグボディに対し、半田付け、溶接等して固定される。このようなコネクタに関する技術は、特許文献2~6にも開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-71272号公報(第12図~第14図)
【文献】特開2019-12635号公報
【文献】特開2019-3856号公報
【文献】特開2004-241385号公報
【文献】特開2003-197327号公報
【文献】特開平6-60943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ダイキャスト製の外導体にはハウジングに対して弾性的に係止する弾性ロックを設けることができないという事情がある。これに対し、合成樹脂製のハウジングに弾性ロックを設けることは可能であるが、弾性ロックが破損することが懸念される。このため、外導体をハウジングに圧入させる等といった簡易な係止構造をとらざるを得ず、外導体を保持する信頼性に欠ける懸念がある。
【0006】
そこで、本開示は、ダイキャスト製の外導体の、ハウジングへの保持性能を、向上させることが可能なコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のコネクタは、導電性の内導体と、前記内導体を包囲するダイキャスト製の外導体と、前記外導体を装着する絶縁性のハウジングと、前記外導体と前記ハウジングを互いに連結する連結部材と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、ダイキャスト製の外導体の、ハウジングへの保持性能を、向上させることが可能なコネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本実施形態のコネクタの底面図である。
【
図4】
図4は、外導体とハウジングに連結部材を組み付ける前の状態を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、ハウジングに外導体を組み付ける前の状態を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、第1内導体が装着された第1誘電体の斜視図である。
【
図7】
図7は、第2内導体が装着された第2誘電体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示のコネクタは、
(1)導電性の内導体と、前記内導体を包囲するダイキャスト製の外導体と、前記外導体を装着する絶縁性のハウジングと、前記外導体と前記ハウジングを互いに連結する連結部材と、を備える。
上記構成によれば、ダイキャスト製の外導体とハウジングが連結部材を介して互いに連結されるため、外導体の、ハウジングへの保持性能を、向上させることができる。
【0011】
(2)前記ハウジングは、保持凹部を有し、前記連結部材は、前記保持凹部に嵌まる保持突部を有し、前記保持凹部と前記保持突部は、前記ハウジングに対する前記外導体の装着方向と交差する方向に延びるように形成されているのが好ましい。
上記構成によれば、連結部材とハウジングが互いに離脱するのを防止することができる。
【0012】
(3)前記内導体は、前記外導体の背面側に位置する引出部を有し、前記連結部材は、導電性であって、前記引出部を前記背面側から覆う背面遮蔽部を有していると良い。
上記構成によれば、内導体の引出部が背面側に露出することなく背面遮蔽部で覆われる。このように、連結部材がシールド性能を備えていれば、ハウジングの背面を閉塞する専用のシールドカバー等を設ける必要がなく、全体の構成を簡素化することができる。
【0013】
(4)前記内導体は、回路基板に接続され、前記連結部材は、前記外導体と前記回路基板との間に挟まるように配置される底部を有していると良い。
上記構成によれば、外導体と回路基板との間に底部を留め置くことができ、コネクタが回路基板に設置された状態で、連結部材が外導体から離脱するのを、特別な係止構造を設けることなく、防止することができる。
【0014】
(5)前記連結部材は、導電性であり、前記連結部材の前記底部は、前記内導体の外周を全周に亘って包囲する開口部を有していると良い。
上記構成によれば、内導体が底部の開口部内に配置されることにより、シールド性能を向上させることができ、さらに、インピーダンスの整合を図ることができる。
【0015】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の実施形態の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0016】
本実施形態のコネクタ10は、
図2に示すように、回路基板100に実装される基板用コネクタを例示している。
図1および
図2に示すように、コネクタ10は、内導体11と、誘電体12と、外導体13と、ハウジング14と、連結部材15と、を備えている。ハウジング14は、図示しない相手コネクタに嵌合可能とされている。なお、以下の説明において、前後方向については、相手コネクタに嵌合する側を前側とする。
図1および
図2の右側が前側である。上下方向は、コネクタ10に対して回路基板100が位置する側を下側とする。
図2~
図7、
図9、
図11および
図13の上下方向が上下方向になる。
【0017】
<内導体>
内導体11は導電性の金属板材からなり、
図2に示すように、全体として細長く延びるように形成されている。内導体11は、上下方向に延びる引出部16と、引出部16の上端から前方に延びる延出部17と、を有している。引出部16の下端部は、回路基板100のスルーホール101に挿入され、回路基板100の導電部分に半田付けして接続される。延出部17の前端部は、相手コネクタとの嵌合時に図示しない相手内導体に接続される。本実施形態の場合、内導体11は、第1内導体11Aと、第1内導体11Aよりも短い長さの第2内導体11Bと、によって構成される。
【0018】
<誘電体>
誘電体12は絶縁性の合成樹脂材からなり、全体として側面視L字形に形成されている。
図6および
図7に示すように、誘電体12は、上下方向に延びる端子沿設部18と、端子沿設部18の上端から前方に延びる端子装着部19と、を有している。
図2に示すように、端子装着部19には、前後方向に貫通する装着孔21が形成されている。内導体11の延出部17は、装着孔21に後方から挿入される。
図6および
図7に示すように、端子沿設部18には、上下方向に延びる沿設溝22が形成されている。沿設溝22は、誘電体12の後面と下面とに開口している。沿設溝22の上端は、装着孔21の後端に連通している。内導体11の引出部16は、沿設溝22に沿って配置される。本実施形態の場合、誘電体12は、第1誘電体12A(
図6を参照)と、第1誘電体12Aよりも短い小型の第2誘電体12B(
図7を参照)と、によって構成される。第1誘電体12Aの端子装着部19には第1内導体11Aが装着される。第2誘電体12Bの端子装着部19には第2内導体11Bが装着される。
【0019】
<外導体>
外導体13は導電性であって、例えば、亜鉛合金等のダイキャスト製の部材として構成される。
図9に示すように、外導体13には、4つの挿入孔23が前後方向に貫通して形成されている。4つの挿入孔23は、外導体13の上部と下部のそれぞれに左右に対をなして形成されている。各挿入孔23は、外導体13の後方に開放されている。各挿入孔23には、後方から誘電体12が挿入される。
【0020】
図5に示すように、外導体13の前部には、4つの円筒24(
図5には3つの円筒24を図示)を一体に連結してなる連筒部25が形成されている。
図2に示すように、各挿入孔23の前部は、連筒部25の各円筒24内に形成されている。
【0021】
図9に示すように、外導体13の後部には、背面視門型の外形形状をなす包囲部26が形成されている。包囲部26は、外導体13の上部に位置する上段部27と、上段部27に段付き状に連なり、外導体13の下部に位置する下段部28と、を有している。上段部27と下段部28は段付き状に連なっている。
図8に示すように、上段部27の後面は、包囲部26の後端よりも前方に引っ込むように配置されている。下段部28の後面は、上段部27の後面よりも前方に引っ込むように配置されている。
図2に示すように、上段部27には、外導体13の上部の挿入孔23が貫通して形成されている。下段部28には、外導体13の下部の挿入孔23が貫通して形成されている。また、
図8および
図9に示すように、上段部27と下段部28のそれぞれには、複数の嵌合受部29が形成されている。各嵌合受部29は、前後方向に延びる突状または凹状をなしている。包囲部26内には、上段部27と下段部28のそれぞれの下方に、保持空間31が形成されている。保持空間31は、包囲部26の後方と下方に開放されている。
図1および
図2に示すように、包囲部26の保持空間31には、下方から連結部材15が挿入される。
【0022】
包囲部26の左右側壁の下端部には、前後一対ずつの脚部32が下方に突出して形成されている。各脚部32は、回路基板100の各位置決め孔102に挿入される。これにより、コネクタ10が回路基板100に位置決めされた状態に配置される。
【0023】
<ハウジング>
ハウジング14は絶縁性の合成樹脂材からなり、
図11に示すように、背面視矩形の外形形状をなす基部33と、
図2に示すように、基部33から前方に突出するフード部34と、を有している。フード部34内には、嵌合空間35が形成されている。フード部34の嵌合空間35には、前方から図示しない相手コネクタが嵌合される。
【0024】
図11に示すように、基部33には、貫通孔36が前後方向に貫通して形成されている。貫通孔36は、外導体13の連筒部25の外形形状と対応する断面形状をなし、嵌合空間35と連通している。
図2に示すように、外導体13の連筒部25は、貫通孔36を通して嵌合空間35に突出して配置される。
【0025】
図10に示すように、基部33には、左右一対のガイド部37が形成されている。各ガイド部37は、上下方向に延びるリブ状をなし、左右に対向する対向面38を有している。
図10に示すように、各ガイド部37の対向面38には、左右一対の保持凹部39が開口して形成されている。各保持凹部39は、各ガイド部37に沿って上下方向に延び、下端が基部33の下面に開口している。
図1に示すように、各保持凹部39には、連結部材15の後述する各保持突部44が挿入される。
【0026】
<連結部材>
連結部材15は導電性であって、例えば、亜鉛または亜鉛合金等のダイキャスト製の部材として構成される。
図4、
図12および
図13に示すように、連結部材15は、底部41と、底部41の後端に連なる背面遮蔽部42と、底部41の前端に連なる端壁部43と、端壁部43の左右端部に連なる左右一対の保持突部44と、を有している。
【0027】
図3および
図4に示すように、背面遮蔽部42は、背面視矩形の外形形状をなしている。
図2に示すように、底部41は、外導体13の上段部27に接触可能な高背部45と、外導体13の下段部28に接触可能な低背部46と、を有している。
図13に示すように、高背部45は、背面遮蔽部42に連なる。低背部46は、高背部45よりも低く、高背部45の前端に段付き状に連なる。
図12および
図13に示すように、背面遮蔽部42、低背部46および高背部45のそれぞれの上面には、複数の嵌合部47が形成されている。各嵌合部47は、前後方向に延びる凹状または突状をなし、外導体13の各嵌合受部29に凹凸状に嵌合可能とされている。本実施形態の場合、凹状の嵌合部47は、背面遮蔽部42に形成され、突状の嵌合部47は、低背部46および高背部45に形成されている。
【0028】
図1および
図12に示すように、底部41には、4つの開口部48が上下方向に貫通して形成されている。各開口部48は、底面視矩形の開口形状をなし、低背部46と高背部45のそれぞれに左右に対をなして形成されている。各開口部48には、各誘電体12が挿入される。
図2に示すように、第2誘電体12Bは、低背部46の開口部48に挿入され、第1誘電体12Aは、高背部45の開口部48に挿入される。
【0029】
図13に示すように、連結部材15の外面には、上下方向に長く延びる複数のリブ49が形成されている。各リブ49は、背面遮蔽部42、高背部45と低背部46のそれぞれの左右側面に、前後方向に間隔を置いて配置されている。
【0030】
図12に示すように、各リブ49は、連結部材15の内面側にも形成されている。具体的には、各リブ49は、各嵌合部47の左右側面に形成されている。連結部材15の外面に形成された各リブ49は保持空間31の内面に接触可能とされ(
図1を参照)、連結部材15の内面に形成された各リブ49は嵌合受部29に接触可能とされている。
【0031】
端壁部43は、基部33における各ガイド部37間に挿入される。左右一対の保持突部44は、端壁部43の左右端部にそれぞれに起立して形成されている。具体的には、各保持突部44は、断面矩形状をなし、上下方向に延びるように形成されている。各保持突部44は各保持凹部39に挿入される。
図4に示すように、各保持突部44は、自身の強度を確保するべく、端壁部43側に向けて徐々に左右幅が大きくなるようにU字形に形成されている。
【0032】
図1に示すように、連結部材15の下面には、突端部51が形成されている。突端部51は、各開口部48の周囲を取り囲むように延びる周囲部52と、周囲部52を挟んだ前後両側に左右一対ずつ形成される支持端部53と、によって構成される。
図2に示すように、突端部51の下面は、平坦に形成され、回路基板100の表面に設置される。
【0033】
<コネクタの組み付け構造および作用>
外導体13の連筒部25は、
図5から
図4にかけて示すように、ハウジング14の基部33の貫通孔36に後方から挿入される。連筒部25の後部は、貫通孔36の内面に形成された圧入リブ54(
図5および
図11を参照)を介して、ハウジング14の貫通孔36に圧入されて一次的に保持される。
【0034】
内導体11の延出部17は、
図6および
図7に示すように、誘電体12の端子装着部19の装着孔21に後方から挿入される。延出部17の後部は、圧入突起55(
図2を参照)を介して、誘電体12の装着孔21に圧入されて保持される。
【0035】
誘電体12は、
図4に示すように、外導体13の挿入孔23に後方から挿入される。誘電体12の端子装着部19は、突条部56(
図6および
図7を参照)を介して、外導体13の挿入孔23に圧入されて保持される。
図2に示すように、内導体11の延出部17の前端部は、連筒部25の挿入孔23に突出して配置される。
【0036】
なお、ハウジング14に対する外導体13の組み付け工程、誘電体12に対する内導体11の組み付け工程、および外導体13に対する誘電体12の組み付け工程の各順番は、とくに限定されず、任意である。
【0037】
図4から
図3にかけて示すように、外導体13がハウジング14に一次的に保持された状態から、外導体13とハウジング14に跨るようにして、前後方向と交差する下方から連結部材15が装着される。連結部材15が正規に装着されると、背面遮蔽部42が包囲部26の後面開口の全体を閉塞する。また、
図1および
図2に示すように、背面遮蔽部42および底部41は、包囲部26内の保持空間31に全体が嵌り込む。そして、各リブ49がそれぞれ保持空間31の内面および各嵌合受部29に接触する。これにより、連結部材15が外導体13から下方へ離脱するのが規制される。
【0038】
さらに、連結部材15が正規に装着されると、各保持突部44が各保持凹部39に全体が嵌り込む。ここで、各保持突部44の後面が各保持凹部39の内面に接触可能に対向し(
図1を参照)、高背部45の前面が下段部28の後面に接触可能に対向して配置される。これにより、ハウジング14と外導体13は、連結部材15を介して、前後方向に互いに離間するのが規制された状態になる。その結果、外導体13がハウジング14に対して二次的に確実に保持される。
【0039】
上記のとおり、背面遮蔽部42および底部41は、包囲部26内の保持空間31を埋めるように保持空間31に嵌合されるので、外導体13のシールド性能を補完することができる。とくに、
図2に示すように、第1内導体11Aの引出部16の後方が
背面遮蔽部42で覆われ、第2内導体11Bの引出部16の後方が高背部45で覆われる。結果として、各内導体11の引出部16は、誘電体12を介して、開口部48によって全周が包囲された状態になる。このため、シールド性能をより向上させることができる。
【0040】
しかも、コネクタ10が回路基板100に実装されると、連結部材15の突端部51が回路基板100の表面に接触して支持される。ここで、各内導体11の引出部16は、誘電体12から回路基板100に至るまでの間においても、周囲が突端部51の周囲部52で包囲された状態になる。その結果、シールド性能のさらなる向上を図ることができるとともに、インピーダンスの整合を図ることができる。
【0041】
このように、本実施形態によれば、ダイキャスト製の外導体13とハウジング14が連結部材15を介して互いに連結されるため、外導体13をハウジング14に圧入させるだけの場合等と比べ、外導体13の保持信頼性を向上させることができる。
【0042】
とくに、ハウジング14の保持凹部39と連結部材15の保持突部44が外導体13の装着方向と交差する上下方向に延びるように形成され、保持突部44が保持凹部39に凹凸状に嵌合するため、連結部材15とハウジング14が互いに離脱するのを確実に防止することができる。
また、連結部材15は、導電性であって、第1内導体11Aの引出部16を後方から覆う背面遮蔽部42を有し、連結機能に加え、シールド性能を兼ね備えている。結果として、外導体13の後面開口を覆う専用のシールドカバー等を別に設ける必要がないので、全体の構成を簡素化することができる。
【0043】
さらに、コネクタ10が回路基板100に実装されると、底部41が外導体13と回路基板100との間に挟まるように保持されるため、連結部材15が外導体13およびハウジング14から離脱するのを、特別な係止構造を設けることなく、防止することができる。
【0044】
[本開示の他の実施形態]
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えるべきである。
上記実施形態の場合、連結部材は、導電性であって、シールド性能を有していたが、他の実施形態として、連結部材は、シールド性能を有さす、例えば、外導体とハウジングを連結する連結機能のみを有する形態であっても良い。連結機能のみを有する連結部材は、絶縁性の部材、例えば、合成樹脂製の部材であっても良い。
上記実施形態の場合、コネクタは、基板用コネクタであったが、他の実施形態として、コネクタは、内導体が電線の端部に接続されるハーネスコネクタであっても良い。
上記実施形態の場合、外導体は、亜鉛合金のダイキャスト製であったが、他の実施形態として、外導体は、例えば、アルミ合金のダイキャスト製であっても良い。
【符号の説明】
【0045】
10…コネクタ
11…内導体
11A…第1内導体
11B…第2内導体
12…誘電体
12A…第1誘電体
12B…第2誘電体
13…外導体
14…ハウジング
15…連結部材
16…引出部
17…延出部
18…端子沿設部
19…端子装着部
21…装着孔
22…沿設溝
23…挿入孔
24…円筒
25…連筒部
26…包囲部
27…上段部
28…下段部
29…嵌合受部
31…保持空間
32…脚部
33…基部
34…フード部
35…嵌合空間
36…貫通孔
37…ガイド部
38…対向面
39…保持凹部
41…底部
42…背面遮蔽部
43…端壁部
44…保持突部
45…高背部
46…低背部
47…嵌合部
48…開口部
49…リブ
51…突端部
52…周囲部
53…支持端部
54…圧入リブ
55…圧入突起
56…突条部
100…回路基板
101…スルーホール
102…位置決め孔