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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】検出装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/00 20140101AFI20241001BHJP
   G01N 21/88 20060101ALN20241001BHJP
【FI】
B23K26/00 P
G01N21/88 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021128316
(22)【出願日】2021-08-04
(65)【公開番号】P2023023103
(43)【公開日】2023-02-16
【審査請求日】2024-01-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】古川 雅志
(72)【発明者】
【氏名】上田 昂洋
【審査官】柏原 郁昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-225481(JP,A)
【文献】特開2007-098442(JP,A)
【文献】特開2020-034549(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00
G01N 21/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
反射体に照射したレーザ光の戻り光を検出する検出装置であって、
連結可能な2個以上の筐体と、
前記筐体に連結可能な第1の光検出器と、
前記筐体に連結可能な第2の光検出器と、
を備え、
前記筐体は、前記筐体に形成された第1の開口部と、前記筐体における前記第1の開口部が形成された面に配置され、前記第1の光検出器が前記第1の開口部に入射した光を検出できるように当該第1の光検出器が連結可能な第1の連結部と、前記筐体に形成された第2の開口部と、前記筐体における前記第2の開口部が形成された面に配置され、前記第2の光検出器が前記第2の開口部に入射した光を検出できるように当該第2の光検出器が連結可能な第2の連結部と、前記第1の連結部と向かい合うように前記筐体に形成された第3の開口部と、を有し、
少なくとも1個の筐体は、前記第1の開口部と前記第3の開口部との間に配置されたダイクロイックミラーを有し、
前記ダイクロイックミラーは、前記第3の開口部から入射した光の第1の波長を有する光を前記第1の開口部に透過させると共に、前記入射した光の第2の波長を有する光を前記第2の開口部に反射させる、検出装置。
【請求項2】
前記第1の連結部は、前記筐体の第1の開口部の周面に形成された第1の雌ねじ部を備え、
前記第1の雌ねじ部に前記第1の光検出器に形成された雄ねじ部がねじ込まれることで、前記筐体と前記第1の光検出器とが連結される、請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
前記第2の連結部は、前記筐体の第2の開口部の周面に形成された第2の雌ねじ部を備え、
前記第2の雌ねじ部に前記第2の光検出器に形成された雄ねじ部がねじ込まれることで、前記筐体と前記第2の光検出器とが連結される、請求項1又は2に記載の検出装置。
【請求項4】
前記筐体は、前記筐体における前記第3の開口部が形成された面に配置され、前記第1の光検出器又は前記第2の光検出器が前記第3の開口部に入射した光を検出できるように当該第1の光検出器又は当該第2の光検出器が連結可能な第3の連結部を備える、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項5】
前記第3の連結部は、前記筐体の第3の開口部の周面に形成された第3の雌ねじ部を備え、
前記第3の雌ねじ部に前記第1の光検出器に形成された雄ねじ部又は前記第2の光検出器に形成された雄ねじ部がねじ込まれることで、前記筐体と前記第1の光検出器又は前記第2の光検出器とが連結される、請求項4に記載の検出装置。
【請求項6】
前記2個以上の筐体を連結する連結板を備え、
前記連結板は、前記2個以上の筐体を挟み込むように配置される、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、検出装置に関し、例えば、反射体に照射したレーザ光の戻り光を検出する検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的にレーザ溶接の加工点での溶着状態を判定する場合、特許文献1に開示されているように、加工点でのレーザ光の戻り光を検出装置で検出し、検出した光の強度に基づいて、当該加工点の溶着状態の良否を判定している。
【0003】
このとき、一般的な検出装置は、筐体内でミラーを介して光をセンサ(光検出器)に導く構成とされており、光検出器の配置が固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-35307号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本出願人は、以下の課題を見出した。一般的な検出装置は、光検出器の配置が固定されているため、例えば、光検出器の配置を適宜、変更することができない課題を有する。
【0006】
本開示は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、光検出器の配置を適宜、変更可能な検出装置を実現する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る検出装置は、反射体に照射したレーザ光の戻り光を検出する検出装置であって、
連結可能な2個以上の筐体と、
前記筐体に連結可能な第1の光検出器と、
前記筐体に連結可能な第2の光検出器と、
を備え、
前記筐体は、前記筐体に形成された第1の開口部と、前記筐体における前記第1の開口部が形成された面に配置され、前記第1の光検出器が前記第1の開口部に入射した光を検出できるように当該第1の光検出器が連結可能な第1の連結部と、前記筐体に形成された第2の開口部と、前記筐体における前記第2の開口部が形成された面に配置され、前記第2の光検出器が前記第2の開口部に入射した光を検出できるように当該第2の光検出器が連結可能な第2の連結部と、前記第1の連結部と向かい合うように前記筐体に形成された第3の開口部と、を有し、
少なくとも1個の筐体は、前記第1の開口部と前記第3の開口部との間に配置されたダイクロイックミラーを有し、
前記ダイクロイックミラーは、前記第3の開口部から入射した光の第1の波長を有する光を前記第1の開口部に透過させると共に、前記入射した光の第2の波長を有する光を前記第2の開口部に反射させる。
【0008】
上述の検出装置において、前記第1の連結部は、前記筐体の第1の開口部の周面に形成された第1の雌ねじ部を備え、
前記第1の雌ねじ部に前記第1の光検出器に形成された雄ねじ部がねじ込まれることで、前記筐体と前記第1の光検出器とが連結されることが好ましい。
【0009】
上述の検出装置において、前記第2の連結部は、前記筐体の第2の開口部の周面に形成された第2の雌ねじ部を備え、
前記第2の雌ねじ部に前記第2の光検出器に形成された雄ねじ部がねじ込まれることで、前記筐体と前記第2の光検出器とが連結されることが好ましい。
【0010】
上述の検出装置において、前記筐体は、前記筐体における前記第3の開口部が形成された面に配置され、前記第1の光検出器又は前記第2の光検出器が前記第3の開口部に入射した光を検出できるように当該第1の光検出器又は当該第2の光検出器が連結可能な第3の連結部を備えることが好ましい。
【0011】
上述の検出装置において、前記第3の連結部は、前記筐体の第3の開口部の周面に形成された第3の雌ねじ部を備え、
前記第3の雌ねじ部に前記第1の光検出器に形成された雄ねじ部又は前記第2の光検出器に形成された雄ねじ部がねじ込まれることで、前記筐体と前記第1の光検出器又は前記第2の光検出器とが連結されることが好ましい。
【0012】
上述の検出装置は、前記2個以上の筐体を連結する連結板を備え、
前記連結板は、前記2個以上の筐体を挟み込むように配置されることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、光検出器の配置を適宜、変更可能な検出装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施の形態の検出装置を示す斜視図である。
図2】実施の形態の検出装置を示す分解図である。
図3】実施の形態の検出装置の光の経路を説明するための図である。
図4】実施の形態の第1の光検出器を示す斜視図である。
図5】実施の形態の第2の光検出器を示す斜視図である。
図6】実施の形態の検出装置を用いて、レーザ溶接の加工点からの戻り光を検出する際のシステム構成を説明するための図である。
図7】異なる組み合わせ例1の検出装置を示す斜視図である。
図8】異なる組み合わせ例2の検出装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。但し、本開示が以下の実施の形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。
【0016】
<実施の形態1>
先ず、本実施の形態の検出装置の構成を説明する。本実施の形態の検出装置は、例えば、レーザ溶接の加工点の溶着状態の良否を判定する際に、当該加工点からの戻り光を検出するために好適である。
【0017】
図1は、本実施の形態の検出装置を示す斜視図である。図2は、本実施の形態の検出装置を示す分解図である。図3は、本実施の形態の検出装置の光の経路を説明するための図である。図4は、本実施の形態の第1の光検出器を示す斜視図である。図5は、本実施の形態の第2の光検出器を示す斜視図である。なお、図2では、ボルトを省略している。ここで、以下の説明では、説明を明確にするために、三次元(XYZ)座標系を用いて説明する。
【0018】
検出装置1は、例えば、図1及び図2に示すように、第1の筐体2、第1の光検出器3、第2の光検出器4、第2の筐体5、及び連結板6を備えている。第1の筐体2は、図1乃至図3に示すように、筐体本体21及びダイクロイックミラー22を備えている。
【0019】
筐体本体21は、例えば、図2に示すように、中空の平行六面体を基本形態としており、第1の平面部21a、第2の平面部21b、第3の平面部21c、第4の平面部21d、第5の平面部21e、第6の平面部21f、第1の開口部21g、第2の開口部21h及び第3の開口部21iを備えている。なお、後述する各々の平面部及び開口部の配置は、一例であり、検出装置を構成するための他の筐体との組み合わせなどによって、適宜、変更できる。
【0020】
例えば、第1の平面部21a及び第2の平面部21bは、XY平面と略平行に配置されており、互いに対向している。第3の平面部21c及び第4の平面部21dは、XZ平面と略平行に配置されており、互いに対向している。第5の平面部21e及び第6の平面部21fは、YZ平面と略平行に配置されており、互いに対向している。
【0021】
第1の開口部21gは、第1の平面部21aをZ軸方向に貫通する。第1の開口部21gは、例えば、円柱形状を基本形態としており、第1の開口部21gの周面に雌ねじ部21jが形成されている。
【0022】
第2の開口部21hは、第5の平面部21eをX軸方向に貫通する。第2の開口部21hは、例えば、円柱形状を基本形態としており、第2の開口部21hの周面に雌ねじ部21kが形成されている。
【0023】
第3の開口部21iは、第2の平面部21bをZ軸方向に貫通する。このとき、第1の開口部21gと第3の開口部21iとは、Z軸方向から見て略重なるように配置されている。第3の開口部21iは、例えば、円柱形状を基本形態としており、第1の開口部21gの中心軸と第3の開口部21iの中心軸とが略重なるように配置されている。なお、第3の開口部21iの周面にも光検出器などを連結可能な雌ねじ部が形成されていることが好ましい。
【0024】
ダイクロイックミラー22は、図3に示すように、筐体本体21の内部に配置されている。詳細には、ダイクロイックミラー22は、第3の開口部21iから入射した光の第1の波長を有する光を透過させて第1の開口部21gに導くと共に、当該入射した光の第2の波長を有する光を反射させて第2の開口部21hに導く。
【0025】
第1の光検出器3は、光電変換によって光を検出可能な構成とされており、例えば、フォトダイオードを備えている。第1の光検出器3のZ軸-側の端部は、図4に示すように、円筒形状であり、当該Z軸-側の端部の周面には、雄ねじ部3aが形成されている。
【0026】
第1の光検出器3の雄ねじ部3aは、第1の筐体2の第1の開口部21gの雌ねじ部21jにねじ込まれることで、第1の光検出器3が第1の筐体2に連結される。そのため、第1の筐体2の第1の開口部21gの雌ねじ部21jは、第1の光検出器3との連結部として機能することになる。
【0027】
第2の光検出器4も、光電変換によって光を検出可能な構成とされており、例えば、フォトダイオードを備えている。第2の光検出器4のX軸-側の端部は、図5に示すように、円筒形状であり、当該X軸-側の端部の周面には、雄ねじ部4aが形成されている。
【0028】
第2の光検出器4の雄ねじ部4aは、第1の筐体2の第2の開口部21hの雌ねじ部21kにねじ込まれることで、第2の光検出器4が第1の筐体2に連結される。そのため、第1の筐体2の第2の開口部21hの雌ねじ部21kは、第2の光検出器4との連結部として機能することになる。
【0029】
第2の筐体5は、図1乃至図3に示すように、第1の筐体2に対してZ軸-側に配置されている。第2の筐体5は、筐体本体51及びハーフミラー52を備えている。筐体本体51は、例えば、図2に示すように、中空の平行六面体を基本形態としており、第1の筐体2の筐体本体51と略等しい形状である。
【0030】
筐体本体51は、第1の平面部51a、第2の平面部51b、第3の平面部51c、第4の平面部51d、第5の平面部51e、第6の平面部51f、第1の開口部51g、第2の開口部51h及び第3の開口部51iを備えている。なお、後述する各々の平面部及び開口部の配置は、一例であり、検出装置を構成するための他の筐体との組み合わせなどによって、適宜、変更できる。
【0031】
例えば、第1の平面部51a及び第2の平面部51bは、XY平面と略平行に配置されており、互いに対向している。第3の平面部51c及び第4の平面部51dは、XZ平面と略平行に配置されており、互いに対向している。第5の平面部51e及び第6の平面部51fは、YZ平面と略平行に配置されており、互いに対向している。
【0032】
第1の開口部51gは、第1の平面部51aをZ軸方向に貫通する。第1の開口部51gは、例えば、円柱形状を基本形態としており、後述するように第1の筐体2と第2の筐体5とが連結された状態で、第1の筐体2の第1の開口部21g及び第3の開口部21iと、第2の筐体5の第1の開口部51gと、は略重なるように配置される。
【0033】
このとき、例えば、後述するように第1の筐体2と第2の筐体5とが連結された状態で、第1の筐体2の第1の開口部21gの中心軸と、第1の筐体2の第3の開口部21iの中心軸と、第2の筐体5の第1の開口部51gの中心軸と、は略重なるように配置される。
【0034】
第2の開口部51hは、第5の平面部51eをX軸方向に貫通する。ここで、第2の筐体5の第5の平面部51eは、図3に示すように、第2の開口部51hを介して加工点へのレーザ光の照射位置を確認するためのカメラ(即ち、光検出器)7などを連結可能な構成とされていることが好ましい。
【0035】
その一方で、第2の筐体5の第5の平面部51eにカメラ7などを連結しない場合、当該第3の平面部51cは、図1などに示すように、蓋8によって第2の開口部51hを覆うことができる構成とされていることが好ましい。
【0036】
第3の開口部51iは、第6の平面部51fをX軸方向に貫通する。このとき、第2の開口部51hと第3の開口部51iとは、X軸方向から見て略重なるように配置されている。なお、第2の筐体5の筐体本体51として第1の筐体2の筐体本体21を流用してもよい。
【0037】
ハーフミラー52は、図3に示すように、筐体本体51の内部に配置されている。詳細には、ハーフミラー52は、第3の開口部51iから入射した光を透過させて第2の開口部51hに導くと共に、当該光を反射させて第1の開口部51gに導く。
【0038】
連結板6は、図1及び図2に示すように、Z軸方向で積み重ねられた第1の筐体2と第2の筐体5とを連結する。そして、連結板6は、Z軸方向で積み重ねられた第1の筐体2と第2の筐体5とをY軸方向で挟み込むように配置されている。つまり、連結板6は、第1の筐体2と第2の筐体5との積層方向に対して略直交する方向から第1の筐体2と第2の筐体5とを挟み込んでいる。
【0039】
詳細には、本実施の形態では、図2に示すように、連結板6として第1の連結板61及び第2の連結板62を備えている。第1の連結板61及び第2の連結板62は、略等しい形状であり、Z軸方向に長手を有する平板形状を基本形態としている。
【0040】
第1の連結板61は、Z軸方向で積み重ねられた第1の筐体2及び第2の筐体5に対してY軸+側に配置された状態で、第1の筐体2と第2の筐体5とを跨ぐように、第1の筐体2の第3の平面部21c及び第2の筐体5の第3の平面部51cにボルト9を介して接続されている。
【0041】
第2の連結板62は、Z軸方向で積み重ねられた第1の筐体2及び第2の筐体5に対してY軸-側に配置された状態で、第1の筐体2と第2の筐体5とを跨ぐように、第1の筐体2の第4の平面部21d及び第2の筐体5の第4の平面部51dにボルト9を介して接続されている。
【0042】
次に、本実施の形態の検出装置1を組み立てる手順を説明する。先ず、第2の筐体5の第1の平面部51aと第1の筐体2の第2の平面部21bとが略面接触するように、第2の筐体5のZ軸+側に第1の筐体2を配置する。
【0043】
次に、第1の連結板61を第1の筐体2及び第2の筐体5に対してY軸+側に配置し、第1の連結板61を第1の筐体2の第3の平面部21c及び第2の筐体5の第3の平面部51cにボルト9を介して接続する。
【0044】
また、第2の連結板62を第1の筐体2及び第2の筐体5に対してY軸-側に配置し、第2の連結板62を第1の筐体2の第4の平面部21d及び第2の筐体5の第4の平面部51dにボルト9を介して接続する。
【0045】
これにより、第1の筐体2と第2の筐体5とを連結することができる。このとき、Z軸方向から見て、第1の筐体2の第1の開口部21gと、第1の筐体2の第3の開口部21iと、第2の筐体5の第1の開口部51gと、は略重なるように配置される。
【0046】
ここで、上述のような平行六面体の第1の筐体2及び第2の筐体5を第1の連結板61と第2の連結板62とで挟み込んで連結することで、ダイクロイックミラー22やハーフミラー52のZ軸回りの回転を抑制することができる。
【0047】
しかも、第1の筐体2の第1の開口部21gの中心軸と、第1の筐体2の第3の開口部21iの中心軸と、第2の筐体5の第1の開口部51gの中心軸と、のズレを抑制しつつ、第1の筐体2と第2の筐体5とを連結することができる。
【0048】
次に、第1の光検出器3の雄ねじ部3aを第1の筐体2の第1の開口部21gの雌ねじ部21jにねじ込む。それと共に、第2の光検出器4の雄ねじ部4aを第1の筐体2の第2の開口部21hの雌ねじ部21kにねじ込む。これにより、第1の光検出器3及び第2の光検出器4を第1の筐体2に連結することができる。
【0049】
このように第1の光検出器3及び第2の光検出器4と、第1の筐体2と、をねじ構造によって連結するので、大凡、第1の光検出器3の中心を第1の筐体2の第1の開口部21gの中心軸上に精度良く配置することができると共に、第2の光検出器4の中心を第1の筐体2の第2の開口部21hの中心軸上に精度良く配置することができる。
【0050】
次に、本実施の形態の検出装置1を用いて、レーザ溶接の加工点の溶着状態の良否を判定する流れを説明する。図6は、本実施の形態の検出装置を用いて、レーザ溶接の加工点からの戻り光を検出する際のシステム構成を説明するための図である。
【0051】
ここで、図6に示すように、溶接ヘッド10を用いてアルミニウムや鉄などから成る第1の金属板(即ち、反射体)11とアルミニウムや鉄などから成る第2の金属板12とを重ね継手溶接するためにレーザ光LBを照射した際に、加工点である溶融池MPで反射した戻り光RLが検出装置1の第2の筐体5の第3の開口部51iの中心に入射するように、検出装置1が溶接ヘッド10に連結されている。
【0052】
このとき、検出装置1の第1の光検出器3及び第2の光検出器4は、検出した光の強度に基づいて加工点の溶着状態の良否を判定するための判定装置13に電気的に接続されている。なお、検出装置1は、ブラケット14(図3を参照)を介して溶接ヘッド10に連結することができる。
【0053】
先ず、溶接ヘッド10のハーフミラー101を介して筐体102に入射したレーザ光LBをスキャナ103に導き、その後、当該レーザ光LBをスキャナ103の走査によって第1の金属板11の所望の位置に照射する。
【0054】
このとき、溶融池MPで反射した戻り光RLは、スキャナ103を介してハーフミラー101に入射し、ハーフミラー101を透過して筐体102の開口部に導かれ、筐体102の開口部から検出装置1の第2の筐体5の第3の開口部51iに入射する。
【0055】
そして、図3に示すように、戻り光RLは、第2の筐体5のハーフミラー52で反射し、第1の開口部51g及び第1の筐体2の第3の開口部21iに介して当該第1の筐体2のダイクロイックミラー22に導かれる。
【0056】
一方、戻り光RLは、第2の筐体5のハーフミラー52を透過して第2の開口部51hに導かれる。このとき、第2の筐体5の第3の平面部51cにカメラ7が連結されている場合、カメラ7によってレーザ光LBの照射位置を観察することができる。
【0057】
その後、戻り光RLの第1の波長を有する光RL1は、ダイクロイックミラー22を透過し、第1の開口部21gを介して第1の光検出器3に導かれる。一方、戻り光RLの第2の波長を有する光RL2は、ダイクロイックミラー22で反射し、第2の開口部21hを介して第2の光検出器4に導かれる。
【0058】
このとき、本実施の形態の検出装置1では、ダイクロイックミラー22やハーフミラー52のZ軸回りの回転が抑制されている。しかも、本実施の形態の検出装置1では、第1の筐体2の第1の開口部21gの中心軸と、第1の筐体2の第3の開口部21iの中心軸と、第2の筐体5の第1の開口部51gの中心軸と、が略重なるように配置されている。
【0059】
また、本実施の形態の検出装置1では、大凡、第1の光検出器3の中心が第1の筐体2の第1の開口部21gの中心軸上に配置されていると共に、第2の光検出器4の中心が第1の筐体2の第2の開口部21hの中心軸上に配置されている。
【0060】
そのため、戻り光RLの光路ズレを抑制しつつ、大凡、第1の光検出器3の中心に戻り光RLの第1の波長を有する光RL1を精度良く導くことができると共に、第2の光検出器4の中心に戻り光RLの第2の波長を有する光RL2を精度良く導くことができる。これにより、本実施の形態の検出装置1は、戻り光RLの検出精度を向上させることができる。
【0061】
次に、第1の光検出器3は、戻り光RLの第1の波長を有する光RL1を光電変換し、光の強度を示す信号を判定装置13に出力する。一方、第2の光検出器4は、戻り光RLの第2の波長を有する光RL2を光電変換し、光の強度を示す信号を判定装置13に出力する。
【0062】
次に、判定装置13は、入力された信号が示す光の強度に基づいて、レーザ溶接の加工点の溶着状態の良否を判定する。判定装置13は、例えば、時系列に入力された信号が示す光の強度の波形と予め設定された基準波形との各時点での差分が、予め設定された閾値より大きい場合、加工点の溶着状態が不良であると判定する。
【0063】
一方、判定装置13は、例えば、時系列で入力される信号が示す光の強度の波形と予め設定された基準波形との各時点での差分が、予め設定された閾値以下の場合、加工点の溶着状態が良好であると判定する。
【0064】
次に、第1の筐体2、第1の光検出器3及び第2の光検出器4を用いた検出装置の異なる組み合わせ例を説明する。図7は、異なる組み合わせ例1の検出装置を示す斜視図である。図8は、異なる組み合わせ例2の検出装置を示す斜視図である。
【0065】
組み合わせ例1の検出装置201は、図7に示すように、検出装置1の第1の筐体2と第2の筐体5との間に第3の筐体202が配置されている。第3の筐体202は、例えば、筐体本体203及びダイクロイックミラーを備えている。
【0066】
筐体本体203としては、例えば、第1の筐体2の筐体本体21を用いることができる。そして、筐体本体203の第2の開口部に形成された雌ねじ部に第3の光検出器204の雄ねじ部がねじ込まれることで、第3の筐体202に第3の光検出器204が連結されている。
【0067】
ダイクロイックミラーは、筐体本体203の内部に配置されている。詳細には、ダイクロイックミラーは、筐体本体203の第3の開口部から入射した光の第3の波長を有する光を反射させて第2の開口部に導くと共に、当該第3の開口部から入射した光のその他の波長を有する光を第1の開口部に導く。
【0068】
このような構成により、第3の筐体202及び第3の光検出器204を加えた検出装置201を簡単に組み立てることができる。
【0069】
組み合わせ例2の検出装置301は、図8に示すように、検出装置1の第1の筐体2が第2の筐体5に対してZ軸-側に配置されている。このとき、第2の筐体5の筐体本体51として第1の筐体2の筐体本体21を用いるとよい。
【0070】
詳細には、例えば、検出装置1の第1の筐体2に連結された第1の光検出器3を取り外した状態での当該第1の筐体2の第1の平面部21aと、検出装置1の第2の筐体5をY軸を中心に90°反時計回りに回転させると共にZ軸回りに180°回転させた状態での当該第2の筐体5の第6の平面部51fと、が略面接触するように、第1の筐体2のZ軸+側に第2の筐体5が配置されている。このとき、第1の筐体2の第1の開口部21gと第2の筐体5の第3の開口部51iとがZ軸方向で連通するように配置されている。
【0071】
そして、例えば、第2の筐体5の第1の開口部51gに形成された雌ねじ部に第1の光検出器3の雄ねじ部3aがねじ込まれ、第1の光検出器3が第2の筐体5に連結されている。このような構成の検出装置301は、検出装置301のZ軸-側の部分に配置された第1の筐体2の第3の開口部21iに溶接ヘッド10から戻り光RLが入射することになる。
【0072】
このように本実施の形態の検出装置1、201及び301は、ダイクロイックミラー22が設けられた第1の筐体2と、第1の光検出器3と、第2の光検出器4と、をベースとして、ハーフミラーが設けられた筐体や他の光検出器などを組み合わせて検出装置を構成することができる。
【0073】
そのため、溶接ヘッド10周辺のスペースなどの条件に応じて、光検出器などの配置を適宜、変更することができる。また、第1の筐体2に対して第1の光検出器3と第2の光検出器4とを入れ替えて連結することもできる。しかも、簡単に必要な光検出器を増減することができる。
【0074】
また、ダイクロイックミラー22が設けられた第1の筐体2と、第1の光検出器3と、第2の光検出器4と、ハーフミラーが設けられた筐体や他の光検出器などと、の組み合わせによって安価に検出装置を構成することができる。
【0075】
しかも、第1の筐体2の筐体本体21を他の筐体に流用する場合、つまり、筐体を共通化(汎用化)することで、さらに安価に検出装置を構成することができる。このとき、第1の筐体2における筐体本体21の第2の平面部21bにも光検出器などを連結できる構成を備えている場合、ダイクロイックミラー22が設けられた第1の筐体2と、第1の光検出器3と、第2の光検出器4と、ハーフミラーが設けられた筐体や他の光検出器などと、をより自由に組み合わせることができる。
【0076】
第1の光検出器3又は第2の光検出器4の雄ねじ部と筐体の雌ねじ部との螺合によって、第1の光検出器3又は第2の光検出器4と筐体とを連結する場合、大凡、第1の光検出器3又は第2の光検出器4の中心を筐体の開口部の中心軸上に精度良く配置することができる。そのため、本実施の形態の検出装置1、201及び301は、戻り光RLの検出精度を向上させることができる。
【0077】
また、平行六面体の筐体を連結板6で挟み込んで連結する場合、例えば、ダイクロイックミラー22やハーフミラー52のZ軸回りの回転を抑制することができる。しかも、例えば、第1の筐体2の第1の開口部21gの中心軸と、第1の筐体2の第3の開口部21iの中心軸と、第2の筐体5の第1の開口部51gの中心軸と、のズレを抑制することができる。そのため、戻り光RLの光路ズレを最小限にすることができ、戻り光RLの検出精度を向上させることができる。
【0078】
本開示は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
例えば、上記実施の形態では、各筐体を平行六面体としたが、各筐体の形状は限定されない。また、筐体の開口部の形状も限定されない。要するに、複数の筐体が連結された状態で、加工点からの戻り光を第1の光検出器3及び第2の光検出器4に導くことができる形状であればよい。
【符号の説明】
【0079】
1 検出装置
2 第1の筐体
21 筐体本体、21a 第1の平面部、21b 第2の平面部、21c 第3の平面部、21d 第4の平面部、21e 第5の平面部、21f 第6の平面部、21g 第1の開口部、21h 第2の開口部、21i 第3の開口部、21j 雌ねじ部、21k 雌ねじ部
22 ダイクロイックミラー
3 第1の光検出器、3a 雄ねじ部
4 第2の光検出器、4a 雄ねじ部
5 第2の筐体
51 筐体本体、51a 第1の平面部、51b 第2の平面部、51c 第3の平面部、51d 第4の平面部、51e 第5の平面部、51f 第6の平面部、51g 第1の開口部、51h 第2の開口部、51i 第3の開口部
52 ハーフミラー
6 連結板
61 第1の連結板、62 第2の連結板
7 カメラ
8 蓋
9 ボルト
10 溶接ヘッド、101 ハーフミラー、102 筐体、103 スキャナ
11、12 金属板
13 判定装置
14 ブラケット
201 検出装置
202 第3の筐体、203 筐体本体
204 第3の光検出器
301 検出装置
RL 戻り光、RL1 第1の波長を有する光、RL2 第2の波長を有する光、LB レーザ光
MP 溶融池
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8