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特許7563333非接触電力伝送システム、車両、サーバおよび送電装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】非接触電力伝送システム、車両、サーバおよび送電装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/60 20160101AFI20241001BHJP
   H02J 50/10 20160101ALI20241001BHJP
   B60M 7/00 20060101ALI20241001BHJP
   B60L 5/00 20060101ALI20241001BHJP
   B60L 53/124 20190101ALI20241001BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20241001BHJP
   G16Y 40/30 20200101ALI20241001BHJP
【FI】
H02J50/60
H02J50/10
B60M7/00 X
B60L5/00 B
B60L53/124
G16Y10/40
G16Y40/30
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021135059
(22)【出願日】2021-08-20
(65)【公開番号】P2023029011
(43)【公開日】2023-03-03
【審査請求日】2023-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平野 貴洋
(72)【発明者】
【氏名】津下 聖悟
(72)【発明者】
【氏名】池村 亮祐
(72)【発明者】
【氏名】有野 洋平
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 真輝
(72)【発明者】
【氏名】高橋 祐希
【審査官】鈴木 智之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/120976(WO,A1)
【文献】特開2019-087087(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0180336(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/60
H02J 50/10
B60M 7/00
B60L 5/00
B60L 53/124
G16Y 10/40
G16Y 40/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車スペースに設けられた第1の送電部と、
車両の走行レーンに設けられた第2の送電部と、
前記第1の送電部または前記第2の送電部から非接触で電力を受電する受電部と、
前記第1の送電部または前記第2の送電部から前記受電部が電力を受電しているときに、前記車両の周囲に設定された検知領域における検知対象を検知するように構成された検知部と、
前記検知部により前記検知対象が検知された場合に、前記車両に電力を送電している前記第1の送電部または前記第2の送電部の送電電力を低減させる制御部とを備え、
前記制御部は、前記第1の送電部から前記受電部が電力を受ける場合に、前記第2の送電部から前記受電部が電力を受ける場合よりも、前記検知領域が広くなるように前記検知領域を設定する、非接触電力伝送システム。
【請求項2】
前記検知対象が検知された場合に、前記制御部は、前記車両に電力を送電している前記第1の送電部または前記第2の送電部と前記検知対象との距離が短いほど、前記車両に電力を送電している前記第1の送電部または前記第2の送電部の送電電力をより低減させる、請求項1に記載の非接触電力伝送システム。
【請求項3】
前記検知対象が検知された場合に、前記制御部は、前記車両に電力を送電している前記第1の送電部または前記第2の送電部を停止する、請求項1または2に記載の非接触電力伝送システム。
【請求項4】
駐車スペースに設けられた第1の送電部または車両の走行レーンに設けられた第2の送電部から非接触で電力を受電する受電部と、
前記第1の送電部または前記第2の送電部から前記受電部が電力を受電しているときに、前記車両の周囲に設定された検知領域における検知対象を検知するように構成された検知部により前記検知対象が検知された場合に、前記車両に電力を送電している前記第1の送電部または前記第2の送電部の送電電力を低減させる制御部とを備え、
前記制御部は、前記第1の送電部から前記受電部が電力を受ける場合に、前記第2の送電部から前記受電部が電力を受ける場合よりも、前記検知領域が広くなるように前記検知領域を設定する、車両。
【請求項5】
前記検知対象が検知された場合に、前記制御部は、前記車両に電力を送電している前記第1の送電部または前記第2の送電部と前記検知対象との距離が短いほど、前記車両に電力を送電している前記第1の送電部または前記第2の送電部の送電電力をより低減させる、請求項4に記載の車両。
【請求項6】
前記検知対象が検知された場合に、前記制御部は、前記車両に電力を送電している前記第1の送電部または前記第2の送電部を停止する、請求項4または5に記載の車両。
【請求項7】
駐車スペースに設けられた第1の送電部と、車両の走行レーンに設けられた第2の送電部と、前記第1の送電部または前記第2の送電部から非接触で電力を受電する受電部と、前記第1の送電部または前記第2の送電部から前記受電部が電力を受電しているときに、前記車両の周囲に設定された検知領域における検知対象を検知するように構成された検知部とを備えたシステムのサーバであって、
前記サーバは、
前記検知部により前記検知対象が検知されたことを示す検知情報を取得する取得部と、
前記取得部が前記検知情報を取得すると、前記車両に電力を送電している前記第1の送電部または前記第2の送電部の送電電力を低減させる制御部とを備え、
前記制御部は、前記第1の送電部から前記受電部が電力を受ける場合に、前記第2の送電部から前記受電部が電力を受ける場合よりも、前記検知領域が広くなるように前記検知領域を設定する、サーバ。
【請求項8】
前記検知対象が検知された場合に、前記制御部は、前記車両に電力を送電している前記第1の送電部または前記第2の送電部と前記検知対象との距離が短いほど、前記車両に電力を送電している前記第1の送電部または前記第2の送電部の送電電力をより低減させる、請求項7に記載のサーバ。
【請求項9】
前記検知対象が検知された場合に、前記制御部は、前記車両に電力を送電している前記第1の送電部または前記第2の送電部を停止する、請求項7または8に記載のサーバ。
【請求項10】
駐車スペースに設けられると共に、車両に設けられた受電部に非接触で電力を送電する送電部と、
前記送電部が前記受電部に電力を送電しているときに、前記車両の周囲に設定された検知領域における検知対象を検知するように構成された検知部と、
前記検知部により前記検知対象が検知された場合に、前記送電部の送電電力を低減させる制御部とを備え、
前記受電部は、走行レーンに設けられた走行レーン用送電部から非接触で電力を受電可能とされており、
前記制御部は、前記走行レーン用送電部の検知領域よりも前記送電部の検知領域が広くなるように前記送電部の検知領域を設定する、送電装置。
【請求項11】
走行レーンに設けられると共に、車両に設けられた受電部に非接触で電力を送電する送電部と、
前記送電部が前記受電部に電力を送電しているときに、前記車両の周囲に設定された検知領域における検知対象を検知するように構成された検知部と、
前記検知部により前記検知対象が検知された場合に、前記送電部の送電電力を低減させる制御部とを備え、
前記受電部は、駐車スペースに設けられた駐車スペース用送電部から非接触で電力を受電可能とされており、
前記制御部は、前記駐車スペース用送電部の検知領域よりも前記送電部の検知領域が狭くなるように前記送電部の検知領域を設定する、送電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、非接触電力伝送システム、車両、サーバおよび送電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2012-165497号公報(特許文献1)は、車両用の非接触給電システムを開示する。非接触給電システムは、給電部と、受電部と、生体検知手段と、非接触給電制御装置とを備える。給電部は、車両の外部に設けられる。受電部は、車両に設けられる。生体検知手段は、車両の周囲の検知領域における生体の存在を検知する。非接触給電制御装置は、給電部が受電部に給電している間に生体検知手段により生体の存在が検知された場合に、生体の存在が検知されていない場合と比べて、給電部から受電部への給電電力を制限する(送電電力を低減させる)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-165497号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
送電部は、駐車スペースに設けられたり、車両の走行レーンに設けられたりする。
ここで、駐車スペースに設けられた送電部から受電部が電力を受電している場合、車両は停車している。そのため、停車中の車両にユーザなどの人が車両に近づくケースが想定される。この際、ユーザが電気機器を所持している場合には、非接触充電中に発生する漏洩電磁界によって電気機器が影響を受けるという弊害が生じる。
【0005】
その一方で、充電レーンは、例えば高速道路などに設けられており、充電レーンの周囲に人が居るケースは少ない。むしろ、充電レーンにおいて走行中充電を実行している車両のそばを他の車両が走行していることが想定される。
【0006】
このため、充電レーンにおいて車両が走行中充電を実行しているときに、広い検知領域が設定されると、その車両のそばを走行する他の車両が検知されて送電電力が低減されることになる。その結果、充電を良好に実施することができないという弊害が生じる。
【0007】
このように、従来技術においては、非接触充電のユースケースに応じて、検知領域を設定することについて検討されておらず、上記のような弊害が生じるという課題があった。
【0008】
本開示は、上記のような課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、非接触充電のユースケースにおいて、各種弊害が生じることを抑制することができる非接触電力伝送システム、車両、サーバおよび送電装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の非接触電力伝送システムは、第1の送電部と、第2の送電部と、受電部と、検知部と、制御部とを備える。第1の送電部は、駐車スペースに設けられる。第2の送電部は、車両の走行レーンに設けられる。受電部は、第1の送電部または第2の送電部から非接触で電力を受電する。検知部は、第1の送電部または第2の送電部から受電部が電力を受電しているときに、車両の周囲に設定された検知領域における検知対象を検知するように構成される。制御部は、検知部により検知対象が検知された場合に、車両に電力を送電している第1の送電部または第2の送電部の送電電力を低減させる。そして、制御部は、第1の送電部から受電部が電力を受ける場合に、第2の送電部から受電部が電力を受ける場合よりも、検知領域が広くなるように検知領域を設定する。
【0010】
上記の構成によれば、第1の送電部から受電部が電力を受ける場合、第2の送電部から受電部が電力を受ける場合よりも、検知対象が検知されやすい。よって、第1の送電部の送電電力は、第2の送電部の送電電力よりも低減されやすい。その結果、第1の送電部から発生する漏洩電磁界の強度は、第2の送電部から発生する漏洩電磁界の強度よりも弱くなりやすい。したがって、第1の送電部から受電部が電力を受ける場合、第2の送電部から受電部が電力を受ける場合よりも、漏洩電磁界による車両の周囲の電気機器への影響を低減することができる。別の観点からは、第2の送電部の送電電力は、第1の送電部の送電電力よりも低減されにくい。したがって、第2の送電部から受電部が電力を受ける場合、第1の送電部から受電部が電力を受ける場合よりも、非接触充電を良好に実行しやすくすることができる。
【0011】
検知対象が検知された場合に、制御部は、車両に電力を送電している第1の送電部または第2の送電部と検知対象との距離が短いほど、車両に電力を送電している第1の送電部または第2の送電部の送電電力をより低減させてもよい。
【0012】
作動中の送電部から発生する漏洩電磁界による電気機器への影響は、その送電部と電気機器(電気機器を有する人などの検知対象)との距離が短くなるほど、より大きくなる。上記の構成によれば、送電部と電気機器との距離が短くなった場合であっても、送電電力が低減されるため、漏洩電磁界の強度が高くなることが抑制される。よって、漏洩電磁界による電気機器への影響が大きくなることを回避することができる。
【0013】
検知対象が検知された場合に、制御部は、車両に電力を送電している第1の送電部または第2の送電部を停止してもよい。
【0014】
上記の構成によれば、検知対象が検知された場合、車両に電力を送電していた送電部から漏洩電磁界が発生しなくなる。その結果、電気機器が漏洩電磁界による影響を受ける事態を防止することができる。
【0015】
本開示の車両は、受電部と、制御部とを備える。受電部は、駐車スペースに設けられた第1の送電部または車両の走行レーンに設けられた第2の送電部から非接触で電力を受電する。制御部は、第1の送電部または第2の送電部から受電部が電力を受電しているときに、車両の周囲に設定された検知領域における検知対象を検知するように構成された検知部により検知対象が検知された場合に、車両に電力を送電している第1の送電部または第2の送電部の送電電力を低減させる。そして、制御部は、第1の送電部から受電部が電力を受ける場合に、第2の送電部から受電部が電力を受ける場合よりも、検知領域が広くなるように検知領域を設定する。
【0016】
検知対象が検知された場合に、制御部は、車両に電力を送電している第1の送電部または第2の送電部と検知対象との距離が短いほど、車両に電力を送電している第1の送電部または第2の送電部の送電電力をより低減させてもよい。
【0017】
検知対象が検知された場合に、制御部は、車両に電力を送電している第1の送電部または第2の送電部を停止してもよい。
【0018】
本開示のサーバは、第1の送電部と、第2の送電部と、受電部と、検知部とを備えたシステムのサーバである。第1の送電部は、駐車スペースに設けられる。第2の送電部は、車両の走行レーンに設けられる。受電部は、第1の送電部または第2の送電部から非接触で電力を受電する。検知部は、第1の送電部または第2の送電部から受電部が電力を受電しているときに、車両の周囲に設定された検知領域における検知対象を検知するように構成される。サーバは、取得部と、制御部とを備える。取得部は、検知部により検知対象が検知されたことを示す検知情報を取得する。制御部は、取得部が検知情報を取得すると、車両に電力を送電している第1の送電部または第2の送電部の送電電力を低減させる。そして、制御部は、第1の送電部から受電部が電力を受ける場合に、第2の送電部から受電部が電力を受ける場合よりも、検知領域が広くなるように検知領域を設定する。
【0019】
検知対象が検知された場合に、制御部は、車両に電力を送電している第1の送電部または第2の送電部と検知対象との距離が短いほど、車両に電力を送電している第1の送電部または第2の送電部の送電電力をより低減させてもよい。
【0020】
検知対象が検知された場合に、制御部は、車両に電力を送電している第1の送電部または第2の送電部を停止してもよい。
【0021】
本開示の送電装置は、送電部と、検知部と、制御部とを備える。送電部は、駐車スペースに設けられると共に、車両に設けられた受電部に非接触で電力を送電する。検知部は、送電部が受電部に電力を送電しているときに、車両の周囲に設定された検知領域における検知対象を検知するように構成される。制御部は、検知部により検知対象が検知された場合に、送電部の送電電力を低減させる。受電部は、走行レーンに設けられた走行レーン用送電部から非接触で電力を受電可能とされている。そして、制御部は、走行レーン用送電部の検知領域よりも送電部の検知領域が広くなるように送電部の検知領域を設定する。
【0022】
本開示の他の送電装置は、送電部と、検知部と、制御部とを備える。送電部は、走行レーンに設けられると共に、車両に設けられた受電部に非接触で電力を送電する。検知部は、送電部が受電部に電力を送電しているときに、車両の周囲に設定された検知領域における検知対象を検知するように構成される。制御部は、検知部により検知対象が検知された場合に、送電部の送電電力を低減させる。受電部は、駐車スペースに設けられた駐車スペース用送電部から非接触で電力を受電可能とされている。そして、制御部は、駐車スペース用送電部の検知領域よりも送電部の検知領域が狭くなるように送電部の検知領域を設定する。
【発明の効果】
【0023】
本開示によれば、非接触充電のユースケースにおいて、各種弊害が生じることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本実施の形態に従う非接触電力伝送システムの全体構成を概略的に示す図である。
図2】カメラの位置調整方法を説明するための図である。
図3】検知部が検知対象を検知するための検知領域を説明するための図である。
図4】走行レーン用の送電装置の構成を詳細に示す図である。
図5】車両が駐車スペースにおいて非接触充電を実行しているときに検知領域が設定される様子を説明するための図である。
図6】車両が充電レーンを走行している間に非接触充電を実行する様子を説明するための図である。
図7】本実施の形態における検知領域の設定方法を説明するための図である。
図8】本実施の形態における検知領域の設定方法を説明するための図である。
図9】本実施の形態における検知領域の設定方法を説明するための図である。
図10】検知領域の設定のための画像を撮影するためのカメラが充電レーンに設けられている様子を示す図である。
図11】実施の形態1における車両の非接触充電に伴う一連の処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図12】実施の形態1における車両の非接触充電に伴う一連の処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図13】実施の形態1における車両の非接触充電に伴う一連の処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図14】実施の形態2における車両の非接触充電に伴う一連の処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図15】実施の形態2における車両の非接触充電に伴う一連の処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図16】実施の形態2における車両の非接触充電に伴う一連の処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明を繰り返さない。
【0026】
[実施の形態1]
図1は、本実施の形態に従う非接触電力伝送システムの全体構成を概略的に示す図である。図1を参照して、非接触電力伝送システム10は、車両100と、送電装置90Aおよび90Bと、サーバ200とを備える。
【0027】
車両100は、走行用の蓄電装置が搭載された電動車であって、たとえば電気自動車(BEV:Battery Electric Vehicle)である。車両100は、蓄電装置160と、受電装置180と、センサ部110と、撮像部120と、検知部(画像処理部)170と、ナビゲーションシステム135と、充電ボタン137と、通信部140と、ECU(Electronic Control Unit)190とを備える。これらの構成要素は、CAN(Controller Area Network)通信などの車載ネットワーク150を通じて互いに接続されている。
【0028】
蓄電装置160は、走行用の電力を蓄える電力貯蔵要素である。蓄電装置160は、たとえば、リチウムイオン電池或いはニッケル水素電池などの二次電池、および、電気二重層キャパシタなどの蓄電素子を含んで構成される。蓄電装置160の蓄電量は、例えば、SOC(State of Charge)により表される。蓄電装置160には、その電圧、電流および温度をそれぞれ検出する電圧センサ、電流センサおよび温度センサが設けられている(いずれも図示せず)。これらのセンサの検出値は、ECU190に出力される。
【0029】
受電装置180は、受電部181と、電力変換装置182と、リレー183とを含む。受電部181は、受電コイル(図示せず)を含む。受電部181は、送電装置90Aの送電部92A、または、送電装置90Bの送電部92B(いずれも後述)から非接触で電力を受電する。
【0030】
電力変換装置182は、受電部181により非接触で受電された電力を、蓄電装置160の電圧レベルの直流電力に変換する。
【0031】
リレー183は、電力変換装置182と蓄電装置160との間に設けられる。受電部181が電力を受けている間に、電力変換装置182が作動するとともにリレー183が閉状態に制御されると、蓄電装置160が充電される。以下、受電部181により受電された電力を用いた蓄電装置160の充電を、車両100の「非接触充電」とも称する。
【0032】
送電装置90Aは、車両100の駐車スペースに設けられる。送電装置90Aは、車両100の受電部181に非接触で送電するように構成される。送電装置90Aは、送電部92Aと、通信部95Aと、制御部98Aとを含む。送電装置90Aは、検知部170(後述)と同様の機能を有する画像処理回路をさらに含んでいてもよい。
【0033】
送電部92Aは、車両100の受電部181に電磁界を通して非接触で送電する。具体的には、送電部92Aは、送電コイル(図示せず)を含み、系統電源(図示せず)から送電コイルに交流電流が供給されると、この送電コイルの周囲に電磁界が形成される。そして、受電部181に設けられた受電コイルがこの電磁界を通じて受電する。これにより、送電部92Aから受電部181に電力が伝送される。
【0034】
通信部95Aは、車両100との間の近距離通信を確立するように構成される。通信部95Aは、例えば、送電装置90Aの情報を示す信号を近距離通信によって車両100に送信する。この信号は、送電装置90Aが駐車スペース用の送電装置であることを示す信号と、送電装置90Aが車両100に直ちに送電可能であることを示す信号(以下、送電装置90Aの「ファースト信号」とも称する)とを含む。通信部95Aは、サーバ200または送電装置90Bと通信するように構成されていてもよい。
【0035】
制御部98Aは、CPUなどのプロセッサおよびメモリを含む(いずれも図示せず)。制御部98Aは、メモリに格納されたプログラムに従って、送電部92Aおよび通信部95Aを制御する。
【0036】
送電装置90Bは、車両100が非接触充電を実行するために走行する走行レーンである充電レーン(後述)に設けられる。送電装置90Bは、送電部92Bと、通信部95Bと、制御部98Bとを含む。送電装置90Bは、検知部170(後述)と同様の機能を有する画像処理回路をさらに含んでいてもよい。送電装置90Bの詳細な構成については、後ほど詳しく説明する。
【0037】
センサ部110は、超音波センサ112と、光センサ114とを含む。超音波センサ112は、発信器と、受信器とを含む(いずれも図示せず)。受信器は、車両100の周辺の対象物に向けて超音波を発信する。受信器は、対象物により反射された反射波を受信するように構成される。そして、受信部により受信された反射波の強度(受信強度)に応じて、車両100の周囲の領域における対象物の有無が検知される。同様に、光センサ114は、照光器と、受光器とを含む(いずれも図示せず)。照光器は、車両100の周辺の対象物に向けて光波を照射する。受光器は、対象物により反射された光波を受信するように構成される。そして、受光器により受光された反射光の強度(受光強度)に応じて、車両100の周囲の領域における対象物の有無が検知される。超音波センサ112および光センサ114による検知方法および検知結果の利用方法の詳細については、後ほど詳しく説明する。
【0038】
撮像部120は、カメラ121R,121F,122Rおよび122Lと、駆動機構125とを含む。カメラ121R,121F,122Rおよび122Lは、それぞれ、車両100の後方画像、前方画像、右方画像および左方画像を撮影する。本実施の形態では、これらのカメラは、魚眼カメラであるものとする。駆動機構125は、カメラ121R,121F,122Rおよび122Lに接続される。駆動機構125は、これらのカメラの位置を調整するために設けられる。これらのカメラの位置調整方法については、後ほど詳しく説明する。
【0039】
検知部170は、送電部92Aまたは送電部92Bから受電部181が電力を受電しているときに、車両100の周囲に設定された検知領域(後述)における検知対象を検知するように構成される。検知部170は、例えば、画像処理回路であって、カメラ121Rにより撮影された画像にパターン認識などの公知の画像処理技術を適用することによってその画像における検知対象(一例として、人などの生体)を検知する。これにより、車両100の後方の検知対象が検知される。同様に、検知部170は、カメラ121F,カメラ122R,122Lにより撮影された画像に画像処理技術を適用することによって、それらの画像における検知対象を検知する。このように、車両100の周囲(前方、後方、右方および左方)の検知対象が検知される。検知部170による検知結果を示す信号は、車載ネットワーク150を通じてECU190に出力される。
【0040】
ナビゲーションシステム135は、GPS(Global Positioning System)受信部130を含む。GPS受信部130は、人工衛星からの電波に基づいて車両100の現在位置を特定する。車両100の現在位置を示す位置情報は、ECU190またはサーバ200により利用される。ナビゲーションシステム135は、地図情報(図示せず)をさらに含む。
【0041】
充電ボタン137は、車両100の非接触充電が実行されることを希望するユーザにより操作される。ユーザは、充電ボタン137を操作することによって、充電ボタン137のオン/オフ状態を切り替えることができる。車両100の非接触充電は、充電ボタン137の状態がオン状態である場合に実行され、充電ボタン137の状態がオフ状態である場合には実行されない。充電ボタン137がオン状態またはオフ状態のいずれであるかを示す信号は、ECU190により出力される。充電ボタン137は、物理的なボタンであってもよいし、ソフトウェアにより実現されるボタン(例えば、タッチスクリーンに表示されるボタン)であってもよい。
【0042】
通信部140は、車両100の外部の送電装置90Aまたは送電装置90Bとの間で近距離通信を確立するように構成される。さらに、通信部140は、インターネットなどの通信ネットワークを通じて、サーバ200と通信するように構成される。
【0043】
ECU190は、CPU191と、メモリ192と、入出力インターフェース193とを含んで構成される。メモリ192は、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)とを含む(いずれも図示せず)。ROMは、CPU191により実行されるプログラムなどを格納する。RAMは、CPU191により参照されるデータなどを一時的に格納する。
【0044】
ECU190は、各センサ信号、並びにメモリに記憶されたプログラム、データおよびマップなどに従って、車両100の各機器を制御する。一例として、ECU190は、センサ部110、撮像部120、通信部140、検知部170および受電装置180(電力変換装置182およびリレー183)を制御する。
【0045】
ECU190は、蓄電装置160の電圧、電流および温度に従って、蓄電装置160のSOCを算出する。SOCの算出手法として、OCV(Open Circuit Voltage)とSOCとの関係を示すOCV-SOCカーブ(マップなど)を用いた手法などの公知の手法が用いられる。
【0046】
ECU190は、送電装置90Aまたは送電装置90Bを用いて非接触充電を実行するように構成される。例えば、ECU190は、通信部140を通じて送電装置90Aまたは送電装置90Bに充電開始要求を送信するとともに、リレー183をオン状態に制御する。これにより、非接触充電が開始される。そして、蓄電装置160のSOCが充電しきい値に到達すると、ECU190は、車両100に電力を送電している送電装置90Aまたは送電装置90Bに、通信部140を通じて充電停止要求を送信する。これにより、接触充電が終了する。充電しきい値は、例えば、蓄電装置160が満充電されているときのSOCであり、実験などにより適宜予め定められる。
【0047】
ECU190は、検知部170が検知対象を検知するための領域である検知領域を設定するように構成されている。具体的には、ECU190は、駆動機構125を制御することによってカメラ121R,121F,122Rおよび122Lの位置を調整する。これにより、ECU190は、検知領域の広さを調整しつつ検知領域を設定することができる。検知領域は、サーバ200または送電装置90A,90Bにより設定されてもよい。検知領域の設定方法の詳細については、後述する。
【0048】
ECU190は、検知部170により検知対象が検知された場合に、車両100に電力を送電している送電部92Aまたは送電部92B(作動中の送電部)の送電電力を低減させる。例えば、送電部92Aが車両100に電力を送電している間に検知対象が検知された場合、ECU190は、送電部92Aの送電電力を低減させるための要求を、通信部140を通じて送電装置90Aに送信する。同様に、送電部92Bが車両100に電力を送電している間に検知対象が検知された場合、ECU190は、送電部92Bの送電電力を低減させるための要求を、通信部140を通じて送電装置90Bに送信する。
【0049】
ECU190は、通信部140を通じて、サーバ200と各種情報をやり取りする。一例として、ECU190は、車両100の各種情報を示す車両情報をサーバ200に送信する。車両情報は、車両100の位置情報と、検知領域において検知対象が検知されたか否か(検知部170による検知結果)を示す情報とを含む。検知領域がサーバ200により設定される場合には、ECU190は、サーバ200から、通信部140を通じて検知領域の設定範囲を受ける。
【0050】
サーバ200は、据え置き型の装置であってもよいし、携帯型のいわゆるモバイルサーバであってもよい。サーバ200は、通信部(取得部)210と、記憶部220と、処理部(制御部)230とを備える。
【0051】
通信部210は、車両100と通信するように構成される。通信部210は、車両100の位置情報などを含む車両情報を通信によって取得(受信)する。検知領域がサーバ200により設定される場合には、通信部210は、検知領域の設定範囲を車両100に送信する。
【0052】
記憶部220は、送電装置情報データベース(DB)221と、地図情報データベース(DB)222と、車両情報データベース(DB)226とを含む。
【0053】
送電装置情報DB221は、そのDBに登録された送電装置(送電装置90Aおよび送電装置90Bなど)の位置を示す情報を格納する。そして、送電装置情報DB221は、登録されている送電装置が、走行レーン用の送電装置または駐車スペース用の送電装置のいずれであるかを示す情報をも格納する。地図情報DB222は、道路地図データを含む地図情報を格納する。
【0054】
車両情報DB226は、車両100のID、および、車両100の位置情報などを格納する。これらのデータベースは、処理部230により最新の状態に逐次更新される。
【0055】
処理部230は、CPU231と、メモリ232とを含む。CPU231は、メモリ232に格納されたプログラムおよびデータを実行する。メモリ232は、ROMと、RAMとを含む(いずれも図示せず)。ROMは、CPU231により実行されるプログラムなどを格納する。RAMは、CPU231により参照されるデータなどを一時的に格納する。
【0056】
図2は、カメラ121Rの位置調整方法を説明するための図である。図2を参照して、車両100には、凹部125Rが形成されている。カメラ121Rは、車両100の凹部125R内に設けられている。凹部125Rの口部分には、カメラ121Rを保護するための保護強化プラスチック(図示せず)が装着されている。この例では、カメラ121Rの撮像領域は、地面405における領域421Rである。
【0057】
ECU190は、駆動機構125(図1)を制御することによって、凹部125Rの深さ方向d1Rにおける、カメラ121Rの位置を調整することができる。例えば、ECU190は、凹部125R内で、深さ方向d1Rに向けてカメラ121Rを動かすことによって、深さ方向d1Rにおいてカメラ121Rの位置がより深くなるようにカメラ121Rの位置を設定することができる。他方、ECU190は、深さ方向d1Rとは反対の方向d2Rに向けてカメラ121Rを動かすことによって、深さ方向d1Rにおいてカメラ121Rの位置がより浅くなるようにカメラ121Rの位置を設定することができる。
【0058】
同様に、車両100には、さらに3つの凹部が形成されている(いずれも図示せず)。カメラ121F,122Rおよび122Lは、それぞれ、この3つの凹部内に設けられている。そして、ECU190は、これらの3つのカメラの各々について、対応する凹部の深さ方向における位置を、カメラ121Rの場合と同様に駆動機構125を用いて調整することができる。
【0059】
図3は、検知部170が検知対象を検知するための検知領域を説明するための図である。図3を参照して、FR方向は、車両100の前方向を表す。RE方向は、車両100の後方向を表す。RI方向は、車両100の右方向を表す。LE方向は、車両100の左方向を表す。すなわち、FR方向およびRE方向は、車両100の移動方向を表す。RI方向およびLE方向は、車両100の移動方向に対する横方向を表す。
【0060】
カメラ121Rの撮像領域は、地面405における領域421Rである。カメラ121Fの撮像領域は、地面405における領域421Fである。カメラ122Rの撮像領域は、地面405における領域422Rである。カメラ122Lの撮像領域は、地面405における領域422Lである。この例では、各カメラの撮影領域の一部(例えば、領域421R)は、他のカメラの撮影領域の一部(例えば、領域422L)に重畳している。
【0061】
検知部170は、各カメラの撮影領域の画像(撮影画像)における検知対象を検知する。そのため、領域420R,420F,421Lおよび421Rを含んで構成される検知領域400に検知対象430(例えば、人)が入った場合に、検知部170は、各カメラの撮影画像を用いて検知対象430を検知することができる。
【0062】
図4は、走行レーン用の送電装置90Bの構成を詳細に示す図である。送電装置90Bは、車両100が非接触充電を実行するために走行する走行レーンである充電レーン500に設けられる。
【0063】
通信部95Bは、送電装置90Bと車両100との間の近距離通信を確立するために設けられる。通信部95Bは、例えば、送電装置90Bの情報を示す信号を近距離通信によって車両100に送信する。この信号は、送電装置90Bが充電レーン500用の送電装置であることを示す信号と、送電装置90Bが車両100に直ちに送電可能であることを示す信号(送電装置90Bのファースト信号)とを含む。通信部95Aは、サーバ200または送電装置90Aと通信するように構成されていてもよい。
【0064】
送電部92Bは、送電モジュール910,920,930,940,950および960と、電源回路912,922,932,942,952および962とを含む。
【0065】
送電モジュール910,920,930,940,950および960は、一列に配置されている。送電モジュール910,920,930,940,950および960は、それぞれ送電コイル911,921,931,941,951および961を含む。各送電モジュールは、車両100の通過を検出するための検出器(図示せず)をさらに含む。この検出器は、光学センサおよび重量センサなどを含む。これらの送電モジュールは、図3の例では、充電レーン500の下方に設けられているが、充電レーン500の側壁に設けられていてもよい。図3には6つの送電モジュール910,920,930,940,950および960が示されているが、送電モジュールの数は限定されない。
【0066】
電源回路912,922,932,942,952および962は、それぞれ送電モジュール910,920,930,940,950および960に接続される。各電源回路は、商用電源80からの交流電力を、電圧レベルの異なる交流電力に変換する。変換後の交流電力は、対応する送電モジュールに供給される。
【0067】
制御部98Bは、CPUなどのプロセッサおよびメモリを含む(いずれも図示せず)。制御部98Bは、メモリに格納されたプログラムに従って、送電部92Bおよび通信部95Bを制御する。
【0068】
制御部98Bは、上記検出器からの検出信号に従って、車両100の走行位置を特定する。そして、車両100と送電装置90Bとの近距離通信が確立している場合に、送電装置90Bのファースト信号を車両100に送信する。
【0069】
充電ボタン137(図1)がオン状態である場合に、車両100のECU190は、通信部140を通じてファースト信号を受信すると、通信部140を通じて充電開始要求を送電装置90Bに送信する。
【0070】
この要求に応答して、送電装置90Bの制御部98は、送電モジュール910,920,930,940,950および960のうち車両100が上方に位置している送電モジュール内の送電コイルに、商用電源80からの電力を供給するための制御を実行する。具体的には、制御部98は、この送電モジュール内の送電コイルに接続される電源回路から、その送電コイルに交流電力が供給されるようにその電源回路を制御する。
【0071】
例えば、送電モジュール910の上方に車両100が検出された場合、電源回路912により変換された交流電力が送電コイル911に供給される。これにより、送電コイル911に交流電流が流れるため、送電コイル911の周囲に電磁界が形成される。車両100の受電装置18内の受電部181の受電コイルは、車両100が充電レーン500を走行している間に電磁界を通して非接触で受電する。その後、送電モジュール910の上方に車両100が検出されなくなると、制御部98は、送電コイル911への交流電力の供給が停止されるように電源回路912を制御する。制御部98は、このような制御を送電モジュール910,920,930,940,950および960ごとに実行する。これにより、車両100の走行中に、受電装置180により受電された電力を用いて蓄電装置160が充電される(走行中充電)。
【0072】
図5は、車両100が駐車スペースにおいて非接触充電を実行しているときに検知領域が設定される様子を説明するための図である。
【0073】
図5を参照して、充電ボタン137(図1)がオン状態である場合に駐車スペース450において車両100と送電装置90Aの送電部92Aとの位置合わせが完了すると、ECU190は、通信部140を通じて送電装置90Aに充電開始要求を送信する。送電装置90Aの通信部95Aがこの要求を受信すると、制御部98Aは、車両100の受電部181に非接触で送電するように送電部92Aを制御する。これにより、車両100が駐車スペース450において非接触充電が実行される。なお、駐車スペース450における非接触充電中、車両100は停車している。
【0074】
駐車スペース450において非接触充電が実行されている間、送電部92Aからの漏洩電磁界LEMFが車両100の周囲に発生する。その結果、車両100の周囲の人370が所持している電気機器380(例えば、スマートフォンなどの通信機器)が、非接触充電中に発生する漏洩電磁界LEMFによる影響を受けるという弊害が生じる。漏洩電磁界LEMFによる電気機器380への影響は、漏洩電磁界LEMFを発生させる送電部92Aと、電気機器380(電気機器380を有する人370などの検知対象430)との距離が短いほど、より大きくなる。
【0075】
そのため、漏洩電磁界LEMFによる電気機器380への影響の低減のために、非接触充電の実行中には検知領域400A(400)が設定される。これにより、人370などの検知対象430が検知領域400Aに入るほど送電部92A(車両100)に近づいた場合、検知部170により検知対象430が検知される。
【0076】
ECU190は、検知対象430の検知に応答して、送電部92Aの送電電力を低減させる。具体的には、ECU190は、送電部92Aの送電電力が低減されるように、通信部140を通じて送電装置90Aに要求を出力する。送電装置90Aの制御部98Aは、この要求に応答して、送電部92Aの送電電力が低減されるように送電部92Aを制御する。その結果、送電部92Aから発生する漏洩電磁界LEMFの強度が、デフォルトの強度(検知対象430が検知領域400内にいない場合の強度)であるI0よりも低くなる。なお、漏洩電磁界LEMFの強度の比較は、同じ位置において行われることが前提とされる。
【0077】
このように、検知領域400において検知対象430が検知された場合、検知領域400において検知対象430が検知されていない場合よりも、漏洩電磁界LEMFの強度が低くなる。これにより、仮に、電気機器380を所持した人370が車両100に近づいたとしても、漏洩電磁界LEMFによる電気機器380への影響が低減される。
【0078】
図6は、車両100が充電レーン500を走行している間に非接触充電を実行する様子を説明するための図である。
【0079】
図6を参照して、車両100が充電レーン500を走行している間、車両100の周囲に検知領域400B(400)が設定される。検知領域400Bは、図5の場合と同様に、漏洩電磁界LEMFによる電気機器380への影響の低減のためにECU190により設定される。
【0080】
充電レーン500の近傍には、カメラ320と、通信インターフェース325とが設けられている。充電レーン500の近傍とは、充電レーン500から所定距離の範囲内の空間を意味する。カメラ320は、充電レーン500よりも上方に設けられる。カメラ320は、充電レーン500を走行している車両100の周囲の領域(車両100が位置している領域を含む)を撮影するように構成されている。
【0081】
通信インターフェース325は、複数のカメラ320により撮影された複数の画像をサーバ200(図1)などの外部機器に送信する。これらの画像は、検知領域400Bの設定のために利用され得る(詳しくは後述)。
【0082】
図7は、本実施の形態における検知領域400の設定方法を説明するための図である。非接触電力伝送用の送電部は、駐車スペース450に設けられたり(送電部92A)、充電レーン500に設けられたりする(図6の送電部92B)。駐車スペース450に設けられた送電部92Aから受電部181が電力を受電している場合、車両100は停車している。一般的に、送電部92Aは、駐車場(タクシー乗り場を含む)などに設けられている。そのため、停車中の車両100にユーザなどの人370が車両100に近づくケースが想定される。
【0083】
その一方で、充電レーン500に設けられた送電部92Bから受電部181が電力を受ける場合、車両100は走行している。充電レーン500は、例えば高速道路などに設けられており、充電レーン500の周囲に人370が居るケースは少ない。
【0084】
よって、駐車スペース450において車両100が停車中に非接触充電を実行している場合の方が、充電レーン500において車両100が走行中充電(非接触充電)を実行している場合よりも、車両100(送電中の送電部)に近づく人370の数が多いと考えられる。そのため、駐車スペース450において非接触充電が実行されている場合、充電レーン500において非接触充電が実行されている場合よりも、車両100の周囲において漏洩電磁界LEMFによる影響を受ける電気機器380の数も多いと考えられる。
【0085】
さらに、充電レーン500において非接触充電が実行されている場合、充電レーン500において走行中充電を実行している車両100のそばを他の車両(図示せず)が走行していることが想定される。
【0086】
このため、充電レーン500において車両100が走行中充電を実行しているときに、広い検知領域400が設定されると、その車両100のそばを走行する他の車両が検知領域400において検知されて、送電電力が低減されることになる。その結果、車両100が走行中充電を良好に実施することができないという弊害が生じる。
【0087】
そこで、本実施の形態に従う非接触電力伝送システム10におけるECU190は、送電部92Aから受電部181が電力を受ける場合に、送電部92Bから受電部181が電力を受ける場合(図6)よりも、検知領域400Aが広くなるように検知領域400Aおよび400Bを設定する。すなわち、ECU190は、検知領域400A(図5図7)が検知領域400B(図6)よりも広くなるように検知領域400Aおよび400Bを設定する。
【0088】
本実施の形態によれば、送電部92Aから受電部181が電力を受ける場合、送電部92Bから受電部181が電力を受ける場合(図6)よりも、検知対象430が検知されやすい。具体的には、図7に示されるように、図6の場合よりも、検知対象430の位置が検知領域400内になりやすいため、送電中の送電部92Aの送電電力が低減されやすい。その結果、送電部92Aから発生する漏洩電磁界LEMFの強度は、送電部92Bから発生する漏洩電磁界LEMF(図6)の強度よりも弱くなりやすい。図7の例では、検知領域400Aにおいて検知対象430が検知されるため、漏洩電磁界LEMFの強度は、デフォルトの強度であるI0(図5)からI1(I1<I0)に低減されている。したがって、送電部92Aから発生する漏洩電磁界LEMFによる電気機器380への影響を低減することができる。
【0089】
別の観点から、充電レーン500が設けられた高速道路などにおいて、検知領域400Bは、検知領域400Aよりも狭いため、車両100の近傍を別の車両が走行する度に送電電力が低減されることを抑制することができる。その結果、車両100が走行中充電を良好に実施することができないという弊害に対処することができる。
【0090】
なお、図7の送電装置90Aは、送電部92A、通信部95Aおよび制御部98Aに加えて、検知部170Aを備える。検知部170Aについては、後述する。
【0091】
図8および図9は、本実施の形態における検知領域400の設定方法を説明するための図である。図2を参照して説明したように、ECU190は、凹部125Rの深さ方向d1Rにおける、カメラ121Rの位置を調整することができる。同様に、ECU190は、カメラ121F,122Rおよび122Lの各々について、対応する凹部の深さ方向における位置を調整することができる。
【0092】
図8を参照して、カメラ121Rの位置が深さ方向d1Rにおいて深い位置である場合、カメラ121Rによる撮影領域は、地面405における領域421R1である。
【0093】
図9を参照して、カメラ121Rの位置が深さ方向d1Rにおいて浅い位置である場合、カメラ121Rによる撮影領域は、地面405における領域421R2である。領域421R2は、領域421R1(図8)よりも広い。
【0094】
このように、ECU190が深さ方向d1Rにおいてカメラ121Rの位置(深さ)を調整することによって、カメラ121Rによる撮影領域の広さを調整することができる。同様に、ECU190がカメラ121F,122Rおよび122Lの位置(対応する凹部における深さ)を調整することによって、これらのカメラによる撮影領域の広さを調整することができる。
【0095】
ECU190は、上述のようにカメラ121R,121F,122Rおよび122Lの撮影領域(図3の領域421R,421F,422Rおよび422L)の広さを調整することによって、検知領域400の広さを調整することができる。よって、ECU190は、検知領域400Aが検知領域400Bよりも広くなるように、検知領域400Aおよび400Bを設定することができる。
【0096】
図7を再び参照して、「検知領域400Aが検知領域400Bよりも広い」とは、検知領域400Aの面積が検知領域400Bの面積よりも広いことをいう。特に、車両100の横方向(LE方向およびRI方向)において、検知領域400Aの幅が検知領域400Bの幅よりも長くなるように、ECU190が検知領域400Aおよび400B(400)を設定することが好ましい。
【0097】
検知領域400の設定のための画像を撮影するためのカメラは、車両100に代えて充電レーン500に設けられていてもよい。
【0098】
図10は、検知領域400の設定のための画像を撮影するためのカメラが充電レーン500に設けられている様子を示す図である。図10を参照して、充電レーン500は、図4において示された構成要素に加えて、カメラ225と、検知部(画像処理部)170Bとを備える。
【0099】
各カメラ225は、カメラ121R,121F,122Rおよび122Lと同様に、魚眼カメラである。各カメラ225は、信号線(図示せず)を通じて制御部98Bに接続されている。さらに、各カメラ225は、駆動機構(図示せず)に接続されている。この駆動機構は、駆動機構125と同様に、各カメラ225の位置(深さ)を調整するために用いられる。各カメラ225は、車両100の周囲の領域を撮影する。各カメラ225により撮影された画像(撮影画像)は、検知領域400Bの設定のために用いられる。
【0100】
検知部170Bは、検知部170(図1)と同様に、送電部92Bが受電部181に送電しているときに、撮影画像における検知対象430を検知する。
【0101】
制御部98Bは、上記の駆動機構を制御することによって、各カメラ225の位置を調整することができる。これにより、図8および図9の場合と同様に、各カメラ225の撮影領域の広さが調整される。よって、制御部98Bは、車両100の周囲の検知領域400Bの広さを調整しつつ検知領域400Bを設定することができる。なお、制御部98Bのメモリは、各カメラ225の位置(深さ)と、検知領域400Bの広さ(面積)との対応関係を示すマップを格納している。そして、制御部98Bは、このマップを用いて各カメラ225の位置を調整することによって、検知領域400Bの広さを調整する。このように、検知領域400Bは、車両100のECU190に代えて送電装置90Bの制御部98Bにより設定されていてもよい。
【0102】
制御部98Bは、駐車スペース450用の送電部92Aの検知領域400Aよりも送電部92Bの検知領域400Bが狭くなるように送電部92Bの検知領域400Bを設定することができる。制御部98Bは、例えば、通信部95Bを通じて、送電装置90Aから送電部92Aの検知領域400Aの広さを示す情報を取得する。そして、制御部98Bは、その情報に従って上記のように検知領域400Bを設定することができる。
【0103】
制御部98Bは、各カメラ225により撮影された画像(撮影画像)を、上記の信号線を通じて取得し、検知部170Bに伝達する。撮影画像において検知対象430が検知部170Bにより検知された場合(検知領域400Bにおいて検知対象430が検知された場合)、制御部98Bは、送電部92Bの送電電力を低減させる。具体的には、制御部98Bは、送電部92Bの送電電力が低減されるように電源回路912,922,932,942,952および962を制御する。
【0104】
再び図6を参照して、充電レーン500の上方に設けられたカメラ320が、検知領域400Bの設定のための画像を撮影してもよい。この場合、通信インターフェース325は、各カメラ320により撮影された画像を、制御部98B(図10)に送信する。
【0105】
制御部98Bは、駐車スペース450用の送電部92Aの検知領域400Aよりも送電部92Bの検知領域400Bが狭くなるように送電部92Bの検知領域400Bを設定することができる。図6の例では、制御部98Bは、車両100に向かう方向における、各カメラ320の位置(深さ)を、通信部95Bを通じて遠隔で制御するように構成されている。そして、制御部98Bは、各カメラ320の位置を調整することによって検知領域400Bの広さを調整しつつ検知領域400Bを設定することができる。
【0106】
検知領域400の設定のための画像を撮影するためのカメラは、駐車スペース450に設けられていてもよい。
【0107】
再び図7を参照して、駐車スペース450に設けられたカメラ330が検知領域400Aの設定のための画像を撮影するように構成されていてもよい。この場合、制御部98Aは、カメラ330により撮影された画像を取得し、取得された画像を検知部(画像処理部)170Aに伝達する。
【0108】
検知部170Aは、検知部170と同様の機能を有する画像処理回路である。具体的には、検知部170Aは、送電部92Aが受電部181に電力を送電しているときに、車両100の周囲に設定された検知領域400Aにおける検知対象430を検知するように構成される。検知部170Aは、カメラ330により撮影された画像(撮影画像)に画像処理技術を適用することによって撮影画像における検知対象430を検知する。これにより、車両100の周囲に設定された検知領域400Aにおける検知対象430が検知される。
【0109】
制御部98Aは、カメラ330に接続された駆動機構(図示せず)を制御することによってカメラ330の位置を調整する。これにより、制御部98Aは、検知領域400Aの広さを調整しつつ検知領域400Aを設定することができる。なお、制御部98Aのメモリは、カメラ330の位置(深さ)と、検知領域400Aの広さ(面積)との所定の対応関係を示すマップを格納している。そして、制御部98Aは、このマップを用いてカメラ330の位置を調整することによって、検知領域400Aの広さを調整する。このように、検知領域400Aは、送電装置90Aの制御部98Aにより設定されていてもよい。
【0110】
制御部98Aは、充電レーン500用の送電部92Bの検知領域400Bよりも送電部92Aの検知領域400Aが広くなるように送電部92Aの検知領域400Aを設定することができる。制御部98Aは、例えば、通信部95Aを通じて、送電装置90Bから送電部92Bの検知領域400Bの広さを示す情報を取得する。そして、制御部98Aは、その情報に従って上記のように検知領域400Aを設定することができる。制御部98Aは、検知部170Aにより検知対象430が検知された場合に、送電部92Aの送電電力を低減させる。
【0111】
図11図12および図13は、実施の形態1における車両100の非接触充電に伴う一連の処理の一例を説明するためのフローチャートである。この一連の処理(より詳細には、図11の処理)は、車両100の充電ボタン137(図1)がオン状態になると開始される。
【0112】
図11を参照して、車両100のECU190は、送電装置90Aまたは送電装置90Bから、通信部140を通じて、これらの送電装置のいずれかのファースト信号を受信したか否かを判定する(ステップS105)。ECU190は、ファースト信号を受信していない場合(ステップS105においてNO)、ファースト信号を受信するまで上記の判定処理を実行する。他方、ECU190は、ファースト信号を受信した場合(ステップS105においてYES)、ステップS110へ処理を進める。
【0113】
次いで、ECU190は、駐車スペース450に設けられる送電部92Aから受電部181が電力を受けるか否かを判定する(ステップS110)。具体的には、ECU190は、ファースト信号の送信元が駐車スペース450用の送電装置であるか否かを、通信部140を用いた近距離通信によって受信した信号に従って判定する。
【0114】
ECU190は、送電部92Aから受電部181が電力を受けると判定した場合(ステップS110においてYES)、図12のステップS130へ処理を進める。他方、ECU190は、送電部92Aから受電部181が電力を受けないと判定した場合(ステップS110においてNO)、ステップS111へ処理を進める。この場合、ECU190は、走行レーン(充電レーン500)に設けられる送電部92Bから受電部181が電力を受けると判断し(ステップS111)、図13のステップS132へ処理を進める。
【0115】
図12は、駐車スペース450用の送電装置90Aを用いて非接触充電が実行される場合(図11のステップS110においてYESの場合)の処理を示すフローチャートである。この例では、検知対象430の検知処理は、車両100の検知部170と、送電装置90Aの検知部170A(図7)との両方により実行される。
【0116】
図12を参照して、図11のステップS110の後、ECU190は、車両100の走行レーン(充電レーン500)に設けられる送電部92Bから受電部181が電力を受ける場合よりも、検知領域400が広くなるように検知領域400を設定する(ステップS130)。具体的には、ECU190は、検知領域400Aが検知領域400Bよりも広くなるように検知領域400Aおよび400Bを設定する。
【0117】
次いで、ECU190は、駐車スペース450用の送電装置90Aに、通信部140を通じて送電開始要求を出力する(ステップS135)。
【0118】
次いで、送電装置90Aの制御部98Aは、通信部95Aを通じてこの要求を受けると、受電部181への送電を開始するように送電部92Aを制御する(ステップS340)。その結果、車両100の非接触充電が開始される。
【0119】
次いで、制御部98Aは、検知領域400Aにおいて検知対象430が検知されたか否かを、検知部170A(図7)からの信号に従って判定する(ステップS350)。検知対象430が検知されない場合(ステップS350においてNO)、制御部98Aは、ステップS375に処理を進める。他方、検知対象430が検知された場合(ステップS350においてYES)、制御部98Aは、ステップS360に処理を進める。
【0120】
車両100のECU190は、検知領域400Aにおいて検知対象430が検知されたか否かを、検知部170からの信号に従って判定する(ステップS145)。検知対象430が検知されない場合(ステップS145においてNO)、ECU190は、ステップS165に処理を進める。他方、検知対象430が検知された場合(ステップS145においてYES)、ECU190は、送電部92Aの送電電力を低減させるための要求を送電装置90Aに出力する(ステップS155)。
【0121】
次いで、送電装置90Aの制御部98Aは、通信部95Aを通じてこの要求を受けると、受電部181への送電電力を低減させるように送電部92Aを制御する(ステップS360)。これにより、漏洩電磁界LEMFの強度は、デフォルトの強度であるI0(図5)からI1(図7)に低減される。そして、送電部92Aの送電電力が低減された状況において、非接触充電が継続する。その後、処理は、ステップS375に進む。
【0122】
車両100のECU190は、蓄電装置160のSOCが充電しきい値に到達したか否かを判定する(ステップS165)。SOCが充電しきい値に到達していない場合(ステップS165においてNO)、ECU190は、ステップS145に処理を戻す。他方、SOCが充電しきい値に到達した場合(ステップS165においてYES)、ECU190は、送電装置90Aに送電停止要求を出力する(ステップS170)。
【0123】
ステップS375において、送電装置90Aの制御部98Aは、車両100からの送電停止要求を、通信部95Aを通じて受けたか否かを判定する(ステップS375)。制御部98Aは、送電停止要求を受けていない場合(ステップS375においてNO)、ステップS350に処理を戻す。他方、制御部98Aは、送電停止要求を受けた場合(ステップS375においてYES)、受電部181への送電を停止するように送電部92Aを制御する(ステップS380)。その結果、車両100の非接触充電が終了し、一連の処理が終了する。
【0124】
なお、ステップS360において送電電力が低減された後、制御部98Aが送電停止要求を受けていない間(ステップS375においてNOの間)に検知対象430が検知されなくなった場合(ステップS350においてNO)、制御部98Aは、送電部92Aの送電電力が、低減前の送電電力に戻るように送電部92Aを制御する。
【0125】
図13は、充電レーン500用の送電装置90Bを用いて非接触充電が実行される場合(図11のステップS110においてNOの場合)の処理を示すフローチャートである。この例では、検知対象430の検知処理は、車両100の検知部170と、送電装置90Bの検知部170B(図10)との両方により実行される。
【0126】
図13を参照して、図11のステップS111の後、車両100のECU190は、駐車スペース450に設けられる送電部92Aから受電部181が電力を受ける場合よりも、検知領域400が狭くなるように検知領域400を設定する(ステップS132)。すなわち、ECU190は、検知領域400Bが検知領域400Aよりも狭くなるように検知領域400Bを設定する。
【0127】
図13におけるステップS135~S170、および、ステップS340~S380の処理は、図12の場合の処理と基本的に同様である。
【0128】
なお、この例では、ECU190は、送電開始要求(ステップS135)、送電電力低減要求(ステップS155)および送電停止要求(ステップS170)の出力を、送電装置90Aに代えて送電装置90Bに出力する。
【0129】
ECU190は、SOCが充電しきい値に到達したか否かの判定処理(図13のステップS165)に代えて、車両100が充電レーン500を通過したか否かを判定してもよい。具体的には、ECU190は、車両100と送電装置90Bとの近距離通信が切断されたか否かに従って、この判定処理を実行する。そして、近距離通信が切断された場合、ECU190は、車両100が充電レーン500を通過したと判定し、処理を終了する。これに伴い、送電装置90Bの制御部98Bも処理を終了する。他方、近距離通信が切断されていない(確立されている)場合、ECU190は、車両100が充電レーン500を通過していない(走行している)と判定し、ステップS145に処理を戻す。
【0130】
以上のように、本実施の形態に従う非接触電力伝送システム10において、車両100のECU190は、送電部92Aから受電部181が電力を受ける場合に、送電部92Bから受電部181が電力を受ける場合よりも、検知領域400が広くなるように検知領域400を設定する。
【0131】
上記の構成によれば、送電部92Aから受電部が電力を受ける場合、送電部92Bから受電部181が電力を受ける場合よりも、検知対象430が検知されやすい。よって、送電部92Aの送電電力は、送電部92Bの送電電力よりも低減されやすい。その結果、送電部92Aから発生する漏洩電磁界LEMFの強度は、送電部92Bから発生する漏洩電磁界LEMFの強度よりも低くなりやすい(I0からI1に低下しやすい)。したがって、送電部92Aから受電部181が電力を受ける場合、送電部92Bから受電部181が電力を受ける場合よりも、漏洩電磁界LEMFによる車両100の周囲の電気機器380への影響を低減することができる。
【0132】
別の観点からは、送電部92Bの送電電力は、送電部92Aの送電電力よりも低減されにくい。したがって、送電部92Bから受電部181が電力を受ける場合、送電部92Aから受電部181が電力を受ける場合よりも、非接触充電(走行中充電)を良好に実行しやすくすることができる。
【0133】
本実施の形態では、カメラ121R,121F,122Rおよび122Lとして、魚眼カメラが用いられる。魚眼カメラの撮像領域は、通常のカメラの撮像領域よりも広い。そのため、検知領域400Aが検知領域400Bよりも広くなるようにECU190が検知領域400Aを設定するために魚眼カメラは好適である。
【0134】
[実施の形態1の変形例1]
検知対象430が検知された場合に、ECU190は、車両100に電力を送電している送電部92Aまたは送電部92B(作動中の送電部)と検知対象430との距離が短いほど、作動中の送電部の送電電力をより低減させてもよい。ECU190は、カメラ121R,121F,122Lおよび122Rにより撮影された画像に公知の画像処理技術を適用することによって、この距離を算出する。そして、ECU190は、この距離に応じた送電電力の指令値を、作動中の送電装置に通信部140を通じて送信する。上記の画像処理のためのプログラムは、メモリ192に格納されている。
【0135】
作動中の送電部から発生する漏洩電磁界LEMFによる電気機器380への影響は、送電部(送電部に位置合わせされた車両100)と電気機器380(電気機器380を有する人370などの検知対象430)との距離が短くなるほど、より大きくなる。
【0136】
この変形例3によれば、作動中の送電部と電気機器380との距離が短い場合であっても、送電電力が低減されるため、漏洩電磁界LEMFの強度が高くなることが抑制される。よって、漏洩電磁界LEMFによる電気機器380への影響が大きくなることを回避することができる。
【0137】
[実施の形態1の変形例2]
検知対象430が検知された場合に、ECU190は、車両100に電力を送電している送電部(送電部92Aまたは送電部92B)を停止してもよい。具体的には、ECU190は、この送電部に送電停止要求を出力してもよい。
【0138】
この変形例3によれば、検知対象430が検知された場合、車両100に電力を送電していた送電部から漏洩電磁界LEMFが発生しなくなる。その結果、電気機器380が漏洩電磁界LEMFによる影響を受ける事態を防止することができる。
【0139】
[実施の形態1の変形例3]
カメラ121R,121F,122Rおよび122Lは、サーモカメラであってもよい。検知部170は、サーモカメラにより撮影された画像における一部の領域の温度が所定温度よりも高い場合に、その領域内の対象を検知対象430として検知する。これにより、人370などの生体を検知対象430として検知することが容易になる。
【0140】
カメラ121R,121F,122Rおよび122Lは、赤外線カメラであってもよい。これにより、検知部170は、夜間に照明機器が用いられない場合であっても検知対象430を検知することができる。
【0141】
[実施の形態1の変形例4]
上述の実施の形態1ならびにその変形例1~3では、ECU190が駆動機構125を用いてカメラ121R,121F,122Rおよび122Lの位置を調整することによって、検知領域400(400Aおよび400B)を設定するものとした。
【0142】
これに対して、ECU190は、非接触充電が実行される場所に応じて各カメラの撮影画像における画像処理の対象領域(画像処理領域)を設定してもよい。より詳細には、ECU190は、非接触充電が実行される場所に応じて上記の画像処理領域のサイズを設定する。
【0143】
例えば、ECU190は、駐車スペース450において非接触充電が実行される場合に、充電レーン500において非接触充電が実行される場合よりも、撮影画像での画像処理領域が広くなるように画像処理領域を設定する。検知部170は、設定された画像処理領域において検知処理(画像処理)を実行する。
【0144】
一例として、駐車スペース450において非接触充電が実行される場合、撮影画像の全体領域が画像処理領域であり、その全体領域において検知対象430が検知される。他方、充電レーン500において非接触充電が実行される場合、撮影画像の一部の領域(例えば、中央領域)のみが画像処理領域であり、その一部の領域のみにおいて検知対象430が検知される。そのため、仮に、撮影画像のうち、この一部の領域とは異なる領域に検知対象430が存在している場合であっても、検知対象430が検知されない。
【0145】
このように、この変形例4では、非接触充電が実行される場所に応じて画像処理領域が設定される。これにより、検知領域400の広さを調整しつつ検知領域400を設定することができる。よって、検知領域400Aを検知領域400Bよりも広くすることができる。そのため、検知領域400の設定(変更)のために駆動機構125(図1)は必須ではない。その結果、車両100における部品の数の増加に伴うコスト増大を抑制することができる。
【0146】
[実施の形態1の変形例5]
上述の実施の形態1ならびにその変形例1~3では、撮像部120および検知部170を用いて検知対象430が検知された。これに対して、センサ部110が本開示における「検知部」として機能してもよい。具体的には、センサ部110の超音波センサ112または光センサ114を用いて検知対象430が検知されてもよい。
【0147】
例えば、超音波センサ112が用いられる場合、FR方向、RE方向、RI方向およびLE方向(いずれも図3)における検知対象430を検知するための4つの超音波センサ112(それぞれ、第1、第2、第3および第4の超音波センサとも称する)が用いられる。各超音波センサ112は、発信機と受信器との組を含む。
【0148】
そして、各超音波センサ112について、検知しきい値がECU190により設定される。具体的には、発信器から発信されて検知対象430により反射された反射波の受信強度が検知しきい値以上である場合に、超音波センサ112は、検知対象430を検知するものとする。検知対象430の検知結果は、各超音波センサ112からECU190に出力される。
【0149】
ECU190は、駐車スペース450において非接触充電が実行される場合に、充電レーン500において非接触充電が実行される場合よりも、検知しきい値が小さくなるように検知しきい値を設定する。
【0150】
一般的に、検知対象430が車両100から遠いほど、発信器から発信されて検知対象430により反射された反射波の受信強度が低くなる。そのため、検知しきい値が小さくなるほど、各超音波センサ112は、車両100からより遠い検知対象430をも検知することができる。
【0151】
よって、ECU190が上記のように検知しきい値を設定することによって、検知領域400Aを検知領域400Bよりも広くすることができる。このように、検知対象430の検知のために超音波センサ112が用いられる場合、検知対象430の色、および車両100の周囲の明るさに関係なく検知対象430を検知することができる。
【0152】
そして、検知部としてのセンサ部110により検知対象430が検知された場合に、ECU190は、車両100に電力を送電している送電部92Aまたは送電部92Bの送電電力を低減させる。
【0153】
ECU190は、車両100の横方向(LE方向およびRI方向)において、検知領域400Aの幅が検知領域400Bの幅が広くなるように、各超音波センサ112について、検知しきい値を設定することが好ましい。具体的には、ECU190は、第3および第4の超音波センサ(LE方向およびRI方向)の検知しきい値が、第1および第2の超音波センサ(FR方向およびRE方向)の検知しきい値よりも小さくなるように各検知しきい値を設定することが好ましい。
【0154】
同様に、検知対象430の検知のために光センサ114が用いられてもよい。この場合、FR方向、RE方向、RI方向およびLE方向における検知対象430を検知するための4つの光センサ114(それぞれ、第1、第2、第3および第4の光センサとも称する)が用いられる。ECU190は、各光センサ114について、超音波センサ112の場合と同様に、検知しきい値を設定する。例えば、ECU190は、第3および第4の光センサ(LE方向およびRI方向)の検知しきい値が、第1および第2の光センサ(FR方向およびRE方向)の検知しきい値よりも小さくなるように各検知しきい値を設定する。
【0155】
一般的に、光センサ114の検知精度および応答性は、超音波センサ112の検知精度および応答性よりも優れている。よって、上記のように、検知対象430の検知のために光センサ114が用いられる場合、超音波センサ112の場合よりも検知精度を高めつつ応答性を早めることができる。
【0156】
[実施の形態1の変形例6]
検知部170とECU190とは、一体的に構成されていてもよい。例えば、検知部170の機能がECU190においてソフトウェア処理により実現されてもよい。具体的には、検知部170の機能を実現するためのプログラムがECU190のメモリ192に格納されている場合、CPU191がそのプログラムを実行することによって、検知部170の機能(画像処理機能)が実現される。したがって、検知部170は、必ずしもECU190とは別個の画像処理回路に限定されない。
【0157】
[実施の形態2]
実施の形態1では、主に車両100のECU190が検知領域400(検知領域400Aおよび検知領域400B)を設定する。これに対して、サーバ200(図1)の処理部230が検知領域400を設定してもよい。以下、この点について詳しく説明する。
【0158】
図14図15および図16は、実施の形態2における車両100の非接触充電に伴う一連の処理の一例を説明するためのフローチャートである。この一連の処理(より詳細には、図14の処理)は、車両100の充電ボタン137(図1)がオン状態になると開始される。以下の説明において、図11図13を適宜参照する。
【0159】
図14を参照して、車両100のECU190は、ファースト信号を受信した場合(ステップS105においてYES)、通信部140を通じてサーバ200に車両100の位置情報(車両情報)を送信する(ステップS107)。その後、車両100における処理は、ステップS111に進む。
【0160】
サーバ200の処理部230は、車両100から通信部210を通じて位置情報を受信すると(ステップS205)、ステップS215に処理を進める。
【0161】
次いで、処理部230は、駐車スペース450に設けられる送電部92Bから受電部181が電力を受けるか否かを判定する(ステップS215)。具体的には、処理部230は、記憶部220に格納された送電装置情報DB221に登録された複数の送電装置のうち、車両100の現在位置に設けられる送電装置を特定する。処理部230は、特定された送電装置が、駐車スペース450用の送電装置90Aまたは充電レーン500用の送電装置90Bのいずれであるかを示す情報を送電装置情報DB221から取得する。そして、処理部230は、取得された情報に従って上記の判定処理を実行する。
【0162】
処理部230は、駐車スペース450に設けられる送電部92Bから受電部181が電力を受けると判定した場合(ステップS215においてYES)、図15のステップS230に処理を進める。他方、処理部230は、駐車スペース450に設けられる送電部92Bから受電部181が電力を受けないと判定した場合(ステップS215においてNO)、走行レーン(充電レーン500)に設けられる送電部92Bから受電部181が電力を受けると判断し(ステップS216)、図16のステップS232に処理を進める。
【0163】
車両100のECU100は、非接触充電の充電場所が駐車スペース450または充電レーン500のいずれであるかを判定する(ステップS111)。具体的には、ECU100は、ステップS105において受信されたファースト信号の送信元が、駐車スペース450用の送電装置90Aまたは充電レーン500用の送電装置90Bのいずれであるかを、近距離通信によって受信した信号に従って判定する。充電場所が駐車スペース450である場合、ECU100は、図15のステップS135に処理を進める。他方、充電場所が充電レーン500である場合、ECU100は、図16のステップS135に処理を進める。
【0164】
図15は、駐車スペース450用の送電装置90Aを用いて非接触充電が実行される場合(図11のステップS111において、充電場所が駐車スペース450である場合)の処理を示すフローチャートである。このフローチャートは、車両100のECU190に代えてサーバ200の処理部230が検知領域400を設定する点において、図12のフローチャートと異なる。
【0165】
具体的には、図15のフローチャートにおいて、ステップS230およびS255の処理は、それぞれ、ステップS130およびS155(いずれも図12)の処理に対応する。さらに、図13のフローチャートにおいて、図12のフローチャートと比較して、ステップS147、S252およびS352の処理が追加されている。図15におけるその他の処理は、図12の場合の処理と基本的に同様である。
【0166】
この例では、検知対象430の検知処理は、車両100の検知部170と、送電装置90Aの検知部170A(図7)との両方により実行される。
【0167】
図15を参照して、図14のステップS215の後、サーバ200の処理部230は、車両100の走行レーン(充電レーン500)に設けられる送電部92Bから受電部181が電力を受ける場合よりも、検知領域400が広くなるように検知領域400を設定する(ステップS230)。具体的には、処理部230は、検知領域400Aが検知領域400Bよりも広くなるように検知領域400Aおよび400Bを設定する。処理部230は、通信部210を通じて、車両100および送電装置90Aに検知領域400の設定範囲を送信する。より詳細には、処理部230は、凹部125Rなどの凹部における、各カメラの位置(深さ)の指令値を車両100および送電装置90Aに送信する。
【0168】
車両100のECU190は、検知領域400Aにおいて検知対象430が検知されたと判定すると(ステップS145においてYES)、通信部140を通じてサーバ200に検知情報を送信する(ステップS147)。この検知情報は、検知部170により検知対象430が検知されたことと、検知対象430の位置とを示す。
【0169】
同様に、送電装置90Aの制御部98Aは、検知領域400Aにおいて検知対象430が検知されたと判定すると(ステップS350においてYES)、通信部95Aを通じてサーバ200に検知情報を送信する(ステップS352)。この検知情報は、検知部170Aにより検知対象430が検知されたことと、検知対象430の位置とを示す。
【0170】
次いで、サーバ200の通信部210は、検知情報を取得(受信)する(ステップS252)。通信部210が検知情報を取得すると、処理部230は、送電装置90A(送電部92A)の送電電力を低減させるための指令を、通信部210を通じて送電装置90Aに出力する。
【0171】
図16は、充電レーン500用の送電装置90Bを用いて非接触充電が実行される場合(図11のステップS111において、充電場所が充電レーン500である場合)の処理を示すフローチャートである。
【0172】
このフローチャートは、車両100のECU190に代えてサーバ200の処理部230が検知領域400を設定する点において、図13のフローチャートと異なる。具体的には、図16のフローチャートにおいて、ステップS232およびS255の処理は、それぞれ、ステップS132およびS155(いずれも図13)の処理に対応する。さらに、図16のフローチャートにおいて、図13のフローチャートと比較して、ステップS147、S252およびS352の処理が追加されている。図16におけるその他の処理は、図13の場合の処理と基本的に同様である。
【0173】
図16を参照して、図14のステップS216の後、サーバ200の処理部230は、駐車スペース450に設けられる送電部92Aから受電部181が電力を受ける場合よりも、検知領域400が狭くなるように検知領域400を設定する(ステップS232)。具体的には、処理部230は、検知領域400Bが検知領域400Aよりも狭くなるように検知領域400Bを設定する。処理部230は、通信部210を通じて、車両100および送電装置90Bに検知領域400の設定範囲を送信する。
【0174】
以上のように、本実施の形態に従うサーバ200は、通信部210と、処理部(制御部)230とを備える。通信部210は、検知部170により検知対象430が検知されたことを示す検知情報を取得する。処理部230は、通信部210が検知情報を取得すると、車両100に電力を送電している送電部92Aまたは送電部92Bの送電電力を低減させる。処理部230は、送電部92Aから受電部181が電力を受ける場合に、送電部92Bから受電部181が電力を受ける場合よりも、検知領域400が広くなるように検知領域400を設定する。
【0175】
上記の構成によっても、実施の形態1と同様の効果を奏することができる。具体的には、駐車スペース450における漏洩電磁界LEMFによる電気機器380への影響を低減することができる。さらに、充電レーン500において車両100が非接触充電(走行中充電)を良好に実行しやすくすることができる。
【0176】
[実施の形態2の変形例1]
検知対象430が検知された場合に、処理部230は、車両100に電力を送電している送電部92Aまたは送電部92B(作動中の送電部)と検知対象430との距離が短いほど、作動中の送電部の送電電力をより低減させてもよい。具体的には、処理部230は、車両100の位置情報(車両情報)と、検知情報とに従ってこの距離を算出し、その距離に応じた送電電力の指令値を、作動中の送電装置に通信部210を通じて送信してもよい。
【0177】
これにより、実施の形態1の変形例1の場合と同様に、漏洩電磁界LEMFによる電気機器380への影響が大きくなることを回避することができる。
【0178】
[実施の形態2の変形例2]
検知対象430が検知された場合に、処理部230は、車両100に電力を送電している送電部92Aまたは送電部92Bを停止してもよい。具体的には、処理部230は、作動中の送電装置に停止指令を、通信部210を通じて送信してもよい。
【0179】
これにより、実施の形態1の変形例2の場合と同様に、電気機器380が漏洩電磁界LEMFによる影響を受ける事態を防止することができる。
【0180】
[その他の変形例]
サーバ200の処理部230は、非接触充電が実行される地域において人370が車両100へ乗降する頻度に基づいて、検知領域400を設定してもよい。この例では、サーバ200の記憶部220は、地図情報DB222(図1)において区分されている地域ごとに、その地域において人370が車両100に乗降する頻度を格納しているものとする。この頻度は、実験などにより適宜予め定められる。
【0181】
以下、第1の地域は、人370が車両100に乗降する頻度が第2の地域よりも高い地域として予め定められた地域であるものとする。一例として、第1の地域は、都会地域であり、第2の地域は、田舎地域である。
【0182】
処理部230は、通信部210を通じて車両100の位置情報を受信すると、車両100が位置している地域を地図情報DB222に基づいて判断する。この例では、車両100が第1の地域に位置しており、第1の地域において送電部(送電部92Aまたは送電部92B)が受電部181に電力を送るものとする。そして、処理部230は、第1の地域における上記の頻度を記憶部220から取得する。この例では、処理部230は、第2の地域において送電部が受電部181に電力を送る場合よりも、検知領域400が広くなるように検知領域400を設定する。
【0183】
あるいは、車両100のECU190は、第1の地域において送電部(送電部92Aまたは送電部92B)が受電部181に電力を送る場合に、第2の地域において送電部が受電部181に電力を送る場合よりも、検知領域400が広くなるように検知領域400を設定してもよい。具体的には、ECU190は、車両100のナビゲーションシステム135に格納されている地図情報に基づいて、車両100がどの地域(例えば、第1の地域または第2の地域のいずれの地域)に位置しているかを判断する。そして、ECU190は、通信部170を通じてサーバ200にアクセスすることによって、車両100が現在位置する地域における上記の頻度を記憶部220から取得する。これにより、ECU190は、上記のように検知領域400を設定することができる。
【0184】
あるいは、送電装置90Aの制御部98Aは、第1の地域において送電部92Aが受電部181に電力を送る場合に、第2の地域において送電部92Aが受電部181に電力を送る場合よりも、検知領域400Aが広くなるように検知領域400Aを設定してもよい。
【0185】
あるいは、送電装置90Bの制御部98Bは、第1の地域において送電部92Bが受電部181に電力を送る場合に、第2の地域において送電部92Bが受電部181に電力を送る場合よりも、検知領域400Bが広くなるように検知領域400Bを設定してもよい。
【0186】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0187】
10 非接触電力伝送システム、90A,90B 送電装置、92A,92B 送電部、95A,95B,140,170,210 通信部、98,98A,98B 制御部、100 車両、120 撮像部、121F,121R,122L,122R,225,320,330 カメラ、125 駆動機構、137 充電ボタン、160 蓄電装置、170,170A,170B 検知部、181 受電部、200 サーバ、220 記憶部、230 処理部、370 人、380 電気機器、400,400A,400B 検知領域、430 検知対象、450 駐車スペース、500 充電レーン、LEMF 漏洩電磁界。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図16