IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 第一精工株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-電気コネクタ 図1
  • 特許-電気コネクタ 図2
  • 特許-電気コネクタ 図3
  • 特許-電気コネクタ 図4
  • 特許-電気コネクタ 図5
  • 特許-電気コネクタ 図6
  • 特許-電気コネクタ 図7
  • 特許-電気コネクタ 図8
  • 特許-電気コネクタ 図9
  • 特許-電気コネクタ 図10
  • 特許-電気コネクタ 図11
  • 特許-電気コネクタ 図12
  • 特許-電気コネクタ 図13
  • 特許-電気コネクタ 図14
  • 特許-電気コネクタ 図15
  • 特許-電気コネクタ 図16
  • 特許-電気コネクタ 図17
  • 特許-電気コネクタ 図18
  • 特許-電気コネクタ 図19
  • 特許-電気コネクタ 図20
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】電気コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/6591 20110101AFI20241001BHJP
【FI】
H01R13/6591
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021144462
(22)【出願日】2021-09-06
(65)【公開番号】P2023037719
(43)【公開日】2023-03-16
【審査請求日】2024-04-12
(73)【特許権者】
【識別番号】592028846
【氏名又は名称】I-PEX株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100145012
【弁理士】
【氏名又は名称】石坂 泰紀
(74)【代理人】
【識別番号】100171099
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100183438
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 泰史
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 伊知朗
【審査官】山下 寿信
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-184475(JP,A)
【文献】特開2019-197684(JP,A)
【文献】特開2010-157368(JP,A)
【文献】国際公開第2021/225122(WO,A1)
【文献】特開2021-170508(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/6591
H01R 24/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同軸ケーブルの外部導体に接触する第1の板状部を有する第1のグランドバーと、
相手方コネクタとの嵌合方向において前記第1の板状部に対向し、前記第1の板状部との間に前記同軸ケーブルを挟持するように配置され、前記同軸ケーブルの外部導体に接触する第2の板状部を有する第2のグランドバーと、
グランド電位が与えられ、前記第1のグランドバー及び前記第2のグランドバーを介して前記同軸ケーブルの外部導体に電気的に接続されるグランドコンタクト部材と、を備え、
前記第1のグランドバー及び前記第2のグランドバーの少なくともいずれか一方は、前記板状部における、前記嵌合方向及び前記同軸ケーブルの延在方向に交差する幅方向の端部から、対向する前記板状部に向かって延びる側壁部を有し、
前記グランドコンタクト部材は、前記幅方向において前記側壁部を覆い前記側壁部に接触する接触部を有する、電気コネクタ。
【請求項2】
前記接触部は、前記幅方向において弾性を有している、請求項1記載の電気コネクタ。
【請求項3】
前記グランドコンタクト部材は、前記相手方コネクタの環状部に嵌合接続される環状嵌合部と、前記環状嵌合部に連続すると共に前記幅方向において互いに対向しながら前記同軸ケーブルを挟むように前記延在方向に延びる一対の腕部と、前記環状嵌合部の上面を覆うベース部と、前記ベース部における前記幅方向の両端部に連続し折り曲げられることにより前記腕部を覆い、前記同軸ケーブルを保持する一対のバレル部と、を有し、
前記接触部は、前記一対の腕部に形成されている、請求項1又は2記載の電気コネクタ。
【請求項4】
前記グランドコンタクト部材は、前記相手方コネクタの環状部に嵌合接続される環状嵌合部と、前記環状嵌合部に連続すると共に前記幅方向において互いに対向しながら前記同軸ケーブルを挟むように前記延在方向に延びる一対の腕部と、前記環状嵌合部の上面を覆うベース部と、前記ベース部における前記幅方向の両端部に連続し折り曲げられることにより前記腕部を覆い、前記同軸ケーブルを保持する一対のバレル部と、を有し、
前記接触部は、前記一対のバレル部に形成されている、請求項1又は2記載の電気コネクタ。
【請求項5】
同軸ケーブルの外部導体を覆うように充填され前記同軸ケーブルを固定する半田部と、
グランド電位が与えられ、前記半田部を介して前記同軸ケーブルの外部導体に電気的に接続されるグランドコンタクト部材と、を備え、
前記半田部は、前記同軸ケーブルにおける、前記同軸ケーブルの延在方向及び相手方コネクタとの嵌合方向に交差する幅方向の外方に充填された外方充填部を有し、
前記グランドコンタクト部材は、前記幅方向において前記外方充填部を覆い前記外方充填部に接触する接触部を有する、電気コネクタ。
【請求項6】
前記接触部は、前記幅方向において弾性を有している、請求項5記載の電気コネクタ。
【請求項7】
前記グランドコンタクト部材は、前記相手方コネクタの環状部に嵌合接続される環状嵌合部と、前記環状嵌合部に連続すると共に前記幅方向において互いに対向しながら前記同軸ケーブルを挟むように前記延在方向に延びる一対の腕部と、前記環状嵌合部の上面を覆うベース部と、前記ベース部における前記幅方向の両端部に連続し折り曲げられることにより前記腕部を覆い、前記同軸ケーブルを保持する一対のバレル部と、を有し、
前記接触部は、前記一対の腕部に形成されている、請求項5又は6記載の電気コネクタ。
【請求項8】
前記グランドコンタクト部材は、前記相手方コネクタの環状部に嵌合接続される環状嵌合部と、前記環状嵌合部に連続すると共に前記幅方向において互いに対向しながら前記同軸ケーブルを挟むように前記延在方向に延びる一対の腕部と、前記環状嵌合部の上面を覆うベース部と、前記ベース部における前記幅方向の両端部に連続し折り曲げられることにより前記腕部を覆い、前記同軸ケーブルを保持する一対のバレル部と、を有し、
前記接触部は、前記一対のバレル部に形成されている、請求項5又は6記載の電気コネクタ。
【請求項9】
同軸ケーブルの外部導体に接触する第1の板状部を有する第1のグランドバーと、
相手方コネクタとの嵌合方向において前記第1の板状部に対向し、前記第1の板状部との間に前記同軸ケーブルを挟持するように配置され、前記同軸ケーブルの外部導体に接触する第2の板状部を有する第2のグランドバーと、
グランド電位が与えられ、前記第1のグランドバー及び前記第2のグランドバーを介して前記同軸ケーブルの外部導体に電気的に接続されるグランドコンタクト部材と、
前記第2のグランドバーに電気的に接続されるとともに前記相手方コネクタの環状部に接触する導電部材と、
前記導電部材に接触した部分を備えることにより前記第2のグランドバーに電気的に接続されたアイソレーション特性改善部と、を備える電気コネクタ。
【請求項10】
前記アイソレーション特性改善部は、前記第1のグランドバーに接触している、請求項9記載の電気コネクタ。
【請求項11】
前記アイソレーション特性改善部は、前記グランドコンタクト部材に接触している、請求項9記載の電気コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電気コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
同軸ケーブルの端末部分に取り付けられたプラグコネクタが、配線基板に実装されたリセプタクルコネクタと嵌合することにより、同軸ケーブルと配線基板の電気回路とを電気的に接続するコネクタ装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6269558号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上述したようなコネクタ装置において、コネクタ内部のシグナル(電気信号を伝送する電磁波)がコネクタ装置の周囲に伝搬すると、周囲の外部製品に対して影響を及ぼすおそれがある。そのため、上述したようなコネクタ装置においては、コネクタ内部のシグナルを周囲に伝搬させないこと(耐ノイズ性を向上させること)が重要である。
【0005】
本開示は上記実情に鑑みてなされたものであり、耐ノイズ性を向上させることができる電気コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る電気コネクタは、同軸ケーブルの外部導体に接触する第1の板状部を有する第1のグランドバーと、相手方コネクタとの嵌合方向において第1の板状部に対向し、第1の板状部との間に同軸ケーブルを挟持するように配置され、同軸ケーブルの外部導体に接触する第2の板状部を有する第2のグランドバーと、グランド電位が与えられ、第1のグランドバー及び第2のグランドバーを介して同軸ケーブルの外部導体に電気的に接続されるグランドコンタクト部材と、を備え、第1のグランドバー及び第2のグランドバーの少なくともいずれか一方は、板状部における、嵌合方向及び同軸ケーブルの延在方向に交差する幅方向の端部から、対向する板状部に向かって延びる側壁部を有し、グランドコンタクト部材は、幅方向において側壁部を覆い側壁部に接触する接触部を有する。
【0007】
本開示の一態様に係る電気コネクタでは、同軸ケーブルの外部導体に接触する第1のグランドバー及び第2のグランドバーの板状部が嵌合方向において同軸ケーブルを挟持するように配置されている。そして、第1のグランドバー及び第2のグランドバーの少なくともいずれか一方において、対向する板状部に向かって延びる側壁部が形成されており、該側壁部が、幅方向において側壁部を覆うグランドコンタクト部材の接触部に接触している。このように、同軸ケーブルの外部導体に接触するグランドバーから延びる側壁部が、グランドコンタクト部材に接触することにより、同軸ケーブルにおけるシールド性(EMI特性)が向上することとなる。これにより、電気コネクタの耐ノイズ性が向上し、電気コネクタ内部のシグナルが周囲に伝搬して周囲の外部製品に対して影響を及ぼすことを効果的に抑制することができる。
【0008】
接触部は、幅方向において弾性を有していてもよい。このような構成によれば、同軸ケーブルの幅方向における位置がずれた場合においても、弾性を有する接触部によって当該ずれを吸収し、側壁部と接触部との接触安定性を向上させることができる。これにより、上述した耐ノイズ性の向上をより確実に実現することができる。
【0009】
グランドコンタクト部材は、相手方コネクタの環状部に嵌合接続される環状嵌合部と、環状嵌合部に連続すると共に幅方向において互いに対向しながら同軸ケーブルを挟むように延在方向に延びる一対の腕部と、環状嵌合部の上面を覆うベース部と、ベース部における幅方向の両端部に連続し折り曲げられることにより腕部を覆い、同軸ケーブルを保持する一対のバレル部と、を有し、接触部は、一対の腕部に形成されていてもよい。このような構成によれば、腕部において側壁部に接触させながら、該腕部を更にバレル部が覆う構成とすることができ、同軸ケーブルの側面側におけるシールド性を向上させることができる。また、バレル部に覆われる腕部に接触部が形成されることにより、バレル部によって腕部(接触部)が幅方向の外側に移動することが抑制されるため、側壁部と接触部との接触安定性を向上させることができる。
【0010】
グランドコンタクト部材は、相手方コネクタの環状部に嵌合接続される環状嵌合部と、環状嵌合部に連続すると共に幅方向において互いに対向しながら同軸ケーブルを挟むように延在方向に延びる一対の腕部と、環状嵌合部の上面を覆うベース部と、ベース部における幅方向の両端部に連続し折り曲げられることにより腕部を覆い、同軸ケーブルを保持する一対のバレル部と、を有し、接触部は、一対のバレル部に形成されていてもよい。このような構成によれば、バレル部が側壁部との接触領域まで延びていれば側壁部と接触部との接触を実現することができ、当該接触領域における構成を簡素化することができる。
【0011】
本開示の一態様に係る電気コネクタは、同軸ケーブルの外部導体を覆うように充填され同軸ケーブルを固定する半田部と、グランド電位が与えられ、半田部を介して同軸ケーブルの外部導体に電気的に接続されるグランドコンタクト部材と、を備え、半田部は、同軸ケーブルにおける、同軸ケーブルの延在方向及び相手方コネクタとの嵌合方向に交差する幅方向の外方に充填された外方充填部を有し、グランドコンタクト部材は、幅方向において外方充填部を覆い外方充填部に接触する接触部を有する。
【0012】
本開示の一態様に係る電気コネクタでは、同軸ケーブルの外部導体を覆うように充填された半田部が、同軸ケーブルの幅方向の外方に充填された外方充填部を有し、該外方充填部が、幅方向において外方充填部を覆うグランドコンタクト部材の接触部に接触している。このように、半田部における同軸ケーブルの幅方向の外方(側面側)に充填された部分がグランドコンタクト部材に接触することにより、同軸ケーブルの側面側におけるシールド性(EMI特性)が向上することとなる。これにより、電気コネクタの耐ノイズ性が向上し、電気コネクタ内部のシグナルが周囲に伝搬して周囲の外部製品に対して影響を及ぼすことを効果的に抑制することができる。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、耐ノイズ性を向上させることができる電気コネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本実施形態に係る同軸コネクタ装置を示す斜視図である。
図2図2は、本実施形態に係る同軸コネクタ装置が同軸ケーブルの一端部に装着される過程を示す斜視図である。
図3図3は、本実施形態に係る同軸コネクタ装置を示す分解斜視図である。
図4図4は、同軸コネクタ装置に含まれるケーブル固定部を示す背面図である。
図5図5は、本実施形態に係る同軸コネクタ装置が同軸ケーブルの一端部に装着された状態を示す上方側から見た斜視図である。
図6図6は、本実施形態に係る同軸コネクタ装置が同軸ケーブルの一端部に装着された状態を示す底面図である。
図7図7は、本実施形態に係る同軸コネクタ装置が連結される相手方コネクタ装置を示す斜視図である。
図8図8は、本実施形態に係る同軸コネクタ装置が、同軸ケーブルの一端部に装着されたもとで、相手方コネクタ装置に機械的且つ電気的に連結された状態を示す平面図である。
図9図9は、図8におけるA-A線断面を示す断面図である。
図10図10は、図8におけるB-B線断面を示す断面図である。
図11図11は、図8におけるC-C線断面を示す断面図である。
図12図12(a)は図8におけるD-D線断面を示す断面図であり、図12(b)は図12(a)に示される部分Eの拡大図である。
図13図13(a)~(d)は、本実施形態に係る同軸コネクタ装置の組立方法を説明する図である。
図14図14(a)~(b)は、本実施形態に係る同軸コネクタ装置の組立方法を説明する図であり、図13(d)に続く工程を示す図である。
図15図15(a)は変形例に係る同軸コネクタ装置の断面(図12(a)のD-D線断面に相当する断面)を示す断面図であり、図15(b)は図15(a)に示される部分Fの拡大図である。
図16図16(a)は更なる変形例に係る同軸コネクタ装置の断面(図12(a)のD-D線断面に相当する断面)を示す断面図であり、図16(b)は図16(a)に示される部分Gの拡大図である。
図17図17(a)は更なる変形例に係る同軸コネクタ装置の断面(図12(a)のD-D線断面に相当する断面)を示す断面図であり、図17(b)は図17(a)に示される部分Hの拡大図である。
図18図18は、更なる変形例に係る同軸コネクタ装置が同軸ケーブルの一端部に装着される過程を示す斜視図である。
図19図19は、図18に示される同軸コネクタ装置が同軸ケーブルの一端部に装着された状態を示す上方側から見た斜視図である。
図20図20(a)は図18に示される同軸コネクタ装置の断面(図12(a)のD-D線断面に相当する断面)を示す断面図であり、図20(b)は図20(a)に示される部分Iの拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態に係る同軸コネクタ装置の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、説明において、同一要素または同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0016】
図1は、本実施形態に係る同軸コネクタ装置11(電気コネクタ)を示す斜視図である。図2は、本実施形態に係る同軸コネクタ装置11が同軸ケーブル12A,12Bの一端部に装着される過程を示す斜視図である。図1及び図2に示される同軸コネクタ装置11は、2つの同軸ケーブル12A,12Bの一端部に装着されて用いられる。同軸ケーブル12A,12Bは、それぞれ、中心導体13と、中心導体13を密着包囲する内部絶縁体14と、内部絶縁体14を密着包囲する外部導体15と、外部導体15を密着包囲する表皮絶縁体16とを有している。斯かる同軸ケーブル12A,12Bにおける同軸コネクタ装置11が装着される一端部は、表皮絶縁体16が部分的に切除されて外部導体15が露出するとともに、その外部導体15及び内部絶縁体14のそれぞれが部分的に切除されて中心導体13が露出する状態におかれる。
【0017】
なお、以下の説明において、「嵌合方向」とは同軸コネクタ装置11と相手方コネクタ装置100(図7参照)との嵌合方向を示しており、「同軸ケーブルの延在方向」とは同軸ケーブル12A,12Bの延在方向を示しており、「幅方向」とは篏合方向及び同軸ケーブルの延在方向に交差する幅方向(同軸コネクタ装置11の幅方向)を示している。
【0018】
図3は、本実施形態に係る同軸コネクタ装置11を示す分解斜視図である。図3に示されるように、同軸コネクタ装置11は、主要構成要素として、2つのシグナルコンタクト部材20A,20Bと、グランドコンタクト部材30と、導電部材50と、を備えている。また、同軸コネクタ装置11は、絶縁ハウジング40を備えていてもよい。
【0019】
絶縁ハウジング40は、合成樹脂等の絶縁材料により形成されている。絶縁ハウジング40は、シグナルコンタクト部材20A,20Bとグランドコンタクト部材30とを相互に絶縁する状態をもって支持する。絶縁ハウジング40は、シグナルコンタクト部材20Aの支持に係る第1支持部41と、シグナルコンタクト部材20Bの支持に係る第2支持部42と、ベース部43と、を有する。第1支持部41及び第2支持部42は、同軸コネクタ装置11の幅方向において隣り合って配置されている。
【0020】
第1支持部41及び第2支持部42における上記幅方向の外側面には、上記幅方向の外方に突出した突出部91が設けられている。突出部91は、同軸コネクタ装置11の組立時において、グランドコンタクト部材30の腕部35の凹部35x(詳細は後述)に嵌合し、グランドコンタクト部材30に対する絶縁ハウジング40の位置を固定する部分である(図2参照)。
【0021】
第1支持部41及び第2支持部42における下面の上記幅方向の両端部分には、凹部である差込口49(図13(a)参照)が形成されている。差込口49は、導電部材50の接続部59(詳細は後述)が差し込まれる部分である。差込口49に接続部59が差し込まれることにより、絶縁ハウジング40に対して導電部材50の位置が固定される。
【0022】
ベース部43は、同軸ケーブル12A,12Bの延在方向において第1支持部41及び第2支持部42に連続する部分であり、第1支持部41及び第2支持部42よりも同軸ケーブル12A,12Bの先端方向(前方向)に位置する部分である。ベース部43における同軸コネクタ装置11の幅方向の中央部分には、後述するアイソレーション特性改善部70を固定するための凹部46が形成されている。凹部46は、第1支持部41及び第2支持部42に挟まれた部分からベース部43の先端部分まで、同軸ケーブル12A,12Bの延在方向に沿って形成されている。
【0023】
グランドコンタクト部材30は、導電性材料(例えば弾性を有する導電性材料)により形成されている。グランドコンタクト部材30は、グランド電位が与えられ、グランドバー81,82(第1のグランドバー及び第2のグランドバー)(詳細は後述)を介して、同軸ケーブル12A,12Bの外部導体15に電気的に接続される。グランドコンタクト部材30は、環状嵌合部31と、一対の腕部35,35と、シェル部34と、を有する。
【0024】
環状嵌合部31は、絶縁ハウジング40の一部(詳細には、ベース部43)を部分的に包囲し、相手方コネクタ装置100(図7参照)のグランドコンタクト部である環状嵌合部130に嵌合接続される部分である。環状嵌合部31は、略円筒状に形成されているが、その後端部分は連続しておらず開口部95(図6参照)が形成されている。
【0025】
一対の腕部35,35は、環状嵌合部31に連続すると共に、同軸コネクタ装置11の幅方向において互いに対向しながら同軸ケーブル12A,12Bを挟むように同軸ケーブル12A,12Bの延在方向に沿って延びる部分である。一方の腕部35は、第1支持部41の外側面に沿って上記延在方向に延びている。他方の腕部35は、第2支持部42の外側面に沿って上記延在方向に延びている。一対の腕部35,35のそれぞれには、絶縁ハウジング40の突出部91に嵌合する凹部35xが形成されている。
【0026】
また、一対の腕部35,35のそれぞれの後端部には、ケーブル固定部80のグランドバー82の側壁部82b(詳細は後述)に接触する接触部35zが形成されている。接触部35zは、腕部35の後端部において形成された切欠き部分が幅方向の内側に向かって押し込まれる(折り曲げられる)ことにより形成されており、幅方向の内側に突出した部分である。このように、幅方向の内側に折り曲げられて形成された接触部35zは、幅方向において弾性を有している。接触部35zは、図12(a)に示されるように、幅方向においてグランドバー82の側壁部82bを覆い、側壁部82bに接触する。
【0027】
図3に示されるように、シェル部34は、環状嵌合部31の上面を覆うベース板34a(ベース部)と、同軸ケーブル12Aの固定に係る第1固定部38(バレル部)と、同軸ケーブル12Bの固定に係る第2固定部39(バレル部)と、を有する。ベース板34aは、環状嵌合部31の先端に連続すると共に、屈曲位置において、ケーブル固定部80(詳細は後述)の上部のグランドバー81(詳細は後述)を覆う位置まで、後方に延びている。なお、ベース板34aの屈曲位置とは、図3に示されるシェル部34と腕部35とのなす角度が90度であるベース板34aの位置を直立位置として、図5に示されるベース板34aと環状嵌合部31の上面とが接触するようにシェル部34が屈曲している状態のベース板34aの位置をいう。
【0028】
図3に示されるように、第1固定部38は、同軸ケーブル12Aを保持する。第1固定部38は、ベース板34aにおける後端部分(ベース板34aにおける環状嵌合部31の上面を覆う部分よりも後方の部分)の幅方向の外縁部34xに連続して延びる部分である。第1固定部38は、折り曲げ可能に構成されており、屈曲位置において、腕部35を幅方向の外方から覆う締付部34bと、ケーブル固定部80(詳細には後述する下部のグランドバー82)を下方から覆う締付部34cと、を有する。締付部34bは、ベース板34aに連続する箇所で折り曲げられることにより腕部35を覆う。締付部34cは、締付部34bに連続する箇所で折り曲げられることにより下部のグランドバー82を覆う。このように、第1固定部38は、同軸ケーブル12Aを直接締め付けるのではなく、ケーブル固定部80を覆うように保持することによって、ケーブル固定部80によって固定されている同軸ケーブル12Aを保持する。第2固定部39の構成は、第1固定部38の構成と同様(同軸ケーブル12Aを同軸ケーブル12Bに置き換えて、締付部34b,34cを有する点において同様)である。すなわち、第2固定部39は、同軸ケーブル12Bを直接締め付けるのではなく、ケーブル固定部80を覆うように保持することによって、ケーブル固定部80によって固定されている同軸ケーブル12Bを保持する。
【0029】
ケーブル固定部80は、同軸ケーブル12A,12Bを固定する構成である。ケーブル固定部80は、導電性材料により形成されている板状のグランドバー81,82(第1のグランドバー及び第2のグランドバー)と、導電性を有する半田部83と、を有する。グランドバー81,82は、上下方向において互いに対向して配置されている。半田部83は、グランドバー81,82及び同軸ケーブル12A,12B間に充填されて同軸ケーブル12A,12Bを固定する。半田部83が外部導体15を覆うように充填されており、グランドバー81が半田部83の上面を、グランドバー82が半田部83の下面を、それぞれ覆っている。これにより、グランドバー81,82と外部導体15とが互いに電気的に接続されている。
【0030】
上部のグランドバー81は、幅方向の中央部分の先端部分が下方向に折り曲げられており、半田部83の内部を通過して、アイソレーション特性改善部70(詳細は後述)に接続されている(図9参照)。このように、一方のグランドバー81とアイソレーション特性改善部70とが接触していることにより、アイソレーション特性改善部70が、グランドバー81を介して同軸ケーブル12A,12Bの外部導体15に電気的に接続されている。
【0031】
図4を参照して、ケーブル固定部80に含まれるグランドバー81,82の詳細について説明する。図4は、同軸コネクタ装置11に含まれるケーブル固定部80を示す背面図である。図4に示されるように、グランドバー81は、同軸ケーブル12A,12Bの外部導体15に接触する板状部81a(第1の板状部)を有している。グランドバー82は、相手方コネクタ装置100との嵌合方向において板状部81aに対向し、板状部81aとの間に同軸ケーブル12A,12Bを挟持するように配置され、同軸ケーブル12A,12Bの外部導体15に接触する板状部82a(第2の板状部)を有している。更に、グランドバー82は、板状部82aの幅方向の端部から板状部81aに向かって延びる一対の側壁部82b,82bを有している。一対の側壁部82b,82bは、幅方向において同軸ケーブル12A,12B及び半田部83を挟むように、互いに対向して配置されている。一対の側壁部82b,82bは、図12(a)に示されるように、グランドコンタクト部材30の接触部35zに接触する部分である。
【0032】
図3に戻り、シグナルコンタクト部材20A,20Bは、導電性材料により形成されている。シグナルコンタクト部材20Aは、同軸ケーブル12Aの中心導体13に接続されると共に、相手方コネクタ装置100のシグナルコンタクト部104(図7参照)に接続される導電性の部材である。シグナルコンタクト部材20Bは、同軸ケーブル12Bの中心導体13に接続されると共に、相手方コネクタ装置100のシグナルコンタクト部105(図7参照)に接続される。
【0033】
シグナルコンタクト部材20Aは、第1部分20xと、第2部分20yと、第3部分20zと、を有する。シグナルコンタクト部材20Aは、第1支持部41に支持されている。第2部分20yは、同軸ケーブル12Aの延在方向に延びる部分であり、その上面において同軸ケーブル12Aの中心導体13に接触する部分である。第1部分20xは、第2部分20yの先端に連続すると共に、前方に延びる部分である。第1部分20xは、第2部分20yの先端に連続すると共に上方向に傾斜して延びる部分と、該傾斜して延びる部分に連続すると共に延在方向に延びる部分とを有している。第3部分20zは、第1部分20xの先端に連続すると共に下方に延び、さらに下方に伸びた部分の下端で折り返して上方に延びるようにU字状に形成された部分である。第3部分20zは、U字状に形成された部分において相手方コネクタ装置100のシグナルコンタクト部104(図7参照)に接続される。シグナルコンタクト部材20Bの構成は、シグナルコンタクト部材20Aの構成と同様(同軸ケーブル12Aを同軸ケーブル12Bに置き換えて、第1部分20x、第2部分20y、第3部分20zを有する点において同様)である。
【0034】
導電部材50は、後方グランド接続部55と、該後方グランド接続部55に連続する傾斜部56と、該傾斜部56に連続する前方グランド接続部57と、を有する。
【0035】
後方グランド接続部55は、グランドコンタクト部材30、詳細には、第1固定部38及び第2固定部39の締付部34cに接続される(接触する)平板上の部分である(図10参照)。後方グランド接続部55の後端の幅方向における中央部分には、切欠き58が形成されている。当該切欠き58に半田が充填されることにより、下部のグランドバー82と導電部材50とが電気的に接続される。これにより、確実な接触によるシールド性の向上と、強固な接続による機械的接続が確保される。なお、ベース板34aの後端部に形成された貫通部36に半田が充填されることにより、上部のグランドバー81とグランドコンタクト部材30とが電気的に接続される。このような半田付けが行われるタイミングは、バレル部である第1固定部38及び第2固定部39のカシメ後である。後方グランド接続部55の前端部の幅方向における両端部分には、上方に向かって突出した接続部59が設けられている。接続部59が絶縁ハウジング40の差込口49(図13参照)に差し込まれることにより、絶縁ハウジング40に対して後方グランド接続部55の位置が固定される。傾斜部56は、後方グランド接続部55の前端に連続すると共に傾斜しながら前方に延びる部分であり、絶縁ハウジング40の下面の傾斜形状に応じた、上斜め方向に傾斜した形状とされている。
【0036】
前方グランド接続部57は、相手方コネクタ装置100のグランドコンタクト部である環状嵌合部130に接続される(接触する)平板状の部分である(図10参照)。前方グランド接続部57は、傾斜部56の前端に連続すると共に、下方に傾斜しながら前方に延びる部分である。前方グランド接続部57は、その先端部分が環状嵌合部31の開口部95(図6参照)に配置されており、その先端部分において環状嵌合部130に接続される(図10参照)。前方グランド接続部57は、シグナルコンタクト部材20A及びシグナルコンタクト部材20Bの配列方向である幅方向において連続的に形成されている。ここでの連続的に形成されているとは、切欠き・隙間等が形成されることなく形成されていることを言う。そして、前方グランド接続部57は、嵌合方向から見ると、2つのシグナルラインの少なくとも一部(本実施形態では両方)と重なっている。
【0037】
導電部材50は、さらに、上述した後方グランド接続部55、傾斜部56、及び前方グランド接続部57からなる板状部材とは別部材で構成された、アイソレーション特性改善部70を有している。このように、アイソレーション特性改善部70は、前方グランド接続部57等とは別部材である導電性材料で構成されている。
【0038】
アイソレーション特性改善部70は、シグナルコンタクト部材20A及びシグナルコンタクト部材20B間において、シグナルコンタクト部材20A及びシグナルコンタクト部材20Bの延在方向に沿って延びて構成されている。アイソレーション特性改善部70は、シグナルコンタクト部材20A及びシグナルコンタクト部材20B間におけるシグナルの伝搬を防ぐ。アイソレーション特性改善部70は、シグナルコンタクト部材20A,20Bのそれぞれに対向する面を持つ壁状部材である。アイソレーション特性改善部70は、シグナルコンタクト部材20A及びシグナルコンタクト部材20B間の領域の少なくとも一部を遮るように、シグナルコンタクト部材20A及びシグナルコンタクト部材20Bの間に配置されている。
【0039】
図9に示されるように、アイソレーション特性改善部70は、シグナルコンタクト部材20A及びシグナルコンタクト部材20B間の領域の全てを遮るように、シグナルコンタクト部材20A及びシグナルコンタクト部材20Bの間に配置されていてもよい。図9及び図10に示されるように、幅方向から見たアイソレーション特性改善部70の面積は、幅方向から見たシグナルコンタクト部材20A及びシグナルコンタクト部材20Bの面積よりも大きい。
【0040】
図9に示されるように、アイソレーション特性改善部70は、第1部分70xと、第2部分70yと、第3部分70zと、第4部分70vと、を有する。第2部分70yは、シグナルコンタクト部材20A,20Bの第2部分20yに沿って延びる部分である。第2部分70yは、その上面において同軸ケーブル12A,12Bの外部導体15に電気的に接続されたグランドバー81に接続されている。第1部分70xは、シグナルコンタクト部材20A,20Bの第1部分20xに沿って延びる部分である。第1部分70xは、その上端部の少なくとも一部がシェル部34のベース板34aに接触している(図9参照)。第3部分70zは、シグナルコンタクト部材20A,20Bの第3部分20zに沿って下方に延びる部分である。第3部分70zは、相手方コネクタ装置100のグランドコンタクト部の接触部103に接続される(接触する)。第4部分70vは、第1部分70xに連続すると共に下方に延びる部分である。第4部分70vは、絶縁ハウジング40に圧入される部分である。
【0041】
図7は、同軸コネクタ装置11が連結される相手方コネクタ装置100を示す斜視図である。図7に示されるように、相手方コネクタ装置100は、シグナルコンタクト部104,105と、グランドコンタクト部である環状嵌合部130及び接触部103と、絶縁ハウジング140と、を備えている。
【0042】
絶縁ハウジング140は、合成樹脂等の絶縁材料により形成されている。絶縁ハウジング140は、シグナルコンタクト部104,105とグランドコンタクト部である環状嵌合部130及び接触部103とを相互に絶縁する状態をもって支持する。シグナルコンタクト部104,105は、導電性材料により形成されている。シグナルコンタクト部104は、一対の接触部分104a,104bを有している。接触部分104a,104bは、その間にシグナルコンタクト部材20Aの第3部分20zを挟み込むようにして、第3部分20zに接触する(接続される)。シグナルコンタクト部105は、一対の接触部分105a,105bを有している。接触部分105a,105bは、その間にシグナルコンタクト部材20Bの第3部分20zを挟み込むようにして、第3部分20zに接触する(接続される)。
【0043】
接触部103は、導電性材料により形成されている。接触部103は、一対の接触部分103a,103bを有している。接触部分103a,103bは、その間にアイソレーション特性改善部70の第3部分70zを挟み込むようにして、第3部分70zに接触する(接続される)。グランドコンタクト部は、導電性材料により形成されている。グランドコンタクト部の環状嵌合部130は、グランドコンタクト部材30の環状嵌合部31に嵌合接続される。
【0044】
図8は、同軸コネクタ装置11が、同軸ケーブル12A,12Bの一端部に装着されたもとで、相手方コネクタ装置100に機械的且つ電気的に連結された状態を示す平面図である。図9は、図8のA-A線に沿った断面図である。図10は、図8のB-B線に沿った断面図である。図11は、図8のC-C線に沿った断面図である。図12(a)は、図8におけるD-D線断面を示す断面図である。図12(b)は、図12(a)に示される部分Eの拡大図である。
【0045】
図9及び図10に示されるように、同軸コネクタ装置11が相手方コネクタ装置100に連結された状態においては、同軸コネクタ装置11におけるグランドコンタクト部材30の環状嵌合部31が、相手方コネクタ装置100のグランドコンタクト部の環状嵌合部130に嵌合接続される。
【0046】
嵌合接続された状態においては、図10に示されるように、第2部分20yと同軸ケーブル12Bの中心導体13とが接続されたシグナルコンタクト部材20Bの第3部分20zが、相手方コネクタ装置100のシグナルコンタクト部105の一対の接触部分105a,105bに接触する(シグナルコンタクト部材20Aについては、シグナルコンタクト部104の一対の接触部分104a,104bに接触する)。これにより、同軸ケーブル12A,12Bの中心導体13が、同軸コネクタ装置11のシグナルコンタクト部材20A,20B及び相手方コネクタ装置100のシグナルコンタクト部104,105を通じて、回路基板の搭載面に設けられたシグナル端子(不図示)に電気的に接続される。
【0047】
また、嵌合接続された状態においては、図10に示されるように、導電部材50の後方グランド接続部55がグランドコンタクト部材30の締付部34c及びケーブル固定部80のグランドバー82に接触している。また、前方グランド接続部57が相手方コネクタ装置100のグランドコンタクト部である環状嵌合部130に接触している。グランドバー82は、同軸ケーブル12A,12Bの外部導体15に電気的に接続されている。これにより、同軸ケーブル12A,12Bの外部導体15が、同軸コネクタ装置11のグランドコンタクト部材30及び導電部材50、並びに、相手方コネクタ装置100の環状嵌合部130を通じて、回路基板に設けられたグランド電位部(不図示)に電気的に接続される。
【0048】
さらに、嵌合接続された状態においては、図9に示されるように、グランドバー81に接続されたアイソレーション特性改善部70が、シグナルコンタクト部材20A及びシグナルコンタクト部材20Bの延在方向に沿って延び、シグナルコンタクト部材20A及びシグナルコンタクト部材20B間に配置されている。そして、アイソレーション特性改善部70の第3部分70zが、図11に示されるように、相手方コネクタ装置100のグランドコンタクト部の接触部103における一対の接触部分103a,103bに接触している。これにより、シグナルライン間において、シグナルライン相互間でのシグナルの伝搬を防ぐように、アイソレーション特性改善部70が設けられることとなる。なお、アイソレーション特性改善部70は、回路基板に設けられたグランド電位部(不図示)に電気的に接続されている。
【0049】
また、図12(a)及び図12(b)に示されるように、嵌合接続された状態において、同軸コネクタ装置11では、一対の腕部35,35の接触部35zが、幅方向においてグランドバー82の側壁部82bの少なくとも一部を覆い、該側壁部82bの一部に接触している。更に、同軸コネクタ装置11では、ベース板34aがグランドバー81の板状部81aに接触すると共に、締付部34cがグランドバー82の板状部82aに接触している。このように、同軸コネクタ装置11では、グランドコンタクト部材30とグランドバー81,82とが、幅方向及び篏合方向の両方で接触しており、これによりシールド性を向上させている。
【0050】
次に、同軸コネクタ装置11の組立方法について、図13及び図14を参照して説明する。図13(a)~(d)は、同軸コネクタ装置11の組立方法を説明する図である。図14(a)~(b)は、同軸コネクタ装置11の組立方法を説明する図であり、図13(d)に続く工程を示す図である。
【0051】
最初の工程では、図13(a)に示されるように、導電部材50、シグナルコンタクト部材20A,20Bが一体成型された絶縁ハウジング40、及びアイソレーション特性改善部70を用意する。そして、導電部材50の接続部59を絶縁ハウジング40の差込口49に差し込むと共に、アイソレーション特性改善部70を絶縁ハウジング40の凹部46(図3参照)に固定することにより、図13(b)に示されるように、導電部材50等と絶縁ハウジング40とを一体化させる。
【0052】
つづいて、図13(c)に示されるように、グランドコンタクト部材30に対して、導電部材50等が一体化された絶縁ハウジング40を組み付ける。具体的には、一対の腕部35,35の凹部35xに絶縁ハウジング40の突出部91が嵌合するように、グランドコンタクト部材30に対して絶縁ハウジング40を組み付ける(図13(d)参照)。
【0053】
つづいて、図14(a)に示されるように、同軸コネクタ装置11を同軸ケーブル12A,12Bの一端部に装着する。装着する際に、シグナルコンタクト部材20Aと同軸ケーブル12Aの中心導体13とを接続し、シグナルコンタクト部材20Bと同軸ケーブル12Bの中心導体13とを接続する。また、装着する際に、上部のグランドバー81の板状部81aとアイソレーション特性改善部70とを接触させると共に、下部のグランドバー82の側壁部82bと一対の腕部35,35の接触部35zとを接触させる。その後、直立位置をとるグランドコンタクト部材30のシェル部34が屈曲位置をとるものとされ、さらに、締付部34b,34cを折り曲げることにより、図14(b)に示されるように、同軸ケーブル12A,12Bの一端部に同軸コネクタ装置11が装着された状態が堅固に維持される。締付部34b,34cの折り曲げ後、貫通部36等に半田が充填される。
【0054】
次に、同軸コネクタ装置11の作用効果について説明する。
【0055】
本実施形態に係る同軸コネクタ装置11は、同軸ケーブル12A,12Bの外部導体15に接触する板状部81aを有するグランドバー81と、嵌合方向において板状部81aに対向し、板状部81aとの間に同軸ケーブル12A,12Bを挟持するように配置され、同軸ケーブル12A,12Bの外部導体15に接触する板状部82aを有するグランドバー82と、グランド電位が与えられ、グランドバー81,82を介して同軸ケーブル12A,12Bの外部導体15に電気的に接続されるグランドコンタクト部材30と、を備え、グランドバー82は、板状部82aにおける幅方向の端部から、対向する板状部81aに向かって延びる側壁部82bを有し、グランドコンタクト部材30は、幅方向において側壁部82bを覆い側壁部82bに接触する接触部35zを有する。
【0056】
本実施形態に係る同軸コネクタ装置11では、同軸ケーブル12A,12Bの外部導体15に接触するグランドバー81,82の板状部81a,82aが嵌合方向において同軸ケーブル12A,12Bを挟持するように配置されている。そして、グランドバー82において、対向する板状部81aに向かって嵌合方向に延びる側壁部82bが形成されており、該側壁部82bが、幅方向において側壁部82bを覆うグランドコンタクト部材30の接触部35zに接触している。このように、同軸ケーブル12A,12Bの側面側(幅方向の端部側)に延びる側壁部82bが、グランドコンタクト部材30に接触することにより、同軸ケーブル12A,12Bの側面側におけるシールド性(EMI特性)が向上することとなる。これにより、同軸コネクタ装置11の耐ノイズ性が向上し、同軸コネクタ装置11内部のシグナルが周囲に伝搬して周囲の外部製品に対して影響を及ぼすことを効果的に抑制することができる。
【0057】
接触部35zは、幅方向において弾性を有していてもよい。このような構成によれば、幅方向においてグランドコンタクト部材30に対するケーブル固定部80の位置がずれた場合においても、弾性を有する接触部35zによって当該ずれを吸収し、側壁部82bと接触部35zとの接触安定性を向上させることができる。これにより、上述した耐ノイズ性の向上をより確実に実現することができる。
【0058】
グランドコンタクト部材30は、相手方コネクタ装置100の環状嵌合部130に嵌合接続される環状嵌合部31と、環状嵌合部31に連続すると共に幅方向において互いに対向しながら同軸ケーブル12A,12Bを挟むように延在方向に延びる一対の腕部35,35と、環状嵌合部31の上面を覆うベース板34aと、ベース板34aにおける幅方向の両端部に連続し折り曲げられることにより腕部35を覆い、同軸ケーブル12A,12Bを保持する第1固定部38及び第2固定部39と、を有し、接触部35zは、一対の腕部35,35に形成されている。このような構成によれば、腕部35においてグランドバー82の側壁部82bに接触させながら、該腕部35を更に第1固定部38及び第2固定部39が覆う構成とすることができ、同軸ケーブル12A,12Bの側面側におけるシールド性を向上させることができる。これにより、上述した耐ノイズ性の向上をより確実に実現することができる。
【0059】
以上、本実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されない。例えば、上記実施形態では、下部のグランドバー82から延びる側壁部82bとグランドコンタクト部材30の接触部35zとが接触するとして説明したが、上部のグランドバーから延びる側壁部と接触部35zとが接触する構成であってもよい。図15(a)は、変形例に係る同軸コネクタ装置の断面(図12(a)のD-D線断面に相当する断面)を示す断面図である。図15(b)は、図15(a)に示される部分Fの拡大図である。図15(a)に示される同軸コネクタ装置では、板状部281aを有する上部のグランドバー281と、板状部281aとの間に同軸ケーブルを挟持するように配置された板状部282aを有する下部のグランドバー282とが設けられている。そして、上部のグランドバー281の板状部281aの幅方向端部から、対向する板状部282aに向かって延びる側壁部281bが形成されおり、図15(b)に示されるように、該側壁部281bと接触部35zとが接触可能に構成されている。このような構成によっても、上述した同軸コネクタ装置11と同様に、シールド性を向上させて、耐ノイズ性を向上させることができる。
【0060】
また、上部のグランドバー及び下部のグランドバーの双方から側壁部が延びており、接触部35zが、当該接触部のいずれかと接触する構成であってもよい。図16(a)は、更なる変形例に係る同軸コネクタ装置の断面(図12(a)のD-D線断面に相当する断面)を示す断面図である。図16(b)は、図16(a)に示される部分Gの拡大図である。図16(a)に示される同軸コネクタ装置では、板状部381aを有する上部のグランドバー381と、板状部381aとの間に同軸ケーブルを挟持するように配置された板状部382aを有する下部のグランドバー382とが設けられている。そして、上部のグランドバー381の板状部381aの幅方向端部から板状部382aに向かって延びる側壁部381bが形成されており、下部のグランドバー382の板状部382aの幅方向端部から板状部381aに向かって延びる側壁部382bが形成されている。図16(b)に示されるように、本変形例では、側壁部382bと接触部35zとが接触しているが、側壁部381bと接触部35zとが接触してもよい。このような構成によっても、上述した同軸コネクタ装置11と同様に、シールド性を向上させて、耐ノイズ性を向上させることができる。
【0061】
また、上記実施形態では、グランドバー82から延びる側壁部82bとグランドコンタクト部材30の接触部35zとが接触するとして説明したが、同軸ケーブルの外部導体を覆うように充填された同軸ケーブルを固定する半田部と接触部35zとが接触する構成であってもよい。図17(a)は、更なる変形例に係る同軸コネクタ装置の断面(図12(a)のD-D線断面に相当する断面)を示す断面図である。図17(b)は、図17(a)に示される部分Hの拡大図である。図17(a)に示される同軸コネクタ装置では、半田部483は、同軸ケーブルの幅方向の外方に充填された外方充填部483aを有し、図17(b)に示されるように、当該半田部483の外方充填部483aと接触部35zとが接触している。このように、半田部483における同軸ケーブルの幅方向の外方(側面側)に充填された部分がグランドコンタクト部材30に接触することにより、同軸ケーブルの側面側におけるシールド性(EMI特性)が向上することとなる。これにより、同軸コネクタ装置の耐ノイズ性が向上し、同軸コネクタ装置内部のシグナルが周囲に伝搬して周囲の外部製品に対して影響を及ぼすことを効果的に抑制することができる。
【0062】
また、上記実施形態では、一対の腕部35,35の接触部35zがグランドバー82の側壁部82bに接触するとして説明したが、バレル部である第1固定部及び第2固定部に形成された接触部がグランドバーの側壁部に接触する構成であってもよい。図18は、更なる変形例に係る同軸コネクタ装置511が同軸ケーブル12A,12Bの一端部に装着される過程を示す斜視図である。図19は、図18に示される同軸コネクタ装置511が同軸ケーブル12A,12Bの一端部に装着された状態を示す上方側から見た斜視図である。図20(a)は、図18に示される同軸コネクタ装置の断面(図12(a)のD-D線断面に相当する断面)を示す断面図である。図20(b)は、図20(a)に示される部分Iの拡大図である。図18に示されるように、本構成では、一対の腕部535,535が、グランドバー81,82を含むケーブル固定部の領域にまで延びていない。そして、図18及び図19に示されるように、一対のバレル部である第1固定部538及び第2固定部539に、側壁部82bに接触する接触部595zが設けられている。すなわち、第1固定部538及び第2固定部539は、ケーブル固定部を幅方向の外方から覆う締付部534bと、ケーブル固定部を下方から覆う締付部534cとを有しており、締付部534bには、幅方向の内側に折り曲げられて形成された接触部595zが形成されている。図20(a)及び図20(b)に示されるように、締付部534bの接触部595zは、グランドバー82の側壁部82bに接触するように構成されている。このような構成によれば、バレル部の締付部534bさえ側壁部82bとの接触領域まで延びていれば、側壁部82bと接触部595zとの接触を実現することができ、当該接触領域における構成を簡素化しつつ、耐ノイズ性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0063】
1,511…同軸コネクタ装置(電気コネクタ)、12A,12B…同軸ケーブル、15…外部導体、30…グランドコンタクト部材、31…環状嵌合部、34a…ベース板(ベース部)、34x…外縁部(両端部)、35…腕部、35z,595z…接触部、38,538…第1固定部(バレル部)、39,539…第2固定部(バレル部)、81,82,281,282,381,382…グランドバー、81a,82a,281a,282a,381a,382a…板状部、82b,281b,381b,382b…側壁部、100…相手方コネクタ装置(相手方コネクタ)、130…環状嵌合部(環状部)、483…半田部、483a…外方充填部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20