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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】電源システム
(51)【国際特許分類】
   H02H 7/20 20060101AFI20241001BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
H02H7/20 A
H02J7/00 S
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021152527
(22)【出願日】2021-09-17
(65)【公開番号】P2023044476
(43)【公開日】2023-03-30
【審査請求日】2023-08-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100139480
【弁理士】
【氏名又は名称】日野 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100125575
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100175134
【弁理士】
【氏名又は名称】北 裕介
(72)【発明者】
【氏名】田邉 康人
(72)【発明者】
【氏名】王 大超
【審査官】滝谷 亮一
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-111032(JP,A)
【文献】特開2020-078187(JP,A)
【文献】特開2018-107938(JP,A)
【文献】特開2013-198292(JP,A)
【文献】特開2020-137247(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02H 7/20
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高電圧バッテリ(11)と電気機器(13)との間の高電圧経路(12)に設けられたメインリレー(14)と、
前記メインリレーと前記電気機器との間に接続された充電経路(15)に設けられた充電リレー(16)と、
前記メインリレー及び前記充電リレーの開閉を制御する制御装置(24)と、を備え、
前記制御装置、前記メインリレー及び前記充電リレーは、それぞれ低電圧バッテリからの電力供給により動作し、
前記メインリレー及び前記充電リレーが閉鎖された状態で、充電装置(100)から前記充電経路を介して供給される充電電力により前記高電圧バッテリが充電される電源システム(10)であって、
前記メインリレー及び前記充電リレーが共に閉鎖されている状態下で前記低電圧バッテリの電圧低下異常が生じた場合に、前記メインリレーの遮断よりも前に前記充電リレーを遮断するリレー遮断部を備える、電源システム。
【請求項2】
前記制御装置、前記メインリレー及び前記充電リレーにそれぞれバックアップ電力を供給するバックアップ電源部(26,28,42)を備え、
前記制御装置は、前記リレー遮断部として機能し、前記メインリレー及び前記充電リレーが共に閉鎖されている状態下で前記低電圧バッテリの電圧低下異常が生じた場合において、前記バックアップ電力が前記メインリレー及び前記充電リレーに供給されている期間に、前記メインリレーの遮断よりも前に前記充電リレーを遮断する、請求項1に記載の電源システム。
【請求項3】
前記低電圧バッテリの電池電圧を昇圧した昇圧電圧を蓄える昇圧コンデンサ(26)と、前記昇圧コンデンサの昇圧電圧を降圧する降圧回路(28)とを有し、前記充電装置からの充電電力による前記高電圧バッテリの充電開始当初期間において、前記昇圧コンデンサの昇圧電圧の印加により前記メインリレー及び前記充電リレーを開状態から閉状態に移行させるとともに、その当初期間以降において、印加電圧を前記降圧回路の降圧電圧に切り替えることにより前記メインリレー及び前記充電リレーの閉状態を保持する電源システムであって、
前記バックアップ電源部として前記昇圧コンデンサと前記降圧回路とが含まれており、
前記メインリレー及び前記充電リレーが共に閉鎖されている状態下で前記低電圧バッテリの電圧低下異常が生じた場合において、前記降圧回路の降圧電力を前記バックアップ電力として前記メインリレー及び前記充電リレーに供給する、請求項2に記載の電源システム。
【請求項4】
前記昇圧コンデンサの電圧を検出する電圧検出部を備え、
前記制御装置は、前記メインリレー及び前記充電リレーが共に閉鎖されている状態下で前記低電圧バッテリの電圧低下異常が生じた場合において、前記充電リレーの遮断後に、前記電圧検出部による検出電圧に基づいて前記メインリレーを遮断する、請求項3に記載の電源システム。
【請求項5】
前記バックアップ電源部として、前記高電圧バッテリを用いて前記バックアップ電力を生成する補助電源部(42)を備え、
前記メインリレー及び前記充電リレーが共に閉鎖されている状態下で前記低電圧バッテリの電圧低下異常が生じた場合において、前記補助電源部から前記制御装置、前記メインリレー及び前記充電リレーに前記バックアップ電力を供給する、請求項2に記載の電源システム。
【請求項6】
前記制御装置は、前記充電リレーを閉鎖する場合においてデューティ信号を出力して前記低電圧バッテリから前記充電リレーの励磁コイル(16a)への電力供給を制御するものであり、
前記励磁コイルの両端を繋ぐ状態で互い並列に設けられる第1経路(61)及び第2経路(62)を有し、前記第1経路及び前記第2経路はそれぞれ前記励磁コイルを含む還流経路を形成する経路であり、
前記第1経路には、当該第1経路を開閉する還流スイッチ(64)が設けられ、
前記第2経路には、前記リレー遮断部として、前記還流スイッチよりも電力消費の大きい電力消費素子(66)が設けられており、
前記メインリレーと共に前記充電リレーを閉鎖する場合において、デューティオンからデューティオフに移行した際に閉状態の前記還流スイッチを介して還流を生じさせる一方、前記メインリレーと共に前記充電リレーが閉鎖されている状態下で前記低電圧バッテリの電圧低下異常が生じた場合において、前記還流スイッチを開放し、前記電力消費素子を介して還流を生じさせて前記充電リレーを遮断する、請求項1に記載の電源システム。
【請求項7】
前記低電圧バッテリと前記制御装置の前段の電源回路(23)とを接続する制御電源経路(22A)に設けられた第1バックアップコンデンサ(71)と、
前記低電圧バッテリと前記メインリレー及び前記充電リレーとを接続するリレー電源経路(22B)に設けられた第2バックアップコンデンサ(72)と、を備え、
前記制御装置は、前記リレー遮断部として機能し、前記メインリレー及び前記充電リレーが共に閉鎖されている状態下で前記低電圧バッテリの電圧低下異常が生じた場合において、前記第1バックアップコンデンサからの供給電力による動作状態下で、前記メインリレーの遮断よりも前に前記充電リレーを遮断する、請求項1に記載の電源システム。
【請求項8】
前記低電圧バッテリと前記制御装置の前段の電源回路(23)とを接続する制御電源経路(22A)と、
前記低電圧バッテリと前記メインリレー及び前記充電リレーとを接続するリレー電源経路(22B)とを備え、
前記リレー電源経路は、前記メインリレーに通じる第1分岐経路(22B_1)と、前記充電リレーに通じる第2分岐経路(22B_2)とに分岐されており、
前記制御電源経路に第1バックアップコンデンサ(81)が設けられ、
前記第1分岐経路と前記第2分岐経路とのうち第1分岐経路に第2バックアップコンデンサ(82)が設けられており、
前記リレー遮断部として、前記メインリレー及び前記充電リレーが共に閉鎖されている状態下で前記低電圧バッテリの電圧低下異常が生じた場合に、前記制御装置及び前記メインリレーに対しては前記各バックアップコンデンサからのバックアップ電力が供給される一方、前記充電リレーに対してはバックアップ電力が供給されない構成を有する、請求項1に記載の電源システム。
【請求項9】
前記低電圧バッテリと前記メインリレー及び前記充電リレーとを接続するリレー電源経路(22B)と、
前記低電圧バッテリの電圧低下異常が生じたことを検知する検知回路(31)と、を備え、
前記リレー電源経路は、前記メインリレーに通じる第1分岐経路(22B_1)と、前記充電リレーに通じる第2分岐経路(22B_2)とに分岐され、前記第2分岐経路に遮断スイッチ(91)が設けられており、
前記リレー遮断部として、前記メインリレー及び前記充電リレーが共に閉鎖されている状態下において、前記検知回路の異常検知信号に基づいて前記遮断スイッチにより前記第2分岐経路を遮断する構成を有する、請求項1に記載の電源システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この明細書における開示は、電源システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば車両の電源システムとして、特許文献1に記載の技術が知られている。この電源システムでは、バッテリに接続された電力経路にメインリレーが設けられるとともに、電力経路に接続された充電経路に充電リレーが設けられており、これらメインリレー及び充電リレーの開閉が制御装置により制御されるようになっている。そして、車両の通常運転時には、メインリレーが閉鎖されることで、メインリレーと充電リレーとの間に接続されたインバータや回転電機、電力変換器等の電気機器に対してバッテリから電力が供給される。また、バッテリの充電時には、メインリレーと充電リレーとが閉鎖され、充電装置から供給される充電電力によりバッテリが充電される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-154170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば電動車両においてバッテリとして高電圧バッテリを有する構成では、高電圧バッテリとは異なる電源として低電圧バッテリが設けられ、その低電圧バッテリからの電力供給によりメインリレーや充電リレーの開閉が行われることが想定される。ここで、断線や地絡等により低電圧バッテリの電圧が異常低下した場合には、メインリレーや充電リレーの開閉を適正に制御できなくなり、それに起因する不都合の発生が懸念される。すなわち、低電圧バッテリの電圧異常時には各リレーが成り行きで遮断され、仮に充電リレーの遮断よりも前にメインリレーが遮断されると、メインリレーと充電リレーとの間でロードダンプによる電圧上昇が発生し、それに起因して、メインリレーと充電リレーとの間に接続された電気機器に不具合が生じることが懸念される。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、高電圧バッテリの充電時において低電圧バッテリの電圧低下異常が生じても適正な対処を可能とする電源システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
手段1は、
高電圧バッテリと電気機器との間の高電圧経路に設けられたメインリレーと、
前記メインリレーと前記電気機器との間に接続された充電経路に設けられた充電リレーと、
前記メインリレー及び前記充電リレーの開閉を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置、前記メインリレー及び前記充電リレーは、それぞれ低電圧バッテリからの電力供給により動作し、
前記メインリレー及び前記充電リレーが閉鎖された状態で、充電装置から前記充電経路を介して供給される充電電力により前記高電圧バッテリが充電される電源システムであって、
前記メインリレー及び前記充電リレーが共に閉鎖されている状態下で前記低電圧バッテリの電圧低下異常が生じた場合に、前記メインリレーの遮断よりも前に前記充電リレーを遮断するリレー遮断部を備えることを特徴とする。
【0007】
上記構成の電源システムでは、高電圧バッテリの充電時において、メインリレー及び充電リレーが閉鎖され、充電装置から充電経路を介して供給される充電電力により高電圧バッテリが充電される。この場合、制御装置、メインリレー及び充電リレーは、それぞれ低電圧バッテリからの電力供給により動作する。ここで、断線や地絡等により低電圧バッテリの電圧低下異常が生じ、充電リレーの遮断よりも前にメインリレーが遮断されると、メインリレーと充電リレーとの間に接続された電気機器に不具合が生じることが懸念される。
【0008】
この点、上記構成では、メインリレー及び充電リレーが共に閉鎖されている状態下で低電圧バッテリの電圧低下異常が生じた場合に、リレー遮断部により、メインリレーの遮断よりも前に充電リレーが遮断される。これにより、充電リレーの遮断よりも前にメインリレーが遮断されることに起因して電気機器に不具合が生じることが抑制される。その結果、高電圧バッテリの充電時において低電圧バッテリの電圧低下異常が生じても適正な対処が可能となる。
【0009】
手段2では、手段1において、前記制御装置、前記メインリレー及び前記充電リレーにそれぞれバックアップ電力を供給するバックアップ電源部を備え、前記制御装置は、前記リレー遮断部として機能し、前記メインリレー及び前記充電リレーが共に閉鎖されている状態下で前記低電圧バッテリの電圧低下異常が生じた場合において、前記バックアップ電力が前記メインリレー及び前記充電リレーに供給されている期間に、前記メインリレーの遮断よりも前に前記充電リレーを遮断する。
【0010】
制御装置、メインリレー及び充電リレーにそれぞれバックアップ電力を供給するバックアップ電源部を備える構成では、メインリレー及び充電リレーが共に閉鎖されている状態下で低電圧バッテリの電圧低下異常が突然生じても、バックアップ電力がメインリレー及び充電リレーに供給されることで、これら各リレーの閉鎖状態を継続できる。そのため、これら各リレーにバックアップ電力が供給されている期間内において、メインリレーの遮断よりも前に充電リレーを適正に遮断することができる。
【0011】
手段3は、手段2において、前記低電圧バッテリの電池電圧を昇圧した昇圧電圧を蓄える昇圧コンデンサと、前記昇圧コンデンサの昇圧電圧を降圧する降圧回路とを有し、前記充電装置からの充電電力による前記高電圧バッテリの充電開始当初期間において、前記昇圧コンデンサの昇圧電圧の印加により前記メインリレー及び前記充電リレーを開状態から閉状態に移行させるとともに、その当初期間以降において、印加電圧を前記降圧回路の降圧電圧に切り替えることにより前記メインリレー及び前記充電リレーの閉状態を保持する電源システムである。また、前記バックアップ電源部として前記昇圧コンデンサと前記降圧回路とが含まれており、前記メインリレー及び前記充電リレーが共に閉鎖されている状態下で前記低電圧バッテリの電圧低下異常が生じた場合において、前記降圧回路の降圧電力を前記バックアップ電力として前記メインリレー及び前記充電リレーに供給する。
【0012】
充電装置からの充電電力による高電圧バッテリの充電開始当初において、昇圧コンデンサの昇圧電圧の印加によりメインリレー及び充電リレーを開状態から閉状態に移行させるとともに、その後、印加電圧を降圧回路の降圧電圧に切り替えることによりメインリレー及び充電リレーの閉状態を保持するようにした。これにより、充電装置による高電圧バッテリの充電時において、昇圧コンデンサの昇圧電圧による確実なリレー駆動が可能になることに加え、降圧電圧による各リレーの省エネルギ駆動が可能になる。
【0013】
また、メインリレー及び充電リレーが共に閉鎖されている状態下で低電圧バッテリの電圧低下異常が生じた場合には、降圧回路の降圧電力がバックアップ電力としてメインリレー及び充電リレーに供給される。これにより、低電圧バッテリから昇圧コンデンサへの電力供給が途絶えた状況にあっても、各リレーに対するバックアップ電力の供給を長引かせることができる。
【0014】
手段4では、手段3において、前記昇圧コンデンサの電圧を検出する電圧検出部を備え、前記制御装置は、前記メインリレー及び前記充電リレーが共に閉鎖されている状態下で前記低電圧バッテリの電圧低下異常が生じた場合において、前記充電リレーの遮断後に、前記電圧検出部による検出電圧に基づいて前記メインリレーを遮断する。
【0015】
低電圧バッテリの異常時において、メインリレーと充電リレーとを時間差を付けて遮断する場合、システム保護の観点からすると時間差が大きい方が望ましい。この点、充電リレーを遮断した後において、昇圧コンデンサの電圧(検出電圧)に基づいてメインリレーを遮断することで、昇圧コンデンサの電圧低下を監視しつつ、充電リレーの遮断からメインリレーの遮断までの時間を適正に制御することができる。
【0016】
手段5では、手段2において、前記バックアップ電源部として、前記高電圧バッテリを用いて前記バックアップ電力を生成する補助電源部を備え、前記メインリレー及び前記充電リレーが共に閉鎖されている状態下で前記低電圧バッテリの電圧低下異常が生じた場合において、前記補助電源部から前記制御装置、前記メインリレー及び前記充電リレーに前記バックアップ電力を供給する。
【0017】
メインリレー及び充電リレーが共に閉鎖されている状態下で低電圧バッテリの電圧低下異常が生じた場合に、補助電源部からのバックアップ電力が制御装置、メインリレー及び充電リレーに供給される。これにより、低電圧バッテリからの電力供給が途絶えた状況にあっても、各リレーに対するバックアップ電力の供給を継続しつつ、制御装置により各リレーを適正に遮断することができる。また、上記構成では、補助電源部は、高電圧バッテリを用いてバックアップ電力を生成するものであり、バックアップ電力への切替後においてバックアップ電力が無くなるまでの時間制限を無くすことができる。
【0018】
手段6では、手段1において、前記制御装置は、前記充電リレーを閉鎖する場合においてデューティ信号を出力して前記低電圧バッテリから前記充電リレーの励磁コイルへの電力供給を制御するものである。また、前記励磁コイルの両端を繋ぐ状態で互い並列に設けられる第1経路及び第2経路を有し、前記第1経路及び前記第2経路はそれぞれ前記励磁コイルを含む還流経路を形成する経路であり、前記第1経路には、当該第1経路を開閉する還流スイッチが設けられ、前記第2経路には、前記リレー遮断部として、前記還流スイッチよりも電力消費の大きい電力消費素子が設けられている。そして、前記メインリレーと共に前記充電リレーを閉鎖する場合において、デューティオンからデューティオフに移行した際に閉状態の前記還流スイッチを介して還流を生じさせる一方、前記メインリレーと共に前記充電リレーが閉鎖されている状態下で前記低電圧バッテリの電圧低下異常が生じた場合において、前記還流スイッチを開放し、前記電力消費素子を介して還流を生じさせて前記充電リレーを遮断する。
【0019】
充電リレーをデューティ信号により閉鎖する場合において、第1経路に設けられた還流スイッチを閉状態にしておくことにより、デューティオンからデューティオフに移行した際に励磁コイルと還流スイッチとを含む還流経路で電流が流れ、充電リレーの閉鎖状態を維持することができる。また、メインリレーと共に充電リレーが閉鎖されている状態下で低電圧バッテリの電圧低下異常が生じた場合には、還流スイッチを開放することにより、励磁コイルと電力消費素子とを含む還流経路で電流が流れる。この場合、電力消費素子は、還流スイッチよりも電力消費が大きく励磁コイルのエネルギがいち早く低減される。これにより、低電圧バッテリの電圧異常の発生時において、メインリレーよりも前に充電リレーを好適に遮断させることができる。
【0020】
手段7では、手段1において、前記低電圧バッテリと前記制御装置の前段の電源回路とを接続する制御電源経路に設けられた第1バックアップコンデンサと、前記低電圧バッテリと前記メインリレー及び前記充電リレーとを接続するリレー電源経路に設けられた第2バックアップコンデンサと、を備える。そして、前記制御装置は、前記リレー遮断部として機能し、前記メインリレー及び前記充電リレーが共に閉鎖されている状態下で前記低電圧バッテリの電圧低下異常が生じた場合において、前記第1バックアップコンデンサからの供給電力による動作状態下で、前記メインリレーの遮断よりも前に前記充電リレーを遮断する。
【0021】
低電圧バッテリと制御装置の前段の電源回路とを接続する制御電源経路に第1バックアップコンデンサが設けられるとともに、低電圧バッテリとメインリレー及び充電リレーとを接続するリレー電源経路に第2バックアップコンデンサが設けられている構成では、メインリレー及び充電リレーが共に閉鎖されている状態下で低電圧バッテリの電圧低下異常が突然生じても、各バックアップコンデンサからの電力供給により各リレーの閉鎖状態が継続される。そのため、制御装置及び各リレーにバックアップコンデンサから電力供給されている期間内において、メインリレーの遮断よりも前に充電リレーを適正に遮断することができる。
【0022】
手段8では、手段1において、前記低電圧バッテリと前記制御装置の前段の電源回路とを接続する制御電源経路と、前記低電圧バッテリと前記メインリレー及び前記充電リレーとを接続するリレー電源経路とを備え、前記リレー電源経路は、前記メインリレーに通じる第1分岐経路と、前記充電リレーに通じる第2分岐経路とに分岐されており、前記制御電源経路に第1バックアップコンデンサが設けられ、前記第1分岐経路と前記第2分岐経路とのうち第1分岐経路に第2バックアップコンデンサが設けられている。そして、前記リレー遮断部として、前記メインリレー及び前記充電リレーが共に閉鎖されている状態下で前記低電圧バッテリの電圧低下異常が生じた場合に、前記制御装置及び前記メインリレーに対しては前記各バックアップコンデンサからのバックアップ電力が供給される一方、前記充電リレーに対してはバックアップ電力が供給されない構成を有する。
【0023】
低電圧バッテリと制御装置の前段の電源回路とを接続する制御電源経路に第1バックアップコンデンサが設けられるとともに、低電圧バッテリとメインリレーとを接続する第1分岐経路に第2バックアップコンデンサが設けられている構成では、メインリレー及び充電リレーが共に閉鎖されている状態下で低電圧バッテリの電圧低下異常が突然生じても、各バックアップコンデンサからのバックアップ電力の供給により少なくともメインリレーの閉鎖状態が継続される。また、充電リレーは、バックアップ電力が供給されないため、制御装置及びメインリレーにバックアップ電力が供給されている状況下で、先に電源遮断されて開放される。これにより、メインリレーの遮断よりも前に充電リレーを適正に遮断することができる。
【0024】
手段9では、手段1において、前記低電圧バッテリと前記メインリレー及び前記充電リレーとを接続するリレー電源経路と、前記低電圧バッテリの電圧低下異常が生じたことを検知する検知回路と、を備え、前記リレー電源経路は、前記メインリレーに通じる第1分岐経路と、前記充電リレーに通じる第2分岐経路とに分岐され、前記第2分岐経路に遮断スイッチが設けられている。そして、前記リレー遮断部として、前記メインリレー及び前記充電リレーが共に閉鎖されている状態下において、前記検知回路の異常検知信号に基づいて前記遮断スイッチにより前記第2分岐経路を遮断する構成を有する。
【0025】
メインリレー及び充電リレーが共に閉鎖されている状態下において、検知回路により低電圧バッテリの電圧低下異常が検知されると、異常検知信号に基づいて遮断スイッチにより第2分岐経路が強制的に遮断される。これにより、低電圧バッテリの電圧低下異常が生じた場合において、メインリレーの遮断よりも前に充電リレーを適正に遮断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】第1実施形態の電源システムを示す構成図。
図2】高電圧バッテリの外部充電制御の処理手順を示すフローチャート。
図3】外部充電制御を具体的に説明するためのタイムチャート。
図4】第2実施形態の電源システムを示す構成図。
図5】第2実施形態における充電時の動作を説明するためのタイムチャート。
図6】第2実施形態の電源システムを示す構成図。
図7】第3実施形態の電源システムを示す構成図。
図8】リレー駆動回路の構成を示す回路図。
図9】充電リレーの閉鎖時におけるリレー駆動回路の動作を示すタイムチャート。
図10】リレー駆動回路の動作を説明するための図。
図11】第4実施形態の電源システムを示す構成図。
図12】第4実施形態における充電時の動作を説明するためのタイムチャート。
図13】第5実施形態の電源システムを示す構成図。
図14】第5実施形態における充電時の動作を説明するためのタイムチャート。
図15】第6実施形態の電源システムを示す構成図。
図16】第6実施形態における充電時の動作を説明するためのタイムチャート。
図17】変形例におけるリレー遮断処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、実施形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態は、電動車両に搭載される電源システムに具体化したものとしており、その電動車両の高電圧バッテリに対して車両外部の充電装置からの充電が可能になっている。
【0028】
(第1実施形態)
図1は、車両における電源システム10の構成図である。図1において、電源システム10は、高電圧バッテリ11を有し、その高電圧バッテリ11の正極側及び負極側に接続された高電圧経路12に電気機器13が接続されている。高電圧バッテリ11は、複数の電池セルが直列に接続されたリチウムイオン蓄電池であり、正側電圧を数100V(例えば800V)とする高電圧二次電池である。また、電気機器13は、インバータや回転電機、電力変換器(DC-DCコンバータ)等である。電気機器13としてインバータと回転電機を有する場合には、インバータにおける各スイッチング素子のスイッチング制御により高電圧バッテリ11の高電圧電力が回転電機に供給される。高電圧経路12において、高電圧バッテリ11の正極側及び負極側にはそれぞれメインリレー14が設けられている。メインリレー14が閉鎖されることで、高電圧バッテリ11から電気機器13への電力供給が行われる。
【0029】
また、本電源システム10では、車両外部の充電装置100による高電圧バッテリ11の充電が可能となっており、車両の電源コネクタに充電装置100が接続された状態で、充電装置100から供給される充電電力により高電圧バッテリ11が充電されるようになっている。
【0030】
電源システム10は、外部充電のための構成として、高電圧経路12においてメインリレー14と電気機器13との間の中間点に接続された充電経路15と、その充電経路15に設けられた充電リレー16とを有している。本実施形態では、高電圧バッテリ11の正極側及び負極側にそれぞれメインリレー14と充電リレー16とが設けられている。ただし、例えば正極側及び負極側のいずれか一方にのみメインリレー14と充電リレー16とが設けられている構成であってもよい。充電装置100による外部充電が行われる際には、メインリレー14と充電リレー16とが共に閉鎖された状態で充電装置100から高電圧バッテリ11に充電電力が供給され、その充電電力により高電圧バッテリ11が充電される。
【0031】
なお、メインリレー14と充電リレー16との間には、充電電力を昇圧する昇圧装置18が設けられているとよい。例えば高電圧バッテリ11の電圧が充電装置100の充電電力の電圧よりも高い場合に、充電電力が昇圧装置18により昇圧され、その昇圧後の充電電力により高電圧バッテリ11が充電される。
【0032】
電源システム10において、高電圧バッテリ11と、その高電圧バッテリ11の高電圧により動作する上記各構成とが高電圧動作部であり、図1ではその高電圧動作部をXとしている。メインリレー14及び充電リレー16はそれぞれ電磁リレーであり、電磁リレーにおいて、低電圧側の励磁コイルと、励磁コイルの通電より閉鎖(オン)される高電圧側のリレースイッチとのうち、リレースイッチが高電圧動作部Xに属するものとなっている。
【0033】
次に、電源システム10のうち低電圧バッテリ21の電池電圧(低電圧)により動作する低電圧系の構成について説明する。
【0034】
低電圧バッテリ21には低電圧経路22が接続され、その低電圧経路22には電源回路23が接続されている。また、電源回路23には制御装置24が接続されている。低電圧バッテリ21は例えば定格12Vの鉛蓄電池であり、低電圧バッテリ21の電池電圧により電源回路23で定電圧Vcc(例えば5V)が生成される。そして、その定電圧Vccにより制御装置24が動作する。制御装置24は、周知のCPUやメモリ等を有するマイクロコンピュータにより構成されており、車両運転要求などに基づいてメインリレー14の開閉を制御する一方、高電圧バッテリ11の充電要求などに基づいてメインリレー14及び充電リレー16の開閉を制御する。制御装置24は、電磁リレーであるメインリレー14及び充電リレー16において励磁コイルの励磁状態を操作することで、これら各リレー14,16の開閉を制御する。
【0035】
低電圧バッテリ21に接続される低電圧経路22は二方に分岐されており、一方は上述したとおり電源回路23に接続される経路であり、他方はメインリレー14及び充電リレー16の励磁コイルに接続される経路である。以下の説明では、電源回路23側の低電圧経路22を「制御電源経路22A」と称し、各リレー14,16側の低電圧経路22を「リレー電源経路22B」と称する。制御電源経路22Aは、制御装置24の電源電力を供給する経路であり、リレー電源経路22Bは、各リレー14,16の駆動電力を供給する経路である。
【0036】
各リレー14,16の基本動作は以下のとおりである。各リレー14,16を開状態から閉鎖させる場合には、制御装置24から各リレー14,16に対して閉指令信号が出力される。これにより、各リレー14,16において励磁コイルが励磁されるとともに、その励磁に伴いリレースイッチが閉鎖され、各リレー14,16が閉状態となる。また、制御装置24からの閉指令信号の出力が停止されると、各リレー14,16の励磁コイルの励磁が停止されるとともに、リレースイッチが開放され、各リレー14,16が開状態に戻る。
【0037】
また、リレー電源経路22Bには、低電圧バッテリ21の電池電圧を昇圧する昇圧回路25と、昇圧回路25の昇圧電圧により充電される昇圧コンデンサ26と、昇圧コンデンサ26及び各リレー14,16の間に設けられた電圧切替スイッチ27と、同じく昇圧コンデンサ26及び各リレー14,16の間に設けられた降圧回路28とが設けられている。電圧切替スイッチ27と降圧回路28とは互いに並列に設けられているとよい。昇圧コンデンサ26には、昇圧回路25の昇圧動作により、低電圧バッテリ21の電池電圧よりも高い電圧の昇圧エネルギが蓄えられる。降圧回路28は、昇圧コンデンサ26の電圧を降圧する。昇圧回路25の昇圧電圧は例えば20Vであり、降圧回路28の降圧電圧は例えば5Vである。電圧切替スイッチ27により、各リレー14,16に昇圧コンデンサ26の昇圧電圧が印加される状態と、各リレー14,16に降圧回路28の降圧電圧が印加される状態とが切り替えられる。
【0038】
高電圧バッテリ11の充電時には、その開始当初において、制御装置24により電圧切替スイッチ27がオンされることで、昇圧コンデンサ26の昇圧電圧により各リレー14,16が励磁(駆動)される。これにより、各リレー14,16を確実に開状態(オフ状態)から閉状態(オン状態)に移行させることができる。また、電圧切替スイッチ27は、充電開始から所定時間が経過した時点でオフされる。電圧切替スイッチ27がオフされた状態では、降圧回路28からの電力供給により各リレー14,16の励磁状態(駆動状態)が保持される。降圧回路28の降圧電圧は、各リレー14,16の励磁状態を保持する保持電圧であると言える。この場合、各リレー14,16の省電力駆動が可能となっている。
【0039】
低電圧経路22には、通電の向きを規制する規制素子として複数のダイオードが設けられている。詳しくは、制御電源経路22Aには、電源回路23側をカソードとする向きでダイオードD1が設けられている。リレー電源経路22Bにおいて、低電圧バッテリ21と昇圧回路25との間には、昇圧回路25側をカソードとする向きでダイオードD2が設けられ、昇圧コンデンサ26と電圧切替スイッチ27との間には、電圧切替スイッチ27側をカソードとする向きでダイオードD3が設けられている。また、降圧回路28と各リレー14,16との間には、各リレー14,16側をカソードとする向きでダイオードD4,D5が設けられている。
【0040】
ところで、電源システム10の低電圧側においては、断線や地絡等により低電圧バッテリ21の電圧が低下すると、それに起因して各リレー14,16の開閉を適正に制御できなくなることが考えられる。仮に充電リレー16の遮断よりも前にメインリレー14が遮断されると、メインリレー14と充電リレー16との間でロードダンプによる電圧過上昇が発生することが懸念される。そこで本実施形態では、メインリレー14及び充電リレー16が共に閉鎖されている状態下で低電圧バッテリ21の電圧低下異常が生じた場合において、昇圧コンデンサ26を電源として生成されるバックアップ電力がメインリレー14及び充電リレー16に供給されている期間に、制御装置24がメインリレー14の遮断よりも前に充電リレー16を遮断するようにしている。本実施形態では、制御装置24が「リレー遮断部」に相当する。また、昇圧コンデンサ26と降圧回路28とが、バックアップ電力を供給する「バックアップ電源部」に相当する。
【0041】
具体的には、低電圧経路22には、低電圧バッテリ21の電圧低下を検知する検知回路31が設けられている。また、低電圧経路22において制御電源経路22Aとリレー電源経路22Bにおける昇圧コンデンサ26の下流側とが接続経路32により接続され、その接続経路32にはバックアップ切替スイッチ33が設けられている。接続経路32には、電源回路23側をカソードとする向きでダイオードD6が設けられている。また、検知回路31の検知結果が制御装置24に出力される一方、検知回路31の検知結果によりバックアップ切替スイッチ33のオンオフが切り替えられる構成となっている。
【0042】
この場合、通常時は、検知回路31から、電圧低下の検知無しを示す非検知信号が出力され、バックアップ切替スイッチ33がオフ状態で維持される。また、断線等により低電圧バッテリ21の電圧が低下すると、検知回路31の検知結果として、電圧低下の検知有りを示す検知信号が出力され、その検知信号によりバックアップ切替スイッチ33がオンされる。なお、例えばバックアップ切替スイッチ33としてPチャネルMOSFETが用いられる場合には、検知回路31から検知信号としてローレベル信号が出力されることでバックアップ切替スイッチ33がオンされる。そして、制御装置24は、昇圧コンデンサ26からバックアップ電力が供給された状態で、検知回路31からの検知信号に基づいて低電圧バッテリ21の電圧低下異常が生じた旨を判定し、各リレー14,16を順次遮断する。
【0043】
図2は、高電圧バッテリ11の外部充電制御の処理手順を示すフローチャートであり、本処理は制御装置24により所定周期で繰り返し実施される。
【0044】
図2において、ステップS11では、外部充電要求の有無等に基づいて、高電圧バッテリ11に対して充電装置100による外部充電を実施するか否かを判定する。そして、外部充電を実施すると判定された場合に、ステップS12に進む。ステップS12では、メインリレー14及び充電リレー16が共にオン状態(閉状態)になっているか否かを判定する。そして、これら各リレー14,16がオン状態でなければ、ステップS13に進み、各リレー14,16がオン状態であれば、ステップS15に進む。
【0045】
ステップS13では、電圧切替スイッチ27をオンし、続くステップS14では、各リレー14,16をオンする。これにより、各リレー14,16の励磁電圧として、低電圧バッテリ21の電池電圧よりも高い昇圧電圧が印加される。そして、各リレー14,16のリレースイッチがオンされることにより、充電装置100から高電圧バッテリ11に繋がる経路が開通され、高電圧バッテリ11の充電が開始される。なお、電圧切替スイッチ27は、充電開始から(すなわち各リレー14,16がオンしてから)所定時間に限ってオンされるものであればよく、例えばタイマによりオフされるとよい。所定時間は例えば数10msec程度であるとよい。
【0046】
また、ステップS15では、高電圧バッテリ11の外部充電が完了したか否かを判定する。例えば、制御装置24に充電完了信号が入力されることにより、外部充電が完了したことが判定されるとよい。そして、外部充電が完了していれば、ステップS16に進み、メインリレー14及び充電リレー16をそれぞれオフする。
【0047】
また、外部充電が完了していなければ、ステップS17に進み、低電圧バッテリ21の電圧低下の異常が生じているか否かを判定する。この判定は、検知回路31の検知結果に基づいて行われ、検知回路31の検知結果として、電圧低下の検知有りを示す検知信号が制御装置24に入力されていれば、低電圧バッテリ21の電圧低下の異常が生じていると判定される。つまり、制御装置24は、ステップS17において、各リレー14,16がオンになり外部充電が開始された後において低電圧バッテリ21の電圧低下異常の有無を判定する。
【0048】
そして、低電圧バッテリ21の電圧低下異常が生じていなければ、そのまま本処理を一旦終了する。また、低電圧バッテリ21の電圧低下異常が生じていれば、ステップS18に進む。ステップS18では、充電リレー16が前、メインリレー14が後となる順序で、これら各リレー14,16をオフする。例えば、制御装置24は、先に充電リレー16をオフし、その充電リレー16のオフから所定時間の経過後にメインリレー14をオフする。各リレー14,16のオフにより、充電装置100から高電圧バッテリ11に繋がる経路が遮断され、高電圧バッテリ11の充電が強制停止される。
【0049】
図3は、上述した外部充電制御を具体的に説明するためのタイムチャートである。図3において、(a)は、低電圧バッテリ21の電圧低下異常が生じていない通常動作を示し、(b)は、低電圧バッテリ21の電圧低下異常が生じた場合の動作を示す。
【0050】
図3(a)において、タイミングt1では、高電圧バッテリ11の外部充電が開始される。このとき、電圧切替スイッチ27、メインリレー14及び充電リレー16がそれぞれオンされる。なお、図示のとおり、電圧切替スイッチ27と各リレー14,16とがオンされる時点で、昇圧コンデンサ26の昇圧電圧が所定の目標電圧に到達していることが望ましい。各リレー14,16の駆動開始当初には、各リレー14,16の励磁電圧として、低電圧バッテリ21の電池電圧よりも高い昇圧電圧が印加される。そして、各リレー14,16がオンされることにより、充電装置100から高電圧バッテリ11に繋がる経路が開通され、高電圧バッテリ11の充電が開始される。
【0051】
その後、タイミングt2では、電圧切替スイッチ27がオフされる。これにより、各リレー14,16に対して、降圧回路28で降圧された降圧電圧が印加される。この降圧電圧の印加により、各リレー14,16がオン状態(駆動状態)のまま保持される。このとき、各リレー14,16は、低電圧バッテリ21の電池電圧よりも低い降圧電圧によりオン状態が保持されることで、省電力駆動されるものとなっている。
【0052】
その後、タイミングt3では、高電圧バッテリ11の外部充電の完了に伴い、メインリレー14及び充電リレー16がそれぞれオフされる。これにより、一連の外部充電制御が終了される。
【0053】
一方、図3(b)では、図3(a)と同様に、電圧切替スイッチ27、メインリレー14及び充電リレー16のオンに伴い高電圧バッテリ11の外部充電が開始され(タイミングt11)、かつ、電圧切替スイッチ27のオフに伴い各リレー14,16に降圧電圧が印加される状態となっている(タイミングt12)。
【0054】
そして、タイミングt13において、例えば断線により低電圧バッテリ21の電圧が低下し0Vになると、その電圧低下に伴い検知回路31の出力が非検知信号から検知信号に切り替わる。これにより、バックアップ切替スイッチ33が直ちにオンされ、昇圧コンデンサ26から電源回路23を介して制御装置24への電力供給が行われる。つまり、昇圧コンデンサ26をバックアップ電源とするバックアップ電源供給状態となり、制御装置24の電源遮断が抑制される。また、検知回路31からの検知信号が制御装置24に入力されることで、制御装置24が異常発生を把握する。
【0055】
また、タイミングt13では、昇圧コンデンサ26の昇圧電圧から生成された降圧電圧の印加により各リレー14,16が駆動されており、タイミングt13以降も高圧電圧の印加状態が維持される。この場合、降圧電圧の印加状態が継続されることで、各リレー14,16の駆動状態が維持される。タイミングt13以降、昇圧コンデンサ26の昇圧電力がバックアップ電力として制御装置24に供給されるとともに、降圧回路28の降圧電力がバックアップ電力としてメインリレー14及び充電リレー16に供給される。
【0056】
ここで、タイミングt13以降は、昇圧回路25において入力電圧低下により昇圧動作が停止され、それに伴い昇圧コンデンサ26に対する充電が停止されるが、各リレー14,16の駆動が降圧電圧により行われているため、昇圧コンデンサ26の電圧低下の傾きが比較的緩やかになっている。そのため、タイミングt13以降において暫くの間は、制御装置24に対する動作電源の供給や、各リレー14,16の駆動電圧の供給を継続することが可能となっている。
【0057】
その後、タイミングt14,t15では、バックアップ電力がメインリレー14及び充電リレー16に供給されている期間内において、制御装置24により、充電リレー16が前、メインリレー14が後となる順序で、これら各リレー14,16がオフされる。このとき、充電リレー16のオフ操作、メインリレー14のオフ操作は時間差を付けて行われるが、昇圧コンデンサ26の電圧低下の傾きが緩やかであることから、制御装置24による適正動作が可能となっている。上記のとおり各リレー14,16がオフされることにより、充電リレー16の遮断よりも前にメインリレー14が遮断されることに起因してメインリレー14と充電リレー16との間でロードダンプによる電圧過上昇が発生するといった不都合が抑制される。
【0058】
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0059】
高電圧バッテリ11の外部充電時において、メインリレー14及び充電リレー16が共に閉鎖されている状態下で低電圧バッテリ21の電圧低下異常が生じた場合に、メインリレー14の遮断よりも前に充電リレー16を遮断するようにした。これにより、充電リレー16の遮断よりも前にメインリレー14が遮断されることに起因して電気機器13に不具合が生じることが抑制される。その結果、高電圧バッテリ11の充電時において低電圧バッテリ21の電圧低下異常が生じても適正な対処が可能となる。
【0060】
具体的には、メインリレー14及び充電リレー16が共に閉鎖されている状態下で低電圧バッテリ21の電圧低下異常が突然生じても、制御装置24、メインリレー14及び充電リレー16にそれぞれバックアップ電力が供給されることで、これら各リレー14,16の閉鎖状態を継続できる。そのため、これら各リレー14,16にバックアップ電力が供給されている期間内において、メインリレー14の遮断よりも前に充電リレー16を適正に遮断することができる。
【0061】
高電圧バッテリ11の充電開始当初において、昇圧コンデンサ26の昇圧電圧の印加によりメインリレー14及び充電リレー16を開状態から閉状態に移行させるとともに、その後、印加電圧を降圧回路28の降圧電圧に切り替えることによりメインリレー14及び充電リレー16の閉状態を保持するようにした。これにより、高電圧バッテリ11の充電時において、昇圧コンデンサ26の昇圧電圧による確実なリレー駆動が可能になることに加え、降圧電圧による各リレー14,16の省エネルギ駆動が可能になる。
【0062】
また、メインリレー14及び充電リレー16が共に閉鎖されている状態下で低電圧バッテリ21の電圧低下異常が生じた場合には、降圧回路28の降圧電力がバックアップ電力としてメインリレー14及び充電リレー16に供給される。これにより、低電圧バッテリ21から昇圧コンデンサ26への電力供給が途絶えた状況にあっても、各リレー14,16に対するバックアップ電力の供給を長引かせることができる。
【0063】
以下に、上記第1実施形態の一部を変更した他の実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0064】
(第2実施形態)
図4は、本実施形態における電源システム10の構成図である。図4では、図1との違いとして、制御装置24及び各リレー14,16にバックアップ電力を供給するバックアップ電源部の構成を変更しており、低電圧バッテリ21の電力によりバックアップ電力を生成する構成に代えて、高電圧バッテリ11の電力によりバックアップ電力を生成する構成としている。
【0065】
図4において、高電圧バッテリ11の正極側端子には、接続経路41を介して補助電源回路42が接続されている。補助電源回路42は、例えば、高電圧バッテリ11の高電圧を降圧する電力変換回路と、その電力変換回路により降圧された降圧電圧により充電されるコンデンサとを有している。降圧電圧は低電圧バッテリ21の電圧と同等であり、例えば12Vである。ただし、補助電源回路42の構成は、高電圧バッテリ11を用いてバックアップ電力を生成可能な構成であれば任意である。補助電源回路42が「補助電源部」に相当する。
【0066】
また、低電圧経路22において制御電源経路22Aとリレー電源経路22Bとが接続経路43により接続され、その接続経路43の中間点Pと補助電源回路42とに間にバックアップ切替スイッチ44が設けられている。バックアップ切替スイッチ44は、検知回路31の検知結果によりオンオフが切り替えられる。制御電源経路22A及びリレー電源経路22Bには図示のごとくダイオードD11~D14が設けられている。また、接続経路43において中間点Pの両側には、それぞれ逆向き(バックツゥバックの状態)でダイオードD15,D16が設けられている。
【0067】
図5は、本実施形態における充電時の動作を説明するためのタイムチャートである。図5では、タイミングt21以前において、メインリレー14及び充電リレー16が共に閉鎖(オン)されており、タイミングt21において、低電圧バッテリ21の電圧低下異常が生じている。この場合、タイミングt21では、検知回路31の検知結果として、電圧低下の検知有りを示す検知信号が出力され、その検知信号によりバックアップ切替スイッチ44がオンされる。これにより、補助電源回路42からのバックアップ電力が制御装置24、メインリレー14及び充電リレー16に供給される。
【0068】
そして、制御装置24は、検知回路31からの検知信号に基づいて低電圧バッテリ21の電圧低下異常が生じた旨を判定し、各リレー14,16を順次遮断する。具体的には、タイミングt22において充電リレー16が遮断されるとともに、その後のタイミングt23においてメインリレー14が遮断される。また、タイミングt24では、バックアップ切替スイッチ44がオフされ、補助電源回路42からのバックアップ電力の供給が停止される。
【0069】
本実施形態によれば、低電圧バッテリ21からの電力供給が途絶えた状況にあっても、各リレー14,16に対するバックアップ電力の供給を継続しつつ、制御装置24により各リレー14,16を適正に遮断することができる。また、上記構成では、補助電源回路42は、高電圧バッテリ11を用いてバックアップ電力を生成するものであり、バックアップ電力への切替後においてバックアップ電力が無くなるまでの時間制限を無くすことができる。
【0070】
図4の構成の変形例として、図6の構成を用いてもよい。図6では、図4との相違点として、高電圧バッテリ11の中間電圧位置に、接続経路41を介して補助電源回路42が接続されている。なお、補助電源回路42は、高電圧バッテリ11の少なくとも1つのセルから電圧を取り込んでバックアップ電力を生成するものであればよい。
【0071】
(第3実施形態)
図7は、本実施形態における電源システム10の構成図である。図7では、図1との違いとして、制御装置24及び各リレー14,16にバックアップ電源部からバックアップ電力を供給する構成を無くし、それに代えて、充電リレー16に、所望とするリレー遮断時においていち早い遮断を可能とする早切り機能を有するリレー駆動回路50を設ける構成としている。
【0072】
図8は、リレー駆動回路50の構成を示す回路図である。図8において、充電リレー16は、励磁コイル16aとリレースイッチ16bとを有している。励磁コイル16aの一端側である正側経路51には低電圧バッテリ21が接続され、励磁コイル16aの他端側である負側経路52には通電スイッチ53が接続されている。なお、各経路51,52は図7のリレー電源経路22Bに相当する。本実施形態では、通電スイッチ53はデューティ制御によりオンオフされる。つまり、充電リレー16を閉鎖する場合において、制御装置24は通電スイッチ53にデューティ信号を出力し、低電圧バッテリ21から励磁コイル16aへの電力供給を制御する。
【0073】
また、励磁コイル16aの正側経路51と負側経路52との間には、励磁コイル16aの両端を繋ぐ状態で第1経路61及び第2経路62が互い並列に設けられている。第1経路61には、ダイオード63と還流スイッチ64とが直列に設けられている。ダイオード63は、正側経路51の側(低電圧バッテリ21側)をカソードとする向きに設けられている。還流スイッチ64は、例えばMOSFETであり、制御装置24の出力によりオンオフされる。
【0074】
また、第2経路62には、ダイオード65,66の直列接続体からなるクランプ回路が設けられている。ダイオード65は、正側経路51の側(低電圧バッテリ21側)をカソードとする向きに設けられている。ダイオード66は、例えばショットキーバリアダイオードであり、負側経路52の側をカソードとする向きに設けられている。
【0075】
第1経路61及び第2経路62は、それぞれ励磁コイル16aを含む還流経路を形成する経路である。すなわち、還流スイッチ64をオン状態にして第1経路61を導通状態にすることで、還流スイッチ64を含む還流経路が形成される。また、ダイオード66に逆向きに通電して第2経路62を導通状態にすることで、ダイオード66を含む還流経路が形成される。ダイオード66は、還流時において還流スイッチ64よりも電力消費の大きい電力消費素子である。
【0076】
リレー駆動回路50は、メインリレー14及び充電リレー16のうち充電リレー16にのみ設けられている。なお、メインリレー14側のリレー駆動回路は、励磁コイルの通電をオンオフ制御するものであるとよい。
【0077】
ただし、メインリレー14側のリレー駆動回路として、充電リレー16側と同様に、励磁コイルの通電をデューティ制御するものを用いることも可能であり、かかる場合には、図8に示す第2経路62を有していない構成(すなわちクランプ回路を有していない構成)とするとよい。要するに、メインリレー14及び充電リレー16にそれぞれデューティ駆動式のリレー駆動回路を設ける場合には、それら各リレー14,16のうち充電リレー16側のリレー駆動回路50だけが早切り機能を有するものであるとよい。
【0078】
次に、リレー駆動回路50の具体的な動作を説明する。図9は、充電リレー16の閉鎖時におけるリレー駆動回路50の動作を示すタイムチャートであり、図10は、リレー駆動回路50の動作を説明するための図である。
【0079】
図9において、タイミングt31では、高電圧バッテリ11の充電開始に伴い、通電スイッチ53に対するデューティ信号の出力が開始される。また、還流スイッチ64がオンされる。デューティ信号の出力開始に伴い、励磁コイル16aが励磁されて充電リレー16が閉状態となる。ここで、デューティオン時の状態とデューティオフ時の状態とを図10(a),(b)により説明する。
【0080】
図10(a)は、デューティオン時の状態を示しており、通電スイッチ53がオン状態、還流スイッチ64がオン状態となっている。この場合、低電圧バッテリ21からの通電電流が励磁コイル16aと通電スイッチ53とを通じて流れ、励磁コイル16aが励磁される。
【0081】
図10(b)は、デューティオンからデューティオフに移行した際の状態を示しており、通電スイッチ53がオフ状態、還流スイッチ64がオン状態となっている。この場合、還流スイッチ64を含む還流経路で電流が還流され、励磁コイル16aの励磁状態が継続される。
【0082】
また、図9において、タイミングt32では、例えば断線により低電圧バッテリ21の電圧低下が生じ、検知回路31から出力される検知信号が制御装置24に入力される。これにより、制御装置24により還流スイッチ64がオフされ、還流スイッチ64のオフ直後に充電リレー16が遮断される(タイミングt33)。このとき、電力消費素子であるダイオード66を介して電流が還流されることにより、充電リレー16のいち早い遮断が可能となっている。つまり、低電圧バッテリ21の電圧低下に伴う制御装置24の電源遮断が生じる前に、充電リレー16を遮断することが可能となっている。
【0083】
図10(c)は、還流スイッチ64がオフされた直後の状態を示している。この場合、ダイオード66を含む還流経路で電流が還流され、ダイオード66の通電により電流が急減される。これにより、励磁コイル16aの励磁状態がいち早く解消され、メインリレー14よりも前に充電リレー16が遮断される。なお本実施形態では、ダイオード66が「リレー遮断部」に相当する。
【0084】
本実施形態によれば、メインリレー14と共に充電リレー16が閉鎖されている状態下で低電圧バッテリ21の電圧低下異常が生じた場合に、還流スイッチ64を開放することにより、励磁コイル16aとダイオード66(電力消費素子)とを含む還流経路で電流が流れる。この場合、ダイオード66は、還流スイッチ64よりも電力消費が大きく励磁コイル16aのエネルギがいち早く低減される。これにより、低電圧バッテリ21の電圧異常の発生時において、メインリレー14よりも前に充電リレー16を好適に遮断させることができる。
【0085】
(第4実施形態)
図11は、本実施形態における電源システム10の構成図である。図11では、図1との違いとして、制御装置24及び各リレー14,16にバックアップ電力を供給するバックアップ電源部の構成を変更している。
【0086】
図11において、低電圧バッテリ21と電源回路23とを接続する制御電源経路22Aには第1バックアップコンデンサ71が設けられ、低電圧バッテリ21とメインリレー14及び充電リレー16とを接続するリレー電源経路22Bには、第2バックアップコンデンサ72が設けられている。
【0087】
図12は、本実施形態における充電時の動作を示すタイムチャートである。図12では、タイミングt41以前において、メインリレー14及び充電リレー16が共に閉鎖(オン)されており、タイミングt41において、低電圧バッテリ21の電圧低下異常が生じている。この場合、タイミングt41以降、低電圧バッテリ21からの電力供給が途絶えるが、各バックアップコンデンサ71,72からのバックアップ電力により制御装置24や各リレー14,16に対する電力供給が継続される。
【0088】
また、タイミングt41では、検知回路31から出力される検知信号が制御装置24に入力される。そして、制御装置24は、リレー遮断部として機能し、各リレー14,16を順次遮断する。具体的には、タイミングt42において充電リレー16が遮断されるとともに、その後のタイミングt43においてメインリレー14が遮断される。制御装置24により各リレー14,16が遮断された後、バックアップコンデンサ71,72の電圧低下により、制御電源電圧とリレー電源電圧が低下する。
【0089】
本実施形態によれば、メインリレー14及び充電リレー16が共に閉鎖されている状態下で低電圧バッテリ21の電圧低下異常が突然生じても、各バックアップコンデンサ71,72からの電力供給により各リレー14,16の閉鎖状態が継続される。そのため、制御装置24及び各リレー14,16にバックアップコンデンサ71,72から電力供給されている期間内において、メインリレー14の遮断よりも前に充電リレー16を適正に遮断することができる。
【0090】
(第5実施形態)
図13は、本実施形態における電源システム10の構成図である。図13の構成では、図12の構成の一部を変更したものとしている。
【0091】
図13において、低電圧バッテリ21と電源回路23とを接続する制御電源経路22Aには第1バックアップコンデンサ81が設けられている。また、低電圧バッテリ21と各リレー14,16とを接続するリレー電源経路22Bは、メインリレー14に通じる第1分岐経路22B_1と、充電リレー16に通じる第2分岐経路22B_2とに分岐されており、それら各分岐経路22B_1,22B_2のうち第1分岐経路22B_1に第2バックアップコンデンサ82が設けられている。
【0092】
図14は、本実施形態における充電時の動作を示すタイムチャートである。図14では、タイミングt51以前において、メインリレー14及び充電リレー16が共に閉鎖(オン)されており、タイミングt51において、低電圧バッテリ21の電圧低下異常が生じている。この場合、タイミングt51以降、低電圧バッテリ21からの電力供給が途絶えるが、各バックアップコンデンサ81,82からのバックアップ電力により制御装置24及びメインリレー14に対する電力供給が継続される。ただし、充電リレー16に対してはバックアップ電力の供給が行われないため、メインリレー14よりも前に充電リレー16が遮断される。具体的には、タイミングt52において電源失陥により充電リレー16が遮断され、その後のタイミングt53において制御装置24によりメインリレー14が遮断される。
【0093】
なお、制御装置24及びメインリレー14に対しては各バックアップコンデンサ81,82からバックアップ電力が供給される一方、充電リレー16に対してはバックアップ電力が供給されない構成が、リレー遮断部に相当する。
【0094】
本実施形態によれば、メインリレー14及び充電リレー16が共に閉鎖されている状態下で低電圧バッテリ21の電圧低下異常が突然生じても、各バックアップコンデンサ81,82からの電力供給により少なくともメインリレー14の閉鎖状態が継続される。また、充電リレー16は、制御装置24及びメインリレー14にバックアップ電力が供給されている状況下で、先に電源遮断されて開放される。そのため、メインリレー14の遮断よりも前に充電リレー16を適正に遮断することができる。
【0095】
(第6実施形態)
図15は、本実施形態における電源システム10の構成図である。図15の構成では、上記各実施形態との違いとして、充電リレー16の強制遮断の構成が異なるものとなっている。
【0096】
図15に示すように、低電圧バッテリ21と各リレー14,16とを接続するリレー電源経路22Bにおいて、各分岐経路22B_1,22B_2のうち第2分岐経路22B_2には遮断スイッチ91が設けられている。遮断スイッチ91は、制御装置24によりオンオフが制御されるとともに、オン状態下において、検知回路31の検知結果に応じてオフされるものとなっている。具体的には、低電圧バッテリ21の電圧低下異常が生じていない場合には検知回路31から非検知信号が出力され、遮断スイッチ91のオン状態が維持される。また、低電圧バッテリ21の電圧低下異常が生じている場合には検知回路31から検知信号(異常検知信号)が出力され、遮断スイッチ91がオフされる。
【0097】
図16は、本実施形態における充電時の動作を示すタイムチャートである。図16では、タイミングt61以前において、遮断スイッチ91がオンされており、メインリレー14及び充電リレー16が共に閉状態となっている。タイミングt61では、低電圧バッテリ21の電圧低下に伴い検知回路31から検知信号(異常検知信号)が出力される。そして、その検知信号により遮断スイッチ91がオフされることにより第2分岐経路22B_2が遮断され、充電リレー16が強制的に遮断される。その後、タイミングt62では、電源失陥によりメインリレー14が遮断される。なお、検知回路31の検知信号に基づいて遮断スイッチ91により第2分岐経路22B_2が遮断される構成が、リレー遮断部に相当する。
【0098】
本実施形態によれば、メインリレー14及び充電リレー16が共に閉鎖されている状態下において、検知回路31により低電圧バッテリ21の電圧低下異常が検知されると、検知信号に基づいて遮断スイッチ91により第2分岐経路22B_2が強制的に遮断される。これにより、低電圧バッテリ21の電圧低下異常が生じた場合において、メインリレー14の遮断よりも前に充電リレー16を適正に遮断することができる。
【0099】
(変形例)
上記各実施形態を例えば次のように変更してもよい。
【0100】
・上記第1実施形態の変形例として、以下の構成を用いることが可能である。電源システム10において、昇圧コンデンサ26の電圧を検出する電圧検出部を備える構成とする。そして、制御装置24は、図17に示すリレー遮断処理を実施する。このリレー遮断処理は、図2の外部充電制御処理において、低電圧バッテリ21の電圧低下異常が生じている場合にステップS18にて実施されるとよい。
【0101】
図17において、ステップS21では、充電リレー16のオフ後(遮断後)であるか否かを判定する。そして、充電リレー16のオフ前であれば、ステップS22に進み、充電リレー16をオフする。
【0102】
充電リレー16のオフ後であれば、ステップS23に進む。ステップS23では、昇圧コンデンサ26の電圧Vcを取得し、続くステップS24では、昇圧コンデンサ26の電圧Vcが所定の閾値Vthよりも低いか否かを判定する。また、Vc≧Vthである場合に、ステップS25では、充電リレー16をオフしてから所定時間が経過したか否かを判定する。この場合、昇圧コンデンサ26の電圧Vcが閾値Vthよりも低くなったことと、充電リレー16をオフしてから所定時間が経過したこととのいずれかが成立することを条件に、ステップS26に進み、メインリレー14をオフする。
【0103】
低電圧バッテリ21の異常時において、メインリレー14と充電リレー16とを時間差を付けて遮断する場合、システム保護の観点からすると時間差が大きい方が望ましい。この点、充電リレー16を遮断した後において、昇圧コンデンサ26の電圧(検出電圧)に基づいてメインリレー14を遮断することで、昇圧コンデンサ26の電圧低下を監視しつつ、充電リレー16の遮断からメインリレー14の遮断までの時間を適正に制御することができる。
【0104】
図1に示す電源システム10では、制御装置24のバックアップ電源部として昇圧コンデンサ26を用い、各リレー14,16のバックアップ電源部として降圧回路28を用いる構成としたが、これを変更し、制御装置24と各リレー14,16とで同じバックアップ電源部を用いることも可能である。例えば、制御装置24及び各リレー14,16においてバックアップ電源部として昇圧コンデンサ26を用いる構成、又は、制御装置24及び各リレー14,16においてバックアップ電源部として降圧回路28を用いる構成としてもよい。
【0105】
図1に示す電源システム10において、制御装置24のバックアップ電源部として、高電圧側の補助電源回路42(図4図6参照)を用いることも可能である。又は、制御装置24のバックアップ電源部として、バックアップコンデンサ71(図11参照)を用いることも可能である。
【符号の説明】
【0106】
10…電源システム、11…高電圧バッテリ、12…高電圧経路、13…電気機器、14…メインリレー、15…充電経路、16…充電リレー、24…制御装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17