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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】電子回路モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/04 20230101AFI20241001BHJP
   H01L 25/18 20230101ALI20241001BHJP
   H01L 21/8234 20060101ALI20241001BHJP
   H01L 27/06 20060101ALI20241001BHJP
   H01L 21/822 20060101ALI20241001BHJP
   H01L 27/04 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
H01L25/04 Z
H01L27/06 102A
H01L27/04 H
H01L27/06 311A
H01L27/06 311Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021201069
(22)【出願日】2021-12-10
(65)【公開番号】P2023086509
(43)【公開日】2023-06-22
【審査請求日】2023-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】乾 真規
(72)【発明者】
【氏名】榎 直通
【審査官】豊島 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-022227(JP,A)
【文献】特開2003-347859(JP,A)
【文献】特開2021-175053(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L21/822
H01L21/8232-21/8238
H01L21/8249
H01L25/00-25/07
H01L25/10-25/11
H01L25/16-25/18
H01L27/04
H01L27/06
H01L27/07
H01L27/085-27/092
H01L27/118
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源電位に接続されておらず、基準電位に接続されておらず、信号が入力されず、且つ、信号が出力されない未使用端子と、アノードが前記未使用端子に電気的に接続され、カソードが電源電位ラインに電気的に接続されている第1ダイオードと、カソードが前記未使用端子に電気的に接続され、アノードが基準電位ラインに電気的に接続された第2ダイオードと、を有する、半導体装置と、
前記未使用端子と基準電位との間に電気的に接続された抵抗又はインダクタンス素子と、
を含
前記第1ダイオードは、前記電源電位ラインに伝搬したコモンノイズを前記未使用端子へ通過させ、
前記第2ダイオードは、前記基準電位ラインに伝搬したコモンノイズを前記未使用端子へ通過させ、
前記抵抗又は前記インダクタンス素子は、前記未使用端子に伝搬したコモンノイズを基準電位へ通過させる、
電子回路モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載の電子回路モジュールであって、
前記未使用端子と基準電位との間に電気的に接続された、抵抗とインダクタンス素子との並列回路
を含む、
電子回路モジュール。
【請求項3】
請求項1に記載の電子回路モジュールであって、
前記未使用端子と基準電位との間に電気的に接続された、抵抗とインダクタンス素子との直列回路
を含む、
電子回路モジュール。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の電子回路モジュールであって、
前記半導体装置は、
高周波信号を入出力する高周波信号入出力端子を更に有する、
電子回路モジュール。
【請求項5】
請求項4に記載の電子回路モジュールであって、
電波を送受信するアンテナと、
前記アンテナと前記高周波信号入出力端子との間に電気的に接続され、前記アンテナと前記半導体装置との間のインピーダンス整合を行う、整合回路と、
を更に含む、
電子回路モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子回路モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、HレベルおよびLレベルに出力固定された一対または複数対の空入出力ポート間にバイパスコンデンサを接続した、集積回路のノイズ低減装置が記載されている。
【0003】
特許文献2には、第1の半導体チップと、RCフィルタを形成した第2の半導体チップと、を積層し、第1の半導体チップの端子に第2の半導体チップのRCフィルタを接続した、半導体装置が記載されている。
【0004】
特許文献3には、制御装置がリセットされた場合、フロートの状態になり、かつ、接続された制御対象デバイスの端子の信号をHighに維持することが要求される第1の端子を第1のプルアップ抵抗でプルアップし、制御装置がリセットされた場合、フロートの状態になり、かつ、接続された制御対象デバイスの端子の信号をLowに維持することが要求される第2の端子を第1のプルダウン抵抗でプルダウンする、情報処理装置が記載されている。
【0005】
特許文献4には、第1モードでは、第1信号を第1端子で受信して、センシング装置の静電容量を表す第2信号を第2端子上に出力し、誘導コイルと第1コンデンサとが第1ノードと接地との間に並列に結合され、第2モードでは、第3信号を第1端子で受信して、センシング装置のインダクタンスを表す第4信号を第2端子上に出力する、センシング装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平6-175758号公報
【文献】特開2005-252123号公報
【文献】特開2020-109553号公報
【文献】特表2020-512625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載された、HレベルおよびLレベルに出力固定された一対または複数対の空入出力ポート間に接続されたバイパスコンデンサは、ディファレンシャルノイズの抑制には効果があるものの、コモンノイズの抑制には効果がない。電源ライン又はグランドラインに伝搬したコモンノイズは、GPIO(General Purpose Input/Output:汎用入出力)端子に伝搬する場合がある。その場合、GPIO端子に接続されたバイパスコンデンサは、コモンノイズをグランドに誘導することができない。従って、コモンノイズは、半導体装置内部に影響を与える。また、特許文献1記載の技術では、集積回路は、バイパスコンデンサの2個の端子を夫々接続するための2個の端子を必要とする。
【0008】
特許文献2から4までには、信号の送受信に使用するGPIO端子については記載されているが、未使用のGPIO端子については記載されていない。未使用のGPIO端子をオープンにすると、電源ライン又はグランドラインに伝搬したノイズが、未使用のGPIO端子に伝搬する場合がある。その場合、未使用のGPIO端子はオープンであるので、ノイズは半導体装置内部に影響を与える。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、イミュニティを向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一側面の電子回路モジュールは、電源電位に接続されておらず、基準電位に接続されておらず、信号が入力されず、且つ、信号が出力されない未使用端子を有する、半導体装置と、未使用端子と基準電位との間に電気的に接続された抵抗又はインダクタンス素子と、を含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、イミュニティを向上することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、第1の実施の形態の電子回路モジュールの構成を示す図である。
図2図2は、第1の実施の形態の電子回路モジュールの半導体装置の内部構成を示す図である。
図3図3は、第1の実施の形態の電子回路モジュールの入力バッファの構成を示す図である。
図4図4は、第1の実施の形態の電子回路モジュールの出力バッファの構成を示す図である。
図5図5は、第2の実施の形態の電子回路モジュールの構成を示す図である。
図6図6は、第3の実施の形態の電子回路モジュールの構成を示す図である。
図7図7は、第4の実施の形態の電子回路モジュールの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の電子回路モジュールの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。各実施の形態は例示であり、異なる実施の形態で示した構成の部分的な置換又は組み合わせが可能であることは言うまでもない。
【0014】
<第1の実施の形態>
(構成)
図1は、第1の実施の形態の電子回路モジュールの構成を示す図である。電子回路モジュール1は、基板10上に複数の電子部品が実装されたものである。基板10は、複数の基板で構成されていても良い。
【0015】
電子回路モジュール1は、無線通信を行う無線通信モジュールとするが、本開示はこれに限定されない。電子回路モジュール1は、車載されることが例示されるが、本開示はこれに限定されない。
【0016】
電子回路モジュール1は、基板10と、半導体装置11と、整合回路21と、アンテナ22と、抵抗23と、を含む。
【0017】
半導体装置11は、パッケージに封入されていても良いし、ベアチップであっても良い。
【0018】
アンテナ22は、基板10の外に設けられていても良い。
【0019】
基板10は、端子10aから端子10cまでを有する。半導体装置11は、端子11aから11eまでを有する。
【0020】
端子11aには、整合回路21の一端が電気的に接続されている。整合回路21の他端は、アンテナ22に電気的に接続されている。つまり、端子11aは、高周波信号入出力端子である。整合回路21は、アンテナ22と半導体装置11との間のインピーダンス整合を行う回路である。
【0021】
端子11bは、端子10aを介して、電源電位Vccに電気的に接続されている。電源電位Vccから端子11bに供給される電力は、半導体装置11の内部の各回路に供給される。
【0022】
端子11cは、端子10bを介して、基準電位に電気的に接続されている。基準電位は、接地電位が例示されるが、本開示はこれに限定されない。端子11cは、半導体装置11の内部の各回路に電気的に接続されている。
【0023】
端子11dは、GPIO(General Purpose Input/Output:汎用入出力)端子であり、端子10cを介して、外部回路2に電気的に接続されている。外部回路2は、端子10c及び端子11dを介して、半導体装置11の内部の各回路と信号を送受信する。信号は、ディジタル信号が例示されるが、本開示はこれに限定されない。
【0024】
端子11eは、未使用のGPIO端子である。未使用のGPIO端子とは、電源電位Vccに接続されておらず、基準電位に接続されておらず、信号が入力されず、且つ、信号が出力されないGPIO端子である。
【0025】
端子11eが、本開示の「未使用端子」の一例に相当する。
【0026】
第1の実施の形態の電子回路モジュール1は、未使用のGPIO端子である端子11eを利用して、ノイズを抑制する。
【0027】
ノイズを抑制するために、端子11eには、抵抗23の一端が電気的に接続されている。抵抗23の他端は、端子10bを介して基準電位に電気的に接続されている。
【0028】
図2は、第1の実施の形態の電子回路モジュールの半導体装置の内部構成を示す図である。なお、図2では、基板10及び端子10aから端子10cまでの記載を省略している。
【0029】
半導体装置11は、スイッチ41と、プリアンプ42と、パワーアンプ43と、を含む。パワーアンプ43は、高周波送信信号を増幅する増幅器である。プリアンプ42は、高周波受信信号を増幅する増幅器である。
【0030】
プリアンプ42及びパワーアンプ43は、電源電位ライン44及び端子11bを介して、電源電位Vccに電気的に接続され、基準電位ライン45及び端子11cを介して、基準電位に電気的に接続されている。プリアンプ42及びパワーアンプ43は、端子11b及び電源電位ライン44を介して電源電位Vccから供給される電力を使用して、動作する。
【0031】
パワーアンプ43は、高周波送信信号を整合回路21に送信する場合に、前段の回路(図示せず)から入力される高周波送信信号を増幅して、スイッチ41に出力する。スイッチ41は、高周波送信信号を整合回路21に送信する場合に、端子11aとパワーアンプ43の出力端子とを電気的に接続する。
【0032】
スイッチ41は、高周波受信信号を整合回路21から受信する場合に、端子11aとプリアンプ42の入力端子とを電気的に接続する。プリアンプ42は、スイッチ41から入力される高周波受信信号を増幅して、後段の回路(図示せず)に出力する。
【0033】
半導体装置11は、汎用入出力回路51及び52を含む。汎用入出力回路51及び52は、端子11d及び11eに電気的に夫々接続されている。
【0034】
汎用入出力回路51は、第1保護ダイオード61と、第2保護ダイオード62と、プルアップ抵抗63と、第1スイッチ64と、プルダウン抵抗65と、第2スイッチ66と、入力バッファ67と、出力バッファ68と、を含む。
【0035】
入力バッファ67及び出力バッファ68は、電源電位ライン44及び端子11bを介して、電源電位Vccに電気的に接続され、基準電位ライン45及び端子11cを介して、基準電位に電気的に接続されている。入力バッファ67及び出力バッファ68は、端子11b及び電源電位ライン44を介して電源電位Vccから供給される電力を使用して、動作する。
【0036】
第1保護ダイオード61のカソードは、電源電位ライン44及び端子11bを介して、電源電位Vccに電気的に接続されている。第1保護ダイオード61のアノードは、端子11dに電気的に接続されている。
【0037】
第2保護ダイオード62のカソードは、端子11dに電気的に接続されている。第2保護ダイオード62のアノードは、基準電位ライン45及び端子11cを介して、基準電位に電気的に接続されている。
【0038】
プルアップ抵抗63の一端は、端子11dに電気的に接続されている。プルアップ抵抗63の他端は、第1スイッチ64の一端に電気的に接続されている。第1スイッチ64の他端は、電源電位ライン44及び端子11bを介して、電源電位Vccに電気的に接続されている。プルアップ抵抗63は、第1スイッチ64がオン状態の場合に、端子11dをプルアップする。
【0039】
なお、プルアップ抵抗63及び第1スイッチ64は、オン抵抗が高いPチャネル型のMOSトランジスタで実現しても良い。
【0040】
プルダウン抵抗65の一端は、端子11dに電気的に接続されている。プルダウン抵抗65の他端は、第2スイッチ66の一端に電気的に接続されている。第2スイッチ66の他端は、基準電位ライン45及び端子11cを介して、基準電位に電気的に接続されている。プルダウン抵抗65は、第2スイッチ66がオン状態の場合に、端子11dをプルダウンする。
【0041】
なお、プルダウン抵抗65及び第2スイッチ66は、オン抵抗が高いNチャネル型のMOSトランジスタで実現しても良い。
【0042】
入力バッファ67の入力端子は、端子11dに電気的に接続されている。入力バッファ67は、端子11dを介して外部回路2から受信した信号を、後段の回路(図示せず)に出力する。
【0043】
図3は、第1の実施の形態の電子回路モジュールの入力バッファの構成を示す図である。
【0044】
入力バッファ67は、Pチャネルのトランジスタ81と、Nチャネルのトランジスタ82と、を含む。
【0045】
トランジスタ81のソースは、端子67aを介して、電源電位Vccに電気的に接続されている。トランジスタ81のドレインは、トランジスタ82のドレインに電気的に接続されている。トランジスタ82のソースは、端子67bを介して、基準電位に電気的に接続されている。
【0046】
トランジスタ81及び82のゲートは、端子67cに電気的に接続されている。端子67cには、信号83が入力される。トランジスタ81及び82のドレインは、端子67dに電気的に接続されている。端子67dからは、信号84が出力される。
【0047】
信号83がハイレベルの場合、トランジスタ81がオフ状態となり、トランジスタ82がオン状態となる。従って、信号84は、ローレベルとなる。
【0048】
信号83がローレベルの場合、トランジスタ81がオン状態となり、トランジスタ82がオフ状態となる。従って、信号84は、ハイレベルとなる。
【0049】
再び図2を参照すると、出力バッファ68の出力端子は、端子11dに電気的に接続されている。出力バッファ68は、前段の回路(図示せず)から受信した信号を、端子11dを介して外部回路2に出力する。
【0050】
図4は、第1の実施の形態の電子回路モジュールの出力バッファの構成を示す図である。
【0051】
出力バッファ68は、出力制御回路91と、Pチャネルのトランジスタ92と、Nチャネルのトランジスタ93と、を含む。
【0052】
出力制御回路91の入力端子には、端子68cを介して、信号94が入力される。
【0053】
トランジスタ92のソースは、端子68aを介して、電源電位Vccに電気的に接続されている。トランジスタ92のドレインは、トランジスタ93のドレインに電気的に接続されている。トランジスタ93のソースは、端子68bを介して、基準電位に電気的に接続されている。
【0054】
トランジスタ92及び93のゲートは、出力制御回路91の2個の出力端子に電気的に夫々接続されている。トランジスタ92及び93のドレインは、端子68dに電気的に接続されている。端子68dからは、信号95が出力される。
【0055】
出力制御回路91は、信号94に応じて、トランジスタ92及びトランジスタ93の内の一方をオン状態に制御する。
【0056】
トランジスタ92がオフ状態に制御され、且つ、トランジスタ93がオン状態に制御された場合、信号95は、ローレベルとなる。
【0057】
トランジスタ92がオン状態に制御され、且つ、トランジスタ93がオフ状態に制御された場合、信号95は、ハイレベルとなる。
【0058】
再び図2を参照すると、汎用入出力回路52は、第1保護ダイオード71と、第2保護ダイオード72と、プルアップ抵抗73と、第1スイッチ74と、プルダウン抵抗75と、第2スイッチ76と、入力バッファ77と、出力バッファ78と、を含む。
【0059】
汎用入出力回路52内の各回路要素の接続関係は、汎用入出力回路51内の各回路要素の接続関係と同様であるので、説明を省略する。
【0060】
入力バッファ77の回路構成は、入力バッファ67の回路構成(図3参照)と同様であるので、説明を省略する。
【0061】
出力バッファ78の回路構成は、出力バッファ68の回路構成(図4参照)と同様であるので、説明を省略する。
【0062】
端子11dは、使用されているGPIO端子である。従って、第1スイッチ64及び第2スイッチ66は、半導体装置11の動作状況に応じて、オン状態又はオフ状態に制御される。
【0063】
端子11eは、未使用のGPIO端子である。従って、第1スイッチ64及び第2スイッチ66は、常にオフ状態に制御される。
【0064】
(効果)
例えば、整合回路21とアンテナ22との接続部に、ノイズ31(図1及び図2参照)が入る場合があり得る。なお、ノイズ31が入る場所は、例示であり、本開示はこれに限定されない。また、ノイズ31は、コモンノイズの一例であり、本開示はこれに限定されない。
【0065】
ノイズ31は、整合回路21、端子11a、スイッチ41、並びに、プリアンプ42又はパワーアンプ43を介して、電源電位ライン44又は基準電位ライン45に伝搬する。半導体装置11内部の各トランジスタは、Si(シリコン)の酸化皮膜で構成されており、ノイズ31に対しては、数pF(ピコファラド)の容量として作用する。従って、電源電位ライン44又は基準電位ライン45に伝搬したノイズ31は、半導体装置11の内部に伝搬し、半導体装置11が誤動作する可能性がある。
【0066】
その対策として、整合回路21内に、高周波送信信号及び高周波受信信号が通過するラインと基準電位との間を電気的に接続するコンデンサを追加することが、考えられる。しかし、そうすると、整合回路21は、アンテナ22と半導体装置11との間のインピーダンス整合が崩れてしまうので、好ましくない。
【0067】
そこで、第1の実施の形態の電子回路モジュール1では、端子11eに、抵抗23の一端が電気的に接続されている。抵抗23の他端は、基準電位に電気的に接続されている。
【0068】
例えば、電源電位ライン44に伝搬したノイズ31は、第1保護ダイオード71、端子11e、及び、抵抗23を介して、基準電位に流れ出る。また、例えば、基準電位ライン45に伝搬したノイズ31は、第2保護ダイオード72、端子11e、及び、抵抗23を介して、基準電位に流れ出る。
【0069】
これにより、電子回路モジュール1は、ノイズ31が半導体装置11内部の素子に伝搬することを抑制することができる。これにより、電子回路モジュール1は、半導体装置11が誤動作することを抑制することができ、イミュニティを向上できる。また、電子回路モジュール1は、アンテナ22と半導体装置11との間のインピーダンス整合を維持することができる。また、電子回路モジュール1は、1個の未使用GPIO端子があれば良く、一対の未使用GPIO端子までは不要である。
【0070】
<第2の実施の形態>
第2の実施の形態の電子回路モジュールの構成要素のうち、第1の実施の形態と同一の構成要素については、同一の参照符号を付して、説明を省略する。
【0071】
図5は、第2の実施の形態の電子回路モジュールの構成を示す図である。
【0072】
電子回路モジュール1Aは、第1の実施の形態の電子回路モジュール1(図1参照)と比較して、抵抗23に代えて、インダクタンス素子24を含む。
【0073】
インダクタンス素子24は、フェライトビーズが例示されるが、本開示はこれに限定されない。
【0074】
インダクタンス素子24の一端は、端子11eに電気的に接続されている。インダクタンス素子24の他端は、端子10bを介して、基準電位に電気的に接続されている。
【0075】
電源電位ライン44(図2参照)に伝搬したノイズ31は、第1保護ダイオード71、端子11e、及び、インダクタンス素子24を介して、基準電位に流れ出る。また、例えば、基準電位ライン45(図2参照)に伝搬したノイズ31は、第2保護ダイオード72、端子11e、及び、インダクタンス素子24を介して、基準電位に流れ出る。
【0076】
これにより、電子回路モジュール1Aは、電子回路モジュール1と同様の効果を奏する。
【0077】
<第3の実施の形態>
第3の実施の形態の電子回路モジュールの構成要素のうち、他の実施の形態と同一の構成要素については、同一の参照符号を付して、説明を省略する。
【0078】
図6は、第3の実施の形態の電子回路モジュールの構成を示す図である。
【0079】
電子回路モジュール1Bは、第1の実施の形態の電子回路モジュール1(図1参照)と比較して、抵抗23に加えて、インダクタンス素子24を更に含む。
【0080】
インダクタンス素子24の一端は、端子11eに電気的に接続されている。インダクタンス素子24の他端は、端子10bを介して、基準電位に電気的に接続されている。
【0081】
つまり、抵抗23とインダクタンス素子24とは、並列接続されている。
【0082】
電源電位ライン44(図2参照)に伝搬したノイズ31は、第1保護ダイオード71、端子11e、抵抗23、及び、インダクタンス素子24を介して、基準電位に流れ出る。また、例えば、基準電位ライン45(図2参照)に伝搬したノイズ31は、第2保護ダイオード72、端子11e、抵抗23、及び、インダクタンス素子24を介して、基準電位に流れ出る。
【0083】
これにより、電子回路モジュール1Bは、電子回路モジュール1と同様の効果を奏する。
【0084】
<第4の実施の形態>
第4の実施の形態の電子回路モジュールの構成要素のうち、他の実施の形態と同一の構成要素については、同一の参照符号を付して、説明を省略する。
【0085】
図7は、第4の実施の形態の電子回路モジュールの構成を示す図である。
【0086】
電子回路モジュール1Cは、第1の実施の形態の電子回路モジュール1(図1参照)と比較して、抵抗23に加えて、インダクタンス素子24を更に含む。
【0087】
インダクタンス素子24の一端は、抵抗23の他端に電気的に接続されている。インダクタンス素子24の他端は、端子10bを介して、基準電位に電気的に接続されている。
【0088】
つまり、抵抗23とインダクタンス素子24とは、直列接続されている。
【0089】
電源電位ライン44(図2参照)に伝搬したノイズ31は、第1保護ダイオード71、端子11e、抵抗23、及び、インダクタンス素子24を介して、基準電位に流れ出る。また、例えば、基準電位ライン45(図2参照)に伝搬したノイズ31は、第2保護ダイオード72、端子11e、抵抗23、及び、インダクタンス素子24を介して、基準電位に流れ出る。
【0090】
これにより、電子回路モジュール1Cは、電子回路モジュール1と同様の効果を奏する。
【0091】
なお、第4の実施の形態では、抵抗23の一端が端子11eに電気的に接続され、抵抗23の他端がインダクタンス素子24の一端に電気的に接続され、インダクタンス素子24の他端が基準電位に電気的に接続されることとしたが、本開示はこれに限定されない。インダクタンス素子24の一端が端子11eに電気的に接続され、インダクタンス素子24の他端が抵抗23の一端に電気的に接続され、抵抗23の他端が基準電位に電気的に接続されることとしても良い。
【0092】
<付記>
(1)
各実施の形態では、未使用GPIO端子が1個(端子11e)の場合について説明したが、本開示はこれに限定されない。未使用GPIO端子は、2個以上であっても良い。その場合、各未使用GPIO端子と基準電位との間に、抵抗、インダクタンス素子、抵抗とインダクタンス素子との並列回路、又は、抵抗とインダクタンス素子との直列回路を接続することとしても良い。
【0093】
(2)
各実施の形態では、抵抗23及びインダクタンス素子24が基板10上に実装されていることとしたが、本開示はこれに限定されない。抵抗23及びインダクタンス素子24の各々は、基板10内に配線等を用いて形成されていても良い。
【0094】
なお、上記した実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更/改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。
【符号の説明】
【0095】
1、1A、1B、1C 電子回路モジュール
10 基板
10a、10b、10c、11a、11b、11c、11d、11e 端子
11 半導体装置
21 整合回路
22 アンテナ
23 抵抗
24 インダクタンス素子
41 スイッチ
42 プリアンプ
43 パワーアンプ
51、52 汎用入出力回路
61、71 第1保護ダイオード
62、72 第2保護ダイオード
63、73 プルアップ抵抗
64、74 第1スイッチ
65、75 プルダウン抵抗
66、76 第2スイッチ
67、77 入力バッファ
68、78 出力バッファ
81、82、92、93 トランジスタ
91 出力制御回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7