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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】表示装置および電子機器
(51)【国際特許分類】
   H10K 50/842 20230101AFI20241001BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20241001BHJP
   H10K 59/38 20230101ALI20241001BHJP
【FI】
H10K50/842 426
G09F9/30 309
G09F9/30 349C
G09F9/30 365
H10K59/38
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021563779
(86)(22)【出願日】2020-10-27
(86)【国際出願番号】 JP2020040243
(87)【国際公開番号】W WO2021117364
(87)【国際公開日】2021-06-17
【審査請求日】2023-09-04
(31)【優先権主張番号】P 2019222813
(32)【優先日】2019-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】島津 知彦
【審査官】辻本 寛司
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第209401656(CN,U)
【文献】特開2011-258555(JP,A)
【文献】特開2002-258261(JP,A)
【文献】国際公開第2014/024455(WO,A1)
【文献】特開2006-245010(JP,A)
【文献】特開2012-209215(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0236297(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0159070(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0132148(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0140599(US,A1)
【文献】国際公開第2013/171966(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10K 50/842
G09F 9/30
H10K 59/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マトリクス状に配置されている表示素子から成る表示領域を備えた第1基板と、
透明材料から成る第2基板と、
表示領域の外側を囲むように配置されたシール部と、
を有しており、
シール部は、第1基板に塗布されたシール材料から成る第1被覆材と、第1基板に塗布された第1被覆材の上に塗布された遮光性材料から成る芯材と、芯材が塗布された第1被覆材における芯材および第1被覆材の両方の上に塗布されたシール材料から成る第2被覆材とから構成されており、
第1基板と第2基板とは、シール部の第1被覆材および第2被覆材のそれぞれの面が接面となる状態で封止されており、
シール部の接面のうち、第1基板側の第1被覆材の接面は、第2基板側の第2被覆材の接面よりも広い、
表示装置。
【請求項2】
接面を除いたシール部の面のうち、表示装置の外側を向く側面および内側を向く側面の少なくとも一方は第2被覆材で覆われている、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
接面を除いたシール部の面のうち、表示装置の外側を向く側面および内側を向く側面の双方は第2被覆材で覆われている、
請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
第1基板および第2基板の少なくとも一方は、積層されたカラーフィルタから成り表示領域の外側を囲むように形成されている遮光部を有しており、
シール部と重なる遮光部のうちの一部は、シール部に沿って溝状に遮光部が除去されている、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
溝状に遮光部が除去されている領域は第1被覆材によって埋め込まれている、
請求項に記載の表示装置。
【請求項6】
第1被覆材および第2被覆材は樹脂を用いたシール材料から成る、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項7】
第1被覆材および第2被覆材は熱硬化型樹脂または光硬化型樹脂から成る、
請求項に記載の表示装置。
【請求項8】
第1被覆材および第2被覆材はアクリル系樹脂およびウレタン樹脂またはこれらを混合した樹脂から成る、
請求項に記載の表示装置。
【請求項9】
第1被覆材および第2被覆材は低融点ガラスを用いたシール材料から成る、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項10】
第1被覆材および第2被覆材はスペーサを含有したシール材料から成る、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項11】
芯材は黒色樹脂を用いた遮光性材料から成る、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項12】
芯材は、黒色顔料、カーボンブラックおよびチタンブラックのうち少なくとも1つが混合された、熱硬化型または光硬化型のポリイミド樹脂から成る、
請求項11に記載の表示装置。
【請求項13】
マトリクス状に配置されている表示素子から成る表示領域を備えた第1基板と、
透明材料から成る第2基板と、
表示領域の外側を囲むように配置されたシール部と、
を有しており、
シール部は、第1基板に塗布されたシール材料から成る第1被覆材と、第1基板に塗布された第1被覆材の上に塗布された遮光性材料から成る芯材と、芯材が塗布された第1被覆材における芯材および第1被覆材の両方の上に塗布されたシール材料から成る第2被覆材とから構成されており、
第1基板と第2基板とは、シール部の第1被覆材および第2被覆材のそれぞれの面が接面となる状態で封止されており、
シール部の接面のうち、第1基板側の第1被覆材の接面は、第2基板側の第2被覆材の接面よりも広い、
表示装置を備えた電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示装置および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
電流駆動型の発光部を備えた表示素子、及び、係る表示素子を備えた表示装置が周知である。例えば、有機エレクトロルミネッセンス素子から成る発光部(以下、単に、[有機EL発光部]と略称する場合がある)を備えた表示素子は、低電圧直流駆動による高輝度発光が可能な表示素子として注目されている。
【0003】
有機EL発光部を有する表示素子を備える表示装置は、通常、有機EL発光部を駆動するための駆動回路と有機EL発光部とが積層された第1基板に対して、有機EL発光部に対向するように第2基板を貼り合わせることによって形成されている。表示素子は雰囲気中の水分に晒されると劣化する。このため、第1基板と第2基板との周囲をシール材料で封止するといったことが行われる。
【0004】
上述した表示装置は、自発光型であり、更には、高精細度の高速ビデオ信号に対しても充分な応答性を有する。眼鏡やゴーグルなどといったアイウェアに装着するための表示装置にあっては、例えば、画素サイズを数マイクロメートルないし10マイクロメートル程度とするといったことも求められている。このような用途では、表示装置はチップ状の第1基板に第2基板を貼り合わせた構造のモジュールとされるが、更なる小型化やコストダウンが求められている。
【0005】
表示装置の表示領域の外枠部分は遮光領域とする必要がある。基板とは別に額縁状の部材を用意してこれを貼り合わせるといった構造は、外形の拡大要因やコストアップ要因となる。このため、カラーフィルタを積層することによって遮光部を形成し、遮光部上にシール材料を塗布して第1基板に第2基板を貼り合わせるといったことが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。また、シール材料に遮光性能を持たせるといったことも提案されている(例えば、特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2015-76298号公報
【文献】特開2012-69256号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
カラーフィルタを積層して形成した遮光部上にシール材料を塗布して貼り合わせを行うといった構成の場合、表示装置の端面にカラーフィルタの端部が配置される。カラーフィルタを構成する材料は比較的透湿性が高いので、透湿性の観点で課題が残る。また、シール材料に遮光性能を持たせると密着性が低下する。従って、小型化に伴ってシール領域を縮小する場合に、密着性の観点で課題が残る。
【0008】
従って、本開示の目的は、小型化に適しており、封止による透湿性が低く密着性に優れた構成の表示装置および係る表示装置を備えた電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するための本開示に係る表示装置は、
マトリクス状に配置されている表示素子から成る表示領域を備えた第1基板と、
透明材料から成る第2基板と、
表示領域の外側を囲むように配置されたシール部と、
を有しており、
シール部は、遮光性材料から成る芯材とシール材料から成る被覆材とから構成されており、
第1基板と第2基板とは、シール部の被覆材の面が接面となる状態で封止されている、
表示装置である。
【0010】
上記の目的を達成するための本開示に係る電子機器は、
マトリクス状に配置されている表示素子から成る表示領域を備えた第1基板と、
透明材料から成る第2基板と、
表示領域の外側を囲むように配置されたシール部と、
を有しており、
シール部は、遮光性材料から成る芯材とシール材料から成る被覆材とから構成されており、
第1基板と第2基板とは、シール部の被覆材の面が接面となる状態で封止されている、
表示装置を備えた電子機器である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1Aおよび図1Bは、第1の実施形態に係る表示装置を説明するための模式図である。図1Aは、表示装置を正面から眺めたときの模式的な平面図を示す。図1Bは、図1においてA-Aで示す部分の模式的な断面図である。
図2図2は、表示素子の基本的な構成を説明するための模式的な回路図である。
図3図3は、第1基板における表示素子を含む部分の模式的な一部断面図である。
図4図4は、第1基板と第2基板との封止状態を説明するための模式的な一部断面図である。
図5図5Aおよび図5Bは、第1基板と第2基板との封止工程を説明するための模式的な一部断面図である。
図6図6は、図5Bの工程において塗布されるシール材料から成る被覆材の平面形状を説明するための模式的な平面図である。
図7図7は、図5Bに引き続き、第1基板と第2基板との封止工程を説明するための模式的な一部断面図である。
図8図8は、図7の工程において塗布される遮光性材料から成る芯材の平面形状を説明するための模式的な平面図である。
図9図9は、図7に引き続き、第1基板と第2基板との封止工程を説明するための模式的な一部断面図である。
図10図10は、図9の工程において塗布されるシール材料から成る被覆材の平面形状を説明するための模式的な平面図である。
図11図11は、図9に引き続き、第1基板と第2基板との封止工程を説明するための模式的な一部断面図である。
図12図12Aおよび図12Bは、遮光性材料から成る芯材とシール材料から成る被覆材を一括して塗布する際のノズル構造を説明するための模式図である。
図13図13は、遮光性材料から成る芯材とシール材料から成る被覆材を一括して塗布したときの、第1基板と第2基板との封止状態を説明するための模式的な一部断面図である。
図14図14は、より具体的な芯材の断面形状の一例を説明するための模式的な一部断面図である。
図15図15は、第1の変形例に係る第1基板と第2基板との封止状態を説明するための模式的な一部断面図である。
図16図16は、第2の変形例に係る第1基板と第2基板との封止状態を説明するための模式的な一部断面図である。
図17図17は、第3の変形例に係る第1基板と第2基板との封止状態を説明するための模式的な一部断面図である。
図18図18は、第4の変形例に係る第1基板と第2基板との封止状態を説明するための模式的な一部断面図である。
図19図19は、レンズ交換式一眼レフレックスタイプのデジタルスチルカメラの外観図であり、図19Aにその正面図を示し、図19Bにその背面図を示す。
図20図20は、ヘッドマウントディスプレイの外観図である。
図21図21は、シースルーヘッドマウントディスプレイの外観図である。
【0012】
以下、図面を参照して、実施形態に基づいて本開示を説明する。本開示は実施形態に限定されるものではなく、実施形態における種々の数値や材料は例示である。以下の説明において、同一要素または同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。尚、説明は、以下の順序で行う。
1.本開示に係る、表示装置、及び、電子機器、全般に関する説明
2.第1の実施形態
3.各種の変形例
4.電子機器の説明、その他
【0013】
[本開示に係る、表示装置、及び、電子機器、全般に関する説明]
本開示に係る表示装置、及び、本開示に係る電子機器に用いられる表示装置(以下、これらを単に「本開示の表示装置」と呼ぶ場合がある。)は、上述したように、
マトリクス状に配置されている表示素子から成る表示領域を備えた第1基板と、
透明材料から成る第2基板と、
表示領域の外側を囲むように配置されたシール部と、
を有しており、
シール部は、遮光性材料から成る芯材とシール材料から成る被覆材とから構成されており、
第1基板と第2基板とは、シール部の被覆材の面が接面となる状態で封止されている、
表示装置である。
【0014】
本開示の表示装置において、接面を除いたシール部の側面のうち、表示装置の外側の側面および内側の側面の少なくとも一方は被覆材で覆われている構成とすることができる。この場合において、透湿性を低くするといった観点からは、接面を除いたシール部の面のうち、表示装置の外側の側面および内側の側面の双方は被覆材で覆われている構成とすることが好ましい。
【0015】
上述した各種の好ましい構成を含む本開示の表示装置において、第1基板および第2基板の少なくとも一方は、積層されたカラーフィルタから成り表示領域の外側を囲むように形成されている遮光部を有しており、シール部と重なる遮光部のうちの一部は、シール部に沿って溝状に遮光部が除去されている構成とすることができる。一般に、カラーフィルタを構成する材料の透湿性は高い。そこで、溝状に遮光部が除去されている領域を被覆材によって埋め込まれている構成とすることによって、シール部による透湿性を低く保持することができる。
【0016】
上述した各種の好ましい構成を含む本開示の表示装置において、被覆材は樹脂を用いたシール材料から成る構成とすることができる。この場合において、被覆材は熱硬化型樹脂または光硬化型樹脂から成る構成とすることができる。芯材が遮光性を有していることから、硬化処理の効率の観点から被覆材は熱硬化型樹脂から成る構成とすることが好ましい。被覆材はアクリル系樹脂およびウレタン樹脂またはこれらを混合した樹脂から成る構成とすることができる。
【0017】
あるいは又、被覆材は低融点ガラスを用いたシール材料から成る構成とすることもできる。低融点ガラスとして、所謂フリットガラスを例示することができる。低融点ガラスをシール材料として用いることによって、樹脂を用いた場合に比べてより高い機密性を得ることができる。
【0018】
上述した各種の好ましい構成を含む本開示の表示装置において、被覆材はスペーサを含有したシール材料から成る構成とすることができる。スペーサとして、シリカ等の無機絶縁物からなる球体又は円柱体を用いることができる。スペーサを混入させることによって、シール材料の粘度や強度を調整することができ、また、シール部における被覆材の厚さを略一定とすることができる。
【0019】
上述した各種の好ましい構成を含む本開示の表示装置において、芯材は黒色樹脂を用いた遮光性材料から成る構成とすることができる。この場合において、芯材は、黒色顔料、カーボンブラックおよびチタンブラックのうち少なくとも1つが混合された、熱硬化型または光硬化型のポリイミド樹脂から成る構成とすることができる。
【0020】
上述した各種の好ましい構成を含む本開示の表示装置において、表示素子は、有機エレクトロルミネッセンス素子、LED素子、半導体レーザ素子などから成る発光部を有する構成とすることができる。これらの素子は、周知の材料や方法を用いて構成することができる。平面型の表示装置を構成する観点からは、中でも、表示素子は有機エレクトロルミネッセンス素子から成る発光部を有する構成とすることが好ましい。
【0021】
本開示の表示装置は、発光部を駆動するための駆動回路を備えている構成とすることができる。発光部と駆動回路とは例えば層間絶縁膜に設けられたビアなどから成る導通部を介して接続することができる。
【0022】
基板の構成材料として、半導体材料、ガラス材料、あるいは、プラスチック材料を例示することができる。駆動回路を半導体基板に形成されたトランジスタによって構成するといった場合、例えばシリコンから成る半導体基板にウェル領域を設け、ウェル内にトランジスタを形成するといった構成とすればよい。一方、駆動回路を薄膜トランジスタなどによって構成するといった場合は、ガラス材料やプラスチック材料から成る基板を用いてその上に半導体薄膜を形成し駆動回路を形成することができる。各種の配線は、周知の構成や構造とすることができる。
【0023】
本開示の表示装置において、発光部の発光を制御する駆動回路などの構成は特に限定するものではない。発光部は、例えば、基板上の或る平面内に形成され、例えば、層間絶縁層を介して、発光部を駆動する駆動回路の上方に配置されているといった構成とすることができる。駆動回路を構成するトランジスタの構成は、特に限定するものではない。pチャネル型の電界効果トランジスタであってもよいし、nチャネル型の電界効果トランジスタであってもよい。
【0024】
本開示の表示装置において、発光部は、いわゆる上面発光型である構成とすることができる。例えば、有機エレクトロルミネッセンス素子から成る発光部は、正孔輸送層、発光層、電子輸送層などを備えた有機層を、下部電極と上部電極で挟まれることによって構成される。カソードを共通化する場合、上部電極がカソード電極、下部電極がアノード電極となる。
【0025】
下部電極は、基板上に発光部ごとに設けられている。カソードを共通化する場合、下部電極は、発光部のアノード電極として機能する。下部電極は、アルミニウム(Al)、アルミニウム合金、白金(Pt)、金(Au)、クロム(Cr)、タングステン(W)などの金属やそれらの合金等を用いて構成することができる。あるいは又、インジウムスズ酸化物(ITO)やインジウム亜鉛酸化物(IZO)などの透明導電材料層と光反射材料からなる反射層とが積層されて構成されていてもよい。下部電極は、厚さが100ないし300ナノメートルの範囲に設定されていることが好ましい。
【0026】
有機層は、複数の材料層が積層されて成り、共通の連続膜として、下部電極上および隔壁部上を含む全面に設けられる。有機層は、下部電極と上部電極との間に電圧が印加されることによって発光する。有機層は、例えば、下部電極側から、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、および、電子注入層を順に積層した構造で構成することができる。有機層を構成する正孔輸送材料、正孔輸送材料、電子輸送材料、有機発光材料は特に限定するものではなく、周知の材料を用いることができる。
【0027】
有機層は、複数の発光層が積層された構造を含んでいてもよい。例えば、赤色発光、青色発光、緑色発光の発光層を積層することによって、あるいは又、青色発光、黄色発光の発光層を積層することによって、白色で発光する発光部を構成することができる。
【0028】
本開示の表示装置はカラー表示の構成とすることができる。カラー表示の場合、カラーフィルタは、例えば、顔料または染料を含ませた樹脂材料などを用いて形成することができる。尚、場合によっては、所謂モノクロ表示の構成であってもよい。モノクロ表示の場合、1つの表示素子は1つの画素を構成する。
【0029】
また、カラー表示の場合、1つの表示素子は1つの副画素を構成する。例えば、1つの画素は複数の副画素から成る構成、具体的には、1つの画素は、赤色表示副画素、緑色表示副画素、及び、青色表示副画素の3つの副画素から成る構成とすることができる。更には、これらの3種の副画素に更に1種類あるいは複数種類の副画素を加えた1組(例えば、輝度向上のために白色光を発光する副画素を加えた1組、色再現範囲を拡大するために補色を発光する副画素を加えた1組、色再現範囲を拡大するためにイエローを発光する副画素を加えた1組、色再現範囲を拡大するためにイエロー及びシアンを発光する副画素を加えた1組)から構成することもできる。
【0030】
隣接する表示素子を区画する隔壁部は、公知の無機材料や有機材料から適宜選択した材料を用いて形成することができ、例えば、真空蒸着法やスパッタリング法に例示される物理的気相成長法(PVD法)、各種の化学的気相成長法(CVD法)などの周知の成膜方法と、エッチング法やリフトオフ法などの周知のパターニング法との組み合わせによって形成することができる。
【0031】
表示装置の画素(ピクセル)の値として、VGA(640,480)、S-VGA(800,600)、XGA(1024,768)、APRC(1152,900)、S-XGA(1280,1024)、U-XGA(1600,1200)、HD-TV(1920,1080)、Q-XGA(2048,1536)の他、(1920,1035)、(720,480)、(1280,960)等、画像表示用解像度の幾つかを例示することができるが、これらの値に限定するものではない。
【0032】
本開示の表示装置を備えた電子機器として、直視型や投射型の表示装置の他、画像表示機能を備えた各種の電子機器を例示することができる。
【0033】
本明細書における各種の式に示す条件は、式が数学的に厳密に成立する場合の他、式が実質的に成立する場合にも満たされる。式の成立に関し、表示装置の設計上あるいは製造上生ずる種々のばらつきの存在は許容される。また、以下の説明で用いる図は模式的なものである。例えば、後述する図3は表示装置の断面構造を示すが、幅、高さ、厚さなどの割合を示すものではない。
【0034】
[第1の実施形態]
第1の実施形態は、本開示の第1の態様に係る表示装置に関する。
【0035】
図1Aおよび図1Bは、第1の実施形態に係る表示装置を説明するための模式図である。図1Aは、表示装置を正面から眺めたときの模式的な平面図を示す。図1Bは、図1においてA-Aで示す部分の模式的な断面図である。尚、図1Aにおいて、後述する第2基板200の一部を切り欠いて示した。
【0036】
表示装置1は、
マトリクス状に配置されている表示素子10から成る表示領域11を備えた第1基板100と、
透明材料から成る第2基板200と、
表示領域11の外側を囲むように配置されたシール部310と、
を有している。尚、表示素子10は実際には多数配置されるが、図示の都合上簡略化して表している。他の構成要素においても同様である。
【0037】
シール部310は、遮光性材料から成る芯材312とシール材料から成る被覆材311とから構成されている。第1基板100と第2基板200とは、シール部310の被覆材311の面が接面となる状態で封止されている。第1基板100と第2基板200との間には、例えば光学的なカップリングのための充填材320が配置されている。尚、第1基板100と第2基板200との間が中空であってもよい。
【0038】
第1基板100において第2基板200で覆われない部分には、外部から供給される映像信号などを入力するための電極CTが設けられている。
【0039】
先ず、表示装置1の構成について説明する。図2は、表示素子の基本的な構成を説明するための模式的な回路図である。尚、図示の都合上、1つの表示素子10、より具体的には、第m行第n列目の表示素子10についての結線関係を示した。
【0040】
表示装置1は、電源部21、走査部22およびデータドライバ23を備えている。表示素子10は、例えばガラスから成る支持体の上に形成されている。電源部21、走査部22およびデータドライバ23も同じ支持体の上に形成されている。即ち、表示装置1は、ドライバ回路一体型の表示装置である。尚、場合によっては、ドライバ回路が別体として構成されていてもよい。
【0041】
表示素子10は、電流駆動型の発光部ELP、及び、発光部ELPを駆動する回路を備えている。この駆動回路は、映像信号を書き込むための書込みトランジスタTRWと、発光部ELPに電流を流す駆動トランジスタTRDとを少なくとも含んでいる。これらは、pチャネル型トランジスタから構成されている。
【0042】
駆動回路は、更に、容量部CSを備えている。容量部CSは、駆動トランジスタTRDのソース領域に対するゲート電極の電圧(所謂ゲート・ソース間電圧)を保持するために用いられる。表示素子10の発光時において、駆動トランジスタTRDの一方のソース/ドレイン領域(図2において給電線PS1に接続されている側)はソース領域として働き、他方のソース/ドレイン領域はドレイン領域として働く。
【0043】
容量部CSを構成する一方の電極と他方の電極は、それぞれ、駆動トランジスタTRDの一方のソース/ドレイン領域とゲート電極に接続されている。駆動トランジスタTRDの他方のソース/ドレイン領域は、発光部ELPのアノード電極に接続されている。
【0044】
表示素子10は、有機エレクトロルミネッセンス素子から成る発光部ELPを有する。発光部ELPは、流れる電流値に応じて発光輝度が変化する電流駆動型の発光部であって、アノード電極、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、及び、カソード電極等から成る周知の構成や構造を有する。
【0045】
発光部ELPの他端(具体的には、カソード電極)は、共通給電線PS2に接続されている。共通給電線PS2には所定の電圧VCATH(例えば接地電位)が供給される。尚、発光部ELPの容量を符号CELで表す。発光部ELPの容量CELが小さいため駆動する上で支障を生ずるなどといった場合には、必要に応じて、発光部ELPに対して並列に接続される補助容量を設ければよい。
【0046】
書込みトランジスタTRWは、走査線SCLに接続されるゲート電極と、データ線DTLに接続される一方のソース/ドレイン領域と、駆動トランジスタTRDのゲート電極に接続される他方のソース/ドレイン領域とを有する。結果として、データ線DTLからの信号電圧は、書込みトランジスタTRWを介して容量部CSに書き込まれる。
【0047】
上述したように、容量部CSは、駆動トランジスタTRDの一方のソース/ドレイン領域とゲート電極との間に接続されている。駆動トランジスタTRDの一方のソース/ドレイン領域には電源部21から給電線PS1mを介して電源電圧VCCが印加される。データ線DTLからの映像信号電圧VSigが書込みトランジスタTRWを介して容量部CSに書き込まれると、容量部CSは(VCC-VSig)といった電圧を、駆動トランジスタTRDのゲート・ソース間電圧として保持する。駆動トランジスタTRDには、以下の式(1)で表すドレイン電流Idsが流れ、発光部ELPは電流値に応じた輝度で発光する。
【0048】
ds=k・μ・((VCC-VSig)-|Vth|)2 (1)
尚、
μ :実効的な移動度
L :チャネル長
W :チャネル幅
th:閾値電圧
ox:(ゲート絶縁層の比誘電率)×(真空の誘電率)/(ゲート絶縁層の厚さ)
k≡(1/2)・(W/L)・Cox
とする。
【0049】
ここで、第1基板100における発光部ELPやトランジスタなどの立体的な配置関係について説明する。図3は、第1基板における表示素子を含む部分の模式的な一部断面図である。
【0050】
表示素子10の駆動回路は、例えばガラス材料から成る支持体110の上に形成されている。支持体110の上には、ゲート電極122、ゲート電極122上を含む全面を覆うように形成されたゲート絶縁膜123、ゲート絶縁膜123上を含む全面に形成された半導体材料層124、半導体材料層124上を含む全面を覆うように形成された層間絶縁膜125、半導体材料層124に形成されたトランジスタのソース/ドレイン領域に接続されたソース/ドレイン電極126、ソース/ドレイン電極126上を含む全面を覆うように形成された平坦化膜127が形成されている。
【0051】
平坦化膜127の上には、表示素子10毎に、アノード電極131が形成されている。アノード電極131は、コンタクト128を通じてソース/ドレイン電極126に接続されている。隣接するアノード電極131の間には、表示素子を区画する隔壁部132が形成されている。
【0052】
有機層133は、アノード電極131上と隔壁部132上を含む全面に形成されている。有機層133の発光層は各画素10に亘って共通に形成されており、基本的には白色光を発光する。カソード電極134は、有機層133上を含む全面に形成されている。カソード電極134は、光透過性が良好で仕事関数が小さい材料、例えばインジウム亜鉛酸化物(IZO)から成る。アノード電極131と有機層133とカソード電極134とが積層された部分によって、図3に示す発光部ELPが構成される。
【0053】
保護膜141は、カソード電極134上を含む全面に形成されている。保護膜141は、有機層133への水分の侵入を防止するためのものであって、透水性の低い材料を用いて形成される。保護膜141上には、表示すべき色に応じたカラーフィルタが配置されている。即ち、カラーフィルタ142は、赤色表示画素10Rに対応したカラーフィルタ142R、青色表示画素10Bに対応したカラーフィルタ142B、緑色表示画素10Gに対応したカラーフィルタ142Gから形成されている。符号142BKは所謂ブラックマトリックスの部分を示す。カラーフィルタ142の上には更に保護膜143が形成されている。発光部ELPからの光は、カラーフィルタ142を介して出射し、カラー画像として観察される。
【0054】
以上、第1基板100における発光部ELPやトランジスタなどの立体的な配置関係について説明した。引き続き、第1基板と第2基板との封止状態について説明する。
【0055】
図4は、第1基板と第2基板との封止状態を説明するための模式的な一部断面図である。尚、図示の都合上、第1基板100における半導体材料層や発光部ELPなどの表示は省略した。後述する他の図面においても同様である。
【0056】
シール部310は、遮光性材料から成る芯材312とシール材料から成る被覆材311とから構成されている。芯材312は、黒色樹脂を用いた遮光性材料、より具体的には、黒色顔料、カーボンブラックおよびチタンブラックのうち少なくとも1つが混合された、熱硬化型または光硬化型のポリイミド樹脂から成る。
【0057】
芯材312を被覆する被覆材311は樹脂を用いたシール材料から構成されており、例えば、熱硬化型樹脂または光硬化型樹脂から成る。より具体的には、アクリル系樹脂およびウレタン樹脂またはこれらを混合した樹脂から成る構成とすることができる。尚、場合によっては、被覆材311は低融点ガラスを用いたシール材料から成る構成とすることもできる。
【0058】
表示装置1において、第1基板100と第2基板200とは、シール部310の被覆材311の面が接面TSとなる状態で封止されている。シール部310の遮光性は専ら芯材312によって確保される。従って、被覆材311は専ら透湿性が低く封止性が高いといった特性を優先して材料を選択することができる。また、接面TSを除いたシール部310の面のうち、表示装置1の外側を向く側面SFAirおよび内側を向く側面SFInの少なくとも一方、図に示す例では、双方が被覆材311で覆われている。
【0059】
このため、第1基板100と第2基板200の充分な密着性と内部に対する優れた低透湿性を確保したうえで、表示領域の周囲に充分な遮光性を持たせることができる。また、遮光のための枠も不要であるので、小型化に適しており、封止による透湿性が低く密着性に優れた構成の表示装置を得ることができる。
【0060】
次いで、表示装置1の封止工程の一例について説明する。
【0061】
図5ないし図11は、第1基板と第2基板との封止工程を説明するための模式図である。
【0062】
[工程-100](図5A図5Bおよび図6参照)
図3に示す第1基板100を準備し(図5A参照)、表示領域の外側を囲む環状に、
被覆材311Bを塗布する(図5Bおよび図6参照)。図6においては、図5Bに示す工程において塗布されるシール材料から成る被覆材311Bの平面形状を、ハッチングを付して示した。
【0063】
[工程-110](図7および図8参照)
次いで、被覆材311Bの上に芯材312を塗布する。この例では、芯材312は被覆材311Bよりも幅狭く塗布されている。図8においては、図7に示す工程において塗布される遮光性材料から成る芯材312の平面形状を、ハッチングを付して示した。
【0064】
[工程-120](図9および図10参照)
次いで、芯材312上を含む被覆材311Bの上に、被覆材311Tを塗布する。被覆材311Tを被覆材311Bと同じ幅で塗布することによって、側面SFAirおよび内側の側面SFInに対応する部分も被覆材311Tによって覆われる。図10においては、図9に示す工程において塗布されるシール材料から成る被覆材311Tの平面形状を、ハッチングを付して示した。
【0065】
以上の工程によって、芯材312と被覆材311B,311Tとから成るシール部310が形成される。
【0066】
[工程-130](図11参照)
次いで、充填材320を塗布した後(図11参照)、第2基板100を位置合わせして貼り合わせる。シール部310の硬化処理は、シール部310を構成する材料に応じて、熱硬化あるは光硬化といった処理を施すことで行うことができる。
【0067】
尚、上述した工程では芯材と被覆材をそれぞれ別個に塗布したが、一括して塗布することもできる。
【0068】
図12Aおよび図12Bは、遮光性材料から成る芯材とシール材料から成る被覆材を一括して塗布する際のノズル構造を説明するための模式図である。
【0069】
図12Aに示す同軸構造のノズル400は、同軸状に配置される内側ノズル402および外側ノズル401から構成されている。そして、内側ノズル402から芯材312を吐出し同時に外側ノズル401から被覆材311を吐出する。このノズル400を用いることによって、芯材312と被覆材311を一括して塗布することができる。
【0070】
図12Bに示す集合ノズル410は、複数本(図に示す例では7本)の小ノズルの集合体として形成されている。具体的には、中央のノズル412の周囲に6本のノズル411が配置された構成である。そして、中央のノズル412から芯材312を吐出し同時に周囲のノズル411から被覆材311を吐出する。このノズル410を用いることによっても、芯材312と被覆材311を一括して塗布することができる。
【0071】
図13は、遮光性材料から成る芯材とシール材料から成る被覆材を一括して塗布したときの、第1基板と第2基板との封止状態を説明するための模式的な一部断面図である。
【0072】
分割塗布の場合、図9に示すように、シール部310において第1基板100側の被覆材311の幅が広くなりやすい。一括塗布の場合、基本的には、図13に示すように、第1基板100と第2基板200側とで被覆材311は略同じ幅となる。本開示においては、いずれの構成であってもよい。
【0073】
尚、上述した図面において芯材312の断面は略矩形で示したが、これは便宜的な例示に過ぎない。実際には、塗布や接合に応じて、芯材312の断面は種々の形状を取り得る。図14は、より具体的な芯材の断面形状の一例を説明するための模式的な一部断面図である。
【0074】
上述した表示装置については、種々の変形が可能である。以下、各種の変形例について説明する。
【0075】
[各種の変形例]
【0076】
図15は、第1の変形例に係る第1基板と第2基板との封止状態を説明するための模式的な一部断面図である。図16は、第2の変形例に係る第1基板と第2基板との封止状態を説明するための模式的な一部断面図である。
【0077】
図15および図16に示す例では、接面を除いたシール部310の側面のうち、表示装置1の外側の側面SFAirおよび内側の側面SFInの一方が被覆材311で覆われている。このような構成であっても、シール部310によって透湿性を低く保持することができる。
【0078】
図17は、第3の変形例に係る第1基板と第2基板との封止状態を説明するための模式的な一部断面図である。
【0079】
この例において、第1基板100は、積層されたカラーフィルタ142から成り表示領域の外側を囲むように形成されている遮光部142BKを有している。遮光部142BKは、異なる2色のフィルタ(例えば、赤色フィルタと緑色フィルタ、緑色フィルタと青色フィルタ、あるいは赤色フィルタと青色フィルタ)が積層されて構成されている。
【0080】
そして、シール部310と重なる遮光部142BKのうちの一部は、シール部310に沿って溝状に遮光部が除去されている。符号GVは遮光部142BKが除去されている領域を示す。そして、溝状の領域GVは被覆材311によって埋め込まれている。
【0081】
一般に、カラーフィルタを構成する材料の透湿性は高い。従って、溝状の領域GVを設けずに第1基板100と第2基板200とをシールすると、表示装置1の外部からカラーフィルタを介して水蒸気などが内部に侵入しやすい。溝状に遮光部が除去されている領域GVが被覆材311によって埋め込まれている構成とすることによって、透湿性を低く保持することができる。
【0082】
図18は、第4の変形例に係る第1基板と第2基板との封止状態を説明するための模式的な一部断面図である。
【0083】
この例において、被覆材311はスペーサ311Aを含有したシール材料から成る。スペーサ311Aとして、例えばシリカ等の無機絶縁物からなる球体(マイクロビーズ)を用いた例を示す。スペーサを混入させることによって、シール材料の粘度や強度を調整することができ、また、シール部における被覆材311の厚さを略一定とすることができる。
【0084】
以上、本開示の実施形態について具体的に説明したが、本開示は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本開示の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。例えば、上述の実施形態において挙げた数値、構造、基板、原料、プロセスなどはあくまでも例に過ぎず、必要に応じて、これらと異なる数値、構造、基板、原料、プロセスなどを用いてもよい。
【0085】
[電子機器の説明、その他]
以上説明した本開示の表示装置は、電子機器に入力された映像信号、若しくは、電子機器内で生成した映像信号を、画像若しくは映像として表示するあらゆる分野の電子機器の表示部(表示装置)として用いることができる。一例として、例えば、テレビジョンセット、デジタルスチルカメラ、ノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話機等の携帯端末装置、ビデオカメラ、ヘッドマウントディスプレイ(頭部装着型ディスプレイ)等の表示部として用いることができる。
【0086】
本開示の表示装置は、封止された構成のモジュール形状のものをも含む。尚、表示モジュールには、外部から表示領域への信号等を入出力するための回路部やフレキシブルプリントサーキット(FPC)などが設けられていてもよい。以下に、本開示の表示装置を用いる電子機器の具体例として、デジタルスチルカメラ及びヘッドマウントディスプレイを例示する。但し、ここで例示する具体例は一例に過ぎず、これに限られるものではない。
【0087】
(具体例1)
図19は、レンズ交換式一眼レフレックスタイプのデジタルスチルカメラの外観図であり、図19Aにその正面図を示し、図19Bにその背面図を示す。レンズ交換式一眼レフレックスタイプのデジタルスチルカメラは、例えば、カメラ本体部(カメラボディ)511の正面右側に交換式の撮影レンズユニット(交換レンズ)512を有し、正面左側に撮影者が把持するためのグリップ部513を有している。
【0088】
そして、カメラ本体部511の背面略中央にはモニタ514が設けられている。モニタ514の上部には、ビューファインダ(接眼窓)515が設けられている。撮影者は、ビューファインダ515を覗くことによって、撮影レンズユニット512から導かれた被写体の光像を視認して構図決定を行うことが可能である。
【0089】
上記の構成のレンズ交換式一眼レフレックスタイプのデジタルスチルカメラにおいて、そのビューファインダ515として本開示の表示装置を用いることができる。すなわち、本例に係るレンズ交換式一眼レフレックスタイプのデジタルスチルカメラは、そのビューファインダ515として本開示の表示装置を用いることによって作製される。
【0090】
(具体例2)
図20は、ヘッドマウントディスプレイの外観図である。ヘッドマウントディスプレイは、例えば、眼鏡形の表示部611の両側に、使用者の頭部に装着するための耳掛け部612を有している。このヘッドマウントディスプレイにおいて、その表示部611として本開示の表示装置を用いることができる。すなわち、本例に係るヘッドマウントディスプレイは、その表示部611として本開示の表示装置を用いることによって作製される。
【0091】
(具体例3)
図21は、シースルーヘッドマウントディスプレイの外観図である。シースルーヘッドマウントディスプレイ711は、本体部712、アーム713および鏡筒714で構成される。
【0092】
本体部712は、アーム713および眼鏡700と接続される。具体的には、本体部712の長辺方向の端部はアーム713と結合され、本体部712の側面の一側は接続部材を介して眼鏡700と連結される。尚、本体部712は、直接的に人体の頭部に装着されてもよい。
【0093】
本体部712は、シースルーヘッドマウントディスプレイ711の動作を制御するための制御基板や、表示部を内蔵する。アーム713は、本体部712と鏡筒714とを接続させ、鏡筒714を支える。具体的には、アーム713は、本体部712の端部および鏡筒714の端部とそれぞれ結合され、鏡筒714を固定する。また、アーム713は、本体部712から鏡筒714に提供される画像に係るデータを通信するための信号線を内蔵する。
【0094】
鏡筒714は、本体部712からアーム713を経由して提供される画像光を、接眼レンズを通じて、シースルーヘッドマウントディスプレイ711を装着するユーザの目に向かって投射する。このシースルーヘッドマウントディスプレイ711において、本体部712の表示部に、本開示の表示装置を用いることができる。
【0095】
尚、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものでは無く、また他の効果があってもよい。
【0096】
尚、本開示の技術は以下のような構成も取ることができる。
【0097】
[A1]
マトリクス状に配置されている表示素子から成る表示領域を備えた第1基板と、
透明材料から成る第2基板と、
表示領域の外側を囲むように配置されたシール部と、
を有しており、
シール部は、遮光性材料から成る芯材とシール材料から成る被覆材とから構成されており、
第1基板と第2基板とは、シール部の被覆材の面が接面となる状態で封止されている、
表示装置。
[A2]
接面を除いたシール部の面のうち、表示装置の外側を向く側面および内側を向く側面の少なくとも一方は被覆材で覆われている、
上記[A1]に記載の表示装置。
[A3]
シール部の面のうち、表示装置の外側を向く側面および内側を向く側面の双方は被覆材で覆われている、
上記[A2]に記載の表示装置。
[A4]
第1基板および第2基板の少なくとも一方は、積層されたカラーフィルタから成り表示領域の外側を囲むように形成されている遮光部を有しており、
シール部と重なる遮光部のうちの一部は、シール部に沿って溝状に遮光部が除去されている、
上記[A1]ないし[A3]のいずれかに記載の表示装置。
[A5]
溝状に遮光部が除去されている領域は被覆材によって埋め込まれている、
上記[A4]に記載の表示装置。
[A6]
被覆材は樹脂を用いたシール材料から成る、
上記[A1]ないし[A5]のいずれかに記載の表示装置。
[A7]
被覆材は熱硬化型樹脂または光硬化型樹脂から成る、
上記[A6]に記載の表示装置。
[A8]
被覆材はアクリル系樹脂およびウレタン樹脂またはこれらを混合した樹脂から成る、
上記[A7]に記載の表示装置。
[A9]
被覆材は低融点ガラスを用いたシール材料から成る、
上記[A1]ないし[A5]のいずれかに記載の表示装置。
[A10]
被覆材はスペーサを含有したシール材料から成る、
上記[A1]ないし[A9]のいずれかに記載の表示装置。
[A11]
芯材は黒色樹脂を用いた遮光性材料から成る、
上記[A1]ないし[A10]のいずれかに記載の表示装置。
[A12]
芯材は、黒色顔料、カーボンブラックおよびチタンブラックのうち少なくとも1つが混合された、熱硬化型または光硬化型のポリイミド樹脂から成る、
上記[A11]に記載の表示装置。
[A13]
表示素子は有機エレクトロルミネッセンス素子から成る発光部を有する、
上記[A1]ないし[A12]のいずれかに記載の表示装置。
【0098】
[B1]
マトリクス状に配置されている表示素子から成る表示領域を備えた第1基板と、
透明材料から成る第2基板と、
表示領域の外側を囲むように配置されたシール部と、
を有しており、
シール部は、遮光性材料から成る芯材とシール材料から成る被覆材とから構成されており、
第1基板と第2基板とは、シール部の被覆材の面が接面となる状態で封止されている、
表示装置を備えた電子機器。
[B2]
接面を除いたシール部の面のうち、表示装置の外側を向く側面および内側を向く側面の少なくとも一方は被覆材で覆われている、
上記[B1]に記載の表示装置。
[B3]
接面を除いたシール部の面のうち、表示装置の外側を向く側面および内側を向く側面の双方は被覆材で覆われている、
上記[B2]に記載の電子機器。
[B4]
第1基板および第2基板の少なくとも一方は、積層されたカラーフィルタから成り表示領域の外側を囲むように形成されている遮光部を有しており、
シール部と重なる遮光部のうちの一部は、シール部に沿って溝状に遮光部が除去されている、
上記[B1]ないし[B3]のいずれかに記載の電子機器。
[B5]
溝状に遮光部が除去されている領域は被覆材によって埋め込まれている、
上記[B4]に記載の電子機器。
[B6]
被覆材は樹脂を用いたシール材料から成る、
上記[B1]ないし[B5]のいずれかに記載の電子機器。
[B7]
被覆材は熱硬化型樹脂または光硬化型樹脂から成る、
上記[B6]に記載の電子機器。
[B8]
被覆材はアクリル系樹脂およびウレタン樹脂またはこれらを混合した樹脂から成る、
上記[B7]に記載の電子機器。
[B9]
被覆材は低融点ガラスを用いたシール材料から成る、
上記[B1]ないし[B5]のいずれかに記載の電子機器。
[B10]
被覆材はスペーサを含有したシール材料から成る、
上記[B1]ないし[B9]のいずれかに記載の電子機器。
[B11]
芯材は黒色樹脂を用いた遮光性材料から成る、
上記[B1]ないし[B10]のいずれかに記載の電子機器。
[B12]
芯材は、黒色顔料、カーボンブラックおよびチタンブラックのうち少なくとも1つが混合された、熱硬化型または光硬化型のポリイミド樹脂から成る、
上記[B11]に記載の電子機器。
[B13]
表示素子は有機エレクトロルミネッセンス素子から成る発光部を有する、
上記[B1]ないし[B12]のいずれかに記載の電子機器。
【符号の説明】
【0099】
1・・・表示装置、10・・・表示素子、11・・・表示領域、21・・・電源部、22・・・走査部、23・・・データドライバ、100・・・第1基板、110・・・支持体、122・・・ゲート電極、123・・・ゲート絶縁膜、124・・・半導体材料層、125・・・層間絶縁膜、126・・・ソース/ドレイン電極、127・・・平坦化膜、131・・・アノード電極、132・・・隔壁部、133・・・有機層、134・・・カソード電極、141・・・保護膜、142・・・カラーフィルタ、143・・・保護膜、200・・・第2基板、310・・・シール部、311,311B,311T・・・被覆材、311A・・・スペーサ、312・・・芯材、400・・・同軸構造のノズル、401・・・外側ノズル、402・・・内側ノズル、410・・・集合ノズル、411・・・外側ノズル、412・・・内側ノズル、511・・・カメラ本体部、512・・・撮影レンズユニット、513・・・グリップ部、514・・・モニタ、515・・・ビューファインダ、611・・・眼鏡形の表示部、612・・・耳掛け部、700・・・眼鏡、711・・・シースルーヘッドマウントディスプレイ、712・・・本体部、713・・・アーム、714・・・鏡筒、SCL・・・走査線、DTL・・・データ線、PS1・・・第1給電線、PS2・・・共通給電線、TRWS・・・書き込みトランジスタ、TRD・・・駆動トランジスタ、CS・・・容量部、ELP・・・発光部、CEL・・・発光部ELPの容量、SFAir・・・表示装置の外側に向かうシール部の側面、SFIn・・・表示装置の内側に向かうシール部の側面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21