(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/12 20120101AFI20241001BHJP
【FI】
G06Q50/12
(21)【出願番号】P 2021570023
(86)(22)【出願日】2020-12-25
(86)【国際出願番号】 JP2020048731
(87)【国際公開番号】W WO2021140961
(87)【国際公開日】2021-07-15
【審査請求日】2023-11-09
(31)【優先権主張番号】P 2020002565
(32)【優先日】2020-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121131
【氏名又は名称】西川 孝
(74)【代理人】
【氏名又は名称】稲本 義雄
(74)【代理人】
【識別番号】100168686
【氏名又は名称】三浦 勇介
(72)【発明者】
【氏名】梨子田 辰志
(72)【発明者】
【氏名】シュプランガー ミカエル シェグフリード
(72)【発明者】
【氏名】藤田 雅博
【審査官】大野 朋也
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-212414(JP,A)
【文献】田中 真,追加食材と参考レシピの推薦によるオリジナル料理レシピ創出支援システム,第5回データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム (第11回日本データベース学会年次大会) [online],日本,電子情報通信学会データ工学研究専門委員会 日本データベース学会,2013年05月31日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理に用いられる
食材の組み合わせの相性を示す食材相性情報
としての値が閾値以上の食材の組み合わせを選択し、
選択した食材の組み合わせの風味情報を、各食材の風味をセンサにより計測して得られたセンサ情報と各食材の風味に関する人の主観評価を表す風味主観情報と
を用いた演算によって特定する演算部と、
選択した食材の組み合わせの相性の程度と前記風味情報を含む相性の状態を
、それぞれの食材に対応するアイコンの表示状態により提示する提示部
と
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記提示部は、レシピに記述された
食材の風味、または、
食材の組み合わせの風味と連動して、
食材の組み合わせの相性の状態を提示する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記提示部は、レシピに記述されていない新たな
食材の組み合わせの相性の状態を提示する
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記提示部は、調理中のユーザの動作と連動して、
食材の組み合わせの相性の状態を提示する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記提示部は、調理中のユーザが認識していない新たな
食材の組み合わせの相性の状態を提示する
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記提示部は、第1の食材を表す第1のアイコンと、前記第1の食材との組み合わせの相性
を示す前記食材相性情報の値が閾値以上であるとの条件を満たす第2の食材を表す第2のアイコンとを表示画面に並べて表示させる
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記提示部は、前記第1のアイコンを基準として、複数の前記第2のアイコンを前記第1のアイコンの周辺に表示させる
請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記提示部は、前記第1の食材と前記第2の食材の組み合わせの相性が前記条件を満たす場合、前記第1の食材と前記第2の食材の組み合わせの相性を識別可能な状態で、前記第1のアイコンと前記第2のアイコンが融合する様子を前記表示画面に表示させる
請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記提示部は、前記第1の食材と前記第2の食材の組み合わせの相性が前記条件を満たす場合、前記第1の食材と前記第2の食材の組み合わせの風味を識別可能な状態で、前記第1のアイコンと前記第2のアイコンが融合する様子を前記表示画面に表示させる
請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記提示部は、前記第1の食材と前記第2の食材の組み合わせの相性に応じて、前記第1のアイコンと前記第2のアイコンのうちの少なくともいずれかを移動させる
請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記
演算部は、
食材の化学構造を表す化学構造情報を
さらに用いた演算によって前記風味情報を特定する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記センサ情報は、調理工程において、
食材の風味を風味測定器によって測定して得られた情報である
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記風味主観情報は、
食材を食べた人の風味の主観的な評価値を表す情報である
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項14】
提示された
食材の組み合わせの中からユーザにより選択された
食材の組み合わせを用いた新たなレシピを生成するレシピ生成部をさらに備える
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項15】
前記レシピ生成部により生成された前記新たなレシピを表すレシピデータに基づいて、前記新たなレシピに記述されるそれぞれの工程に応じた調理動作を調理ロボットに実行させる命令コマンドを生成するコマンド生成部をさらに備える
請求項14に記載の情報処理装置。
【請求項16】
情報処理装置が、
調理に用いられる
食材の組み合わせの相性を示す食材相性情報
としての値が閾値以上の食材の組み合わせを選択し、
選択した食材の組み合わせの風味情報を、各食材の風味をセンサにより計測して得られたセンサ情報と各食材の風味に関する人の主観評価を表す風味主観情報と
を用いた演算によって特定し、
選択した食材の組み合わせの相性の程度と前記風味情報を含む相性の状態を
、それぞれの食材に対応するアイコンの表示状態により提示する
情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、特に、食材の組み合わせの相性を適切に提示することができるようにした情報処理装置、情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、食べ物や飲み物の風味をセンサによって解析し、組み合わせたときの相性を科学的に判断する技術が注目されている。
【0003】
特許文献1には、料理の下準備によって作成される中間食材に対応する画像を、下準備に含まれる工程を示す情報と対応付けて提案する技術が開示されている。
【0004】
特許文献2には、症状と栄養素の組み合わせごとの栄養素の有効度の情報と、食材と栄養素の組み合わせごとの栄養素の含有量の情報とを用意し、ユーザにより入力された症状に応じた食材を、栄養素の有効度と含有量に基づいて提案する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-20912号公報
【文献】国際公開第2017/085777号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した技術においては、食材の情報を単に提示しているに過ぎず、調理人に対して、調理中の動作に連動させて食材の情報を提示する方法については開示されていない。
【0007】
仮に、調理人により選択された食材を基準として、新たな食材の組み合わせを調理人の動作に連動させて提示することができるとすれば便利である。
【0008】
本技術はこのような状況に鑑みてなされたものであり、食材の組み合わせの相性を適切に提示することができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本技術の一側面の情報処理装置は、調理に用いられる食材の組み合わせの相性を示す食材相性情報としての値が閾値以上の食材の組み合わせを選択し、選択した食材の組み合わせの風味情報を、各食材の風味をセンサにより計測して得られたセンサ情報と各食材の風味に関する人の主観評価を表す風味主観情報とを用いた演算によって特定する演算部と、選択した食材の組み合わせの相性の程度と前記風味情報を含む相性の状態を、それぞれの食材に対応するアイコンの表示状態により提示する提示部を備える。
【0010】
本技術の一側面においては、調理に用いられる食材の組み合わせの相性を示す食材相性情報としての値が閾値以上の食材の組み合わせが選択され、選択された食材の組み合わせの風味情報が、各食材の風味をセンサにより計測して得られたセンサ情報と各食材の風味に関する人の主観評価を表す風味主観情報とを用いた演算によって特定される。また、選択された食材の組み合わせの相性の程度と前記風味情報を含む相性の状態が、それぞれの食材に対応するアイコンの表示状態により提示される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本技術の一実施形態に係る調理シミュレーション装置を示す図である。
【
図2】シミュレーション結果の提示の例を示す図である。
【
図3】シミュレーション結果の提示の他の例を示す図である。
【
図8】アイコンの融合の様子を拡大して示す図である。
【
図9】シミュレーション結果の提示の例を示す図である。
【
図12】シミュレーションに用いられる情報の例を示す図である。
【
図13】風味主観情報DBに格納される情報の例を示す図である。
【
図14】センシング情報DBに格納される情報の例を示す図である。
【
図15】化学構造情報DBに格納される情報の例を示す図である。
【
図16】調理シミュレーション装置のハードウェアの構成例を示すブロック図である。
【
図17】調理シミュレーション装置の機能構成例を示すブロック図である。
【
図18】調理シミュレーション処理について説明するフローチャートである。
【
図19】シミュレーション結果の提示の例を示す図である。
【
図22】調理シミュレーション装置の構成例を示すブロック図である。
【
図23】NEWレシピデータの生成の流れの例を示す図である。
【
図24】レシピデータを用いた制御システムの構成例を示す図である。
【
図25】レシピデータの記述内容の例を示す図である。
【
図26】レシピデータに基づく料理の再現の流れの例を示す図である。
【
図29】調理アームの様子を拡大して示す図である。
【
図31】調理アームの各部の可動域の例を示す図である。
【
図32】調理アームとコントローラの接続の例を示す図である。
【
図33】調理ロボットの構成例を示すブロック図である。
【
図34】データ処理装置の機能構成例を示すブロック図である。
【
図35】調理シミュレーション装置の機能構成例を示すブロック図である。
【
図36】調理シミュレーション装置のNEWレシピデータ生成処理について説明するフローチャートである。
【
図37】データ処理装置の制御処理について説明するフローチャートである。
【
図39】情報処理システムの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<<本技術の概要>>
本技術は、食材同士の組み合わせの相性の状態のシミュレーションを行い、調理工程における調理人の動作に連動する形で、シミュレーション結果を提示するものである。
【0013】
調理人は、シミュレーション結果を参考にして、新たな料理のレシピを考えることが可能となる。すなわち、本技術は、新たな料理のレシピを考えることをサポートするツールとして調理人により用いられる。
【0014】
以下、本技術を実施するための形態について説明する。説明は以下の順序で行う。
1.レシピを考えているシェフに対するシミュレーション結果の提示
2.シミュレーション結果を用いたNEWレシピデータの生成
3.変形例
【0015】
<<1.レシピを考えているシェフに対するシミュレーション結果の提示>>
<調理シミュレータ>
図1は、本技術の一実施形態に係る調理シミュレーション装置を示す図である。
【0016】
図1の例においては、大型のディスプレイを有する調理シミュレーション装置1が、ユーザとなるシェフ(調理人)の近くの壁に設置されている。
【0017】
調理シミュレーション装置1は、例えば厨房にいるシェフが、新しい料理を作るために、様々な食材を試したり、様々な調理法を試したり、味見をしたりしてレシピを考えているときに用いられる情報処理装置である。調理シミュレーション装置1は、食材の組み合わせの相性の状態のシミュレーションを行い、シミュレーション結果を提示する機能を有する。
【0018】
食材の組み合わせの相性の状態には、複数の食材を組み合わせたときの相性の良さの程度と、複数の食材を組み合わせたときの風味とが含まれる。相性の良さは、食材の組み合わせの風味(複数の食材を組み合わせて得られた食材の風味)によって決定される。
【0019】
提示には、画面表示を用いて視覚的に提供することと、音声を用いて聴覚的に提供することのうちの少なくともいずれかが含まれる。
【0020】
なお、料理は、調理を経て出来上がる成果物のことを意味する。調理は、料理を作る過程や、料理を作る行為(作業)のことを意味する。
【0021】
図1の例においては、調理シミュレーション装置1が薄型TV状の筐体を有する装置とされているが、タブレット端末やスマートフォンなどの携帯型の装置、ウェアラブル型の装置などの、他の形態の筐体を有する装置であってもよい。
【0022】
図2は、シミュレーション結果の提示の例を示す図である。
【0023】
図2の上段に示す状況は、料理に使う食材として様々な食材の中からにんじんを選び、にんじんに合う食材をシェフが考えている状況である。シェフは、にんじんと、にんじんと相性の良い食材を使った料理のレシピを考えている。
【0024】
例えば、吹き出し#1に示すようにシェフが「にんじんに合う食材を教えて」と発話した場合、矢印A1の先に示すように、調理シミュレーション装置1により、にんじんと他の食材を組み合わせたときの相性の状態のシミュレーションが行われる。調理シミュレーション装置1のディスプレイには、シミュレーション結果を表す画面が表示される。
【0025】
シェフは、調理シミュレーション装置1により提示されたシミュレーション結果を見ることにより、例えば吹き出し#2に示すようにサーモンがにんじんに合うことに気付くことができる。このような気づきに基づいて、矢印A2の先に示すように、シェフは、にんじんとサーモンを使った新しいレシピを作り出すことになる。
【0026】
このように、調理シミュレーション装置1は、シェフが自身の創造性を発揮してレシピを考えるときに、レシピを考えることのサポートをするツールとして用いられる。シェフは、調理シミュレーション装置1により提示されたシミュレーション結果を参考にして新しいレシピを考えることができる。
【0027】
シミュレーションを要求する操作を音声で行うことができるため、シェフは、調理中に手を使って作業をしながら、シミュレーションを行わせてシミュレーション結果を確認し、レシピを考えることができる。すなわち、発話を行うといったシェフの動作と連動して、シミュレーション結果の提示が行われる。シミュレーションを要求する操作を、タッチパネルに対する操作などの、手を使った操作により行うことができるようにしてもよい。
【0028】
シェフは、基準となる食材を次々と変えてシミュレーションを行わせることにより、様々な食材の組み合わせを確認することができる。
図2のシミュレーションにおいては、基準となる食材は、にんじんである。
【0029】
通常、新しいレシピの考案は、様々な食材を組み合わせて調理を実際に行い、味見によって風味が想像通りのものであるかどうかを判断するなどして進められる。食材の組み合わせの相性の状態が提示されるため、シェフは、調理を実際に行う前に、相性の良さの程度と風味を確認してから調理を進めることができる。無駄になる食材を減らすことができるため、相性の良さの程度と風味を確認してから調理を進めることは、いわゆるフードロスの問題に対する取り組みにもなる。
【0030】
シミュレーション結果を見て選んだ食材を使って調理を実際に行った結果、風味が良くなかった場合、シェフは、例えば「違う組み合わせを教えて」などの発話を行うことにより、風味の状態のシミュレーションを再度行わせることができる。新しいレシピの考案は、シェフと調理シミュレーション装置1の間でインタラクションが行われることによって進められる。
【0031】
図3は、シミュレーション結果の提示の他の例を示す図である。
【0032】
調理シミュレーション装置1によるシミュレーションは、音声による要求に応じて行われるだけでなく、調理中のシェフの動作の認識結果にも応じて行われる。シェフの動作は、調理を行っているシェフに向けて設置されたカメラにより撮影された画像を解析することによって認識される。調理シミュレーション装置1には、シェフの動作を認識する機能が搭載されている。
【0033】
例えば、
図3の上段に示すように、にんじんを手に持って、にんじんに合う食材を考えているシェフの動作が認識された場合、矢印の先に示すように、にんじんと他の食材の組み合わせの相性の状態のシミュレーションが行われ、その結果が提示される。
【0034】
このようなシェフの動作をトリガとしたシミュレーションは、シェフが調理を行っている間、繰り返し行われる。例えば、シェフがにんじんに続けて他の食材を使って調理を行おうとしていることが認識された場合、基準となる食材を変更して相性の状態のシミュレーションが行われる。
【0035】
通常、調理は複数の食材を使って進められるため、シェフの音声による明示的な要求がなくても、シェフの動作に連動して、シミュレーション結果が変化することになる。
【0036】
<GUIの例>
図4は、シミュレーション画面の例を示す図である。
【0037】
シミュレーション画面は、食材を表す球体が散らばっている仮想空間をある視点から見たときの状態を表示する画面として構成される。1つの球体は1つの食材に対応する。食材には、野菜や果物などの植物性の食材、肉や魚などの動物性の食材の他に、加工済みの食材、調味料、水や酒などの飲料も含まれる。
【0038】
シミュレーション画面の略中央には、他の食材との組み合わせの基準となる基準食材を表す基準食材アイコンP1が配置される。
図1の例においては、基準食材アイコンP1は「Pinot Noir」を表すアイコンとされている。基準食材アイコンP1は、Pinot Noirの画像上に「Pinot Noir」の文字が配置されることによって構成される。
【0039】
図4に示すシミュレーション画面は、音声によるシェフの要求に応じて、または、シェフの動作の認識結果に基づいて、Pinot Noirが基準食材として選択された場合に表示される画面である。Pinot Noirが基準食材として選択された場合、離れた位置にある基準食材アイコンP1が近づき、シミュレーション画面の略中央に配置される様子が表示される。
【0040】
基準食材アイコンP1が配置されたとき、
図5に示すように、適正食材を表すアイコンである適正食材アイコンが、基準食材アイコンP1を中心にして環状に並べて配置される。適正食材は、基準食材と組み合わせたときの相性が所定の条件を満たすことから、相性が良いとされている食材である。
【0041】
それぞれの適正食材アイコンは、離れた位置から基準食材アイコンP1の周辺に集まるようにして表示され、その後、基準食材アイコンP1の周りを緩やかに移動する。
図5の例においては、10種類の適正食材を表す適正食材アイコンP11-1乃至P11-10が、Pinot Noirとの組み合わせの相性がよい食材のアイコンとして表示されている。
【0042】
後述するように、調理シミュレーション装置1には、それぞれの食材の組み合わせの相性を表す情報である食材相性情報のデータベース(DB)が用意されている。適正食材の選択は、調理シミュレーション装置1に用意されているDBに格納されている食材相性情報に基づいて行われる。
【0043】
適正食材アイコンP11-1乃至P11-10が基準食材アイコンP1の周辺に配置された後、
図6に示すように、食材同士の相性に応じて各アイコンが移動する。基準食材アイコンと複数の適正食材アイコンのうちの少なくともいずれかが、それぞれの食材同士の相性に応じて移動する。
【0044】
例えば、アイコンの移動は、相性が良い食材同士が近づき、相性が悪い食材同士が離れるようにして行われる。2つのアイコンがぶつかったとき、2つのアイコンが連結し、1つのアイコンとして融合する様子が表示される。
【0045】
図6の例においては、適正食材アイコンP11-1と適正食材アイコンP11-10、適正食材アイコンP11-3と適正食材アイコンP11-4、および、適正食材アイコンP11-8と適正食材アイコンP11-9が、それぞれ、一部融合した状態で表示されている。例えば適正食材アイコンP11-1は「iberian ham」を表すアイコンであり、適正食材アイコンP11-10は「Blackberry」を表すアイコンである。
【0046】
アイコンが融合して表示されていることは、融合したアイコンにより表される食材を組み合わせたときの相性がよいことを表す。すなわち、アイコンの移動とアイコンの形状の変化により、組み合わせの相性が良いことが視覚的に識別可能な状態で提示される。
【0047】
反対に、組み合わせたときの相性が良くない食材を表すアイコン同士は、離れるように移動する。アイコンの移動により、組み合わせの相性が良くないことも視覚的に識別可能な状態で提示される。
【0048】
図7は、
図6の画面に続けて表示されるシミュレーション画面の例を示す図である。
【0049】
図7の例においては、各アイコンの融合が進み、例えば適正食材アイコンP11-1と適正食材アイコンP11-10に加えて、さらに基準食材アイコンP1が一部融合した状態で表示されている。このような表示は、例えば、iberian hamとBlackberryを組み合わせることによって得られた食材と、基準食材であるPinot Noirとの相性が良い場合に行われる。
【0050】
食材の相性は上述したように風味によって決まるから、複数の食材を組み合わせることによって得られた組み合わせ食材の風味によっては、それまでに表示されていた食材の中から、組み合わせ食材との相性が良くなる食材も出てくるし、悪くなる食材も出てくる。すなわち、アイコンの融合が生じた場合、それまでに表示されているアイコンの中には、融合したアイコンに近づくアイコンもあるし、離れるアイコンもあることになる。
【0051】
このように、シミュレーション画面においては、それぞれの食材の組み合わせの相性の状態が動的に変化して表示される。
【0052】
図7の表示から、シェフは、基準食材として選択したPinot Noirに対しては、iberian hamとBlackberryを組み合わせて用いればよいことを確認することができる。
【0053】
図8は、アイコンの融合の様子を拡大して示す図である。
【0054】
図8の上段に一部が融合した状態で示すアイコンは、Nori(海苔)を表すアイコンP21-1とチョコレートを表すアイコンP21-2である。アイコンP21-1は海苔の画像により構成され、アイコンP21-2はチョコレートの画像により構成される。
【0055】
海苔とチョコレートの組み合わせの相性の状態がよい場合、シミュレーション画面には、アイコンP21-1とアイコンP21-2が融合する様子が表示される。
【0056】
アイコンP21-1とアイコンP21-2の融合が進んだとき、
図8の下段に示すように、海苔とチョコレートの組み合わせ食材が1つのアイコンP22として表示される。アイコンP22は、海苔の画像とチョコレートの画像を合成した合成画像により構成される。
【0057】
このように、アイコンの融合が進むことにより、最終的には、複数の食材を組み合わせることによって得られる組み合わせ食材が1つのアイコンによって表される。
【0058】
アイコンP22を構成する合成画像は、海苔とチョコレートの組み合わせの風味を表す。例えば、海苔とチョコレートの組み合わせ食材には、海苔の風味とチョコレートの風味が含まれる。アイコンP22を構成する合成画像は、海苔の画像とチョコレートの画像をそれぞれの風味の強さに応じた比率でブレンドすることによって生成される。例えば、組み合わせ食材の風味においてチョコレートの風味が海苔の風味より強い場合、チョコレートの画像の要素がより多く残る合成画像によって、アイコンP22が構成される。
【0059】
組み合わせ食材のアイコンが合成画像によって構成されることにより、複数の食材の組み合わせの風味が視覚的に識別可能な状態で提示される。シェフは、組み合わせ食材の風味を、アイコンを構成する合成画像の表示から確認することができる。
【0060】
複数の食材を組み合わせた場合、それぞれの食材の風味の他に、新たな風味が生じることがある。その場合、アイコンの表示は、新たに生じた風味を表現するように変化する。例えば、アイコンの色、アイコンの形状などにより、新たに生じた風味が表現される。
【0061】
ある食材のアイコンが融合した場合において、組み合わせ食材との相性が悪い食材があるとき、その相性が悪い食材のアイコンが、シミュレーション画面から消えるようにしてもよい。
【0062】
また、一度融合したアイコンが分離して表示されるようにしてもよい。アイコンの分離は、例えば、アイコンが融合した複数の食材の中に、離れた位置にあるアイコンの食材との相性の方が、融合した食材との相性より良い食材が含まれている場合に生じる。
【0063】
このように動的に変化するシミュレーション画面が表示されることにより、シェフは、組み合わせたときの相性がよい食材を確認することができるとともに、組み合わせたときの風味を確認することができる。
【0064】
相性の良さが風味によって決定されるから、食材の風味、または食材の組み合わせの風味に連動して、食材の組み合わせの相性の状態が提示される。基準食材と適正食材は、シェフが用意しているレシピに記述されている食材であってもよいし、レシピに記述されていない新たな食材であってもよい。レシピには、調理ロボットの制御に用いられる後述するレシピデータも含まれる。
【0065】
また、シミュレーション結果に基づいて、調理を行っているシェフが認識していない組み合わせの相性の状態が提示されるようにしてもよい。この場合、調理シミュレーション装置1には、シェフのレシピのデータが用意される。調理シミュレーション装置1に用意されたレシピに記述されていない食材の組み合わせが、例えばシェフが認識していない組み合わせであるとして選択される。
【0066】
これにより、シェフは、自分が知らない組み合わせの相性の状態を確認することができる。
【0067】
<調理結果の提示>
食材の組み合わせの相性の状態だけでなく、調理シミュレーション装置1においては、調理を行ったときの食材の状態のシミュレーションが行われ、シミュレーション結果が提示される。
【0068】
図9は、シミュレーション結果の提示の例を示す図である。
【0069】
図9の上段に示すように、じゃがいもを鍋に入れたシェフの動作が調理シミュレーション装置1により認識された場合、矢印の先に示すように、じゃがいもを鍋で煮込んだときの食材の状態のシミュレーションが行われ、その結果が提示される。
【0070】
シェフは、調理シミュレーション装置1により提示されたシミュレーション結果を見ることにより、じゃがいもをどのくらいの時間煮ればいいのか、どのくらいの火加減で煮ればいいのかなどを確認することができる。この場合、調理シミュレーション装置1には、各食材を様々な方法で調理した場合の食材の変化を表す情報が用意されている。
【0071】
通常、1つの料理は複数の調理工程を経て完成することになるため、シェフの動作に連動して、シミュレーション結果が動的に変化することになる。
【0072】
このように、食材の組み合わせの相性の状態以外の、調理に関する各種のシミュレーションが調理シミュレーション装置1において行われるようにすることが可能である。例えば、
図9の状態において、食材の状態ではなく、調理を行うことによって得られる食材の風味のシミュレーションが行われ、シミュレーション結果が提示されるようにしてもよい。
【0073】
<食材相性情報について>
図10は、食材相性情報DBの例を示す図である。
【0074】
食材相性情報DB11は、食材相性情報のDBである。食材相性情報DB11が例えば調理シミュレーション装置1に用意される。
【0075】
食材相性情報DB11には、それぞれの食材の、他の食材との相性を表す情報である食材相性情報が格納される。
図10の吹き出しに示すように、例えば、食材Aの食材相性情報には、食材Aと食材Bの組み合わせの相性を表す情報、食材Aと食材Cの組み合わせの相性を表す情報、・・・が含まれる。食材Bと食材Cの食材相性情報についても同様に、それぞれ、他の食材との組み合わせの相性を表す情報が含まれる。
【0076】
食材同士の相性は例えば数値で表される。この場合、食材相性情報の数値が高いほど、組み合わせたときの相性が良い食材となり、数値が低いほど、組み合わせたときの相性が良くない食材となる。
【0077】
ある食材が基準食材として選択された場合、例えば、食材相性情報の数値が閾値以上の食材が適正食材として選択され、上述したような提示が行われる。適正食材となる食材相性情報の条件が予め設定されており、条件を満たす食材が、適正食材として選択されることになる。
【0078】
食材同士の相性を表す数値は、例えば、人の経験によって、または、組み合わせ食材を人が実際に食べて、その相性を評価することによって設定される。
【0079】
後述するように、風味や化学構造などの食材の特性を表す情報が用意されている場合、食材の特性を表す情報に基づいて、食材同士の相性を表す数値が求められ、設定されるようにしてもよい。この場合、それぞれの食材の特性を表す情報を解析することにより、または、それぞれの食材の特性を表す情報に基づく演算を行うことにより、食材同士の相性を表す数値が求められる。
【0080】
様々な料理のレシピが用意されている場合、レシピに基づいて食材の相性が求められるようにしてもよい。各レシピには、使用する食材が記述される。例えば、組み合わせて用いられる頻度が高い食材は、組み合わせたときの相性が良い食材として設定される。
【0081】
このように、他の基準に基づいて食材の相性が決定されるようにしてもよい。
【0082】
また、ある食材と他の食材を組み合わせることによって得られた組み合わせ食材と、それぞれの食材との相性を表す情報が、食材相性情報として食材相性情報DB11に格納されるようにしてもよい。
【0083】
ある食材を様々な方法で調理して得られた調理後の食材と、それぞれの食材との相性を表す情報が、食材相性情報として食材相性情報DB11に格納されるようにしてもよい。
【0084】
食材の相性は、国籍、地域、文化などによって異なる場合がある。食材相性情報DB11が、国籍、地域、文化などの、食材の属性の違い毎に用意されるようにしてもよい。
【0085】
チョコレート毎、純米酒毎、果実酒毎といったように、食材相性情報DB11が食材のカテゴリ毎に用意されるようにしてもよい。
【0086】
【0087】
人が脳で感じるおいしさ、すなわち「風味」は、
図11に示すように、主に、人の味覚によって得られる味、人の嗅覚によって得られる香り、人の触覚によって得られる質感を組み合わせて構成される。
【0088】
食材の組み合わせの相性は、食材を組み合わせたときの味、食材を組み合わせたときの香り、および、食材を組み合わせたときの質感によって決まることになる。味、香り、質感のうちの少なくともいずれかにより、食材の組み合わせの相性が決まるようにしてもよい。
【0089】
図12は、シミュレーションに用いられる情報の例を示す図である。
【0090】
食材の組み合わせの相性の状態のシミュレーションには、食材相性情報の他に、風味主観情報DB21に格納されている風味主観情報、センシング情報DB22に格納されているセンシング情報、化学構造情報DB23に格納されている化学構造情報が用いられる。
【0091】
食材の組み合わせの相性の状態には食材の相性の良さの程度と食材を組み合わせたときの風味が含まれるから、食材相性情報は、主に、食材の相性の良さの程度の特定に用いられる。また、風味主観情報、センシング情報、化学構造情報は、主に、食材を組み合わせたときの風味の特定に用いられる。
【0092】
食材を組み合わせたときの風味の特定が、風味主観情報とセンシング情報に基づいて行われる場合、調理シミュレーション装置1による食材の組み合わせの相性の状態の提示は、風味主観情報と、センシング情報と、食材相性情報とを用いて行われることになる。
【0093】
また、食材を組み合わせたときの風味の特定が、風味主観情報、センシング情報、化学構造情報に基づいて行われる場合、調理シミュレーション装置1による食材の組み合わせの相性の状態の提示は、風味主観情報、センシング情報、化学構造情報、および食材相性情報を用いて行われることになる。
【0094】
食材相性情報DB11、風味主観情報DB21、センシング情報DB22、および化学構造情報DB23の4種類のDBが調理シミュレーション装置1に用意されるようにしてもよいし、インターネット上のサーバに用意されるようにしてもよい。4種類のDBが、調理シミュレーション装置1とインターネット上のサーバに分散して用意されるようにしてもよい。
【0095】
図13は、風味主観情報DB21に格納される情報の例を示す図である。
【0096】
風味主観情報DB21は、各食材の風味に関する主観評価のデータベースである。例えば、それぞれの食材を多数の人に食べてもらい、風味の主観的な評価値を所定の尺度で表現した情報が風味主観情報として風味主観情報DB21に格納される。
【0097】
例えば、食材Aと食材Bの風味主観情報は、下式(1)のように、風味主観評価空間Eにおけるベクトル表現(e次元)で表される。
【数1】
【0098】
他の食材についても同様に、主観評価の各項目を要素とするベクトルによって風味主観情報が表される。例えばEAiは、食材Aの主観評価に含まれる、インデックスiの項目の評価値に応じた係数である。
【0099】
図14は、センシング情報DB22に格納される情報の例を示す図である。
【0100】
センシング情報DB22は、各食材の風味のセンシング結果のデータベースである。例えば、調理工程において、それぞれの食材の風味を風味測定器によって測定し、測定結果として得られたセンシング情報(センサ情報)がセンシング情報DB22に格納される。
【0101】
風味は味、香り、質感によって表されるから、各食材の風味は、味測定器、香り測定器、質感測定器などを用いて測定される。なお、質感には、食材の弾力、粘性、温度などが含まれる。
【0102】
食材Aと食材Bのセンシング情報は、下式(2)のように、センシング情報空間Sにおけるベクトル表現(s次元)で表される。
【数2】
【0103】
他の食材についても同様に、各項目を要素とするベクトルによってセンシング情報が表される。例えばSAiは、食材Aのセンシング情報に含まれる、インデックスiの項目のセンサ値に応じた係数である。
【0104】
図15は、化学構造情報DB23に格納される情報の例を示す図である。
【0105】
化学構造情報DB23は、各食材の化学構造のデータベースである。例えば、それぞれの食材の化学構造を、クロマトグラフィーの原理を利用した分離分析器によって測定し、測定結果として得られた化学構造情報が化学構造情報DB23に格納される。
【0106】
食材Aと食材Bの化学構造情報は、下式(3)のように、分子記述子を用いることによって、化学構造空間Chにおけるベクトル表現(c次元)で表される。
【数3】
【0107】
他の食材についても同様に、化学構造の表現に用いられる各化学物質を要素とするベクトルによって化学構造情報が表される。例えばNAiは、食材Aに含まれる、インデックスiの化学物質の量に応じた係数である。食材Aと食材Bにはそれぞれにのみ存在する化学物質があるが、その化学物質の係数は0となる。
【0108】
構造記述子、カウント記述子などの、他の記述手法を用いて各食材の化学構造が表現されるようにしてもよい。化学構造だけでなく、性質、反応などの、他の化学的な特徴を表す情報が化学構造情報DB23に用意されるようにしてもよい。
【0109】
<調理シミュレーション装置の構成例>
図16は、調理シミュレーション装置1のハードウェアの構成例を示すブロック図である。
【0110】
図16に示すように、調理シミュレーション装置1はコンピュータにより構成される。CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103は、バス104により相互に接続される。
【0111】
CPU101が、例えば記憶部111に記憶されているプログラムを入出力インタフェース105およびバス104を介してRAM103にロードして実行することにより、調理に関するシミュレーションなどの各種の処理が行われる。
【0112】
バス104には、入出力インタフェース105が接続される。入出力インタフェース105には、マイクロフォン106、カメラ107、操作部108、ディスプレイ109、スピーカ110、記憶部111、通信部112、およびドライブ113が接続される。
【0113】
マイクロフォン106は、シェフの音声を検出し、音声データをCPU101に出力する。
【0114】
カメラ107は、シェフの動作を含む、調理シミュレーション装置1の周囲の状況を撮影する。カメラ107により撮影された画像データはCPU101に供給される。
【0115】
操作部108は、ディスプレイ109に重ねて設けられたタッチパネル、調理シミュレーション装置1の筐体に設けられたボタンなどにより構成される。操作部108は、シェフの操作を検出し、操作の内容を表す情報をCPU101に出力する。調理シミュレーション装置1の操作が、音声ではなく、タッチパネルやボタンを用いて行われるようにしてもよい。
【0116】
ディスプレイ109は、LCD、有機ELディスプレイなどにより構成される。ディスプレイ109は、CPU101による制御に従ってシミュレーション画面を表示する。
【0117】
スピーカ110は、CPU101による制御に従って合成音声を出力する。シミュレーション結果の提示が、スピーカ110が出力する音声によって行われるようにしてもよい。
【0118】
記憶部111は、ハードディスクや不揮発性のメモリなどにより構成される。記憶部111は、CPU101が実行するプログラムなどの各種の情報を記憶する。食材相性情報DB11、風味主観情報DB21、センシング情報DB22、化学構造情報DB23が記憶部111に構築されるようにしてもよい。
【0119】
通信部112は、ネットワークインタフェースなどより構成される。通信部112は、インターネット上のサーバとの間で通信を行う。通信部112は、サーバから送信されてきた情報を受信してCPU101に出力し、CPU101から供給された情報をサーバに対して送信する。
【0120】
ドライブ113は、リムーバブルメディア114を駆動し、リムーバブルメディア114からのデータの読み出しと、リムーバブルメディア114に対するデータの書き込みを行う。
【0121】
図17は、調理シミュレーション装置1の機能構成例を示すブロック図である。
【0122】
図17に示すように、調理シミュレーション装置1においては、シミュレーション対象認識部131、シミュレーション演算部132、および提示部133が実現される。
図17に示す機能部のうちの少なくとも一部は、
図16のCPU101により所定のプログラムが実行されることによって実現される。
【0123】
シミュレーション対象認識部131は、マイクロフォン106から供給された音声データ、または、カメラ107から供給された画像データを解析し、シミュレーションの対象を認識する。
【0124】
例えば、シミュレーション対象認識部131は、「にんじんに合う食材を教えて」などの発話がシェフにより行われたことを音声データの解析結果に基づいて特定した場合、にんじんを基準食材として、食材の組み合わせの相性の状態のシミュレーションを行うことを認識する。
【0125】
にんじんに合う食材をシェフが考えていることを画像データの解析結果に基づいて特定した場合も同様に、シミュレーション対象認識部131は、にんじんを基準食材として、食材の組み合わせの相性の状態のシミュレーションを行うことを認識する。
【0126】
シミュレーション対象認識部131は、シェフがじゃがいもを鍋に入れたことを画像データの解析結果に基づいて特定した場合、食材の状態の変化のシミュレーションを行うことを認識する。
【0127】
シミュレーション対象認識部131は、認識したシミュレーション対象を表す情報をシミュレーション演算部132に出力する。
【0128】
シミュレーション演算部132は、シミュレーション対象認識部131により認識された対象のシミュレーションを行う。
【0129】
シミュレーション演算部132は、にんじんを基準食材として他の食材との組み合わせの相性の状態のシミュレーションを行う場合、適正食材を食材相性情報に基づいて選択する。
【0130】
例えば、にんじんとの相性を表す食材相性情報の数値が閾値以上となっている食材が適正食材として選択される。シミュレーション演算部132は、基準食材アイコンとそれぞれの適正食材アイコンの移動を食材相性情報に基づいて特定する。
【0131】
また、シミュレーション演算部132は、基準食材であるにんじんとそれぞれの適正食材とを組み合わせたときの風味と、適正食材同士を組み合わせたときの風味のシミュレーションを行う。
【0132】
食材の組み合わせの風味のシミュレーションは、センシング情報と風味主観情報に基づいて行われる。例えば、シミュレーション演算部132は、組み合わせの対象となる食材のセンシング情報と風味主観情報に基づいてベクトル演算などの所定の演算を行い、それらの食材を組み合わせたときの風味を特定する。
【0133】
センシング情報と風味主観情報の両方を用いるのではなく、センシング情報、風味主観情報、および化学構造情報のうちの少なくともいずれかを用いて風味のシミュレーションが行われるようにすることが可能である。
【0134】
また、シミュレーション演算部132は、食材の状態の変化のシミュレーションを行う場合、図示せぬDBに格納されている情報に基づいて、風味の変化のシミュレーションを行う。調理シミュレーション装置1には、シミュレーション演算部132がアクセス可能なDBとして、各食材を様々な方法で調理した場合の風味の変化を表す情報のDBが用意されている。
【0135】
シミュレーション演算部132は、シミュレーション結果を表す情報を提示部133に出力する。
【0136】
提示部133は、ディスプレイ109を制御し、シミュレーション演算部132によるシミュレーション結果に基づいてシミュレーション画面を表示させる。
【0137】
また、提示部133は、シミュレーション結果を合成音声によって提示する場合、シミュレーション演算部132によるシミュレーション結果に基づいて、シミュレーション結果を表す音声をスピーカ110から出力させる。
【0138】
<調理シミュレーション装置の動作>
図18のフローチャートを参照して、調理シミュレーション装置1の調理シミュレーション処理について説明する。
【0139】
ステップS1において、マイクロフォン106は、シェフの音声を検出する。
【0140】
ステップS2において、カメラ107は、シェフの動作を含む、調理シミュレーション装置1の周囲の状況を撮影する。
【0141】
ステップS3において、シミュレーション対象認識部131は、マイクロフォン106から供給された音声データ、または、カメラ107から供給された画像データを解析し、シミュレーションの対象を認識する。
【0142】
ステップS4において、シミュレーション演算部132は、シミュレーション対象認識部131により認識された対象のシミュレーションを行う。
【0143】
ステップS5において、提示部133は、ディスプレイ109を制御し、シミュレーション結果をシェフに提示する。
【0144】
その後、ステップS1に戻り、以上の処理が繰り返される。
図18の処理は、例えば調理が行われている間、繰り返し行われる。
【0145】
以上の処理により、調理シミュレーション装置1は、新しいレシピを考えているシェフに対して、それぞれの食材の組み合わせの相性と、それぞれの食材を組み合わせたときの風味を動的に提示することができる。すなわち、調理シミュレーション装置1は、食材の組み合わせの相性を適切に提示することができる。
【0146】
シェフは、食材の組み合わせの相性の状態を参考にして、新たなレシピを作り出すことができる。
【0147】
<食材相性情報を動的に生成する例>
食材相性情報が食材相性情報DB11に格納された状態で調理シミュレーション装置1に用意されているものとしたが、新しいレシピを考えながらシェフが調理を行っている最中に食材相性情報が生成されるようにしてもよい。
【0148】
この場合、調理中に生成された食材相性情報に基づいて、食材の組み合わせの相性の状態のシミュレーションが行われ、シミュレーション結果が調理中に提示される。シェフの動作に応じて食材相性情報が動的に生成され、生成された食材相性情報に基づいてシミュレーションが行われることになる。
【0149】
図19は、シミュレーション結果の提示の例を示す図である。
【0150】
図19の上段に示す状況は、シェフが調理を行いながら、レシピを考えている状況である。シェフの周りには、調理中の食材の風味を検出するための風味測定器が設けられる。風味測定器により、シェフが調理を行っている食材の風味を構成するデータが調理中に測定される。
【0151】
風味測定器による測定結果を表すデータは調理シミュレーション装置1に対して送信される。測定結果を表すデータとして、味の測定結果を表す味データ、香りの測定結果を表す香りデータ、食感の測定結果を表す食感データが送信される。
【0152】
調理シミュレーション装置1においては、風味測定器から送信されてきたデータに基づいてセンシング情報が生成される。上述したように、センシング情報は食材の風味を表す情報である。
【0153】
また、調理シミュレーション装置1においては、センシング情報に基づいて、食材相性情報が生成される。ここで生成される食材相性情報は、調理中の食材と他の食材との風味の相性を表す情報である。
【0154】
食材の相性は、ベクトル演算などの所定の演算をセンシング情報に基づいて行うことによって求められる。例えば、調理中の食材のセンシング情報と、センシング情報DB22に格納されている食材のセンシング情報に基づく演算結果が、調理中の食材と他の食材を組み合わせたときの相性を表す食材相性情報として生成される。
【0155】
食材相性情報が生成された後、調理中の食材を基準食材とした、食材の組み合わせの相性の状態のシミュレーションが行われ、矢印の先に示すようにシミュレーション結果が提示される。
【0156】
調理シミュレーション装置1により提示されたシミュレーション結果を確認したシェフは、調理中の食材に合う食材を確認し、新たなレシピを考えることができる。
【0157】
【0158】
シェフが調理を行うキッチンの周りには、風味測定器を構成する各種の機器が設けられる。それらの機器の中には、シェフの体に取り付けられるものもある。
【0159】
キッチンの周りに設けられた機器は、それぞれ、有線または無線の通信を介して調理シミュレーション装置1に接続される。キッチンの周りに設けられたそれぞれの機器が、ネットワークを介して調理シミュレーション装置1に接続されるようにしてもよい。
【0160】
図20に示すように、シェフの上半身には、香りセンサ141が取り付けられる。香りセンサ141は、調理中の食材の香りを計測し、香りデータを調理シミュレーション装置1に送信する。
【0161】
キッチンの天板上には味覚センサ142が設けられる。味覚センサ142は、食材の味を計測し、味データを調理シミュレーション装置1に送信する。
【0162】
味覚センサ142は、
図21に示すように、ケーブルの先に設けられたセンサ部142Aを、調理中の食材に接触させることによって用いられる。味覚センサ142が人工脂質膜型味覚センサである場合、脂質膜がセンサ部142Aに設けられる。
【0163】
味データだけでなく、質感データが味覚センサ142により計測され、調理シミュレーション装置1に対して送信されるようにしてもよい。この場合、味覚センサ142には、質感センサとしての機能が設けられる。例えば、ポリマー含有量、水分含有量、油分含有量などの質感データが味覚センサ142により計測される。
【0164】
このように、香りセンサ141、味覚センサ142が例えば風味測定器として用意される。キッチンの周りには、
図20に示す機器以外の各種の機器も適宜用意される。
【0165】
図22は、調理シミュレーション装置1の構成例を示すブロック図である。
【0166】
図22に示す構成のうち、上述した構成と同じ構成には同じ符号を付してある。重複する説明については適宜省略する。
図22に示す構成が、
図16、
図17を参照して説明した構成に加えて設けられる。
【0167】
調理シミュレーション装置1においては、CPU101(
図16)により所定のプログラムが実行されることにより、センシング情報生成部161、風味主観情報生成部162、および食材相性情報生成部163が実現される。センシング情報生成部161に対しては、香りセンサ141、味覚センサ142、および質感センサ143から出力されたデータが入力される。
【0168】
質感センサ143は、硬度センサ、応力センサ、水分量センサ、温度センサなどの、質感の解析に用いられる各種のデータを出力するセンサにより構成される。硬度センサ、応力センサ、水分量センサ、温度センサが、包丁、フライパン、オーブンなどの調理ツールに設けられるようにしてもよい。
【0169】
センシング情報生成部161は、香りセンサ141から送信されてきた香りデータ、味覚センサ142から送信されてきた味データ、味覚センサ142や質感センサ143から送信されてきた質感データに基づいて、調理中の食材の風味を表すセンシング情報を生成する。センシング情報生成部161により生成されたセンシング情報は、風味主観情報生成部162と食材相性情報生成部163に供給される。
【0170】
風味主観情報生成部162は、センシング情報生成部161から供給されたセンシング情報に基づいて風味主観情報を生成する。風味主観情報生成部162には、センシング情報を風味主観情報に変換するときに用いられる情報が予め用意されている。風味主観情報生成部162による風味主観情報の生成は、センシング情報を風味主観情報に変換することによって行われる。
【0171】
センシング情報を入力とし、風味主観情報を出力とするニューラルネットワークなどの推論モデルが予め学習され、風味主観情報生成部162に用意されるようにしてもよい。この場合、風味主観情報生成部162は、センシング情報生成部161から供給されたセンシング情報を推論モデルに入力し、その出力を風味主観情報として生成する。風味主観情報生成部162により生成された風味主観情報は、食材相性情報生成部163に供給される。
【0172】
味見が行われたタイミングなどにシェフにより入力された風味の主観評価に基づいて風味主観情報が生成されるようにしてもよい。この場合、シェフは、調理中の食材の味見を行い、自分が感じた風味を入力することになる。
【0173】
調理中のシェフの体に生体センサが取り付けられ、味見を行ったときに生体センサにより測定された生体反応に基づいて風味主観情報が生成されるようにしてもよい。
【0174】
食材相性情報生成部163は、センシング情報生成部161から供給された調理中の食材のセンシング情報と、センシング情報DB22に格納されているそれぞれの食材のセンシング情報とに基づいて、調理中の食材と他の食材との相性を表す食材相性情報を生成する。食材相性情報は、ベクトル演算などの所定の演算をセンシング情報に基づいて行うことによって生成される。
【0175】
また、食材相性情報生成部163は、風味主観情報生成部162から供給された調理中の食材の風味主観情報と、風味主観情報DB21に格納されているそれぞれの食材の風味主観情報とに基づいて、調理中の食材と他の食材との相性を表す食材相性情報を生成する。食材相性情報は、ベクトル演算などの所定の演算を風味主観情報に基づいて行うことによって生成される。
【0176】
食材相性情報生成部163による食材相性情報の生成が、風味主観情報とセンシング情報を組み合わせて用いることによって行われるようにしてもよい。食材相性情報は、風味主観情報とセンシング情報のうちの少なくともいずれかを用いて生成される。
【0177】
風味主観情報、センシング情報、および化学構造情報を組み合わせて用いることによって、食材相性情報が生成されるようにしてもよい。食材相性情報は、風味主観情報、センシング情報、化学構造情報のうちの少なくともいずれかを用いて生成される。
【0178】
食材相性情報生成部163により生成された食材相性情報は、基準食材の食材相性情報としてシミュレーション演算部132(
図17)に供給され、食材の組み合わせの相性の状態のシミュレーションに用いられる。
【0179】
調理中の食材の風味主観情報とセンシング情報に基づいて食材相性情報の生成が行われる場合、調理シミュレーション装置1による食材の組み合わせの相性の状態の提示は、風味主観情報と、センシング情報と、食材相性情報とを用いて行われることになる。
【0180】
調理工程におけるシェフの動作に応じて、風味主観情報とセンシング情報が変化する。風味主観情報とセンシング情報が変化することにより、シミュレーション結果も動的に変化することになる。
【0181】
シェフは、動的に変化するシミュレーション結果を見ながら食材の組み合わせなどを考え、新たなレシピを作り出すことができる。
【0182】
<<2.シミュレーション結果を用いたNEWレシピデータの生成>>
調理シミュレーション装置1によるシミュレーション結果の提示を受けたシェフによる指示に応じて、調理ロボットの制御に用いられるレシピのデータであるレシピデータが生成されるようにしてもよい。
【0183】
<NEWレシピデータの生成>
図23は、NEWレシピデータの生成の流れの例を示す図である。
【0184】
矢印A1に示すように、ある料理のレシピデータが調理シミュレーション装置1に対して入力される。調理シミュレーション装置1においては、入力されたレシピデータをオリジナルのレシピデータとして、オリジナルのレシピデータの内容を更新するようにして新たなレシピデータ(NEWレシピデータ)の生成が行われる。
【0185】
レシピデータは、料理毎に用意されるデータである。レシピデータには、料理の完成に至るまでの、それぞれの調理工程で用いる食材が記述される。
【0186】
調理シミュレーション装置1においては、調理工程で用いるものとしてレシピデータに記述されている食材の中からいずれかの食材が基準食材として選択される。レシピデータに記述されている食材がシェフに対して提示され、基準食材とする食材がシェフにより選択されるようにしてもよい。
【0187】
基準食材が選択されたとき、矢印A2の先に示すように、基準食材と他の食材の組み合わせの相性の状態のシミュレーションが行われ、シミュレーション結果が提示される。適正食材として、例えば、レシピデータに記述されていない食材、すなわち、オリジナルのレシピデータにおいては調理工程で用いることが予定されていない食材が選択される。
【0188】
シェフは、調理シミュレーション装置1により提示されたシミュレーション結果を見ることにより、基準食材に合う食材として、レシピデータに記述されていない食材を確認することができる。
【0189】
「サーモンを使って」などの発話をシェフが行うことにより、適正食材の中から所定の食材が選択された場合、矢印A3の先に示すように、シェフにより選択された食材を調理工程において使うように、レシピデータの内容が更新される。内容が更新されたレシピデータは、矢印A4に示すように、NEWレシピデータとして、例えばレシピデータを管理するサーバに送信される。
【0190】
シェフは、シミュレーション結果を見ながら食材の組み合わせなどを考え、新たに考え出した内容を反映させた新たなレシピデータを生成することができる。
【0191】
<制御システムの構成>
図24は、レシピデータを用いた制御システムの構成例を示す図である。
【0192】
制御システムは、データ処理装置301と調理ロボット302から構成される。調理ロボット302は、調理アームなどの駆動系の装置、および、各種のセンサを有し、調理を行う機能を搭載したロボットである。調理ロボット302は、レストランなどの店舗や家庭内に設置される。
【0193】
データ処理装置301は、調理ロボット302を制御する装置である。データ処理装置301はコンピュータなどにより構成される。
【0194】
図24の左端に示すように、データ処理装置301による調理ロボット302の制御はレシピデータに基づいて行われる。調理シミュレーション装置1により新たに生成されたNEWレシピデータがデータ処理装置301により取得された場合、調理ロボット302の制御がNEWレシピデータに基づいて行われる。以下において、レシピデータには、サーバなどにおいて管理されているオリジナルのレシピデータ、および、調理シミュレーション装置1により生成されたNEWレシピデータが含まれる。
【0195】
例えば、矢印A1に示すようにレシピデータが入力された場合、データ処理装置301は、矢印A2に示すように、レシピデータの記述に基づいて命令コマンドを出力することによって、調理ロボット302の調理動作を制御する。
【0196】
調理ロボット302は、データ処理装置301から供給された命令コマンドに従って調理アームなどの各部を駆動し、各調理工程の調理動作を行う。命令コマンドには、調理アームに設けられたモータのトルク、駆動方向、駆動量を制御する情報などが含まれる。
【0197】
料理が完成するまでの間、データ処理装置301から調理ロボット302に対して命令コマンドが順次出力される。命令コマンドに応じた動作を調理ロボット302がとることにより、最終的に、料理が完成することになる。
【0198】
図25は、レシピデータの記述内容の例を示す図である。
【0199】
図25に示すように、1つのレシピデータは、複数の調理工程データセットから構成される。
図25の例においては、調理工程#1に関する調理工程データセット、調理工程#2に関する調理工程データセット、・・・、調理工程#Nに関する調理工程データセットが含まれる。
【0200】
各調理工程データセットには、調理工程を実現するための調理動作に関する情報である調理動作情報が含まれる。例えば、1つの調理工程を実現するための調理動作情報の時系列データにより1つの調理工程データセットが構成される。
【0201】
調理動作情報には、食材情報と動作情報が含まれる。
【0202】
食材情報は、調理工程において用いる食材に関する情報である。食材に関する情報には、食材の種類、食材の量、食材の大きさなどを表す情報が含まれる。
【0203】
なお、食材には、調理が全く施されていない食材だけでなく、ある調理が施されることによって得られた調理済み(下処理済み)の食材も含まれる。ある調理工程の調理動作情報に含まれる食材情報には、それより前の調理工程を経た食材の情報が含まれる。
【0204】
動作情報は、調理工程における調理アームなどの動きに関する情報である。動きに関する情報には、調理に用いる調理ツールの種類を表す情報などが含まれる。
【0205】
例えば、ある食材を切る調理工程の動作情報には、調理ツールとして包丁を使うことを表す情報、切る位置、切る回数、切り方の力加減、角度、スピードなどを表す情報が含まれる。
【0206】
また、食材としての液体が入った鍋をかき混ぜる調理工程の動作情報には、調理ツールとしておたまを使うことを表す情報、かき混ぜ方の力加減、角度、スピード、時間などを表す情報が含まれる。
【0207】
ある食材を、オーブンを使って焼く調理工程の動作情報には、調理ツールとしてオーブンを使うことを表す情報、オーブンの火力、焼き時間などを表す情報が含まれる。
【0208】
盛り付けを行う調理工程の動作情報には、盛り付けに使う食器、食材の配置の仕方、食材の色味などを表す盛り付け方の情報が含まれる。
【0209】
図26は、レシピデータに基づく料理の再現の流れの例を示す図である。
【0210】
図26に示すように、調理ロボット302による料理の再現は、レシピデータに記述された調理工程データセットに含まれる各時刻の調理動作情報に基づいて調理を行うことを、調理工程毎に繰り返すことによって行われる。調理工程#1~#Nの複数の調理工程を経て1つの料理が完成する。
【0211】
図27は、データ処理装置301の配置例を示す図である。
【0212】
図27のAに示すように、データ処理装置301は、例えば調理ロボット302の外部の装置として設けられる。
図27のAの例においては、データ処理装置301と調理ロボット302は、インターネットなどのネットワークを介して接続されている。
【0213】
データ処理装置301から送信された命令コマンドは、ネットワークを介して調理ロボット302により受信される。調理ロボット302からデータ処理装置301に対しては、調理ロボット302のカメラにより撮影された画像、調理ロボット302に設けられたセンサにより計測されたセンサデータなどの各種のデータがネットワークを介して送信される。
【0214】
図27のBに示すように、データ処理装置301が調理ロボット302の筐体の内部に設けられるようにしてもよい。この場合、データ処理装置301が生成する命令コマンドに従って、調理ロボット302の各部の動作が制御される。
【0215】
以下、主に、データ処理装置301が、調理ロボット302の外部の装置として設けられるものとして説明する。
【0216】
<調理ロボットの外観>
図28は、調理ロボット302の外観を示す斜視図である。
【0217】
図28に示すように、調理ロボット302は、横長直方体状の筐体311を有するキッチン型のロボットである。調理ロボット302の本体となる筐体311の内部に各種の構成が設けられる。
【0218】
筐体311の背面側には調理補助システム312が設けられる。薄板状の部材で区切ることによって調理補助システム312に形成された各スペースは、冷蔵庫、オーブンレンジ、収納などの、調理アーム321-1乃至321-4による調理を補助するための機能を有する。
【0219】
天板311Aには長手方向にレールが設けられており、そのレールに調理アーム321-1乃至321-4が設けられる。調理アーム321-1乃至321-4は、移動機構としてのレールに沿って位置を変えることが可能とされる。
【0220】
調理アーム321-1乃至321-4は、円筒状の部材を関節部で接続することによって構成されるロボットアームである。調理に関する各種の作業が調理アーム321-1乃至321-4により行われる。
【0221】
天板311Aの上方の空間が、調理アーム321-1乃至321-4が調理を行う調理空間となる。
【0222】
図28においては4本の調理アームが示されているが、調理アームの数は4本に限定されるものではない。以下、適宜、調理アーム321-1乃至321-4のそれぞれを区別する必要がない場合、まとめて調理アーム321という。
【0223】
図29は、調理アーム321の様子を拡大して示す図である。
【0224】
図29に示すように、調理アーム321の先端には、各種の調理機能を有するアタッチメントが取り付けられる。調理アーム321用のアタッチメントとして、食材や食器などを掴むマニピュレーター機能(ハンド機能)を有するアタッチメント、食材をカットするナイフ機能を有するアタッチメントなどの各種のアタッチメントが用意される。
【0225】
図29の例においては、ナイフ機能を有するアタッチメントであるナイフアタッチメント331-1が調理アーム321-1に取り付けられている。ナイフアタッチメント331-1を用いて、天板311Aの上に置かれた肉の塊がカットされている。
【0226】
調理アーム321-2には、食材を固定させたり、食材を回転させたりすることに用いられるアタッチメントであるスピンドルアタッチメント331-2が取り付けられている。
【0227】
調理アーム321-3には、食材の皮をむくピーラーの機能を有するアタッチメントであるピーラーアタッチメント331-3が取り付けられている。
【0228】
スピンドルアタッチメント331-2を用いて調理アーム321-2により持ち上げられているジャガイモの皮が、ピーラーアタッチメント331-3を用いて調理アーム321-3によりむかれている。このように、複数の調理アーム321が連携して1つの作業を行うことも可能とされる。
【0229】
調理アーム321-4には、マニピュレーター機能を有するアタッチメントであるマニピュレーターアタッチメント331-4が取り付けられている。マニピュレーターアタッチメント331-4を用いて、チキンを載せたフライパンが、オーブン機能を有する調理補助システム312のスペースに運ばれている。
【0230】
このような調理アーム321による調理は、作業の内容に応じてアタッチメントを適宜取り替えて進められる。4本の調理アーム321のそれぞれにマニピュレーターアタッチメント331-4を取り付けるといったように、同じアタッチメントを複数の調理アーム321に取り付けることも可能とされる。
【0231】
調理ロボット302による調理は、調理アーム用のツールとして用意された以上のようなアタッチメントを用いて行われるだけでなく、適宜、人が調理に使うツールと同じツールを用いて行われる。例えば、人が使うナイフをマニピュレーターアタッチメント331-4によって掴み、ナイフを用いて食材のカットなどの調理が行われる。
【0232】
<調理アームの構成>
図30は、調理アーム321の外観を示す図である。
【0233】
図30に示すように、調理アーム321は、全体的に、細い円筒状の部材を、関節部となるヒンジ部で接続することによって構成される。各ヒンジ部には、各部材を駆動させるための力を生じさせるモータなどが設けられる。
【0234】
円筒状の部材として、先端から順に、着脱部材351、中継部材353、およびベース部材355が設けられる。
【0235】
着脱部材351と中継部材353はヒンジ部352によって接続され、中継部材353とベース部材355はヒンジ部354によって接続される。
【0236】
着脱部材351の先端には、アタッチメントが着脱される着脱部351Aが設けられる。着脱部材351は、各種のアタッチメントが着脱される着脱部351Aを有し、アタッチメントを動作させることによって調理を行う調理機能アーム部として機能する。
【0237】
ベース部材355の後端には、レールに取り付けられる着脱部356が設けられる。ベース部材355は、調理アーム321の移動を実現する移動機能アーム部として機能する。
【0238】
図31は、調理アーム321の各部の可動域の例を示す図である。
【0239】
楕円#1で囲んで示すように、着脱部材351は、円形断面の中心軸を中心として回転可能とされる。楕円#1の中心に示す扁平の小円は、一点鎖線の回転軸の方向を示す。
【0240】
円#2で囲んで示すように、着脱部材351は、ヒンジ部352との嵌合部351Bを通る軸を中心として回転可能とされる。また、中継部材353は、ヒンジ部352との嵌合部353Aを通る軸を中心として回転可能とされる。
【0241】
円#2の内側に示す2つの小円はそれぞれの回転軸の方向(紙面垂直方向)を示す。嵌合部351Bを通る軸を中心とした着脱部材351の可動範囲と、嵌合部353Aを通る軸を中心とした中継部材353の可動範囲は、それぞれ例えば90度の範囲である。
【0242】
中継部材353は、先端側の部材353-1と、後端側の部材353-2により分離して構成される。楕円#3で囲んで示すように、中継部材353は、部材353-1と部材353-2との連結部353Bにおいて、円形断面の中心軸を中心として回転可能とされる。他の可動部も、基本的に同様の可動域を有する。
【0243】
このように、先端に着脱部351Aを有する着脱部材351、着脱部材351とベース部材355を連結する中継部材353、後端に着脱部356が接続されるベース部材355は、それぞれ、ヒンジ部により回転可能に接続される。各可動部の動きが、調理ロボット302内のコントローラにより命令コマンドに従って制御される。
【0244】
図32は、調理アームとコントローラの接続の例を示す図である。
【0245】
図32に示すように、調理アーム321とコントローラ361は、筐体311の内部に形成された空間311B内において配線を介して接続される。
図32の例においては、調理アーム321-1乃至321-4とコントローラ361は、それぞれ、配線362-1乃至362-4を介して接続されている。可撓性を有する配線362-1乃至362-4は、調理アーム321-1乃至321-4の位置に応じて適宜撓むことになる。
【0246】
<調理ロボット302の構成>
図33は、調理ロボット302の構成例を示すブロック図である。
【0247】
調理ロボット302は、調理ロボット302の動作を制御する制御装置としてのコントローラ361(
図32)に対して各部が接続されることによって構成される。
図33に示す構成のうち、上述した構成と同じ構成には同じ符号を付してある。重複する説明については適宜省略する。
【0248】
コントローラ361に対しては、調理アーム321の他に、カメラ401、センサ402、および通信部403が接続される。
【0249】
コントローラ361は、CPU,ROM,RAM、フラッシュメモリなどを有するコンピュータにより構成される。コントローラ361は、CPUにより所定のプログラムを実行し、調理ロボット302の全体の動作を制御する。コントローラ361によってデータ処理装置301が構成されるようにしてもよい。
【0250】
例えば、コントローラ361は、通信部403を制御し、カメラ401により撮影された画像とセンサ402により測定されたセンサデータをデータ処理装置301に送信する。
【0251】
コントローラ361においては、所定のプログラムが実行されることにより、命令コマンド取得部411、アーム制御部412が実現される。
【0252】
命令コマンド取得部411は、データ処理装置301から送信され、通信部403において受信された命令コマンドを取得する。命令コマンド取得部411により取得された命令コマンドはアーム制御部412に供給される。
【0253】
アーム制御部412は、命令コマンド取得部411により取得された命令コマンドに従って調理アーム321の動作を制御する。
【0254】
カメラ401は、調理ロボット302の周囲の様子を撮影し、撮影によって得られた画像をコントローラ361に出力する。カメラ401は、調理補助システム312の正面、調理アーム321の先端などの様々な位置に設けられる。
【0255】
センサ402は、温湿度センサ、圧力センサ、光センサ、距離センサ、人感センサ、測位センサ、振動センサなどの各種のセンサにより構成される。センサ402による測定は所定の周期で行われる。センサ402による測定結果を示すセンサデータはコントローラ361に供給される。
【0256】
カメラ401とセンサ402が、調理ロボット302の筐体311から離れた位置に設けられるようにしてもよい。
【0257】
通信部403は、無線LANモジュール、LTE(Long Term Evolution)に対応した携帯通信モジュールなどの無線通信モジュールである。通信部403は、データ処理装置301や、インターネット上のサーバなどの外部の装置との間で通信を行う。
【0258】
図33に示すように、調理アーム321にはモータ421とセンサ422が設けられる。
【0259】
モータ421は、調理アーム321の各関節部に設けられる。モータ421は、アーム制御部412による制御に従って軸周りの回転動作を行う。モータ421の回転量を測定するエンコーダ、モータ421の回転をエンコーダによる測定結果に基づいて適応的に制御するドライバなども各関節部に設けられる。
【0260】
センサ422は、例えばジャイロセンサ、加速度センサ、タッチセンサなどにより構成される。センサ422は、調理アーム321の動作中、各関節部の角速度、加速度などを測定し、測定結果を示す情報をコントローラ361に出力する。調理ロボット302からデータ処理装置301に対しては、適宜、センサ422の測定結果を示すセンサデータも送信される。
【0261】
<データ処理装置301の構成>
図34は、データ処理装置301の機能構成例を示すブロック図である。
【0262】
図34に示す機能部のうちの少なくとも一部は、データ処理装置301を構成するコンピュータのCPUにより所定のプログラムが実行されることによって実現される。データ処理装置301は、
図16を参照して説明した調理シミュレーション装置1の構成と基本的に同様の構成を有する。
【0263】
図34に示すように、データ処理装置301においてはコマンド生成部431が実現される。コマンド生成部431は、レシピデータ取得部451、ロボット状態推定部452、制御部453、およびコマンド出力部454から構成される。
【0264】
レシピデータ取得部451は、調理シミュレーション装置1などにおいて新たに生成されたレシピデータを取得し、制御部453に出力する。
【0265】
ロボット状態推定部452は、調理ロボット302から送信されてきた画像とセンサデータを受信する。調理ロボット302からは、調理ロボット302のカメラにより撮影された画像と、調理ロボット302の所定の位置に設けられたセンサにより測定されたセンサデータが所定の周期で送信されてくる。調理ロボット302のカメラにより撮影された画像には、調理ロボット302の周囲の様子が写っている。
【0266】
ロボット状態推定部452は、調理ロボット302から送信されてきた画像とセンサデータを解析することによって、調理アーム321の状態、食材の状態などの、調理ロボット302の周囲の状態や調理工程の状態を推定する。ロボット状態推定部452により推定された調理ロボット302の周囲の状態などを示す情報は、制御部453に供給される。
【0267】
制御部453は、レシピデータ取得部451から供給されたレシピデータに記述される調理工程データセットに基づいて、調理ロボット302を制御するための命令コマンドを生成する。例えば、調理工程データセットに含まれる調理動作情報により表される通りの動作を調理アーム321に行わせるための命令コマンドが生成される。
【0268】
命令コマンドの生成には、ロボット状態推定部452により推定された調理ロボット302の周囲の状態なども参照される。制御部453により生成された命令コマンドはコマンド出力部454に供給される。
【0269】
コマンド出力部454は、制御部453により生成された命令コマンドを調理ロボット302に送信する。
【0270】
<調理シミュレーション装置1の構成>
図35は、調理シミュレーション装置1の機能構成例を示すブロック図である。
【0271】
図35に示す構成のうち、上述した構成と同じ構成には同じ符号を付してある。重複する説明については適宜省略する。
図35に示すように、調理シミュレーション装置1においては、シミュレーション演算部132と提示部133に加えて、オリジナルレシピデータ取得部501とNEWレシピデータ生成部502が実現される。
【0272】
オリジナルレシピデータ取得部501は、例えば、レシピデータを管理するサーバとの間で通信を行い、NEWレシピデータの生成の元になるオリジナルのレシピデータを取得する。オリジナルレシピデータ取得部501により取得されたオリジナルのレシピデータはシミュレーション演算部132とNEWレシピデータ生成部502に供給される。
【0273】
シミュレーション演算部132は、オリジナルのレシピデータに記述されている食材の中から基準食材を選択し、他の食材との組み合わせの相性の状態のシミュレーションを行う。
【0274】
提示部133は、シミュレーション演算部132によるシミュレーション結果をシェフに提示する。
【0275】
NEWレシピデータ生成部502は、提示部133により提示されたシミュレーション結果を確認したシェフによる食材の選択を受け付ける。食材の選択は、音声を用いて、適正食材の中から所定の食材を選択するようにして行われる。NEWレシピデータ生成部502は、シェフにより選択された食材を調理工程において使うように、オリジナルのレシピデータの内容を更新し、NEWレシピデータを生成する。
【0276】
<調理シミュレーション装置1の動作>
図36のフローチャートを参照して、調理シミュレーション装置1のNEWレシピデータ生成処理について説明する。
図36の処理は、例えば、オリジナルのレシピデータがシェフにより選択されたときに開始される。
【0277】
ステップS101において、オリジナルレシピデータ取得部501は、レシピデータを管理するサーバとの間で通信を行い、オリジナルのレシピデータを取得する。
【0278】
ステップS102において、シミュレーション演算部132は、オリジナルのレシピデータの記述内容を解析し、調理工程で使うことが予定されている食材を検出する。
【0279】
ステップS103において、シミュレーション演算部132は、調理工程で使うことが予定されている食材の中から基準食材を選択し、他の食材との組み合わせの相性の状態のシミュレーションを行う。
【0280】
ステップS104において、提示部133は、シミュレーション演算部132によるシミュレーション結果をシェフに提示する。
【0281】
ステップS105において、NEWレシピデータ生成部502は、提示部133により提示されたシミュレーション結果を確認したシェフによる食材の選択を受け付ける。
【0282】
ステップS106において、NEWレシピデータ生成部502は、シェフにより選択された食材を調理工程において使うように、オリジナルのレシピデータの内容を更新し、NEWレシピデータを生成する。
【0283】
<データ処理装置301の動作>
図37のフローチャートを参照して、調理ロボット302の動作を制御するデータ処理装置301の処理について説明する。
【0284】
図37に示す処理においては、調理シミュレーション装置1により生成されたNEWレシピデータが取得され、NEWレシピデータの記述に従って、調理ロボット302の制御が行われる。
【0285】
ステップS111において、レシピデータ取得部451(
図34)は、調理シミュレーション装置1により生成されたNEWレシピデータを、レシピデータを管理するサーバなどを介して取得する。
【0286】
ステップS112において、制御部453は、レシピデータに記述される調理工程データセットに基づいて、所定の調理動作を選択し、選択した調理動作を行わせるための命令コマンドを生成する。例えば、調理工程データセットが調理工程の順に選択されるとともに、選択された調理工程に含まれる調理動作が実行順に選択される。
【0287】
ステップS113において、コマンド出力部454は、命令コマンドを調理ロボット302に送信し、調理動作を実行させる。
【0288】
ステップS114において、ロボット状態推定部452は、調理ロボット302の状態を推定する。
【0289】
ステップS115において、制御部453は、全ての調理動作が終了したか否かを判定する。全ての調理動作が終了していないとステップS115において判定した場合、ステップS112に戻り、次の調理動作を選択して、以上の処理が繰り返される。
【0290】
全ての調理動作が終了したとステップS115において判定された場合、処理は終了となる。このとき、調理シミュレーション装置1により生成されたNEWレシピデータに基づいて、料理が完成することになる。
【0291】
このように、調理アームを使って調理を行うロボットを制御するためのレシピデータの生成が調理シミュレーション装置1により行われる。
【0292】
【0293】
図38に示す情報処理部511には、NEWレシピデータ生成部502とコマンド生成部431が設けられる。コマンド生成部431の構成は、
図34を参照して説明した構成と同じ構成である。
【0294】
図38のコマンド生成部431においては、NEWレシピデータ生成部502により生成されたNEWレシピデータが取得され、NEWレシピデータに基づいて調理ロボット302の制御が行われる。
【0295】
このように、NEWレシピデータ生成部502とコマンド生成部431を含む情報処理部511が、調理シミュレーション装置1、データ処理装置301などの同じ装置内に設けられるようにしてもよい。
【0296】
<<3.変形例>>
<システム構成>
図39は、情報処理システムの構成例を示す図である。
【0297】
図39に示す情報処理システムにおいては、調理に関するシミュレーションとNEWレシピデータの生成のうちの少なくともいずれかが情報処理サーバ521により行われる。情報処理サーバ521は、
図17、
図22、
図35を参照して説明した調理シミュレーション装置1の構成と同様の構成を有する。
【0298】
例えば、調理に関するシミュレーションを行う機能が情報処理サーバ521に設けられる場合、情報処理サーバ521と、シェフ側に設けられた調理シミュレーション装置1との間では、インターネットを介して通信が行われる。調理シミュレーション装置1から情報処理サーバ521に対しては、シェフの音声データなどが送信される。
【0299】
情報処理サーバ521のシミュレーション演算部132は、シェフによる要求に応じて調理に関するシミュレーションを行い、シミュレーション結果を表す情報を調理シミュレーション装置1に送信して、シェフに対して提示させる。
【0300】
このように、調理に関するシミュレーションがインターネット上の情報処理サーバ521において行われるようにすることが可能である。
【0301】
図24の制御システムにおいては調理ロボット302の制御が行われるものとしたが、電子レンジなどの電子調理器具の制御がレシピデータに基づいて行われるようにしてもよい。電子調理器具は、データ処理装置301から供給された命令コマンドに従って調理動作を行い、調理を行うことになる。
【0302】
このように、調理動作を自動的に行う各種の機器の制御にレシピデータが用いられるようにすることが可能である。
【0303】
以上においては、調理シミュレーション装置1がシェフにより用いられるものとしたが、家庭内において、一般の人により用いられるようにしてもよい。
【0304】
<その他の例>
・コンピュータの構成例
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行することもできるし、ソフトウェアにより実行することもできる。一連の処理をソフトウェアにより実行する場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ、または、汎用のパーソナルコンピュータなどにインストールされる。
【0305】
インストールされるプログラムは、光ディスク(CD-ROM(Compact Disc-Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disc)等)や半導体メモリなどよりなる
図16に示されるリムーバブルメディア114に記録して提供される。また、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル放送といった、有線または無線の伝送媒体を介して提供されるようにしてもよい。プログラムは、ROM102や記憶部111に、あらかじめインストールしておくことができる。
【0306】
コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。
【0307】
なお、本明細書において、システムとは、複数の構成要素(装置、モジュール(部品)等)の集合を意味し、すべての構成要素が同一筐体中にあるか否かは問わない。したがって、別個の筐体に収納され、ネットワークを介して接続されている複数の装置、及び、1つの筐体の中に複数のモジュールが収納されている1つの装置は、いずれも、システムである。
【0308】
本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものでは無く、また他の効果があってもよい。
【0309】
本技術の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0310】
例えば、本技術は、1つの機能をネットワークを介して複数の装置で分担、共同して処理するクラウドコンピューティングの構成をとることができる。
【0311】
また、上述のフローチャートで説明した各ステップは、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。
【0312】
さらに、1つのステップに複数の処理が含まれる場合には、その1つのステップに含まれる複数の処理は、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。
【符号の説明】
【0313】
1 調理シミュレーション装置, 11 食材相性情報DB, 21 風味主観情報DB, 22 センシング情報DB, 23 化学構造情報DB, 131 シミュレーション対象認識部, 132 シミュレーション演算部, 133 提示部, 161 センシング情報生成部, 162 風味主観情報生成部, 163 食材相性情報生成部, 501 オリジナルレシピデータ取得部, 502 NEWレシピデータ生成部