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特許7563394移動装置用シート、シート制御装置、及び、シート制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】移動装置用シート、シート制御装置、及び、シート制御方法
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/02 20060101AFI20241001BHJP
   B60N 2/90 20180101ALI20241001BHJP
   A47C 7/34 20060101ALI20241001BHJP
   A47C 7/62 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
B60N2/02
B60N2/90
A47C7/34 A
A47C7/62 Z
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021574622
(86)(22)【出願日】2021-01-15
(86)【国際出願番号】 JP2021001160
(87)【国際公開番号】W WO2021153262
(87)【国際公開日】2021-08-05
【審査請求日】2023-11-22
(31)【優先権主張番号】P 2020013884
(32)【優先日】2020-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121131
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 孝
(74)【代理人】
【氏名又は名称】稲本 義雄
(74)【代理人】
【識別番号】100168686
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 勇介
(72)【発明者】
【氏名】平尾 敏廣
【審査官】望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-103850(JP,A)
【文献】実開平06-077592(JP,U)
【文献】特開2017-132364(JP,A)
【文献】特開2018-095015(JP,A)
【文献】特開2019-209933(JP,A)
【文献】国際公開第2019/116685(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/02
B60N 2/90
A47C 7/34
A47C 7/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの臀部を支持する弾性部材と、
前記弾性部材の下方において前記弾性部材を支持するとともに、前記弾性部材の下方向への変形を抑制する支持部材と、
座面において前記ユーザの左臀部が接触すると想定される部分を含む左臀部接触部の下方において、前記弾性部材と前記支持部材との間に設けられ、前記左臀部接触部の硬さを調整する第1の調整部と、
前記座面において前記ユーザの右臀部が接触すると想定される部分を含む右臀部接触部の下方において、前記弾性部材と前記支持部材との間に設けられ、前記右臀部接触部の硬さを調整する第2の調整部と
を備え
前記第1の調整部は、
前記左臀部接触部の下方において略水平に面状に広がり、可撓性を有する第1のシート状の部材と、
前記第1のシート状の部材を面方向に引っ張る力を調整する第1の調整機構と
を備え、
前記第2の調整部は、
前記右臀部接触部の下方において略水平に面状に広がり、可撓性を有する第2のシート状の部材と、
前記第2のシート状の部材を面方向に引っ張る力を調整する第2の調整機構と
を備える
移動装置用シート。
【請求項2】
前記第1の調整部及び前記第2の調整部を個別に駆動し、前記第1の調整部及び前記第2の調整部の硬さを個別に調整する駆動部を
さらに備える請求項1に記載の移動装置用シート。
【請求項3】
外部から制御信号を受信する通信部を
さらに備え、
前記駆動部は、前記制御信号に従って、前記第1の調整部及び前記第2の調整部を駆動する
請求項に記載の移動装置用シート。
【請求項4】
前記駆動部を制御することにより、前記第1の調整部及び前記第2の調整部の硬さを個別に制御するシート制御部を
さらに備える請求項に記載の移動装置用シート。
【請求項5】
前記座面において前記左臀部接触部及び前記右臀部接触部のみの硬さを調整可能である
請求項1に記載の移動装置用シート。
【請求項6】
ユーザの状態、移動装置の状態、前記移動装置内の状況、及び、前記移動装置の外部の状況のうち少なくとも1つに基づいて、前記移動装置用のシートの座面において前記ユーザの左臀部が接触すると想定される部分を含む左臀部接触部、及び、前記ユーザの右臀部が接触すると想定される部分を含む右臀部接触部の硬さを個別に制御するシート制御部を
備え
前記シート制御部は、前記移動装置の上下方向の振動が予測された場合、前記左臀部接触部及び前記右臀部接触部を柔らかくする
シート制御装置。
【請求項7】
前記シート制御部は、前記左臀部接触部及び前記右臀部接触部のうち、前記移動装置に作用する横加速度の方向と逆方向の臀部接触部を硬くする
請求項に記載のシート制御装置。
【請求項8】
前記シート制御部は、前記移動装置のヨー方向の旋回が予測された場合、前記左臀部接触部及び前記右臀部接触部のうち、前記移動装置が旋回する方向と逆方向の臀部接触部を硬くする
請求項に記載のシート制御装置。
【請求項9】
前記シート制御部は、前記移動装置の運転モードに基づいて、前記左臀部接触部及び前記右臀部接触部の硬さを制御する
請求項に記載のシート制御装置。
【請求項10】
前記シート制御部は、前記移動装置の自動運転中に、前記左臀部接触部及び前記右臀部接触部を柔らかくする
請求項に記載のシート制御装置。
【請求項11】
前記シート制御部は、前記ユーザの眠気又は疲れが検知された場合、前記左臀部接触部及び前記右臀部接触部の硬さを変化させる
請求項に記載のシート制御装置。
【請求項12】
前記シート制御部は、前記ユーザの姿勢に基づいて、前記左臀部接触部及び前記右臀部接触部の硬さのバランスを制御する
請求項に記載のシート制御装置。
【請求項13】
前記シート制御部は、前記移動装置内で再生されているコンテンツに合わせて、前記左臀部接触部及び前記右臀部接触部の硬さを変化させる
請求項に記載のシート制御装置。
【請求項14】
前記シート制御部は、前記左臀部接触部の硬さを調整する第1の調整部、及び、前記右臀部接触部の硬さを調整する第2の調整部を個別に駆動する駆動部を制御する
請求項に記載のシート制御装置。
【請求項15】
ユーザの状態、移動装置の状態、前記移動装置内の状況、及び、前記移動装置の外部の状況のうち少なくとも1つに基づいて、前記移動装置用のシートの座面において前記ユーザの左臀部が接触すると想定される部分を含む左臀部接触部、及び、前記ユーザの右臀部が接触すると想定される部分を含む右臀部接触部の硬さを個別に制御するシート制御部を
備え、
前記シート制御部は、前記ユーザが着座した後、前記左臀部接触部及び前記右臀部接触部を徐々に柔らかくし、前記ユーザが離席する前に、前記左臀部接触部及び前記右臀部接触部を徐々に硬くする
シート制御装置。
【請求項16】
ユーザの状態、移動装置の状態、前記移動装置内の状況、及び、前記移動装置の外部の状況のうち少なくとも1つに基づいて、前記移動装置用のシートの座面において前記ユーザの左臀部が接触すると想定される部分を含む左臀部接触部、及び、前記ユーザの右臀部が接触すると想定される部分を含む右臀部接触部の硬さを個別に制御し
前記移動装置の上下方向の振動が予測された場合、前記左臀部接触部及び前記右臀部接触部を柔らかくする
シート制御方法。
【請求項17】
ユーザの状態、移動装置の状態、前記移動装置内の状況、及び、前記移動装置の外部の状況のうち少なくとも1つに基づいて、前記移動装置用のシートの座面において前記ユーザの左臀部が接触すると想定される部分を含む左臀部接触部、及び、前記ユーザの右臀部が接触すると想定される部分を含む右臀部接触部の硬さを個別に制御し、
前記移動装置の上下方向の振動が予測された場合、前記左臀部接触部及び前記右臀部接触部を柔らかくする
シート制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、移動装置用シート、シート制御装置、及び、シート制御方法に関し、特に、快適性を向上させるようにした移動装置用シート、シート制御装置、及び、シート制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザの体型や姿勢に合わせて硬さを調整できるようにした車両用のシートが提案されている。
【0003】
例えば、シートクッションとシートバックに15個のエアセルを設け、各エアセルに設けられた静電容量センサからの出力信号に基づいてユーザの体格を判断し、エアセルの空気を出し入れすることにより、体格に応じてシート形状及び硬さを調整することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
例えば、シートクッションのパッド部材の支持面に複数の圧力センサを設けるとともに、複数の線状のアクチュエータを前後方向に並べ、シートクッションの圧力分布に応じて、各アクチュエータを制御し、所望の領域の硬さを調整することが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2009-119230号公報
【文献】特開2018-165135号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1及び2に記載されているシートは、多数のエアセル、アクチュエータ、センサ等が必要である。そのため、部品点数が増え、構成及び製造工程が複雑化し、シートのコストが上昇する。
【0007】
本技術は、このような状況に鑑みてなされたものであり、シンプルな構成により、シートの快適性を向上させることができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本技術の第1の側面の移動装置用シートは、ユーザの臀部を支持する弾性部材と、前記弾性部材の下方において前記弾性部材を支持するとともに、前記弾性部材の下方向への変形を抑制する支持部材と、座面において前記ユーザの左臀部が接触すると想定される部分を含む左臀部接触部の下方において、前記弾性部材と前記支持部材との間に設けられ、前記左臀部接触部の硬さを調整する第1の調整部と、前記座面において前記ユーザの右臀部が接触すると想定される部分を含む右臀部接触部の下方において、前記弾性部材と前記支持部材との間に設けられ、前記右臀部接触部の硬さを調整する第2の調整部とを備え、前記第1の調整部は、前記左臀部接触部の下方において略水平に面状に広がり、可撓性を有する第1のシート状の部材と、前記第1のシート状の部材を面方向に引っ張る力を調整する第1の調整機構とを備え、前記第2の調整部は、前記右臀部接触部の下方において略水平に面状に広がり、可撓性を有する第2のシート状の部材と、前記第2のシート状の部材を面方向に引っ張る力を調整する第2の調整機構とを備える。
【0009】
本技術の第2の側面のシート制御装置は、ユーザの状態、移動装置の状態、前記移動装置内の状況、及び、前記移動装置の外部の状況のうち少なくとも1つに基づいて、前記移動装置用のシートの座面において前記ユーザの左臀部が接触すると想定される部分を含む左臀部接触部、及び、前記ユーザの右臀部が接触すると想定される部分を含む右臀部接触部の硬さを個別に制御するシート制御部を備え、前記シート制御部は、前記移動装置の上下方向の振動が予測された場合、前記左臀部接触部及び前記右臀部接触部を柔らかくする。
本技術の第3の側面のシート制御装置は、ユーザの状態、移動装置の状態、前記移動装置内の状況、及び、前記移動装置の外部の状況のうち少なくとも1つに基づいて、前記移動装置用のシートの座面において前記ユーザの左臀部が接触すると想定される部分を含む左臀部接触部、及び、前記ユーザの右臀部が接触すると想定される部分を含む右臀部接触部の硬さを個別に制御するシート制御部を備え、前記シート制御部は、前記ユーザが着座した後、前記左臀部接触部及び前記右臀部接触部を徐々に柔らかくし、前記ユーザが離席する前に、前記左臀部接触部及び前記右臀部接触部を徐々に硬くする。
【0010】
本技術の第2の側面のシート制御方法は、ユーザの状態、移動装置の状態、前記移動装置内の状況、及び、前記移動装置の外部の状況のうち少なくとも1つに基づいて、前記移動装置用のシートの座面において前記ユーザの左臀部が接触すると想定される部分を含む左臀部接触部、及び、前記ユーザの右臀部が接触すると想定される部分を含む右臀部接触部の硬さを個別に制御し、前記移動装置の上下方向の振動が予測された場合、前記左臀部接触部及び前記右臀部接触部を柔らかくする。
本技術の第3の側面のシート制御方法は、ユーザの状態、移動装置の状態、前記移動装置内の状況、及び、前記移動装置の外部の状況のうち少なくとも1つに基づいて、前記移動装置用のシートの座面において前記ユーザの左臀部が接触すると想定される部分を含む左臀部接触部、及び、前記ユーザの右臀部が接触すると想定される部分を含む右臀部接触部の硬さを個別に制御し、前記移動装置の上下方向の振動が予測された場合、前記左臀部接触部及び前記右臀部接触部を柔らかくする。
【0011】
本技術の第1の側面においては、座面においてユーザの左臀部が接触すると想定される部分を含む左臀部接触部の硬さが調整され、前記座面において前記ユーザの右臀部が接触すると想定される部分を含む右臀部接触部の硬さが調整される。
【0012】
本技術の第2の側面においては、ユーザの状態、移動装置の状態、前記移動装置内の状況、及び、前記移動装置の外部の状況のうち少なくとも1つに基づいて、前記移動装置用のシートの座面において前記ユーザの左臀部が接触すると想定される部分を含む左臀部接触部、及び、前記ユーザの右臀部が接触すると想定される部分を含む右臀部接触部の硬さが個別に制御され、前記移動装置の上下方向の振動が予測された場合、前記左臀部接触部及び前記右臀部接触部が柔らかくされる。
本技術の第3の側面においては、ユーザの状態、移動装置の状態、前記移動装置内の状況、及び、前記移動装置の外部の状況のうち少なくとも1つに基づいて、前記移動装置用のシートの座面において前記ユーザの左臀部が接触すると想定される部分を含む左臀部接触部、及び、前記ユーザの右臀部が接触すると想定される部分を含む右臀部接触部の硬さが個別に制御され、前記移動装置の上下方向の振動が予測された場合、前記左臀部接触部及び前記右臀部接触部が柔らかくされる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】車両制御システムの構成例を示すブロック図である。
図2】センシング領域の例を示す図である。
図3】本技術を適用したシートの構成例を示す模式図である。
図4】シートクッションの内部構成例を示す模式図である。
図5】シートクッションの内部構成例を示す模式図である。
図6】左調整部の第1の実施の形態を示す模式図である。
図7】左調整部の第2の実施の形態を示す模式図である。
図8】シートの座面の硬さを制御するシステムの構成例を示すブロック図である。
図9】シート制御処理を説明するためのフローチャートである。
図10】コンピュータの構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本技術を実施するための形態について説明する。説明は以下の順序で行う。
1.車両制御システムの構成例
2.実施の形態
3.変形例
4.その他
【0015】
<<1.車両制御システムの構成例>>
図1は、本技術が適用される移動装置制御システムの一例である車両制御システム11の構成例を示すブロック図である。
【0016】
車両制御システム11は、車両1に設けられ、車両1の走行支援及び自動運転に関わる処理を行う。
【0017】
車両制御システム11は、プロセッサ21、通信部22、地図情報蓄積部23、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信部24、外部認識センサ25、車内センサ26、車両センサ27、記録部28、走行支援・自動運転制御部29、DMS(Driver Monitoring System)30、HMI(Human Machine Interface)31、及び、車両制御部32を備える。
【0018】
プロセッサ21、通信部22、地図情報蓄積部23、GNSS受信部24、外部認識センサ25、車内センサ26、車両センサ27、記録部28、走行支援・自動運転制御部29、ドライバモニタリングシステム(DMS)30、ヒューマンマシーンインタフェース(HMI)31、及び、車両制御部32は、通信ネットワーク41を介して相互に接続されている。通信ネットワーク41は、例えば、CAN(Controller Area Network)、LIN(Local Interconnect Network)、LAN(Local Area Network)、FlexRay(登録商標)、イーサネット(登録商標)等の任意の規格に準拠した車載通信ネットワークやバス等により構成される。なお、車両制御システム11の各部は、通信ネットワーク41を介さずに、例えば、近距離無線通信(NFC(Near Field Communication))やBluetooth(登録商標)等により直接接続される場合もある。
【0019】
なお、以下、車両制御システム11の各部が、通信ネットワーク41を介して通信を行う場合、通信ネットワーク41の記載を省略するものとする。例えば、プロセッサ21と通信部22が通信ネットワーク41を介して通信を行う場合、単にプロセッサ21と通信部22とが通信を行うと記載する。
【0020】
プロセッサ21は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、ECU(Electronic Control Unit )等の各種のプロセッサにより構成される。プロセッサ21は、車両制御システム11全体の制御を行う。
【0021】
通信部22は、車内及び車外の様々な機器、他の車両、サーバ、基地局等と通信を行い、各種のデータの送受信を行う。車外との通信としては、例えば、通信部22は、車両制御システム11の動作を制御するソフトウエアを更新するためのプログラム、地図情報、交通情報、車両1の周囲の情報等を外部から受信する。例えば、通信部22は、車両1に関する情報(例えば、車両1の状態を示すデータ、認識部73による認識結果等)、車両1の周囲の情報等を外部に送信する。例えば、通信部22は、eコール等の車両緊急通報システムに対応した通信を行う。
【0022】
なお、通信部22の通信方式は特に限定されない。また、複数の通信方式が用いられてもよい。
【0023】
車内との通信としては、例えば、通信部22は、無線LAN、Bluetooth、NFC、WUSB(Wireless USB)等の通信方式により、車内の機器と無線通信を行う。例えば、通信部22は、図示しない接続端子(及び、必要であればケーブル)を介して、USB(Universal Serial Bus)、HDMI(High-Definition Multimedia Interface、登録商標)、又は、MHL(Mobile High-definition Link)等の通信方式により、車内の機器と有線通信を行う。
【0024】
ここで、車内の機器とは、例えば、車内において通信ネットワーク41に接続されていない機器である。例えば、運転者等の搭乗者が所持するモバイル機器やウェアラブル機器、車内に持ち込まれ一時的に設置される情報機器等が想定される。
【0025】
例えば、通信部22は、4G(第4世代移動通信システム)、5G(第5世代移動通信システム)、LTE(Long Term Evolution)、DSRC(Dedicated Short Range Communications)等の無線通信方式により、基地局又はアクセスポイントを介して、外部ネットワーク(例えば、インターネット、クラウドネットワーク、又は、事業者固有のネットワーク)上に存在するサーバ等と通信を行う。
【0026】
例えば、通信部22は、P2P(Peer To Peer)技術を用いて、自車の近傍に存在する端末(例えば、歩行者若しくは店舗の端末、又は、MTC(Machine Type Communication)端末)と通信を行う。例えば、通信部22は、V2X通信を行う。V2X通信とは、例えば、他の車両との間の車車間(Vehicle to Vehicle)通信、路側器等との間の路車間(Vehicle to Infrastructure)通信、家との間(Vehicle to Home)の通信、及び、歩行者が所持する端末等との間の歩車間(Vehicle to Pedestrian)通信等である。
【0027】
例えば、通信部22は、電波ビーコン、光ビーコン、FM多重放送等の道路交通情報通信システム(VICS(Vehicle Information and Communication System)、登録商標)により送信される電磁波を受信する。
【0028】
地図情報蓄積部23は、外部から取得した地図及び車両1で作成した地図を蓄積する。例えば、地図情報蓄積部23は、3次元の高精度地図、高精度地図より精度が低く、広いエリアをカバーするグローバルマップ等を蓄積する。
【0029】
高精度地図は、例えば、ダイナミックマップ、ポイントクラウドマップ、ベクターマップ(ADAS(Advanced Driver Assistance System)マップともいう)等である。ダイナミックマップは、例えば、動的情報、準動的情報、準静的情報、静的情報の4層からなる地図であり、外部のサーバ等から提供される。ポイントクラウドマップは、ポイントクラウド(点群データ)により構成される地図である。ベクターマップは、車線や信号の位置等の情報をポイントクラウドマップに対応付けた地図である。ポイントクラウドマップ及びベクターマップは、例えば、外部のサーバ等から提供されてもよいし、レーダ52、LiDAR53等によるセンシング結果に基づいて、後述するローカルマップとのマッチングを行うための地図として車両1で作成され、地図情報蓄積部23に蓄積されてもよい。また、外部のサーバ等から高精度地図が提供される場合、通信容量を削減するため、車両1がこれから走行する計画経路に関する、例えば数百メートル四方の地図データがサーバ等から取得される。
【0030】
GNSS受信部24は、GNSS衛星からGNSS信号を受信し、走行支援・自動運転制御部29に供給する。
【0031】
外部認識センサ25は、車両1の外部の状況の認識に用いられる各種のセンサを備え、各センサからのセンサデータを車両制御システム11の各部に供給する。外部認識センサ25が備えるセンサの種類や数は任意である。
【0032】
例えば、外部認識センサ25は、カメラ51、レーダ52、LiDAR(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)53、及び、超音波センサ54を備える。カメラ51、レーダ52、LiDAR53、及び、超音波センサ54の数は任意であり、各センサのセンシング領域の例は後述する。
【0033】
なお、カメラ51には、例えば、ToF(Time Of Flight)カメラ、ステレオカメラ、単眼カメラ、赤外線カメラ等の任意の撮影方式のカメラが、必要に応じて用いられる。
【0034】
また、例えば、外部認識センサ25は、天候、気象、明るさ等を検出するための環境センサを備える。環境センサは、例えば、雨滴センサ、霧センサ、日照センサ、雪センサ、照度センサ等を備える。
【0035】
さらに、例えば、外部認識センサ25は、車両1の周囲の音や音源の位置の検出等に用いられるマイクロフォンを備える。
【0036】
車内センサ26は、車内の情報を検出するための各種のセンサを備え、各センサからのセンサデータを車両制御システム11の各部に供給する。車内センサ26が備えるセンサの種類や数は任意である。
【0037】
例えば、車内センサ26は、カメラ、レーダ、着座センサ、ステアリングホイールセンサ、マイクロフォン、生体センサ等を備える。カメラには、例えば、ToFカメラ、ステレオカメラ、単眼カメラ、赤外線カメラ等の任意の撮影方式のカメラを用いることができる。生体センサは、例えば、シートやステリングホイール等に設けられ、運転者等の搭乗者の各種の生体情報を検出する。
【0038】
車両センサ27は、車両1の状態を検出するための各種のセンサを備え、各センサからのセンサデータを車両制御システム11の各部に供給する。車両センサ27が備えるセンサの種類や数は任意である。
【0039】
例えば、車両センサ27は、速度センサ、加速度センサ、角速度センサ(ジャイロセンサ)、及び、慣性計測装置(IMU(Inertial Measurement Unit))を備える。例えば、車両センサ27は、ステアリングホイールの操舵角を検出する操舵角センサ、ヨーレートセンサ、アクセルペダルの操作量を検出するアクセルセンサ、及び、ブレーキペダルの操作量を検出するブレーキセンサを備える。例えば、車両センサ27は、エンジンやモータの回転数を検出する回転センサ、タイヤの空気圧を検出する空気圧センサ、タイヤのスリップ率を検出するスリップ率センサ、及び、車輪の回転速度を検出する車輪速センサを備える。例えば、車両センサ27は、バッテリの残量及び温度を検出するバッテリセンサ、及び、外部からの衝撃を検出する衝撃センサを備える。
【0040】
記録部28は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disc Drive)等の磁気記憶デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス、及び、光磁気記憶デバイス等を備える。記録部28は、車両制御システム11の各部が用いる各種プログラムやデータ等を記録する。例えば、記録部28は、自動運転に関わるアプリケーションプログラムが動作するROS(Robot Operating System)で送受信されるメッセージを含むrosbagファイルを記録する。例えば、記録部28は、EDR(Event Data Recorder)やDSSAD(Data Storage System for Automated Driving)を備え、事故等のイベントの前後の車両1の情報を記録する。
【0041】
走行支援・自動運転制御部29は、車両1の走行支援及び自動運転の制御を行う。例えば、走行支援・自動運転制御部29は、分析部61、行動計画部62、及び、動作制御部63を備える。
【0042】
分析部61は、車両1及び周囲の状況の分析処理を行う。分析部61は、自己位置推定部71、センサフュージョン部72、及び、認識部73を備える。
【0043】
自己位置推定部71は、外部認識センサ25からのセンサデータ、及び、地図情報蓄積部23に蓄積されている高精度地図に基づいて、車両1の自己位置を推定する。例えば、自己位置推定部71は、外部認識センサ25からのセンサデータに基づいてローカルマップを生成し、ローカルマップと高精度地図とのマッチングを行うことにより、車両1の自己位置を推定する。車両1の位置は、例えば、後輪対車軸の中心が基準とされる。
【0044】
ローカルマップは、例えば、SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)等の技術を用いて作成される3次元の高精度地図、占有格子地図(Occupancy Grid Map)等である。3次元の高精度地図は、例えば、上述したポイントクラウドマップ等である。占有格子地図は、車両1の周囲の3次元又は2次元の空間を所定の大きさのグリッド(格子)に分割し、グリッド単位で物体の占有状態を示す地図である。物体の占有状態は、例えば、物体の有無や存在確率により示される。ローカルマップは、例えば、認識部73による車両1の外部の状況の検出処理及び認識処理にも用いられる。
【0045】
なお、自己位置推定部71は、GNSS信号、及び、車両センサ27からのセンサデータに基づいて、車両1の自己位置を推定してもよい。
【0046】
センサフュージョン部72は、複数の異なる種類のセンサデータ(例えば、カメラ51から供給される画像データ、及び、レーダ52から供給されるセンサデータ)を組み合わせて、新たな情報を得るセンサフュージョン処理を行う。異なる種類のセンサデータを組合せる方法としては、統合、融合、連合等がある。
【0047】
認識部73は、車両1の外部の状況の検出処理及び認識処理を行う。
【0048】
例えば、認識部73は、外部認識センサ25からの情報、自己位置推定部71からの情報、センサフュージョン部72からの情報等に基づいて、車両1の外部の状況の検出処理及び認識処理を行う。
【0049】
具体的には、例えば、認識部73は、車両1の周囲の物体の検出処理及び認識処理等を行う。物体の検出処理とは、例えば、物体の有無、大きさ、形、位置、動き等を検出する処理である。物体の認識処理とは、例えば、物体の種類等の属性を認識したり、特定の物体を識別したりする処理である。ただし、検出処理と認識処理とは、必ずしも明確に分かれるものではなく、重複する場合がある。
【0050】
例えば、認識部73は、LiDAR又はレーダ等のセンサデータに基づくポイントクラウドを点群の塊毎に分類するクラスタリングを行うことにより、車両1の周囲の物体を検出する。これにより、車両1の周囲の物体の有無、大きさ、形状、位置が検出される。
【0051】
例えば、認識部73は、クラスタリングにより分類された点群の塊の動きを追従するトラッキングを行うことにより、車両1の周囲の物体の動きを検出する。これにより、車両1の周囲の物体の速度及び進行方向(移動ベクトル)が検出される。
【0052】
例えば、認識部73は、カメラ51から供給される画像データに対してセマンティックセグメンテーション等の物体認識処理を行うことにより、車両1の周囲の物体の種類を認識する。
【0053】
なお、検出又は認識対象となる物体としては、例えば、車両、人、自転車、障害物、構造物、道路、信号機、交通標識、道路標示等が想定される。
【0054】
例えば、認識部73は、地図情報蓄積部23に蓄積されている地図、自己位置の推定結果、及び、車両1の周囲の物体の認識結果に基づいて、車両1の周囲の交通ルールの認識処理を行う。この処理により、例えば、信号の位置及び状態、交通標識及び道路標示の内容、交通規制の内容、並びに、走行可能な車線等が認識される。
【0055】
例えば、認識部73は、車両1の周囲の環境の認識処理を行う。認識対象となる周囲の環境としては、例えば、天候、気温、湿度、明るさ、及び、路面の状態等が想定される。
【0056】
行動計画部62は、車両1の行動計画を作成する。例えば、行動計画部62は、経路計画、経路追従の処理を行うことにより、行動計画を作成する。
【0057】
なお、経路計画(Global path planning)とは、スタートからゴールまでの大まかな経路を計画する処理である。この経路計画には、軌道計画と言われ、経路計画で計画された経路において、車両1の運動特性を考慮して、車両1の近傍で安全かつ滑らかに進行することが可能な軌道生成(Local path planning)の処理も含まれる。
【0058】
経路追従とは、経路計画により計画した経路を計画された時間内で安全かつ正確に走行するための動作を計画する処理である。例えば、車両1の目標速度と目標角速度が計算される。
【0059】
動作制御部63は、行動計画部62により作成された行動計画を実現するために、車両1の動作を制御する。
【0060】
例えば、動作制御部63は、ステアリング制御部81、ブレーキ制御部82、及び、駆動制御部83を制御して、軌道計画により計算された軌道を車両1が進行するように、加減速制御及び方向制御を行う。例えば、動作制御部63は、衝突回避あるいは衝撃緩和、追従走行、車速維持走行、自車の衝突警告、自車のレーン逸脱警告等のADASの機能実現を目的とした協調制御を行う。例えば、動作制御部63は、運転者の操作によらずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行う。
【0061】
DMS30は、車内センサ26からのセンサデータ、及び、HMI31に入力される入力データ等に基づいて、運転者の認証処理、及び、運転者の状態の認識処理等を行う。認識対象となる運転者の状態としては、例えば、体調、覚醒度、集中度、疲労度、視線方向、酩酊度、運転操作、姿勢等が想定される。
【0062】
なお、DMS30が、運転者以外の搭乗者の認証処理、及び、当該搭乗者の状態の認識処理を行うようにしてもよい。また、例えば、DMS30が、車内センサ26からのセンサデータに基づいて、車内の状況の認識処理を行うようにしてもよい。認識対象となる車内の状況としては、例えば、気温、湿度、明るさ、臭い等が想定される。
【0063】
HMI31は、各種のデータや指示等の入力に用いられ、入力されたデータや指示等に基づいて入力信号を生成し、車両制御システム11の各部に供給する。例えば、HMI31は、タッチパネル、ボタン、マイクロフォン、スイッチ、及び、レバー等の操作デバイス、並びに、音声やジェスチャ等により手動操作以外の方法で入力可能な操作デバイス等を備える。なお、HMI31は、例えば、赤外線若しくはその他の電波を利用したリモートコントロール装置、又は、車両制御システム11の操作に対応したモバイル機器若しくはウェアラブル機器等の外部接続機器であってもよい。
【0064】
また、HMI31は、搭乗者又は車外に対する視覚情報、聴覚情報、及び、触覚情報の生成及び出力、並びに、出力内容、出力タイミング、出力方法等を制御する出力制御を行う。視覚情報は、例えば、操作画面、車両1の状態表示、警告表示、車両1の周囲の状況を示すモニタ画像等の画像や光により示される情報である。聴覚情報は、例えば、ガイダンス、警告音、警告メッセージ等の音声により示される情報である。触覚情報は、例えば、力、振動、動き等により搭乗者の触覚に与えられる情報である。
【0065】
視覚情報を出力するデバイスとしては、例えば、表示装置、プロジェクタ、ナビゲーション装置、インストルメントパネル、CMS(Camera Monitoring System)、電子ミラー、ランプ等が想定される。表示装置は、通常のディスプレイを有する装置以外にも、例えば、ヘッドアップディスプレイ、透過型ディスプレイ、AR(Augmented Reality)機能を備えるウエアラブルデバイス等の搭乗者の視界内に視覚情報を表示する装置であってもよい。
【0066】
聴覚情報を出力するデバイスとしては、例えば、オーディオスピーカ、ヘッドホン、イヤホン等が想定される。
【0067】
触覚情報を出力するデバイスとしては、例えば、ハプティクス技術を用いたハプティクス素子等が想定される。ハプティクス素子は、例えば、ステアリングホイール、シート等に設けられる。
【0068】
車両制御部32は、車両1の各部の制御を行う。車両制御部32は、ステアリング制御部81、ブレーキ制御部82、駆動制御部83、ボディ系制御部84、ライト制御部85、及び、ホーン制御部86を備える。
【0069】
ステアリング制御部81は、車両1のステアリングシステムの状態の検出及び制御等を行う。ステアリングシステムは、例えば、ステアリングホイール等を備えるステアリング機構、電動パワーステアリング等を備える。ステアリング制御部81は、例えば、ステアリングシステムの制御を行うECU等の制御ユニット、ステアリングシステムの駆動を行うアクチュエータ等を備える。
【0070】
ブレーキ制御部82は、車両1のブレーキシステムの状態の検出及び制御等を行う。ブレーキシステムは、例えば、ブレーキペダル等を含むブレーキ機構、ABS(Antilock Brake System)等を備える。ブレーキ制御部82は、例えば、ブレーキシステムの制御を行うECU等の制御ユニット、ブレーキシステムの駆動を行うアクチュエータ等を備える。
【0071】
駆動制御部83は、車両1の駆動システムの状態の検出及び制御等を行う。駆動システムは、例えば、アクセルペダル、内燃機関又は駆動用モータ等の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構等を備える。駆動制御部83は、例えば、駆動システムの制御を行うECU等の制御ユニット、駆動システムの駆動を行うアクチュエータ等を備える。
【0072】
ボディ系制御部84は、車両1のボディ系システムの状態の検出及び制御等を行う。ボディ系システムは、例えば、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウインドウ装置、パワーシート、空調装置、エアバッグ、シートベルト、シフトレバー等を備える。ボディ系制御部84は、例えば、ボディ系システムの制御を行うECU等の制御ユニット、ボディ系システムの駆動を行うアクチュエータ等を備える。
【0073】
ライト制御部85は、車両1の各種のライトの状態の検出及び制御等を行う。制御対象となるライトとしては、例えば、ヘッドライト、バックライト、フォグライト、ターンシグナル、ブレーキライト、プロジェクション、バンパーの表示等が想定される。ライト制御部85は、ライトの制御を行うECU等の制御ユニット、ライトの駆動を行うアクチュエータ等を備える。
【0074】
ホーン制御部86は、車両1のカーホーンの状態の検出及び制御等を行う。ホーン制御部86は、例えば、カーホーンの制御を行うECU等の制御ユニット、カーホーンの駆動を行うアクチュエータ等を備える。
【0075】
図2は、図1の外部認識センサ25のカメラ51、レーダ52、LiDAR53、及び、超音波センサ54によるセンシング領域の例を示す図である。
【0076】
センシング領域101F及びセンシング領域101Bは、超音波センサ54のセンシング領域の例を示している。センシング領域101Fは、車両1の前端周辺をカバーしている。センシング領域101Bは、車両1の後端周辺をカバーしている。
【0077】
センシング領域101F及びセンシング領域101Bにおけるセンシング結果は、例えば、車両1の駐車支援等に用いられる。
【0078】
センシング領域102F乃至センシング領域102Bは、短距離又は中距離用のレーダ52のセンシング領域の例を示している。センシング領域102Fは、車両1の前方において、センシング領域101Fより遠い位置までカバーしている。センシング領域102Bは、車両1の後方において、センシング領域101Bより遠い位置までカバーしている。センシング領域102Lは、車両1の左側面の後方の周辺をカバーしている。センシング領域102Rは、車両1の右側面の後方の周辺をカバーしている。
【0079】
センシング領域102Fにおけるセンシング結果は、例えば、車両1の前方に存在する車両や歩行者等の検出等に用いられる。センシング領域102Bにおけるセンシング結果は、例えば、車両1の後方の衝突防止機能等に用いられる。センシング領域102L及びセンシング領域102Rにおけるセンシング結果は、例えば、車両1の側方の死角における物体の検出等に用いられる。
【0080】
センシング領域103F乃至センシング領域103Bは、カメラ51によるセンシング領域の例を示している。センシング領域103Fは、車両1の前方において、センシング領域102Fより遠い位置までカバーしている。センシング領域103Bは、車両1の後方において、センシング領域102Bより遠い位置までカバーしている。センシング領域103Lは、車両1の左側面の周辺をカバーしている。センシング領域103Rは、車両1の右側面の周辺をカバーしている。
【0081】
センシング領域103Fにおけるセンシング結果は、例えば、信号機や交通標識の認識、車線逸脱防止支援システム等に用いられる。センシング領域103Bにおけるセンシング結果は、例えば、駐車支援、及び、サラウンドビューシステム等に用いられる。センシング領域103L及びセンシング領域103Rにおけるセンシング結果は、例えば、サラウンドビューシステム等に用いられる。
【0082】
センシング領域104は、LiDAR53のセンシング領域の例を示している。センシング領域104は、車両1の前方において、センシング領域103Fより遠い位置までカバーしている。一方、センシング領域104は、センシング領域103Fより左右方向の範囲が狭くなっている。
【0083】
センシング領域104におけるセンシング結果は、例えば、緊急ブレーキ、衝突回避、歩行者検出等に用いられる。
【0084】
センシング領域105は、長距離用のレーダ52のセンシング領域の例を示している。センシング領域105は、車両1の前方において、センシング領域104より遠い位置までカバーしている。一方、センシング領域105は、センシング領域104より左右方向の範囲が狭くなっている。
【0085】
センシング領域105におけるセンシング結果は、例えば、ACC(Adaptive Cruise Control)等に用いられる。
【0086】
なお、各センサのセンシング領域は、図2以外に各種の構成をとってもよい。具体的には、超音波センサ54が車両1の側方もセンシングするようにしてもよいし、LiDAR53が車両1の後方をセンシングするようにしてもよい。
【0087】
<<2.実施の形態>>
次に、図3乃至図9を参照して、本技術の実施の形態について説明する。
【0088】
<シート201の構成例>
まず、図3乃至図7を参照して、本技術を適用したシート201の構成例について説明する。
【0089】
図3は、シート201全体の構成を模式的に示している。図3のAは、シート201の平面図であり、図3のBは、シート201の正面図であり、図3のCは、シート201の左側面図である。
【0090】
シート201は、例えば、車両1の運転席、助手席、後部座席等に用いられる。シート201は、シートクッション211、シートバック212、及び、ヘッドレスト213を備える。
【0091】
シートクッション211は、シート201の座面となり、ユーザが着座する部分である。シートクッション211は、前方から後方にかけて緩やかに下方向に傾斜しており、着座したユーザの臀部が接触する部分が、大腿部が接触する部分より低くなっている。また、シートクッション211の左右の端部は、中央部より上方向に突出している。
【0092】
シートバック212は、着座したユーザの背もたれとなる部分である。シートバック212は、下方向から上方向にかけて緩やかに後方に傾斜している。また、シートバック212の左右の端部は、中央部より前方向に突出している。
【0093】
これらのシートクッション211及びシートバック212の特徴により、ユーザの姿勢(着座位置)を安定させることができる。
【0094】
ヘッドレスト213は、着座したユーザの頭部を支持し、ユーザの頭部や首を保護する部分である。
【0095】
また、シート201には、シートの骨格となるフレーム221、及び、調整部222L及び調整部222Rが内蔵されている。
【0096】
調整部222Lは、シートクッション211の表面(すなわち、シート201の座面)において、着座したユーザの左臀部が接触すると想定される部分を含む左臀部接触部と、フレーム221との間に配置されている。後述するように、調整部222Lは、シートクッション211の左臀部接触部の硬さを調整する。
【0097】
調整部222Rは、シートクッション211の表面(シート201の座面)において、着座したユーザの右臀部が接触すると想定される部分を含む右臀部接触部と、フレーム221との間に配置されている。後述するように、調整部222Rは、シートクッション211の右臀部接触部の硬さを調整する。
【0098】
<シートクッション211の構成例>
次に、図4及び図5を参照して、シートクッション211の構成例について説明する。
【0099】
図4は、シートクッション211を正面から見た場合の内部構造の模式図である。図5は、シートクッション211を左側から見た場合の内部構造の模式図である。
【0100】
シートクッション211の内部には、フレーム221、支持部材231、調整部222L及び調整部222R、パッド232、及び、表皮233が、下から順に積層されている。
【0101】
支持部材231は、例えば、パッド232の下方において、フレーム221との間に隙間を空けて配置されている。支持部材231は、金属製のネット又は不織布等により構成され、パッド232より弾性率が高く、変形しにくい。支持部材231は、パッド232を支持するとともに、ユーザが着座したときのパッド232の下方向への過度な変形を抑制する。
【0102】
パッド232は、弾力性のある弾性部材であり、例えば、ポリウレタンフォームからなる。パッド232の上面は、シート201の座面と略同じ形状である。パッド232は、着座したユーザの臀部及び大腿部を支持するともに、外部から加わる衝撃や振動を吸収する。
【0103】
表皮233は、例えば、革、人工皮革、又は、布等の所定の素材からなる。表皮233は、パッド232の表面を覆い、保護する。
【0104】
調整部222Lは、シートクッション211の左臀部接触部の下方において、支持部材231とパッド232の間に設けられている。調整部222Lは、硬さを調整することができ、調整部222Lの硬さを調整することにより、シートクッション211の左臀部接触部の硬さが調整される。
【0105】
調整部222Rは、シートクッション211の右臀部接触部の下方において、支持部材231とパッド232の間に設けられている。調整部222Rは、硬さを調整することができ、調整部222Rの硬さを調整することにより、シートクッション211の右臀部接触部の硬さが調整される。
【0106】
なお、以下、調整部222L及び調整部222Rを個々に区別する必要がない場合、単に調整部222と称する。
【0107】
<調整部222Lの構成例>
次に、図6及び図7を参照して、調整部222Lの構成例について説明する。
【0108】
<調整部222Lの第1の実施の形態>
図6は、調整部222Lの第1の実施の形態を模式的に示している。
【0109】
この例では、調整部222Lは、エアランバー251L及びプレート252Lを備える。
【0110】
エアランバー251Lは、空気の出し入れ及び保持が可能な袋状の部材である。エアランバー251Lは、空気の充填量により、形状及び硬さ(弾性率)を調整可能である。
【0111】
プレート252Lは、金属又はプラスチック等からなり、形状が変化しにくい板状の部材である。プレート252Lは、シートクッション211の左臀部接触部の下方において、エアランバー251Lの上面に貼付され、固定されている。従って、プレート252Lは、パッド232及び表皮233を介して、シート201に着座したユーザの左臀部を支える。
【0112】
例えば、エアランバー251Lの空気の充填量を増やすことにより、エアランバー251Lが大きく、硬く、かつ、変形しにくくなる。これにより、シートクッション211の左臀部接触部が硬くなる。一方、エアランバー251Lの空気の充填量を減らすことにより、エアランバー251Lが小さく、柔らかく、かつ、変形しやすくなる。これにより、シートクッション211の左臀部接触部が柔らかくなる。
【0113】
ここで、プレート252Lの形状は、エアランバー251Lの形状変化によりほとんど変化しない。従って、エアランバー251Lの形状(大きさ)が変化したとき、プレート252Lの働きにより、シートクッション211の左臀部接触部の硬さが略一様に変化する。なお、プレート252Lの上方にはパッド232が設けられているため、ユーザがプレート252Lの硬さを直接感じることはない。
【0114】
また、シートクッション211の左臀部接触部より前のユーザの大腿部が接触する部分の硬さは、ほとんど変化しない。従って、ユーザの大腿部付近の血流を阻害し、ユーザに不快感を与えることが防止される。
【0115】
<調整部222Lの第2の実施の形態>
図7は、調整部222Lの第2の実施の形態を模式的に示している。
【0116】
この例では、調整部222Lは、バンド271L、固定部材272L、及び、巻取り部材273Lを備える。
【0117】
バンド271Lは、可撓性を有するシート状の部材であり、例えば、布からなる。バンド271Lの前端は、固定部材272Lにより固定され、後端は、巻取り部材273Lにより巻き取り可能に支持されている。
【0118】
固定部材272Lは、シートクッション211の左臀部接触部の前端より少し前の位置の下方に設けられる。巻取り部材273Lは、シートクッション211の左臀部接触部の後端より少し後ろの位置の下方に設けられる。また、固定部材272Lと巻取り部材273Lとは、略同じ高さに設けられる。
【0119】
従って、バンド271Lは、シートクッション211の左臀部接触部の下方において、略水平に面状に広がり、パッド232及び表皮233を介して、シート201に着座したユーザの左臀部を支える。また、バンド271Lの表面の硬さ(弾性率)が略一様になる。
【0120】
また、固定部材272Lと巻取り部材273Lは、バンド271Lを面方向に引っ張る力を調整する調整機構を構成する。具体的には、巻取り部材273Lは、図示せぬアクチュエータにより、長手方向(左右方向)の軸を中心にして、前後方向に回転する。
【0121】
巻取り部材273Lが後ろ方向に回転すると、バンド271Lの前端が固定部材272Lにより固定されたまま、後方が巻き取られ、バンド271Lを面方向に引っ張る力が強くなる。これにより、バンド271Lが硬く、変形しにくくなり(弾性率が高くなり)、シートクッション211の左臀部接触部が硬くなる。
【0122】
一方、巻取り部材273Lが前方向に回転すると、バンド271Lの前端が固定部材272Lにより固定されたまま、後方が繰り出され、バンド271Lを面方向に引っ張る力が弱くなる。これにより、バンド271Lが柔らかく、変形しやすくなり(弾性率が低くなり)、シートクッション211の左臀部接触部が柔らかくなる。
【0123】
また、上述したように、バンド271Lの表面の硬さが略一様になるため、巻取り部材273Lによりバンド271Lを巻き取ったり、繰り出したりすることにより、シートクッション211の左臀部接触部の硬さが一様に変化するようになる。
【0124】
さらに、シートクッション211の左臀部接触部より前のユーザの大腿部が接触する部分の硬さは、ほとんど変化しない。従って、ユーザの大腿部付近の血流を阻害し、ユーザに不快感を与えることが防止される。
【0125】
なお、調整部222Rも、図6又は図7の調整部222Lと同様の構成を備えており、その説明及び図示は省略する。また、以下、調整部222Rを構成する各部の符号の末尾に、Lの代わりにRの文字を付加するものとする。
【0126】
<シート201の座面の硬さを制御するシステムの構成例>
図8は、シート201の座面の硬さ(シートクッション211の硬さ)を制御するシステムの構成例を示している。
【0127】
このシステムは、シート制御部301を備える。また、シート201は、上述した構成に加えて、通信部321、駆動部322、及び、センサ部323を備える。
【0128】
シート制御部301は、例えば、図1のボディ系制御部84の一部を構成する。シート制御部301は、例えば、シート201の座面の硬さ、すなわち、シートクッション211の硬さの制御を行う。
【0129】
例えば、シート制御部301は、シート201のセンサ部323が備える各センサから出力されるセンサデータをシート201から取得する。シート制御部301は、車両1の外部の状況の検出処理及び認識処理の結果を示す情報を認識部73(図1)から取得する。シート制御部301は、車両1の動作の制御に関する情報を動作制御部63(図1)から取得する。シート制御部301は、運転者の状態の認識処理の結果を示す情報をDMS30(図1)から取得する。シート制御部301は、各種のデータや指示等に基づく入力信号をHMI31(図1)から取得する。
【0130】
シート制御部301は、取得した各種の情報、データ、信号等に基づいて、調整部222L及び調整部222Rの硬さを制御するための制御信号を生成し、シート201に送信する。
【0131】
また、シート制御部301は、取得した各種の情報、データ、信号等に基づいて、例えば、図示せぬアクチュエータ等により構成される駆動部を制御することにより、シート201全体の上下方向の位置を制御する。
【0132】
通信部321は、所定の通信方式(例えば、CAN)により、シート制御部301を含む車両1の各部と通信を行い、各種の情報、データ、信号等(例えば、上述したセンサデータ、制御信号等)の授受を行う。
【0133】
駆動部322は、シート制御部301からの制御信号に従って、調整部222L及び調整部222Rを個別に駆動することにより、調整部222L及び調整部222Rの硬さを個別に調整する。
【0134】
例えば、調整部222L及び調整部222Rが図6の構成を備える場合、駆動部322は、エアランバー251L及びエアランバー251Rの空気の出し入れを制御する装置を備える。そして、駆動部322は、エアランバー251L及びエアランバー251Rの空気の出し入れを制御することにより、調整部222L及び調整部222Rの硬さを調整する。これにより、シート201の座面の硬さ、より具体的には、シートクッション211の左臀部接触部及び右臀部接触部の硬さが個別に調整される。
【0135】
例えば、調整部222L及び調整部222Rが、図7の構成を備える場合、駆動部322は、巻取り部材273L及び巻取り部材273Rを回転させるアクチュエータ等を備える。そして、駆動部322は、巻取り部材273L及び巻取り部材273Rの回転を個別に制御することにより、バンド271L及びバンド271Rの硬さを個別に調整する。これにより、シート201の座面の硬さ、より具体的には、シートクッション211の左臀部接触部及び右臀部接触部の硬さが個別に調整される。
【0136】
センサ部323は、例えば、図1の車内センサ26の一部を構成し、各種のセンサを備える。センサ部323は、各センサからのセンサデータを通信部321に供給する。
【0137】
例えば、調整部222L及び調整部222Rが図6の構成を備える場合、センサ部323は、荷重計を備える。荷重計は、例えば、調整部222Lのプレート252Lの上面、及び、調整部222Rのプレート252Rの上面にそれぞれ設けられる。各荷重計は、プレート252L又はプレート252Rにかかる荷重をそれぞれ検出し、検出結果を示すセンサデータを通信部321に供給する。
【0138】
例えば、調整部222L及び調整部222Rが図7の構成を備える場合、センサ部323は、荷重計を備える。荷重計は、例えば、調整部222Lのバンド271Lの上面、及び、調整部222Rのバンド271Rの上面にそれぞれ設けられる。各荷重計は、バンド271L又はバンド271Rにかかる荷重をそれぞれ検出し、検出結果を示すセンサデータを通信部321に供給する。
【0139】
<シート制御処理>
次に、図9のフローチャートを参照して、車両1により実行されるシート制御処理について説明する。
【0140】
なお、以下、主に運転席のシート201の制御を行う場合の例について説明する。また、以下、運転席に着座するユーザを運転者と称する。
【0141】
ステップS1において、DMS30は、運転者が直座したか否かを判定する。この処理は、運転者が着座したと判定されるまで所定のタイミングで繰り返し実行され、運転者が着座したと判定された場合、処理はステップS2に進む。
【0142】
なお、運転者が着座したか否かの判定方法は、特に限定されない。
【0143】
例えば、DMS30は、運転席の方向を撮影する画像データに基づいて、運転者が着座したか否かを判定する。
【0144】
例えば、DMS30は、運転席のシート201のセンサ部323からのセンサデータにより検出される各調整部222への荷重に基づいて、運転者が着座したか否かを判定する。
【0145】
例えば、DMS30は、運転者が所有する車両1のキーやスマートフォン等と通信部22との間の近距離無線通信の状況に基づき、車両1のキーやスマートフォン等の接近の検出処理を行った結果に基づいて、運転者が着座したか否かを判定する。
【0146】
ステップS2において、シート制御部301は、シート201を徐々に柔らかくする。
【0147】
例えば、運転席のシート201の各調整部222は、運転者の着座前において、最も硬い状態に設定され、運転席のシート201の座面が最も高い位置に設定されている。そして、シート制御部301は、駆動部322を制御して、各調整部222を所定の硬さまで徐々に柔らかくする。
【0148】
これにより、運転者が楽にシート201に着座することができるとともに、着座後に迅速に快適な状態を運転者に提供することが可能になる。
【0149】
なお、着座後に設定するシート201の硬さは、固定されていてもよいし、可変であってもよい。設定する硬さが可変である場合、例えば、運転者等が好みの硬さに設定できるようにしてもよいし、学習処理により運転者の好みの硬さを学習し、学習した硬さに設定されるようにしてもよい。
【0150】
また、運転者が着座するときに、例えば、シート201全体が下方向に移動し、シート201の座面(シートクッション211)が下方向に移動する場合、シート201の座面の下方向の移動に合わせて、各調整部222を柔らかくするようにしてもよい。
【0151】
ステップS3において、シート制御部301は、車両1の状態及び車内外(車両1の内部及び外部)の状況に応じたシート201の硬さの制御を開始する。
【0152】
例えば、シート制御部301は、動作制御部63又はHMI31から車両の運転モードを示す情報を取得し、運転モードに基づいて、各調整部222の硬さを制御する処理を開始する。
【0153】
例えば、シート制御部301は、運転モードがスピーディな走りを優先する走行モードに設定されている場合、各調整部222を硬めに設定する。一方、シート制御部301は、運転モードが車内の快適さを優先する走行モードに設定されている場合、各調整部222を柔らかめに設定する。これにより、運転者が、運転モードの変化を体感しやすくなる。
【0154】
例えば、シート制御部301は、運転モードが自動運転モードに設定されている場合、各調整部222を柔らかくする。すなわち、自動運転が行われている場合、運転者のドライビングポジションを安定させる必要がないため、運転者の座り心地が優先され、シートクッション211の左臀部接触部及び右臀部接触部が柔らかくされる。
【0155】
また、例えば、シート制御部301は、車両センサ27により検出される車両1に作用する横加速度(横G)に基づいて、左右の調整部222の硬さを制御し、シートクッション211の左右の硬さのバランスを制御する処理を開始する。
【0156】
例えば、シート制御部301は、横加速度が所定の閾値以上の場合、横加速度が作用する方向と逆方向、すなわち、車両1のヨー方向の旋回方向と逆方向の調整部222を硬くし、横加速度が閾値未満になった後、調整部222の硬さを元に戻す。これにより、例えば、車両1が右回りに旋回している場合、シートクッション211の左臀部接触部が右臀部接触部より硬くなる。逆に、車両1が左回りに旋回している場合、シートクッション211の右臀部接触部が左臀部接触部より硬くなる。その結果、運転者が横加速度に対向して姿勢を維持することが容易になり、運転者の疲労度が軽減される。
【0157】
なお、例えば、シートバックの左右にエアランバーを設けて、横加速度に基づいてシートバックの左右の硬さのバランスを制御する車両が存在する。しかし、この場合、横加速度があまり大きくなく、運転者の体の動きがあまり大きくないとき、運転者の体がエアランバーに接触しないため、効果が得られなくなる。
【0158】
これに対して、車両1においては、横加速度に関わらず、運転者の体が常時接触しているシートクッション211の左臀部接触部及び右臀部接触部の硬さのバランスが制御される。従って、横加速度の大きさに関わらず、常に効果が得られるようになる。
【0159】
なお、シート制御部301は、例えば、横加速度の代わりに、車両1の操舵角又はステアリングホイールの回転角に基づいて、シートクッション211の左右の硬さのバランスを制御するようにしてもよい。
【0160】
さらに、例えば、シート制御部301は、車両1のヨー方向の旋回を予測した結果に基づいて、左右の調整部222の硬さを制御し、シートクッション211の左右の硬さのバランスを制御する処理を開始する。
【0161】
例えば、認識部73は、車両1のヨー方向の旋回を予測した場合、旋回半径(R)及び車両1の速度に基づいて、旋回時に車両1に作用する横加速度を推定する。そして、シート制御部301は、推定された横加速度に基づいて、車両1が旋回を開始する前から、上述した方法により、シートクッション211の左右の硬さのバランスを徐々に制御する。例えば、車両1の右回りの旋回が予測された場合、旋回方向とは逆方向のシートクッション211の左臀部接触部が徐々に硬くされる。例えば、車両1の左回りの旋回が予測された場合、旋回方向とは逆方向のシートクッション211の右臀部接触部が徐々に硬くされる。その結果、運転者が車両1の旋回に対向して姿勢を維持することが容易になり、運転者の疲労度が軽減される。
【0162】
なお、車両1のヨー方向の旋回を予測方法は、特に限定されない。例えば、認識部73は、車両1の前方を撮影した画像データに基づいて、車両1の前方の道路の状況(例えば、カーブの有無等)を認識することにより、車両1のヨー方向の旋回を予測する。例えば、認識部73は、外部のサーバ等から提供される地図情報、車両1の現在位置、及び、行動計画部62により作成された経路計画等に基づいて、車両1のヨー方向の旋回を予測する。
【0163】
また、例えば、シート制御部301は、車両1の前方において車両1が上下方向の振動を予測した結果に基づいて、シート201の座面の硬さを制御する処理を開始する。
【0164】
例えば、認識部73が、車両1の上下方向の振動の発生を予測した場合、シート制御部301は、上下方向の振動が発生する前に、各調整部222を柔らかくし、上下方向の振動が終了した後に、各調整部222の硬さを元に戻す。これにより、運転者に加わる上下方向の振動が軽減される。
【0165】
なお、車両1の上下方向の振動の予測方法は、特に限定されない。例えば、認識部73は、車両1の前方を撮影した画像データに基づいて、段差等の振動要因を事前に認識することにより、車両1の上下方向の振動を予測する。例えば、認識部73は、外部のサーバ等から提供される、路面情報(例えば、路面の粗さ、うねり等)を含む地図情報、車両1の現在位置、及び、行動計画部62により作成された経路計画等に基づいて、振動要因を事前に認識することにより、車両1の上下方向の振動を予測する。
【0166】
また、例えば、シート制御部301は、車両1内で再生されているコンテンツ(例えば、映像、音楽等)に合わせて、シート201の座面の硬さを制御する処理を開始する。
【0167】
例えば、シート制御部301は、再生中の音楽のリズムに合わせて、各調整部222の硬さを変化させる。例えば、シート制御部301は、左右のスピーカから出力される音の差異に基づいて、左右の調整部222の硬さのバランスを変化させる。
【0168】
これにより、運転者のコンテンツ体験が向上する。
【0169】
さらに、例えば、シート制御部301は、シート201の座面(各調整部222)の硬さの変化に合わせて、運転者の視線の上下方向の位置を調整する処理を開始する。
【0170】
具体的には、少なくとも一方の調整部222の硬さが変化すると、運転者の臀部の位置が上下方向に移動するため、運転者の視線の位置も上下方向に移動する。シート制御部301は、この運転者の視線の上下方向の位置の変動を抑制するために、例えば、図示せぬ駆動部を制御して、運転者の視線の上下方向の位置の変動を相殺するように、シート201全体を上下方向に移動させる。
【0171】
例えば、シート制御部301は、DMS30により検出される運転者の視線(又は頭部)の上下方向の位置に基づいて、シート201全体を上下方向に移動させる。
【0172】
例えば、シート制御部301は、運転席のシート201のセンサ部323からのセンサデータにより検出される各調整部222への荷重の変化量に基づいて、運転者の視線の上下方向の位置の変化量を推定する。そして、シート制御部301は、推定した変化量を相殺するように、シート201全体を上下方向に移動させる。
【0173】
なお、この場合、例えば、各調整部222にかかる荷重の変化量と運転者の視線の上下方向の位置の変化量との関係は、事前に評価され、両者の関係を示すデータが、予め記録部28に記憶される。そして、シート制御部301は、このデータに基づいて、運転者の視線の上下方向の位置の変化量を推定する。
【0174】
これにより、シート201の座面の硬さの変化に関わらず、運転者の視線の上下方向の位置が安定し、快適性が向上する。
【0175】
なお、例えば、少なくとも一方の調整部222の硬さが変化した場合に、運転者の視線の上下方向の位置を調整するようにしてもよいし、両方の調整部222の硬さが変化した場合のみ、運転者の視線の上下方向の位置を調整するようにしてもよい。
【0176】
また、例えば、運転者の視線の上下方向の位置の調整機能のオン/オフを切り替えることができるようにしてもよい。
【0177】
ステップS4において、DMS30は、運転者の眠気を検知したか否かを判定する。運転者の眠気を検知したと判定された場合、処理はステップS5に進む。
【0178】
なお、運転者の眠気の検知方法は、特に限定されない。
【0179】
例えば、DMS30は、運転者を撮影した画像に基づいて、運転者の眠気を検知する。
【0180】
ステップS5において、シート制御部301は、運転者に刺激を与えるように、シート201の硬さを制御する。
【0181】
具体的には、DMS30は、運転者の眠気を検知したことをシート制御部301に通知する。
【0182】
シート制御部301は、例えば、駆動部322を制御して、調整部222Lと調整部222Rの硬さを交互に大きく変化させる。これにより、運転者の左臀部及び右臀部に交互に不自然な刺激が与えられ、運転者の体が左右に揺すぶられ、運転者の眠気を覚ます効果が得られる。
【0183】
その後、処理はステップS6に進む。
【0184】
一方、ステップS4において、運転者の眠気を検知していないと判定された場合、ステップS5の処理はスキップされ、処理はステップS6に進む。
【0185】
ステップS6において、DMS30は、運転者の疲れを検知したか否かを判定する。運転者の疲れを検知したと判定された場合、処理はステップS7に進む。
【0186】
なお、運転者の疲れの検知方法は、特に限定されない。
【0187】
例えば、DMS30は、運転者を撮影した画像に基づいて、運転者の疲れを検知する。
【0188】
ステップS7において、シート制御部301は、運転者の疲れを軽減するように、シート201の硬さを制御する。
【0189】
具体的には、DMS30は、運転者の疲れを検知したことをシート制御部301に通知する。
【0190】
シート制御部301は、例えば、駆動部322を制御して、シートクッション211が運転者の疲労を軽減する硬さになるように、各調整部222の硬さを調整する。また、例えば、シート制御部301は、駆動部322を制御して、調整部222Lと調整部222Rの硬さを交互にリズミカルに変化させることにより、運転者にマッサージ効果を与える。
【0191】
その後、処理はステップS8に進む。
【0192】
一方、ステップS6において、運転者の疲れを検知していないと判定された場合、ステップS7の処理はスキップされ、処理はステップS8に進む。
【0193】
ステップS8において、DMS30は、運転者の姿勢が悪いか否かを判定する。運転者の姿勢が悪いと判定された場合、処理はステップS9に進む。
【0194】
なお、運転者の姿勢の判定方法は、特に限定されない。
【0195】
例えば、DMS30は、運転者を撮影した画像に基づいて、運転者の姿勢が悪いか否かを判定する。
【0196】
例えば、DMS30は、センサ部323から供給される各調整部222への荷重を示すセンサデータに基づいて、シートクッション211の左臀部接触部及び右臀部接触部への荷重の差を検出する。この差は、運転者の重心位置の偏差に対応する。DMS30は、検出した荷重の差が所定の閾値以上である場合、運転者の姿勢が悪い(運転者の体の左右のバランスが悪い)と判定する。
【0197】
ステップS9において、シート制御部301は、運転者の姿勢を改善するように、シート201の硬さを制御する。
【0198】
具体的には、DMS30は、運転者の姿勢が悪いことをシート制御部301に通知する。
【0199】
シート制御部301は、例えば、駆動部322を制御して、運転者の姿勢が改善するように、各調整部222の硬さを調整する。例えば、シート制御部301は、駆動部322を制御して、シートクッション211の左臀部接触部及び右臀部接触部への荷重が略等しくなるように、調整部222L及び調整部222Rの硬さを調整する。
【0200】
これにより、運転者の重心が理想的な位置に移動し、その結果、運転者の姿勢が改善され、運転者の疲労が軽減される。
【0201】
その後、処理はステップS10に進む。
【0202】
一方、ステップS8において、運転者の姿勢が悪くないと判定された場合、ステップS9の処理はスキップされ、処理はステップS10に進む。
【0203】
ステップS10において、DMS30又は車両制御部32は、運転者が離席するか否かを判定する。運転者が離席すると判定された場合、処理はステップS11に進む。
【0204】
なお、運転者が離席するか否かの判定方法は、特に限定されない。
【0205】
例えば、DMS30は、運転席の方向を撮影する画像データに基づいて、運転者が離席するか否かを判定する。
【0206】
例えば、車両制御部32のボディ系制御部84は、運転者が運転席に座っている場合に、車両1のパワーがオフされたとき、車両1の運転席のドアのロックが解錠されたとき、又は、車両1の運転席のドアが開けられたとき、運転者が離席すると判定する。
【0207】
ステップS11において、シート制御部301は、シート201を徐々に硬くする。具体的には、シート制御部301は、駆動部322を制御して、各調整部222を最も硬い状態になるように徐々に変化させる。これにより、シートクッション211が徐々に硬くなり、運転者が車両1から降りる際に上体を起こす力が支援される。
【0208】
なお、運転者が離席するときに、例えば、シート201全体が上方向に移動し、シート201の座面(シートクッション211)が上方向に移動する場合、シート201の座面の上方向の移動に合わせて、各調整部222を硬くするようにしてもよい。
【0209】
ステップS12において、シート制御部301は、車両1の状態及び車内外に応じたシートの硬さの制御を停止する。
【0210】
その後、処理はステップS1に戻り、ステップS1以降の処理が実行される。
【0211】
一方、ステップS10において、運転者が離席しないと判定された場合、処理はステップS4に戻り、ステップS10において、運転者が離席すると判定されるまで、ステップS4乃至ステップS10の処理が繰り返し実行される。
【0212】
なお、上記の処理中に、例えば、運転者がHMI31を用いて指示を入力することにより、各調整部222の硬さを調整することが可能である。
【0213】
また、以上の説明では、運転席のシート201の硬さを制御する例を示したが、車両1の他のシート201の硬さも同様の処理により制御することが可能である。
【0214】
以上のようにして、シート201の左臀部接触及び右臀部接触部の2カ所の硬さのみを制御するシンプルな構成により、ユーザの状態、車両1の状態、及び、車内外の状況に基づいて、シート201の座面の硬さを適切に調整することができ、ユーザの快適性が向上する。
【0215】
また、部品点数が抑制され、構成及び製造工程が簡素化される。その結果、シート201のコストを抑制することができ、シート201の座面の硬さを制御する処理がシンプルになる。
【0216】
<<3.変形例>>
以下、上述した本技術の実施の形態の変形例について説明する。
【0217】
図8において、駆動部322をシート201に設ける例を示したが、例えば、シート201の外に設けることも可能である。また、例えば、シート制御部301をシート201に設けることも可能である。この場合、例えば、シート制御部301と通信部321を一体化するようにしてもよい。
【0218】
さらに、例えば、シート制御部301を車両1の外部のサーバ等に設けることも可能である。具体的には、例えば、各種のセンサデータ等を外部に送信し、外部からシート201の硬さを制御することも可能である。
【0219】
例えば、各調整部222のセンサ部323に、荷重計の代わりに圧力計を設けることも可能である。
【0220】
例えば、図6のエアランバー251の代わりに、すなわち、気体を充填する袋状の部材の代わりに、例えば、水等の液体を充填する袋状の部材を用いることも可能である。
【0221】
例えば、センサ部323から供給される各調整部222への荷重を示すセンサデータに基づいて、ユーザの体重の変化を評価するようにすることが可能である。
【0222】
また、本技術は、例えば、上述した車両以外の移動装置、特に、各ユーザに個別にシートが設けられている移動装置のシート、及び、そのシートの硬さの制御処理にも適用することができる。本技術を適用可能な移動装置の例としては、例えば、パーソナルモビリティ、飛行機、ヘリコプター、列車、船舶、建設機械、農業機械(トラクター)等が想定される。
【0223】
<<4.その他>>
<コンピュータの構成例>
上述した一連の処理は、ハードウエアにより実行することもできるし、ソフトウエアにより実行することもできる。一連の処理をソフトウエアにより実行する場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、コンピュータにインストールされる。ここで、コンピュータには、専用のハードウエアに組み込まれているコンピュータや、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどが含まれる。
【0224】
図10は、上述した一連の処理をプログラムにより実行するコンピュータのハードウエアの構成例を示すブロック図である。
【0225】
コンピュータ1000において、CPU(Central Processing Unit)1001,ROM(Read Only Memory)1002,RAM(Random Access Memory)1003は、バス1004により相互に接続されている。
【0226】
バス1004には、さらに、入出力インタフェース1005が接続されている。入出力インタフェース1005には、入力部1006、出力部1007、記録部1008、通信部1009、及びドライブ1010が接続されている。
【0227】
入力部1006は、入力スイッチ、ボタン、マイクロフォン、撮像素子などよりなる。出力部1007は、ディスプレイ、スピーカなどよりなる。記録部1008は、ハードディスクや不揮発性のメモリなどよりなる。通信部1009は、ネットワークインタフェースなどよりなる。ドライブ1010は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、又は半導体メモリなどのリムーバブルメディア1011を駆動する。
【0228】
以上のように構成されるコンピュータ1000では、CPU1001が、例えば、記録部1008に記録されているプログラムを、入出力インタフェース1005及びバス1004を介して、RAM1003にロードして実行することにより、上述した一連の処理が行われる。
【0229】
コンピュータ1000(CPU1001)が実行するプログラムは、例えば、パッケージメディア等としてのリムーバブルメディア1011に記録して提供することができる。また、プログラムは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線または無線の伝送媒体を介して提供することができる。
【0230】
コンピュータ1000では、プログラムは、リムーバブルメディア1011をドライブ1010に装着することにより、入出力インタフェース1005を介して、記録部1008にインストールすることができる。また、プログラムは、有線または無線の伝送媒体を介して、通信部1009で受信し、記録部1008にインストールすることができる。その他、プログラムは、ROM1002や記録部1008に、あらかじめインストールしておくことができる。
【0231】
なお、コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。
【0232】
また、本明細書において、システムとは、複数の構成要素(装置、モジュール(部品)等)の集合を意味し、すべての構成要素が同一筐体中にあるか否かは問わない。したがって、別個の筐体に収納され、ネットワークを介して接続されている複数の装置、及び、1つの筐体の中に複数のモジュールが収納されている1つの装置は、いずれも、システムである。
【0233】
さらに、本技術の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0234】
例えば、本技術は、1つの機能をネットワークを介して複数の装置で分担、共同して処理するクラウドコンピューティングの構成をとることができる。
【0235】
また、上述のフローチャートで説明した各ステップは、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。
【0236】
さらに、1つのステップに複数の処理が含まれる場合には、その1つのステップに含まれる複数の処理は、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。
【0237】
<構成の組み合わせ例>
本技術は、以下のような構成をとることもできる。
【0238】
(1)
座面においてユーザの左臀部が接触すると想定される部分を含む左臀部接触部の硬さを調整する第1の調整部と、
前記座面において前記ユーザの右臀部が接触すると想定される部分を含む右臀部接触部の硬さを調整する第2の調整部と
を備える移動装置用シート。
(2)
前記ユーザの臀部を支持する弾性部材と、
前記弾性部材の下方において前記弾性部材を支持するとともに、前記弾性部材の下方向への変形を抑制する支持部材と
を備え、
前記第1の調整部は、前記左臀部接触部の下方において、前記弾性部材と前記支持部材との間に設けられ、
前記第2の調整部は、前記右臀部接触部の下方において、前記弾性部材と前記支持部材との間に設けられている
前記(1)に記載の移動装置用シート。
(3)
前記第1の調整部は、
気体又は液体の充填量により硬さを調整可能な第1の袋状の部材と、
前記左臀部接触部の下方において、前記第1の袋状の部材の上面に固定されている第1の板状の部材と
を備え、
前記第2の調整部は、
気体又は液体の充填量により硬さを調整可能な第2の袋状の部材と、
前記右臀部接触部の下方において、前記第2の袋状の部材の上面に固定されている第2の板状の部材と
を備える
前記(2)に記載の移動装置用シート。
(4)
前記第1の調整部は、
前記左臀部接触部の下方において略水平に面状に広がり、可撓性を有する第1のシート状の部材と、
前記第1のシート状の部材を面方向に引っ張る力を調整する第1の調整機構と
を備え、
前記第2の調整部は、
前記右臀部接触部の下方において略水平に面状に広がり、可撓性を有する第2のシート状の部材と、
前記第2のシート状の部材を面方向に引っ張る力を調整する第2の調整機構と
を備える
前記(2)に記載の移動装置用シート。
(5)
前記第1の調整部及び前記第2の調整部を個別に駆動し、前記第1の調整部及び前記第2の調整部の硬さを個別に調整する駆動部を
さらに備える前記(1)乃至(4)のいずれかに記載の移動装置用シート。
(6)
外部から制御信号を受信する通信部を
さらに備え、
前記駆動部は、前記制御信号に従って、前記第1の調整部及び前記第2の調整部を駆動する
前記(5)に記載の移動装置用シート。
(7)
前記駆動部を制御することにより、前記第1の調整部及び前記第2の調整部の硬さを個別に制御するシート制御部を
さらに備える前記(5)に記載の移動装置用シート。
(8)
前記座面において前記左臀部接触部及び前記右臀部接触部のみの硬さを調整可能である
前記(1)乃至(7)のいずれかに記載の移動装置用シート。
(9)
ユーザの状態、移動装置の状態、前記移動装置内の状況、及び、前記移動装置の外部の状況のうち少なくとも1つに基づいて、前記移動装置用のシートの座面において前記ユーザの左臀部が接触すると想定される部分を含む左臀部接触部、及び、前記ユーザの右臀部が接触すると想定される部分を含む右臀部接触部の硬さを個別に制御するシート制御部を
備えるシート制御装置。
(10)
前記シート制御部は、前記左臀部接触部及び前記右臀部接触部のうち、前記移動装置に作用する横加速度の方向と逆方向の臀部接触部を硬くする
前記(9)に記載のシート制御装置。
(11)
前記シート制御部は、前記移動装置のヨー方向の旋回が予測された場合、前記左臀部接触部及び前記右臀部接触部のうち、前記移動装置が旋回する方向と逆方向の臀部接触部を硬くする
前記(9)又は(10)に記載のシート制御装置。
(12)
前記シート制御部は、前記移動装置の上下方向の振動が予測された場合、前記左臀部接触部及び前記右臀部接触部を柔らかくする
前記(9)乃至(11)のいずれかに記載のシート制御装置。
(13)
前記シート制御部は、前記移動装置の運転モードに基づいて、前記左臀部接触部及び前記右臀部接触部の硬さを制御する
前記(9)乃至(12)のいずれかに記載のシート制御装置。
(14)
前記シート制御部は、前記移動装置の自動運転中に、前記左臀部接触部及び前記右臀部接触部を柔らかくする
前記(13)に記載のシート制御装置。
(15)
前記シート制御部は、前記ユーザの眠気又は疲れが検知された場合、前記左臀部接触部及び前記右臀部接触部の硬さを変化させる
前記(9)乃至(14)のいずれかに記載のシート制御装置。
(16)
前記シート制御部は、前記ユーザの姿勢に基づいて、前記左臀部接触部及び前記右臀部接触部の硬さのバランスを制御する
前記(9)乃至(15)のいずれかに記載のシート制御装置。
(17)
前記シート制御部は、前記ユーザが着座した後、前記左臀部接触部及び前記右臀部接触部を徐々に柔らかくし、前記ユーザが離席する前に、前記左臀部接触部及び前記右臀部接触部を徐々に硬くする
前記(9)乃至(16)のいずれかに記載のシート制御装置。
(18)
前記シート制御部は、前記移動装置内で再生されているコンテンツに合わせて、前記左臀部接触部及び前記右臀部接触部の硬さを変化させる
前記(9)乃至(17)のいずれかに記載のシート制御装置。
(19)
前記シート制御部は、前記左臀部接触部の硬さを調整する第1の調整部、及び、前記右臀部接触部の硬さを調整する第2の調整部を個別に駆動する駆動部を制御する
前記(9)乃至(18)のいずれかに記載のシート制御装置。
(20)
ユーザの状態、移動装置の状態、前記移動装置内の状況、及び、前記移動装置の外部の状況のうち少なくとも1つに基づいて、前記移動装置用のシートの座面において前記ユーザの左臀部が接触すると想定される部分を含む左臀部接触部、及び、前記ユーザの右臀部が接触すると想定される部分を含む右臀部接触部の硬さを個別に制御する
シート制御方法。
【0239】
なお、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、他の効果があってもよい。
【符号の説明】
【0240】
1 車両, 11 車両制御システム, 30 DMS, 31 HMI, 62 行動計画部, 63 動作制御部, 71 自己位置推定部, 73 認識部, 84 ボディ系制御部, 201 シート, 211 シートクッション, 221 フレーム, 222L,222R 調整部, 231 支持部材, 232 パッド, 233 表皮, 251L,251R エアランバー, 252L,252R プレート, 271L,271R バンド, 272L,272R 固定部材, 273L,273R 巻取り部材, 301 シート制御部, 321 通信部, 322 駆動部, 323 センサ部
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