(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】コネクタ装置
(51)【国際特許分類】
H01R 13/52 20060101AFI20241001BHJP
H01R 13/46 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
H01R13/52 301H
H01R13/46 A
(21)【出願番号】P 2022008652
(22)【出願日】2022-01-24
【審査請求日】2024-05-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中居 和雄
【審査官】片岡 弘之
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-272440(JP,A)
【文献】国際公開第2020/230580(WO,A1)
【文献】特開2017-162594(JP,A)
【文献】特開2005-216614(JP,A)
【文献】特開2008-016262(JP,A)
【文献】特開2009-093896(JP,A)
【文献】特開2015-220169(JP,A)
【文献】特開2022-025642(JP,A)
【文献】特開2022-086057(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/52
H01R 13/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタと、前記コネクタに前方から嵌合可能な相手側コネクタと、を備え、
前記相手側コネクタは、筒状のフードを有し、
前記コネクタは、
前記フード内に嵌合されるハウジング本体を具備するハウジングと、
前記ハウジング本体の外周面に装着されて、前記フードに密着するシール部材と、
を有し、
前記ハウジング本体の外周面に、前記ハウジング本体と前記フードとの間の隙間を詰める突部が設けられ、
前記突部は、前方側から前記シール部材に対向して接触可能である、コネクタ装置。
【請求項2】
前記突部は、
突出方向の先端側に設けられる頂部と、
前記突部の前端から前記頂部にかけて曲面状に連なる曲面と、
を有する、請求項1に記載のコネクタ装置。
【請求項3】
前記突部は、突出方向から見て前記突部の前端から頂部にかけて前方に曲面状に凸となる曲面を有する、請求項1又は請求項2に記載のコネクタ装置。
【請求項4】
前記突部は、頂部から後方に向かうにつれて前記ハウジング本体に近づく傾斜面を有する、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のコネクタ装置。
【請求項5】
前記突部の後端面は、前記ハウジング本体から前記突部の突出方向に沿って配されている、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のコネクタ装置。
【請求項6】
前記突部の後端面は、前記突部の突出方向から見て後方側に曲面状に凸となる曲面である、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のコネクタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されるコネクタは、互いに嵌合可能な雄側ハウジングおよび雌側ハウジングを備えている。雄側ハウジングは、フード部を有している。雌側ハウジングは、端子金具を収容するとともにフード部が外側に嵌められるタワー部を有している。タワー部に装着されるフロントホルダには、フード部の内周面に向けて突出する外側突部が設けられている。
【0003】
特許文献2に開示されるコネクタは、雌ハウジングのインナハウジングの外周にシール部材が取り付けられている。雌端子金具を係止するリテーナには、シール部材を前止まりさせる前止まり部が設けられている。特許文献3に開示されるコネクタでは、雌ハウジングのハウジング本体に、ハウジング本体とは別体でありシール部材を前止まりさせる前壁部材が装着されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-16262号公報
【文献】特開2009-93896号公報
【文献】特開2015-220169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に示すようなコネクタにおいて、防水構造にしようとした場合、特許文献2,3に示すようなシール部材及び抜け止め部材を設ける必要がある。このように、抜け止め部材を設けた上でハウジング間のがたつきを抑える構成を設けることで、構成が複雑になってしまう。
【0006】
そこで、本開示は、簡易な構成で、コネクタのハウジングと相手側コネクタのフードとの間のがたつきを抑えるとともに、シール部材の抜けを抑えることができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のコネクタ装置は、
コネクタと、前記コネクタに前方から嵌合可能な相手側コネクタと、を備え、
前記相手側コネクタは、筒状のフードを有し、
前記コネクタは、
前記フード内に嵌合されるハウジング本体を具備するハウジングと、
前記ハウジング本体の外周面に装着されて、前記フードに密着するシール部材と、
を有し、
前記ハウジング本体の外周面に、前記ハウジング本体と前記フードとの間の隙間を詰める突部が設けられ、
前記突部は、前方側から前記シール部材に対向して接触可能である。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、簡易な構成で、コネクタのハウジングと相手側コネクタのフードとの間のがたつきを抑えるとともに、シール部材の抜けを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施例1のコネクタ装置を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、上側の突部の右側から見た側面図である。
【
図12】
図12は、実施例2のコネクタ装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態を列記して説明する。
本開示のコネクタ装置は、
(1)コネクタと、前記コネクタに前方から嵌合可能な相手側コネクタと、を備え、
前記相手側コネクタは、筒状のフードを有し、
前記コネクタは、
前記フード内に嵌合されるハウジング本体を具備するハウジングと、
前記ハウジング本体の外周面に装着されて、前記フードに密着するシール部材と、
を有し、
前記ハウジング本体の外周面に、前記ハウジング本体と前記フードとの間の隙間を詰める突部が設けられ、
前記突部は、前方側から前記シール部材に対向して接触可能である。
本開示の構成によれば、ハウジング本体と相手側コネクタのフードとの間の隙間が突部によって詰められるため、ハウジング本体と相手側コネクタのフードとの間のがたつきを抑えられる。また、突部が相手側コネクタの嵌合方向の後方側からシール部材に接触することで、ハウジング本体から前方側へのシール部材の抜けを抑えられる。したがって、コネクタ装置は、突部を設ける簡易な構成で、コネクタのハウジングと相手側コネクタのフードとの間のがたつきを抑える機能と、シール部材の抜けを抑える機能と、を兼ね備えることができる。
(2)前記突部は、突出方向の先端側に設けられる頂部と、前記突部の前端から前記頂部にかけて曲面状に連なる曲面と、を有することが好ましい。
この構成によれば、突部の前端側が角張った構成に比べて、シール部材が曲面を乗り越える際に傷つきにくくなる。
(3)前記突部は、突出方向から見て前記突部の前端から頂部にかけて前方に曲面状に凸となる曲面を有することが好ましい。
この構成によれば、突部の前端側が突出方向から見て角張った構成に比べて、シール部材が突部の前端側に接触する際に傷付きにくくなる。
(4)前記突部は、頂部から後方に向かうにつれて前記ハウジング本体に近づく傾斜面を有することが好ましい。
この構成によれば、傾斜面を乗り越えようとするシール部材の変形を緩やかに戻すことができる。
(5)前記突部の後端面は、前記ハウジング本体から前記突部の突出方向に沿って配されていることが好ましい。
この構成によれば、突部の後端面が突部の突出方向に対して傾く構成に比べて、シール部材と前後方向で干渉し易くなり、突部の後端面によってシール部材を前止まりさせやすくなる。
(6)前記突部の後端面は、前記突部の突出方向から見て後方側に曲面状に凸となる曲面であることが好ましい。
この構成によれば、突部の後端が突出方向から見て角張った構成に比べて、シール部材が突部の後端面に後方側から接触する際に傷つきにくくなる。
【0011】
[本開示の実施形態の詳細]
[実施例1]
本開示のコネクタ装置を具体化した実施例1を、
図1~
図11を参照して説明する。本実施例1において、各コネクタの説明における前後方向については、嵌合する相手側のコネクタと向き合う側を前側とする。例えば、
図5の左側(矢印Fが向かう側)を前側とし、右側(矢印Rが向かう側)を後側とする。また、上方及び下方は、
図4、
図5、
図9、
図10の上下方向を基準とする。また、左方及び右方は、
図4の左右方向を基準とする。
【0012】
(コネクタ装置の構成)
実施例1のコネクタ装置10は、
図1、
図2に示すように、コネクタ20と、相手側コネクタ30と、を備えている。相手側コネクタ30は、前方からコネクタ20に嵌合可能である。コネクタ20は、雌型のコネクタである。相手側コネクタ30は、雄型のコネクタである。各コネクタ20,30が嵌合することで、コネクタ20の端子金具70と、相手側コネクタ30の相手側端子金具32とが接続される。
【0013】
(相手側コネクタの構成)
相手側コネクタ30は、
図2に示すように、相手側ハウジング31と、相手側端子金具32と、を有している。相手側ハウジング31は、合成樹脂製である。相手側ハウジング31は、前後方向から見て楕円形の筒状である。相手側ハウジング31の後部は、筒状のフード33を構成している。フード33の内部には、奥壁34(
図10参照)から複数の相手側端子金具32が水平に突出した状態で収容されている。本実施例1では、6つの相手側端子金具32が幅方向(左右方向)に等間隔で並列して配されている。
【0014】
図2に示すように、フード33の上面において、幅方向(左右方向)の中央に、受け部35が突出形成されている。受け部35は、後述するコネクタ20のロックアーム45に係止する。フード33の上面において、受け部35の幅方向両側には、前後方向に長い一対の第1突起部36が設けられている。第1突起部36は、後述するコネクタ20の第1溝部42Aに入り込む。フード33の幅方向両側の側面には、前後方向に長い一対の第2突起部37が設けられている。第2突起部37は、後述するコネクタ20の第2溝部42Bに入り込む。
【0015】
(コネクタの構成)
コネクタ20は、
図2に示すように、ハウジング40と、リテーナ50と、シール部材60と、端子金具70と、を備えている。
【0016】
ハウジング40は、合成樹脂製である。ハウジング40は、相手側コネクタ30の相手側ハウジング31に嵌合可能である。
図2に示すように、ハウジング40は、ハウジング本体41と、外筒部42と、を有している。ハウジング本体41は、各コネクタ20,30の嵌合に伴って、相手側ハウジング31のフード33の内側へ嵌合される。
【0017】
図2、
図10に示すように、ハウジング本体41には、端子金具70を収容するための複数(本実施例1では6つ)のキャビティ43が設けられている。複数のキャビティ43は、幅方向(左右方向)に並列して配されている。
図10に示すように、キャビティ43は、ハウジング本体41を前後方向に貫通して形成されている。キャビティ43の内部には、片持ち状をなすランス44が設けられている。ランス44は、撓み変形可能であり、端子金具70に弾性的に係止することで抜け止め可能となっている。
【0018】
図1、
図5に示すように、ハウジング本体41の上面には、ロックアーム45が設けられている。
図9に示すように、ロックアーム45は、両コネクタ20,30の嵌合時に、嵌合状態をロックする。
図1に示すように、ロックアーム45は、前後方向に沿って延びる一対のアーム46を有している。一対のアーム46は、ハウジング本体41の上面に設けられた左右両側の側壁47にそれぞれ連結されている。図示は省略するが、アーム46は、前後方向の後部寄りの位置において側壁47に連結されている。これにより、ロックアーム45は、側壁47との連結する部分を中心として、上下方向に揺動変位が可能である。両アーム46の前端同士は、ロック部48によって連結されている。
図9に示すように、ロック部48は、受け部35に係止する。両アーム46の後端同士は、操作部49によって連結されている。操作部49を押圧操作することによって、各コネクタ20,30のロック状態を解除することができる。
【0019】
図3に示すように、外筒部42には、第1溝部42Aと、一対の第2溝部42Bと、が設けられている。第1溝部42Aは、外筒部42の内面の上側部分から上方に凹んでいる。一対の第2溝部42Bは、それぞれ外筒部42の内面の左右両側部分から左右方向外側に凹んでいる。第1溝部42Aおよび第2溝部42Bは、前後方向に沿って配されている。第1溝部42Aおよび第2溝部42Bは、各コネクタ20,30の嵌合時に、それぞれ相手側コネクタ30の第1突起部36および第2突起部37をガイドする。
【0020】
図5に示すように、ハウジング本体41と外筒部42は、背壁40Aを介して連なっている。背壁40Aは、ハウジング本体41の後端と外筒部42の後端とに亘って上下方向に沿って配されている。
図8に示すように、背壁40Aの前面において、後述するシール部材60の張出部62に対応する4つの位置に、後方へ凹む凹部40Bが設けられている。
【0021】
リテーナ50は、ハウジング本体41に対して前方側から組み付けられる。
図2に示すように、リテーナ50は、本体部51と、第1支持部52と、前止まり部53と、第2支持部54と、を有している。第1支持部52、前止まり部53、及び第2支持部54は、各キャビティ43に対応して設けられている。本体部51は、幅方向(左右方向)に長い板状である。第1支持部52は、本体部51から上方に突出している。前止まり部53は、第1支持部52の前端から上方に突出している。第2支持部54は、本体部51において第1支持部52の後方に設けられている。第2支持部54は、本体部51の上面から下方に凹んでいる。
図10に示すように、第1支持部52は、端子金具70の箱部71を下方から支持している。第2支持部54は、ランス44に下方から接触することで、ランス44の撓み変形を規制する。前止まり部53は、箱部71に前方から接触することで、端子金具70を前止まりさせる。
【0022】
ハウジング40にリテーナ50が組み付けられることで、端子金具70の前止まりをするとともに、
図3に示すように、各相手側端子金具32の進入を許容するタブ挿通孔55が6つ幅方向(左右方向)に並列して開口している。
【0023】
図2に示すように、シール部材60は、幅方向(左右方向)に長いリング状である。シール部材60は、ハウジング本体41の外周面に組み付けられている。シール部材60は、シール本体61と、4つの張出部62と、を有している。シール本体61は、幅方向(左右方向)に長いリング状である。4つの張出部62は、シール本体61の4つの角部からそれぞれ張り出している。
図9に示すように、各コネクタ20,30の嵌合が完了した状態で、シール部材60は、ハウジング本体41の外周面と、フード33の内周面との間に配されている。シール部材60は、ハウジング本体41およびフード33に密着し、各コネクタ20,30間をシール状態に保持する。
【0024】
シール部材60は、前方側からハウジング本体41に嵌められ、後述する突部90を乗り越えて、ハウジング本体41の外周面の後端側に配される。
図8に示すように、シール部材60は、ハウジング40の背壁40Aの前面によって後ろ止まりする。シール部材60の張出部62は、背壁40Aの凹部40Bに入り込んでいる。
【0025】
図2、
図10に示すように、端子金具70は、全体として前後方向に細長い形状をなす。
図10に示すように、端子金具70は、箱部71と、圧着部72と、を有している。箱部71は、端子金具70の前部を構成している。箱部71は、各筒状である。圧着部72は、オープンバレル状である。圧着部72は、電線73の端末に嵌着されたシール用のゴム栓74に圧着して接続されている。電線73は、キャビティ43からハウジング本体41の後方に引き出されている。
【0026】
(突部の構成)
図3、
図4に示すように、ハウジング本体41の外周面(上面、下面、左右両側面)には、4つの突部90が設けられている。上下の突部90は、ハウジング本体41の幅方向(左右方向)の中央かつ前後方向の前端よりわずかに後方の位置に設けられている。左右の突部90は、上下方向における中央より下方の位置に設けられている。突部90は、前後方向に細長い形状である。
図9~
図11に示すように、突部90は、ハウジング本体41とフード33との間の隙間を詰めている。そのため、ハウジング40と相手側ハウジング31との間のがたつきを抑えられる。これにより、端子金具70と相手側端子金具32との間のがたつきを抑えられる。
【0027】
突部90は、前方側からシール部材60に対向して接触可能である。そのため、ハウジング本体41から前方側へのシール部材60の抜けを抑えられる。したがって、コネクタ20は、突部90を設ける簡易な構成で、ハウジング40と相手側ハウジング31との間のがたつきを抑える機能と、シール部材60の抜けを抑える機能と、を兼ね備えることができる。
【0028】
以下、
図6に示すハウジング本体41の上側の突部90について説明するが、その他の3つの突部90も同様の構成である。
図3、
図4に示すように、突部90の上面は、前後方向から見て上方に凸となる曲面である。すなわち、突部90を前後方向に直交する任意の断面で切断したときに、断面にあらわれる上縁が上方に凸となる円弧状である。
【0029】
図6に示すように、突部90の突出方向(上下方向)の先端側には、頂部91が設けられている。頂部91は、突部90において前後方向の前方側寄りの位置に設けられている。頂部91の上面(頂面)は、前後方向に沿って配されている。頂部91の上面は、前後方向から見て上方に凸となる曲面である。
【0030】
図6に示すように、突部90は、前端92から頂部91にかけて曲面状に連なる曲面93を有する。曲面93は、突部90の前面(前方を向く面)である。曲面93は、幅方向(左右方向)から見て円弧状である。このような構成により、突部90の前端92側が角張った構成に比べて、シール部材60が曲面93を乗り越える際に傷付きにくくなる。
【0031】
図6に示す曲面93の立ち上がり角度αを、幅方向(左右方向)から見たときに現れるハウジング本体41の上縁と曲面93の付け根の上縁とのなす接戦方向の角度とする。角度αは、30°以上60°以下が好ましく、40°以上50°以下がより好ましく、45°がより一層好ましい。
【0032】
図7に示すように、曲面93は、突出方向(上下方向)から見て前端92から頂部91にかけて前方に曲面状に凸となる面でもある。すなわち、曲面93を上下方向に直交する任意の断面で切断したときに、断面にあらわれる前縁が前方に凸となる円弧状である。これにより、突部90の前端92側が突出方向(上下方向)から見て角張った構成に比べて、シール部材60が突部90の前端92側に接触する際に傷付きにくくなる。
【0033】
図6に示すように、突部90は、後端94側に傾斜面95を有する。傾斜面95は、頂部91から後方側に連なり、後方に向かうにつれてハウジング本体41に近づくように後傾している。傾斜面95は、頂部91から後端94まで連なっている。傾斜面95は、前後方向から見て上方に凸となる面でもある。そのため、傾斜面95を乗り越えようとするシール部材60の変形を緩やかに戻すことができる。
【0034】
図6に示す傾斜面95の傾斜角度βを、幅方向(左右方向)から見たときに現れるハウジング本体41の上縁と傾斜面95の上縁とのなす角度とする。角度βは、角度αよりも小さい。角度βは、5°以上45°以下が好ましく、8°以上30°以下がより好ましく、10°以上20°以下がより一層好ましい。
【0035】
図6に示すように、突部90の後端面96は、ハウジング本体41から突部90の突出方向(上下方向)に沿って配されている。そのため、突部90の後端面96が突出方向(上下方向)に対して傾く構成に比べて、シール部材60と前後方向で干渉し易くなり、後端面96によってシール部材60を前止まりさせ易くなる。
【0036】
図7に示すように、突部90の後端面96は、突部90の突出方向(上下方向)から見て後方側に凸となる曲面である。そのため、突部90の後端94が突出方向(上下方向)から見て角張った構成に比べて、シール部材60が突部90の後端面96に後方側から接触する際に傷付きにくくなる。
【0037】
図6に示すように、突部90の前後方向の長さをL1とすると、頂部91は、前端92から後方にL1の半分の距離の範囲内に収まっている。また、ハウジング本体41の外周面からの突部90の突出長さ(ハウジング本体41の外周面と頂部91の頂面との距離)をL2とし、後端94の突出方向(上下方向)の長さをL3とすると、L2はL3の2倍程度である。
【0038】
(実施例1の効果)
実施例1のコネクタ装置10では、ハウジング本体41の外周面に、ハウジング本体41とフード33との間の隙間を詰める突部90が設けられている。突部90は、前方側からシール部材60に対向して接触可能である。この構成によれば、ハウジング本体41とフード33との間の隙間が突部90によって詰められるため、ハウジング40とフード33との間のがたつきを抑えられる。また、突部90が相手側コネクタ30の嵌合方向の後方側からシール部材60に接触することで、ハウジング本体41から前方側へのシール部材60の抜けを抑えられる。したがって、コネクタ装置10は、突部90を設ける簡易な構成で、ハウジング40と相手側ハウジング31との間のがたつきを抑える機能と、シール部材60の抜けを抑える機能と、を兼ね備えることができる。
【0039】
更に、突部90は、突出方向の先端側に設けられる頂部91と、前端92から頂部91にかけて曲面状に連なる曲面93を有する。これにより、突部90の前端92側が角張った構成に比べて、シール部材60が曲面93を乗り越える際に傷つきにくくなる。
【0040】
更に、突部90は、突出方向から見て前端92から頂部91にかけて前方に曲面状に凸となる曲面93を有する。これにより、突部90の前端92側が突出方向から見て角張った構成に比べて、シール部材60が突部90の前端92側に接触する際に傷付きにくくなる。
【0041】
更に、突部90は、頂部91から後方に向かうにつれてハウジング本体41に近づく傾斜面95を有する。これにより、傾斜面95を乗り越えようとするシール部材60の変形を緩やかに戻すことができる。
【0042】
更に、突部90の後端面96は、ハウジング本体41から突部90の突出方向に沿って配されている。これにより、突部90の後端面96が突部90の突出方向に対して傾く構成に比べて、シール部材60と前後方向で干渉し易くなり、突部90の後端面96によってシール部材60を前止まりさせやすくなる。
【0043】
更に、突部90の後端面96は、突部90の突出方向から見て後方側に曲面状に凸となる曲面である。これにより、突部90の後端が突出方向から見て角張った構成に比べて、シール部材60が突部90の後端面96に後方側から接触する際に傷つきにくくなる。
【0044】
[実施例2]
図12~
図15は、実施例2のコネクタ装置210を説明する図面である。実施例2は、主に端子金具および相手側端子金具が一組設けられている点で実施例1と異なっている。
【0045】
図12に示すように、実施例2のコネクタ装置210は、コネクタ220と、相手側コネクタ230と、を備えている。相手側コネクタ230は、1つの相手側コネクタを有する。
図13に示すように、コネクタ220は、実施例1のコネクタ20のハウジング40、リテーナ50、シール部材60、および端子金具70と同様の機能を有するハウジング240、リテーナ250、シール部材260、および端子金具270を有する。コネクタ220は、一つの端子金具270を有する。
【0046】
図13に示すように、ハウジング本体241の上面、下面、左側面、右側面には、それぞれ突部290、突部390、突部490、突部490が設けられている。突部290,390,490は、ハウジング本体241とフード233との間の隙間を詰めている。突部290,390,490は、前方側からシール部材260に対向して接触可能である。突部290の上面は、前後方向から見て上方に曲面状に凸となる曲面である。
図14に示すように、突部90の後部が頂部291になっている。頂部291の上面(頂面)は、前後方向に沿って配されている。頂部291の上面は、前後方向から見て上方に曲面状に凸となる曲面である。
【0047】
図15に示すように、突部290は、前端292から頂部291にかけて曲面状に連なる曲面293を有する。曲面293は、幅方向(左右方向)から見て円弧状である。
図14に示すように、曲面293は、突出方向(上下方向)から見て前端292から頂部291にかけて前方に凸となる面でもある。
図14、
図15に示すように、突部290の後端面296は、ハウジング本体241から突部290の突出方向(上下方向)に沿って配されている。
【0048】
図15に示すように、下側の突部390は、実施例1の突部90の頂部91、曲面93、傾斜面95、後端面96と同様の構成の頂部391、曲面393、傾斜面395、後端面396、を有している。左右の突部490は、実施例1の突部90と同様の構成となっている。
【0049】
[他の実施例]
本発明は、上記記述及び図面によって説明した実施例1,2に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示される。本発明には、特許請求の範囲と均等の意味及び特許請求の範囲内でのすべての変更が含まれ、下記のような実施形態も含まれることが意図される。
上記実施例1において、ハウジング40に幅方向に並ぶ一段のキャビティ43の列が設けられていたが、上下複数段のキャビティ43を並べた構成であってもよい。
上記実施例1において、頂部91が突部90の前方側寄りの位置に設けられていたが、その他の位置(前後方向の中央、後方側寄りの位置など)に設けられていてもよい。
上記実施例1,2において、頂部の上面(頂面)が前後方向に沿って配されていたが、先細り形状や、前後方向に対して傾斜する形状であってもよい。
【符号の説明】
【0050】
10…コネクタ装置
20…コネクタ
30…相手側コネクタ
31…相手側ハウジング
32…相手側端子金具
33…フード
34…奥壁
35…受け部
36…第1突起部
37…第2突起部
40…ハウジング
40A…背壁
40B…凹部
41…ハウジング本体
42…外筒部
42A…第1溝部
42B…第2溝部
43…キャビティ
44…ランス
45…ロックアーム
46…アーム
47…側壁
48…ロック部
49…操作部
50…リテーナ
51…本体部
52…第1支持部
53…前止まり部
54…第2支持部
55…タブ挿通孔
60…シール部材
61…シール本体
62…張出部
70…端子金具
71…箱部
72…圧着部
73…電線
74…ゴム栓
90…突部
91…頂部
92…前端
93…曲面
94…後端
95…傾斜面
96…後端面
210…コネクタ装置
220…コネクタ
230…相手側コネクタ
233…フード
240…ハウジング
241…ハウジング本体
250…リテーナ
260…シール部材
270…端子金具
290…突部
291…頂部
292…前端
293…曲面
296…後端面
390…突部
391…頂部
393…曲面
395…傾斜面
396…後端面
490…突部