(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】荷室収容状態検出システム、荷室収容状態検出プログラム、および荷室収容状態検出方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/083 20240101AFI20241001BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20241001BHJP
B62D 33/04 20060101ALI20241001BHJP
B60R 1/29 20220101ALI20241001BHJP
B65G 61/00 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
G06Q10/083
G06T7/00 350B
B62D33/04 Z
B60R1/29
B65G61/00 520
(21)【出願番号】P 2022074491
(22)【出願日】2022-04-28
【審査請求日】2023-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】椿 裕太
(72)【発明者】
【氏名】松田 智裕
【審査官】大野 朋也
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-060451(JP,A)
【文献】特開2005-233643(JP,A)
【文献】特開2021-189666(JP,A)
【文献】国際公開第2020/043350(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0017502(US,A1)
【文献】国際公開第2020/100955(WO,A1)
【文献】特開2021-082195(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G06T 7/00
B62D 33/04
B60R 1/29
B65G 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷室内における荷物の収容状態を検出する荷室収容状態検出システムであって、
収容された前記荷物が視認可能な状態での前記荷室の全体を、予め定められた撮像方向に撮像して得られる画像を取得する画像取得部と、
コーナー検出用学習済みモデルを用いて、前記画像取得部により取得された前記画像から前記荷室の複数のコーナーを検出するコーナー検出部であって、前記コーナー検出用学習済みモデルは、機械学習用に取得された前記画像に対して前記撮像方向に見たときに矩形状をなす前記荷室の前記複数のコーナーのうち少なくとも互いに対角上にある2つのコーナーの位置をラベリングして得られた教師画像データを用いて学習されている、コーナー検出部と、
前記荷室内における前記荷物の位置に関する情報を含む荷物情報を取得する荷物情報取得部と、
前記荷室における互いに対角上にある前記2つのコーナーの位置情報である対角コーナー位置情報と、前記荷物情報取得部により取得された前記荷物情報と、を用いて、前記荷室全体の範囲を算出する荷室算出部と、
を備える、荷室収容状態検出システム。
【請求項2】
前記機械学習用に取得された前記画像に対して、前記撮像方向に見たときの前記荷室全体をラベリングした教師画像データを用いて学習された荷室全体検出用学習済みモデルを用いて、前記画像取得部により取得された前記画像から前記荷室全体を検出する荷室全体検出部をさらに備え、
前記荷室算出部は、
前記2つのコーナーのうち、前記コーナー検出部により検出されなかった前記コーナーの位置情報については、前記荷室全体検出部により検出された前記荷室全体の位置情報を用いて補完することにより前記対角コーナー位置情報を取得する、請求項1に記載の荷室収容状態検出システム。
【請求項3】
前記荷物情報は、前記撮像方向に見たときに前記荷室内に収容された前記荷物の全体を含む矩形状をなす仮想的な部位である全体荷物外形部の位置情報を含み、
前記荷室算出部は、
前記全体荷物外形部が、前記対角コーナー位置情報を用いて取得される矩形状をなす前記荷室の外形よりも外側に存在する場合には、当該外側に存在する部位を含むように拡張された前記外形を前記荷室全体の範囲として算出し、
前記全体荷物外形部が、前記対角コーナー位置情報を用いて取得される矩形状をなす前記荷室の前記外形よりも外側に存在しない場合には、前記対角コーナー位置情報を用いて取得される矩形状をなす前記荷室の外形を前記荷室全体の範囲として算出する、請求項2に記載の荷室収容状態検出システム。
【請求項4】
前記荷室内における前記荷物の積載率を算出する積載率算出部をさらに備え、
前記荷物情報は、前記荷物の寸法に関する情報を含み、
前記積載率算出部は、
前記荷物情報取得部により取得され、前記撮像方向に見たときの前記荷室内の全ての前記荷物の合計の面積を、前記荷室算出部により検出された前記荷室の範囲の面積で除算することにより前記積載率を算出する、請求項1~請求項3のうちいずれか一項に記載の荷室収容状態検出システム。
【請求項5】
前記荷物情報は、前記荷物の特徴量を機械学習させた荷物検出用学習済みモデルを用いて、前記画像取得部により取得された前記画像から検出される請求項1~請求項3のうちいずれか一項に記載の荷室収容状態検出システム。
【請求項6】
前記荷室は、運搬車両の荷台上に設けられる荷室である請求項1~請求項3のうちいずれか一項に記載の荷室収容状態検出システム。
【請求項7】
荷室内における荷物の収容状態を検出する荷室収容状態検出プログラムであって、
積載された前記荷物が視認可能な状態での前記荷室の全体を、予め定められた撮像方向に撮像して得られる画像を取得する機能と、
機械学習用に取得された前記画像に対して、前記撮像方向に見たときに矩形状をなす前記荷室の複数のコーナーのうち少なくとも互いに対角上にある2つのコーナーの位置をラベリングした教師画像データを用いて学習されたコーナー検出用学習済みモデルを用いて、取得された前記画像から前記荷室の前記複数のコーナーを検出する機能であって、前記コーナー検出用学習済みモデルは、機械学習用に取得された前記画像に対して前記撮像方向に見たときに矩形状をなす前記荷室の複数のコーナーのうち少なくとも互いに対角上にある2つのコーナーの位置をラベリングして得られた教師画像データを用いて学習されている、機能と、
前記荷室内における前記荷物の位置に関する情報を含む荷物情報を取得する機能と、
前記荷室における互いに対角上にある前記2つのコーナーの位置情報である対角コーナー位置情報と、前記荷物情報と、を用いて、前記荷室全体の範囲を算出する機能と、
を、コンピュータに実現させる荷室収容状態検出プログラム。
【請求項8】
荷室収容状態検出システムを用いて、荷室内における荷物の収容状態を検出する荷室収容状態検出方法であって、
前記荷室収容状態検出システムは、画像取得部と、コーナー検出部と、荷物情報取得部と、荷室算出部と、
を備え、
前記画像取得部により、積載された前記荷物が視認可能な状態での前記荷室の全体を、予め定められた撮像方向に撮像して得られる画像を取得する画像取得工程と、
前記コーナー検出部により、コーナー検出用学習済みモデルを用いて、前記画像取得部により取得された前記画像から前記荷室の複数のコーナーを検出するコーナー検出工程であって、前記コーナー検出用学習済みモデルは、機械学習用に取得された前記画像に対して前記撮像方向に見たときに矩形状をなす前記荷室の前記複数のコーナーのうち少なくとも互いに対角上にある2つのコーナーの位置をラベリングして得られた教師画像データを用いて学習されている、コーナー検出工程と、
前記荷物情報取得部により、前記荷室内における前記荷物の位置に関する情報を含む荷物情報を取得する荷物情報取得工程と、
前記荷室算出部により、前記荷室における互いに対角上にある前記2つのコーナーの位置情報である対角コーナー位置情報と、前記荷物情報取得部により取得された荷物情報と、を用いて、前記荷室全体の範囲を算出する荷室算出工程と、
を備える、荷室収容状態検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、荷室収容状態検出システム、荷室収容状態検出プログラム、および荷室収容状態検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の車両荷物状態検出装置では、トラックの荷台に設けられた荷室内をカメラにより撮影し、取得された荷室の内部画像から荷室内の空きスペースを検出し、検出した空きスペースに基づいて荷室内の積載率を算出することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記車両荷物状態検出装置の場合、空きスペースの大きさについてはカメラ画像を用いて算出するものの、荷室内の全体の大きさについては、例えば予め車種毎にデータベース化しておく必要があり、煩雑であった。そこで、本願発明者らは、機械学習モデルを用いた画像解析により、カメラ画像から荷物の大きさに加えて荷室全体の大きさを特定することで、荷室内における荷物の収容状態を検出するシステムを検討している。そして、本願発明者らは、このようなシステムにおいては、例えば日差しの映り込みの有無など、機械学習時の荷室周辺の環境と、荷室内における荷物の収容状態を検出する時の荷室周辺の環境とが異なることに起因して、画像解析による検出精度が悪くなるという問題を見いだした。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
【0006】
(1)本開示の一形態によれば、荷室収容状態検出システムが提供される。この荷室収容状態検出システムは、荷室内における荷物の収容状態を検出する荷室収容状態検出システムであって、収容された前記荷物が視認可能な状態での前記荷室の全体を、予め定められた撮像方向に撮像して得られる画像を取得する画像取得部と、コーナー検出用学習済みモデルを用いて、前記画像取得部により取得された前記画像から前記荷室の複数のコーナーを検出するコーナー検出部であって、前記コーナー検出用学習済みモデルは、機械学習用に取得された前記画像に対して前記撮像方向に見たときに矩形状をなす前記荷室の前記複数のコーナーのうち少なくとも互いに対角上にある2つのコーナーの位置をラベリングして得られた教師画像データを用いて学習されている、コーナー検出部と、前記荷室内における前記荷物の位置に関する情報を含む荷物情報を取得する荷物情報取得部と、前記荷室における互いに対角上にある前記2つのコーナーの位置情報である対角コーナー位置情報と、前記荷物情報取得部により取得された前記荷物情報と、を用いて、前記荷室全体の範囲を算出する荷室算出部と、を備える。
この形態の荷室収容状態検出システムによれば、荷室算出部により、互いに対角上にある2つのコーナーの位置情報である対角コーナー位置情報と、荷物の位置に関する情報を含む荷物情報と、を用いて、荷室全体の範囲を算出する。対角コーナー位置情報のみでなく、荷物情報としての荷物の位置情報を組み合わせることで、例えば、荷物の位置が荷室の外に存在することはありえないため、これらの位置情報を比較してより正しい範囲に近づけるように補正することができ、荷室の範囲の算出精度を向上させることができる。
(2)上記形態の荷室収容状態検出システムにおいて、前記機械学習用に取得された前記画像に対して、前記撮像方向に見たときの前記荷室全体をラベリングした教師画像データを用いて学習された荷室全体検出用学習済みモデルを用いて、前記画像取得部により取得された前記画像から前記荷室全体を検出する荷室全体検出部をさらに備え、前記荷室算出部は、前記2つのコーナーのうち、前記コーナー検出部により検出されなかった前記コーナーの位置情報については、前記荷室全体検出部により検出された前記荷室全体の位置情報を用いて補完することにより前記対角コーナー位置情報を取得してもよい。
この形態の荷室収容状態検出システムによれば、荷室算出部による荷室の算出において、コーナー検出部により検出されなかったコーナーの位置情報については、荷室全体検出部により検出された荷室全体の位置情報を用いて補完することで対角コーナー位置情報を取得する。このため、例えばコーナー検出部により互いに対角上にある2つのコーナーを検出できなかった場合でも、荷室全体検出部により検出された荷室全体の位置情報を用いて荷室全体の範囲を算出することができるので、例えば、荷室算出の処理がコーナー不検出で中断し、再度最初から同じ処理が繰り返されることが頻繁に発生することを回避できる。
(3)上記形態の荷室収容状態検出システムにおいて、前記荷物情報は、前記撮像方向に見たときに前記荷室内に収容された前記荷物の全体を含む矩形状をなす仮想的な部位である全体荷物外形部の位置情報を含み、前記荷室算出部は、前記全体荷物外形部が、前記対角コーナー位置情報を用いて取得される矩形状をなす前記荷室の外形よりも外側に存在する場合には、当該外側に存在する部位を含むように拡張された前記外形を前記荷室全体の範囲として算出し、前記全体荷物外形部が、前記対角コーナー位置情報を用いて取得される矩形状をなす前記荷室の前記外形よりも外側に存在しない場合には、前記対角コーナー位置情報を用いて取得される矩形状をなす前記荷室の外形を前記荷室全体の範囲として算出してもよい。
この形態の荷室収容状態検出システムによれば、荷室算出部は、全体荷物外形部が、対角コーナー位置情報を用いて取得される矩形状をなす荷室の外形よりも外側に存在する場合には、当該外側に存在する部位を含むように拡張された外形を前記荷室全体の範囲として算出する。そして、全体荷物外形部が、対角コーナー位置情報を用いて取得される矩形状をなす荷室の前記外形よりも外側に存在しない場合には、対角コーナー位置情報を用いて取得される矩形状をなす荷室の外形を荷室全体の範囲として算出する。
すなわち、具体的には、画像解析による検出が比較的容易な荷物情報を参酌して、荷物が見切れるような荷室の範囲が算出されないように、対角コーナー位置情報により構成される矩形状をなす荷室の範囲を、全体荷物外形部を含む領域となるように補正できる。このため、荷室の範囲の算出精度をさらに向上させることができる。
(4)上記形態の荷室収容状態検出システムにおいて、前記荷室内における前記荷物の積載率を算出する積載率算出部をさらに備え、前記荷物情報は、前記荷物の寸法に関する情報を含み、前記積載率算出部は、前記荷物情報取得部により取得され、前記撮像方向に見たときの前記荷室内の全ての前記荷物の合計の面積を、前記荷室算出部により検出された前記荷室の範囲の面積で除算することにより前記積載率を算出してもよい。この形態の荷室収容状態検出システムによれば、精度良く算出された荷室全体の範囲と、荷物情報とを用いて、積載率算出部により正確に積載率を算出できる。
(5)上記形態の荷室収容状態検出システムにおいて、前記荷物情報は、前記荷物の特徴量を機械学習させた荷物検出用学習済みモデルを用いて、前記画像取得部により取得された前記画像から検出されてもよい。この形態の荷室収容状態検出システムによれば、荷室収容状態検出のための荷物情報を、荷物検出用学習済みモデルを用いて好適に検出できる。
(6)上記形態の荷室収容状態検出システムにおいて、前記荷室は、運搬車両の荷台上に設けられる荷室であってもよい。この形態の荷室収容状態検出システムによれば、運搬車両の荷台上に設けられる荷室における荷物の収容状態を検出できる。検出された収容状態から、例えばトラック等の運搬車両の荷室に、あとどのくらいの量の荷物が積めるのか、または、どの地点においてどのくらいの量の荷物が積載されたか、といった情報を得ることができる。
なお、本開示は、荷室収容状態検出システム以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、荷室収容状態検出方法、荷室収容状態検出プログラム、かかるプログラムを記憶した一時的でない記録媒体等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本開示の第1実施形態における荷室収容状態検出システムのハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図2】荷室収容状態検出システムの機能構成を示すブロック図である。
【
図3】荷室を備える車両を模式的に示す側面図である。
【
図4】荷室収容状態検出方法の処理手順を示すフローチャートである。
【
図5】コーナー検出における画像処理を説明するための図である。
【
図6】荷物検出における画像処理を説明するための図である。
【
図7】荷室算出工程における処理手順を示すフローチャートである。
【
図8】荷室算出工程における画像処理の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
A.第1実施形態:
本開示の第1実施形態の荷室収容状態検出システム10および荷室収容状態検出方法について、
図1~
図8を参照して説明する。
A1.荷室収容状態検出システム10の構成:
[荷室収容状態検出システム10のハードウェア構成]
図1は、本開示の第1実施形態における荷室収容状態検出システム10のハードウェア構成を示すブロック図である。なお、本実施形態の荷室収容状態検出システム10は、スマートフォンやタブレットなどの撮影機能を有する携帯端末12を含んで構成されている。第1実施形態の荷室収容状態検出システム10は、後述する車両が備える荷室および荷室内の荷物を検出し、荷室内において荷物が占める割合である積載率を算出する。車両の構成および積載率算出の詳細については後述する。本実施形態では、携帯端末12に予め専用のアプリケーションをインストールした状態で、アプリケーションを起動させることによって荷室収容状態検出システム10を利用することができる。
【0009】
図1に示すように、携帯端末12には制御部14が設けられている。制御部14は、CPU(Central Processing Unit:プロセッサ)16、ROM(Read Only Memory)18、RAM(Random Access Memory)20、記憶部としてのストレージ22、通信インタフェース24及び入出力インタフェース26を含んで構成されている。各構成は、バス28を介して相互に通信可能に接続されている。
【0010】
CPU16は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU16は、ROM18又はストレージ22からプログラムを読み出し、RAM20を作業領域としてプログラムを実行する。CPU16は、ROM18又はストレージ22に記録されているプログラムに従って、上記各構成の制御および各種の演算処理を行う。ストレージ22には、荷室収容状態検出プログラムが記憶されている。
【0011】
また、ストレージ22には、荷室を含む画像から、荷室のコーナーを検出するコーナー検出用学習済みモデルが記憶されている。このコーナー検出用学習済みモデルは、荷室の全体を含む機械学習用に取得された画像に対して、撮像方向に見たときの荷室の複数のコーナーのうち少なくとも互いに対角上にある2つのコーナーの位置をラベリングした教師画像データを用いて機械学習により生成されたものである。ラベリングとは、画像から得られる大量の生データにおいて、ラベル付けを行う機械学習上の処理であり、本実施形態では、コーナーの位置を示すラベルを、コーナーの位置に該当する座標に対応づけることを意味する。このコーナー検出用学習済みモデルでは、例えば左上と右下のコーナーを含む複数のコーナーの位置を検出することができる。
【0012】
さらに、ストレージ22には、荷物を含む荷室の画像から、荷物を検出する荷物検出用学習済みモデルが記憶されている。この荷物検出学習済みモデルは、荷室の全体を含む画像に対して、荷物の特徴量を機械学習させたモデルである。荷物の特徴量とは、例えば、鉄やプラスチック、段ボールなどの紙等、荷物の材質によって異なる明るさなどである。荷物検出用学習済みモデルでは、こうした荷物の特徴量を基に、複数の荷物の寸法を示す外形形状を検出することができる。
【0013】
さらに、ストレージ22には、荷室を含む画像から、荷室全体を検出する荷室全体検出用学習済みモデルが記憶されている。この荷室全体検出用学習済みモデルは、荷室の全体を含む機械学習用に取得された画像に対して、撮像方向に見たときの荷室全体の位置をラベリングした教師画像データを用いて機械学習により生成されたものである。この点が、コーナーの位置をラベリングした上記コーナー検出用学習済みモデルとは異なる。荷室全体検出用学習済みモデルでは、荷室全体の位置として、例えば左上と右下のコーナーの位置を検出することができる。
【0014】
なお、荷室全体検出用学習済みモデルでは、コーナー検出用学習済みモデルを用いてコーナーの位置を検出する場合と比較して、画像解析による検出精度が劣ることがある。これは、学習時に荷室全体の位置をラベリングしているため、教師データとして用いられる多数の画像において、画像内における荷室の位置が互いにずれていることや、荷室に積まれた荷物の大きさ、形、積載順序が多種多様であることが外乱となるためである。そこで、第1実施形態では、基本的には、コーナー検出用学習済みモデルを用いてコーナーの位置を検出し、検出できなかったコーナーについては荷室全体検出用学習済みモデルを用いて検出されたコーナーの位置を適宜補完して、荷室の範囲を切り抜くようにしている。詳細については、後述する。
【0015】
ROM18は、各種プログラムおよび各種データを格納する。RAM20は、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。ストレージ22は、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)により構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、及び各種データを格納する。本実施形態では、ROM18及びストレージ22には、積載率算出処理を行うためのプログラム、及び車両に関するデータを含む各種データなどが格納されている。
【0016】
通信インタフェース24は、荷室収容状態検出システム10が図示しないサーバ及び他の機器と通信するためのインタフェースであり、たとえば、イーサネット(登録商標)、LTE、FDDI、Wi-Fi(登録商標)などの規格が用いられる。
【0017】
入出力インタフェース26には、表示部としての表示画面30、マイク32、スピーカ34及びカメラ36が接続されている。表示画面30は、携帯端末12に設けられており、利用者に対して種々の情報を表示させる。また、表示画面30には、後述するカメラ36で撮像された画像データが表示される。なお、本実施形態では一例として、表示画面30はタッチパネル式となっており、表示画面30に表示された内容をタッチすることで入力が受け付けられるように構成されている。
【0018】
マイク32及びスピーカ34はそれぞれ、携帯端末12に設けられており、利用者が通話を行う際などに使用される。また、マイク32は、利用者が音声で指示を出す際にも用いることができ、スピーカ34は、利用者に対して音声で通知を行う際にも用いることができる。カメラ36は、携帯端末12に設けられており、カメラ36で撮像された画像データが表示画面30に表示されるように構成されている。
【0019】
[荷室収容状態検出システム10の機能構成]
荷室収容状態検出システム10は、上記のハードウェア資源を用いて、各種の機能を実現する。荷室収容状態検出システム10が実現する機能構成について、
図2を参照して説明する。
図2は、荷室収容状態検出システム10の機能構成を示すブロック図である。なお、各機能構成は、CPU16がストレージ22に記憶されたプログラムを読み出し、これを実行することによって実現される。
【0020】
図2に示されるように、荷室収容状態検出システム10は、画像取得部41と、コーナー検出部42と、荷物情報取得部43と、荷室全体検出部44と、荷室算出部45と、積載率算出部46と、学習部47と、を含む機能構成を有する。画像取得部41は、カメラ36により、検出対象の荷室全体を含む画像を取得する。この画像は、積載された荷物が視認可能な状態での荷室の全体を、予め定められた撮像方向に撮像して得られる。
【0021】
コーナー検出部42は、ストレージ22に記憶されたコーナー検出用学習済みモデルを用いて、画像取得部41により取得された荷室の画像から、荷室のコーナーを検出する。また、コーナー検出部42は、検出されたコーナーの位置情報を出力する。コーナーの位置情報の出力に関する詳細については後述する。
【0022】
荷物情報取得部43は、ストレージ22に記憶された荷物検出用学習済みモデルを用いて、画像取得部41により取得された荷室の画像から、荷室内の荷物情報を検出する。荷物情報は、荷室内の荷物の位置に関する情報と、荷室内の荷物の寸法に関する情報とを含む。さらに、荷物情報は、全体荷物外形部の位置情報を含む。本実施形態において、「全体荷物外形部」とは、荷室内に収容された複数の荷物のうち、撮像方向に見たときに視認可能な荷物全体を仮想的に一つの荷物(以下、「全体荷物」)と捉えて、かかる全体荷物の撮像方向に見たときの外形がすべて含まれる平面視矩形の部位を意味する。
【0023】
荷室全体検出部44は、ストレージ22に記憶された荷室全体検出用学習済みモデルを用いて、画像取得部41により取得された荷室の画像から、荷室全体を検出する。また、荷室全体検出部44は、検出された荷室全体から、コーナーの位置情報を出力する。
【0024】
荷室算出部45は、コーナー検出部42または荷室全体検出部44により検出されたコーナーの位置情報を用いて、荷室の範囲を検出する。具体的には、荷室算出部45は、互いに対角上にある2つのコーナーの位置情報(以下、「対角コーナー位置情報」ともいう)を抽出し、対角コーナー位置情報を用いて荷室の範囲を数値出力し、さらに画像から荷室の範囲を部分画像として切り抜く機能を有する。
【0025】
積載率算出部46は、荷室内における荷物の積載率を算出する。具体的には、荷室算出部45により検出された荷室の範囲と、荷物情報取得部43により取得された荷室内の荷物情報とを用いて、積載率を算出する。学習部47は、撮影されたコーナーや荷物などの画像を元に、ニューラルネットワークを活用し、AIモデルを作成する。なお、各機能部の具体的な処理については、後述の荷室収容状態検出方法において詳細に説明する。
【0026】
[車両50の構成]
図3は、荷室51を備える運搬車両50(以下、単に「車両50」という。)を模式的に示す側面図である。次に、上記荷室収容状態検出システム10の検出対象となる荷室51を備える車両50の構成について説明する。車両50は、例えば、多量の荷物52を積載して搬送するトラックである。
【0027】
図3に示すように、荷室51は、車両50の運転室58の後方に位置し、荷台57上に形成されている。荷室51は、荷物52の運搬時において、車両50の前後方向(
図3に示す左右方向)の側壁53,54、進行方向に対して右側の側壁55、さらに、進行方向に対して左側に位置する下部扉56および図示しない上部扉により覆われている。
【0028】
上部扉は、例えば、左側壁および天井の一部が、断面略L字形状の一体の扉となって、上方に回転して荷室51を開口する。下部扉56は、荷台57の底位置から下方に回転して荷室51を開口する。下部扉56および上部扉を開放した状態では、車両50の左側方から、荷室51の4つのコーナーの位置を含む荷室51全体を撮像することが可能である。換言すると、積載された荷物52が視認可能な状態で、荷室51全体を含む画像を取得可能である。本実施形態では、予め定められた撮像方向は、
図3に示すように、車両50の左側方から荷室51を見る方向と一致する。荷室51の外形形状は、撮像方向に見て矩形状である。
【0029】
A2.荷室収容状態検出システム10による荷室収容状態検出方法:
次に、上記荷室収容状態検出システム10により実行される荷室収容状態検出方法について、
図4~
図8を参照して説明する。
図4は、荷室収容状態検出方法の処理手順を示すフローチャートである。
図4に示すように、荷室収容状態検出方法は、画像取得工程(ステップ100、以下「ステップ」を「S」と略す。)と、コーナー検出工程(S200)と、荷物情報取得工程(S300)と、荷室全体検出工程(S400)と、荷室算出工程(S500)と、積載率算出工程(S600)と、を含み、これらの各工程が順に実行される。
【0030】
画像取得工程(S100)では、システムの利用者がカメラ36で荷室51全体を撮影することで、画像取得部41の機能により、荷室51全体を含む画像Ia(
図3参照、以下、単に「荷室51の全体画像Ia」ともいう。)が取得される。コーナー検出工程(S200)では、コーナー検出部42により、画像取得工程(S100)において取得された荷室51の全体画像Ia(
図3,
図5参照)から、コーナー検出用学習済みモデルを用いて、荷室51の4つのコーナーが検出される。
【0031】
図5は、コーナー検出における画像処理を説明するための図である。
図5に示すように、コーナー検出工程(S200)では、荷室51の4つのコーナーIc1,Ic2,Ic3,Ic4が検出される。
図5において、各コーナーIc1,Ic2,Ic3,Ic4を、二点鎖線の枠で囲んで図示している。本実施形態において、「コーナー」とは、荷室51を表す矩形の四隅の頂点のみならず、かかる頂点を端点とする互いに略直角に交わる2つの線分の一部を含んだ矩形を意味する。
【0032】
さらに、具体的には、コーナー検出工程(S200)では、各コーナーIc1,Ic2,Ic3,Ic4の位置情報が取得される。
図5において、水平方向をX軸とし、X軸に垂直に交わる垂直方向をY軸としたとき、例えば「コーナーIc1の位置情報」とは、
図5に示す「コーナー点C1のX,Y座標」である。ここで、左上コーナー点C1のX,Y座標を(X1,Y1)とし、右下コーナー点C2のX,Y座標を(X2,Y2)とし、左下コーナー点C3のX,Y座標を(X1,Y2)とし、右上コーナー点C4のX,Y座標を(X2,Y1)とする。本実施形態において、コーナー点C1,C2,C3,C4を、矩形の各コーナーIc1,Ic2,Ic3,Ic4の中心座標と定義する。各コーナー点C1,C2,C3,C4のX,Y座標が、「コーナーIc1,Ic2,Ic3,Ic4の位置情報」として算出される。
【0033】
荷物情報取得工程(S300)では、荷物情報取得部43により、画像取得工程(S100)において取得された荷室51の全体画像Iaから、荷物検出用学習済みモデルを用いて、荷室51内の荷物情報が検出される。
図6は、荷物検出における画像処理を説明するための図であり、検出された荷物52の画像Ibを示す図である。
図6において、各荷物52の画像Ibを、二点鎖線の枠で囲んで図示している。
図6に示すように、荷物情報取得工程(S300)では、複数の荷物52の画像Ibとして、それぞれの荷物52の外形形状が検出される。
【0034】
さらに、荷物情報取得工程(S300)では、荷室51内に収容された複数の荷物52の全体の位置情報である全体荷物外形部の位置情報が取得される。全体荷物外形部は、
図6において一点鎖線で示すように、撮像方向に見たときに荷室内に収容された荷物52の全体を含む矩形状をなす画像Icである。具体的には、画像Icの4つの角部61,62,63,64の座標が、「全体荷物外形部の位置情報」として算出される。なお、実際には、複数の荷物の間には、荷物積載用の台状のスキッドが介在されることがあり、この場合は、スキッドを含めた全体を「全体荷物外形部」とみなして算出することができる。
【0035】
荷室全体検出工程(S400)では、荷室全体検出部44により、画像取得工程(S100)において取得された荷室51の全体画像Iaから、荷室全体検出用学習済みモデルを用いて、荷室51が検出される。具体的には、荷室全体の位置情報として、上記コーナー検出工程(S200)と同様に、検出された荷室51の4つのコーナーIc1,Ic2,Ic3,Ic4の位置情報、すなわち、コーナー点C1,C2,C3,C4のX,Y座標が算出される。なお、コーナー検出部42により検出されるコーナーおよびコーナー点と、荷室全体検出部44により検出されるコーナーおよびコーナー点とは、厳密には異なるが、便宜状、図面および本明細書においては同様の符号を付して説明する。
【0036】
荷室算出工程(S500)では、荷室算出部45により、対角上の2点のコーナー点のX,Y座標から、荷室51の外形ライン(荷室51の画像Ir、
図6参照)を抽出する。基本的には、左上コーナー点C1(X1,Y1)と右下コーナー点C2(X2,Y2)を対角とする矩形状の画像を荷室51の外形として切り抜く。ただし、検出できたコーナーに応じて、左下コーナー点C3(X1,Y2)と右上コーナー点C4(X2,Y1)を対角とする矩形状の画像を荷室51の外形として切り抜いてもよい。以下、
図7を参照して荷室算出工程(S500)の詳細について説明する。
【0037】
図7は、荷室算出工程(S500)において荷室算出部45が実行する処理手順を示すフローチャートである。
図7に示すように、荷室算出工程(S500)では、まずS501において、コーナー検出部42により互いに対角上にある2つのコーナーを検出できたか否かが判断される。S501において、対角をなす2つのコーナー(左上コーナーIc1と右下コーナーIc2、または、左下コーナーIc3と右上コーナーIc4)が検出できた場合には(S501:YES)、S502に進み、対角コーナー位置情報を取得する。
【0038】
一方、S501において、例えば画像取得時の日光等の外乱の影響により、コーナー検出部42により互いに対角上にある2つのコーナーを検出できなかった場合には(S501:NO)、S503に進み、1つのコーナーが検出できたか否かが判断される。S503において、1つのコーナーが検出できた場合には(S503:YES)、S504に進み、コーナー検出部42により検出された1つもしくは片側2つのコーナーの位置情報と、荷室全体検出工程(S400)において荷室全体検出部44により検出されたコーナーの位置情報とを用いて、対角コーナー位置情報を取得する。
【0039】
具体的な例を示すと、例えば、コーナー検出部42により左上コーナーIc1のみを検出できた場合には、左上コーナーIc1の位置情報(左上コーナー点C1)については、コーナー検出部42により得られた当該位置情報を用い、左上コーナーIc1と対角上にある右下コーナーIc2の位置情報(右下コーナー点C2)については、荷室全体検出工程(S400)において荷室全体検出部44により検出されたコーナーの位置情報を用いる。
【0040】
また、他の例として、コーナー検出部42により左上コーナーIc1と左下コーナーIc3の2つのコーナーが検出された場合には、例えば左上コーナーIc1の位置情報については、コーナー検出部42により得られた当該位置情報を用い、左上コーナーIc1と対角上にある右下コーナーIc2の位置情報については、荷室全体検出工程(S400)において荷室全体検出部44により検出されたコーナーの位置情報を用いる。なお、コーナー検出部42により検出された左下コーナーIc3の位置情報と、荷室全体検出部44により検出された右上コーナーIc4の位置情報と、を用いてもよい。
【0041】
すなわち、S504において、基本的にはコーナー検出部42により検出されたコーナーの位置情報が優先され、コーナー検出部42により検出できなかったコーナーのみ、荷室全体検出部44により検出されたコーナーの位置情報が採用される。これは、コーナー検出用学習済みモデルを用いたコーナー検出部42による検出の方が、荷室全体検出用学習済みモデルを用いた荷室全体検出部44による検出よりも、荷室51の全体に比べてコーナーの範囲は小さく、例えば画像取得時の日光や荷室内の状況等の外乱の影響を受けにくく、画像解析における精度が比較的良いためである。
【0042】
S503において、1つのコーナーも検出できなかった場合には(S503:NO)、S505に進み、荷室全体検出部44により検出された位置情報から、対角コーナー位置情報を取得する。基本的には、荷室全体検出部44により4つのコーナーの位置情報が取得されているため、この中から、例えば左上コーナー点C1と右下コーナー点C2のX,Y座標を取得する。以上、S502、S504,S505の各処理では、コーナー検出部42または荷室全体検出部44により、対角コーナー位置情報が取得される。
【0043】
S502、S504,S505の各処理において対角コーナー位置情報が取得された後には、S506において、荷物52が荷室51の外で検出されたか否かが判断される。この判断は、S502、S504,S505の各処理で取得された対角コーナー位置情報により、対角をなす2点を2つの頂点として構成される矩形状の画像よりも外側に、荷物情報取得工程(S300)において取得された全体荷物外形部の画像Icの4つの角部61,62,63,64のX,Y座標が存在するか否かで判断される。
【0044】
S506において、荷物52が荷室51の外で検出された場合には(S506:YES)、S507に進み、荷物52の座標を参酌して荷室を切り抜く。具体的には、当該外側に存在する荷物座標を含むように拡張された外形を荷室全体の範囲として算出する。さらに詳細については後述する。
【0045】
一方、S506において、荷物52が荷室51の外で検出されなかった場合には(S506:NO)、S508に進み、S502,504,505において取得された対角コーナー位置情報に基づき荷室を切り抜く。すなわち、対角コーナー位置情報を用いて取得される矩形状をなす荷室を荷室全体の範囲として算出する。
【0046】
本来、荷物52は荷室51内にあるはずであり、
図6に示すように、全体荷物外形部の位置情報による矩形状をなす画像Icは、荷室51の画像Irの内側に収まっているはずである。
図8は、S506における画像処理の一例を説明するための図である。
図8では、一点鎖線で示す全体荷物外形部の画像Icの横幅が、対角コーナー位置情報を用いて取得される破線で示す矩形状をなす荷室51の画像Irの外形よりも外側に存在する例を示している。
【0047】
荷物52の検出は、荷物52の特徴量がコーナーや荷室51の検出と比較して撮影時の外乱の影響を受けにくく容易であるため、画像解析による検出誤差が生じにくい。そのため、検出された全体荷物外形部の画像Icは概ね正しいため、仮に、全体荷物外形部の画像Icが、対角コーナー位置情報を用いて取得された荷室51の画像Irの外側にあるような場合には、その荷室51の画像Irは、荷物52が見切れた状態となっていると推測できる。S506では、このような荷物52の見切れが生じていないかをチェックしている。
【0048】
図8に示す検出結果の場合には、荷室51の横幅については、正しくは全体荷物外形部の画像Icにおける横幅であると考えられる。全体荷物外形部の画像Icの縦幅が小さい点については、単に荷物52が上方に存在していないだけとも考えられるため、荷室51の画像Irの縦幅を採用する。上記のように、荷室51の画像Irよりも外側に荷物52が検出された場合には、全体荷物外形部の画像Icが収まるように補正した矩形状を、最終的な荷室51の範囲として切り抜く。
【0049】
図8の例では、最終的に切り抜かれる荷室51の範囲は、全体荷物外形部の画像Icにおける右下の角部62と、荷室51の画像Irにおける左上コーナー点C1のX座標を、全体荷物外形部の画像Icにおける左上の角部61(または、左下の角部63)のX座標とした左上コーナー点65と、を対角とする矩形状の範囲Ifとなる。
【0050】
再び、
図4を参照する。積載率算出工程(S600)では、積載率算出部46により、上記詳述した荷室算出工程(S500)において検出された荷室51の画像Irと、荷物情報取得工程(S300)において検出された複数の荷物52の画像Ibと、に基づいて積載率が算出される。積載率は、撮像方向に見たときの荷室51内の全ての荷物52の合計の面積を、荷室算出部45により検出された荷室51の範囲の面積で除算することにより求められる。具体的な画像処理としては、複数の車載されている全ての荷物52の画像Ibを黒で塗りつぶし、塗りつぶしたピクセル数を、荷室51の画像Irのピクセル数で割ることで算出できる。
【0051】
A3.効果:
(1)上記第1実施形態の荷室収容状態検出システム10および荷室収容状態検出方法では、荷室算出工程(S500)において、対角コーナー位置情報により構成される矩形状の画像よりも外側に全体荷物外形部の画像Icが存在する場合には、全体荷物外形部を含むように拡張された外形を荷室全体の範囲として算出する。すなわち、対角コーナー位置情報と、荷物情報と、を用いて、荷物52が見切れるような荷室51の範囲が算出されないように、最終的に算出される荷室51の範囲が荷物情報により補正される。このため、荷室51の範囲の算出精度を向上させることができる。
【0052】
(2)また、精度良く検出された荷室51の範囲に基づいて、荷物52の積載率を算出するため、より正確に積載率を算出できる。
【0053】
(3)上記第1実施形態の荷室収容状態検出システム10および荷室収容状態検出方法では、荷室算出工程(S500)におけるS501~S505の各処理に示すように、コーナー検出部42により対角をなすコーナーが検出できずに対角コーナー位置情報が取得できなかった場合には、荷室全体検出部44により検出された位置情報から対角コーナー位置情報を取得する。このように、コーナー検出部42により検出できなかったコーナーの位置情報を、荷室全体検出部44により検出された位置情報で補完する。このため、コーナー検出部42により互いに対角上にある2つのコーナーを検出できない場合でも、正しく検出できるまで処理を繰り返したり、算出処理を中断したりする必要がなく、荷室51を好適に算出することができる。
【0054】
(4)上記第1実施形態の荷室収容状態検出システム10および荷室収容状態検出方法によれば、算出された収容状態としての積載率から、荷室51内における残りの積載可能なスペースや、または、どの地点においてどの程度の量の荷物52が積載されたか、といった情報を得ることができる。
【0055】
B.他の実施形態:
(B1)上記第1実施形態の荷室収容状態検出システム10および荷室収容状態検出方法では、携帯端末12に予め専用のアプリケーションをインストールした状態で、アプリケーションを起動させることによって利用することができるものとした。これに代えて、利用者によるスマホやタブレットでは、荷室51の画像の撮影、および、システム管理端末としてプロセッサやメモリを有する一般的なコンピュータへの画像の送信のみを行い、送信先のコンピュータにおいて、各種プログラムが実行されて、コーナー検出、荷物情報取得、荷室全体検出、荷室算出、および積載率算出等の処理が実行されるように構成してもよい。また、この場合、処理結果を、利用者のスマホやタブレットに返信してもよい。
【0056】
(B2)上記第1実施形態の荷室収容状態検出システム10および荷室収容状態検出方法は、車両50の荷室51を検出対象としたが、荷室51は車両50が有するものに限られない。荷室51としては、例えば、車両50部品の生産工場において、部品が適宜収納および供給されるシューターであってもよい。
【0057】
(B3)上記第1実施形態の荷室収容状態検出システム10および荷室収容状態検出方法では、積載率算出部46を有し、積載率算出まで実行するものとしたが、積載率算出部46を有さずに、積載率算出を行わなくてもよい。例えば、荷室収容状態として、荷室51内のどの位置に荷物52が存在しているかのみを検出するシステムであってもよい。
【0058】
(B4)上記第1実施形態の荷室収容状態検出システム10および荷室収容状態検出方法では、画像取得部41は、荷室収容状態検出システム10が有するカメラ36により、検出対象の荷室全体を含む画像を取得するものとしたが、他のカメラで撮影して得られた画像を、通信インタフェース24を介して取得してもよい。
【0059】
(B5)上記第1実施形態の荷室収容状態検出システム10において、荷室全体検出部44を有していなくてもよい。この場合であっても、コーナー検出部42により得られた対角コーナー位置情報と、荷物情報と、を用いて、荷物52が見切れるような荷室51の範囲が算出されないように、荷室51の範囲を補正することで、荷室51の範囲の算出精度を向上させることができる。また、荷物情報としての「荷物の位置」は、例えば、全体荷物外形部の1つの角部の座標を用いてもよい。
【0060】
本開示は、上記各実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する各実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0061】
10…荷室収容状態検出システム、12…携帯端末、14…制御部、16…CPU、18…ROM、20…RAM、22…ストレージ、24…通信インタフェース、26…入出力インタフェース、28…バス、30…表示画面、32…マイク、34…スピーカ、36…カメラ、41…画像取得部、42…コーナー検出部、43…荷物情報取得部、44…荷室全体検出部、45…荷室算出部、46…積載率算出部、47…学習部、50…運搬車両、51…荷室、52…荷物、53,54,55…側壁、56…下部扉、57…荷台、58…運転室、61,62,63,64…角部、65…左上コーナー点、C1…左上コーナー点、C2…右下コーナー点、C3…左下コーナー点、C4…右上コーナー点、Ia…全体画像、Ib…荷物の画像、Ic…全体荷物外形部の画像、Ic1…左上コーナー、Ic2…右下コーナー、Ic3…左下コーナー、Ic4…右上コーナー、Ir…荷室の画像