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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】異常通知システムおよび異常通知方法
(51)【国際特許分類】
   B66B 3/00 20060101AFI20241001BHJP
   B66B 1/14 20060101ALN20241001BHJP
【FI】
B66B3/00 R
B66B1/14 L
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022110761
(22)【出願日】2022-07-08
(65)【公開番号】P2024008696
(43)【公開日】2024-01-19
【審査請求日】2022-07-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】北川 新也
(72)【発明者】
【氏名】山岡 俊平
【審査官】須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-195257(JP,A)
【文献】特開2010-287016(JP,A)
【文献】特開2011-042444(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 3/00
B66B 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータの乗場における自律走行可能な情報処理装置の動作状態を示す情報を含む状態情報に基づいて、該情報処理装置に異常が生じているか否かを判定する異常判定部と、
前記乗場において前記情報処理装置に異常が生じている場合、前記エレベータの動作を制御するエレベータ制御装置から異常発生通知を出力する通知出力部と、を備え、
前記動作状態は、前記情報処理装置の出発階および行先階の前記乗場の前記情報処理装置を撮像した画像から特定され
前記画像は、前記情報処理装置が前記出発階の乗場に到着してから前記かごへの乗車を完了するまでの間、および前記かごが前記行先階の乗場に到着してから前記情報処理装置が前記かごからの降車を完了するまでの間、のうち少なくともいずれかの期間中に撮像される
異常通知システム。
【請求項2】
前記状態情報は、さらに、前記情報処理装置から送信されるべき信号が受信できているか否かを示す通信状態情報を含み、
前記異常判定部は、前記情報処理装置から送信されるべき信号が受信できていない場合、当該情報処理装置に異常が生じていると判定する、
請求項1に記載の異常通知システム。
【請求項3】
前記状態情報は、前記情報処理装置による前記エレベータのかごへの乗車動作を示す情報を含み、
前記異常判定部は、前記情報処理装置による前記乗車動作が、該情報処理装置が乗車可能な前記かごが該情報処理装置の出発階に到着した時点から所定時間内に完了しない場合、当該情報処理装置に異常が生じていると判定する、
請求項1に記載の異常通知システム。
【請求項4】
前記状態情報は、さらに、前記情報処理装置による前記エレベータのかごからの降車動作を示す情報を含み、
前記異常判定部は、前記情報処理装置による前記降車動作が、該情報処理装置の目的階に前記かごが到着した時点から所定時間内に完了しない場合、当該情報処理装置に異常が生じていると判定する、
請求項1に記載の異常通知システム。
【請求項5】
前記エレベータの乗場の前記情報処理装置を撮像した画像から該情報処理装置の動作状態を解析することにより前記状態情報を生成する、動作状態解析部をさらに備える、
請求項1に記載の異常通知システム。
【請求項6】
エレベータの乗場における自律走行可能な情報処理装置の動作状態を示す情報を含む状態情報に基づいて、該情報処理装置に異常が生じているか否かを判定する異常判定ステップと、
前記乗場において前記情報処理装置に異常が生じている場合、前記エレベータの動作を制御するエレベータ制御装置から異常発生通知を出力する通知出力ステップと、を含み、
前記動作状態は、前記情報処理装置の出発階および行先階の前記乗場の前記情報処理装置を撮像した画像から特定され
前記画像は、前記情報処理装置が前記出発階の乗場に到着してから前記かごへの乗車を完了するまでの間、および前記かごが前記行先階の乗場に到着してから前記情報処理装置が前記かごからの降車を完了するまでの間、のうち少なくともいずれかの期間中に撮像される
異常通知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は異常通知システムおよび異常通知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自律走行するロボットにエレベータを利用させる技術が知られている。
【0003】
特許文献1には、ロボットから受信した信号に基づいてエレベータを制御することによって、ロボットとエレベータとを連携して動作させるシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-18646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ロボットに生じ得る異常には、自律走行機能の異常の他に、例えば、自機の動作の不具合を検知する機能の異常、および外部との通信機能の異常などがある。自機の動作の不具合を検知する機能の異常、または外部との通信機能の異常が生じている場合、ロボットから異常発生を通知する信号が送信されない。それゆえ、ロボットに異常が発生したことを管理者等が把握するタイミングが遅れる可能性がある。
【0006】
本発明の一態様は、エレベータを利用する情報処理装置に異常が生じた旨を遅滞なく管理者等に通知することができるシステムを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る異常通知システムは、エレベータの乗場および該エレベータのかご内のいずれかの自律走行可能な情報処理装置と、該エレベータの動作を制御するエレベータ制御装置との通信状態を示す通信状態情報、および該情報処理装置の動作状態を示す動作状態情報の少なくともいずれかを含む状態情報に基づいて、該情報処理装置に異常が生じているか否かを判定する異常判定部と、前記情報処理装置に異常が生じている場合、前記エレベータ制御装置から異常発生通知を出力する通知出力部と、を備える。
【0008】
本発明の一態様に係る異常通知方法は、エレベータの乗場および該エレベータのかご内のいずれかの自律走行可能な情報処理装置と、該エレベータの動作を制御するエレベータ制御装置との通信状態を示す通信状態情報、および該情報処理装置の動作状態を示す動作状態情報の少なくともいずれかを含む状態情報に基づいて、該情報処理装置に異常が生じているか否かを判定する異常判定ステップと、前記情報処理装置に異常が生じている場合、前記エレベータ制御装置から異常発生通知を出力する通知出力ステップと、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、エレベータを利用する情報処理装置に異常が生じた旨を遅滞なく管理者等に通知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態1に係る異常通知システムの概要を示す図である。
図2】異常通知システムの概略構成の一例を示すブロック図である。
図3】異常通知システムが行う処理の一例を示すシーケンス図である。
図4】本発明の実施形態2に係る異常通知システムの概略構成の一例を示すブロック図である。
図5】異常通知システムが行う処理の一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔実施形態1〕
<異常通知システム100の概要>
まず、本発明の一態様に係る異常通知システム100の概要を、図1を用いて説明する。図1は、異常通知システム100の概要を示す図である。異常通知システム100では、エレベータ3を利用する情報処理装置2に異常が発生したことを示す通知を、エレベータ3の動作を制御するエレベータ制御装置1から出力する。例えば、図1に示すように、エレベータ3を利用する情報処理装置2がエレベータ3周辺で転倒するという状況が発生している場合、エレベータ制御装置1は、情報処理装置2の状態を示す状態情報に基づき、当該情報処理装置2に異常が生じていると判定する。図1では5階のエレベータ乗場にて、情報処理装置2が転倒している様子を示している。
【0012】
情報処理装置2に異常が生じている場合、エレベータ制御装置1は、監視装置4等の装置に、異常の発生を通知する異常発生通知を出力する。図1では監視装置4が1階に設置されている例を示している。ここで、監視装置4は、情報処理装置2の動作管理、建物内のエレベータ3の動作管理、および当該建物内の各施設管理等を行う管理者が利用するコンピュータであってもよい。監視装置4は異常の発生を管理者等に通知する。これにより、異常通知システム100は、情報処理装置2に異常が生じた場合に、エレベータ3または情報処理装置2を管理する者に対して異常の発生を把握させることができる。
【0013】
<異常通知システム100の構成>
次に、異常通知システム100の構成について、図2を用いて説明する。図2は、本発明の実施形態1に係る異常通知システム100の概略構成の一例を示すブロック図である。
【0014】
図2に示すように、異常通知システム100は、エレベータ制御装置1、情報処理装置2、エレベータ3、および監視装置4を備える。エレベータ3は、建物内に設けられ、階床間を移動可能な搬送装置である。エレベータ制御装置1は、エレベータ3の各動作を制御する。情報処理装置2は、建物内を自立可能であり、エレベータ3を利用して階床間を移動可能である。監視装置4は、エレベータ3または情報処理装置2の状態を監視する。
【0015】
なお、図2に示す異常通知システム100は、便宜上1台の情報処理装置2および1基のエレベータ3を備えているが、この構成に限定されない。異常通知システム100は、複数の情報処理装置2および複数のエレベータ3を備えていてもよい。
【0016】
異常通知システム100において、エレベータ制御装置1は、エレベータ3を利用する情報処理装置2の状態を示す状態情報を取得し、当該状態情報に基づき、情報処理装置2に異常が生じているか否かを判定する。
【0017】
<エレベータ制御装置1>
以下、異常通知システム100が備える各構成の詳細について説明する。エレベータ制御装置1は、異常通知システム100が備えるエレベータ3の動作を制御する装置である。異常通知システム100が複数のエレベータ3を備える場合、エレベータ制御装置1は、各エレベータ3の動作を統括的に管理してもよい。あるいは、各エレベータ3の動作を制御するエレベータ制御装置1がそれぞれ設けられており、各エレベータ制御装置1に対して情報処理装置2に割り当てるエレベータを指示する群管理装置がさらに設けられていてもよい。
【0018】
図2に示すように、エレベータ制御装置1は、制御部11、通信部12、および記憶部13を備える。制御部11は、エレベータ制御装置1において行われる各処理を実行する。通信部12は、エレベータ制御装置1が、異常通知システム100に含まれる情報処理装置2およびエレベータ3等と通信を行うための通信モジュールである。エレベータ制御装置1と情報処理装置2との間における通信と、エレベータ制御装置1と情報処理装置2との間における通信とは、同様の通信方式であってもよいし、それぞれ異なる通信方式であってもよい。記憶部13は、エレベータ制御装置1で行われる各処理に用いられる情報を記憶する記憶領域である。
【0019】
図2に示すように、制御部11は、受付部111、割当部112、動作制御部113、異常判定部114、および通知出力部115を備える。
【0020】
受付部111は、情報処理装置2と通信部12を介して通信を行い、当該情報処理装置2から呼び登録依頼を受信する。呼び登録依頼には、呼び登録依頼を行った情報処理装置2の識別情報、当該情報処理装置2が存在し、エレベータ3に乗車する出発階、およびエレベータ3から降車する行先階を示す情報が含まれる。受付部111は当該情報処理装置2から受信した呼び登録依頼を受け付け、呼び登録依頼を行った情報処理装置2の識別情報を記憶部13に記憶させる。また、受付部111は、受信した呼び登録依頼に含まれる各情報を割当部112に出力する。
【0021】
なお、エレベータ3を利用可能な情報処理装置2が限定されている場合、受付部111は、呼び登録依頼を受信すると、記憶部13を参照し、識別情報によって示される情報処理装置2がエレベータ3を利用可能な装置として登録されているか否かを判定する。当該情報処理装置2がエレベータ3を利用可能な装置である場合、受付部111は当該情報処理装置2からの呼び登録依頼を受け付け、受信した呼び登録依頼に含まれる各情報を割当部112に出力する。
【0022】
割当部112は、受付部111から呼び登録依頼に含まれる各情報を取得すると、これらの情報に基づき、情報処理装置2に割り当てるエレベータ3のかご34を決定する。異常通知システム100が複数のエレベータ3のかご34を備える場合、割当部112は、複数のかご34のうちいずれか1基、例えば情報処理装置2の出発階に最も近いかご34を当該情報処理装置2に割り当てるエレベータ3として決定する。
【0023】
異常通知システム100が1つのエレベータ3のかご34を備える場合、割当部112は、当該かご34が情報処理装置2の出発階に移動可能であるかを判定し、移動可能である場合、当該かご34を情報処理装置2に割り当てるかご34として決定する。割当部112は、決定した割当かご34、当該かご34を利用する情報処理装置2、当該情報処理装置2の出発階および行先階を示す情報を、動作制御部113に出力する。また、割当部112は、記憶部13を参照し、決定した割当かご34を示す情報を、呼び登録依頼を行った情報処理装置2に送信する。
【0024】
動作制御部113は、割当部112から各種情報を取得すると、当該情報に基づきエレベータ3の動作を制御する。具体的には、動作制御部113は、情報処理装置2の出発階を示す情報に基づき、かご34を出発階に移動させるよう指示する信号をエレベータ3に送信する。その後、かご34が出発階に到着すると、動作制御部113は、かご34の扉および出発階の乗場の扉33を開くよう指示する信号をエレベータ3に送信する。また、動作制御部113は、情報処理装置2の行先階を示す情報に基づき、かご34を行先階に移動させるよう指示する信号をエレベータ3に送信する。動作制御部113は、かご34が行先階に到着すると、かご34および行先階の乗場の扉33を開くよう指示する信号をエレベータ3に送信する。
【0025】
また、動作制御部113は、記憶部13を参照し、呼び登録依頼を行った情報処理装置2を特定し、通信部12を介して当該情報処理装置2との通信を確立する。これにより、動作制御部113は、当該情報処理装置2をかご34に乗車およびかご34から降車させるための各種情報の送受信を行うことが可能となる。また、動作制御部113は、情報処理装置2との情報の送受信の状況、換言すると情報処理装置2との通信状況を示す通信状態情報を異常判定部114に出力する。
【0026】
動作制御部113は、出発階でかご34の扉および乗場の扉33を開かせ、これらの扉が開いたことを示す信号を受信した後、かご34への乗車を要求する乗車要求信号を情報処理装置2に送信する。動作制御部113は、乗車要求信号を送信したことを示す情報を異常判定部114に出力する。その後、情報処理装置2から、情報処理装置2のかご34への乗車が完了したことを示す乗車完了信号を受信すると、動作制御部113は、かご34および乗場の扉33を閉じさせる。また、動作制御部113は、乗車完了信号を受信したことを示す情報を異常判定部114に出力する。
【0027】
また、動作制御部113は、行先階でかご34の扉および乗場の扉33を開かせ、これらの扉が開いたことを示す信号を受信した後、かご34からの降車を要求する降車要求信号を情報処理装置2に送信する。動作制御部113は、降車要求信号を送信したことを示す情報を異常判定部114に出力する。その後、情報処理装置2から、情報処理装置2のかご34からの降車が完了したことを示す降車完了信号を受信すると、動作制御部113は、かご34の扉および乗場の扉33を閉じさせる。また、動作制御部113は、降車完了信号を受信したことを示す情報を異常判定部114に出力する。
【0028】
なお、情報処理装置2のエレベータ3利用完了前にエレベータ制御装置1と情報処理装置2との間の通信が途絶した場合、エレベータ制御装置1と情報処理装置2との間において各情報の送受信ができなくなる。この場合、動作制御部113は、異常判定部114に情報処理装置2との通信が正常に行われていないことを示す情報を出力する。
【0029】
また、情報処理装置2がかご34への乗車中またはかご34からの降車中に、乗車動作中または降車動作中であることを示す信号を送信する場合、動作制御部113は、当該信号を受信する。動作制御部113は、情報処理装置2が乗車動作中であることを示す信号を受信した後、当該信号の受信が停止すると、情報処理装置2の乗車が完了したとして、扉閉およびかご34の移動を指示する信号をエレベータ3に送信する。また、動作制御部113は、情報処理装置2が降車動作中であることを示す信号を受信した後、当該信号の受信が停止すると、情報処理装置2の降車が完了したとして、扉閉を指示する信号をエレベータ3に送信する。
【0030】
さらに、動作制御部113は、情報処理装置2に異常が生じていることを示す情報を取得した場合、かご34が移動すべき階床がまだ他に存在していたとしても、かご34の動作を停止させる。また、動作制御部113は、かご34を停止させたとき、扉33が開いている場合、他の利用者が誤って乗車する可能性を低減するため、当該扉33を閉じることを指示する信号をエレベータ3に送信する。
【0031】
異常判定部114は、情報処理装置2とエレベータ制御装置1との通信状態を示す通信状態情報、および該情報処理装置2の動作状態を示す動作状態情報の少なくともいずれかを含む状態情報に基づいて、該情報処理装置2に異常が生じているか否かを判定する。動作状態情報とは、例えば情報処理装置2によるかご34への乗車動作またはかご34からの降車動作を示す情報を含む情報である。異常判定部114は、エレベータ3を利用する情報処理装置2、より具体的にはエレベータ3のかご34内および乗場のいずれかに存在している情報処理装置2に異常が生じているか否かを判定する。
【0032】
一例として、異常判定部114は、通信状態情報として、情報処理装置2から送信されるべき信号が受信できているか否かを示す情報を含む状態情報を取得してもよい。異常判定部114は、当該状態情報に基づき、情報処理装置2から送信されるべき信号が受信できていない場合、当該情報処理装置2に異常が生じていると判定してもよい。
【0033】
または、異常判定部114は、動作状態情報として、情報処理装置2によるかご34への乗車動作を示す情報を含む状態情報を取得してもよい。異常判定部114は、当該状態情報に基づき、情報処理装置2による乗車動作が、該情報処理装置2が乗車可能なかご34が該情報処理装置2の出発階に到着した時点から所定時間内に完了しない場合、当該情報処理装置2に異常が生じていると判定してもよい。ここで、所定時間とは、例えば、異常が生じていない情報処理装置2がかご34に乗車するときに要する一般的な経過時間であってよい。
【0034】
その他、異常判定部114は、動作状態情報として、情報処理装置2によるかご34からの降車動作を示す情報を含む状態情報を取得してもよい。異常判定部114は、当該状態情報に基づき、情報処理装置2による降車動作が、該情報処理装置2が乗車可能なかご34が情報処理装置2の目的階にかご34が到着した時点から所定時間内に完了しない場合、当該情報処理装置2に異常が生じていると判定してもよい。ここで、所定時間とは、例えば、異常が生じていない情報処理装置2がかご34から降車するときに要する一般的な経過時間であってよい。
【0035】
以下、異常判定部114が行う異常判定の具体的な内容について説明する。異常判定部114は、情報処理装置2との通信が正常に行われているか否か、および情報処理装置2から受信すべき信号を正常に受信しているか否かに基づき、情報処理装置2に異常が発生しているか否かを判定する。情報処理装置2との通信が正常に行われていない場合、または情報処理装置2から受信すべき信号を正常に受信していない場合、異常判定部114は、情報処理装置2に異常が生じていると判定する。「正常に受信する」とは、信号が受信できないこと、または受信するまでに予定以上の時間がかかることの何れかを指す。
【0036】
具体的には、呼び登録依頼を受け付けて割当かご34を知らせた後、乗場に来ているはずの情報処理装置2と通信が確立されない場合、異常判定部114は、通信状態情報として、情報処理装置2と正常に通信が行われていないことを示す情報を取得する。または情報処理装置2との通信が途絶した場合、異常判定部114は、通信状態情報として、情報処理装置2と正常に通信が行われていないことを示す情報を取得する。
【0037】
また、異常判定部114は、出発階でかご34の扉および乗場の扉33を開かせて乗車要求信号を送信した後、情報処理装置2から乗車完了信号を受信しない場合、動作状態情報として、情報処理装置2の乗車動作が正常に行われていないことを示す情報を取得する。または、異常判定部114は、乗車完了信号の受信が所定時間以上かかった場合、動作状態情報として、情報処理装置2の乗車動作が正常に行われていないことを示す情報を取得する。その他、異常判定部114は、情報処理装置2から、当該情報処理装置2が乗車中であることを示す信号が所定時間以上送信され続けている場合、動作状態情報として、情報処理装置2の乗車動作が正常に行われていないことを示す情報を取得する。
【0038】
また、異常判定部114は、行先階でかご34の扉および乗場の扉33を開かせて降車要求信号を送信した後、情報処理装置2から降車完了信号を受信しない場合、動作状態情報として、情報処理装置2の降車動作が正常に行われていないことを示す情報を取得する。または降車完了信号の受信が所定時間以上かかった場合、異常判定部114は、動作状態情報として、情報処理装置2の降車動作が正常に行われていないことを示す情報を取得する。その他、情報処理装置2から、当該情報処理装置2が降車中であることを示す信号が所定時間以上送信され続けている場合、異常判定部114は、動作状態情報として、情報処理装置2の降車動作が正常に行われていないことを示す情報を取得する。
【0039】
情報処理装置2の乗車動作または降車動作が正常に行われていない状態とは、例えば、情報処理装置2の動作部23、または情報処理装置2が移動する際に周辺の物体を検出するセンサ(不図示)が故障し、正常に走行できなくなった場合等が挙げられる。また、情報処理装置2の乗車動作または降車動作が正常に行われていない状態とは、例えば、情報処理装置2のバッテリ残量が不足し正常に動作できない場合、または動作はできるものの正常に各種信号の送受信が行えない場合などが挙げられる。その他、情報処理装置2の乗車動作または降車動作が正常に行われていない状態とは、例えば、情報処理装置2の各部に異常は生じていないものの、転倒するなどして正常に動作できない状態も含まれる。これらのような状態である場合、異常判定部114は、情報処理装置2の状態を示す状態情報に基づき、情報処理装置2に異常が生じていると判定する。
【0040】
異常判定部114は、通信状態情報として、情報処理装置2と正常に通信が行えていないことを示す情報を示す状態情報を取得した場合、情報処理装置2に異常が生じていると判定する。また、異常判定部114は、動作状態情報として、情報処理装置2の乗車動作または降車動作が正常に行われていないことを示す状態情報を取得した場合、情報処理装置2に異常が生じていると判定する。
【0041】
一方、異常判定部114は、これらの情報を取得しなかった場合、情報処理装置2には異常が生じていないと判定し、処理を終了する。すなわち、異常判定部114は、エレベータ制御装置1と情報処理装置2との通信が正常に確立し、乗車要求信号または降車要求信号を送信した後、所定時間内に乗車完了信号または降車完了信号を受信した場合、情報処理装置2には異常が生じていないと判定する。
【0042】
異常判定部114は、情報処理装置2に異常が生じていると判定した場合、当該判定の結果を通知出力部115に出力する。また、異常判定部114は、情報処理装置2に異常が生じていることを示す情報および当該情報処理装置2が利用しているかご34を示す情報を動作制御部113に出力する。
【0043】
通知出力部115は、異常判定部114から情報処理装置2に異常が生じていることを示す情報を取得すると、監視装置4に異常発生通知を出力する。異常発生通知とは、エレベータ3の乗場またはかご34内で情報処理装置2に異常が生じていることを示す通知である。
【0044】
具体的には、通知出力部115は、情報処理装置2に異常が生じていることを示す情報および当該情報処理装置2の位置を示す情報を監視装置4に送信する。一例として、通知出力部115は、エレベータ3の管理を行う管理者が利用するモニタ等の監視装置4に異常発生通知を送信する。例えば、8階から2階へ移動する呼び登録依頼を行った情報処理装置2がエレベータ3乗車時に転倒した場合、通知出力部115は、情報処理装置2に異常が生じたこと、および当該情報処理装置2が8階の乗場付近に存在することを示す情報を監視装置4に送信する。
【0045】
また、通知出力部115は、情報処理装置2を監視する装置としての監視装置4に、異常が生じていることを通知してもよい。この場合、通知出力部115は、異常が生じた情報処理装置2の識別情報と共に、異常が生じていることを示す通知を出力してもよい。その他、通知出力部115は、異常発生通知の出力として、従来のエレベータ3に設けられる異常発生時に押下される非常ボタンが押下された時と同様の動作をおこなってもよい。
【0046】
<情報処理装置2>
情報処理装置2は、エレベータ3が設けられる建物内を自律走行可能な装置である。情報処理装置2は、エレベータ3を利用して建物の階床間を移動可能である。また、情報処理装置2は、エレベータ3の乗場および当該エレベータ3のかご34内を自律走行可能な装置である。図2に示すように、情報処理装置2は、通信部21、制御部22、および動作部23を備える。通信部21は、情報処理装置2がエレベータ制御装置1と通信を行うための通信モジュールである。制御部22は、情報処理装置2の各部の動作を制御する。また、動作部23は、制御部22の制御に従って動作し、情報処理装置2を移動させる車輪等の部材である。
【0047】
制御部22は、階床間を移動するときには、情報処理装置2が存在する階床を出発階とし、移動先の階床を行先階とする呼び登録依頼を生成し、通信部21を介してエレベータ制御装置1に送信する。エレベータ制御装置1から割り当てられたかご34を示す情報を受信すると、制御部22は、動作部23を動作させ、当該かご34に対応する乗場に移動する。
【0048】
エレベータ3の扉および乗場の扉33が開き、エレベータ制御装置1から乗車要求信号を受信すると、制御部22は、動作部23を動作させ、情報処理装置2をかご34に乗車させる。かご34への乗車が完了すると、制御部22は、通信部21を介して乗車完了信号をエレベータ制御装置1に送信する。乗車完了信号には、かご34の扉33を閉めることを要求する情報が含まれていてもよい。
【0049】
または、制御部22は、乗車要求信号を受信すると、かご34への乗車動作を行っている期間中、情報処理装置2がかご34への乗車動作を行っていることを示す乗車中信号をエレベータ制御装置1に送信してもよい。制御部22は、情報処理装置2のかご34への乗車が完了すると、乗車中信号の送信を停止する。これにより、エレベータ制御装置1は情報処理装置2がかご34への乗車を完了したことを把握することができる。以上のようにして、制御部22は、エレベータ3を利用して階床間を移動する。
【0050】
<エレベータ3>
図2に示すように、エレベータ3は、通信部31、駆動制御部32、扉33、および利用者を収容可能なかご34を備える。通信部31は、エレベータ制御装置1とエレベータ3との間で通信を行うための通信モジュールである。扉33はエレベータ3の各階床に設けられる扉33であり、駆動制御部32の制御に従い開閉動作を行う。
【0051】
駆動制御部32は、通信部31を介してエレベータ制御装置1から各種動作を指示する信号を受信し、エレベータ3の各部の動作を制御する。
【0052】
駆動制御部32は、エレベータ制御装置1から階床間においてかご34を移動させることを指示する信号を受信すると、不図示の駆動部を動作させることで、指示された階床へかご34を移動させる。かご34が当該階床に到着すると、駆動制御部32は、通信部31を介してエレベータ制御装置1にかご34が当該階床に到着したことを示す信号を送信する。
【0053】
また、駆動制御部32は、エレベータ制御装置1からかご34の扉および乗場の扉33を開閉させることを指示する信号を受信すると、かご34の扉およびかご34が位置する乗場の扉33の開閉を制御する。かご34の扉および乗場の扉33の開放または閉鎖が完了すると、駆動制御部32は、通信部31を介してエレベータ制御装置1にかご34扉および乗場の扉33の開閉が完了したことを示す信号を送信する。
【0054】
<監視装置4>
監視装置4とは、エレベータ3のかご34内または乗場周辺で情報処理装置2に異常が生じていることを把握すべき者が利用する装置である。
【0055】
例えば、監視装置4は、建物管理者が使用するコンピュータ、管理人室内のコンピュータ、またはエレベータ3を管理する管理者が用いる装置である。情報処理装置2に異常が生じ、異常発生通知がエレベータ制御装置1から出力されると、監視装置4は当該異常発生通知を受信する。監視装置4は、異常発生通知を受信すると、当該監視装置4を利用する者に対して情報処理装置2に異常が生じていることを通知する。
【0056】
例えば、監視装置4は、画像を表示可能なディスプレイを備え、エレベータ3のかご34内または乗場周辺で異常が生じていることを示す画像を当該ディスプレイに表示することで異常の発生を管理者に通知する。または、監視装置4は、異常が生じた場合に点灯させるランプを備え、当該ランプを点灯させることで異常の発生を、監視装置4を利用する者に通知する。
【0057】
また、別の例として、監視装置4は、情報処理装置2を監視する装置であってもよい。情報処理装置2を監視する装置とは、例えば情報処理装置2を製造したメーカーにおいて用いられる装置であり、情報処理装置2の故障に関する連絡を受け付ける装置である。または、情報処理装置2を監視する装置とは、情報処理装置2の状態を管理する管理者が用いる装置である。
【0058】
その他、エレベータ3の動作を監視する監視装置4から、情報処理装置2を監視する別の監視装置4へ異常が生じていることを通知してもよい。
【0059】
<異常通知システム100の効果>
以上のように、本実施形態に係る異常通知システム100は、エレベータ3の乗場および該エレベータ3のかご34内のいずれかの自立走行可能な情報処理装置2と、該エレベータ3の動作を制御するエレベータ制御装置1との通信状態を示す通信状態情報、および該情報処理装置の動作状態を示す動作状態情報の少なくともいずれかを含む状態情報に基づいて、該情報処理装置に異常が生じているか否かを判定する異常判定部114と、情報処理装置2に異常が生じている場合、エレベータ制御装置1から異常発生通知を出力する通知出力部115と、を備える。
【0060】
自律走行する情報処理装置2において異常が生じた場合、該情報処理装置2が自機の異常を検知し適切な対応(例えば、異常発生および救援要請などの発報)を行うことが常に可能であるとは限らない。なぜなら、情報処理装置2に生じた異常によって、該情報処理装置2の自機の異常を検知する機能、および、異常発生および救援要請を発報する機能などが失われている場合があるからである。また、情報処理装置2の種類によっては、このような異常発生および救援要請を発報する機能を有さない場合がある。このような場合、情報処理装置2に異常が生じたことの把握が遅れる可能性がある。
【0061】
上記の構成によれば、異常通知システム100は、エレベータ3の乗場およびかご34内の情報処理装置2との通信状態、および該情報処理装置2の動作状態の少なくともいずれかに基づいて、該情報処理装置2に異常が生じているか否かを判定する。そして、情報処理装置2に異常が生じている場合、異常通知システム100は、エレベータ制御装置1から、情報処理装置2に異常が発生した旨を通知する異常発生通知を出力する。
【0062】
この構成によれば、情報処理装置2が自機の異常を検知したり、救援要請を発報したりすることができなくなっていても、異常通知システム100が、エレベータ3を利用する情報処理装置2における異常の発生を検知し、異常発生通知を出力することができる。また、情報処理装置2が異常発生および救援要請を発報する機能を有さない場合であっても、異常通知システム100が、エレベータ3を利用する情報処理装置2における異常の発生を検知し、異常発生通知を出力することができる。これにより、異常通知システム100は、エレベータ3を利用する情報処理装置2に異常が生じた旨を遅滞なく管理者等、情報処理装置2に生じた異常を把握すべき者に通知することができる。
【0063】
また、異常通知システム100において、状態情報は、通信状態情報として、情報処理装置2から送信されるべき信号が受信できているか否かを示す情報を含み、異常判定部114は、情報処理装置2から送信されるべき信号が受信できていない場合、当該情報処理装置2に異常が生じていると判定する。
【0064】
エレベータ制御装置1と情報処理装置2との間で通信ができない状態とは、例えば情報処理装置2の通信機能が故障した状態である。上記の構成によれば、異常通知システム100は、情報処理装置2から送信されるべき信号(例えば、乗車中であること/降車中であることをエレベータ制御装置1に通知する信号)が受信できていない場合、情報処理装置2に異常が生じていると判定する。この構成によれば、情報処理装置2に生じた通信機能の異常を、異常通知システム100が検知することができる。
【0065】
また、異常通知システム100において、状態情報は、動作状態情報として、情報処理装置2によるかご34への乗車動作を示す情報を含み、異常判定部114は、情報処理装置2による乗車動作が、該情報処理装置2が乗車可能なかご34が該情報処理装置2の出発階に到着した時点から所定時間内に完了しない場合、当該情報処理装置2に異常が生じていると判定する。
【0066】
また、異常通知システム100において、状態情報は、動作状態情報として、情報処理装置2によるかご34からの降車動作を示す情報を含み、異常判定部114は、情報処理装置2による降車動作が、該情報処理装置2の目的階にかご34が到着した時点から所定時間内に完了しない場合、当該情報処理装置2に異常が生じていると判定する。
【0067】
情報処理装置2の動作機能に異常が生じている場合、情報処理装置2は、エレベータ3のかご34に乗車する乗車動作、およびかご34から降車する降車動作を円滑に行うことができない。上記の構成によれば、異常通知システム100は、情報処理装置2が乗車動作または降車動作を所定時間内に完了できない場合、情報処理装置2に異常が生じていると判定する。この構成によれば、情報処理装置2に生じた動作機能の異常を、異常通知システム100が検知することができる。
【0068】
<異常通知システム100の処理の流れの一例>
図3は、異常通知システム100が行う処理の一例を示すシーケンス図である。以下、図1および図3を用いて、本実施形態に係る通知システムにおいて行われる処理(異常検知方法)の流れの一例を説明する。なお、図3では、エレベータ制御装置1が複数のエレベータ3のかご34の動作を制御しており、情報処理装置2に割り当てるエレベータ3のかご34を決定する処理を行う場合を例に挙げて説明する。
【0069】
まず、情報処理装置2の制御部22は、当該情報処理装置2を示す識別情報、当該情報処理装置2が存在し、エレベータ3に乗車する階床である出発階、およびエレベータ3から降車する行先階を示す情報を含む呼び登録依頼を生成する(S1)。制御部22は、通信部21を介してエレベータ制御装置1に生成した呼び登録依頼を送信する。
【0070】
エレベータ制御装置1の受付部111は、通信部12を介して情報処理装置2から受信した呼び登録依頼を受け付ける(S11)。受付部111は、受信した呼び登録依頼に含まれる情報処理装置2の出発階および行先階を示す情報を割当部112に出力する。なお、エレベータ3を利用可能な情報処理装置2が限定されている場合、受付部111は記憶部13を参照し、呼び登録依頼を行った情報処理装置2がエレベータ3の利用を許可された情報処理装置2であるか否かを判定する。この場合、受付部111は、呼び登録依頼を行った情報処理装置2がエレベータ3の利用を許可されている場合に呼び登録依頼を受け付ける。
【0071】
受付部111から呼び登録依頼に含まれる各情報を取得すると、これらの情報に基づき、情報処理装置2に割り当てるエレベータ3のかご34を決定する(S12)。割当部112は、決定した割当かご34、当該かご34を利用する情報処理装置2、当該情報処理装置2の出発階および行先階を示す情報を、動作制御部113に出力する。また、割当部112は、記憶部13を参照し、決定した割当かご34を示す情報を、呼び登録依頼を行った情報処理装置2に送信する。
【0072】
動作制御部113は、当該情報を取得すると、情報処理装置2の出発階を示す情報に基づき、かご34を出発階に移動させるよう指示する信号をエレベータ3に送信する。エレベータ3の駆動制御部32は、通信部31を介して当該信号を受信すると、かご34を出発階に移動させる。また、動作制御部113は、情報処理装置2との情報の送受信の状況、換言すると情報処理装置2との通信状況を示す通信状態情報を異常判定部114に出力する。
【0073】
情報処理装置2の制御部22は、通信部21を介して割当かご34を示す情報を受信すると、動作部23を動作させ、割り当てられたかご34に対応する乗場へ情報処理装置2を移動させ、かご34を待機する。
【0074】
異常判定部114は、動作制御部113から通信状態情報を取得すると、異常判定、すなわち情報処理装置2に異常が生じているか否かの判定を開始する(S13)。
【0075】
異常判定の開始後、異常判定部114は、通信状態情報に基づき、エレベータ制御装置1と情報処理装置2との通信が正常に行われているか否かを判定する(S14:異常判定ステップ)。
【0076】
例えば、図1に示すように、情報処理装置2がかご34に乗車するときに転倒し、通信部21が故障した場合、情報処理装置2とエレベータ制御装置1との間における通信が途絶する。この場合、異常判定部114は、通信状態情報として情報処理装置2と正常に通信が行われていないことを示す情報を取得する。異常判定部114は、当該情報を取得すると(S14でNO)、情報処理装置2に異常が生じていると判定する。情報処理装置2に異常が生じていると判定した場合、異常判定部114は、当該判定の結果を通知出力部115および動作制御部113に出力する。
【0077】
一方、上述のようなことが起こらず、情報処理装置2とエレベータ制御装置1との間における通信が正常に行われている場合(S14でYES)、異常判定部114は、情報処理装置2に異常は生じていないと判定する。この場合、動作制御部113は情報処理装置2に異常が生じていることを示す判定結果を取得せず、呼び登録依頼に基づく処理を続ける。なお、S14の処理はS13からS19までの間、すなわち異常判定が開始してから完了するまでの間に亘って定期的に行われてもよい。
【0078】
かご34が出発階に到着すると、エレベータ3の駆動制御部32は、通信部31を介してエレベータ制御装置1にかご34が到着したことを示す信号を送信する。動作制御部113は、当該信号を受信すると、通信部12を介してエレベータ3にかご34の扉およびかご34が位置する乗場の扉33を開くこと(扉開)を指示する信号を送信する(S15)。エレベータ3の駆動制御部32は、通信部31を介して当該信号を受信すると、開閉部34を動作させ、かご34の扉およびかご34が位置する乗場の扉33を開かせる。
【0079】
その後、エレベータ3の駆動制御部32は、通信部31を介して扉開が完了したことを示す信号をエレベータ制御装置1に送信する。動作制御部113は、当該信号を受信すると、通信部12を介して情報処理装置2に乗車要求信号を送信する。情報処理装置2の制御部22は、通信部21を介して乗車要求信号を受信すると、動作部23を動作させ、かご34への乗車動作を行う(S2)。制御部22は、かご34への乗車が正常に完了すると、通信部21を介して乗車完了信号をエレベータ制御装置1に送信する。
【0080】
異常判定部114は、動作制御部113が乗車要求信号を送信してから所定時間内に情報処理装置2から乗車完了信号を受信したか否か、換言すると所定時間内に情報処理装置2が正常にかご34への乗車を完了したか否かを判定する(S16:異常判定ステップ)。
【0081】
例えば、図1に示すように、情報処理装置2がかご34に乗車するときに転倒した場合、通信部21が故障していなくとも、情報処理装置2は所定時間以内に乗車を完了することができず、エレベータ制御装置1に乗車完了信号を送信することができない。この場合、異常判定部114は、動作状態情報として、情報処理装置2が所定時間以内に乗車を完了できなかったことを示す情報を特定し、当該情報に基づき、情報処理装置2に異常が生じていると判定する。所定時間内に乗車完了信号を受信できず(S16でNO)、情報処理装置2に異常が生じていると判定した場合、異常判定部114は、当該判定の結果を通知出力部115および動作制御部113に出力する。
【0082】
一方、情報処理装置2から所定時間内に乗車完了信号を受信した場合(S16でYES)、異常判定部114は情報処理装置2が正常にかご34への乗車を完了したと判定する。
【0083】
この場合、動作制御部113は呼び登録依頼に基づき続く処理を行う。すなわち、かご34の扉およびかご34が位置する乗場の扉33を閉じること(扉閉)を指示する信号を送信する。これにより駆動制御部32は扉閉を行う。その後、動作制御部113は、情報処理装置2の行先階を示す情報に基づき、かご34を行先階に移動させるよう指示する信号をエレベータ3に送信する。エレベータ3の駆動制御部32は、通信部31を介して当該信号を受信すると、かご34を行先階に移動させる。
【0084】
かご34が行先階に到着すると、エレベータ3の駆動制御部32は、通信部31を介してエレベータ制御装置1にかご34が到着したことを示す信号を送信する。動作制御部113は、当該信号を受信すると、通信部12を介してエレベータ3にかご34の扉およびかご34が位置する乗場の扉33を開くこと(扉開)を指示する信号を送信する(S17)。エレベータ3の駆動制御部32は、通信部31を介して当該信号を受信すると、開閉部34を動作させ、かご34の扉およびかご34が位置する乗場の扉33を開かせる。
【0085】
その後、エレベータ3の駆動制御部32は、通信部31を介して扉開が完了したことを示す信号をエレベータ制御装置1に送信する。動作制御部113は、当該信号を受信すると、通信部12を介して情報処理装置2に降車要求信号を送信する。情報処理装置2の制御部22は、通信部21を介して降車要求信号を受信すると、動作部23を動作させ、かご34からの降車動作を行う(S3)。制御部22は、かご34からの降車が正常に完了すると、通信部21を介して降車完了信号をエレベータ制御装置1に送信する。
【0086】
異常判定部114は、動作制御部113が降車要求信号を送信してから所定時間内に情報処理装置2から降車完了信号を受信したか否か、換言すると所定時間内に情報処理装置2が正常にかご34からの降車を完了したか否かを判定する(S18:異常判定ステップ)。
【0087】
例えば、情報処理装置2がかご34から降車するときに転倒した場合、通信部21が故障していなくとも、情報処理装置2は所定時間以内に降車を完了することができず、エレベータ制御装置1に降車完了信号を送信することができない。この場合、異常判定部114は、動作状態情報として、情報処理装置2が所定時間以内に降車を完了できなかったことを示す情報を特定し、当該情報に基づき、情報処理装置2に異常が生じていると判定する。所定時間内に降車完了信号を受信できず(S18でNO)、情報処理装置2に異常が生じていると判定した場合、異常判定部114は、当該判定の結果を通知出力部115および動作制御部113に出力する。
【0088】
一方、情報処理装置2から所定時間内に降車完了信号を受信した場合(S18でYES)、異常判定部114は情報処理装置2が正常にかご34からの降車を完了したと判定する。この場合、異常判定部114は、情報処理装置2が正常にエレベータ3の利用を完了したとして、異常判定を終了する(S19)。
【0089】
S14、S16、またはS18でNOの場合、換言すると、異常判定部114が情報処理装置2に異常が生じていると判定した場合、当該判定の結果は通知出力部115および動作制御部113に出力される。
【0090】
動作制御部113は、情報処理装置2に異常が発生していることを示す情報を取得した場合、かご34が移動すべき階床がまだ他に存在していたとしても、かご34の動作を停止させる。また、動作制御部113は、かご34の扉33を閉じること(扉閉)を指示する信号をエレベータ3に送信してもよい。
【0091】
通知出力部115は、異常判定部114から情報処理装置2に異常が生じていることを示す情報を取得すると、異常発生通知を出力する(S20:通知出力ステップ)。具体的には、通知出力部115は、情報処理装置2に異常が生じていることを示す情報および当該情報処理装置2の位置を示す情報を監視装置4に送信する。S20の処理の後、異常判定部114は異常判定を終了する。
【0092】
監視装置4は、異常発生通知を受信すると、情報処理装置2に異常が生じていることを把握すべき者への通知を行う。例えば、監視装置4がエレベータ3を管理する管理者が視認可能なランプ等の装置である場合、異常の発生を示す方法で点灯するなどして異常発生の通知を行う。
【0093】
<変形例>
上述の実施形態において、異常判定部114はエレベータ制御装置1に設けられていたが、これに限られない。例えば、異常通知システム100は、異常判定部114を備える別の装置をさらに備えていてもよい。この場合、当該別の装置の異常判定部114は、エレベータ制御装置1から状態情報を受信し、当該状態情報に基づき異常判定を行う。情報処理装置2に異常が生じていた場合、異常判定部114は、当該判定の結果をエレベータ制御装置1に送信する。通知出力部115は当該結果を受信すると、異常発生通知を監視装置4に出力する。または、別の装置が通知出力部115も備えていてもよい。この場合、別の装置は監視装置4と通信可能であり、情報処理装置2に異常が生じていることを示す判定結果に基づき、通知出力部115が監視装置4に異常発生通知を出力する。
【0094】
上述の実施形態では、エレベータ制御装置1が呼び登録依頼の受け付けおよびかご34の割り当てを行っていたが、これらの処理を他の装置が行ってもよい。例えば、異常通知システム100は、複数のエレベータ3およびこれらのエレベータ3をそれぞれ制御する複数のエレベータ制御装置1を備え、これらのエレベータ制御装置1を統括的に管理する群管理装置をさらに備えていてもよい。
【0095】
群管理装置は、呼び登録依頼を受け付け、情報処理装置2に割り当てるエレベータ3のかご34を決定してもよい。情報処理装置2に割り当てられたエレベータ3を制御するエレベータ制御装置1は、群管理装置による割り当てに従い、エレベータ3のかご34の移動および各扉の開閉を指示する。
【0096】
この場合、情報処理装置2からの状態情報の取得、状態情報に基づく異常判定、および異常発生通知の出力は、群管理装置がおこなってもよいし、エレベータ制御装置1が行ってもよい。
【0097】
〔実施形態2〕
<異常通知システム100A>
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0098】
図4は、本発明の実施形態2に係る異常通知システム100Aの概略構成の一例を示すブロック図である。図4に示すように、異常通知システム100Aは、エレベータ制御装置1Aおよびカメラ5を備える点において異常通知システム100と異なる。
【0099】
カメラ5は、かご34内および乗場の画像を撮像可能なカメラである。カメラ5は、各エレベータ3のかご34内および各乗場にそれぞれ設けられていてもよい。カメラ5は、撮像した画像データをエレベータ制御装置1Aに送信する。ここで、画像データは、動画データであってもよい。
【0100】
エレベータ制御装置1Aは、制御部11Aを備える。制御部11Aは、動作状態解析部116を備える点、および異常判定部114に代えて異常判定部114Aを備える点において実施形態1に係るエレベータ制御装置1の制御部11と異なる。
【0101】
動作状態解析部116は、エレベータ3の乗場およびかご34内の情報処理装置2を撮像した画像から該情報処理装置2の動作状態を解析することにより動作状態情報を生成する。具体的には、動作状態解析部116は、エレベータ制御装置1による呼び登録依頼に基づくエレベータ3の動作制御が開始すると、カメラ5によって撮像された画像データを取得し、当該画像を解析する。
【0102】
なお、動作状態解析部116は、異常発生確率が高い期間および場所を撮像した画像のみを取得してもよい。例えば、情報処理装置2が2階からかご34に乗車し5階で降車する場合、動作状態解析部116は、情報処理装置2が利用するかご34内を撮像するカメラ5から画像データを取得する。さらに、動作状態解析部116は、2階および5階の当該かご34に対応する乗場を撮像するカメラ5から、通信部12を介して画像データを取得する。
【0103】
動作状態解析部116は、取得した画像から、情報処理装置2の動作状態を特定し、当該動作状態を示す動作状態情報を生成する。動作状態解析部116は、生成した動作状態情報を異常判定部114Aに出力する。
【0104】
動作状態解析部116が特定する情報処理装置2の動作状態には、正常な動作を示す動作状態および正常でない動作を示す動作状態の少なくともいずれかが含まれる。
【0105】
情報処理装置2の正常な動作を示す動作状態とは、かご34が出発階に到着し扉開した後、情報処理装置2がかご34に乗車するために移動を行っている状態、または乗車を完了してかご内で停止している状態である。または、情報処理装置2の正常な動作を示す動作状態とは、かご34が階床間を移動している間、情報処理装置2が動作せず停止している状態である。また、情報処理装置2の正常な動作を示す動作状態とは、かご34が行先階に到着し扉開した後、情報処理装置2がかご34から降車するために移動を行っている状態、または降車を完了して乗場に位置している状態である。
【0106】
情報処理装置2の正常でない動作を示す動作状態とは、かご34が出発階に到着し扉開が完了したにもかかわらず、情報処理装置が乗車しない、または乗車動作開始後、乗車完了前のかご34に乗りきっていない状態で停止するなどの状態である。その他、情報処理装置2の正常でない動作を示す動作状態とは、かご34が階床間を移動している間、情報処理装置2が移動等の不要な動作を行っている状態である。また、情報処理装置2の正常でない動作を示す動作状態とは、かご34が行先階に到着し扉開した後、情報処理装置2がかご34から降車するために移動を開始しない状態、または降車完了前に停止している状態である。
【0107】
異常判定部114Aは、動作状態解析部116によって生成された動作状態情報に基づき異常判定を行う。具体的には、異常判定部114Aは、取得した動作解析情報に含まれる情報処理装置2の動作状態に、上述したような情報処理装置2の正常でない動作を示す動作状態が含まれる場合、当該情報処理装置2に異常が生じていると判定する。
【0108】
上述の構成によれば、異常通知システム100Aは、エレベータ3の乗場およびかご34内の情報処理装置2を撮像した画像から、該情報処理装置2に関する動作状態情報を取得することができる。これにより、異常通知システム100Aは、情報処理装置2を撮像した画像から特定される情報処理装置2の実際の動作に基づき、該情報処理装置2に異常が生じているか否かを判定することができる。
【0109】
<異常通知システム100Aの処理の流れの一例>
図5は、異常通知システム100Aが行う処理の一例を示すシーケンス図である。以下、図5を用いて異常通知システム100Aが行う処理の一例について説明する。なお、図5では、エレベータ制御装置1が複数のエレベータ3のかご34の動作を制御しており、情報処理装置2に割り当てるエレベータ3のかご34を決定する処理を行う場合を例に挙げて説明する。また、図5に示す処理の流れにおいて情報処理装置2が行う各処理は、図3において説明した各処理と同様のものであるため、説明を省略する。
【0110】
S31~S33の処理、すなわちエレベータ制御装置1Aにおいて呼び登録依頼を受け付けてから異常判定を開始するまでの処理は、図3を用いて説明したS11~S13の処理と同様であるため、説明を省略する。
【0111】
S33の後、動作制御部113は、通信部12を介してエレベータにかごを出発階に移動させる指示を示す信号を送信する(S34)。エレベータ3の駆動制御部32は、当該信号を受信すると、かご34を出発階に移動させる。
【0112】
さらに、S33の後、動作状態解析部116は、動作状態の解析を開始する。具体的には、動作状態解析部116は、カメラ5から情報処理装置2が利用するかご34内、出発階および行先階の乗場の画像データを取得し、当該データを解析することで、当該情報処理装置2の動作状態を特定する。動作状態解析部116は、特定した情報処理装置2の動作状態を示す動作状態情報を、異常判定部114Aに出力する。動作状態解析部116は、上述の処理を異常判定開始から異常判定終了までの期間中に亘って行う。
【0113】
異常判定部114Aは、動作状態解析部116から動作状態情報を取得すると、当該情報に基づき異常判定を行う。具体的には、異常判定部114Aは、動作状態情報に基づき、情報処理装置2がかご34の扉開が完了してから所定時間内に乗車動作が開始したか否かを判定する(S35:異常判定ステップ)。情報処理装置2がかご34の扉開が完了してから所定時間内に乗車動作を開始しなかった場合(S35でNO)、異常判定部114Aは、情報処理装置2に異常が生じていると判定する。
【0114】
情報処理装置2がかご34の扉開が完了してから所定時間内に乗車動作を開始した場合(S35でYES)、異常判定部114Aは、次に情報処理装置2が正常に乗車動作を完了したか否かを判定する(S36:異常判定ステップ)。
【0115】
情報処理装置2が乗車動作を完了することができない場合(S36でNO)、異常判定部114Aは、情報処理装置2に異常が生じていると判定する。情報処理装置2が乗車動作を完了することができない場合とは、例えば、情報処理装置2が乗車動作中に転倒した、動作部23が故障し正常に移動ができなくなったなどの状況が挙げられる。
【0116】
情報処理装置2が正常に乗車動作を完了した場合(S36でYES)、動作制御部113は情報処理装置2に異常が生じていることを示す判定結果を取得しないため、呼び登録依頼に基づく処理が継続される。すなわち、動作制御部113は、かご34の扉およびかご34が位置する乗場の扉33を閉じること(扉閉)を指示する信号を送信する。駆動制御部32は当該信号を受信すると、扉閉を行う。その後、動作制御部113は、情報処理装置2の行先階を示す情報に基づき、かご34を行先階に移動させるよう指示する信号をエレベータ3に送信する。エレベータ3の駆動制御部32は、通信部31を介して当該信号を受信すると、かご34を行先階に移動させる。
【0117】
かご34が行先階に到着すると、エレベータ3の駆動制御部32は、通信部31を介してエレベータ制御装置1にかご34が到着したことを示す信号を送信する。動作制御部113は、当該信号を受信すると、通信部12を介してエレベータ3に扉開を指示する信号を送信する(S37)。エレベータ3の駆動制御部32は、通信部31を介して当該信号を受信すると、開閉部34を動作させ、かご34の扉および乗場の扉33を開かせる。
【0118】
その後、エレベータ3の駆動制御部32は、通信部31を介して扉開が完了したことを示す信号をエレベータ制御装置1に送信する。動作制御部113は、当該信号を受信すると、通信部12を介して情報処理装置2に降車要求信号を送信する。
【0119】
異常判定部114Aは、動作状態情報に基づき、扉開が完了してから情報処理装置2が所定時間内に降車動作が開始したか否かを判定する(S38:異常判定ステップ)。扉開が完了してから情報処理装置2が所定時間内に降車動作を開始しなかった場合(S38でNO)、異常判定部114Aは、情報処理装置2に異常が生じていると判定する。
【0120】
扉開が完了してから情報処理装置2が所定時間内に降車動作を開始した場合(S38でYES)、異常判定部114Aは、次に情報処理装置2が正常に降車動作を完了したか否かを判定する(S39:異常判定ステップ)。情報処理装置2が降車動作を完了することができない場合(S39でNO)、異常判定部114Aは、情報処理装置2に異常が生じていると判定する。
【0121】
異常判定部114は情報処理装置2が正常にかご34からの降車を完了した場合(S39でYES)、異常判定部114は、情報処理装置2が正常にエレベータ3の利用を完了したとして、異常判定を終了する(S40)。
【0122】
一方、異常判定部114が情報処理装置2に異常が生じていると判定した場合(S35、S36、S38またはS39でNO)、当該判定の結果は通知出力部115および動作制御部113に出力される。通知出力部115は、異常判定部114から情報処理装置2に異常が生じていることを示す情報を取得すると、異常発生通知を出力する(S41)。異常が生じていると判定されてから異常発生通知の出力が行われるまでの間に行われる処理、および異常発生通知の出力が行われた後の処理は、図3を用いて説明した処理と同様であるため、説明を省略する。
【0123】
<変形例>
上述の実施形態において、異常判定部114Aは動作状態情報のみを用いて異常判定を行っていたが、異常判定部114Aは通信状態情報と動作状態情報とを組み合わせて異常判定をおこなってもよい。
【0124】
この場合、例えば、乗車中に信号を受信しているにもかかわらず、情報処理装置2が動作していない場合、異常判定部114Aは、情報処理装置2に異常が生じていると判定する。また、異常判定部114Aは、異常が生じているか否かの判定に加えて、情報処理装置2の通信機能には問題ないが、動作機能に異常が生じていると判定する。この場合、通知出力部115は、監視装置4に送信する異常発生通知に、異常判定部114Aが判定した情報処理装置2に発生している異常の内容を示す情報を加えてもよい。
【0125】
その他、例えば乗車開始信号をエレベータ制御装置1Aが受信できていないにもかかわらず、動作状態解析部116が特定した情報処理装置2の動作が、乗車中であることを示す場合、異常判定部114Aは、情報処理装置2に異常が生じていると判定する。また、異常判定部114Aは、異常が生じているか否かの判定に加えて、情報処理装置2の動作機能には問題ないが、通信機能に異常が生じていると判定する。
【0126】
〔ソフトウェアによる実現例〕
異常通知システム100、100A(以下、「システム」と呼ぶ)の機能は、当該システムとしてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、当該システムの各制御ブロック(特に制御部11、11A、22、32に含まれる各部)としてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。
【0127】
この場合、上記システムは、上記プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。この制御装置と記憶装置により上記プログラムを実行することにより、上記各実施形態で説明した各機能が実現される。
【0128】
上記プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、上記システムが備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、上記プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して上記システムに供給されてもよい。
【0129】
また、上記各制御ブロックの機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上記各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本発明の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより上記各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
【0130】
また、上記各実施形態で説明した各処理は、AI(Artificial Intelligence:人工知能)に実行させてもよい。この場合、AIは上記制御装置で動作するものであってもよいし、他の装置(例えばエッジコンピュータまたはクラウドサーバ等)で動作するものであってもよい。
【0131】
〔まとめ〕
以上のように、本発明の態様1に係る異常通知システムは、エレベータの乗場および該エレベータのかご内のいずれかの自律走行可能な情報処理装置と、該エレベータの動作を制御するエレベータ制御装置との通信状態を示す通信状態情報、および該情報処理装置の動作状態を示す動作状態情報の少なくともいずれかを含む状態情報に基づいて、該情報処理装置に異常が生じているか否かを判定する異常判定部と、前記情報処理装置に異常が生じている場合、前記エレベータ制御装置から異常発生通知を出力する通知出力部と、を備える。
【0132】
自律走行する情報処理装置において異常が生じた場合、該情報処理装置が自機の異常を検知し適切な対応(例えば、異常発生および救援要請などの発報)を行うことが常に可能であるとは限らない。なぜなら、情報処理装置に生じた異常によって、該情報処理装置の自機の異常を検知する機能、および、異常発生および救援要請を発報する機能などが失われている場合があるからである。このような場合、情報処理装置に異常が生じたことの把握が遅れる可能性がある。
【0133】
上記の構成によれば、異常通知システムは、エレベータの乗場およびかご内の情報処理装置との通信状態、および該情報処理装置の動作状態の少なくともいずれかに基づいて、該情報処理装置に異常が生じているか否かを判定する。そして、情報処理装置に異常が生じている場合、異常通知システムは、エレベータから情報処理装置に異常が発生した旨を通知する異常発生通知を出力する。この構成によれば、情報処理装置が自機の異常を検知したり、救援要請を発報したりすることができなくなっていても、異常通知システムが、エレベータを利用する情報処理装置における異常の発生を検知し、異常発生通知を出力することができる。これにより、異常通知システムは、エレベータを利用する情報処理装置に異常が生じた旨を遅滞なく管理者等に通知することができる。
【0134】
本発明の態様2に係る異常通知システムは、上記態様1において、前記状態情報は、前記通信状態情報として、前記情報処理装置から送信されるべき信号が受信できているか否かを示す情報を含み、前記異常判定部は、前記情報処理装置から送信されるべき信号が受信できていない場合、当該情報処理装置に異常が生じていると判定してもよい。
【0135】
エレベータ制御装置と情報処理装置との間で通信ができない状態とは、例えば情報処理装置の通信機能が故障した状態である。上記の構成によれば、異常通知システムは、情報処理装置から送信されるべき信号(例えば、乗車中であること/降車中であることをエレベータ制御装置に通知する信号)が受信できていない場合、情報処理装置に異常が生じていると判定する。この構成によれば、情報処理装置に生じた通信機能の異常を、異常通知システムが検知することができる。
【0136】
本発明の態様3に係る異常通知システムは、上記態様1または2において、前記状態情報は、前記動作状態情報として、前記情報処理装置による前記かごへの乗車動作を示す情報を含み、前記異常判定部は、前記情報処理装置による前記乗車動作が、該情報処理装置が乗車可能な前記かごが該情報処理装置の出発階に到着した時点から所定時間内に完了しない場合、当該情報処理装置に異常が生じていると判定してもよい。
【0137】
また、本発明の態様4に係る異常通知システムは、上記態様1から3のいずれかにおいて、前記状態情報は、前記動作状態情報として、前記情報処理装置による前記かごからの降車動作を示す情報を含み、前記異常判定部は、前記情報処理装置による前記降車動作が、該情報処理装置の目的階に前記かごが到着した時点から所定時間内に完了しない場合、当該情報処理装置に異常が生じていると判定してもよい。
【0138】
情報処理装置の動作機能に異常が生じている場合、情報処理装置は、エレベータのかごに乗車する乗車動作、およびかごから降車する降車動作を円滑に行うことができない。態様3または4に係る構成によれば、異常通知システムは、情報処理装置が乗車動作/降車動作を所定時間内に完了できない場合、情報処理装置に異常が生じていると判定する。この構成によれば、情報処理装置に生じた動作機能の異常を、異常通知システムが検知することができる。
【0139】
本発明の態様5に係る異常通知方法は、エレベータの乗場および該エレベータのかご内のいずれかの自律走行可能な情報処理装置と、該エレベータの動作を制御するエレベータ制御装置との通信状態を示す通信状態情報、および該情報処理装置の動作状態を示す動作状態情報の少なくともいずれかを含む状態情報に基づいて、該情報処理装置に異常が生じているか否かを判定する異常判定ステップと、前記情報処理装置に異常が生じている場合、前記エレベータから異常発生通知を出力する通知出力ステップと、を含む。
【0140】
当該構成によれば、上記態様1と同様の効果を奏する。
【0141】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0142】
1、1A エレベータ制御装置
2 情報処理装置
3 エレベータ
100、100A 異常通知システム
114、114A 異常判定部
115 通知出力部
116 動作状態解析部
図1
図2
図3
図4
図5