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7563446画像処理装置、および画像処理方法、並びにプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】画像処理装置、および画像処理方法、並びにプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/27 20060101AFI20241001BHJP
   A01G 7/00 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
G01N21/27 A
A01G7/00 603
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2022509351
(86)(22)【出願日】2021-02-03
(86)【国際出願番号】 JP2021003932
(87)【国際公開番号】W WO2021192642
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2023-12-07
(31)【優先権主張番号】P 2020054632
(32)【優先日】2020-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100093241
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 正昭
(74)【代理人】
【識別番号】100101801
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 英治
(74)【代理人】
【識別番号】100086531
【弁理士】
【氏名又は名称】澤田 俊夫
(74)【代理人】
【識別番号】100095496
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 榮二
(74)【代理人】
【識別番号】110000763
【氏名又は名称】弁理士法人大同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】海野 恵助
【審査官】横尾 雅一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-046639(JP,A)
【文献】特開2020-027033(JP,A)
【文献】国際公開第2018/034166(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第107991245(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0308750(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00 - G01N 21/61
A01G 7/00
G06T 1/00
G06T 5/00
G06T 9/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物の活性度を示す植生指標値を画素値として設定した植生指標値設定画像を入力し、前記植生指標値設定画像の補正画像を生成する植生指標値設定画像補正部を有し、
前記植生指標値設定画像補正部は、
前記植生指標値設定画像の構成画素単位で周囲画素の画素値との平均画素値を算出し、算出した平均画素値を設定した平均化画像を生成し、
前記植生指標値設定画像と前記平均化画像との差分画像に対して、規定しきい値に従った2値化処理を実行して2値化画像を生成し、
前記植生指標値設定画像と、前記2値化画像の乗算処理によって生成した乗算画像を、前記植生指標値設定画像の補正画像とする画像処理装置。
【請求項2】
前記植生指標値設定画像は、
画素値として、NDVI(Normalized Difference Vegetation Index)値を設定したNDVI画像である請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記植生指標値設定画像は、
植生部と土壌部を含むカメラ撮影画像に基づいて生成された画像であり、
前記植生指標値設定画像補正部は、
前記平均化画像を生成する平均化部を有し、
前記平均化部は、
前記植生指標値設定画像に含まれる植生部の植生部方向と植生部間隔を取得し、
処理対象画素について、植生部方向の直角方向にあり、かつ前記処理対象画素を含む植生部間隔内にある画素の画素値平均値を、前記処理対象画素の平均化画素値として算出し、
前記植生指標値設定画像の構成画素各々について算出した平均化画素値を設定した平均化画像を生成する請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記植生部間隔は、
1列分に相当する植生部列の画素と、1列分に相当する土壌部列の画素を含む画素間隔であり、
前記平均化部は、
前記処理対象画素を含み、1列分に相当する植生部列の画素と、1列分に相当する土壌部列の画素を含む植生部間隔内にある画素の画素値平均値を、前記処理対象画素の平均化画素値として算出する請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記平均化部は、
前記植生指標値設定画像の画像解析により、前記植生指標値設定画像に含まれる植生部の植生部方向と植生部間隔を取得する請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記平均化部は、
前記植生部方向、または植生部間隔の少なくともいずれかを、ユーザ入力データから取得する請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記植生指標値設定画像補正部は、
前記平均化画像を入力して、前記植生指標値設定画像と前記平均化画像との差分画像を生成する減算部を有し、
前記減算部は、
前記植生指標値設定画像と前記平均化画像の対応画素単位で画素値を減算して減算結果の画素値から構成される差分画像を生成する請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記植生指標値設定画像は、
画素値として、NDVI(Normalized Difference Vegetation Index)値を設定したNDVI画像であり、
前記NDVI画像のNDVI値は0.0~1.0の範囲の値に設定され、
前記差分画像は、
前記NDVI画像と前記平均化画像との差分画像であり、0以上の画素値と0以下の画素値の画素を含む差分画像である請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記植生指標値設定画像補正部は、
前記差分画像に対して、規定しきい値に従った2値化処理を実行して2値化画像を生成する2値化部を有し、
前記2値化部は、
前記規定しきい=0として、
前記差分画像の構成画素の画素値が正の値の場合は、画素値=1とし、
前記差分画像の構成画素の画素値が0または負の値の場合は画素値=0として設定した2値化画像を生成する請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記植生指標値設定画像補正部は、
前記差分画像に対して、規定しきい値に従った2値化処理を実行して2値化画像を生成する2値化部を有し、
前記2値化部は、
前記規定しきいとして0以外の値を使用して2値化画像を生成する請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記植生指標値設定画像補正部は、
前記植生指標値設定画像と、前記2値化画像の乗算処理によって前記乗算画像を生成する乗算部を有し、
前記乗算部は、
前記植生指標値設定画像と、前記2値化画像の対応画素単位で画素値を乗算して乗算結果の画素値から構成される乗算画像を生成する請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記2値化画像は、
画素値が0または1に設定された2値化画像であり、
前記乗算部は、
前記植生指標値設定画像と、画素値が0または1に設定された前記2値化画像の対応画素単位で画素値を乗算して、乗算結果として、0の画素値と、前記植生指標値設定画像の画素値を反映した画素値から構成される乗算画像を生成する請求項11に記載の画像処理装置。
【請求項13】
前記植生指標値設定画像は、
植生部と土壌部を含むカメラ撮影画像に基づいて生成された画像であり、
前記乗算部は、
土壌部領域が、画素値=0の設定領域となる乗算画像を生成する請求項11に記載の画像処理装置。
【請求項14】
前記植生指標値設定画像補正部は、
前記乗算画像の平均化処理を実行する乗算画像平均化部を有し、
前記乗算画像平均化部は、
前記乗算画像の構成画素単位で周囲画素の画素値との平均画素値を算出し、算出した平均画素値を設定した平均化乗算画像を生成し、生成した平均化乗算画像を、前記植生指標値設定画像の補正画像とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項15】
前記乗算画像平均化部は、
前記乗算画像から、植生部と推定される植生部領域のみを抽出した植生部抽出画像を生成し、
生成した植生部抽出画像の植生部方向と植生部間隔を取得し、
処理対象画素について、植生部方向の直角方向にあり、かつ前記処理対象画素を含む植生部間隔内にある画素の画素値平均値を、前記処理対象画素の平均化画素値として算出し、
前記乗算画像の構成画素各々について平均化画素値を算出した後、植生部抽出画像を前記植生指標値設定画像の画像サイズに拡大して、前記平均化乗算画像を生成する請求項14に記載の画像処理装置。
【請求項16】
画像処理装置において実行する画像処理方法であり、
前記画像処理装置は、
植物の活性度を示す植生指標値を画素値として設定した植生指標値設定画像を入力し、前記植生指標値設定画像の補正画像を生成する植生指標値設定画像補正部を有し、
前記植生指標値設定画像補正部が、
前記植生指標値設定画像の構成画素単位で周囲画素の画素値との平均画素値を算出し、算出した平均画素値を設定した平均化画像を生成し、
前記植生指標値設定画像と前記平均化画像との差分画像に対して、規定しきい値に従った2値化処理を実行して2値化画像を生成し、
前記植生指標値設定画像と、前記2値化画像の乗算処理によって生成した乗算画像を、前記植生指標値設定画像の補正画像とする画像処理方法。
【請求項17】
画像処理装置において画像処理を実行させるプログラムであり、
前記画像処理装置は、
植物の活性度を示す植生指標値を画素値として設定した植生指標値設定画像を入力し、前記植生指標値設定画像の補正画像を生成する植生指標値設定画像補正部を有し、
前記プログラムは、前記植生指標値設定画像補正部に、
前記植生指標値設定画像の構成画素単位で周囲画素の画素値との平均画素値を算出し、算出した平均画素値を設定した平均化画像を生成する処理と、
前記植生指標値設定画像と前記平均化画像との差分画像に対して、規定しきい値に従った2値化処理を実行して2値化画像を生成する処理と、
前記植生指標値設定画像と、前記2値化画像の乗算処理によって生成した乗算画像を、前記植生指標値設定画像の補正画像として出力する処理を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像処理装置、および画像処理方法、並びにプログラムに関する。さらに詳細には、カメラ撮影画像に基づく植物の活性度判定を行う画像処理装置、および画像処理方法、並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばドローン等に備えられたカメラを用いて農作物や、花、木等の様々な植物を撮影し、撮影画像を解析することで植物の活性度を計測する技術がある。
【0003】
植物の活性度を示す植生指標として、例えばNDVI(Normalized Difference Vegetation Index)がある。
カメラ撮影画像の解析により、画像内に撮影された植物のNDVIを算出することで、撮影された画像内の植物の活性度を推定することができる。
なお、植物の活性度を示す植生指標であるNDVIについて記載した従来技術として、例えば特許文献1(国際公開WO2018/034166号公報)がある。
【0004】
例えばネギ、キャベツ、白菜、ほうれん草などの野菜や、花、木等を栽培する農場では、栽培対象とする植物を一定の列、例えば直線状の「畝(うね)」を形成した列に沿って植えて栽培を行うことが多い。
すなわち、栽培対象の植物を植えた「畝(うね)」等の植生部列を、一定間隔ごとに離間させて形成して栽培を行う。
この結果、栽培対象の植物を植えた植生部列と、植物を植えていない土壌部列が交互に設定される。
【0005】
このように植生部列を、間隔を空けて設定することで、栽培対象の植物に多くの日光を浴びさせることが可能となり、また土壌部列を歩行路として利用することで作業がし易くなるなど、様々なメリットがある。
【0006】
しかし、植生部列と土壌部列が混在する農場を、ドローン等に装着したカメラを用いて上空から撮影すると、撮影画像は、植生部列のみならず土壌部列も含む画像となる。
このような画像を用いて植生指標値であるNDVI値を算出すると、土壌部列部分の画素値も含む画素値データに基づくNDVI値算出処理が行われてしまい、植生部のみの正確な植生指標値を算出することができないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】国際公開WO2018/034166号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本開示は、例えば上記の問題点に鑑みてなされたものであり、カメラ撮影画像に基づく植物の活性度判定を行う構成において、植生部列と土壌部列が混在する農場を撮影した画像に基づいて、植生部列にある植物のNDVI値等、植物の活性度を示す植生指標を正確に算出する画像処理装置、および画像処理方法、並びにプログラムを提供することを目的とする。
本開示の構成、処理を適用することで、植物の活性度を高精度に判定することが可能となる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の第1の側面は、
植物の活性度を示す植生指標値を画素値として設定した植生指標値設定画像を入力し、前記植生指標値設定画像の補正画像を生成する植生指標値設定画像補正部を有し、
前記植生指標値設定画像補正部は、
前記植生指標値設定画像の構成画素単位で周囲画素の画素値との平均画素値を算出し、算出した平均画素値を設定した平均化画像を生成し、
前記植生指標値設定画像と前記平均化画像との差分画像に対して、規定しきい値に従った2値化処理を実行して2値化画像を生成し、
前記植生指標値設定画像と、前記2値化画像の乗算処理によって生成した乗算画像を、前記植生指標値設定画像の補正画像とする画像処理装置にある。
【0010】
さらに、本開示の第2の側面は、
画像処理装置において実行する画像処理方法であり、
前記画像処理装置は、
植物の活性度を示す植生指標値を画素値として設定した植生指標値設定画像を入力し、前記植生指標値設定画像の補正画像を生成する植生指標値設定画像補正部を有し、
前記植生指標値設定画像補正部が、
前記植生指標値設定画像の構成画素単位で周囲画素の画素値との平均画素値を算出し、算出した平均画素値を設定した平均化画像を生成し、
前記植生指標値設定画像と前記平均化画像との差分画像に対して、規定しきい値に従った2値化処理を実行して2値化画像を生成し、
前記植生指標値設定画像と、前記2値化画像の乗算処理によって生成した乗算画像を、前記植生指標値設定画像の補正画像とする画像処理方法にある。
【0011】
さらに、本開示の第3の側面は、
画像処理装置において画像処理を実行させるプログラムであり、
前記画像処理装置は、
植物の活性度を示す植生指標値を画素値として設定した植生指標値設定画像を入力し、前記植生指標値設定画像の補正画像を生成する植生指標値設定画像補正部を有し、
前記プログラムは、前記植生指標値設定画像補正部に、
前記植生指標値設定画像の構成画素単位で周囲画素の画素値との平均画素値を算出し、算出した平均画素値を設定した平均化画像を生成する処理と、
前記植生指標値設定画像と前記平均化画像との差分画像に対して、規定しきい値に従った2値化処理を実行して2値化画像を生成する処理と、
前記植生指標値設定画像と、前記2値化画像の乗算処理によって生成した乗算画像を、前記植生指標値設定画像の補正画像として出力する処理を実行させるプログラムにある。
【0012】
なお、本開示のプログラムは、例えば、様々なプログラム・コードを実行可能な情報処理装置やコンピュータ・システムに対して、コンピュータ可読な形式で提供する記憶媒体、通信媒体によって提供可能なプログラムである。このようなプログラムをコンピュータ可読な形式で提供することにより、情報処理装置やコンピュータ・システム上でプログラムに応じた処理が実現される。
【0013】
本開示のさらに他の目的、特徴や利点は、後述する本開示の実施例や添付する図面に基づくより詳細な説明によって明らかになるであろう。なお、本明細書においてシステムとは、複数の装置の論理的集合構成であり、各構成の装置が同一筐体内にあるものには限らない。
【0014】
本開示の一実施例の構成によれば、植生部と土壌部が混在する画像に基づいて、植生部領域のNDVI値等、高精度な植生指標値からなる補正画像を生成、出力する装置、方法が実現される。
具体的には、例えば、NDVI値等の植生指標値を画素値として設定した植生指標値設定画像の補正画像を生成する植生指標値設定画像補正部を有する。植生指標値設定画像補正部は、植生指標値設定画像の構成画素単位で周囲画素の画素値との平均画素値を算出し、平均画素値を設定した平均化画像を生成し、植生指標値設定画像と平均化画像との差分画像に対して規定しきい値に従った2値化処理により2値化画像を生成し、植生指標値設定画像と2値化画像の乗算画像を、植生指標値設定画像の補正画像とする。
本構成により、植生部と土壌部が混在する画像に基づいて、植生部領域のNDVI値等、高精度な植生指標値からなる補正画像を生成、出力する装置、方法が実現される。
なお、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、また付加的な効果があってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】農場の上空からの画像撮影処理例について説明する図である。
図2】農場の撮影画像と、撮影画像に基づいて生成されるNDVI画像について説明する図である。
図3】農場の撮影画像に基づいて生成されるNDVI画像の問題点について説明する図である。
図4】農場の撮影画像に基づいて生成されるNDVI画像の問題点について説明する図である。
図5】農場の撮影画像に基づいて生成されるNDVI画像の問題点について説明する図である。
図6】農場の撮影画像に基づいて生成されるNDVI画像の問題点について説明する図である。
図7】本開示の画像処理装置の構成と処理について説明する図である。
図8】本開示の画像処理装置のNDVI画像補正部の構成と処理について説明する図である。
図9】NDVI画像補正部に対する入力画像であるNDVI画像の一例について説明する図である。
図10】NDVI画像補正部の平均化部が実行する処理の詳細について説明する図である。
図11】NDVI画像補正部の平均化部が実行する処理の詳細について説明する図である。
図12】NDVI画像補正部の平均化部が実行する処理の詳細について説明する図である。
図13】NDVI画像補正部の減算部が実行する処理の詳細について説明する図である。
図14】NDVI画像補正部の2値化部が実行する処理の詳細について説明する図である。
図15】NDVI画像補正部の乗算部が実行する処理の詳細について説明する図である。
図16】NDVI画像補正部の乗算画像平均化部が実行する処理の詳細について説明する図である。
図17】NDVI画像補正部の乗算画像平均化部が実行する処理の詳細について説明する図である。
図18】本開示の画像処理装置が実行する処理の詳細シーケンスを説明するフローチャートを示す図である。
図19】本開示の画像処理装置のNDVI画像補正部が実行する処理の詳細について説明する図である。
図20】本開示の画像処理装置のハードウェア構成例について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら本開示の画像処理装置、および画像処理方法、並びにプログラムの詳細について説明する。なお、説明は以下の項目に従って行なう。
1.植物の活性度を示す指標(植生指標)について
2.植物の活性度指標値であるNDVI値の従来の算出処理例と、問題点について
3.本開示の画像処理装置の構成と処理の詳細について
3-1.平均化部121の実行する処理について
3-2.減算部122の実行する処理について
3-3.2値化部123の実行する処理について
3-4.乗算部124の実行する処理について
3-5.乗算画像平均化部125の実行する処理について
4.本開示の画像処理装置の実行する処理のシーケンスについて
5.画像処理装置のハードウェア構成例について
6.本開示の構成のまとめ
【0017】
[1.植物の活性度を示す指標(植生指標)について]
まず、植物の活性度を示す指標(植生指標)について説明する。
前述したように、例えばドローン等に備えられたカメラを用いて農作物や、花、木等の様々な植物を撮影し、撮影画像を解析することで植物の活性度を計測する技術がある。
植物の活性度を示す指標(植生指標)として、例えばNDVI(Normalized Difference Vegetation Index)がある。
【0018】
一般に、NDVIは、以下の(式1)に従って算出することができる。
NDVI=(NIR-RED)/(NIR+RED)・・・(式1)
上記(式1)において、
RED(赤),NIR(近赤外)は、赤色光と近赤外光2つの波長の画像を同時に撮影できるカメラ(マルチスペクトルカメラ)による撮影画像の各画素におけるRED(赤)波長(約0.63~0.69μm)とNIR(近赤外)波長(約0.76~0.90μm)の強度(画素値)である。
【0019】
カメラ撮影画像から取得されるRED(赤),NIR(近赤外)の強度を示す画素値は、被写体からの反射光を測定したものである。
植物は葉緑素(クロロフィル)で赤波長の光を吸収し光合成を行い、吸収しきれなかった光が拡散反射として葉から放出される。したがって赤系統の波長光を多く吸収する葉が、活性度の高い葉であると判断することができる。
【0020】
例えば、図1に示すように、ドローン10に、カメラ11を搭載し、農場を上空から撮影する。カメラ11は、RED波長(赤)とNRI波長(近赤外)を同時撮影するマルチスペクトルカメラである。
【0021】
農場は、例えばネギ、キャベツ、白菜、ほうれん草などの野菜や、花、木等を栽培する農場である。
図1に示すように、栽培対象とする植物は、一定の列、例えば直線状の「畝(うね)」に沿った植生部の列に沿って植えられている。
植生部列は、一定間隔で離間して、多数、形成される。このように植生部列を、間隔を空けて設定することで、栽培対象の植物に多くの日光を浴びさせることが可能となり、また作業もし易くなるなど、様々なメリットがある。
【0022】
しかし、この結果、農場は、図1に示すように、栽培対象の植物を植えた植生部列と、植物を植えていない土壌部列が交互に設定された構成となる。
図1に示すように、植生部列と土壌部列が混在する農場を、ドローン10に装着したカメラ11を用いて上空から撮影すると、撮影画像は、植生部列と土壌部列が混在する画像となる。
【0023】
このような画像を用いて植生指標値であるNDVI値を算出すると、土壌部列部分の画素値も含む画素値データに基づくNDVI値算出処理が行われてしまい、植生部のみの正確な植生指標値を算出することができない。
【0024】
図2には、(a)カメラ撮影画像と、(b)NDVI画像の例を示している。
図2(a)に示すカメラ撮影画像の各画素について、先に説明した(式1)に従って、各画素対応のNDVI値を算出する。すなわち、
NDVI=(NIR-RED)/(NIR+RED)・・・(式1)
上記(式1)に従って、各画素対応のNDVI値を算出する。
【0025】
この算出結果に基づいて生成される画像の一例が図2に示す(b)NDVI画像である。
NDVI画像の各画素に設定される画素値はNDVI値に相当する。
NDVI値は、例えばNDVI=0.0~1.0の範囲に設定される。図2に示す(b)NDVI画像の白い部分(高輝度部分)が、NDVI値が高い(1.0に近い)領域であり、植物の活性度が高い領域である。
一方、図2に示す(b)NDVI画像の黒い部分(低輝度部分)が、NDVI値が低い(0.0に近い)領域であり、植物の活性度が低い領域である。
【0026】
しかし、図2に示す(b)NDVI画像の黒い部分(低輝度部分)には、栽培対象の植物が存在しない土壌部分が含まれている。従って、例えば、この画像の全体的な画素値(NDVI値)の平均値を算出しても、植生部のみの正確な活性度指標値を得ることはできない。
【0027】
[2.植物の活性度指標値であるNDVI値の従来の算出処理例と、問題点について]
次に、図3以下を参照して、植物の活性度指標値であるNDVI値の従来の算出処理例と、問題点について説明する。
【0028】
図3は、先に説明した図1と同様、植生部列と土壌部列が混在する農場を、ドローン10に備えられたカメラ11を用いて上空から撮影する場合の例を示す図である。
この農場は、図3に示すように一部に生育不良領域20が存在するとする。
【0029】
このような生育不良領域20が含まれた農場の撮影画像から、NDVI画像を生成すると、図4に示すように、生育不良領域20に対応するNDVI画像の画像領域は画素値(NDVI値)が低い画像領域、すなわち低輝度の画像領域となる。
【0030】
なお、図4に示すNDVI画像の高輝度(白)ラインが、植生部列に対応するラインであり、低輝度(灰~黒)ラインが土壌部列に相当するラインである。
なお、図4以下に示すNDVI画像は、説明を理解しやすくするため、植生部列を高輝度(白)ラインとして示し、土壌部列を低輝度(灰~黒)ラインとして明確に区分して示した模式的な画像である。実際の撮影画像では各ラインの境界は曖昧な境界となる。以下では、本開示の処理を理解しやすくするため、各ラインの境界を明確に示した模式的なNDVI画像を用いて説明する。
【0031】
図4に示すように、植生部列と土壌部列が混在する農場の撮影画像に基づいて生成されるNDVI画像は、植生部列のNDVI値と土壌部列のNDVI値が混在する画像となる。従って、例えば、この画像の全体的な画素値(NDVI値)の平均値を算出しても、植生部のみの正確な活性度指標値(NDVI値)を得ることはできない。
【0032】
このような画像から、植生部のみの活性度指標値(NDVI値)を算出するための従来の処理例について、図5以下を参照して説明する。
図5(1)には、図4を参照して説明したと同様、生育不良領域20を含むNDVI画像を示している。
【0033】
まず、このNDVI画像の全画素の画素値(NDVI値)のヒストグラムを生成する。
図5(2)は、図5(1)に示すNDVI画像の全画素の画素値(NDVI値)のヒストグラムである。
【0034】
図5(2)に示すヒストグラムは、横軸にNDVI値(0~1.0)、縦軸に画素数を示したグラフである。
図5(2)に示すグラフの実線で示す曲線が各NDVI値対応の「画素値分布曲線(実測値)」、すなわち「ヒストグラム」である。
【0035】
図5(2)に示すように、この画素値分布曲線は2つの山を有している。これらの山のうち、右側の山、すなわちNDVI値が高い方にある大きな山が植生部列に対応する画素のNDVI値の分布を示す山に相当すると推定される。
一方、左側の山、すなわちNDVI値が低い方にある小さな山が土壌部列に対応する画素のNDVI値の分布を示す山に相当すると推定される。
【0036】
このような推定結果に基づいて、図5(2)に示すような、しきい値、すなわち、
「植生部と土壌部の推定しきい値(NDVI値=0.4)」を設定する。
【0037】
図5(2)に示すように、NDVI値が高い方にある大きな山の左下部領域に、植生部対応画素のNDVI値の推定分布曲線(植生部推定分布曲線)を追記する。
さらに、図5(2)に示すように、NDVI値が低い方にある小さな山の右下部領域に、土壌部対応画素のNDVI値の推定分布曲線(土壌部推定分布曲線)を追記する。
【0038】
これらの推定分布曲線に交点位置(NDVI値=0.4)を求め、この交点位置(NDVI値=0.4)を「植生部と土壌部の推定しきい値」とする。
この推定しきい値を用いて、図5(1)に示すNDVI画像に含まれる植生部と土壌部を判別する。
【0039】
具体的には、画素値(NDVI値)が、しきい値=0.4以上の領域は植生部と判定し、しきい値=0.4未満の領域は土壌部と判定する。
この判別処理によって選択された植生部、すなわち、しきい値=0.4以上の植生部と推定された領域のみを植物活性度指標値(NDVI値)の解析対象とする。
【0040】
このような「しきい値」を用いた領域判定処理を行うことで、しきい値=0.4未満の領域は土壌部と判定され、これらの領域を植物活性度指標値(NDVI値)の算出対象から除外することができる。
【0041】
しかし、このように「しきい値」を用いた領域判定処理を行うと、図5(1)に示すNDVI画像に含まれる生育不良領域20が土壌部領域として判定される可能性がある。
図6を参照して具体例について説明する。
【0042】
図6(1)NDVI画像は、図5(1)に示すNDVI画像と同じ画像である。すなわち、図4を参照して説明したと同様の生育不良領域20を含むNDVI画像を示している。
【0043】
図6(2)は、図6(1)NDVI画像の最下部の画素ラインABのNDVI値を示すグラフである。
横軸が画素ラインABの画素位置を示し、縦軸が各画素のNDVI値を示している。
【0044】
グラフに示すように、画素ラインABのNDVI値は複数の山と谷が一定間隔で形成された曲線となる。
NDVI値の高い部分(山部分)が植生部に対応し、NDVI値の低い部分(谷部分)が土壌部に対応する。
【0045】
ここで、図6(2)に示すグラフに対して、先に図5を参照して説明した「植生部と土壌部の推定しきい値(NDVI値=0.4)」を用いて、植生部と土壌部を区別する処理を行ってみる。
【0046】
図6(2)のグラフのほぼ中央に中段にある点線が、推定しきい値((NDVI値=0.4)のラインである。
この推定しきい値((NDVI値=0.4)より上側の高いNDVI値を持つ領域が植生部領域であり、下側の低いNDVI値を持つ領域が土壌部領域と判定されることになる。
【0047】
しかし、図6(2)に示すように、生育不良領域20に相当する図6(2)に示すCD部分は、山部分が低い山となっている。このCD部分にある山部分は、植生部に相当するにも関わらず、推定しきい値((NDVI値=0.4)より低いNDVI値を持つ領域であるため。土壌部領域と判定されてしまう。
【0048】
このように、「推定しきい値」を用いた領域判定を行うと、生育不良領域の植生部が、誤って土壌部であると判定されてしまうといった問題が発生する。
【0049】
[3.本開示の画像処理装置の構成と処理の詳細について]
次に、本開示の画像処理装置の構成と処理の詳細について説明する。
【0050】
本開示の画像処理装置は、上述した問題を解消し、植物の活性度を高精度に判定することを可能とする。
すなわち、本開示の画像処理装置は、植生部列と土壌部列が混在する農場を撮影した画像に基づいて、植生部列にある植物のNDVI値等、植物の活性度を示す植生指標を正確に算出することを可能とする。
本開示の構成、処理を適用することで、植物の活性度を高精度に判定することが可能となる。
【0051】
図7以下を参照して、本開示の画像処理装置の構成と処理の詳細について説明する。
図7は、本開示の画像処理装置100の構成例を示す図である。
【0052】
図7に示すように、本開示の画像処理装置100は、NDVI画像生成部101、NDVI画像補正部102、画像表示部103を有する。
【0053】
NDVI画像生成部101は、撮影画像51を入力してNDVI画像52を生成する。
撮影画像51は、例えば図1に示すドローン10に装着したカメラ11の撮影画像である。
【0054】
カメラ11は、マルチスペクトルカメラであり、撮影画像51は、各画素におけるRED(赤)波長(約0.63~0.69μm)とNIR(近赤外)波長(約0.76~0.90μm)の強度(画素値)を取得できる画像である。
【0055】
NDVI画像生成部101は、撮影画像51を入力して、先に説明した(式1)、すなわち、
NDVI=(NIR-RED)/(NIR+RED)・・・(式1)
上記(式1)に従って、撮影画像51各画素のNDVI値を算出する。
なお、上記(式1)において、RED(赤),NIR(近赤外)はRED(赤)波長(約0.63~0.69μm)とNIR(近赤外)波長(約0.76~0.90μm)の強度(画素値)である。
【0056】
NDVI画像生成部101は、撮影画像51の各画素のNDVI値を算出し、各画素に算出画素値(NDVI値)を設定したNDVI画像52を生成する。
このNDVI画像52は、例えば図5(1)や図6(1)に示すNDVI画像と同様の画像である。
【0057】
前述したように、NDVI値は、例えばNDVI=0.0~1.0の範囲に設定される。図5(1)や図6(1)に示すNDVI画像の白い部分(高輝度部分)が、NDVI値が高い(1.0に近い)領域が、植物の活性度が高い領域であり、黒い部分(低輝度部分)が、NDVI値が低い(0.0に近い)領域であり、植物の活性度が低い領域、または土壌部領域である。
【0058】
NDVI画像生成部101の生成したNDVI画像52は、NDVI画像補正部102に入力される。
NDVI画像補正部102は、NDVI画像生成部101の生成したNDVI画像52の補正処理を行う。
具体的には、例えばNDVI画像52に含まれる土壌部と推定される領域と、植生部と推定される領域を明確に区別可能とした出力画像(補正NDVI画像)53を生成する。
あるいは、土壌部と推定される領域のNDVI値を除去し、植生部と推定される領域のNDVI値のみによって構成される出力画像(補正NDVI画像)53を生成する。
このNDVI画像補正部102の実行する画像補正処理の詳細については、後段で説明する。
【0059】
NDVI画像補正部102が生成した出力画像(補正NDVI画像)53は、画像表示部103に出力され、表示される。
画像表示部103に表示される出力画像(補正NDVI画像)53は、
(a)土壌部と推定される領域と、植生部と推定される領域を明確に区別可能とした出力画像(補正NDVI画像)、または、
(b)土壌部と推定される領域のNDVI値を除去し、植生部と推定される領域のNDVI値のみによって構成される出力画像(補正NDVI画像)
上記(a),(b)のいずれかの画像であり、この出力画像(補正NDVI画像)53を見ることで、各植生部領域の植物の活性度を正確に把握することができる。
【0060】
なお、以下において説明する実施例において、本開示の画像処理装置100は、植物の活性度を示す植生指標値として「NDVI」を利用した実施例について説明するが、これは一例であり、本開示の画像処理装置100は、植物の活性度を示す植生指標値として「NDVI」以外の植生指標値を利用することも可能である。
【0061】
すなわち、NDVI画像は、植生指標値設定画像の一例である。
また、図7に示す画像処理装置100のNDVI画像生成部101は、植生指標値設定画像生成部の一例であり、NDVI画像補正部102は、植生指標値設定画像補正部の一例である。
以下では、植生指標値の代表例として「NDVI」を利用した実施例について説明する。
【0062】
図7に示す画像処理装置100のNDVI画像補正部102の詳細構成と処理について、図8以下を参照して説明する。
【0063】
図8は、図7に示す画像処理装置100のNDVI画像補正部102の詳細構成を示すブロック図である。
図8に示すように、画像処理装置100のNDVI画像補正部102は、平均化部121、減算部122、2値化部123、乗算部124、乗算画像平均化部125を有する。
なお、乗算画像平均化部125はオプション的な構成であり、乗算画像平均化部125は省略した構成としてもよい。
【0064】
以下、これらの各構成部の実行する処理の詳細について順次、説明する。
【0065】
(3-1.平均化部121の実行する処理について)
まず、平均化部121の実行する処理について説明する。
【0066】
NDVI画像補正部102の平均化部121は、NDVI画像生成部101の生成したNDVI画像52を入力して、入力したNDVI画像52の平均化画像を生成する。
【0067】
図9は、平均化部121が入力するNDVI画像52、すなわち、前段のNDVI画像生成部101の生成したNDVI画像52の具体例を示す図である。
図9(1a)には、先に図6(1)を参照して説明したと同様のNDVI画像を示している。
【0068】
すなわち、図9(1a)NDVI画像は、先に図3を参照して説明した生育不良領域20を含む農場を撮影して得られるNDVI画像であり、図4や、図5(1)、図6(1)に示すNDVI画像と同じ画像である。すなわち、生育不良領域20部分低い画素値(NDVI値)に設定されたNDVI画像を示している。
【0069】
図9(1b)は、先に図6(2)を参照して説明したと同様のグラフであり、図9(1a)に示すNDVI画像の最下部の画素ラインABのNDVI値を示すグラフである。
横軸が画素ラインABの画素位置を示し、縦軸が各画素のNDVI値を示している。
【0070】
図9(1b)に示すグラフは、先に図6(2)を参照して説明したと同じグラフであり、画素ラインABのNDVI値は複数の山と谷が一定間隔で形成された曲線となる。NDVI値の高い部分(山部分)が植生部に対応し、NDVI値の低い部分(谷部分)が土壌部に対応する。
【0071】
平均化部121は、例えば図9(1a)に示すNDVI画像52を入力して、平均化処理を実行する。
図10を参照して、平均化部121の実行する平均化処理の具体例について説明する。
【0072】
図10には、平均化処理対象となるNDVI画像52を示している。
平均化部121は、まず、平均化処理対象となるNDVI画像52から植生部方向71と植生部間隔72を取得する。図10に示す例では、植生部方向71は図の上下方向に相当する。
【0073】
なお、植生部方向71と植生部間隔72の取得処理は、平均化処理対象となるNDVI画像52の画像解析によって取得する。ただし、ユーザが画像を確認して植生部方向71と植生部間隔72を入力する処理を行ってもよい。また、予め設定された農場の見取り図などを参考にして取得する構成としてもよい。
【0074】
また、農場によっては、植生部方向や、植生部間隔が領域ごとに異なる場合がある。このような場合は、領域単位で植生部方向や、植生部間隔の取得処理を実行し、以下の処理を領域単位で実行する構成としてもよい。
【0075】
次に、平均化部121は、取得した植生部方向71と植生部間隔72に基づいて、NDVI画像52の各画素に設定された画素値(NDVI値)の平均化処理を行う。
【0076】
平均化処理は、NDVI画像52の各画素単位で実行する。図10に示す処理対象画素81に対する処理について説明する。処理対象画素81について、植生部方向71の直角方向にあり、かつ処理対象画素81を中心画素とする植生部間隔72内の複数画素を選択し、これらの選択画素の画素値(NDVI値)の平均化処理を実行する。
【0077】
1つの植生部間隔72には、1列分に相当する植生部の画素と、1列分に相当する土壌部の画素が含まれている。従って、1つの植生部間隔72内に含まれる画素の平均画素値は、局所的な植生部と土壌部の平均値となる。
【0078】
平均化部121は、この画素単位の平均化処理をNDVI画像52の構成画素の全画素について実行する。すなわち、処理対象画素をNDVI画像52の左上端部から右下端部まで、順次、変更して、各画素単位で平均化処理を行う。いわゆる移動平均画素値算出処理により、各画素の平均化画素値を算出する。
【0079】
なお、処理対象画素が画像端部領域にあり、処理対象画素を中心画素とする植生部間隔内からの画素選択が不可能な領域については、例えば図11に示すように、処理対象画素81を中心に設定することなく、処理対象画素81を含む範囲で、1列分に相当する植生部の画素と、1列分に相当する土壌部の画素が含まれる範囲を、平均化対象画素として選択して平均化処理を実行する。
【0080】
このように、処理対象画素に対して植生部方向の直角方向にある植生部間隔内の複数画素の画素値(NDVI値)の平均画素値を算出し、この算出画素値を処理対象画素の画素値として設定する。
平均化部121は、この処理をNDVI画像52の全画素について実行して、平均化画像を生成する。
【0081】
この平均化処理の結果として生成される平均化画像の例を図12に示す。
図12(2a)に示す平均化画像が、NDVI画像52に対する上述した平均化処理の結果、生成される平均化画像である。
【0082】
なお、図12(2b)には参考図として、図12(2a)に示す平均化画像の最下部の画素ラインABのNDVI値、すなわち平均化画素値(平均化NDVI値)を示している。横軸が画素ラインABの画素位置を示し、縦軸が各画素のNDVI値を示している。
実線で示すグラフが、平均化画素値(平均化NDVI値)を示している。
点線は、平均化処理前の元の入力NDVI画像52のNDVI値である。
【0083】
(3-2.減算部122の実行する処理について)
次に、減算部122の実行する処理について説明する。
【0084】
減算部122は、以下の2つの画像を入力する。
(1)平均化処理前の元の入力NDVI画像52と、
(2)平均化部121が生成した平均化画像(=図12(2a)に示す平均化画像)
【0085】
減算部122は、これら2つの入力画像を用いて、元の入力NDVI画像52の画素値から、平均化画像の画素値を減算する処理を行う。
すなわち、元の入力NDVI画像52と、平均化画像の対応画素単位で画素値を減算して減算結果の画素値から構成される差分画像を生成する。
【0086】
差分画像の構成画素の画素値である差分画素値(差分NDVI値)は、以下の画素値となる。
差分画像の差分画素値(差分NDVI値)=(入力NDVI画像の画素値(NDVI値))-(平均化画像の平均化画素値(平均化NDVI値))
【0087】
減算部122は、入力NDVI画像52の全画素について、上記の減算処理を実行して、減算結果の差分画素値(差分NDVI値)から構成される差分画像を生成する。
【0088】
この減算部122における減算処理の結果として生成される差分画像の例を図13に示す。
図13(3a)に示す差分画像が、上述した減算処理の結果として生成される差分画像である。
この差分画像の構成画素の画素値である差分画素値(差分NDVI値)は、以下の画素値となる。
差分画像の差分画素値(差分NDVI値)=(入力NDVI画像の画素値(NDVI値))-(平均化画像の平均化画素値(平均化NDVI値))
【0089】
なお、図13(3b)には参考図として、図13(3a)に示す差分画像の最下部の画素ラインABのNDVI値、すなわち差分画素値(差分NDVI値)を示している。横軸が画素ラインABの画素位置を示し、縦軸が各画素のNDVI値を示している。
実線で示すグラフが、差分画像の差分画素値(差分NDVI値)を示している。
点線は、元の入力NDVI画像52のNDVI値である。
【0090】
図13(3b)に示すように、元の入力NDVI画像52のNDVI値は、0~1.0の範囲の値であるが、差分画像の差分画素値(差分NDVI値)の値は、マイナス値からプラス値までの0をはさむ値となる。
【0091】
(3-3.2値化部123の実行する処理について)
次に、2値化部123の実行する処理について説明する。
【0092】
2値化部123は、減算部122が生成した差分画像(=図13(3a)に示す差分画像)の構成画素の画素値、すなわち、差分画素値(差分NDVI値)の2値化処理を実行する。
【0093】
2値化部123は、減算部122が生成した差分画像(=図13(3a)に示す差分画像)の構成画素の画素値の2値化処理を行う。すなわち、差分画素値(差分NDVI値)が正(プラス)の値の場合は、画素値=1とし、0または負(マイナス)の値の場合は画素値=0として設定する。
【0094】
すなわち、2値化部123は、減算部122が生成した差分画像(=図13(3a)に示す差分画像)の構成画素の差分画素値(差分NDVI値)の2値化処理を実行し、0,1の2値化画素値(2値化NDVI値)から構成される2値化画像を生成する。
【0095】
この2値化部123における2値化処理の結果として生成される2値化画像の例を図14に示す。
図14(4a)に示す2値化画像が、上述した2値化処理の結果として生成される2値化画像である。
この2値化画像の構成画素の画素値である2値化画素値(2値化NDVI値)は、0、または1の2値いずれかの値である。
すなわち、2値化画像は、減算部122が生成した差分画像(=図13(3a)に示す差分画像)の差分画素値(差分NDVI値)が正(プラス)の値の場合は、画素値=1、0および負(マイナス)の値の場合は画素値=0として設定された画像である。
【0096】
なお、図14(4b)には参考図として、図14(4a)に示す2値化画像の最下部の画素ラインABのNDVI値、すなわち2値化画素値(2値化NDVI値)を示している。横軸が画素ラインABの画素位置を示し、縦軸が各画素のNDVI値を示している。
【0097】
実線で示すグラフが、2値化画像の2値化画素値(2値化NDVI値)を示している。
点線は、元の入力NDVI画像52のNDVI値である。
図14(4b)に示すように、2値化画像の2値化画素値(2値化NDVI値)の値は、0、または1、いずれかの値によって構成される。
【0098】
2値化部123が生成した2値化画像において、2値化画素値(2値化NDVI値)=1の部分は植生部と推定することができる。一方、2値化画素値(2値化NDVI値)=0の部分は土壌部と推定することができる。
【0099】
なお、上述した処理例では、2値化部123が、差分画像の差分画素値(差分NDVI値)が正(プラス)の値の場合は、画素値=1とし、0および負(マイナス)の値の場合は画素値=0として設定した2値化画像を生成する処理例を説明した。すなわちしきい値=0を利用した2値化処理例を説明した。
【0100】
2値化部123は、このような処理に限らず、例えばしきい値=0.1、あるいはしきい値=0.2、あるいはしきい値=-0.1等、0以外のしきい値を用いて2値化処理を行う構成としてもよい。
【0101】
(3-4.乗算部124の実行する処理について)
次に、乗算部124の実行する処理について説明する。
【0102】
乗算部124は、以下の2つの画像を入力する。
(1)元の入力NDVI画像52と、
(2)2値化部123が生成した2値化画像(=図14(4a)に示2値化画像)
【0103】
乗算部124は、これら2つの入力画像を用いて、入力NDVI画像52の画素値と、2値化画像の対応画素値を乗算する処理を行う。
すなわち、入力NDVI画像52と、2値化画像の対応画素単位で画素値を乗算して乗算結果の画素値から構成される乗算画像を生成する。
【0104】
乗算画像の構成画素の画素値である乗算画素値(乗算NDVI値)は、以下の画素値となる。
乗算画像の乗算画素値(乗算NDVI値)=(入力NDVI画像の画素値(NDVI値))×(2値化画像の2値化画素値(2値化NDVI値))
【0105】
乗算部124は、入力NDVI画像52の全画素について、上記の乗算処理を実行して、乗算結果の乗算画素値(乗算NDVI値)から構成される乗算画像を生成する。
【0106】
この乗算部124における乗算処理の結果として生成される乗算画像の例を図15に示す。
図15(5a)に示す乗算画像が、上述した乗算処理の結果として生成される乗算画像である。
この乗算画像の構成画素の画素値である乗算画素値(乗算NDVI値)は、以下の画素値となる。
乗算画像の乗算画素値(乗算NDVI値)=(入力NDVI画像の画素値(NDVI値))×(2値化画像の2値化画素値(2値化NDVI値))
【0107】
なお、図15(5b)には参考図として、図15(5a)に示す乗算画像の最下部の画素ラインABのNDVI値、すなわち乗算画素値(乗算NDVI値)を示している。横軸が画素ラインABの画素位置を示し、縦軸が各画素のNDVI値を示している。
実線で示すグラフが、乗算画像の乗算画素値(乗算NDVI値)を示している。
点線は、元の入力NDVI画像52のNDVI値である。
【0108】
図15(5b)に示すように、実線で示す乗算画像の乗算画素値(乗算NDVI値)は、点線で示す元の入力NDVI画像52の山部分(=植生部)の画素値(NDVI値)を反映し、谷部分(土壌部)については0に設定された画素値となる。
【0109】
すなわち、植生部については元の入力NDVI画像52の画素値(NDVI値)を反映し、土壌部については、全て画素値(NDVI値)=0に設定される特性を有する画像となる。
【0110】
図15(5b)に示すグラフから明らかなように、生育不良領域CD部分についても、乗算画像の乗算画素値(乗算NDVI値)は、元の入力NDVI画像52の画素値(NDVI値)を反映した画素値を有している。
【0111】
この図15(5a)に示す乗算画像を、図7図8に示す出力画像(補正NDVI画像)53として画像表示部103に出力して表示する。
【0112】
図15(5a)に示す乗算画像は、土壌部の画素値(NDVI値)が全て0(最低画素値である黒)に設定されており、ユーザ(画像観察者)は、この黒領域が土壌部であり、黒以外の領域が植生部の領域であると容易に判別することが可能となる。
さらに、黒領域以外の領域の画素値(NDVI値)の設定状態を観察することで、各領域の植物の活性度を解析することが可能となる。
【0113】
また、ユーザ(画像観察者)は、図15(5a)に示す乗算画像の右下のCD領域内の0(最低画素値である黒)以外の領域については、植生領域であることが確認され、他の植生領域より、画素値(NDVI値)が低く、植物の活性度が低い植生領域であることを確認することができる。
【0114】
なお、この図15(5a)に示す乗算画像を、出力画像(補正NDVI画像)53として画像表示部103に出力して表示してもよいが、さらに、この乗算画像を図8に示す乗算画像平均化部125に出力して、乗算画像平均化部125において平均化乗算画像を生成し、生成した画像を出力画像(補正NDVI画像)53としてもよい。
【0115】
(3-5.乗算画像平均化部125の実行する処理について)
次に、乗算画像平均化部125の実行する処理について説明する。
【0116】
上述したように、乗算画像平均化部125の処理は、必須処理ではなく、オプション処理である。
乗算画像平均化部125は、乗算部124の生成した乗算画像の平均化処理を実行して、平均化乗算画像を生成し、生成した画像を出力画像(補正NDVI画像)53として画像表示部103に出力する。
【0117】
図16を参照して、乗算画像平均化部125の実行する処理について説明する。
図16には、(5a)乗算画像を示している。
これは、乗算部124の生成した乗算画像である。
【0118】
乗算画像平均化部125は、この(5a)乗算画像について、土壌領域の画素値(NDVI画素値)=0を除いた平均化処理を行う。
なお、(5a)乗算画像は土壌部領域が全て画素値(NDVI値)=0に設定されており、乗算画像平均化部125は、この画素値=0の土壌領域を除いた平均化処理を行う。
【0119】
具体的には、(5a)乗算画像の各画素について、以下の平均画素値算出処理を行う。
平均画素値=(平均化処理範囲の画素の画素値総和)/(平均化処理範囲の画素中、画素値>0の画素の画素数)
【0120】
具体的な処理シーケンスについて説明する。まず、乗算画像平均化部125は、図16(5a)に示す乗算画像から植生部方向71と植生部間隔72を取得する。図16に示す例では、植生部方向71は図の上下方向に相当する。
次に、乗算画像平均化部125は、取得した植生部方向71と植生部間隔72に基づいて、図16(5a)に示す乗算画像の各画素に設定された画素値(NDVI値)の平均化処理を行う。
【0121】
図16(5a)に示す処理対象画素91に対する処理について説明する。処理対象画素91について、植生部方向71の直角方向で、かつ処理対象画素91を中心画素とする植生部間隔72内の複数画素を選択し、これらの選択画素の画素値(乗算画素値(乗算NDVI値))の平均化処理を実行する。
平均化処理による平均画素値の算出処理は、上述したように以下の式に従って実行する。
平均画素値=(平均化処理範囲の画素の画素値総和)/(平均化処理範囲の画素中、画素値>0の画素の画素数)
【0122】
この画素単位の平均化処理を図16(5a)に示す乗算画像の構成画素の全画素について実行する。すなわち、処理対象画素を図16(5a)に示す乗算画像の左上端部から右下端部まで、順次、変更して、各画素単位で平均化処理を行う。いわゆる移動平均画素値算出処理により、各画素の平均化画素値を算出する。
【0123】
なお、処理対象画素が画像端部領域にあり、処理対象画素を中心画素とする植生部間隔内からの画素選択が不可能な領域については、先に図11を参照して説明した処理と同様の処理を行う。すなわち、処理対象画素を中心に設定することなく、処理対象画素を含む範囲で、植生部間隔に相当する数の画素が含まれる範囲を、平均化対象画素として選択して平均化処理を実行する。
【0124】
このように、処理対象画素に対して植生部方向の直角方向にある植生部間隔内の複数画素の画素値(NDVI値)の平均画素値を算出し、この算出画素値を処理対象画素の画素値として設定する。
【0125】
乗算画像平均化部125は、図16(5a)に示す乗算画像の全画素についての平均化乗算画素値を算出し、図16(6b)に示す平均化乗算画像を生成する。
【0126】
乗算画像平均化部125は、この図16(6b)に示す平均化乗算画像を出力画像(補正NDVI画像)53として画像表示部103に出力する。
【0127】
乗算画像平均化部125が生成する平均化乗算画像の例を図17に示す。
図17(6b)に示す画像は、図16(6b)に示す平均化乗算画像と同じ画像であり、乗算部124が生成した乗算画像の平均化処理を行って生成された平均化乗算画像である。
【0128】
なお、図17(6c)には参考図として、図17(6b)に示す平均化乗算画像の最下部の画素ラインABのNDVI値、すなわち平均化乗算画素値(平均化乗算NDVI値)を示している。横軸が画素ラインABの画素位置を示し、縦軸が各画素のNDVI値を示している。
実線で示すグラフが、平均化乗算画素値(平均化乗算NDVI値)を示している。
点線は、元の入力NDVI画像52のNDVI値である。
【0129】
図17(6b)に示す平均化乗算画像は、土壌部が含まれない植生部のみの植物の活性度を示す指標値、すなわち植生部対応のNDVI値のみによって構成される画像であり、土壌部の存在を気にすることなく、植生部各領域の植物の活性度を確実に把握することができる。
【0130】
[4.本開示の画像処理装置の実行する処理のシーケンスについて]
次に、本開示の画像処理装置の実行する処理のシーケンスについて説明する。
【0131】
図18に示すフローチャートは、本開示の画像処理装置の実行する処理のシーケンスについて説明するフローチャートである。
なお、図18に示すフローチャートに従った処理は、例えば画像処理装置100の記憶部に格納されたプログラムに従って実行可能である。例えばプログラム実行機能を有するCPU等を有するデータ処理部(制御部)の制御の下で実行される。
以下、図18に示すフローチャートの各ステップの処理について、順次、説明する。
【0132】
(ステップS101)
まず、画像処理装置は、ステップS101において、撮影画像を入力する。
撮影画像は、例えば図1に示すドローン10に装着したカメラ11の撮影画像である。カメラ11は、マルチスペクトルカメラであり、撮影画像51は、各画素におけるRED(赤)波長(約0.63~0.69μm)とNIR(近赤外)波長(約0.76~0.90μm)の強度(画素値)を取得できる画像である。
【0133】
(ステップS102)
次に、画像処理装置100は、ステップS102において、撮影画像の各画素対応のNDVI値を算出して、NDVI画像を生成する。
【0134】
この処理は、図7に示すNDVI画像生成部101の実行する処理である。
NDVI画像生成部101は、撮影画像51を入力して、先に説明した(式1)、すなわち、
NDVI=(NIR-RED)/(NIR+RED)・・・(式1)
上記(式1)に従って、撮影画像51各画素のNDVI値を算出する。
なお、上記(式1)において、RED(赤),NIR(近赤外)はRED(赤)波長(約0.63~0.69μm)とNIR(近赤外)波長(約0.76~0.90μm)の強度(画素値)である。
【0135】
NDVI画像生成部101は、撮影画像の各画素のNDVI値を算出し、各画素に算出画素値(NDVI値)を設定したNDVI画像を生成する。
このNDVI画像は、例えば先に図9(1a)を参照して説明したNDVI画像52である。
【0136】
なお、ステップS102において生成されるNDVI画像と、このNDVI画像の補正を行うNDVI画像補正部102の各構成部が生成する一連の画像の例を図19に示す。
以下、図19を参照しながら、ステップS103以下の処理を説明する。
【0137】
(ステップS103)
次に、画像処理装置100は、ステップS103において、NDVI画像の植生部列と直角方向に、植生部列幅分の画素の画素値を、順次、平均化して平均化画像を生成する。
【0138】
この処理は、図19に示すHDVI画像補正部102の平均化部121が実行する処理である。
NDVI画像補正部102の平均化部121は、NDVI画像生成部101の生成したNDVI画像を入力して、入力したNDVI画像の平均化画像を生成する。
【0139】
この処理は、先に図10図12を参照して説明した処理であり、NDVI画像の全画素について、植生部方向の直角方向の植生部間隔内の複数画素を選択し、これらの選択画素の画素値(NDVI値)の平均画素値を算出し、算出画素値を平均化画素値(平均化NDVI値)として設定した平均化画像を生成する。
図19に示す平均化部121の出力である平均化画像である。
【0140】
(ステップS104)
次に、画像処理装置100は、ステップS104において、ステップS102で生成したNDVI画像の画素値から、平均化画像の画素値を減算して差分画素値(差分NDVI値)から構成される差分画像を生成する。
【0141】
この処理は、図19に示すNDVI画像補正部102の減算部122が実行する処理である。
【0142】
減算部122は、以下の2つの画像を入力する。
(1)平均化処理前の元の入力NDVI画像と、
(2)平均化部が生成した平均化画像(=図12(2a)に示す平均化画像)
【0143】
減算部122は、これら2つの入力画像を用いて、NDVI画像の画素値から、平均化画像の画素値を減算して、差分画像を生成する。
差分画像の構成画素の画素値である差分画素値(差分NDVI値)は、以下の画素値となる。
差分画像の差分画素値(差分NDVI値)=(入力NDVI画像の画素値(NDVI値))-(平均化画像の平均化画素値(平均化NDVI値))
【0144】
なお、先に図13を参照して説明したように、差分画像の差分画素値(差分NDVI値)の値は、マイナス値からプラス値までの0をはさむ値となる。
【0145】
(ステップS105)
次に、画像処理装置100は、ステップS105において、差分画像の構成画素の画素値、すなわち、差分画素値(差分NDVI値)の2値化処理を実行し、2値化画像を生成する。
【0146】
この処理は、図19に示すNDVI画像補正部102の2値化部123が実行する処理である。
【0147】
2値化部123は、減算部122が生成した差分画像の構成画素の画素値の2値化処理を実行する。すなわち、差分画素値(差分NDVI値)が正(プラス)の値の場合は、画素値=1とし、0および負(マイナス)の値の場合は画素値=0として設定する2値化処理を実行して、0,1の2値化画素値(2値化NDVI値)から構成される2値化画像を生成する。
【0148】
先に図14(4b)を参照して説明したように、2値化画像の2値化画素値(2値化NDVI値)の値は、0、または1、いずれかの値によって構成される。
2値化部123が生成した2値化画像において、2値化画素値(2値化NDVI値)=1の部分は植生部と推定することができる。一方、2値化画素値(2値化NDVI値)=0の部分は土壌部と推定することができる。
【0149】
(ステップS106)
次に、画像処理装置100は、ステップS106において、ステップS102で生成したNDVI画像と、ステップS105において2値化部123が生成した2値化画像、これら2つの入力画像を用いて、NDVI画像の画素値と、2値化画像の画素値を乗算する処理を行い、乗算画素値から構成される乗算画像を生成する。
【0150】
この処理は、図19に示すNDVI画像補正部102の乗算部124が実行する処理である。
乗算部124は、ステップS102で生成したNDVI画像と、ステップS105において2値化部123が生成した2値化画像、これら2つの入力画像を用いて、NDVI画像の画素値と、2値化画像の画素値を乗算して乗算画像を生成する。
【0151】
乗算画像の構成画素の画素値である乗算画素値(乗算NDVI値)は、以下の画素値となる。
乗算画像の乗算画素値(乗算NDVI値)=(入力NDVI画像の画素値(NDVI値))×(2値化画像の2値化画素値(2値化NDVI値))
【0152】
この乗算部124における乗算処理の結果として生成される乗算画像の一例が、先に図15を参照して説明した図15(5a)に示す乗算画像である。
先に図15(5b)を参照して説明したように、実線で示す乗算画像の乗算画素値(乗算NDVI値)は、点線で示す元の入力NDVI画像52の山部分(=植生部)の画素値(NDVI値)を反映し、谷部分(土壌部)については0に設定された画素値となる。
【0153】
すなわち、植生部については元の入力NDVI画像52の画素値(NDVI値)を反映し、土壌部については、全て画素値(NDVI値)=0に設定した特性を有する画像となる。
この図15(5a)に示す乗算画像を、図7図8に示す出力画像(補正NDVI画像)53として画像表示部103に出力して表示する。
【0154】
図15(5a)に示す乗算画像は、土壌部の画素値(NDVI値)が全て0(最低画素値である黒)に設定されており、ユーザは、この黒領域が土壌部であり、黒以外の領域が植生部の領域であると容易に区別することが可能となる。さらに、黒領域以外の領域の画素値(NDVI値)の設定状態を観察することで、各領域の植物の活性度を解析することが可能となる。
図15(5a)に示す乗算画像の右下のCD領域内の植生領域部分は、他の部分より、画素値(NDVI値)が低く、植物の活性度が低い領域であると判定することができる。
【0155】
(ステップS107)
ステップS107の処理は、図19に示すNDVI画像補正部102の乗算画像平均化部125が実行する処理であり、オプション的な処理であり、省略可能である。
画像処理装置100は、ステップS107において、ステップS106で生成した乗算画像の平均化処理を実行して、平均化乗算画像を生成する。
この処理は、先に図16図17を参照して説明したように、乗算画像平均化部125が実行する処理である。
【0156】
乗算画像平均化部125は、ステップS106において生成された乗算画像について、土壌領域の画素値(NDVI画素値)=0を除いた平均化処理を行う。
なお、先に図16を参照して説明したように、図16(5a)に示す乗算画像は土壌部領域が全て画素値(NDVI値)=0に設定されており、乗算画像平均化部125は、この画素値=0の土壌領域を除いた平均化処理を行う。
具体的には、(5a)乗算画像の各画素について、以下の平均画素値算出処理を行う。
平均画素値=(平均化処理範囲の画素の画素値総和)/(平均化処理範囲の画素中、画素値>0の画素の画素数)
【0157】
具体的な処理シーケンスについて説明する。まず、乗算画像平均化部125は、図16(5a)に示す乗算画像から植生部方向71と植生部間隔72を取得する。図16に示す例では、植生部方向71は図の上下方向に相当する。
次に、乗算画像平均化部125は、取得した植生部方向71と植生部間隔72に基づいて、図16(5a)に示す乗算画像の各画素に設定された画素値(NDVI値)の平均化処理を行う。
平均化処理による平均画素値の算出処理は、上述したように以下の式に従って実行する。
平均画素値=(平均化処理範囲の画素の画素値総和)/(平均化処理範囲の画素中、画素値>0の画素の画素数)
【0158】
この画素単位の平均化処理を図16(5a)に示す乗算画像の構成画素の全画素について実行する。すなわち、処理対象画素を図16(5a)に示す乗算画像の左上端部から右下端部まで、順次、変更して、各画素単位で平均化処理を行う。いわゆる移動平均画素値算出処理により、各画素の平均化画素値を算出する。
【0159】
なお、処理対象画素が画像端部領域にあり、処理対象画素を中心画素とする植生部間隔内からの画素選択が不可能な領域については、先に図11を参照して説明した処理と同様の処理を行う。すなわち、処理対象画素を中心に設定することなく、処理対象画素を含む範囲で、植生部間隔に相当する数の画素が含まれる範囲を、平均化対象画素として選択して平均化処理を実行する。
【0160】
このように、処理対象画素に対して植生部方向の直角方向にある植生部間隔内の複数画素の画素値(NDVI値)の平均画素値を算出し、この算出画素値を処理対象画素の画素値として設定する。
【0161】
乗算画像平均化部125は、図16(5a)に示す乗算画像の全画素についての平均化乗算画素値を算出し、図16(6b)に示す平均化乗算画像を生成して、生成した平均化乗算画像を出力画像(補正NDVI画像)53として画像表示部103に出力する。
【0162】
乗算画像平均化部125が生成する平均化乗算画像は、土壌部が含まれない植生部のみの植物の活性度を示す指標値、すなわち植生部対応のNDVI値のみによって構成される画像であり、土壌部の存在を気にすることなく、植生部各領域の植物の活性度を確実に把握することができる。
【0163】
[5.画像処理装置のハードウェア構成例について]
次に、図20を参照して、本開示の画像処理装置のハードウェア構成例について説明する。図20に示すハードウェアは、本開示の画像処理装置の具体的なハードウェアの一構成例である。
【0164】
CPU(Central Processing Unit)301は、ROM(Read Only Memory)302、または記憶部308に記憶されているプログラムに従って各種の処理を実行する制御部やデータ処理部として機能する。例えば、上述した実施例において説明したシーケンスに従った処理を実行する。RAM(Random Access Memory)303には、CPU301が実行するプログラムやデータなどが記憶される。これらのCPU301、ROM302、およびRAM303は、バス304により相互に接続されている。
【0165】
CPU301はバス304を介して入出力インタフェース305に接続され、入出力インタフェース305には、各種スイッチ、キーボード、マウス、マイクロホン、センサなどよりなる入力部306、ディスプレイ、スピーカーなどよりなる出力部307が接続されている。
CPU301は、入力部306から入力される指令に対応して各種の処理を実行し、処理結果を例えば出力部307に出力する。
【0166】
入出力インタフェース305に接続されている記憶部308は、例えばハードディスク等からなり、CPU301が実行するプログラムや各種のデータを記憶する。通信部309は、Wi-Fi通信、ブルートゥース(登録商標)(BT)通信、その他インターネットやローカルエリアネットワークなどのネットワークを介したデータ通信の送受信部として機能し、外部の装置と通信する。
【0167】
入出力インタフェース305に接続されているドライブ310は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、あるいはメモリカード等の半導体メモリなどのリムーバブルメディア311を駆動し、データの記録あるいは読み取りを実行する。
【0168】
[6.本開示の構成のまとめ]
以上、特定の実施例を参照しながら、本開示の実施例について詳解してきた。しかしながら、本開示の要旨を逸脱しない範囲で当業者が実施例の修正や代用を成し得ることは自明である。すなわち、例示という形態で本発明を開示してきたのであり、限定的に解釈されるべきではない。本開示の要旨を判断するためには、特許請求の範囲の欄を参酌すべきである。
【0169】
なお、本明細書において開示した技術は、以下のような構成をとることができる。
(1) 植物の活性度を示す植生指標値を画素値として設定した植生指標値設定画像を入力し、前記植生指標値設定画像の補正画像を生成する植生指標値設定画像補正部を有し、
前記植生指標値設定画像補正部は、
前記植生指標値設定画像の構成画素単位で周囲画素の画素値との平均画素値を算出し、算出した平均画素値を設定した平均化画像を生成し、
前記植生指標値設定画像と前記平均化画像との差分画像に対して、規定しきい値に従った2値化処理を実行して2値化画像を生成し、
前記植生指標値設定画像と、前記2値化画像の乗算処理によって生成した乗算画像を、前記植生指標値設定画像の補正画像とする画像処理装置。
【0170】
(2) 前記植生指標値設定画像は、
画素値として、NDVI(Normalized Difference Vegetation Index)値を設定したNDVI画像である(1)に記載の画像処理装置。
【0171】
(3) 前記植生指標値設定画像は、
植生部と土壌部を含むカメラ撮影画像に基づいて生成された画像であり、
前記植生指標値設定画像補正部は、
前記平均化画像を生成する平均化部を有し、
前記平均化部は、
前記植生指標値設定画像に含まれる植生部の植生部方向と植生部間隔を取得し、
処理対象画素について、植生部方向の直角方向にあり、かつ前記処理対象画素を含む植生部間隔内にある画素の画素値平均値を、前記処理対象画素の平均化画素値として算出し、
前記植生指標値設定画像の構成画素各々について算出した平均化画素値を設定した平均化画像を生成する(1)または(2)に記載の画像処理装置。
【0172】
(4) 前記植生部間隔は、
1列分に相当する植生部列の画素と、1列分に相当する土壌部列の画素を含む画素間隔であり、
前記平均化部は、
前記処理対象画素を含み、1列分に相当する植生部列の画素と、1列分に相当する土壌部列の画素を含む植生部間隔内にある画素の画素値平均値を、前記処理対象画素の平均化画素値として算出する(3)に記載の画像処理装置。
【0173】
(5) 前記平均化部は、
前記植生指標値設定画像の画像解析により、前記植生指標値設定画像に含まれる植生部の植生部方向と植生部間隔を取得する(3)または(4)に記載の画像処理装置。
【0174】
(6) 前記平均化部は、
前記植生部方向、または植生部間隔の少なくともいずれかを、ユーザ入力データから取得する(3)~(5)いずれかに記載の画像処理装置。
【0175】
(7) 前記植生指標値設定画像補正部は、
前記平均化画像を入力して、前記植生指標値設定画像と前記平均化画像との差分画像を生成する減算部を有し、
前記減算部は、
前記植生指標値設定画像と前記平均化画像の対応画素単位で画素値を減算して減算結果の画素値から構成される差分画像を生成する(1)~(6)いずれかに記載の画像処理装置。
【0176】
(8) 前記植生指標値設定画像は、
画素値として、NDVI(Normalized Difference Vegetation Index)値を設定したNDVI画像であり、
前記NDVI画像のNDVI値は0.0~1.0の範囲の値に設定され、
前記差分画像は、
前記NDVI画像と前記平均化画像との差分画像であり、0以上の画素値と0以下の画素値の画素を含む差分画像である(1)~(7)いずれかに記載の画像処理装置。
【0177】
(9) 前記植生指標値設定画像補正部は、
前記差分画像に対して、規定しきい値に従った2値化処理を実行して2値化画像を生成する2値化部を有し、
前記2値化部は、
前記規定しきい=0として、
前記差分画像の構成画素の画素値が正の値の場合は、画素値=1とし、
前記差分画像の構成画素の画素値が0または負の値の場合は画素値=0として設定した2値化画像を生成する(1)~(8)いずれかに記載の画像処理装置。
【0178】
(10) 前記植生指標値設定画像補正部は、
前記差分画像に対して、規定しきい値に従った2値化処理を実行して2値化画像を生成する2値化部を有し、
前記2値化部は、
前記規定しきいとして0以外の値を使用して2値化画像を生成する(1)~(9)いずれかに記載の画像処理装置。
【0179】
(11) 前記植生指標値設定画像補正部は、
前記植生指標値設定画像と、前記2値化画像の乗算処理によって前記乗算画像を生成する乗算部を有し、
前記乗算部は、
前記植生指標値設定画像と、前記2値化画像の対応画素単位で画素値を乗算して乗算結果の画素値から構成される乗算画像を生成する(1)~(10)いずれかに記載の画像処理装置。
【0180】
(12) 前記2値化画像は、
画素値が0または1に設定された2値化画像であり、
前記乗算部は、
前記植生指標値設定画像と、画素値が0または1に設定された前記2値化画像の対応画素単位で画素値を乗算して、乗算結果として、0の画素値と、前記植生指標値設定画像の画素値を反映した画素値から構成される乗算画像を生成する(11)に記載の画像処理装置。
【0181】
(13) 前記植生指標値設定画像は、
植生部と土壌部を含むカメラ撮影画像に基づいて生成された画像であり、
前記乗算部は、
土壌部領域が、画素値=0の設定領域となる乗算画像を生成する(11)または(12)に記載の画像処理装置。
【0182】
(14) 前記植生指標値設定画像補正部は、
前記乗算画像の平均化処理を実行する乗算画像平均化部を有し、
前記乗算画像平均化部は、
前記乗算画像の構成画素単位で周囲画素の画素値との平均画素値を算出し、算出した平均画素値を設定した平均化乗算画像を生成し、生成した平均化乗算画像を、前記植生指標値設定画像の補正画像とする(1)~(13)いずれかに記載の画像処理装置。
【0183】
(15) 前記乗算画像平均化部は、
前記乗算画像から、植生部と推定される植生部領域のみを抽出した植生部抽出画像を生成し、
生成した植生部抽出画像の植生部方向と植生部間隔を取得し、
処理対象画素について、植生部方向の直角方向にあり、かつ前記処理対象画素を含む植生部間隔内にある画素の画素値平均値を、前記処理対象画素の平均化画素値として算出し、
前記乗算画像の構成画素各々について平均化画素値を算出した後、植生部抽出画像を前記植生指標値設定画像の画像サイズに拡大して、前記平均化乗算画像を生成する(14)に記載の画像処理装置。
【0184】
(16) 画像処理装置において実行する画像処理方法であり、
前記画像処理装置は、
植物の活性度を示す植生指標値を画素値として設定した植生指標値設定画像を入力し、前記植生指標値設定画像の補正画像を生成する植生指標値設定画像補正部を有し、
前記植生指標値設定画像補正部が、
前記植生指標値設定画像の構成画素単位で周囲画素の画素値との平均画素値を算出し、算出した平均画素値を設定した平均化画像を生成し、
前記植生指標値設定画像と前記平均化画像との差分画像に対して、規定しきい値に従った2値化処理を実行して2値化画像を生成し、
前記植生指標値設定画像と、前記2値化画像の乗算処理によって生成した乗算画像を、前記植生指標値設定画像の補正画像とする画像処理方法。
【0185】
(17) 画像処理装置において画像処理を実行させるプログラムであり、
前記画像処理装置は、
植物の活性度を示す植生指標値を画素値として設定した植生指標値設定画像を入力し、前記植生指標値設定画像の補正画像を生成する植生指標値設定画像補正部を有し、
前記プログラムは、前記植生指標値設定画像補正部に、
前記植生指標値設定画像の構成画素単位で周囲画素の画素値との平均画素値を算出し、算出した平均画素値を設定した平均化画像を生成する処理と、
前記植生指標値設定画像と前記平均化画像との差分画像に対して、規定しきい値に従った2値化処理を実行して2値化画像を生成する処理と、
前記植生指標値設定画像と、前記2値化画像の乗算処理によって生成した乗算画像を、前記植生指標値設定画像の補正画像として出力する処理を実行させるプログラム。
【0186】
また、明細書中において説明した一連の処理はハードウェア、またはソフトウェア、あるいは両者の複合構成によって実行することが可能である。ソフトウェアによる処理を実行する場合は、処理シーケンスを記録したプログラムを、専用のハードウェアに組み込まれたコンピュータ内のメモリにインストールして実行させるか、あるいは、各種処理が実行可能な汎用コンピュータにプログラムをインストールして実行させることが可能である。例えば、プログラムは記録媒体に予め記録しておくことができる。記録媒体からコンピュータにインストールする他、LAN(Local Area Network)、インターネットといったネットワークを介してプログラムを受信し、内蔵するハードディスク等の記録媒体にインストールすることができる。
【0187】
なお、明細書に記載された各種の処理は、記載に従って時系列に実行されるのみならず、処理を実行する装置の処理能力あるいは必要に応じて並列的にあるいは個別に実行されてもよい。また、本明細書においてシステムとは、複数の装置の論理的集合構成であり、各構成の装置が同一筐体内にあるものには限らない。
【産業上の利用可能性】
【0188】
以上、説明したように、本開示の一実施例の構成によれば、植生部と土壌部が混在する画像に基づいて、植生部領域のNDVI値等、高精度な植生指標値からなる補正画像を生成、出力する装置、方法が実現される。
具体的には、例えば、NDVI値等の植生指標値を画素値として設定した植生指標値設定画像の補正画像を生成する植生指標値設定画像補正部を有する。植生指標値設定画像補正部は、植生指標値設定画像の構成画素単位で周囲画素の画素値との平均画素値を算出し、平均画素値を設定した平均化画像を生成し、植生指標値設定画像と平均化画像との差分画像に対して規定しきい値に従った2値化処理により2値化画像を生成し、植生指標値設定画像と2値化画像の乗算画像を、植生指標値設定画像の補正画像とする。
本構成により、植生部と土壌部が混在する画像に基づいて、植生部領域のNDVI値等、高精度な植生指標値からなる補正画像を生成、出力する装置、方法が実現される。
【符号の説明】
【0189】
10 ドローン
11 カメラ
20 生育不良領域
51 撮影画像
52 NDVI画像
53 出力画像(補正NDVI画像)
71 植生部方向
72 植生部間隔
81,91 平均化処理対象画素
100 画像処理装置
101 NDVI画像生成部
102 NDVI画像補正部
103 画像表示部
121 平均化部
122 減算部
123 2値化部
124 乗算部
125 乗算画像平均化部
301 CPU
302 ROM
303 RAM
304 バス
305 入出力インタフェース
306 入力部
307 出力部
308 記憶部
309 通信部
310 ドライブ
311 リムーバブルメディア
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