(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】通信装置、方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04M 1/247 20210101AFI20241001BHJP
H04M 1/72454 20210101ALI20241001BHJP
【FI】
H04M1/247
H04M1/72454
(21)【出願番号】P 2022522109
(86)(22)【出願日】2020-05-11
(86)【国際出願番号】 JP2020018847
(87)【国際公開番号】W WO2021229650
(87)【国際公開日】2021-11-18
【審査請求日】2023-04-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】朝倉 健太
(72)【発明者】
【氏名】後藤 淳悟
(72)【発明者】
【氏名】西川 智之
(72)【発明者】
【氏名】矢部 雅人
【審査官】山中 実
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-258029(JP,A)
【文献】特開2017-034635(JP,A)
【文献】特開2005-151483(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 1/247
H04M 1/72454
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信装置であって、
前記通信装置の向いている方向を判定する判定部と、
前記通信装置が受信した電波の強度を示す電波強度を測定する測定部と、
前記電波強度が第1の閾値を下回った場合、第1の画像を表示してユーザに通知する通知部と、
前記電波強度が前記第1の閾値を下回ってから第2の閾値を上回った場合、前記電波強度が前記第2の閾値を上回った方向を第2の画像として、表示中の前記第1の画像に重ねて表示する表示部と
を備えた、通信装置。
【請求項2】
前記表示部はさらに、前記電波強度の測定が完了した方向を第3の画像として表示する、請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記表示部はさらに、前記電波強度が前記第2の閾値を上回った方向に、前記通信装置が一定時間向いていた場合、前記第1の画像を非表示にする、請求項1に記載の通信装置。
【請求項4】
前記第1の閾値および前記第2の閾値の少なくとも1つは、前記通信装置で使用中のアプリケーションによって決定される、請求項1に記載の通信装置。
【請求項5】
前記第1の画像の表示位置は、前記ユーザによって予め設定される、請求項1に記載の通信装置。
【請求項6】
前記第1の画像の表示位置は、前記ユーザによってアプリケーションごとに予め設定される、請求項5に記載の通信装置。
【請求項7】
前記電波強度が前記第1の閾値を下回った場合、振動の強さおよびパターンの少なくとも1つを変えて振動する振動部をさらに備えた、請求項1に記載の通信装置。
【請求項8】
通信装置が、
前記通信装置の向いている方向を判定し、
前記通信装置が受信した電波の強度を示す電波強度を測定し、
前記電波強度が第1の閾値を下回った場合、第1の画像を表示してユーザに通知し、
前記電波強度が前記第1の閾値を下回ってから第2の閾値を上回った場合、前記電波強度が前記第2の閾値を上回った方向を第2の画像として、表示中の前記第1の画像に重ねて表示する
処理を実行する、方法。
【請求項9】
通信装置に、
前記通信装置の向いている方向を判定し、
前記通信装置が受信した電波の強度を示す電波強度を測定し、
前記電波強度が第1の閾値を下回った場合、第1の画像を表示してユーザに通知し、
前記電波強度が前記第1の閾値を下回ってから第2の閾値を上回った場合、前記電波強度が前記第2の閾値を上回った方向を第2の画像として、表示中の前記第1の画像に重ねて表示する
処理を実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、通信装置、方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
第5世代移動通信システム(5G)では、4G(LTE)よりもさらに高い周波数帯(28GHz)を使用した広帯域伝送により、10~20Gbpsといった大容量通信を実現するための標準化が行われている。このような高い周波数帯で使用されるセンチメートル波やミリ波は波長が短いため、送信するデータの大容量化やアンテナ類の小型化を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、センチメートル波やミリ波は電波の直進性が強く、建物や人物、乗り物などの遮蔽物の影響を受けやすい。例えば、5Gを採用したスマートフォンなどの通信装置のユーザ自身が基地局との間の遮蔽物となってしまい、同一の場所であっても、ユーザの向いている方向によって電波強度が低くなり通信品質が大幅に劣化してしまう。そのため、電波強度の高い方向に向くようにユーザを誘導する必要がある。
【0005】
一方で、ユーザに対する向きの誘導方法によっては、例えば、通信装置によって動画配信やゲームなどを楽しんでいるユーザのユーザ体験(UX)を阻害する可能性がある。
【0006】
そこで、本開示では、高周波数帯を使用する通信装置のユーザのUXを極力阻害することなく、電波強度の高い方向に向くようにユーザを誘導することができる通信装置、方法、およびプログラムを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示によれば、通信装置の向いている方向を判定する判定部と、通信装置が受信した電波の強度を示す電波強度を測定する測定部と、電波強度が第1の閾値を下回った場合、ユーザに通知する通知部と、電波強度が第2の閾値を上回った方向を第1の表示として、表示中の第2の表示に対し重畳表示する表示部とを備えた、通信装置が提供される。
【0008】
また、本開示によれば、通信装置が、通信装置の向いている方向を判定する判定部と、通信装置が受信した電波の強度を示す電波強度を測定する測定部と、電波強度が第1の閾値を下回った場合、ユーザに通知する通知部と、電波強度が第2の閾値を上回った方向を第1の表示として、表示中の第2の表示に対し重畳表示する表示部とを備えた、方法が提供される。
【0009】
また、本開示によれば、通信装置に、通信装置の向いている方向を判定し、通信装置が受信した電波の強度を示す電波強度を測定し、電波強度が第1の閾値を下回った場合、ユーザに通知し、電波強度が第2の閾値を上回った方向を第1の表示として、表示中の第2の表示に対し重畳表示する処理を実行させる、プログラムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態に係る通信装置100の例を示す図である。
【
図2】同実施形態に係る通信装置100の機能構成例を示すブロック図である。
【
図3】同実施形態に係る電波強度の測定中の電波強度インジケータ300の表示例を示す図である。
【
図4】同実施形態に係る電波強度の測定完了時の電波強度インジケータ300の表示例を示す図である。
【
図5】同実施形態に係るポートレートモード時の電波強度インジケータ300の重畳表示の例を示す図である。
【
図6】同実施形態に係るランドスケープモード時の電波強度インジケータ300の重畳表示の例を示す図である。
【
図7】同実施形態に係る電波強度インジケータ300の表示位置の変更の例を示す図である。
【
図8】同実施形態に係るバイブレーション機能による電波強度の通知方法の例を示す図である。
【
図9】同実施形態に係る電波強度の測定および表示処理の流れを示すフローチャートである。
【
図10】同実施形態に係る通信装置100のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の部位には、同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
【0012】
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.実施形態
1.1.機能構成例
1.2.機能の詳細
1.3.機能の流れ
2.ハードウェア構成例
3.まとめ
【0013】
<1.実施形態>
<<1.1.機能構成例>>
まず、本実施形態に係る通信装置100について説明する。
図1は、本実施形態に係る通信装置100の例を示す図である。通信装置100は、ユーザが携帯して利用するスマートフォンやタブレットPCなどのモバイル端末である。通信装置100は、無線通信によって基地局200-1や202-2(以下、まとめて「基地局200」という)と接続される。
【0014】
各基地局200が送信する電波が高周波数帯の電波の場合、ユーザ自身が各基地局200に対する遮蔽物となってしまう場合がある。例えば、ユーザが基地局202-2と通信装置100との間に立っている場合、ユーザが基地局202-2に対する遮蔽物になり得る。この場合、ユーザが基地局202-1よりも基地局202-2に近い位置に立っていても、通信装置100が受信する各基地局200からの電波の強度は、基地局200-1の方が基地局200-2より高い場合があり得る。
【0015】
しかしながら、各基地局200からの電波は不可視であり、ほとんどのユーザは、各基地局200がどこに設置されているかもわからないため、ユーザ自身の向きが原因で通信品質が劣化していることに気付かないであろう。そのため、ユーザがその場で回転して向きを変えれば通信品質が改善することにも当然ながら気づかない。そのため、本実施形態では、電波強度の高い方向に向くようにユーザを誘導する。
【0016】
次に、本実施形態に係る通信装置100の機能構成について説明する。
図2は、本実施形態に係る通信装置100の機能構成例を示すブロック図である。
図2に示すように、本実施形態に係る通信装置100は、通信部110、記憶部120、判定部130、測定部140、通知部150、表示部160、振動部170、決定部180、制御部190を備える。
【0017】
(通信部110)
本実施形態に係る通信部110は、インターネットなどの各種通信網と無線で接続され、ネットワーク上の基地局200や他の情報処理装置などとの間で情報の送受信を行う。
【0018】
(記憶部120)
本実施形態に係る記憶部120は、各種プログラムやデータを一時的または恒常的に記憶するための記憶領域である。例えば、記憶部120は、通信装置100が各種機能を実行するためのプログラムやデータを記憶することができる。具体的な一例として、記憶部120には、電波強度を測定および表示するためのプログラムやデータ、およびユーザインタフェース(UI)、ならびに各種設定などを管理するための管理データなどが記憶されてよい。もちろん、上記はあくまで一例であり、記憶部120に記憶されるデータの種別は特に限定されない。
【0019】
(判定部130)
本実施形態に係る判定部130は、通信装置100の向いている方向(方位)を判定する。そのため、判定部130は、例えば、磁気センサを備える。また、判定部130は、加速度センサやジャイロセンサを備えることができ、各種センサで計測した加速度や角速度から通信装置100の傾きや回転方向を判定することもできる。
【0020】
(測定部140)
本実施形態に係る測定部140は、通信部110によって受信された電波の強度(電波強度)を測定する。測定部140は、電波強度を測定し続けるが、判定部130によって判定される通信装置100の向いている方向の変化に応じて測定間隔を変えてもよい。例えば、通信装置100の向いている方向の変化に基づいて、ユーザがその場で回転して電波強度の測定を行っていると判断できる場合、測定部140による測定間隔をより短くすることができる。また、この場合、通信装置100の向いている方向の変化に基づいて、ユーザによる回転が停止し、電波強度の測定が終わったと判断できる場合、測定部140による測定間隔を元に戻すことができる。
【0021】
(通知部150)
本実施形態に係る通知部150は、測定部140によって測定された電波強度が所定の閾値(「第1の閾値」に相当)を下回った場合、ユーザに通知する。ユーザへの通知方法は後述するが、通知部150は、例えば、電波強度を表示するための電波強度インジケータ300の表示、所定のメッセージをテキストや音声の出力、特定パターンの音の出力やバイブレーションの振動、LEDライトの点滅によって通知することができる。
【0022】
(表示部160)
本実施形態に係る表示部160は、制御部190による制御に基づいて各種の視覚情報を表示する。表示部160は、例えば、アプリケーションに係る画像や文字などを表示してよい。このために、本実施形態に係る表示部160は、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)装置、OLED(Organic Light Emitting Diode)ディスプレイ装置など、各種のディスプレイ装置を備える。
【0023】
また、表示部160は、測定部140によって測定された電波強度が所定の閾値(「第2の閾値」に相当)を上回った場合、電波強度が所定の閾値を上回った方向(「第1の表示」に相当)を、表示部160に表示中の表示(例えば、任意のアプリケーションの表示。「第2の表示」に相当)に対し重畳表示する。また、表示部160は、測定部140による電波強度の測定が完了した方向を表示する。
【0024】
また、表示部160は、測定部140によって測定された電波強度が所定の閾値(「第2の閾値」に相当)を上回った方向に、通信装置100を向けたまま一定時間経過するなど、経過時間に基づいて、上述した第1の表示を非表示にすることができる。
【0025】
また、表示部160は、上述した、電波強度が所定の閾値を上回った方向を、ユーザによって予め設定された表示位置に表示することができる。なお、当該表示位置の設定はアプリケーションごとに行うことができる。また、アプリケーションの種別(動画視聴アプリやゲーム、ブラウジングなどの分類など)によって、表示位置が予め決定されていてもよい。また、所定のアプリケーションを使用時に、描画更新の少ない位置を自動的に判別し、表示位置を調整してもよい。これにより、表示部160に表示中のアプリケーションごとに、上述した第1の表示の表示位置を変えることができ、通信装置100のユーザのUXの阻害を抑止することができる。
【0026】
(振動部170)
本実施形態に係る振動部170は、通信部110によって受信された電波強度によって振動の強さおよびパターンの少なくとも1つを変えて振動する。
【0027】
(決定部180)
本実施形態に係る決定部180は、表示部160に表示中のアプリケーションに基づいて、電波強度をユーザに知らせるための出力を、表示部160による上述した第1の表示によって行うか、振動部170による振動によって行うかを決定する。これにより、表示部160に表示され使用中のアプリケーションごとに、電波強度をユーザに知らせるための表示、振動、またはこれらの両方を使い分けることができ、通信装置100のユーザのUXの阻害を抑止することができる。
【0028】
(制御部190)
本実施形態に係る制御部190は、通信装置100が備える各構成を制御する。また制御部190は、各構成の制御以外に、例えば、表示部160に表示されるアプリケーションを制御することができる。
【0029】
以上、本実施形態に係る通信装置100の機能構成例について説明した。なお、
図2を用いて説明した上記の機能構成はあくまで一例であり、本実施形態に係る通信装置100の機能構成は係る例に限定されない。例えば、通信装置100は、必ずしも
図2に示す構成のすべてを備えなくてもよい。本実施形態に係る通信装置100の機能構成は、仕様や運用に応じて柔軟に変形可能である。
【0030】
また、各構成要素の機能を、CPU(Central Proccessing Unit)などの演算装置がこれらの機能を実現する処理手順を記述した制御プログラムを記憶したROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などの記憶媒体から制御プログラムを読み出し、そのプログラムを解釈して実行することにより行ってもよい。従って、本実施形態を実施する時々の技術レベルに応じて、適宜利用する構成を変更することが可能である。また、通信装置100のハードウェア構成の一例については後述される。
【0031】
<<1.2.機能の詳細>>
次に、本実施形態に係る通信装置100が有する機能について詳細に説明する。本実施形態に係る通信装置100は、電波強度の高い方向に向くようにユーザを誘導する。ユーザを誘導する具体的な方法として、通信装置100は、通信装置100の向いている方向の電波強度を測定し、測定した電波強度を、電波強度インジケータ300を介して表示する。
【0032】
図3は、実施形態に係る電波強度の測定中の電波強度インジケータ300の表示例を示す図である。電波強度インジケータ300は、例えば、通信装置100が受信し測定した電波強度が所定の閾値(「第1の閾値」に相当)を下回った場合に、表示部160に表示することができる。
図3の左側は、電波強度の測定開始時の電波強度インジケータ300やユーザの状態を示す。電波強度インジケータ300には、例えば、ユーザの周囲360°に対してユーザが向いている方向が矢印310で示される。
【0033】
図3の左側の例では、ユーザは通信装置100を任意の方向に向けて持っており、表示部160には、電波強度インジケータ300が表示されている。そして、ユーザがその場で時計回りまたは反時計回りに回転することで、通信装置100の向いている方向の電波強度が測定される。
【0034】
図3の中央は、電波強度の測定中の電波強度インジケータ300やユーザの状態を示す。
図3の中央に示すように、ユーザが測定開始時の状態からその場で時計回りに90°回転すると(反時計回りであってもよい)、通信装置100はその間の電波強度を測定する。この場合、
図3の中央に示すように、電波強度インジケータ300には、電波強度の測定が完了した方向が視覚的にわかるように、測定完了範囲320が表示される。そして、さらにユーザはその場での回転を続けると、電波強度の測定が完了した方向が増え、
図3の右側に示すように、測定が完了した分、測定完了範囲320が広がって表示される。
【0035】
次に、ユーザがその場で一周し全方向の電波強度の測定が完了した場合の電波強度インジケータ300の表示について説明する。
図4は、本実施形態に係る電波強度の測定完了時の電波強度インジケータ300の表示例を示す図である。
図4の左側は、全方向の電波強度の測定が完了した時点の電波強度インジケータ300の表示例である。この場合、
図4の左側に示すように、測定完了範囲320は全方向に広がって表示される。
【0036】
なお、全方向の電波強度の測定とは必ずしも全方向を測定する必要はなく、例えば、東西南北の4方向や、測定開始時に通信装置100を向けていた方向と、180°反対方向の2方向のみであってもよい。しかしながら、このように電波強度を測定する方向を限定した場合は、測定結果の粒度(例えば、電波強度の高い方向として示される方向の細かさ)が下がる。また、測定結果(例えば、測定方向とその電波強度)を入力、電波強度の高い方向を正解とする教師データを学習させた学習モデルを用いて、全方向でない一定の方向に対して測定した電波強度から、電波強度の高い方向を推定することもできる。
【0037】
電波強度の測定が完了すると、
図4の中央に示すように、電波強度の高い方向が高強度範囲330として表示される。
図4の中央の例では、高強度範囲330は一箇所に集中しているが、複数箇所に分かれる場合もあり得る。なお、高強度範囲330は、電波強度が所定の閾値以上の方向を示してもよいし、測定した全方向の中で電波強度が高い方向を示してもよい。
【0038】
また、当該閾値は、固定値であってもよいし、周囲の電波環境を参照して動的に閾値を設定してもよい。または、通信装置100で使用中のアプリケーションごとに決定されてもよい。これは、使用中のアプリケーションによって、その時に必要な通信品質が異なるためである。例えば、通信装置100で使用中のアプリケーションが、通信量の多い配信動画の再生アプリケーションなどであった場合、ある程度高い通信品質が必要なため、当該閾値も高めに決定される。一方、通信装置100で使用中のアプリケーションが、通信量の低いメールやチャットアプリケーションなどであった場合、そこまで高い通信品質は必要ないため、当該閾値は低めに決定される。
【0039】
図4の中央および右側に示すように、電波強度インジケータ300に高強度範囲330が表示されると、ユーザは、通信装置100が電波強度の高い方向に向くように(高強度範囲330に矢印310が収まるようにその場で回転する。これにより、ユーザは電波強度の高い方向に向くことができる。なお、
図4の右側に示すように、高強度範囲330に矢印310が収まったまま一定時間経過した場合、電波強度インジケータ300を非表示にすることができる。
【0040】
なお、
図3および
図4で説明した電波強度インジケータ300、矢印310、測定完了範囲320、および高強度範囲330の形や色、サイズ、透過率などの表示形態はあくまでも一例であり、
図3および
図4の例に限定されない。
【0041】
次に、電波強度インジケータ300の重畳表示について説明する。
図5は、本実施形態に係るポートレートモード時の電波強度インジケータ300の重畳表示の例を示す図である。
図5の左側の例は、通信装置100をポートレートモード(いわゆる縦持ち)にして、表示部160に任意のアプリケーションを表示して使用している状態を示している。
【0042】
例えば、この状態で、電波強度が所定の閾値を下回ると、
図5の右側に示すように、電波強度インジケータ300が表示される。この際、電波強度インジケータ300は、表示部160に表示中のアプリケーションに対し重畳表示される。また、所定のユーザ操作(例えば、所定の場所でダブルタップ操作する)によって電波強度インジケータ300を表示させることもできる。これにより、ユーザは、電波強度が所定の閾値を下回っていなくても、電波強度のより強い方向を探索することができる。
【0043】
なお、電波強度インジケータ300の表示位置は、後述するように、任意の位置に変更可能である。また、電波強度インジケータ300は、上述したように、電波強度の高い方向に通信装置100を向けたまま一定時間経過した場合に非表示にすることができる。または、電波強度インジケータ300に対するユーザ操作(例えば、電波強度インジケータ300をロングタップ、またはフリック操作する)によって非表示にすることもできる。
【0044】
また、通信装置100をランドスケープモード(いわゆる横持ち)にした場合の電波強度インジケータ300の表示も、ポートレートモードした場合と同様である。
図6は、本実施形態に係るランドスケープモード時の電波強度インジケータ300の重畳表示の例を示す図である。電波強度インジケータ300の表示位置は、ランドスケープモードとポートレートモードとで変更することができる。そのため、例えば、通信装置100をポートレートモードからランドスケープモードに切り換えた場合、表示部160の表示に合わせて電波強度インジケータ300の表示位置も切り替えることができる。
【0045】
次に、電波強度インジケータ300の表示位置の変更について説明する。
図7は、本実施形態に係る電波強度インジケータ300の表示位置の変更の例を示す図である。例えば、ユーザは、
図7の左側に示すように、電波強度インジケータ300をタップ操作する。そして、
図7の右側に示すように、電波強度インジケータ300を移動させたい位置にドラッグアンドドロップ操作することで、電波強度インジケータ300の表示位置を変更することができる。なお、ドラッグアンドドロップ操作によるインジケータの位置変更はあくまで一例であり、タップ操作やフリック操作などの別の操作によって電波強度インジケータ300の表示位置を任意の位置に変更することもできる。
【0046】
なお、表示位置は通信装置100の記憶部120に記憶され、以降の電波強度インジケータ300の表示の際は、変更された表示位置に電波強度インジケータ300が表示される。また、電波強度インジケータ300の表示位置を、表示部160に表示し使用しているアプリケーションごとに記憶することができる。さらに、電波強度インジケータ300の表示位置を、ポートレートモードかランドスケープモードかの表示部160の表示形式ごとに記憶することもできる。また、ユーザは、例えば、電波強度インジケータ300をピンチイン/アウト操作することによって、電波強度インジケータ300の大きさを任意に変更することもできる。このように、電波強度インジケータ300の表示によって、通信装置100のユーザのUXを極力阻害しないように、ユーザは、電波強度インジケータ300の表示を自由にカスタマイズすることができる。
【0047】
また、ユーザによっては、または通信装置100で使用中のアプリケーションによっては、電波強度インジケータ300の表示を行いたくない場合もある。この場合は、バイブレーション機能による振動によって、ユーザに電波強度を知らせることができる。
図8は、本実施形態に係るバイブレーション機能による電波強度の通知方法の例を示す図である。
【0048】
図8の左側の例では、ユーザは通信装置100を任意の方向に向けて持っている。通信装置100が受信し測定した電波強度が所定の閾値を下回った場合に、振動部170は特定パターンで振動することにより、ユーザに対し、電波強度が弱くなったことを知らせることができる。これにより、ユーザがその場で時計回りまたは反時計回りに回転することで、通信装置100の向いている方向の電波強度が測定される。
【0049】
図8の中央は、ユーザがその場で回転し、通信装置100が電波強度の低い方向を向いた場合を示している。この場合、振動部170は弱く振動することにより、電波強度の低い方向を向いていることをユーザに知らせることができる。
【0050】
図8の右側は、ユーザがその場で回転し、通信装置100が電波強度の高い方向を向いた場合を示している。この場合、振動部170は強く振動することにより、電波強度の高い方向を向いていることをユーザに知らせることができる。
【0051】
なお、
図8の例はあくまでも一例であり、振動部170は、通信装置100が電波強度の低い方向を向いている場合に強く振動したり、通信装置100が電波強度の高い方向を向いている場合に弱く振動したりすること(すなわち、振動の強弱が
図8の例とは逆)ができる。また、振動部170は、電波強度の高低によって振動の強弱のみならず振動パターンを変えて振動することもできる。
【0052】
また、
図8に示したようなバイブレーション機能による電波強度の通知方法は、電波強度インジケータ300による電波強度の通知方法と併用することができる。すなわち、通信装置100は、電波強度インジケータ300を表示しつつ、バイブレーション機能による振動によって、電波強度の高い方向をユーザに知らせることができる。なお、電波強度をユーザに知らせるための出力を、電波強度インジケータ300によって行うか、
図8に示したようなバイブレーション機能によって行うか、または併用するかは、アプリケーションごとに設定することができる。これにより、通信装置100で使用中のアプリケーションによって、ユーザへの通知方法を使い分けることができる。アプリケーションによってユーザへの通知方法を使い分けるとは、例えば、動画視聴のアプリケーションではバイブレーションで、ゲームのアプリケーションではLEDライトまたは音や音声で、それ以外のアプリケーションでは電波強度インジケータ300の表示で、それぞれ、ユーザに対して通知を行うことなどである。
【0053】
<<1.3.機能の流れ>>
次に、
図9を用いて、電波強度の測定および表示処理の手順について説明する。
図9は、本実施形態に係る電波強度の測定および表示処理の流れを示すフローチャートである。
【0054】
図9に示すように、通信装置100の測定部140は、受信された電波強度を測定する(ステップS101)。測定された電波強度が所定の閾値以上ある場合(ステップS102:No)、ステップS101に戻る。
【0055】
一方、測定された電波強度が所定の閾値を下回った場合(ステップS102:Yes)、電波強度は低いと判断し、通信装置100の通知部150は、ユーザに通知する(ステップS103)。ユーザへの通知は、上述したように、例えば、電波強度インジケータ300の表示や、所定のメッセージのテキストや音声の出力、特定パターンの音の出力やバイブレーションの振動、LEDライトの点滅である。どのような通知を行うかは、通信装置100の表示部160に表示され使用中のアプリケーションに基づいて、通信装置100の決定部180によって決定される。
【0056】
通知部150によるユーザ通知でユーザがその場で回転すると、測定部140は、全方向の電波強度を測定する(ステップS104)。なお、電波強度を測定する方向は、全方向でなくてもよい。
【0057】
電波強度の測定が完了すると、通信装置100は、電波強度の高い方向をユーザに通知する(ステップS105)。ここでの通知も、上述したように、例えば、電波強度インジケータ300の表示、所定のメッセージのテキストや音声の出力、特定パターンの音の出力やバイブレーションの振動、LEDライトの点滅によって行うことができる。ここでの通知方法も、通信装置100で使用中のアプリケーションに基づいて、決定部180によって決定される。ステップS105の後、本処理は終了する。
【0058】
<2.ハードウェア構成例>
次に、本実施形態に係る通信装置100のハードウェア構成例について説明する。
図10は、本実施形態に係る通信装置100のハードウェア構成例を示すブロック図である。
図10を参照すると、通信装置100は、例えば、プロセッサ801と、ROM802と、RAM803と、ホストバス804と、ブリッジ805と、外部バス806と、インターフェース807と、入力装置808と、出力装置809と、ストレージ810と、ドライブ811と、接続ポート812と、通信装置813と、を有する。なお、ここで示すハードウェア構成は一例であり、構成要素の一部が省略されてもよい。また、ここで示される構成要素以外の構成要素をさらに含んでもよい。
【0059】
(プロセッサ801)
プロセッサ801は、例えば、演算処理装置または制御装置として機能し、ROM802、RAM803、ストレージ810、またはリムーバブル記録媒体901に記録された各種プログラムに基づいて各構成要素の動作全般またはその一部を制御する。
【0060】
(ROM802、RAM803)
ROM802は、プロセッサ801に読み込まれるプログラムや演算に用いるデータなどを格納する手段である。RAM803には、例えば、プロセッサ801に読み込まれるプログラムや、そのプログラムを実行する際に適宜変化する各種パラメータなどが一時的または永続的に格納される。
【0061】
(ホストバス804、ブリッジ805、外部バス806、インターフェース807)
プロセッサ801、ROM802、RAM803は、例えば、高速なデータ伝送が可能なホストバス804を介して相互に接続される。一方、ホストバス804は、例えば、ブリッジ805を介して比較的データ伝送速度が低速な外部バス806に接続される。また、外部バス806は、インターフェース807を介して種々の構成要素と接続される。
【0062】
(入力装置808)
入力装置808には、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、スイッチ、およびレバーなどが用いられる。さらに、入力装置808としては、赤外線やその他の電波を利用して制御信号を送信することが可能なリモートコントローラ(以下、リモコン)が用いられることもある。また、入力装置808には、マイクロフォンなどの音声入力装置が含まれる。
【0063】
(出力装置809)
出力装置809は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)、LCD、または有機ELなどのディスプレイ装置、スピーカー、ヘッドホンなどのオーディオ出力装置、プリンタ、携帯電話、またはファクシミリなど、取得した情報を利用者に対して視覚的または聴覚的に通知することが可能な装置である。また、本実施形態に係る出力装置809は、触覚刺激を出力することが可能な種々の振動デバイスを含む。また、出力装置809はスマートスピーカーのような専ら音声を出力とする機器で、文字列を読み上げるTTS(Text to speech)機能を有してもよい。
【0064】
(ストレージ810)
ストレージ810は、各種のデータを格納するための装置である。ストレージ810としては、例えば、ハードディスクドライブ(HDD)などの磁気記憶デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス、または光磁気記憶デバイスなどが用いられる。
【0065】
(ドライブ811)
ドライブ811は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリなどのリムーバブル記録媒体901に記録された情報を読み出し、またはリムーバブル記録媒体901に情報を書き込む装置である。
【0066】
(接続ポート812)
接続ポート812は、例えば、USB(Universal Serial Bus)ポート、IEEE1394ポート、SCSI(Small Computer System Interface)、RS-232Cポート、または光オーディオ端子などのような外部接続機器902を接続するためのポートである。
【0067】
(通信装置813)
通信装置813は、高周波数帯を使用するセンチメートル波やミリ波によってインターネットや携帯電話網のようなモバイルネットワークなど各種通信網に接続するための通信デバイスであり、例えば、無線LAN、WUSB(Wireless USB)用の通信カード、光通信用のルータ、または各種通信用のモデムなどである。
【0068】
(リムーバブル記録媒体901)
リムーバブル記録媒体901は、例えば、DVDメディア、Blu-ray(登録商標)メディア、HD DVDメディア、各種の半導体記憶メディアなどである。もちろん、リムーバブル記録媒体901は、例えば、非接触型ICチップを搭載したICカード、または電子機器などであってもよい。
【0069】
(外部接続機器902)
外部接続機器902は、例えば、プリンタ、携帯音楽プレーヤ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、またはICレコーダなどである。
【0070】
<3.まとめ>
以上説明したように、通信装置100は、通信装置100の向いている方向を判定する判定部130と、通信装置100が受信した電波の強度を示す電波強度を測定する測定部140と、電波強度が第1の閾値を下回った場合、ユーザに通知する通知部150と、電波強度が第2の閾値を上回った方向を第1の表示として、表示中の第2の表示に対し重畳表示する表示部160とを備える。
【0071】
これにより、高周波数帯を使用する通信装置100のユーザのUXを極力阻害することなく、電波強度の高い方向に向くようにユーザを誘導することができる。
【0072】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0073】
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
【0074】
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1)通信装置であって、
前記通信装置の向いている方向を判定する判定部と、
前記通信装置が受信した電波の強度を示す電波強度を測定する測定部と、
前記電波強度が第1の閾値を下回った場合、ユーザに通知する通知部と、
前記電波強度が第2の閾値を上回った方向を第1の表示として、表示中の第2の表示に対し重畳表示する表示部と
を備えた、通信装置。
(2)前記表示部はさらに、前記電波強度の測定が完了した方向を表示する、前記(1)に記載の通信装置。
(3)前記表示部はさらに、前記電波強度が前記第2の閾値を上回った方向に、前記通信装置が一定時間向いていた場合、前記第1の表示を非表示にする、前記(1)または(2)に記載の通信装置。
(4)前記第1の閾値および前記第2の閾値の少なくとも1つは、前記通信装置で使用中のアプリケーションによって決定される、前記(1)~(3)のいずれか1つに記載の通信装置。
(5)前記第1の表示の表示位置は、前記ユーザによって予め設定される、前記(1)~(4)のいずれか1つに記載の通信装置。
(6)前記第1の表示の表示位置は、前記ユーザによってアプリケーションごとに予め設定され、
前記表示部は、前記表示部に表示中の前記アプリケーションの前記第2の表示に基づいて、前記第1の表示を前記予め設定された表示位置に重畳表示する、前記(5)に記載の通信装置。
(7)前記電波強度によって振動の強さおよびパターンの少なくとも1つを変えて振動する振動部をさらに備えた、前記(1)~(6)のいずれか1つに記載の通信装置。
(8)前記表示部に表示中のアプリケーションに基づいて、前記電波強度を前記ユーザに知らせるための出力を、前記表示部による前記第1の表示によって行うか、前記振動部による振動によって行うかを決定する決定部をさらに備えた、前記(7)に記載の通信装置。
(9)通信装置が、
前記通信装置の向いている方向を判定し、
前記通信装置が受信した電波の強度を示す電波強度を測定し、
前記電波強度が第1の閾値を下回った場合、ユーザに通知し、
前記電波強度が第2の閾値を上回った方向を第1の表示として、表示中の第2の表示に対し重畳表示する
処理を実行する、方法。
(10)通信装置に、
前記通信装置の向いている方向を判定し、
前記通信装置が受信した電波の強度を示す電波強度を測定し、
前記電波強度が第1の閾値を下回った場合、ユーザに通知し、
前記電波強度が第2の閾値を上回った方向を第1の表示として、表示中の第2の表示に対し重畳表示する
処理を実行させる、プログラム。
【符号の説明】
【0075】
100 通信装置
110 通信部
120 記憶部
130 判定部
140 測定部
150 通知部
160 表示部
170 振動部
180 決定部
190 制御部
200 基地局
300 電波強度インジケータ
310 矢印
320 測定完了範囲
330 高強度範囲