(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】口腔装着具及び口臭測定システム
(51)【国際特許分類】
A61C 19/04 20060101AFI20241001BHJP
G01N 33/497 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
A61C19/04 Z
G01N33/497 B
(21)【出願番号】P 2022540079
(86)(22)【出願日】2021-06-25
(86)【国際出願番号】 JP2021024060
(87)【国際公開番号】W WO2022024621
(87)【国際公開日】2022-02-03
【審査請求日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】P 2020130580
(32)【優先日】2020-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】592028846
【氏名又は名称】I-PEX株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100162259
【氏名又は名称】末富 孝典
(74)【代理人】
【識別番号】100165489
【氏名又は名称】榊原 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100146916
【氏名又は名称】廣石 雅紀
(72)【発明者】
【氏名】緒方 健治
(72)【発明者】
【氏名】小西 玲仁
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 彩子
【審査官】大橋 俊之
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-541693(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0065678(KR,A)
【文献】特開2002-286670(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 19/04
G01N 33/497
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の口腔に装着可能な口腔装着具であって、
口臭の測定対象が位置する部分と前記被検体の咽頭に連通する部分とに前記口腔を仕切る仕切部と、
前記仕切部に接続されるとともに前記測定対象との間に
、前記測定対象の匂いが含まれる気体を回収するために、仕切りなく前記測定対象に対向する空隙を形成する空隙形成部と、
前記測定対象に接する気体を前記空隙から前記口腔外に排出する排出管と、を備え、
前記空隙形成部には、
前記空隙を形成する凹部と、
前記空隙に前記口腔内の気体を導入する溝部と、が設けられている、
口腔装着具。
【請求項2】
前記空隙形成部は、
前記測定対象と、前記測定対象に当接する前記口腔内の部位との間に進入して、前記空隙を形成する、
請求項1に記載の口腔装着具。
【請求項3】
被検体の口腔に装着可能な口腔装着具であって、
口臭の測定対象が位置する部分と前記被検体の咽頭に連通する部分とに前記口腔を仕切る仕切部と、
前記仕切部に接続されるとともに前記測定対象との間に、前記測定対象の匂いが含まれる気体を回収するために、仕切りなく前記測定対象に対向する空隙を形成する空隙形成部と、を備え、
前記空隙形成部は、前記口腔から取り出されたときに前記空隙を密閉可能に構成されている、
口腔装着具。
【請求項4】
前記空隙形成部には、前記空隙を形成する凹部が設けられている、
請求項
3に記載の口腔装着具。
【請求項5】
前記測定対象に接する気体を前記口腔外に排出する排出管と、
前記空隙と前記排出管とを連通する内部流路と、
を備える、
請求項
3に記載の口腔装着具。
【請求項6】
弾性部材で構成され、
前記被検体に咬合された状態で、前記内部流路が閉塞しないように形成されている、
請求項5に記載の口腔装着具。
【請求項7】
前記測定対象として、前記被検体の歯列及び歯茎の表側及び裏側の少なくとも一方を含む、
請求項1から
6のいずれか一項に記載の口腔装着具。
【請求項8】
前記測定対象として、前記歯列と前記歯茎との境界部分を含む、
請求項
7に記載の口腔装着具。
【請求項9】
請求項1から
8のいずれか一項に記載の口腔装着具と、
前記口腔装着具において測定対象に接した気体に基づいて口臭を構成する匂い物質を検出する匂いセンサと、
を備える口臭測定システム。
【請求項10】
前記口腔装着具から前記測定対象に接した気体を吸引して前記匂いセンサに送るポンプを備える、
請求項
9に記載の口臭測定システム。
【請求項11】
前記匂いセンサは、前記口腔装着具の内部に設けられている、
請求項
9に記載の口臭測定システム。
【請求項12】
前記ポンプ及び前記匂いセンサは、前記口腔装着具の内部に設けられている、
請求項1
0に記載の口臭測定システム。
【請求項13】
前記ポンプ及び前記匂いセンサは、前記口腔の外部に設けられている、
請求項1
0に記載の口臭測定システム。
【請求項14】
請求項1から
8のいずれか一項に記載の口腔装着具と、
前記口腔装着具から測定対象に接した気体を吸引するポンプと、
前記ポンプに吸引された気体を回収する回収部と、
前記回収部に回収された気体に基づいて口臭を構成する匂い物質を検出する匂いセンサと、
を備える口臭測定システム。
【請求項15】
前記匂いセンサで検出された匂い物質に基づいて、前記被検体に対するアドバイス情報を生成する情報生成部を備える、
請求項
9から1
4のいずれか一項に記載の口臭測定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口腔装着具及び口臭測定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、被検体の口腔前庭で口部を密閉することにより、口腔内に一定容積の空間を形成して口臭ガスを貯留するマウスエアチャンバを備える口臭測定装置が開示されている。この口臭測定装置は、貯留したガスで口臭を測定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示された口臭測定装置では、マウスエアチャンバが口臭ガスを貯留する空間は、被検体の咽頭と連通している。このため、貯留される口臭ガスに被検体の呼気が含まれやすくなっている。被検体の呼気は、口臭の原因となる口腔内で発する匂い物質の濃度を下げてしまうため、口腔内に原因のある口臭の検出精度を低下させるおそれがある。
【0005】
本発明は、上記実情の下になされたものであり、口腔内に原因のある口臭の検出精度を高めることができる口腔装着具及び口臭測定システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の第1の観点に係る口腔装着具は、
被検体の口腔に装着可能な口腔装着具であって、
口臭の測定対象が位置する部分と前記被検体の咽頭に連通する部分とに前記口腔を仕切る仕切部と、
前記仕切部に接続されるとともに前記測定対象との間に、前記測定対象の匂いが含まれる気体を回収するために、仕切りなく前記測定対象に対向する空隙を形成する空隙形成部と、
前記測定対象に接する気体を前記空隙から前記口腔外に排出する排出管と、を備え、
前記空隙形成部には、
前記空隙を形成する凹部と、
前記空隙に前記口腔内の気体を導入する溝部と、が設けられている。
【0007】
この場合、前記空隙形成部は、
前記測定対象と、前記測定対象に当接する前記口腔内の部位との間に進入して、前記空隙を形成する、
こととしてもよい。
【0008】
本発明の第2の観点に係る口腔装着具は、
被検体の口腔に装着可能な口腔装着具であって、
口臭の測定対象が位置する部分と前記被検体の咽頭に連通する部分とに前記口腔を仕切る仕切部と、
前記仕切部に接続されるとともに前記測定対象との間に、前記測定対象の匂いが含まれる気体を回収するために、仕切りなく前記測定対象に対向する空隙を形成する空隙形成部と、を備え、
前記空隙形成部は、前記口腔から取り出されたときに前記空隙を密閉可能に構成されている。
この場合、前記空隙形成部には、前記空隙を形成する凹部が設けられている、
こととしてもよい。
【0010】
前記測定対象に接する気体を前記口腔外に排出する排出管と、
前記空隙と前記排出管とを連通する内部流路と、
を備える、
こととしてもよい。
【0011】
弾性部材で構成され、
前記被検体に咬合された状態で、前記内部流路が閉塞しないように形成されている、
こととしてもよい。
【0013】
前記測定対象として、前記被検体の歯列及び歯茎の表側及び裏側の少なくとも一方を含む、
こととしてもよい。
【0014】
前記測定対象として、前記歯列と前記歯茎との境界部分を含む、
こととしてもよい。
【0015】
また、本発明の第3の観点に係る口臭測定システムは、
本発明の第1、第2の観点に係る口腔装着具と、
前記口腔装着具において測定対象に接した気体に基づいて口臭を構成する匂い物質を検出する匂いセンサと、
を備える。
【0016】
前記口腔装着具から前記測定対象に接した気体を吸引して前記匂いセンサに送るポンプを備える、
こととしてもよい。
【0017】
前記匂いセンサは、前記口腔装着具の内部に設けられている、
こととしてもよい。
【0018】
前記ポンプ及び前記匂いセンサは、前記口腔装着具の内部に設けられている、
こととしてもよい。
【0019】
前記ポンプ及び前記匂いセンサは、前記口腔の外部に設けられている、
こととしてもよい。
【0020】
また、本発明の第4の観点に係る口臭測定システムでは、
本発明の第1、第2の観点に係る口腔装着具と、
前記口腔装着具から測定対象に接した気体を吸引するポンプと、
前記ポンプに吸引された気体を回収する回収部と、
前記回収部に回収された気体に基づいて口臭を構成する匂い物質を検出する匂いセンサと、
を備える。
【0021】
前記匂いセンサで検出された匂い物質に基づいて、前記被検体に対するアドバイス情報を生成する情報生成部を備える、
こととしてもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、被検体の口腔を、口臭の測定対象が位置する部分と咽頭に連通する部分とに仕切る仕切部を備えているので、口腔内に原因のある口臭の検出精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1A】本発明の実施の形態1に係る口腔装着具の斜視図である。
【
図1B】
図1Aの口腔装着具を口腔に装着した場合のIB-IB線断面斜視図である。
【
図2】
図1Aの口腔装着具が被検体の口腔に装着された様子を示す矢状面の断面図である。
【
図3】
図2のIII-III線の水平断面図である。
【
図4】本発明の実施の形態1に係る口臭測定システムの構成を示す模式図である。
【
図5】
図4の口臭測定システムを用いた口臭の測定の流れを示すフローチャートである。
【
図6】本発明の実施の形態2に係る口腔装着具が被検体の口腔に装着された様子を示す矢状面の断面図である。
【
図7B】
図7Aの口腔装着具を口腔に装着した場合のVIIB-VIIB線断面斜視図である。
【
図8A】本発明の実施の形態3に係る口腔装着具の斜視図である。
【
図8B】
図8Aの口腔装着具を口腔に装着した場合の断面図である。
【
図9A】被検体に咬合された状態での
図8Aの口腔装着具の断面図である。
【
図10】本発明の実施の形態3に係る口腔装着具が被検体の口腔に装着された様子を示す矢状面の断面図である。
【
図12】匂いセンサが内蔵された口腔装着具が被検体の口腔に装着された様子を示す矢状面の断面図である。
【
図13】口腔から取り出されたときに空隙を密閉可能に構成された口腔装着具の一例を示す断面図である。
【
図14A】口臭測定システムの第1の変形例を示す図である。
【
図14B】口臭測定システムの第2の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。各図面においては、同一又は同等の部分に同一の符号を付す。
【0025】
実施の形態1
まず、本発明の実施の形態1について説明する。まず、本実施の形態に係る口腔装着具の構成について説明する。
【0026】
図1Aに示すように、本実施の形態に係る口腔装着具1Aは、マウスピース型であり、全体としてU字状又はV字状となっている。
【0027】
図1B、
図2及び
図3に示すように、口腔装着具1Aは、口臭を測定するために、被検体Pの口腔Mに装着可能である。本実施の形態では、被検体Pを人間とし、口腔Mにおける口臭の測定対象を歯列2及び歯茎(歯肉)3の表側とする。測定対象には、歯列2と歯茎3の表側の境界部分が含まれる。この境界部分は、例えば歯周病の発生などにより口臭の原因となりやすい部分である。ここで、
図2に示すように、口腔Mにおいて被検体Pの唇4の側を表側とし、咽頭6側を裏側とする。
【0028】
図1A、
図2及び
図3に示すように、口腔装着具1Aは、仕切部10Aと、空隙形成部11Aと、を備える。口腔装着具1Aは、弾性部材で構成されている。このような弾性部材としては、ウレタンゴム、シリコーンゴムなどがある。
【0029】
図2に示すように、仕切部10Aは、口臭の測定対象である歯列2及び歯茎3が位置する第1の部分M1と、被検体Pの咽頭6に連通する第2の部分M2とに口腔Mを仕切る。空隙形成部11Aは、仕切部10Aに接続されるとともに、測定対象である歯列2及び歯茎3の表側に空隙Gを形成する。
【0030】
空隙Gにある気体は、歯列2及び歯茎3の表側の境界部分に接している。空隙形成部11Aは、空隙Gと口腔Mの外部とを連通する排出管11aを有している。空隙Gにある気体は、口臭を構成する匂い物質を含むサンプルとして排出管11aから取り出される。
【0031】
第1の部分M1に形成された空隙Gは、仕切部10Aにより第2の部分M2から仕切られているため、空隙Gには被検体Pの呼気が入りにくくなっている。これにより、空隙Gにおける気体の流れはゆっくりとなり、その気体に歯列2及び歯茎3から発せられる匂い物質が含まれやすくなる。このため、匂い物質の濃度が高い状態のまま、空隙Gの気体を排出管11aから取り出すことができる。なお、実際の測定は、被検体Pの口を閉じた状態で行われる。これにより、排出管11aのみが口腔Mの外部と連通した状態となる。
【0032】
口腔装着具1Aの構成についてさらに詳細に説明する。
図3に示すように、仕切部10Aは、歯列2及び歯茎3の裏側に位置しており、歯列2及び歯茎3に沿って屈曲している。これにより、第1の部分M1は、仕切部10Aとの間に形成される歯列2及び歯茎3を含む部分となり、第2の部分M2は、舌5が位置し咽頭6に連通する部分となる。
【0033】
空隙形成部11Aは、
図1A、
図1B及び
図2に示すように、被挟持部12を有している。被挟持部12は、仕切部10Aに接続されており、仕切部10Aから唇4側、すなわち表側に張り出している。
図1B、
図2に示すように、被挟持部12は、被検体Pの上歯列2aと下歯列2bとの間に挟持される。
【0034】
空隙形成部11Aは、
図1A及び
図2に示すように、壁部13を有している。壁部13は、被挟持部12に接続されており、被挟持部12を挟んで仕切部10Aと対向するように配置されている。
図3に示すように、壁部13は、歯列2及び歯茎3の表側に配置されており、歯列2及び歯茎3の表側に沿って屈曲している。
図2に示すように、壁部13は、測定対象である歯列2及び歯茎3と、唇4との間に進入している。唇4は、測定対象に当接する口腔M内の部位に対応する。
【0035】
壁部13には、
図1A及び
図1Bに示すように、空隙Gを形成する凹部11bが設けられている。凹部11bは、
図1Aに示すように、仕切部10Aに対向する面側に設けられている。被挟持部12が被検体Pの上歯列2aと下歯列2bとの間に挟持されたときに、凹部11bは、歯列2及び歯茎3の外側の境界部分に沿って延びている。凹部11bにより、
図1B、
図2に示すように、口腔装着具1Aと、歯列2及び歯茎3の外側の境界部分との間に空隙Gが形成される。このように、本実施の形態では、空隙形成部11Aは、歯列2及び歯茎3と、唇4との間に進入して、凹部11bにより、空隙Gを形成する。
【0036】
空隙形成部11Aには、上述のように空隙Gと口腔Mの外部とを連通する上述の排出管11aが設けられている。排出管11aは、測定対象である歯列2及び歯茎3に接する気体を空隙Gから口腔Mの外部に排出する。
【0037】
空隙形成部11Aには、
図1Cに示すように、導入部としての溝部11cが設けられている。溝部11cは、凹部11bによって形成される空隙Gと外部(具体的には、歯茎3と唇4との間)とを連通する。空隙Gにある気体が排出管11aを介して排出されると、溝部11cを介して、口腔M内の気体が空隙Gに導入される。これにより、空隙G内の急激な減圧が抑制される。
【0038】
図4に示すように、口臭測定システム100は、口腔装着具1Aに加え、ポンプ20と、匂いセンサ21と、情報生成部としての情報処理装置22と、を備える。
【0039】
ポンプ20は、口腔装着具1Aから測定対象に接した気体を吸引する。ポンプ20の吸引力は、空隙G内の気体を緩やかに吸引できる程度のものであればよい。具体的には、ポンプ20は、口腔装着具1Aの排出管11aと接続されており、排出管11aを介して、空隙G内で歯列2及び歯茎3の表面に接した気体を吸引する。ポンプ20には、ノズル20aが接続されており、ポンプ20に吸引された気体は、ノズル20aから吐き出される。
【0040】
匂いセンサ21は、ノズル20aがポンプ20に吸引された気体を吐き出す位置に配置されている。匂いセンサ21は、ポンプ20で吸引されノズル20aから吐き出される気体に基づいて口臭を構成する1又は複数の匂い物質を検出する。検出される匂い物質は、口臭の原因物質となる物質であり、例えば、硫化水素、メチルメルカプタン等の揮発性硫黄化合物(VSC;Volatile Sulfur Compounds)がある。匂いセンサ21は、異なる匂い物質を複数検出可能である。匂いセンサ21は、検出された匂い物質の情報(定性情報又は定量情報)を、電気信号に変換して出力する。
【0041】
このように、本実施の形態では、ポンプ20及び匂いセンサ21は、口腔Mの外部に配置されている。
【0042】
情報処理装置22は、スマートフォン又はパーソナルコンピュータ等の情報処理端末である。情報処理装置22は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスク、タッチパネル等のマンマシンインターフェイス、入出力インターフェイス、通信インターフェイス等をハードウエア資源として備える。情報処理装置22は、CPUがソフトウエアプログラムを実行することにより、すなわちハードウエア資源とソフトウエアとが協働することにより、その機能を実現する。
【0043】
情報処理装置22は、匂いセンサ21で検出された匂い物質に基づいて、被検体Pに対するアドバイス情報を生成して出力する。上述のように、匂いセンサ21では、異なる複数の匂い物質が検出される。情報処理装置22は、検出された複数の匂い物質の検出パターンに基づいて、複数の匂い物質によって構成される匂いを特定する。さらに、情報処理装置22は、特定された匂いが、食べたものの匂いであるのか、歯周病を原因とするものであるのかという匂いの種類を識別する。
【0044】
アドバイス情報には、口臭の強さ、口臭を弱くするための対応策についての情報が含まれる。すなわち、このアドバイス情報は、これを見れば、被検体Pが口臭に対してどのような行動をすれば良いのかについて手助けとなる情報となっている。例えば、”口臭はせず、問題はありません。このまま、歯磨き等に励んでください。”、”ニンニクの匂いが強いので早めに歯磨きをしてください。”、”歯周病の可能性があります。歯科を受診してください。”などが、アドバイス情報の例となる。
【0045】
次に、本実施の形態に係る口臭測定システム100の動作、すなわち口臭の測定の流れについて説明する。
【0046】
図5に示すように、まず、口腔装着具1Aが、被検体Pの口腔Mに装着される(ステップS1)。この場合、被検体Pは、仕切部10A、空隙形成部11Aから成る口腔装着具1Aを口腔Mに入れ、
図1Bに示すように、被挟持部12を上歯列2aと下歯列2bとで咬合する。排出管11aの端部は、上下の唇4の間から口腔Mの外部に突出している。
【0047】
この状態で、口腔装着具1Aの排出管11aと、ホースを介してポンプ20とを接続し(ステップS2)、ポンプ20のノズル20aから吐出される気体に含まれる匂い物質を検出可能に匂いセンサ21を配置し(ステップS3)、匂いセンサ21と情報処理装置22とをデータ通信可能に接続する(ステップS4)。これらのステップS2、S3、S4は、順番が前後していてもよい。
【0048】
この状態で、口臭測定システム100は、口臭の測定を行う(ステップS5)。なお、測定中、被検体Pは、排出管11aを除いて唇4を閉じておく。ここでは、
図3において矢印で示すように、ポンプ20が駆動すると、口腔装着具1Aの空隙Gから排出管11aを介して気体が排出され、匂いセンサ21に送られる。匂いセンサ21は、送られた気体に含まれる匂いを検出する。匂いセンサ21による匂い物質の検出結果は、情報処理装置22に送られる。
【0049】
次に、情報処理装置22は、匂いセンサ21による匂い物質の検出結果に基づいて、アドバイス情報を生成し、表示する(ステップS6)。情報処理装置22は、匂いセンサ21で検出された複数の匂い物質のパターンに基づいて、気体の匂いを特定し、特定された匂いに基づいてアドバイス情報を生成し、表示する。なお、このアドバイス情報は、単に、口臭の種類、強さを表示するだけでもよい。
【0050】
なお、本実施の形態に係る口腔装着具1Aは、歯列2全体を測定対象とした。しかしながら本発明はこれには限られない。歯列2の一部を測定対象としてもよい。
【0051】
実施の形態2
次に、本発明の実施の形態2について説明する。
【0052】
図6に示すように、本実施の形態2に係る口腔装着具1Bは、測定対象として、被検体Pの歯列2及び歯茎3の表側ではなく、裏側を測定対象としている。本実施の形態では、測定対象として、歯列2と歯茎3との裏側の境界部分を含んでいる。
【0053】
図7Aに示すように、本実施の形態に係る口腔装着具1Bは、マウスピース型であり、全体として被検体Pの歯型に合わせたU字状又はV字状となっている。本実施の形態に係る口腔装着具1Bは、仕切部10Bと、空隙形成部11Bとを備える。口腔装着具1Bは、上記実施の形態1と同様に、弾性部材で構成されている。
【0054】
図7Bに示すように、仕切部10B及び空隙形成部11Bは、歯列2及び歯茎3の裏側に沿って屈曲している。本実施の形態では、仕切部10Bは、歯列2及び歯茎3から一定の間隔をおいて配置され、仕切部10Bと歯列2及び歯茎3との間に空隙形成部11Bが配置されている。
【0055】
図6に示すように、仕切部10Bは、口臭の測定対象である歯列2及び歯茎3が位置する第1の部分M1と、被検体Pの咽頭6に連通する第2の部分M2とに口腔Mを仕切る。
図7Aに示すように、空隙形成部11Bは、仕切部10Bに接続されている。空隙形成部11Bは、仕切部10Bとともに、歯列2及び歯茎3の裏側の境界部分が露出する空隙Gを形成する。
【0056】
より具体的には、
図7Bに示すように、空隙形成部11Bは、張出部15と、壁部13と、を備えている。張出部15は、仕切部10Bから、歯列2及び歯茎3に向けて張り出しており、壁部13は、仕切部10Bに対向するように、張出部15を挟んで歯列2、上歯列2a及び下歯列2bの一部に沿って配置されている。
【0057】
この張出部15と壁部13とにより、凹部11bが形成される。この凹部11bにより、口腔装着具1Bと歯列2及び歯茎3の裏側の境界部分との間に空隙Gが形成される。空隙形成部11Bには、歯列2及び歯茎3に接する気体を口腔Mの外部に取り出すために排出管11aが設けられている。空隙Gにある気体は、歯列2及び歯茎3の境界部分に接している。歯列2及び歯茎3に接する空隙Gの気体は、口臭を構成する匂い物質を含むサンプルとして排出管11aから口腔Mの外部に排出される。
【0058】
仕切部10Bには、導入部としての溝部10aが設けられている。
図7Cに示すように、溝部10aは、凹部11bによって形成される空隙Gと外部(本実施の形態では、第2の部分M2)とを連通する。なお、
図7Bでは、仕切部10Bにおいて、溝部10aが形成された縁は、口腔M内の硬口蓋等に接触していないが、口を閉じた状態では、この縁は、硬口蓋と接している。空隙Gの気体が排出管11aを介して排出されると、溝部10aを介して、第2の部分M2内の気体が凹部11bに流入し、空隙G内の急激な減圧が抑制される。そのときの気体の流れは、仕切部10Bが存在しないときの呼気による気体の流れよりも小さくなっている。
【0059】
本実施の形態に係る口臭測定システム100による口臭の測定の流れは、
図4に示す上記実施の形態1に係る口臭測定システム100での流れと同じである。ポンプ20が駆動すると、
図6の矢印で示すように、口腔装着具1Bの空隙Gから排出管11aを介して気体が排出され、ノズル20aから吐出される。匂いセンサ21は、ノズル20aから吐出された気体に含まれる匂い物質を検出する。情報処理装置22は、匂いセンサ21で検出された複数の匂い物質のパターンに基づいて、気体の匂いを特定し、特定された匂いに基づいてアドバイス情報を生成し、表示する。
【0060】
なお、本実施の形態に係る口腔装着具1Bは、歯列2全体を測定対象とした。しかしながら本発明はこれには限られない。歯列2の一部を測定対象としてもよい。
【0061】
実施の形態3
次に、本発明の実施の形態3について説明する。
【0062】
上記実施の形態1、2に係る口腔装着具1A,1Bは、被検体Pの歯列2及び歯茎3に合わせた形に形成されたマウスピース型であった。しかしながら、歯列2及び歯茎3の形は、被検体Pによって様々であるため、上記実施の形態に係る口腔装着具1A,1Bは、被検体P毎に製造する必要がある。そこで、本実施の形態に係る口腔装着具1Cは、
図8A、
図8B、
図9A及び
図9Bに示すように、被検体P間で共通で用いることができるように、全体として直方体状となっている。
【0063】
本実施の形態に係る口腔装着具1Cでは、被検体Pの歯列2及び歯茎3の表側及び裏側の両方が測定対象となっている。
【0064】
口腔装着具1Cは、上記実施の形態1、2と同様に、弾性部材で構成されている。このような弾性部材として、例えばウレタンゴム、シリコーンゴムを用いることができるのは、前述の通りである。
【0065】
口腔装着具1Cのより詳細な構成について説明する。
図8A及び
図10に示すように、口腔装着具1Cは、仕切部10Cと、空隙形成部11Cと、を備える。
図10に示すように、仕切部10Cは、口臭の測定対象が位置する第1の部分M1と被検体Pの咽頭6に連通する第2の部分M2とに口腔Mを仕切っている。仕切部10Cは、被検体Pの口腔Mの形状にフィットさせたものではないため、第1の部分M1と第2の部分M2との間が完全に遮蔽されるわけではないが、仕切部10Cの存在により、第1の部分M1と第2の部分M2との間では隙間を狭くして、空気の流れを抑制することができる。
【0066】
本実施の形態に係る口腔装着具1Cは、歯列2及び歯茎3に接する気体を空隙Gから口腔Mの外に排出する排出管11aと、内部流路30と、を備える。内部流路30は、開口部11dを備えている。開口部11dは4つ設けられており、それぞれ上歯列2a及び歯茎3の表側、裏側、下歯列2b及び歯茎3の表側、裏側に対向して設けられている。
【0067】
この内部流路30により、測定対象である歯列2及び歯茎3との間に空隙Gが形成される。また、内部流路30は排出管11aに連通している。したがって、歯列2及び歯茎3に接した気体は、空隙Gから内部流路30に流入し、さらに排出管11aから排出される。
【0068】
口腔装着具1Cは、その長手方向(咽頭6から唇4に向かう方向)の中央部分がくびれている。口腔装着具1Cのくびれた部分は被検体Pが上歯列2aと下歯列2bとで挟持する被挟持部14である。口腔装着具1Cを使用する際には、被検体Pは、
図8Bに示すように、被挟持部14を咬合する。被検体Pの上歯列2aと下歯列2bとで咬合されると被挟持部14は扁平に歪み、
図9A及び
図9Bに示すように、口腔装着具1C全体が変形する。
【0069】
図10に示すように、口腔装着具1Cが変形すると、内部流路30の開口部11dは測定対象である歯列2及び歯茎3により近づくようになる。また、被検体Pに咬合された状態でも、内部流路30は、
図9Aに示すように、閉塞しないように、
図8Bに示すように、被挟持部14に対応する部分の断面が他の部分より大きくなっている。
【0070】
本実施の形態に係る口臭測定システム100の動作について説明する。
図10に示すように、上歯列2a、下歯列2b及び歯茎3の表側、裏側に接した気体は、それぞれに対応する開口部11dから内部流路30に取り込まれ、
図4に示すように、排出管11aから排出される。排出管11aから排出された気体は、ノズル20aから吐出され、匂いセンサ21において、口臭の原因となる匂い物質が検出される。情報処理装置22は、匂いセンサ21で検出された複数の匂い物質のパターンに基づいて、気体の匂いを特定し、特定された匂いに基づいてアドバイス情報を生成し、表示する。
【0071】
なお、口腔装着具1Cは、
図11に示すような形状であってもよい。
図11に示すように、口腔装着具1Cでは、仕切部10Cが、
図10に示すものよりも上下、左右に幅が広くなるように構成されている。このようにすれば、第1の部分M1と、第2の部分M2との間の空気の流れをより確実に抑制することが可能となる。
【0072】
また、口腔装着具1Cは、直方体状であったが、本発明はこれには限られない。例えば、球状であってもよいし、楕円体状であってもよいし、ラグビーボールのような形であってもよい。
【0073】
以上詳細に説明したように、上記実施の形態に係る口腔装着具1A,1B,1Cによれば、歯列2及び歯茎3が位置する第1の部分M1と被検体Pの咽頭6に連通する第2の部分M2とに口腔Mを仕切る仕切部10A,10B,10Cを備えているので、口腔M内に原因のある口臭の検出精度を高めることができる。
【0074】
より詳細には、口腔装着具1A,1B,1Cによれば、仕切部10A,10B,10Cにより、歯列2及び歯茎3に接する呼気による気体の流れを抑制することができる。このため、歯列2及び歯茎3から発せられる匂い物質の濃度の低下を防ぐことできるので、口腔M内に原因のある口臭の検出精度を高めることができる。
【0075】
上記実施の形態に係る口腔装着具1A~1Cによれば、口腔M内に原因のある匂い物質を検出することができる。このため、口臭の原因が口腔M内にあるのかそれ以外にあるのかを判定することが可能となる。
【0076】
また、上記実施の形態によれば、口腔装着具1Cは、歯列2及び歯茎3と、唇4又は舌5との間に挿入し、歯列2及び歯茎3に対して空隙Gを形成する。このように、歯列2及び歯茎3に気体が接しやすくするように空隙Gを形成すれば、歯列2及び歯茎3から口臭の原因となる匂い物質を良好に取り出すことができる。
【0077】
また、上記実施の形態1、2に係る口腔装着具1Cは、マウスピース型であった。マウスピース型は、被検体Pそれぞれの歯列2及び歯茎3の型に合わせるものを用いる必要がある一方、空隙Gの気密性が高く、匂い物質を高濃度に検出することが可能である。一方、上記実施の形態3に係る口腔装着具1Cは、直方体状のブロック型であり、仕切部10Cで仕切られる空間の密閉度は低下する一方、被検体P毎に製造する必要はなくなる。
【0078】
このような空隙Gは、空隙形成部11A,11Bのように、凹部により形成されるようにしてもよいし、空隙形成部11Cのように、開口部11dが歯列2及び歯茎3に対向する内部流路30により形成されるようにしてもよい。
【0079】
また、上記実施の形態1に係る口腔装着具1Aでは、歯列2及び歯茎3の表側を測定対象とし、上記実施の形態2に係る口腔装着具1Bでは、歯列2及び歯茎3の裏側を測定対象とした。しかしながら、本発明はこれには限られない。口腔装着具1Aと、口腔装着具1Bとを組み合わせて歯列2及び歯茎3の表側と裏側とを両方測定可能な口腔装着具を用いるようにしてもよい。
【0080】
また、上記実施の形態に係る口腔装着具1A,1B,1Cでは、空隙Gの気体を、排出管11aを介して排出する場合には、空隙Gと口腔Mの他の部分とを連通する溝部11c,10aを設けることにより、空隙Gの減圧が抑制されている。
【0081】
また、口腔装着具1Cは、弾性部材で構成されており、気体が通過する内部流路30を有する場合には、内部流路30を閉塞しないように形成されている。これにより、歯列2及び歯茎3に接した気体を排出管11aから確実に取り出すことが可能となる。
【0082】
なお、上記実施の形態では、被検体Pに咬合された状態で、内部流路30が閉塞しないように、被検体Pに咬合される被挟持部14の内部流路30の断面を大きくした。しかしながら、本発明はこれには限られない。被検体Pに咬合される部分の内部流路30を形成する部材の硬度を、人の咬合力では内部流路30が閉塞しない硬さに変更するようにしてもよい。例えば、内部流路30の内壁を、金属部材で構成するようにしてもよい。
【0083】
また、上記実施の形態3では、匂いセンサ21は、被検体Pの口腔Mの外部に設けられるものとした。しかしながら、
図12に示すように、匂いセンサ21が口腔装着具1Dの内部に設けられているようにしてもよい。口腔装着具1Dは、仕切部10Dと、空隙形成部11Dと、を備えている。仕切部10Dは、上記実施の形態3に係る仕切部10Cと同じである。空隙形成部11Dは、上歯列2a及び歯茎3の裏側に対向する面が開口すると共に、下歯列2b及び歯茎3の裏側に対向する面が開口する開口部11dを有している。上歯列2a及び歯茎3の裏側又は下歯列2b及び歯茎3の裏側に接した気体は、開口部11dから内部流路30内に入り込む。匂いセンサ21は、内部流路30に入った気体に含まれる匂い物質を検出する。匂いセンサ21の検出結果は、情報処理装置22に送られる。
【0084】
この場合、匂いセンサ21は、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を用いて製造されたものを用いることができる。
【0085】
なお、
図12に示す口腔装着具1Dの内部に、匂いセンサ21とともにポンプ20を設けるようにしてもよい。ポンプ20についても、MEMS技術を用いて製造されたものを用いることができる。
【0086】
また、
図13に示す口腔装着具1Eのように、空隙形成部11Eが、口腔Mから取り出されたときに空隙Gを密閉可能に構成されているようにしてもよい。
図13に示す口腔装着具1Eには、仕切部10E及び空隙形成部11Eが設けられ、空隙形成部11Eにおける内部流路30の開口部11dに弁部30aが設けられている。この弁部30aは、ポンプ20に吸引されている状態では開き、ポンプ20の吸引が停止すると、開口部11dを塞ぐようになっている。このようにすれば、例えば、内部流路30内に気体や、被検体Pの唾液を採集し、採集された気体や唾液から発せられる匂い物質を、後から検出することも可能となる。なお、弁部30aの代わりに、開口部11dを塞ぐ蓋を用いて、内部流路30を塞ぐようにしてもよい。
【0087】
なお、上記実施の形態1に係る口腔装着具1A又は上記実施の形態2に係る口腔装着具1Bについても、口腔Mから取り外されたときに、空隙Gを密閉可能としてもよい。
【0088】
また、
図14Aに示すように、口臭測定システム100は、口腔装着具1Aから歯列2及び歯茎3に接した気体を回収する回収部40を備えるようにしてもよい。
図14Aに示す口臭測定システム100により、回収部40に気体を回収した後、
図14Bに示すように、匂いセンサ21が、ポンプ20等から取り外された回収部40にセッティングされ、回収部40で回収された気体に基づいて口臭を構成する匂い物質を検出することができる。
【0089】
なお、上記実施の形態では、上歯列2a及び下歯列2bの両方を口臭の測定対象とした。しかしながら、本発明はこれには限られない。上歯列2a及び下歯列2bのいずれかを口臭の測定対象とするようにしてもよい。
【0090】
なお、上記実施の形態では、歯列2及び歯茎3の境界部分を含む領域を測定対象とする場合について説明した。しかしながら、本発明はこれには限られない。舌5など、口腔M内の他の場所を、測定対象とするようにしてもよい。
【0091】
なお、上記実施の形態では、被検体Pを人間とした場合について説明した。しかしながら、本発明はこれには限られない。人以外の動物を被検体Pとすることが可能である。特に、犬、猫などのほ乳類には好適である。ただし、ほ乳類以外の動物への適用を排除するものではない。
【0092】
なお、上記実施の形態では、歯列2及び歯茎3に接した気体を区別することなく1つの排出管11aを介して取り出し匂いを測定した。しかしながら、本発明はこれには限られない。例えば、上歯列2aと下歯列2bとで排出管11aを分けるなど、測定対象となる部位に応じて気体を別々に取り出して匂いを個別に測定するようにしてもよい。また、口腔装着具1Cの4つの開口部11d毎に内部流路30及び排出管11aを分けて、別々に匂い物質を検出するようにしてもよい。このようにすれば、口臭の原因となる口腔M内の部位をより細かく特定することが可能となる。
【0093】
口腔装着具1A~1Eの形状は、上記実施の形態1~3に係るものには限られない。例えば、上記実施の形態3に係る口腔装着具1Cをより扁平にしたものであってもよい。また、口腔装着具を、内部流路として広い内部空間を有するものとしてもよい。
【0094】
この発明は、この発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、この発明を説明するためのものであり、この発明の範囲を限定するものではない。すなわち、この発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、この発明の範囲内とみなされる。
【0095】
なお、本願については、2020年7月31日に出願された日本国特許出願2020-130580号を基礎とする優先権を主張し、本明細書中に日本国特許出願2020-130580号の明細書、請求の範囲、図面全体を参照として取り込むものとする。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明は、口腔内に原因のある口臭の検出に適用することができる。
【符号の説明】
【0097】
1A,1B,1C,1D,1E 口腔装着具、2 歯列、2a 上歯列、2b 下歯列、3 歯茎、4 唇、5 舌、6 咽頭、10A,10B,10C,10D,10E 仕切部、10a 溝部、11A,11B,11C,11D,11E 空隙形成部、11a 排出管、11b 凹部、11c 溝部、11d 開口部、12 被挟持部、13 壁部、14 被挟持部、15 張出部、20 ポンプ、20a ノズル、21 匂いセンサ、22 情報処理装置、30 内部流路、30a 弁部、40 回収部、100 口臭測定システム、G 空隙、M 口腔、M1 第1の部分、M2 第2の部分、P 被検体