(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】建築物
(51)【国際特許分類】
E04B 5/02 20060101AFI20241001BHJP
E04B 1/26 20060101ALI20241001BHJP
E04B 1/58 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
E04B5/02 P
E04B1/26 F
E04B1/58 506T
(21)【出願番号】P 2022541074
(86)(22)【出願日】2020-08-07
(86)【国際出願番号】 JP2020030316
(87)【国際公開番号】W WO2022029990
(87)【国際公開日】2022-02-10
【審査請求日】2023-02-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】市川 和希
(72)【発明者】
【氏名】落合 誠
(72)【発明者】
【氏名】小川 正之
【審査官】兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0113839(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0237421(US,A1)
【文献】特開2017-110360(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 5/02,5/10-5/14
E04B 1/26
E04B 1/58
E04F 15/00-15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上階と下階との間に設けられる床部を備える建築物であって、
前記床部は、複数の第1床架材と、前記第1床架材に交差するように設けられる複数の第2床架材とを備え、
前記第1床架材および前記第2床架材は木製であり、
複数の前記第2床架材は、短状第2床架材と、該短状第2床架材よりも長い長状第2床架材とを有し、
前記短状第2床架材は、前記長状第2床架材と別の前記長状第2床架材との間に位置し、
互いに対向する前記短状第2床架材と前記長状第2床架材とは、互いに対向する側面に支持金具が設けられ、
前記短状第2床架材と前記長状第2床架材との間には前記支持金具によって端部を支持される補強部材が配置され、
前記補強部材は、前記支持金具、前記短状第2床架材および前記長状第2床架材に固定されてなく、
前記第1床架材と、前記第2床架材と、前記補強部材とは、前記第1床架材の上面と、前記第2床架材の上面と、前記補強部材の上面とが面一の平面を構成するように、配置され、
前記支持金具の上端は、前記補強部材の上面よりも下に位置する
建築物。
【請求項2】
前記補強部材の断面は、上下方向に延びる第1部分と、前記第1部分の両端それぞれに設けられて前記第1部分に交差するように設けられる第2部分とを有する形状に構成される
請求項1に記載の建築物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、建築物の構造が開示されている。また、建築物の床部を構成する部材の締結方法が開示されている。一例では、壁の上に、壁に沿うように鉄骨が設けられて、鉄骨にジョイストウェブが締結される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開第2004/0200172号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、木造の建築物において、上階と下階との間の床構造について耐震性の観点で改善の余地がある。そこで、耐震性が高い床を有する建築物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)課題を解決する建築物は、上階と下階との間に設けられる床部を備える建築物であって、前記床部は、複数の第1床架材と、前記第1床架材に交差するように設けられる複数の第2床架材とを備え、前記第1床架材および前記第2床架材は木製であり、2個の前記第1床架材の間および2個の前記第2床架材の間の少なくとも一方には補強部材が配置される。この構成によれば、第1床架材と第2床架材とによって構成される軸組みが補強材によってさらに補強される。このようにして、床部の耐震性を高めることができる。
【0006】
(2)(1)の建築物において、前記補強部材は、2個の前記第1床架材の間に配置され、2個の前記第1床架材それぞれには前記補強部材の端部を支持する支持金具が設けられ、前記補強部材は、2個の前記第1床架材それぞれに設けられる前記支持金具によって支持される。この構成によれば、簡単な取付作業によって床部を強化することが出来る。
【0007】
(3)(1)または(2)の建築物において、前記補強部材は、2個の前記第2床架材の間に配置され、2個の前記第2床架材それぞれには前記補強部材の端部を支持する支持金具が設けられ、前記補強部材は、2個の前記第2床架材それぞれに設けられる前記支持金具によって支持される。この構成によれば、簡単な取付作業によって床部を強化することが出来る。
【0008】
(4)(3)の建築物において、前記補強部材の断面は、上下方向に延びる第1部分と、前記第1部分の両端それぞれに設けられて前記第1部分に交差するように設けられる第2部分とを有する形状に構成される。この構成によれば、上下方向に撓みが小さい床部を形成できる。
【0009】
(5)(1)~(4)のいずれか1つの建築物において、前記第1床架材と、前記第2床架材と、前記補強部材とは、前記第1床架材の上面と、前記第2床架材の上面と、前記補強部材の上面とが面一の平面を構成するように、配置される。この構成によれば、フラットな床面を形成できる。
【発明の効果】
【0010】
上記建築物によれば、床部の耐震性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図12】屋根フレームと屋根横架材との結合部の斜視図。
【
図13】屋根フレームと屋根横架材との結合部の斜視図。
【
図14】屋根フレームと屋根横架材との結合部の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1~
図14を参照して、建築物について説明する。本実施形態に示される建築物は2階建てである。
図2は、建築物1の1階部分の骨格を示す。
図2では、1階と2階との間の床部60において、補強部材63の記載は省略されている。
【0013】
図1に示されるように、建築物1は、基礎2と、建屋本体3と、屋根4とを備える。本実施形態に示される建築物1は、複数の階を備える。基礎2は、地面に設けられる。例えば、基礎2は、鉄筋コンクリートによって構成される。建屋本体3は、基礎2に設けられる。
【0014】
図2に示されるように、建屋本体3は、軸組構造を有する。具体的には、建屋本体3は、複数の垂直材10と、複数の第1横架材11と、複数の第2横架材12とを備える。垂直材10は、柱とも呼ばれる。垂直材10は、木製である。垂直材10は、基礎金具20を介して基礎2に立てられる。
【0015】
垂直材10は、複数の階にわたる長さを有してもよい。垂直材10は、1つの階の高さに相当する長さを有してもよい。垂直材10の下端面には、基礎金具20のプレート部23が入るスリット10cが設けられる。スリット10cは、垂直材10の端面10aから垂直材10の長手方向に延びるように設けられる。これによって、スリット10cを構成する内面は、垂直材10の木目に沿うように配置されるようになり、スリット10cによって分岐する部分の強度低下を抑制できる。後述のスリット11c,12bも同様の構造を有する。すなわち、スリット11c,12bは、スリット11c,12bが設けられる部材において、部材の長手方向に垂直な端面から部材の長手方向に延びる。
【0016】
図3の示されるように、基礎金具20は、基礎2に固定される固定部21と、固定部21より上に設けられる受部22と、受部22から上に延びるプレート部23とを備える。受部22は、垂直材10の端面10aを受ける。基礎金具20の固定部21は、ボルトによって基礎2に固定される。基礎金具20のプレート部23は、ドリフトピン24によって垂直材10に固定される。ドリフトピン24は、垂直材10のスリットに入れられた状態においてプレート部23と垂直材10とを貫くように、垂直材10に挿し込まれる。
【0017】
第1横架材11は、複数の垂直材10に亘るように設けられる。第1横架材11は、梁または桁と呼ばれる。一例では、第1横架材11は、第1横架材11の側面11bが垂直材10の端面10aに接触するように、配置される(
図4参照)。他の例では、第1横架材11は、第1横架材11の端面が垂直材10の側面10bに接触するように、配置される。さらに他の例では、第1横架材11は、第1横架材11の端面が第2横架材12の側面に接触するように、配置される。
【0018】
第2横架材12は、第1横架材11に交差するように設けられる。第2横架材12は、複数の第1横架材11に亘るように設けられる。第2横架材12は、梁または桁と呼ばれる。一例では、第2横架材12は、第2横架材12の端面12aが第1横架材11の側面11bに接触するように、配置される(
図5参照)。他の例では、第2横架材12は、第2横架材12の端面12aが垂直材10の側面10bに接触するように、配置される。
【0019】
垂直材10と第1横架材11、第1横架材11と第2横架材12、および、垂直材10と第2横架材12の各組は、結合金具によって結合される。結合金具の例として、第1結合金具30~第3結合金具40を説明する。
【0020】
図4に示されるように、第1結合金具30は、垂直材10と第1横架材11とを結合する。第1結合金具30は、垂直材10と第2横架材12とを結合してもよい。
第1結合金具30は、ほぞ突起部31と、ほぞ突起部31に設けられるプレート部32とを備える。ほぞ突起部31は、第1横架材11に設けられるほぞ孔11dに嵌合するように構成される。プレート部32は、垂直材10に設けられるスリット10cに入るように構成される。ほぞ突起部31は、ドリフトピン24によって第1横架材11に固定される。プレート部32は、ドリフトピン24によって垂直材10に固定される。
【0021】
図5に示されるように、第2結合金具36は、第2横架材12と垂直材10とを結合する。第2結合金具36は、第2横架材12と第1横架材11とを結合してもよい。
第2結合金具36は、垂直材10または第1横架材11に固定される固定部37と、固定部37から延びるプレート部38とを備える。固定部37は、ボルトによって垂直材10の側面10bまたは第1横架材11の側面11bに固定される。プレート部38は、第2横架材12に設けられるスリット12bに入るように構成される。プレート部38は、ドリフトピン24によって第2横架材12に固定される。
【0022】
図6に示されるように、第3結合金具40は、上下に配置される2個の垂直材10と第1横架材11と第2横架材12を結合する。第3結合金具40は、軸部41と、軸部41から延びる複数のプレート部42とを備える。軸部41の第1端部は、上側の垂直材10に設けられるほぞ孔10dに入るように構成される。軸部41の第2端部は、下側の垂直材10に設けられるほぞ孔10dに入るように構成される。プレート部42は、軸部41において中間部に設けられる。第3結合金具40は、互いに結合させる横架材の個数に応じた個数のプレート部42を有する。プレート部42は、第1横架材11のスリット11cまたは第2横架材12のスリット12bに入るように構成される。プレート部42は、ドリフトピン24によって第1横架材11または第2横架材12に固定される。
【0023】
図2に示されるように、建築物1は、枠部材50を備える。
枠部材50は、軸組構造を有する壁を補強する。壁は、2個の垂直材10と、2個の垂直材10に亘る第1横架材11または第2横架材12とを備える。1または複数の枠部材50は、複数の垂直材10のうちの2個の垂直材10の間に設けられる。好ましくは、枠部材50の厚幅は、壁構造の厚幅と等しい。
【0024】
枠部材50は、複数の規格材51によって構成される。規格材51の断面積は、垂直材10、第1横架材11および第2横架材12のいずれの断面積よりも小さい。枠部材50は、規格材51によって矩形の枠に構成される。規格材51は、建築用木材の市場において縦幅に対する横幅の比率が決められている木材である。一例では、規格材51の断面における縦幅は、横幅の2倍の長さを有する。枠部材50の厚幅は、規格材51の縦幅に等しい。
【0025】
枠部材50の上部は、ビスまたはボルトによって第1横架材11または第2横架材12に固定される。枠部材50の2個の側部は、ビスまたはボルトによって垂直材10に固定される。枠部材50の2個の側部は、連結材52によって結合されることが好ましい。連結材52は、2個の側部の間に配置され、2個の側部それぞれに繋げられる。
【0026】
図7に示されるように、建築物1は、上階と下階との間に設けられる床部60を備える。床部60は、補強部材63によって補強される。
上階は、下階の1つ上の階を示す。例えば、床部60は、1階と2階との間に設けられる。他の例では、2階と3階との間に設けられる。さらに別の例では、地下1階と地上階との間に床部60が設けられる。本実施形態では、建築物1は、2階建てである。建築物1は、1階と2階との間に設けられる床部60を備える。
【0027】
床部60は、複数の第1床架材61と、第1床架材61に交差するように設けられる複数の第2床架材62とを備える。第1床架材61は、軸組構造において第1横架材11および第2横架材12の一方に該当し、第2床架材62は、軸組構造において第1横架材11および第2横架材12の他方に該当する。
【0028】
第1床架材61および第2床架材62は木製である。2個の第1床架材61の間に、補強部材63が配置されてもよい。2個の第2床架材62の間に、補強部材63が配置されてもよい。
【0029】
図8に示されるように、補強部材63は、板状の胴部65と、上フランジ部66と、下フランジ部67とを有する。上フランジ部66は、板部材によって構成される。上フランジ部66は、胴部65に交差するように胴部65の上部に設けられる。下フランジ部67は、板部材によって構成される。下フランジ部67は、胴部65に交差するように胴部65の下部に設けられる。
【0030】
図7に示されるよう、本実施形態では、補強部材63は、2個の第2床架材62の間に配置される。2個の第2床架材62それぞれには、補強部材63の端部を支持する支持金具71が設けられる。補強部材63は、2個の第2床架材62それぞれに設けられる支持金具71によって支持される。具体的には、補強部材63の両端部それぞれが、支持金具71によって下から支持される。補強部材63の端部は、支持金具71の支持受部72の上に載せられる。補強部材63の端部は、支持金具71に固定されない。補強部材63の端部は、第2床架材62に固定されない。補強部材63は、補強部材63の端面が第2床架材62の側面に対向するように、配置される。補強部材63の端面と第2床架材62の側面との間に隙間が設けられてもよい。補強部材63は、建屋本体3が揺れるような場合に、第2床架材62の側面に接触する。これによって、第1床架材61と第2床架材62とを含む軸組構造体の変形が抑制される。複数の補強部材63の上には、床材が配列される。補強部材63は、床材の撓みを抑制する。
【0031】
図8に示されるように、支持金具71は、補強部材63の端部を収容するように構成される。支持金具71は、補強部材63の端部の下部を支持する支持受部72と、支持受部72の両端それぞれから延びる固定部73とを備える。2個の固定部73は、第1床架材61または第2床架材62にビスで固定される。2個の固定部73の間の間隔距離は、補強部材63が入るように設定されている。
【0032】
第1床架材61と、第2床架材62と、補強部材63とは、第1床架材61の上面と、第2床架材62の上面と、補強部材63の上面とが面一の平面を構成するように、配置される。これによって、第1床架材61の上面と第2床架材62の上面とを含む平坦な床面を構築できる。
【0033】
図9に示されるように、補強部材63の断面は、上下方向に延びる第1部分68と、第1部分68の両端それぞれに設けられて第1部分68に交差するように設けられる第2部分69とを有する形状に構成される。第1部分68は、胴部65に該当する。第1部分68の上に配置される第2部分69は、上フランジ部66に該当する。第1部分68の下に配置される第2部分69は、下フランジ部67に該当する。
【0034】
図10~
図14を参照して、屋根4を説明する。屋根4は、建屋本体3に設けられる。屋根4は、トラス構造を備える。
図10に示されるように、屋根4は、複数の屋根フレーム80を備える。本実施形態では、複数の屋根フレーム80それぞれがトラス構造を有する。
【0035】
複数の屋根フレーム80は、建屋本体3において、平行に配列される。好ましくは、複数の屋根フレーム80は、等間隔に配列される。複数の屋根フレーム80は、連結材84によって互いに連結されてもよい(
図13参照)。
【0036】
図11に示されるように、屋根フレーム80は、屋根架材81と、複数の垂木82と、補強部材83とを有する。
屋根架材81は、2個の第1横架材11または2個の第2横架材12に架けられる。垂木82は、屋根架材81に結合される。本実施形態では、所定角度の角部が形成されるように、2個の垂木82の第1端部が互いに結合される。2個の垂木82の第2端部は互いに離される。屋根架材81の第1端部は、2個の垂木82の一方の垂木82の第2端部付近に結合され、屋根架材81の第2端部は、2個の垂木82の他方の垂木82の第2端部付近に結合される。屋根架材81と2個の垂木82とによって屋根フレーム80の枠が構成される。補強部材83は、屋根フレーム80の枠内にトラス構造が構成されるように、屋根フレーム80の枠に取り付けられる。
【0037】
屋根架材81、複数の垂木82、および補強部材83は、規格材51によって構成されることが好ましい。規格材51を使用することによって、屋根フレーム80の厚幅は、規格の厚幅になる。屋根フレーム80が規格の厚幅を有することによって、屋根フレーム80を2個の第1横架材11または2個の第2横架材12に固定する場合に、市場に流通する金具を使用できる。
【0038】
屋根フレーム80は、金具によって第1横架材11または第2横架材12に固定される。以下では、第1横架材11および第2横架材12のうちで屋根フレーム80が固定される横架材を「屋根横架材15」と呼ぶ。屋根フレーム80が固定される屋根横架材15は、規格材よりも太いことが好ましい。一例では、屋根フレーム80が固定される屋根横架材15の断面積は、規格材の断面積よりも大きい。屋根フレーム80が固定される屋根横架材15は、集成材によって構成されてもよい。
【0039】
金具の例として、第1金具91および第2金具95を説明する。第1金具91および第2金具95は、屋根フレーム80の屋根架材81と屋根横架材15とが交差する部分において、屋根フレーム80の屋根架材81と屋根横架材15とを互いに固定する。
【0040】
図12に示されるように、第1金具91は、固定部92と、屋根架材81を挟持する一対の爪部93とを備える。固定部92は、屋根横架材15に固定される。一対の爪部93は、固定部92から突出するように設けられる。
【0041】
図13に示されるように、第1金具91は、2個の屋根フレーム80を連結する連結材84を屋根横架材15に固定してもよい。具体的には、第1金具91は、連結材84と屋根横架材15とが交差する部分において屋根横架材15に設けられ、連結材84を挟持する。
【0042】
図14に示されるように、第2金具95は、細長い金属板によって構成される。第2金具95は、屋根架材81の上面に接触するように掛けられる。第2金具95の両端部96,96は、屋根横架材15に固定される。
【0043】
建築物1の建築方法を説明する。
建築物1の建築方法は、第1工程~第3工程を含む。第1工程では、基礎2を形成する。第2工程では、基礎2に軸組構造の建屋本体3を作る。
【0044】
第3工程では、建屋本体3に、予め組み立てられたトラス構造の屋根フレーム80を取り付ける。具体的には、屋根フレーム80は、複数の垂木82と屋根架材81とを有する。屋根フレーム80は、屋根架材81が複数の屋根横架材15に亘るように、建屋本体3に配置される。屋根フレーム80の屋根架材81は、金具によって、建屋本体3の屋根横架材15に固定される。
【0045】
建築物1の建築方法は、第4工程を含んでもよい。第4工程では、予め組み立てられた枠部材50によって、軸組構造を有する壁を補強する。第4工程の作業は、第2工程において行われてもよく、第3工程において行われてもよい。具体的には、2個の垂直材10の間に1または複数の枠部材50を嵌め込み、ビスによって枠部材50を垂直材10に固定する。
【0046】
建築物1の建築方法は、第5工程を含んでもよい。第5工程では、補強部材63によって、軸組構造を有する床部60を補強する。第5工程の作業は、第2工程において行われてもよく、第3工程において行われてもよい。一例では、床部60の2個の第2床架材62それぞれに支持金具71に取り付ける。2個の支持金具71は、互いに対向するように配置される。2個の支持金具71の間の空間の上に補強部材63を配置し、補強部材63を降ろしつつ、補強部材63の端部を支持金具71に差し込む。このようにして、補強部材63は2個の第2床架材62の間に配置される。
【0047】
本実施形態の作用を説明する。
従来、床部60について、横方向の揺れに対する強度に改善の余地がある。本実施形態では、第1床架材61と第2床架材62とによって床部60の軸組みが構築される。平面視において軸組みの中に複数の補強部材63が配置される。一例では、複数の補強部材63は、平行な2個の第1床架材61の間に配置される。他の例では、複数の補強部材63は、平行な2個の第2床架材62の間に配置される。これによって、建築物1の横揺れに対して、軸組みの変形が抑制されるようになる。このようにして、床部60の耐震性が高められる。
【0048】
本実施形態の効果を説明する。
(1)上階と下階との間に設けられる床部60を備える建築物1において、床部60は、複数の木製の第1床架材61と、複数の木製の第2床架材62とを備える。2個の第1床架材61の間および2個の第2床架材62の間の少なくとも一方には補強部材63が配置される。この構成によれば、第1床架材61と第2床架材62とによって構成される軸組みが補強材によってさらに補強されている。このようにして、床部60の耐震性を高めることができる。
【0049】
(2)2個の第1床架材61それぞれには補強部材63の端部を支持する支持金具71が設けられてもよい。補強部材63は、2個の第1床架材61それぞれに設けられる支持金具71によって支持される。この構成によれば、簡単な取付作業によって床部60を強化することが出来る。
【0050】
(3)2個の第2床架材62それぞれには補強部材63の端部を支持する支持金具71が設けられてもよい。補強部材63は、2個の第2床架材62それぞれに設けられる支持金具71によって支持される。この構成によれば、簡単な取付作業によって床部60を強化することが出来る。
【0051】
(4)補強部材63の断面は、上下方向に延びる第1部分68と、第1部分68の両端それぞれに設けられて第1部分68に交差するように設けられる第2部分69とを有する形状に構成される。この構成によれば、上下方向に撓みが小さい床部60を形成できる。
【0052】
(5)建築物1において、第1床架材61と、第2床架材62と、補強部材63とは、第1床架材61の上面と、第2床架材62の上面と、補強部材63の上面とが面一の平面を構成するように、配置される。この構成によれば、フラットな床面を形成できる。
【0053】
<変形例>
上記実施形態は、建築物が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。建築物1は実施形態に例示された形態とは異なる形態を取り得る。その一例は、実施形態の構成の一部を置換、変更、もしくは、省略した形態、または、実施形態に新たな構成を付加した形態である。以下に実施形態の変形例の一例を示す。
【0054】
・本実施形態の建築物1では、基礎2に垂直材10が立てられている。これに対して、基礎2の上に設けられる土台に、垂直材10が立てられてもよい。
・屋根フレーム80は、第1結合金具30または第2結合金具36に準じた金具によって、屋根横架材15に結合されてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1…建築物
60…床部
61…第1床架材
62…第2床架材
63…補強部材
68…第1部分
69…第2部分
71…支持金具