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特許7563496生体認証システム、そのテンプレート更新方法、テンプレート更新プログラム、生体認証クライアント装置及び生体認証サーバ装置
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  • 特許-生体認証システム、そのテンプレート更新方法、テンプレート更新プログラム、生体認証クライアント装置及び生体認証サーバ装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】生体認証システム、そのテンプレート更新方法、テンプレート更新プログラム、生体認証クライアント装置及び生体認証サーバ装置
(51)【国際特許分類】
   H04L 9/32 20060101AFI20241001BHJP
   G06F 21/32 20130101ALI20241001BHJP
【FI】
H04L9/32 100D
G06F21/32
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2022577957
(86)(22)【出願日】2021-01-29
(86)【国際出願番号】 JP2021003294
(87)【国際公開番号】W WO2022162884
(87)【国際公開日】2022-08-04
【審査請求日】2023-07-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】奈良 成泰
(72)【発明者】
【氏名】岡村 利彦
(72)【発明者】
【氏名】一色 寿幸
(72)【発明者】
【氏名】森 健吾
(72)【発明者】
【氏名】田宮 寛人
【審査官】辻 勇貴
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/080320(WO,A1)
【文献】特開2018-207433(JP,A)
【文献】国際公開第2020/245939(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0127824(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 9/32
G06F 21/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
更新値を生成する更新値生成部と、
生体情報から生成されるテンプレートを、前記更新値を用いて更新する第1の更新処理部と、
前記生体情報から前記テンプレートとともに生成される検証鍵を、前記更新値を用いて更新する第2の更新処理部と、
を有し、
Ra、Rb、およびRcを乱数とし、gを素数qを位数とする群Gの生成元とすると、前記検証鍵は{Ra,Rb,g Rc }であり、
前記テンプレートは、{temp1[i],temp2[i]}であり、
{x1,x2,・・・,xn}を前記生体情報とし、tiを予め設定される係数とすると、temp1[i]=Ra・xi+Rb・ti+Rcであり、temp2[i]=g ti であり、
Ra、Rb、Rc、およびtiが、前記更新値に基づいて更新される
生体認証システム。
【請求項2】
前記生体情報から前記テンプレートと前記検証鍵の初期値を生成する秘匿情報生成部と、
前記テンプレートを格納するテンプレート格納部と、
前記検証鍵を格納する検証鍵格納部と、
を有する請求項1に記載の生体認証システム。
【請求項3】
前記第1の更新処理部は、前記テンプレート格納部に格納された前記テンプレートに含まれる値に前記更新値を乗算することで前記テンプレートを更新し、
前記第2の更新処理部は、検証鍵格納部に格納された前記検証鍵に含まれる値に前記更新値を乗算することで前記検証鍵を更新する請求項2に記載の生体認証システム。
【請求項4】
前記更新値生成部は、乱数生成部を有し、当該乱数生成部により生成された乱数を前記更新値とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の生体認証システム。
【請求項5】
新たに入力される前記生体情報を前記テンプレートを用いて秘匿化して秘匿認証情報を生成する秘匿認証情報生成装置と、
前記秘匿認証情報に前記検証鍵を適用して、新たに入力された前記生体情報が受理可能なものであるか否かを判定する秘匿認証情報検証装置と、
をさらに有する請求項1乃至4のいずれか1項に記載の生体認証システム。
【請求項6】
生体情報の秘匿化に用いるテンプレートを格納するテンプレート格納部と、秘匿化された前記生体情報の検証に用いる検証鍵を格納する検証鍵格納部と、を有する生体認証システムのテンプレート更新方法であって、
更新値を前記生体認証システム内で生成し、
前記更新値を用いて前記テンプレートを更新し、
前記更新値を用いて前記検証鍵を更新し、
Ra、Rb、およびRcを乱数とし、gを素数qを位数とする群Gの生成元とすると、前記検証鍵は{Ra,Rb,g Rc }であり、
前記テンプレートは、{temp1[i],temp2[i]}であり、
{x1,x2,・・・,xn}を前記生体情報とし、tiを予め設定される係数とすると、temp1[i]=Ra・xi+Rb・ti+Rcであり、temp2[i]=g ti であり、
Ra、Rb、Rc、およびtiが、前記更新値に基づいて更新される
テンプレート更新方法。
【請求項7】
前記テンプレートに含まれる値に前記更新値を乗算することで前記テンプレートを更新し、
前記検証鍵に含まれる値に前記更新値を乗算することで前記検証鍵を更新する請求項6に記載のテンプレート更新方法。
【請求項8】
前記生体認証システム内で生成される乱数を用いて前記更新値を生成する請求項6又は7に記載のテンプレート更新方法。
【請求項9】
前記更新値は、前記テンプレート格納部が設けられる生体認証クライアント装置と、前記検証鍵が設けられる生体認証サーバ装置とのいずれか一方で生成される請求項6乃至8のいずれか1項に記載のテンプレート更新方法。
【請求項10】
新たに入力される前記生体情報を前記テンプレートを用いて秘匿化して秘匿認証情報を生成し、
前記秘匿認証情報に前記検証鍵を適用して、新たに入力された前記生体情報が受理可能なものであるか否かを判定する請求項6乃至9のいずれか1項に記載のテンプレート更新方法。
【請求項11】
生体情報の秘匿化に用いるテンプレートを格納するテンプレート格納部と、秘匿化された前記生体情報の検証に用いる検証鍵を格納する検証鍵格納部と、プログラムを実行する演算部と、を有する生体認証システムで実行されるテンプレート更新プログラムであって、
前記テンプレート更新プログラムは、
更新値を前記生体認証システム内で生成する更新値生成処理と、
前記更新値を用いて前記テンプレートを更新するテンプレート更新処理と、
前記更新値を用いて前記検証鍵を更新する検証鍵更新処理と、
を行い、
Ra、Rb、およびRcを乱数とし、gを素数qを位数とする群Gの生成元とすると、前記検証鍵は{Ra,Rb,g Rc }であり、
前記テンプレートは、{temp1[i],temp2[i]}であり、
{x1,x2,・・・,xn}を前記生体情報とし、tiを予め設定される係数とすると、temp1[i]=Ra・xi+Rb・ti+Rcであり、temp2[i]=g ti であり、
Ra、Rb、Rc、およびtiが、前記更新値に基づいて更新される
テンプレート更新プログラム。
【請求項12】
前記テンプレート更新処理では、前記テンプレートに含まれる値に前記更新値を乗算することで前記テンプレートを更新し、
前記検証鍵更新処理では、前記検証鍵に含まれる値に前記更新値を乗算することで前記検証鍵を更新する請求項11に記載のテンプレート更新プログラム。
【請求項13】
前記更新値生成処理では、前記生体認証システム内で生成される乱数を用いて前記更新値を生成する請求項11又は12に記載のテンプレート更新プログラム。
【請求項14】
前記テンプレート更新処理は、前記テンプレート格納部が設けられる生体認証クライアント装置内の第1の演算部で実行されるプログラムにより行われ、
前記検証鍵更新処理は、前記検証鍵が設けられる生体認証サーバ装置に設けられる第2の演算部で実行されプログラムにより行われ、
前記更新値生成処理は、前記第1の演算部と前記第2の演算部のいずれか一方で実行されるプログラムにより行われる請求項11乃至13のいずれか1項に記載のテンプレート更新プログラム。
【請求項15】
新たに入力される前記生体情報を前記テンプレートを用いて秘匿化して秘匿認証情報を生成する秘匿認証情報生成プログラムと、
前記秘匿認証情報に前記検証鍵を適用して、新たに入力された前記生体情報が受理可能なものであるか否かを判定する判定プログラムと、をさらに有する請求項11乃至14のいずれか1項に記載のテンプレート更新プログラム。
【請求項16】
更新値を生成する更新値生成部と、
生体情報から生成されるテンプレートを、前記更新値を用いて更新するテンプレート更新処理部と、を有し、
前記更新値生成部は、前記生体情報から前記テンプレートとともに生成される検証鍵を有する生体認証サーバ装置に前記更新値を送信し、
Ra、Rb、およびRcを乱数とし、gを素数qを位数とする群Gの生成元とすると、前記検証鍵は{Ra,Rb,g Rc }であり、
前記テンプレートは、{temp1[i],temp2[i]}であり、
{x1,x2,・・・,xn}を前記生体情報とし、tiを予め設定される係数とすると、temp1[i]=Ra・xi+Rb・ti+Rcであり、temp2[i]=g ti であり、
Ra、Rb、Rc、およびtiが、前記更新値に基づいて更新される
生体認証クライアント装置。
【請求項17】
更新値を生成する更新値生成部と、
生体情報から生成されるテンプレートにより秘匿化された秘匿認証情報の正当性の検証に用いる検証鍵を前記更新値を用いて更新する検証鍵更新処理部と、を有し、
前記更新値生成部は、前記テンプレートを有する生体認証クライアント装置に前記更新値を送信し、
Ra、Rb、およびRcを乱数とし、gを素数qを位数とする群Gの生成元とすると、前記検証鍵は{Ra,Rb,g Rc }であり、
前記テンプレートは、{temp1[i],temp2[i]}であり、
{x1,x2,・・・,xn}を前記生体情報とし、tiを予め設定される係数とすると、temp1[i]=Ra・xi+Rb・ti+Rcであり、temp2[i]=g ti であり、
Ra、Rb、Rc、およびtiが、前記更新値に基づいて更新される
生体認証サーバ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は生体認証システム、そのテンプレート更新方法、テンプレート更新プログラム、生体認証クライアント装置及び生体認証サーバ装置に関し、特にテンプレートを用いて入力される生体情報を秘匿化した秘匿認証情報を検証鍵を用いて当該生体情報の正当性を判定する生体認証システム、そのテンプレート更新方法、テンプレート更新プログラム、生体認証クライアント装置及び生体認証サーバ装置に関する。

【背景技術】
【0002】
個人認証の一方法に個人の生体情報を用いた生体認証がある。この生体認証では、認証に用いる生体情報を事前に登録しておく。このとき、生体情報は、そのまま保存した場合セキュリティ上、危険が大きい。そのため、この生体情報は、登録時に秘匿化鍵を用いて秘匿したテンプレートとして保存される。そして、この事前に登録していた生体情報(テンプレート)を秘匿しながら生体認証を行う技術を秘匿生体認証と呼ぶ。この秘匿生体認証では、認証時に検証鍵を用いて入力された生体情報の正当性を判断する。この秘匿生体認証に関する技術の一例が特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1に記載の生体認証システムは、利用者が入力した生体情報をもとに生成したテンプレートと、利用者の生体情報を表すテンプレートを暗号化して暗号化テンプレートとして記録媒体に記録した暗号化テンプレートを復号化して生成したテンプレートとを比較し、該比較結果をもとに利用者を認証する登録認証サーバを備え、登録認証サーバにより利用者の認証に成功したとき、前記記録媒体に記録した暗号化テンプレートを異なる暗号化キー用いた暗号化テンプレートに置換して記録する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-293490号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
生体認証システムにおいてテンプレートが漏洩した場合には、テンプレートを更新しなければセキュリティ上のリスクが生じる。このテンプレートの更新の方法の1つは、生体情報を再度入力して新たなテンプレートを作成する方法がある。しかしながら、新たなテンプレートを作成するためには利用者に生体情報の再登録を依頼する必要があり、再登録にかかる手間が膨大になる問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかる生体認証システムの一態様は、更新値を生成する更新値生成部と、生体情報から生成されるテンプレートを、前記更新値を用いて更新する第1の更新処理部と、前記生体情報から前記テンプレートとともに生成される検証鍵を、前記更新値を用いて更新する第2の更新処理部と、を有する。
【0007】
本発明にかかるテンプレート更新方法の一態様は、生体情報の秘匿化に用いるテンプレートを格納するテンプレート格納部と、秘匿化された前記生体情報の検証に用いる検証鍵を格納する検証鍵格納部と、を有する生体認証システムのテンプレート更新方法であって、更新値を前記生体認証システム内で生成し、前記更新値を用いて前記テンプレートを更新し、前記更新値を用いて前記検証鍵を更新する。
【0008】
本発明にかかるテンプレート更新プログラムの一態様は、生体情報の秘匿化に用いるテンプレートを格納するテンプレート格納部と、秘匿化された前記生体情報の検証に用いる検証鍵を格納する検証鍵格納部と、プログラムを実行する演算部と、を有する生体認証システムで実行されるテンプレート更新プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、前記テンプレート更新プログラムは、更新値を前記生体認証システム内で生成する更新値生成処理と、前記更新値を用いて前記テンプレートを更新するテンプレート更新処理と、前記更新値を用いて前記検証鍵を更新する検証鍵更新処理と、を行う。
【0009】
本発明にかかる生体認証クライアント装置の一態様は、新値を生成する更新値生成部と、生体情報から生成されるテンプレートを、前記更新値を用いて更新するテンプレート更新処理部と、を有し、前記更新値生成部は、前記生体情報から前記テンプレートとともに生成される検証鍵を有する生体認証サーバ装置に前記更新値を送信する。
【0010】
本発明にかかる生体認証サーバ装置の一態様は、更新値を生成する更新値生成部と、生体情報から生成されるテンプレートにより秘匿化された秘匿認証情報の正当性の検証に用いる検証鍵を前記更新値を用いて更新する検証鍵更新処理部と、を有し、前記更新値生成部は、前記テンプレートを有する生体認証クライアント装置に前記更新値を送信する。
【発明の効果】
【0011】
本発明にかかる生体認証システム、そのテンプレート更新方法、テンプレート更新プログラム、生体認証クライアント装置及び生体認証サーバ装置によれば、生体認証システムにおけるテンプレートの更新を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施の形態1にかかる生体認証システムのブロック図である。
図2】実施の形態1にかかる生体認証システムにおけるテンプレート更新処理の流れを説明するフローチャートである。
図3】実施の形態2にかかる生体認証システムのブロック図である。
図4】実施の形態2にかかる生体認証システムにおけるテンプレート更新処理の流れを説明するフローチャートである。
図5】実施の形態3にかかる生体認証システムのブロック図である。
図6】実施の形態にかかる生体認証システムのハードウェア構成の一例を説明するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略、及び簡略化がなされている。また、様々な処理を行う機能ブロックとして図面に記載される各要素は、ハードウェア的には、CPU(Central Processing Unit)、メモリ、その他の回路で構成することができ、ソフトウェア的には、メモリにロードされたプログラムなどによって実現される。したがって、これらの機能ブロックがハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは当業者には理解されるところであり、いずれかに限定されるものではない。なお、各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0014】
また、上述したプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0015】
実施の形態にかかる生体認証システムは、生体認証サーバと利用者が接する生体認証クライアントの2つの装置が別々に設けられる例を説明する。しかしながら、生体認証システムとしては、生体認証サーバの機能と生体認証クライアントの機能とが1つの装置として実装されていても良い。
【0016】
実施の形態1
図1に実施の形態1にかかる生体認証システム1のブロック図を示す。図1に示すように、実施の形態1にかかる生体認証システム1は、生体認証クライアント10、生体認証サーバ20を有する。生体認証クライアント10と生体認証サーバ20はネットワークにより相互にデータの送受信が可能なように接続される。
【0017】
実施の形態1にかかる生体認証システム1は、基本的な機能として利用者の指紋、静脈、虹彩等の生体情報を用いた生体認証により、利用者が登録済みの利用者であるか否かを判定する生体認証処理を行う。そして、実施の形態1にかかる生体認証システム1は、生体認証処理に用いるテンプレートの更新を行う機能を有する。図1では、生体認証クライアント10及び生体認証サーバ20に関して、特徴の1つであるテンプレートと検証鍵の更新に関連する主なブロックのみを示すものである。つまり、生体認証クライアント10、生体認証サーバ20は、それぞれ図示しない他のブロックも有する。
【0018】
図1では、生体認証クライアント10は、第1の更新処理部(例えば、テンプレート更新部11)、更新値生成部30を有する。生体認証サーバ20は、第2の更新処理部(例えば、検証鍵更新部21)を有する。更新値生成部30は、更新値UDを生成する。テンプレート更新部11は、生体情報から生成されるテンプレートを、更新値UDを用いて更新する。なお、テンプレートは、生体認証クライアント10内で生体情報に対して所定のルールを適用して秘匿化した情報である。また、テンプレートは、図示しないテンプレート格納部に保持されており、テンプレート更新部11は、テンプレート格納部に格納されているテンプレートを更新して上書きする。
【0019】
検証鍵更新部21は、生体情報からテンプレートとともに生成される検証鍵を、更新値UDを用いて更新する。更新鍵は、例えば、テンプレートに対して乱数を適用した秘匿化処理が施されたものである。また、検証鍵は、図示しない検証鍵格納部に保持されており、検証鍵更新部21は、検証鍵格納部に格納されている検証鍵を更新して上書きする。
【0020】
続いて、実施の形態1にかかる生体認証システム1におけるテンプレート更新処理について説明する。図2に実施の形態1にかかる生体認証システムにおけるテンプレート更新処理の流れを説明するフローチャートを示す。なお、実施の形態1にかかる生体認証システム1では、テンプレートの更新に合わせて検証鍵も更新する。これにより、実施の形態1にかかる生体認証システム1では、テンプレートと検証鍵の整合性を維持する。そこで、図2ではテンプレートと検証鍵とを更新値UDにより更新する例を示した。
【0021】
図2に示すように、実施の形態1にかかる生体認証システム1では、まず、更新値生成部30により更新値UDを生成する(ステップS1)。続いて、更新値生成部30は、更新値UDを生体認証サーバ20に送信する(ステップS2)。そして、テンプレート更新部11により更新値UDを用いたテンプレートを更新する(ステップS3)。また、検証鍵更新部21により更新値UDを用いた検証鍵の更新を行う(ステップS4)。
【0022】
ここで、更新値UDを用いたテンプレート及び検証鍵の更新処理の具体例の1つを説明する。ここでは、乱数Ra”を更新値UDとして、以下の生体情報、テンプレート、検証鍵を有する生体認証システム1において更新処理を行う例を説明する。
【0023】
まず、生体情報は(1)式で示される生体特徴量ベクトルであり、テンプレートは(2)式、検証鍵は(3)式で示されるものが用いられる物とする。なお、以下の説明では、nは生体情報のベクトル要素数、iは0より大きくnより小さいベクトル要素の番号を示す整数であり、tは予め設定される係数、Rは乱数である。また、gは、十分大きな素数qを位数とする群Gの生成元である。
【数1】
【数2】
【数3】
なお、テンプレート内のtemp1[i]、temp2[i]は(4)式及び(5)式出表わされる。
【数4】
【数5】
【0024】
そして、実施の形態1にかかる生体認証システム1では、更新値生成部30において乱数Ra”を補正値UDとして生成する。そして、テンプレート更新部11は、更新値UDをテンプレートに適用して(6)式及び(7)式による計算を行い、(8)式の更新後のテンプレートを算出する。そして、テンプレート更新部11は、(8)式のテンプレートによりテンプレート格納部のテンプレートを上書きする。
【数6】
【数7】
【数8】
【0025】
また、実施の形態1にかかる生体認証システム1では、更新値UDとして乱数Ra”を受信して、検証鍵更新部21が(9)式~(11)式を用いて(12)式で示される更新後の検証鍵を算出する。
【数9】
【数10】
【数11】
【数12】
【0026】
上記説明より、実施の形態1にかかる生体認証システム1では、更新値生成部30で生成した補正値UDを用いてテンプレート及び検証鍵を更新することで、生体情報を用いることなく新たなテンプレートを生成することができる。また、実施の形態1にかかる生体認証システム1では、テンプレートと同時に補正値UDを用いて検証鍵を更新する。これにより、実施の形態1にかかる生体認証システム1では、テンプレートと検証鍵の整合性を容易に維持することができる。
【0027】
また、実施の形態1にかかる生体認証システム1では、システム内の更新値生成部30により更新値UDを生成するため、更新処理に用いた情報が外部に漏洩するリスクが小さい。また、更新値UDが乱数であることで、同じ更新値を生成することが困難であるため、生体認証システム1はセキュリティを高く維持することができる。
【0028】
実施の形態2
実施の形態2では、実施の形態1にかかる生体認証システム1の別の形態となる生体認証システム2について説明する。そこで、図3に実施の形態2にかかる生体認証システムのブロック図を示す。図3に示すように、実施の形態2にかかる生体認証システム2では、更新値生成部30が生体認証サーバ20側に設けられる。
【0029】
そのため、実施の形態2にかかる生体認証システム2では、テンプレート及び検証鍵の更新処理の流れのうち更新値UDの受け渡し処理が実施の形態1と異なる。そこで、図4に実施の形態2にかかる生体認証システム2におけるテンプレート更新処理の流れを説明するフローチャートを示す。図4に示すように、実施の形態2にかかる生体認証システム2では、まず、更新値生成部30により更新値UDを生成する(ステップS11)。続いて、更新値生成部30は、更新値UDを生体認証クライアント10に送信する(ステップS12)。そして、テンプレート更新部11により更新値UDを用いたテンプレートの更新する(ステップS13)。また、検証鍵更新部21により更新値UDを用いた検証鍵の更新を行う(ステップS14)。
【0030】
ここで、更新値UDを用いたテンプレート及び検証鍵の更新処理の具体例について、実施の形態1とは異なる計算式を用いた方法を説明する。ここでは、乱数Ra”、Rb”、Rc”の3つの乱数を更新値UDとして、実施の形態1の(1)式~(3)式で示した生体情報、テンプレート、検証鍵を有する生体認証システム2において更新処理を行う例を説明する。
【0031】
実施の形態2にかかる生体認証システム2では、更新値生成部30で生成された更新値UDを用いて、検証鍵更新部21が(13)式~(15)式を用いて(16)式で示される更新後の検証鍵を算出する。
【数13】
【数14】
【数15】
【数16】
【0032】
また、実施の形態2にかかる生体認証システム2では、更新値生成部30が(17)式で示す更新値UDをテンプレート更新部11に渡す。そして、テンプレート更新部11は、(18)式及び(19)式を用いて(20)式で示される更新後のテンプレートを算出する。
【数17】
【数18】
【数19】
【数20】
【0033】
上記説明より、更新値生成部30は、生体認証クライアント10と生体認証サーバ20とのいずれに属していてもよく、更新値生成部30により更新値UDを生成することで、テンプレートの更新を容易に行うことが出来る。
【0034】
また、更新値UDとして生成する乱数は、生体認証システムの仕様に応じて任意に設定することができる。また、更新値UDとしてどのような値を用いるかにより計算負荷を調整することもできる。
【0035】
実施の形態3
実施の形態3にかかる生体認証システムは、実施の形態1、2で説明した生体認証システム1、2のより詳細な構成の一例を説明するものである。そこで、図5に実施の形態3にかかる生体認証システムのブロック図を示す。
【0036】
図5に示す例では、生体認証クライアント10がテンプレート更新部11及び秘匿認証情報生成部12を有する。また、生体認証サーバ20が検証鍵更新部21及び秘匿認証情報検証部22を有する。また、図5では、更新値生成部30及び登録情報秘匿部40を示した。更新値生成部30及び登録情報秘匿部40は、生体認証クライアント10と生体認証サーバ20のいずれに装置内に配置されてもよく、また、生体認証クライアント10及び生体認証サーバ20とは異なる装置として独立して設けられていても良い。
【0037】
テンプレート更新部11は、個人認証に用いる生体情報から生成されるテンプレートを、更新値UDを用いて更新する。テンプレート更新部11は、更新値受信部111、テンプレート更新処理部112を有する。更新値受信部111は、更新値生成部30から更新値UDを受信し、テンプレート更新処理部112に渡すインタフェース回路である。テンプレート更新処理部112は、秘匿認証情報生成部12内のテンプレート更新処理部112に格納されているテンプレートを更新する。テンプレート更新処理部112は、例えば、(6)式及び(7)式、或いは、(18)式及び(19)式を用いてテンプレートを更新する。
【0038】
秘匿認証情報生成部12は、利用者から取得する生体情報を秘匿化して認証に用いる秘匿認証情報を生成する。秘匿認証情報生成部12は、テンプレート受信部121、テンプレート格納部122、秘匿認証情報生成処理部123、入力部124、出力部125を有する。テンプレート受信部121は、登録情報秘匿部40で生成されたテンプレートを受信して、テンプレート格納部122に格納する。テンプレート格納部122は、テンプレートを格納する記憶部である。秘匿認証情報生成処理部123は、テンプレート格納部122に格納されているテンプレートと、生体認証サーバ20から送信されるチャレンジ値と、を用いて入力部124から与えられた生体情報を秘匿化して秘匿認証情報を生成する。入力部124は、利用者の指紋等の生体情報を取得するスキャナ、カメラ等の入力機器である。出力部125は、生体認証サーバ20により生体情報の判定結果に基づき生体認証クライアント10内の図示していない機能部に認証結果を出力する。生体認証クライアント10では、認証結果に基づき、機能ロック状態の解除、ゲートの解錠等の制限された機能の解除処理を行う。
【0039】
生体認証サーバ20は、生体認証クライアント10から与えられる秘匿認証情報を用いて生体認証クライアント10において取得した生体情報が登録済みの生体情報に対して正当な物と判定できるか否かを判定する認証処理を行う。生体認証サーバ20は、検証鍵更新部21、秘匿認証情報検証部22を有する。
【0040】
検証鍵更新部21は、更新値受信部211、検証鍵更新処理部212を有する。更新値受信部211は、更新値生成部30から更新値UDを受信し、検証鍵更新処理部212に渡すインタフェース回路である。検証鍵更新処理部212は、秘匿認証情報検証部22内の検証鍵格納部222に格納されている検証鍵を更新する。検証鍵更新処理部212は、例えば、(9)式~(11)式、或いは、(13)式~(15)式を用いて検証鍵を更新する。
【0041】
秘匿認証情報検証部22は、検証鍵受信部221、検証鍵格納部222、チャレンジ生成部223、判定部224、受理範囲記憶部225を有する。検証鍵受信部221は、登録情報秘匿部40で生成される検証鍵を受信して、検証鍵格納部222に格納する。検証鍵格納部222は、検証鍵を格納する記憶部である。チャレンジ生成部223は、検証鍵格納部222に格納されている検証鍵を用いてチャレンジ値を生成して生体認証クライアント10及び判定部224に与える。判定部224は、生体認証クライアント10から与えられる秘匿認証情報をチャレンジ値、検証鍵を用いて解読し、解読結果を受理範囲記憶部225に格納されている受理範囲を参照して、入力部124により取得した生体情報が受理可能なものであるか否かを判定する。そして、判定部224は、判定結果を出力部125に出力する。受理範囲記憶部225は、受理範囲を示す情報を格納する記憶部である。受理範囲とは、1つの生体情報の揺らぎに対して受理可能と判定される範囲を示す情報である。
【0042】
更新値生成部30は、更新値UDを生成する。図5に示す例では、更新値生成部30は、乱数生成部31及び更新値送信部32を有する。乱数生成部31は、更新値UDとなる乱数を生成する。更新値送信部32は、乱数生成部31が生成した乱数を更新値UDとしてテンプレート更新部11及び検証鍵更新部21に送信する。
【0043】
登録情報秘匿部40は、利用者の生体情報の生体認証システムへの登録処理を行う。登録情報秘匿部40は、入力部41、秘匿化部42、乱数生成部43、検証鍵生成部44を有する。入力部41は、例えば登録情報秘匿部40が生体認証クライアント10に組み込まれている場合、入力部124と同一の機器であってもよい。入力部41は、利用者の生体情報を取得する機器である。秘匿化部42は、入力部41で取得された生体情報を所定のルールに基づき秘匿化してテンプレートを生成する。秘匿化部42が生成したテンプレートは、テンプレート受信部121を介してテンプレート格納部122に格納される。乱数生成部43は、乱数を生成する。検証鍵生成部44は、秘匿化部42が生成したテンプレートに乱数生成部43で生成された乱数を適用して検証鍵を生成する。検証鍵生成部44が生成した検証鍵は、検証鍵受信部221を介して検証鍵格納部222に格納される。
【0044】
上記説明より、実施の形態3にかかる生体認証システムでは、テンプレートの更新処理以外に生体認証システムが有する認証機能を実現する処理ブロックを説明した。実施の形態3で説明した処理ブロックは、生体認証システムに実装される機能の一部であり、生体認証システムは他の処理機能を備えていても良い。
【0045】
実施の形態4
実施の形態4では、生体認証システムを実現するハードウェア構成について説明する。そこで、図6に実施の形態にかかる生体認証システムのハードウェア構成の一例を説明するブロック図を示す。図6に示す例は、ハードウェア構成の一例であり、生体認証システム1を実現する他のハードウェア構成を除外するものではない。
【0046】
図6に示す例では、生体認証システムは、1つの生体認証サーバ20と複数の生体認証クライアント10(例えば、生体認証クライアント10a~10e)を有する。また、図6に示す例では、生体認証サーバ20と生体認証クライアント10a~10eは相互にネットワークにより通信可能に接続される。
【0047】
そして、生体認証クライアント10a~10eは同一のハードウェア構成で構成可能であるため、生体認証クライアント10aを例に生体認証クライアント10a~10eのハードウェア構成について説明する。
【0048】
生体認証クライアント10aは、第1の演算部(例えば、演算部100)、メモリ101、入力部102、通信インタフェース103を有する。演算部100は、生体認証システムを実現するプログラムを実行する。このプログラムとしては、テンプレートの更新を行うテンプレート更新部11を実現するテンプレート更新処理プログラムと、秘匿認証情報生成部12の機能を実現する生体認証プログラムの一部がある。メモリ101は、テンプレート更新処理プログラム、生体認証プログラムが格納される記憶部である。また、メモリ101は、テンプレート格納部122となる記憶部である。入力部102は、入力部124を実現するハードウェアであり、指紋等の生体情報を取得するスキャナ或いはカメラである。通信インタフェース103は、演算部100が生体認証サーバ20と通信するためのインタフェース回路である。
【0049】
生体認証サーバ20は、第2の演算部(例えば、演算部200)、メモリ201、通信インタフェース202を有する。演算部200は、生体認証システムを実現するプログラムを実行する。このプログラムとしては、検証鍵更新部21を実現する検証鍵更新プログラムと、秘匿認証情報検証部22の機能を実現する生体認証プログラムの一部がある。メモリ201は、検証鍵更新プログラム、生体認証プログラムが格納される記憶部である。また、メモリ201は、検証鍵格納部222及び受理範囲記憶部225となる記憶部である、通信インタフェース202は、演算部200が生体認証クライアント10a~10eと通信するためのインタフェース回路である。
【0050】
このように、生体認証システムは、コンピュータと同等のハードウェア構成を有する装置においてプログラムを実行することで実現可能である。なお、生体認証システムは、上記で説明した機能を実現する専用のハードウェアを用いて構成することもできる。
【0051】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【0052】
(付記1)
更新値を生成する更新値生成部と、
生体情報から生成されるテンプレートを、前記更新値を用いて更新する第1の更新処理部と、
前記生体情報から前記テンプレートとともに生成される検証鍵を、前記更新値を用いて更新する第2の更新処理部と、
を有する生体認証システム。
(付記2)
前記生体情報から前記テンプレートと前記検証鍵の初期値を生成する秘匿情報生成部と、
前記テンプレートを格納するテンプレート格納部と、
前記検証鍵を格納する検証鍵格納部と、
を有する付記1に記載の生体認証システム。
(付記3)
前記第1の更新処理部は、前記テンプレート格納部に格納された前記テンプレートに含まれる値に前記更新値を乗算することで前記テンプレートを更新し、
前記第2の更新処理部は、検証鍵格納部に格納された前記検証鍵に含まれる値に前記更新値を乗算することで前記検証鍵を更新する付記2に記載の生体認証システム。
(付記4)
前記更新値生成部は、乱数生成部を有し、当該乱数生成部により生成された乱数を前記更新値とする付記1乃至3のいずれか1項に記載の生体認証システム。
(付記5)
新たに入力される前記生体情報を前記テンプレートを用いて秘匿化して秘匿認証情報を生成する秘匿認証情報生成装置と、
前記秘匿認証情報に前記検証鍵を適用して、新たに入力された前記生体情報が受理可能なものであるか否かを判定する秘匿認証情報検証装置と、
をさらに有する付記1乃至4のいずれか1項に記載の生体認証システム。
(付記6)
生体情報の秘匿化に用いるテンプレートを格納するテンプレート格納部と、秘匿化された前記生体情報の検証に用いる検証鍵を格納する検証鍵格納部と、を有する生体認証システムのテンプレート更新方法であって、
更新値を前記生体認証システム内で生成し、
前記更新値を用いて前記テンプレートを更新し、
前記更新値を用いて前記検証鍵を更新するテンプレート更新方法。
(付記7)
前記テンプレートに含まれる値に前記更新値を乗算することで前記テンプレートを更新し、
前記検証鍵に含まれる値に前記更新値を乗算することで前記検証鍵を更新する付記6に記載のテンプレート更新方法。
(付記8)
前記生体認証システム内で生成される乱数を用いて前記更新値を生成する付記6又は7に記載のテンプレート更新方法。
(付記9)
前記更新値は、前記テンプレート格納部が設けられる生体認証クライアント装置と、前記検証鍵が設けられる生体認証サーバ装置とのいずれか一方で生成される付記6乃至8のいずれか1項に記載のテンプレート更新方法。
(付記10)
新たに入力される前記生体情報を前記テンプレートを用いて秘匿化して秘匿認証情報を生成し、
前記秘匿認証情報に前記検証鍵を適用して、新たに入力された前記生体情報が受理可能なものであるか否かを判定する付記6乃至9のいずれか1項に記載のテンプレート更新方法。
(付記11)
生体情報の秘匿化に用いるテンプレートを格納するテンプレート格納部と、秘匿化された前記生体情報の検証に用いる検証鍵を格納する検証鍵格納部と、プログラムを実行する演算部と、を有する生体認証システムで実行されるテンプレート更新プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、
前記テンプレート更新プログラムは、
更新値を前記生体認証システム内で生成する更新値生成処理と、
前記更新値を用いて前記テンプレートを更新するテンプレート更新処理と、
前記更新値を用いて前記検証鍵を更新する検証鍵更新処理と、
を行うテンプレート更新プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
(付記12)
前記テンプレート更新処理では、前記テンプレートに含まれる値に前記更新値を乗算することで前記テンプレートを更新し、
前記検証鍵更新処理では、前記検証鍵に含まれる値に前記更新値を乗算することで前記検証鍵を更新する付記11に記載のテンプレート更新プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
(付記13)
前記更新値生成処理では、前記生体認証システム内で生成される乱数を用いて前記更新値を生成する付記11又は12に記載のテンプレート更新プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
(付記14)
前記テンプレート更新処理は、前記テンプレート格納部が設けられる生体認証クライアント装置内の第1の演算部で実行されるプログラムにより行われ、
前記検証鍵更新処理は、前記検証鍵が設けられる生体認証サーバ装置に設けられる第2の演算部で実行されプログラムにより行われ、
前記更新値生成処理は、前記第1の演算部と前記第2の演算部のいずれか一方で実行されるプログラムにより行われる付記11乃至13のいずれか1項に記載のテンプレート更新プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
(付記15)
新たに入力される前記生体情報を前記テンプレートを用いて秘匿化して秘匿認証情報を生成する秘匿認証情報生成プログラムと、
前記秘匿認証情報に前記検証鍵を適用して、新たに入力された前記生体情報が受理可能なものであるか否かを判定する判定プログラムと、をさらに有する付記11乃至14のいずれか1項に記載のテンプレート更新プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
(付記16)
更新値を生成する更新値生成部と、
生体情報から生成されるテンプレートを、前記更新値を用いて更新するテンプレート更新処理部と、を有し、
前記更新値生成部は、前記生体情報から前記テンプレートとともに生成される検証鍵を有する生体認証サーバ装置に前記更新値を送信する生体認証クライアント装置。
(付記17)
更新値を生成する更新値生成部と、
生体情報から生成されるテンプレートにより秘匿化された秘匿認証情報の正当性の検証に用いる検証鍵を前記更新値を用いて更新する検証鍵更新処理部と、を有し、
前記更新値生成部は、前記テンプレートを有する生体認証クライアント装置に前記更新値を送信する生体認証サーバ装置。
【符号の説明】
【0053】
1 生体認証システム
2 生体認証システム
10 生体認証クライアント
11 テンプレート更新部
12 秘匿認証情報生成部
20 生体認証サーバ
21 検証鍵更新部
22 秘匿認証情報検証部
30 更新値生成部
31 乱数生成部
32 更新値送信部
40 登録情報秘匿部
41 入力部
42 秘匿化部
43 乱数生成部
44 検証鍵生成部
111 更新値受信部
112 テンプレート更新処理部
121 テンプレート受信部
122 テンプレート格納部
123 秘匿認証情報生成処理部
124 入力部
125 出力部
211 更新値受信部
212 検証鍵更新処理部
221 検証鍵受信部
222 検証鍵格納部
223 チャレンジ生成部
224 判定部
225 受理範囲記憶部
100 演算部
101 メモリ
102 入力部
103 通信インタフェース
200 演算部
201 メモリ
202 通信インタフェース
UD 更新値
図1
図2
図3
図4
図5
図6