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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】エレベータの制御システム
(51)【国際特許分類】
   G10L 15/10 20060101AFI20241001BHJP
   B66B 1/14 20060101ALI20241001BHJP
   B66B 3/00 20060101ALI20241001BHJP
   G10L 15/00 20130101ALN20241001BHJP
【FI】
G10L15/10 500Z
B66B1/14 L
B66B3/00 F
B66B3/00 G
G10L15/10 200W
G10L15/00 200J
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2023087524
(22)【出願日】2023-05-29
【審査請求日】2023-05-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】須藤 豪
(72)【発明者】
【氏名】小村 章
【審査官】中村 天真
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-277019(JP,A)
【文献】国際公開第2011/111221(WO,A1)
【文献】特許第7401011(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/00- 3/02
G06F 3/16
G10L 15/00-15/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータでの乗場呼びに用いられる登録装置にてキーワードが音声で入力された場合に、当該音声の音声データを解析することにより、その音声で入力された前記キーワードを判別する解析処理部と、
前記解析処理部が判別した前記キーワードを入力データとし、当該キーワードに関係する行先階を出力データとする学習済みの推定モデルと、
前記学習済みの推定モデルの出力データに含まれる各行先階を前記登録装置に選択可能に表示させる表示処理部と、
を備え
前記推定モデルの出力データは、前記行先階に加えて、当該行先階に関係する建物が、前記エレベータを備えた第1建物、及び当該第1建物とは別の第2建物、のどちらであるのかを示す建物情報を更に含み、
前記表示処理部は、
前記学習済みの推定モデルの出力データに含まれる行先階のうちの、前記建物情報が前記第1建物であることを示している各行先階については、当該行先階を、前記登録装置に選択可能に表示させ、前記建物情報が前記第2建物であることを示している各行先階については、当該行先階を、それが前記第2建物についての情報であることを知らせる通知と共に、前記登録装置に表示させる、エレベータの制御システム。
【請求項2】
エレベータでの乗場呼びに用いられる登録装置で入力された音声の音声データを入力データとし、予め設定された複数のキーワードのうちの当該音声に関係するキーワードを出力データとする学習済みの前処理モデルと、
前記前処理モデルの出力データである前記キーワードを入力データとし、当該キーワードに関係する行先階を出力データとする学習済みの推定モデルと、
前記学習済みの推定モデルの出力データに含まれる各行先階を前記登録装置に選択可能に表示させる表示処理部と、
を備え
前記推定モデルの出力データは、前記行先階に加えて、当該行先階に関係する建物が、前記エレベータを備えた第1建物、及び当該第1建物とは別の第2建物、のどちらであるのかを示す建物情報を更に含み、
前記表示処理部は、
前記学習済みの推定モデルの出力データに含まれる行先階のうちの、前記建物情報が前記第1建物であることを示している各行先階については、当該行先階を、前記登録装置に選択可能に表示させ、前記建物情報が前記第2建物であることを示している各行先階については、当該行先階を、それが前記第2建物についての情報であることを知らせる通知と共に、前記登録装置に表示させる、エレベータの制御システム。
【請求項3】
前記推定モデルの出力データは、前記キーワードに関係する前記行先階に加えて、当該キーワード及び当該行先階の両方に関係する案内情報を更に含む、請求項1又は2に記載のエレベータの制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、場所の検索が可能なエレベータの制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータの制御技術として、特許文献1には、行先階登録装置でのキーワードの入力によって建物内のテナントを検索できるようにし、その検索の結果をエレベータの呼び登録に用いる技術が開示されている。具体的には、キーワードに基づいた検索によって得られたテナントが行先階登録装置の画面に選択可能に表示され、当該画面にて利用者がテナントの1つを選択した場合に、そのテナントのある階がエレベータの呼び登録に用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-277019号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記の制御技術では、キーワードによるテナントの検索が可能となるように、予め、キーワードとテナントとの対応関係を決めてデータベースなどで管理しておく必要があり、そのような対応関係を決めるためには、テナントごとに、膨大な数のキーワードの中から関係するものだけを対応付けていくといった煩雑な作業が強いられることになる。このため、それらの対応付けには誤りや欠落が生じるおそれがあり、検索精度の向上には限界があった。
【0005】
また近年、ウィルスへの感染防止の観点から、できるだけ画面に触れることなく音声などで入力操作を行いたいと考える利用者が増えている。
【0006】
そこで本発明の目的は、エレベータにおいて利用者が入力した音声から当該利用者が所望する行先階を精度良く推定して提案できる制御技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る第1の制御システムは、解析処理部と、学習済みの推定モデルと、表示処理部と、を備える。解析処理部は、エレベータでの乗場呼びに用いられる登録装置にてキーワードが音声で入力された場合に、当該音声の音声データを解析することにより、その音声で入力されたキーワードを判別する。学習済みの推定モデルは、解析処理部が判別したキーワードを入力データとし、当該キーワードに関係する行先階を出力データとする推定モデルに、学習用データを用いて学習させたものである。表示処理部は、学習済みの推定モデルの出力データに含まれる各行先階を登録装置に選択可能に表示させる。
【0008】
従来は、キーワードと案内情報(テナントなど)との対応関係を用いて、入力されたキーワードから案内情報を検索し、次に、案内情報と行先階との対応関係を用いて、検索で得た案内情報から行先階を抽出する必要があった。換言すれば、入力されたキーワードから行先階を抽出するためには、情報間の関係性(キーワードと案内情報との関係性、案内情報と行先階との関係性)が明らかな2つの対応関係を用いる必要があり、その過程では、キーワードと行先階とを関係付けるための案内情報を検索によって取得する必要があったため、入力されたキーワードからは、案内情報を介して間接的にしか行先階を抽出することができなかった。このため、案内情報ごとに、膨大な数のキーワードの中から関係するものだけを対応付けていくと共に、更にはその案内情報に関係する行先階をも対応付けていくといった煩雑な作業が強いられることになる。このため、それらの対応付けには誤りや欠落が生じるおそれがあり、検索精度の向上には限界があった。
【0009】
一方、上記第1の制御システムによれば、キーワードと行先階との間の直接的な関係性を推定モデルに学習させ、それで得た学習済みの推定モデルを用いることにより、入力されたキーワードから直接的に行先階を推定することが可能になっている。しかも、推定モデルを構築する機械学習アルゴリズムを用いた学習によれば、従来のような対応付けの誤りや欠落といった問題がなく、学習を行えば行うほど推定の精度を高めることができる。従って、エレベータにおいて利用者が入力した音声から当該利用者が所望する行先階を精度良く推定することができる。また、登録装置ではキーワードを音声で入力することができるため、利用者は、画面に触れることなくキーワードを入力することができる。
【0010】
本発明に係る第2の制御システムは、学習済みの前処理モデルと、学習済みの推定モデルと、表示処理部と、を備える。学習済みの前処理モデルは、エレベータでの乗場呼びに用いられる登録装置で入力された音声の音声データを入力データとし、予め設定された複数のキーワードのうちの当該音声に関係するキーワードを出力データとする前処理モデルに、学習用データを用いて学習させたものである。学習済みの推定モデルは、前処理モデルの出力データであるキーワードを入力データとし、当該キーワードに関係する行先階を出力データとする推定モデルであり、学習用データを用いて学習させたものである。表示処理部は、学習済みの推定モデルの出力データに含まれる各行先階を登録装置に選択可能に表示させる。
【0011】
上記第2の制御システムによれば、キーワードに限定されない音声が入力された場合であっても、前処理として、入力された音声に関係するキーワードを推定することが可能になる。そして、推定したキーワードから、上述した第1の制御システムと同様、学習済みの推定モデルを用いることによって行先階を推定することができる。
【0012】
上記第1又は第2の制御システムにおいて、推定モデルの出力データは、キーワードに関係する行先階に加えて、当該キーワード及び当該行先階の両方に関係する案内情報を更に含んでいてもよい。
【0013】
上記構成によれば、利用者は、入力したキーワードに関係する行先階に加えて、当該行先階にあるテナントなどの案内情報をも知ることが可能になる。
【0014】
上記第1又は第2の制御システムにおいて、推定モデルの出力データは、行先階に加えて、当該行先階に関係する建物が、エレベータを備えた第1建物、及び当該第1建物とは別の第2建物、のどちらであるのかを示す建物情報を更に含んでいてもよい。この構成において、表示処理部は、学習済みの推定モデルの出力データに含まれる行先階のうちの、建物情報が第1建物であることを示している各行先階については、当該行先階を、登録装置に選択可能に表示させ、建物情報が第2建物であることを示している各行先階については、当該行先階を、それが第2建物についての情報であることを知らせる通知と共に、登録装置に表示させてもよい。
【0015】
上記構成によれば、利用者が、そのときにいる第1建物とは別の第2建物に自身の行きたい場所があることを認識できていなかったとしても、その利用者は、自身の行きたい場所に関連するキーワードを音声で第1建物内の登録装置に入力するだけで、当該登録装置の画面に表示される行先階と通知とから、自身の行きたい場所が第2建物にあること(又は、第2建物にもあること)を知ることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、エレベータにおいて利用者が入力した音声から当該利用者が所望する行先階を精度良く推定して提案することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態に係る制御システムが適用されたエレベータの全体構成を例示した概念図である。
図2】実施形態において行先階登録装置の登録部に表示される(A)待機画面、(B)登録画面、(C)第1通知画面、(D)案内画面、(E)提案画面、及び(F)第2通知画面、をそれぞれ例示した概念図である。
図3】実施形態で用いられる(A)推定モデルの出力データ及び(B)装置管理データをそれぞれ例示した概念図である。
図4】実施形態において、待機画面にて行先階登録モードが選択された場合に行先階登録装置が行う動作、及び群管理制御装置が実行する制御処理、を示したフローチャートである。
図5】実施形態において、待機画面にて行先階提案モードが選択された場合に行先階登録装置が行う動作、及び群管理制御装置が実行する制御処理、を示したフローチャートである。
図6】第1変形例に係る制御システムが適用されたエレベータの全体構成を例示した概念図である。
図7】第1変形例において、待機画面にて行先階提案モードが選択された場合に行先階登録装置が行う動作、及び群管理制御装置が実行する制御処理、を示したフローチャートである。
図8】第2変形例で用いられる推定モデルの出力データを例示した概念図である。
図9】第2変形例において、待機画面にて行先階提案モードが選択された場合に行先階登録装置が行う動作、及び群管理制御装置が実行する制御処理、を示したフローチャートである。
図10】第2変形例において行先階登録装置の登録部に表示される(A)提案画面及び(B)第2通知画面をそれぞれ例示した概念図である。
図11】第3変形例で用いられる推定モデルの出力データを例示した概念図である。
図12】第3変形例において、待機画面にて行先階提案モードが選択された場合に行先階登録装置が行う動作、及び群管理制御装置が実行する制御処理、を示したフローチャートである。
図13】第3変形例において行先階登録装置の登録部に表示される(A)提案画面及び(B)その画面の変形例をそれぞれ例示した概念図である。
図14】第4変形例において行先階登録装置の登録部に表示される(A)提案画面、(B)その画面の変形例、及び(C)第2通知画面をそれぞれ例示した概念図である。
図15】第4変形例において、待機画面にて行先階提案モードが選択された場合に行先階登録装置が行う動作、及び群管理制御装置が実行する制御処理、を示したフローチャートである。
図16】群管理制御装置が、図15のステップS251にて「選択信号」が含まれていると判断した場合に実行する制御処理、及び、その場合に行先階登録装置が行う動作、を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[1]実施形態
[1-1]エレベータの全体構成
図1は、実施形態に係る制御システムが適用されたエレベータの全体構成を例示した概念図である。本実施形態では、そのようなエレベータとして、1つの建物(商業ビルなど)で構成される第1建物に備えられたものを考える。
【0019】
図1の例では、エレベータは、行先階登録装置1と、群管理制御装置2と、を備える。以下、各部について具体的に説明する。
【0020】
<行先階登録装置>
行先階登録装置1は、エレベータの利用前に利用者が行う乗場呼びに用いられる装置であり、建物の各階に設置される。本実施形態では、行先階登録装置1は、行先階Fdを入力(選択を含む)して乗場呼びを行えるようにするための本来の機能(以下、「行先階登録モード」と称す)に加えて、第1建物において音声に基づいた行先階Fdの提案を受けられるようにするための新たな機能(以下、「行先階提案モード」と称す)を備えている。
【0021】
具体的な構成として、行先階登録装置1は、登録部11と、音声入力部12と、を備える(図1参照)。また、各行先階登録装置1には、それを他の装置と識別するための装置情報Pdが設定されている。
【0022】
登録部11は、利用者が乗場呼びを行うときの操作や情報の確認に用いられる部分であり、タッチパネルなど、入力部としての機能と表示部としての機能とを兼ね備えたデバイスによって構成される。尚、登録部11は、入力部と表示部とが別個に構成されたものであってもよい。例えば、表示部が、表示専用のモニタで構成され、入力部が、行先階Fdなどを入力するための機械式のボタン(テンキーなど)で構成されてもよい。
【0023】
そして、登録部11には、乗場呼びに関連する様々な画面が表示される。本実施形態では、そのような画面として、待機画面(図2(A)参照)、登録画面(図2(B)参照)、第1通知画面(図2(C)参照)、案内画面(図2(D)参照)、提案画面(図2(E)参照)、及び第2通知画面(図2(F)参照)が、登録部11に適宜表示される。
【0024】
ここで、待機画面は、行先階登録装置1をどちらのモード(行先階登録モード又は行先階提案モード)で使用するのかを選択するための最初の画面である。
【0025】
登録画面は、待機画面にて行先階登録モードが選択された場合に表示される画面であり、行先階Fdを入力(選択を含む)して登録することによって乗場呼びを行うための画面である。登録画面で行先階Fdが登録された場合、その行先階Fdは、群管理制御装置2が行う呼び登録(乗りかごへの割当てを含む)に用いられる。従って、行先階登録装置1は、登録画面にて行先階Fdの登録が行われるごとに、その行先階Fdを群管理制御装置2へ送信する。第1通知画面は、登録画面での行先階Fdの登録後に群管理制御装置2が乗りかごへの割当てを行った場合に表示される画面であり、その乗りかごの情報(かご情報Pg)を利用者に通知するための画面である。
【0026】
案内画面は、待機画面にて行先階提案モードが選択された場合に表示される画面であり、行きたい場所に関連するキーワードを音声で入力することを利用者に促すための画面である。一例として、キーワードは、利用者が行きたい場所(テナントや催しなど)の名称、略称、ジャンル、その場所で扱われる商品やサービスの名称、略称、ジャンルなどである。
【0027】
提案画面は、キーワードが音声で入力された場合に表示される画面である。具体的には、キーワードに基づいた行先階Fdの推定(後述する学習済みの推定モデルNtを用いた推定)によって第1建物についての行先階Fdが得られた場合に、当該行先階Fdが、提案画面において選択可能に表示される。
【0028】
提案画面にて選択可能に表示された行先階Fdの何れか1つが選択された場合、その行先階Fdは、群管理制御装置2が行う呼び登録(乗りかごへの割当てを含む)に用いられる。従って、行先階登録装置1は、提案画面にて行先階Fdの選択が行われるごとに、その行先階Fdを群管理制御装置2へ送信する。
【0029】
第2通知画面は、提案画面での行先階Fdの選択後に群管理制御装置2が乗りかごへの割当てを行った場合に表示される画面であり、その乗りかごのかご情報Pgを、提案画面で選択された行先階Fdと共に利用者に通知するための画面である。
【0030】
音声入力部12は、利用者による音声の入力に用いられる部分であり、入力された音声を音声データVd1(アナログ信号又はデジタル信号)に変換するデバイス(マイクロフォンなど)によって構成される。音声入力部12からキーワードが音声で入力された場合、そのキーワードが、群管理制御装置2にて実行される推定処理に用いられる。従って、行先階登録装置1は、音声入力部12からキーワードが音声で入力されるごとに、入力された音声の音声データVd1を群管理制御装置2へ送信する(後述する図5のステップS112参照)。
【0031】
<群管理制御装置>
群管理制御装置2は、上記エレベータが備える複数の乗りかごを一元的に管理する装置であり、制御処理の1つとして、行先階登録モード時の行先階登録装置1にて行先階Fdの登録が行われた場合、当該行先階Fdを用いて呼び登録を行う(呼び登録処理)。また本実施形態では、群管理制御装置2は、行先階提案モード時の行先階登録装置1にてキーワードが音声で入力された場合、制御処理の1つとして、当該キーワードに基づいた推定で得た行先階Fdを、行先階登録装置1を通じて利用者に提案する(推定処理及び表示処理)。
【0032】
具体的な構成として、群管理制御装置2は、記憶部21と制御部22とを備える(図1参照)。
【0033】
記憶部21は、上述した制御処理に必要な情報が保存される部分であり、ROMやRAMなどの記憶デバイスで構成されている。本実施形態では、制御処理に必要な情報として、学習済みの推定モデルNtと、装置管理データDrと、が記憶部21に保存されている。
【0034】
推定モデルNtは、キーワードを入力データDt1とし、当該キーワードに関係する行先階Fd(本実施形態では、第1建物についての行先階Fd)を出力データDt2として、それらの関係を、学習用データを用いて学習させることが可能な機械学習アルゴリズム(ディープラーニングなど)によって構築されたモデルである。
【0035】
図3(A)は、本実施形態で用いられる推定モデルNtの出力データDt2を例示した概念図である。この図に例示されるように、出力データDt2は、1次元ビット列であり、そのビット列に次のような意味を持たせたものである。具体的には、1次元ビット列を構成する複数のビットBt(i)(iは、1次元ビット列内での各ビットBtの位置を示すインデックスである。i≧0)に対して提案可能な行先階Fdを1つずつ対応させておくことにより、それらのビットBt(i)のうちの値が「1」であるものに対応した行先階Fdを利用者に提案する、という意味を1次元ビット列に持たせている。
【0036】
一例として、提案可能な行先階Fdが地下1階(B1階)~10階である場合、11個のビットBt(i)で構成された1次元ビット列を出力データDt2として用い、且つ、当該11個のビットBt(i)に対して先頭のビットBt(0)から順に地下1階~10階を対応させることができる。図3(A)の例では、1次元ビット列は、あるキーワード(例えば「靴」など)に関係する行先階Fdが「1階」、「3階」、及び「7階」であることを、当該1次元ビット列内のビットBt(1)、Bt(3)、及びBt(7)の値を「1」にすることで示している。
【0037】
そして本実施形態では、1つのキーワードを入力データDt1として入力したときに、そのキーワードに関係する行先階Fdに対応したビットBtだけに「1」の値が与えられた1次元ビット列が出力データDt2として出力されるように、キーワードと行先階Fdとの関係を、学習用データを用いて上記推定モデルNtに学習させ、それによって得られた学習済みの推定モデルNtが記憶部21に保存される。
【0038】
具体的には、学習用の入力データDt1(キーワード)及び出力データDt2(そのキーワードに関係する行先階Fd(1次元ビット列))を一組の学習用データとした上で、複数組の学習用データを用いて、キーワードと行先階Fdとの関係を推定モデルNtに学習させる。
【0039】
より具体的には、推定モデルNtを構築する機械学習アルゴリズムは、学習によって最適値へ近づけることが可能な複数のパラメータを有している。そして、学習用データを用いた学習によって各パラメータの値が最適値に近づけられることにより、学習済みの推定モデルNtが得られる。
【0040】
尚、推定モデルNtを構築する機械学習アルゴリズムは、教師あり学習アルゴリズムであれば、どのような学習手法を用いたものであってもよい。例えば、機械学習アルゴリズムは、旧来からの学習手法を用いた3層程度のニューラルネットワークで構成されたものであってもよいし、ディープラーニングと呼ばれる手法を用いた多層ニューラルネットワークで構成されたものであってもよい。
【0041】
図3(B)は、本実施形態で用いられる装置管理データDrの一例を示した概念図である。この図に示されるように、装置管理データDrでは、行先階登録装置1ごとに、装置情報Pdが設置階Fsと対応付けられている。
【0042】
ここで、設置階Fsは、装置情報Pdで特定される行先階登録装置1が設置されている階である。本実施形態では、エレベータを利用するためには、その都度、行先階登録装置1にて乗場呼びを行う必要があり、利用者は、乗場呼びに用いた行先階登録装置1の設置階Fsから乗りかごに乗車することになる。従って、行先階登録装置1の設置階Fsは、群管理制御装置2が呼び登録処理(乗りかごへの割当てを含む)を行う際に、利用者の出発階(乗車階)として用いられる。
【0043】
制御部22は、上述した制御処理を実行する部分であり、CPUなどの処理デバイスで構成されている。本実施形態では、制御部22は、解析処理、推定処理、表示処理、及び呼び登録処理を実行する。以下、具体的に説明する。尚、より詳細な内容(制御の流れなど)については後述する。
【0044】
行先階登録装置1の登録部11において、待機画面(図2(A)参照)にて行先階登録モードが選択され、且つ、登録画面(図2(B)参照)にて行先階Fdが登録された場合には、制御部22は、当該行先階Fdを用いてエレベータの呼び登録を行う(呼び登録処理)。
【0045】
一方、行先階登録装置1の登録部11において、待機画面(図2(A)参照)にて行先階提案モードが選択され、且つ、案内画面(図2(D)参照)に従って音声入力部12からキーワードが音声で入力された場合には、制御部22は、先ず、当該音声の音声データVd1を解析することにより、その音声で入力されたキーワードを判別する(解析処理)。
【0046】
次に、制御部22は、解析処理で判別したキーワードから、そのキーワードを入力した利用者が所望する行先階Fdを推定する(推定処理)。具体的には、制御部22は、解析処理で判別したキーワードを入力データDt1として、当該入力データDt1を学習済みの推定モデルNtに入力し、その結果として当該推定モデルNtから出力される出力データDt2(1次元ビット列)を取得する。そして、制御部22は、出力データDt2に含まれる行先階Fd(1次元ビット列において値が「1」のビットBtに対応した行先階Fd)を、利用者が所望する行先階Fdであると推定する。
【0047】
そして、制御部22は、推定処理で得た各行先階Fdを、登録部11に選択可能に表示させる(表示処理。図2(E)の提案画面参照)。これにより、キーワードを音声で入力した利用者が所望していると推定される行先階Fdが、登録部11(提案画面)を通じて当該利用者に提案される。
【0048】
その後、登録部11(提案画面)に表示された行先階Fdの1つが選択された場合には、制御部22は、当該行先階Fdを用いてエレベータの呼び登録を行う(呼び登録処理)。
【0049】
このような制御処理(解析処理、推定処理、表示処理、呼び登録処理を含む)は、群管理制御装置2の制御部22内に構築される処理部によって実行される。図1では、そのような処理部として、解析処理部221、推定処理部222、表示処理部223、及び呼び登録処理部224が、制御部22内に構築されている。本実施形態では、これらの処理部は、制御部22にプログラムを実行させることによってソフトウェアで構成される。そして、そのようなプログラムは、携帯可能な記憶媒体(例えば、フラッシュメモリ等)に読取可能な状態で保存され、当該記憶媒体から読み出されてインストールされたものが群管理制御装置2の記憶部21に保存されてもよいし、他のサーバなどにダウンロード可能に保存され、当該サーバからダウンロードされてインストールされたものが記憶部21に保存されてもよい。尚、上記の処理部は、群管理制御装置2内に回路を構築することによってハードウェアで構成されてもよい。
【0050】
そして、このようなエレベータの一部又は全部によって、利用者が入力した音声から当該利用者が所望する行先階Fdを精度良く推定して提案できる制御システムが構成されている。以下では、当該制御システムが実行する制御処理として、行先階登録装置1が行う動作、及び群管理制御装置2が実行する制御処理について、具体的に説明する。
【0051】
尚、上記エレベータは、乗りかごを1つだけ備えたものであってもよい。この場合、当該1つの乗りかごを制御するエレベータ制御装置が、上記制御システムが実行する制御処理の一部を、群管理制御装置2に代わって担うことになる。
【0052】
[1-2]制御処理
本実施形態では、エレベータの利用前に、行先階登録装置1にて乗場呼びを行うことが必要とされる。そして、行先階登録装置1の登録部11に表示された最初の画面(待機画面。図2(A)参照)では、利用者は、行先階登録モード及び行先階提案モードの何れか一方を選択することができる。
【0053】
先ず、行先階登録装置1の待機画面にて行先階登録モードが選択された場合について説明する。図4は、その場合に行先階登録装置1が行う動作、及び群管理制御装置2が実行する制御処理、を示したフローチャートである。
【0054】
待機画面にて行先階登録モードが選択された場合、行先階登録装置1は、登録部11の画面に、待機画面から切り替えて登録画面(図2(B)参照)を表示する(ステップS101)。そして、当該登録画面にて利用者が行先階Fdを登録した場合、行先階登録装置1は、その行先階Fdを群管理制御装置2へ送信する(ステップS102)。このとき、行先階登録装置1は、当該行先階Fdがどの装置から送信されてきたのかを群管理制御装置2に認識させるべく、その行先階Fdと共に、自身の装置情報Pdを群管理制御装置2へ送信する。尚、図2(B)の例では、行先階Fdとして「3階」が選択された場合が示されている。
【0055】
群管理制御装置2は、行先階Fdなどの情報を行先階登録装置1から受信した場合(ステップS201)、当該情報を用いて呼び登録を実行する(呼び登録処理。ステップS202)。
【0056】
具体的には、群管理制御装置2は、装置管理データDrから、ステップS201で受信した装置情報Pdに対応付けられている設置階Fs(即ち、利用者が行先階Fdの登録に用いた行先階登録装置1の設置階Fs)を抽出する(ステップS202A)。
【0057】
そして、群管理制御装置2は、ステップS202Aで抽出した設置階Fsを利用者の出発階(乗車階)とした上で、当該出発階とステップS201で受信した行先階Fd(即ち、登録画面で登録された行先階Fd)とを1つの乗場呼びとして、乗りかごへの割当てを行う(ステップS202B)。
【0058】
その後、群管理制御装置2は、ステップS202Bで割り当てた乗りかごのかご情報Pgを、行先階登録装置1を通じて利用者に提示するべく、ステップS201で受信した装置情報Pdを用いて行先階登録装置1を特定し、その行先階登録装置1に、登録部11への第1通知画面(図2(C)参照)の表示を実行させる(表示処理。ステップS202C)。具体的には、群管理制御装置2は、当該第1通知画面の表示を実行させるための表示指令Rx1を行先階登録装置1へ送信する。このとき、群管理制御装置2は、第1通知画面に表示させる情報として、ステップS202Bで割り当てた乗りかごのかご情報Pgを行先階登録装置1へ送信する。尚、図2(C)に示されるように、第1通知画面には、かご情報Pgに加えて、ステップS202Bでの割当てに用いられた行先階Fdが更に表示されてもよく、その場合には、群管理制御装置2は、当該行先階Fdも行先階登録装置1へ送信する。
【0059】
行先階登録装置1は、表示指令Rx1などの情報を群管理制御装置2から受信した場合(ステップS103)、それらの情報を用いて登録部11への第1通知画面の表示を行う(ステップS104)。これにより、利用者は、登録した行先階Fdへの移動に際して自身がどの乗りかごに乗車すべきかを認識することが可能になる。
【0060】
次に、行先階登録装置1の待機画面(図2(A)参照)にて行先階提案モードが選択された場合について説明する。図5は、その場合に行先階登録装置1が行う動作、及び群管理制御装置2が実行する制御処理、を示したフローチャートである。
【0061】
待機画面にて行先階提案モードが選択された場合、行先階登録装置1は、登録部11の画面に、待機画面から切り替えて案内画面(図2(D)参照)を表示する(ステップS111)。そして、その案内画面を確認した利用者が、自身の行きたい場所に関連するキーワードを音声で音声入力部12から入力した場合、行先階登録装置1は、その音声の音声データVd1を群管理制御装置2へ送信する(ステップS112)。このとき、行先階登録装置1は、当該音声データVd1がどの装置から送信されてきたのかを群管理制御装置2に認識させるべく、その音声データVd1と共に、自身の装置情報Pdを群管理制御装置2へ送信する。
【0062】
群管理制御装置2は、音声データVd1などの情報を行先階登録装置1から受信した場合(ステップS211)、当該音声データVd1を解析することにより、その音声で入力されたキーワードを判別する(解析処理。ステップS212)。このときの解析方法として、群管理制御装置2は、音声データVd1から特徴量を抽出し、当該特徴量とキーワードとの対応関係が予め設定されたデータを参照することによってキーワードを判別する方法を用いることができる。
【0063】
次に、群管理制御装置2は、解析処理で判別したキーワードから、そのキーワードを入力した利用者が所望する行先階Fdを推定する(推定処理。ステップS213)。具体的には、群管理制御装置2は、解析処理で判別したキーワードを入力データDt1として、当該入力データDt1を学習済みの推定モデルNtに入力し(ステップS213A)、その結果として当該推定モデルNtから出力される出力データDt2(1次元ビット列)を取得する(ステップS213B)。そして、群管理制御装置2は、出力データDt2に含まれる行先階Fd(1次元ビット列において値が「1」のビットBtに対応した行先階Fd)を、利用者が所望する行先階Fdであると推定する。
【0064】
そして、群管理制御装置2は、推定処理で得た行先階Fdを、行先階登録装置1を通じて利用者に提案するべく、ステップS211で受信した装置情報Pdを用いて行先階登録装置1を特定し、その行先階登録装置1に、登録部11への提案画面(図2(E)参照)の表示を実行させる(表示処理。ステップS214)。
【0065】
具体的には、群管理制御装置2は、当該提案画面の表示を実行させるための表示指令Ry1を行先階登録装置1へ送信する。このとき、群管理制御装置2は、提案画面に表示させる情報として、推定処理(ステップS213)で推定した全ての行先階Fdを行先階登録装置1へ送信する。尚、提案画面には、行先階Fdに加えて、推定処理(ステップS213)での当該行先階Fdの推定に用いられたキーワードが更に表示されてもよく(図2(E)参照)、その場合には、群管理制御装置2は、当該キーワードも行先階登録装置1へ送信する。
【0066】
更に本実施形態では、群管理制御装置2は、推定処理(ステップS213)で推定した行先階Fdのうちの、送信先の行先階登録装置1の設置階Fsと同じ階であるものについては、提案画面で選択できないようにするために、選択不可情報Pxを対応付けた状態で当該行先階登録装置1へ送信する。
【0067】
行先階登録装置1は、表示指令Ry1などの情報を群管理制御装置2から受信した場合(ステップS113)、それらの情報を用いて登録部11への提案画面の表示を行う(ステップS114)。これにより、提案画面には、第1建物についての行先階Fdのうちの、利用者が音声で入力したキーワードに関係する行先階Fdだけが選択可能に表示されることになる(図2(E)参照)。その結果として、キーワードを音声で入力した利用者が所望していると推定される行先階Fdが、登録部11(提案画面)を通じて当該利用者に提案されることになる。このとき、行先階登録装置1は、ステップS113で受信した行先階Fdのうちの、選択不可情報Pxが対応付けられているものについては、選択不可(グレーアウトなど)の状態で提案画面に表示すると共に、同じ階であることを利用者に知らせる通知を付加する。
【0068】
図2(E)の例では、利用者が「靴」というキーワードを音声で入力することにより、その利用者が所望する行先階Fdとして、学習済みの推定モデルNtによって「1階」、「3階」、及び「7階」が推定され、それらの行先階Fdが第1選択画面に表示された場合が示されている。また、図2(E)の例では、利用者が操作している行先階登録装置1の設置階Fsが1階であって、行先階Fdのうちの当該設置階Fsと同じ階である「1階」が選択不可(グレーアウトなど)になっている場合が、二重枠線で示されている。また、「1階」には、同じ階であることを利用者に知らせるための「この階です」という通知が付加されている。
【0069】
このような提案画面の表示により、利用者は、音声で入力したキーワードに関係する行先階Fdを画面で確認することが可能になる。換言すれば、利用者は、自身が音声で入力したキーワードに関係する行先階Fdの提案を、行先階登録装置1の画面(提案画面)を通じて受けることができる。これにより、利用者は、自身が行きたい場所が第1建物のどの階にあるのかをある程度絞り込むことが可能になる。更に、提案画面には、利用者が操作している行先階登録装置1の設置階Fsと同じ階も行先階Fdとして表示されるため、利用者は、そのときにいる階と同じ階にも、自身が入力したキーワードに関係する場所があることを認識することができる。尚、提案画面は、そこに表示された行先階Fdを更に別のキーワードで絞り込むことができるように構成されてもよい。
【0070】
その後、提案画面(図2(E)参照)にて行先階Fdの何れか1つが選択された場合、行先階登録装置1は、選択された行先階Fdを群管理制御装置2へ送信する(ステップS115)。このとき、行先階登録装置1は、その行先階Fdがどの装置から送信されてきたのかを群管理制御装置2に認識させるべく、自身の装置情報Pdも群管理制御装置2へ送信する。図2(E)の例では、行先階Fdとして「7階」が選択された場合が示されている。
【0071】
群管理制御装置2は、行先階Fdなどの情報を行先階登録装置1から受信した場合(ステップS215)、当該情報を用いて呼び登録を実行する(呼び登録処理。ステップS216)。
【0072】
具体的には、群管理制御装置2は、装置管理データDrから、ステップS215で受信した装置情報Pdに対応付けられている設置階Fs(即ち、利用者が提案画面での行先階Fdの選択に用いた行先階登録装置1の設置階Fs)を抽出する(ステップS216A)。
【0073】
そして、群管理制御装置2は、ステップS216Aで抽出した設置階Fsを利用者の出発階(乗車階)とした上で、当該出発階とステップS215で受信した行先階Fd(即ち、提案画面で選択された行先階Fd)とを1つの乗場呼びとして、乗りかごへの割当てを行う(ステップS216B)。
【0074】
その後、群管理制御装置2は、ステップS216Bで割り当てた乗りかごのかご情報Pgを、行先階登録装置1を通じて利用者に提示するべく、ステップS215で受信した装置情報Pdを用いて行先階登録装置1を特定し、その行先階登録装置1に、登録部11への第2通知画面(図2(F)参照)の表示を実行させる(表示処理。ステップS216C)。具体的には、群管理制御装置2は、当該第2通知画面の表示を実行させるための表示指令Rx2を行先階登録装置1へ送信する。このとき、群管理制御装置2は、第2通知画面に表示させる情報として、ステップS216Bで割り当てた乗りかごのかご情報Pgを行先階登録装置1へ送信する。尚、図2(F)に示されるように、第2通知画面には、かご情報Pgに加えて、ステップS216Bでの割当てに用いられた行先階Fdが更に表示されてもよく、その場合には、群管理制御装置2は、当該行先階Fdも行先階登録装置1へ送信する。
【0075】
行先階登録装置1は、表示指令Rx2などの情報を群管理制御装置2から受信した場合(ステップS116)、それらの情報を用いて登録部11への第2通知画面の表示を行う(ステップS117)。これにより、利用者は、選択した行先階Fdへの移動に際して自身がどの乗りかごに乗車すべきかを認識することが可能になる。
【0076】
このような制御処理を行う制御システムによれば、学習済みの推定モデルNtを用いて行先階Fdを推定することにより、エレベータにおいて利用者が入力した音声から当該利用者が所望する行先階Fdを精度良く推定して、その利用者に提案することができる。
【0077】
従来は、キーワードと案内情報(テナントなど)との対応関係を用いて、入力されたキーワードから案内情報を検索し、次に、案内情報と行先階Fdとの対応関係を用いて、検索で得た案内情報から行先階Fdを抽出する必要があった。換言すれば、入力されたキーワードから行先階Fdを抽出するためには、情報間の関係性(キーワードと案内情報との関係性、案内情報と行先階Fdとの関係性)が明らかな2つの対応関係を用いる必要があり、その過程では、キーワードと行先階Fdとを関係付けるための案内情報を検索によって取得する必要があったため、入力されたキーワードからは、案内情報を介して間接的にしか行先階Fdを抽出することができなかった。このため、案内情報ごとに、膨大な数のキーワードの中から関係するものだけを対応付けていくと共に、更にはその案内情報に関係する行先階Fdをも対応付けていくといった煩雑な作業が強いられることになる。このため、それらの対応付けには誤りや欠落が生じるおそれがあり、検索精度の向上には限界があった。
【0078】
一方、上述した本実施形態の制御システムによれば、キーワードと行先階Fdとの間の直接的な関係性を推定モデルNtに学習させ、それで得た学習済みの推定モデルNtを用いることにより、入力されたキーワードから直接的に行先階Fdを推定することが可能になっている。しかも、推定モデルNtを構築する機械学習アルゴリズムを用いた学習によれば、従来のような対応付けの誤りや欠落といった問題がなく、学習を行えば行うほど推定の精度を高めることができる。従って、エレベータにおいて利用者が入力した音声から当該利用者が所望する行先階Fdを精度良く推定することができる。
【0079】
また、本実施形態の制御システムによれば、行先階登録装置1においてキーワードを音声で入力することができるため、利用者は、画面に触れることなくキーワードを入力することができる。
【0080】
[2]変形例
[2-1]第1変形例
上述した制御システムは、利用者が、キーワードに限らず、自身が行きたい場所や行いたい行動などを文章(例えば「帰宅したい」や「喉が渇いた」など)でも入力できるように、以下のように変形されてもよい。
【0081】
図6は、第1変形例に係る制御システムが適用されたエレベータの全体構成を例示した概念図である。また、図7は、第1変形例において、待機画面にて行先階提案モードが選択された場合に行先階登録装置1が行う動作、及び群管理制御装置2が実行する制御処理、を示したフローチャートである。
【0082】
本変形例では、群管理制御装置2の記憶部21には、学習済みの推定モデルNtに加えて、学習済みの前処理モデルNsが更に保存されている(図6参照)。
【0083】
前処理モデルNsは、利用者が入力した音声の音声データVd1を入力データDs1とし、予め設定された複数のキーワードのうちの当該音声に関係するキーワードを出力データDs2として、それらの関係を、学習用データを用いて学習させることが可能な機械学習アルゴリズム(ディープラーニングなど)によって構築されたモデルである。
【0084】
具体的には、学習用の入力データDs1(利用者が入力した音声の音声データVd1)及び出力データDs2(その音声に関係するキーワード)を一組の学習用データとした上で、複数組の学習用データを用いて、音声とキーワードとの関係を前処理モデルNsに学習させる。
【0085】
より具体的には、前処理モデルNsを構築する機械学習アルゴリズムは、学習によって最適値へ近づけることが可能な複数のパラメータを有している。そして、学習用データを用いた学習によって各パラメータの値が最適値に近づけられることにより、学習済みの前処理モデルNsが得られる。
【0086】
尚、前処理モデルNsを構築する機械学習アルゴリズムは、教師あり学習アルゴリズムであれば、どのような学習手法を用いたものであってもよい。例えば、機械学習アルゴリズムは、旧来からの学習手法を用いた3層程度のニューラルネットワークで構成されたものであってもよいし、ディープラーニングと呼ばれる手法を用いた多層ニューラルネットワークで構成されたものであってもよい。
【0087】
そして、群管理制御装置2の制御部22は、音声データVd1などの情報を行先階登録装置1から受信した場合(図7のステップS211)、学習済みの前処理モデルNsを用いて、音声データVd1から、利用者が入力した音声に関係するキーワードを推定する(前処理。図7のステップS221)。具体的には、制御部22は、音声データVd1を入力データDs1として、当該入力データDs1を学習済みの前処理モデルNsに入力し(ステップS221A)、その結果として当該前処理モデルNsから出力される出力データDs2(キーワード)を取得する(ステップS221B)。このような前処理は、群管理制御装置2内にソフトウェア又はハードウェアで構築される前処理部225によって実行される(図6参照)。
【0088】
次に、制御部22は、音声に対する前処理で取得したキーワードから、その音声を入力した利用者が所望する行先階Fdを推定する(推定処理。図7のステップS222)。具体的には、制御部22は、前処理で取得したキーワード(学習済みの前処理モデルNsの出力データDs2であるキーワード)を入力データDt1として、当該入力データDt1を学習済みの推定モデルNtに入力し(ステップS222A)、その結果として当該推定モデルNtから出力される出力データDt2(1次元ビット列)を取得する(ステップS222B)。そして、制御部22は、出力データDt2に含まれる行先階Fd(1次元ビット列において値が「1」のビットBtに対応した行先階Fd)を、利用者が所望する行先階Fdであると推定する。
【0089】
第1変形例によれば、キーワードに限定されない音声が入力された場合であっても、前処理として、入力された音声に関係するキーワードを推定することが可能になる。そして、推定したキーワードから、上述した実施形態の制御システムと同様、学習済みの推定モデルNtを用いることによって行先階Fdを推定することができる。
【0090】
[2-2]第2変形例
上述した制御システムにおいて、学習済みの推定モデルNtは、その出力データDt2が、キーワード(入力データDt1)に関係する行先階Fdに加えて、当該キーワード及び当該行先階Fdの両方に関係する案内情報Peを更に含んだものであってもよい。ここで、案内情報Peは、第1建物内にある各場所(テナントや催しなど)の案内に用いられる情報である。
【0091】
図8は、第2変形例で用いられる推定モデルNtの出力データDt2を例示した概念図である。この図に例示されるように、出力データDt2は、行先階Fd及び案内情報Peにそれぞれ対応する2つの軸を持った2次元ビット列である。具体的には、2次元ビット列を構成する複数のビットBt(i、j)((i、j)は、2次元ビット列内での各ビットBtの位置を示すインデックスである。i≧0、j≧0)に対して、提案可能な行先階Fd及び案内情報Peの組合せ(Fd、Pe)が1組ずつ対応付けられており、それらのビットBt(i、j)のうちの値が「1」であるものに対応付けられている行先階Fd及び案内情報Peが、利用者に提案される行先階Fd及び案内情報Peとして用いられる。
【0092】
一例として、提案可能な行先階Fdが地下1階(B1階)~10階であり、また、提案可能な案内情報Peが20店(A店、B店、・・・)ある場合、11×20個のビットBt(i、j)で構成された2次元ビット列を出力データDt2として用い、且つ、当該11×20個のビットBt(i、j)に対して、行先階Fdと案内情報Peの組合せ(Fd、Pe)を1組ずつ対応させることができる。図8の例では、2次元ビット列は、あるキーワード(例えば「靴」など)に関係する行先階Fd及び案内情報Peの組合せ(Fd、Pe)が(1階、A店)、(3階、E店)、及び(7階、C店)であることを、当該2次元ビット列内のビットBt(1、0)、Bt(3、4)、及びBt(7、2)の値を「1」にすることで示している。
【0093】
そして本変形例では、1つのキーワードを入力データDt1として入力したときに、そのキーワードに関係する行先階Fd及び案内情報Peの組合せ(Fd、Pe)に対応したビットBtだけに「1」の値が与えられた2次元ビット列が出力データDt2として出力されるように、キーワードと行先階Fd及び案内情報Peの組合せ(Fd、Pe)との関係を、学習用データを用いて上記推定モデルNtに学習させ、それによって得られた学習済みの推定モデルNtが群管理制御装置2の記憶部21に保存される。
【0094】
具体的には、学習用の入力データDt1(キーワード)及び出力データDt2(そのキーワードに関係する行先階Fd及び案内情報Peの組合せ(Fd、Pe)(2次元ビット列))を一組の学習用データとした上で、複数組の学習用データを用いて、キーワードと行先階Fd及び案内情報Peの組合せ(Fd、Pe)との関係を推定モデルNtに学習させる。
【0095】
より具体的には、推定モデルNtを構築する機械学習アルゴリズムは、学習によって最適値へ近づけることが可能な複数のパラメータを有している。そして、学習用データを用いた学習によって各パラメータの値が最適値に近づけられることにより、学習済みの推定モデルNtが得られる。
【0096】
図9は、第2変形例において、待機画面にて行先階提案モードが選択された場合に行先階登録装置1が行う動作、及び群管理制御装置2が実行する制御処理、を示したフローチャートである。
【0097】
本変形例では、群管理制御装置2は、解析処理(ステップS212)で判別したキーワードから、そのキーワードを入力した利用者が所望する行先階Fd及び案内情報Peを推定する(推定処理。ステップS231)。具体的には、群管理制御装置2は、解析処理で判別したキーワードを入力データDt1として、当該入力データDt1を学習済みの推定モデルNtに入力し(ステップS231A)、その結果として当該推定モデルNtから出力される出力データDt2(2次元ビット列)を取得する(ステップS231B)。そして、群管理制御装置2は、出力データDt2に含まれる行先階Fd及び案内情報Peの組合せ(Fd、Pe)(2次元ビット列において値が「1」のビットBtに対応した行先階Fd及び案内情報Pe)を、利用者が所望する行先階Fd及び案内情報Peであると推定する。
【0098】
そして、群管理制御装置2は、推定処理で得た行先階Fd及び案内情報Peを、行先階登録装置1を通じて利用者に提案するべく、ステップS211で受信した装置情報Pdを用いて行先階登録装置1を特定し、その行先階登録装置1に、登録部11への提案画面(図10(A)参照)の表示を実行させる(表示処理。ステップS232)。
【0099】
具体的には、群管理制御装置2は、当該提案画面の表示を実行させるための表示指令Ry2を行先階登録装置1へ送信する。このとき、群管理制御装置2は、提案画面に表示させる情報として、推定処理(ステップS231)で推定した全ての組合せ(Fd、Pe)を行先階登録装置1へ送信する。尚、提案画面には、行先階Fd及び案内情報Peに加えて、推定処理(ステップS231)での当該行先階Fdの推定に用いられたキーワードが更に表示されてもよく(図10(A)参照)、その場合には、群管理制御装置2は、当該キーワードも行先階登録装置1へ送信する。
【0100】
更に本変形例では、群管理制御装置2は、推定処理(ステップS231)で推定した行先階Fd及び案内情報Peの組合せ(Fd、Pe)のうちの、行先階Fdが送信先の行先階登録装置1の設置階Fsと同じ階であるものについては、上述した実施形態と同じように提案画面で選択できないようにするために、選択不可情報Pxを対応付けた状態で当該行先階登録装置1へ送信する。
【0101】
行先階登録装置1は、表示指令Ry2などの情報を群管理制御装置2から受信した場合(ステップS131)、それらの情報を用いて登録部11への提案画面の表示を行う(ステップS132)。これにより、提案画面には、第1建物についての行先階Fd及び案内情報Peの組合せ(Fd、Pe)のうちの、利用者が音声で入力したキーワードに関係する組合せ(Fd、Pe)だけが表示されることになる(図10(A)参照)。その結果として、キーワードを音声で入力した利用者が所望していると推定される行先階Fd及び案内情報Peが、登録部11(提案画面)を通じて当該利用者に提案されることになる。
【0102】
また本変形例の提案画面(図10(A)参照)では、ステップS131で受信した組合せ(Fd、Pe)ごとに、行先階Fdが選択可能に表示されると共に、その行先階Fdには案内情報Peの表記が付加される。このとき、選択不可情報Pxが対応付けられている行先階Fdについては、選択不可(グレーアウトなど)の状態で提案画面に表示されると共に、同じ階であることを利用者に知らせる通知が付加される。
【0103】
図10(A)の例では、利用者が「靴」というキーワードを音声で入力することにより、その利用者が所望する行先階Fd及び案内情報Peの組合せ(Fd、Pe)として、学習済みの推定モデルNtによって(1階、A店)、(3階、E店)、及び(7階、C店)が推定され、それらの組合せ(Fd、Pe)が提案画面に表示された場合が示されている。また、図10(A)の例では、利用者が操作している行先階登録装置1の設置階Fsが1階であって、組合せ(Fd、Pe)のうちの当該設置階Fsと同じ階である(1階、A店)が選択不可(グレーアウトなど)になっている場合が、二重枠線で示されている。また、(1階、A店)には、同じ階であることを利用者に知らせるための「この階です」という通知が付加されている。
【0104】
このような提案画面の表示により、利用者は、音声で入力したキーワードに関係する行先階Fdと共に案内情報Peをも画面で確認することが可能になる。これにより、利用者は、入力したキーワードに関係する行先階Fdに加えて、当該行先階Fdにあるテナントなどの案内情報Peをも知ることが可能になる。換言すれば、利用者は、自身が行きたい場所が第1建物のどの階にあるのかを確認することが可能になる。尚、提案画面は、そこに表示された行先階Fd及び案内情報Peを更に別のキーワードで絞り込むことができるように構成されてもよい。
【0105】
その後、提案画面(図10(A)参照)にて行先階Fd及び案内情報Peの組合せ(Fd、Pe)の何れか1つが選択された場合、行先階登録装置1は、選択された組合せ(Fd、Pe)の情報(行先階Fdと案内情報Pe)を群管理制御装置2へ送信する(ステップS133)。このとき、行先階登録装置1は、当該情報がどの装置から送信されてきたのかを群管理制御装置2に認識させるべく、自身の装置情報Pdも群管理制御装置2へ送信する。図10(A)の例では、行先階Fd及び案内情報Peの組合せ(Fd、Pe)として(7階、C店)が選択された場合が示されている。
【0106】
群管理制御装置2は、行先階Fdなどの情報を行先階登録装置1から受信した場合(ステップS233)、当該情報を用いて呼び登録を実行する(呼び登録処理。ステップS234)。
【0107】
ステップS234では、群管理制御装置2は、実施形態で説明したステップS216A及びS216B(図5)と同様の処理を実行する(ステップS234A及び234B)。
【0108】
その後、群管理制御装置2は、ステップS234Bで割り当てた乗りかごのかご情報Pgを、行先階登録装置1を通じて利用者に提示するべく、ステップS233で受信した装置情報Pdを用いて行先階登録装置1を特定し、その行先階登録装置1に、登録部11への第2通知画面(図10(B)参照)の表示を実行させる(表示処理。ステップS234C)。具体的には、群管理制御装置2は、当該第2通知画面の表示を実行させるための表示指令Rx2を行先階登録装置1へ送信する。このとき、群管理制御装置2は、第2通知画面に表示させる情報として、ステップS234Bで割り当てた乗りかごのかご情報Pgを行先階登録装置1へ送信する。尚、図10(B)に示されるように、第2通知画面には、乗りかごのかご情報Pgに加えて、その乗りかごがどの場所へ行くためのものであるのかも第2通知画面を通じて利用者に提示するべく、その利用者が提案画面(図10(A)参照)で選択した行先階Fd及び案内情報Peが更に表示されてもよく、その場合には、群管理制御装置2は、ステップS233で受信した行先階Fd及び案内情報Peも行先階登録装置1へ送信する。
【0109】
行先階登録装置1は、表示指令Rx2などの情報を群管理制御装置2から受信した場合(ステップS134)、それらの情報を用いて登録部11への第2通知画面の表示を行う(ステップS135)。これにより、利用者は、選択した行先階Fdへの移動に際して自身がどの乗りかごに乗車すべきかを認識することが可能になる。また、提案画面にて利用者が選択した行先階Fd及び案内情報Peが第2通知画面に表示されることにより、その利用者は、第2通知画面に提示された乗りかごがどの場所へ行くためのものであるのかを認識することができる。
【0110】
尚、本変形例で説明した制御システムの構成は、第1変形例にも適用することができる。
【0111】
[2-3]第3変形例
上述のように制御システムが第1建物のエレベータに適用されている場合において、当該第1建物は、それとは別の第2建物と共に複合施設を構成するものであってもよい。この場合、上述した制御システムにおいて、学習済みの推定モデルNtは、その出力データDt2が、キーワード(入力データDt1)に関係する行先階Fdに加えて、当該行先階Fdに関係する建物が第1建物及び第2建物のどちらであるのかを示す建物情報Pfを更に含んだものであってもよい。
【0112】
図11は、第3変形例で用いられる推定モデルNtの出力データDt2を例示した概念図である。この図に例示されるように、出力データDt2は、行先階Fd及び建物情報Pfにそれぞれ対応する2つの軸を持った2次元ビット列である。具体的には、2次元ビット列を構成する複数のビットBt(i、k)((i、k)は、2次元ビット列内での各ビットBtの位置を示すインデックスである。i≧0、k≧0)に対して、提案可能な行先階Fd及び建物情報Pfの組合せ(Fd、Pf)が1組ずつ対応付けられており、それらのビットBt(i、k)のうちの値が「1」であるものに対応した行先階Fd及び建物情報Pfが、利用者に提案する行先階Fd及び建物情報Pfとして用いられる。
【0113】
一例として、提案可能な行先階Fdが地下1階(B1階)~10階であり、また、提案可能な建物情報Pfが第1建物及び第2建物である場合、11×2個のビットBt(i、k)で構成された2次元ビット列を出力データDt2として用い、且つ、当該11×2個のビットBt(i、k)に対して、行先階Fdと建物情報Pfの組合せ(Fd、Pf)を1組ずつ対応させることができる。図11の例では、2次元ビット列は、あるキーワード(例えば「靴」など)に関係する行先階Fd及び建物情報Pfの組合せ(Fd、Pf)が(1階、第1建物)、(3階、第1建物)、(7階、第1建物)、及び(2階、第2建物)であることを、当該2次元ビット列内のビットBt(1、0)、Bt(3、0)、Bt(7、0)、及びBt(2、1)の値を「1」にすることで示している。
【0114】
そして本変形例では、1つのキーワードを入力データDt1として入力したときに、そのキーワードに関係する行先階Fd及び建物情報Pfの組合せ(Fd、Pf)に対応したビットBtだけに「1」の値が与えられた2次元ビット列が出力データDt2として出力されるように、キーワードと行先階Fd及び建物情報Pfの組合せ(Fd、Pf)との関係を、学習用データを用いて上記推定モデルNtに学習させ、それによって得られた学習済みの推定モデルNtが群管理制御装置2の記憶部21に保存される。
【0115】
具体的には、学習用の入力データDt1(キーワード)及び出力データDt2(そのキーワードに関係する行先階Fd及び建物情報Pfの組合せ(Fd、Pf)(2次元ビット列))を一組の学習用データとした上で、複数組の学習用データを用いて、キーワードと行先階Fd及び建物情報Pfの組合せ(Fd、Pf)との関係を推定モデルNtに学習させる。
【0116】
より具体的には、推定モデルNtを構築する機械学習アルゴリズムは、学習によって最適値へ近づけることが可能な複数のパラメータを有している。そして、学習用データを用いた学習によって各パラメータの値が最適値に近づけられることにより、学習済みの推定モデルNtが得られる。
【0117】
図12は、第3変形例において、待機画面にて行先階提案モードが選択された場合に行先階登録装置1が行う動作、及び群管理制御装置2が実行する制御処理、を示したフローチャートである。
【0118】
本変形例では、群管理制御装置2は、解析処理(ステップS212)で判別したキーワードから、そのキーワードを入力した利用者が所望する行先階Fd及び建物情報Pfを推定する(推定処理。ステップS241)。具体的には、群管理制御装置2は、解析処理で判別したキーワードを入力データDt1として、当該入力データDt1を学習済みの推定モデルNtに入力し(ステップS241A)、その結果として当該推定モデルNtから出力される出力データDt2(2次元ビット列)を取得する(ステップS241B)。そして、群管理制御装置2は、出力データDt2に含まれる行先階Fd及び建物情報Pfの組合せ(Fd、Pf)(2次元ビット列において値が「1」のビットBtに対応した行先階Fd及び建物情報Pf)を、利用者が所望する行先階Fd及び建物情報Pfであると推定する。
【0119】
そして、群管理制御装置2は、推定処理で得た行先階Fd及び建物情報Pfを、行先階登録装置1を通じて利用者に提案するべく、ステップS211で受信した装置情報Pdを用いて行先階登録装置1を特定し、その行先階登録装置1に、登録部11への提案画面(図13(A)参照)の表示を実行させる(表示処理。ステップS242)。具体的には、群管理制御装置2は、推定処理で得た行先階Fdのうちの、建物情報Pfが「第1建物」である各行先階Fdについては、当該行先階Fdを選択可能に提案画面に表示させ、建物情報Pfが「第2建物」である各行先階Fdについては、当該行先階Fdを、それが第2建物についての情報であることを知らせる通知と共に提案画面に表示させる。
【0120】
より具体的には、群管理制御装置2は、上記提案画面の表示を実行させるための表示指令Ry3を行先階登録装置1へ送信する。このとき、群管理制御装置2は、提案画面に表示させる情報として、推定処理(ステップS241)で推定した全ての組合せ(Fd、Pf)を行先階登録装置1へ送信する。また、群管理制御装置2は、建物情報Pfが「第2建物」である情報については、そのこと(その情報が第2建物についての情報であること)を利用者に知らせる通知情報Py1も行先階登録装置1へ送信する。尚、図13(A)に示されるように、提案画面には、行先階Fd及び建物情報Pfに加えて、推定処理(ステップS241)での当該行先階Fdの推定に用いられたキーワードが更に表示されてもよく、その場合には、群管理制御装置2は、当該キーワードも行先階登録装置1へ送信する。
【0121】
更に本変形例では、群管理制御装置2は、推定処理(ステップS241)で推定した行先階Fd及び建物情報Pfの組合せ(Fd、Pf)のうちの、行先階Fdが送信先の行先階登録装置1の設置階Fsと同じ階であって、且つ、建物情報Pfが「第1建物」であるものについては、上述した実施形態と同じように提案画面で選択できないようにするために、選択不可情報Pxを対応付けた状態で当該行先階登録装置1へ送信する。
【0122】
行先階登録装置1は、表示指令Ry3などの情報を群管理制御装置2から受信した場合(ステップS141)、それらの情報を用いて登録部11への提案画面の表示を行う(ステップS142)。これにより、提案画面には、複合施設で提案可能な行先階Fd及び建物情報Pfの組合せ(Fd、Pf)のうちの、利用者が音声で入力したキーワードに関係する組合せ(Fd、Pf)だけが表示されることになる(図13(A)参照)。その結果として、キーワードを音声で入力した利用者が所望していると推定される行先階Fd及び建物情報Pfが、登録部11(提案画面)を通じて当該利用者に提案されることになる。
【0123】
また本変形例の提案画面(図13(A)参照)では、ステップS141で受信した組合せ(Fd、Pf)のうちの、建物情報Pfが「第1建物」であるものについては、行先階Fdだけが選択可能に表示される。このとき、選択不可情報Pxが対応付けられている行先階Fdについては、選択不可(グレーアウトなど)の状態で提案画面に表示されると共に、同じ階であることを利用者に知らせる通知が付加される。
【0124】
更に本変形例の提案画面(図13(A)参照)では、ステップS131で受信した組合せ(Fd、Pe)のうちの、通知情報Py1が対応づけられているもの(換言すれば、建物情報Pfが「第2建物」であるもの)については、行先階Fdが選択不可(グレーアウトなど)の状態で提案画面に表示されると共に、それが第2建物についての情報であることを利用者に知らせる通知が付加される。
【0125】
図13(A)の例では、利用者が「靴」というキーワードを音声で入力することにより、その利用者が所望する行先階Fd及び案内情報Peの組合せ(Fd、Pe)として、学習済みの推定モデルNtによって(1階、第1建物)、(3階、第1建物)、(7階、第1建物)、及び(2階、第2建物)が推定され、それらの組合せ(Fd、Pe)が提案画面に表示された場合が示されている。また、図13(A)の例では、利用者が操作している行先階登録装置1の設置階Fsが1階であって、組合せ(Fd、Pe)のうちの当該設置階Fsと同じ階である(1階、第1建物)について、その行先階Fdである「1階」が選択不可(グレーアウトなど)になっている場合が、二重枠線で示されている。また、その「1階」の表示には、同じ階であることを利用者に知らせるための「この階です」という通知が付加されている。更に、図13(A)の例では、建物情報Pfが「第2建物」である(2階、第2建物)についても、その行先階Fdである「2階」が選択不可(グレーアウトなど)になっていることが、二重枠線で示されている。一方、その「2階」の表示には、それが第2建物についての情報であることを利用者に知らせる通知が付加されている。
【0126】
このような提案画面の表示により、利用者は、音声で入力したキーワードに関係する行先階Fdを画面で確認することが可能になる。また、提案画面に表示された行先階Fdのうちの、第1建物とは別の第2建物についての行先階Fdであるものについては、当該行先階Fdが第2建物についての情報であることが、提案画面を通じて利用者に通知される。従って、利用者が、そのときにいる第1建物とは別の第2建物に自身の行きたい場所があることを認識できていなかったとしても、その利用者は、自身の行きたい場所に関連するキーワードを音声で第1建物内の行先階登録装置1に入力するだけで、当該行先階登録装置1の画面に表示される行先階Fdと通知とから、自身の行きたい場所が第2建物にあること(又は、第2建物にもあること)を知ることができる。
【0127】
その後、提案画面(図13(A)参照)にて第1建物についての行先階Fd(選択可能の行先階Fd)の何れか1つが選択された場合、行先階登録装置1は、選択された行先階Fdを群管理制御装置2へ送信する(ステップS115)。そして、群管理制御装置2は、行先階Fdなどの情報を行先階登録装置1から受信した場合(ステップS215)、当該情報を用いて呼び登録を実行する(呼び登録処理。ステップS216)。
【0128】
尚、ステップS242(表示処理)では、群管理制御装置2は、提案画面に表示させる情報として、通知情報Py1に加えて、第1建物から第2建物までの経路を利用者に知らせる経路情報Pzを行先階登録装置1へ送信してもよい。この場合、提案画面には、第2建物についての情報であることを利用者に知らせる通知と共に経路情報Pzが表示されることになる(図13(B)参照)。よって、利用者は、経路情報Pzを確認することにより、第1建物から第2建物への移動に際してどのような経路で行けばよいのかを認識することが可能になる。
【0129】
本変形例において、上述した学習済みの推定モデルNtは、その出力データDt2が、キーワード(入力データDt1)に関係する行先階Fd及び建物情報Pfに加えて、それらの情報に関係する案内情報Peを更に含んだものであってもよい。この場合、出力データDt2として、行先階Fd、案内情報Pe、及び建物情報Pfにそれぞれ対応する3つの軸を持った3次元ビット列が用いられる。そして、3次元ビット列を構成する複数のビットBt(i、j、k)((i、j、k)は、3次元ビット列内での各ビットBtの位置を示すインデックスである。i≧0、j≧0、k≧0)に対して、提案可能な行先階Fd、案内情報Pe、及び建物情報Pfの組合せ(Fd、Pe、Pf)が1組ずつ対応付けられることにより、それらのビットBt(i、j、k)のうちの値が「1」であるものに対応付けられている行先階Fd、案内情報Pe、及び建物情報Pfが、利用者に提案する行先階Fd、案内情報Pe、及び建物情報Pfとして用いられる。
【0130】
尚、本変形例で説明した制御システムの構成は、第1変形例にも適用することができる。
【0131】
[2-4]第4変形例
上述した第3変形例において、群管理制御装置2は、推定処理(ステップS241)で得た組合せ(Fd、Pe)のうちの、建物情報Pfが「第2建物」であるものについて、行先階Fdを選択不可(グレーアウトなど)の状態で提案画面に表示させる場合に限らず、当該行先階Fdを選択可能な状態で提案画面に表示させてもよい(図14(A)参照)。
【0132】
図15及び図16は、第4変形例において、待機画面にて行先階提案モードが選択された場合に行先階登録装置1が行う動作、及び群管理制御装置2が実行する制御処理、を示したフローチャートである。本変形例では、群管理制御装置2が、登録部11への提案画面(図14(A)参照)の表示を行先階登録装置1に実行させた場合(ステップS242)、行先階登録装置1は、群管理制御装置2からの指令に応じて登録部11への提案画面の表示を行い(ステップS141及びS142)、その後、提案画面にて第1建物についての行先階Fdの何れか1つが選択された場合には、選択された行先階Fdを群管理制御装置2へ送信し、その一方で、提案画面にて第2建物についての行先階Fdの何れか1つが選択された場合には、そのこと(第2建物についての行先階Fdが選択されこと)を示す選択信号Qsを群管理制御装置2へ送信する(ステップS150)。このとき、行先階登録装置1は、行先階Fd又は選択信号Qsがどの装置から送信されてきたのかを群管理制御装置2に認識させるべく、自身の装置情報Pdも群管理制御装置2へ送信する。図14(A)の例では、第2建物の「2階」が選択された場合が示されている。
【0133】
尚、提案画面では、第2建物についての行先階Fdが選択可能に表示されることに代えて、第2建物へ行くことを選択するボタンが表示されてもよい(図14(B)参照)。そして、行先階登録装置1は、そのボタンが押された場合に選択信号Qsを群管理制御装置2へ送信してもよい。
【0134】
群管理制御装置2は、ステップS242の後に行先階登録装置1から情報を受信した場合(ステップS250)、受信した情報の中に行先階Fd及び選択信号Qsのどちらの情報が含まれているのかを判断する(ステップS251)。そして、群管理制御装置2は、ステップS251にて「行先階Fd」が含まれていると判断した場合には、ステップS250で受信した行先階Fdを用いて呼び登録を実行する(ステップS216)。
【0135】
一方、群管理制御装置2は、ステップS251にて「選択信号Qs」が含まれていると判断した場合には、第1建物の出口のうちの第2建物へ通じる出口がある特定階Fx(例えば、第1建物と第2建物とを繋ぐ連絡通路がある階など)を用いてエレベータの呼び登録を行う(ステップS252。図16参照)。
【0136】
具体的には、上記特定階Fxの情報は、群管理制御装置2の記憶部21に予め保存されており、群管理制御装置2は、ステップS251にて「選択信号Qs」が含まれていると判断した場合に、記憶部21から特定階Fxを読み出す(ステップS252A)。更にステップS252Aでは、群管理制御装置2は、装置管理データDrから、ステップS2250で受信した装置情報Pdに対応付けられている設置階Fs(即ち、利用者が提案画面での行先階Fdの選択又は上記ボタンの押下に用いた行先階登録装置1の設置階Fs)を抽出する。
【0137】
そして、群管理制御装置2は、ステップS252Aで読み出した設置階Fs及び特定階Fxをそれぞれ利用者の出発階(乗車階)及び行先階Fdとした上で、それらを1つの乗場呼びとして、乗りかごへの割当てを行う(ステップS252B)。
【0138】
その後、群管理制御装置2は、ステップS252Bで割り当てた乗りかごのかご情報Pgを、行先階登録装置1を通じて利用者に提示するべく、ステップS250で受信した装置情報Pdを用いて行先階登録装置1を特定し、その行先階登録装置1に、登録部11への第3通知画面(図14(C)参照)の表示を実行させる(表示処理。ステップS252C)。具体的には、群管理制御装置2は、当該第3通知画面の表示を実行させるための表示指令Rx3を行先階登録装置1へ送信する。このとき、群管理制御装置2は、第3通知画面に表示させる情報として、ステップS252Bで割り当てた乗りかごのかご情報Pgを行先階登録装置1へ送信する。また、群管理制御装置2は、その乗りかごが何を目的として割り当てられたものであるのかも第2通知画面を通じて利用者に提示するべく、ステップS252Bでの割当てに用いた特定階Fxと、当該特定階Fxが第2建物へ通じる第1建物の出口のある階であることを利用者に知らせる通知情報Py2と、を行先階登録装置1へ送信する。
【0139】
行先階登録装置1は、表示指令Ry3などの情報を群管理制御装置2から受信した場合(ステップS151)、それらの情報を用いて登録部11への第3通知画面の表示を行う(ステップS152)。これにより、利用者は、第2建物へ通じる第1建物の出口がある特定階Fxへ行くための割当てが行われたことを認識することが可能になり、しかも、特定階Fxへの移動に際して自身がどの乗りかごに乗車すべきかを認識することも可能になる。
【0140】
第4変形例によれば、利用者は、行先階登録装置1での音声によるキーワードの入力と、行先階登録装置1での行先階Fdの確認及び選択(上記ボタンの押下を含む)、といった簡単な操作を行うだけで、その利用者の行きたい場所が第2建物内にあったとしても、迷うことなく、第2建物へ通じる第1建物の出口のある特定階Fxまでエレベータを利用して移動し、そこから第2建物へスムーズに移動することが可能になる。
【0141】
[2-5]第5変形例
上述した第2変形例又は第3変形例において、推定モデルNtの出力データDt2に含まれる案内情報Peには、第1建物内にある各場所を案内する情報だけでなく、第1建物の特定の出口を通って利用者がアクセスする当該第1建物外の各場所を案内する情報が含まれていてもよい。具体例として、第1建物の特定の出口を通って利用者がアクセスする当該第1建物外の各場所は、第1建物の最寄駅、第1建物に併設された駐車場や別の施設などである。
【0142】
この場合、案内情報Peのうちの第1建物外の各場所を案内する各情報との組合せ(Fd、Pe)に用いられる行先階Fdには、その場所へのアクセスの際に利用者が通る第1建物の特定の出口がある階(行先階Fd)が用いられる。また、キーワード(入力データDt1)には、第1建物の特定の出口を通って利用者がアクセスする第1建物外の場所(最寄駅や駐車場)に関連するものとして、「電車」や「帰宅」などのキーワードが用いられる。
【0143】
第5変形例によれば、利用者は、自身の行きたい場所が第1建物外にある場合であっても、当該場所へ行くために通る特定の出口がある階へ迷うことなく向かうことが可能になる。
【0144】
[2-6]第6変形例
上述した実施形態又は変形例の何れにおいても、解析処理や推定処理など、群管理制御装置2が行う処理の一部を、群管理制御装置2とは別の装置(管理サーバなど)に担わせてもよい。
【0145】
[2-7]他の変形例
上述した実施形態又は変形例の何れにおいても、制御システム及び制御処理の各部構成は、行先階登録装置1にてキーワードを文字で入力できるようにした場合にも適用できる。
【0146】
上述した実施形態又は変形例の何れにおいても、行先階登録装置1に代えて、利用者が携帯する端末装置を行先階登録装置1として機能させてもよい。この場合、行先階登録装置1と同じ機能を端末装置に発揮させることを可能にするための行先階登録用のアプリケーションプログラムが、端末装置にインストールされることになる。
【0147】
上述の実施形態及び変形例の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態や変形例ではなく、特許請求の範囲によって示される。更に、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0148】
また、上述の実施形態や変形例からは、発明の対象として、エレベータの制御システムに限らず、その制御システムを構成する装置、当該制御システムで実行される制御処理やプログラムなどが個々に抽出されてもよいし、それらの一部が部分的に抽出されてもよい。
【符号の説明】
【0149】
1 行先階登録装置
2 群管理制御装置
11 登録部
12 音声入力部
21 記憶部
22 制御部
Bt ビット
Dr 装置管理データ
Fd 行先階
Fs 設置階
Fx 特定階
Ns 前処理モデル
Nt 推定モデル
Pd 装置情報
Pe 案内情報
Pf 建物情報
Pg かご情報
Px 選択不可情報
Py1、Py2 通知情報
Pz 経路情報
Qs 選択信号
221 解析処理部
222 推定処理部
223 表示処理部
224 呼び登録処理部
225 前処理部
Ds1、Dt1 入力データ
Ds2、Dt2 出力データ
Rx1、Rx2、Rx3、Ry1、Ry2、Ry3 表示指令
Vd1 音声データ
【要約】
【課題】エレベータにおいて利用者が入力した音声から当該利用者が所望する行先階を精度良く推定して提案できる制御技術を提供する。
【解決手段】制御システムは、解析処理部と、学習済みの推定モデルと、表示処理部と、を備える。解析処理部は、エレベータでの乗場呼びに用いられる登録装置にてキーワードが音声で入力された場合に、当該音声の音声データを解析することにより、その音声で入力されたキーワードを判別する。学習済みの推定モデルは、解析処理部が判別したキーワードを入力データとし、当該キーワードに関係する行先階を出力データとする推定モデルに、学習用データを用いて学習させたものである。表示処理部は、学習済みの推定モデルの出力データに含まれる各行先階を登録装置に選択可能に表示させる。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16