(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】遠隔制御無効化装置および車両
(51)【国際特許分類】
B60R 25/01 20130101AFI20241001BHJP
G05D 1/00 20240101ALI20241001BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
B60R25/01
G05D1/00
G08G1/09 V
(21)【出願番号】P 2023098491
(22)【出願日】2023-06-15
【審査請求日】2023-06-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩堀 健人
(72)【発明者】
【氏名】池田 圭吾
(72)【発明者】
【氏名】横山 大樹
【審査官】林 政道
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-062790(JP,A)
【文献】国際公開第2021/193154(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第115047792(CN,A)
【文献】特開2019-111883(JP,A)
【文献】特開2022-109024(JP,A)
【文献】国際公開第2017/013858(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 25/01,25/20
G08G 1/09
G05D 1/00
B62D 65/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠隔制御無効化装置であって、
遠隔制御により動作可能な車両の生産を管理する生産管理装置から、前記車両の購入者に前記車両が納入される納入日に関する情報を取得する情報取得部と、
前記情報取得部により取得された前記情報を用いて無効化時期を決定する無効化時期決定部と、
前記車両に、前記遠隔制御の不可逆的な無効化を
前記無効化時期が到来したタイミングで実行させる信号を送信する処理、または、前記車両に、前記遠隔制御の不可逆的な無効化を実行させる信号を前記無効化時期が到来したタイミングで送信する処理を実行する無効化信号送信部
と、
を備える、遠隔制御無効化装置。
【請求項2】
遠隔制御無効化装置であって、
遠隔制御により動作可能な車両の生産を管理する生産管理装置から、前記車両を構成する部品の調達状況に関する情報を取得する情報取得部と、
前記情報取得部により取得された前記情報を用いて無効化時期を決定する無効化時期決定部と、
前記車両に、前記遠隔制御の不可逆的な無効化を前記無効化時期が到来したタイミングで実行させる信号を送信する処理、または、前記車両に、前記遠隔制御の不可逆的な無効化を実行させる信号を前記無効化時期が到来したタイミングで送信する処理を実行する無効化信号送信部と、
を備える、遠隔制御無効化装置。
【請求項3】
遠隔制御無効化装置であって、
遠隔制御により動作可能な車両の生産を管理する生産管理装置から、前記車両の購入者に前記車両が納入される納入日に関する情報と、前記車両を構成する部品の調達状況に関する情報との少なくともいずれか一方の情報を取得する情報取得部と、
前記情報取得部により取得された前記少なくとも一方の情報を用いて無効化時期を決定する無効化時期決定部であって、前記少なくとも一方の情報に変更が生じた場合に、決定した前記無効化時期を変更する無効化時期決定部と、
前記車両に、前記遠隔制御の不可逆的な無効化を前記無効化時期が到来したタイミングで実行させる信号を送信する処理、または、前記車両に、前記遠隔制御の不可逆的な無効化を実行させる信号を前記無効化時期が到来したタイミングで送信する処理を実行する無効化信号送信部と、
を備える、遠隔制御無効化装置。
【請求項4】
遠隔制御無効化装置であって、
遠隔制御により動作可能な車両の生産を管理する生産管理装置から、前記車両を構成する部品の調達状況に関する情報を取得する情報取得部と、
前記情報取得部により取得された前記情報を用いて無効化時期を決定する無効化時期決定部と、
前記車両に、前記遠隔制御の無効化を
前記無効化時期が到来したタイミングで実行させる信号を送信する処理、または、前記車両に、前記遠隔制御の無効化を実行させる信号を前記無効化時期が到来したタイミングで送信する処理を実行する無効化信号送信部と、
を備える、遠隔制御無効化装置。
【請求項5】
遠隔制御無効化装置であって、
遠隔制御により動作可能な車両の生産を管理する生産管理装置から、前記車両の購入者に前記車両が納入される納入日に関する情報と、前記車両を構成する部品の調達状況に関する情報との少なくともいずれか一方の情報を取得する情報取得部と、
前記情報取得部により取得された前記少なくとも一方の情報を用いて無効化時期を決定する無効化時期決定部であって、前記少なくとも一方の情報に変更が生じた場合に、決定した前記無効化時期を変更する無効化時期決定部と、
前記車両に、前記遠隔制御の無効化を
前記無効化時期が到来したタイミングで実行させる信号を送信する処理、または、前記車両に、前記遠隔制御の無効化を実行させる信号を前記無効化時期が到来したタイミングで送信する処理を実行する無効化信号送信部と、
を備える、遠隔制御無効化装置。
【請求項6】
遠隔制御無効化装置であって、
遠隔制御により動作可能な車両に、前記遠隔制御の無効化を予め定められた無効化時期が到来したタイミングで実行させる信号を送信する処理、または、前記車両に、前記遠隔制御の無効化を実行させる信号を前記無効化時期が到来したタイミングで送信する処理を実行する無効化信号送信部を備え、
前記車両は、前記遠隔制御を可逆的に無効化した後、前記遠隔制御を不可逆的に無効化する、遠隔制御無効化装置。
【請求項7】
遠隔制御無効化装置であって、
遠隔制御により動作可能な車両に、前記遠隔制御の無効化を予め定められた無効化時期が到来したタイミングで実行させる信号を送信する処理、または、前記車両に、前記遠隔制御の無効化を実行させる信号を前記無効化時期が到来したタイミングで送信する処理を実行する無効化信号送信部と、
前記無効化時期を決定する無効化時期決定部であって、第1時期と、前記第1時期よりも後の第2時期とを前記無効化時期として決定する無効化時期決定部と、
を備え、
前記無効化信号送信部は、前記遠隔制御の可逆的な無効化を前記第1時期が到来したタイミングで実行させ、かつ、前記遠隔制御の不可逆的な無効化を前記第2時期が到来したタイミングで実行させる信号を、前記遠隔制御の無効化を前記無効化時期が到来したタイミングで実行させる信号として送信する処理を実行する、遠隔制御無効化装置。
【請求項8】
遠隔制御無効化装置であって、
遠隔制御により動作可能な車両に、前記遠隔制御の無効化を予め定められた無効化時期が到来したタイミングで実行させる信号を送信する処理、または、前記車両に、前記遠隔制御の無効化を実行させる信号を前記無効化時期が到来したタイミングで送信する処理を実行する無効化信号送信部と、
前記無効化時期を決定する無効化時期決定部であって、第1時期と、前記第1時期よりも後の第2時期とを前記無効化時期として決定する無効化時期決定部と、
を備え、
前記無効化信号送信部は、前記遠隔制御の可逆的な無効化を実行させる信号を前記第1時期が到来したタイミングで送信し、かつ、前記遠隔制御の不可逆的な無効化を実行させる信号を前記第2時期が到来したタイミングで送信する処理を、前記遠隔制御の無効化を実行させる信号を前記無効化時期が到来したタイミングで送信する処理として実行する、遠隔制御無効化装置。
【請求項9】
遠隔制御により動作可能な車両であって、
前記車両の生産を管理する生産管理装置から、前記車両を構成する部品の調達状況に関する情報を取得する情報取得部と、
前記情報取得部により取得された前記情報を用いて無効化時期を決定する無効化時期決定部と、
前記無効化時期が到来した場合に前記遠隔制御の無効化を実行する無効化実行部と、
を備える、車両。
【請求項10】
遠隔制御により動作可能な車両であって、
前記車両の生産を管理する生産管理装置から、前記車両の購入者に前記車両が納入される納入日に関する情報と、前記車両を構成する部品の調達状況に関する情報との少なくともいずれか一方の情報を取得する情報取得部と、
前記情報取得部により取得された前記少なくとも一方の情報を用いて無効化時期を決定する無効化時期決定部であって、前記少なくとも一方の情報に変更が生じた場合に、決定した前記無効化時期を変更する無効化時期決定部と、
前記無効化時期が到来した場合に前記遠隔制御の無効化を実行する無効化実行部と、
を備える、車両。
【請求項11】
遠隔制御により動作可能な車両であって、
予め定められた無効化時期が到来した場合に前記遠隔制御の無効化を実行する無効化実行部を備え、
前記無効化実行部は、前記遠隔制御を可逆的に無効化した後、前記遠隔制御を不可逆的に無効化する、車両。
【請求項12】
遠隔制御により動作可能な車両であって、
予め定められた無効化時期が到来した場合に前記遠隔制御の無効化を実行する無効化実行部と、
前記無効化時期を決定する無効化時期決定部であって、第1時期と、前記第1時期よりも後の第2時期とを前記無効化時期として決定する無効化時期決定部と、
を備え、
前記無効化実行部は、前記遠隔制御の可逆的な無効化を前記第1時期が到来したタイミングで実行し、かつ、前記遠隔制御の不可逆的な無効化を前記第2時期が到来したタイミングで実行する、車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、遠隔制御無効化装置および車両に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の製造工程において、遠隔制御により車両を走行させる技術が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
移動体が遠隔制御により移動可能である場合、第三者により移動体の遠隔制御が行われる可能性がある。したがって、適切な時期に移動体の遠隔制御を無効化する技術が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
【0006】
(1)本開示の第1の形態によれば、遠隔制御無効化装置が提供される。この遠隔制御無効化装置は、遠隔制御により動作可能な移動体に、前記遠隔制御の無効化を予め定められた無効化時期が到来したタイミングで実行させる信号を送信する処理、または、前記移動体に、前記遠隔制御の無効化を実行させる信号を前記無効化時期が到来したタイミングで送信する処理を実行する無効化信号送信部を備える。
この形態の遠隔制御無効化装置によれば、無効化時期を予め指定することができるため、適切な時期に移動体の遠隔制御を無効化することができる。
(2)上記形態の遠隔制御無効化装置において、前記無効化時期は、前記移動体の購入者に前記移動体が納入される納入日以前の時期であってもよい。
この形態の遠隔制御無効化装置によれば、移動体の購入者に移動体が納入される日以前に、移動体の遠隔制御を無効化することができる。
(3)上記形態の遠隔制御無効化装置は、前記移動体の購入者に前記移動体が納入される納入日に関する情報を取得する情報取得部と、前記情報取得部により取得された前記情報を用いて前記無効化時期を決定する無効化時期決定部と、をさらに備えてもよい。
この形態の遠隔制御無効化装置によれば、移動体の納入日に応じて無効化時期を決定することができる。
(4)上記形態の遠隔制御無効化装置は、前記移動体を構成する部品の調達状況に関する情報を取得する情報取得部と、前記情報取得部により取得された前記情報を用いて前記無効化時期を決定する無効化時期決定部と、をさらに備えてもよい。
この形態の遠隔制御無効化装置によれば、部品の調達状況に応じて無効化時期を決定することができる。
(5)上記形態の遠隔制御無効化装置は、前記移動体の購入者に前記移動体が納入される納入日に関する情報と、前記移動体を構成する部品の調達状況に関する情報との少なくともいずれか一方の情報を取得する情報取得部と、前記情報取得部により取得された前記少なくとも一方の情報を用いて前記無効化時期を決定する無効化時期決定部であって、前記少なくとも一方の情報に変更が生じた場合に、決定した前記無効化時期を変更する無効化時期決定部と、をさらに備えてもよい。
この形態の遠隔制御無効化装置によれば、指定された無効化時期が適切でなくなった場合に、無効化時期を変更することができる。
(6)上記形態の遠隔制御無効化装置において、前記移動体は、前記遠隔制御を可逆的に無効化した後、前記遠隔制御を不可逆的に無効化してもよい。
この形態の遠隔制御無効化装置によれば、遠隔制御が不可逆的に無効化されるまでは、遠隔制御を有効化可能な状態にしておくことができる。
(7)上記形態の遠隔制御無効化装置は、前記無効化時期を決定する無効化時期決定部であって、第1時期と、前記第1時期よりも後の第2時期とを前記無効化時期として決定する無効化時期決定部をさらに備え、前記無効化信号送信部は、前記遠隔制御の可逆的な無効化を前記第1時期が到来したタイミングで実行させ、かつ、前記遠隔制御の不可逆的な無効化を前記第2時期が到来したタイミングで実行させる信号を、前記遠隔制御の無効化を前記無効化時期が到来したタイミングで実行させる信号として送信する処理を実行してもよい。
この形態の遠隔制御無効化装置によれば、移動体の遠隔制御の可逆的な無効化と不可逆的な無効化とを、適切な時期に実施することができる。
(8)上記形態の遠隔制御無効化装置は、前記無効化時期を決定する無効化時期決定部であって、第1時期と、前記第1時期よりも後の第2時期とを前記無効化時期として決定する無効化時期決定部をさらに備え、前記無効化信号送信部は、前記遠隔制御の可逆的な無効化を実行させる信号を前記第1時期が到来したタイミングで送信し、かつ、前記遠隔制御の不可逆的な無効化を実行させる信号を前記第2時期が到来したタイミングで送信する処理を、前記遠隔制御の無効化を実行させる信号を前記無効化時期が到来したタイミングで送信する処理として実行してもよい。
この形態の遠隔制御無効化装置によれば、移動体の遠隔制御の可逆的な無効化と不可逆的な無効化とを、適切な時期に実施することができる。
(9)本開示の第2の形態によれば、移動体が提供される。この移動体は、予め定められた無効化時期が到来した場合に前記遠隔制御の無効化を実行する無効化実行部を備える。
この形態の移動体によれば、適切な時期に移動体の遠隔制御を無効化することができる。
本開示は、遠隔制御無効化装置および移動体以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、遠隔制御無効化システム、遠隔制御無効化方法、車両、コンピュータプログラム、および、コンピュータプログラムが記録された記録媒体などの形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態の遠隔制御無効化システムの構成を示す説明図。
【
図3】工場において車両が遠隔制御により移動する様子を示す説明図。
【
図4】第1実施形態の発注処理の内容を示すフローチャート。
【
図5】第1実施形態の無効化信号送信処理の内容を示すフローチャート。
【
図6】第1実施形態の無効化実行処理の内容を示すフローチャート。
【
図7】車両の遠隔制御が無効化される様子を示す説明図。
【
図8】第2実施形態の無効化実行処理の内容を示すフローチャート。
【
図9】車両の遠隔制御が無効化される様子を示す説明図。
【
図10】第3実施形態の遠隔制御無効化システムの構成を示す説明図。
【
図11】第3実施形態の無効化信号送信処理の内容を示すフローチャート。
【
図12】第3実施形態の無効化実行処理の内容を示すフローチャート。
【
図13】車両の遠隔制御が無効化される様子を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
A.第1実施形態:
図1は、第1実施形態における遠隔制御無効化システム10の構成を示す説明図である。
図2は、第1実施形態における車両100の構成を示す説明図である。遠隔制御無効化システム10は、移動体の遠隔制御を無効化するために用いられる。本実施形態では、移動体は、車両100である。より具体的には、移動体は、電気自動車(BEV:Battery Electric Vehicle)である。なお、移動体は、電気自動車に限られず、例えば、ガソリン自動車や、ハイブリッド自動車や、燃料電池自動車でもよい。移動体は、車両100に限られず、例えば、電動垂直離着陸機(いわゆる空飛ぶ自動車)でもよい。
【0009】
図1に示すように、本実施形態では、遠隔制御無効化システム10は、遠隔制御により動作可能な車両100と、車両100の遠隔制御により動作不可能にするための遠隔制御無効化装置200と、車両100の生産を管理するための生産管理装置300とを備えている。本実施形態では、遠隔制御無効化装置200および生産管理装置300は、車両100を製造する工場に配置されている。以下の説明では、遠隔制御により動作不可能にすることを、遠隔制御を無効化すると呼ぶ。なお、本開示において、遠隔制御による動作には、遠隔制御の無効化は含まれない。
【0010】
図2に示すように、車両100は、車両100の各部を制御するための車両制御装置110と、車両制御装置110の制御下で駆動するアクチュエータ群120と、無線通信により遠隔制御無効化装置200および遠隔制御装置400と通信するための通信装置130とを備えている。アクチュエータ群120には、少なくとも1つのアクチュエータが含まれている。本実施形態では、アクチュエータ群120には、車両100を加速させるための駆動装置のアクチュエータ、車両100の進行方向を変更するための操舵装置のアクチュエータ、および、車両100を減速させるための制動装置のアクチュエータが含まれている。駆動装置には、バッテリ、バッテリの電力により駆動する走行用モータ、および、走行用モータにより回転する駆動輪が含まれている。駆動装置のアクチュエータには、走行用モータが含まれている。なお、アクチュエータ群120には、例えば、車両100のワイパーを駆動させるためのアクチュエータや、ドアミラーを駆動させるためのアクチュエータや、パワーウィンドウを駆動させるためのアクチュエータなどが含まれてもよい。
【0011】
車両制御装置110は、プロセッサ111と、メモリ112と、入出力インタフェース113と、内部バス114とを備えるコンピュータにより構成されている。プロセッサ111、メモリ112、および、入出力インタフェース113は、内部バス114を介して、双方向に通信可能に接続されている。入出力インタフェース113には、アクチュエータ群120、および、通信装置130が接続されている。
【0012】
プロセッサ111は、メモリ112に予め記憶されているコンピュータプログラムPG1を実行することにより、車両制御部115、制御信号受付部116、無効化信号検出部117、タイマー118、および、無効化実行部119として機能する。車両制御部115は、アクチュエータ群120を制御する。制御信号受付部116は、制御信号受付部116は、車両100を遠隔制御するための遠隔制御装置から送信された制御信号を受け付ける。本実施形態では、車両制御部115は、車両100に運転者が搭乗している場合には、運転者の操作に応じてアクチュエータ群120を制御することにより、車両100を走行させることができる。車両制御部115は、車両100に運転者が搭乗しているか否かにかかわらず、制御信号受付部116により受け付けられた制御信号に応じてアクチュエータ群120を制御することにより、車両100を走行させることができる。本実施形態では、制御信号受付部116は、制御信号を受け付ける有効状態と、制御信号を受け付けない無効状態とのいずれかで動作状態が切り替わる。以下の説明では、制御信号受付部116が無効状態に切り替わることを、遠隔制御が無効化されると呼ぶ。制御信号受付部116が有効状態に切り替わることを、遠隔制御が有効化されると呼ぶ。
【0013】
無効化信号検出部117は、遠隔制御無効化装置200から送信された無効化信号を検出する。本実施形態では、無効化信号には、遠隔制御の無効化を実行させる指令と、遠隔制御の無効化を実行する時期を示す情報とが含まれている。より具体的には、本実施形態では、遠隔制御の無効化を実行する時期を示す情報は、無効化時期までの残り時間を示す情報である。タイマー118は、無効化時期の到来を検出する。本実施形態では、タイマー118は、無効化時期までの残り時間をカウントダウンすることにより、無効化時期の到来を検出する。無効化実行部119は、タイマー118により無効化時期の到来が検出された場合に、制御信号受付部116を無効状態に切り替える。換言すれば、無効化実行部119は、タイマー118により無効化時期の到来が検出されたタイミングで、車両100の遠隔制御を無効化する。無効化実行部119は、車両100の遠隔制御を可逆的または不可逆的に無効化する。遠隔制御を可逆的に無効化するとは、遠隔制御を再び有効化できるように無効化することを意味し、遠隔制御を不可逆的に無効化するとは、遠隔制御を再び有効化できないように無効化することを意味する。
【0014】
図1に示すように、遠隔制御無効化装置200は、プロセッサ201と、メモリ202と、入出力インタフェース203と、内部バス204とを備えるコンピュータにより構成されている。プロセッサ201、メモリ202、および、入出力インタフェース203は、内部バス204を介して、双方向に通信可能に接続されている。入出力インタフェース203には、無線通信により車両100と通信するための通信装置205が接続されている。
【0015】
プロセッサ201は、メモリ202に予め記憶されているコンピュータプログラムPG2を実行することにより、情報取得部210、無効化時期決定部220、無効化信号生成部230、および、無効化信号送信部240として機能する。情報取得部210は、各種情報を取得する。本実施形態では、情報取得部210は、生産管理装置300から、車両100を購入する購入者に車両100が納入される納入日を示す情報を取得する。無効化時期決定部220は、情報取得部210により取得された情報を用いて、無効化時期を決定する。本実施形態では、無効化時期決定部220は、車両100が製造されてから購入者に納入されるまでの期間内の所定時期を無効化時期に決定する。具体的には、無効化時期決定部220は、車両100が購入者に納入される納入日の前日の所定時刻を無効化時期に決定する。無効化信号生成部230は、車両100の遠隔制御を無効化するための無効化信号を生成する。無効化信号送信部240は、無効化信号生成部230により生成された無効化信号を車両100に送信する。なお、無効化信号のことを単に信号と呼ぶことがある。
【0016】
生産管理装置300は、工場における車両100の生産全般の管理を実行する。生産管理装置300は、少なくとも1台のコンピュータにより構成されている。生産管理装置300は、図示されていない通信装置を備えており、有線通信あるいは無線通信により、遠隔制御無効化装置200、および、工場内や工場外の各種設備と通信することができる。生産管理装置300は、車両100の発注状況、車両100を構成する部品の調達状況、および、車両100の生産状況を含む各種情報を管理する。
【0017】
図3は、工場KJにおいて車両100が遠隔制御により移動する様子を示す説明図である。
図3には、5台の車両100A~100Eが図示されている。以下の説明では、5台の車両100A~100Eを特に区別せずに説明する場合には、単に車両100と呼ぶ。本実施形態では、車両100を製造する工場KJには、車両100を遠隔制御するための遠隔制御装置400が設置されている。車両100は、遠隔制御装置400に遠隔制御されることにより、工場KJ内を走行する。工場KJは、車両100の組み立てを実施するための第1場所PL1と、車両100の検査を実施するための第2場所PL2と、検査に合格した車両100を保管するための第3場所PL3とを備えている。第1場所PL1、第2場所PL2、および、第3場所PL3は、車両100が走行可能な走行路SRによって接続されている。第1場所PL1において組み立てられた車両100には、車両制御装置110とアクチュエータ群120と通信装置130とが装着されている。第1場所PL1において組み立てられた車両100は、遠隔制御装置400に遠隔制御されることにより第1場所PL1から第2場所PL2まで走行する。第2場所PL2における検査に合格した車両100は、遠隔制御装置400に遠隔制御されることにより第2場所PL2から第3場所PL3まで走行する。第3場所PL3に到着した車両100は、その後、工場KJから出荷される。工場KJから出荷された車両100は、販売店DRに搬送され、購入者に納入される。
【0018】
遠隔制御装置400が遠隔制御により車両100を移動させる方法について説明する。遠隔制御装置400は、車両100が走行路SRを通って目的地まで走行するための目標ルートを決定する。工場KJには、走行路SRを撮影する複数のカメラCMが設置されており、遠隔制御装置400は、各カメラCMにより撮影された映像を解析することにより、リアルタイムで、目標ルートに対する車両100の相対的な位置および向きを取得することができる。遠隔制御装置400は、車両100を目標ルートに沿って走行させるための制御信号を生成し、制御信号を車両100に送信する。制御信号には、例えば、車両100の加速度の目標値や操舵角の目標値が示されている。車両100に搭載されている車両制御装置110は、受信した制御信号に応じてアクチュエータ群120を制御することにより、車両100を走行させる。したがって、クレーンやコンベアなどの搬送装置を用いずに、車両100を移動させることができる。
【0019】
図4は、販売店DRに配置されている発注装置500において実行される発注処理の内容を示すフローチャートである。
図5は、遠隔制御無効化装置200において実行される無効化信号送信処理の内容を示すフローチャートである。
図6は、車両100において実行される無効化実行処理の内容を示すフローチャートである。
図7は、車両100の遠隔制御が無効化される様子を示す説明図である。
図4から
図7を用いて、遠隔制御無効化システム10において実施される遠隔制御無効化方法について説明する。
【0020】
図4に示す発注処理は、発注装置500により実行される。発注処理が開始されると、ステップS110にて、発注装置500は、購入者からの注文内容に沿って発注情報を生成する。発注情報には、例えば、車種、グレード、オプション品、販売店、および、販売店の担当者などに関する情報が含まれている。ステップS120にて、発注装置500は、生産管理装置300に、発注情報を送信する。その後、発注装置500は、発注処理を終了する。
【0021】
図5に示す無効化信号送信処理は、遠隔制御無効化装置200により繰り返し実行される。無効化信号送信処理が開始されると、ステップS210にて、情報取得部210は、生産管理装置300が発注情報を受信したか否かを判定する。ステップS210において発注情報を受信しなかったと判定された場合には、遠隔制御無効化装置200は、ステップS210後の処理をスキップして、無効化信号送信処理を終了する。
【0022】
ステップS210において発注情報を受信したと判定した場合には、無効化時期決定部220は、ステップS220にて、無効化時期を決定する。本実施形態では、無効化時期決定部220は、生産管理装置300から車両100の納入日を示す情報を取得し、納入日の前日の所定時刻を無効化時期に決定する。所定時刻は、特に限定されず、例えば、午後10時とすることができる。
【0023】
ステップS230にて、無効化信号生成部230は、無効化信号を生成する。本実施形態では、無効化信号生成部230は、納入する車両100の遠隔制御を納入日の前日の所定時刻に無効化する無効化信号を生成する。ステップS240にて、無効化信号送信部240は、納入する車両100に無効化信号を送信する。その後、遠隔制御無効化装置200は、無効化信号送信処理を終了する。
【0024】
図6に示す無効化実行処理は、遠隔制御が有効な状態の車両制御装置110において繰り返し実行される。無効化実行処理が開始されると、ステップS310にて、無効化信号検出部117は、無効化信号を受信したか否かを判定する。ステップS310において無効化信号を受信しなかったと判定された場合には、車両制御装置110は、ステップS310後の処理をスキップして、無効化実行処理を終了する。ステップS310において無効化信号を受信したと判定した場合には、無効化信号検出部117は、ステップS320にて、タイマー118による無効化時期までの残り時間のカウントダウンを開始させる。
【0025】
ステップS330にて、無効化実行部119は、タイマー118を用いて無効化時期が到来したか否かを判定する。ステップS330において無効化時期が到来していないと判定された場合には、無効化実行部119は、ステップS330において無効化時期が到来したと判定されるまで、ステップS330の処理を繰り返す。無効化実行部119は、遠隔制御の無効化をキャンセルする信号を受信した場合には、ステップS330において無効化時期が到来したと判定されるのを待たずに無効化実行処理を中止してもよい。ステップS330において無効化時期が到来したと判定された場合には、無効化実行部119は、ステップS340にて、遠隔制御の無効化を実行する。その後、車両制御装置110は、無効化実行処理を終了する。
【0026】
図7に示すように、工場KJから車両100が出荷される前に、遠隔制御無効化装置200から車両100に無効化信号MSが送信される。無効化信号MSを受信した車両100では、タイマー118が無効化時期までのカウントダウンを開始する。
図7では、無効化時期は、車両100が購入者CSに納入される日の前日の所定時刻である。無効化時期である納入日前日の所定時刻が到来したことがタイマー118により検出されると、無効化実行部119が作動し、車両100の遠隔制御が無効化される。納入日には、遠隔制御が無効化されている状態の車両100が購入者CSに納入される。
【0027】
以上で説明した本実施形態における遠隔制御無効化システム10によれば、車両100を遠隔制御により移動させる工程が終了してから車両100が購入者CSに納入されるまでの間に、車両100の遠隔制御を無効化することができる。したがって、適切な時期に車両100の遠隔制御を無効化することができる。本実施形態では、車両100の納入日前日の所定時刻までは、車両100の遠隔制御が無効化されないため、遠隔制御装置400や車両100の位置および向きを取得するためのカメラCMが販売店DRに配置されている場合には、販売店DRにおいて車両100を遠隔制御により移動させることができる。したがって、販売店DRの作業員等が車両100を運転しなくても、販売店DRにおいて車両100を移動させることができる。
【0028】
B.第2実施形態:
図8は、第2実施形態の遠隔制御無効化システム10bにおいて実行される無効化実行処理の内容を示すフローチャートである。
図9は、第2実施形態の遠隔制御無効化システム10bにおいて車両100の遠隔制御が無効化される様子を示す説明図である。第2実施形態の遠隔制御無効化システム10bでは、車両100の遠隔制御を可逆的に無効化した後、車両100の遠隔制御を不可逆的に無効化することが第1実施形態とは異なる。その他の構成については、特に説明しない限り、第1実施形態と同じである。
【0029】
本実施形態では、無効化時期決定部220は、車両100の遠隔制御を可逆的に無効化する第1無効化時期と、車両100の遠隔制御を不可逆的に無効化する第2無効化時期とを決定する。第2無効化時期は、第1無効化時期よりも後の時期である。なお、第1無効化時期のことを第1時期と呼び、第2無効化時期のことを第2時期と呼ぶことがある。
【0030】
図8に示す無効化実行処理が開始されると、ステップS410にて、無効化信号検出部117は、無効化信号を受信したか否かを判定する。ステップS410において無効化信号を受信しなかったと判定された場合には、車両制御装置110は、ステップS410後の処理をスキップして、無効化実行処理を終了する。ステップS410において無効化信号を受信したと判定した場合には、無効化信号検出部117は、ステップS420にて、タイマー118による第1無効化時期までの残り時間のカウントダウンおよび第2無効化時期までの残り時間のカウントダウンを開始させる。
【0031】
ステップS430にて、無効化実行部119は、タイマー118を用いて第1無効化時期が到来したか否かを判定する。ステップS430において第1無効化時期が到来していないと判定された場合には、無効化実行部119は、ステップS430において第1無効化時期が到来したと判定されるまで、ステップS430の処理を繰り返す。無効化実行部119は、遠隔制御の無効化をキャンセルする信号を受信した場合には、ステップS430において第1無効化時期が到来したと判定されるのを待たずに無効化実行処理を中止してもよい。ステップS430において第1無効化時期が到来したと判定された場合には、無効化実行部119は、ステップS440にて、遠隔制御の可逆的な無効化を実行する。
【0032】
ステップS450にて、無効化実行部119は、タイマー118を用いて第2無効化時期が到来したか否かを判定する。ステップS450において第2無効化時期が到来していないと判定された場合には、無効化実行部119は、ステップS450において第2無効化時期が到来したと判定されるまで、ステップS450の処理を繰り返す。無効化実行部119は、遠隔制御の無効化をキャンセルする信号を受信した場合には、ステップS450において第2無効化時期が到来したと判定されるのを待たずに無効化実行処理を中止してもよい。ステップS450において第2無効化時期が到来したと判定された場合には、無効化実行部119は、ステップS460にて、遠隔制御の不可逆的な無効化を実行する。その後、車両制御装置110は、無効化実行処理を終了する。
【0033】
図9に示すように、工場KJから出荷される前に、遠隔制御無効化装置200から車両100に無効化信号MSが送信される。
図9では、第1無効化時期は、車両100が工場KJから出荷される日の所定時刻であり、第2無効化時期は、車両100が購入者CSに納入される日の前日の所定時刻である。第1無効化時期である出荷日の所定時刻が到来したことがタイマー118により検出されると、無効化実行部119が車両100の遠隔制御を可逆的に無効化する。第2無効化時期である納入日前日の所定時刻が到来したことがタイマー118により検出されると、無効化実行部119が車両100の遠隔制御を不可逆的に無効化する。納入日には、遠隔制御が不可逆的に無効化されている状態の車両100が購入者CSに納入される。
【0034】
以上で説明した本実施形態における遠隔制御無効化システム10bによれば、第1無効化時期にて車両100の遠隔制御を可逆的に無効化し、第2無効化時期にて車両100の遠隔制御を不可逆的に無効化することができる。
【0035】
C.第3実施形態:
図10は、第3実施形態の遠隔制御無効化システム10cの構成を示す説明図である。
図11は、第3実施形態の遠隔制御無効化装置200において実行される無効化信号送信処理の内容を示すフローチャートである。
図12は、第3実施形態の車両100において実行される無効化実行処理の内容を示すフローチャートである。
図13は、第3実施形態の遠隔制御無効化システム10cおいて車両100の遠隔制御が無効化される様子を示す説明図である。第3実施形態の遠隔制御無効化システム10cでは、車両100ではなく、遠隔制御無効化装置200において、無効化時期が到来したことが検出されることが第1実施形態とは異なる。その他の構成については、特に説明しない限り、第1実施形態と同じである。
【0036】
本実施形態では、遠隔制御無効化装置200のプロセッサ201は、メモリ202に予め記憶されているコンピュータプログラムPG2を実行することにより、情報取得部210、無効化時期決定部220、無効化信号生成部230、および、無効化信号送信部240として機能することに加えて、無効化時期の到来を検出するタイマー235として機能する。なお、本実施形態では、
図2に示したタイマー118が車両100に設けられていなくてもよい。
【0037】
図11に示す無効化信号送信処理が開始されると、ステップS610にて、情報取得部210は、生産管理装置300が発注情報を受信したか否かを判定する。ステップS610において発注情報を受信しなかったと判定された場合には、遠隔制御無効化装置200は、ステップS610後の処理をスキップして、無効化信号送信処理を終了する。
【0038】
ステップS610において発注情報を受信したと判定した場合には、無効化時期決定部220は、ステップS620にて、無効化時期を決定する。ステップS630にて、無効化信号生成部230は、無効化信号を生成する。本実施形態では、無効化信号生成部230は、無効化信号には、無効化時期の情報が含まれていなくてもよい。ステップS640にて、無効化信号生成部230は、タイマー235による無効化時期までの残り時間のカウントダウンを開始させる。
【0039】
ステップS650にて、無効化信号送信部240は、タイマー235を用いて無効化時期が到来したか否かを判定する。ステップS650において無効化時期が到来していないと判定された場合には、無効化信号送信部240は、ステップS650において無効化時期が到来したと判定されるまで、ステップS650の処理を繰り返す。無効化信号送信部240は、遠隔制御の無効化をキャンセルすることが決定された場合には、ステップS650において無効化時期が到来したと判定されるのを待たずに無効化信号送信処理を中止してもよい。ステップS650において無効化時期が到来したと判定された場合には、無効化信号送信部240は、ステップS660にて、納入する車両100に無効化信号を送信する。その後、遠隔制御無効化装置200は、無効化信号送信処理を終了する。
【0040】
図12に示す無効化実行処理が開始されると、ステップS710にて、無効化信号検出部117は、無効化信号を受信したか否かを判定する。ステップS710において無効化信号を受信しなかったと判定された場合には、車両制御装置110は、ステップS710後の処理をスキップして、無効化実行処理を終了する。ステップS710において無効化信号を受信したと判定された場合には、無効化実行部119は、ステップS720にて、遠隔制御の無効化を実行する。その後、車両制御装置110は、無効化実行処理を終了する。
【0041】
図13に示すように、工場KJから出荷される前に、遠隔制御無効化装置200において、無効化時期が決定される。
図13では、無効化時期は、車両100が工場KJから出荷される日の所定時刻である。無効化時期である出荷日の所定時刻が到来したことがタイマー235により検出されると、無効化信号送信部240が車両100に無効化信号を送信し、無効化実行部119が無効化信号に応じて車両100の遠隔制御を無効化する。納入日には、遠隔制御が無効化されている状態の車両100が購入者CSに納入される。
【0042】
以上で説明した本実施形態における遠隔制御無効化システム10cによれば、適切な時期に車両100の遠隔制御を無効化することができる。
【0043】
D.他の実施形態:
(D1)上述した各実施形態の遠隔制御無効化システム10~10cにおいて、無効化時期決定部220は、無効化時期を決定した後、無効化時期を変更してもよい。例えば、無効化時期決定部220は、車両100の納入日に関する情報が変更されたか否かを判定し、車両100の納入日に関する情報が変更されたと判定した場合に、無効化時期を変更してもよい。無効化時期決定部220は、生産管理装置300から最新の納入日に関する情報を取得することにより、納入日に関する情報が変更されたか否かを判定することができる。無効化時期決定部220は、最新の納入日に関する情報を用いて、車両100の無効化時期を変更することができる。第1実施形態の遠隔制御無効化システム10において無効化時期が変更された場合には、無効化信号生成部230は、変更後の無効化時期の情報を含む新たな無効化信号を生成し、無効化信号送信部240は、新たな無効化信号を車両100に送信することができる。新たな無効化信号を検出した無効化信号検出部117は、変更後の無効化時期の到来が検出されるようにタイマー118を再設定することができる。第2実施形態の遠隔制御無効化システム10bでは、無効化時期決定部220は、第1無効化時期と第2無効化時期とのうちの少なくとも一方を変更してもよい。第3実施形態の遠隔制御無効化システム10cにおいて無効化時期が変更された場合には、無効化信号生成部230は、変更後の無効化時期の情報を含む新たな無効化信号を生成し、変更後の無効化時期の到来が検出されるようにタイマー235を再設定することができる。無効化信号送信部240は、変更後の無効化時期の到来がタイマー235により検出された場合に、新たな無効化信号を車両100に送信することができる。無効化時期決定部220は、車両100の納入日に関する情報ではなく、車両100を構成する部品の調達状況に関する情報が変更された場合に、無効化時期を変更してもよい。無効化時期決定部220は、車両100の納入日に関する情報と、車両100を構成する部品の調達状況に関する情報との少なくともいずれか一方の情報が変更された場合に、無効化時期を変更してもよい。
【0044】
(D2)上述した各実施形態の遠隔制御無効化システム10~10cにおいて、遠隔制御無効化装置200は、車両100の無効化時期を決定する無効化時期決定部220を備えていなくてもよい。例えば、生産管理装置300により車両100の無効化時期が決定され、無効化信号生成部230は、生産管理装置300により決定された無効化時期の情報を含む無効化信号を生成してもよい。
【0045】
(D3)上述した第1実施形態の遠隔制御無効化システム10および第3実施形態の遠隔制御無効化システム10cにおいて、無効化時期決定部220は、車両100が販売店DRにおいて購入者CSに納入される日の前日の所定時刻を無効化時期に決定している。これに対して、無効化時期決定部220は、車両100が販売店DRにおいて購入者CSに納入される日の当日の所定日時を無効化時期に決定してもよい。無効化時期決定部220は、車両100が販売店DRにおいて購入者CSに納入される日の前日よりも前の所定日時を無効化時期に決定してもよい。例えば、無効化時期決定部220は、車両100が販売店DRに納入される日の前日の所定時刻を無効化時期に決定してもよい。車両100が工場KJから出荷される日の所定時刻を無効化時期に決定してもよい。無効化時期決定部220は、車両100が販売店DRにおいて購入者CSに納入される日以後の所定日時を無効化時期に決定してもよい。
【0046】
(D4)上述した第2実施形態の遠隔制御無効化システム10bにおいて、無効化時期決定部220は、第1無効化時期に決定し、車両100が購入者CSに納入される日の前日の所定時刻を第2無効化時期に決定している。これに対して、第1無効化時期は、車両100が工場KJから出荷される日よりも前の所定日時であってもよいし、車両100が工場KJから出荷される日よりも後の所定日時であってもよい。第2無効化時期は、車両100が購入者CSに納入される日の前日よりも前の所定日時であってもよいし、車両100が購入者CSに納入される日の前日よりも後の所定日時であってもよい。
【0047】
(D5)上述した各実施形態の遠隔制御無効化システム10~10cにおいて、遠隔制御無効化装置200は、生産管理装置300と一体化されてもよい。遠隔制御無効化装置200は、遠隔制御装置400と一体化されてもよい。遠隔制御無効化装置200は、生産管理装置300および遠隔制御装置400と一体化されてもよい。
【0048】
(D6)上述した各実施形態の遠隔制御無効化システム10~10cでは、遠隔制御無効化装置200に情報取得部210および無効化時期決定部220が設けられている。これに対して、遠隔制御無効化装置200ではなく、車両制御装置110に情報取得部210および無効化時期決定部220が設けられてもよい。この場合、車両100において無効化時期を決定できる。
【0049】
(D7)上述した各実施形態の遠隔制御無効化システム10~10cでは、第1場所PL1での組立作業が終了した時点で、車両100は、遠隔制御により移動可能な状態となっている。車両100が遠隔制御により移動可能な状態とは、車両100が車両制御装置110とアクチュエータ群120と通信装置130とを備えており、遠隔制御により「走る」、「曲がる」、「止まる」の3つの機能を発揮可能な状態のことを意味する。したがって、遠隔制御による移動中の車両100には、運転席やダッシュボードなどの内装部品の少なくとも一部が取り付けられていなくてもよいし、バンパーやフェンダーなどの外装部品の少なくとも一部が取り付けられていなくてもよいし、ボディシェルが取り付けられていなくてもよい。この場合、車両100が工場KJから出荷されるまでの間にボディシェル等の残りの部品が車両100に取り付けられてもよいし、工場KJから出荷された後にボディシェル等の残りの部品が車両100に取り付けられてもよい。
【0050】
(D8)上述した各実施形態の遠隔制御無効化システム10~10cでは、遠隔制御装置400は、車両100に送信する制御信号を自動で生成している。これに対して、遠隔制御装置400は、車両100の外部に位置しているオペレータの操作に従って、車両100に送信する制御信号を生成してもよい。例えば、車両100の位置および向きを表示するディスプレイ、車両100を操作するためのステアリング、アクセルペダル、および、ブレーキペダルを備える運転装置をオペレータが操作し、遠隔制御装置400は、運転装置に加えられた操作に応じて制御信号を生成してもよい。
【0051】
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0052】
10~10c…遠隔制御無効化システム、100…車両(移動体)、110…車両制御装置、111…プロセッサ、112…メモリ、113…入出力インタフェース、114…内部バス、115…車両制御部、116…制御信号受付部、117…無効化信号検出部、118…タイマー、119…無効化実行部、120…アクチュエータ群、130…通信装置、200…遠隔制御無効化装置、201…プロセッサ、202…メモリ、203…入出力インタフェース、204…内部バス、205…通信装置、210…情報取得部、220…無効化時期決定部、230…無効化信号生成部、235…タイマー、240…無効化信号送信部、300…生産管理装置、400…遠隔制御装置、500…発注装置
【要約】
【課題】適切な時期に移動体の遠隔制御を無効化可能な技術を提供する。
【解決手段】遠隔制御無効化装置は、遠隔制御により動作可能な移動体に、遠隔制御の無効化を予め定められた無効化時期が到来したタイミングで実行させる信号を送信する処理、または、移動体に、遠隔制御の無効化を実行させる信号を無効化時期が到来したタイミングで送信する処理を実行する無効化信号送信部を備える。
【選択図】
図7