(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】オイル塗布装置
(51)【国際特許分類】
B05B 7/30 20060101AFI20241001BHJP
F16N 7/32 20060101ALI20241001BHJP
F16N 31/00 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
B05B7/30
F16N7/32 A
F16N31/00 C
(21)【出願番号】P 2023196001
(22)【出願日】2023-11-17
【審査請求日】2023-11-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】横須賀 竜也
(72)【発明者】
【氏名】小島 順一
【審査官】吉田 昌弘
(56)【参考文献】
【文献】実開平02-025050(JP,U)
【文献】実開平04-030067(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2010/0116594(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0242665(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 7/30
F16N 7/32
F16N 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被塗布部にオイルを塗布するオイル塗布装置であって、
オイル供給部から供給されるオイルが流れるオイル流路と、
オイル吐出口を有し、前記オイル流路に接続され、当該オイル流路に流れる前記オイルを前記オイル吐出口から吐出するオイルノズルと、
エアが流れるエア流路と、
エア吐出口を有し、前記エア流路に接続され、当該エア流路に流れる前記エアを前記エア吐出口から吐出するエアノズルと、
を備え、
前記エア吐出口は、前記被塗布部と直線上で対向するように配置さ
れ、
前記エア吐出口は、さらに、鉛直方向下側から鉛直方向上側に向かって開口し、
前記オイル吐出口は、
水平方向に向かって開口し、前記エア吐出口の中央部の位置を通る
鉛直線上に配置される、
オイル塗布装置。
【請求項2】
前記オイル供給部は、
前記オイル流路へ供給されるオイルを溜めることが可能なオイルディッシュと、
オイルを貯留することが可能であり、貯留した前記オイルがオイル流出口を介して前記オイルディッシュに流出するように所定位置に配置されるオイルタンクと、
を備え、
前記オイル流出口は、前記オイルタンクが前記所定位置に配置される場合、前記オイルディッシュに溜められる前記オイルの液面の位置と鉛直方向で同じ位置になるように配置される、
請求項
1に記載のオイル塗布装置。
【請求項3】
前記オイルディッシュに溜められる前記オイルの液面の位置は、前記オイル吐出口の下縁部の位置と鉛直方向で同じ位置である、
請求項
2に記載のオイル塗布装置。
【請求項4】
前記オイル流出口を閉塞するように前記オイル流出口の周縁部に係止する閉塞位置と、前記オイル流出口を開放するように前記オイル流出口の周縁部から外れる開放位置との間を移動可能な弁体と、
前記弁体を前記開放位置から前記閉塞位置へ移動する方向に付勢する付勢部材と、
前記オイルタンクが前記所定位置に配置された場合、前記付勢部材の付勢力に抗して前記弁体を前記閉塞位置から前記開放位置に押し込む押込部材と、
をさらに備える、
請求項
2に記載のオイル塗布装置。
【請求項5】
被塗布部にオイルを塗布するオイル塗布装置であって、
オイル供給部から供給されるオイルが流れるオイル流路と、
オイル吐出口を有し、前記オイル流路に接続され、当該オイル流路に流れる前記オイルを前記オイル吐出口から吐出するオイルノズルと、
エアが流れるエア流路と、
エア吐出口を有し、前記エア流路に接続され、当該エア流路に流れる前記エアを前記エア吐出口から吐出するエアノズルと、
を備え、
前記エア吐出口は、前記被塗布部と直線上で対向するように配置され、
前記オイル吐出口は、前記エア吐出口の中央部の位置を通る前記直線上に配置さ
れ、
複数の前記被塗布部が円周方向に沿うように一定の間隔で配置されており、
複数の前記エア吐出口は、さらに、前記複数の被塗布部のそれぞれに対して配置され、
複数の前記エア流路は、互いに同じ長さを有する、
オイル塗布装置。
【請求項6】
被塗布部にオイルを塗布するオイル塗布装置であって、
オイル供給部から供給されるオイルが流れるオイル流路と、
オイル吐出口を有し、前記オイル流路に接続され、当該オイル流路に流れる前記オイルを前記オイル吐出口から吐出するオイルノズルと、
エアが流れるエア流路と、
エア吐出口を有し、前記エア流路に接続され、当該エア流路に流れる前記エアを前記エア吐出口から吐出するエアノズルと、
を備え、
前記エア吐出口は、前記被塗布部と鉛直線上で対向するように配置され、
前記オイル吐出口は、水平方向に向かって開口し、前記被塗布部と前記エア吐出口との間の空間に配置され、
前記オイル供給部は、前記オイル流路を介して前記オイル吐出口の下縁部の位置にオイルを供給する、
オイル塗布装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、オイル塗布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種機械の回転部分に用いられ、オイルが漏れ出すのを防ぐためのオイルシールが知られている。また、そのオイルシールにオイルを塗布するためのオイル塗布装置がある。
【0003】
例えば、特許文献1には、オイルシールをオイル含浸部材に接触させて、オイルシールの表面にオイルが塗布されるようにしたオイル塗布装置が記載されている。
【0004】
また、例えば、特許文献2には、ワークのOリングに油を塗布する装置であって、作動弁によりエア管を開閉制御し、エア管の圧力エアによって作動するオイル圧送ポンプによって所定量のオイルをオイル溜まりに導き、塗布室の上部に設けたオイル流入溝からオイルを流入させることで、Oリングにオイルを塗布するオイル塗布装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2007-160146号公報
【文献】特開平7-198039号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、オイルシールにオイルを塗布する工程を手作業により行うと、オイル塗布作業の負荷が大きいという問題がある。
【0007】
また、上記の特許文献1に記載されたオイル塗布装置は、オイル含浸部材が用いられ、オイル含浸部材に含浸されるオイル含浸量を一定に維持するためのメンテナンス作業に手間がかかるという問題がある。
【0008】
また、上記の特許文献2に記載されたオイル塗布装置は、油圧ポンプ等の部品を有するため、コストが嵩むという問題がある。
【0009】
本開示の目的は、オイル塗布作業の負荷を軽減することが可能なオイル塗布装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するため、本開示におけるオイル塗布装置は、
被塗布部にオイルを塗布するオイル塗布装置であって、
オイル供給部から供給されるオイルが流れるオイル流路と、
オイル吐出口を有し、前記オイル流路に接続され、当該オイル流路に流れる前記オイルを前記オイル吐出口から吐出するオイルノズルと、
エアが流れるエア流路と、
エア吐出口を有し、前記エア流路に接続され、当該エア流路に流れる前記エアを前記エア吐出口から吐出するエアノズルと、
を備え、
前記エア吐出口は、前記被塗布部と直線上で対向するように配置され、
前記エア吐出口は、さらに、鉛直方向下側から鉛直方向上側に向かって開口し、
前記オイル吐出口は、水平方向に向かって開口し、前記エア吐出口の中央部の位置を通る鉛直線上に配置される。
【0011】
また、本開示におけるオイル塗布装置は、
被塗布部にオイルを塗布するオイル塗布装置であって、
オイル供給部から供給されるオイルが流れるオイル流路と、
オイル吐出口を有し、前記オイル流路に接続され、当該オイル流路に流れる前記オイルを前記オイル吐出口から吐出するオイルノズルと、
エアが流れるエア流路と、
エア吐出口を有し、前記エア流路に接続され、当該エア流路に流れる前記エアを前記エア吐出口から吐出するエアノズルと、
を備え、
前記エア吐出口は、前記被塗布部と鉛直線上で対向するように配置され、
前記オイル吐出口は、水平方向に向かって開口し、前記被塗布部と前記エア吐出口との間の空間に配置され、
前記オイル供給部は、前記オイル流路を介して前記オイル吐出口の下縁部の位置にオイルを供給する。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、オイル塗布作業の負荷を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本開示の実施の形態におけるオイル塗布装置の全体構成を示す図である。
【
図2】
図2は、本開示の実施の形態における受け台等を示す図である。
【
図4】
図4は、治具の一部等を示す部分断面図である。
【
図5】
図5は、本開示の実施の形態におけるオイル流路等を示す図である。
【
図6】
図6は、本開示の実施の形態におけるオイル流出口が閉塞された状態を示す図である。
【
図7】
図7は、本開示の実施の形態におけるオイル流出口が開放された状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本開示の実施の形態におけるオイル塗布装置の全体構成を示す図である。
図1にはX軸およびY軸が描かれている。
図1において左右方向を「水平方向」または「X方向」という。また、
図1において上下方向を「鉛直向」または「Y方向」といい、上方向を「上側」、「鉛直方向上側」または「+Y方向」、下方向を「下側」、「鉛直方向下側」または「-Y方向」という。
【0015】
本実施の形態におけるオイル塗布装置100Aは、被塗布部W20(
図4参照)にオイルを塗布する装置であって、オイル吐出機構部100と、オイル供給部200と、エア制御器300と、オイルドレン排出部400と、を備えている。
【0016】
(オイル吐出機構部100)
オイル吐出機構部100は、受け台1と、治具5と、オイルノズル10と、を有している。
【0017】
(受け台1)
図2は、本開示の実施の形態における受け台等を示す図である。
図3は、
図2のA-A線断面図である。
図1、
図2および
図3に示すように、受け台1は円柱台である。円柱台の軸方向は上下方向(Y方向)である。受け台1(円柱台)は、軸の中心部1aと、軸の外周壁1bと、軸の上側端に位置する上面部1cと、軸の下側端に位置する下面部1dと、を有している。中心部1aの周囲には、軸回りの円周方向に90度の間隔で4つの垂直穴1eが配置されている。4つの垂直穴1eのそれぞれは、4箇所の被塗布部W20(
図4参照)のそれぞれに対応するように配置されている。垂直穴1eは、受け台1を上下方向に貫通する貫通穴であって、下面部1dから凹底部3まで延在している。以下の説明で、外周壁1b側から中心部1a側に向かう水平方向を「求心方向」という。また、中心部1a側から外周壁1b側に向かう水平方向を「遠心方向」という。垂直穴1eの上下方向の中央位置よりも上側に位置する上側穴1e_uは、垂直穴1eの上下方向の中央位置よりも下側に位置する下側穴1e_lの穴径よりも小さな径を有している。
【0018】
外周壁1bには、外周壁1bに円周方向に90度の間隔で4つの水平穴1fが配置されている。4つの水平穴1fのそれぞれは、4つの垂直穴1eのそれぞれに対応配置されている。換言すれば、4つの水平穴1fのそれぞれは、4箇所の被塗布部W20(
図4参照)のそれぞれに対応するように配置されている。水平穴1fは、それの水平穴1fが対応する垂直穴1eに連絡する連絡用の穴であって、外周壁1bから垂直穴1eまで水平方向(求心方向)に延在している。水平穴1fの穴壁には雌ネジ部が螺設されている。
【0019】
上面部1cは、下方向(-Y方向)に凹設された下凹部2を有している。下凹部2は、底面を有する凹底部3と、凹底部3の外周縁から上方向(+Y方向)に立設された凹壁部4とを有している。
【0020】
凹底部3の底面の中央部には、受け台1を上下方向(Y方向)に貫通するドレン用の貫通穴3aが配置されている。凹底部3の底面は、求心方向(水平方向)に対して下方向(-Y方向)に傾斜する傾斜面を有している。これにより、被塗布部W20に塗布されなかったオイルは傾斜面に沿って流下し、貫通穴3aを通って排出可能となる。
【0021】
凹壁部4は、受け台1(円柱台)の軸を中心とする所定径を有する周壁部4aと、周壁部4aと同心であって、周壁部4aよりも開口側(上方向)に配置され、周壁部4aの径よりも大きな径を有する周壁部4bと、周壁部4aの上側端縁から周壁部4bの下側端縁へ遠心方向に延在するように配置された段差部4cとを有している。周壁部4bと段差部4cとにより、嵌合凹部が形成されている。
【0022】
(治具5)
図4は、治具の一部等を示す部分断面図である。治具5は、軸方向を上下方向(Y方向)とする軸状部を有している。受け台1(円柱台)の軸と治具5(軸状部)の軸とは、同一の軸線上に配置される。以下の説明で、治具5(軸状部)の軸から直交する径方向へ離れる方向を「遠心方向」とい、遠心方向とは反対の方向を「求心方向」という。
【0023】
治具5(軸状部)は、その軸を中心として所定径を有する外側周壁部5aと、治具5の下側端に位置する下側端面部6と、を有している。下側端面部6は、上方向に凹設された上凹部7を有している。上凹部7は、治具5(軸状部)の軸を中心とする円形の底面を有する凹底部8と、凹底部8の外周縁から下方向(-Y方向)に延在する凹壁部9とを有している。凹壁部9は、外側周壁部5aと同心であって、外側周壁部5aの径よりも小さな径を有する内側周壁部である。
【0024】
治具5の下側端面部6は、治具5が受け台1に対して位置決めされるように、周壁部4bと段差部4cとより形成された嵌合凹部に嵌め込まれている。治具5が受け台1に対して位置決めされた状態では、下凹部2と上凹部7とが上下方向(Y方向)で合わせられている。これにより、下凹部2と上凹部7との間に、オイルを被塗布部W20に塗布するための塗布用の空間SCが形成される。被塗布部W20は、オイルシールW1に装着される。オイルシールW1は、環状のベース部W11と、ベース部W11の上面から上方向(+Y方向)に延在する上延在部W12と、ベース部W11の下面から下方向(-Y方向に延在する下延在部W13と、を有している。上延在部W12は、治具5の上凹部7に嵌め込まれる。以上により、オイルシールW1は、塗布用の空間SC内に位置し、治具5を介して受け台1に位置決めされる。
【0025】
下延在部W13には、巻きばねの両端を連結した環状のばねであるガータースプリングW2が外嵌している。これにより、ガータースプリングW2は、水平面に沿って円周方向に延在するようになる。ガータースプリングW2において、円周方向に沿った90度の間隔の位置に被塗布部W20が配置されている。つまり、被塗布部W20は、ガータースプリングW2の4箇所に配置されている。
【0026】
(オイルノズル10)
次に、オイルノズル10について
図3および
図4を参照して説明する。
図4に、本開示の実施の形態におけるオイル吐出機構部100の一部を拡大して示す。4本のオイルノズル10は、4箇所に配置された被塗布部W20のそれぞれに対応して配置されている。オイルノズル10は、管11を有している。管11の外周壁に雄ネジ部が螺設されている。管11の雄ネジ部は、水平穴1fの雌ネジ部に螺合している。管11は、雄ネジ部が水平方向(求心方向)に延在する雌ネジ部に螺合するため、水平穴1fと同じく、水平方向(求心方向)に延在するように配置される。また、管11の雄ネジ部にはナット15が螺合している。管11は、ナット15により外周壁1bに締結される。
【0027】
管11の水平方向(遠心方向)の端部には、オイル流路20(オイル配管21)を接続するための差し込み口12が配置されている。管11の水平方向(求心方向)の端部には、オイルを吐出するオイル吐出口13が配置されている。オイル吐出口13は、水平方向(X方向)に向かって開口している。また、オイル吐出口13は、被塗布部W20のそれぞれに対応して配置されている。
【0028】
(オイル流路20)
図5は、本開示の実施の形態におけるオイル流路等を示す図である。
図1および
図5に示すように、オイル流路20は、4本のオイルノズルのそれぞれに対応する4本のオイル配管21を有している。なお、
図5には4本の中の2本のオイル配管21を示している。4本のオイル配管21のそれぞれの遠心方向端部は、オイル供給部200に接続されている。4本のオイル配管21のそれぞれの下流側端部は、4本のオイルノズル10のそれぞれの差し込み口12に嵌合した状態で接続されている。つまり、オイル供給部200は、4本のオイル配管21のそれぞれを介して4本のオイルノズル10のそれぞれにオイルを供給する。具体的には、オイル供給部200は、4本のオイル配管21のそれぞれを介して4本のオイルノズル10のそれぞれの下縁部の位置にオイルを供給する。4本のオイルノズル10のそれぞれの下縁部の位置は、互いに鉛直方向(Y方向)で同じ位置である。
【0029】
(オイル供給部200)
次に、オイル供給部200について
図1、
図5、
図6および
図7を参照して説明する。
図6は、本開示の実施の形態におけるオイル流出口が閉塞された状態を示す図である。
図7は、本開示の実施の形態におけるオイル流出口が開放された状態を示す図である。オイル供給部200は、オイルディッシュ210と、逆止弁220と、オイルタンク230と、アタッチメント240と、を備える。
【0030】
(オイルタンク230)
オイルタンク230は、タンク部231と、排出管232とを有している。タンク部231は、オイルを貯留することが可能な容器である。タンク部231の底部には排出管232が接続されている。排出管232は、上下方向(Y方向)に所定の長さを有し、タンク部231の底部から下方向(-Y方向)に延在している。排出管232の下端は、逆止弁220に接続されている。
【0031】
(オイルディッシュ210)
オイルディッシュ210は、オイル流路20へ供給されるオイルを溜めることが可能な貯留部211を有している。貯留部211には、4本のオイル配管21のそれぞれの上流側端部が接続されている。オイルは、逆止弁220により下側口226(オイル流出口)が開放された場合、オイルタンク230からオイルが貯留部211に流し込まれ、貯留部211に溜められる。
【0032】
貯留部211の溜められたオイルの液面が低下すると、低下した分のオイルがオイルタンク230から下側口226(オイル流出口)を介して貯留部211に注がれ、貯留部211に溜められる。これにより、オイルタンク230にオイルが貯留されている場合、貯留部211に溜められるオイルの液面の鉛直方向の位置とオイル吐出口13の下縁部の鉛直方向の位置とは、同じ位置に維持される。また、貯留部211に溜められたオイルは、4本のオイル配管21のそれぞれを介して4つのオイル吐出口13のそれぞれに供給可能となる。
【0033】
オイルディッシュ210は、アタッチメント240の筒部242が嵌め込まれる凹部212を有している。オイルタンク230は、アタッチメント240を介してオイルディッシュ210から立設するように所定位置に配置される。オイルタンク230は、筒部242が凹部212に嵌め込まれることにより所定位置に配置される。
【0034】
アタッチメント240は、凹部241および筒部242を有している。凹部241にはタンク部231の底部が嵌め込まれる。筒部242には、排出管232が挿通する。
【0035】
(逆止弁220)
逆止弁220は、弁本体221と、ボール222と、ノックピン223と、付勢部材(不図示)とを有している。ボール222が本開示の「弁体」に相当する。また、ノックピン223が本開の「押込部材」に相当する。
【0036】
ボール222は、鉄製の球体である。ノックピン223は、鉄製の棒状体である。ノックピン223は、オイルディッシュ210に植設されている。ノックピン223の上端部は、貯留部211から鉛直方向上側(+Y方向)に延在している。
【0037】
弁本体221は、中空部224を有し、アタッチメント240の筒部242内に嵌め込まれる管状体である。中空部224は、ボール222の直径と同じ大きさの直径を有している。これにより、ボール222は、中空部224内を鉛直方向(Y方向)に移動可能となる。中空部224の鉛直方向上側(+Y方向)端は、+Y方向に開口する上側口225を有している。上側口225は、排出管232の直径よりも大きな直径を有している。これにより、排出管232は、鉛直方向上側(+Y方向)から上側口225を通って中空部224内に嵌入可能となる。
【0038】
中空部224の鉛直方向下側(-Y方向)端は、-Y方向に開口する下側口226を有している。下側口226は、ボール222の直径よりも小さな直径を有している。これにより、ボール222は、下側口226の周縁部に係止し、下側口226から鉛直方向下側へ落下不可となる。また、ボール222により下側口226が閉塞される。また、下側口226は、ノックピン223の直径よりも大きな直径を有している。これにより、ノックピン223は、鉛直方向下側(-Y方向)から下側口226を通って中空部224内に嵌入可能となる。また、ノックピン223によりボール222が押し上げられることにより、下側口226が開放される。下側口226が、本開示の「オイル流出口」に相当する。
【0039】
以上の構成により、ボール222は、下側口226(オイル流出口)を閉塞するように下側口226の周縁部に係止する閉塞位置と、下側口226を開放するように下側口226の周縁部から外れる開放位置との間を移動可能となる。
【0040】
付勢部材(例えば、バネ)は、ボール222を開放位置から閉塞位置へ移動する方向に付勢する。ノックピン223は、オイルタンク230が所定位置に配置された場合、付勢部材の付勢力に抗してボール222を閉塞位置から開放位置に押し込む。これにより、下側口226(オイル流出口)が開放され、オイルタンク230に貯留されたオイルが下側口226を通ってオイルディッシュ210に注がれ、オイルディッシュ210の貯留部211に溜められる。そして、貯留部211に溜められるオイルの液面の位置は、下側口226(オイル流出口)の位置と鉛直方向(Y方向)で同じ位置となる。
【0041】
オイルタンク230が所定位置に配置された場合、下側口226(オイル流出口)の位置は、4本のオイルノズル10のそれぞれのオイル吐出口13の下縁部の位置と鉛直方向(Y方向)で同じ位置である。つまり、下側口226(オイル流出口)の位置と、貯留部211に溜められるオイルの液面の位置と、オイル吐出口13の下縁部の位置とは、鉛直方向で同じ位置となる。
【0042】
(エアノズル30)
次に、エアノズル30等について
図1、
図2、
図3、
図4および
図5を参照して説明する。4箇所の被塗布部W20のそれぞれに対応するように4本のエアノズル30が配置されている。エアノズル30は、筒31を有している。筒31は、垂直穴1eの上側穴1e_uに挿通している。これにより、筒31は、垂直穴1eと同じく、上下方向(Y方向)に延在するように配置される。筒31の上方向(+Y方向)の端部である上端部には、エアを吐出するエア吐出口32が配置されている。エア吐出口32は、鉛直方向下側(-Y方向)から鉛直方向上側(+Y方向)に向かって開口している。つまり、エア吐出口32の位置と被塗布部W20の位置とは鉛直線上に配置されている。筒31の外周壁には雄ネジ部が螺設されている。
【0043】
4本の筒31のそれぞれの位置よりも下方向(-Y方向)には、筒31よりも大きな径を有する4つのコネクタ33が配置されている。コネクタ33は、垂直穴1eの下側穴1e_lに堅く嵌合している。コネクタ33の内周壁には、雌ネジ部が螺設されている。コネクタ33の雌ネジ部に筒31の雄ネジ部が螺合している。これにより、筒31とコネクタ33とが接続される。また、雌ネジ部に対して雄ネジ部を回転することで、筒31(エア吐出口32)の上下方向(Y方向)の位置を調整することが可能となる。コネクタ33は、下方向(-Y方向)に開口する差し込み口34を有している。
【0044】
エア流路40はエア配管41を有している。エア配管41の上流側端部は、エア制御器300に接続されている。エア配管41の下流側端は4本の分流管42に分岐し、4本の分流管42のそれぞれは、4つのコネクタ33のそれぞれの差し込み口34に嵌合している。これにより、4本の分流管42のそれぞれは、4つのコネクタ33のそれぞれに接続される。4本の分流管42のそれぞれは、互いに同じ長さを有している。これにより、エア制御器300から4本のエアノズル30のそれぞれのエア吐出口32までの距離(長さ)が互いに同じになるため、エア吐出口32から吐出するエアの吐出タイミングの相互のずれを抑制することが可能となる。
【0045】
エア制御器300は、外部から供給されるエアに含まれる水滴や塵埃等を除去するエアフィルタ310と、外部から供給されるエアの圧力を所定圧に調整するレギュレータ320とを備えている。これにより、所定圧に調整されたエアをエア吐出口32から吐出することが可能となる。
【0046】
次に、オイル吐出口13のエア吐出口32に対する位置について
図4を参照して説明する。
図4に鉛直線PLを示す。鉛直線PLは、エア吐出口32の中央部の位置を通り、上下方向(X方向)に延在している。オイル吐出口13は、鉛直線PL上に配置され、鉛直線PLに直交する求心方向に向かって開口している。
【0047】
上述するように、筒31(エア吐出口32)の上下方向(Y方向)の位置を調整することが可能である。これにより、オイル吐出口13の位置とエア吐出口32の位置との間の距離は調整可能である。
【0048】
(オイルドレン排出部400)
次に、オイルドレン排出部400について
図1を参照して説明する。
図1に示すように、オイルドレン排出部400は、ドレン配管410およびドレンタンク420を有している。ドレン配管410は、上流側配管411、下流側配管412、および、エルボ管413,414を有している。上流側配管411の上流側端部は、ドレン用の貫通穴3aに接続されている。上流側配管411の下流流側端部は、エルボ管413の上流側端部に接続されている。エルボ管413の下流側端部とエルボ管414の上流側端部とは互いに接続している。下流側配管412の上流側端部は、エルボ管414の下流側端部に接続されている。下流側配管412の下流側端部は、ドレンタンク420に接続されている。これにより、貫通穴3aに集められたオイルがドレン配管410を介してドレンタンク420に貯留可能となる。
【0049】
上記実施の形態におけるオイル塗布装置100Aは、被塗布部W20にオイルを塗布するオイル塗布装置であって、オイル供給部200から供給されるオイルが流れるオイル流路20と、オイル吐出口13を有し、オイル流路20に接続され、当該オイル流路20に流れるオイルをオイル吐出口13から吐出するオイルノズル10と、エアが流れるエア流路40と、エア吐出口32を有し、エア流路40に接続され、当該エア流路40に流れるエアをエア吐出口32から吐出するエアノズル30と、を備え、エア吐出口32は、被塗布部W20と直線上で対向するように配置され、オイル吐出口13は、エア吐出口32の中央部の位置を通る直線上に配置される。
【0050】
上記構成により、ベンチュリー効果による負圧で、オイル吐出口13に供給されたオイルを、塗布用の空間SC内に吸い上げ、エアと混合し噴霧することが可能となる。また、オイル吐出口13をエア吐出口32の中央部の位置に配置することで、密度の高い噴霧を実現することが可能となる。
【0051】
また、上記実施の形態におけるオイル塗布装置100Aでは、エア吐出口32は、鉛直方向下側から鉛直方向上側に向かって開口し、オイル吐出口13は、水平方向に向かって開口し、エア吐出口の中央部の位置を通る鉛直線上に配置される。これにより、被塗布部W20が水平面上に配置される場合、オイルをエアと混合し、被塗布部W20に対して均一的に噴霧することが可能となる。
【0052】
また、上記実施の形態におけるオイル塗布装置100Aでは、オイル供給部200は、オイル流路20へ供給されるオイルを溜めることが可能なオイルディッシュ210と、オイルを貯留することが可能であり、貯留したオイルが下側口226(オイル流出口)を介してオイルディッシュ210に流出するように所定位置に配置されるオイルタンク230と、を備え、下側口226は、オイルタンク230が所定位置に配置される場合、オイルディッシュ210に溜められるオイルの液面の位置と鉛直方向で同じ位置になるように配置される。これにより、オイルディッシュ210に溜められたオイルの液面の位置が下がった場合、下がった分のオイルがオイルタンク230からオイルディッシュ210に流出するようになるため、オイルの液面の位置を一定に維持することが可能となる。
【0053】
また、上記実施の形態におけるオイル塗布装置100Aでは、オイルディッシュ210に溜められるオイルの液面の位置は、オイル吐出口13の下縁部の位置と鉛直方向で同じ位置である。これにより、オイルがオイル吐出口13の下縁部の位置に常時に溜められた状態にすることが可能となる。ひいては、オイルを吸い上げる際の時間を短縮することができるため、エア吐出後、即時にオイル吐出口からオイルを噴霧することが可能となる。また、オイルをエアと混合した混合気体中のオイルの濃度を一定にすることが可能となる。
【0054】
また、上記実施の形態におけるオイル塗布装置100Aでは、下側口226(オイル流出口)を閉塞するように下側口226の周縁部に係止する閉塞位置と、下側口226を開放するように下側口226の周縁部から外れる開放位置との間を移動可能なボール222(弁体)と、ボール222を開放位置から閉塞位置へ移動する方向に付勢する付勢部材と、オイルタンク230が所定位置に配置された場合、付勢部材の付勢力に抗してボール222を閉塞位置から開放位置に押し込むノックピン223(押込部材)と、をさらに備える。これにより、オイルタンク230の内部にオイルが残っている状態でオイルをオイルタンク230に充填する場合、オイルタンク230をオイルディッシュ210に溜められたオイルの液面の位置から持ち上げた時にオイルタンク230の内部からオイルが漏れるのを防止することが可能となる。
【0055】
また、上記実施の形態におけるオイル塗布装置100Aでは、4本のエア配管41のそれぞれは、互いに同じ長さを有する。これにより、エア吐出口32からエアを吐出するタイミング゛のズレを抑制することが可能となる。ひいては、オイルを噴霧するタイミングのズレを抑制することが可能となる。
【0056】
なお、上記実施の形態におけるオイル塗布装置100Aでは、オイル供給部200がオイルディッシュ210およびオイルタンク230等を備え、これにより、オイルタンク230に貯留されたオイルを、オイル流路20を介してオイル吐出口13の下縁部の位置にオイルを供給する。しかし、本開示はこれに限定されない。例えば、エア吐出口32は、被塗布部W20と鉛直線上で対向するように配置され、オイル吐出口13は、水平方向に向かって開口し、被塗布部W20とエア吐出口32との間の空間に配置され、オイル供給部200は、オイル流路20を介してオイル吐出口13の下縁部の位置にオイルを供給可能に構成すればよい。これにより、オイルがオイル吐出口13の下縁部の位置に常時に溜められた状態にすることが可能となるため、オイルを吸い上げる際の時間を短縮することができ、エア吐出後、即時にオイル吐出口からオイルを噴霧することが可能となる。
【0057】
その他、上記実施の形態は、何れも本開示の実施をするにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本開示の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本開示はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本開示は、オイル塗布作業の負荷を軽減することが要求されるオイル塗布装置を備えた生産ラインに好適に利用される。
【符号の説明】
【0059】
W1…オイルシール(
図4参照) W11…ベース部 W12…上延在部 W13…下延在部
W2…ガータースプリング W20…被塗布部 1…受け台 1a…中心部 1b…外周壁
1c…上面部 1d…下面部 1e…垂直穴 1e_u…上側穴 1e_l…下側穴
1f…水平穴 2…下凹部 3…凹底部 3a…貫通穴 4…凹壁部 4a…周壁部
4b…周壁部 4c…段差部 5…治具 5a…外側周壁部 6…下側端面部 7…上凹部
8…凹底部 9…凹壁部(内側周壁部) 10…オイルノズル 11…管 12…差し込み口
13…オイル吐出口 15…ナット 20…オイル流路 21…オイル配管 30…エアノズル
31…筒 32…エア吐出口… 33…コネクタ 34…差し込み口 41…エア配管
42…分流管 100A…オイル塗布装置 100…オイル吐出機構部 200…オイル供給部
210…オイルディッシュ 211…貯留部 212…凹部 220…逆止弁
221…弁本体 222…ボール 223…ノックピン 224…中空部
225…上側口 226…下側口(オイル流出口) 230…オイルタンク
231…タンク部 232…排出管 240…アタッチメント 241…凹部
242…筒部 243…中空部 300…エア制御器 310…フィルタ
320…レギュレータ 400…オイルドレン排出部 410…ドレン配管
411…上流側配管 412…下流側配管 413…エルボ管 414…エルボ管
420…ドレンタンク
【要約】
【課題】オイル塗布作業の負荷を軽減することが可能なオイル塗布装置を提供する。
【解決手段】オイル塗布装置は、被塗布部にオイルを塗布するオイル塗布装置であって、オイル供給部から供給されるオイルが流れるオイル流路と、オイル吐出口を有し、オイル流路に接続され、当該オイル流路に流れるオイルをオイル吐出口から吐出するオイルノズルと、エアが流れるエア流路と、エア吐出口を有し、エア流路に接続され、当該エア流路に流れるエアをエア吐出口から吐出するエアノズルと、を備え、エア吐出口は、被塗布部と直線上で対向するように配置され、オイル吐出口は、エア吐出口の中央部の位置を通る直線上に配置される。
【選択図】
図3