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特許7563578超電導デバイス、超電導デバイスの製造方法及び積層体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】超電導デバイス、超電導デバイスの製造方法及び積層体
(51)【国際特許分類】
   H10N 60/80 20230101AFI20241001BHJP
【FI】
H10N60/80 W ZAA
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023508173
(86)(22)【出願日】2021-03-22
(86)【国際出願番号】 JP2021011752
(87)【国際公開番号】W WO2022201253
(87)【国際公開日】2022-09-29
【審査請求日】2023-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 誠
【審査官】恩田 和彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-504511(JP,A)
【文献】特開平11-177157(JP,A)
【文献】特開平2-069994(JP,A)
【文献】特表2020-520090(JP,A)
【文献】特開昭53-097798(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10N 60/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板に設けられた貫通孔と、
前記貫通孔内に設けられた電極であって、第1部分と、前記第1部分と前記貫通孔の内壁面との間に設けられた第2部分とを有し、前記第2部分が所定の温度以下の温度で超電導を発現する第1の金属を含む材料で形成された貫通電極と、
前記貫通電極と電気的に接続された電極であって、少なくとも一部が前記貫通孔の外部に設けられ、所定の温度以下の温度で超電導を発現する第2の金属を含む材料で形成された接合電極と、
前記貫通電極と前記接合電極との間に設けられ、前記第1の金属を含む材料で形成された隔壁部と、
を含み、
前記第1の金属の融点が前記第2の金属の融点よりも高い
超電導デバイス。
【請求項2】
前記基板上に設けられた超電導量子ビット素子と、
前記超電導量子ビット素子及び前記貫通電極に電気的に接続された、前記第1の金属を含む材料で形成された配線と、
を更に含む請求項1に記載の超電導デバイス。
【請求項3】
前記基板の前記配線が設けられている側の面とは反対の面の側に設けられ、前記超電導量子ビット素子に接続されないダミー配線を更に含む
請求項2に記載の超電導デバイス。
【請求項4】
前記接合電極は、絶縁体層内に設けられた部分を有し、
前記接合電極と前記絶縁体層との間に前記第1の金属を含む材料で形成された下地膜を更に含む
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の超電導デバイス。
【請求項5】
前記第2部分及び前記隔壁部が、前記第1部分を囲んでいる
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の超電導デバイス。
【請求項6】
基板に、前記基板を貫通する貫通孔を形成し、
前記貫通孔内に、前記貫通孔内に配置される第1部分と、前記第1部分と前記貫通孔の内壁面との間に設けられる第2部分とを有し、前記第2部分が所定の温度以下の温度で超電導を発現する第1の金属を含む材料で形成される貫通電極を形成する工程と、
前記貫通電極の底面に、前記第1の金属によって構成される隔壁部を形成する工程と、
前記隔壁部に接し、前記貫通電極と電気的に接続され、所定の温度以下の温度で超電導を発現する第2の金属を含む材料で形成される接合電極を形成する工程と、
を含み、
前記第1の金属の融点が前記第2の金属の融点よりも高い
超電導デバイスの製造方法。
【請求項7】
前記基板上に設けられた超電導量子ビット素子と、前記貫通電極とを電気的に接続する、前記第1の金属を含む材料で形成される配線を形成する工程を更に含む
請求項に記載の製造方法。
【請求項8】
超電導デバイスと他のデバイスとが積層された積層体であって、
前記超電導デバイスは、
基板と、
前記基板に設けられた貫通孔と、
前記貫通孔内に設けられた電極であって、第1部分と、前記第1部分と前記貫通孔の内壁面との間に設けられた第2部分とを有し、所定の温度以下の温度で超電導を発現する第1の金属を含む材料で形成された貫通電極と、
前記貫通電極と電気的に接続される電極であって、少なくとも一部が前記貫通孔の外部に設けられ、所定の温度以下の温度で超電導を発現する第2の金属を含む材料で形成された接合電極と、
前記貫通電極と前記接合電極との間に設けられ、前記第1の金属を含む材料で形成された隔壁部と、
を含み、
前記第1の金属の融点が前記第2の金属の融点よりも高い
積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の技術は超電導デバイス、超電導デバイスの製造方法及び積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
超電導を発現する構造部分を有する超電導デバイスに関する技術として以下の技術が知られている。例えば、ベース基板、キャリア基板と、ベース基板とキャリア基板との間に介在する埋め込みメタライゼーション層と、を含む半導体デバイスが知られている。この半導体デバイスの製造方法は下記の工程を含む。キャリア基板の上面に第1の導電性金属材料の上部メタライゼーション層を形成する。次に、キャリア基板内に埋め込みメタライゼーション層まで未充填基板貫通ビアを形成する。次に、未充填基板貫通ビアと、キャリア基板上および第1の導電性金属材料層上の未充填基板貫通ビアを囲む周縁部とを画定する表面上に、第2の導電性金属材料のアンダー・バンプ・メタライゼーション層を形成する。アンダー・バンプ・メタライゼーション層は、埋め込みメタライゼーション層と上部メタライゼーション層とに結合される。第1の導電性金属材料と第2の導電性金属材料とが異なる。次に、未充填基板貫通ビアと、キャリア基板上および上部メタライゼーション層上の未充填基板貫通ビアを囲む周縁部とを露出させる開口部を形成するために、犠牲層を付着させてパターン形成する。次に、充填された基板貫通ビアを形成するために、開口部に第3の導電性金属材料を充填する。次に、充填された基板貫通ビアと自己整列した円柱形状のはんだバンプを形成するように犠牲層を除去する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2020-520090号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
開示の技術は、超電導デバイスにおいて、温度変化に伴うストレスを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
開示の技術に係る超電導デバイスは、基板と、前記基板に設けられた貫通孔と、前記貫通孔内に設けられた貫通電極を有する。貫通電極は、第1部分と、前記第1部分と前記貫通孔の内壁面との間に設けられた第2部分とを有し、前記第2部分が所定の温度以下の温度で超電導を発現する第1の金属を含む材料で形成されている。超電導デバイスは、前記貫通電極と電気的に接続された電極であって、少なくとも一部が前記貫通孔の外部に設けられ、所定の温度以下の温度で超電導を発現する第2の金属を含む材料で形成された接合電極と、前記貫通電極と前記接合電極との間に設けられ、前記第1の金属を含む材料で形成された隔壁部と、を含む。前記第1の金属の融点が前記第2の金属の融点よりも高い。
【発明の効果】
【0006】
開示の技術によれば、超電導デバイスにおいて、温度変化に伴うストレスを抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】開示の技術の実施形態に係る超電導デバイスの構成の一例を示す断面図である。
図2】開示の技術の実施形態に係る超電導量子ビット素子の構成の一例を示す図である。
図3A】開示の技術の実施形態に係る超電導デバイスの製造方法の一例を示す断面図である。
図3B】開示の技術の実施形態に係る超電導デバイスの製造方法の一例を示す断面図である。
図3C】開示の技術の実施形態に係る超電導デバイスの製造方法の一例を示す断面図である。
図3D】開示の技術の実施形態に係る超電導デバイスの製造方法の一例を示す断面図である。
図3E】開示の技術の実施形態に係る超電導デバイスの製造方法の一例を示す断面図である。
図3F】開示の技術の実施形態に係る超電導デバイスの製造方法の一例を示す断面図である。
図3G】開示の技術の実施形態に係る超電導デバイスの製造方法の一例を示す断面図である。
図3H】開示の技術の実施形態に係る超電導デバイスの製造方法の一例を示す断面図である。
図3I】開示の技術の実施形態に係る超電導デバイスの製造方法の一例を示す断面図である。
図3J】開示の技術の実施形態に係る超電導デバイスの製造方法の一例を示す断面図である。
図3K】開示の技術の実施形態に係る超電導デバイスの製造方法の一例を示す断面図である。
図3L】開示の技術の実施形態に係る超電導デバイスの製造方法の一例を示す断面図である。
図3M】開示の技術の実施形態に係る超電導デバイスの製造方法の一例を示す断面図である。
図4A】開示の技術の実施形態に係る超電導デバイスの製造方法の一例を示す断面図である。
図4B】開示の技術の実施形態に係る超電導デバイスの製造方法の一例を示す断面図である。
図4C】開示の技術の実施形態に係る超電導デバイスの製造方法の一例を示す断面図である。
図4D】開示の技術の実施形態に係る超電導デバイスの製造方法の一例を示す断面図である。
図4E】開示の技術の実施形態に係る超電導デバイスの製造方法の一例を示す断面図である。
図4F】開示の技術の実施形態に係る超電導デバイスの製造方法の一例を示す断面図である。
図4G】開示の技術の実施形態に係る超電導デバイスの製造方法の一例を示す断面図である。
図4H】開示の技術の実施形態に係る超電導デバイスの製造方法の一例を示す断面図である。
図4I】開示の技術の実施形態に係る超電導デバイスの製造方法の一例を示す断面図である。
図4J】開示の技術の実施形態に係る超電導デバイスの製造方法の一例を示す断面図である。
図4K】開示の技術の実施形態に係る超電導デバイスの製造方法の一例を示す断面図である。
図5】開示の技術の実施形態に係る超電導デバイスの構成の一例を示す断面図である。
図6】開示の技術の実施形態に係る超電導デバイスの構成の一例を示す断面図である。
図7】開示の技術の実施形態に係る超電導デバイスの構成の一例を示す断面図である。
図8】開示の技術の実施形態に係る積層体の構成の一例を示す断面図である。
図9】開示の技術の実施形態に係る積層体の構成の一例を示す断面図である。
図10】開示の技術の実施形態に係る積層体の構成の一例を示す断面図である。
図11】開示の技術の実施形態に係る積層体の構成の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
量子コンピュータは、重ね合わせや量子もつれといった量子力学的な現象を用いることで、従来のコンピュータと比較して圧倒的な処理能力を持つとされている。量子コンピュータを実現するためのデバイスとして、例えば、超電導材料を含むジョセフソン素子を使用した超電導デバイスが提案されている。ジョセフソン素子は、超電導状態における電流のトンネル効果を利用したスイッチング素子である。超電導デバイスは、通常数mKといった極低温の環境において超電導を発現するため極低温の環境で使用される。
【0009】
一方、超電導デバイス同士、又は超電導デバイスと他のデバイスとを積層することで、高密度実装が可能になると考えられる。超電導デバイスにおいて、三次元実装を実現するための手段として貫通電極を用いることが考えられる。具体的には、基板と、基板を貫通する貫通電極と、貫通電極に電気的に接続された接合電極とを備えた超電導デバイスが想定される。超電導デバイスは、リフロー処理によって、接合電極を介して他のデバイスに積層される。このリフロー処理において、超電導デバイスは、接合電極の融点以上の温度に晒されることになる。接合電極が、例えばSn、Pb又はこれらの合金を含む場合、その融点は200℃以上となり、リフロー温度は300℃程度に設定される。すなわち、超電導デバイスにおいては、実装時における温度と使用時における温度差は500℃以上となる。従って、極低温環境で使用される超電導デバイスにおいては、常温環境下で使用される一般的なデバイスと比較して、貫通電極及び接合電極の膨張・収縮に伴う体積変動が大きくなり、これらの電極にクラック等の損傷が生じるリスクが高い。特に、特許文献1に記載されているような、貫通電極と接合電極とが一体的に形成されている構造においては、貫通電極と接合電極を一体とした構造体の堆積が大きくなることから、体積変動及びそれに伴うストレスがより顕著となる。
【0010】
以下、開示の実施形態の一例を、図面を参照しつつ説明する。なお、各図面において同一または等価な構成要素及び部分には同一の参照符号を付与し、重複する説明は適宜省略する。
【0011】
[第1の実施形態]
図1は、開示の技術の第1の実施形態に係る超電導デバイス10の構成の一例を示す断面図である。超電導デバイス10は、基板20、超電導量子ビット素子30、貫通電極40及び接合電極50を備えている。
【0012】
基板20は、絶縁体又は半導体によって構成されている。基板20として、シリコン等の半導体を用いることで、既存の半導体加工技術の適用が容易となる。
【0013】
超電導量子ビット素子30は、基板20の面S1の側に設けられている。超電導量子ビット素子30は、超電導を用いてコヒーレントな2準位系を形成する素子である。本実施形態において、超電導量子ビット素子30は、図2に示すジョセフソン素子を含んで構成されている。ジョセフソン素子は、所定の臨界温度以下の温度で超電導を発現する一対の超電導体31と、一対の超電導体31の間に挟まれた厚さ数nm程度の極薄の絶縁体32とを含んで構成されている。超電導体31は例えばアルミニウムであってもよく、絶縁体32は、例えば酸化アルミニウムであってもよい。超電導量子ビット素子30には、ビア61を介して配線60が接続されている。ビア61及び配線60は、それぞれ、所定の温度以下の温度で超電導を発現する高融点金属によって構成されている。高融点金属の詳細については後述する。基板20の面S1は、SiO等の絶縁体によって構成される絶縁体層90によって覆われており、超電導量子ビット素子30、ビア61及び配線60は、絶縁体層90内に埋設されている。
【0014】
貫通電極40は基板20を貫通している。貫通電極40は、一端が、基板20の面S1の側に設けられた配線60に接続されており、他端が、基板20の面S1とは反対側の面S2の側に設けられたキャップ膜70を介して接合電極50に接続されている。すなわち、貫通電極40は、基板20の面S1の側に設けられた超電導量子ビット素子30から出力される量子ビットを、基板20の面S2の側に設けられた接合電極50に伝送する伝送路として機能する。
【0015】
貫通電極40は、外側部分41及び内側部分42を含んで構成されている。外側部分41は、所定の温度以下の温度で超電導を発現する高融点金属によって構成されており、内側部分42を囲んでいる。内側部分42は、所定の温度以下の温度で超電導を発現する低融点金属によって構成されている。すなわち、貫通電極40の内側には、所定の温度以下の温度で超電導を発現する低融点金属が充填されている。低融点金属の詳細については後述する。貫通電極40の、基板20の面S2側の端部はキャップ膜70によって塞がれている。キャップ膜70は、所定の温度以下の温度で超電導を発現する高融点金属によって構成されている。キャップ膜70は、貫通電極40と接合電極50とを隔てる隔壁部として機能する。貫通電極40の内側部分42を構成する低融点金属は、貫通電極40を構成する高融点金属及びキャップ膜70を構成する高融点金属によって完全に囲まれている(封止されている)。基板20と貫通電極40との間には、SiO等の絶縁体によって構成される絶縁膜93が設けられている。すなわち、基板20と貫通電極40とは電気的に分離されている。基板20の面S2は、絶縁体層92によって覆われている。キャップ膜70は絶縁体層92内に埋設されおり、貫通電極40の、基板20のS2側の端部は絶縁体層92の内部に達している。
【0016】
接合電極50は、所謂バンプの形態を有しており、超電導デバイス10を他のデバイスに接合するための外部接続端子として機能する。接合電極50は、基板20の面S2の側に設けられており、キャップ膜70及び下地膜80を介して貫通電極40に接続されている。本実施形態において、接合電極50は、貫通電極40の直下に設けられている。接合電極50は、所定の温度以下の温度で超電導を発現する低融点金属によって構成されている。接合電極50は、絶縁体層92内に埋設された部分と、絶縁体層92の表面から露出した部分を有する。下地膜80は、接合電極50と絶縁体層92との間に介在する。下地膜80は、所謂アンダーバンプメタルとして機能し、接合電極50を構成する低融点金属の絶縁体層92内への拡散を抑制する機能及び接合電極50と絶縁体層92との密着性を高める機能を有する。また、下地膜80は、貫通電極40と接合電極50とを隔てる隔壁部として機能する。下地膜80は、所定の温度以下の温度で超電導を発現する高融点金属によって構成されている。
【0017】
絶縁体層92内には、超電導量子ビット素子30に電気的に接続されないダミー配線62が設けられている。ダミー配線62の電位は例えば接地電位であってもよいし、フローティングであってもよい。ダミー配線62は、基板20の面S1側における配線密度と、基板20の面S2側における配線密度とのバランスをとるために必要に応じて設けられる。基板20の面S1側における配線密度と、基板20の面S2側における配線密度とが不均一である場合、基板20に生じる反りが顕著となる。基板20の面S2側にダミー配線62を適宜設け、基板20の両面の配線密度のバランスをとることで、基板20に生じる反りを抑制することが可能となる。なお、基板20の面S2の側に、超電導量子ビット素子30に電気的に接続された配線又は特定の電気的機能を持つ配線が設けられていてもよい。また、基板20の面S2の側に、ダミー配線と特定の電気的機能を持つ配線とが混在するように設けられていてもよい。
【0018】
上記したように、ビア61、配線60、貫通電極40の外側部分41、キャップ膜70及び下地膜80は、それぞれ、所定の温度以下の温度で超電導を発現する高融点金属によって構成されている。ビア61、配線60、貫通電極40の外側部分41、キャップ膜70及び下地膜80をそれぞれ構成する高融点金属は、互いに同じ金属であることが好ましい。また、上記したように、貫通電極40の内側部分42及び接合電極50は、それぞれ、所定の温度以下の温度で超電導を発現する低融点金属によって構成されている。貫通電極40の内側部分42及び接合電極50をそれぞれ構成する低融点金属は、互いに同じ金属であることが好ましい。
【0019】
本明細書において、高融点金属とは、融点が800℃以上の金属であり、低融点金属とは融点が300℃以下の金属である。所定の温度以下の温度で超電導を発現する高融点金属の例として、Ta、Nb、V、Mo又はこれらを主成分とする合金又はこれらの窒化物などが挙げられる。所定の温度以下の温度で超電導を発現する低融点金属の例として、Sn、Pb、In、Ga又はこれらを主成分とする合金等が挙げられる。なお、高融点金属は、開示の技術における第1の金属の一例である。低融点金属は、開示の技術における低融点金属の一例である。
【0020】
所定の温度以下の温度で超電導を発現する高融点金属及び低融点金属は、基板20の熱膨張係数との差が小さいものが好ましい。例えば、基板20がSi基板である場合、高融点金属として、Mo又はTaを用いることが好ましく、低融点金属としてGa又はSnを用いることが好ましい。
【0021】
また、所定の温度以下の温度で超電導を発現する低融点金属として融点が比較的低いGa(融点は29.8℃)又はIn(融点は156.6℃)を用いることで、超電導デバイス10の実装時における温度と使用時における温度との差を小さくすることができ、温度変動による体積変動及びそれに伴うストレスを抑制することができる。
【0022】
また、所定の温度以下の温度で超電導を発現する高融点金属及び低融点金属として用いる金属を、加工の容易性の観点から選択してもよい。例えば、高融点金属であるTa及び低融点金属であるSnは、どちらも塩素系の反応性ドライエッチングによるパターニングが可能である。
【0023】
以下において、超電導デバイス10の製造方法について説明する。図3A図3Mは、超電導デバイス10の製造方法の一例を示す断面図である。
【0024】
初めに、例えばSi等の半導体によって構成される基板20の面S1上に超電導量子ビット素子30を形成する。次に、例えば、CVD(chemical vapor deposition)法により、基板20の面S1上に、絶縁体層90を構成するSiO等の絶縁体からなる絶縁体膜を形成する。超電導量子ビット素子30は、絶縁体層90内に埋設される(図3A)。
【0025】
次に、超電導量子ビット素子30に接続されたビア61を形成した後、例えばスパッタ法により絶縁体層90の表面に、所定の温度以下の温度で超電導を発現する高融点金属(例えばTa)を堆積させる。その後、この高融点金属をパターニングすることにより、配線60を形成する。配線60は、絶縁体層90を構成するSiO等の絶縁体からなる絶縁膜によって覆われる(図3B)。ビア61は、配線60と同じ高融点金属(例えばTa)によって構成される。
【0026】
次に、基板20の面S2側を研削し、基板20を薄化させる。基板20の薄化処理の仕上げとしてCMP(Chemical Mechanical Polishing)及び薬液処理が施される。次に、例えばCVD法により、基板20の面S2上に、SiO等の絶縁体からなる絶縁体層92を形成する(図3C)。
【0027】
次に、例えばボッシュプロセスを用いた反応性イオンエッチングにより、絶縁体層92の表面から、基板20を貫通して配線60に達する貫通孔45を形成する。ボッシュプロセスは、基板20の等方性エッチング、保護膜(図示せず)の堆積、基板20の異方性エッチング(底面の保護膜の除去)の3つのステップを繰り返すことで、基板20の垂直な深掘りを高速かつ高アスペクト比で実現するドライエッチング技術である。貫通孔45が配線60に達するとエッチングが停止する(図3D)。
【0028】
次に、例えばCVD法により、貫通孔45の側面にSiO等の絶縁体からなる絶縁膜93を形成する。次に、例えばスパッタ法により、基板20の面S2側に、配線60と同じ高融点金属M1(例えばTa)を堆積させる。絶縁体層92の表面、貫通孔45の側面及び底面は高融点金属M1によって覆われる。高融点金属M1の貫通孔45の側面及び底面を覆う部分が貫通電極40の外側部分41となり、高融点金属M1の絶縁体層92の表面を覆う部分がダミー配線62の一部となる。貫通電極40の外側部分41は、貫通孔45の底面において配線60に接続される(図3E)。
【0029】
次に、例えばスパッタ法により、高融点金属M1の表面にシード層(図示せず)を形成した後、めっき法により、所定の温度以下の温度で超電導を発現する低融点金属M2(例えばSn)を高融点金属M1上に堆積させる。低融点金属M2は貫通孔45に充填され、これによって貫通電極40の内側部分42が形成される(図3F)。
【0030】
次に、例えばCMPにより、絶縁体層92上に堆積している余剰の低融点金属M2を除去する。その後、例えばスパッタ法により、基板20の面S2側に、配線60及び貫通電極40の外側部分41と同じ高融点金属M1(例えばTa)を更に堆積させる(図3G)。
【0031】
次に、高融点金属M1をパターニングする。これにより、基板20の面S2の側にダミー配線62が形成されるとともに、貫通電極40の基板20の面S2側の端部を塞ぐキャップ膜70が形成される(図3H)。
【0032】
ダミー配線62は、絶縁体層92を構成するSiO等の絶縁体からなる絶縁膜によって覆われる(図3I)。次に、例えば反応性イオンエッチングにより、絶縁体層92の表面からキャップ膜70に達するコンタクトホール95を形成する(図3J)。
【0033】
次に、例えばスパッタ法により、基板20の面S2側に、配線60、貫通電極40の外側部分41、キャップ膜70及びダミー配線62と同じ高融点金属(例えばTa)を堆積させ、この高融点金属をパターニングすることで、下地膜80を形成する。下地膜80は、コンタクトホール95の底面においてキャップ膜70に接続される(図3K)。
【0034】
次に、絶縁体層92の表面に、ソルダーレジスト55を形成する。ソルダーレジスト55には、下地膜80を露出させる開口部が設けられている。次に、めっき法によって、下地膜80上に貫通電極40の内側部分42と同じ低融点金属(例えばSn)を堆積させる。これにより、接合電極50が形成される(図3L)。最後に、ソルダーレジスト55を除去する(図3M)。
【0035】
上記の説明では、貫通電極40を形成するための貫通孔45を基板20の面S2側から形成する場合の製造方法を例示したが、貫通孔45を基板20の面S1側から形成することも可能である。以下に、貫通孔45を基板20の面S1側から形成する場合の製造方法について図4A図4Kを参照しつつ説明する。
【0036】
例えばボッシュプロセスを用いた反応性イオンエッチングにより、超電導量子ビット素子30及び絶縁体層90が形成された基板20の面S1側から貫通孔45形成する。エッチングは、貫通孔45の面S2に達する前に停止される(図4A)。
【0037】
次に、例えばCVD法により、貫通孔45の側面及び底面にSiO等の絶縁体からなる絶縁膜93を形成する。次に、例えばスパッタ法により、基板20の面S1側に、所定の温度以下の温度で超電導を発現する高融点金属M1(例えばTa)を堆積させる。絶縁体層90の表面、貫通孔45の側面及び底面は高融点金属M1によって覆われる。高融点金属M1の貫通孔45の側面及び底面を覆う部分が貫通電極40の外側部分41となる(図4B)。
【0038】
次に、例えばスパッタ法により、高融点金属M1の表面にシード層(図示せず)を形成した後、めっき法により、所定の温度以下の温度で超電導を発現する低融点金属M2(例えばSn)を高融点金属M1上に堆積させる。低融点金属M2は貫通孔45に充填され、これによって貫通電極40の内側部分42が形成される(図4C)。
【0039】
次に、例えばCMPにより、絶縁体層90上に堆積している余剰の低融点金属M2を除去する。その後、例えばスパッタ法により、基板20の面S1側に、貫通電極40の外側部分41と同じ高融点金属M1(例えばTa)を更に堆積させる(図4D)。
【0040】
次に、高融点金属M1をパターニングする。これにより、貫通電極40の基板20の面S1側の端部を塞ぐキャップ膜70が形成される(図4E)。
【0041】
次に、超電導量子ビット素子30に接続されたビア61を形成した後、例えばスパッタ法により、基板20の面S1側に、貫通電極40の外側部分41及びキャップ膜70と同じ高融点金属(例えばTa)を堆積させた後、この高融点金属をパターニングする。これにより、超電導量子ビット素子30及び貫通電極40に電気的に接続された配線60が形成される(図4F)。
【0042】
配線60は、絶縁体層90を構成するSiO等の絶縁体からなる絶縁膜によって覆われる。次に、基板20の面S2側を研削し、貫通電極40が露出するまで基板20を薄化させる。基板20の薄化処理の仕上げとしてCMP及び薬液処理が施される。次に、例えばCVD法により、基板20の面S2上に、SiO等の絶縁体によって構成される絶縁体層92を形成する(図4G)。
【0043】
次に例えば反応性イオンエッチングにより、絶縁体層92の表面から貫通電極40に達するコンタクトホール95を形成する(図4H)。次に、例えばスパッタ法により、基板20の面S2側に、配線60、貫通電極40の外側部分41及びキャップ膜70と同じ高融点金属(例えばTa)を堆積させ、この高融点金属をパターニングすることで、下地膜80を形成する。下地膜80は、コンタクトホール95の底面において貫通電極40に接続される(図4I)。
【0044】
次に、絶縁体層92の表面に、ソルダーレジスト55を形成する。ソルダーレジスト55には、下地膜80を露出させる開口部が設けられている。次に、めっき法によって、下地膜80上に貫通電極40の内側部分42と同じ低融点金属(例えばSn)を堆積させる。これにより、接合電極50が形成される(図4J)。最後に、ソルダーレジスト55を除去する(図4K
【0045】
以上のように、本実施形態に係る超電導デバイス10によれば、基板20を貫通する貫通電極40を有するので、超電導デバイス10と他のデバイスとを積層する三次元実装が可能となる。超電導デバイス10は、接合電極50を介して他のデバイスに接合される。超電導デバイス10と他のデバイスとの接合においては、接合電極50を溶融させるためのリフロー処理が行われる。リフロー処理における加熱により、接合電極50及び貫通電極40の体積が変動し得る。本実施形態に係る超電導デバイス10においては、接合電極50が貫通電極40の直下に配置されており、接合電極50と貫通電極40とを一体とした構造体の体積が大きくなりやすく、体積変動によるストレスが問題となる。しかしながら、本実施形態に係る超電導デバイス10によれば、高融点金属によって構成されるキャップ膜70及び下地膜80が、貫通電極40と接合電極50とを隔てる隔壁部として機能する。一般的に高融点金属は、低融点金属と比較して熱膨張率が小さいので、貫通電極40と接合電極50とを高融点金属によって構成される隔壁部によって隔てることで、貫通電極40における体積変動と、接合電極50における体積変動とを分断することができる。これにより、貫通電極40及び接合電極50の体積変動に伴うストレスを抑制することができる。
【0046】
また、貫通電極40の内側部分42を構成する低融点金属が、貫通電極40の外側部分を構成する高融点金属及びキャップ膜70を構成する高融点金属によって完全に囲まれている(封止されている)。貫通電極40の内側部分42の温度変化に伴う体積変動は、貫通電極40の内側部分42を囲む高融点金属によって制限されるので、貫通電極40の温度変化に伴う体積変動を抑制することが可能となる。また、リフロー処理において貫通電極40の内側部分42を構成する低融点金属は溶融し得るが、貫通電極40の外側部分41構成する高融点金属は溶融しないので、溶融した内側部分42を構成する低融点金属の基板20中への拡散を抑制することができる。
【0047】
また、本実施形態に係る超電導デバイス10において、配線60、貫通電極40の外側部分41、キャップ膜70及び下地膜80は、全て同じ高融点金属によって構成されている。これにより、異種金属を使用した場合における合金形成が回避される。合金が形成されるとデコヒーレンス効果が増大し、量子力学的な重ね合わせ状態を維持することが困難となるおそれがある。
【0048】
なお、以上の説明では、貫通電極40の内側部分42を所定の温度以下の温度で超電導を発現する低融点金属によって構成する形態を例示したが、これに限定されない。例えば、貫通電極40の内側部分42は、基板20と同種の材料または基板20を構成する材料の酸化物によって構成されていてもよい。すなわち、貫通電極40の内側には、基板20と同種の材料または基板20を構成する材料の酸化物が充填されていてもよい。例えば、基板20がSi基板である場合、貫通電極40の内側部分42は、ポリシリコン又はSiOによって構成されていてもよい。貫通電極40の内側部分42を構成する、基板20と同種の材料又は基板20を構成する材料の酸化物は、所定の温度以下の温度で超電導を発現する高融点金属によって囲まれる。貫通電極40の内側部分42を基板20と同種の材料又は基板20を構成する材料の酸化物によって構成することで、貫通電極40及び基板20の温度変化に伴う体積変動が略同じ割合で生じるので(すなわち、貫通電極40及び基板20の熱膨張率が略同じになるので)、温度変化に伴うストレスを抑制することができる。
【0049】
また、貫通電極40の内側部分42は、絶縁体よって構成されていてもよい。また、貫通電極40の内側部分42は、貫通電極40を外側部分41と同じ高融点金属によって構成されていてもよい。これにより、貫通電極40の内側部分42を低融点金属によって構成する場合と比較して、貫通電極40の温度変化に伴う体積変動を抑制することができる。なお、一般的に高融点金属は、めっき法による成膜が困難であるため、貫通電極40の内側を充電するための成膜法としてスパッタ法又はCVD法が適用される。
【0050】
また、図5に示すように、貫通電極40の内側部分42が空洞であってもよい。これにより、貫通電極40の内側部分42を低融点金属によって構成する場合と比較して、貫通電極40の温度変化に伴う体積変動を抑制することができる。貫通電極40の内側部分42を空洞とする場合、機械的強度を確保する観点から、接合電極50は基板20の主面方向において貫通電極40からずれた位置に設けられていることが好ましい。なお、貫通電極40は、超電導を発現するため電気抵抗が問題となることはない。従って、貫通電極40を、外側部分41を構成する薄膜の高融点金属のみによって構成することは可能である。
【0051】
[第2の実施形態]
図6は、開示の技術の第2の実施形態に係る超電導デバイス10Aの構成の一例を示す断面図である。本実施形態に係る超電導デバイス10Aは、デバイス間における信号伝送を仲介するインターポーザの形態を有するものであり、超電導量子ビット素子を含んでいない点が、第1の実施形態に係る超電導デバイス10と異なる。超電導デバイス10Aは、基板20、貫通電極40及び接合電極50を備えている。
【0052】
基板20は、絶縁体又は半導体によって構成されている。基板20として、シリコン等の半導体を用いることで、既存の半導体加工技術の適用が容易となる。
【0053】
貫通電極40は、一端が、基板20の面S1の側に設けられたキャップ膜70を介して接合電極50に接続され、他端が、基板20の面S2の側に設けられたキャップ膜70を介して接合電極50に接続されている。
【0054】
貫通電極40の外側部分41は、所定の温度以下の温度で超電導を発現する高融点金属によって構成されており、内側部分42を囲んでいる。貫通電極40の内側部分42は、所定の温度以下の温度で超電導を発現する低融点金属によって構成されている。貫通電極40の両端はキャップ膜70によって塞がれている。キャップ膜70は、貫通電極40の外側部分41と同じ高融点金属によって構成されている。キャップ膜70は、貫通電極40と接合電極50とを隔てる隔壁部として機能する。貫通電極40の内側部分42を構成する低融点金属は、貫通電極40の外側部分41を構成する高融点金属及びキャップ膜70を構成する高融点金属によって完全に囲まれている(封止されている)。
【0055】
接合電極50は、基板20の面S1の側及び面S2の側の双方に設けられている。接合電極50は、貫通電極40の内側部分42と同じ低融点金属によって構成されている。下地膜80は、接合電極50と絶縁体層90、92との間に介在する。下地膜80は、所謂アンダーバンプメタルとして機能し、接合電極50を構成する低融点金属の絶縁体層90、92内への拡散を抑制する機能及び接合電極50と絶縁体層90、92との密着性を高める機能を有する。また、下地膜80は、貫通電極40と接合電極50とを隔てる隔壁部として機能する。下地膜80は、貫通電極40の外側部分41及びキャップ膜70と同じ高融点金属によって構成されている。
【0056】
基板20の面S1側の接合電極50は、第1のデバイス(図示せず)に接合され、基板20の面S2側の接合電極50は、第2のデバイス(図示せず)に接合される。第1のデバイスと第2のデバイスとは、貫通電極40を介して信号伝送を行うことが可能である。なお、本実施形態に係る超電導デバイス10Aの製造方法は、第1の実施形態に係る超電導デバイス10を製造するための各種のプロセスを適用することが可能であるため、説明は省略する。
【0057】
本実施形態に係る超電導デバイス10Aによれば、第1の実施形態に係る超電導デバイス10と同様、貫通電極40と接合電極50とが隔壁部によって分断されているので、温度変化に伴うストレスを抑制することが可能である。
【0058】
なお、貫通電極40の内側部分42は、基板20と同種の材料または基板20を構成する材料の酸化物によって構成されていてもよい。また、貫通電極40の内側部分42は、絶縁体よって構成されていてもよい。また、貫通電極40の内側部分42は、貫通電極40の外側部分41と同じ高融点金属によって構成されていてもよい。また、図7に示すように、貫通電極40の内側部分42が空洞であってもよい。貫通電極40の内側部分42を空洞とする場合、機械的強度を確保する観点から、接合電極50は基板20の主面方向において貫通電極40からずれた位置に設けられていることが好ましい。
【0059】
[第3の実施形態]
図8は、開示の技術の第3の実施形態に係る積層体100の構成の一例を示す断面図である。積層体100は、上記した第1の実施形態に係る超電導デバイス10と他のデバイス11とが積層されて構成される。他のデバイス11は、例えば、超電導デバイス10から出力される量子ビットを読み出す機能を有する読み出しデバイスであってもよい。超電導デバイス10の接合電極50が、他のデバイス11の基板21の表面に設けられたパッド25に接合される。
【0060】
超電導デバイス10と他のデバイス11との接合においては、接合電極50を溶融させるためのリフロー処理が行われる。超電導デバイス10において、高融点金属によって構成されるキャップ膜70及び下地膜80が、貫通電極40と接合電極50とを隔てる隔壁部として機能するので、貫通電極40における体積変動と、接合電極50における体積変動とを分断することができる。これにより、貫通電極40及び接合電極50の体積変動に伴うストレスを抑制することができる。
【0061】
なお、図9に示すように、超電導デバイス10において、基板20の面S1の側及び面S2の側の双方に接合電極50を設け、基板20の面S1の側及び面S2の側の双方に他のデバイス11、12を積層してもよい。超電導デバイス10の面S2側の接合電極50が、他のデバイス11の基板21の表面に設けられたパッド25に接合され、超電導デバイス10の面S1側の接合電極50が、他のデバイス12の基板22の表面に設けられたパッド26に接合される。
【0062】
また、図10に示すように、超電導デバイス10と他のデバイス11との接合は、接合電極50を介した接合ではなく、常温接合又は接着剤による接合であってもよい。図10に示す積層体100においては、超電導デバイス10の基板20の面S2の側に設けられた絶縁体層92と、他のデバイス11の基板21の面S3の側に設けられた絶縁体層98とを常温接合又は接着剤によって接合した後に、貫通電極40が形成される。貫通電極40は、他のデバイス11の基板21の表面に設けられたパッド25に接続される。超電導デバイス10は、基板20の面S1の側に設けられた接合電極50を有する。超電導デバイス10上には、更に別のデバイス(図示せず)を、接合電極50を介して接合することが可能である。
【0063】
図11は、上記した第2の実施形態に係る超電導デバイス10Aと他のデバイス11、12とを含む積層体の構成の一例を示す断面図である。超電導デバイス10Aは、他のデバイス11と12における信号伝送を仲介するインターポーザである。例えば、他のデバイス12は、量子ビットを出力する機能を有するものであり、他のデバイス11は量子ビットを読み出す機能を有するものであってもよい。超電導デバイス10Aの面S2側の接合電極50が、他のデバイス11の基板21の表面に設けられたパッド25に接合され、超電導デバイス10の面S1側の接合電極50が、他のデバイス12の基板22の表面に設けられたパッド26に接合される。
【符号の説明】
【0064】
10、10A 超電導デバイス
11、12 他のデバイス
20、21、22 基板
30 超電導量子ビット素子
40 貫通電極
41 外側部分
42 内側部分
45 貫通孔
50 接合電極
60 配線
61 ビア
62 ダミー配線
70 キャップ膜
80 下地膜
90、92 絶縁体層
100 積層体
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図3H
図3I
図3J
図3K
図3L
図3M
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図4H
図4I
図4J
図4K
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11