(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】保管棚
(51)【国際特許分類】
B65G 1/14 20060101AFI20241001BHJP
H01L 21/677 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
B65G1/14 K
H01L21/68 A
(21)【出願番号】P 2023514508
(86)(22)【出願日】2022-03-01
(86)【国際出願番号】 JP2022008692
(87)【国際公開番号】W WO2022219949
(87)【国際公開日】2022-10-20
【審査請求日】2023-09-25
(31)【優先権主張番号】P 2021068495
(32)【優先日】2021-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100176245
【氏名又は名称】安田 亮輔
(72)【発明者】
【氏名】阿竹 秀和
(72)【発明者】
【氏名】横山 裕之
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-256218(JP,A)
【文献】特開2013-129501(JP,A)
【文献】特開2008-162778(JP,A)
【文献】特開2008-169005(JP,A)
【文献】特表2015-533026(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/14
H01L 21/677
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースフレームと、
前記ベースフレームに対して上方に移動自在な棚部と、を備えた保管棚であって、
前記ベースフレームは、前記ベースフレームに対して着脱可能な巻上げユニットを載置可能であり、
前記棚部は、前記巻上げユニットのフックを係合させる被係合部を有
し、
前記ベースフレームは、水平方向に離間すると共に前記巻上げユニットが載置される載置面を含む横架材を有する、保管棚。
【請求項2】
前記棚部は、上下方向に延びる支持柱を有し、前記支持柱は上端部にストッパを含み、
前記ベースフレームは、前記上下方向に貫通する挿通孔が形成されたガイド部を有し、
前記ガイド部は、前記挿通孔に挿通された前記支持柱が下降して前記棚部が下降位置に位置したときに前記ストッパの下降を制止する、請求項
1に記載の保管棚。
【請求項3】
前記棚部の支持柱の下部と前記ベースフレームとには、前記棚部が上昇位置に位置したときに水平方向に連通する固定具取付用の取付孔がそれぞれ設けられている、請求項
2に記載の保管棚。
【請求項4】
前記棚部は、前記棚部が下降位置に位置したときに上下方向に延びると共に前記棚部が上昇位置に位置したときに折畳み可能な支持柱を有する、請求項
1に記載の保管棚。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、容器を保管するための保管棚に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、容器を保管するための保管棚として、巻取り部によって定張力バネを巻き取ることで支柱を折り畳み、バッファを保管位置から退避させる技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した従来の保管棚では、バッファ(棚部)を上方に移動させるための巻取り部が、上部フレームに固定されている。すなわち、複数の棚部が設けられている場合には、各棚部に巻取り部が設けられている。このような構成では、保管棚全体が大がかりとなる傾向にある。また、支柱を互いに内側に折り畳む構成においては、実際に支柱をうまく折り畳むことが難しい場合がある。棚部を上方に容易に退避させるには、更なる工夫が必要となっていた。
【0005】
本開示は、棚部を上方に容易に退避させることができる保管棚を説明する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、ベースフレームと、ベースフレームに対して上方に移動自在な棚部と、を備えた保管棚であって、ベースフレームは、ベースフレームに対して着脱可能な巻上げユニットを載置可能であり、棚部は、巻上げユニットのフックを係合させる被係合部を有する。
【0007】
この保管棚によれば、ベースフレームに対して、保管棚とは別に用意された巻上げユニットを載置し、フックを被係合部に係合させて巻き上げることで、棚部を上方に移動させることができる。保管棚は、巻上げユニットを備えないため、従来の構成よりも簡易化できる。巻上げ作業(退避作業)自体も簡易なので、棚部を上方に容易に退避させることができる。
【0008】
ベースフレームは、水平方向に離間すると共に巻上げユニットが載置される載置面を含む横架材を有してもよい。この構成によれば、横架材の載置面上に巻上げユニットを載置し、フックを被係合部に係合させるだけで巻上げの準備が完了するので、巻上げ作業が一層容易になる。
【0009】
棚部は、上下方向に延びる支持柱を有し、支持柱は上端部にストッパを含み、ベースフレームは、上下方向に貫通する挿通孔が形成されたガイド部を有し、ガイド部は、挿通孔に挿通された支持柱が下降して棚部が下降位置に位置したときにストッパ(支持柱)の下降を制止してもよい。この構成によれば、支持柱は、ガイド部に案内されて、上方にスライド自在である。棚部が下降位置に位置したときには、支持柱のストッパのそれ以上の下降がガイド部に制止され、これによって支持柱が抜け止め保持される。
【0010】
棚部の支持柱の下部とベースフレームとには、棚部が上昇位置に位置したときに水平方向に連通する固定具取付用の取付孔がそれぞれ設けられていてもよい。この構成によれば、固定具を取り付けることによって、棚部を上昇位置で保持することができる。その後、巻上げユニットを取り外し、取り外した巻上げユニットを他の保管棚の上方移動(退避)に利用することもできる。
【0011】
棚部は、棚部が下降位置に位置したときに上下方向に延びると共に棚部が上昇位置に位置したときに折畳み可能な支持柱を有してもよい。この構成によれば、棚部を上方に移動させつつ、折り畳まれた支持柱は嵩張らず、上昇位置における保管棚をコンパクトにできる。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、棚部を上方に容易に退避させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る保管棚と天井走行車とを示す斜視図である。
【
図2】
図2は、巻上げユニットを示す斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1の保管棚上に巻上げユニットを載置した状態を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、
図3の保管棚において、棚部が下降位置に位置した状態を示す図である。
【
図5】
図5は、
図3の保管棚において、棚部が上昇位置に位置した状態を示す図である。
【
図6】
図6(a)は、ベースフレームに対して支持柱が上方に移動する状態を示す図、
図6(b)は、連通した2つの取付孔に固定具が挿通された状態を示す図である。
【
図7】
図7は、第2実施形態に係る保管棚上に巻上げユニットを載置した状態を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、
図7の保管棚における支持柱の回動支点付近の構成を示す図である。
【
図9】
図9は、
図7の保管棚おいて、棚部が下降位置に位置した状態を示す図である。
【
図10】
図10は、
図7の保管棚において、棚部が上昇位置に位置した状態を示す図である。
【
図11】
図11は、第2実施形態の変形例に係る保管棚上に巻上げユニットを載置した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図面の説明において、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。「X方向」、「Y方向」及び「Z方向」の語は、図示する方向に基づいており便宜的なものである。
【0015】
図1に示されるように、第1実施形態に係る保管棚1は、例えば、半導体製造工場の半導体搬送システムSを構成する天井走行車3の軌道5に沿って配置される。天井走行車3は、X方向に延びる軌道5に沿って走行する。保管棚1は、FOUP又はレチクルポッド等の容器Fを一時的に保管する。保管棚1は、オーバーヘッドバッファ(OHB)である。保管棚1は、例えば、棚部20が軌道5の側方に配置されたサイドトラックバッファ(STB)である。その場合、天井走行車3は、容器FをY方向及びZ方向に移載する。なお、保管棚1は、棚部20が軌道5の下方に配置されたアンダートラックバッファ(UTB)であってもよい。
【0016】
各保管棚1は、例えば天井から吊り下げられたベースフレーム10と、ベースフレーム10に取り付けられて、ベースフレーム10の下方に吊り下げられた棚部20とを備える。棚部20は、例えば、複数個の容器Fを保管可能である。
図1に示される例では、棚部20は、容器Fを載置可能な4つの載置部25を有する。
【0017】
保管棚1において、棚部20は、ベースフレーム10に対して上方に移動自在である。例えば、半導体工場において、多数の保管棚1が敷き詰められる場合がある。工場内において半導体製造装置等を移動させる際、保管棚1においては、装置の搬送路(移動空間)を確保するために、棚部20を上方に移動させて退避させることができる。このような昇降機構をもたない保管棚であれば、装置を移動させる際には、保管棚をいったん取り外して仮置き場まで移動させ、装置の移動後に再度据え付ける等の作業が必要になる。しかし本実施形態の保管棚1では、そのような取り外し及び再据え付け等の作業は不要となっている。
【0018】
保管棚1は、伸縮式(スライド式)の構造を有する。棚部20は、ベースフレーム10に対してZ方向(上下方向)に沿ってスライドする。保管棚1の通常の使用時においては、棚部20は、下降位置P1に位置する(
図4参照)。この下降位置P1は、棚部20のZ方向の可動範囲における最も低い位置である。棚部20の退避が必要な際には、後述する方法によって、棚部20は上方に移動させられ、上昇位置P2に位置する(
図5参照)。
図4及び
図5には、ベースフレーム10の構成要素である横架材12及び支柱11に関し、支柱11に対して横架材12が取り付けられる横架材取付面Aが一点鎖線で併記されている。この横架材取付面Aは、定まった高さに位置する。
【0019】
図1に示されるように、ベースフレーム10は、X方向に離間して配置されてそれぞれZ方向に延びる2対の支柱11と、2対の支柱11の間でX方向に架け渡された2本の長尺フレーム14と、各対の支柱11の上端部間に架け渡されてY方向に延びる横架材12とを有する。支柱11は、例えば、金属製であり、断面中空の角柱部材である。横架材12は、例えば溝形鋼等である。ベースフレーム10の上部において、2本の横架材12が、X方向(水平方向)に離間して配置されている。横架材12は、その天面をなす水平な載置面12aを含む。
【0020】
棚部20は、X方向に離間して配置されてそれぞれZ方向に延びる2対の支持柱23と、2対の支持柱23の下端23b(
図4参照)に固定されて複数の載置部25を形成する下部フレーム21とを有する。支持柱23は、例えば、金属製であり、断面中空の角柱部材である。X方向に離間する2本の支持柱23の下部23aの間に、落下防止バー27が架け渡されている。また下部フレーム21のX方向の両端部には、落下防止プレート28,28が立設されている。これらの落下防止バー27及び落下防止プレート28は、載置部25上に載置された容器Fの側方及び前後方に位置し、容器Fの落下を防止する。
【0021】
保管棚1においては、位置が固定されたベースフレーム10に対して、支持柱23が上下方向にスライド移動する。ベースフレーム10は、各支柱11の下端部に固定されて、内方に(X方向に離間する他方の支柱11側に)突出するガイド部16が固定されている。各ガイド部16は、U字状を呈しており、U字の開放部に支柱11が嵌っている。各ガイド部16には、Z方向に貫通する挿通孔17が形成されている。
【0022】
棚部20の各支持柱23は、ガイド部16の挿通孔17に挿通され、ガイド部16によってX方向及びY方向の移動を規制され、Z方向にスライドするようにガイドされる。支持柱23は、ガイド部16よりも上に突出したとき、支柱11の側方に位置するので、支柱11とは干渉しない。棚部20は、各支持柱23の上端部に設けられたストッパ31を含む(
図5も参照)。ストッパ31は例えば水平に延びる平板状を呈しており、平面視におけるストッパ31の大きさは、挿通孔17の大きさよりも大きい。ストッパ31は、ガイド部16の上方に常に位置し、ガイド部16を通過不能である。これにより、4つの挿通孔17に挿通された4本の支持柱23が下降して、棚部20が下降位置P1(
図4参照)に位置したときに、ガイド部16がストッパ31の下降を制止する。この状態で、例えば支柱11と支持柱23の上端部とがボルト等によって固定されてもよい。棚部20は、下降位置P1において、ベースフレーム10によって抜け止め保持され、固定されている。
【0023】
続いて、
図2~
図5を参照して、棚部20を上方に移動させるための構成について説明する。
図2は、保管棚1に適用される巻上げユニット50を示す斜視図である。
図3は、保管棚1上に巻上げユニット50を載置した状態を示す斜視図である。巻上げユニット50は、保管棚1に対して着脱可能な治具である。巻上げユニット50は、棚部20を上方に移動させる際、又は棚部20を下方に移動させる際、ベースフレーム10の横架材12上に載置される。巻上げユニット50は、横架材12の載置面12a上に載置可能である。この構成により、1台の巻上げユニット50が、複数の保管棚1に対する棚部20の昇降作業に用いられ得る。言い換えれば、巻上げユニット50の台数は、保管棚1の台数ほどは必要とされない。複数の保管棚1に共用される巻上げユニット50は、設備全体のコストの低減に寄与する。
【0024】
図2に示されるように、巻上げユニット50は、メインフレーム51と、メインフレーム51の両端部に固定された縦部材52及び横部材53と、メインフレーム51に対して連結部54を介して連結されたホイスト56と、チェーン57及びフック58とを有する。巻上げユニット50のホイスト56は、例えば電動チェンブロックである。図示は省略するが、ホイスト56には、例えば給電ケーブル等が接続される。メインフレーム51、縦部材52及び横部材53は、例えば、金属製であり、断面中空の角柱部材である。メインフレーム51の長さは、X方向に離間して配置された2本の横架材12の外側側面間の長さよりも長い。メインフレーム51は、2本の横架材12に架け渡すことができる長さを有し、載置面12a上に載置されたとき、両端部がそれぞれ+X方向及び-X方向(外側)に突出する。その突出した部分に、一対の縦部材52が取り付けられている。一対の縦部材52は-Z方向に延び、横架材12に載置されたメインフレーム51のX方向の動きを規制する。縦部材52の取付位置よりも内側には、メインフレーム51が載置面12a上に載置されたとき、横架材12の載置面12a上に横たわる一対の横部材53が取り付けられている。一方の横部材53は、メインフレーム51から+Y方向に突出し、他方の横部材53はメインフレーム51から-Y方向に突出する。一対の横部材53は、横架材12に載置されたメインフレーム51の軸を中心とする回転方向の動き(倒れ)を規制する。なお、縦部材52及び横部材53のX方向における位置が調整自在であってもよい。
【0025】
環状の連結部54は、メインフレーム51のX方向の中心点に固定されていてもよいが、メインフレーム51に沿って任意の位置に移動(又は取付け)可能であってもよい。本実施形態では、後述する別のタイプの保管棚1A,1Bを考慮して、連結部54は移動可能とされる。連結部54の根元部は、メインフレーム51に嵌合した状態で、X方向に移動可能となっている。連結部54は、図示しない締結部材等によって、所望の位置にて固定される。ホイスト56は、電動であり、チェーン57の巻上げ及び巻下げ(操出し)が可能である。ホイスト56は、例えば、遠隔で操作することができる。なお、ホイスト56は、手動ハンドルによる操作も可能となっている。
【0026】
図3に示されるように、巻上げユニット50は、棚部20の退避作業を必要とする保管棚1の設置場所に運ばれ、横架材12の載置面12a上に載置される。作業者は、保管棚1の側方に設置された図示しない足場ユニット等を利用して、保管棚1にアクセス可能である。巻上げユニット50を載置する際、作業者は、まず一方の縦部材52を横架材12の外側に引っ掛けるようにして、横架材12にメインフレーム51の一方の端部を支持させ、次に他方の横架材12に、メインフレーム51の他方の端部を支持させる。角柱部材であるメインフレーム51は、横架材12上において安定した姿勢で着座する。メインフレーム51は、横架材12におけるY方向の略中央に載置される。縦部材52及び横部材53によって、メインフレーム51の動きが規制される。巻上げユニット50が横架材12上に架け渡されるだけで、X方向及びY方向における巻上げユニット50の位置決めがなされる。Z方向においても、後述する被係合部35に対する係合により、巻上げユニット50は横架材12上に押さえ付けられ、巻上げユニット50の位置が固定される。この際、特に固定具は不要である。
【0027】
一方、下部フレーム21のX方向及びY方向の中心部には、アイボルト等を用いた被係合部35が取り付けられている。被係合部35は、例えば、容器Fが載置されない棚部20における重心に固定されている。作業者は、フック58を被係合部35に係合させる。
図4に示されるように、ホイスト56は、メインフレーム51のX方向の中心点に固定された連結部54に吊り下げられるため、チェーン57は鉛直方向(Z方向)に垂下する。メインフレーム51は、縦部材52及び横部材53によって、上方向への動きのみ規制されておらず自由に動けるが、フック58が被係合部35に係合されてチェーン57に張力がかかった状態では、メインフレーム51に棚部20の自重が加わることとなる。よって、メインフレーム51には下方に向けての荷重が加わり、メインフレーム51の位置は安定する。メインフレーム51は、棚部20の概ね重心の位置を吊り上げるよう、位置合わせされる。
【0028】
続いて、ホイスト56によりチェーン57を巻き上げると、
図5に示されるように、ベースフレーム10に対して棚部20が上方に移動する。ベースフレーム10の長尺フレーム14に対して、落下防止バー27が当接するか又は当接する直前において、棚部20の移動は停止される。
図6(a)及び
図6(b)に示されるように、例えば、支持柱23の下部23aと支柱11とには、棚部20が上昇位置P2に位置したときにX方向(水平方向)に連通する第1取付孔33及び第2取付孔18がそれぞれ設けられている。支持柱23の2つの第1取付孔33と、支柱11の2つの第2取付孔18とが水平方向に一直線に並んだ時点で、別途の固定ピン40が用意され、その棒状部41が第1取付孔33及び第2取付孔18に挿通される(
図6(b)参照)。この固定ピン40は、固定具であり、第1取付孔33及び第2取付孔18は固定具取付用の取付孔である。固定ピン40は、例えばロック機構を有しており、いったん第1取付孔33及び第2取付孔18に挿通された後は容易に抜けない構造となっている。固定ピン40は、上昇位置P2に位置する棚部20の重量を支える。
【0029】
本実施形態の保管棚1によれば、ベースフレーム10に対して、保管棚1とは別に用意された巻上げユニット50を載置し、フック58を被係合部35に係合させてチェーン57を巻き上げることで、棚部20を上方に移動させることができる。保管棚1は、巻上げユニット50を備えないため、従来よりも構成を簡易化できる。巻上げ作業(退避作業)自体も簡易なので、棚部20を上方に容易に退避させることができる。なお、保管棚1では、棚部20が上昇位置P2に位置するとき、支持柱23は横架材取付面Aよりも上方に大きく突出する。支持柱23の全長の大部分(又は半分以上)が横架材取付面Aから突出するので、保管棚1は、ベースフレーム10の上方に十分なクリアランスを確保できる状況において適用されることが望ましい。
【0030】
ベースフレーム10は、X方向に離間すると共に巻上げユニット50が載置される載置面12aを含む横架材12を有する。横架材12の載置面12a上に巻上げユニット50を載置し、フック58を被係合部35に係合させるだけで巻上げの準備が完了するので、巻上げ作業が一層容易になる。
【0031】
ベースフレーム10のガイド部16は、挿通孔17に挿通された支持柱23が下降して棚部20が下降位置P1に位置したときにストッパ31のそれ以上の下降を制止する。支持柱23は、ガイド部16に案内されて、上下にスライド自在である。棚部20が下降位置P1に位置したときには、支持柱23のストッパ31がガイド部16に制止され、これによって支持柱23が抜け止め保持される。
【0032】
支持柱23の下部23aとベースフレーム10とには、棚部20が上昇位置P2に位置したときに水平方向に連通する固定具取付用の第1取付孔33及び第2取付孔18がそれぞれ設けられている。固定ピン40をベースフレーム10及び棚部20に取り付けることによって、棚部20を上昇位置P2で保持することができる。よって、この状態で、巻上げユニット50を取り外すことができ、巻上げユニット50は、他の保管棚1の上方移動(退避)に利用され得る。
【0033】
続いて、
図7~
図10を参照して、第2実施形態に係る保管棚1Aについて説明する。
図7に示す保管棚1Aが
図3に示した先の実施形態の保管棚1と違う点は、長尺フレーム14を含むベースフレーム10に代えて、長尺フレーム14が省略され、4本の支柱11が上回動支点63aを介して棚部20に回動可能に連結されたベースフレーム10Aを備えた点と、スライド式(伸縮式)の支持柱23を含む棚部20に代えて、折畳み可能な4本の支持柱60を含む棚部20Aを備えた点である。ベースフレーム10Aにおいて、支柱11及び横架材12は、ベースフレーム10の支柱11及び横架材12と同じ構成であってもよい。また、棚部20Aにおいて、4本の上柱部材63の間に4本の補強板64が架け渡されている。4本の補強板64は同じ高さに取り付けられ、長方形をなして、上柱部材63間の間隔を規定することで棚部20Aを補強している。
【0034】
棚部20Aの支持柱60は、下部フレーム21に固定されZ方向に立設された下柱部材61と、下柱部材61の上端に下回動支点61aを介して下端が連結された中柱部材62と、中柱部材62の上端に中回動支点62aを介して下端が連結された上柱部材63とを含む。下柱部材61、中柱部材62、及び上柱部材63は、例えば、金属製であり、断面中空の角柱部材である。上柱部材63の上端は、支柱11の下端に上回動支点63aを介して連結されている。
図8は、支持柱60の中回動支点62a付近の構成を示す図である。
図8に示されるように、中回動支点62aは、Y方向に延びる回動軸線Lを有する。下回動支点61a及び上回動支点63aも、Y方向に延びる回動軸線Lを有する。これらの平行な3本の回動支点中心にして、連結された2本の柱部材が相対的に回動する。中柱部材62の長さと、上柱部材63の長さとは等しい。また、落下防止バー27が、下回動支点61aにおいて支持柱60に連結されている。
【0035】
棚部20が下降位置P1に位置するとき、
図8及び
図9に示されるように、中柱部材62は、両部材に跨る平板状の固定プレート66を介して、X方向に向けられた上固定ボルト68及び下固定ボルト67によって、上柱部材63に固定されている。下柱部材61と中柱部材62の間、及び、上柱部材63と支柱11の間においても、同様の固定構造が設けられている。一方、棚部20を上方に移動させる際には、連結された2本の柱部材の相対的な回動を許容するよう、いずれか一方の柱部材に対する固定ボルトが取り外され、固定が解除される。
図9に示されるように、中回動支点62aにおける固定プレート66は-X側の側面に取り付けられ、下回動支点61a及び上回動支点63aにおける固定プレート66は+X側の側面に取り付けられる。これにより、4本の支持柱60のいずれもが、同じ方向に折れ曲がる(折り畳まれる)。例えば、中回動支点62aの部分は、
図9に示される右側に突出するように回動する。
【0036】
棚部20Aに対して巻上げ作業を実施する場合、
図9に示されるように、連結部54は、例えば、メインフレーム51のX方向の中心点よりも-X側に偏った位置に固定される。言い換えれば、連結部54は、X方向の中心点よりも、中回動支点62aの部分が突出する側に位置変更され、適宜の位置で固定される。よって、チェーン57は鉛直方向(Z方向)に対して角度をなす方向(傾いた方向)に垂下する。ホイスト56によりチェーン57を巻き上げると、各回動支点において、回動の契機が与えられ(回動させる方向に力が加わり)、各支持柱60が折り畳まれる。そして、
図10に示されるように、ベースフレーム10Aに対して棚部20Aが上方に移動する。上柱部材63が下柱部材61に当接し、中柱部材62が支柱11に当接した時点で、棚部20の移動は停止される。折り畳まれることで突出した中回動支点62aの部分は、下部フレーム21のX方向の端部よりも内側に収まっている。棚部20Aが上方に移動して上昇位置P2に位置し、支持柱60が折り畳まれた状態において、下回動支点61a及び上回動支点63aの部分、すなわち下柱部材61の上端部と支柱11の下端部とが1枚の固定プレート(平板部材)で繋ぎ合わされ、互いに固定されてもよい。よって、この状態で、巻上げユニット50を取り外すことができ、巻上げユニット50は、他の保管棚1Aの上方移動(退避)に利用され得る。また、棚部20Aは、中柱部材62と上柱部材63の長さが等しいことにより、Z方向に真っ直ぐな軌跡をたどって上方に移動する。この上方への移動過程において補強板64及び落下防止バー27は互いの柱部材の移動を阻害しないため、補強板64及び落下防止バー27を取り外す必要はない。
【0037】
第2実施形態の保管棚1Aによっても、保管棚1と同様の作用・効果が奏される。保管棚1Aは、巻上げユニット50を備えないため、従来よりも構成を簡易化できる。巻上げ作業(退避作業)自体も簡易なので、棚部20を上方に容易に退避させることができる。
【0038】
また、棚部20Aを上方に移動させつつ、パンタグラフ構造をもって折り畳まれた支持柱60は嵩張らず、上昇位置P2における保管棚1Aをコンパクトにできる。保管棚1のように、上昇位置P2において支持柱23が横架材取付面Aの上に突出することがなく、棚部20Aは横架材取付面Aよりも下に収まっている。また、突出した中回動支点62aの部分は、下部フレーム21のX方向の端部よりも内側に収まっているため、保管棚1Aは、フットプリントの観点で有利である。例えば、複数の保管棚1AがX方向に小さな間隔をもって設けられている場合でも、折畳み時に互いに干渉することを防止できる。
【0039】
続いて、
図11~
図13を参照して、第2実施形態の変形例に係る保管棚1Bについて説明する。
図11に示す保管棚1Bが
図7に示した先の実施形態の保管棚1Aと違う点は、それぞれ1本の回動軸線Lを有する回動支点を介して各柱部材が連結された棚部20Aに代えて、それぞれ2本の回動軸線を有する下回動支点61b、中回動支点62b、及び上回動支点63bを介して、下柱部材61と中柱部材62、中柱部材62と上柱部材63、及び上柱部材63と(ベースフレーム10Bの)支柱11とが連結された棚部20Bを備えた点である。
図12に示されるように、下回動支点61b、中回動支点62b、及び上回動支点63bでは、棚部20Aの固定プレート66に代えて、断面U字状の連結プレート69が取り付けられている。固定ボルトは、固定プレート66の場合とは異なり、Y方向に向けられており、回動軸線に平行である。この連結プレート69及び連結構造によれば、中柱部材62及び上柱部材63の折畳み時に、固定ボルトを取り外す必要がない。保管棚1Bにおいても、支持柱60が折り畳まれた状態において、上記した固定プレート(平板部材)による固定が行われてもよい。
【0040】
変形例の保管棚1Bによっても、保管棚1Aと同様の作用・効果が奏される。保管棚1Bは、巻上げユニット50を備えないため、従来よりも構成を簡易化できる。巻上げ作業(退避作業)自体も簡易なので、棚部20を上方に容易に退避させることができる。また、突出した中回動支点62bの部分は、下部フレーム21のX方向の端部よりも内側に収まっているため、保管棚1Bは、フットプリントの観点で有利である。棚部20Bでは、各回動支点が2本の回動軸線を有するため、棚部20の昇降高さを一定として考えた場合には、
図12に示される支持柱60のZ方向の長さが棚部20Aよりも長くなる。Z方向の制限が厳しくない状況においては、固定ボルトが取り外し不要であるという保管棚1Bの利点が発揮されやすい。
【0041】
以上、本開示の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限られない。たとえば、巻上げユニット50は、ベースフレーム10における横架材12とは異なる部分に載置されてもよい。ベースフレーム10の構成は適宜変更されてよい。棚部における支持柱の平面的な配置も、適宜変更されてよい。
【0042】
棚部が上昇位置P2に位置したときの固定構造は、上記実施形態に限られない。
【符号の説明】
【0043】
1,1A,1B…保管棚、10,10A,10B…ベースフレーム、12…横架材、12a…(巻上げユニットの)載置面、20,20A,20B…棚部、16…ガイド部、17…挿通孔、18…第2取付孔、23…支持柱、23a…下部、31…ストッパ、33…第1取付孔、35…被係合部、40…固定ピン(固定具)、50…巻上げユニット、58…フック、60…(折畳み可能な)支持柱。