(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】バッテリケース
(51)【国際特許分類】
B60K 1/04 20190101AFI20241001BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20241001BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20241001BHJP
H01M 10/6556 20140101ALI20241001BHJP
H01M 50/242 20210101ALI20241001BHJP
H01M 50/244 20210101ALI20241001BHJP
H01M 50/249 20210101ALI20241001BHJP
H01M 50/291 20210101ALI20241001BHJP
【FI】
B60K1/04 Z
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/6556
H01M50/242
H01M50/244 A
H01M50/249
H01M50/291
(21)【出願番号】P 2023523875
(86)(22)【出願日】2021-05-27
(86)【国際出願番号】 JP2021020275
(87)【国際公開番号】W WO2022249409
(87)【国際公開日】2022-12-01
【審査請求日】2023-11-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今塩屋 竜也
(72)【発明者】
【氏名】岡本 裕司
(72)【発明者】
【氏名】秋月 信也
【審査官】中川 隆司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/070288(WO,A1)
【文献】特開平9-109692(JP,A)
【文献】特開2013-103599(JP,A)
【文献】特開2021-46010(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0192913(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 1/04
H01M 10/613
H01M 10/625
H01M 10/6556
H01M 50/242
H01M 50/244
H01M 50/249
H01M 50/291
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動車両用のバッテリを収容するバッテリケースであって、
前記バッテリケースの車両幅方向の左右側壁を構成し、車両前後方向に沿って延設される一対のサイドフレームと、
前記バッテリケースの内部空間を車両前後方向に区画し、一方の前記サイドフレームから他方の前記サイドフレームまで延設されるクロスメンバと、
前記サイドフレームの外側面に固定され、前記バッテリケースを車体に取り付けるためのサイドブラケットと、を備え、
前記サイドフレームは、当該サイドフレーム内において車両幅方向に延設されるフレームリブを有し、
前記サイドブラケットは、当該サイドブラケット内において車両幅方向に延設されるブラケットリブを有し、
前記クロスメンバは、当該クロスメンバ内において車両幅方向に延設されるメンバリブを有し、
前記フレームリブの前記クロスメンバ側の端部と、前記メンバリブの前記サイドフレーム側の端部とが車両上下方向において対応するように配置されている、
バッテリケース。
【請求項2】
請求項1に記載のバッテリケースであって、
前記ブラケットリブの前記サイドフレーム側の端部と、前記フレームリブの前記サイドブラケット側の端部とが車両上下方向において対応するように配置されている、
バッテリケース。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のバッテリケースであって、
前記サイドブラケットは、
前記サイドフレームの前記外側面に当接する当接部と、
前記バッテリケースの底部を下側から支持する支持部と、を備える
バッテリケース。
【請求項4】
請求項3に記載のバッテリケースであって、
前記フレームリブは、車両上下方向に所定の間隔をあけて複数設けられ、
前記当接部の上端と、一の前記フレームリブのサイドブラケット側の端部とが車両上下方向において対応するように配置されている、
バッテリケース。
【請求項5】
請求項3又は4に記載のバッテリケースであって、
前記支持部の下面と、前記バッテリケースの前記底部の下面とが車両上下方向において対応するように配置されている、
バッテリケース。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1つに記載のバッテリケースであって、
前記サイドブラケットは、前記サイドブラケット内を前記ブラケットリブにより仕切ることで、車両前後方向に延設される通路を備え、
前記通路は、前記電動車両に設けられる車載装置を冷却するための冷媒通路である、
バッテリケース。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1つに記載のバッテリケースであって、
前記一対のサイドフレームは、車両前後方向に沿って車両幅方向における互いの間隔が徐々に狭くなるよう湾曲形成されている、
バッテリケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリケースに関する。
【背景技術】
【0002】
JP2936959Bには、駆動源としてのバッテリが搭載された電動車両が開示されている。
【0003】
JP2936959Bでは、車両前後方向に延びるセンターフレームとサイドフレーム、車両前方に配置されるフロントフレームと車両後方に配置されるリアフレーム、及び車両幅方向に仕切るクロスメンバによって形成されたバッテリケースを備える。バッテリは、各フレーム及び各メンバが格子状に配置されることによって形成された載置部に配置されている。さらに、バッテリケースには、サイドフレームよりも車体幅方向外側に、サイドシルが設けられている。
【発明の概要】
【0004】
JP2936959Bに記載された電動車両は、上記構成を備えることにより、例えば、車両の側面から荷重が入力された場合であっても、荷重がバッテリに直接作用しないようになっている。これに対して、電動車両の側面に入力される荷重に対して、更なる耐久性の向上が望まれている。
【0005】
本発明は、電動車両の側面に入力される荷重に対する耐久性を向上させる技術を提供することを目的とする。
【0006】
本発明の一態様によれば、電動車両用のバッテリを収容するバッテリケースが提供される。
【0007】
このバッテリケースは、一対のサイドフレームと、クロスメンバと、サイドブラケットを有する。一対のサイドフレームは、バッテリケースの車両幅方向の左右側壁を構成し、車両前後方向に沿って延設される。クロスメンバは、バッテリケースの内部空間を車両前後方向に区画し、一方のサイドフレームから他方のサイドフレームまで延設される。サイドブラケットは、サイドフレームの外側面に固定され、バッテリケースを車体に取り付けるためのものである。サイドフレームは、当該サイドフレーム内において車両幅方向に延設されるフレームリブを有し、サイドブラケットは、当該サイドブラケット内において車両幅方向に延設されるブラケットリブを有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係るバッテリケースが搭載された電動車両の要部を示す側面透視図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係るバッテリケースが搭載された電動車両の要部を底部側からみた平面透視図である。
【
図3】
図3は、本発明の第一実施形態に係るバッテリケースを説明する斜視図である。
【
図5】
図5は、本発明の第二実施形態に係るバッテリケースを、
図3に示す第一実施形態に係るバッテリケースと同じ位置で切り欠いて説明する断面図である。
【
図6】
図6は、
図5のバッテリケースの要部を車両の底部側からみた斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
【0010】
[第一実施形態]
図1は、本発明の実施形態に係るバッテリケース1が搭載された電動車両100の要部を示す側面透視図である。
図2は、電動車両100の要部を底部側からみた平面透視図である。
【0011】
図1及び2に示すように、バッテリケース1は、電動車両100(以下、車両100と記す)の駆動源として用いられるバッテリを収容する。バッテリケース1は、車両100のフロアの下側に、車両100のフロアに対応する領域に亘って配置される。
【0012】
図3は、バッテリケース1を説明する斜視図である。
図3には、車両前方向F及び車両後方向Rを表す矢印と、車両幅方向Wを表す矢印と、車両上下方向Zを表す矢印とが記載されている。なお、車両前後方向、車両幅方向、車両上下方向は、それぞれ、前後方向FR、幅方向W、上下方向Zと表す場合がある。
【0013】
図3に示すように、バッテリケース1は、サイドフレーム10と、クロスメンバ20と、フロントフレーム30と、リアフレーム40と、底板50とを有する。
【0014】
サイドフレーム10は、車両幅方向Wにおいて所定の間隔をあけて一対備えられ、バッテリケース1の左右側壁を構成する。また、サイドフレーム10は、車両100の前後方向FRに沿って延設されている。
【0015】
フロントフレーム30は、車両前後方向FRにおける前側壁を構成し、リアフレーム40は、車両前後方向FRにおける後側壁を構成する。また、底板50は、バッテリケース1におけるバッテリの載置面として機能するケース底面を構成する。
【0016】
サイドフレーム10と、フロントフレーム30と、リアフレーム40は、底板50の周縁に対して立設され、溶接により接合されることにより、箱状の筐体を構成している。また、サイドフレーム10とフロントフレーム30とリアフレーム40とによって形成される内部空間は、複数のクロスメンバ20によって区画されている。
【0017】
クロスメンバ20は、バッテリケース1の内部空間を前後方向FRに区画するものであり、一方のサイドフレーム10から他方のサイドフレーム10まで延設される。第一実施形態においては、バッテリケース1は、4つのクロスメンバ20を備える。
【0018】
図3には図示されていないが、バッテリケース1の内部空間において、クロスメンバ20によって形成された複数の区画のそれぞれには、バッテリが収容される。複数のバッテリモジュールにより、一のバッテリ(バッテリパック)が構成されている。バッテリケース1は、内部空間にリチウムイオン電池等からなるバッテリモジュールが収容された状態で、図示しないケースカバーによって覆われる。
【0019】
上述のようにバッテリが収容されるバッテリケース1は、サイドブラケット60及びリアサイドブラケット60Rをサイドフレーム10の車体幅方向外側に備え、当該サイドブラケット60及びリアサイドブラケット60Rによって、車両100の車体に取り付けられる。
【0020】
駆動源としてのバッテリの積載量を高める観点から、
図2に示すように、車両100のフロア領域を最大限利用してバッテリケース1が形成される。そのため、車両100の幅方向Wにおいては、バッテリケース1と車両100の車体との間のスペースが狭小となる。そこで、バッテリケース1には、車両100に入力し得る衝撃のうち、特に、側方からの衝突等によって車両100に入力される荷重に対して、十分な耐久性を備えることが要求される。
【0021】
図4は、
図3のIV-IV線における断面図である。
図4に示すように、サイドブラケット60は、溶接等により、バッテリケース1の内部空間の左右壁を構成するサイドフレーム10の外側面10Sに固定されている。
【0022】
サイドフレーム10は、中空の板状部材であって、サイドフレーム10内において幅方向Wに延設されるフレームリブ11を有する。本実施形態においては、サイドフレーム10は、サイドフレーム10の内部を上下方向Zに区画する、4つのフレームリブ11,12,13,14を有する。
【0023】
サイドフレーム10は、サイドフレーム10の内部において幅方向Wに延設されるフレームリブ11,12,13,14によって、幅方向Wにおける強度が高められている。
【0024】
次に、サイドフレーム10の外側に固定されるサイドブラケット60について説明する。サイドブラケット60は、車体にバッテリケース1を取り付けるための本体部61と、本体部61のサイドフレーム10側の一面を構成し、サイドフレーム10の外側面10Sに当接する当接部62と、当接部62の下端62dから突出し、バッテリケース1を下側から支持する支持部63とを有する。溶接等により、当接部62が外側面10Sに、また、支持部63がバッテリケース1の底板50に、それぞれ固定されている。
【0025】
また、本体部61は、当接部62からバッテリケース1の幅方向Wにおいて車両外側に突出する突出端部64を有する。突出端部64には、上下方向Zに貫通する孔64hが形成されており、この孔64hを通過するボルトによって、サイドブラケット60と車両100とが固定される。
【0026】
サイドブラケット60は、中空の棒状部材であって、サイドブラケット60の内部に幅方向Wに延設されるブラケットリブ65を有する。このように、サイドブラケット60は、サイドブラケット60の内部において幅方向Wに延設されるブラケットリブ65によって、幅方向Wにおける強度が高められている。
【0027】
リアサイドブラケット60Rについては、サイドブラケット60の第二実施形態の説明とともに説明する。
【0028】
次に、一対のサイドフレーム10の間に配置されているクロスメンバ20について説明する。クロスメンバ20は、中空の板状部材であって、クロスメンバ20内において幅方向Wに延設されるメンバリブ21を有する。本実施形態においては、クロスメンバ20は、クロスメンバ20の内部を上下方向Zに区画する、4つのメンバリブ21,22,23,24を有する。このように、クロスメンバ20は、クロスメンバ20の内部において幅方向Wに延設されるメンバリブ21,22,23,24によって、幅方向Wにおける強度が高められている。
【0029】
本実施形態においては、
図4に示すように、ブラケットリブ65のサイドフレーム10側の端部65eと、フレームリブ14のサイドブラケット60側の端部14bとが、上下方向Zにおいて対応するように配置されている。すなわち、ブラケットリブ65のサイドフレーム10側の端部65eの上下方向Zにおける高さ位置と、フレームリブ14のサイドブラケット60側の端部14bの上下方向Zにおける高さ位置とがほぼ同じになるように構成されている。
【0030】
これにより、サイドフレーム10及びサイドブラケット60の幅方向Wにおける強度が高められるとともに、車両100の側方からサイドブラケット60に入力された荷重をブラケットリブ65からフレームリブ14に伝える荷重伝達経路(以下、ロードパスと記す)が形成される。
【0031】
また、
図4に示すように、フレームリブ11のクロスメンバ20側の端部11aと、メンバリブ21のサイドフレーム10側の端部21eとが車両上下方向Zにおいて対応するように配置されている。すなわち、フレームリブ11のクロスメンバ20側の端部11aの上下方向Zにおける高さ位置と、メンバリブ21のサイドフレーム10側の端部21eの上下方向Zにおける高さ位置とがほぼ同じになるように構成されている。
【0032】
また、フレームリブ12のクロスメンバ20側の端部12aと、メンバリブ22のサイドフレーム10側の端部22eとが車両上下方向Zにおいて対応するように配置されている。すなわち、フレームリブ12のクロスメンバ20側の端部12aの上下方向Zにおける高さ位置と、メンバリブ22のサイドフレーム10側の端部22eの上下方向Zにおける高さ位置とがほぼ同じになるように構成されている。
【0033】
同様に、フレームリブ13,14のクロスメンバ20側の端部13a,14aの上下方向Zにおける高さ位置と、メンバリブ23,24のサイドフレーム10側の端部23e,24eの上下方向Zにおける高さ位置とが同じになるように配置されている。
【0034】
これにより、サイドフレーム10のフレームリブ11,12,13,14に入力された荷重をクロスメンバ20のメンバリブ21,22,23,24に伝えるロードパスが形成される。
【0035】
また、サイドブラケット60は、
図4に示すように、突出端部64から当接部62の上端62uに連なる本体上面部67と、突出端部64から当接部62の下端62dに連なる本体下面部68とを有する。幅方向Wに沿った上下方向Zにおける断面形状は、突出端部64から幅方向Wにおける車両内側に向かうにつれて上下方向Zに広がって、当接部62に連続する形状を有する。
【0036】
さらに、当接部62の上端62uと、フレームリブ13のサイドブラケット60側の端部13bとが上下方向Zにおいて対応するようにサイドブラケット60が配置されている。すなわち、当接部62の上端62uの上下方向Zにおける高さ位置と、フレームリブ13の上下方向Zにおける高さ位置とがほぼ同じに位置するように構成されている。
【0037】
これにより、サイドブラケット60の突出端部64から入力された荷重を上下方向Zに広がるように分散させてサイドフレーム10に伝えるロードパスが形成される。
【0038】
サイドブラケット60は、サイドブラケット60内をブラケットリブ65により仕切ることで、前後方向FRに延設される通路66を備える。本実施形態においては、通路66は、車両100に設けられる後輪用モータ等の車載装置を冷却する冷媒が通過するための冷媒通路である。
【0039】
また、
図3に示すように、バッテリケース1が車両100におけるバッテリケース1の搭載可能場所に応じた形状となるように、一対のサイドフレーム10は、それぞれ、前後方向FRに沿って幅方向Wにおける互いの間隔が徐々に狭くなるように一部が湾曲して形成されている。湾曲部10Cは、複数段の曲げ加工により、継ぎ目なく、いわゆるシームレスに形成されている。
【0040】
[第一実施形態による効果]
第一実施形態に係るバッテリケース1は、車両幅方向Wの左右側壁を構成する一対のサイドフレーム10と、一方のサイドフレーム10から他方のサイドフレーム10まで延設されるクロスメンバ20と、サイドフレーム10の外側面10Sに固定され、バッテリケース1を車体に取り付けるためのサイドブラケット60とを備える。バッテリケース1において、車両幅方向Wの左右側壁を構成する一対のサイドフレーム10は、クロスメンバ20によって車両幅方向Wに支持されている。サイドフレーム10は、当該サイドフレーム10内において車両幅方向Wに延設されるフレームリブ11,12,13,14を有する。サイドフレーム10は、サイドフレーム10の内部において、フレームリブ11,12,13,14によって車両幅方向Wに支持されている。サイドブラケット60は、当該サイドブラケット60内において車両幅方向Wに延設されるブラケットリブ65を有する。サイドブラケット60は、サイドブラケット60の内部において、ブラケットリブ65によって車両幅方向Wに支持されている。
【0041】
このように、サイドフレーム10及びサイドブラケット60は、フレームリブ11,12,13,14及びブラケットリブ65により車両幅方向Wにおける強度が高められており、さらに、一対のサイドフレーム10は、クロスメンバ20によって、車両幅方向Wに支持されている。したがって、バッテリケース1は、車両幅方向Wに荷重が入力された場合に対する強度が高められるため、例えば、車両100の側面からの衝突などに対する耐久性を向上することができる。
【0042】
また、バッテリケース1は、ブラケットリブ65のサイドフレーム10側の端部65eと、フレームリブ14のサイドブラケット60側の端部14bとが車両上下方向Zにおいて対応するように配置されている。これにより、ブラケットリブ65からフレームリブ14を通るロードパスが形成される。したがって、車両幅方向Wの外側からサイドブラケット60に入力された荷重をサイドブラケット60からサイドフレーム10へと、より確実に分散させることができる。
【0043】
さらに、サイドフレーム10及びサイドブラケット60において、車両上下方向Zにおけるフレームリブ14の高さ位置とブラケットリブ65の高さ位置とが揃うことで、車両幅方向Wにおけるバッテリケース1の剛性が高められるとともに、車両100の側方から入力された荷重をバッテリケース1の車両幅方向Wにスムーズに伝達することができる。
【0044】
また、バッテリケース1において、クロスメンバ20は、当該クロスメンバ20内において車両幅方向Wに延設されるメンバリブ21,22,23,24を有する。これにより、クロスメンバ20は、クロスメンバ20の内部において、メンバリブ21,22,23,24によって車両幅方向Wに支持されているため、車両幅方向Wにおけるクロスメンバ20の強度を向上させることができる。
【0045】
また、バッテリケース1では、車両上下方向Zにおけるフレームリブ11,12,13,14のクロスメンバ20側の端部11a,12a,13a,14aの高さ位置と、メンバリブ21,22,23,24のサイドフレーム10側の端部21e,22e,23e,24eの高さ位置とが揃うように配置されている。
【0046】
したがって、バッテリケース1において、フレームリブ11,12,13,14からメンバリブ21,22,23,24を通るロードパスが形成される。したがって、車両幅方向Wの外側からサイドブラケット60に入力された荷重をサイドフレーム10からクロスメンバ20へと、より確実に分散させることができる。
【0047】
さらに、サイドフレーム10及びサイドブラケット60において、車両上下方向Zにおけるフレームリブ14の高さ位置とブラケットリブ65の高さ位置とが揃うことに加え、フレームリブ11,12,13,14のクロスメンバ20側の端部11a,12a,13a,14aの高さ位置と、メンバリブ21,22,23,24のサイドフレーム10側の端部21e,22e,23e,24eの高さ位置とが揃うことで、車両幅方向Wにおけるバッテリケース1の剛性が高められるとともに、車両100の側方から入力された荷重をバッテリケース1の車両幅方向Wにスムーズに伝達することができる。
【0048】
また、バッテリケース1では、サイドブラケット60は、サイドフレーム10の外側面10Sに当接する当接部62と、バッテリケース1の底部を下側から支持する支持部63と、を備える。すなわち、バッテリケース1は、サイドブラケット60に抱え込まれるようにして車体に支持される。したがって、車両100の側面に過剰な荷重が入力された場合でも、サイドブラケット60とバッテリケース1との接合が開裂してバッテリケース1が車体から脱落することを防止できる。
【0049】
また、バッテリケース1では、当接部62の上端62uと、フレームリブ13のサイドブラケット60側の端部13bとが車両上下方向Zにおいて対応するように配置されている。このため、サイドブラケット60の当接部62からフレームリブ13を通るロードパスが形成される。これにより、サイドブラケット60から入力した荷重をサイドフレーム10へと、より確実に分散させることができる。
【0050】
また、バッテリケース1では、サイドブラケット60は、サイドブラケット60内をブラケットリブ65により仕切ることで、車両前後方向FRに延設される通路66を備える。この通路66は、車載装置を冷却するための冷媒通路である。このため、冷媒通路を別途形成する必要がなく、車両100におけるレイアウト性を向上することができる。また、冷媒通路がサイドブラケット60の内部に形成できることから、冷媒通路としての通路66を外側からの荷重から保護することもできる。
【0051】
また、バッテリケース1では、一対のサイドフレーム10は、前後方向FRに沿って幅方向Wにおける互いの間隔が徐々に狭くなるように湾曲形成された湾曲部10Cを有する。湾曲部10Cは、シームレス加工により形成されており、溶接箇所がない。このため、サイドフレーム10を直線部材の組み合わせにより構成する場合に比べて、サイドフレーム10の剛性を高めることができる。
【0052】
以上のように、上述したバッテリケース1によれば、車両100の側面に入力された荷重に対する耐久性を向上させることができ、収容するバッテリを、より確実に保護することが可能となる。
【0053】
[第二実施形態]
図5は、本発明の第二実施形態に係るバッテリケース1を、
図3に示す第一実施形態に係るバッテリケース1と同じ位置で切り欠いて説明する断面図である。
【0054】
第二実施形態として示すバッテリケース1は、サイドブラケット60の構造が第一実施形態として示すバッテリケース1のものと異なる。バッテリケース1において、バッテリケース1に記載された構成と同様の機能を有する構成については、同一の番号を付して詳細な説明は省略する。
【0055】
図6は、
図5のバッテリケース1の要部を車両100の底部側からみた斜視図である。
図6に示すように、バッテリケース1の底部を構成する底板50の下面には、車両100の前後方向FRに沿って、段差部51が形成されている。
【0056】
また、支持部63の下端面が一側に突出して形成され、幅方向Wにおける車両外側に位置する段差部51に対向する対向部80を備える。
【0057】
第二実施形態に係るバッテリケース1では、段差部51と対向部80とが突き合わされるように配置されて、本体部61における支持部63の下面と、バッテリケース1の底部を形成する底板50の下面とが車両上下方向Zにおいて平坦となる、面一構造が形成される。
【0058】
このため、バッテリケース1では、過剰な荷重が入力された場合に、サイドブラケット60における対向部80から底板50の段差部51に繋がるロードパスが形成される。
【0059】
第二実施形態においては、サイドブラケット60は、サイドブラケット60の内部に、幅方向W或いは上下方向Zに延びる第一リブ71,第二リブ72,第三リブ73,第四リブ74,第五リブ75,第六リブ76及び第七リブ77を有する。
【0060】
第一リブ71は、一端が本体上面部67に連結されており、上下方向Zに沿って延び、他端が本体下面部68に連結されている。また、第一リブ71は、前後方向FRに延びる。第二リブ72は、一端が第一リブ71の上下方向Zにおける中央部71c付近に連結されており、幅方向W及び前後方向FRに延びる。第三リブ73は、一端が本体下面部68と第一リブ71との連結部分よりも幅方向Wの内側に連結されており、幅方向W及び前後方向FRに延びる。第四リブ74は、一端が本体上面部67と第一リブ71との連結部分よりも幅方向Wの内側に連結されており、上下方向Z及び前後方向FRに延びる。第二リブ72の他端と第三リブ73の他端と第四リブ74の他端は、サイドブラケット60内部中央付近において集約されて連結され、第一集約部78を形成する。
【0061】
第五リブ75は、一端が本体上面部67に連結されており、幅方向W及び前後方向FRに延びる。第六リブ76は、一端が第一集約部78に連結されており、幅方向W及び前後方向FRに延びる。第五リブ75の他端と第六リブ76の他端とは、当接部62において集約され連結されて、第二集約部79を形成する。第七リブ77は、第一集約部78から幅方向Wにおいて第六リブ76とは異なる方向に延びて、当接部62に連結されている。
【0062】
第二実施形態において、これらのリブを備えることにより、車両幅方向W及び上下方向Zにおけるサイドブラケット60の強度が高められている。
【0063】
第二実施形態において、サイドブラケット60には、一例として、以下のようなロードパスが形成される。すなわち、突出端部64から入力した荷重を本体上面部67、第一リブ71、第二リブ72及び第七リブ77を通ってサイドフレーム10に繋がる第一ロードパスが形成される。また、突出端部64から入力した荷重を本体下面部68、第三リブ73、第一集約部78、第六リブ76及び第二集約部79を通ってサイドフレーム10に繋がる第二ロードパスが形成される。また、突出端部64から入力した荷重を本体上面部67、第四リブ74、第一集約部78及び第六リブ76を通ってサイドフレーム10に繋がる第二ロードパスが形成される。また、突出端部64から入力した荷重を本体上面部67、第五リブ75及び第二集約部79からサイドフレーム10に繋がる第三ロードパスが形成される。また、突出端部64から入力した荷重を本体上面部67、第四リブ74、第一集約部78、第七リブ77及び支持部63を通って底板50に繋がる第四ロードパスが形成される。
【0064】
また、第四リブ74と第五リブ75と第六リブ56とは、幅方向Wに沿った上下方向Zにおける断面形状が円形になるように形成されている。すなわち、サイドブラケット60には、第四リブ74と第五リブ75と第六リブ56によって、前後方向FRに延びる円筒通路Swが形成されている。円筒通路Swは、車両100に設けられる車載装置を冷却するための冷媒を搬送するための通路である。
【0065】
また、サイドブラケット60は、上述した第一リブ71から第七リブ77を備えることにより、サイドブラケット60の内部は、幅方向Wに沿った上下方向Zにおける断面において、円筒通路Swと空間Sa,Sb,Sc,Sd,Seとに区画されている。
【0066】
空間Sa,Sb,Sc,Sd,Seは、サイドブラケット60に過剰な荷重が入力された際、第一リブ71から第五リブ75が変形したり破断したりすることによって押し潰される。すなわち、サイドフレーム10に伝わる荷重を吸収するための緩衝構造として機能する。
【0067】
次に、リアサイドブラケット60Rについて説明する。
【0068】
リアサイドブラケット60Rは、車体にバッテリケース1を取り付けるための本体部61Rと、本体部61Rのサイドフレーム10側の一面を構成し、サイドフレーム10の外側面10Sに当接する当接部62Rと、当接部62Rの下端から突出し、バッテリケース1を下側から支持する支持部63Rとを有する。
【0069】
リアサイドブラケット60Rの内部には、第一リブ71Rと、第二リブ72Rと、第三リブ73Rとが備えられている。
【0070】
第一リブ71Rは、上下方向Zに沿って前後方向FRに延びる。また、第二リブ72R及び第三リブ73Rは、リアサイドブラケット60Rの内部を上下方向Zに区画するように配置されている。
【0071】
図6には図示されていないが、リアサイドブラケット60Rもまた、幅方向Wに延びる第二リブ72R及び第三リブ73Rのサイドフレーム10側の端部72Re及び端部73Reがサイドフレーム10内部に配置されているフレームリブ11,12,13,14等のリアサイドブラケット60R側の端部に対応するように配置されている。
【0072】
これにより、サイドブラケット60と同様に、リアサイドブラケット60Rに入力した荷重がサイドフレーム10に伝わるようなロードパスが形成されている。
【0073】
[第二実施形態による効果]
最初に、第一実施形態に係るバッテリケース1にも備えられたリアサイドブラケット60Rの効果について説明する。リアサイドブラケット60Rは、当該リアサイドブラケット60R内において車両幅方向Wに延設される第二リブ72R及び第三リブ73Rを有する。これにより、リアサイドブラケット60Rは、リアサイドブラケット60Rの内部において、第二リブ72R及び第三リブ73Rによって車両幅方向Wに支持されている。このため、車両幅方向Wにおけるリアサイドブラケット60Rの強度が高められる。
【0074】
また、車両上下方向Zにおいて、リアサイドブラケット60Rの第二リブ72R及び第三リブ73Rのサイドフレーム10側の端部72Re,73Reの高さ位置と、サイドフレーム10内部に配置されているフレームリブ11,12,13,14等のリアサイドブラケット60R側の端部の高さ位置とが揃うように配置されている。
【0075】
したがって、バッテリケース1において、リアサイドブラケット60Rの第二リブ72R及び第三リブ73Rからフレームリブ11,12,13,14を通るロードパスが形成される。したがって、車両幅方向Wの外側からリアサイドブラケット60Rに入力された荷重をサイドフレーム10に、より確実に分散させることができる。
【0076】
さらに、車両上下方向Zにおいて、リアサイドブラケット60Rの第二リブ72R及び第三リブ73Rのサイドフレーム10側の端部72Re,73Reの高さ位置と、サイドフレーム10内部に配置されているフレームリブ11,12,13,14等のリアサイドブラケット60R側の端部の高さ位置とが揃うことで、車両100の後方側においても、バッテリケース1の車両幅方向Wにおける剛性が高められるとともに、車両100の側方から入力された荷重をバッテリケース1の車両幅方向Wにスムーズに伝達することができる。
【0077】
第二実施形態においては、サイドブラケット60の内部に、幅方向W或いは上下方向Zに延びる第一リブ71,第二リブ72,第三リブ73,第四リブ74,第五リブ75,第六リブ76及び第七リブ77が形成されている。これにより、車両幅方向W及び上下方向Zにおけるサイドブラケット60の強度が、より一層高められる。
【0078】
第二実施形態では、上記第一リブ71から第七リブ77を備えることにより、サイドブラケット60内に、一例として、第一ロードパスから第四ロードパスのようなロードパスが形成される。このため、サイドブラケット60の突出端部64から入力した荷重をサイドフレーム10へと、より確実に分散させることができる。
【0079】
また、上下方向Zにおいて、サイドブラケット60における第二集約部79の高さ位置と、サイドフレーム10におけるフレームリブ14のサイドブラケット60側の端部14bの高さ位置とが揃うように配置されている。これにより形成されたロードパスによって、車両100の側方から入力された荷重をバッテリケース1の車両幅方向Wにスムーズに伝達することができる。
【0080】
また、第二実施形態に係るバッテリケース1では、サイドブラケット60の内部に、備えられた第一リブ71から第七リブ77によって緩衝構造として機能する空間Sa,Sb,Sc,Sd,Seが形成されている。このような構造は、サイドブラケット60に過剰な荷重が入力された場合に、空間Sa,Sb,Sc,Sd,Seが押し潰されることにより、車両100の側方から入力された過剰な荷重を吸収することができる。したがって、サイドフレーム10に過度の荷重が伝達されることを防止することができる。
【0081】
また、第二実施形態においては、サイドブラケット60の内部に、円筒形状の円筒通路Swが形成されている。このように通路が円筒形状であると、応力が集中しにくく、通路そのものの強度が高められる。さらには、サイドブラケット60全体の強度向上にも寄与している。
【0082】
以上のように、上述したバッテリケース1によれば、車両100の側面に入力された荷重に対する耐久性を向上させることができ、収容するバッテリを、より確実に保護することが可能となる。
【0083】
[その他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は、本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を、上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。上記実施形態に対し、特許請求の範囲に記載した事項の範囲内で様々な変更及び修正が可能である。
【0084】
サイドフレーム10に形成される湾曲部10Cは、一箇所に限定されるものではない。バッテリケース1の設計に応じて適宜変更可能である。サイドフレーム10の複数箇所に湾曲部が形成されていてもよい。
【0085】
サイドフレーム10及びクロスメンバ20の断面形状は、
図4及び
図6に示す形状に限定されない。
【0086】
サイドブラケット60における円筒通路Swの位置は、
図6に示される位置に限定されない。また、サイドブラケット60の内部を第一リブ71か第七リブ77により区画されてできる空間Sa,Sb,Sc,Sd,Seのいずれかを冷媒通路として使用するものであってもよい。
【0087】
第二実施形態では、上記第一リブ71から第七リブ77を備えることによってサイドブラケット60内に形成されるロードパスは、上述した第一ロードパスから第四ロードパスに限定されない。