(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】空調制御装置及び空調制御方法
(51)【国際特許分類】
B60H 1/00 20060101AFI20241001BHJP
【FI】
B60H1/00 103S
B60H1/00 103U
(21)【出願番号】P 2023525284
(86)(22)【出願日】2021-06-03
(86)【国際出願番号】 JP2021021218
(87)【国際公開番号】W WO2022254660
(87)【国際公開日】2022-12-08
【審査請求日】2023-11-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】弁理士法人とこしえ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】笹沼 慶与
(72)【発明者】
【氏名】上田 純
【審査官】佐藤 正浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-126286(JP,A)
【文献】特開2020-175819(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60H 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された空調機器を制御する空調制御装置において、
タッチパネル式ディスプレイの表示画面を制御し、前記表示画面へのタッチ操作に基づき前記空調機器を制御するコントローラを備え、
前記表示画面は、座席を表す座席画像と基準領域を表す基準領域画像を含み、
前記コントローラは、
前記タッチ操作が、前記基準領域画像から前記座席画像に向かう方向をもつ場合には、前記空調機器から出る風の風量を増加させる制御指令を出力し、
前記タッチ操作が、前記座席画像から前記基準領域画像に向かう方向をもつ場合には、前記空調機器から出る風の風量を減少させる制御指令を出力する空調制御装置。
【請求項2】
請求項1記載の空調制御装置において、
前記座席画像は、前記車両の進行方向を正面とした場合に、右座席を表す右座席画像と、左座席を表す左座席画像を含む空調制御装置。
【請求項3】
請求項2記載の空調制御装置において、
前記基準領域画像は、前記表示画面上で、前記右座席画像と前記左座席画像の間に位置する空調制御装置。
【請求項4】
請求項2又は3記載の空調制御装置において、
前記右座席画像及び前記左座席画像は、各座席を後部からみたときの配置、又は、互いの座席を向かい合わせた配置で、前記表示画面上に表示される空調制御装置。
【請求項5】
請求項2~4のいずれか一項に記載の空調制御装置において、
前記右座席画像及び前記左座席画像で表される前記座席は、前記表示画面上で、前記基準領域画像を向いている空調制御装置。
【請求項6】
請求項2~5のいずれか一項に記載の空調制御装置において、
前記基準領域画像は、ファンを模したファンアイコンを含み、前記表示画面の中央部分に位置し、
前記右座席画像は、前記表示画面上で、前記基準領域画像よりも右側に位置し、
前記左座席画像は、前記表示画面上で、前記基準領域画像よりも左側に位置する空調制御装置。
【請求項7】
請求項1~5のいずれか一項に記載の空調制御装置において、
前記表示画面は、前記空調機器から右座席に出る右座席風と、前記空調機器から左座席に出る左座席風とを同期して調整するための同期スイッチボタンを含み、
前記コントローラは、
前記同期スイッチボタンがオンである場合には、前記タッチ操作に対して、前記右座席風及び前記左座席風の両方の風の出力を制御する制御指令を出力し、
前記同期スイッチボタンがオフである場合には、前記タッチ操作に対して、前記右座席風及び前記左座席風の一方の風の出力を制御する制御指令を出力する空調制御装置。
【請求項8】
請求項7記載の空調制御装置において、
前記コントローラは、
前記同期スイッチボタンがオンである場合には、前記タッチ操作に対して、前記右座席風及び前記左座席風の両方の風量、風向、及び、温度のいずれか1つを制御する制御指令を出力し、
前記同期スイッチボタンがオフである場合には、前記タッチ操作に対して、前記右座席風及び前記左座席風の一方の風の風量、風向、及び温度のいずれか1つを制御する制御指令を出力する空調制御装置。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の空調制御装置おいて、
前記表示画面は、前記座席画像と前記基準領域画像の間に、模様で表される風量画像を含み、
前記基準領域画像から前記座席画像に向かって表示される前記模様の数は、前記風量の増加に応じて増える空調制御装置。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の空調制御装置において、
前記基準領域画像は、ファンを模したファンアイコンを含む空調制御装置。
【請求項11】
請求項10記載の空調制御装置において、
前記基準領域画像は、前記ファンアイコンを囲んだ複数の目盛りを含み、
前記ファンアイコンは、前記空調機器から出る風の風速に応じてファンの回転速度が変わるアニメーション機能を有し、
前記複数の目盛りは、前記空調機器から出る風の風量に応じて増減する空調制御装置。
【請求項12】
請求項1記載の空調制御装置において、
前記表示画面は、一方向をもつ第1タッチ操作と他方向をもつ第2タッチ操作により、前記空調機器の設定温度を調整できる調整用アイコンを含み、
前記コントローラは、
前記調整用アイコンが前記第1タッチ操作により操作された場合には、前記設定温度を上げる制御指令を出力し、
前記調整用アイコンが前記第2タッチ操作により操作された場合には、前記設定温度を下げる制御指令を出力する空調制御装置。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の空調制御装置において、
前記表示画面は、空調機
器の設定温度の大きさを色で表す色画像を含み、
前記設定温度が所定の温度閾値以上である場合には、前記色は赤になり、
前記設定温度が前記温度閾値未満である場合には、前記色は青になる空調制御装置。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の空調制御装置において、
前記コントローラは、
前記タッチ操作に応じて前記空調機器の設定温度を制御し、
前記タッチ操作の操作速度が所定の速度閾値以下である場合には、前記設定温度の変化単位を最小単位に設定する空調制御装置。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載の空調制御装置において、
前記空調機器は、デフロスターと、前記座席の正面に向けて風を吹き出す正面吹き出し口と、前記座席の下部に向けて風を吹き出す下部吹き出し口とを有し、
前記表示画面は、前記座席画像と前記基準領域画像の間に、前記正面吹き出し口からの風を調整するための前記タッチ操作を有効にする第1タッチエリアと、前記デフロスターを制御するためのタッチ操作を有効にする第2タッチエリアと、前記下部吹き出し口からの風を調整するための前記タッチ操作を有効にする第3タッチエリアとを含み、
前記コントローラは、前記第1タッチエリアがタッチされた場合には前記正面吹き出し口から出力される風の出力を制御する制御指令を出力し、前記第2タッチエリアがタッチされた場合には前記デフロスターを制御する制御指令を出力し、前記第3タッチエリアがタッチされた場合には前記下部吹き出し口からの風の出力を制御する制御指令を出力する空調制御装置。
【請求項16】
車両に搭載された空調機器を制御する空調制御方法において、
座席を表す座席画像と基準領域を表す基準領域画像を含む表示画面をタッチパネル式ディスプレイに表示させるための制御指令を出力し
前記表示画面へのタッチ操作が、前記基準領域画像から前記座席画像に向かう方向をもつ場合には、前記空調機器から出る風の風量を増加させる制御指令を出力し、
前記タッチ操作が、前記座席画像から前記基準領域画像に向かう方向をもつ場合には、前記空調機器から出る風の風量を減少させる制御指令を出力する空調制御方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調制御装置及び空調制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
タッチ面に対するタッチ継続操作により、エアコン制御用の設定温度や設定風量の設定を変更する、車両用タッチ式操作入力装置が知られている。例えば、特許文献1記載の入力装置は、車両が走行中であるか否かを特定する走行状態特定手段と、タッチ継続操作を受け付けるタッチ操作入力手段と、制御パラメータを変化させる制御手段を備えている。画面表示部に表示される温度設定用の画面には、回転軸周りに等間隔おきにメモリ画像が描画されるとともに、その回転軸周りを回転動作してそれらメモリ画像を指示する指針画像が描画されており、それら指針画像は、タッチ面でのスライド操作によって動かすことができる。そして、指針画像の指示位置を変化させることで、設定温度や設定風量を示す制御パラメータの現在設定値を変更でき、車両の走行中と停車中において、制御パラメータの設定値を変更する操作の内容は同じでも、変更される内容が異なっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の車両用タッチ式操作入力装置において、画面表示部に表示される温度設定用の画面には、温度の大きさを示すメモリと、メモリを指示する指針画像が表示されるだけであるため、車両内のどの部分の空調が制御されるのかユーザが直感的に把握できず、操作性が低いという問題がある。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、操作性を高めた空調制御装置及び空調制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、座席を表す座席画像と基準領域を表す基準領域画像を含む表示画面をタッチパネル式ディスプレイに表示させ、ディスプレイの表示画面へのタッチ操作が、基準領域画像から座席画像へと向かう方向をもつ場合には、空調機器から出る風の風量を増加させる制御指令を出力し、タッチ操作が座席画像から基準領域画像へと向かう方向をもつ場合には、空調機器から出る風の風量を減少させる制御指令を出力することによって、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、表示画面のタッチ操作により空調機器を操作する際の操作性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の一実施の形態に係る空調制御システムを示すブロック図である。
【
図2】
図2は、
図1のディスプレイを備えたダッシュボードの正面図である。
【
図3】
図3は、
図1のディスプレイの表示画面を示す図である。
【
図4】
図4は、
図1のディスプレイの表示画面を示す図である。
【
図5】
図5は、
図1のディスプレイの表示画面を示す図である。
【
図6】
図6は、
図1のディスプレイの表示画面を示す図である。
【
図7】
図7は、温度表示と設定温度の関係を示すグラフである。
【
図8】
図8は、本実施形態の変形例に係る空調制御システムにおける、ディスプレイの表示画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る空調制御システムの一実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る空調制御システムを示すブロック図である。空調制御システム1は、車両に搭載されたシステムであって、ディスプレイ10と、空調機器20と、コントローラ30を備えている。本実施形態に係る空調制御システム1は、タッチパネル式ディスプレイ10によりタッチ操作を受け入れて、タッチ操作に基づき空調機器20を制御するものである。
【0010】
ディスプレイ10は、タッチパネル式のディスプレイであり、車両に搭載されている。タッチパネル式のディスプレイ10は、感圧センサを備え、接触操作時にディスプレイ10に与えられた押圧力を抵抗値や電圧などから測定することで、ユーザによるタッチ操作を検知する。感圧センサの機構は特に限定されず、出願時に知られた方法を適宜に用いることができる。またタッチパネルは、感圧式に限らず、静電式等、他の方式でもよい。
図2は、タッチパネルを備えたダッシュボード付近の正面図である。
図2に示すように、ディスプレイ10は、ダッシュボードの正面部分のディスプレイ(センタディスプレイ)であり、運転席と助手席の間に配置されている。ディスプレイ10は、運転席に座った状態の乗員(以下、「ドライバー」とも称す)と助手席に座った状態の乗員(以下、「助手席乗員」とも称す)がそれぞれ触れることができる位置に設けられている。後述するように、空調機器20は、ドライバーと助手席乗員にそれぞれ独立して風を吹き出すことができ、ドライバーと助手席乗員が触れることができる位置にディスプレイ10を配置することで、ドライバーと助手席乗員は座席空間の空調をそれぞれ独立して操作できる。なお、以下の説明において、空調機器20は、座席空間の温度を調整する機器及びガラスの曇り止め等を抑制する装置を指しており、いわゆるエアーコンディショナーに相当する。また、ディスプレイ10は、必ずしもドライバーと助手席乗員の両乗員が触れる位置に配置する必要は無く、例えばドライバーのみが触れることが可能な位置に配置されてもよい。またディスプレイ10は、ダッシュボードに限らず、例えば後部座席の乗員が触れる位置に配置されてもよい。
【0011】
乗員は指又は指に代わる操作機器により、ディスプレイ10に触れるタッチ操作により、メニュー画面から空調機器20の操作を選択して、空調機器20操作用の画面を表示させる。なお、以下の説明では、主に指を使ったタッチ操作について説明するが、本実施形態は指の代わりに操作機器を使ったタッチ操作でもよい。乗員は、ディスプレイ10の表示画面上にタッチして、空調機器20を操作する。タッチ操作は、ディスプレイ10に表示されるアイコンやボタンに指を触れる、又は、アイコンやボタンに指を近づけるような、指を使ったジェスチャにより実行されるポインティング操作である。タッチ操作は、タップ(画面を1回タッチする)、ダブルタップ(画面を2回タッチする)、ロングタップ(画面を長押しする)、スワイプ(画面に触れた指を画面上でそのままスライドさせる(指をなぞる))、フリック(画面に触れた指を、画面上で素早く弾くように動かす)、ピンチイン/ピンチアウト(2本の指で画面に触れて、2本の指を近づける/遠ざける)等である。タッチ操作は、画面上の1点又は複数点に指を触れる第1ジェスチャに限らず、画面に触れた状態で指の接触点を移動させる第2ジェスチャを含んでいてもよい。また、タッチ操作は、表示画面に直接触れなくてもよく、指等を表示画面に近づける、いわゆるホバリングでもよい。なお、タッチ操作の操作方法は、これらに限らず他の方法でもよい。なお、以下の説明は、主に指等を表示画面に直接触れた時のタッチ操作を例に実施形態を説明するが、ホバリングの場合は、以下の「指の接触」に関する説明をホバリングに置き換えればよい。
【0012】
空調機器20は、車室内の温度を調整する機器であって、エアーコンディショナーである。空調機器20は、コンプレッサー等を含むエアコンシステムで構成されており、乗員の座席空間に風を吹き出す吹き出し口、フロントガラス及び/又はサイドガラスの曇りを除去するためのデフロスター等を有している。吹き出し口は、ダッシュボードやダッシュボードの下部などに設けられている。ダッシュボードの吹き出し口は、正面吹き出し口であり、座席の正面に向けて風を吹き出すように配置されている。ダッシュボードの下部の吹き出し口は、下部吹き出し口であり、座席の下部に向けて風を吹き出すように配置されている。風向は吹き出し口内のフィンの向きで変わる。デフロスターは、ダッシュボードの前方部分からフロントガラスに沿って風を吹き出す吹き出し口を有しており、エアコンシステムで生成した風を出力する。
【0013】
コントローラ30は、ハードウェア及びソフトウェアを備えたコンピュータにより構成され、プログラムを格納したメモリと、このメモリに格納されたプログラムを実行するCPU等を有している。コントローラ30は、機能ブロックとして、表示制御部31及び空調制御部32を有しており、表示制御部31及び空調制御部32の各機能を実現するためのプログラムがメモリに記憶されている。そして、コントローラ30に含まれるコンピュータがプログラムを実行することで、機能ブロックの各機能を実現する。またコントローラ30は、ディスプレイ10及び空調機器20とCAN通信網等で接続されており、ディスプレイ10に加えて、制御対象として空調機器20を制御する。コントローラ30は、表示制御部31及び空調制御部32に限らず、例えばオーディオシステムを制御する機能等、車室内の各種システムを制御するための制御ブロックを有しており、ディスプレイ10及び空調機器20に限らず、他の車載機器を制御する。なお、車両に含まれる各種システムは複数のECUで制御されるが、
図1では、複数のECUをコントローラ30として図示している。なお、コントローラ30を有する装置が、本発明の「空調制御装置」に相当する。
【0014】
表示制御部31は、ディスプレイ10の表示画面を制御する。また表示制御部31は、ディスプレイによりタッチ操作を検知した場合には、表示画面上におけるタッチ操作の位置やタッチ操作の種類に応じた操作指令を受け入れる。表示制御部31は、空調機器20の動作状態を表示画面上で表す画像を生成し、ディスプレイ10に出力する。空調機器20の動作状態は、表示画面に含まれる画像の形、色、模様、アニメーション等を変えることで、乗員が識別できるように表示される。また表示制御部31は、受け入れた操作指令を空調制御部32に出力する。
【0015】
空調制御部32は、タッチ操作に基づき空調機器20を制御する。空調制御部32は、タッチ操作の内容から制御項目を特定し、特定された制御項目に応じて、システムのオン/オフ、吹き出し口の選択、吹き出し口から吹き出される風の風量、温度、風向等を制御する。空調制御部32は、制御項目に応じた制御指令を空調機器20に出力する。制御項目は、風量設定、風向設定、温度設定、吹き出し口の選択等、空調機器の仕様に応じて予め決まっている。制御項目は、ディスプレイ10のタッチ操作、車両に設けられたスイッチにより選択される。また、空調制御部32は、空調機器20の動作状態及び車室内の環境を管理している。車室内の環境は、温度センサ等を用いて管理される。
【0016】
空調制御部32による空調機器20の制御と、表示制御部31による表示画面の制御は、アプリケーション(ソフトウェア)で関連付けられている。表示制御部31は、表示画面へのタッチ操作により操作指令を受け入れ、空調制御部32は、操作指令に応じた制御項目を特定し、制御項目に応じた制御指令を空調機器20に出力する。また、空調制御部32は、空調機器20をオート設定で制御している状態で、車室内の温度環境に応じて、空調機器20の動作を変更した場合には、変更後の動作状態を示す信号を表示制御部31に送信する。表示制御部31は、空調制御部32から受信した信号に基づき、空調機器20の現在の動作状態を、ディスプレイ10に表示する。これにより、乗員は、ディスプレイ10を用いて空調機器20を操作し、ディスプレイ10の表示画面から空調機器20の動作状態を確認できる。
【0017】
次に、
図3~
図5を参照し、ディスプレイ10を用いた空調機器20の制御方法と、ディスプレイ10の表示画面について説明する。
図3~
図5は、ディスプレイ10の表示画面であって、空調機器20の制御用の操作画面を示す。なお、以下に説明する制御方法は、ディスプレイ10の表示画面が空調機器20の操作用画面を表示している場合に、有効になる。ディスプレイ10の表示画面は横長表示である。また、
図3~
図5に示す表示画面は、車両の前方の空調機器20を操作する時に表示される。
図3~
図5において、x軸は車両の車幅方向(左右方向)を、y軸は車両の進行方向(前進方向)への奥行を、z軸は高さ方向(上下方向)表している。
【0018】
乗員がディスプレイ10のメインスイッチをオンにすると、表示制御部31はディスプレイ10にトップ画面を表示する。乗員は、トップ画面内のメニュー表示から、操作対象として「空調機器(エアーコンディショナー)」にタッチし、ディスプレイ10はタッチ操作を検知する。コントローラ30は、空調機器20を操作するためのアプリケーションを起動する。なお、空調機器20の制御用のアプリケーションは、「空調機器(エアーコンディショナー)」を選択する前に起動されていてもよい。表示制御部31は、ディスプレイ10に、
図3~
図5に示す表示画面を表示するために、制御指令をディスプレイ10に出力する。なお、空調機器20を操作する際に、ディスプレイ10の初期表示画面は、前回設定時の項目を表示すればよい。例えば、前回、空調機器20の動作を終えた時の風量、風向、温度等が、今回の初期表示画面に表示される。あるいは、空調機器20の動作が初期設定で決まっている場合には、初期設定の動作内容が今回の初期表示画面に表示される。初期設定は乗員により変更可能でもよく、あるいは、システム側で変更してもよい。
【0019】
図3に示すように、ディスプレイ10の表示画面は、メインスイッチボタン11、モードスイッチボタン12と、ハンドルアイコン13と、基準領域画像40と、座席画像50と、同期スイッチボタン70と、温度調整バー81,82と、温度表示画像91、92とを含んでいる。メインスイッチボタン11は、空調機器20のオン、オフをタッチ操作で切り替えるためのボタンである。ボタン表示は、オフ状態で白抜きになり、オン状態では、白抜き部分がオレンジ色になる。なお、以下の説明で、他のボタンアイコンのオン、オフ表示も同様に、白抜き表示とオレンジ色の表示で表される。モードスイッチボタン12は、空調機器20の動作モード(AUTO、MANUAL)を切り替えるためのスイッチである。ハンドルアイコン13は、表示画面の右側に位置しており、表示画面において右側の座席が運転席であることを表している。なお、表示画面上に表示されるアイコンやボタンは、その種類に応じて、空調機器20を制御するためにタッチ操作を有効にする領域を規定している。そのため、ユーザがアイコンやボタンにタッチすることで、空調機器20を操作することが可能となる。
【0020】
基準領域画像40は、表示画面の中心点を領域の中心として所定範囲内の画像であって、少なくともファンアイコン41を有している。ファンアイコン41は、表示画面の中心部に、風の吹き出し口(ファン)を模した図形で表される。つまり、ファンアイコン41は、制御対象である空調機器20を模したアイコンである。ディスプレイ10の表示画面は、基準領域を表す基準領域画像40と、座席を表す座席画像50を含んでいる。基準領域は、タップ等、スワイプやフリックなど、一定の方向(ベクトル)を有するタッチ操作(以下、方向性タッチ操作とも称す)を行うための、方向を決めるために設定される領域である。つまり、後述するような風量調整等のために表示画面上で方向性タッチ操作を行う場合に、基準領域は、方向性タッチ操作で指を接触させる位置、あるいは、指の動作方向を表示画面上で示すために設けられている。なお、方向性タッチ操作は、言い換えると、タッチ操作に伴う指等の接触点の移動がベクトルをもつようなタッチ操作としてもよい。
図3~
図5の例では、ファンアイコン(ファン図形)41を中心に、上下方向への縦長の領域(点線の楕円で囲む領域)が基準領域となる。なお基準領域は、矩形、円形、楕円形等の閉空間で規定されている。基準領域画像は、必ずしも乗員が基準領域の境界を認識できるような画像にする必要は無く、少なくともファンアイコン41を含んでいればよい。つまり、方向性タッチ操作で画面を操作する際に、乗員が、指を移動させる方向、及び/又は、指を最初に触れる位置を特定できるように、基準領域が表示画面上で設定されればよい。
【0021】
座席画像50は、座席を後部から見た時の座席の様子で描かれている。座席画像50は、右座席画像51と左座席画像52を含んでいる。車両の進行方向(前進方向)を正面とした場合に、右座席画像51は右座席(運転席)を表し、左座席画像52は左座席(助手席)を表す。座席画像50はユーザの位置を示すアイコンに相当する。例えば、右座席画像51はドライバーの位置を示す。基準領域画像40は、表示画面上で、右座席画像51と左座席画像52との間に位置する。右座席画像51と左座席画像52は、右座席及び左座席を後部からみた時の配置で、表示画面上に表示される。左右座席画像51、52とファンアイコン41は、表示画面上で奥行をもつように、y軸方向に前後の位置関係で表示されている。また、左右座席画像51、52は、右座席はz軸を中心軸として正面よりも反時計回りに、左座席はz軸を中心軸として正面よりも時計回りに、それぞれ所定角度(例えば、10度から45度の範囲)回転することで、互いの座席が前方のファンアイコン41を向くように、表示されている。つまり、基準領域画像40と左右座席画像51、52は、左右座席が表示画面上で基準領域を向いているように配置されている。これにより、表示画面をみた乗員は、左右座席が前方のファンアイコン41を向いているような状態を、ディスプレイ10から視覚的に把握できる。
【0022】
基準領域画像40及び座席画像50のz軸方向の位置関係について説明する。右座席画像51と左座席画像52は、z軸方向に同じ高さで、表示画面上に表示される。ファンアイコン41は、z軸方向で、左右座席画像51、52の胸部と同じ高さになるように表示画面上に表示される。後述するように、基準領域画像40と座席画像50の間には、空調機器20の風を示す画像(アイコン)が表示される。表示画面上で、ファンアイコン41から座席画像50の胸部との間のエリアと、このエリアに対して上部エリアと下部のエリアが区分けできるように、基準領域と座席画像の高さが規定されている。
【0023】
次に、空調機器20から出る風の表示について説明する。
図4~
図5に示すように、基準領域画像40と右座席画像51との間には右側風画像61が表示され、基準領域画像40と左座席画像52との間には左側風画像62が表示される。右側風画像61は空調機器20から右座席に向かって吹き出す風の画像であり、左側風画像62は空調機器20から左座席に向かって吹き出す風の画像である。右側風画像61は後述するタッチエリア610~630内にそれぞれ表示され、左側風画像62は後述するタッチエリア640~660内にそれぞれ表示される。右側風画像61及び左側風画像62は、風量レベル「0」の時は表示されず、風量レベルが「0」より高い場合に表示される。右側風画像61及び左側風画像62は、風が出ているか否かを表しており、乗員は、右側風画像61及び左側風画像62の表示の有無で、風が出ているか否か、把握しやすくなる。
【0024】
基準領域画像40は、上述したファンアイコン41に加えて、「+」アイコン42及び「-」アイコン43を含んでいる。「+」アイコン42は風量を増加させるためのボタンであり、「-」アイコン43は風量を減少させるためのボタンである。乗員は、表示画面上で、「+」アイコン42を1回タッチすると風量が1段階増加し、「-」アイコン43を1回タッチすると風量が1段階減少する。風量レベルはタッチ回数に応じて増減する。また、「+」アイコン42がロングタップでタッチされた場合には、風量レベルは最大値になり、「-」アイコン43がロングタップでタッチされた場合には、風量レベルはゼロ又は最小値(0より大きい)になる。
【0025】
基準領域画像40と右座席画像51との間の領域は、ファンアイコン41と右座席画像51の胸部との間のタッチエリア610と、「+」アイコン42と右座席画像51の頭部との間のタッチエリア620と、「-」アイコン43と右座席画像51の下部(座面部)との間のタッチエリア630に区分けされている。タッチエリア610は正面吹き出し口から右座席に出る風を操作するためのエリアであり、タッチエリア620はデフロスターを操作するためのエリアであり、タッチエリア630は下部吹き出し口から右座席の下部に出る風を操作するためのエリアである。すなわち、タッチ操作の位置に応じて、空調機器20の制御対象が変わる。例えば、乗員が正面吹き出し口から右座席に出る風の風量を調整する場合には、乗員はタッチエリア610をタッチすればよい。なお、風量調整の具体的な操作方法は後述する。基準領域画像40と左座席画像52との間の領域も同様にタッチエリア640、650、660が区分けされている。タッチエリア640は正面吹き出し口から左座席に出る風を操作するためのエリアであり、タッチエリア650はデフロスターを操作するためのエリアであり、タッチエリア660は下部吹き出し口から左座席の下部に出る風を操作するためのエリアである。表示画面上において、タッチエリア610、640はファンアイコン41に隣接しており、タッチエリア620、650は「+」アイコン42に隣接しており、タッチエリア630、660は「-」アイコン43に隣接している。
【0026】
右座席の正面に向かう風を表す風アイコン611と、デフロスターを表すデフロスターアイコン621と、右側座面の下部に向かう風を表す風アイコン631がディスプレイ10の表示画面に表示される。ディスプレイ10の表示画面上において、風アイコン611は、ファンアイコン41と右座席画像51の胸部との間に表示され、デフロスターアイコン621は「+」アイコン42と右座席画像51の頭部との間に表示され、風アイコン631は「-」アイコン43と右座席画像51の下部(座面部)との間に表示される。風アイコン611、631は、矢印で表され、矢印の向きは基準領域画像40から右座席画像51を向いている。
【0027】
左座席の正面に向かう風を表す風アイコン641と、デフロスターを表すデフロスターアイコン651と、左側座面の下部に向かう風を表す風アイコン661がディスプレイ10の表示画面に表示される。ディスプレイ10の表示画面上において、風アイコン641は、ファンアイコン41と左座席画像52の胸部との間に表示され、デフロスターアイコン651は「+」アイコン42と左座席画像52の頭部との間に表示され、風アイコン661は「-」アイコン43と左座席画像52の下部(座面部)との間に表示される。風アイコン641、661は、矢印で表され、矢印の向きは基準領域画像40から左座席画像52を向いている。
【0028】
風アイコン611、631、641、661はタッチエリア610、630、640、660にそれぞれ表示されており、タッチエリア610、630、640、660のタッチ操作で、吹き出し口から座席正面及び座席下部に向かう風を調整できることを、乗員に対して視覚的に示している。また、デフロスターアイコン621、651はタッチエリア620、650にそれぞれ表示されており、タッチエリア620、650のタッチ操作で、デフロスターを調整できることを、乗員に対して視覚的に示している。また風アイコン611、631、641、661の向きは、風量を増加させる際の、方向性タッチ操作の操作方向を示している。
【0029】
次に、風量調整の操作方法と風量の表示形態について説明する。タッチエリア610~660は、エリアごとに独立して、空調機器20を操作するためのタッチ操作を有効にする領域を表している。つまり、タッチエリア610は、正面吹き出し口から右側乗員に出る風を調整するためのタッチ操作を有効にする領域を表している。タッチエリア620、650は、デフロスターを制御するためのタッチ操作を有効にする領域を表している。タッチエリア630は、下部吹き出し口から右側乗員に出る風を調整するためのタッチ操作を有効にする領域を表している。タッチエリア640、660は、タッチエリア610、630と同様に、吹き出し口から左側乗員に出る風を調整するためのタッチ操作を有効にする領域を表している。
【0030】
タッチエリア610~660の中から、操作したい制御対象に対応するエリアでタッチ操作を行うことで、操作したい制御対象を選択できる。制御対象は、空調機器20全体の中で、風を出力したい機器に相当する。例えば、乗員が、正面吹き出し口から右座席に出る風を調整したい場合には、乗員は、タッチエリア610をタッチする。なお、制御対象を選択するためのタッチ操作は、方向性タッチ操作である必要は無く、タップ等、方向性(一定の方向(ベクトル))をもたないタッチ操作でもよい。タッチエリア内における方向性タッチ操作の方向により、風量の強弱の切り替えが可能である。方向性タッチ操作が基準領域画像40から座席画像50に向かう方向をもつ場合には、空調機器20から出る風の風量は増加する。一方、方向性タッチ操作が座席画像50から基準領域画像40に向かう方向をもつ場合には、空調機器20から出る風の風量は減少する。例えば、右側乗員が正面吹き出し口から出る風の風量を増加したい場合には、乗員はタッチエリア610内をタッチし、指をタッチしながらファンアイコン41から右座席画像51に向かう方向に動かす。また例えば、左側乗員が下部吹き出し口から出る風の風量を減少したい場合には、乗員はタッチエリア660内をタッチし、指をタッチしながら左座席画像52から「-」アイコン43に向かう方向に動かす。
【0031】
上記のとおり、複数のタッチエリア610~660の中から1つのエリアがタッチされることで、空調機器20の制御対象が選択される。そして、タッチ操作が表示画面上で基準領域画像40から座席画像50に向かう方向をもつ場合には、空調制御部32は、空調機器20から出る風の風量を増加させる制御信号を、空調機器20に出力する。またタッチ操作が表示画面上で座席画像50から基準領域画像40から向かう方向をもつ場合には、空調制御部32は、空調機器20から出る風の風量を減少させる制御信号を、空調機器20に出力する。このように、制御対象の選択及び制御対象からの出力調整は、タッチ操作で行われるが、このタッチ操作としては第1ジェスチャと第2ジェスチャを含んでいる。そして、第1ジェスチャと第2ジェスチャは、例えばタップとスワイプの組み合わせや、スワイプ又はフリックのみ、スワイプあるいはフリックをそれぞれ2回ずつ、又は、スワイプとフリックの組み合わせなどが挙げられる。第1ジェスチャは、少なくとも指と表示画面との接触を含んだ、指の動作を示す。第2ジェスチャは、一定の方向をもった指の動きを示す。例えば、タップとスワイプを組み合わせたタッチ操作では、最初のタップが第1ジェスチャに相当し、2番目のスワイプが第2ジェスチャに相当する。すなわち、2回のタッチ操作の組み合わせでは、第1ジェスチャは、タッチ又はホバリングなど、表示画面上の1点に触れる操作である。第2ジェスチャは、スワイプ又はフリックなど、表示画面上における指との接点を一定方向に移動させる操作である。また、1回のタッチ操作の例として、スワイプ又はフリックのみの場合は、スワイプ又はフリックのために指を表示画面に接触する動きが第1ジェスチャに相当し、指を接触した後に、指を動かす動作(スワイプであれば指をスライドさせる動作、フリックであれば指を弾く動作)が第2ジェスチャに相当する。また、タッチ操作を2回行う他の例として、スワイプあるいはフリックをそれぞれ2回ずつ、又は、スワイプとフリックの組み合わせの場合には、最初のスワイプ又はフリックが第1ジェスチャに相当し、2番目のスワイプ又はフリックが第2ジェスチャに相当する。なお、第1及び第2ジェスチャは、タッチ、スワイプ、及びフリックに限らず、ロングタップ等他のタッチ操作における指の動きでもよい。
【0032】
ディスプレイ10は、複数のタッチエリア610~660におけるタッチ操作から、第1ジェスチャと第2ジェスチャを検知する。空調制御部32は、ディスプレイ10がタッチエリア610~660において第1ジェスチャを検知した場合には、検知したタッチエリア610~660に対応する制御対象を選択する。例えば、ディスプレイ10がタッチエリア610において第1ジェスチャを検知した場合には、空調制御部32は、空調機器20のうち、正面吹き出し口から右座席に出る風を出すための機器を制御対象として選択する。空調制御部32は、ディスプレイ10がタッチエリア610~660において第2ジェスチャを検知した場合に、第2ジェスチャがファンアイコン41から遠ざかる方向をもつときには、選択された空調機器20の制御量を増加させる。一方、空調制御部32は、ディスプレイ10がタッチエリア610~660において第2ジェスチャを検知した場合に、第2ジェスチャがファンアイコン41に近づく方向をもつときには、選択された空調機器20の制御量を減少させる。制御量は風の風量である。これにより、タッチ操作により風量を調整できる。なお、制御量は、風量に限らず、例えば風速、温度等であってもよい。
【0033】
また空調制御部32は、タッチエリア610~660内における方向性タッチ操作の操作量、及び/又は、操作速度に応じて、風の増減量を調整してもよい。つまり、空調制御部32は、方向性タッチ操作の操作量(スワイプにおいて接触した指の移動距離に相当)が大きいほど、空調機器20から出る風の増減量を大きくする。また、空調制御部32は、方向性タッチ操作の操作速度(スワイプにおいて接触した指の移動速度に相当、あるいは、フリックにおいて指を弾く時の指の移動速度に相当)が大きいほど、空調機器20から出る風の増減量を大きくする。
【0034】
また空調制御部32は、タッチエリア610~660内におけるタッチ操作に応じて、空調制御部32における制御対象の選択、及び/又は、風の増減量を調整してもよい。例えば、タッチエリア610~660のうち、タッチエリア610が指でタッチされた場合には、空調制御部32は、正面吹き出し口から右座席に向かって風を出力する部分の空調機器20を制御対象として選択して、正面吹き出し口から右座席に向かう風の出力を制御する。空調制御部32は、タッチ操作の回数に応じて風量レベルをあげてもよい。タッチ操作が2回の場合には、空調制御部32は、風量レベルを2段階上げてもよい。このように、空調制御部32は、タッチエリア610、640がタッチされた場合には、正面吹き出し口から出る風の出力を制御する制御指令を出力し、タッチエリア620、650がタッチされた場合には、デフロスターを制御する制御指令を出力し、タッチエリア630、660がタッチされた場合には、下部吹き出し口から出る風の出力を制御する制御指令を出力する。
【0035】
デフロスター、正面吹き出し口及び下部吹き出し口から出る風の風量は、タッチエリア610~660内の目盛り表示で示される。タッチエリア610~660は、風量の大きさを表す目盛りを含んでいる。
図3の表示画面では、デフロスター、正面吹き出し口、及び下部吹き出し口の各風がゼロの状態を示している。
図4の表示画面は、正面吹き出し口から右座席と左座席に、それぞれ風量レベル「3」の風が出ており、デフロスター及び下部吹き出し口からの風は出ていない状態を示している。
図5の表示画面は、正面吹き出し口から右座席と左座席に、それぞれ風量レベル「6」の風が出ており、デフロスター及び下部吹き出し口からの風は出ていない状態を示している。
【0036】
図3の表示画面では、デフロスター、正面吹き出し口、及び下部吹き出し口から風が出ておらず、風画像61、62は表示画面に表示されていない。
図4,5の表示画面では、正面吹き出し口から左右座席に向かって風が出ているため、風画像61、62がエリア610、640に表示されている。また、
図4,5の表示画面では、デフロスター及び下部吹き出し口から風が出ていないため、風画像61、62はエリア620、630、650、660には表示されない。このように、風画像61、62は、タッチエリア610、640のエリアごとに表示される。これにより、どの吹き出し口から風が出ており、左右のどちらの座席にむかって風がでており、さらに、どの吹き出し口から風が出ていないのか把握しやすくなる。なお、風画像61、62の長さ及び数は、風量レベルに応じて変えてもよい、例えば、風量レベルが大きいほど、風画像61、62の長さが長くてもよい。また、風量レベルが大きいほど、風画像61、62の表示数が多くてもよい。風量レベルがタッチエリア610~660毎に異なる場合には、風画像61,62の長さや数は、レベルに応じてエリア毎に異なってもよい。なお、風画像61、62は、
図3の例のような風が出ていない場合でも、表示させてもよい。
【0037】
タッチエリア610~660内は、「0」から「6」までの7段階の風量レベルを表示するために、6つの目盛りが表示可能である。6つの目盛りは、基準領域から左右座席に向かう波模様で表現されており、風量画像610аの表示数が風量レベルを表している。風量レベルがゼロの場合には、全ての風量画像610аが白色表示になる。風量レベルが0より大きい場合に、風量レベルの大きさに応じて、風量画像610аは白色以外の色で表示される。風量画像610аの数は波の模様と風量のレベルを表しており、1つの風量画像610аが目盛り一つ分を表している。また、風量画像610аの数は、タッチエリア610~660毎に変えることできる。なお、
図3~
図5では、紙面の色の関係で、風量画像610аは白表示ではなく、ドットの模様を付しているが、表示画面の背景を黒色にして風量画像610аは白で塗りつぶしたものでもよい。また、複数の風量画像610аが並ぶことで、模様が形成される。風量レベルがゼロの時は、タッチエリア610~660内の風量画像610аは全て白表示となる。
図4に示すように、正面吹き出し口から左右座席に風量レベル「3」の風が出ている場合には、エリア610、640において、3つの風量画像610аが白以外の色で表示されることで、3つ分の模様で表される。エリア610、640において、風量レベル「4~6」の目盛りに対応する風量画像610аは、白色表示のままである。また、
図4に示すように、デフロスター及び下部吹き出し口から風が出ていないため、タッチエリア620、630、650、660において、全ての風量画像610аは、白色表示になる。正面吹き出し口から左右座席に出る風の風量レベルが3から6に変更された場合には、表示画面は
図4に示す表示形態から
図5に示す表示形態となり、タッチエリア610、640内に表示される模様の数は3つから6つに増える。複数の風量画像610аの表示順序は風向と対応しており、基準領域に近い側から表示される。すなわち、ディスプレイ10の表示画面は、基準領域画像40と座席画像50との間に、模様で表される風量画像610аを含み、基準領域画像40から座席画像50に向かって表示される模様の数は、風量の増加に応じて増える。これにより、乗員は、風量レベルを模様の数や模様の長さから視覚的に把握できる。このように本実施形態では、吹き出し口から風が出ていない時には風量画像610аを白色で表示し、吹き出し口から風が出ている時には、風量レベルに合わせて、風量画像610аを白以外の色で表示する。これにより、目盛りが見えるため、風が出ていないこと、及び、風が出ている時には風量レベルの大きさを把握しやすくなる。なお、風量画像610аで形成される模様は、波模様に限らず、グラデーション模様や、縞模様等、他の模様でもよい。
【0038】
本実施形態において、風量画像610аは、各吹き出し口から出る風の風量レベルに応じて、タッチエリア610~660のエリアごとに表示される。すなわち、
図4及び
図5の例では、タッチエリア610、640において、風量レベルに対応した数の目盛りが、白以外の色をもつ風量画像610аで表示される。また、タッチエリア620、630、650、660では、全ての目盛りが白色の風量画像610аとなる。これにより、乗員は、正面吹き出し口から左右座席に風が出ていること、及び、風量レベルを、表示画面から把握できる。また、乗員は、デフロスター及び下部吹き出し口から風が出ていないことも把握できる。すなわち、乗員は、どの吹き出し口から風が出ており、左右どちらの座席にむかって風がでており、さらに、どの吹き出し口から風が出ていないのか把握しやすくなる。またエリア毎に、風量レベルを把握しやすくなる。
【0039】
なお、本実施形態では、風画像61、62及び風量画像610аの表示は、タッチエリア610~660毎で制御されるが、エリア610~660毎に区別して制御しなくてもよい。例えば、正面吹き出し口から右座席に風量レベル「3」の風が出ており、デフロスター及び下部吹き出し口から風が出ていない場合には、エリア610~630内に風画像61を表示し、エリア610~630内に、白以外の色で3つの風量画像610аを表示してもよい。
【0040】
なお、風量調整のための方向性タッチ操作は、タッチエリア610~660内の任意の位置で行えばよい。言い換えると、表示画面をタッチした時のタッチ位置の位置座標が、タッチエリア610~660内で相対的に移動した場合、さらに換言すると、タッチ位置が、タッチエリア610~660内の任意の場所で確認できる場合には、方向性タッチ操作は風量調整のための操作として検知される。例えば、右側乗員が正面吹き出し口から出る風の風量を増減したい場合には、乗員は、タッチエリア610内であれば、ファンアイコン41に近い部分をタッチしてもよく、右座席画像51に近い部分をタッチしてもよい。そして、乗員は、風量の増加と減少に応じて、方向性タッチ操作の操作方向を変えればよい。また、乗員は、風の増減量に応じて、方向性タッチ操作の操作量、及び/又は、操作速度を変えればよい。これにより、乗員は、風量を調整するために、タッチエリア610~660内の任意をタッチできる。
【0041】
また、方向性タッチ操作による風量調整は、タッチエリア610~660内のタッチの位置に応じて変化させてもよい。言い換えると、方向性タッチ操作がタッチエリア610~660内で行われた場合に、タッチ操作の終点の位置と一致する目盛りまで、風量が増減する。例えば、
図4の例で、乗員がタッチエリア610内で方向性タッチ操作を行い、タッチ位置が1番目の目盛りから3番目の目盛りまで移動した場合には、空調制御部32は、正面吹き出し口の風の風量レベルを3に設定する。これにより、タッチエリア610~660におけるタッチ位置に応じて、風量のレベルを変えることができる。
【0042】
次に、同期スイッチボタン70について説明する。同期スイッチボタン70は、空調機器20から右座席に向かう右座席風と、空調機器20から左座席に向かう左座席風とを同期して調整するためのスイッチである。同期スイッチボタン70がオンである場合には、乗員は、タッチエリア610~660をタッチすることで、右座席風と左座席風の両方の風の出力を調整できる。同期スイッチボタン70がオフである場合には、乗員は、タッチエリア610~660をタッチしても、右座席風と左座席風の両方の風の出力を調整できず、タッチされたエリアに対応する風の出力を調整できる。例えば、同期スイッチボタン70がオンの状態で、方向性タッチ操作がタッチエリア610内で、基準領域画像40から右座席画像51に向かって行われた場合には、正面吹き出し口から右座席に向かって出力する風に加えて、正面吹き出し口から左座席に出る風が方向性タッチ操作に応じて調整される。風向、風量レベルも、左右の風で同期して調整される。また、例えば、下部吹き出し口から左右座席に向かって風が出力しておらず、同期スイッチボタン70がオンの状態で、乗員がタッチエリア660をタッチした場合には、下部吹き出し口から左座席に出る風と、正面吹き出し口から左座席に出る風が同期して出力されてもよい。すなわち、空調制御部32は、同期スイッチボタン70がオンである場合には、タッチ操作に対して、右座席風と左座席風の両方の風の出力を制御する制御指令を空調機器20に出力する。また、空調制御部32は、同期スイッチボタン70がオフである場合には、タッチ操作に対して、右座席風と左座席風の一方の風の出力を制御する制御指令を空調機器20に出力する。これにより、乗員は、表示画面において、基準領域に対して左右のいずれ一方の領域をタッチすることで、空調機器20から左右座席に向かう両方の風を調整できる。なお、本実施形態において、同期スイッチボタン70のオンとオフの切り替えに応じて、左右座席に向かって出る風の風量を同期して制御したが、風量に限らず、風向や、温度を同期して制御してもよい。つまり、空調制御部32は、同期スイッチボタン70がオンの場合には、タッチ操作に対して、右座席風と左座席風の両方の風の風量を同期して制御する制御指令、又は、右座席風と左座席風の両方の風の温度を同期して制御する制御指令を空調機器20に出力する。
【0043】
次に、ファンアイコン41の周囲の画像、及び、ファンアイコン41のアニメーションについて説明する。基準領域画像40は、ファンアイコン41の周囲に、ファンアイコン41を囲んだ複数の目盛り44を含んでいる。複数の目盛り44は、ファンアイコン41の周囲にリング状に配置されており、複数の目盛り44の間には、目盛りを区別するための隙間が設けられている。風量レベルが大きいほど、表示される目盛り44の数は時計回りに増える。
図4の例では、風量レベルが3であるため、3つの目盛り44が表示されている。
図5の例では、風量レベルが6であるため、6つの目盛り44が表示されている。つまり、複数の目盛り44は、左右座席に向かう風の風量に応じて増減する。またファンアイコン41は、正面吹き出し口及び/又は下部吹き出し口から出る風の風速及び/又は風量に応じて回転するようなアニメーション機能を有してもよい。風が正面吹き出し口及び下部吹き出し口から出ていない場合には、ファンアイコン41は静止したままである。風が正面吹き出し口及び下部吹き出し口から出る場合には、ファンアイコン41は回転する。そして、風量レベル及び/又は風速が大きいほど、ファンアイコン41の回転速度は速くなる。なお、風速は、風量レベルに相当する。なお、複数の目盛り44の表示について、左座席に向かう風の風量と、右座席に向かう風の風量が異なる場合には、目盛り44の表示数は、大きい方の風量、小さい方の風量、又は、平均風量と対応させてもよい。
【0044】
次に、温度調整バー81、82について説明する。
図3~
図5に示すように、右座席画像51の右側には、温度調整バー81が表示され、左座席画像52の左側には温度調整バー82が表示される。温度調整バー81、82は、z軸に沿う線分の画像81а、82аと、線分上を移動可能なボタン81b、82bを有している。線分の画像81а、82аの上端は赤色に表示されており、線分の画像81а、82аの下端は青色に表示されている。なお、
図3~
図5では、色の代わりにドットが使われており、他の
図6~8も同様に、色の代わりにドットが使われている。また、線分の画像81а、82аは、上端から下端に向けて、赤から青に変化するようなグラデーション表示になっている。線分上のボタン81b、82bは、タップ、スワイプ、及び/又はフリック等のタッチ操作に移動可能である。ボタン81b、82bがタッチ操作により線分の上端に向かって移動した場合には、空調機器20の設定温度が高くなる。一方、ボタン81b、82bがタッチ操作により線分の下端に向かって移動した場合には、空調機器20の設定温度が低くなる。温度調整バー81、82に含まれるボタン81b、82bの位置において、空調機器20の設定温度が変わる。温度調整バー81は右座席の空間における設定温度を調整するための調整用アイコンであり。温度調整バー82は左座席の空間における設定温度を調整するための調整用アイコンである。温度調整バー81、82は、上方向へのタッチ操作と下方向へのタッチ操作で操作できる。すなわち、空調制御部32は、温度調整バー81、82が上方向のタッチ操作により操作された場合には、空調機器20の設定温度を上げる制御指令を出力し、温度調整バー81、82が下方向のタッチ操作により操作された場合には、空調機器20の設定温度を下げる制御指令を出力する。これにより、乗員はディスプレイ10に対するタッチ操作で容易に空調機器20の設定温度を変えることができる。また温度調整バー81、82の端部が赤/青で区別されているため、温度を上下するために、どちらの方向にタッチ操作を行えばよいか、乗員は表示画面から容易に把握できる。
【0045】
また温度調整バー81、82に含まれるボタン81b、82bが方向性タッチ操作で操作された場合には、方向性タッチ操作の操作速度に応じて、設定温度の変化単位を変えてもよい。設定温度の変化単位は、多段階で予め設定されており、例えば0.5℃及び1.0℃等に予め設定されている。そして、ボタン81b、82bの移動速度が所定の速度閾値以下である場合には、空調制御部32は、設定温度の変化単位(単位あたりの温度変化量)を最小単位(0.5℃)に設定する。ボタン81b、82bの移動速度が所定の速度閾値より大きい場合には、空調制御部32は、設定温度の変化単位(単位あたりの温度変化量)を、最小単位より大きい単位(例えば1.0℃)に設定する。例えば乗員がボタン81b、82bをスワイプで操作した場合に、スワイプによるボタン81b、82bの移動速度が大きいときには、スワイプでのボタン81b、82bの移動量に対して、設定温度の変化量は大きくなる。一方、同じスワイプによるタッチ操作で、ボタン81b、82bの移動速度が小さいときには、スワイプでのボタンの移動量が同じであっても、設定温度の変化量は小さくなる。つまり、ボタン81b、82bの移動量が同じでも、移動速度の違いにより、設定温度の変化量は変わる。タッチ操作の移動速度が大きいほど、設定温度の変化単位が大きくなるため、設定温度の変化幅も大きくなる。これにより、方向性タッチ操作によるボタン81b、82bの移動速度で、設定温度の変化単位を調整できるため、容易に温度を調整できる。
【0046】
次に、温度表示画像91、92について説明する。
図3~
図5に示すように、右側の温度調整バー81の右側には、温度表示画像91が表示され、左側の温度調整バー82の左側には、温度表示画像92が表示される。温度表示画像91、92は、温度メータ91а、92аと、アップボタン91b、92bと、ダウンボタン91c、92cを有している。温度メータ91а、92аは、現在の設定温度を示している。アップボタン91b、92bは設定温度を増加させるためのボタンであり、ダウンボタン91c、92cは設定温度を減少させるためのボタンである。アップボタン91b、92bを1回タッチすると設定温度が所定の変化単位(例えば、0.5℃)分、上昇する。またダウンボタン91c、92cを1回タッチすると設定温度が所定の変化単位(例えば、0.5℃)分、下降する。またアップボタン91b、92bは赤色に表示されており、ダウンボタン91c、92cは青色に表示されている。これにより、乗員は、現在の設定温度を確認し、ディスプレイ10に対するタッチ操作で容易に空調機器20の設定温度を変えることができる。また、アップボタン91b、92b及びダウンボタン91c、92cが赤/青で区別されているため、温度を上下するために、どちらのボタンをタッチすればよいか、乗員は表示画面から容易に把握できる。
【0047】
次に、
図6及び
図7を参照し、タッチエリア610~660内に表示される波模様の色について説明する。空調機器20の設定温度は、右座席と左座席でそれぞれ異なる温度に設定できる。例えば、
図6の例では、デフロスター、正面吹き出し口、及び下部吹き出し口から右座席に向かって風が出ており、風量レベルが「6」に設定されており、設定温度は17.0℃に設定されている。また、デフロスター、正面吹き出し口、及び下部吹き出し口から左座席に向かって風が出ており、風量レベルが「6」に設定されており、設定温度は30.0℃に設定されている。この場合に、ディスプレイ10の表示画面において、基準領域画像と右座席画像の間は、風量画像610аは設定温度17.0度を表す色で表示される。また、基準領域画像と左座席画像の間は、風量画像610аは設定温度30.0度を表す色で表示される。これにより、風量レベル「6」を示すために、6つの波模様が表示され、波模様には設定温度に応じた色が付されている。なお、風量レベル「3」の場合には、風量画像610аは、6つの目盛りのうち3つの目盛りで、設定温度に応じて色に表示され、他の3つの目盛りで、白色に表示される。これにより目盛りが認識できるため風量の強さを把握しやすくなる。
【0048】
図7は、波模様に表示される色と温度の関係を示す棒グラフである、
図7のグラフに示すように、設定温度が高い場合には赤色が表示され、設定温度が低い場合には青色が表示される。さらに、設定温度が低くなるにつれて、色表示は赤色から白色に、白色から青色に変化する。
図7の例では、設定温度が20.5℃未満の場合には青色、設定温度が20.5以上で23.5℃未満の場合は水色、設定温度が23.5℃以上で26.5℃未満の場合は白色、設定温度が26.5℃以上29.5℃未満の場合はピンク色、設定温度が29.5℃以上である場合は赤色になる。そして、
図6の例では、右座席に風を送るための空調機器20の設定温度は17℃に設定されている。そのため、タッチエリア610、630に表示される波模様は青色で表示される。また、左座席に風を送るための空調機器20の設定温度は30℃に設定されているため、タッチエリア640、660に表示される波模様は赤色で表示される。このように、ディスプレイ10の表示画面は、空調機器20の設定温度の大きさを色で表す色画像(
図6の波模様の画像に相当)を含み、設定温度が所定の温度閾値以上である場合には、色画像の色は赤色になり、設定温度が温度閾値未満である場合には、色画像の色は青色になる。これにより、空調機器20の設定温度を色から把握できる。なお、設定温度に応じた色表示は、タッチエリア610~660内の波模様に限らず、例えば温度メータ91а、92аの数字に適用してもよい。また、
図6の例において、設定温度を示す色は、波模様でなく風画像61、62に付されて表示されてもよい。
【0049】
以上のとおり、本実施形態に係る空調制御システムにおいて、コントローラ30は、座席画像50と基準領域画像40を含む表示画面をタッチパネル式ディスプレイ10に表示させ、ディスプレイ10の表示画面へのタッチ操作が基準領域画像40から座席画像50へと向かう方向をもつ場合には、空調機器20から出る風の風量を増加させる制御指令を出力し、タッチ操作が座席から基準領域へと向かう方向をもつ場合には、空調機器20から出る風の風量を減少させる制御指令を出力する。また本実施形態において、コントローラ30で実行される空調制御方法は、座席画像50と基準領域画像40を含む表示画面をタッチパネル式ディスプレイ10に表示させるための制御指令を出力し、ディスプレイ10の表示画面へのタッチ操作が基準領域画像40から座席画像50へと向かう方向をもつ場合には、空調機器20から出る風の風量を増加させる制御指令を出力し、タッチ操作が座席から基準領域へと向かう方向をもつ場合には、空調機器20から出る風の風量を減少させる制御指令を出力する。これにより、風の流れに沿ったタッチ操作、または風の流れに逆らうタッチ操作が可能となり、ユーザが直観的に空調機器20を操作できる。その結果として、表示画面のタッチ操作により空調機器20を操作する際の操作性を高めることができる。
【0050】
また本実施形態において、座席画像は、車両の進行方向を正面とした場合に、右座席を表す右座席画像51と、左座席を表す左座席画像52を含む。これにより、乗員は、ディスプレイのタッチ操作により左右座席に出る風を制御できることを、ディスプレイ10の表示画面から把握できる。また、基準領域画像40は、表示画面上で右座席画像51と左座席画像52の間に位置する。これにより、乗員は、風量調整のために、基準領域画像を基準に方向性タッチ操作を行えばよいことを把握できる。
【0051】
また本実施形態において、右座席画像51及び左座席画像52は、各座席を後部からみたときの配置で、表示画面上に表示される。これにより、乗員は、車室内に配置された座席の位置と制御される風との関係性を表示画面上で把握できる。その結果として、ユーザが直観的に空調機器20を操作できる。
【0052】
また本実施形態において、右座席画像51及び前記左座席画像52で表される座席は、表示画面上で、基準領域画像を向いている。これにより、乗員は、車室内に配置された座席の位置と制御される風との関係性を表示画面上で把握できる。その結果として、ユーザが直観的に空調機器20を操作できる。
【0053】
また本実施形態において、基準領域画像40は、ファンを模したファンアイコン41を含み、表示画面の中央部分に位置し、左座席画像は、表示画面上で、基準領域画像よりも左側に位置し、右座席画像51は、表示画面上で基準領域画像よりも右側に位置し、左座席画像52は、表示画面上で基準領域画像よりも左側に位置する。これにより、乗員は、表示画面から、ファンからの風が左右座席に向かっているような感覚を得ることができる。その結果として、ユーザは直観的に空調機器20を操作できる。
【0054】
また本実施形態において、コントローラ30は、同期スイッチボタン70がオンである場合には、タッチ操作に対して、右座席風及び左座席風の両方の風の出力を制御する制御指令を出力し、同期スイッチボタン70がオフである場合には、タッチ操作に対して、右座席風及び左座席風の一方の風の出力を制御する制御指令を出力する。またコントローラ30は、同期スイッチボタン70がオンである場合には、タッチ操作に対して、右座席風及び左座席風の両方の風量、風向、及び、温度のいずれか1つを制御する制御指令を出力し、同期スイッチボタン70がオフである場合には、タッチ操作に対して、右座席風及び左座席風の一方の風の風量、風向、及び温度のいずれか1つを制御する制御指令を出力する。これにより、左右座席の風を同期して制御できるモードと、片方の風を制御できるモードとを切り替えることができる。
【0055】
また本実施形態において、表示画面は、座席画像50と基準領域画像40の間に、模様で表される風量画像を含み、基準領域画像から前記座席画像に向かって表示される模様の数は、風量の増加に応じて増える。これにより、ユーザが風量を容易に把握できる。
【0056】
また本実施形態において、基準領域画像40は、ファンアイコン41を囲んだ複数の目盛り44を含み、ファンアイコン41は、空調機器20から出る風の風速に応じてファンの回転速度が変わるアニメーション機能を有し、複数の目盛りは、空調機器20から出る風の風量に応じて増減する。これにより、ユーザは、風量を容易に把握できる。
【0057】
また本実施形態において、表示画面は、一方向をもつ第1タッチ操作と他方向をもつ第2タッチ操作により、空調機器20の設定温度を調整できる温度調整バー81、82を含み、コントローラ30は、温度調整バー81、82が第1タッチ操作により操作された場合には、設定温度を上げる制御指令を出力し、温度調整バー81、82が第2タッチ操作により操作された場合には、設定温度を下げる制御指令を出力する。これにより、ユーザは直観的に空調機器20を操作できる。
【0058】
また本実施形態において、表示画面は、空調機器20の設定温度の大きさを色で表す色画像を含み、設定温度が所定の温度閾値以上である場合には色は赤になり、設定温度が温度閾値未満である場合には色は青になる。これにより、ユーザは設定温度を容易に把握できる。
【0059】
また本実施形態において、コントローラ30は、タッチ操作の操作速度が所定の速度閾値以下である場合には、設定温度の変化単位を最小単位に設定する。これにより、ユーザは設定温度の調整幅を容易に変えることができる。
【0060】
また本実施形態において、コントローラ30は、タッチエリア610、640(本発明の「第1タッチエリア」に相当する)がタッチされた場合には正面吹き出し口から出力される風の出力を制御する制御指令を出力し、タッチエリア620、650(本発明の「第2タッチエリア」に相当する)がタッチされた場合にはデフロスターを制御する制御指令を出力し、タッチエリア630、660(本発明の「第3タッチエリア」に相当する)がタッチされた場合に下部吹き出し口からの風の出力を制御する制御指令を出力する。これにより、ユーザは直観的に空調機器20を操作できる。
【0061】
また本実施形態の変形例として、右座席画像51及び左座席画像52は、互いの座席を向かい合わせた配置で、ディスプレイ10の表示画面に表示されてもよい。
図8は、変形例に係る、ディスプレイ10の表示画面を示す図である。
図8に示すように、右座席画像51及び左座席画像52は横向きであり、座席の正面が基準領域を向くように、配置されている。これにより、乗員は、座席と制御される風との位置関係性を表示画面上で把握できる。その結果として、ユーザが直観的に空調機器20を操作できる。
【0062】
なお、本実施形態において、表示画面を2つの座席画像を表示し、2つの座席に向かう風を制御するための制御方法及び操作方法を説明したが、ディスプレイ10の表示画面には1つの座席画像が表示され、ディスプレイ10のタッチ操作に対して、1つの座席に向かう風を制御してもよい。例えば、コントローラ30は、基準領域画像40を含み
図3~
図5の表示画面で右半分に相当する画像を、右座席用のディスプレイ10に表示し、基準領域画像40を含み
図3~
図5の表示画面で左半分に相当する画像を、左座席用のディスプレイ10に表示させる。そして、コントローラ30は、右座席用のディスプレイ10のタッチ操作に応じて、空調機器から右座席に出る風を制御する。また、コントローラ30は、左座席用のディスプレイ10のタッチ操作に応じて、空調機器20から左座席に出る風を制御する。なお、表示画面の操作方法及び空調機器20の制御方法は、上述した方法を適宜、適用すればよい。これにより、風の流れに沿ったタッチ操作、または風の流れに逆らうタッチ操作が可能となり、ユーザが直観的に空調機器20を操作できる。その結果として、表示画面のタッチ操作により空調機器20を操作する際の操作性を高めることができる。さらに、本実施形態において、ディスプレイ10の表示画面には3つ以上の座席画像が表示され、ディスプレイ10のタッチ操作に対して、各座席に向かう風を制御してもよい。
【0063】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【符号の説明】
【0064】
1 空調制御システム
10 ディスプレイ
11 メインスイッチボタン
12 モードスイッチボタン
13 ハンドルアイコン
20 空調機器
30 コントローラ
31 表示制御部
32 空調制御部
40 基準領域画像
50 座席画像
51 右座席画像
52 左座席画像