(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】コンデンサ
(51)【国際特許分類】
H01G 9/012 20060101AFI20241001BHJP
H01G 9/048 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
H01G9/012 303
H01G9/012 301
H01G9/048 A
(21)【出願番号】P 2023535175
(86)(22)【出願日】2022-06-02
(86)【国際出願番号】 JP2022022439
(87)【国際公開番号】W WO2023286484
(87)【国際公開日】2023-01-19
【審査請求日】2024-01-11
(31)【優先権主張番号】P 2021117803
(32)【優先日】2021-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 章友
【審査官】鈴木 駿平
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-251101(JP,A)
【文献】特開2012-124281(JP,A)
【文献】特開2008-078301(JP,A)
【文献】特開2008-130722(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 9/00-9/28
H01L 23/12
H05K 3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンデンサ部を有するコンデンサ層と、
前記コンデンサ層の厚み方向に前記コンデンサ部を貫通するように設けられたスルーホール導体と、を備え、
前記コンデンサ部は、少なくとも一方の主面に多孔質層を有する陽極板と、前記多孔質層の表面上に設けられた誘電体層と、前記誘電体層の表面上に設けられた陰極層と、を有し、
前記スルーホール導体は、前記コンデンサ部を前記厚み方向に貫通する第1貫通孔の少なくとも内壁面上に設けられた第1スルーホール導体を含み、
前記第1スルーホール導体は、前記厚み方向に直交する面方向において前記第1貫通孔の前記内壁面に対向する前記陽極板の端面に電気的に接続され、
前記多孔質層には、第1孔が存在し、
前記第1孔の内部には、前記第1スルーホール導体の一部が含まれている、ことを特徴とするコンデンサ。
【請求項2】
前記第1孔は、前記陽極板の前記端面を構成する前記多孔質層の端面に存在している、請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項3】
前記多孔質層には、第2孔が更に存在し、
前記第2孔の内部には、絶縁材料が含まれており、
前記多孔質層は、前記第2孔の内部の前記絶縁材料が存在する絶縁領域を含み、
前記面方向において、前記絶縁領域の前記第1スルーホール導体側の外端は、前記多孔質層の前記第1スルーホール導体側の外端よりも、前記第1スルーホール導体と反対側に位置する、請求項1又は2に記載のコンデンサ。
【請求項4】
前記多孔質層において、前記第1スルーホール導体側の外端から前記面方向に前記多孔質層の厚み分だけ離れた位置までの範囲にわたる第1領域を定めたとき、前記第1領域における空隙の面積割合は、0面積%以上、30面積%以下である、請求項3に記載のコンデンサ。
【請求項5】
前記多孔質層において、前記絶縁領域の前記第1スルーホール導体と反対側の外端から前記第1スルーホール導体に向かって前記面方向に前記多孔質層の厚み分だけ離れた位置までの範囲にわたる第2領域を定めたとき、前記第2領域における空隙の面積割合は、前記第1領域における空隙の面積割合よりも大きい、請求項4に記載のコンデンサ。
【請求項6】
前記第1スルーホール導体は、前記陽極板の前記端面側に位置する陽極接続層を有し、
前記陽極接続層は、前記陽極板の前記端面に接している、請求項1
又は2に記載のコンデンサ。
【請求項7】
前記厚み方向から見たとき、前記第1スルーホール導体は、前記第1貫通孔の全周にわたって前記陽極板の前記端面に電気的に接続されている、請求項1
又は2に記載のコンデンサ。
【請求項8】
前記スルーホール導体は、前記第1スルーホール導体が設けられた前記コンデンサ部を前記厚み方向に貫通する第2貫通孔の少なくとも内壁面上に設けられた第2スルーホール導体を更に含み、
前記第2スルーホール導体は、前記陰極層に電気的に接続されている、請求項1
又は2に記載のコンデンサ。
【請求項9】
前記コンデンサ層は、前記コンデンサ部の表面上に設けられた第1絶縁部と、前記第1絶縁部の表面上に設けられた第2絶縁部と、を更に有し、
前記第2絶縁部は、前記陽極板と前記第2スルーホール導体との間に延在している、請求項8に記載のコンデンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンデンサに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、アルミ基板を導電路とするプリント配線板であって、貫通したクリアランスホールを有するアルミ基板、アルミ基板の表面を覆う、内層より亜鉛膜、ニッケルメッキ層、及び、第1の銅メッキ層からなる接続層、アルミ基板の表面側とクリアランスホール内を覆う接続層の表層にブラックオキサイド処理が施され、このブラックオキサイド処理された接続層を介して、アルミ基板と連接した絶縁層、クリアランスホールが位置する個所の絶縁層に形成された、クリアランスホールより径の小さいスルーホール、絶縁層の外面に形成された銅回路、アルミ基板の裏面側に形成された第2の銅メッキ層、及び、銅回路と第2の銅メッキ層を連通する導電路をスルーホール内に備えた、ことを特徴とするプリント配線板が開示されている。
【0003】
特許文献2には、陽極芯部の表面に多孔質層を備える陽極体と、多孔質層の表面に設けられた誘電体層と、誘電体層の表面に設けられた固体電解質層と、固体電解質層の表面に設けられた陰極部と、を備えるコンデンサ素子が積層された積層体と、積層体を覆う外装体と、外装体の第1の端面上に設けられ、陽極芯部と電気的に接続された陽極外部電極と、外装体の第1の端面に対向する第2の端面上に設けられ、陰極部と電気的に接続された陰極外部電極とを備えた固体電解コンデンサであって、外装体の第1の端面側において、陽極芯部の端面が、多孔質層の端面に対して内側に引き込まれており、陽極芯部の端面と、陽極外部電極の内面の距離が0.01μm以上20μm以下であり、陽極芯部の端面と陽極外部電極の内面との間を引出導体が接続している、ことを特徴とする固体電解コンデンサが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平8-321666号公報
【文献】特開2020-53588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のプリント配線板では、導電路とされるアルミ基板がバルク基板であるため、アルミ基板が、特許文献2に記載の固体電解コンデンサのようにアルミ芯部の表面に多孔質層を有する場合と比較して、アルミ基板と接続層との接続抵抗が低減しにくい。そのため、特許文献1に記載のプリント配線板の構成をコンデンサに用いても、信頼性が向上しにくい。
【0006】
一方、特許文献2に記載の固体電解コンデンサでは、陽極芯部の表面に多孔質層を有する陽極体が用いられている。しかしながら、特許文献2に記載の固体電解コンデンサでは、引出導体を設ける際に、陽極芯部の端面にジンケート処理をはじめとするめっき処理を行うため、そのめっき処理により多孔質層が浸食されやすい。そのため、特許文献2に記載の固体電解コンデンサでは、多孔質層に欠陥が生じやすく、信頼性が向上しにくい。また、特許文献2に記載の固体電解コンデンサでは、多孔質層の端面が陽極外部電極の内面と金属結合していないため、多孔質層と陽極外部電極との接続抵抗が低減しにくく、信頼性が向上しにくい。
【0007】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、信頼性に優れたコンデンサを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のコンデンサは、コンデンサ部を有するコンデンサ層と、上記コンデンサ層の厚み方向に上記コンデンサ部を貫通するように設けられたスルーホール導体と、を備え、上記コンデンサ部は、少なくとも一方の主面に多孔質層を有する陽極板と、上記多孔質層の表面上に設けられた誘電体層と、上記誘電体層の表面上に設けられた陰極層と、を有し、上記スルーホール導体は、上記コンデンサ部を上記厚み方向に貫通する第1貫通孔の少なくとも内壁面上に設けられた第1スルーホール導体を含み、上記第1スルーホール導体は、上記厚み方向に直交する面方向において上記第1貫通孔の上記内壁面に対向する上記陽極板の端面に電気的に接続され、上記多孔質層には、第1孔が存在し、上記第1孔の内部には、上記第1スルーホール導体の一部が含まれている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、信頼性に優れたコンデンサを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明のコンデンサの一例がアレイ状にされたコンデンサアレイを示す斜視模式図である。
【
図2】
図2は、
図1中の線分A1-A2に沿う断面を含むコンデンサアレイの断面の一例を示す断面模式図である。
【
図3】
図3は、
図2中の領域Zを拡大した状態を示す断面模式図である。
【
図4】
図4は、
図1中の線分B1-B2に沿う断面を含むコンデンサアレイの断面の一例を示す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明のコンデンサについて説明する。なお、本発明は、以下の構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更されてもよい。また、以下において記載する個々の好ましい構成を複数組み合わせたものもまた本発明である。
【0012】
本発明のコンデンサは、コンデンサ部を有するコンデンサ層と、コンデンサ層の厚み方向にコンデンサ部を貫通するように設けられたスルーホール導体と、を備える。
【0013】
以下では、本発明のコンデンサの一例がアレイ状にされたコンデンサアレイを図示しつつ、本発明のコンデンサの一例について説明する。
【0014】
図1は、本発明のコンデンサの一例がアレイ状にされたコンデンサアレイを示す斜視模式図である。
【0015】
図1に示すコンデンサアレイ1は、コンデンサ層10と、スルーホール導体60と、を有している。
【0016】
コンデンサ層10は、
図1に示すように複数のコンデンサ部30を有していてもよいし、1つのコンデンサ部30を有していてもよい。
【0017】
コンデンサ層10が複数のコンデンサ部30を有する場合、複数のコンデンサ部30は、複数の貫通部で区分されて平面配置されていることが好ましい。なお、複数のコンデンサ部30は、各々、コンデンサを構成する。
【0018】
コンデンサ層10が複数のコンデンサ部30を有する場合、複数のコンデンサ部30は、直線状に配置されていてもよいし、平面状に配置されていてもよい。また、複数のコンデンサ部30は、規則的に配置されていてもよいし、不規則に配置されていてもよい。複数のコンデンサ部30の大きさ及び平面形状等は、全部が同じであってもよいし、一部又は全部が異なっていてもよい。
【0019】
コンデンサ層10には、面積が異なる2種以上のコンデンサ部30が含まれていてもよい。
【0020】
コンデンサ層10には、平面形状が矩形ではないコンデンサ部30が含まれていてもよい。本明細書中、矩形は、正方形又は長方形を意味する。したがって、コンデンサ層10には、平面形状が、例えば、矩形以外の四角形、三角形、五角形、六角形等の多角形、曲線部を含む形状、円形、楕円形等のコンデンサ部30が含まれていてもよい。この場合、コンデンサ層10には、平面形状が異なる2種以上のコンデンサ部30が含まれていてもよい。また、コンデンサ層10には、平面形状が矩形ではないコンデンサ部30に加えて、平面形状が矩形であるコンデンサ部30が含まれていてもよいし、含まれていなくてもよい。
【0021】
コンデンサ層10が1つのコンデンサ部30を有する場合、コンデンサアレイ1は、単体のコンデンサに該当する。
【0022】
スルーホール導体60、より具体的には、第1スルーホール導体62及び第2スルーホール導体64は、各々、コンデンサ層10の厚み方向Tにコンデンサ部30を貫通するように設けられている。
【0023】
本発明のコンデンサにおいて、コンデンサ部は、少なくとも一方の主面に多孔質層を有する陽極板と、多孔質層の表面上に設けられた誘電体層と、誘電体層の表面上に設けられた陰極層と、を有する。
【0024】
図2は、
図1中の線分A1-A2に沿う断面を含むコンデンサアレイの断面の一例を示す断面模式図である。なお、
図2中の線分A1-A2は、
図1中の線分A1-A2に対応している。
【0025】
図2に示すように、コンデンサ部30は、陽極板31と、誘電体層35と、陰極層36と、を有している。
【0026】
陽極板31は、芯部32と、多孔質層34と、を有している。
【0027】
芯部32は、金属からなることが好ましく、中でも弁作用金属からなることが好ましい。
【0028】
弁作用金属としては、例えば、アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタン、ジルコニウム等の金属単体、これらの金属単体の少なくとも1種を含有する合金等が挙げられる。中でも、アルミニウム又はアルミニウム合金が好ましい。
【0029】
多孔質層34は、芯部32の少なくとも一方の主面に設けられている。つまり、多孔質層34は、芯部32の一方の主面のみに設けられていてもよいし、
図2に示すように芯部32の両方の主面に設けられていてもよい。このように、陽極板31は、少なくとも一方の主面に多孔質層34を有している。
【0030】
多孔質層34は、陽極板31の表面がエッチング処理されてなるエッチング層であることが好ましい。
【0031】
多孔質層34の内部構造の詳細については、後述する。
【0032】
陽極板31の形状は、平板状であることが好ましく、箔状であることがより好ましい。このように、本明細書中では、「板状」に「箔状」も含まれる。
【0033】
誘電体層35は、多孔質層34の表面上に設けられている。より具体的には、誘電体層35は、多孔質層34に存在する各孔の表面(輪郭)に沿って設けられている。
【0034】
誘電体層35は、上述した弁作用金属の酸化皮膜からなることが好ましい。例えば、陽極板31がアルミニウム箔である場合、陽極板31に対して、アジピン酸アンモニウム等を含む水溶液中で陽極酸化処理(化成処理とも呼ばれる)を行うことにより、誘電体層35となる酸化皮膜が形成される。誘電体層35は多孔質層34の表面に沿って形成されるため、誘電体層35には、細孔(凹部)が設けられることになる。
【0035】
陰極層36は、誘電体層35の表面上に設けられている。
【0036】
図2に示すように、陰極層36は、誘電体層35の表面上に設けられた固体電解質層36Aと、固体電解質層36Aの表面上に設けられた導電体層36Bと、を有することが好ましい。
【0037】
固体電解質層36Aの構成材料としては、例えば、ポリピロール類、ポリチオフェン類、ポリアニリン類等の導電性高分子等が挙げられる。中でも、ポリチオフェン類が好ましく、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)が特に好ましい。また、導電性高分子は、ポリスチレンスルホン酸(PSS)等のドーパントを含んでいてもよい。
【0038】
固体電解質層36Aは、誘電体層35の細孔(凹部)に充填される内層と、誘電体層35の表面を覆う外層と、を含むことが好ましい。
【0039】
導電体層36Bは、導電性樹脂層及び金属層の少なくとも一方を含むことが好ましい。つまり、導電体層36Bは、導電性樹脂層のみを含んでいてもよいし、金属層のみを含んでいてもよいし、導電性樹脂層及び金属層の両方を含んでいてもよい。
【0040】
導電性樹脂層としては、例えば、銀フィラー、銅フィラー、ニッケルフィラー、及び、カーボンフィラーからなる群より選択される少なくとも1種の導電性フィラーを含む導電性接着剤層等が挙げられる。
【0041】
金属層としては、例えば、金属めっき膜、金属箔等が挙げられる。金属層は、ニッケル、銅、銀、及び、これらの金属の少なくとも1種を主成分とする合金からなる群より選択される少なくとも1種の金属からなることが好ましい。
【0042】
本明細書中、主成分は、重量割合が最も大きい元素成分を意味する。
【0043】
導電体層36Bは、例えば、固体電解質層36Aの表面上に設けられたカーボン層と、カーボン層の表面上に設けられた銅層と、を含んでいてもよい。
【0044】
カーボン層は、例えば、カーボンペーストを、スポンジ転写法、スクリーン印刷法、ディスペンサ塗布法、インクジェット印刷法等で固体電解質層36Aの表面に塗工することにより、所定の領域に形成される。
【0045】
銅層は、例えば、銅ペーストを、スポンジ転写法、スクリーン印刷法、スプレー塗布法、ディスペンサ塗布法、インクジェット印刷法等でカーボン層の表面に塗工することにより、所定の領域に形成される。
【0046】
以上のように、
図2に示すコンデンサ部30は、少なくとも一方の主面に多孔質層34を有する陽極板31と、多孔質層34の表面上に設けられた誘電体層35と、誘電体層35の表面上に設けられた陰極層36と、を有している。これにより、コンデンサ部30は、電解コンデンサを構成している。なお、陰極層36が固体電解質層36Aを有する場合、コンデンサ部30は、固体電解コンデンサを構成することになる。
【0047】
本発明のコンデンサにおいて、スルーホール導体は、コンデンサ部を厚み方向に貫通する第1貫通孔の少なくとも内壁面上に設けられた第1スルーホール導体を含み、第1スルーホール導体は、厚み方向に直交する面方向において第1貫通孔の内壁面に対向する陽極板の端面に電気的に接続される。
【0048】
図2に示すように、第1スルーホール導体62は、コンデンサ層10の厚み方向Tにコンデンサ部30を貫通するように設けられている。より具体的には、第1スルーホール導体62は、コンデンサ部30を厚み方向Tに貫通する第1貫通孔63の少なくとも内壁面上に設けられている。
【0049】
第1スルーホール導体62は、厚み方向Tに直交する面方向Uにおいて第1貫通孔63の内壁面に対向する陽極板31の端面に電気的に接続されている。
図2に示す例では、第1スルーホール導体62が、陽極板31の端面に接続されている。
【0050】
なお、面方向Uは複数存在するが、
図1、
図2等ではそのうちの1方向を代表的に示している。
【0051】
第1スルーホール導体62に電気的に接続する陽極板31の端面には、芯部32及び多孔質層34が露出している。そのため、芯部32に加えて多孔質層34でも、第1スルーホール導体62との電気的な接続がなされる。
【0052】
第1スルーホール導体62は、例えば、以下のようにして形成される。まず、第1スルーホール導体62を形成しようとする部分に対して、ドリル加工、レーザー加工等を行うことにより、第1貫通孔63を形成する。そして、第1貫通孔63の内壁面を、銅、金、銀等の低抵抗の金属でメタライズすることにより、第1スルーホール導体62を形成する。第1スルーホール導体62を形成する際、例えば、第1貫通孔63の内壁面を、無電解銅めっき処理、電解銅めっき処理等でメタライズすることにより、加工が容易になる。なお、第1スルーホール導体62を形成する方法については、第1貫通孔63の内壁面をメタライズする方法以外に、金属、金属と樹脂との複合材料等を第1貫通孔63に充填する方法であってもよい。
【0053】
本発明のコンデンサにおいて、第1スルーホール導体は、陽極板の端面側に位置する陽極接続層を有し、陽極接続層は、陽極板の端面に接していることが好ましい。
【0054】
図2に示すように、第1スルーホール導体62は、陽極板31の端面側に位置する陽極接続層68を有していることが好ましい。また、
図2に示すように、陽極接続層68は、陽極板31の端面に接していることが好ましい。
【0055】
第1スルーホール導体62が陽極板31の端面側に位置する陽極接続層68を有していることにより、陽極接続層68が、陽極板31に対するバリア層、より具体的には、芯部32及び多孔質層34に対するバリア層として機能する。このような陽極接続層68を利用することにより、後述する導電部20等を形成するための薬液処理時に生じる陽極板31の溶解が抑制され、ひいては、コンデンサ部30への薬液の浸入が抑制される。そのため、コンデンサアレイ1の信頼性が向上しやすくなり、ひいては、コンデンサアレイ1を構成するコンデンサの信頼性が向上しやすくなる。
【0056】
図2に示すように、陽極接続層68は、陽極板31の端面側から順に、第1陽極接続層68Aと、第2陽極接続層68Bと、を含んでいてもよい。
【0057】
陽極接続層68において、例えば、第1陽極接続層68Aは亜鉛を主成分とする層であってもよく、第2陽極接続層68Bはニッケル又は銅を主成分とする層であってもよい。この場合、第1陽極接続層68Aは、例えば、ジンケート処理で亜鉛を置換析出させることにより陽極板31の端面上に形成され、その後、第2陽極接続層68Bは、例えば、無電解ニッケルめっき処理又は無電解銅めっき処理により第1陽極接続層68Aの表面上に形成される。なお、第2陽極接続層68Bの形成時に第1陽極接続層68Aが消失する場合があり、この場合は、陽極接続層68が第2陽極接続層68Bのみからなってもよい。
【0058】
陽極接続層68は、ニッケルを主成分とする層を含むことが好ましい。この場合、陽極板31を構成する金属(例えば、アルミニウム)等へのダメージが低減されるため、陽極板31に対する陽極接続層68のバリア性が向上しやすくなる。
【0059】
図2に示すように、厚み方向Tにおいて、陽極接続層68の寸法は、陽極板31の寸法よりも大きいことが好ましい。この場合、陽極板31の端面全体が陽極接続層68で覆われるため、陽極板31に対する陽極接続層68のバリア性が向上しやすくなる。
【0060】
厚み方向Tにおいて、陽極接続層68の寸法は、好ましくは陽極板31の寸法の100%よりも大きく、200%以下である。
【0061】
厚み方向Tにおいて、陽極接続層68の寸法は、陽極板31の寸法と同じであってもよいし、陽極板31の寸法よりも小さくてもよい。
【0062】
なお、第1スルーホール導体62は、陽極板31の端面側に位置する陽極接続層68を有していなくてもよい。
【0063】
本発明のコンデンサにおいて、厚み方向から見たとき、第1スルーホール導体は、第1貫通孔の全周にわたって陽極板の端面に電気的に接続されていることが好ましい。
【0064】
図1及び
図2に示すように、厚み方向Tから見たとき、第1スルーホール導体62は、第1貫通孔63の全周にわたって陽極板31の端面に電気的に接続されていることが好ましい。
図2に示すように、第1スルーホール導体62が陽極板31の端面側に位置する陽極接続層68を有している場合、厚み方向Tから見たとき、第1スルーホール導体62における陽極接続層68以外の部分は、第1貫通孔63の全周にわたって陽極接続層68に接続されていることが好ましい。この場合、第1スルーホール導体62において、陽極接続層68と陽極接続層68以外の部分との接触面積が大きくなるため、陽極接続層68と陽極接続層68以外の部分との接続抵抗が低減しやすくなる。その結果、第1スルーホール導体62と陽極板31との接続抵抗が低減しやすくなるため、コンデンサ部30の等価直列抵抗(ESR)が低減しやすくなる。更に、第1スルーホール導体62において、陽極接続層68と陽極接続層68以外の部分との間の密着性が向上しやすくなるため、熱応力による陽極接続層68と陽極接続層68以外の部分との間の剥離等の不具合が生じにくくなる。
【0065】
図2に示すように、コンデンサアレイ1、より具体的には、コンデンサアレイ1を構成するコンデンサは、第1スルーホール導体62に電気的に接続された導電部20を更に有していることが好ましい。
図2に示す例では、導電部20が、第1スルーホール導体62の表面上に設けられている。導電部20は、コンデンサアレイ1、より具体的には、コンデンサ部30の接続端子として機能できる。
【0066】
導電部20の構成材料としては、例えば、銀、金、銅等の低抵抗の金属が挙げられる。この場合、導電部20は、例えば、第1スルーホール導体62の表面にめっき処理を行うことにより形成される。
【0067】
導電部20と他の部材との間の密着性、ここでは、導電部20と第1スルーホール導体62との間の密着性を向上させるために、導電部20の構成材料として、銀フィラー、銅フィラー、ニッケルフィラー、及び、カーボンフィラーからなる群より選択される少なくとも1種の導電性フィラーと樹脂との混合材料が用いられてもよい。
【0068】
図1及び
図2に示すように、コンデンサアレイ1、より具体的には、コンデンサアレイ1を構成するコンデンサは、第1貫通孔63に樹脂材料が充填されてなる第1樹脂充填部29Aを更に有していることが好ましい。
図1及び
図2に示す例では、第1樹脂充填部29Aが、第1貫通孔63の内壁面上の第1スルーホール導体62で囲まれた空間に設けられている。第1樹脂充填部29Aが設けられることで第1貫通孔63内の空間が解消されると、第1スルーホール導体62のデラミネーションの発生が抑制される。
【0069】
第1樹脂充填部29Aの熱膨張率は、第1スルーホール導体62の熱膨張率よりも大きいことが好ましい。より具体的には、第1貫通孔63に充填された樹脂材料の熱膨張率は、第1スルーホール導体62の構成材料(例えば、銅)の熱膨張率よりも大きいことが好ましい。この場合、第1樹脂充填部29A、より具体的には、第1貫通孔63に充填された樹脂材料が高温環境下で膨張することにより、第1スルーホール導体62が第1貫通孔63の内側から外側に向かって第1貫通孔63の内壁面に押さえつけられるため、第1スルーホール導体62のデラミネーションの発生が充分に抑制される。
【0070】
第1樹脂充填部29Aの熱膨張率は、第1スルーホール導体62の熱膨張率と同じであってもよいし、第1スルーホール導体62の熱膨張率よりも小さくてもよい。より具体的には、第1貫通孔63に充填された樹脂材料の熱膨張率は、第1スルーホール導体62の構成材料の熱膨張率と同じであってもよいし、第1スルーホール導体62の構成材料の熱膨張率よりも小さくてもよい。
【0071】
コンデンサアレイ1、より具体的には、コンデンサアレイ1を構成するコンデンサは、第1樹脂充填部29Aを有していなくてもよい。この場合、第1スルーホール導体62は、第1貫通孔63の内壁面上だけではなく、第1貫通孔63の内部全体に設けられていることが好ましい。
【0072】
図2に示すように、コンデンサ層10は、コンデンサ部30の表面上に設けられた絶縁部25を更に有していることが好ましい。
【0073】
図2に示すように、絶縁部25は、コンデンサ部30の表面上に設けられた第1絶縁部25Aと、第1絶縁部25Aの表面上に設けられた第2絶縁部25Bと、を含むことが好ましい。
【0074】
第1絶縁部25A及び第2絶縁部25Bの構成材料としては、例えば、エポキシ、フェノール、ポリイミド等の樹脂材料、あるいは、エポキシ、フェノール、ポリイミド等の樹脂材料と、シリカ、アルミナ等の無機フィラーとの混合材料等が挙げられる。
【0075】
第1絶縁部25Aの構成材料と第2絶縁部25Bの構成材料とは、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよい。
【0076】
以下では、多孔質層の内部構造について説明する。
【0077】
本発明のコンデンサにおいて、多孔質層には、第1孔が存在し、第1孔の内部には、第1スルーホール導体の一部が含まれている。
【0078】
図3は、
図2中の領域Zを拡大した状態を示す断面模式図である。
【0079】
なお、
図3には示していないが、誘電体層35は、多孔質層34の表面上、より具体的には、多孔質層34に存在する各孔の表面(輪郭)に沿って設けられている。
【0080】
図3に示すように、多孔質層34には、第1孔34Aが存在している。
【0081】
第1孔34Aの内部には、第1スルーホール導体62の一部が含まれている。
図3に示す例では、第1孔34Aの内部には、陽極接続層68の一部、より具体的には、第1陽極接続層68Aの一部が含まれている。これにより、多孔質層34と第1スルーホール導体62との間の密着性、より具体的には、多孔質層34と陽極接続層68との間の密着性が向上しやすくなる。その結果、多孔質層34と第1スルーホール導体62との間の剥離、より具体的には、多孔質層34と陽極接続層68との間の剥離等の不具合が生じにくくなるため、コンデンサアレイ1の信頼性が向上し、ひいては、コンデンサアレイ1を構成するコンデンサの信頼性が向上する。
【0082】
多孔質層に、第1スルーホール導体の一部が内部に含まれる第1孔が存在することについては、例えば、以下のようにして確認される。まず、コンデンサ、ここでは、コンデンサアレイを切断することにより、
図2に示すような、厚み方向から見たときの第1貫通孔の中心を通り、かつ、多孔質層及び第1スルーホール導体を含んだ厚み方向に沿うコンデンサの断面を露出させる。次に、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、コンデンサの露出断面、ここでは、コンデンサアレイの露出断面における、
図3に示すような多孔質層の拡大画像を撮像する。そして、得られた拡大画像に対して、波長分散型X線分光法(WDX)、エネルギー分散型X線分光法(EDX)等で元素マッピングを行うことにより、多孔質層内で、第1スルーホール導体の一部が内部に含まれる第1孔を確認する。
【0083】
本発明のコンデンサにおいて、第1孔は、陽極板の端面を構成する多孔質層の端面に存在していることが好ましい。
【0084】
図3に示すように、第1孔34Aは、陽極板31の端面を構成する多孔質層34の端面に存在していることが好ましい。この場合、多孔質層34の端面に第1孔34Aが露出する構造になるため、第1孔34Aの内部に第1スルーホール導体62の一部が含まれる前の状態では、多孔質層34の端面が微細な凹凸状になっている、と言える。
【0085】
多孔質層34の端面が微細な凹凸状になっていると、多孔質層34の端面に接続される第1スルーホール導体62が、多孔質層34の端面の凹部、より具体的には、第1孔34Aに入り込む。例えば、
図3に示すように、第1スルーホール導体62が陽極板31の端面側に位置する陽極接続層68を有している場合、多孔質層34の端面が微細な凹凸状になっていると、陽極接続層68、より具体的には、第1陽極接続層68Aが、多孔質層34の端面の凹部、より具体的には、第1孔34Aに入り込む。そのため、多孔質層34と陽極接続層68との間の密着性がより向上しやすくなる。その結果、多孔質層34と陽極接続層68との間の剥離等の不具合がより生じにくくなるため、コンデンサアレイ1の信頼性がより向上し、ひいては、コンデンサアレイ1を構成するコンデンサの信頼性がより向上する。
【0086】
本発明のコンデンサにおいて、多孔質層には、第2孔が更に存在し、第2孔の内部には、絶縁材料が含まれており、多孔質層は、第2孔の内部の絶縁材料が存在する絶縁領域を含み、面方向において、絶縁領域の第1スルーホール導体側の外端は、多孔質層の第1スルーホール導体側の外端よりも、第1スルーホール導体と反対側に位置する、ことが好ましい。
【0087】
図3に示すように、多孔質層34には、第2孔34Bが更に存在している。
【0088】
第2孔34Bの内部には、絶縁材料34Cが含まれている。これにより、多孔質層34は、第2孔34Bの内部の絶縁材料34Cが存在する絶縁領域を含むことになる。多孔質層34が絶縁領域を含むことにより、陽極板31と陰極層36との間の絶縁性が確保され、両者間の短絡が防止される。
【0089】
図3では、多孔質層34において、絶縁材料34Cのハッチングが施された領域が絶縁領域に該当する。このように、絶縁領域は、多孔質層34内に連続して存在する領域ではなく、不連続に存在する領域である。
【0090】
図1及び
図2に示すように、絶縁材料34Cが存在する絶縁領域は、第1スルーホール導体62の周囲に設けられていることが好ましい。この場合、陽極板31と陰極層36との間の絶縁性が充分に確保され、両者間の短絡が充分に防止される。
【0091】
絶縁材料34Cとしては、例えば、エポキシ、フェノール、ポリイミド等の樹脂材料、あるいは、エポキシ、フェノール、ポリイミド等の樹脂材料と、シリカ、アルミナ等の無機フィラーとの混合材料等が挙げられる。
【0092】
図3に示すように、面方向Uにおいて、絶縁領域の第1スルーホール導体62側の外端E1は、多孔質層34の第1スルーホール導体62側の外端E2よりも、第1スルーホール導体62と反対側(ここでは、左側)に位置している。これにより、陽極板31の端面を構成する多孔質層34の端面で、絶縁材料34C以外の材料(例えば、アルミニウム)で構成される部分の表面積が大きくなる。
【0093】
多孔質層34の端面で、絶縁材料34C以外の材料で構成される部分の表面積が大きくなると、多孔質層34の端面に接続される第1スルーホール導体62の被覆性が向上する。例えば、
図3に示すように、第1スルーホール導体62が陽極板31の端面側に位置する陽極接続層68を有している場合、多孔質層34の端面で、絶縁材料34C以外の材料で構成される部分の表面積が大きくなると、陽極接続層68、より具体的には、第1陽極接続層68Aの被覆性が向上する。多孔質層34の端面に対する陽極接続層68の被覆性が向上すると、多孔質層34に対する陽極接続層68のバリア性が向上し、ひいては、陽極板31に対する陽極接続層68のバリア性が向上する。その結果、導電部20等を形成するための薬液処理時に生じる陽極板31の溶解が抑制され、ひいては、コンデンサ部30への薬液の浸入が抑制される。そのため、コンデンサアレイ1の信頼性がより向上し、ひいては、コンデンサアレイ1を構成するコンデンサの信頼性がより向上する。
【0094】
多孔質層34の端面で、絶縁材料34C以外の材料で構成される部分の表面積が大きくなると、芯部32に加えて多孔質層34でも、第1スルーホール導体62との電気的な接続がなされやすくなるため、第1スルーホール導体62と陽極板31との接続抵抗が低減する。その結果、コンデンサ部30の等価直列抵抗が低減するため、コンデンサアレイ1の信頼性がより向上し、ひいては、コンデンサアレイ1を構成するコンデンサの信頼性がより向上する。
【0095】
絶縁領域の第1スルーホール導体側の外端は、
図2に示すような、厚み方向から見たときの第1貫通孔の中心を通り、かつ、多孔質層及び第1スルーホール導体を含んだ厚み方向に沿うコンデンサの断面に対して、例えば、以下のようにして定められる。まず、コンデンサ、ここでは、コンデンサアレイを切断することにより、
図2に示すような上記断面を露出させる。次に、走査型電子顕微鏡を用いて、コンデンサの露出断面、ここでは、コンデンサアレイの露出断面における、
図3に示すような多孔質層の拡大画像を撮像する。そして、得られた拡大画像に対して、波長分散型X線分光法で元素マッピングを行うことにより、多孔質層内で、絶縁材料が存在する絶縁領域を確認する。その上で、面方向において、絶縁領域の最も第1スルーホール導体側に位置する端部を、絶縁領域の第1スルーホール導体側の外端と定める。
【0096】
多孔質層の第1スルーホール導体側の外端は、例えば、以下のようにして定められる。まず、上述した方法で得られた拡大画像に対して、波長分散型X線分光法で元素マッピングを行うことにより、絶縁領域を含む多孔質層の範囲全体を確認する。その上で、面方向において、多孔質層の最も第1スルーホール導体側に位置する端部を、多孔質層の第1スルーホール導体側の外端と定める。
【0097】
本発明のコンデンサでは、面方向において、上述した方法で定められた絶縁領域の第1スルーホール導体側の外端が、上述した方法で定められた多孔質層の第1スルーホール導体側の外端よりも、第1スルーホール導体と反対側に位置していればよい。
【0098】
本発明のコンデンサでは、例えば、コンデンサの製造時、ここでは、コンデンサアレイの製造時に、絶縁材料を、多孔質層の内部の空孔に充填した後、プラズマ処理等で多孔質層の端面近傍に存在する絶縁材料を選択的に除去することにより、面方向において、絶縁領域の第1スルーホール導体側の外端が、多孔質層の第1スルーホール導体側の外端よりも、第1スルーホール導体と反対側に位置するように調整される。
【0099】
面方向Uにおいて、絶縁領域の第1スルーホール導体62側の外端E1と、多孔質層34の第1スルーホール導体62側の外端E2との間の距離は、好ましくは0μmよりも大きく、20μmよりも小さい。
【0100】
本発明のコンデンサでは、多孔質層において、第1スルーホール導体側の外端から面方向に多孔質層の厚み分だけ離れた位置までの範囲にわたる第1領域を定めたとき、第1領域における空隙の面積割合は、好ましくは0面積%以上、30面積%以下である。
【0101】
図3に示すように、多孔質層34において、第1スルーホール導体62側の外端E2から面方向Uに多孔質層34の厚み分だけ離れた位置P1までの範囲にわたる第1領域R1を定めたとき、第1領域R1における空隙の面積割合は、好ましくは0面積%以上、30面積%以下である。つまり、多孔質層34の端面近傍の第1領域R1において、第1スルーホール導体62及び絶縁材料34Cを含むあらゆる材料が内部に含まれていない空隙の面積割合は、0面積%以上、30面積%以下と低くなっていることが好ましい。そのため、多孔質層34の端面に接続される第1スルーホール導体62、より具体的には、陽極接続層68を、ジンケート処理をはじめとするめっき処理で形成する際に、空隙を通じて多孔質層34の端面近傍が過剰にエッチングされることが抑制される。その結果、多孔質層34の内部に残留した塩素、水等による腐食が抑制されるため、コンデンサアレイ1の信頼性がより向上し、ひいては、コンデンサアレイ1を構成するコンデンサの信頼性がより向上する。
【0102】
第1領域R1における空隙の面積割合が30面積%よりも大きい場合、多孔質層34の端面に接続される第1スルーホール導体62、より具体的には、陽極接続層68を、ジンケート処理をはじめとするめっき処理で形成する際に、空隙を通じて多孔質層34の端面近傍が過剰にエッチングされることにより、多孔質層34の内部に更に大きな空間が生じてしまう。その結果、多孔質層34の内部に残留した塩素、水等による腐食が生じるため、コンデンサアレイ1の信頼性が低下し、ひいては、コンデンサアレイ1を構成するコンデンサの信頼性が低下してしまう。
【0103】
第1領域における空隙の面積割合は、
図2に示すような、厚み方向から見たときの第1貫通孔の中心を通り、かつ、多孔質層及び第1スルーホール導体を含んだ厚み方向に沿うコンデンサの断面に対して、例えば、以下のようにして定められる。まず、コンデンサ、ここでは、コンデンサアレイを切断することにより、
図2に示すような上記断面を露出させる。次に、走査型電子顕微鏡を用いて、コンデンサの露出断面、ここでは、コンデンサアレイの露出断面における、
図3に示すような多孔質層の拡大画像を撮像する。そして、得られた拡大画像に対して、波長分散型X線分光法で元素マッピングを行うことにより、多孔質層内で、空隙の存在領域を確認する。この際、多孔質層の端面に露出した空隙も、上述した空隙の存在領域に含める。一方、上述した方法により、多孔質層の第1スルーホール導体側の外端を定めておき、多孔質層において、第1スルーホール導体側の外端から面方向に多孔質層の厚み分だけ離れた位置までの範囲にわたる第1領域を確認する。その上で、画像解析ソフトにより、第1領域における空隙の存在領域の面積割合を測定する。そして、測定された面積割合を、第1領域における空隙の面積割合と定める。
【0104】
なお、上述した方法では、コンデンサの露出断面に対して、走査型電子顕微鏡及び波長分散型X線分光法を組み合わせた元素マッピングを行うことにより、空隙の存在領域を確認しているが、走査型電子顕微鏡及びエネルギー分散型X線分光法を組み合わせた元素マッピング等の別の解析方法で空隙の存在領域を確認してもよい。
【0105】
図3では、空隙として、第1スルーホール導体62及び絶縁材料34Cを含むあらゆる材料が含まれていない空孔34Vを示しているが、空隙には、空孔34Vの他に、第1孔34A、第2孔34B等のように何かしらの材料が含まれている孔の内部であって、材料が完全に充填されていない空の部分も包含される。
【0106】
本発明のコンデンサでは、例えば、コンデンサの製造時、ここでは、コンデンサアレイの製造時に、絶縁材料を、多孔質層の内部の空孔に充填した後、プラズマ処理等で多孔質層の端面近傍に存在する絶縁材料を選択的に除去することにより、第1領域における空隙の面積割合が、0面積%以上、30面積%以下に調整されることが好ましい。
【0107】
本発明のコンデンサでは、多孔質層において、絶縁領域の第1スルーホール導体と反対側の外端から第1スルーホール導体に向かって面方向に多孔質層の厚み分だけ離れた位置までの範囲にわたる第2領域を定めたとき、第2領域における空隙の面積割合は、第1領域における空隙の面積割合よりも大きいことが好ましい。
【0108】
図3に示すように、多孔質層34において、絶縁領域の第1スルーホール導体62と反対側の外端E3から第1スルーホール導体62に向かって面方向Uに多孔質層34の厚み分だけ離れた位置P2までの範囲にわたる第2領域R2を定めたとき、第2領域R2における空隙の面積割合は、第1領域R1における空隙の面積割合よりも大きいことが好ましい。この場合、
図3に示すように、第2領域R2には絶縁領域が存在しているにもかかわらず、第2領域R2における空隙の面積割合は、第1領域R1における空隙の面積割合よりも大きくなる。つまり、第2領域R2には絶縁領域が存在するものの、第2領域R2における絶縁領域の範囲は、第1領域R1における絶縁領域の範囲よりも小さい、と言える。
【0109】
ここで、絶縁材料34Cを第2孔34Bに充填する際、例えば、絶縁材料34Cを多孔質層34(誘電体層35)の表面上に設けることにより、絶縁材料34Cを、多孔質層34の表面から厚み方向Tに沿って、より具体的には、多孔質層34の表面から芯部32に向かって浸透させる。
【0110】
この際、多孔質層34の表面上に設けられた絶縁材料34Cのうちで、第1スルーホール導体62と反対側に位置する部分は、多孔質層34の表面上において、第1スルーホール導体62と反対側に向かって面方向Uに広がる。
【0111】
更に、多孔質層34の表面上に設けられた絶縁材料34Cのうちで、第1スルーホール導体62と反対側に位置する部分は、多孔質層34の内部において、厚み方向Tに浸透しつつ、第1スルーホール導体62と反対側に向かって面方向Uに染み出す。このように絶縁材料34Cが面方向Uに染み出す際、その染み出し幅は、多孔質層34の表面から芯部32に向かって小さくなる。以上により、多孔質層34内の絶縁領域のうちで第1スルーホール導体62と反対側の外端E3近傍の領域として、絶縁材料34Cの染み出し領域が形成される。
【0112】
上述したように、第2領域R2には絶縁領域が存在するものの、第2領域R2に存在する絶縁領域は、絶縁材料34Cの染み出し領域を含む。よって、第2領域R2における絶縁領域の範囲は、第1領域R1における絶縁領域の範囲よりも小さくなる。つまり、第2領域R2における空隙の面積割合は、第1領域R1における空隙の面積割合よりも大きくなる。
【0113】
以上のことから、第2領域R2における空隙の面積割合が、第1領域R1における空隙の面積割合よりも大きい場合、第2領域R2には、上述した方法で形成された絶縁材料34Cの染み出し領域が存在している、と言える。
【0114】
第2領域における空隙の面積割合は、
図2に示すような、厚み方向から見たときの第1貫通孔の中心を通り、かつ、多孔質層及び第1スルーホール導体を含んだ厚み方向に沿うコンデンサの断面に対して、例えば、以下のようにして定められる。まず、上述した方法により、多孔質層内で空隙の存在領域を確認する。一方、上述した方法により、多孔質層内で絶縁領域を確認しておき、面方向において、絶縁領域の最も第1スルーホール導体と反対側に位置する端部を、絶縁領域の第1スルーホール導体と反対側の外端と定める。そして、多孔質層において、絶縁領域の第1スルーホール導体と反対側の外端から第1スルーホール導体に向かって面方向に多孔質層の厚み分だけ離れた位置までの範囲にわたる第2領域を確認する。その上で、画像解析ソフトにより、第2領域における空隙の存在領域の面積割合を測定する。そして、測定された面積割合を、第2領域における空隙の面積割合と定める。
【0115】
第1領域R1における空隙の面積割合は、第2領域R2における空隙の面積割合に対して、好ましくは0%よりも大きく、80%よりも小さい。
【0116】
図3には示していないが、多孔質層34には、第1孔34A、第2孔34B、及び、空孔34Vの他に、第1スルーホール導体62及び絶縁材料34C以外の材料、例えば、固体電解質層36Aが内部に含まれる孔が存在していてもよい。
【0117】
本発明のコンデンサにおいて、スルーホール導体は、第1スルーホール導体が設けられたコンデンサ部を厚み方向に貫通する第2貫通孔の少なくとも内壁面上に設けられた第2スルーホール導体を更に含み、第2スルーホール導体は、陰極層に電気的に接続されている、ことが好ましい。
【0118】
図4は、
図1中の線分B1-B2に沿う断面を含むコンデンサアレイの断面の一例を示す断面模式図である。なお、
図4中の線分B1-B2は、
図1中の線分B1-B2に対応している。
【0119】
図4に示すように、コンデンサアレイ1、より具体的には、コンデンサアレイ1を構成するコンデンサは、第2スルーホール導体64を更に有していることが好ましい。
【0120】
図4に示すように、第2スルーホール導体64は、コンデンサ層10の厚み方向Tにコンデンサ部30を貫通するように設けられている。より具体的には、第2スルーホール導体64は、
図2等に示す第1スルーホール導体62が設けられたコンデンサ部30を厚み方向Tに貫通する第2貫通孔65の少なくとも内壁面上に設けられていることが好ましい。
【0121】
図4に示すように、第2スルーホール導体64は、陰極層36に電気的に接続されていることが好ましい。ここで、
図4に示す例では、導電部40が、第2スルーホール導体64の表面上に設けられており、コンデンサアレイ1、より具体的には、コンデンサ部30の接続端子として機能できる。また、
図4に示す例では、ビア導体42が、絶縁部25を厚み方向Tに貫通して導電部40と陰極層36とに接続されるように設けられている。よって、
図4に示す例では、第2スルーホール導体64が、導電部40及びビア導体42を介して陰極層36に電気的に接続されている。この場合、コンデンサアレイ1の小型化が可能となり、ひいては、コンデンサアレイ1を構成するコンデンサの小型化が可能となる。
【0122】
第2スルーホール導体64は、例えば、以下のようにして形成される。まず、第2スルーホール導体64を形成しようとする部分に対して、ドリル加工、レーザー加工等を行うことにより、貫通孔を形成する。次に、形成された貫通孔に、第2絶縁部25Bの構成材料(例えば、樹脂材料)を充填することにより、絶縁層を形成する。そして、形成された絶縁層に対して、ドリル加工、レーザー加工等を行うことにより、第2貫通孔65を形成する。この際、第2貫通孔65の直径を絶縁層の直径よりも小さくすることにより、先に形成された貫通孔と第2貫通孔65との間に、第2絶縁部25Bの構成材料が存在する状態にする。その後、第2貫通孔65の内壁面を、銅、金、銀等の低抵抗の金属でメタライズすることにより、第2スルーホール導体64を形成する。第2スルーホール導体64を形成する際、例えば、第2貫通孔65の内壁面を、無電解銅めっき処理、電解銅めっき処理等でメタライズすることにより、加工が容易になる。なお、第2スルーホール導体64を形成する方法については、第2貫通孔65の内壁面をメタライズする方法以外に、金属、金属と樹脂との複合材料等を第2貫通孔65に充填する方法であってもよい。
【0123】
導電部40の構成材料としては、例えば、銀、金、銅等の低抵抗の金属が挙げられる。この場合、導電部40は、例えば、第2スルーホール導体64の表面にめっき処理を行うことにより形成される。
【0124】
導電部40と他の部材との間の密着性、ここでは、導電部40と第2スルーホール導体64との間の密着性を向上させるために、導電部40の構成材料として、銀フィラー、銅フィラー、ニッケルフィラー、及び、カーボンフィラーからなる群より選択される少なくとも1種の導電性フィラーと樹脂との混合材料が用いられてもよい。
【0125】
ビア導体42の構成材料としては、例えば、導電部40の構成材料と同様のものが挙げられる。
【0126】
ビア導体42は、例えば、絶縁部25を厚み方向Tに貫通するように設けられた貫通孔に対して、内壁面にめっき処理を行ったり、導電性ペーストを充填した後に熱処理を行ったりすることにより形成される。
【0127】
コンデンサアレイ1、より具体的には、コンデンサアレイ1を構成するコンデンサは、
図1及び
図4に示すように、第2貫通孔65に樹脂材料が充填されてなる第2樹脂充填部29Bを更に有していることが好ましい。
図1及び
図4に示す例では、第2樹脂充填部29Bが、第2貫通孔65の内壁面上の第2スルーホール導体64で囲まれた空間に設けられている。第2樹脂充填部29Bが設けられることで第2貫通孔65内の空間が解消されると、第2スルーホール導体64のデラミネーションの発生が抑制される。
【0128】
第2樹脂充填部29Bの熱膨張率は、第2スルーホール導体64の熱膨張率よりも大きいことが好ましい。より具体的には、第2貫通孔65に充填された樹脂材料の熱膨張率は、第2スルーホール導体64の構成材料(例えば、銅)の熱膨張率よりも大きいことが好ましい。この場合、第2樹脂充填部29B、より具体的には、第2貫通孔65に充填された樹脂材料が高温環境下で膨張することにより、第2スルーホール導体64が第2貫通孔65の内側から外側に向かって第2貫通孔65の内壁面に押さえつけられるため、第2スルーホール導体64のデラミネーションの発生が充分に抑制される。
【0129】
第2樹脂充填部29Bの熱膨張率は、第2スルーホール導体64の熱膨張率と同じであってもよいし、第2スルーホール導体64の熱膨張率よりも小さくてもよい。より具体的には、第2貫通孔65に充填された樹脂材料の熱膨張率は、第2スルーホール導体64の構成材料の熱膨張率と同じであってもよいし、第2スルーホール導体64の構成材料の熱膨張率よりも小さくてもよい。
【0130】
コンデンサアレイ1、より具体的には、コンデンサアレイ1を構成するコンデンサは、第2樹脂充填部29Bを有していなくてもよい。この場合、第2スルーホール導体64は、第2貫通孔65の内壁面上だけではなく、第2貫通孔65の内部全体に設けられていることが好ましい。
【0131】
本発明のコンデンサにおいて、コンデンサ層は、コンデンサ部の表面上に設けられた第1絶縁部と、第1絶縁部の表面上に設けられた第2絶縁部と、を更に有し、第2絶縁部は、陽極板と第2スルーホール導体との間に延在している、ことが好ましい。
【0132】
図2と同様に、
図4でも示すように、コンデンサ層10は、コンデンサ部30の表面上に設けられた絶縁部25を更に有していることが好ましい。
【0133】
図2と同様に、
図4でも示すように、絶縁部25は、コンデンサ部30の表面上に設けられた第1絶縁部25Aと、第1絶縁部25Aの表面上に設けられた第2絶縁部25Bと、を含むことが好ましい。
【0134】
つまり、コンデンサ層10は、コンデンサ部30の表面上に設けられた第1絶縁部25Aと、第1絶縁部25Aの表面上に設けられた第2絶縁部25Bと、を更に有していることが好ましい。
【0135】
コンデンサ層10が第1絶縁部25A及び第2絶縁部25Bを有する場合、
図4に示すように、第2絶縁部25Bは、陽極板31と第2スルーホール導体64との間に延在していることが好ましい。
図4に示す例では、第2絶縁部25Bが、陽極板31と第2スルーホール導体64との両方に接している。第2絶縁部25Bが陽極板31と第2スルーホール導体64との間に延在していることにより、陽極板31と第2スルーホール導体64との間の絶縁性、ひいては、陽極板31と陰極層36との間の絶縁性が確保され、両者間の短絡が防止される。
【0136】
第2絶縁部25Bが陽極板31と第2スルーホール導体64との間に延在している場合、
図4に示すように、第2絶縁部25Bに接する陽極板31の端面には、芯部32及び多孔質層34が露出していることが好ましい。この場合、第2絶縁部25Bと多孔質層34との接触面積が大きくなることで両者間の密着性が向上するため、第2絶縁部25Bと多孔質層34との間の剥離等の不具合が生じにくくなる。
【0137】
第2絶縁部25Bに接する陽極板31の端面に、芯部32及び多孔質層34が露出している場合、多孔質層34の空孔に絶縁材料34Cが充填されることにより、
図4に示すように、絶縁材料34Cが存在する絶縁領域が、第2スルーホール導体64の周囲に設けられていることが好ましい。この場合、陽極板31と第2スルーホール導体64との間の絶縁性、ひいては、陽極板31と陰極層36との間の絶縁性が充分に確保され、両者間の短絡が充分に防止される。
【0138】
第2絶縁部25Bに接する陽極板31の端面に、芯部32及び多孔質層34が露出している場合、第2絶縁部25Bの構成材料は、多孔質層34の空孔に入り込んでいることが好ましい。この場合、多孔質層34の機械的強度が向上しつつ、多孔質層34の空孔に起因するデラミネーションの発生が抑制される。
【0139】
第2絶縁部25Bの熱膨張率は、第2スルーホール導体64の熱膨張率よりも大きいことが好ましい。より具体的には、第2絶縁部25Bの構成材料の熱膨張率は、第2スルーホール導体64の構成材料(例えば、銅)の熱膨張率よりも大きいことが好ましい。この場合、第2絶縁部25B、より具体的には、第2絶縁部25Bの構成材料が高温環境下で膨張することにより、多孔質層34及び第2スルーホール導体64が押さえつけられるため、デラミネーションの発生が充分に抑制される。
【0140】
第2絶縁部25Bの熱膨張率は、第2スルーホール導体64の熱膨張率と同じであってもよいし、第2スルーホール導体64の熱膨張率よりも小さくてもよい。より具体的には、第2絶縁部25Bの構成材料の熱膨張率は、第2スルーホール導体64の構成材料の熱膨張率と同じであってもよいし、第2スルーホール導体64の構成材料の熱膨張率よりも小さくてもよい。
【0141】
本発明のコンデンサは、例えば、複合電子部品に用いられる。このような複合電子部品は、例えば、本発明のコンデンサと、本発明のコンデンサの外側に設けられ、かつ、陽極板及び陰極層の各々に電気的に接続された外部電極と、外部電極に電気的に接続された電子部品と、を有する。
【0142】
複合電子部品において、外部電極に電気的に接続される電子部品は、受動素子であってもよいし、能動素子であってもよいし、受動素子及び能動素子の両方であってもよいし、受動素子及び能動素子の複合体であってもよい。
【0143】
受動素子としては、例えば、インダクタ等が挙げられる。
【0144】
能動素子としては、メモリ、GPU(Graphical Processing Unit)、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、PMIC(Power Management IC)等が挙げられる。
【0145】
本発明のコンデンサが複合電子部品に用いられる場合、本発明のコンデンサは、例えば、上述したように、電子部品を実装するための基板として扱われる。そのため、本発明のコンデンサを全体としてシート状にし、更に、本発明のコンデンサに実装される電子部品をシート状にすることにより、電子部品を厚み方向に貫通するスルーホール導体を介して、本発明のコンデンサと電子部品とを厚み方向に電気的に接続することが可能となる。その結果、電子部品としての受動素子及び能動素子を一括のモジュールのように構成することが可能となる。
【0146】
例えば、半導体アクティブ素子を含むボルテージレギュレータと、変換された直流電圧が供給される負荷との間に本発明のコンデンサを電気的に接続することにより、スイッチングレギュレータを形成することができる。
【0147】
複合電子部品においては、本発明のコンデンサが複数個レイアウトされたコンデンサマトリクスシートの一方の主面上に回路層を形成した上で、その回路層を、電子部品としての受動素子又は能動素子に電気的に接続してもよい。
【0148】
また、基板に予め設けられたキャビティ部に本発明のコンデンサを配置し、樹脂で埋め込んだ後、その樹脂上に回路層を形成してもよい。同基板の別のキャビティ部には、別の電子部品としての受動素子又は能動素子が搭載されていてもよい。
【0149】
あるいは、本発明のコンデンサをウエハ、ガラス等の平滑なキャリアに実装し、樹脂による外層部を形成した後、回路層を形成した上で、その回路層を、電子部品としての受動素子又は能動素子に電気的に接続してもよい。
【符号の説明】
【0150】
1 コンデンサアレイ
10 コンデンサ層
20、40 導電部
25 絶縁部
25A 第1絶縁部
25B 第2絶縁部
29A 第1樹脂充填部
29B 第2樹脂充填部
30 コンデンサ部
31 陽極板
32 芯部
34 多孔質層
34A 第1孔
34B 第2孔
34C 絶縁材料
34V 空孔
35 誘電体層
36 陰極層
36A 固体電解質層
36B 導電体層
42 ビア導体
60 スルーホール導体
62 第1スルーホール導体
63 第1貫通孔
64 第2スルーホール導体
65 第2貫通孔
68 陽極接続層
68A 第1陽極接続層
68B 第2陽極接続層
E1 絶縁領域の第1スルーホール導体側の外端
E2 多孔質層の第1スルーホール導体側の外端
E3 絶縁領域の第1スルーホール導体と反対側の外端
P1 多孔質層の第1スルーホール導体側の外端から面方向に多孔質層の厚み分だけ離れた位置
P2 絶縁領域の第1スルーホール導体と反対側の外端から第1スルーホール導体に向かって面方向に多孔質層の厚み分だけ離れた位置
R1 第1領域
R2 第2領域
T 厚み方向
U 面方向